JP6839111B2 - 歯付ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム製の歯付ベルトの製造方法に関するものである。
従来から、例えば高負荷をベルトによって伝達する一般産業用機械の同期伝動用途に使用される伝動ベルトとして、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部及び心線が埋設された背部を有するゴム組成物を基材とするベルト本体と、この複数の歯部の表面に被覆された歯布とを備えたゴム製の歯付ベルトが一般的に知られている。
このようなゴム製の歯付ベルトの製造方法としては、従来、外周面に歯部形成用の凹部を複数設けた円筒状の金型(歯付モールド)を用いて、この金型の外周面に、筒状の歯布を被せた後、その歯布上に撚糸コードなる心線を螺旋状に巻回し、さらにその外側にベルト本体の基材となるゴムシート(未加硫物)を巻いて未加硫ベルトスリーブを成形してから、別途公知の加硫方法、例えばこの未加硫ベルトスリーブの外周側に備えられたブラダーを膨張させてその圧力で当該ゴムシート(未加硫物)を心線の間隙から金型の凹部に圧入し歯部を形成させつつ加熱して、当該歯付ベルトになる加硫済みのベルトスリーブを得ていた(従来法)。
しかし、ベルト本体の基材としてゴムシート(未加硫物)を使用することから、カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要であり、省人化等が難しく、生産性、ひいては製造コスト等の面で問題が残されていた。
生産性を満足させるためには、ベルト取り本数に対応して有効長さ(有効面長)を十分に確保した未加硫ベルトスリーブ(例えば有効面長400mm)を連続的に得る必要がある。
この点、特許文献1には、押出成形により、未加硫ゴム組成物を筒状の金型の外周面に層状に被覆した未加硫ベルトスリーブを連続的に得る方法が開示されている。そこで、特許文献1に記載の方法を基にして、押出成形により、金型(歯付モールド)に歯布を装着し、その上に心線をスピニングしたスピニング済の金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面に押出機本体によって熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)を被覆成形し、得られた未加硫ベルトスリーブを公知の方法で加硫することによってゴム製の歯付ベルトを得ることが考えられる。
特許3998344号公報
しかしながら、特許文献1に記載の未加硫ベルトスリーブを得る方法は、転写ベルト(半導電性ゴムベルト)のようにゴム組成物のみをベルト本体の構成材料とする平ベルトを製造する場合に品質と生産性を両立させ得ると考えられる方法である。従って、ベルト本体の基材なるゴム組成物の他に、心線および歯布を構成材料とするゴム製の歯付ベルトを製造する場合にも適用できるかどうかについては、記載も言及もなく、不明であった。
そこで、本願発明者は、一般的なクロスヘッド押出機を用いた押出成形法(以下、従来の押出法)で、歯付モールドを金型とし、この金型の外周に筒状の歯布を装着し、この歯布上に心線をスピニングしたスピニング済の金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面にゴム組成物(未加硫物)を不具合なく被覆成形できるかどうか、試みた(後述の比較例1に相当:図5参照)。
その結果、外観上はスピニング済の金型の外周面にゴム組成物(未加硫物)が層状に形成された未加硫ベルトスリーブ(有効面長400mm)を連続的に成形可能であることが確認できた。また、被覆ゴム層の厚さの均一性および心線との密着性も問題なかった。しかし、この未加硫ベルトスリーブの長さ(面長)方向に沿った断面を観察したところ、心線にピッチ乱れ(金型長手方向のずれ)が発生していることが確認された。このように心線のピッチが乱れたベルトは、伝動ベルトとしては使用できずスクラップとなってしまう。
上記のように心線にピッチ乱れが生じた理由としては以下のことが考えられる。押出機本体にて熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)は、クロスヘッド内の環状流路を経て口金(ダイスおよびニップル)に形成された押出口から円筒状に排出される。通常、基本的なベルト本体の断面形状を定めるために、押出口は上記環状流路でその隙間が最小となる部分であり、ゴム組成物(未加硫物)は、熱可塑化されると同時に圧縮されて、その時に受けた歪みが押出口まで維持される。そのため、ゴム組成物(未加硫物)は押出口から排出された瞬間に(大気圧下で)解放され、膨張する、所謂ダイスウェルが生じる。そして、ダイスウェルすると同時に放冷により収縮する。つまり、押出口から排出されたゴム組成物(未加硫物)が円筒状の場合、排出されたゴム組成物は、押出口から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径しながら押出口前方のダイスの内側を通過しようとする。
しかしながら、従来の押出法では、ダイス(内周面)とスピニング済の金型の外周面との間の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じであるため、押出口から排出されたゴム組成物(未加硫物)の層が、ダイス(内周面)とスピニング済の金型の外周面との間に、厚み方向に隙間なく接触した状態(特許文献1図1と同じ状態)で、押出口前方のダイスの内側を通過する。このとき、ゴム組成物(未加硫物)の層は、ゴム成分の性質(凝集力)によって、ダイス壁面(内周面)からずり抵抗を受け、ゴム組成物の層により被覆された心線にずり応力を生じさせてしまう。これが、心線にピッチ乱れが生じる原因と考えられる。
したがって、ベルト本体の基材なるゴム組成物の他に、心線および歯布を構成材料とするゴム製の歯付ベルトを製造する際に、従来の押出法を適用すると、品質と生産性の両立が難しいことがわかった。
そこで、本発明の目的は、前述の問題点を鑑みて、品質と生産性を両立させることができる、ゴム製の歯付ベルトの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の1つは、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
前記金型を後方から前方に連続的に挿通可能に配置された内筒部、及び、前記内筒部の前端に配置されたニップルと該ニップルよりも前方側に配置されたダイスとの間の形状で画定される押出口を備えた押出機の前記内筒部の内部に、前記金型を挿通する際に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を、前記押出口から排出し、前記歯布上に前記心線がスピニングされた前記金型の外周面に、層状に被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
前記被覆工程において、
前記ダイスと前記歯布上に前記心線がスピニングされた前記金型の外周面との間の距離が、前記押出口から排出されて、前記金型の外周面に層状に被覆される前記ゴム組成物の厚みよりも大きくなるように設定されている、ことを特徴としている。
上記方法では、被覆工程において、ダイスと金型の外周面との間の距離が、金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みよりも大きくしている。これにより、熱可塑化されたゴム組成物が押出口から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径したとしても、ゴム組成物がダイスを通過する際に、ダイスに接触しないようにすることができる。
つまり、歯布上に心線がスピニングされた金型の外周面へのゴム組成物の被覆は、ゴム組成物の層がダイスに接触した状態では行われないようにすることができる。ゴム組成物の層はダイス壁面からのずり抵抗を受けず、心線にもずり応力を生じさせないので、心線にピッチ乱れ(心線のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、被覆工程では、歯布上に心線がスピニングされた金型を内筒部の内部に連続的に挿通(供給)することにより、金型の外周面に円筒状のゴム組成物の層を被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法に比べて、ゴム製の歯付ベルトの製造に係る生産性を向上させることができる。
また、金型のみを周長の異なるものに交換するだけで、例えば厚さは同じで周長が若干程度異なる未加硫ベルトスリーブを成形することができる。このため、従来の押出法のように、ダイスと金型の外周面との間の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じである場合、ゴム組成物の層の厚さは同じでも周長が若干でも異なれば金型及びダイス、ニップルを入れ替えなくてはならなくなるため、従来よりも生産性が向上する。
したがって、本発明の製造方法によれば、品質と生産性を両立させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法の前記被覆工程において、
前記内筒部の内部を負圧源に接続し、前記内筒部の内部の前記押出口よりも後方を大気圧より低い負圧にすることを特徴としている。
上記方法によれば、被覆工程で、金型が内筒部の内部の後方から前方に挿通される際に、内筒部の内部の押出口よりも後方の内筒部の内周面と金型の外周面との隙間が負圧に保たれた状態(内筒部の内部の押出口よりも前方は大気圧のまま)で、金型の外周面にゴム組成物が層状に押出口から排出される。これにより、金型の外周面に層状に排出される際のゴム組成物の内周側が負圧になり、外周側が大気圧に保たれることになる。そのため、上記隙間を負圧にしない場合(つまり大気圧下におく場合)に比べて、熱可塑化されたゴム組成物が押出口から排出された瞬間にダイスウェルするとともに放冷による収縮で金型の外周面に層状に被覆される際に、金型の外周面(心線)への密着性をより良好にすることができる。
また、ダイスと金型の外周面との間の距離を、金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(例えば2倍の大きさ)することができるので、上記隙間を負圧にしない場合に比べて、金型の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法において、前記金型を前記内筒部の後方から前方に挿通する供給方向、及び、前記ゴム組成物が前記押出口から前記金型の外周面に排出される排出方向が重力に抗する方向になるように、前記押出機を配置することを特徴としている。
上記方法によれば、排出されるゴム組成物の金型外周面に対する重力の影響を均一にすることができ、ゴム組成物の重力による偏った変形を防止することができる。これにより、供給方向及び排出方向を水平にした場合に比べて、得られる未加硫ベルトスリーブのゴム組成物の層に関する厚さの均一性、及び、ゴム組成物と心線との密着性を向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法において、
前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を前記内筒部に供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、 該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記金型供給装置による前記金型の供給速度を定めた、基準金型供給速度情報、を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準金型供給速度情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置の動作が前記制御部により制御されることを特徴としている。
上記方法によれば、未加硫ベルトスリーブの仕様毎に、一連の前記金型供給装置の動作の制御を自動的に実行することができる。これにより、従来法に比べて、省人化が一段と進み、生産性がより向上する。
品質と生産性を両立させることができる、ゴム製の歯付ベルトの製造方法を提供することができる。
製造する歯付ベルトの断面図である。 本実施形態に係る押出機の説明図である。 本実施形態(実施例1)に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 実施例2に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 比較例1に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 本実施形態に係る押出機及び制御装置の構成図である。 本実施形態の被覆工程で実行される連続的動作の説明図である。 本実施形態の被覆工程で実行される連続的動作の説明図である。
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係る歯付ベルトの製造方法について説明する。
本実施形態で製造される歯付ベルト1は、産業用機械の同期伝動用途に使用される、無端・輪状の伝動ベルトである。例えば、歯付ベルト1は、歯付ベルト1の歯部と噛み合う歯部を備えた、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられて使用される。
(歯付ベルト1の構成)
歯付ベルト1は、図1の歯付ベルト1の断面図に示すように、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部2と、心線3が埋設された背部4と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体5、及び、複数の歯部2の表面を被覆する歯布6により構成されている。
歯部2及び背部4を構成するゴム組成物には、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合したもの、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などから選ばれるゴムを単独で或いはブレンドして用いることができる。或いはこれらのゴムの他にポリウレタンゴムを用いて形成することも可能である。なかでも、歯付ベルト1の場合は、耐熱老化性の改善されたゴムを用いることが望ましく、水素化ニトリルゴムの場合は水素添加率が80%以上、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するためには更に好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは耐熱性や耐オゾン性が極度に低下する場合がある。
そして、上記歯部2及び背部4を構成するゴム組成物中には、カーボンブラックのような補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、硫黄あるいは有機過酸化物のような加硫剤等が添加混合される。また、架橋剤として有機化酸化物を配合した場合、所定のモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保するためには、ポリマー成分100質量部に対して有機過酸化物を0.2〜10質量部配合して架橋することが必要である。有機過酸化物は特に制限されるものではない。また、このような有機過酸化物の他に、金属酸化物、硫黄化合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加してもよい。
本実施形態では、歯部2及び背部4を構成するゴム組成物(未加硫)としては、ゴム成分をEPDMとするゴム組成物(ゴム成分:EPDM100質量部、配合剤:亜鉛華5質量部、加硫促進剤1.5質量部、硫黄1質量部、老化防止剤2質量部、カーボンブラック50質量部、オイル8質量部)を使用している。
心線3としては、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO繊維)、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の低伸度高強度の撚りコードが用いられる。ガラス心線の場合、その組成はEガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されない。また、接着処理剤及び屈曲時のガラスフィラメントの保護材として使用されるサイジング剤、RFL、オーバーコート剤等にも制限はない。
尚、心線3には、背部4を構成するゴム組成物との接着性を向上する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
本実施形態では、心線3として、素線径約9μmのガラス繊維フィラメントを約600本束ねてストランドに形成し、このストランドをRFL液(レゾルシン110質量部、ホルマリン(37%)質量部、苛性ソーダ1質量部、VPラッテクス4、000質量部、SBRラテックス1,100質量部、水5,500質量部)に浸漬して200°Cで2分間乾燥した後に、16.0回/10cmの撚り数で撚った直径約0.3mmのコードを用いている。
歯布6は、織物、編物、不織布等から選択される基布である。基布を構成する繊維素材としては、公知のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられ、それらを平織、綾織、朱子織等に織成した織物を用いることが好ましい。
繊維の形態としては、紡績糸、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸等限定するものではないが、構成糸にモノフィラメント糸を用いて経糸と緯糸の交差による凹凸を大きくし、表面摩擦係数を低下させると、良好な耐摩耗性、耐歯欠け性を示す。それ以外にも、織密度を低くしたり、径が太い繊維を用いるのも表面摩擦係数を低下させるのには有効な手段である。また、本実施形態の製造方法の場合、圧入方式のために基布の緯糸方向に伸縮性が要求される。このため、ベルト本体5のベルト周長方向に沿う緯糸には捲縮加工された6ナイロン、66ナイロン、またウレタン系弾性糸と撚り合わせた複合糸を用いることが好ましい。また、基布にモノフィラメント糸を使用する場合は、緯糸方向の伸縮性に影響を与えない為にも経糸に用いることが望ましい。
また、基布は、公知技術に従ってレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを基布に擦り込むフリクションを行ったり、またRFL液に浸漬後、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。またRFL液のみで接着処理を行なってもよい。
RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、レゾルシンとホルマリンのモル比は1:0.5〜3にすることが接着力を高める上で好適である。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分100重量部に対してその樹脂分が10〜100重量部になるようにラテックスと混合した上、全固形分濃度が5〜40%濃度になるように調節される。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めしたり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0重量%加えてもよい。また、上記ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスが挙げられる。
本実施形態では、歯布6の基布としては、経糸に210d/1本ナイロンフィラメント糸と、そして緯糸に40d/5本ウーリーナイロン糸からなる合撚糸を使用し、織時組織(経140本/3cm、緯100本/3cm)からなる2/2綾織帆布を製織した。製織後、帆布を水中にて振動を与えて製織時の幅の約1/2幅まで収縮させた後、上記未加硫のゴム組成物を所定比率でメチルエチルケトン中に溶解して得たゴム糊に浸漬、乾燥した後、153℃で30分間加硫して厚さ0.9mmの処理帆布を歯布6として用いている。
また、本実施形態では、歯付ベルト1は、ベルト形S3M(歯部2が70歯、歯部間のピッチ3mm)、ベルト周長210mmとし、これに対応する(製造工程で作成される)未加硫ベルトスリーブは、直径(外径)約70mmであり、生産性確保のため、有効面長を400mmとしている。この未加硫ベルトスリーブからは、例えばベルト幅10mmの歯付ベルト1が、40本得られる。
(製造装置)
次に、歯付ベルト1を製造する際に使用する、金型10、押出機20、負圧源23、金型供給装置24、切断装置25、及び、制御装置30について説明する。
(金型10)
金型10は、図2に示すように、円筒状の外周面に所定の間隔で凹状部と凸状部とを周方向に交互に設けた歯形を有する胴体部11と、胴体部11の前方端に設けられた上把持部12と、胴体部11の後方端に設けられた下把持部13とを有する歯付モールドである。胴体部11の面長(長手方向長さ)は、形成するスリーブ長さ(面長)(例えば有効面長400mm)よりも長く(例えば450mm)設定される。上把持部12は、後述する金型供給装置24の上チャック部241に把持される部分であり、下把持部13は、金型供給装置24の下チャック部242に把持される部分である。
本実施形態では、胴体部11の外周面全体に、歯数(凸状部の数)を70歯、歯形と歯形との間のピッチ3mm、周長210mm、面長(長手方向長さ)450mmの歯形(S3M)を形成させている。また、上把持部12及び下把持部13は、金型10の両端部に突設させ、胴体部11の径よりも小径とした。
(押出機20)
押出機20は、図2に示すように、本体21、及び、クロスヘッド22で構成される。また、押出機20は、負圧源23に接続されている。その他に、押出機20は、金型供給装置24、及び、切断装置25を付帯している。
本体21は、シリンダー211、スクリュー212、図示しない駆動モータ213等によって構成される。本実施形態では、スクリュー212はスクリュー径75mmのゴム用のスクリューを使用している。
クロスヘッド22は、本体21のシリンダー211の中心線に対し直角方向にゴム組成物を排出する押出機用のヘッドである。クロスヘッド22は、図2に示すように、外筒部221、内筒部222、フランジ状の接続部223、内筒部222の金型供給方向前方に装着される口金224(ダイス225、及び、ニップル226)で構成されている。外筒部221は、内筒部222を内包しており、接続部223は、外筒部221と本体21とを接続する役割を果たしている。内筒部222および口金224の内部は、金型10を、内筒部222の内部を後方(押込側)から前方(引取側)へ連続的に挿通することが可能なように、金型供給方向に沿って円筒状に開口(貫通)している。
口金224は、図2及び図3に示すように、内筒部222の前端に配置されたニップル226及びニップル226よりも前方側に配置されたダイス225により構成され、ニップル226(の外周面226a)とダイス225(の内周面225a)との間の形状で画定される押出口227を有している。
ニップル226は、押出口227へ至る環状流路228よりも内周側に設けられている。ニップル226は、ねじ込み式等で内筒部222に着脱自在に固定される。ダイス225は、押出口227へ至る環状流路228よりも外周側に設けられている。ダイス225と、内筒部222の内部に挿通されたスピニング済の金型10の外周面との間の距離は、押出口227から排出されて、金型10の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みよりも大きくなるように設定されている。ダイス225は、締付けナットによるねじ込み式等で外筒部221に着脱自在に固定される。ダイス225は、締付けナットを含め、例えば、内部圧力50MPaにて変形や脱落しないことが必要である。このため、押出口227よりも前方に突出したダイス部分は、材料(例えばS45C)の強度にもよるが、耐圧上の安全率をみた突出長さ(例えば2mm程度)が確保されている。
また、クロスヘッド22において、シリンダー211から口金224に至る流路設計としては、口金224の中(ダイス225とニップル226との間)で周方向に均一なゴム組成物の流れとなるように、シリンダー211から口金224に至るまでの流路のゴム組成物の流れを調整するフローガイド等(慣用技術)が設けられている。
また、クロスヘッド22は、金型10を内筒部222の後方から前方に挿通する供給方向A、及び、ゴム組成物が押出口から金型10の外周面に排出される排出方向Bが重力に抗する方向(すなわち、鉛直上向き)になるように、本体21に接続されている。これにより、排出されるゴム組成物の金型10の外周面に対する重力の影響を均一にすることができ、ゴム組成物の重力による偏った変形を防止することができる。これにより、供給方向A及び排出方向Bを水平にした場合に比べて、得られる未加硫ベルトスリーブのゴム組成物の層に関する厚さの均一性、及び、ゴム組成物の層と心線3との密着性を向上させることができる。
また、外筒部221には、口金224の押出口227から排出されるゴム組成物の層の厚さ(実績値)の不均一に対処するため、調芯ボルト(図示せず)を設けている。この調芯作業としては、ダイス225の外周面に先端面を当接させた調芯ボルトを押し引きし、ニップル226を固定したままダイス225を径方向に移動させて行う(調芯作業)。
本実施形態では、図3に示すように、押出口227の隙間の大きさ(Co)を0.5mm、排出されるゴム組成物の層の厚さ(T)の狙い値を1mmにしている。ここで、排出されるゴム組成物の層の厚さ(T)とは、押出口227から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径した後の厚さである。なお、このときのダイスウェル(T/Co=1/0.5)は2である。また、ダイス225と、内筒部222の内部に挿通されたスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd)は2mmであり、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも、過度に大きくなるように設けた(2倍)。また、押出口227よりも前方に突出したダイス部分のダイス突出長さは約2mmに設定している。
(負圧源23)
負圧源23(真空負圧装置:図示せず)は、押出機20の内筒部222の内部に接続されている。具体的には、負圧源23の吸引装置(バキュームポンプ:不図示)とクロスヘッド22の内筒部222の内部(接続口の位置は図2参照)とを空気配管を介して接続し、両者が連通する状態になっている。この負圧源23により、内筒部222の内部の気密性が概ね確保された状態で、内筒部222の内部を負圧(大気圧より低い気圧)にすることができる。
なお、クロスヘッド22の内筒部222の後方は、金型10を供給する都合上、開口させておく必要があり、気密性確保のために完全にシールすることは困難である。そのため、優先して負圧にすべき押出口227の後方近傍の内筒部222の内部(内筒部222の内周面及びニップル226と、金型10の外周面との間の空間)の気密性を確保するため、この内筒部222の内部の長さを金型10の胴体部11の面長(例えば450mm)よりも長め(600mm程度)に形成している(なお、図2では便宜上内筒部の内部の長さは金型10の胴体部11の面長よりも短く示している)。
(金型供給装置24)
金型供給装置24は、押出機20に付帯されており、機械制御により、金型10を内筒部222の内部に後方から前方に連続的に挿通(供給)する役割を果たす。具体的には、金型供給装置24は、金型10の上把持部12を着脱自在に把持可能な上チャック部241及び下把持部13を着脱自在に把持可能な下チャック部242と、クロスヘッド22の内筒部222(および口金224)の中心軸上およびその延長線上を、内筒部222の内部に後方(押込側)から前方(引取側)に押出速度に対応した所定の供給速度で、金型10を把持した上チャック部241・下チャック部242を直線移動させる金型供給駆動部243(上チャック部241用及び下チャック部242用の2式)とを備えている。
上チャック部241及び下チャック部242は、三ツ爪式チャックである。そして、クロスヘッド22を挟んで押込側と引取側とで個別に動作可能なよう、押込側に下チャック部242が配設され、引取側に上チャック部241が配設されている。金型供給駆動部243(詳細不図示)は、駆動モータ(サーボモータおよびアンプ)、スライドベース、リニアガイドレール(スライドベースを金型供給方向に摺動支持)、ボールネジ機構(駆動モータによる回転運動をスライドベースの直線運動に変換)、およびブラケット等で構成されている。
(切断装置25)
切断装置25は、金型10の外周面に、押出口227から排出され被覆されたゴム組成物の層を、例えば金型10の胴体部11後方の縁部付近(外周面上)で切断する装置であり、口金224の前方位置に外付けしている(図6参照)。本実施形態では、上記金型10の胴体部11後方の縁部付近に被さっているゴム組成物の層上(外周面)に、1ケの刃物(例えば丸刃)の刃先を圧接させながら、胴体部11の縁部の外周面上を1周回させて、ゴム組成物の層を切断(押し切り)できるようにしている。
(制御装置30)
制御装置30は、金型10、押出機20、及び、これらに付帯する機構を自動制御する装置(コンピュータ)である。制御装置30は、図6に示すように、設定情報記憶部31及び制御部32を備えている。
また、制御装置30は、各種信号(情報)を検知する検知器などと接続(無線・有線)されている。例えば、押出機20のスクリュー212の回転数(駆動モータ213の単位時間当たりの回転数)を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器301、スクリュー212の先端部と押出口227との間のゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器302、金型10の内筒部222に対する相対的な位置(金型10の供給速度)を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器303(サーボモータに内蔵のロータリーエンコーダー、およびアンプ等)、切断装置25による未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器304などが挙げられる。
設定情報記憶部31は、予め既知の情報として、作成する未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた未加硫ベルトスリーブ種別情報(基材となるゴム組成物の種別、形成する未加硫ベルトスリーブの周長・面長、被覆されるゴム組成物の厚さ、金型10の外径、スピニング後の金型10の外径、金型10の種別、口金224の種別、等)、この未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、スクリュー212の回転数に基づくゴム組成物の押出口227からの排出速度を定めた排出速度情報(スクリュー212の回転数に対応する排出速度が記憶されている)、および、この排出速度情報に対応する、金型供給装置24(金型供給駆動部243等)による金型10の供給速度(金型供給装置24により、金型10を内筒部222の内部に後方から前方に供給する際の速度)を定めた基準金型供給速度情報を記憶している。
制御部32は、スクリュー回転数検知器301からのスクリュー回転数信号、圧力検知器302からの内部圧力検知信号、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号、設定情報記憶部31から読み出した未加硫ベルトスリーブ種別情報に対応する基準金型供給速度情報、および、切断検知器304からの切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、金型供給装置24の上チャック部241・下チャック部242の開閉動作、金型供給駆動部243の駆動モータの回転速度制御による金型10の供給・停止動作(供給速度の調整を含む)、駆動モータ213の回転速度制御によるスクリュー212の回転・停止動作(スクリュー212の回転速度調整を含む)、負圧源23の吸引装置の起動・停止動作(内圧の調整を含む)、および、未加硫ベルトスリーブ(ゴム組成物の層)の切断動作を含む一連の金型10の供給動作の少なくとも1つを制御する。
更に、本実施形態の制御装置30は、金型10の外周面に被覆された未加硫ベルトスリーブの外径を計測し、スリーブ外径計測信号として送信するスリーブ外径計測装置305を備えている。なお、スリーブ外径計測装置305としては、公知の装置を使用することができ、例えばレーザー光の透過を利用した計測装置が挙げられる。
そして、制御部32は、スリーブ外径計測装置305からのスリーブ外径計測信号、および、設定情報記憶部31から読み出した未加硫ベルトスリーブ種別情報(金型10の外径、スピニング後の金型10の外径(狙い値)等)を基に演算した被覆されたゴム組成物の厚さの実績値に基づいて、金型供給駆動部243の駆動モータの回転速度を制御(微調整)し、金型10の供給速度にフィードバックさせるか、または、駆動モータ213の回転速度を制御(微調整)し、スクリュー212の回転数(押出口227からのゴム組成物の排出量に比例)にフィードバックさせる制御を実行する。
この場合、被覆するゴム組成物の層の厚さの実績値を狙い値に収束させ得るので、フィードバック制御しない場合に比べて、被覆するゴム組成物の層の厚さの精度を向上させた未加硫ベルトスリーブを連続的に得ることができる。ただし、駆動モータ213の回転速度を制御(微調整)し、スクリュー212の回転数にフィードバックさせる場合、スクリュー212の回転数の変化と押出口227から排出されるゴム組成物の量との変化の間にはタイムラグがあるので、金型供給駆動部243の駆動モータの回転速度を制御(微調整)し、金型10の供給速度にフィードバックさせる方が望ましい。
(歯付ベルト1の製造工程)
(1)金型10の胴体部11(外周面には70歯の歯形が設けられている)に筒状の歯布6を被せる。なお、筒状の歯布6は、緯糸方向が胴体部11の周方向となるように被せられる。これにより、作成される歯付ベルト1の歯布6の経糸が、歯付ベルト1の幅方向に沿うように配置される。
(2)スピニング装置にて、胴体部11に被せられた歯布6の上から繊維コードからなる心線3を螺旋状に巻き付け(スピニング)、スピニング済の金型10(胴体部11に歯布6及び心線3が被覆された金型10)を得る(スピニング工程)。
(3)歯付ベルト1のベルト本体5の歯部2及び背部4の基材となるゴム組成物(未加硫物)について、ポリマー、配合剤等原料を混練機に投入して混練した後、スリッターにてリボン状にして押出機20のシリンダー211に供給する。なお、押出機20は、前もって、温水循環式の温調装置を用いて所定温度に昇温しておく。例えば、スクリュー212、及び、シリンダー211を80℃、クロスヘッド22(口金224を含む)を90℃に昇温しておく。これにより、シリンダー211から押出口227との間の流路内部に、熱可塑化させたゴム組成物を供給する。
なお、クロスヘッド22は、金型10を内筒部222の後方から前方に挿通する供給方向A、及び、ゴム組成物が押出口から金型10の外周面に排出される排出方向Bが重力に抗する方向(すなわち、鉛直上向き)になるように、本体21に接続する。
(4)負圧源23(吸引装置:バキュームポンプ))により内筒部222の内部の押出口227よりも後方を負圧(大気圧より低い気圧)に保つ。その後、押出成形を開始し、金型供給装置24により、スピニング済の金型10を、クロスヘッド22の内筒部222の内部に、後方から前方にかけて所定速度で連続的に供給する。この際、駆動モータ213によってスクリュー212を回転させ、熱可塑化させたゴム組成物を押出口227から排出し、歯布6上に心線3がスピニングされた金型10の外周面に、ゴム組成物を層状に被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する(被覆工程)。
上記被覆工程では、ダイス225とスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd:2mm)が、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも、大きくなるように設定されている(図3参照)。これにより、熱可塑化されたゴム組成物が押出口227から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径したとしても、金型10の外周面に排出されたゴム組成物の層がダイス225を通過する際に、ダイス225に接触しないようにすることができる。つまり、歯布6上に心線3がスピニングされた金型10の外周面へのゴム組成物の被覆は、ゴム組成物の層がダイス225に接触した状態では行われないようにすることができる。ゴム組成物の層はダイス225の壁面からのずり抵抗を受けず、心線3にもずり応力を生じさせないので、心線3にピッチ乱れ(心線3のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、上記被覆工程では、押出口227から排出された熱可塑化されたゴム組成物の層(円筒状)(排出直後の内部温度:概ね90℃)は、ダイスウェルするとともに放冷によって温度が低下することによる収縮、さらには、押出口227から後方の内筒部222の内部が負圧に保たれていることによって縮径して、ダイス225とスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd:2mm)が、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも、過度に大きい構成(2倍:図3参照)であっても、浮き、縦しわ等の不具合なく、スピニング済の金型10(胴体部11)の外周面に層状に被覆された未加硫ベルトスリーブが連続的に得られる。
このように、ダイス225とスピニング済の金型10の外周面との間の距離を、金型10の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(本実施形態では2倍の大きさ)することができるので、上記隙間を負圧にしない場合に比べて、金型10の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
更に、一つのスピニング済の金型10に対するゴム組成物による被覆を終える毎に、押出機20のスクリュー212の回転(押出口227からのゴム組成物の排出)および金型供給装置24による金型10の供給を一時停止させる。そして、金型10の外周面に、押出口227から排出され被覆されたゴム組成物(未加硫ベルトスリーブ)を、金型10の胴体部11後方の縁部付近(外周面上)で切断する。これにより、有効面長400mmの未加硫ベルトスリーブを連続的に得る。
(5)得られた未加硫ベルトスリーブ付きの金型10は、取り外される。
(6)取り外された未加硫ベルトスリーブ付きの金型10を、加硫装置(例えば特許文献1の図3参照)の台座部に載置する。そして、バルブ孔より過熱水蒸気を所定圧力にてブラダーの内部に送り込み、ブラダーをその蒸気圧により膨張させ、未加硫ベルトスリーブを金型10とブラダーとの間で径方向に圧縮し、歯部2を形成させつつ加硫し(加熱加圧条件は、温度:概ね160℃、加圧力:概ね0.8MPa、時間:概ね20分間)、加硫済みのベルトスリーブ(有効面長400mm)を得る(加硫工程)。これにより、加硫済みのベルトスリーブに歯部2(70歯、歯部間のピッチ3mm)が形成される。
(7)加硫後、ベルトスリーブを冷却したあと、脱型装置にて金型を抜いて、この加硫済みのベルトスリーブを取出す。
(8)幅カット装置にて、有効面長400mmのベルトスリーブを、ベルト幅10mmで幅カットし、歯付ベルト1(呼び:100S3M210)を40本得る。
(被覆工程の連続的動作)
上記歯付ベルト1の製造工程の(4)の被覆工程で実行される連続的動作について、詳細に説明する。
なお、被覆工程で実行される連続的動作では、制御装置30による自動制御が行われる。この際、制御装置30が有する入力装置(図示せず)により、作成する未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた未加硫ベルトスリーブ種別情報(基材となるゴム組成物の種別、形成する未加硫ベルトスリーブの周長・面長、被覆されるゴム組成物の厚さ、金型10の外径、スピニング後の金型10の外径、金型10の種別、口金224の種別等)が入力・選択される。そして、入力・選択された未加硫ベルトスリーブ種別情報に基づき、制御部32は下記工程の連続的動作を制御する。
(ゴム組成物の被覆前)
(4−1)制御部32は、金型供給装置24の下チャック部242が押込側の待機位置(以下、下待機位置)にあることを示す、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、一連の金型供給動作を制御し、供給されたスピニング済の金型10の下把持部13を下チャック部242に把持させる。
(4−2)制御部32は、圧力検知器302からの内部圧力検知信号に基づいて、スクリュー212の先端部と押出口227との間のゴム組成物の流路内部の圧力がゼロから上昇し始めたと判断すると(環状流路228の入口付近に熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)が充満し始めると)、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、下チャック部242の移動を開始させる。そして、スピニング済の金型10は、胴体部11の上縁部がクロスヘッド22の内筒部222の内部の略中央付近(押出口227より手前)に達するまで供給され、この位置で一時待機状態とされる(図7:状態I)。
(4−3)制御部32は、負圧源23の吸引装置(バキュームポンプ)を起動させる。
(4−4)制御部32は、圧力検知器302からの内部圧力検知信号(圧力値)が、押出口227近傍までゴム組成物(未加硫物)が流動したことを示す内部圧力値(例えば25MPa)に達したと判断すると、基準金型供給速度でスピニング済の金型10の供給を開始する。なお、この基準金型供給速度は、予め設定情報記憶部31に記憶させておいた速度であって、未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定されたスクリュー回転数(例えば5rpm)に基づく、ゴム組成物の押出口227からの排出速度に対応する速度である。この設定情報記憶部31から読み出した基準金型供給速度信号に基づいて、制御部32が金型供給装置24による金型10の供給・停止動作を制御する。また、この基準金型供給速度は、ゴム組成物の押出口227からの排出速度を若干程度(5%程度)上回る速度に設定されている。
(ゴム組成物の被覆)
(4−5)押出口227からゴム組成物が排出されつつ、金型10の胴体部11が押出口227を通過すると、押出口227よりも後方の内筒部222の内部(内筒部222の内周面と金型10の胴体部11との隙間)の気密性が概ね確保されて内筒部222の内部が負圧に保たれた状態になる。そして、押出口227から排出された、熱可塑化させたゴム組成物の層(円筒状)が、前述した作用により縮径して、胴体部11の外周面に抱き付く(密着する)(ゴム被覆開始)。これは、金型10の胴体部11に層状に排出されるゴム組成物の内周側が負圧になり、ゴム組成物の外周側が大気圧に保たれる(ゴム組成物の内周側と外周側とで圧力差を作り出す)ことで、胴体部11の外周面に被覆された歯布6及び心線3に対する、層状のゴム組成物の密着性を、負圧にしない場合に比べて向上させている。
また、ダイス225とスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd:2mm)が、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも、大きくなるように設定されている(図3参照)。これにより、熱可塑化されたゴム組成物が押出口227から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径したとしても、スピニング済の金型10の胴体部11の外周面に排出されたゴム組成物の層がダイス225を通過する際に、ダイス225に接触しないようにすることができる。つまり、歯布6上に心線3がスピニングされた金型10の胴体部11の外周面へのゴム組成物の被覆は、ゴム組成物の層がダイス225に接触した状態では行われないようにすることができる。ゴム組成物の層はダイス225の壁面からのずり抵抗を受けず、心線3にもずり応力を生じさせないので、心線3にピッチ乱れ(心線3のズレ)を生じさせないようにすることができる。
(4−6)その後、金型10の供給に伴い、金型10の胴体部11の外周面に、層状のゴム組成物が、浮き・縦しわ等の不具合なく、被覆されていく(図7:状態II)。
この間、制御部32は、スピニング済の金型10の胴体部11の上縁部が押出口227から前方へ完全に抜け出たことを示す、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、前方(引取側)の待機位置(以下、上待機位置)に待機している上チャック部241に、金型10の上把持部12を把持させ、上チャック部241の移動によりスピニング済の金型10を基準金型供給速度で供給させるとともに、若干遅れて、下チャック部242にスピニング済の金型10の下把持部13の把持を解除させ、下待機位置に戻らせる(図7:状態II)。
なお、制御部32は、金型10胴体部11の外周面に層状のゴム組成物を被覆させている間は、スリーブ外径計測装置305等により得た、被覆されたゴム組成物の厚さの実績値に基づき、被覆するゴム組成物の厚さを狙い値に収束させるフィードバック制御を実行することにより、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づき、金型供給駆動部243の駆動モータの回転速度を制御(微調整)し、金型10の供給速度を逐次微調整する。なお、制御部32は、スリーブ外径計測装置305等により得た、被覆されたゴム組成物の厚さの実績値に基づき、被覆するゴム組成物の厚さを狙い値に収束させるフィードバック制御を実行することにより、スクリュー回転数検知器301からのスクリュー回転数信号に基づき、駆動モータ213の回転速度を制御(微調整)し、スクリュー212の回転数(押出口227からのゴム組成物の排出量に比例)を逐次微調整してもよい。
また、金型10胴体部11の外周面に被覆された層状のゴム組成物の周方向に関する厚さ(実績値)の不均一に対処するため、調芯作業(押出機20の運転停止中に調芯ボルトを押し引きし、ダイス225を径方向に移動させる)を必要に応じ適宜行う。
(4−7)制御部32は、下チャック部242が下待機位置にあることを示す、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、ストックされていた後続のスピニング済の金型10の下把持部13を下チャック部242に把持させる(図7:状態III)。
(4−8)制御部32は、スピニング済の金型10の胴体部11の下縁部が押出口227から前方へ完全に抜け出たこと(ゴム被覆完了)を示す、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、押出機20のスクリュー212の回転を一時停止させるとともに、金型供給装置24の金型供給駆動部243を一時停止させて上チャック部241の移動による金型10の供給を一時停止させる(図8:状態IV)。
この一時停止状態で、制御部32は、切断装置25にて、押出口227から排出され、胴体部11の外周面上に被覆されたゴム組成物の層を、胴体部11の下縁部(外周面上)で切断する。これにより、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付きの金型10と押出口227から排出されるゴム組成物の層とを完全に切り離す。
また、この切断動作と並行して、上記(4−7)で下把持部13を金型供給装置24の下チャック部242に把持された、後続のスピニング済の金型10は、下チャック部242の移動により下待機位置から胴体部11の上縁部がクロスヘッド22の内筒部222の内部の略中央付近(押出口227より手前)に達するまで供給され、この位置で一時待機状態とされる(図8:状態IV)。
(4−9)制御部32は、切断検知器304からの上記切断装置25の切断完了を示す切断検知信号に基づいて、下チャック部242の移動により、スピニング済の金型10を供給させるとともに、押出口227からのゴム組成物の排出を再開する。これにより、上記(4−5)と同様に、金型10の胴体部11の外周面に、層状のゴム組成物が、被覆されていく(図8:状態V)。
また、同時に、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付き金型10を把持していた上チャック部241が上待機位置に戻り、この未加硫ベルトスリーブ付き金型10は、取り外されて、加硫工程へ移行する(図8:状態V)。
(4−10)制御部32による、上記(4−6:状態II)〜上記(4−9:状態V)の動作の繰り返しによって、連続的に未加硫ベルトスリーブを得る。
上記によれば、未加硫ベルトスリーブの仕様毎に、一連の金型供給装置24等の動作の制御を自動的に実行することができる。これにより、従来法に比べて、省人化が一段と進み、生産性がより向上する。
また、上記被覆工程では、歯布6上に心線3がスピニングされた金型10を内筒部222の内部に連続的に挿通(供給)することにより、金型10の外周面に円筒状のゴム組成物の層を被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法に比べて、ゴム製の歯付ベルト1の製造に係る生産性を向上させることができる。
また、金型10のみを周長の異なるものに交換するだけで、例えば厚さは同じで周長が若干程度異なる未加硫ベルトスリーブを成形することができる。このため、従来の押出法のように、ダイス225とスピニング済の金型10の外周面との間の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じである場合、ゴム組成物の層の厚さは同じでも周長が若干でも異なれば金型10及びダイス225、ニップル226を入れ替えなくてはならなくなるため、従来よりも生産性が向上する。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、被覆工程において、負圧源23(吸引装置:バキュームポンプ)により内筒部222の内部を負圧(大気圧より低い気圧)に保っているが、必須の工程ではなく、内筒部222の内部を負圧にしなくてもよい(大気圧のままでもよい)。
また、上記実施形態では、クロスヘッド22は、金型10を内筒部222の後方から前方に挿通する供給方向A、及び、ゴム組成物が押出口から金型10の外周面に排出される排出方向Bが重力に抗する方向(すなわち、鉛直上向き)になるようにしているが、クロスヘッド22は、金型10を内筒部222の後方から前方に挿通する供給方向A、及び、ゴム組成物が押出口から金型10の外周面に排出される排出方向Bが水平方向になるように設定してもよい。
また、上記実施形態では、一連の金型10の供給動作を制御部32によって制御していたが、手動で行ってもよい。
(比較)
上記実施形態(図3参照)に示したように、ダイス225と、内筒部222の内部に挿通されたスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd)を2mmに設定し、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも過度に大きくなるように設定した場合に得られた未加硫ベルトスリーブを実施例1とした。また、図4に示すように、ダイス225と、内筒部222の内部に挿通されたスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd)を1.1mmに設定し、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)よりも、わずかに大きくなるように設定した場合に得られた未加硫ベルトスリーブを実施例2とした。更に、図5に示すように、ダイス225と、内筒部222の内部に挿通されたスピニング済の金型10の外周面との間の距離(Cd)を1.0mmに設定し、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)と同じ寸法になるように設定した場合に得られた未加硫ベルトスリーブを比較例1とした。
上記実施例1、実施例2、及び、比較例1の設定により得られた、未加硫ベルトスリーブ・加硫済ベルトスリーブ・歯付ベルトについて、状態・寸法等を確認した。
その結果、実施例1、及び、実施例2では、上記製造方法により、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができ、得られた未加硫ベルトスリーブの被覆されたゴム組成物の層の厚さ(約1mm)の均一性および心線3との密着性に問題はなかった。また、未加硫ベルトスリーブおよび加硫済みのベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察した結果、心線3にピッチ乱れ(金型10の面長方向のずれ)は生じていなかった。また、得られた歯付ベルト(100S3M210)に関する品質(静的、動的)は、従来法で得られた歯付ベルトの品質と比べても遜色なく、製造方法に起因する不具合は一切無かった。
一方、比較例1では、上記製造方法により、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができたが、得られた未加硫ベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察したところ、心線3にピッチ乱れ(金型10の面長方向のずれ)が発生していることが確認された。したがって、比較例1(特許文献1の図1に相当)の方法では、品質と生産性の両立が難しいことがわかった。
上記比較の結果、実施例1及び実施例2では、比較例1のように従来の押出法と比べて、品質を保持しつつ、生産性をより向上させることができることが分かった。
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 ベルト本体
6 歯布
10 金型
11 胴体部
20 押出機
21 本体
22 クロスヘッド
221 外筒部
222 内筒部
224 口金
225 ダイス
226 ニップル
227 押出口

Claims (4)

  1. ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
    円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
    前記金型を後方から前方に連続的に挿通可能に配置された内筒部、及び、前記内筒部の前端に配置されたニップルと該ニップルよりも前方側に配置されたダイスとの間の形状で画定される押出口を備えた押出機の前記内筒部の内部に、前記金型を挿通する際に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を、前記押出口から排出し、前記歯布上に前記心線がスピニングされた前記金型の外周面に、層状に被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
    前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
    前記被覆工程において、
    前記ダイスと前記歯布上に前記心線がスピニングされた前記金型の外周面との間の距離が、前記押出口から排出されて、前記金型の外周面に層状に被覆される前記ゴム組成物の厚みよりも大きくなるように設定されている、ことを特徴とする、歯付ベルトの製造方法。
  2. 前記被覆工程において、
    前記内筒部の内部を負圧源に接続し、前記内筒部の内部の前記押出口よりも後方を大気圧より低い負圧にすることを特徴とする、請求項1に記載の歯付ベルトの製造方法。
  3. 前記金型を前記内筒部の後方から前方に挿通する供給方向、及び、前記ゴム組成物が前記押出口から前記金型の外周面に排出される排出方向が重力に抗する方向になるように、前記押出機を配置することを特徴とする、請求項1または2に記載の歯付ベルトの製造方法。
  4. 前記押出機は、
    前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
    前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
    前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
    前記金型を前記内筒部に供給する金型供給装置と、
    前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
    切断装置と、
    前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
    前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記金型供給装置による前記金型の供給速度を定めた、基準金型供給速度情報、を記憶する設定情報記憶部と、
    前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準金型供給速度情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置の動作を制御する、制御部と、を備え、
    前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置の動作が前記制御部により制御されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯付ベルトの製造方法。
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