JP2019147193A - 研磨方法及びセラミック製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁極と研磨対象物との間に研磨材を充填させて研磨対象物の表面を研磨する研磨方法において、研磨屑を研磨対象物の表面付近から分散させやすい方法を提供する。【解決手段】研磨装置1を用いてなされる研磨方法では、磁性粒子及び研磨粒子を含んでなる研磨材80を第1磁極と研磨対象物90との間の第1領域及び第2磁極と研磨対象物90との間の第2領域に充填させた状態で研磨対象物90を回転又は揺動させる研磨工程を行う。更に、研磨工程のときに充填された研磨材80を第1磁極の側及び第2磁極の側に移動させる移動工程、又は研磨工程中又は研磨工程の前後に第1磁極及び第2磁極の少なくともいずれか一方を変位させる変位工程を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨方法及びセラミック製品の製造方法に関するものである。
特許文献1には、磁気研磨方法の一例が開示されている。特許文献1の磁気研磨方法では、永久磁石の磁極間に被研磨物を配置し、被研磨物表面に油性ワックス等で固めた研磨砥粒を塗布する。更に、永久磁石と被研磨物との間隙には、研磨砥粒とは別体で強磁性体粒子を充填する。このような状態で、被研磨物を永久磁石に対して相対的に回転あるいは揺動させることにより、被研磨物の表面を研磨する。
特開平5−50377号公報
磁性粒子を含んだ研磨材を磁極と研磨対象物との間に充填しつつ研磨対象物を回転等させる研磨方法では、充填された研磨材と研磨対象物との間で生じる摩擦力によって研磨対象物の表面が研磨され、その際には研磨屑が発生することになる。しかし、この種の研磨方法の従来方式では、このように発生する研磨屑を研磨対象物の表面付近から分散させにくく、研磨対象物の表面付近に研磨屑が滞留しやすいという問題があった。このように研磨対象物の表面付近に研磨屑が滞留し続けると、研磨効率の低下を招く懸念がある。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、磁極と研磨対象物との間に研磨材を充填させて研磨対象物の表面を研磨する研磨方法において、研磨屑を研磨対象物の表面付近から分散させやすい方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様の研磨方法は、
対向配置される第1磁極及び第2磁極を備えた磁石部の両磁極間に研磨対象物を配置すると共に、前記両磁極間に前記第1磁極及び前記第2磁極の一方から他方に向かう第1状態の磁界を形成しつつ、磁性粒子及び研磨粒子を含んでなる研磨材を前記第1磁極と前記研磨対象物との間の第1領域及び前記第2磁極と前記研磨対象物との間の第2領域に充填させた状態とし、該状態で前記研磨対象物を回転又は揺動させて前記研磨対象物を研磨する研磨工程を含む研磨方法であって、
前記研磨工程の後、前記両磁極間に形成される磁界の強さが前記第1状態より小さい第2状態に変化させ、前記研磨工程のときに前記第1領域及び前記第2領域に充填された研磨材を前記第1磁極の側及び前記第2磁極の側に移動させる移動工程を含む。
第1態様の研磨方法は、研磨工程の後、移動工程によって研磨材を第1磁極の側及び第2磁極の側に移動させることができる。このようにすれば、移動工程の前に研磨屑が研磨対象物付近に集中して滞留していたとしても、その研磨屑は研磨材の第1、2磁極の側への移動によって研磨材内で分散されやすくなる。よって、その後に再度の研磨工程を行ったときに研磨屑の目詰まりに起因する研磨効率の低下が抑えられ、より効率的な研磨が可能となる。
第1態様の研磨方法において、移動工程は、研磨材を、第1磁極に吸着するとともに研磨対象物から離間した第1研磨材群と第2磁極に吸着するとともに研磨対象物から離間した第2研磨材群とに分離する工程であり、移動工程の後、両磁極間に形成される磁界を第1状態に変化させ、移動工程によって移動した研磨材を第1領域及び第2領域に再充填する再充填工程を行ってもよい。
このように、研磨材を研磨対象物から離間させた形で第1研磨材群と第2研磨材群とに分離するように移動工程を行えば、研磨工程中に研磨屑が研磨対象物付近で滞留していたとしても、一旦は、研磨屑を第1磁極側又は第2磁極側に移動させるように研磨対象物付近から大きく離間させ、研磨対象物付近に研磨屑が存在しない状態又は極めて少ない状態とすることができる。よって、再充填後には移動工程前よりも研磨対象物付近に研磨屑がより集中しにくくなる。このように研磨屑が分散する形で再充填がなされるため、その後に再度の研磨工程を行ったときに研磨屑の目詰まりに起因する研磨効率の低下が抑えられ、より効率的な研磨が可能となる。
第1態様の研磨方法において、磁石部は、端部が第1磁極として構成される第1磁性体と、端部が第2磁極として構成される第2磁性体と、第1磁性体及び第2磁性体に着脱される第3磁性体とを備えていてもよい。この場合、研磨工程では、第1磁性体における第1磁極とは反対側の端部及び第2磁性体における第2磁極とは反対側の端部に第3磁性体を接触させる方法を採用し得る。そして、移動工程では、第1磁性体における第1磁極とは反対側の端部及び第2磁性体における第2磁極とは反対側の端部から第3磁性体を離間させる方法を採用し得る。
このようにすれば、研磨工程のときには第1磁性体、第2磁性体、及び第3磁性体を一体的な磁石として使用することができ、第1磁極及び第2磁極において一方から他方に向かう強い磁界を形成し得るため、研磨対象物と各磁極との間に研磨材を安定的に充填することができる。また、移動工程では、第1磁性体及び第2磁性体の各々を個別の磁石として使用し、両磁極間の磁界を低減させるとともに第1磁極及び第2磁極の各々において吸引力が生じる状態とすることで、研磨材を第1研磨材群と第2研磨材群とに分離できるようになる。しかも、このような切り替えを「第3磁性体の着脱」という簡易な方法及び構成によって実現できる。
第1態様の研磨方法において移動工程では、第1磁極及び第2磁極の一方の磁気吸引力を他方の磁気吸引力よりも大きくしてもよい。
このようにすれば、移動工程において研磨材を第1研磨材群と第2研磨材群とに分離する際に、一方の研磨材群の量が他方の研磨材群の量よりも大きくなるように偏りが生じる。このように偏りが生じると、再充填後に研磨屑がより分散しやすくなる。
本発明の第2態様の研磨方法は、
対向配置される第1磁極及び第2磁極を備えた磁石部の両磁極間に研磨対象物を配置すると共に、前記両磁極間に前記第1磁極及び前記第2磁極の一方から他方に向かう所定の第1状態の磁界を形成しつつ、磁性粒子及び研磨粒子を含んでなる研磨材を前記第1磁極と前記研磨対象物との間の第1領域及び前記第2磁極と前記研磨対象物との間の第2領域に充填させた状態とし、該状態で前記研磨対象物を回転又は揺動させて前記研磨対象物を研磨する研磨工程を含む研磨方法であって、
前記研磨工程中又は前記研磨工程の前後に、前記第1磁極と前記第2磁極との間に前記研磨材が充填された状態で前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれか一方を変位させる変位工程を含む。
第2態様の研磨方法は、研磨工程中又は研磨工程の前後に変位工程を行い、第1磁極及び第2磁極の少なくともいずれか一方を変位させ得る。このようにすれば、仮に研磨工程で生じた研磨屑が研磨対象物付近で集中して滞留していたとしても、変位工程によって研磨材の状態(位置や範囲など)を変化させ、研磨屑を研磨対象物付近から分散させることができる。
第2態様の研磨方法において、変位工程は、第1磁極及び第2磁極の間に研磨対象物を配置しつつ、第1磁極及び第2磁極のそれぞれと研磨対象物との間の距離を変化させるようにしてもよい。
このように変位工程を行えば、第1領域及び第2領域の伸縮に伴って研磨材内で脈動が生じることになり、この脈動作用によって研磨屑を効率的に分散させることができる。
第2態様の研磨方法において、第1磁極及び第2磁極の間に研磨対象物を配置しつつ、第1磁極及び第2磁極のそれぞれと研磨対象物との間の距離を変化させるように変位工程を行う場合、変位工程は、第1磁極及び第2磁極の間に研磨対象物を配置した状態を維持しつつ、第1磁極及び第2磁極を研磨対象物の周りで回転又は揺動させるようにしてもよい。
このように変位工程を行えば、第1磁極と研磨対象物の間の領域(第1領域)及び第2磁極と研磨対象物の間の領域(第2領域)に存在する研磨材も研磨対象物の周りで回転又は揺動することになる。よって、脈動作用に加え、回転作用又は揺動作用によって研磨屑をより一層効率的に分散させることができる。
本発明によれば、磁極と研磨対象物との間に研磨材を充填させて研磨対象物の表面を研磨する研磨方法において、研磨屑を研磨対象物の表面付近から分散させやすい方法を実現できる。
第1実施形態に係る研磨装置の一例について、研磨工程のときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 (A)は、図1の研磨装置において研磨工程が行われているときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図であり、(B)は、研磨工程のときの研磨材付近について(A)とは異なる方向から見た様子を概念的に説明する説明図であり、 図1の研磨装置において移動工程が行われたときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 図1の研磨装置において移動工程が行われたときの第1研磨材群及び第1磁極付近の様子を概念的に説明する説明図である。 図1の研磨装置において再充填工程が行われたときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 図1の研磨装置において再充填工程が行われたときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図である。 第2実施形態に係る研磨装置の一例について、研磨工程のときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 (A)は、図7の研磨装置において研磨工程が行われているときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図であり、(B)は、研磨工程のときの研磨材付近について(A)とは異なる方向から見た様子を概念的に説明する説明図であり、 図7の研磨装置において磁極間距離を拡大させる変位工程が行われたときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 図7の研磨装置において磁極間距離を拡大させる変位工程が行われたときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図である。 図7の研磨装置において磁極間距離を縮小させる変位工程が行われたときの装置の様子を概念的に説明する説明図である。 図7の研磨装置において磁極間距離を縮小させる変位工程が行われたときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図である。 (A)は,図7の研磨装置において両磁極を回転させる変位工程が行われたときの研磨材付近の様子を概念的に説明する説明図であり、(B)は両磁極が(A)よりも更に回転した状態を概念的に示す説明図である。
1.第1実施形態
1−1.研磨装置
図1等を参照し、第1実施形態に係る研磨装置の一例を説明する。
図1で示す研磨装置1は、主に、磁石部20、磁性体駆動部4、対象物回転部2、制御装置8、などを備える。
研磨装置1は、対向配置される第1磁極21A及び第2磁極22Aを備えた磁石部20の両磁極間に研磨対象物90を配置し、両磁極間での磁界の向きが第1磁極21A及び第2磁極22Aの一方から他方に向かう向き(図1の例では、第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう向き)となる所定の第1状態の磁界を形成しつつ、研磨材80を第1磁極21Aと研磨対象物90との間の領域及び第2磁極22Aと研磨対象物90との間の領域に充填させた状態で研磨対象物90を回転させる装置である。この研磨装置1は、研磨対象物90が研磨材80内において研磨材80に接触した状態で対象物回転部2によって回転駆動され、回転駆動中には、研磨対象物90の表面と研磨材80との間で生じる摩擦によって研磨対象物90の表面が研磨される。
使用される研磨材80は、研磨液と磁性粒子と研磨粒子とを混合させたものであり、スラリー状の混合物(研磨スラリー)となっている。磁性粒子としては、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト又はこれら含む合金の粒子を好適に用いることができる。研磨材80に含まれる磁性粒子の平均粒径は、0.5〜5000μmの範囲であることが好ましい。磁性粒子の平均粒径が0.5μm未満では、磁性が弱くなり、研削性が低下することが懸念される。磁性粒子の平均粒径が5000μmを超えると、磁性が強くなり、表面仕上げ性が悪化することが懸念される。研磨粒子としては、ダイヤモンド粒子、セラミック系研磨材などを用いることができ、いわゆるWA砥粒、GC砥粒などを好適に用いることができる。研磨粒子の平均粒径は、0.01〜200μmの範囲であることが好ましい。研磨粒子の平均粒径が0.01μm未満では、研削性が弱くなることが懸念される。研磨粒子の平均粒径が200μmを超えると、表面仕上げ性が悪化することが懸念される。磁性粒子と研磨粒子の配合としては、研磨材80中に含まれる研磨粒子の質量Maと磁性粒子及び研磨粒子の合計質量Mbとの比率Ma/Mbが、0.01〜50重量%となるような配合することが望ましい。また、研磨液としては、公知の水溶性研削液や軽油などを好適に用いることができる。
制御装置8は、研磨装置1の全体的な制御を司る情報処理装置であり、例えば、CPUや記憶部などを備えたコンピュータとして構成されている。なお、図示はしていないが、制御装置8に情報を入力する操作に用いられる操作部なども設けられている。
磁性体駆動部4は、アクチュエータ4Aと軸部材4Bとを備える。アクチュエータ4Aは、公知のリニアアクチュエータとして構成され、軸部材4Bを軸方向に往復動させ得る駆動装置となっている。軸部材4Bは、アクチュエータ4Aによって駆動される部材であり、先端側に第3磁性体50が連結される部材である。アクチュエータ4Aは、制御装置8から第1指令が与えられたときに軸部材4Bを第1位置に移動させ、制御装置8から第2指令が与えられたときに軸部材4Bを第2位置に移動させる(図3参照)。図1の例では、軸部材4Bが第1位置にあるときに第3磁性体50が第1磁性体30の端部21B(軸方向において第1磁極21Aとは反対側となる端部)及び第2磁性体40の端部22B(軸方向において第2磁極22Aとは反対側となる端部)にそれぞれ接触する。一方、軸部材4Bが第2位置にあるときには、第3磁性体50が第1磁性体30の端部21B及び第2磁性体40の端部22Bに接触せず、端部21B,22Bから離間した状態となる(図3参照)。
図1のように、磁石部20は、第1磁性体30を有する第1磁石部21と、第2磁性体40を有する第2磁石部22と、第1磁性体30及び第2磁性体40に着脱される第3磁性体50と、通電装置6とを備える。
第1磁石部21は、コイル32の中を通すように軸状の第1磁性体30が配置された構成をなし、通電装置6によってコイル32が通電されることで公知の電磁石として機能する。第2磁石部22は、コイル42の中を通すように軸状の第2磁性体40が配置された構成をなし、通電装置6によってコイル42が通電されることで公知の電磁石として機能する。図1の例では、第1磁性体30の一端部が第1磁極21Aとして機能し、第2磁性体40の一端部が第2磁極22Aとして機能する。第1磁極21Aと第2磁極22Aは、所定間隔を隔てて互いに対向して配置されており、通電装置6がコイル32及びコイル42を通電しているときに互いに逆極性の磁極となる。図1の例では、通電装置6がコイル32を通電しているときに第1磁極21AがN極となり、通電装置6がコイル42を通電しているときに第2磁極22AがS極となる。通電装置6は、公知の通電回路として構成され、制御装置8から通電指示(通電信号)又は停止指示(停止信号)が与えられる構成となっている。通電装置6の回路構成は、制御装置8から通電指示が与えられている期間にコイル32及びコイル42に電流を流し続け、制御装置8から停止指示が与えられている期間にコイル32及びコイル42への電流供給を停止し得る回路構成であれば、公知の様々な回路構成を採用し得る。
このように構成された磁石部20は、図1のように第3磁性体50が端部21B及び端部22Bに接触しているときには、第1磁性体30、第2磁性体40、第3磁性体50がU形状の一体的な磁心として機能し、この状態で通電装置6によってコイル32及びコイル42が通電されたときには、第1磁極21A及び第2磁極22Aを磁石の端部として、第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう方向の磁界を形成する。なお、図1では、第1磁極21Aと第2磁極22Aの磁極間の磁界の向きを太線矢印にて概念的に示す。研磨材80が両磁極付近に存在している状態でこのような磁界を形成すると、第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間に研磨材80が配置された状態となり、後述する研磨工程はこの配置状態で行われる(図2(A)(B)参照)。
一方、図3のように第3磁性体50が端部21B及び端部22Bに接触していないときには、第1磁性体30及び第2磁性体40が別個の磁心として機能し、第1磁石部21と第2磁石部22が別体の磁石として機能する。この場合、通電装置6によってコイル32及びコイル42が通電されたときには、第1磁石部21では第1磁性体30における第1磁極21A側の端部をN極とし、反対側の端部21BをS極として第1磁極21Aから端部21Bに向かう方向の磁界を形成する。また、第2磁石部22では第2磁性体40における第2磁極22A側の端部をS極とし、反対側の端部22BをN極として端部22Bから第2磁極22Aに向かう方向の磁界を形成する。なお、図3では、各磁性体付近で生じる磁界の向きを太線矢印にて概念的に示す。後述する移動工程ではこのような磁界を形成する。
対象物回転部2は、モータ2Aとモータ2Aよって回転力を与えられる軸部材2Bとを備え、軸部材2Bの先端部に研磨対象物90(ワーク)を着脱し得る構成となっている。モータ2Aは、少なくとも研磨工程中において第1磁極21A及び第2磁極22Aとの位置関係が変化しないように位置保持され、軸部材2B及びこれに連結される研磨対象物90を、所定の回転軸Y1周りに回転させるように回転駆動力を与え得る。このモータ2Aは、制御装置8によって駆動指令が与えられている期間に回転し、制御装置8によって停止指令が与えられている期間に回転を停止する。
1−2.研磨方法
次に、上述した研磨装置1を用いて行われる研磨方法について説明する。
なお、この研磨方法によって研磨される研磨対象物90の材質は、セラミックス等の非金属材料であってもよく、金属材料であってもよい。例えば、セラミック製の被加工物を研磨対象物90とし、以下の研磨方法を用いて被加工物(研磨対象物90)を研磨する工程を備えるようにすれば、特徴的な「セラミック製品の製造方法」となる。なお、このように、セラミック製品の製造方法の一工程として以下の研磨方法を用いる場合、被加工物(研磨対象物90)は、少なくとも一部がセラミック材によって構成されていればよく、必ずしも研磨対象物90の全部がセラミック材でなくてもよい。また、このような製造方法によってセラミック製品を製造する場合、以下の研磨方法を経て研磨された部品が含まれていれば、最終的なセラミック製品の種類は限定されない。また、図2等では、軸状且つ円柱状に構成され且つ外周面90Aが円筒面として構成された研磨対象物90を研磨する例を示すが、研磨対象物90の形状はこの形状に限定されない。例えば、外周面に溝や段差などが形成されたものであってもよい。また、研磨対象物は、円柱状以外の軸状形態をなしていてもよく、軸状でない形態(例えば、円板状の形態など)であってもよい。
研磨装置1を用いて研磨を行う場合、例えば、以下のような配置工程を最初に行う。
まず、図1で示す研磨装置1の初期状態(図1で示す構成から研磨材80及び研磨対象物90を除いた状態)において、軸部材2Bに研磨対象物90を取り付ける。そして、第3磁性体50を図1のような位置(端部21B及び端部22Bに接触する位置)で維持しながら通電装置6によってコイル32及びコイル42を通電させ、第1磁石部21及び第2磁石部22を電磁石として動作させる。このような動作により、第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう向きの強い磁界を形成する。そして、上述した研磨材80を、第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間に入り込ませ、図1のように第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間に研磨材80が集合した充填状態(懸架された状態)とする。このような工程により、図2(A)のように、第1磁極21Aと研磨対象物90との間の第1領域AR1及び第2磁極22Aと研磨対象物90との間の第2領域AR2に研磨材80が充填された状態となる。なお、図2(A)では、第1領域AR1及び第2領域AR2をクロスハッチングにて概念的に示す。研磨材80を、第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間に入り込ませる際には、研磨材80が第1磁極21Aと第2磁極22Aの間から流れ出ても支障のないように、第1磁極21A及び第2磁極22Aの下方側に研磨材80の受け部を設けるなどして、対処しておくとよい。以上のような配置工程により、第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間で維持される研磨材80内に研磨対象物90が浸漬された配置状態となる。
このような配置工程を経ることで、図1のように、第1磁極21Aと第2磁極22Aの間に研磨対象物90を配置した状態、且つ第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう磁界の向きとなる磁界(所定の第1状態の磁界)を形成した状態を維持しながら、図2(A)のように研磨材80を第1領域AR1及び第2領域AR2に充填させた状態とすることできる。そして、配置工程の後には、このような配置状態で研磨工程を行う。
研磨工程は、このような配置状態を維持しながら対象物回転部2によって研磨対象物90を回転軸Y1周りに回転させる工程である。このような回転駆動を行うと、回転する研磨対象物90の表面と研磨材80との間で摩擦が生じ、研磨対象物90の表面が研磨される。研磨中には、図2(A)(B)のように、研磨対象物90の表面が研磨されることで生じる研磨屑98が研磨材80内の研磨対象物90付近で滞留しやすくなる。なお、研磨工程は、例えば、図示しない操作部に対して所定の情報入力操作がなされたときに制御装置8が対象物回転部2に対して回転開始の指示を与えることで工程が開始され、所定の終了条件が成立した時(例えば、研磨工程の開始から一定時間が経過した時、或いは、図示しない操作部に対して所定の終了操作がなされた時など)に工程が終了する。
研磨装置1は、このような研磨工程を所定の終了条件が成立するまで行った後、移動工程を行う。移動工程は、例えば、研磨工程の終了条件が成立したときに制御装置8が磁性体駆動部4に駆動指示(上述の第2指令)を与えることで工程が開始され、所定の終了条件が成立した時(例えば、移動工程の開始から一定時間が経過した時、或いは、図示しない操作部に対して所定の終了操作がなされた時など)に工程が終了する。
移動工程は、研磨工程の後、第1磁極21A及び第2磁極22Aによって生じる磁界を図1のような第1状態から図3のように第2状態に変化させ、図2(A)のように研磨工程のときに第1領域AR1及び第2領域AR2に充填された研磨材80を、第1領域AR1及び第2領域AR2の外側の領域に移動させる工程である。具体的には、制御装置8が磁性体駆動部4を制御し、第3磁性体50の位置を、研磨工程のときの接触位置(即ち、図1のように第1磁性体30の端部21B及び第2磁性体40の端部22Bに接触した位置)から、図3のような非接触位置(即ち、第1磁性体30の端部21B及び第2磁性体40の端部22Bから離間してこれらに接触しない位置)に切り替える。
このように第3磁性体50が第1磁性体30及び第2磁性体40から離間すると、第1磁石部21及び第2磁石部22の各々が個別の磁石として使用されることになり、第1磁石部21では、第1磁極21Aから端部22Bに向かう向きの磁界が形成され、第2磁石部22では、端部22Bから第2磁極22Aに向かう向きの磁界が形成されるため、第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう方向の磁極間の磁界が低減するとともに第1磁極21A及び第2磁極22Aの各々において吸引力が生じる状態となる。このような磁界の切り替えがなされると、研磨工程のときに図2(A)のように第1領域AR1及び第2領域AR2に充填されていた研磨材80は、図3のように第1研磨材群81と第2研磨材群82とに分離する。第1研磨材群81は、第1磁極21Aに吸着するとともに研磨対象物90から離間した群である。第2研磨材群82は、第2磁極22Aに吸着するとともに研磨対象物90から離間した群である。図3の例では、コイル32の巻数がコイル42の巻数よりも多くなっており、移動工程のときには第2磁極22Aよりも第1磁極21Aのほうが大きな磁力が生じるようになっている。従って、第2磁極22Aよりも第1磁極21Aのほうが研磨材80を吸引する吸引力が大きくなり、移動工程が行われると、第2磁極22Aに吸着する第2研磨材群82よりも第1磁極21Aに吸着する第1研磨材群81のほうが研磨材80の量が多くなる。このように移動工程が行われると、研磨工程のときに研磨対象物90付近に存在していた研磨屑98が第1研磨材群81側と第2研磨材群82側とに分けられつつそれぞれの研磨材群で分散することになる。なお、図4では、移動工程によって研磨屑98の一部が第1研磨材群81内に移動され、第1研磨材群81内で分散した状態を概念的に示している。
研磨装置1は、このような移動工程を行った後、図5のように再充填工程を行う。再充填工程は、例えば、移動工程の終了条件が成立したときに制御装置8が磁性体駆動部4に駆動停止指示(上述の第1指令)を与えることで工程が開始され、所定の終了条件が成立した時(例えば、再充填工程の開始から一定時間が経過した時、或いは、図示しない操作部に対して所定の終了操作がなされた時など)に工程が終了する。
再充填工程は、移動工程の後、両磁極によって生じる磁界を再び第1状態(第1磁極21Aから第2磁極22Aに向かう磁界の向きの強い磁力が生じる状態)に変化させ、移動工程によって第1研磨材群81及び第2研磨材群82に移動した研磨材80を第1領域AR1及び第2領域AR2に再充填する工程である。
この再充填工程が行われると、第1研磨材群81及び第2研磨材群82を構成する研磨材80が第1磁極21Aと第2磁極22Aとの間に移動し、図1、図2と同様の配置状態となる。但し、図2(A)のように移動工程前に研磨材80中に存在していた研磨屑98は、移動工程に伴う移動及び分散作用と、再充填工程に伴う更なる移動及び分散作用とによって、図6のように研磨材80内で広く分散した状態となる。このように再充填工程が行われた後、再び上述の研磨工程を行えば、研磨対象物90付近から研磨材80が除かれた状態で研磨工程を行うことができるため、研磨効率が格段に高まる。
なお、上述の説明では、研磨工程、移動工程、再充填工程の後に再び研磨工程を行う例を説明したが、「研磨工程、移動工程、再充填工程」の一連の流れを複数回繰り返してもよい。
1−3.効果
上述した研磨方法では、研磨工程の後、移動工程によって研磨材80を第1領域AR1及び第2領域AR2の外側に一旦移動させることができる。このようにすれば、図2のように移動工程の前に研磨屑98が研磨対象物90付近に集中して滞留していたとしても、その研磨屑98は、図3のような研磨材80の第1、第2磁極21A,22Aの側への移動によって研磨材80内で分散されやすくなる。よって、その後に再度の研磨工程を行ったときに研磨屑98の目詰まりに起因する研磨効率の低下が抑えられ、より効率的な研磨が可能となる。
上述した研磨方法では、移動工程は、研磨材80を、図3のように第1研磨材群81(第1磁極21Aに吸着するとともに研磨対象物90から離間した研磨材の群)と第2研磨材群82(第2磁極22Aに吸着するとともに研磨対象物90から離間した研磨材の群)とに分離する工程となっている。そして、移動工程の後、図5のように再充填工程を行うようになっており、再充填工程では、両磁極間に形成される磁界を第1状態に変化させ、移動工程によって移動した研磨材を第1領域及び第2領域に再充填する。
このように、研磨材80を研磨対象物90から離間させた形で第1研磨材群81と第2研磨材群82とに分離するように移動工程を行えば、図2のように研磨工程中に研磨屑98が研磨対象物90付近で滞留していたとしても、図3のように、一旦は、研磨屑98を第1磁極21A側又は第2磁極22A側に移動させるように研磨対象物90付近から大きく離間させることができる。そして、研磨対象物90付近に研磨屑98が存在しない状態又は極めて少ない状態とすることができる。よって、再充填後には移動工程前よりも研磨対象物90付近に研磨屑98がより集中しにくくなる。このように研磨屑98が分散する形で再充填がなされるため、その後に再度の研磨工程を行ったときに研磨屑98の目詰まりに起因する研磨効率の低下が抑えられ、より効率的な研磨が可能となる。
上述した研磨方法では、図1のように、磁石部20は、端部が第1磁極21Aとして構成される第1磁性体30と、端部が第2磁極22Aとして構成される第2磁性体40と、第1磁性体30及び第2磁性体40に着脱される第3磁性体50とを備えている。そして、研磨工程では、図1のように第1磁性体30の端部21B(第1磁極21Aとは反対側の端部)及び第2磁性体40の端部22B(第2磁極22Aとは反対側の端部)に第3磁性体50を接触させ、移動工程では、図3のように第1磁性体30の端部21B及び第2磁性体40の端部22Bから第3磁性体50を離間させる。このようにすれば、研磨工程のときには、図1のように第1磁性体30、第2磁性体40、及び第3磁性体50を一体的な磁石として使用することができ、第1磁極21A及び第2磁極22Aにおいて一方から他方に向かう強い磁界を形成し得る。よって、研磨対象物90と各磁極との間に研磨材80を安定的に充填することができる。また、移動工程では、図3のように第1磁性体30及び第2磁性体40の各々を個別の磁石として使用し、第1磁極21Aと第2磁極22Aの間の磁界を低減させつつ第1磁極21A及び第2磁極22Aの各々において吸引力が生じる状態とすることができる。よって、研磨材80を第1研磨材群81と第2研磨材群82とに分離できるようになる。しかも、このような切り替えを「第3磁性体50の着脱」という簡易な方法及び構成によって実現できる。
更に、上述した研磨方法では、少なくとも移動工程のときに、第1磁極21A及び第2磁極22Aのうちの一方の磁気吸引力を他方の磁気吸引力よりも大きくしている。このようにすれば、移動工程において研磨材80を第1研磨材群81と第2研磨材群82とに分離する際に、図3のように一方の研磨材群の量が他方の研磨材群の量よりも大きくなるように偏りが生じる。このように偏りが生じると、再充填後に研磨屑98がより分散しやすくなる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。
まず、図7等を参照し、第2実施形態に係る研磨装置の一例を説明する。
図7で示す研磨装置201は、磁石部220、磁石駆動部204,205、対象物回転部2、制御装置8、などを備える。なお、対象物回転部2及び制御装置8は第1実施形態に係る研磨装置1と同様の構成をなすため、これらと同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、使用される研磨材80も第1実施形態と同様である。
図7で示す研磨装置201において、磁石部220は、第1実施形態で用いる第1磁石部21(図1)と同様の第1磁石部221を有し、第2磁石部22(図1)と同様の第2磁石部222を有し、通電装置6(図1)と同様の通電装置206を有する。第1磁石部221の第1磁性体230及びコイル232は、第1実施形態で用いる第1磁石部21(図1)の第1磁性体30(図1)及びコイル32(図1)のそれぞれと同様の構成及び機能を有する。また、第2磁石部222の第2磁性体240及びコイル242は、第1実施形態で用いる第2磁石部22(図1)の第2磁性体40(図1)及びコイル42(図1)のそれぞれと同様の構成及び機能を有する。なお、コイル232,242の巻数は、第1実施形態のようにコイル232の巻数をコイル242の巻数よりも多くしてもよく、同程度としてもよい。
本実施形態で用いる磁石部220では、第1磁性体230及び第2磁性体240が、第3磁性体250との接触状態を保ちつつ且つ互いに平行に配置された状態を保ちながらスライドし得る構成となっている。つまり、第1磁性体230、第2磁性体240、及び第3磁性体250が常に一体的な磁性体として機能し、その一体的な磁性体の全体形状が変化するようになっている。第1磁性体230及び第2磁性体240のスライド動作は、磁石駆動部204,205によって実現される。
磁石駆動部204は、アクチュエータ204Aと軸部材204Bとを備える。アクチュエータ204Aは、公知のリニアアクチュエータとして構成され、軸部材204Bを軸方向に往復動させ得る駆動装置となっている。軸部材204Bは、アクチュエータ204Aによって駆動される部材であり、先端側に第1磁性体230が連結される部材である。磁石駆動部205は、アクチュエータ205Aと軸部材205Bとを備える。アクチュエータ205Aは、公知のリニアアクチュエータとして構成され、軸部材205Bを軸方向に往復動させ得る駆動装置となっている。軸部材205Bは、アクチュエータ205Aによって駆動される部材であり、先端側に第2磁性体240が連結される部材である。アクチュエータ204Aは、制御装置8から接近指令が与えられたときに軸部材204Bを図7のような接近位置(第1磁性体230が研磨対象物90に近づく位置)に移動させ、制御装置8から離間指令が与えられたときに軸部材204Bを図9のような離間位置(第1磁性体230が研磨対象物90から遠ざかる位置)に移動させる。アクチュエータ205Aは、制御装置8から接近指令が与えられたときに軸部材205Bを図7のような接近位置(第2磁性体240が研磨対象物90に近づく位置)に移動させ、制御装置8から離間指令が与えられたときに軸部材205Bを図9のような離間位置(第2磁性体240が研磨対象物90から遠ざかる位置)に移動させる。
次に、上述した研磨装置201を用いる研磨方法について説明する。
研磨装置201を用いた研磨方法でも、第1実施形態と同様の配置工程を行い、図7のような配置状態とすることができる。この配置状態は、磁石部220における第1磁極221Aと第2磁極222Aとの間に研磨対象物90を配置し、両磁極間での磁界の向きが第1磁極221Aから第2磁極222Aに向かう向きとなる第1状態の磁界を形成しつつ研磨材80を第1磁極221Aと研磨対象物90との間の領域及び第2磁極222Aと研磨対象物90との間の領域に充填させた状態である。
配置工程の後には、このような配置状態で図8(A)(B)のように研磨工程を行う。なお、図8(A)では、第1磁極221Aと研磨対象物90との間の第1領域AR1及び第2磁極222Aと研磨対象物90との間の第2領域AR2をクロスハッチングにて概念的に示す。
研磨工程は、上述した配置工程で定められた配置状態を一定程度維持しながら対象物回転部2によって研磨対象物90を回転軸Y1周りに回転させる工程である。研磨工程は、例えば、図示しない操作部に対して所定の情報入力操作がなされたときに制御装置8が対象物回転部2に対して回転開始の指示を与えることで工程が開始され、所定の終了条件が成立した時(例えば、研磨工程の開始から一定時間が経過した時、或いは、図示しない操作部に対して所定の終了操作がなされた時など)に工程が終了する。
更に、本実施形態に係る研磨方法では、上述した研磨工程中に変位工程を行う。この変位工程は、第1磁極221Aと第2磁極222Aとの間に研磨材80が充填された状態で第1磁極221A及び第2磁極222Aを変位させる工程である。具体的には、図8(A)のように第1磁極221A及び第2磁極222Aの間に研磨対象物90を配置し、第1磁極221Aと研磨対象物90との間の第1領域AR1及び第2磁極222Aと研磨対象物90との間の第2領域AR2に研磨材80が充填された状態を維持しながら、図7のように第1磁極221A及び第2磁極222Aのそれぞれを研磨対象物90に近づける変位動作と、図9のように第1磁極221A及び第2磁極222Aのそれぞれを研磨対象物90から遠ざける変位動作とを交互に繰り返すようにして、第1磁極221A及び第2磁極222Aのそれぞれと研磨対象物90との間の距離を変化させる。このように変位動作を交互に行う方法としては、制御装置8が研磨工程中に磁石駆動部204,205に対して接近指令と離間指令とを交互に与えるようにすればよい。
この研磨方法では、仮に図7のように研磨工程が行われているときに図8のように研磨屑98が研磨対象物90付近で集中して滞留していたとしても、図9のように両磁極の間隔を拡大するように変位工程を行えば研磨材80の状態(位置や範囲など)が変化することになり、図10のように研磨屑98を研磨対象物90付近から分散させやすくなる。その後、図11のように再び両磁極の間隔を縮小するように変位工程を行えば研磨材80の状態(位置や範囲など)が更に変化することになり、図12のように研磨屑98を研磨対象物90付近から一層分散させやすくなる。
しかも、第1磁極221Aと第2磁極222Aの間隔は、図7のような縮小状態から図9のような拡大状態に変化した後、再び図11のような縮小状態(図7と同様の状態)に戻るように拡大と縮小が交互に繰り返されるため、第1磁極221Aと研磨対象物90との間の第1領域、及び第2磁極222Aと研磨対象物90との間の第2領域がいずれも伸縮するように作用することになる。ゆえに、研磨材80内で脈動が生じることになり、この脈動作用によって、図8の状態から図10の状態への変化、更には図12の状態への変化が生じるようになり、研磨屑98を研磨材80内で効率的に分散させることができる。
4.他の実施形態
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わせてもよい。
上述したいずれの実施形態の研磨方法も、研磨対象物90を揺動させてもよい。例えば、研磨対象物90を、回転軸Y1を中心とする一方の回転方向に所定角度回動させる動作と、他方の回転方向に所定角度回動させる動作とを交互に繰り返すように揺動させてもよい。
上述したいずれの実施形態の研磨方法も、研磨工程中に第2磁極から第1磁極に向かう向きの磁界を形成してもよい。
第2実施形態において、図13に示されるように第1磁極221A及び第2磁極222Aを回転軸Y1を中心として、研磨対象物90の周りで回転させながら、両磁極間の距離を変化させるようにしてもよい。もしくは、第1磁極221A及び第2磁極222Aを一方の回転方向に所定角度回動させる動作と、他方の回転方向に所定回動させる動作とを交互に繰り返すように揺動させてもよい。このようにすると、回転作用又は揺動作用によって研磨屑をより効率的に分散させることができる。
第2実施形態では研磨工程中に変位工程を実施する例を示したが、研磨工程の後に変位工程を行い、その後に再び研磨工程を行うようにしてもよい。つまり、研磨工程と、研磨工程を中断した状態での変位工程とを交互に繰り返してもよい。
第2実施形態では両磁極を変位させる例を示したが、一方の磁極のみを研磨対象物に対して接近及び離間させるように変位させてもよい。
上述した実施形態では、研磨対象物を回転又は揺動させるときの回転軸を第1磁極と第2磁極が対向する方向(対向方向)に対して直交する方向としたが、対向方向に対して傾斜した方向の回転軸としてもよい。
上述した実施形態では、第1磁石部及び第2磁石部として電磁石を例示したが、第1磁石部及び第2磁石部のいずれか又は両方を永久磁石としてもよい。
1,201…研磨装置
20,220…磁石部
21A,221A…第1磁極
22A,222A…第2磁極
30,230…第1磁性体
40,240…第2磁性体
50,250…第3磁性体
80…研磨材
81…第1研磨材群
82…第2研磨材群
90…研磨対象物

Claims (8)

  1. 対向配置される第1磁極及び第2磁極を備えた磁石部の両磁極間に研磨対象物を配置すると共に、前記両磁極間に前記第1磁極及び前記第2磁極の一方から他方に向かう第1状態の磁界を形成しつつ、磁性粒子及び研磨粒子を含んでなる研磨材を前記第1磁極と前記研磨対象物との間の第1領域及び前記第2磁極と前記研磨対象物との間の第2領域に充填させた状態とし、該状態で前記研磨対象物を回転又は揺動させて前記研磨対象物を研磨する研磨工程を含む研磨方法であって、
    前記研磨工程の後、前記両磁極間に形成される磁界の強さが前記第1状態より小さい第2状態に変化させ、前記研磨工程のときに前記第1領域及び前記第2領域に充填された研磨材を前記第1磁極の側及び前記第2磁極の側に移動させる移動工程を含む研磨方法。
  2. 前記移動工程は、前記研磨材を、前記第1磁極に吸着するとともに前記研磨対象物から離間した第1研磨材群と前記第2磁極に吸着するとともに前記研磨対象物から離間した第2研磨材群とに分離する工程であり、
    前記移動工程の後、前記両磁極間に形成される磁界を前記第1状態に変化させ、前記移動工程によって移動した前記研磨材を前記第1領域及び前記第2領域に再充填する再充填工程を含む、
    請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記磁石部は、端部が前記第1磁極として構成される第1磁性体と、端部が前記第2磁極として構成される第2磁性体と、前記第1磁性体及び前記第2磁性体に着脱される第3磁性体とを備え、
    前記研磨工程では、前記第1磁性体における前記第1磁極とは反対側の端部及び前記第2磁性体における前記第2磁極とは反対側の端部に前記第3磁性体を接触させ、
    前記移動工程では、前記第1磁性体における前記第1磁極とは反対側の端部及び前記第2磁性体における前記第2磁極とは反対側の端部から前記第3磁性体を離間させる
    請求項2に記載の研磨方法。
  4. 前記移動工程では、前記第1磁極及び前記第2磁極の一方の磁気吸引力を他方の磁気吸引力よりも大きくする
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨方法。
  5. 対向配置される第1磁極及び第2磁極を備えた磁石部の両磁極間に研磨対象物を配置すると共に、前記両磁極間に前記第1磁極及び前記第2磁極の一方から他方に向かう所定の第1状態の磁界を形成しつつ、磁性粒子及び研磨粒子を含んでなる研磨材を前記第1磁極と前記研磨対象物との間の第1領域及び前記第2磁極と前記研磨対象物との間の第2領域に充填させた状態とし、該状態で前記研磨対象物を回転又は揺動させて前記研磨対象物を研磨する研磨工程を含む研磨方法であって、
    前記研磨工程中又は前記研磨工程の前後に、前記第1磁極と前記第2磁極との間に前記研磨材が充填された状態で前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれか一方を変位させる変位工程を含む
    研磨方法。
  6. 前記変位工程は、前記第1磁極及び前記第2磁極の間に前記研磨対象物を配置しつつ、前記第1磁極及び前記第2磁極のそれぞれと前記研磨対象物との間の距離を変化させる
    請求項5に記載の研磨方法。
  7. 前記変位工程は、前記第1磁極及び前記第2磁極の間に前記研磨対象物を配置した状態を維持しつつ、前記第1磁極及び前記第2磁極を前記研磨対象物の周りで回転又は揺動させる
    請求項6に記載の研磨方法。
  8. 前記研磨対象物はセラミック製の被加工物であって、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の研磨方法で前記被加工物を研磨する工程を備えるセラミック製品の製造方法。
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