以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(送信装置)
2.第2の実施の形態(受信装置)
3.第3の実施の形態(コンピュータ)
<1.第1の実施の形態>
<システム>
無線信号を送信する送信装置の例を図1に示す。図1において送信装置10は、気象観測装置31から供給される気象観測データTMを電波(無線信号)としてアンテナ20から送信する装置である。
気象観測装置31は、例えば、気温、日照、雨量、風向、風速などの気象データを観測する装置である。気象観測装置31には、これらの気象データを観測するために必要な各種センサと、それらのセンサを制御する制御部とが設けられている。気象観測装置31は、観測された気象データ(気象観測データ)を送信装置10に供給する。例えば、気温、雨量、風向、風速をそれぞれ1オクテット(8ビット)の情報量とすると、気象観測データTMは、4オクテット(32ビット)の情報量である。
気象観測装置31は、例えば山岳地帯等、気象データを人力で観測することが困難な場所、例えば、人の立ち入りが困難な場所等に設置される。送信装置10は、気象観測装置31の近傍に設置される。つまり、気象観測装置31や送信装置10は、大規模な外部電源の用意が困難な場所に設置される。したがって、これらの装置は、電池や太陽光発電器等の小規模の電源により駆動する必要がある。つまり、これらの装置は、より低消費電力に駆動することが求められる。
また、気象観測装置31から供給される気象観測データは、例えば麓の市街地等(大学等の研究施設やデータセンタ等の施設内等)に設置された受信装置に送信される。その受信装置は、受信した気象観測データをサーバ等に供給する。つまり、送信装置10は、無線信号を遠距離まで送信する必要がある。なお、麓に設置される受信装置では電灯線電源を使うことができる。従って、受信装置では高性能CPU(Central Processing Unit)を搭載して高度な演算を実行することも可能である。
以上をまとめると、送信装置10には電池駆動可能な低消費電力が要求される。受信装置には、長距離通信を可能とする高感度の受信性能が要求される。また通信路としては、連続送信可能な時間が制限されている。このように要求条件は厳しいが、伝送情報量は少ないので高転送レートは必要ない。また受信局の消費電力は大きくても問題にならない。
<DSSS方式>
高感度の送受信機として、従来よりDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式が用いられてきた。そこでDSSS方式の一例を説明する。
送信装置10は、図1に示されるように、CRC(Cyclic Redundancy Check)付加部11、同期信号(SYNC)発生部12、選択部13、Gold符号発生部14、乗算部15、キャリア発振部16、乗算部17、バンドパスフィルタ(BPF)18、増幅部19、およびアンテナ20を備え、気象観測装置31から供給される気象観測データTMを無線送信する。
送信装置10には、さらに、必要に応じて、リードソロモン符号、畳み込み符号などを追加することもできる。
図2は、送信パケットのフレーム構成(Frame format)を示す模式図である。図2の上から1段目に示されるように、送信パケットは、2オクテットのプリアンブル(Preamble)、1オクテットのSFD(start-of-frame delimiter)、そして16オクテットのPSDU(PHY Service Data Unit)から構成される。ここでプリアンブルとSFDは固定のデータである。プリアンブルは、例えば、「0011111101011001」というビット列としてもよい。またSFDは、例えば「00011100」というビット列としてもよい。
図2の上から2段目に示されるように、16オクテットのPSDUは、フレームコントロール(FC)、シーケンス番号(SN)、送受信機アドレス(ADR)、ペイロード(PAYLOAD)、およびフレームチェックシーケンス(FCS)により構成されている。
フレームコントロール(FC)は2オクテットのディジタル情報であり、フレームコントロールに続く情報の構成やビット数などを表す情報である。フレームコントロールは、固定のビット列であり、例えば「0010000000100110」というビット列としてもよい。シーケンス番号(SN)は1オクテットのディジタル情報であり、新しいデータが伝送される度にカウントアップされる。このシーケンス番号をチェックすることにより、受信機側では新しいデータであるか否かを判断することができる。送受信機アドレス(ADR)は、4オクテットの情報であり、送信機を区別する送信機アドレス番号と、受信機を区別する受信機アドレス番号の情報である。ペイロード(PAYLOAD)は、4オクテットのディジタル情報であり、気象観測データTMがそのままセットされる。フレームチェックシーケンス(FCS)は、2オクテットの巡回冗長検査符号であり、通信データに誤りが発生したか否かをチェックするための情報である。
同期信号発生部12は、これらのプリアンブル、SFD、フレームコントロール、シーケンス番号、および送受信機アドレス等の情報を発生して選択部13に供給する。また、CRC付加部11は、気象観測装置31から供給された気象観測データTMをコピーしたペイロードに、そのペイロードに対して演算したフレームチェックシーケンスを付加し、選択部13に供給する。
選択部13は、フレームチェックシーケンスが付加されたペイロードに、プリアンブル、SFD、フレームコントロール、シーケンス番号、および送受信機アドレス等の情報を付加し、送信データQDを生成する。
図2の上から3段目に示されるように、1フレームの送信データQDは、152ビット(19オクテット)で構成される。Gold符号発生部14は、2つのM系列(Maximum Sequence)発生部により構成され、長さ256チップ(chip)の擬似乱数列を発生する。乗算部15は、その擬似乱数列と送信データQDとを乗算することにより擬似乱数列PNを生成する。
つまり、擬似乱数列PNにおいて、送信データQDの1ビットは擬似乱数列(256チップ)に拡張される。図2の上から4段目に示されるように、擬似乱数列PNのデータ長は、38400チップ(150x256)となる。
ここで920MHz帯を考えると、1つの送信チャネルに与えられているバンド幅は200KHzであるから、1チップの情報を伝送するのに必要な時間Δは、およそ5μ秒乃至10μ秒程度となる。図2に示したタイミング図では、Δとして5μ秒(チップレート=200KHz)と設定されている。この場合、1フレームの送信データQDは、総時間194.56msで無線送信される。
キャリア発振部16は、無線伝送に用いるキャリア周波数を発振して乗算部17に供給する。乗算部17は、擬似乱数列PNに応じてキャリア周波数の極性を変調することにより、DSSS方式の変調信号CMを作成する。変調信号CMは、バンドパスフィルタ18に供給される。
DSSS方式の変調(この場合はBPSK変調)において、擬似乱数列PNが「1」の場合、キャリアの位相がπとなるように変調される。また擬似乱数列Nが「0」の場合、キャリアの位相が−π(極性反転)となるように変調される。このようにして極性反転された変調信号CMは、切り替え点の部分で急激に変化することから、幅広い周波数成分に広がっている。このまま無線伝送すると隣接する無線通信に影響を与えてしまう。
そこでバンドパスフィルタ(BPF)18は、変調信号CMの周波数成分をキャリア周波数付近に制限する。このようにしてバンドパスフィルタ18により帯域制限された送信信号TXが得られる。図2において、帯域制限された送信信号TXにおいては、位相の切り替え点がスムースに変化していることが示されている。そして、送信信号TXは、増幅部19により増幅された後、アンテナ20から輻射される。
以上に説明したように、DSSS方式では、送信データQDの1ビットが擬似乱数列PNの256チップに拡散されて送信される。受信側では、送信に用いたのと同一のGold符号を再現し、受信信号と乗算・積算することにより受信信号QDを再生することが可能となる。Gold符号の符号長(拡散率)を大きく設定することにより、高感度化を実現することが可能となる。図2においては拡散率を256として説明したが、この拡散率をさらに大きく設定することによりさらなる高感度化を実現することができる。
図3はIEEE 802.15.4Kの規格書の一部であり、最左列に示した拡散率に応じて、期待される感度が記載されている。この表から、チップレート200K/sの場合、拡散率256のときに期待される受信感度は -127dBmであることがわかる。また、拡散率をあげて、最大(32768)に設定した場合、受信感度は -148dBmまで向上することが期待される。拡散率256に対して拡散率32768は128倍であり、この結果、約21dBの感度向上が期待できることが解る。
図4は、拡散率をIEEE 802.15.4K規格の最大値(32768)に設定した場合を示している。高感度化を期待して拡散率をあげていくと、現実には2つの問題が発生することが解る。すなわち、第1の問題点は、国内法における連続送信時間の制約である。
図4(拡散率を32768に設定した場合)において、1ビットの送信時間は163.84ミリ秒(Δx32768)となる。この結果、1パケット(152ビット)全体を送信するのに必要な時間は、約24.9秒となる。しかしながら、日本国内において920MHz帯に許される最大連続送信時間はARIB STD T-108の規定により「4秒間」とされている。従って、日本国内の920MHz帯においては、拡散率32768を適用することができなかった。
逆に、920MHz帯に許される連続送信時間(4秒間)で送信可能な最大拡散率を求めると、拡散率4096が限界であり、このときの受信感度を図3から読み取ると-139dBmとなる。このように受信感度の上限が制限されることにより、実質的に受信感度が低減するおそれがった。
また、以上において、連続送信時間が4秒間であると説明した。しかしながら、さらにより厳密には、ARIB STD T-108規定により、4秒間の連続送信時間が許されているのは一部の周波数領域に制限されている。つまり、連続送信時間を4秒とする場合、送受信に用いることのできる周波数チャネル数が限定される。これに対して、連続送信時間が0.2秒以下の場合、さらに多くの周波数帯で送受信が可能となる。より多くの周波数帯が使えれば、混信妨害等の影響を抑制することができる。
連続送信時間を0.2秒以下として 802.15.4Kの規格を適用すると、拡散率の最大は図2において説明した128となる。この場合に期待できる受信感度は、-128dBmである(図3参照)。受信感度 -128dBmであれば、DSSS方式を採用しなくても実現可能なレベルである。
このように従来のDSSS方式は、連続送信時間が長くなってしまい、日本国内の920MHz帯では充分な受信感度効果が得られないおそれがあった。また送信チャネル数を増やそうとすると、さらに連続送信時間を短くして0.2秒以下にすることが望ましいが、その場合、さらに受信感度が低減してしまうおそれがあった。
また、従来のDSSS方式の場合、拡散率として32768を採用すると、32768チップの時間積算を行い、ようやく1ビットの情報が積算検出できることになる。1ビットの情報を積算検出する時間は、164ミリ秒である。この時間は、PLL(Phase Locked Loop:位相同期ループ)やDLL(Delayed Locked Loop:ディレイド・ロック・ループ)で行う位相検出に関しても同様である。PLLやDLLなどの位相検出回路はフィードバック回路で構成され、検出回路の応答速度に対して、ループとしての応答速度はさらに1桁(10倍)以上遅くなる。従って、受信装置のPLL(あるいはDLL)の応答速度は1.6秒程度と見込まれる。
これは、送信装置10に設置されたキャリア発振部16の「位相揺らぎ」の制約となる。即ち、キャリア発振部16の位相は、「1.6秒間観測したときに位相変動しないこと」が必要となる。しかしながら、920MHzもの高周波を発振する発振器を安価に作成すると、発振器内部のノイズにより容易に位相変動することが知られている。
GPSでは、ルビジウム発振器を使って位相安定した発振器が採用され、ループ応答速度として1秒を超えるようになっても位相ゆらぎが小さいことが知られている。しかしながらルビジウム発振器は非常に高価(数十万円以上)であり、また消費電力も大きい。このような発振器は、高価なGPS衛星に搭載することはできても、上述したようなセンサネットワーク等に用いられる送信装置10に採用することは、コストが許容できないほど増大するおそれがあり、現実的ではない。
つまり、送信装置10に採用することができる程度に安価かつ小電力なキャリア発振部16では、位相揺らぎにより、現実的に用いることのできる拡散率の上限が定まってしまうおそれがあった。
<送信データの並び替え>
そこで、送信データの受信側にとって既知の部分が、送信データ内により均一に分散するように、送信データを並び替え、並び替えられた送信データを用いて、キャリア信号を位相変調し、位相変調されたキャリア信号である送信信号を送信するようにする。
このようにすることにより、最大連続送信時間を短く設定することができる。したがって、混信に対して強い送受信システムを構築可能である。また、電波法に定められた最大送信時間の制限を超えずに、実効的なSNRを向上させることが可能となる。さらに、フレーム中に位相揺らぎがあった場合においても、最適な位相と周波数の補正が可能である。これらの結果、従来よりも微弱な受信信号であって、例えばノイズに埋もれてしまうような場合であっても正しく復号することができる。つまり、受信感度の低減を抑制することができる。
なお、送信データの受信側にとって既知の部分と、送信データの受信側にとって未知の部分とを、それぞれ複数に分割し、分割された既知の部分の各部分データと、分割された未知の部分の各部分データとが交互に並ぶにように並び替えるようにしてもよい。
また、送信データは、13オクテットの受信側にとって既知の部分と、6オクテットの受信側にとって未知の部分とにより構成され、受信側にとって既知の部分を2オクテットずつに分割し、受信側にとって未知の部分を1オクテットずつに分割し、2オクテットの既知の部分の部分データと、1オクテットの未知の部分の部分データとが交互に並ぶように並び替えるようにしてもよい。
また、送信データの受信側にとって未知の部分は送信対象の情報を含み、送信データの受信側にとって既知の部分は、送信対象の情報に付加される所定の同期パタンを含むようにしてもよい。
また、送信データの受信側にとって未知の部分は、送信対象の情報の巡回冗長検査符号をさらに含むようにしてもよい。
また、並び替えられた送信データを用いて、キャリア信号の位相を2位相偏移変調するようにしてもよい。
また、並び替えられた送信データを用いて、キャリア信号の位相を4位相偏移変調するようにしてもよい。
また、同一の送信データを複数回並び替え、その度に、キャリア信号を位相変調し、送信信号を送信するようにしてもよい。
<送信装置>
このような本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態である送信装置の主な構成例を図5に示す。図5に示される送信装置100は、図1の送信装置10と同様、気象観測装置31から供給される気象観測データ(例えば、気温、日照、雨量、風向、風速等の観測データ)を、無線信号として送信する装置である。送信装置100は、例えば、気象観測装置31の近傍に設置され、山岳地帯等から麓の市街地等(大学等の研究施設やデータセンタ等の施設内等)に設置される受信装置(すなわち、遠距離の送信先)まで、無線信号を送信する。
この送信装置100が送信する送信信号のフレーム構造の全体図を図6に示す。送信装置10の場合、図4に示される例のように、フレーム時間が24.9秒間と長くなってしまっていた。これに対して送信装置100の場合、図6に示されるように、1回の連続送信時間が0.192秒とされている。すなわち、連続送信時間0.2秒を下回っているので、この送信に多くの送信チャネルを割り当てることができる。この結果、比較的空いているチャネルを選択して送信することが可能となり、より混信に強いシステムを構築することができる。本技術を適用することにより、このような短いフレーム長を使っても、高感度の送受信システムを構築することができる。
フレームの送信は、1回のデータ送信が30秒間のスーパーフレーム(Super Frame)の単位で行われる。この30秒間に、0.192秒のフレームが最大で100回繰り返される。ここでフレーム間のギャップxは、少なくとも2ms以上の時間である。ギャップ x は、キャリアセンスの結果(即ちチャネルの混み具合)により毎回異なっている。30秒間を平均すると、およそ0.3秒に1回の割合でフレームが送信されるように構成されている。この結果、30秒間に100フレームが送信される。送信できるフレーム数は、チャネルの混雑度合いにより若干変動する。100回のフレームで送信される信号は、任意であるが、以下においては、全て同一であるものとして説明する。
図5に示されるように、送信装置100は、CRC(Cyclic Redundancy Check)付加部111、同期信号(SYNC)発生部112、選択部113、フレームカウンタ114、レジスタ115、インタリーブ部116、Gold符号発生部117、乗算部118、キャリア発振部119、乗算部120、バンドパスフィルタ121、増幅部122、およびアンテナ123を有する。
CRC付加部111は、気象観測装置31から供給される気象観測データTMに、誤り検出用の巡回冗長検査符号(CRC)を付加し、それを選択部113に供給する。この巡回冗長検査符号は、どのようなものであってもよく、そのデータ長も任意である。
同期信号発生部112は、所定の同期パタンを発生し、それを選択部113に供給する。この同期パタンは、どのようなものであってもよく、そのデータ長も任意である。
選択部113は、適宜入力を選択することにより、CRC付加部111から供給される巡回冗長検査符号が付加された気象観測データTMに、同期信号発生部112から供給される同期パタンを付加し、送信データQDを生成する。
選択部113は、このように、巡回冗長検査符号および同期パタンが付加された気象観測データTMである送信データQDを、レジスタ115に供給する。
図7の上から2段目に示されるように、各フレームにおいて、気象観測データTMはペイロード(PAYLOAD)としてコピーされ、フレームチェックシーケンス(FCS)が付加される。また、同期パタン(プリアンブル(Preamble)、SFD、フレームコントロール(FC)、シーケンス番号(SN)、および送受信機アドレス(ADR))が付加される。
この同期パタンは、気象観測データTMに依存しない情報である。換言するに、この同期パタンの全ビット(13オクテット)は、受信装置において既知である。このように受信側にとって「既知」の情報を同期パタン(SYNC)と称する。上述した構成例は一例であり、同期パタン(SYNC)の構成は任意である。例えば、同期パタン(SYNC)に上述した以外の情報が含まれるようにしてもよいし、上述した情報の一部若しくは全部が同期パタン(SYNC)に含まれていなくてもよい。
これに対して、ペイロード(PAYLOAD)として伝送される気象観測データTMと、フレームチェックシーケンス(FCS)は、受信装置が予め推測することができない情報である。このように受信側にとって「知らない」情報をUND(UNknown Data)と称する。
図5のフレームカウンタ114は、送信したフレーム数をカウントするカウンタであり、0から99までをカウントし、そのカウント値をレジスタ115に供給する。
レジスタ115は、19オクテット(152ビット)のレジスタである。フレームカウンタ114から供給されるカウント値が「0」であるときに、レジスタ115は、選択部113の出力(1フレーム分の送信データQD)を取り込んで内部に保持する。レジスタ115は、次に、フレームカウンタ114から供給されるカウント値が「0」になるまで、その1フレーム分の送信データQDを保持する。レジスタ115は、保持している値を、適宜、インタリーブ部116に供給する。つまり、スーパーフレーム(Super Frame)期間中は同一の送信データQDがレジスタ115から出力される。次に、フレームカウンタ114から供給されるカウント値が「0」になると、レジスタ115は、新たに、選択部113の出力(1フレーム分の送信データQD)を取り込んで内部に保持する。
送信装置10(図1)の場合、選択部13から出力される送信データQDは、乗算部15に供給され、Gold符号発生部14において発生された擬似乱数列と乗算される。つまり、図7の上から3段目に示されるように、まず同期パタン(SYNC)が送出され、次にUNDが送出される構成であった。
これに対して、送信装置100においては、インタリーブ部116が、図7の上から4段目に示されるように、同期パタン(SYNC)を分解し、UNDの間に分散させる。この分散は、同期パタン(SYNC)が、ほぼ均等にばらまかれるようになされる。つまり、インタリーブ部116は、送信データQDの、受信側にとって既知の部分が、その送信データ内により均一に分散するように、その送信データを並び替える。
図7の例の場合、同期パタン(SYNC)が13オクテットの情報であり、UNDが6オクテットの情報である。13オクテットの同期パタン(SYNC)を1オクテットずつ分解し、SYNC0乃至SYNC12とし、6オクテットのUNDを1オクテットずつ分解し、UND0乃至UND5とすると、インタリーブ部116は、これらを例えば次のような順に並び替える。
SYNC0,SYNC1,UND0、SYNC2、SYNC3,UND1,・・・,UND5,SYNC12
このように受信装置にとって既知の同期パタンを、フレーム全体にばらまいて(分散させて)送信することにより、その信号を受信する受信装置において、送信キャリアの周波数と初期位相推定を、短いフレーム毎に正確に行うことができるようになる。この結果、短い連続送信時間であっても、受信装置が高感度に受信することができるようになる。
図7の上から5段目にその並び替えられた送信データQDの例を示す。インタリーブ部116は、以上のように並び替えられた送信データQDを、乗算部118に供給する。
Gold符号発生部117は、2つのM系列 (Maximum Sequence)発生器で構成され、長さ256ビット(256chips)の擬似乱数列を発生する。例えば、Gold符号発生部117は、その擬似乱数列として、長さ256ビットの所定のパターンのビット列を生成する。この擬似乱数列は、どのようなものであってもよく、そのデータ長も任意である。Gold符号発生部117は、それを乗算部118に供給する。
乗算部118は、インタリーブ部116から供給される、並び替えられた送信データQDと、Gold符号発生部117から供給される擬似乱数列とを乗算することにより擬似乱数列PNを生成する。つまり、乗算部118は、送信データQDの各ビットに対して擬似乱数列を割り当て、各送信パケットから、38400ビット(152bit x 256chips)の擬似乱数列PNを生成する。
その際、送信データQDの値が「0」のビット(QD=0)に対して割り当てられる擬似乱数列と、送信データQDの値が「1」のビット(QD=1)に対して割り当てられる擬似乱数列とは、各ビットの値が互いに反転している。つまり、例えば、乗算部118は、送信データQDの値が「0」のビット(QD=0)に対して擬似乱数列を割り当て、送信データQDの値が「1」のビット(QD=1)に対して各ビットの値を反転させた擬似乱数列を割り当てる。より具体的には、例えば、乗算部118は、図7の最下段に示されるように、送信データQDの値が「1」のビット(QD=1)に対して擬似乱数列「1101000110100......1001」を割り当て、送信データQDの値が「0」のビット(QD=0)に対して擬似乱数列「0010111001011......0110」を割り当てる。
この擬似乱数列PNにおいて、拡散係数は、図2の例と同様に256であり、チップ間隔Δは、図2の例と同様に5μsである。乗算部118は、以上のように生成した擬似乱数列PNを乗算部120に供給する。
キャリア発振部119は、無線伝送に用いるキャリア周波数を発振して乗算部120に供給する。乗算部120は、擬似乱数列PNに応じてキャリア周波数の極性を変調することにより、DSSS方式としてBPSK変調を行う。
すなわち、擬似乱数列PNが「1」の場合、キャリアの位相がπとなるように変調され、擬似乱数列PNが「0」の場合、キャリアの位相が−π(極性反転)となるように変調される。
乗算部120は、その変調結果を変調信号CMとしてバンドパスフィルタ(BPF)121に供給する。
このようにして極性反転された変調信号CMは、切り替え点の部分で急激に変化することから、幅広い周波数成分に広がっている。このまま無線伝送すると類似する帯域の無線通信に影響を与えてしまう。
そこでバンドパスフィルタ121は、変調信号CMの周波数成分をキャリア周波数付近に制限する。バンドパスフィルタ121は、このように帯域制限した変調信号CMを送信信号TXとして増幅部122に供給する。
増幅部122は、供給された送信信号TXを増幅し、アンテナ123から電波(無線信号)として輻射させる。つまり、増幅部122は、増幅した送信信号TXを、無線信号として、アンテナ123を介して送信する。
以上のようにすることにより、送信フレームは、受信装置が既知である同期パタン(SYNC)が、ほぼ均等にばらまかれた状態で、0.2秒以下のフレームとしてアンテナ123より送信される。したがって、送信装置100は、受信感度の低減を抑制することができる。
換言するに、送信装置100は、装置全体の消費電力の増大を抑制しながら、より遠距離への無線信号の送信を実現することができる。したがって、この送信装置100を適用することにより、例えば、山岳地帯等のような気象データを人力で観測することが困難な場所であり、かつ、大規模な外部電源の確保が困難な場所に設置される気象観測装置31において得られる気象観測データを、例えば麓の市街地等(大学等の研究施設やデータセンタ等の施設内等)に送信するシステムを、より容易に実現することができる。
<送信処理の流れ>
次に、以上のような送信装置100において実行される送信処理の流れの例を、図8のフローチャートを参照して説明する。送信するデータ(例えば気象観測データ)が入力されると、送信装置100は、送信処理を開始する。
送信処理が開始されると、CRC付加部111は、ステップS101において、その送信するデータ(ペイロード)に巡回冗長検査符号(CRC)を付加する。
ステップS102において、同期信号発生部112は、所定の同期パタン(受信装置にとって既知の)を生成し、選択部113は、その同期パタンを送信するデータに付加し、1フレーム分の送信データQDを生成する。
ステップS103において、レジスタ115は、フレームカウンタ114のカウント値が「0」のタイミングで、ステップS102において生成された、1フレーム分の送信データQDを記憶する。
ステップS104において、フレームカウンタ114は、レジスタ115に保持されている1フレーム分の送信データQDの送信回数をカウントする。
ステップS105において、インタリーブ部116は、レジスタ115に保持されている1フレーム分の送信データQDを読み出す。
ステップS106において、インタリーブ部116は、その送信データQDの同期パタンとUNDをそれぞれ分割し、同期パタンがより均一に分散するように、並べ替える。
ステップS107において、Gold符号発生部117は、所定の擬似乱数列を生成する。
ステップS108において、乗算部118は、その擬似乱数列を、並べ替えられた送信データQDに乗算し、擬似乱数列PNを生成する。
ステップS109において、キャリア発振部119は、キャリア信号を生成する。
ステップS110において、乗算部120は、擬似乱数列PNに応じてキャリア信号の極性を変調し、変調信号を生成する。
ステップS111において、バンドパスフィルタ121は、変調信号の周波数をキャリア周波数付近に制限し、送信信号TXを生成する。
ステップS112において、増幅部122は、その送信信号TXを増幅し、アンテナ123を介して、無線信号として送信する。
上述した各ステップの処理は、任意の順序で実行することができ、並列的に実行することもでき、また、必要に応じて繰り返し実行される。そして、送信処理の各処理は、送信するデータの入力が続く間、フレーム毎に繰り返し実行される。
以上のように送信処理を実行することにより、送信装置100は、送信フレームにおいて、受信装置が既知である同期パタン(SYNC)をほぼ均等に分散させて、0.2秒以下のフレームとして送信することができ、受信感度の低減を抑制することができる。
なお、以上においては、送信装置100が、BPSK変調を行うように説明したが、位相変位量は任意であり、これに限らない。例えば、QPSK変調(4位相偏移変調)を行うようにしてもよい。QPSK変調の場合、位相変位量はπ/2であり、搬送波の位相は、0、π/2、π、3π/2の4通りである。この場合、送信装置100のGold符号発生部118が、送信データ列QDを4位相に変位させるような擬似乱数列を生成し、乗算部118がその擬似乱数列を送信データ列QDに乗算することにより、キャリア周波数をQPSK変調(4位相偏移変調)させる擬似乱数列PNを生成するようにすればよい。
なお、送信装置100が送信するデータは任意であり、上述した気象観測データに限定されない。つまり、送信装置100は、任意のシステムに適用することができ、上述した気象データを観測するシステム以外のシステムにも適用することができる。
また、以上においては、送信装置100が、送信信号TXを無線信号として送信するように説明したが、送信装置100が任意の有線の通信媒体を介して送信信号TXを送信するようにしてもよい。
<2.第2の実施の形態>
<送信信号TXの受信>
以上のように、受信装置が既知である同期パタン(SYNC)をほぼ均等に分散させて、0.2秒以下のフレームとして送信された送信信号TXを受信するために、送信データの既知の部分が、送信データ内により均一に分散するように並び替えられた送信データを送信する送信信号を受信し、その受信された送信信号である受信信号のフレームの先頭位置を検出し、先頭位置が検出された受信信号の各フレームについて、所定のパラメータを算出し、算出されたパラメータを用いて、受信信号の各フレームを補正し、補正された受信信号の各フレームを積算し、積算された受信信号から送信データを復号する。
このようにすることにより、最大連続送信時間が短く設定された送信信号TXを受信し、復号することができる。したがって、混信に対して強い送受信システムを構築可能である。また、電波法に定められた最大送信時間の制限を超えずに、実効的なSNRを向上させることができる。さらに、フレーム中に位相揺らぎがあった場合においても、最適な位相と周波数の補正が可能である。これらの結果、従来よりも微弱な受信信号であって、例えばノイズに埋もれてしまうような場合であっても正しく復号することができる。つまり、受信感度の低減を抑制することができる。
なお、受信信号より既知の同期パタンを抜き出し、既知拡散符号を生成し、高速フーリエ変換を行って複素スペクトルを求め、受信信号の高速フーリエ変換を行って複素受信信号スペクトルを求め、複素スペクトルおよび複素受信信号スペクトルの高速フーリエ逆変換を行って相互相関値を求め、所定の時間における相互相関値を求め、相互相関値のピークをフレームの先頭位置として検出するようにしてもよい。
また、大きさ順に最大値から所定のフレーム数までの値を、相互相関値のピークとして検出するようにしてもよい。
また、パラメータとして、所定の時間ブロック毎に、受信信号の周波数補正値と、受信信号の初期位相とを求め、時間ブロック毎に、算出された周波数補正値を用いて受信信号の周波数を補正し、算出された初期位相を用いて受信信号の初期位相を補正するようにしてもよい。
また、パラメータとして、所定の時間ブロック毎に、受信信号と既知の同期パタンとの相関性を示す相互相関値を求め、算出された相互相関値を時間ブロックの重み係数として、補正された受信信号の各フレームを積算するようにしてもよい。
なお、送信信号は、キャリア信号の位相が2位相偏移変調されているようにしてもよいし、キャリア信号の位相が4位相偏移変調されているようにしてもよい。
また、送信データの未知の部分には、送信対象の情報と情報の巡回冗長検査符号とが含まれ、巡回冗長検査符号を用いて、送信データに含まれる送信対象の情報の誤り判定を行うようにしてもよい。
<受信装置>
図9は、本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態である受信装置の主な構成例を示す図である。図9に示される受信装置200は、図5の送信装置100から送信される送信信号TXを受信し、復調し、例えば、気象観測データ(例えば、気温、日照、雨量、風向、風速等の観測データ)等を得る装置である。受信装置200は、例えば、麓の市街地等大学等の研究施設やデータセンタ等の施設内等)に設置され、山岳地帯等に設置された送信装置100から送信される無線信号(すなわち、遠距離から送信された無線信号)を受信する。
図9に示されるように、受信装置200は、アンテナ211、低ノイズ増幅部212、バンドパスフィルタ(BPF)213、キャリア発振部214、乗算部215、90度シフタ216、乗算部217、A/D変換部218、メモリ219、およびCPU220を有する。
低ノイズ増幅部212は、アンテナ211を介して無線信号(送信信号TX)を受信し、その受信信号を増幅し、バンドパスフィルタ213に供給する。
バンドパスフィルタ213は、受信信号から不要な周波数成分を除去し、それを乗算部215および乗算部217に供給する。
キャリア発振部214は、送受信で用いる所定の周波数のキャリア周波数の信号を発生させる。例えば920MHz帯で送られた信号を受信する場合、キャリア発振部214は920MHzを発振する。キャリア発振部214は、その発振信号(キャリア信号)を乗算部215および90度シフタ216に供給する。
乗算部215は、バンドパスフィルタ213から供給される受信信号と、キャリア発振部214から供給されるキャリア信号とを乗算し、ベースバンドのInPhase信号(I信号)を生成する。乗算部215は、そのI信号をA/D変換部218に供給する。
90度シフタ216は、キャリア発振部214から供給されるキャリア信号の位相を90度シフトする。90度シフタ216は、その位相シフトされたキャリア信号を乗算部217に供給する。
乗算部217は、バンドパスフィルタ213から供給される受信信号と、90度シフタ216から供給される、90度位相シフトされたキャリア信号とを乗算し、ベースバンドのQuadrature信号(Q信号)を生成する。乗算部215は、そのQ信号をA/D変換部218に供給する。
A/D変換部218は、供給されるI信号とQ信号をそれぞれA/D変換し、それらのデジタルデータをメモリ219に供給して記憶させる。A/D変換部218の変換レートは、送信に用いたチップレートを超えるレートが必要である。例えば、Δ=5μsとしてチップレート200K/sの送信が行われた場合、A/D変換部218は、少なくとも200KHz以上の変換レートでA/D変換を行う必要がある。
メモリ219は、所定の記憶媒体を有し、A/D変換部218から供給されるI信号およびQ信号のデジタルデータを取得し、その記憶媒体に記憶する。この記憶媒体はどのようなものであってもよく、例えば、半導体メモリであってもよいし、ハードディスク等の磁気記録媒体であってもよいし、それら以外の記憶媒体であってもよい。A/D変換部218において、8ビット精度、2倍の変換レート(400KHz)で、30秒間A/D変換が行われた場合、メモリ219には24メガバイト(24Mbyte)のI信号およびQ信号のデジタルデータが蓄積される。
CPU220は、メモリ219に蓄積されたI信号およびQ信号のデジタルデータを読み出し、復号処理を行い、気象観測データTMを復元する。CPU220は、復元した気象観測データTMを出力する。
このようにすることにより、受信装置200は、送信装置100が送信した送信信号を受信して復号することができる。つまり、受信装置200は、既知である同期パタン(SYNC)が、ほぼ均等にばらまかれた状態の、0.2秒以下のフレームとして送信された送信フレームを受信して正しく復号し、気象観測データTMを得ることができる。したがって、受信装置200は、受信感度の低減を抑制することができる。
換言するに、受信装置200は、装置全体の消費電力の増大を抑制しながら、より遠距離への無線信号の送信を実現することができる。したがって、この受信装置200を適用することにより、例えば、山岳地帯等のような気象データを人力で観測することが困難な場所であり、かつ、大規模な外部電源の確保が困難な場所に設置される気象観測装置31において得られる気象観測データを、例えば麓の市街地等(大学等の研究施設やデータセンタ等の施設内等)に送信するシステムを、より容易に実現することができる。
<受信処理の流れ>
次に、以上のような受信装置200において実行される受信処理の流れの例を、図10のフローチャートを参照して説明する。
受信処理が開始されると、受信装置200の低ノイズ増幅部212は、ステップS201において、アンテナ211を介して無線信号(送信信号TX)を受信する。
ステップS202において、低ノイズ増幅部212は、ステップS201において受信された無線信号である受信信号を増幅する。
ステップS203において、バンドパスフィルタ213は、ステップS202において増幅された受信信号から、不要な周波数成分を除去する。
ステップS204において、キャリア発振部214は、所定の周波数で発振し、キャリア信号を生成する。
ステップS205において、乗算部215は、受信信号に対して、そのキャリア信号を乗算することにより、I信号を生成する。
ステップS206において、90度シフタ216は、キャリア信号の位相を90度シフトする。そして、乗算部217は、受信信号に対して、その90度位相シフトされたキャリア信号を乗算することにより、Q信号を生成する。
ステップS207において、A/D変換部218は、ステップS205において生成されたI信号と、ステップS206において生成されたQ信号とをそれぞれA/D変換する。
ステップS208において、メモリ219は、ステップS208において生成された、I信号のデジタルデータとQ信号のデジタルデータをそれぞれ記憶する。
ステップS209において、CPU220は、そのI信号のデジタルデータとQ信号のデジタルデータをメモリ219から読み出して、復号演算処理を行い、それらを復号する。
全てのフレームについて受信処理が行われると、受信処理が終了する。
<復号演算処理の流れ>
次に、図10のステップS209において実行される復号演算処理の流れの例を、図11のフローチャートを参照して説明する。
復号演算処理が開始されると、CPU220は、ステップS221において、キャリア周波数補正を行う。キャリア発振部214の発振周波数は、環境温度により若干の周波数ずれが生じている可能性がある。そこでCPU220は、環境温度を測定し、キャリア周波数の微妙な偏差を推測し、その補正を行う。
例えば、環境温度から推定される周波数偏差をεとすると、CPU220は、以下の式(1)および式(2)の演算を行い、I信号およびQ信号の周波数ずれを補正する。
式(1)において、I'(t)は、補正後のI信号の時刻tにおけるサンプル値である。また、式(2)において、Q'(t)は、補正後のQ信号の時刻tにおけるサンプル値である。
ステップS222において、CPU220は、フレーム先頭位置検出処理を実行し、100箇所のフレーム先頭位置検出を行う。
ステップS223において、CPU220は、ステップS222において検出されたフレーム先頭位置から1フレーム分の受信信号(I信号とQ信号と)を切り出す。なお、検出されたフレームの番号をnとする。
ステップS224において、CPU220は、パラメータ算出処理を実行し、ステップS223において切り出されたI信号およびQ信号と、同期信号(SYNC)との相関値を演算して求め、β(n)とする。また、CPU220は、その相関値β(n)を最大とする周波数補正値γ(n)、初期位相θ(n)をそれぞれ求める。
ステップS225において、CPU220は、ステップS224において算出した周波数補正値γ(n)および初期位相θ(n)を用いて、受信信号に対して、周波数補正と初期位相の補正を行う。
ステップS226において、CPU220は、ステップS225において補正された受信信号をフレームデータに加算する。このとき、CPU220は、相関値β(n)を重み係数として、加算する受信信号に対して重み付けを行う。
ステップS227において、CPU220は、以上の処理が100フレームの全てを処理したか否かを判定する。未処理のフレームが存在すると判定された場合、処理はステップS222に戻り、それ以降の処理を繰り返す。各フレームに対して、ステップS222乃至ステップS227の各処理が実行され、ステップS227において、全てのフレームが処理されたと判定された場合、処理はステップS228に進む。
ステップS228において、CPU220は、加算されたフレームデータに対してGold符号を乗算した後に積算することにより、逆拡散して復号処理を行い、気象観測データTMを復元する。
ステップS229において、CPU220は、CRC演算を行うことにより誤り判定を行う。
ステップS230において、CPU220は、ステップS229の誤り判定において誤りが検出され無ければ、復号データとして気象観測データTMを出力する。
ステップS230の処理が終了すると、復号演算処理が終了し、処理は図10戻る。
<フレーム先頭位置検出処理の流れ>
次に、図11のステップS222において実行されるフレーム位置検出処理の流れの例を、図12のフローチャートを参照して説明する。
ここで受信信号のレベルが低い場合においては、送信された信号がノイズに埋もれていて、従来手法ではフレームの先頭位置を見つけることができない。そこでCPU220は、フレーム全体に分散された既知の同期パタン(SYNC)を用いてフレーム先頭位置検出を行う。
フレーム位置検出処理が開始されると、CPU220は、ステップS251において、同期パタン(SYNC)を抜き出した既知同期波形を作成する。すなわち、CPU220は、送信データQDにおいて、同期パタン(SYNC)に相当するビットの「0」を「+1」に置き換え、「1」を「−1」に置き換える。また、CPU220は、送信データQDにおいて、UNDに相当するビットを全てゼロとする。
ステップS252において、CPU220は、Gold符号を乗算し、既知拡散符号ref(t,n)を作成する。
ステップS253において、CPU220は、この既知拡散符号ref(t,n)を高速フーリエ変換(FFT(Fast Fourier Transform))することにより、R(k、n)を求める。
ステップS254において、CPU220は、I信号およびQ信号(I'(t)、Q'(t))を高速フーリエ変換することにより、複素受信信号スペクトルS(k) を求める。ここで、R(k)およびS(k)は、共に複素スペクトラムである。
ステップS255において、CPU220は、周波数の微小シフトζを設定し、複素スペクトルの乗算として相互相関値 c(t、ζ) を求める。この総合相関値は、以下の式(3)のように高速フーリエ逆変換(IFFT(Inverse Fast Fourier Transform))を用いて求める。
なお、S*(k)はS(k)の複素共役成分である。
ここで周波数シフトζの演算は、上述した式(1)と式(2)で説明した演算を行わねばならず、演算に非常に長い時間を必要とする。しかしながら、FFTとIFFTを使うことにより、周波数シフトの演算が配列の読み出し位置シフトで置き換えられている。従って式(3)の演算は高速である。またS(k)は、バンドパスフィルタを通過した信号である。したがって、式(3)での乗算演算(R(k-ζ)とS*(k))は、あらかじめ限られた周波数領域の範囲外であれば、結果がゼロになっている。したがって、式(3)の演算は高速実行することができる。
このように高速フーリエ変換(FFT)と、高速フーリエ逆変換(IFFT)を使うことにより、CPU220は、相関演算をより高速に行うことができる。
周波数の微少シフトζは、フレーム先頭位置によって変化している可能性がある。そこで、CPU220は、ステップS256において、以下の式(4)のように、微少シフトζの値を順次シフトしながら c(t, ζ)の絶対値を加算していくことにより、時間tにおける相互相関値α(t)を求める。
図13は、このように演算することにより求めたα(t)のプロットの例を示す図である。プロットした12秒間に、ほぼ周期的(0.3秒おき)にピークが立っていることが解る。これらのピーク位置が、すなわちフレームの先頭位置である。またピークの値が一定で無くて、時間によって大きく変動していることが解る。このような変動の原因は、フェージングや送受信機のキャリア発振器の位相回転など、様々な理由が考えられる。
図13のプロット例は、比較的SNRが良好な状態におけるプロット例を示しており、α(t)のピーク位置を容易に判別することができる。しかしながら、例えば、通信における電界強度が低下した状態では、α(t)の振幅が低下してノイズに埋もれていくので、図13の例のように明快にピーク位置を見つけ出すことが困難になるおそれがある。
ステップS257において、CPU220は、ピーク検出処理を実行して、相互相関値α(t)のピークを見つけ出すことにより、フレーム先頭位置を検出する。ここでn番目のフレームにおける相互相関値をβ(n)とする。α(t)がピークとなる時間をtnとすると、α(t)とβ(n)との関係は、以下の式(5)のように表すことができる。
図14は、このように演算することにより求めたβ(n)のプロット例を示す図である。図14の例の場合、約0.3秒おきにフレーム先頭位置が見つかっている。また電波状況により、ところどころピークが立ってない(つまりフレーム先頭位置が見つからない)。
ステップS257の処理が終了すると、フレーム先頭位置検出処理が終了し、処理は図11に戻る。
<ピーク検出処理の流れ>
次に、図15のフローチャートを参照して、図12のステップS257において実行されるピーク検出処理の流れの例を説明する。
ピーク検出処理が開始されると、CPU220は、ステップS271において、フレームカウンタnの値をゼロに初期化する。
ステップS272において、CPU220は、30秒間の全領域においてマスクを解除する。マスクは、後述するピーク検出を除外する時間領域である。
ステップS273において、CPU220は、マスクが設定されていない全時間領域において、相互相関値α(t)の最大値を検出する。図17にその検出の様子の例を示す。相互相関値α(t)が最大になる時間は、フレームの先頭と考えられる時間である。
そこで、ステップS274において、CPU220は、この時間をtnとして格納する。また、CPU220は、β(n)=α(tn)として、相関値のピークを格納する。つまり、CPU220は、相互相関値β(n)とピーク時刻tnを設定する。
検出されたピーク位置がフレームの先頭であるとすると、この前後0.2秒間には別のフレームが存在しない。
そこでステップS275において、CPU220は、ステップS273において検出されたピークの前後0.2秒間にマスクを設定する。マスク設定の様子の例を図18に示す。
次に、ステップS276において、CPU220は、フレームカウンタnの値に「1」を加えて更新する。
ステップS277において、CPU220は、フレームカウンタの値が「100」に達したか否かを判定する。つまり、CPU220は、想定している全フレームの検出が終了したか否かを判定する。
カウント値が100に達しておらず、想定している全フレームの検出が終了ていないと判定された場合、処理はステップS273に戻り、それ以降の処理を繰り返す。つまり、再度、上述したような最大値検出が行われる。なお、この場合、既にフレーム先頭が見つけられている時間には、ステップS275の処理によってマスクが設定されている。したがって、CPU220は、図18乃至図21に示されるように、その設定済みのマスクを避けながら最大値検出を行う。
以上のようにして最大値検出が繰り返し行われ、ステップS277において、所定の数(100箇所)のピークが見つかったと判定された場合、処理はステップS278に進む。
以上の処理により、β(n)に格納されている順番は、α(tn)のピークが大きい順番に並んでいる。そこでステップS278において、CPU220は、そのβ(n)の順番をピークが発生した時間順に並べ替える。
ステップS278の処理が終了すると、ピーク検出処理が終了し、処理は図12に戻る。
以上のように、ピークが高い順番にフレーム先頭位置を見つけていくことにより、CPU220は、SNRが低い場合においても、より正確にフレーム先頭位置を見つけることができる。
<パラメータ算出処理の流れ>
次に、図22のフローチャートを参照して、図11のステップS224において実行されるパラメータ算出処理の流れの例を説明する。
パラメータ算出処理が開始されると、CPU220は、ステップS291において、フレーム毎に切り出されたI信号およびQ信号に対して、周波数変移γ(n)の値を仮設定する。例えば、CPU220は、仮設定されたγの値として、-50Hzから+50Hzまでを5Hzステップで設定する。
ステップS292において、CPU220は、初期位相θ(n)の値を仮設定する。例えば、CPU220は、仮設定されたθの値として、-180度から+160度までの値を20度刻みで設定する。
ステップS293において、CPU220は、ステップS291において設定された仮周波数変移γと、ステップS292において設定された仮初期位相θに基づいて、切り出されたI信号およびQ信号と同期部分だけの既知拡散符号ref(t,n)との相関値ε(γ、θ)を演算する。
ステップS294において、CPU220は、その相関値ε(γ、θ)のピーク値を求め、β2(n)とする。また、CPU220は、相関値ε(γ、θ)のピークを与えるγとθの値を、それぞれ、周波数補正値γ(n)と初期位相θ(n)として求める。
ステップS295において、CPU220は、初期位相θの全ての領域について処理を行ったか否かを判定する。未処理の領域が存在すると判定された場合、処理はステップS292に戻り、それ以降の処理が繰り返される。ステップS292乃至ステップS295の各処理が繰り返し実行され、ステップS295において、初期位相θの全ての領域について処理を行ったと判定された場合、処理はステップS296に進む。
ステップS296において、CPU220は、周波数変移γの全ての領域について処理を行ったか否かを判定する。未処理の領域が存在すると判定された場合、処理はステップS291に戻り、それ以降の処理が繰り返される。ステップS291乃至ステップS296の各処理が繰り返し実行され、ステップS296において、周波数変移γの全ての領域について処理を行ったと判定された場合、処理はステップS297に進む。
ステップS297において、CPU220は、相関値εのピークを与える各パラメータの値を相関値β(n)、周波数補正値γ(n)、初期位相θ(n)として決定する。
ステップS297の処理が終了すると、パラメータ算出処理が終了し、処理は図11に戻る。
以上の処理により得られる3つの値、β2(n)、γ(n)、θ(n)は、既知拡散符号ref(t,n)との相関値が最も大きくなっている値である。
図23の上段は、実験観測された0.2秒のフレーム中での位相変化の例を示している。図23においては、フレーム5(Frame5)乃至フレーム8(Frame8)を抽出して表示しているが、それぞれ微妙に位相と周波数が変化している。CPU220は、上述したようにパラメータ算出処理を実行することにより、このように揺らいでいる位相に対して、図23の下段に示されるように、位相変化を最もよく近似する直線を求めることができる。
図23の下段において、それぞれの直線の傾きがγ(n)に相当し、初期位相がθ(n)に相当している。また相関値β2(n)は、位相揺らぎと近似直線との相関に応じて変化している。
上述した各ステップの処理は、任意の順序で実行することができ、並列的に実行することもでき、また、必要に応じて繰り返し実行することができる。
以上に説明したように、送信装置100や受信装置200を適用することにより、最大連続送信時間短く設定することができる。例えば920MHz帯で0.2秒と設定することにより、沢山の周波数チャネルから選択して送信することができるので、混信に対してより強い送受信システムを構築することができる。また、短い時間のフレームを多数積算することにより、電波法に定められた最大送信時間の制限を超えずに、実効的なSNRを向上させることができる。このとき、同期信号がフレーム全体に分散されているので、フレーム中に位相揺らぎがあった場合においても、より適切に位相と周波数の補正を行うことができる。これらの結果、例えば、ノイズに埋もれてしまい従来の方法では復号することが困難な程微弱な受信信号であっても、受信装置200は、より正しく復号することができる。
また、複数のフレームを積算する際に、相関係数β(n)を重みとして乗算しながら積算するので、受信装置200は、一部のフレームが欠落した場合、一部のフレームに大きな位相揺らぎがあった場合、または、一部のフレームを誤検出した場合等においても、相関係数β(n)の値が小さくなるので、その影響を緩和して、より正しいデータを復号することができる。
本技術を適用した送信装置100および受信装置200により送受信を行い復号した結果のコンスタレーションを図24に示す。図24に示されるように、BPSK変調として、2つの点が分離されていることから、この場合、正しくデータが復号されている。
以上の説明では0.2秒のフレームを30秒間に渡って100回送信する例を説明したが、これらの数値は一例であり、この例に限定されない。例えば、送信するフレーム数を必要に応じて変化させるようにしてもよい。また受信装置200がACK情報(受信確認情報)を送信装置100に返すようにし、ACK情報が返された時点でフレーム送信を打ち切るようにしてもよい。
また、以上においては、100回のフレームで送信される送信信号が全て同一であるとして説明したが、この例に限定されない。例えば、送受信でフレーム番号を特定することができる場合等において、フレーム番号毎にゴールド系列(拡散系列)を変えるように構成するようにしてもよい。
また、以上においては、送信した100回のフレームの全てを検出するとして説明したが、この例に限定されない。例えば雑音などの影響を考慮して、100回中の98回を検出するように構成してもよい。
なお、以上においては、受信装置200が受信する無線信号(送信信号TX)がBPSK変調されているように説明したが、位相変位量は任意であり、これに限らない。例えば、QPSK変調(4位相偏移変調)されているようにしてもよい。この場合も、受信装置200は、送信装置100と同様の擬似乱数列を生成し、その擬似乱数列を用いて復号するようにすればよい。
なお、受信装置200が受信するデータは任意であり、上述した気象観測データに限定されない。つまり、受信装置200は、任意のシステムに適用することができ、上述した気象データを観測するシステム以外のシステムにも適用することができる。
また、以上においては、受信装置200が、送信信号TXを無線信号として受信するように説明したが、受信装置200が任意の有線の通信媒体を介して送信される送信信号TXを受信するようにしてもよい。
<3.第3の実施の形態>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図25は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図25に示されるコンピュータ600において、CPU(Central Processing Unit)611、ROM(Read Only Memory)612、RAM(Random Access Memory)613は、バス614を介して相互に接続されている。
バス614にはまた、入出力インタフェース620も接続されている。入出力インタフェース620には、入力部621、出力部622、記憶部623、通信部624、およびドライブ625が接続されている。
入力部621は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部622は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部623は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部624は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ625は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア631を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU611が、例えば、記憶部623に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース620およびバス614を介して、RAM613にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM613にはまた、CPU611が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
コンピュータ(CPU611)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア631に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア631をドライブ625に装着することにより、入出力インタフェース620を介して、記憶部623にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部624で受信し、記憶部623にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM612や記憶部623に、あらかじめインストールしておくこともできる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、上述した各ステップの処理は、上述した各装置、若しくは、上述した各装置以外の任意の装置において、実行することができる。その場合、その処理を実行する装置が、上述した、その処理を実行するのに必要な機能(機能ブロック等)を有するようにすればよい。また、処理に必要な情報を、適宜、その装置に伝送するようにすればよい。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
また、本技術は、これに限らず、このような装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 送信データの前記受信側にとって既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように、前記送信データを並び替える並び替え部と、
前記並び替え部により並び替えられた前記送信データを用いて、キャリア信号を位相変調する変調部と、
前記変調部により位相変調された前記キャリア信号である送信信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
(2) 前記並び替え部は、前記送信データの前記受信側にとって既知の部分と、前記送信データの前記受信側にとって未知の部分とを、それぞれ複数に分割し、分割された前記既知の部分の各部分データと、分割された前記未知の部分の各部分データとが交互に並ぶにように並び替える
(1)に記載の信号処理装置。
(3) 前記送信データは、13オクテットの前記受信側にとって既知の部分と、6オクテットの前記受信側にとって未知の部分とにより構成され、
前記並び替え部は、前記受信側にとって既知の部分を2オクテットずつに分割し、前記受信側にとって未知の部分を1オクテットずつに分割し、2オクテットの前記既知の部分の部分データと、1オクテットの前記未知の部分の部分データとが交互に並ぶように並び替える
(2)に記載の信号処理装置。
(4) 前記送信データの前記受信側にとって未知の部分は送信対象の情報を含み、前記送信データの前記受信側にとって既知の部分は、前記送信対象の情報に付加される所定の同期パタンを含む
(1)乃至(3)のいずれかに記載の信号処理装置。
(5) 前記送信データの前記受信側にとって未知の部分は、前記送信対象の情報の巡回冗長検査符号をさらに含む
(4)に記載の信号処理装置。
(6) 前記変調部は、前記並び替え部により並び替えられた前記送信データを用いて、前記キャリア信号の位相を2位相偏移変調する
(1)乃至(5)のいずれかに記載の信号処理装置。
(7) 前記変調部は、前記並び替え部により並び替えられた前記送信データを用いて、前記キャリア信号の位相を4位相偏移変調する
(1)乃至(6)のいずれかに記載の信号処理装置。
(8) 前記並び替え部は、同一の前記送信データを複数回並び替え、
前記変調部は、前記並び替え部により前記送信データが並び替えられる度に、前記キャリア信号を位相変調し、
前記送信部は、前記変調部により前記キャリア信号が位相変調される度に、前記送信信号を送信する
(1)乃至(7)のいずれかに記載の信号処理装置。
(9) 送信データの前記受信側にとって既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように、前記送信データを並び替え、
並び替えられた前記送信データを用いて、キャリア信号を位相変調し、
位相変調された前記キャリア信号である送信信号を送信する
信号処理方法。
(10) コンピュータを、
送信データの前記受信側にとって既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように、前記送信データを並び替える並び替え部と、
前記並び替え部により並び替えられた前記送信データを用いて、キャリア信号を位相変調する変調部と、
前記変調部により変調された前記キャリア信号である送信信号を送信する送信部と
して機能させるプログラム。
(11) 送信データの既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように並び替えられた前記送信データを送信する送信信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記送信信号である受信信号のフレームの先頭位置を検出する検出部と、
前記検出部により先頭位置が検出された前記受信信号の各フレームについて、所定のパラメータを算出するパラメータ算出部と、
前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータを用いて、前記受信信号の各フレームを補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記受信信号の各フレームを積算する積算部と、
前記積算部により積算された前記受信信号から前記送信データを復号する復号部と
を備える信号処理装置。
(12) 前記検出部は、
前記受信信号より既知の同期パタンを抜き出し、
既知拡散符号を生成し、
高速フーリエ変換を行って複素スペクトルを求め、
前記受信信号の高速フーリエ変換を行って複素受信信号スペクトルを求め、
前記複素スペクトルおよび前記複素受信信号スペクトルの高速フーリエ逆変換を行って相互相関値を求め、
所定の時間における相互相関値を求め、
相互相関値のピークを前記フレームの先頭位置として検出する
(11)に記載の信号処理装置。
(13) 前記検出部は、大きさ順に最大値から所定のフレーム数までの値を、前記相互相関値のピークとして検出する
(12)に記載の信号処理装置。
(14) 前記パラメータ算出部は、前記パラメータとして、所定の時間ブロック毎に、前記受信信号の周波数補正値と、前記受信信号の初期位相とを求め、
前記補正部は、前記時間ブロック毎に、前記パラメータ算出部により算出された前記周波数補正値を用いて前記受信信号の周波数を補正し、前記パラメータ算出部により算出された前記初期位相を用いて前記受信信号の初期位相を補正する
(11)乃至(13)のいずれかに記載の信号処理装置。
(15) 前記パラメータ算出部は、前記パラメータとして、所定の時間ブロック毎に、前記受信信号と既知の同期パタンとの相関性を示す相互相関値を求め、
前記積算部は、前記パラメータ算出部により算出された前記相互相関値を前記時間ブロックの重み係数として、前記補正部により補正された前記受信信号の各フレームを積算する
(11)乃至(14)のいずれかに記載の信号処理装置。
(16) 前記送信信号は、キャリア信号の位相が2位相偏移変調されている
(11)乃至(15)のいずれかに記載の信号処理装置。
(17) 前記送信信号は、キャリア信号の位相が4位相偏移変調されている
(11)乃至(16)のいずれかに記載の信号処理装置。
(18) 送信データの未知の部分には、送信対象の情報と前記情報の巡回冗長検査符号とを含み、
前記復号部は、前記巡回冗長検査符号を用いて、前記送信データに含まれる前記送信対象の情報の誤り判定を行う
(11)乃至(17)のいずれかに記載の信号処理装置。
(19) 送信データの既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように並び替えられた前記送信データを送信する送信信号を受信し、
受信された前記送信信号である受信信号のフレームの先頭位置を検出し、
先頭位置が検出された前記受信信号の各フレームについて、所定のパラメータを算出し、
算出された前記パラメータを用いて、前記受信信号の各フレームを補正し、
補正された前記受信信号の各フレームを積算し、
積算された前記受信信号から前記送信データを復号する
信号処理方法。
(20) コンピュータを、
送信データの既知の部分が、前記送信データ内により均一に分散するように並び替えられた前記送信データを送信する送信信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記送信信号である受信信号のフレームの先頭位置を検出する検出部と、
前記検出部により先頭位置が検出された前記受信信号の各フレームについて、所定のパラメータを算出するパラメータ算出部と、
前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータを用いて、前記受信信号の各フレームを補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記受信信号の各フレームを積算する積算部と、
前記積算部により積算された前記受信信号から前記送信データを復号する復号部と
して機能させるプログラム。