JP2019143322A - 引戸装置 - Google Patents

引戸装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019143322A
JP2019143322A JP2018026767A JP2018026767A JP2019143322A JP 2019143322 A JP2019143322 A JP 2019143322A JP 2018026767 A JP2018026767 A JP 2018026767A JP 2018026767 A JP2018026767 A JP 2018026767A JP 2019143322 A JP2019143322 A JP 2019143322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
door
door body
coil spring
sliding door
door device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018026767A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6678964B2 (ja
Inventor
賢志 西澤
Kenji Nishizawa
賢志 西澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SANREIZU KOGYO KK
Original Assignee
SANREIZU KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SANREIZU KOGYO KK filed Critical SANREIZU KOGYO KK
Priority to JP2018026767A priority Critical patent/JP6678964B2/ja
Publication of JP2019143322A publication Critical patent/JP2019143322A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6678964B2 publication Critical patent/JP6678964B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Wing Frames And Configurations (AREA)
  • Support Devices For Sliding Doors (AREA)
  • Special Wing (AREA)

Abstract

【課題】扉の開閉および室内の密閉を容易かつ安全に行え、しかも設計・施工の自由度が高く安価な引戸装置を提供する。【解決手段】戸口100の上部に配設される吊レール2と、吊レール2に転がり接触する走行ローラ4を介して吊下げられる扉本体3とを備えた引戸装置1において、扉本体3内にコイルばね5を内蔵させ、このコイルばね5を走行ローラ4に連結することにより、扉本体3をつり合い状態で吊レール2に吊り下げる。扉本体3の水平および上下移動は、吊レール2とは独立して設けられ、かつ、扉の閉位置に向けて下がり傾斜81aを有する開閉案内レール81上を扉本体3に設けたガイドローラ82が走行することによって案内する。【選択図】 図1

Description

この発明は、引戸装置に関し、より詳細には、放射線使用室、電波シールドルーム、防音室などの出入口に適した上吊式の引戸装置に技術に関する。
放射線使用室、電波シールドルーム、防音室などの出入口に使用される扉は、その用途に応じて、扉本体の内部に放射線遮蔽材、電磁波遮蔽材、吸音材などの機能材が内蔵されることから、扉本体の重量は数十kgから数百kg程度とかなりの重量になる一方で、扉を閉じたときの遮蔽性または密閉性が求められることなどから、この種の扉には、通常、上吊式の引戸装置が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
図17および図18は、従来の上吊式の引戸装置の一例を示している。
従来の引戸装置aは、戸口iの上部に水平に配設される吊レールbと、吊レールbに転がり接触する走行ローラdを介して水平移動可能に吊下げられる扉本体cとを主要部として構成されている。
この種の引戸装置aでは、扉本体cを閉じたときに、扉本体cが戸口iの周縁に密着することによって室内を密閉できるように、扉本体c側には、扉本体cを室内側に移動させるためのガイド溝eが設けられるとともに、吊レールb側には、扉本体cを落とし込しんで下降させるための切欠きfが設けられている。
すなわち、扉本体cを閉じる際には、扉本体cに形成されたガイド溝eが戸口の下枠hに設けられたガイド突起gとの係合状態を維持しながら扉本体cを室内側に案内するとともに、閉位置に到達すると、吊レールb上の走行ローラdが切欠きfに落とし込まれ、これにより扉本体cが戸口iに密着する、つまり、扉本体cの自重を利用して扉本体cを戸口iに密着させるように構成されている(たとえば、特許文献1の図3参照)。
特開2004−244963号公報
しかしながら、このような従来の引戸装置には以下の問題があり、その改善が求められていた。
(1)従来の引戸装置aでは、最終的に扉本体cの自重を利用して扉本体cを閉じることになるため、扉本体cを閉じる際(吊レールbの切欠きfに走行ローラdが落し込まれる際)に勢いよく扉が閉まるので、誤って、戸口と扉本体cとの間に手や指を挟んでしまうおそれがある。
(2)扉本体cを開く場合、切欠きfに落ち込んだ走行ローラdを吊レールb上に戻さなければならないが、扉本体cが重いため、扉本体cを開くのにはかなりの力が必要であった。なお、この点については、たとえば、てこの原理を利用して扉本体cを引き上げるように構成した引戸装置や扉本体cを引き上げるための動力源(たとえば、電動モータなど)を備えた引戸装置などが提案されているが、引戸装置aの構造が複雑になるという新たな問題が生じる。
(3)切欠きfに走行ローラdを落とし込む構成では、扉本体cを閉じる際に、戸先側の走行ローラdが扉の閉位置における戸尻側の切欠きfに落ち込まないようにする必要がある。つまり、戸先側および戸尻側の走行ローラdの位置を通常の扉における配設位置から変更する必要があった。
(4)切欠きf部に走行ローラdを落とし込む構成の場合、扉本体cの上下移動のストロークが数mm(たとえば5〜7mm)程度と短くなることから、扉本体cの下端縁に装着可能な密閉材の厚みが制限されてしまう。そのため、特に、戸口の下枠の施工精度が低いような場合には適用することが困難になるという問題がある。なお、この点に関しては、たとえば、扉本体cの下端縁に装着される密閉材を扉本体c内に収容する構成などが提案されているが、扉本体cの構造が複雑になるという新たな問題が生じる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、扉の開閉および室内の密閉を容易かつ安全に行え、しかも設計・施工の自由度が高く安価な引戸装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る引戸装置は、戸口に対して水平方向に開閉する引戸装置であって、上記戸口の上部に水平に配設される吊レールと、上記吊レールに転がり接触する走行体を介して上記吊レールに吊下げられる扉本体と、上記吊レールと平行に配設され、上記扉本体の水平方向の移動および閉位置における上記扉本体の上下方向の移動を案内する開閉案内機構とを備えていることを特徴とする。
そして、本発明は、その好適な実施態様として、以下の特徴を有している。
(1)上記扉本体は、コイルばねを介して上記走行体に連結され、かつ、略つり合い状態で上記吊レールに吊り下げられ、上記コイルばねは、上記扉本体内に収容されていることを特徴とする。ここで、略つり合い状態とは、扉本体の上下移動(昇降ストローク)の範囲内または昇降ストロークの範囲近傍の高さ位置でつり合い状態とすることを意味しており、たとえば、昇降ストロークの上端または下端の高さ位置で扉本体がつり合い状態となるように扉本体を吊レールに吊り下げることを含んでいる。
(2)上記コイルばねは、上記扉本体の吊下げ高さ位置を、上記扉本体の外側から調節可能な高さ位置調節機構を備えていることを特徴とする。
(3)上記コイルばねは、上記走行体の下方位置に直列または並列に配設されていることを特徴とする。
(4)上記コイルばねは、引張コイルばねで構成されていることを特徴とする。
(5)上記コイルばねは、圧縮コイルばねで構成されていることを特徴とする。
(6)上記開閉案内機構は、開閉案内レールと上記開閉案内レールに転がり接触する案内走行体とを備えてなり、上記開閉案内レールは、上記扉本体の閉位置の手前から上記閉位置に向かう下がり傾斜を有し、上記扉本体を開位置から上記閉位置に向けて移動させたときに、上記案内走行体がこの下がり傾斜に案内されて上記閉位置に向かって下降し、これにより上記扉本体が下方に移動するように構成されていることを特徴とする。
(7)上記扉本体は、上記案内走行体の取り付け位置を水平方向に変更可能な構造を有していることを特徴とする。
本発明によれば、扉本体を吊り下げる吊レールと、扉本体の移動を案内する開閉案内機構とが独立して個別に構成されるので、扉本体の上下移動のストロークを任意に設定することができる。したがって、扉本体の上下移動のストロークを従来の引戸装置よりも長く(たとえば、10mm以上に)設定することができ、設計・施工自由度の高い引戸装置を提供することができる。
また、本発明では、扉本体がコイルばねを介して略つり合い状態で吊レールに吊り下げられることから、わずかな力を加えるだけで扉本体を上下移動させることができ、しかも、扉本体の上下移動を緩やかに行うことができる。そのため、女性や子供など非力な人でも容易に開閉できるとともに、扉本体を閉じる際に手や指が扉に挟まれるおそれを軽減することができ、仮に手や指を挟んだとしても受けるダメージを少なくすることができる。したがって、扉の開閉を安全かつ容易に行える引戸装置を提供することができる。
また、扉本体の昇降のアシストに安価に入手可能なコイルばねを用いているので扉本体を安価に製造できるとともに、コイルばねは扉本体内に収容されるので、外観がすっきりと見た目に美しい引戸装置を提供することができる。
さらに、扉本体の外側から扉本体の吊下げ高さ位置を調節する高さ位置調節機構を備えることにより、施工現場において、扉本体の高さ位置を適切な位置に容易に調節することができ、汎用性の高い引戸装置を提供することができる。
また、開閉案内機構が扉本体の閉位置の手前から閉位置に向かう下がり傾斜を有する開閉案内レールと、この開閉案内レールに転がり接触する案内走行体とを備え、案内走行体が上記下がり傾斜に案内されて閉位置に向かって下降することによって扉本体が下方に移動するように構成されることにより、たとえば、下がり傾斜の傾斜角度およびその長さや、案内走行体の取り付け位置の設定変更によって、扉本体の上下移動のストローク(昇降ストローク)を自由に設定することができる。したがって、この点でも設計・施工の自由度の高い引戸装置を提供することができる。
本発明に係る引戸装置の一例を示しており、図1(a)は同引戸装置の斜視図を、図1(b)は同引戸装置の構造を模式的に示した正面図である。 同引戸装置の施工状態を示した縦断面図である。 同引戸装置のコイルばねに圧縮コイルばねを用いた一例を示す斜視図である。 同引戸装置における扉本体の吊り下げ構造の一例を示しており、図4(a)は高さ位置調節機構にボルト−ナット機構を採用した吊り下げ構造を、図4(b)は高さ位置調節機構にターンバックルを採用した吊り下げ構造を、図4(c)は高さ位置調節機構に圧縮ばね用ワッシャ機構を採用した吊り下げ構造を示している。 図4(a)から(c)に示す各吊り下げ構造における扉本体の高さ位置調節の様子を示す説明図であり、図5(a)はボルト−ナット機構における高さ位置調節を、図5(b)はターンバックルにおける高さ位置調節を、図4(c)は圧縮ばね用ワッシャ機構における高さ位置当接を示している。 本発明に係る引戸装置の開閉案内機構におけるガイドローラと配設位置と扉本体の昇降ストロークの関係を模式的に示した説明図であり、図6(a)はガイドローラの取り付け位置を戸先側に寄せた場合を示しており、図6(b)はガイドローラの取り付け位置を戸尻側に寄せた場合を示している。 同引戸装置の開閉案内機構における開閉案内レールの下がり傾斜の角度と扉本体の昇降動作の緩急の関係を模式的に示した説明図であり、図7(a)〜(c)はそれぞれ異なる傾斜角度の場合を示している。 同引戸装置を放射線防護用の扉に適用した場合の遮蔽構造の一例を示しており、図8(a)は、扉本体が開位置にある状態を模式的に示す縦断面図であり、図8(b)は、扉本体が閉位置にある状態を模式的に示す縦断面図である。 図8の遮蔽構造の横断面を示しており、図9(a)は、扉本体を少し開いた状態を模式的に示す横断面図であり、図9(b)は、扉本体が閉位置にある状態を模式的に示す横断面図である。 同引戸装置を防音用の扉に適用した場合の密閉構造の一例を示しており、図10(a)は、扉本体が開位置にある状態を模式的に示す縦断面図であり、図10(b)は、扉本体が閉位置にある状態を模式的に示す縦断面図である。 図10の密閉構造の横断面を示しており、図11(a)は、扉本体を少し開いた状態を模式的に示す横断面図であり、図11(b)は、扉本体が閉位置にある状態を模式的に示す横断面図である。 本発明の引戸装置に締付ハンドルを付加した状態を示す斜視図である。 同引戸装置における締付けハンドルの動作を示す説明図であり、図13(a)は締付け前の状態を、図13(b)は締付け後の状態を示している。 同引戸装置における締付けハンドルの他の一例の動作を示す説明図であり、図14(a)は締付け前の状態を、図14(b)は締付け後の状態を示している。 本発明の引戸装置において、扉本体開閉に動力を用いる場合の一例を示す正面図である。 本発明の引戸装置と従来の引戸装置を開くときに必要な力を比較した実験結果を示す説明図であり、図16(a)は本発明の引戸装置の結果を、図16(b)は従来の引戸装置の結果を示している。 従来の引戸装置の概略構成を示す斜視図である。 従来の引戸装置における扉本体の動作を示す説明図であり、図18(a)は吊レールの切欠きを模式的に示した正面図であり、図18(b)は扉本体のガイド溝と戸口下枠のガイド突起との係合状態を模式的に示した縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係る引戸装置1は、扉本体の上下方向の移動(昇降動作)を補助するコイルばねを扉本体の内部に収容してなる引戸装置であって、戸口100の上部に水平に配設される吊レール2と、吊レール2に転がり接触する走行ローラ(走行体)4を介して吊レール2に吊下げられる扉本体3と、吊レール2と平行に配設され、扉本体3の水平方向の移動および閉位置における扉本体3の上下方向の移動を案内する開閉案内機構8とを主要部として備えている。
吊レール2は、扉本体3を戸口100に吊下げる基台を構成するものであって、断面略コ字型の金属製の部材で構成されている。具体的には、この吊レール2は、図2に示すように、戸口100の上部の壁面Wに水平に固定される第1縦片部2aと、第1縦片部2aに連続する横片部2bと、横片部2bの先端に起立状態で設けられる第2縦片部2cとから構成されており、第2縦片部2cに扉本体3が吊り下げられている。
また、吊レール2は、扉本体3を吊下げる基台としての機能に加えて、扉本体3を、閉位置(図1の実線参照)と開位置(図1の二点鎖線参照)との間で水平移動可能に支持する走行レールとしての機能も有している。
本実施形態では、この走行レール機能に関して、吊レール2の第2縦片部2cが扉本体3の走行レールを構成している。具体的には、走行ローラ4として第2縦片部2cの先端に篏合可能な凹状溝を有する車輪が用いられ、第2縦片部2c上を走行ローラ4が走行するように構成されている。
なお、本実施形態では、走行ローラ4側に吊レール2と係合する凹状溝を形成した場合を示したが、吊レール2側に走行ローラ4と係合する凹状溝を設けることも可能である。たとえば、吊レール2を断面略L字状に形成するとともに、吊レール2の横片部2bに、走行ローラ4が篏合状態で走行できる凹状溝を形成し、この凹状溝内を走行ローラ4が走行するように構成することも可能である。
つまり、吊レール2は、扉本体3を吊下げることができ、かつ、走行ローラ4が水平方向に走行可能な構成であれば、その具体的な形状は適宜変更可能である。なお、吊レール2は、扉本体3の基台として機能することから、扉本体3の吊下げに耐えうる強度・構造を備えた部材で構成されている。
扉本体3は、引戸装置1の用途に応じて、放射線や電磁波等の遮蔽材や吸音材など、扉本体3に特定の機能を付与する機能材を内部に収容してなる構造を備えている。そのため、この扉本体3の重量は、扉本体3の材質や大きさ、さらには内部に収容される機能材の種類や量などにもよるが、たとえば、数十kgから数百kg程度の重量で構成される。
扉本体3内には、後述する扉本体3の昇降動作を補助するコイルばね5が収容されている。このコイルばね5は、扉本体3を略つり合い状態で吊レール2に吊り下げるように設けられており、図1に示す引戸装置1では、扉本体3の左右2か所に設けられたコイルばね5,5によって、略矩形の扉本体3が水平状態を保ちつつ吊レール2に吊り下げられるようになっている。ここで、略つり合い状態とは、扉本体3の昇降ストロークの範囲内または昇降ストロークの範囲近傍の高さ位置でつり合い状態とすることを意味している。本実施形態では、昇降ストロークの上端または下端の高さ位置で扉本体3がつり合い状態となるように扉本体3が吊レール2に吊り下げられるようにしている。すなわち、昇降ストロークの上端でつり合い状態となるように構成した場合には、扉本体3を下げるときに力を加える構成になり、反対に昇降ストロークの下端でつり合い状態となるように構成した場合には、扉本体3を上げるときに力を加える構成となる。
なお、図1では、左右2か所のコイルばね5,5によって扉本体3を吊り下げた場合を示したが、3か所以上(たとえば、左右および中央の3か所や左右にそれぞれ2か所ずつの合計4か所など)にコイルばね5を配設して扉本体3を吊り下げることも可能である。特に、扉本体3の重量が極めて重い場合や扉本体3の左右の幅方向に長い場合などには3か所以上で吊り下げるのが有効である。
また、使用するコイルばね5としては、引張コイルばねおよび圧縮コイルばねのいずれも使用可能である。図1および図2は引張コイルばね51を用いた場合を示しており、また、図3は圧縮コイルばね52を用いた場合を示している。
ここで、コイルばね5による扉本体3の吊り下げ構造について説明する。扉本体3を吊り下げるにあたり、本発明に係る引戸装置1では、走行ローラ4にコイルばね5を連結させる構造を採用している。具体的には、走行ローラ4を回転可能に支持するローラ支持部材6にコイルばね5が取り付けられている。
走行ローラ4とコイルばね5との連結にあたっては、扉本体3の吊り下げ高さ位置を調節する高さ位置調節機構7がコイルばね5側に備えられている。この高さ位置調節機構7は、コイルばね5のたわみ量を調節することによって扉本体3の吊り下げ高さ位置の調節するもので、たわみ量の調節が扉本体3の外部から行えるように構成されている。すなわち、扉本体3の外側から扉本体3の吊り下げ高さ位置を調節できるようにしている。
図4は、扉本体3の吊り下げ構造の一例を示している。
図4(a)に示す吊り下げ構造は、コイルばね5として引張コイルばね51を用いるとともに、高さ位置調節機構7にボルト−ナット機構を採用した場合を示している。この場合、高さ位置調節機構7は、ローラ支持部材6との接続金具71と、接続金具71に鉛直方向に回転可能に配設された高さ位置調節用のボルト72と、ボルト72の軸部に装着されたナット73と、ナット73の回転を規制し、かつ、引張コイルばね51の上端に連結された筒状部74とを主要部として構成される。なお、図において符号75は、高さ位置調節機構7を挿通するための開口部の隙間を埋める蓋部材である。
この図4(a)に示す高さ位置調節機構7では、ボルト72の頭部は扉本体3の外部に露出した状態で配置されるので、扉本体3の外側からボルト72の頭部を回転操作することができる。その際、引張コイルばね51の下端は扉本体3内に固定されているので、ボルト72の頭部を回転操作することによって、引張コイルばね51のたわみ量が調節され、これに伴って扉本体3の高さ位置が上下に調節される(図5(a)参照)。
次に、図4(b)に示す吊り下げ構造は、コイルばね5として引張コイルばね51を用いるとともに、高さ位置調節機構7としてターンバックルを採用した場合を示している。この場合、高さ位置調節機構7は、ローラ支持部材6との接続金具71と、接続金具71に鉛直方向に配設され、下端側が引張コイルばね51の上端に接続されたターンバックル76とを主要部として構成される。
この図4(b)に示す高さ位置調節機構7では、ターンバックル76の回転操作部が扉本体3の外部に露出した状態で配置されるので、扉本体3の外側から回転操作部を操作することができる。その際、引張コイルばね51の下端は扉本体3内に固定されているので、回転操作部を操作することによって、引張コイルばね51のたわみ量が調節され、これに伴って扉本体3の高さ位置が上下に調節される(図5(b)参照)。
また、図4(c)に示す吊り下げ構造は、コイルばね5として圧縮コイルばね52を用いるとともに、高さ位置調節機構7として圧縮ばね用ワッシャ機構を採用した場合を示している。この場合、圧縮コイルばね52は扉本体3の内部空間の上端面に配置される。そして、高さ位置調節機構7は、ローラ支持部材6との接続金具71と、接続金具71に鉛直方向に回転可能に配設されるとともに、圧縮コイルばね52を貫通して設けられた高さ位置調節用のボルト77と、ボルト77とともに圧縮コイルばね52のたわみ量を調節する圧縮ばね用のワッシャ78とを主要部として構成される。
この図4(c)に示す高さ位置調節機構7では、ボルト77の頭部は扉本体3の外部に露出した状態で配置されるので、扉本体3の外側からボルト77の頭部を回転操作することができる。したがって、ボルト77の頭部を回転操作することによって、圧縮コイルばね52のたわみ量が調節され、これに伴って扉本体3の高さ位置が上下に調節される(図5(c)参照)。
このように、本発明に係る引戸装置1では、扉本体3の吊り下げ構造として様々な方法を用いることができる。要するに、扉本体3の吊り下げ構造としては、少なくとも(1)コイルばね5が扉本体3内に収容されていること、(2)扉本体3は、コイルばねを介して走行ローラ4に連結され、かつ、略つり合い状態で吊レール2に吊り下げられていることの2条件を満たしており、そして好ましくは、コイルばね5が、扉本体3の吊下げ高さ位置を扉本体3の外側から調節可能な高さ位置調節機構7を備えていることである。
また、これらの条件を満たしていれば、扉本体3の吊り下げ構造として、たとえば、図4(a)に示すように、接続金具71に対して複数(図示例では2本)のコイルばね5を並列に配設したり、あるいは、特に図示しないが複数のコイルばね5を直列に接続したりすることができる。このように、走行ローラ4の下方に配置するコイルばね5を複数用いることにより、コイルばね5の張力(ばね定数)を任意に設定することができ、扉本体3の重量に合わせて最適な張力のコイルばね5を採用することができるようになる。もちろん、コイルばね5を単独で使用する場合には、扉本体3の重量などに合わせて、最適なばね定数のコイルばね5を使用する。
なお、コイルばね5の配設にあたっては、走行ローラ4の下方位置(好ましくは走行ローラ4の真下の位置)にコイルばね5が配設されるようにしておくのが好ましい。コイルばね5を走行ローラ4の下方位置に配設することで、扉本体3の水平が取りやすくなるからである。また、走行ローラ4についても、たとえば、図4(a)および図4(b)に示すように、複数(図示例では2個)の走行ローラ4を一基のローラ支持部材6で走行可能に支持する構造を採用することも可能である。
開閉案内機構8は、扉本体3の水平方向の移動および閉位置における扉本体3の上下方向の移動を案内する機構であって、吊レール2と平行に配設されている。具体的には、開閉案内機構8は、戸口100に固定される開閉案内レール81と、扉本体3側に設けられ、開閉案内レール81に転がり接触するガイドローラ(案内走行体)82とを主要部として構成されており、このうちの開閉案内レール81が吊レール2と扉本体3との間に配設されている。
開閉案内レール81は、図1および図2に示すように、案内走行体82の走行面となる平面を有する金属製の板材(本実施形態では、図2に示すように、開口部に内向きの返りが形成された断面略コ字状の部材を用いたが、たとえば断面L字状の部材を用いてもよい)で構成されおり、ガイドローラ82の走行面に、扉本体3の閉位置の手前から閉位置に向かう下がり傾斜81aが形成されている。具体的には、扉本体3の閉位置において、戸先側および戸尻側の左右2か所にそれぞれ下がり傾斜81a,81aが形成されている。
ガイドローラ82は、扉本体3の上部に回転可能に配設された車輪であって、扉本体3の戸先側および戸尻側のそれぞれに設けられており、扉本体3が吊レール2に吊り下げられた状態で開閉案内レール81上を走行できるように構成されている。なお、このガイドローラ82の扉本体3への取り付け位置は、扉本体3の上部において水平方向に任意に変更できるように構成しておくのが好ましい(詳細は後述する)。また、本実施形態では、開閉案内レール81との係合にガイドローラ82を用いた場合を示したが、開閉案内レール81と係合しつつ扉本体3の移動を案内可能な構造であれば、車輪のような転がり接触するものに代えてガイドシューのような滑り接触で構成することも可能である。
しかして、このような開閉案内機構8を有する引戸装置1では、扉本体3を閉じる場合(開位置から閉位置に移動させる場合)、ガイドローラ82はまず開閉案内レール81上を閉位置に向かって水平に走行することになり、これに伴って扉本体3が水平に移動する。そして、扉本体3が閉位置に近づいてガイドローラ82が下がり傾斜81aに到達すると、今度はガイドローラ82が下がり傾斜81aに案内されて閉位置に向かって下降するので、これに伴って扉本体3が閉位置に向けて下降する。その際、扉本体3が昇降ストロークの下端でつり合い状態となっている場合には、扉本体3を水平に動かすだけで扉本体3は自然にかつ緩やかに下降して閉位置で閉じられる。これに対して、扉本体3が昇降ストロークの上端でつり合い状態となっている場合には、扉本体3に僅かに下向きの力を僅かに加えることで扉本体3を容易かつ緩やかに閉位置まで移動させることができる。
一方、扉本体3を開く場合(閉位置から開位置に移動させる場合)には、上述した閉扉動作とは反対に、ガイドローラ82はまず下がり傾斜81aを登ることになるので、これに伴って扉本体3が上昇する。このとき、扉本体3が昇降ストロークの下端でつり合い状態となっている場合には、扉本体3に上向きの力を僅かに加えることで扉本体3は容易に上昇する。これに対して、扉本体3が昇降ストロークの上端でつり合い状態となっている場合には、扉本体3を水平に動かすだけで扉本体3は自然かつ緩やかに上昇する。そして、ガイドローラ82が下がり傾斜81aを登り切った時点からガイドローラ82は水平に走行することになり、扉本体3は開位置に向かって水平に移動する。このときも扉本体3は、コイルばね5を介して吊レール2に略つり合い状態で吊り下げられているので、扉本体3に僅かな力を加えるだけで扉本体3を容易かつ緩やかに開位置まで移動させることができる。
図6は、開閉案内機構8による扉本体3の昇降ストローク幅の設定方法の一例を模式的に示している。本発明に係る引戸装置1では、扉本体3へのガイドローラ82の取り付け位置を変更することにより、扉本体3の昇降ストロークを任意に変更することができる。
具体的には、ガイドローラ82,82を配設する間隔は、戸先側と戸尻側が同時に昇降するように、下がり傾斜81a,81aの間隔に応じて決定されるが、これらガイドローラ82,82を、たとえば、図6(a)に示すように、戸先側に寄せて配置すると、扉本体3の昇降ストロークは大きくなり、反対に、図6(b)に示すように、戸尻側に寄せて配置すると、扉本体3の昇降ストロークは小さくなる。したがって、本発明に係る引戸装置1では、ガイドローラ82,82の取り付け位置を変更することによって、扉本体3の昇降ストロークを自由に設定することができる。そのため、戸口100の状態に合わせて施工現場で扉本体3の昇降ストロークを調節乃至微調整することができる。
また、本発明に係る引戸装置1では、このようなガイドローラ82の配設位置の変更だけでなく、開閉案内レール81の下がり傾斜81aの傾斜角度や傾斜長さを変更することによって、扉本体3の昇降ストロークは勿論のこと、昇降動作の緩急を任意に変更することができる。
すなわち、下がり傾斜81aの角度を大きく(深く)したり、下がり傾斜81aを長くしたりすることで、昇降ストロークを大きくすることができる一方、下がり傾斜81aの角度を小さく(浅く)したり、下がり傾斜81aを短くしたりすることで、昇降ストロークを短くすることができる。また、図7(a)〜図7(c)に示すように、昇降ストロークが同じ長さLaであっても、下がり傾斜81aの角度を浅くし、下がり傾斜81aの距離Lc〜Leを長くすればするほど、扉本体3の昇降動作をより緩やかに行うことができるようになり、少ない力で扉本体3の昇降を行うことができるようになる。
このように、本発明に係る引戸装置1では、開閉案内レール81(特に、下がり傾斜81a)の形状を変更するだけで、扉本体3の昇降ストロークや開閉の緩急を容易かつ自由に設定することができる。しかも、開閉案内レール81は、扉本体3の吊り下げ構造とは独立した別構造とされているので、施工現場の要請に合わせて容易に設計変更することができ、設計・施工の自由度の高い引戸装置を提供することができる。
なお、本発明の引戸装置1では、扉本体3の下端部3bに、戸口100の下枠100bと係合して扉本体3の水平移動を案内するスライド案内溝31が形成されている。このスライド案内溝31は、扉本体3の下端部3bの戸先側3cから戸尻側3dにかけて形成される1条の凹状溝の形態とされる。そして、このスライド案内溝31が戸口100の下枠100bに設けられたスライド案内突部101に嵌合されている。これにより、扉本体3の下端側が前後(図1(b)の紙面に直交する向き)に振れるのが防止されるとともに、扉本体3の下端側の水平移動が案内される。
また、扉本体3の所定位置には、扉本体3の開閉操作用のハンドル9が備えられている。図示例では、このハンドル9として引手式のハンドルが用いられている。なお、このハンドル9としては、引手式以外の形態のハンドル、たとえば、レバー式のハンドル等を採用することも勿論可能である。
次に、図8乃至図11を示して、本発明に係る引戸装置1を放射線防護用、電波シールド用、防音用の各扉に適用した場合の遮蔽構造および密閉構造について説明する。
ここで、図8および図9は、引戸装置1を放射線防護用の扉に適用した場合を示しており、図10および図11は、引戸装置1を電波シールド用または防音用の扉に適用した場合を示している。また、これらの図において符号10は、吊レール2および走行ローラ4などを覆う化粧パネルである。化粧パネル10は、吊レール2側への異物の進入を防止する役割も果たしている。
また、引戸装置1が設置される戸口100は、上枠100a、下枠100b、戸先側縦枠100c、戸尻側縦枠100dによって構成される。
A:放射線防護用の場合
引戸装置1を放射線防護用の扉に適用する場合、扉本体3が閉位置にあるときに、放射線の透過を防止する遮蔽構造を備える必要がある。
そのため、引戸装置1を放射線防護用の扉に用いる場合には、扉本体3が閉位置にあるときには、戸口100側の放射線遮蔽材(機能材)102と扉本体3側の放射線遮蔽材(機能材)11とが、扉正面側から見て重なり合うように配置されるようにしておく必要がある。
したがって、たとえば、図8および図9に示すように、戸口100側には、上枠100a、下枠100b、戸先側縦枠100cおよび戸尻側縦枠100dの外側にそれぞれ放射線遮蔽材102を配設するとともに、扉本体3側には、扉本体3の全面を覆い、かつ扉本体3を閉位置としたときに、上枠100a、戸先側縦枠100cおよび戸尻側縦枠100dに配設された放射線遮蔽材102と重なり合う部分ができる形状の放射線遮蔽材11を配設する重なり構造Aを採用している。なお、この図8および図9に示す引戸装置1では、扉本体3の下端と下枠100bとの間は、放射線遮蔽材101,11が重なり合わずに、隙間なく接触させる密接構造Bを採用した場合を示したが、下枠100b側に扉本体3を落とし込む凹状の溝を設けるなどして、扉本体3の下端側も放射線遮蔽材102,11が重なり合うように構成する(重なり構造Aを採用する)ことも可能である。
B:電波シールド用または防音用の場合
引戸装置1を電波シールド用または防音用の扉に適用する場合、扉本体3が閉位置にあるときに、扉本体3と戸口100とを密着させる密閉構造を備える必要がある。なお、電波シールド用および防音用の扉は、使用される機能材の材質が相違するだけで構造的な相違は殆どないので、以下では引戸装置1を防音用の扉に適用した場合について説明し、電波シールド用の扉については説明を省略する。
引戸装置1を防音用の扉に適用する場合、扉本体3が閉位置にあるときには、扉本体3の全周を戸口100に密着させる必要がある。したがって、この場合には、たとえば、図10および図11に示すように、扉本体3の上端部分および戸尻部分に戸口100との密閉を補助する密閉補助部32を形成するなどして、扉本体3を閉じたときに扉本体3が戸口100に密着するように構成される。
具体的には、扉本体3の上端部分および戸尻部分にそれぞれの全長にわたって室内側に向けて板状の密閉補助部32を形成しておくとともに、扉本体3の下端部3bにはその全長にわたって防音用密閉材(機能材)12を下向きに突出するように配設しておく。一方、戸口100側は、上枠100aおよび戸尻側縦枠100dにおいて密閉補助部32と対面する対面部位と、戸先側縦枠100cにおける扉本体3との対向面とに、それぞれ防音用気密材(機能材)103を配設しておく。これにより、扉本体3を閉位置に移動させることにより、防音用密閉材12,103がそれぞれ弾性変形して、扉本体3と戸口100とが密着状態で閉じられることになる。
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態につて図12乃至図14に基づいて説明する。
この第2の実施形態に示す引戸装置1は、上述した実施形態1に係る引戸装置1に、扉本体3を閉位置で締め付け固定する締付ハンドル13を付加したものであり、その他の構成は上述した実施形態1と共通する。したがって、構成が共通する部分については同一の符号を用いて説明を省略する。
締付ハンドル13は、扉本体3の戸先側に設けられ、ハンドル操作によって扉本体3の密閉および密閉解除を行うための操作部であって、図13に示すように、ハンドル本体部13aと、係合爪部13bと、係合軸部13cとを主要部として構成される。
具体的には、戸口100の戸先側縦枠100cの内側に係合軸部13cを配設しておき、扉本体3を閉位置に位置させた状態(図13(a)に示す状態)で、ハンドル本体部13aを回転操作することによって、締付ハンドル13の係合爪部13bが係合軸部13cと係合するように構成されている。そのため、閉位置で締付ハンドル13を操作することで、扉本体3が戸先側に引き寄せられるとともに、下方に押し下げられ、扉本体3と戸口100とが強固に密着する。すなわち、ハンドル操作によって、扉本体3が、戸先側縦枠100cおよび下枠100b側に強制的に移動することになり、扉本体3と戸口100との隙間が閉塞される。なお、図13では、扉本体3と戸口100との間に空間が図示されているが、実際には、扉本体3と戸口100との間はほぼ完全に閉塞される。
図14は、締付ハンドル13の他の実施形態を示している。この実施形態では、ハンドル本体部13aの先端に回転可能に軸支された係合ローラ13dが設けられるとともに、戸先側縦枠100cの内側に、ハンドル本体部13aの回転操作に伴って係合ローラ13dが走行する引寄傾斜面13eが備えられている。ここで、引寄傾斜面13eは、図14に示すように、戸先側縦枠100cの内側に上方が開いた傾斜をもって構成されていることから、扉本体3を閉位置に位置させた状態(図14(a)に示す状態)で、ハンドル本体部13aを回転操作することによって、締付ハンドル13の係合ローラ13dが引寄傾斜面13eを走行し、これによって扉本体3が戸先側に引き寄せられ、扉本体3と戸口100とが密着するように構成されている。
次に、本発明に係る引戸装置1と従来の引戸装置とで扉本体3を開くときに必要な力を比較した実験結果を図16に示す。
実験には、扉本体3として、横幅1405mm、高さ2029mm、厚さ60mmで内部に機能材としてロックウールを充填した重さ125kgの扉を用いた。
そして、本発明に係る引戸装置1としては、図1に示すように、扉本体3を左右の2か所の引張コイルばね51,51で吊り下げるタイプを用いた。コイルばね5には、線径6φ、外径50mm、長さ1000mm、基準ばね定数20.23N/mm:50mm時の引張コイルばね51を用いた。実験は、ガイドローラ82の位置を変更することで、扉本体3の昇降ストロークを15mm、10mm、5mmとした各場合について、昇降ストローク毎に、開閉案内レール81の下がり傾斜82aを、縦を1とする縦横比1/5とした場合につき行った(図16(a)参照)。ところで、引戸装置1の設計にあたっては、コイルばね一本あたりのばね定数は10.0N/mm以下(好適には、5N/mm以下)とするのが好ましい。したがって、コイルばね5として引張コイルばね51を使用する場合には、長寸のコイルばねが好適に使用される。本実験では長さ1mの引張コイル51を使用し、一本当たりのばね定数は1.01N/mmとした。
これに対して、従来の引戸装置には、図17(a)に示すように、吊レールbに設けた切欠き(溝)fに走行ローラdを落とし込むタイプ(昇降ストロークが5mmのもの)を用いて実験を行うとともに、切欠きfの傾斜を縦横比1/5にして実験を行った(図16(b)参照)。
実験に先立ち、扉本体3を引き上げる(直上に持ち上げる)のに必要な力を計算したところ、従来の引戸装置では、扉本体の重量がそのままかかるので1225Nの力が必要であるのに対し、本発明の引戸装置1では、昇降ストロークが5mmのときで10N,10mmのときで20N,15mmときで30Nとなった(計算値)。つまり、理論上は、コイルばね5のばね定数を小さくすることで、扉本体3の昇降に必要な力をかなり軽減することができる。
そして、縦横比1/5の傾斜で実測したところ、従来の引戸装置では扉本体を開くのに290N(てこを利用したハンドルを用いた場合でも73N)が必要であったのに対し、本発明の引戸装置1では、昇降ストロークが5mmのときで20N(計算値19N)、10mmのときで22N(計算値21N),15mmのときで25N(計算値23N)となった。つまり、本発明に係る引戸装置1によれば、ガイドローラ82を使って案内しつつ扉本体3を開く場合でも、極めてわずかな力(水平移動させる力:17Nよりもわずかに強い力だけ)で扉本体3を開扉できることが確認できた。また、下がり傾斜81aの傾斜が緩いほど扉本体3を開くのに必要な力を軽減できることも確認できた。
以上詳述したように、本発明に係る引戸装置1によれば、扉本体3を吊り下げる吊レール2と、扉本体3の上下方向の移動を案内する開閉案内機構8とが独立して個別に構成されているので、扉本体3の昇降ストロークを従来の引戸装置よりも長く(たとえば、10mm以上に)設定することができ、設計・施工自由度の高い引戸装置を提供することができる。
また、扉本体3がコイルばね5を介して略つり合い状態で吊レール2に吊り下げられることから、わずかな力を加えるだけで扉本体3を容易に上下移動させることができ、しかも、扉本体3の上下移動を緩やかに行うことができる。そのため、扉本体3を閉じる際に手や指が扉に挟まれるおそれを軽減することができ、扉の開閉を安全に行える引戸装置を提供することができる。
また、扉本体3の昇降の補助が安価に入手できるコイルばね5によって行われるので引戸装置を従来の引戸装置より安価に製造できるとともに、コイルばね5は扉本体3内に収容されるので、外観がすっきりと見た目に美しい引戸装置を提供することができる。また、コイルばね5は容易に新しいものに交換できるので、引戸装置1を最適な状態で半永久に使用することができる。
さらに、扉本体3の外側から扉本体3の吊下げ高さ位置を調節することができるので、施工現場において、扉本体3の高さ位置を適切な位置に容易に調節することができ、汎用性の高い引戸装置を提供することができる。
また、開閉案内レール81の下がり傾斜81aの角度や長さや、ガイドローラ82の取り付け位置を変更することにより、扉本体3の昇降ストロークを自由に変更できるので、この点でも設計・施工自由度の高い引戸装置を提供することができる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る引戸装置1を放射線使用室、電波シールドルーム、防音室の扉として用いた場合を示したが、これら以外の場所の扉に本発明を適用することも可能である。たとえば、音や電波の遮断に限らず、空気・細菌、煙、ほこりなどの遮断が要求される扉や、気密性が要求される扉など、様々な分野の扉として適用することができる。
また、上述した実施形態では、引戸装置1の遮蔽構造および密閉構造に関して、遮蔽や密閉を行う機能材を戸口100の枠材(100a〜100d)と扉本体3とに分散して配置した場合を示したが、その配置は適宜変更可能である。たとえば、機能材は、戸口100の枠材または扉本体3のいずれか一方にのみ設けるように構成することも可能である。
また、上述した実施形態では、扉本体3を手動で操作する場合を示したが、扉本体3を自動で開閉するように構成することも可能である。たとえば、図15に示すように、引戸装置1に、電動モータなどの動力源(図示せず)と、この動力源で発生した動力を扉本体3に伝達する動力伝達機構20と、上記動力源を制御する制御部21とを備えさせ、制御部21の制御によって扉本体3が開閉するように構成することも可能である。特に、コイルばね5として圧縮コイルばね52を用いる場合には、動力源を用いて扉本体3を開閉するのに適している。
さらには、上述した実施形態では、扉本体3の昇降動作を開閉案内レール81の下がり傾斜81aを利用して行う方法を示したが、このような構成に替えて、あるいは、このような構成とともに、たとえば、扉本体3が閉位置に近づくのに伴って、扉本体3を下方に押し下げるカム機構を設けたり、扉本体3を下降させるためのハンドルを設けたりするなど、扉本体3の昇降を補助する他の手段を適宜設けることも可能である。
また、上述した実施形態では、コイルばね5および高さ位置調節機構7をそれぞれ個別に扉本体3に取り付けた場合を示したが、コイルばね5と高さ位置調節機構7を一つのユニットとして構成しておき、このユニットを扉本体3に取り付けるように構成することも可能である。そうすることで、コイルばね5や高さ位置調節機構7の交換を容易に行えるようになる。
1 引戸装置
2 吊レール
3 扉本体
4 走行ローラ(走行体)
5 コイルばね
51 引張コイルばね
52 圧縮コイルばね
6 ローラ支持部材
7 高さ位置調節機構
8 開閉案内機構
81 開閉案内レール
81a 下がり傾斜
82 ガイドローラ(案内走行体)
100 戸口
100a 戸口の上枠
100b 戸口の下枠
100c 戸口の戸先側縦枠
100d 戸口の戸尻側縦枠

Claims (8)

  1. 戸口に対して水平方向に開閉する引戸装置であって、
    前記戸口の上部に水平に配設される吊レールと、
    前記吊レールに転がり接触する走行体を介して前記吊レールに吊下げられる扉本体と、
    前記吊レールと平行に配設され、前記扉本体の水平方向の移動および閉位置における前記扉本体の上下方向の移動を案内する開閉案内機構とを備えている
    ことを特徴とする引戸装置。
  2. 前記扉本体は、コイルばねを介して前記走行体に連結され、かつ、略つり合い状態で前記吊レールに吊り下げられ、
    前記コイルばねは、前記扉本体内に収容されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の引戸装置。
  3. 前記コイルばねは、前記扉本体の吊下げ高さ位置を、前記扉本体の外側から調節可能な高さ位置調節機構を備えている
    ことを特徴とする請求項2に記載の引戸装置。
  4. 前記コイルばねは、前記走行体の下方位置に直列または並列に配設されている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の引戸装置。
  5. 前記コイルばねは、引張コイルばねで構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の引戸装置。
  6. 前記コイルばねは、圧縮コイルばねで構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の引戸装置。
  7. 前記開閉案内機構は、開閉案内レールと前記開閉案内レールに転がり接触する案内走行体とを備えてなり、
    前記開閉案内レールは、前記扉本体の閉位置の手前から前記閉位置に向かう下がり傾斜を有し、前記扉本体を開位置から前記閉位置に向けて移動させたときに、前記案内走行体がこの下がり傾斜に案内されて前記閉位置に向かって下降し、これにより前記扉本体が下方に移動するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の引戸装置。
  8. 前記扉本体は、前記案内走行体の取り付け位置を水平方向に変更可能な構造を有していることを特徴とする請求項7に記載の引戸装置。
JP2018026767A 2018-02-19 2018-02-19 引戸装置 Active JP6678964B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018026767A JP6678964B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 引戸装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018026767A JP6678964B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 引戸装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019143322A true JP2019143322A (ja) 2019-08-29
JP6678964B2 JP6678964B2 (ja) 2020-04-15

Family

ID=67771992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018026767A Active JP6678964B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 引戸装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6678964B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102085902B1 (ko) * 2019-10-17 2020-03-06 윤태준 스크린 도어 시스템에 구비된 미닫이 도어의 중력방향 가변수단
JP7503856B2 (ja) 2022-09-09 2024-06-21 株式会社泉陽商会 遮音引き戸構造

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0347387A (ja) * 1989-07-14 1991-02-28 Hideo Kinemuchi ハンガードアの昇降機構
JPH07224570A (ja) * 1994-02-15 1995-08-22 Masaaki Kamezaki 大形冷凍庫等用スライディング式ドア装置
JP2003343164A (ja) * 2002-05-28 2003-12-03 Matsushita Electric Works Ltd 浴室引戸の防水構造
JP2015196977A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 マツ六株式会社 開閉補助装置及びこれを用いた引き戸構造
JP2015203284A (ja) * 2014-04-16 2015-11-16 株式会社ウチダ 収納箱用ドアクローザ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0347387A (ja) * 1989-07-14 1991-02-28 Hideo Kinemuchi ハンガードアの昇降機構
JPH07224570A (ja) * 1994-02-15 1995-08-22 Masaaki Kamezaki 大形冷凍庫等用スライディング式ドア装置
JP2003343164A (ja) * 2002-05-28 2003-12-03 Matsushita Electric Works Ltd 浴室引戸の防水構造
JP2015196977A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 マツ六株式会社 開閉補助装置及びこれを用いた引き戸構造
JP2015203284A (ja) * 2014-04-16 2015-11-16 株式会社ウチダ 収納箱用ドアクローザ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102085902B1 (ko) * 2019-10-17 2020-03-06 윤태준 스크린 도어 시스템에 구비된 미닫이 도어의 중력방향 가변수단
JP7503856B2 (ja) 2022-09-09 2024-06-21 株式会社泉陽商会 遮音引き戸構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP6678964B2 (ja) 2020-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230265705A1 (en) A door operator system
JP2019143322A (ja) 引戸装置
RU2007132738A (ru) Подъемник с кабиной и противовесом и способ размещения подъемника
KR20070109807A (ko) 현수 미닫이식 도어의 개폐기구
JP6600789B2 (ja) 引戸装置
US6289966B1 (en) Door
CN209277749U (zh) 钢制平移门
JP5478584B2 (ja) 電磁波シールド引き戸
EP1873342A1 (en) Counterframe for a concealed sliding door with self-closing device
JP6578248B2 (ja) 乗りかごドア気密装置及びエレベーター装置
US5325628A (en) Automatic door operator
JP6546668B2 (ja) エレベーター装置
US11384579B2 (en) Sliding door arrangement
JP2005138998A (ja) プロジェクター天井内収納用昇降装置
RU197339U1 (ru) Вертикально-подъемные ворота
KR102258532B1 (ko) 높이조절이 가능한 슬라이딩 도어용 하부레일
JPH028114B2 (ja)
JP3892001B2 (ja) 引戸装置における引戸吊下げ用レールの取付構造
CN107108177B (zh) 电梯
KR20090103377A (ko) 산업용 승강기에 구비된 안전문 개폐장치
US2775002A (en) Movable glass panes for windows, doors, and the like
EP1366261A1 (en) Device in door arrangement
JPH0455286A (ja) エレベータの出入口装置
JP2017121982A (ja) 乗りかごドア気密装置及びエレベーター装置
JP2001140556A (ja) ド ア

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190408

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190408

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190730

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190917

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191210

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191210

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20191210

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20191217

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20191220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6678964

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250