JP2019143070A - 粘着シート巻回体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態に係る粘着シート巻回体の斜視図を図1に示す。図1に示すように、本実施形態に係る粘着シート巻回体1は、長尺の粘着シート10が、円柱状または円筒状の芯材20に巻回されてなるものである。
(1)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層12の厚さは、100μm以上である。粘着剤層12の厚さが100μm以上であることで、本実施形態における粘着シート10が、比較的厚い厚さの粘着剤層が求められる用途に対して好適なものとなる。このような観点から、粘着剤層12の厚さは、140μm以上であることが好ましく、特に180μm以上であることが好ましい。一方、粘着剤層12の厚さの上限については特に限定されないものの、通常、1000μm以下であり、500μm以下であることが好ましく、特に300μm以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、架橋剤(B)と反応する反応性基を分子内に有する反応性基含有モノマーを含むことが好ましい。これにより、反応性基含有モノマー由来の反応性基が架橋剤(B)と反応することが可能となる。
架橋剤(B)は、粘着性組成物Pの加熱により(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を良好に形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、高温高湿条件での段差追従性がより優れたものとなる。
粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分(C)を含有することにより、粘着性組成物Pを架橋(熱架橋)して得られる粘着剤は、活性エネルギー線硬化性の粘着剤となる。この粘着剤は、被着体貼付後の活性エネルギー線照射による硬化により、活性エネルギー線硬化性成分(C)が互いに重合し、その重合した活性エネルギー線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の架橋構造(三次元網目構造)に絡み付くものと推定される。かかる高次構造を有する粘着剤は、凝集力が高く、高い被膜強度を示すため、高温高湿条件下での段差追従性により優れたものとなる。
活性エネルギー線硬化性の粘着剤を硬化させるのに使用する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(D)を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分(C)を効率良く重合させることができ、また重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、所望により、架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、光重合開始剤(D)と、添加剤とを混合することで製造することができる。
本実施形態における第一フィルム11の厚さは、100μm以上である。第一フィルム11の厚さが100μm以上であることで、前述した通り、本願実施形態に係る粘着シート巻回体1は優れた外観を有する粘着シート10を繰り出すことが可能となる。この観点から、第一フィルム11の厚さは、110μm以上であることが好ましく、特に120μm以上であることが好ましい。一方、第一フィルム11の厚さの上限については特に限定されないものの、粘着シート10が取り扱い性に優れたものとなるという観点から、300μm以下であり、250μm以下であることが好ましく、特に200μm以下であることが好ましく、さらには160μm以下であることが好ましい。
第二フィルム13は、粘着剤層12を介して被着体に貼付される所望の基材であってもよく、後述するような剥離シートであってもよい。第二フィルム13を構成する材料は、第一フィルム11と同様のものであってよい。また、第二フィルム13が剥離シートとなる場合には、剥離シートとしての第一フィルム11と同様の構成であってよい。
本実施形態における芯材20は円柱状または円筒状の形状を有するものである。本実施形態における芯材20の直径は、9cm以上である。芯材20の直径が9cm以上であることで、前述した通り、本願実施形態に係る粘着シート巻回体1は優れた外観を有する粘着シート10を繰り出すことが可能となる。この観点から、芯材20の直径は、10cm以上であることが好ましく、特に15cm以上であることが好ましい。一方、芯材20の直径の上限については特に限定されないものの、粘着シート10の巻き数をより増やすことができるという観点から、100cm以下であり、50cm以下であることが好ましく、特に40cm以下であることが好ましい。
本実施形態における粘着シート10において、粘着剤層12の幅方向の少なくとも一部には、当該幅方向における粘着剤層12の最大厚さよりも2μm以上薄い低膜厚部が存在してもよい。粘着剤層12にかかる低膜厚部が存在する場合、その幅の合計は、粘着剤層12の全幅の5%以上であってもよく、特に10%以上であってもよい。粘着剤層12がこのような割合で低膜厚部を有する場合、粘着シート巻回体1から繰り出された粘着シート10がシワを有するものとなり易いことが本発明者らによって見出されている。しかしながら、本実施形態に係る粘着シート巻回体1によれば、上述した割合で低膜厚部が存在する場合であっても、上述したシワの発生を効果的に抑制することができる。なお、低膜厚部の割合の上限については、粘着剤層12の厚さの均一性が優れたものとなり易いという観点から、低膜厚部の幅の合計が、粘着剤層12の全幅の50%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましい。
本実施形態における粘着シート10のソーダライムガラスに対する粘着力は、粘着シート10の用途に応じて適宜設定することができるものの、例えば、1N/25mm以上であることが好ましく、特に15N/25mm以上であることが好ましく、さらには40N/25mm以上であることが好ましい。また、当該粘着力は、100N/25mm以下であることが好ましく、特に80N/25mm以下であることが好ましく、さらには60N/25mm以下であることが好ましい。当該粘着力が上記範囲であることで、粘着シート10が被着体に対して良好な密着性を発揮することが可能となる。また、粘着剤層12が被着体に貼付された状態で高温高湿条件に置かれた場合であっても、段差近傍における気泡、浮き、剥がれ等の発生を良好に抑制し易くなる。なお、上記粘着力の試験方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
本実施形態に係る粘着シート巻回体1の製造方法としては、粘着シート10における第一フィルム11側を内側にして芯材20に巻回することを含む限り特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
本実施形態に係る粘着シート巻回体1は、繰り出された粘着シート10を所望の用途に使用することができる。本実施形態に係る粘着シート巻回体1では、粘着剤層12が100μm以上という比較的厚い厚さを有するものとなっている。そのため、本実施形態における粘着シート10は、このような比較的厚い厚さの粘着剤層12が使用される用途に使用することが好ましい。
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、4−アクリロイルモルホリン(N−アクリロイルモルホリン)10質量部、アクリル酸イソボルニル10質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート0.15質量部と、活性エネルギー線硬化性成分(C)としてのε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート5.0質量部と、光重合開始剤(D)としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.5質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
上記工程2で得られた粘着性組成物の塗布溶液を、第一フィルムとしての長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:125μm)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、得られた塗膜を、110℃で3分間加熱処理することで乾燥させて、厚さ100μmの粘着剤層を形成した。これにより、第一フィルム/粘着剤層(100μm)の構成からなる第1の積層体を得た。
上記工程3で得られた粘着シートを、179.4mmの直径(外径)を有する円筒状の芯材(ポリプロピレン製,ヤング率:0.7GPa)に巻回した。このとき、粘着シートにおける第一フィルム側が内側となるように巻回するとともに、粘着シートには、長さ方向に200N/mの張力を印加しながら巻回を行った。また、巻回した粘着シートの長さは300mとした。これにより、粘着シート巻回体を得た。
第二フィルムとして、長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:50μm)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
第一フィルムとして、長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:188μm)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
第3の積層体から工程シートを剥離して露出した粘着剤層の露出面に対して、第二フィルムの剥離処理面を積層する際における、第一フィルムおよび第二フィルムに印加する張力を、それぞれ200N/mに変更した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
281.0mmの直径(外径)を有する円筒状の芯材(ポリプロピレン製,ヤング率:0.7GPa)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
アクリル酸2−エチルヘキシル55質量部、4−アクリロイルモルホリン(N−アクリロイルモルホリン)10質量部、アクリル酸イソボルニル10質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル25質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の分子量を前述した方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を使用して粘着性組成物の塗布溶液を調製し、当該塗布溶液を使用して粘着剤層を形成した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
第一フィルムとして、長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:75μm)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
第一フィルムとして、長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:38μm)を使用するとともに、第二フィルムとして、長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(厚さ:38μm)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
粘着シートを芯材に巻回して粘着シート巻回体を得る際に、粘着シートにおける第二フィルム側が内側となるように巻回した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
86.7mmの直径(外径)を有する円筒状の芯材(ABS製,ヤング率:2.0GPa)を使用した以外、実施例1と同様にして粘着シート巻回体を製造した。
実施例および比較例において使用した第一フィルムおよび第二フィルムについて、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロンRTA−T−2M」)を用いて、JIS K7161:2014に準拠して、23℃、50%RHの環境下において引張速度200mm/分の条件で、ヤング率を測定した。結果を表1に示す。
実施例および比較例において作製した粘着剤層を複数層積層し、厚さ3mmの積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ3mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
実施例および比較例で得られた粘着シートから第二フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合し、第一フィルム/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。得られた積層体を25mm幅、100mm長に裁断した。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm2,光量1000mJ/cm2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
実施例および比較例で作製した粘着シートについて、長さ方向(シート繰り出し方向)の粘着シートの芯材側となる端部から10mの位置における粘着剤層の厚さを、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−20J」)を用いて測定した。このとき、粘着剤層の幅方向の全体にわたって測定を行った。そして、測定された最大厚さよりも2μm以上薄い厚さを有する低膜厚部について、粘着剤層の幅方向における幅(mm)を測定した。結果を表1に示す。なお、表1には、粘着剤層の幅方向の中央部に存在する低膜厚部の幅と、粘着剤層の幅方向の端部に位置する低膜厚部の幅とを分けて記載した。また、粘着剤層の幅方向の端部に位置する低膜厚部の幅については、粘着剤層の幅方向の一端側に位置する低膜厚部の幅と、粘着剤層の幅方向の他端側に位置する低膜厚部の幅との平均値を記載した。
ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インク(帝国インキ社製,製品名「POS−911墨」)を塗布厚が10μmとなるように額縁状(外形:縦90mm×横50mm,幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射(80W/cm2,メタルハライドランプ2灯,ランプ高さ15cm,ベルトスピード10〜15m/分)して、印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷による段差(段差の高さ:10μm)を有する段差付ガラス板を作製した。
〇:気泡、浮きおよび剥がれが生じなかった。
×:気泡、浮きおよび剥がれの少なくとも1つが生じた。
製造から7日後における実施例および比較例で得られた粘着シート巻回体から粘着シートを全て繰り出し、その全長(300m)にわったて、折れシワ、歪みシワといった外観異常の発生を目視にて確認し、以下の基準に基づいて、粘着シートの外観を評価した。結果を表1に示す。なお、以下の基準における「5m地点」とは、粘着シートの芯材側の端部から粘着シート巻回体の繰り出し方向に5mの位置をいうものとし、その他の類似する表現についても同様である。また、上記外観異常には、芯材に粘着シートを留めるためのテープに起因して生じる跡は含まない。
◎:少なくとも、5m地点から300m地点までの間において外観異常が生じていなかった。
〇:0m地点から20m地点の間においては外観異常が生じていたものの、20m地点から300m地点までの間においては外観異常が生じていなかった。
△:0m地点から50m地点の間においては外観異常が生じていたものの、50m地点から300m地点までの間においては外観異常が生じていなかった。
×:50m地点から300m地点までの間において外観異常が生じていた。
10…粘着シート
11…第一フィルム
12…粘着剤層
13…第二フィルム
20…芯材
Claims (7)
- 第一フィルムと、前記第一フィルムの片面側に積層された粘着剤層と、前記粘着剤層における前記第一フィルムとは反対の面側に積層された第二フィルムとを備えてなる長尺の粘着シートが、前記第一フィルム側の面を内側にして、円柱状または円筒状の芯材に巻回されてなる粘着シート巻回体であって、
前記第一フィルムの厚さが、100μm以上、300μm以下であり、
前記粘着剤層の厚さが、100μm以上、1000μm以下であり、
前記芯材の直径が、9cm以上、100cm以下である
ことを特徴とする粘着シート巻回体。 - 前記第一フィルムの厚さが、前記第二フィルムの厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の粘着シート巻回体。
- 前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が、0.001MPa以上、1.00MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート巻回体。
- 前記第一フィルムの23℃におけるヤング率が、0.01GPa以上、20GPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート巻回体。
- 前記粘着剤層の幅方向の少なくとも一部には、当該幅方向における粘着剤層の最大厚さよりも2μm以上薄い低膜厚部が存在し、前記低膜厚部の幅の合計が、前記粘着剤層の全幅の5%以上、50%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート巻回体。
- 前記粘着シート巻回体の繰り出し方向における前記低膜厚部の長さが、1m以上であることを特徴とする請求項5に記載の粘着シート巻回体。
- 前記粘着シートの巻き数が3周以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シート巻回体。
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