JP2010185037A - 粘着シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の粘着シート1は、剥離フィルム2の少なくとも一方の面に架橋してなる粘着層3を備え、架橋後の粘着層3の周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定した時に、25℃〜120℃の温度範囲におけるいずれにおいても5万Pa以上100万Pa以下の範囲であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明の一実施形態の粘着シート1は、図1に示すように、剥離フィルム2の少なくとも一方の面に架橋してなる粘着層3を備えたものであり、架橋後の粘着層3は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定した時に、25℃〜120℃の温度範囲におけるいずれにおいても5万Pa以上、好ましくは8万Pa以上、及び100万Pa以下、好ましくは70万Pa以下の範囲である物性を備えるものである。
剥離フィルム2としては、いかなる材質のものも使用でき、ポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系のキャストフィルムや延伸フィルムにシリコーン離型処理したものや、離型紙から選択でき、特に制限されるものではない。剥離フィルムの厚みとしては、25μm〜250μm、特に50μm〜100μmとすることが好ましい。
粘着層3としては、主剤(主成分となる材料、ベースポリマーとも称する。)として、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系などのポリマーを挙げることができ、その性状(形態)は、液状体、高粘性体、エラストマー状体などの各種性状のものを用いればよい。このようなベースポリマー(主剤)を適宜選択し、それぞれに適した架橋方法を用いて所望の粘弾性特性を有する粘着層をそれぞれ形成することができる。
上記主剤の中でも、アクリル系、特に(メタ)アクリル酸エステル重合体(共重合体を含む)をベースポリマー(主剤)として用い、これを架橋して粘着層を形成するのが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を挙げることができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。
上記架橋剤の代わりに架橋モノマーを使用することもでき、架橋モノマーとしては、アクリル系架橋モノマーを用いるのが好ましく、中でも、単官能(メタ)アクリレートよりは、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート、若しくは、単官能〜4官能(メタ)アクリレートの2種以上が混合してなる混合物が好ましい。
3官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート等のトリアクリレート及びその誘導体や、それらのトリメタクリレートなどを挙げることができる。
4官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を挙げることができる。
上記架橋モノマーを使用した場合において、各種架橋開始剤として、光開始剤あるいは熱重合開始剤を用いることが可能であり、特に光開始剤が好ましい。光開始剤としては、開裂型の光開始剤及び水素引抜型の光開始剤のいずれを用いることもでき、中でも水素引抜型光開始剤が好ましい。水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、イソブチルチオキサンソンなどのいずれかもしくはその誘導体、或いはこれらの二種類以上の組み合わせからなる混合成分を用いることができる。但し、水素引抜型の光開始剤として前記に挙げた物質に限定するものではない。また、水素引抜型と開裂型とを種々の割合で併用してもよい。
上記成分のほか、必要に応じて、近赤外線吸収特性を有する顔料や染料などの色素、粘着付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、吸湿剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズなどの各種の添加剤を適宜配合することもできる。
粘着層3の物性調整としては、例えば、粘着層3を構成するベースポリマーと、架橋剤とを適宜選択し、これらを含有する粘着剤組成物を所望の引張貯蔵弾性率となるように架橋度を調整する方法を挙げることができる。
粘着シート1は、剥離フィルム2と粘着層3以外にも、その他の層を備えることができる。例えば、剥離フィルム上に粘着層を介して基材フィルムを積層させたり、さらにこの基材フィルム上に他の粘着層を介して他の剥離フィルム等を積層させたりすることもできる。この際の基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリイミド、PMMA、ウレタンアクリレートを主成分とするUV硬化樹脂などからなる樹脂フィルム又はこれらの積層体を挙げることができる。なお、前記基材フィルムには、さらにハードコート層を積層させたりすることもできる。
粘着シート1は、例えば、剥離フィルム2上に、上記成分を含む粘着層成分を塗布し、架橋させて粘着層3を形成して製造することができる。
粘着層3は、他に、重合方法に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いて、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの重合方法により、各種(メタ)アクリル酸エステル重合体を得て、該重合体を架橋・製膜することで製造する方法などで製造することができる。これらの中でも溶液重合により、各種(メタ)アクリル酸エステル共重合体を得て、該重合体を含有する上記粘着剤組成物を、剥離フィルム上に目的の厚さになるように製膜し、溶剤を乾燥させて架橋することで製造する方法が好ましい。
本発明の粘着シートは、さらに、剥離フィルムの表面又は裏面の幅方向両端部側に保護部を形成することが好ましい。
例えば、図2に示すように、保護部8とは、剥離フィルム5、粘着層6、樹脂フィルム7を順に積層した粘着シート4とした場合、粘着層及び樹脂フィルムの厚みよりも高く形成するものであり、保護部を形成することにより、粘着層にかかる巻圧を緩和させることができ、痕や傷などが付くのを効果的に防止でき、高い平滑性と保管安定性を付与させることができ、巻取体として用いることも可能となる。
また、賦型加工により保護部を形成することもでき、経済的に有利であり、かつ別材料を使用することもないので、再利用の観点から極めて有利となる。
本発明の粘着シートは、巻芯などに巻き回して粘着シート巻取体とすることができる。
粘着シート巻取体としては、上述した粘着シートを環状体に巻き取ってなるものであれば、特に制限されるものではない。このようにすることにより、粘着シートが環状体に連続して巻き取られるため、シート状の積層体に比較して製造装置の小型化が可能になるとともに、保管スペースも小さくできる。
本発明の粘着シートは、ディスプレイや光ディスクなどの光学部材等に保護膜を貼付するのに好適に用いることができ、特に、高い平滑性の求められるブルーレイディスクにおいて、保護膜を積層するために用いるのが好適である。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。例えば、厚さに関して言えば、狭義では100μm未満のものをフィルムと称することがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かではなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
アクリル酸ブチル73質量部、アクリル酸メチル7質量部、メタクリル酸メチル18質量部及びアクリル酸2質量部の共重合体に、酢酸エチルを固形分30%となるよう加え粘着主剤溶液を調整した。
この前記粘着主剤溶液1kgに対して、架橋剤として熱硬化型架橋剤であるポリイソシアネート化合物(成分、ポリイソシアネート、旭化成、デュラネートMHG−80B)を0.3g加え粘着層溶液とした。続いて剥離フィルムとしてシリコーンにて離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルMRA−75 巾1000mm、厚み75μm)の離型処理面に、前記粘着層溶液を、塗工巾960mm乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布、乾燥させて粘着層を形成した後、その粘着層上に、シリコーンにて剥離処理し、ポリエチレンテレフタレートからなる別の剥離フィルム(ダイヤホイルMRF−38 巾1000mm、厚み38μm)の離型処理面を積層して粘着シートを形成し、その粘着シートを、直径6インチのプラスチック製巻芯に巻取り、粘着シート巻取体を形成した。この巻取体の状態で温度23℃湿度60%環境下1週間養生して粘着剤を架橋させ、粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において620000Pa、120℃において90000Paであった。
実施例1で用いたポリイソシアネート化合物の代わりに、粘着主剤溶液1kgに対してエポキシ樹脂系硬化剤(綜研化学社製E−AX)3gとした以外は実施例1と同様にして粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において510000Pa、120℃において127000Paであった。
実施例1で用いた粘着層溶液の代わりに、アクリル酸ブチル63質量部、アクリル酸メチル35質量部及びアクリル酸2質量部の共重合体に、酢酸エチルを固形分30%となるよう加えた粘着主剤溶液1kgに対し熱硬化型架橋剤であるポリイソシアネート化合物(旭化成製デュラネートMHG−80B)0.6gを添加したものとした以外は、実施例1と同様にして粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において440000Pa、120℃において160000Paであった。
実施例1で用いた粘着層溶液の代わりに、アクリル酸ブチル90質量部、メタクリル酸メチル6質量部及びアクリル酸4質量部の共重合体に、酢酸エチルを固形分30%となるよう加えた粘着主剤溶液1kgに対し、熱硬化型架橋剤であるイソシアネート化合物(旭化成製デュラネートMFA−80B)0.6gを添加したものとした以外は、実施例1と同様にして粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において330000Pa、120℃において240000Paであった。
実施例1で用いた粘着層溶液を、剥離フィルムとしてシリコーンにて離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルMRF−75 巾1000mm、厚み75μm)の離型処理面に、前記粘着層溶液を、塗工巾960mm乾燥後の厚みが30μmとなるよう塗布、乾燥させて粘着層を形成した後、その粘着層上に、シリコーンにて剥離処理し、ポリエチレンテレフタレートからなる別の剥離フィルム(ニッパ株式会社製 PET38−A3 巾1000mm、厚み38μm)の離型処理面を積層して粘着シートを形成し、該粘着シート両端の粘着層未塗工部に、超音波ミシン(株式会社プロコ製PUS−2150)にて、巾6mm、賦型高さ120μと成るように凹凸賦型を施した後、直径6インチのプラスチック製巻芯に巻取り、粘着シート巻取体を形成した。
粘着層溶液として、ウレタンアクリレート系粘着剤(日本合成化学製UV3610ID80)1kgに対して光重合開始剤(Lanberti社製ESACURE TZT)20g混合した後、酢酸エチルで固形分濃度50%に希釈したものを用いた以外は実施例2と同様にして粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において1290000Pa、120℃において1360000Paであった。
実施例1で用いたポリイソシアネート化合物の添加量を0.1gとする以外は、実施例1と同様にして粘着シート巻取体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において516000Pa、120℃においては試験片が流動して形状を保持出来ず、測定不能であった。
実施例1で用いた粘着層溶液の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート75質量部、酢酸ビニル20質量部及びアクリル酸5質量部の共重合体に、酢酸エチルを固形分30%となるよう加えた粘着主剤溶液1kgに対し、熱硬化剤であるイソシアネート化合物(旭化成製デュラネートMHG−80B)1gを添加したものとした以外は、実施例1と同様にして粘着シート巻取り体を作成した。
架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定したところ、図3に示すように、25℃において170000Pa、120℃においては試験片が120℃付近で切れてしまい測定不能であった。
(保管安定性)
実施例及び比較例で作成した粘着シート巻取体を1週間保管した後、レーザー干渉計(フジノン製F601)にて粘着シートに650nm単波長レーザーを透過させ、透過光より観察される干渉縞から平滑性を目視確認した。
比較例2及び比較例3で作成した粘着シート巻取体は、柚子肌状の微小ムラの発生が確認されたが、他は、良好であった。
実施例及び比較例で作成した粘着シート巻取体について、トムソン刃による裁断加工を10枚行い、裁断時の状況を確認した。
比較例1で作成した粘着シート巻取体は、裁断端面の粘着層と剥離フィルム界面で浮き・剥離が起こった。また比較例2及び比較例3で作成した粘着シート巻取体では、裁断端面の粘着層の変形、はみ出しが発生した。他は、良好であった。
実施例は、保管安定性及び加工性の両評価とも好適な結果となった。比較例1は、加工性の点で劣っており、比較例2及び比較例3は、両評価の点で劣っていた。
比較例1で示すように、引張貯蔵弾性率が高すぎると、剥離フィルムを剥離して、粘着層を所望の被着体に貼合して使用する際、粘着層が硬くなりすぎて貼合に十分なタックが得られず、被着体への貼合直後の接着力が得られにくくなる。そのため、引張貯蔵弾性率は、100万Pa以下、好ましくは70万Pa以下とするのがよいと思われる。
また、比較例2及び比較例3で示すように、引張貯蔵弾性率が低すぎると、長期保管された場合や高温下等の環境変化に曝された場合に粘着層の変形が起こりやすく、また保管や取回し時に押痕等変形が発生した場合、変形が塑性変形したまま回復されにくくなる。そのため、引張貯蔵弾性率は、5万Pa以上、好ましくは8万Pa以上とするのがよいものと思われる。
Claims (8)
- 剥離フィルムの少なくとも一方の面に粘着層を備え、該粘着層を架橋してなる粘着シートであって、
前記架橋後の粘着層は、周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定した時に、25℃〜120℃の温度範囲におけるいずれにおいても5万Pa以上100万Pa以下の範囲にあることを特徴とする粘着シート。 - 前記粘着層が、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むベースポリマーと架橋剤とを含有する粘着剤組成物からなることを特徴とする請求項1記載の粘着シート。
- 剥離フィルムの表面又は裏面の幅方向両端部側に、保護部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 保護部が、超音波溶着装置により形成されたことを特徴とする請求項3記載の粘着シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シートからなる光学部材用粘着シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シートからなる光ディスク用粘着シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シートを巻き取りしてなる粘着シート巻取体。
- 第1の剥離フィルム上に、架橋後の周波数1Hzにおける引張貯蔵弾性率の温度分散挙動を測定した時に、25℃〜120℃の温度範囲におけるいずれにおいても5万Pa以上100万Pa以下の範囲にある粘着層を介して基材フィルム及び/又は第2の剥離フィルムをこの順に積層して積層体を形成した後、該積層体の幅方向両端部側に、賦型加工して保護部を形成する工程を含む粘着シートの製造方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140218 |