図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する装置及び方法は、食品等の充填物が入れられた容器の内部のヘッドスペース等の空間に存在する空気を不活性ガス等の置換ガスで置換するとともに、フィルムを使って容器を密封する装置及び方法であり、特に、容器の密封に先立ってフィルムのめくれ等の異常を検出する。以下では、まず容器の密閉に関わる装置構成及び工程について説明し、その後、フィルムの異常の検出に関わる装置構成及び工程について説明する。
なお以下の説明では、異常検出装置及び異常検出方法が容器密閉装置及び容器密閉方法に組み込まれているが、本発明に係る異常検出装置及び異常検出方法は、フィルムを使った容器の密閉処理自体を直接的に行わない装置及び方法に対しても適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る容器密閉装置10の概略構成を示す平面図である。
容器密閉装置10は、複数の容器100を上流側から下流側に向けて移送する搬送装置11、12、13を備え、各容器100の内部の空気を置換ガスに置き換えつつ、開口部101をフィルム110により覆って各容器100をシールする。置換ガスとしては目的に応じた任意のガスを使うことができ、典型的には、窒素等の不活性ガス、二酸化炭素等の静菌作用を示すガス、或いはこれらのガスの混合ガス等を置換ガスとして使用できる。またフィルム110としては柔軟性を示す任意のシート形状体を使うことができ、典型的には樹脂フィルムをフィルム110として使用でき、酸素を含む空気や置換ガスを全く透過させない或いは殆ど透過させない材料によってフィルム110が構成されることが好ましい。
本実施形態では、図1に示す容器密閉装置10よりも前段に設けられる装置(図示せず)によって各容器100に内容物が収容され、既に内容物が収容された複数の容器100が容器密閉装置10の搬送装置11、12、13によって移送される。ただし、各容器100に内容物が収容されるタイミングは特に限定されず、容器密閉装置10の任意の箇所(特に後述の仮シール工程よりも前段の箇所)で各容器100に内容物が収容されてもよい。内容物の種類及び状態は限定されず、典型的には、固体、液状体、ゲル状体、或いはこれらの混合物によって内容物が構成される。また内容物の組成及び用途も限定されず、例えば食品を内容物としてもよい。
図1に示す容器密閉装置10の搬送装置は、複数の容器100を移送方向D1−1へ直線的に移送する搬送コンベア11と、搬送コンベア11から受け取った複数の容器100をサークル状の曲線経路に沿って搬送する回転搬送部12と、回転搬送部12から受け取った複数の容器100を後段に向けて直線的に移送する放出コンベア13と、を含む。搬送コンベア11から回転搬送部12へは一度に2つの容器100が受け渡され、また回転搬送部12から放出コンベア13へは一度に2つの容器100が受け渡される。
各容器100は、搬送コンベア11によって搬送される間に、任意の処理を受けることができる。例えば、後段で行われる仮シール工程及び本シール工程を精度良く行うために、各容器100は、搬送コンベア11による搬送中に、縁部102(特にシール面)が清掃され縁部102から異物が除去されてもよい。
回転搬送部12は、架台37上に設けられた円板状の回転テーブル36と、回転テーブル36を間欠的に軸回転させる図示しない駆動源とを有する。回転テーブル36は、その外周部において複数の容器100を支持しつつ軸回転し、これらの複数の容器100をサークル状の曲線経路に沿って移送する。図1に示す回転搬送部12には、12箇所の停止ステーション(図中のローマ数字「I」〜「XII」参照)が設けられている。回転テーブル36に載置された各容器100は、第1ステーションI〜第12ステーションXIIを上流側から下流側に向けて順次巡り、各停止ステーションにおいて間欠的に停止する。
図1に示す回転搬送部12では、第1ステーションIに配置された回転テーブル36上に搬送コンベア11から容器100が移送及び載置され(受け取り工程)、第2ステーションIIでは特に何も行われない(ブランク工程)。そして第3ステーションIIIでは、フィルム110のトリミング及び各容器100に対するフィルム110の仮シールが行われ(トリミング工程/仮シール工程)、第4ステーションIV〜第7ステーションVIIでは各容器100の内部ガスが窒素ガスに置換される(不活性ガス置換工程)。そして第8ステーションVIII〜第10ステーションXでは、本シール装置24によって、各容器100に対するフィルム110の本シール処理が行われる(本シール工程)。そして第11ステーションXIでは、本シール処理が施された容器100及びフィルム110が、冷却装置31によって冷却される(冷却工程)。そして、図1において設置位置のみが示されている放出装置33(放出装置33の具体的な構成の図示は省略)によって、第12ステーションXIIに配置された回転テーブル36上から放出コンベア13上に容器100が移送され、放出コンベア13によって各容器100が後段に送られる(搬出工程)。
以下、上述の各停止ステーションにおいて行われる処理について説明する。
[第1ステーションI及び第2ステーションII]
第1ステーションIでは、搬送コンベア11から回転搬送部12に容器100が受け渡され、回転搬送部12の回転テーブル36上に固定設置されたリテーナ(図2の符合「50」参照)の凹部(容器収容部)に各容器100が配置される。なお、第1ステーションIにおける容器100の受け渡し方法は特に限定されず、図示はしないが、搬送コンベア11からリテーナの凹部に容器100を移送するための装置や案内するためのガイドが必要に応じて設けられてもよい。
第2ステーションIIでは、図1に示す例では特に処理は行われないが、任意の処理が行われてもよい。例えば、各容器100に内容物を投入する処理や回転テーブル36上の各容器100の状態を撮影及び確認する処理等が、第2ステーションIIで行われてもよい。
[第3ステーションIII]
第3ステーションIIIには、各容器100の開口部101をフィルム110によって被覆するようにフィルム110を配置するフィルム供給装置15が設けられている。図1に示すフィルム供給装置15は、巻き取り駆動ローラ67及び案内ローラ68を有する。図示しない駆動装置により軸回転させられる巻き取り駆動ローラ67によってフィルムロール111からウエブ状のフィルム110が間欠的に繰り出され、案内ローラ68によってフィルム110の高さ方向(すなわち鉛直方向)に関する走行位置が調整される。すなわちフィルム供給装置15は、ウエブ状のフィルム110を、容器100の移送方向D1−2を横切る方向(本実施形態では、水平方向のうち移送方向D1−2と垂直を成す垂直方向D2)へ走行させ、第3ステーションIIIに配置された2つの容器100の開口部101の上方を通過させる。なおフィルムロール111からのフィルム110の繰り出し動作は、回転搬送部12による容器100の搬送に応じて行われ、新たな容器100が第3ステーションIIIに配置されると、フィルム110は間欠的に所定量走行し、フィルム110の新たな部分が新たな容器100の上方に配置される。
そして仮シール装置17が、第3ステーションIIIに配置される各容器100の開口部101の上方に配置されるウエブ状のフィルム110の一部分を切り離し、この切り離されたフィルム110によって、第3ステーションIIIに配置される各容器100の開口部101が被覆される。
図2は、仮シール装置17の構成例を示す図である。なお図1では、仮シール装置17の配置位置のみが示されており、仮シール装置17の具体的な構成の図示は省略されている。
図2に示す仮シール装置17は、フィルム110を切断するトリミング装置として機能するとともに、開口部101を被覆するフィルム110の一部分のみを容器100の縁部102に固着する仮シール装置としても機能する。
すなわち仮シール装置17は、架台37(図1参照)上に設けられる昇降部材41と、昇降部材41に固定されたカッター46及び仮シール駆動源40と、仮シール駆動源40のピストンロッド40aに取り付けられた熱板受台42と、熱板受台42に取り付けられた仮シール熱板47及び容器保持部48と、熱板受台42に固定され仮シール熱板47に対して熱的に接続されたヒータ線43と、を有する。
昇降部材41は、図示しない駆動源に連結され、当該駆動源からもたらされる駆動力に応じて、カッター46及び仮シール駆動源40とともに高さ方向に昇降する。具体的には、第3ステーションIIIに配置された各容器100の上方に配置されたウエブ状のフィルム110よりも上方の上昇位置と、当該ウエブ状のフィルム110よりも下方の下降位置との間を、カッター46の先端の切断部が移動するように、昇降部材41は昇降する。
昇降部材41には、フィルムロール111(図1参照)から繰り出されたウエブ状のフィルム110を案内するフィルム張り調整部材44及び案内ローラ45が取り付けられている。フィルム張り調整部材44及び案内ローラ45は、垂直方向D2へのフィルム110の走行を促しつつ、当該フィルム110の高さ方向位置を規制する。これにより、ウエブ状のフィルム110は、第3ステーションIIIに配置された各容器100の上方の所望位置を走行することができる。
なお回転搬送部12により搬送される各容器100は、図2に示すように、回転テーブル36上にリテーナ固定部材49を介して固定されるリテーナ50の凹部に嵌め込まれて保持される。したがって、回転テーブル36からリテーナ固定部材49を取り外すことにより回転テーブル36に対するリテーナ50の固定を解除でき、リテーナ50を交換することが可能である。例えば搬送対象の容器100のサイズを変更する場合、変更後の容器100に対応する凹部を有するリテーナ50が、リテーナ固定部材49を介して回転テーブル36上に固定される。このように、様々なサイズの容器100に対して仮シール装置17を適用することができる。
カッター46は、昇降部材41とともに上昇位置から下降位置に移動した際に、各容器100の開口部101及び縁部102に応じた所望形状及び所望サイズのフィルム110を、ウエブ状のフィルム110から切り出すことができる位置に配置されている。フィルム110は縁部102よりも若干大きくなるようにカッター46によって切り出され、切り出されたフィルム110によって各容器100の開口部101及び縁部102が完全に覆われる。リテーナ50は、カッター46に対応する位置においてカッター挿入溝50aを有する。上昇位置から下降位置に移動するカッター46は、カッター挿入溝50aに進入し、リテーナ50と物理的に干渉することなくフィルム110を切断する。
一方、仮シール駆動源40は、エアシリンダによって構成され、図示しないコンプレッサから供給される圧縮空気圧に応じてピストンロッド40aの突出量をコントロールする。高さ方向に延在し下向きに突出するピストンロッド40aの先端部には、熱板受台42を介して仮シール熱板47が取り付けられている。ピストンロッド40aの突出量に応じて、仮シール熱板47の高さ方向位置が変動するため、仮シール熱板47によってフィルム110が容器100の縁部102に対して押し当てられるタイミングを調整することが可能である。すなわちピストンロッド40aの突出量を調整することによって、カッター46によるフィルム110の切断とほぼ同じタイミング、カッター46がフィルム110を切断する前のタイミング、或いはカッター46がフィルム110を切断した後のタイミングで、仮シール熱板47によってフィルム110を容器100の縁部102に押し当てることができる。
仮シール熱板47は、ヒータ線43から供給される熱エネルギーを利用し、フィルム110の一部を容器100の縁部102に固定し、フィルム110によって容器100を仮シールする。具体的には、第3ステーションIIIに配置された各容器100の縁部102の所定箇所に対し、仮シール熱板47の加熱面がフィルム110を介して押し当てられ、押し当てられた箇所の縁部102及びフィルム110が熱溶着されて仮シール部を形成する。なお、縁部102のうち、仮シール熱板47が押し当てられる部分以外の箇所は、容器保持部48がフィルム110を介して押し当てられる。すなわち、仮シール熱板47及び容器保持部48が、開口部101の全周にわたる縁部102に押し当てられる。なお容器保持部48は単なる支持部材であり、容器保持部48によって縁部102に対して押し当てられたフィルム110の部分は、縁部102に対して一時的に固定されるが、熱溶着されることはない。
このように仮シール装置17は、開口部101を被覆するフィルム110の一部を容器100に固着し、容器100に固着されるフィルム110の一部(すなわち仮シール部)を介し、容器100に固着されずに相互に分離して設けられる第1非固着部及び第2非固着部をフィルム110に形成する。
図3は、仮シール部55の配置例を示す容器100の平面図である。図4は、仮シール部55の他の配置例を示す容器100の平面図である。
図3に示す例では、各容器100の縁部102のうち、移送方向D1−2に関して相互に対向する辺部の一部が、フィルム110に対して固着されることで、仮シール部55が形成される。この場合、フィルム110のうち、垂直方向D2に関して相互に対向する縁部102の辺部の一方と対向する部分と、移送方向D1−2に関して相互に対向する縁部102の辺部の各々の一部と対向する部分とによって、容器100に固着されない第1非固着部114が構成される。またフィルム110のうち、垂直方向D2に関して相互に対向する縁部102の辺部の他方と対向する部分と、移送方向D1−2に関して相互に対向する辺部の各々の一部と対向する部分とによって、容器100に固着されない第2非固着部115が構成される。
このように図3に示す例では、フィルム110が、縁部102のうち移送方向D1−2に関して相互に対向する辺部の一部に固着されて保持される。その一方で、縁部102のうち垂直方向D2に関して相互に対向する辺部、及び当該辺部を覆う第1非固着部114及び第2非固着部115は、未シール部を構成し、容器100の内部に対するガスの流入口及び流出口を形成する。このように、仮シール部55を介して相互に分離した状態で設けられる第1非固着部114及び第2非固着部115によって容器100の内部に対するガスの流入口及び流出口を形成することで、容器100の内部へのガスの流入及び容器100外へのガスの流出を促すことができる。特に、第2非固着部115が容器100と接触しない場合に第2非固着部115と容器100との間に形成される第2間隙S2が、移送方向D1−2とは異なる方向に向けて開口する開口部を有することで、容器100の内部のガスが移送方向D1−2(特に下流側)に流出することを低減することができる。また、第1非固着部114が容器100と接触しない場合に第1非固着部114と容器100との間に形成される第1間隙S1及び上記の第2間隙S2を垂直方向D2に関して相互に対向する位置に設けることによって、容器100の内部のガスが移送方向D1−2(特に下流側)に流出することを低減することができる。このようにして、第3ステーションIIIに配置された容器100の内部から流出した酸素を含みうるガスが、移送方向D1−2の下流側に配置される容器100の内部に流入することを防ぐことができる。
一方、図4に示す例では、各容器100の縁部102のうち、移送方向D1−2に関して相互に対向する辺部の各々の一部と、垂直方向D2に関して相互に対向する辺部の他方の一部とが、フィルム110に固着されることで、仮シール部55が形成される。この場合、フィルム110のうち、垂直方向D2に関して相互に対向する縁部102の辺部の一方と対向する部分と、移送方向D1−2に関して相互に対向する縁部102の辺部の各々の一部と対向する部分とによって、第1非固着部114が構成される。またフィルム110のうち、垂直方向D2に関して相互に対向する縁部102の辺部の他方の一部と対向する部分によって、第2非固着部115が構成される。
図4に示す例においても、相互に分離して設けられる第1非固着部114及び第2非固着部115によって容器100の内部に対するガスの流入口及び流出口を形成することができる。特に、第2非固着部115と縁部102との間の第2間隙S2によって形成される流出口が移送方向D1−2に開口することなく垂直方向D2にのみ開口するため、容器100の内部のガスが移送方向D1−2に流出することを効果的に低減できる。
上述の図3及び図4に示すように、仮シール部55は、開口部101よりも移送方向D1−2の上流側に位置する部分と、開口部101よりも移送方向D1−2の下流側に位置する部分とを含む。また第1非固着部114は、各容器100の開口部101よりも、垂直方向D2の逆方向側に位置する部分(図3及び図4の下側部分)を含み、第2非固着部115は、開口部101よりも垂直方向D2の順方向側に位置する部分(図3及び図4の上側部分)を含む。
なお、仮シール部55、第1非固着部114及び第2非固着部115の配置位置は図3及び図4に示す位置には限定されない。ただし、フィルム110のうち仮シール装置17によって容器100に固着された仮シール部55の少なくとも一部は、当該容器100の開口部101よりも移送方向D1−2の下流側(すなわち図3及び図4の右側)に位置することが好ましい。この場合、容器100の内部から移送方向D1−2の下流側に向かうガスの流出が制限され、容器100の内部から流出したガスによって移送方向D1−2の下流側の容器100の内部の酸素濃度が上昇することを防ぐことができる。
また容器100の内部へのガスの流入口及び容器100の内部からのガスの流出口を形成しうる第1非固着部114及び第2非固着部115は、少なくとも一部が対向するように設けられることが好ましく、特に垂直方向D2に関して少なくとも一部が対向するように設けられることが好ましい。第1非固着部114及び第2非固着部115を対向させることによって、容器100の内部のガスの流れをコントロールしやすくなり、特に垂直方向D2に関して第1非固着部114及び第2非固着部115を対向させることにより、容器100の内部からのガスの移送方向D1−2への流出を効果的に防ぐことができる。また、少なくとも容器100の内部からのガスの流出口を形成しうる第2非固着部115は、図4に示すように、開口部101よりも垂直方向D2の上流側又は下流側に位置し且つ開口部101よりも移送方向D1−2の上流側及び下流側には位置しないことが好ましい。この場合、容器100の内部からのガスの移送方向D1−2への流出を効果的に制限することができる。
[第4ステーションIV]
図1に示す第4ステーションIVには、フリップ装置19、第1支持部21及びプレート駆動装置35が設けられている。
図5は、フリップ装置19、支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)及びプレート駆動装置35の概略構成を示す拡大平面図である。
フリップ装置19は、フィルム110の第1非固着部114と容器100との間に第1間隙S1が形成されるように、第1非固着部114を保持して容器100から離間させる。フリップ装置19は、第1非固着部114の保持及び保持解除を行うことができる任意の構成を有し、典型的には、第1非固着部114の保持及び保持解除を行うことができる吸盤を具備する。またフリップ装置19は高さ方向へ昇降可能に設けられており、第4ステーションIVに配置された各容器100の縁部102に接触した状態のフィルム110(特に第1非固着部114)に当接する当接位置と、当該当接位置よりも上方の退避位置との間で移動する。
第1支持部21は、フィルム110の一部を容器100の縁部102から離間するように支持する支持プレート20を、後述の第2支持部22とともに構成する。すなわち第1支持部21は、先端の一部が第1間隙S1を介して容器100の内側に挿入された状態でフリップ装置19による第1非固着部114の保持が解除された場合に、第1間隙S1が完全には閉じられないように第1非固着部114を支持する。本実施形態の第1支持部21は、プレート駆動装置35により駆動され、垂直方向D2に関して進退移動可能に設けられており、第1支持部21の全体が容器100外に配置される退避位置と、第1支持部21の先端の一部が容器100の内部に配置される挿入位置との間で移動される。
また本実施形態の第1支持部21は、第4ステーションIVに配置された各容器100の内部に置換ガスを吹き込む第1置換ガス供給部57を具備する。図5に示す第1置換ガス供給部57は、第1支持部21の内部に形成されたL字状のガス流通路(図示せず)と、第1支持部21の先端部の端面に形成されガス流通路に連通する複数のガス噴出孔59とを有する。このガス流通路の一方の端部には置換ガスのガス供給源(図示せず)が連通し、他方の端部には複数のガス噴出孔59が連通する。
ガス噴出孔59は、第1支持部21の先端部の端面の概ね全域にわたって複数設けられ、水平方向(特に垂直方向D2)に向かって開口し、ガス噴出孔59からの置換ガスの噴出方向は略水平方向(特に垂直方向D2)に設定されている。容器100の内部においてガス噴出孔59から置換ガスを水平方向に吹き出すことによって、容器100の内側に滞留する空気をいわゆるエジェクター効果により第2間隙S2を介して容器100の外部に排出することが可能である。またガス噴出孔59から噴出する置換ガスは容器100の内側底部に収容される内容物に向けて直接的には吹き付けられないため、容器100外への内容物の飛び出しも抑制できる。なお、ガス噴出孔59からの置換ガスの噴出方向は特に限定されず、例えば水平方向(すなわち垂直方向D2)から僅かに傾けられてもよい。
このように第1間隙S1が完全には閉じられないように第1支持部21が第1非固着部114を支持している状態で、第1支持部21に設けられる第1置換ガス供給部57は、第2非固着部115(すなわち第2間隙S2)に向けて置換ガスを吹き出し、容器100の内側に置換ガスを供給する。このように第1置換ガス供給部57は、置換ガスを案内するガス案内路であって、置換ガスを吐出するガス噴出孔59(吐出口部)を持つガス案内路として構成される。そしてガス噴出孔59は、第1非固着部114が支持プレート20(すなわち第1支持部21)の載置領域に載せられている状態で、容器100内に配置され、ガス噴出孔59から吐出された置換ガスはダイレクトに容器100内に供給される。なお第1置換ガス供給部57は、上述のように第1支持部21と一体的に設けられてもよいが、第1支持部21と別体として設けられてもよい。すなわち、第1支持部21を第1置換ガス供給部57として兼用してもよいし、第1支持部21を構成する部材とともに、第1置換ガス供給部57を構成するノズル等の部材が併用されてもよい。
上述のフリップ装置19及び第1支持部21は連動し、容器100の内部のガスを置換ガスに置き換える。すなわち、第1支持部21の先端の一部は、フリップ装置19が第1非固着部114を保持して第1間隙S1を形成している状態で、当該第1間隙S1を介して容器100の外側から内側に挿入される。第1支持部21の先端の一部が第1間隙S1を介して容器100の内側に挿入された後、フリップ装置19による第1非固着部114の保持が解除され、第1非固着部114が第1支持部21の載置領域上に載せられる。これにより、第1間隙S1が閉じられることなく容器100の内部にガス噴出孔59が配置され、ガス噴出孔59から噴出される置換ガスを容器100の内部に直接的に供給することができる。ガス噴出孔59から置換ガスを噴出させるタイミングは、第1支持部21の先端の一部が容器100の内側に挿入された後(すなわちガス噴出孔59が容器100の内部に配置された後)のタイミングを含んでいればよい。したがってガス供給源は、第1支持部21の先端の一部が容器100の内側に挿入される前から継続的にガス噴出孔59から置換ガスが噴出されるようにガス流通路に置換ガスを供給してもよいし、ガス噴出孔59から断続的に置換ガスが噴出されるようにガス流通路に置換ガスを供給してもよい。
なお、回転搬送部12によって移送される容器100の経路のうち、少なくともフリップ装置19によって第1非固着部114が保持される位置から本シール装置24によって第1非固着部114及び第2非固着部115が容器100に固着される位置までの範囲(本実施形態では第4ステーションIV〜第8ステーションVIIIの範囲)には、ガスブース29が設けられる。図1に示す容器密閉装置10では、第4ステーションIV〜第8ステーションVIIIにわたる容器100の円弧状の移動経路を取り囲むようにガスブース29が設けられ、この範囲を回転搬送部12によって移送される容器100及びフィルム110はガスブース29の内部に配置される。このようにガスブース29は、回転搬送部12(搬送装置)によって移送される容器100の経路の少なくとも一部を囲み、少なくとも、フリップ装置19によって第1非固着部114が保持される位置よりも移送方向D1−2に関して下流側の位置から本シール装置24によって第1非固着部114及び第2非固着部115が容器100に固着される位置までの範囲にわたって設けられる。
ガスブース29には、ガスブース29の内部に置換ガスを供給するガス供給部(後述の図6〜図8の符合「52」参照)と、ガスブース29の内部のガスを外部に流出可能なガス流出部(後述の図6〜図8の符合「53」参照)とが設けられており、ガスブース29の内部は基本的に置換ガスによって満たされている。これらのガス供給部及びガス流出部の構成及び配置位置は特に限定されない。例えば、垂直方向D2に関して相互に対向する位置にガス供給部及びガス流出部が設けられることによって、ガス供給部からガス流出部に向かう置換ガスの流れ(図3及び図4の矢印「F」参照)を作り出すことができる。これにより、第1間隙S1を介した容器100の内部への置換ガスの流入及び第2間隙S2を介した容器100外への置換ガスの流出を促すことができる。またガス流出部は、ガスブース29の内部のガス圧にかかわらずガスブース29の内部のガスを積極的に外部に送り出す構造を有していてもよいし、ガスブース29の内部のガス圧に応じてガスブース29の内部のガスを外部に流出させる構造を有していてもよい。またガス供給部及びガス流出部は、容器100の移動経路の全域にわたって設けられることが好ましいが、移動経路の一部(特に第1支持部21が設けられる第4ステーションIV)にのみ設けられてもよい。本実施形態では、第4ステーションIV〜第8ステーションVIIIの全域にわたって複数のガス供給部52及び複数のガス流出部53の各々が離散的に設けられている。
このように、少なくとも、フリップ装置19が第1非固着部114をめくって容器100の内部への置換ガスの供給を開始してから、本シール処理を行って容器100の内部への置換ガスの供給を終了するまでの間は、容器100及びフィルム110は置換ガスで満たされたガスブース29の内部に配置される。これにより各容器100の内部のガスを効率良く置換ガスに置き換えつつ、容器100をフィルム110によってシールすることができる。
[第5ステーションV〜第7ステーションVII]
図1に示す第5ステーションV〜第7ステーションVIIでは、移送方向D1−2に関して第1支持部21よりも下流側に設けられる第2支持部22がガスブース29内に設置される。本実施形態の第2支持部22は、図5に示すように、容器100の移動経路に沿った円弧状の形状を有し、ガスブース29に対して固定的に設置されている。
第2支持部22は、容器100が第4ステーションIVから第5ステーションVに移送される際に、第1支持部21によりフィルム110が支持されて容器100とフィルム110との間に形成されている第1間隙S1に進入する。すなわち、第1間隙S1が完全には閉じられないように第1支持部21が第1非固着部114を支持している状態で、第2支持部22の先端の一部が第1間隙S1を介して容器100の外側から内側に挿入される。したがって各容器100は、第4ステーションIVから移送される際に、第1支持部21のみによってフィルム110が支持される区間、第1支持部21及び第2支持部22の両者によってフィルム110が支持される区間、及び第2支持部22のみによってフィルム110が支持される区間を経て、第5ステーションVに至る。このようにして「第1支持部21によってフィルム110が支持される状態」から「第2支持部22によってフィルム110が支持される状態」への移行がスムーズに行われる。
そして第2支持部22は、第5ステーションVから第7ステーションVIIにわたって各容器100とフィルム110(特に第1非固着部114)との間に介在して第1間隙S1を維持し、各容器100の内部ガスの置換ガスへの置き換えを促す。なお第2支持部22のうち、フィルム110(特に第1非固着部114)が載せられる領域は載置領域(後述の図14及び図15の符合「20a」参照)とも呼ばれる。
また本実施形態の第2支持部22は、第5ステーションV〜第7ステーションVIIに配置された各容器100の内部に置換ガスを吹き込む第2置換ガス供給部58を具備する。すなわち第2置換ガス供給部58は、第2支持部22の内部に形成されたL字状のガス流通路(図示せず)と、第2支持部22の先端部の端面に形成されガス流通路に連通する複数のガス噴出孔60とを有する。このガス流通路の一方の端部には置換ガスのガス供給源(図示せず)が連通し、他方の端部には複数のガス噴出孔60が連通する。第2支持部22に設けられる第2置換ガス供給部58は、第1間隙S1が完全には閉じられないように第2支持部22が第1非固着部114を支持している状態で、第2非固着部115(すなわち第2間隙S2)に向けて置換ガスを吹き出し、容器100の内側に置換ガスを供給する。
ガス噴出孔60は、第2支持部22の先端部の端面の概ね全域にわたって複数設けられ、水平方向(特に垂直方向D2)に向かって開口し、各ガス噴出孔60から略水平方向(特に垂直方向D2)に置換ガスが噴出される。これにより、容器100の内側に滞留する空気を、第2間隙S2を介して容器100の外部に排出することができ、容器100の内部ガスの置換ガスへの置き換えを、効果的に促すことができる。なお、ガス噴出孔60からの置換ガスの噴出方向は特に限定されず、例えば水平方向(すなわち垂直方向D2)から僅かに傾けられてもよい。なお第2置換ガス供給部58は、上述のように第2支持部22と一体的に設けられてもよいが、第2支持部22と別体として設けられてもよい。すなわち、第2支持部22を第2置換ガス供給部58として兼用してもよいし、第2支持部22を構成する部材とともに、第2置換ガス供給部58を構成するノズル等の部材が併用されてもよい。
上述のように本実施形態において、置換ガスを吐出する置換ガス供給部は、第1置換ガス供給部57、第2置換ガス供給部58及びガス供給部52を含み、これらから吐出された置換ガスの少なくとも一部が、第1非固着部114及び第2非固着部115が容器100に固着されていない状態のフィルム110が配置された容器100の内部に供給される。
[第8ステーションVIII〜第10ステーションX]
第8ステーションVIII〜第10ステーションXには、本シール装置24を構成する1次シール装置25、2次シール装置26及び3次シール装置27が設けられており、各容器100の全周にわたる縁部102に対してフィルム110を固着する本シール処理が行われる。すなわち、移送方向D1−2に関してフリップ装置19よりも下流側に設けられる本シール装置24が、第1非固着部114及び第2非固着部115を含むフィルム110の全周部分を容器100の縁部102(本シール部)に固着する。これにより、容器100はフィルム110によって密閉され、容器100の内部に対する開口部101を介したガスの流出入はフィルム110によって防がれる。したがって、容器100の内部が内容物及び置換ガスによって満たされた状態が確保される。
本シール装置24を構成する各装置の具体的な構成は特に限定されないが、本実施形態では、後述の図10に示す装置が1次シール装置25、2次シール装置26及び3次シール装置27として用いられる。すなわち1次シール装置25、2次シール装置26及び3次シール装置27の各々は、エアシリンダによって構成される熱板駆動装置61のピストンロッド61aの先端に熱板受台64を介して取り付けられた熱板65を具備し、熱板受台64に固定されるヒータ線62から熱板65に熱エネルギーが供給される。熱板65は、ピストンロッド61aの突出量に応じて、容器100の全周にわたる縁部102上のフィルム110に当接する当接位置と、容器100の縁部102から離間する退避位置との間で移動する。そして、熱板65がフィルム110を介して容器100の全周にわたる縁部102に押し当てられることによって、フィルム110及び縁部102が熱溶着されて本シール処理が行われる。熱板駆動装置61は、支持フレーム63を介して架台37上に固定される。
なお本シール装置24の具体的な処理プロセスは限定されない。例えば、1次シール装置25によって各容器100の全周にわたる縁部102に対してフィルム110を比較的弱く固着し(1次シール)、2次シール装置26によって各容器100の全周にわたる縁部102を予熱し(2次シール)、3次シール装置27によって各容器100の全周にわたる縁部102に対してフィルム110を比較的強く固着してもよい(3次シール)。また1次シール装置25、2次シール装置26及び3次シール装置27のうちの1つ又は2つの装置のみによって所望のシール性能が確保されるのであれば、これらのシール装置のうちの1つ又は2つの装置が設けられていなくてもよい。
本実施形態のように複数の停止ステーションにわたって本シール処理を行う場合、少なくとも本シール処理が行われる最初の停止ステーション(図1の第8ステーションVIII)に配置された容器100及びフィルム110が上述のガスブース29の内部に配置される。すなわちガスブース29は、本シール処理が行われる最初の停止ステーションよりも後段の停止ステーション(図1の第9ステーションIX及び第10ステーションX)まで延在する必要はない。したがって図1に示すガスブース29は、第4ステーションIV〜第8ステーションVIIIの範囲にのみ設けられており、第9ステーションIX及び第10ステーションXには設けられていない。
[第11ステーションXI及び第12ステーションXII]
第11ステーションXIには冷却装置31が設けられており、第11ステーションXIに配置された容器100及びフィルム110は冷却装置31によって冷却される。これにより、各容器100はフィルム110によって強固にシールされて気密状態が確保される。なお冷却装置31は、容器100及びフィルム110の全体を冷却してもよいし、容器100及びフィルム110のうち本シール装置24(すなわち1次シール装置25、2次シール装置26及び3次シール装置27)によって加熱された部分のみを冷却してもよい。
第12ステーションXIIには放出装置33が設けられており、容器100及びフィルム110が回転搬送部12から放出コンベア13に移送される。
[容器密閉方法の流れ]
次に、上述の容器密閉装置10により行われる「移送される容器100の開口部101をフィルム110によって密閉する容器密閉方法」について説明する。図6〜図10は、容器密閉方法のプロセスを説明するための図である。
上述のように第1ステーションIにおいて搬送コンベア11から回転搬送部12に載せられた容器100は、第2ステーションIIを経た後に第3ステーションIIIに配置される。
第3ステーションIIIでは、フィルム供給装置15によって、ウエブ状のフィルム110から、容器100の開口部101を被覆可能な形状及び大きさにフィルム110を切り出すステップと、フィルム供給装置15によって、切り出されたフィルム110により開口部101を被覆するステップと、仮シール装置17によって、開口部101を被覆するフィルム110の一部を容器100に固着して仮シール部55を形成し、容器100に固着されずに仮シール部55を介して相互に分離して設けられる第1非固着部114及び第2非固着部115をフィルム110に形成するステップと、が行われる。
そしてフィルム110が仮シールされた容器100は、図6に示すように第4ステーションIVに送られる。第4ステーションIVでは、フリップ装置19によって第1非固着部114を保持して容器100から離間させ、第1非固着部114とフィルム110との間に第1間隙S1を形成するステップ(図7参照)と、第1間隙S1を介して第1支持部21の一部を容器100の内側に挿入した状態で、フリップ装置19による第1非固着部114の保持を解除し、第1間隙S1が完全には閉じられないように第1支持部21によって第1非固着部114を支持するステップ(図8参照)と、が行われる。
そして容器100は第5ステーションV〜第7ステーションVIIに順次送られ、容器100及びフィルム110はガスブース29の内部において移送され、容器100とフィルム110(特に第1非固着部114)との間には第2支持部22が配置される(図9参照)。
特に本実施形態の第4ステーションIV〜第7ステーションVIIでは、第1間隙S1が完全には閉じられないよう支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)が第1非固着部114を支持している状態で、置換ガス供給部(すなわち第1置換ガス供給部57及び第2置換ガス供給部58)から容器100の内側に置換ガスを積極的に供給するステップが行われる。
そして容器100は、第8ステーションVIIIに送られ、図10に示すようにガスブース29の内部において1次シール装置25により本シール処理が施される。すなわち第8ステーションVIIIでは、容器100の移送方向D1−2に関してフリップ装置19及び支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)よりも下流側に設けられる本シール装置24(すなわち1次シール装置25)によって、第1非固着部114及び第2非固着部115を容器100に固着するステップが行われる。
また容器100は、第9ステーションIX及び第10ステーションXに順次送られ、ガスブース29の外側で、1次シール装置25(図10参照)と同様の構成を有する2次シール装置26及び3次シール装置27によって本シール処理が施される。その後、容器100及びフィルム110は、第11ステーションXIにおいて冷却処理を受け、第12ステーションXIIにおいて放出コンベア13に放出される。
[異常の検出]
次に、容器100上におけるフィルム110の配置に関する異常の有無を判定する装置及び方法について説明する。
本実施形態では、上述の本シール処理に先立って、フィルム110が容器100上に適切に配置されているか否かが判定され、これにより本シール処理が適切に行われるか否かが予想及び判定される。具体的には、支持プレート20及びフィルム110を利用して電気回路(図12及び図13の符合「C」参照)を構成し、この電気回路の通電状態に基づいて、フィルム110の配置に関する異常の有無を判定する。そのため、フィルム110は非電気伝導性であり、支持プレート20(特に第2支持部22)は電気伝導性である。
すなわちフィルム110は相対的に電気を通しにくい性質を有し、第2支持部22は相対的に電気を通しやすい性質を有する。典型的には、フィルム110は樹脂等の絶縁体によって構成され、第2支持部22は金属(例えばステンレス)等の電気伝導体(すなわち良導体)によって構成される。ただし、非電気伝導性のフィルム110は絶縁体には限定されない。第2支持部22の電気伝導率はフィルム110の電気伝導率よりも大きいが、フィルム110及び第2支持部22の具体的な電気伝導率は限定されない。後述のように、電気回路にフィルム110が含まれる場合と含まれない場合との間で生じる当該電気回路の通電状態の差異を後述の異常判定装置が認識できるような電気伝導率を、第2支持部22及びフィルム110は有する。なお、支持プレート20(第2支持部22)は必ずしも全体が電気伝導性を有する必要はなく、第2支持部22のうち後述の電気回路の形成に関わる部分(すなわち後述の通電体が接触しうる部分(すなわち接触可能部分)及び当該接触可能部分を異常判定装置(特に検出器)に対して電気的に接続するための部分(すなわち電気連絡部分))が電気伝導性を有しさえすれば、第2支持部22の他の部分は非電気伝導性を有していてもよい。同様に、フィルム110は必ずしも全体が非電気伝導性である必要はなく、フィルム110のうち後述の電気回路の形成に関わる部分(すなわち後述の通電体が接触しうる部分)が非電気伝導性を有しさえすれば、フィルム110の他の部分は電気伝導性を有していてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、第7ステーションVIIに回路形成装置70及び異常判定装置90が設けられている。ただし回路形成装置70及び異常判定装置90は、仮シール装置17により仮シール処理が行われた後であって、本シール装置24により本シール処理が行われる前の任意のタイミングで下述の異常判定処理を行うことができる位置に設置可能である。したがって図1に示す容器密閉装置10において、第3ステーションIII〜第8ステーションVIIIのうちのいずれか1つ以上のステーションに回路形成装置70及び異常判定装置90を設置することが可能である。ただし本シール処理の適否を精度良く判定する観点からは、本シール処理が行われる直前に異常判定処理が行われるように、回路形成装置70及び異常判定装置90が設置されることが好ましい。したがって図1に示す容器密閉装置10では、例えばガスブース29が配置されるいずれかのステーションに回路形成装置70及び異常判定装置90を設置することが可能であり、特に第7ステーションVIIや第8ステーションVIIIに回路形成装置70及び異常判定装置90を設置することが好ましい。
図11は、回路形成装置70を側方から見た状態と異常判定装置90(特に検出器95)の電気的な接続状態とを示す。図12は、回路形成装置70を正面から見た状態と異常判定装置90(特に検出器95)の電気的な接続状態とを示し、特に各通電体74が下方位置に配置されている状態を示す。図13は、回路形成装置70を正面から見た状態と異常判定装置90(特に検出器95)の電気的な接続状態とを示し、特に各通電体74が上方位置に配置されている状態を示す。図14は、異常判定処理が行われている容器100及びフィルム110の平面図であり、フィルム110が正常な状態で配置されている場合を示す。図15は、異常判定処理が行われている容器100及びフィルム110の平面図であり、フィルム110に異常(すなわち「めくれ部分110A」)がある場合を示す。図16は、異常判定装置90の機能ブロックを示す図である。なお図11〜図13には、図示の要素の一部については断面が示されている。図11〜図16は、主として異常検出に関わる装置及び方法(すなわち異常検出装置及び異常検出方法)を説明するための図である。
回路形成装置70及び異常判定装置90は、対応のステーション(本実施形態では図1の第7ステーションVII)に配置された容器100上にフィルム110が所望の状態で配置されているか否かを判定する。この判定は、容器100及びフィルム110が対応のステーションにおいて間欠的に停止している間に行われる。
回路形成装置70は、上下方向(すなわち鉛直方向と平行な方向)に関して移動可能に設けられた電気伝導性の通電体74を有し、制御部150の制御下で通電体74には電流が流される。図示の通電体74は棒状の構造を有するが、通電体74の具体的な形状は限定されず、例えばブロック形状の通電体74が用いられてもよい。回路形成装置70は、フィルム110の第1非固着部114及び第2非固着部115が容器100に固着されていない状態で、フィルム110(特に第1非固着部114)よりも上方の位置から、支持体である支持プレート20(すなわち第2支持部22)の載置領域20a(図14及び図15参照)に対して通電体74を押し当てて、通電体74及び第2支持部22を含む電気回路Cを形成する。
上述のように載置領域20aは、フィルム110の第1非固着部114が載せられることが想定されている領域である。したがってフィルム110が所望状態で容器100上に配置されている場合、図14に示すように、載置領域20aは第1非固着部114によって覆われ、通電体74はフィルム110(特に第1非固着部114)を介して載置領域20aに押し当てられる。そのため電気回路Cは非電気伝導性のフィルム110を含むことになる。したがって通電体74を介して電気回路Cに電流を流しつつ電気回路Cの通電状態を検出器95により検出した場合、電気回路Cに実質的に電流が流れていない状態又は相対的に小さい電流が流れている状態が検出される。一方、容器100上のフィルム110にめくれ(図15の符合「110A」参照)や皺等が生じ、フィルム110が異常な状態で容器100上に配置されることがある。そのような場合、載置領域20aの一部又は全部(特に通電体74が接触しうる接触可能部分を含む領域)がフィルム110(特に第1非固着部114)により覆われず、通電体74が、フィルム110を介さずに、第2支持部22に対して直接的に接触して押し当てられることがある。この場合、対応の電気回路Cは非電気伝導性のフィルム110を含まないことになる。したがって、通電体74を介して電気回路Cに電流を流しつつ電気回路Cの通電状態を検出器95により検出した場合、相対的に大きい電流が電気回路Cに流れている状態が検出される。
このように、容器100上においてフィルム110が所望状態で配置されているか否かに応じて、電気回路Cの通電状態が異なる。そのため、制御部150が通電体74を介して電気回路Cに電流を流し、検出器95を使ってこの電気回路Cの通電状態を検出することにより、制御部150は、検出器95により検出された電気回路Cの通電状態に応じて、フィルム110の配置に関する異常の有無を判定することができる。
なお上述のように、フィルム110は容器100上に載せられた状態で容器100の縁部102よりも若干大きくなるようなサイズを有するが(図14及び図15において容器側縁を示す符合「100a」参照)、フィルム110の第1非固着部114が第2支持部22(載置領域20a)上に載せられた状態では、第1非固着部114の端部は垂直方向D2に関して対応の縁部102の端面よりも若干内側(すなわち容器100の内部側)に配置されることとなる(図14及び図15参照)。
図示(特に図11〜図13参照)の回路形成装置70は、取り付けブロック88を介してガスブース29(特に上面フレーム29a)に下端面が固定された支柱73と、支柱73に支持された固定プレート72と、固定プレート72に取り付けられたエアシリンダ等により構成される検出駆動装置71と、検出駆動装置71のピストンロッド71aの先端に固定された支持ブロック75と、支持ブロック75に支持された複数(4つ)の通電体74と、を有する。取り付けブロック88は上面フレーム29aに固定されている。ピストンロッド71aは固定プレート72を貫通して上下方向に延在し、検出駆動装置71は、制御部150の制御下で、固定プレート72からのピストンロッド71aの下方向への突出量を変えられる。支持ブロック75は、4つの通電体74を支持しつつ、ピストンロッド71aの突出量に応じて昇降可能に設けられている。
図示の回路形成装置70では、1つの容器100に対して2つの通電体74が割り当てられている。一度に2つの容器100が各ステーションに配置されるため、回路形成装置70は合計で4つの通電体74を具備する。各容器100に割り当てられる2つの通電体74は、第2支持部22のうちの載置領域20aの上方に配置されており、特に、移送方向D1−2に関するフィルム110の両端部に対応する位置(すなわち移送方向D1−2に関する載置領域20aの両端部に対応する位置)に配置されている。フィルム110に生じうる異常(めくれや皺等)は、移送方向D1−2に関する両端部において顕著に現れる傾向がある。そのため精度良く検出を行う観点からは、載置領域20aのうち、移送方向D1−2に関するフィルム110の両端部が配置される領域に対し、2つの通電体74が押してられることが好ましい。
また図示の回路形成装置70は、第2支持部22の載置領域20aのうち本シール部(すなわち本シール処理によってフィルム110が固着される容器100の縁部102)に対応する箇所に対して各通電体74を押し当てることで、電気回路Cを形成する。これにより、フィルム110のうち本シール部に対応する箇所における異常の有無を判定することができ、本シール処理が適切に行われるか否かを精度良く判定することができる。なお本実施形態において載置領域20aのうち本シール部に対応する箇所とは、載置領域20aのうち容器100の縁部102と重なる領域である。
各通電体74は、支持ブロック75に形成された対応の貫通孔76を貫通して設けられており、各通電体74に形成された第1ストッパ74a及び第2ストッパ74bが、支持ブロック75を介して互いに反対側に配置されている。第1ストッパ74aは、支持ブロック75よりも上方に配置され、対応の貫通孔76よりも大きな径(水平方向径)を有する。第1ストッパ74aが支持ブロック75と接触することによって通電体74は支持ブロック75により支持され、支持ブロック75からの通電体74の脱落が第1ストッパ74aによって防がれている。一方、第2ストッパ74bは、支持ブロック75よりも下方に配置されている。第2ストッパ74bと支持ブロック75との間には圧縮ばね86(付勢部)が配置されている。圧縮ばね86は、第2ストッパ74bと支持ブロック75との間の間隔に応じて、第2ストッパ74bを介して通電体74を下方へ付勢するとともに支持ブロック75を上方へ付勢する。
このように各通電体74を昇降させる昇降機構は、検出駆動装置71、支持ブロック75、第1ストッパ74a、第2ストッパ74b及び圧縮ばね86が組み合わされて構成されている。昇降機構を構成するこれらの要素が制御部150の制御下でお互いに連動することによって、支持ブロック75は、複数(4つ)の通電体74を支持しつつ、これらの通電体74を一体的に上下方向に昇降させる。この昇降駆動により、各通電体74は、第2支持部22の載置領域20aに対して押し当てられる下方位置と、第2支持部22及びフィルム110から離間する上方位置とに配置される。特に、各通電体74が図12に示す下方位置に配置されることによって、各通電体74は第2支持部22(支持プレート20)に対して直接的又は間接的に接続し、通電体74毎に電気回路Cが形成される。
各電気回路Cは、対応の通電体74が、第1の電気伝導路を介して検出器95に電気的に接続されるとともに、第2支持部22及び第2の電気伝導路を介して検出器95に電気的に接続されることで形成される。なお上述のように、各電気回路Cにおいて、第2支持部22と通電体74との間にはフィルム110が存在しうる。また、通電体74及び検出器95が適切に電気的に接続されていれば、第1の電気伝導路及び第2の電気伝導路において任意の電気伝導体が設置されていてもよい。本実施形態の電気回路Cでは、図11に示すように、通電体74のうち支持ブロック75よりも上方に配置される部分は導線(第1の電気伝導路)を介して検出器95に直接的に接続されるが、通電体74のうち支持ブロック75よりも下方に配置される部分(下方先端部)は、第2支持部22、ガスブース29(特に外側側面フレーム29c)及び導線を介し、検出器95に接続される。このように本実施形態では、外側側面フレーム29c及び導線が第2の電気伝導路に含まれており、またガスブース29(少なくとも外側側面フレーム29c)は、ステンレス等の電気伝導体によって構成されている。
また各通電体74は、ガスブース29(上面フレーム29a)及び取り付けブロック88の各々に形成された対応の挿入貫通孔87を通って上下方向に進退可能に設けられている。支持ブロック75の下面から下方への各通電体74の突出量は、各通電体74に対して上方に向かって加えられる力によっても可変であり、圧縮ばね86は、対応の通電体74のこの突出量に応じて圧縮される。支持ブロック75によって支持される4つの通電体74に対して上方に向かう力が加えられていない状態で、これらの通電体74の下方先端部の上下方向に関する位置がお互いに厳密には同じでなくても、全ての通電体74を第2支持部22に対して適切に押し当てることができる。このように圧縮ばね86は、対応の通電体74の先端部の上下方向位置を調整するように働く。また圧縮ばね86の弾性によって、各通電体74が第2支持部22に対して押し当てられた際に生じる衝撃を緩和し、各通電体74がフィルム110の位置をずらして皺を生じさせたりフィルム110を傷づけたりすることを防ぐことができる。
ガスブース29は、図11に示すように更に内側側面フレーム29b及び外側側面フレーム29cを有し、上面フレーム29aは内側側面フレーム29b及び外側側面フレーム29cにより支持されている。内側側面フレーム29bは回転搬送部12の回転中心側に配置され、外側側面フレーム29cは回転搬送部12の外周側に配置されている。内側側面フレーム29bには、貫通孔として設けられたガス流出部53が形成されている。外側側面フレーム29cは、リテーナ50に上方から接触するように設けられ、リテーナ50の上方への移動を規制する。また外側側面フレーム29cにはガス供給貫通孔81が形成されており、ガス供給貫通孔81にはガス連絡部82を介してガス供給部52(図9参照)が接続されている。
なお図9に示すガス流出部53等の要素の構造と、図11に示すガス流出部53等の要素の構造とは、必ずしも厳密には一致していないが、機能的及び作用的には相互に対応しており、当業者であればそのような図示の違いにかかわらず各要素を理解することが可能である。また図9には、第2置換ガス供給部58が、第2支持部22の内部に形成されたガス流通路(図示せず)及び第2支持部22の端面に形成されたガス噴出孔60によって構成される例が示されているのに対し、図11には、第2置換ガス供給部58が、第2支持部22とは別体に設けられたノズルプレートの形態の部材によって構成され、第2支持部22の下面に取り付けられている例が示されている。
一方、異常判定装置90は、電気を通す通電体74を介して電気回路Cに電流を流し、当該電気回路Cにおける通電状態を検出し、検出した当該通電状態に応じて容器100上におけるフィルム110の異常の有無を判定する。本実施形態の異常判定装置90は、図16に示すように制御部150、検出器95及び記憶部151を含む。
検出器95は、上述のように電気回路Cの通電状態を検出するが、具体的な検出対象は限定されず、電流計、電位計、或いはその他の計測器であってもよい。電気回路Cは、図12及び図13に示すように通電体74毎に設けられている。図12及び図13に示す例では、通電体74毎に固有の検出器95が設けられており、符合「95a」〜「95d」で示されている4つの検出器は、それぞれ対応の通電体74に対して電気的に接続され、対応の電気回路Cの通電状態を検出する。なお、通電体74の数及び検出器95の数は必ずしもお互いに対応していなくてもよく、2以上の電気回路Cの通電状態を1つの検出器95によって検出してもよい(すなわち2以上の通電体74に対して1つの検出器95が電気的に接続されていてもよい)。
制御部150は、各通電体74に電流を流す。各通電体74が電源を具備する場合には、制御部150は当該電源を制御することによって各通電体74に電流を流す。また各通電体74とは別個に電源が設けられていてもよい。この場合、制御部150は、各通電体74に電気的に接続された当該電源を制御することによって、各通電体74に電流を流す。
また制御部150は、検出器95により検出された電気回路Cの通電状態に基づいて、容器100上におけるフィルム110の異常の有無を判定する。上述のように、通電体74が第2支持部22(特に載置領域20a)に接触することによって電気回路Cに相対的に大きな電流が流れるが、通電体74と第2支持部22(特に載置領域20a)との間にフィルム110が介在する場合には、電気回路Cには電流が流れない又は相対的に小さな電流が流れる。これらの通電状態の違いに照らし、制御部150は、電気回路Cの通電状態に基づいて、容器100上におけるフィルム110の異常の有無を判定する。
そして制御部150は、フィルム110の異常の有無の判定結果を示すデータを、メモリデバイスによって構成される記憶部151(図16参照)に保存する。この場合、判定結果を示すデータとともに、検出器95によって検出された通電状態を示すデータ(例えば検出器95により取得された計測値等)が、制御部150によって記憶部151に保存されてもよい。これらのデータは、対応のフィルム110及び容器100に対して割り当てられた識別IDと関連づけられて、記憶部151に保存される。また制御部150は、フィルム110の異常の有無の判定結果を、報知器152を介してユーザに報知してもよい。制御部150に接続される報知器152の具体的な形態は限定されず、典型的には報知器152は音声及び/又は画面表示を介して判定結果をユーザに報知する。
上述のようにして異常の有無が判定された後、異常が有ると認定された容器100及びフィルム110は不良品として適切なタイミングで取り除かれることが好ましい。例えば、図示しない排除装置が記憶部151の保存データにアクセスすることによって、或いは制御部150から当該排除装置に異常の有無の判定結果が提供されることによって、排除装置は、異常が有ると認定されたフィルム110及びフィルム110を特定してもよい。この場合、排除装置は、搬送装置(例えば回転搬送部12又は放出コンベア13)によって搬送されている容器群の中から、異常が有ると認定された容器100及びフィルム110を搬送ラインから自動的に除去してもよい。またユーザが、報知器152を介した報知に基づいて、異常が有ると認定されたフィルム110及びフィルム110を搬送ラインから手動的に除去してもよい。
次に、本実施形態に係るフィルム異常判定方法について説明する。本実施形態のフィルム異常判定方法は、フィルム配置工程、支持体配置工程、電気回路形成工程及び異常判定工程を含む。
フィルム配置工程では、容器100の開口部101を被覆するように非電気伝導性のフィルム110が容器100に配置される。支持体配置工程では、フィルム110と容器100との間の間隙(すなわち第1間隙S1)に電気伝導性の支持プレート20(特に第2支持部22)が配置される。電気回路形成工程では、支持プレート20(特に第2支持部22)が間隙(すなわち第1間隙S1)に配置された状態において、フィルム110より上方の位置から間隙(すなわち第1間隙S1)に位置する支持プレート20(特に第2支持部22)に対して通電体74が押し当てられ、通電体74及び支持プレート20(特に第2支持部22)を含む電気回路Cが形成される。異常判定工程では、通電体74を介して電気回路Cに電流が流されて通電状態が検出され、検出された当該通電状態に応じて容器100上におけるフィルム110の異常の有無が判定される。
次に、上述のフィルム110の配置に関する異常の有無の判定の流れについて説明する。
回路形成装置70及び異常判定装置90が設置されている第7ステーションVIIに、仮シール処理が施された容器100及びフィルム110が間欠的に停止したタイミングに応じて、検出駆動装置71は制御部150の制御下でピストンロッド71aの突出量を増大させる。これにより、支持ブロック75及び各通電体74が下降し、各通電体74は第2支持部22(特に載置領域20a)に対して押し当てられる。
そして各通電体74が第2支持部22に押し当てられた状態で、制御部150の制御下で各通電体74には電流が流され、検出器95によって電気回路Cの通電状態が検出される。制御部150は、検出器95により検出された電気回路Cの通電状態に基づいて、対応のフィルム110の配置に異常があるか否かを判定する。
そして上述の判定が終了したタイミングに応じて、検出駆動装置71は制御部150の制御下でピストンロッド71aの突出量を小さくする。これにより、支持ブロック75及び各通電体74が上昇し、各通電体74は第2支持部22(特に載置領域20a)及びフィルム110から離間及び退避する。このようにして退避位置(すなわち上方位置)に配置された各通電体74は、図13に示すように依然として対応の挿入貫通孔87を塞ぐ位置に配置され、外気(例えば酸素を含む空気)が挿入貫通孔87を介してガスブース29内に進入することを防いでいる。
そして各通電体74が第2支持部22及びフィルム110から退避したタイミングに応じて、回転搬送部12が間欠的に回転する。これにより、異常判定処理が終了した容器100及びフィルム110は後段の第8ステーションVIIIに送られ、異常判定処理が行われていない別の容器100及びフィルム110が第7ステーションVIIに新たに配置される。
回路形成装置70及び異常判定装置90は、上述の一連の処理を繰り返し行うことにより、第7ステーションVIIにおいてフィルム110の異常の有無の判定を継続的に行う。
以上説明したように本実施形態の容器密閉装置10によれば、被覆部材として機能するフィルム110が容器100上に適切な状態で配置されているか否かを検出することができる。これにより本シール処理の適否を精度良く判定することができる。
また各通電体74を昇降可能に構成することによって、搬送装置(特に回転搬送部12)によって間欠的に搬送される容器100と各通電体74との間の干渉を回避することができ、意図せずに各通電体74がフィルム110の配置状態を変えたりフィルム110を損傷したりすることを防ぐことができる。
また第2支持部22(支持プレート20)のうち容器100の本シール部に対応する箇所に対して各通電体74を押し当てて電気回路Cを形成することによって、後段のステーションで行われる本シール処理においてフィルム110により容器100を適切に密閉することができるか否かを、精度良く判定することができる。フィルム110の異常(めくれや皺等)の影響は、移送方向D1−2に関するフィルム110の両端部ほど大きく中央部ほど小さくなる傾向がある。そのため判定精度を向上させる観点からは、載置領域20aのうち移送方向D1−2に関するフィルム110の両端部が配置される領域に対して、下方位置に配置された2つの通電体74が押してられるようにすることが好ましい。
また圧縮ばね86の付勢力を利用して各通電体74を支持ブロック75から突出させることにより、圧縮ばね86がクッションとして機能し、各通電体74に加えられる衝撃を圧縮ばね86の弾性によって緩和することができ、各通電体74がフィルム110をずらしたり傷つけたりすることを防ぐことができる。
[変形例]
上述の実施形態では、支持プレート20が可動式の第1支持部21と固定式の第2支持部22によって構成されているが、例えば単一体によって支持プレート20が構成されてもよい。例えば、固定式の支持プレート20を第4ステーションIV〜第7ステーションVIIの範囲に設置し、フリップ装置19を第3ステーションIIIと第4ステーションIVとの間で移動可能に設けることができる。この場合、第3ステーションIIIにおいて、仮シール処理を受けた容器100に対し部分的に固着されているフィルム110の第1非固着部114がフリップ装置19により保持されて第1間隙S1が形成される。その後、フリップ装置19は第1非固着部114の保持を維持した状態で容器100とともに第3ステーションIIIから第4ステーションIVに移動する。これにより、フリップ装置19及び容器100が第3ステーションIIIから第4ステーションIVに移動する間に、固定式の支持プレート20の先端の一部を第1間隙S1に挿入することができる。
また上述の実施形態では第4ステーションIV〜第7ステーションVIIの範囲にわたって支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)が設けられているが、支持プレート20は必ずしもこれらの全範囲にわたって設けられている必要はない。すなわち、容器100の曲線経路のうち、仮シール装置17がフィルム110の一部を容器100に固着した後且つ本シール装置24が第1非固着部114及び第2非固着部115を容器100に固着する前の範囲の少なくとも一部において、支持プレート20の一部が容器100の内側に配置されるように、支持プレート20が設けられてもよい。この場合、回路形成装置70及び異常判定装置90は、支持プレート20(第1支持部21又は第2支持部22)が設置されているいずれか1以上のステーションに設置され、上述のように支持プレート20の電気伝導性を利用してフィルム110の異常の有無を判定することができる。
また上述の容器密閉装置10の停止ステーションの構成は例示に過ぎず、様々な形態で停止ステーションを設けることが可能である。例えば、容器密閉装置10に設けられる停止ステーションの数を増減することが可能であり、またサークル状以外の配置形態(例えば、直線状の配置形態、他の曲線状の配置形態、或いは2種類以上のライン状配置形態の組み合わせ)に基づいて複数の停止ステーションを設置することが可能である。また、それぞれの停止ステーションで行われる上述の複数の処理工程のうち、1以上の処理工程が省略されてもよい。例えば、第11ステーションXIにおける冷却工程が不要の場合(例えば時間経過に伴う自然冷却で十分な場合)、上述の冷却工程が省略されてもよい。その場合、第11ステーションXIを空きステーションとしてもよいし、他の処理工程を行うステーションとして活用してもよく、場合によっては、第11ステーションXI自体を省略して、停止ステーションの数を減じてもよい。
また、上述の実施形態の第1支持部21及び第2支持部22はプレート形状を有するが、他の形状であってもよく、例えば細長い部材によって構成されてもよい。また上述の実施形態では、電気回路Cは第2支持部22を含むが、第2支持部22の代わりに第1支持部21を含んでいてもよい。例えば、上述のフィルム110の異常の有無の検出及び判定を第4ステーションIVにおいて行う場合、第4ステーションIVに設置される回路形成装置70の通電体74と、第4ステーションIVに設置される異常判定装置90の検出器95と、第1支持部21とを利用して、電気回路Cが構成される。この場合、第1支持部21は、上述の実施形態の第2支持部22と同様の電気伝導性を有する。
また、上述の実施形態では1つの容器100及びフィルム110の組み合わせに対して2つの通電体74及び2つの電気回路Cが割り当てられているが、1つの容器100及びフィルム110の組み合わせに対して割り当てられる通電体74及び電気回路Cの数は限定されない。したがって1つの容器100及びフィルム110の組み合わせに対し、1つの通電体74及び1つの電気回路Cが割り当てられてもよいし、3以上の通電体74及び3以上の電気回路Cが割り当てられてもよい。なお一般に、移送方向D1−2に関するフィルム110の下流側端部において異常(めくれや皺等)が生じることが多い。そのため、1つの容器100及び1つのフィルム110の組み合わせに対し、1つの通電体74及び1つの電気回路Cが割り当てられる場合には、移送方向D1−2に関するフィルム110の下流側端部に対応する位置(すなわち移送方向D1−2に関する載置領域20aの下流側端部に対応する位置)に押し当てられるように、その1つの通電体74が配置されてもよい。
なお上述の回路形成装置70及び異常判定装置90によって検出可能なフィルム110の異常は、フィルム110のめくれや皺のみだけではない。例えば、フリップ装置19によってフィルム110の第1非固着部114を適切に吸着することができず、第1非固着部114が、支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)上に載せられず、支持プレート20の下方に配置されている場合にも、回路形成装置70及び異常判定装置90はそのようなフィルム110の異常を検出することができる。
また、容器100の内部へのガスの流入口を形成しうる第1非固着部114の位置と、容器100の内部からのガスの流出口を形成しうる第2非固着部115の位置とは、逆転していてもよい。図1に示す容器密閉装置10では、回転テーブル36の中心軸(すなわち回転軸)に近い側に第2非固着部115が設けられ、回転テーブル36の外周側に第1非固着部114が設けられているが、回転テーブル36の中心軸に近い側に第1非固着部114が設けられ、回転テーブル36の外周側に第2非固着部115が設けられてもよい。この場合、支持プレート20(すなわち第1支持部21及び第2支持部22)の先端の一部は、回転テーブル36の中心軸に近い側から外周側に向かって各容器100の内部に挿入される。またこの場合、回路形成装置70及び異常判定装置90の設置位置も、第1非固着部114の位置の変更に応じて変えられてもよい。
また上述の実施形態では、仮シール装置17によって複数の非固着部(すなわち第1非固着部114及び第2非固着部115)がフィルム110に形成されるが、仮シール装置17は、非固着部を1つのみ(例えば第1非固着部114のみ)フィルム110に形成してもよい。すなわち仮シール装置17は、フィルム110の一部を容器100に固着しつつ、容器100に固着されない第1非固着部114をフィルム110に形成してもよい。また仮シール装置17は、固着部によって相互に分離して設けられる3以上の非固着部をフィルム110に形成してもよい。これらの場合にも、上述の異常判定処理によって、フィルム110の異常の有無を精度良く判定することが可能である。
また第1置換ガス供給部57及び/又は第2置換ガス供給部58は設けられていなくてもよい。またガス供給部52は設けられていなくてもよい。したがって、容器100内に置換ガスを供給しない装置(すなわち置換ガスを供給するためのガス供給部が設けられていない装置)に対しても本発明は適用可能である。
また仮シール装置17及び本シール装置24は、容器100とフィルム110とを固着することが可能な熱溶着以外の手法に基づいて、仮シール処理及び本シール処理を行ってもよい。また仮シール駆動源40、熱板駆動装置61及び検出駆動装置71は、ピストンロッド40a、61a、71aの突出量を調整することができるエアシリンダ以外の装置によって構成されてもよい。
また、容器100の搬送態様も特に限定されない。例えば、上述の回転搬送部12によって容器100が回転搬送されている間に行われていた各種処理は、容器100が直線的に搬送されている間に行われてもよい。また、搬送コンベア11から回転搬送部12へ一度に移送される容器100の個数、及び回転搬送部12から放出コンベア13へ一度に移送される容器100の個数は、1個であってもよいし、3以上の個数であってもよい。
また、上述の実施形態では、複数のガス噴出孔59及び複数のガス噴出孔60が設けられているが、ガス噴出孔59の数及びガス噴出孔60の数は特に限定されず、単一のガス噴出孔59及び/又は単一のガス噴出孔60が設けられていてもよい。またガス噴出孔59及びガス噴出孔60の開口形状も特に限定されず、ガス噴出孔59及びガス噴出孔60の開口部の形状を真円、楕円、多角形、或いはその他の形状にすることも可能である。したがって、例えば、第1支持部21の端面にスリット状に単一又は複数のガス噴出孔59が形成されてもよいし、第2支持部22の端面にスリット状に単一又は複数のガス噴出孔60が形成されてもよい。
またシール装置(すなわち仮シール装置17及び本シール装置24)が設けられていなくてもよいし、仮シール装置17及び本シール装置24のうちの一方のみが設けられていてもよい。シール装置が設けられていない場合、フリップ装置19は、フィルム110の一部のみを保持して容器100から離間させてもよいし、フィルム110の全部を保持して容器100から離間させてもよい。また載置領域20aにはフィルム110の一部のみが載せられてもよいし、全部が載せられてもよい。
なお、容器100を搬送しない装置及び方法に対しても本発明を適用することができる。例えば、フィルム110が載せられた容器100を高温環境下及び/又は高湿度環境下にある時間置いた後に、フィルム110がカール等の変形を生じることなく容器100上に適切に配置されているか否かを検出するための装置及び方法に対しても、本発明を適用することが可能である。
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、上述の構成要素及び/又は方法以外の構成要素及び/又は方法を含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素及び/又は方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、本発明のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本発明の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本発明の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施形態に含まれる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
また本発明は、装置及び方法だけではなく、そのような方法において行われる手順をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びそのようなプログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びその他の物及び方法として実現されてもよい。