1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、電力によって駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータの動作を制御する制御ユニットと、主電源をオフからオンにする操作と、オンからオフにする操作を入力可能なメインスイッチを備えていてもよい。前記主電源がオンの場合に、前記制御ユニットは、所定のシーケンスに従って前記アクチュエータを動作させる少なくとも1つのシーケンス動作を実行可能であってもよい。前記電動工具では、前記シーケンス動作の実行中に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、実行中の前記シーケンス動作が終了するまでは、前記主電源がオンのまま維持され、かつ前記アクチュエータへの電力の供給が継続されてもよく、実行中の前記シーケンス動作が終了した後に、前記アクチュエータへの電力の供給が遮断され、かつ前記主電源がオンからオフに切り換わってもよい。
上記の電動工具では、シーケンス動作を実行中にメインスイッチに主電源をオンからオフにする操作が行われた場合であっても、その時点でアクチュエータへの電力の供給を遮断することなく、実行中のシーケンス動作を継続させて、そのシーケンス動作が終了すると、アクチュエータへの電力の供給を遮断する。このような構成とすることによって、シーケンス動作の途中の状態でアクチュエータが停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、リールに巻回された結束線を送り出す送り機構と、前記結束線を鉄筋の周囲に案内する案内機構と、前記リールの回転を停止させるブレーキ機構と、前記鉄筋の周囲に巻回された前記結束線を捩る捩り機構をさらに備えていてもよい。前記アクチュエータは、前記送り機構を駆動する送りモータと、前記ブレーキ機構を駆動するブレーキアクチュエータと、前記捩り機構を駆動する捩りモータを備えていてもよい。
上記の電動工具は、結束線によって鉄筋を結束する結束機として機能する。このような結束機では、各種のシーケンス動作を実行中に、送りモータや、ブレーキアクチュエータや、捩りモータが停止してしまうと、その後に結束機が予期せぬ動作をするおそれがある。上記の電動工具によれば、送りモータや、ブレーキアクチュエータや、捩りモータが、シーケンス動作の途中の状態で停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記シーケンス動作として、前記送りモータを駆動して前記送り機構によって前記結束線を送り出し、前記結束線が所定の送り量送り出されると、前記送りモータを停止するとともに、前記ブレーキアクチュエータを駆動し、前記リールの回転が停止すると、前記ブレーキアクチュエータを停止する、結束線送りシーケンス動作を実行可能であってもよい。前記制御ユニットは、前記結束線送りシーケンス動作の実行中に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記送りモータを停止するとともに、前記ブレーキアクチュエータを駆動し、前記リールの回転が停止すると、前記ブレーキアクチュエータを停止して、前記結束線送りシーケンス動作を終了してもよい。
上記の電動工具によれば、結束線送りシーケンス動作の途中の状態で、送りモータやブレーキアクチュエータが停止してしまうことを防止することができる。特に、上記の電動工具によれば、結束線送りシーケンス動作を実行中に、メインスイッチに主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、送りモータを停止するとともに、ブレーキアクチュエータを駆動してリールの回転を停止させ、その後にブレーキアクチュエータを停止するので、送りモータの停止によって送り機構が結束線の送り出しを停止した後も、リールが慣性により回転し続け、リールと送り機構の間で結束線が弛んでしまうことを防ぐことができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記結束線送りシーケンス動作の実行中に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記結束線が前記送り量送り出されていなくても、前記送りモータを停止してもよい。
上記の電動工具によれば、結束線が不要に消費されることを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記シーケンス動作として、前記捩りモータを駆動して前記捩り機構によって前記結束線を捩り、所定の結束完了条件が満たされると、前記捩りモータを停止する、結束線捩りシーケンス動作を実行可能であってもよい。前記制御ユニットは、前記結束線捩りシーケンス動作の実行中に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記結束完了条件が満たされるまで、前記捩りモータを駆動し、前記結束完了条件が満たされると、前記捩りモータを停止して、前記結束線捩りシーケンス動作を終了してもよい。
上記の電動工具によれば、結束線捩りシーケンス動作の途中の状態で、捩りモータが停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記シーケンス動作として、前記捩りモータを駆動して前記捩り機構を初期位置に向けて復帰させ、前記捩り機構が前記初期位置に復帰すると前記捩りモータを停止する、初期位置復帰シーケンス動作を実行可能であってもよい。前記制御ユニットは、前記初期位置復帰シーケンス動作の実行中に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記捩り機構が前記初期位置に復帰するまで、前記捩りモータを駆動し、前記捩り機構が前記初期位置に復帰すると、前記捩りモータを停止して、前記初期位置復帰シーケンス動作を終了してもよい。
上記の電動工具によれば、初期位置復帰シーケンス動作の途中の状態で、捩りモータが停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具では、前記シーケンス動作の実行中であっても、前記アクチュエータに関する異常が検出された場合には、その時点で前記アクチュエータへの電力の供給が遮断されてもよい。
ユーザの安全性を確保するためには、シーケンス動作の実行中であっても、アクチュエータに異常が発生した場合には、その時点でアクチュエータを停止させることが好ましい。上記の電動工具によれば、ユーザの安全性を確保することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、前記アクチュエータへ電力を供給する電力供給経路上に設けられたスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御するオフディレイ回路をさらに備えていてもよい。前記オフディレイ回路は、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた時点から、前記シーケンス動作の実行に要する時間より長い所定時間が経過した時点で、前記スイッチング素子を制御して、前記アクチュエータへの電力の供給を遮断してもよい。
上記の電動工具では、メインスイッチに主電源をオンからオフにする操作が行われた後、所定時間が経過すると、制御ユニットの状態に関わらず、オフディレイ回路がスイッチング素子を制御して、アクチュエータへの電力供給を遮断する。このような構成とすることによって、仮に制御ユニットが暴走した場合であっても、アクチュエータが駆動し続けることを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、前記アクチュエータへ電力を供給する電力供給経路上に設けられたスイッチング素子をさらに備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記メインスイッチに前記主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、前記シーケンス動作の実行が終了した時点で、前記スイッチング素子を制御して、前記アクチュエータへの電力の供給を遮断してもよい。
上記の電動工具では、メインスイッチに主電源をオンからオフにする操作が行われた時に、その時点で実行中のシーケンス動作が終了した時点で、制御ユニットがスイッチング素子を制御して、アクチュエータへの電力供給を遮断する。上記の電動工具によれば、簡素な構成によって、シーケンス動作の途中の状態でアクチュエータが停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、電力によって駆動する複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの動作を制御する制御ユニットと、前記複数のアクチュエータへ電力を供給し、かつ前記制御ユニットへ電力を供給しない電力供給経路上に設けられた単一のスイッチング素子を備えていてもよい。
上記の電動工具では、単一のスイッチング素子を制御することで、複数のアクチュエータについて、電力が供給されている状態と電力供給が遮断されている状態を切り換えることができる。複数のアクチュエータのそれぞれに対応する複数のスイッチング素子を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、リールに巻回された結束線を送り出す送り機構と、前記結束線を鉄筋の周囲に案内する案内機構と、前記リールの回転を停止させるブレーキ機構と、前記鉄筋の周囲に巻回された前記結束線を捩る捩り機構をさらに備えていてもよい。前記アクチュエータは、前記送り機構を駆動する送りモータと、前記ブレーキ機構を駆動するブレーキアクチュエータと、前記捩り機構を駆動する捩りモータを備えていてもよい。
上記の電動工具では、単一のスイッチング素子を制御することで、送りモータと、ブレーキアクチュエータと、捩りモータについて、電力が供給されている状態と電力供給が遮断されている状態を切り換えることができる。送りモータと、ブレーキアクチュエータと、捩りモータのそれぞれに対応する複数のスイッチング素子を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を捩る捩り機構を備えていてもよい。捩り機構は、捩りモータを備えていてもよい。結束機は、捩りモータに作用するトルクを捩りトルク値として取得してもよく、所定の結束完了条件を満たした場合に、捩りモータを停止してもよい。結束完了条件は、捩りトルク値の立上りを検知してからの経過時間が第1所定時間に達することを含んでもよい。
上記の結束機では、捩りトルク値の立上りからの経過時間に基づいて、捩りモータを停止する。このため、捩り機構が結束線を捩っている間に、例えば結束線が被結束物の表面上でずれて、捩りトルク値が増減した場合であっても、結束線の捩りが完了したものと誤判定してしまうことがない。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を捩る捩り機構を備えていてもよい。捩り機構は、捩りモータを備えていてもよい。結束機は、捩りモータに作用するトルクを捩りトルク値として取得してもよく、所定の結束完了条件を満たした場合に、捩りモータを停止してもよい。結束完了条件は、捩りトルク値の立上りを検知してからの捩りモータの回転回数が第1所定回数に達することを含んでもよい。
上記の結束機では、捩りトルク値の立上りからの捩りモータの回転回数に基づいて、捩りモータを停止する。このため、捩り機構が結束線を捩っている間に、例えば結束線が被結束物の表面上でずれて、捩りトルク値が増減した場合であっても、結束線の捩りが完了したものと誤判定してしまうことがない。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束完了条件はさらに、捩りトルク値が所定のトルクしきい値に達することを含んでもよい。
上記の結束機によれば、過剰な捩りの反作用として結束機が大きな反力を受けることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束完了条件が満たされた場合であっても、捩りモータが回転を開始してからの捩りモータの回転回数が所定の回転回数しきい値に達していない場合には、捩りモータを停止させなくてもよく、結束完了条件が満たされ、かつ捩りモータが回転を開始してからの捩りモータの回転回数が回転回数しきい値に達した場合に、捩りモータを停止してもよい。
上記の結束機によれば、被結束物を結束するために最低限必要とされる回数の捩りを結束線に与えることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、捩りトルク値の立上りを検知した後に、所定のキャンセル条件が満たされると、捩りトルク値の立上りの検知をキャンセルしてもよい。
捩り機構が結束線を捩っている間に、例えば結束線が被結束物の表面上で大きくずれた場合には、改めて結束線を十分に捩ることが好ましい。上記の結束機によれば、このような場合に、捩りトルク値の立上りの検知をキャンセルすることで、改めて結束線を十分に捩ることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、捩りトルク値の立上りの検知は、捩りトルク値に基づいて算出されるレイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わることの検知を含んでもよい。
捩りトルク値は、結束線が被結束物の周囲に密着するまでは緩やかに増加していき、結束線が被結束物の周囲に密着すると急激に増加していく。このように変化する捩りトルク値の立上りを検知するために、上記の結束機では、レイトリミッタ値を利用する。レイトリミッタ値は、最大増加量と最大減少量の範囲内で、捩りトルク値に緩やかに追従していく。このため、捩りトルク値の変化が緩やかであれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従することができ、両者は一致する。これとは異なり、捩りトルク値の変化が急激であれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従できずに、両者の差は増大していく。上記の結束機によれば、レイトリミッタ値を利用して、捩りトルク値の立上りを正確に検知することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、キャンセル条件は、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致することを含んでもよい。
レイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わったことで捩りトルク値の立上りを検知した後、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致することなく、捩りトルク値が増加し続けている場合は、結束線が被結束物の表面上で大きくずれることなく、被結束物の結束が良好に進んでいると考えられる。これとは異なり、レイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わったことで捩りトルク値の立上りを検知した後、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致する場合、すなわち捩りトルク値が比較的大きく減少した場合には、結束線が被結束物の表面上で大きくずれており、改めて結束線を十分に捩ることが必要と考えられる。上記の結束機によれば、捩り機構が結束線を捩っている間に、結束線が被結束物の表面上で大きくずれてしまった場合であっても、改めて結束線を十分に捩ることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、捩りトルク値の立上りを検知しておらず、かつ捩りトルク値の立下りを検知した場合に、捩りトルク値の立下りを検知してからの経過時間が第2所定時間に達すると、捩りモータを停止してもよい。
上記の結束機によれば、捩りモータを停止する前に、結束線が破断してしまった場合に、捩りモータを速やかに停止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、捩りトルク値の立上りを検知しておらず、かつ捩りトルク値の立下りを検知した場合に、捩りトルク値の立下りを検知してからの捩りモータの回転回数が第2所定回転回数に達すると、捩りモータを停止してもよい。
上記の結束機によれば、捩りモータを停止する前に、結束線が破断してしまった場合に、捩りモータを速やかに停止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、捩りトルク値の立下りの検知は、捩りトルク値に基づいて算出されるレイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回る状態に切り換わることの検知を含んでもよい。
捩りトルク値は、結束線が被結束物の周囲に密着した後は、急激に増加していくものの、結束線が破断すると、その後は急激に減少していく。このように変化する捩りトルク値の立下りを検知するために、上記の結束機では、レイトリミッタ値を利用する。レイトリミッタ値は、最大増加量と最大減少量の範囲内で、捩りトルク値に緩やかに追従していく。このため、捩りトルク値の変化が緩やかであれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従することができ、両者は一致する。これとは異なり、捩りトルク値の変化が急激であれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従できずに、両者の差は増大していく。上記の結束機によれば、レイトリミッタ値を利用して、捩りトルク値の立下りを正確に検知することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を送り出す送り機構と、バッテリと、バッテリの電圧を検出する電圧検出回路を備えていてもよい。送り機構は、バッテリから電力を供給される送りモータを備えていてもよい。結束機は、電圧検出回路で検出されるバッテリの電圧に応じて、結束線を送り出す際に送りモータを駆動するデューティ比を設定してもよい。
送りモータがバッテリから電力を供給される構成では、バッテリの電圧に応じて、送りモータの回転速度が変化する。送りモータに停止を指示した時点での送りモータの回転速度にばらつきがあると、送りモータが実際に停止するまでの結束線のオーバーシュート量もばらつき、最終的に送り出される結束線の量にもばらつきが生じる。上記の結束機によれば、バッテリの電圧に応じて、送りモータを駆動するデューティ比を設定するので、バッテリの電圧の変動に起因する送りモータの回転速度の変動を抑制することができる。このような構成とすることによって、送り機構から送り出される結束線の量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を送り出す前に、電圧検出回路で検出されるバッテリの電圧に応じて、送りモータを駆動する際のデューティ比を設定してもよい。結束機は、結束線を送り出している間、送りモータを駆動するデューティ比を一定に維持してもよい。
上記の構成によれば、実際のバッテリの電圧に応じて設定されたデューティ比が、結束線を送り出している間、一定に維持されるので、バッテリの電圧の変動に起因する送りモータの回転速度の変動を抑制することができる。送り機構から送り出される結束線の量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を送り出している間、送りモータへの平均印加電圧を一定に維持するように、電圧検出回路で検出されるバッテリの電圧に応じて、送りモータを駆動する前記デューティ比を調整してもよい。
上記の構成によれば、結束線を送り出している間、送りモータへの平均印加電圧が一定に維持されるので、バッテリの電圧の変動に起因する送りモータの回転速度の変動を抑制することができる。送り機構から送り出される結束線の量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線を送り出す送り機構と、バッテリを備えていてもよい。送り機構は、バッテリから電力を供給される送りモータと、送りモータの回転速度を検出する回転速度センサを備えていてもよい。結束機は、結束線を送り出している間、送りモータの回転速度を一定に維持するように、回転速度センサで検出される送りモータの回転速度に応じて、送りモータを駆動するデューティ比を調整してもよい。
上記の構成によれば、結束線を送り出している間、送りモータの回転速度が一定に維持されるので、バッテリの電圧の変動に起因する送りモータの回転速度の変動を抑制することができる。送り機構から送り出される結束線の量がばらつく事を防止することができる。
(実施例)
実施例に係る鉄筋結束機2について図面を参照して説明する。図1に示す鉄筋結束機2は、被結束物である複数の鉄筋Rを、結束線であるワイヤWによって結束するための電動工具である。
鉄筋結束機2は、結束機本体4と、結束機本体4の下部に設けられたグリップ6と、グリップ6の下部に設けられたバッテリ取り付け部8を備えている。バッテリ取り付け部8の下部には、バッテリBが着脱可能に取り付けられている。結束機本体4と、グリップ6と、バッテリ取り付け部8は、一体的に形成されている。
図2に示すように、結束機本体4の後方上部には、ワイヤWが巻回されたリール10が着脱可能に収容されている。図2−図4に示すように、結束機本体4は、主に、送り機構12と、案内機構14と、ブレーキ機構16と、切断機構18と、捩り機構20を備えている。
図2に示すように、送り機構12は、リール10から供給されるワイヤWを、結束機本体4の前方の案内機構14へと送り出す。送り機構12は、送りモータ22と、主動ローラ24と、従動ローラ26を備えている。主動ローラ24と従動ローラ26の間に、ワイヤWが挟持される。送りモータ22は、直流ブラシ付きモータである。送りモータ22は、主動ローラ24を回転させる。送りモータ22が主動ローラ24を回転させると、従動ローラ26が逆方向に回転するとともに、主動ローラ24と従動ローラ26により挟持されたワイヤWが案内機構14へと送り出され、リール10からワイヤWが引き出される。なお、送り機構12は、主動ローラ24の回転角度を検出するエンコーダ27(図7参照)を内蔵している。送り機構12は、エンコーダ27で検出された主動ローラ24の回転角度から、ワイヤWの送り量を検出することができる。
図3に示すように、案内機構14は、送り機構12から送られたワイヤWを、鉄筋Rの周囲に円環状に案内する。案内機構14は、案内パイプ28と、上側カールガイド30と、下側カールガイド32を備えている。案内パイプ28の後方側の端部は、主動ローラ24と従動ローラ26の間の空間に向けて開口している。送り機構12から送られたワイヤWは、案内パイプ28の内部へと送り込まれる。案内パイプ28の前方側の端部は、上側カールガイド30の内部に向けて開口している。上側カールガイド30には、案内パイプ28から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路34と、下側カールガイド32から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路36(図4参照)が設けられている。
図3に示すように、第1案内通路34には、ワイヤWに下向きの巻きぐせをつけるようにワイヤWを案内する複数の案内ピン38と、後述する切断機構18の一部を構成するカッタ40が設けられている。案内パイプ28から送られたワイヤWは、第1案内通路34において案内ピン38で案内され、カッタ40を通過して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出される。
図4に示すように、下側カールガイド32には、送り返し板42が設けられている。送り返し板42は、上側カールガイド30の前端から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の第2案内通路36の後端に向けて送り返す。
上側カールガイド30の第2案内通路36は、第1案内通路34に隣接して配置されている。第2案内通路36は、下側カールガイド32から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出す。
上側カールガイド30と下側カールガイド32によって、送り機構12から送られたワイヤWは、鉄筋Rの周囲に円環状に巻回される。鉄筋Rの周囲でのワイヤWの巻き数は、ユーザが予め設定しておくことができる。送り機構12は、設定された巻き数に対応する送り量のワイヤWを送り出すと、送りモータ22を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
図2に示すブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、リール10の回転を停止する。ブレーキ機構16は、ソレノイド46と、リンク48と、ブレーキアーム50を備えている。リール10には、ブレーキアーム50が係合する係合部10aが、径方向に所定の角度間隔で形成されている。図5に示すように、ソレノイド46への通電がされていない状態では、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aから離反している。図6に示すように、ソレノイド46への通電がされた状態では、リンク48を介してブレーキアーム50が駆動されて、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aに係合する。ブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを行なう際には、図5に示すように、ソレノイド46へ通電せずに、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aから離反させている。これにより、リール10は自由に回転することができ、送り機構12はリール10からワイヤWを引き出すことができる。また、ブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止すると、図6に示すように、ソレノイド46へ通電して、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aに係合させる。これにより、リール10の回転が禁止される。これによって、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止した後も、リール10が慣性により回転し続け、リール10と送り機構12の間でワイヤWが弛んでしまうことを防ぐことができる。
図3、図4に示す切断機構18は、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。切断機構18は、カッタ40と、リンク52を備えている。リンク52は、後述する捩り機構20と連動して、カッタ40を回転させる。カッタ40が回転することによって、カッタ40の内部を通過するワイヤWが切断される。
図4に示す捩り機構20は、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、鉄筋RをワイヤWで結束する。捩り機構20は、捩りモータ54と、減速機構56と、スクリューシャフト58(図3参照)と、スリーブ60と、プッシュプレート61と、一対のフック62と、磁気センサ63を備えている。
捩りモータ54は、直流ブラシレスモータである。捩りモータ54には、ロータ(図示せず)の回転角度を検出するホールセンサ55(図7参照)が設けられている。捩りモータ54の回転は、減速機構56を介して、スクリューシャフト58に伝達される。捩りモータ54は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフト58も、順方向および逆方向に回転可能である。スリーブ60はスクリューシャフト58の周囲を覆うように配置されている。スリーブ60の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフト58が順方向に回転すると、スリーブ60が前方に向けて移動し、スクリューシャフト58が逆方向に回転すると、スリーブ60が後方に向けて移動する。プッシュプレート61は、スリーブ60の前後方向の移動に応じて、スリーブ60と一体的に前後方向に移動する。また、スリーブ60の回転が許容されている状態で、スクリューシャフト58が回転すると、スリーブ60はスクリューシャフト58と共に回転する。
スリーブ60が初期位置から所定の位置まで前進すると、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を回転させる。一対のフック62はスリーブ60の前端に設けられており、スリーブ60の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ60が前方に移動すると、一対のフック62が閉じて、ワイヤWを把持する。その後、スリーブ60が後方に移動すると、一対のフック62が開いて、ワイヤWを解放する。
捩り機構20は、鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ54を回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が前進するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が前進し、一対のフック62が閉じてワイヤWを把持する。そして、スリーブ60の回転が許容されると、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が回転するとともに一対のフック62が回転する。これによって、ワイヤWが捩られて、鉄筋Rが結束される。
捩り機構20は、ワイヤWの捩りが終了すると、捩りモータ54を逆方向に回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、一対のフック62が開いてワイヤWが解放された後、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が後退するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が後退する。スリーブ60が後退することによって、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を初期姿勢に復帰させる。その後、スリーブ60が初期位置まで後退すると、スリーブ60の回転が許容されて、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60と一対のフック62が回転して、初期角度に復帰する。なお、磁気センサ63は、前後方向の位置が固定されており、プッシュプレート61に設けられたマグネット61aからの磁気を検出することで、スリーブ60が初期位置にあるか否かを検出することができる。
図1に示すように、結束機本体4の上部には、第1操作部64が設けられている。第1操作部64には、主電源のオン/オフを切り換えるメインスイッチ74、主電源のオン/オフの状態を表示する主電源LED76等が設けられている。メインスイッチ74は、通常時はオフであり、ユーザにより押下されている間はオンになる、モーメンタリ型のスイッチである。
バッテリ取り付け部8の前方上面には、第2操作部90が設けられている。ユーザは、第2操作部90を介して、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値等を設定することができる。第2操作部90には、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値を設定する設定スイッチ98、現在の設定内容を表示する表示用LED96等が設けられている。設定スイッチ98や表示用LED96は、バッテリ取り付け部8の内部に収容されたサブ基板92(図7参照)に搭載されている。
グリップ6の前方上部には、ユーザが引き操作可能なトリガ84が設けられている。図4に示すように、グリップ6の内部には、トリガ84のオン/オフを検出するトリガスイッチ86が設けられている。ユーザがトリガ84を引き操作して、トリガスイッチ86がオンとなると、鉄筋結束機2は、送り機構12、案内機構14およびブレーキ機構16によって、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回するとともに、切断機構18および捩り機構20によって、ワイヤWを切断して、鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る、一連の動作を実行する。
図4に示すように、結束機本体4の内部下方には、メイン基板ケース80が収容されている。メイン基板ケース80の内部には、メイン基板82が収容されている。
図7に示すように、メイン基板82には、制御電源回路100、メインマイコン102、ドライバ回路104、106、108、故障検出回路105、107、電圧検出回路110、電流検出回路112、オフディレイ回路114等が設けられている。また、サブ基板92には、サブマイコン94、表示用LED96、設定スイッチ98等が設けられている。メイン基板82のメインマイコン102とサブ基板92のサブマイコン94は、シリアル通信によって互いに通信可能である。サブマイコン94は、設定スイッチ98から入力された内容をメインマイコン102へ送信するとともに、メインマイコン102からの指示に応じて表示用LED96の動作を制御する。
制御電源回路100は、バッテリBから供給される電力を所定の電圧に調整して、メインマイコン102およびサブマイコン94に電力を供給する。バッテリBから制御電源回路100に電力を供給する経路には、主電源FET101が設けられている。主電源FET101がオンになると、バッテリBから制御電源回路100に電力供給が行われる。主電源FET101がオフになると、バッテリBから制御電源回路100への電力供給が遮断される。本明細書では、バッテリBから制御電源回路100への電力供給が行われている状態を、鉄筋結束機2の主電源がオンの状態という。また、本明細書では、バッテリBから制御電源回路100への電力供給が行われていない状態を、鉄筋結束機2の主電源がオフの状態という。主電源FET101の制御入力は、ダイオード103、メインスイッチ74を介して接地電位に接続されている。また、主電源FET101の制御入力は、トランジスタ109を介して接地電位に接続されている。トランジスタ109のオン/オフの切り換えは、メインマイコン102によって行われる。なお、メインスイッチ74は、抵抗器111を介して電源電位に接続されている。メインマイコン102は、メインスイッチ74と抵抗器111の接続箇所の電位から、メインスイッチ74のオン/オフの状態を認識することができる。また、トリガスイッチ86は、一端が接地電位に接続されているとともに、他端が抵抗器118を介して電源電位に接続されている。メインマイコン102は、トリガスイッチ86と抵抗器118の接続箇所の電位から、トリガスイッチ86のオン/オフの状態を認識することができる。
主電源FET101がオフの状態(すなわち、鉄筋結束機2の主電源がオフの状態)で、メインスイッチ74がオフからオンに切り換わると、主電源FET101がオンの状態に切り換わる。これによって、バッテリBから制御電源回路100への電力供給が行われ、鉄筋結束機2の主電源がオンになる。制御電源回路100からメインマイコン102へ電力供給が行われると、メインマイコン102が起動し、メインマイコン102はメインスイッチ74が押下されていることを認識する。この場合、メインマイコン102は、トランジスタ109をオン状態に切り換える。この状態で、メインスイッチ74がオンからオフに切り換わっても、トランジスタ109によって主電源FET101はオンの状態で維持される。
また、主電源FET101がオンの状態(すなわち、鉄筋結束機2の主電源がオンの状態)で、メインスイッチ74がオフからオンに切り換わると、メインマイコン102はメインスイッチ74が押下されたことを認識する。この場合、メインマイコン102は、鉄筋結束機2の主電源をオフにする前に行うべき処理を実行した後に、トランジスタ109をオフ状態に切り換える。その後、メインスイッチ74がオンからオフに切り換わると、主電源FET101がオフの状態に切り換わり、バッテリBから制御電源回路100への電力供給が遮断される。これによって、メインマイコン102への電力供給が遮断されるとともに、鉄筋結束機2の主電源がオフとなる。
ドライバ回路104は、メインマイコン102からの指示に応じて、ソレノイド46を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路104は、スイッチング素子としてFETを1つ内蔵している。メインマイコン102は、ドライバ回路104を介して、ソレノイド46の動作を制御することができる。
故障検出回路105は、ドライバ回路104に対応して設けられている。故障検出回路105は、ドライバ回路104のFETが故障した場合に、メインマイコン102に故障検出信号を出力する。
ドライバ回路106は、メインマイコン102からの指示に応じて、送りモータ22を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路106は、スイッチング素子としてFETを2つ内蔵している。メインマイコン102は、ドライバ回路106を介して、送りモータ22の動作を制御することができる。
故障検出回路107は、ドライバ回路106に対応して設けられている。故障検出回路107は、ドライバ回路106のFETが故障した場合に、メインマイコン102に故障検出信号を出力する。
ドライバ回路108は、メインマイコン102からの指示に応じて、捩りモータ54を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路108は、スイッチング素子としてFETを6つ備えるインバータ回路を内蔵している。メインマイコン102は、ホールセンサ55からの検出信号に基づいて、ドライバ回路108のインバータ回路の動作を制御することで、捩りモータ54の動作を制御することができる。なお、ドライバ回路108には、ドライバ回路104やドライバ回路106とは異なり、FETの故障を検出する故障検出回路は設けられていない。これは、ドライバ回路108のインバータ回路を構成するFETのうち幾つかが故障した場合であっても、ドライバ回路108が捩りモータ54を回転させ続けてしまうことがないからである。
電圧検出回路110は、バッテリBの電圧を検出する。メインマイコン102は、電圧検出回路110から受信する信号から、バッテリBの電圧を取得することができる。
電流検出回路112は、バッテリBからドライバ回路104、106、108等に供給される電流を検出する。電流検出回路112は、抵抗器113と、抵抗器113における電圧降下を増幅してメインマイコン102へ出力するアンプ115を備えている。メインマイコン102は、電流検出回路112から受信する信号から、バッテリBからドライバ回路104、106、108等に供給される電流、すなわちバッテリBから捩りモータ54、送りモータ22、ソレノイド46等に供給される電流を取得することができる。
バッテリBからドライバ回路104、106、108へ電力を供給する経路には、保護FET116が設けられている。保護FET116がオンになると、バッテリBからドライバ回路104、106、108への電力供給が行われる。保護FET116がオフになると、バッテリBからドライバ回路104、106、108への電力供給が遮断される。保護FET116の制御入力には、AND回路119の出力が接続されている。AND回路119には、メインマイコン102からの制御出力と、オフディレイ回路114からの出力がそれぞれ入力されている。このため、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてH信号が出力され、かつオフディレイ回路114からH信号が出力されると、オンの状態となる。また、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてL信号が出力されるか、あるいはオフディレイ回路114からL信号が出力されると、オフの状態となる。なお、AND回路119の入力に、さらにサブマイコン94からの制御出力が入力されていてもよい。この場合、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてH信号が出力され、サブマイコン94から制御出力としてH信号が出力され、かつオフディレイ回路114からH信号が出力されると、オンの状態となり、それ以外の場合に、オフの状態となる。
オフディレイ回路114は、通常時はH信号を出力しており、メインスイッチ74またはトリガスイッチ86がオンからオフに切り換わると、所定の遅延時間が経過した後に、L信号を出力する。オフディレイ回路114がL信号を出力すると、メインマイコン102からの制御出力の内容に関わらず、保護FET116はオフの状態に切り換わる。オフディレイ回路114の遅延時間は、後述する結束処理(ワイヤ送り処理、ワイヤ捩り処理および初期位置復帰処理)の所要時間よりも長い時間に予め調整されている。オフディレイ回路114の入力には、NAND回路117の出力が接続されている。NAND回路117の一方の入力は、メインスイッチ74を介して接地電位に接続しており、NAND回路117の他方の入力は、トリガスイッチ86を介して接地電位に接続されている。
本実施例の鉄筋結束機2では、単一の保護FET116によって、ドライバ回路104、106、108への電力供給の有無を制御することができる。このような構成とすることによって、ドライバ回路104、106、108に対応する保護FETをそれぞれ個別に設ける場合とくらべて、部品点数を削減することができるとともに、メイン基板82の省スペース化を図ることができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、メインスイッチ74またはトリガスイッチ86がオンからオフに切り換わった後、所定の遅延時間が経過すると、メインマイコン102からの制御出力の内容に関わらず、オフディレイ回路114からの出力によって、保護FET116がオフとなり、ドライバ回路104、106、108への電力供給が遮断される。このような構成とすることによって、仮にメインマイコン102が暴走した場合であっても、ソレノイド46、送りモータ22、捩りモータ54が駆動し続けることを防止することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、バッテリBからドライバ回路104、106、108への電力供給の有無を、機械的なスイッチ機構ではなく、メインマイコン102からの制御出力に応じて動作する保護FET116によって制御する。このような構成とすることによって、後述する結束処理(ワイヤ送り処理、ワイヤ捩り処理および初期位置復帰処理)の間に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)であっても、バッテリBからドライバ回路104、106、108への電力供給をその時点で即座に遮断することなく、必要な動作の完了を待って、バッテリBからドライバ回路104、106、108への電力供給を遮断することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、メインスイッチ74としてモーメンタリ型のスイッチを用いている。このような構成とすることによって、メインスイッチ74の操作以外の原因によって鉄筋結束機2の主電源がオンからオフに切り換わった場合(例えば、オートパワーオフ機能として、メインスイッチ74やトリガスイッチ86が所定時間にわたって操作されないことで、メインマイコン102がトランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源がオフとなった場合)に、その後に再び鉄筋結束機2の主電源をオフからオンに切り換える操作を簡便なものとすることができる。
以下では、図8を参照して、メインマイコン102が行う処理について説明する。メインスイッチ74の操作に応じて主電源FET101がオンとなり、制御電源回路100からメインマイコン102に電力が供給されると、ステップS2で、メインマイコン102はイニシャライズ処理を実行する。その後、ステップS4では、メインマイコン102は、トリガスイッチ86がオンになるまで待機する。トリガスイッチ86がオンになると(YESとなると)、処理はステップS6へ進み、メインマイコン102は、結束処理を実行する。その後、処理はステップS4へ戻る。
図9は、図8のステップS2のイニシャライズ処理においてメインマイコン102が行う処理を示している。ステップS8では、メインマイコン102は、保護FET116をオンにする。これによって、ドライバ回路104、106、108へのバッテリBからの電力供給が行われる。
ステップS10では、メインマイコン102は、異常が検出されたか否かを判断する。例えば、メインマイコン102は、故障検出回路105、107によって、ドライバ回路104、106のFETが故障していることが検出された場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、メインマイコン102は、電圧検出回路110で検出されるバッテリBの電圧が所定の下限値を下回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、メインマイコン102は、電流検出回路112で検出されるバッテリBからの電流が所定の上限値を上回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、鉄筋結束機2が、リール10に巻回されたワイヤWの残量を検出するワイヤ残量検出機構(図示せず)を備えている場合には、メインマイコン102は、リール10に巻回されたワイヤWの残量が所定の下限値を下回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。
ステップS10で異常が検出された場合(YESの場合)、処理はステップS26へ進む。ステップS26では、メインマイコン102は、サブマイコン94を介して、表示用LED96に異常の発生を表示する。ステップS26の後、処理はステップS24へ進む。ステップS24では、メインマイコン102は、保護FET116をオフにする。これによって、ドライバ回路104、106、108へのバッテリBからの電力供給が遮断される。ステップS24の後、図9のイニシャライズ処理は終了する。なお、ステップS10の処理は、後述するステップS12−S22までの処理を行っている間、随時行ってもよい。
ステップS10で異常が検出されない場合(NOの場合)、処理はステップS12へ進む。ステップS12では、メインマイコン102は、捩り機構20のスリーブ60が初期位置にあるか否かを判断する。スリーブ60が初期位置にあるか否かは、磁気センサ63の検出信号から判断することができる。スリーブ60が初期位置にある場合(YESの場合)、ステップS14の初期位置復帰処理をスキップして、処理はステップS16へ進む。スリーブ60が初期位置にない場合(NOの場合)、ステップS14の初期位置復帰処理を実行した後、処理はステップS16へ進む。
図10は、図9のステップS14の初期位置復帰処理においてメインマイコン102が行う処理を示している。
ステップS32では、メインマイコン102は、捩りモータ54を逆方向に回転させる。これによって、初期位置より前方に位置するスリーブ60は、後方に向けて移動する。
ステップS34では、メインマイコン102は、スリーブ60が初期位置に後退するまで待機する。スリーブ60が初期位置まで後退すると(YESとなると)、ステップS36で、メインマイコン102は捩りモータ54を停止させる。
ステップS38では、メインマイコン102は、さらに捩りモータ54を逆方向に回転させる。この際の捩りモータ54への指令電圧は、ステップS32における捩りモータ54への指令電圧よりも低い。従って、捩りモータ54は、ステップS32における回転に比べて、低速で回転する。これによって、初期位置まで後退して回転を許容されたスリーブ60が、初期角度に向けて回転する。
ステップS40では、メインマイコン102は、スリーブ60が初期角度まで復帰して捩りモータ54がロックしたか否かを判断する。例えば、メインマイコン102は、バッテリBから捩りモータ54へ供給される電流を電流検出回路112によって検出して、検出された電流が所定値以上となった場合に、捩りモータ54がロックしたと判断する。捩りモータ54がロックしたと判断されると(YESとなると)、ステップS42で、メインマイコン102は捩りモータ54を停止させて、図10の初期位置復帰処理を終了する。
なお、図10に示す初期位置復帰処理を実行中に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)、メインマイコン102は、その時点で捩りモータ54を停止した後に、保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにする。あるいは、図10に示す初期位置復帰処理を実行中に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)、メインマイコン102は、図10に示す初期位置復帰処理をそのまま継続して実行し、ステップS42で捩りモータ54を停止させた後に、保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにしてもよい。
図9のステップS16では、メインマイコン102は、捩りモータ54を順方向に回転させる。これによって、スリーブ60が初期位置から前方へ移動する。
ステップS18では、メインマイコン102は、所定時間(例えば200ms)が経過するまで待機する。所定時間が経過すると(YESとなると)、処理はステップS20へ進む。
ステップS20では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。
ステップS22では、メインマイコン102は、再び図10に示す初期位置復帰処理を実行する。
ステップS24では、メインマイコン102は、保護FET116をオフにする。これによって、ドライバ回路104、106、108へのバッテリBからの電力供給が遮断される。ステップS24の後、図9のイニシャライズ処理は終了する。
以下では、図8のステップS6の結束処理について説明する。図11は、図8のステップS6の結束処理においてメインマイコン102が実行する処理を示している。ステップS48では、メインマイコン102は、保護FET116をオンにする。これによって、ドライバ回路104、106、108にバッテリBからの電力が供給される。
ステップS50では、メインマイコン102は、異常が検出されたか否かを判断する。例えば、メインマイコン102は、故障検出回路105、107によって、ドライバ回路104、106のFETが故障していることが検出された場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、メインマイコン102は、電圧検出回路110で検出されるバッテリBの電圧が所定の下限値を下回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、メインマイコン102は、電流検出回路112で検出されるバッテリBからの電流が所定の上限値を上回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。あるいは、鉄筋結束機2が、リール10に巻回されたワイヤWの残量を検出するワイヤ残量検出機構(図示せず)を備えている場合には、メインマイコン102は、リール10に巻回されたワイヤWの残量が所定の下限値を下回っている場合に、異常が検出されたものと判断してもよい。
ステップS50で異常が検出された場合(YESの場合)、処理はステップS60へ進む。ステップS60では、メインマイコン102は、サブマイコン94を介して、表示用LED96に異常の発生を表示する。ステップS50の後、処理はステップS58へ進む。ステップS58では、メインマイコン102は、保護FET116をオフにする。これによって、ドライバ回路104、106、108へのバッテリBからの電力供給が遮断される。ステップS58の後、図11の結束処理は終了する。なお、ステップS50の処理は、後述するステップS52−S56の処理を行っている間、随時行ってもよい。
ステップS50で異常が検出されない場合(NOの場合)、処理はステップS52へ進む。ステップS52では、メインマイコン102は、ワイヤ送り処理を実行する。その後、ステップS54では、メインマイコン102は、ワイヤ捩り処理を実行する。その後、ステップS56では、メインマイコン102は、図10に示す初期位置復帰処理を実行する。ステップS58では、メインマイコン102は、保護FET116をオフにする。これによって、ドライバ回路104、106、108へのバッテリBからの電力供給が遮断される。ステップS58の後、図11の結束処理は終了する。
図12は、図11のステップS52のワイヤ送り処理でメインマイコン102が実行する処理を示している。
ステップS62では、メインマイコン102は、バッテリBの電圧を電圧検出回路110によって検出する。この時点では、捩りモータ54、送りモータ22およびソレノイド46は何れも駆動していないので、ステップS62で取得される電圧は、バッテリBの開放電圧である。
ステップS64では、メインマイコン102は、ユーザにより設定されたワイヤWの巻き数と、ステップS62で取得したバッテリBの電圧に基づいて、ワイヤWの送り量しきい値を設定する。この際に、メインマイコン102は、バッテリBの電圧が高い場合には、ワイヤWの送り量しきい値を低い値に設定し、バッテリBの電圧が低い場合には、ワイヤWの送り量しきい値を高い値に設定する。
ステップS66では、メインマイコン102は、ステップS62で取得したバッテリBの電圧に基づいて、送りモータ22を駆動する際のデューティ比を設定する。具体的には、メインマイコン102は、送りモータ22への平均印加電圧が所定値となるように、ステップS62で取得したバッテリBの電圧に応じて、デューティ比を設定する。
ステップS68では、メインマイコン102は、ステップS66で設定されたデューティ比で、送りモータ22を駆動する。これによって、送りモータ22が回転して、ワイヤWが送り出される。
ステップS70では、メインマイコン102は、ワイヤWの送り量が、ステップS64で設定された送り量しきい値に達するまで待機する。ワイヤWの送り量は、送り機構12のエンコーダ27の検出値に基づいて算出することができる。ワイヤWの送り量が送り量しきい値に達すると(YESとなると)、処理はステップS72へ進む。
ステップS72では、メインマイコン102は、送りモータ22を停止する。送りモータ22は、慣性によりわずかに回転した後、停止する。
ステップS74では、メインマイコン102は、ブレーキ機構16のソレノイド46へ通電する。これによって、リンク48を介して、ブレーキアーム50が駆動される。
ステップS76では、メインマイコン102は、所定時間が経過するまで待機する。この間に、ブレーキ機構16のブレーキアーム50がリール10の係合部10aに係合して、リール10の回転が停止する。ステップS76で所定時間が経過すると(YESとなると)、処理はステップS78へ進む。
ステップS78では、メインマイコン102は、ブレーキ機構16のソレノイド46への通電を遮断する。これによって、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aから離反する。ステップS78の後、図12のワイヤ送り処理は終了する。
図13の(a)に示すように、送りモータ22を駆動する際には、バッテリBの電圧や、バッテリBから供給される電流は、経時的に変化する。このようなバッテリBの電圧の変動に起因して、送りモータ22の回転速度が変化すると、メインマイコン102が送りモータ22へ停止指示を出してから実際に送りモータ22が停止するまでの、送りモータ22の慣性による回転の度合いが変化して、最終的なワイヤWの送り量がばらついてしまう。図12に示すワイヤ送り処理によれば、送りモータ22を駆動する前のバッテリBの開放電圧に基づいて送りモータ22のデューティ比を設定し、一定のデューティ比で送りモータ22を駆動し続けるので、図13の(b)に示すように、送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。このような構成とすることによって、バッテリBの電圧変動に伴うワイヤWの送り量のばらつきを抑制することができる。
また、図12に示すワイヤ送り処理では、送りモータ22を駆動する前のバッテリBの開放電圧に基づいて、ワイヤWの送り量しきい値を設定する。バッテリBの電圧が高い場合には、図14の(a)に示すように、送りモータ22への印加電圧が高くなり、送りモータ22の回転速度が速くなる。この場合、メインマイコン102が送りモータ22へ停止指示を出してから、送りモータ22が実際に停止するまでに、送りモータ22がある程度回転するので、最終的なワイヤWの送り出し量は大きくなる。逆に、バッテリBの電圧が低い場合には、図14の(b)に示すように、送りモータ22への印加電圧が低くなり、送りモータ22の回転速度が遅くなる。この場合、メインマイコン102が送りモータ22へ停止指示を出してから、送りモータ22が実際に停止するまでに、送りモータ22はほとんど回転しないので、最終的なワイヤWの送り出し量は小さくなる。図12に示すワイヤ送り処理では、送りモータ22を駆動する前のバッテリBの開放電圧が高い場合には、ワイヤWの送り量しきい値を低い値に設定し、送りモータ22を駆動する前のバッテリBの開放電圧が低い場合には、ワイヤWの送り量しきい値を高い値に設定する。このような構成とすることによって、バッテリBの電圧の変動に起因するワイヤWの送り量のばらつきを抑制することができる。
なお、メインマイコン102は、図12のステップS66において、ステップS62で取得されたバッテリBの電圧に関わりなく、送りモータ22を駆動する際のデューティ比を一定値(例えば100%)に設定してもよい。この場合でも、上記のようにワイヤWの送り量しきい値をバッテリBの開放電圧に応じて設定することで、ワイヤWの送り量のばらつきを抑制することができる。
なお、メインマイコン102は、図12に示すワイヤ送り処理の代わりに、図15に示すワイヤ送り処理を実行してもよい。以下では図15に示すワイヤ送り処理について説明する。
ステップS82では、メインマイコン102は、送り量しきい値をユーザにより設定されたワイヤWの巻き数に基づいて設定するとともに、デューティ比を所定値に設定する。
ステップS84では、メインマイコン102は、ステップS82で設定されたデューティ比で、送りモータ22を駆動する。これによって、送りモータ22が回転して、ワイヤWが送り出される。
ステップS86では、メインマイコン102は、バッテリBの電圧を電圧検出回路110によって検出する。
ステップS88では、メインマイコン102は、ステップS86で取得したバッテリBの電圧に基づいて、送りモータ22を駆動する際のデューティ比を設定する。具体的には、メインマイコン102は、送りモータ22への平均印加電圧が所定値となるように、ステップS86で取得したバッテリBの電圧に応じて、デューティ比を設定する。
ステップS90では、メインマイコン102は、ワイヤWの送り量が、ステップS82で設定した送り量しきい値に達したか否かを判断する。ワイヤWの送り量が送り量しきい値に達していない場合(NOの場合)、処理はステップS86へ戻る。ワイヤWの送り量が送り量しきい値に達すると(ステップS90でYESとなると)、処理はステップS72へ進む。
図15のステップS72、S74、S76、S78の処理は、図12のステップS72、S74、S76、S78の処理と同様である。
図15に示すワイヤ送り処理では、送りモータ22を駆動している間のバッテリBの電圧に基づいて、送りモータ22への平均印加電圧が一定となるように、送りモータ22のデューティ比を更新し続ける。これによって、図16の(a)に示すように、バッテリBの電圧が変動した場合でも、図16の(b)に示すように、送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。図15に示すワイヤ送り処理では、送りモータ22を駆動している間のバッテリBの電圧に基づいて、送りモータ22のデューティ比を更新し続けるので、図12に示すワイヤ送り処理のように、送りモータ22を駆動する前のバッテリBの開放電圧に基づいて、送りモータ22のデューティ比を設定し、一定のデューティ比で送りモータ22を駆動し続ける場合に比べて、送りモータ22の回転速度をより安定させることができる。このような構成とすることによっても、バッテリBの電圧変動に伴うワイヤWの送り量のばらつきを抑制することができる。
あるいは、メインマイコン102は、図12や図15に示すワイヤ送り処理の代わりに、図17に示すワイヤ送り処理を実行してもよい。以下では図17に示すワイヤ送り処理について説明する。
ステップS92では、メインマイコン102は、送り量しきい値をユーザにより設定されたワイヤWの巻き数に基づいて設定するとともに、デューティ比を所定値に設定する。
ステップS94では、メインマイコン102は、ステップS92で設定されたデューティ比で、送りモータ22を駆動する。これによって、送りモータ22が回転して、ワイヤWが送り出される。
ステップS96では、メインマイコン102は、エンコーダ27の検出信号を利用して、送りモータ22の回転速度を算出する。
ステップS98では、メインマイコン102は、目標とする送りモータ22の回転速度と、ステップS96で算出された実際の送りモータ22の回転速度の偏差に基づいて、PI制御により送りモータ22のデューティ比を設定する。
ステップS100では、メインマイコン102は、ワイヤWの送り量が、ステップS92で設定した送り量しきい値に達したか否かを判断する。ワイヤWの送り量が送り量しきい値に達していない場合(NOの場合)、処理はステップS96へ戻る。ワイヤWの送り量が送り量しきい値に達すると(ステップS100でYESとなると)、処理はステップS72へ進む。
図17のステップS72、S74、S76、S78の処理は、図12のステップS72、S74、S76、S78の処理と同様である。
図17に示すワイヤ送り処理では、送りモータ22を駆動している間の送りモータ22の回転速度が一定となるように、PI制御によって送りモータ22のデューティ比を更新し続ける。これによって、図18の(a)に示すように、バッテリBの電圧が変動した場合でも、図18の(b)に示すように、送りモータ22の回転速度を一定に維持することができる。図17に示すワイヤ送り処理では、図12に示すワイヤ送り処理や、図15に示すワイヤ送り処理に比べて、送りモータ22の回転速度をさらに安定させることができる。このような構成とすることによっても、バッテリBの電圧変動に伴うワイヤWの送り量のばらつきを抑制することができる。
なお、図12、図15および図17に示すワイヤ送り処理を実行中に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)、メインマイコン102は、その時点で鉄筋結束機2の主電源をオフにすることなく、ステップS72より前の処理をスキップし、ステップS72からステップS78までの処理を実行した後に、保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにする。このような構成とすることによって、送りモータ22への電力供給が遮断された後に、リール10が慣性により回転し続けてしまって、ワイヤWが弛んでしまうことを防ぐことができる。
以下では、図11のステップS54のワイヤ捩り処理について説明する。図19は、図11のステップS54のワイヤ捩り処理においてメインマイコン102が実行する処理を示している。
ステップS102では、メインマイコン102は、第1カウンタと第2カウンタをそれぞれクリアする。
ステップS104では、メインマイコン102は、デューティ比100%で、捩りモータ54を順方向に回転させる。
ステップS105では、メインマイコン102は、第1カウンタおよび第2カウンタとは別のカウンタを用いて、捩りモータ54の回転回数のカウントを開始する。本実施例の鉄筋結束機2では、メインマイコン102は、ホールセンサ55の検出信号に基づいて、捩りモータ54の回転回数をカウントする。
ステップS106では、メインマイコン102は、捩りモータ54に作用する負荷トルクを、捩りトルク値として取得する。本実施例の鉄筋結束機2では、メインマイコン102は、電圧検出回路110によって検出される電圧と、電流検出回路112によって検出される電流に基づいて、以下の演算によって捩りモータ54に作用する負荷トルクを推定する。
図20は、メインマイコン102が、捩りモータ54に作用する負荷トルクを推定する際に使用するフィードバックモデル120の一例を示している。フィードバックモデル120は、捩りモータ54を流れる電流の実測値imと、捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmに基づいて、捩りモータ54に作用する負荷トルクの推定値τeを出力する。なお、メインマイコン102が図19のステップS106の処理を実行する時点では、送りモータ22やソレノイド46が駆動することはない。従って、捩りモータ54を流れる電流の実測値imは、電流検出回路112により検出することができる。また、捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmは、電圧検出回路110により検出することができる。フィードバックモデル120は、モータモデル122と、比較器124と、増幅器126を備えている。
モータモデル122は、捩りモータ54の特性を2入力2出力の伝達系としてモデル化したものである。モータモデル122では、捩りモータ54の端子間電圧Vと、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを入力とし、捩りモータ54を流れる電流iと、捩りモータ54の回転速度ωを出力としている。
モータモデル122の特性は、実際の捩りモータ54の入力−出力特性に基づいて、特定することができる。例えば、本実施例のように、捩りモータ54が直流ブラシレスモータである場合には、以下のようにしてモータモデル122の特性を決定することができる。
捩りモータ54の電気系に関して、Lをインダクタンス、iを電流、Vを端子間電圧、Rを抵抗値、KBを発電定数、ωを回転速度とすると、以下の関係式が成り立つ。
他方、捩りモータ54の機械系に関して、Jをロータの慣性モーメント、KTをトルク定数、Bを摩擦定数、τを負荷トルクとすると、以下の関係式が成り立つ。
なお、本明細書においては、上記の数式(2)の左辺を慣性トルクといい、右辺第1項を出力トルク、右辺第2項を摩擦トルク、右辺第3項を負荷トルクという。
上記の数式(1)および数式(2)の両辺を時間に関して積分すると、以下の2つの関係式が得られる。
上記の数式(3)および数式(4)に基づいて数値計算を行うことで、2つの入力V、τに対する2つの出力i、ωを算出することができる。以上から分かるように、捩りモータ54の端子間電圧Vと、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを入力とし、捩りモータ54を流れる電流iと、捩りモータ54の回転速度ωを出力とするようにモータモデル122を構成した場合、微分演算を行うことなく、積分演算によってそれぞれの出力を得ることができる。一般に、メインマイコン102をシングルチップマイコンなどで実装する場合、捩りモータ54の端子間電圧Vや捩りモータ54を流れる電流iが急激に変動する際には、微分演算を精度良く行うことが困難となる。しかしながら、上記のように、積分演算によって出力を得るようにモータモデル122を構築することで、捩りモータ54の端子間電圧Vや捩りモータ54を流れる電流iが急激に変動する際でも、精度良く捩りモータ54の挙動をシミュレートすることができる。
図20に示すように、モータモデル122の電流出力、すなわち捩りモータ54の電流推定値ieは比較器124へ提供される。比較器124では、捩りモータ54の電流実測値imとモータモデル122の電流出力ieとの差分Δiを算出する。算出された差分Δiは、増幅器126において所定のゲインGで増幅された後、捩りモータ54の推定負荷トルクτeとしてモータモデル122のトルク入力に入力される。なお、モータモデル122の電圧入力には、捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmが入力される。
上記のフィードバックモデル120では、増幅器126でのゲインGを十分に大きく設定しておくことで、モータモデル122の電流出力、すなわち捩りモータ54の電流推定値ieが捩りモータ54の電流実測値imに収束するように、モータモデル122の入力トルク、すなわち捩りモータ54に作用する負荷トルクの推定値τeの大きさが調整される。このような構成とすることによって、モータモデル122を用いて、捩りモータ54に端子間電圧Vmが印加されたときに、捩りモータ54に流れる電流imを実現するような、捩りモータ54に作用する負荷トルクτeと、その際の捩りモータ54の回転速度ωeを算出することができる。
図21を参照しながら、フィードバックモデル120によって捩りモータ54の負荷トルクτが推定される原理について説明する。図21では、実際の捩りモータ54を伝達関数M1で表現し、フィードバックモデル120において捩りモータ54を仮想的に具現化したモータモデル122を伝達関数M2で表現している。図21に示す制御系における入力τ1(実際の捩りモータ54に作用している負荷トルク値)と、出力τ2(フィードバックモデル120から出力されるトルク推定値)の関係は以下のようになる。
従って、フィードバックモデル120におけるモータモデル122を実際の捩りモータ54と等しい特性となるように設定しておくことで、上式においてM1=M2=Mと置き換えることができ、以下の関係式が得られる。
上記の数式(6)から分かるように、図21の制御系における入力τ1から出力τ2への伝達関数は、図22に示すような、前向き伝達関数がGMであり、後向き伝達関数が1である、フィードバック制御系と等価なものとなっている。従って、出力τ2は、入力τ1に追従して変動する。増幅器126のゲインGを十分に大きくしておくことで、出力τ2は入力τ1に収束する。従って、フィードバックモデル120から出力されるトルク推定値τ2から、捩りモータ54に作用している負荷トルクτ1を知ることができる。
本実施例のフィードバックモデル120によれば、トルクを検出するための専用のセンサを設けることなく、捩りモータ54の端子間電圧Vと、捩りモータ54を流れる電流iに基づいて、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを精度良く推定することができる。
本実施例では、捩りモータ54の端子間電圧Vと捩りモータ54に作用する負荷トルクτを入力とし、捩りモータ54を流れる電流iと捩りモータ54の回転速度ωを出力とするモータモデル122を含むフィードバックモデル120を用いて、モータモデル122の電流出力ieを、実際の捩りモータ54を流れる電流imに収束させる構成としている。このような構成とすることで、微分演算を用いることなく、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを精度良く推定することができる。
あるいは、捩りモータ54が回転速度を検出する回転速度センサ(図示せず)を備えている場合には、図23に示すフィードバックモデル130を用いて、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを推定してもよい。フィードバックモデル130は、回転速度センサにより検出される捩りモータ54の回転速度の実測値ωmと、電圧検出回路110により検出される捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmに基づいて、捩りモータ54に作用する負荷トルクの推定値τeを出力する。フィードバックモデル130は、モータモデル132と、比較器134と、増幅器136を備えている。
図23のフィードバックモデル130のモータモデル132は、図20のフィードバックモデル120のモータモデル122と同じものである。図23のフィードバックモデル130では、モータモデル132の回転速度出力、すなわち捩りモータ54の回転速度の推定値ωeが比較器134へ提供される。比較器134では、モータモデル132の回転速度出力ωeと捩りモータ54の回転速度実測値ωmとの差分Δωを算出する。算出された差分Δωは、増幅器136において所定のゲインHで増幅された後、捩りモータ54の推定トルクτeとしてモータモデル132のトルク入力に入力される。モータモデル132の電圧入力には、捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmが入力される。
フィードバックモデル130では、増幅器136でのゲインHを十分に大きく設定しておくことで、モータモデル132の回転速度出力、すなわち捩りモータ54の回転速度推定値ωeが捩りモータ54の回転速度実測値ωmに収束するように、モータモデル132の入力トルク、すなわち捩りモータ54に作用する負荷トルク推定値τeの大きさが調整される。このような構成とすることによって、モータモデル132を用いて、捩りモータ54に端子間電圧Vmが印加されたときに、捩りモータ54の回転速度ωmを実現するような、捩りモータ54に作用する負荷トルクτeを推定することができる。
あるいは、捩りモータ54が回転速度を検出する回転速度センサ(図示せず)を備えている場合には、図24に示すフィードバックモデル140を用いて、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを推定してもよい。フィードバックモデル140は、電流検出回路112により検出される捩りモータ54を流れる電流の実測値imと、回転速度センサにより検出される捩りモータ54の回転速度の実測値ωmと、電圧検出回路110により検出される捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmに基づいて、捩りモータ54に作用する負荷トルクの推定値τeを出力する。フィードバックモデル140は、モータモデル142と、比較器144、146と、増幅器148、150と、加算器152を備えている。
図24のフィードバックモデル140のモータモデル142は、図20のフィードバックモデル120のモータモデル122と同じものである。図24のフィードバックモデル140では、モータモデル142の回転速度出力、すなわち捩りモータ54の回転速度の推定値ωeが比較器144へ提供される。比較器144では、モータモデル142の回転速度出力ωeと捩りモータ54の回転速度実測値ωmとの差分Δωを算出する。算出された差分Δωは、増幅器148において所定のゲインGωで増幅された後、加算器152へ提供される。さらに、フィードバックモデル140では、モータモデル142の電流出力、すなわち捩りモータ54を流れる電流の推定値ieが比較器146へ提供される。比較器146では、捩りモータ54の電流実測値imとモータモデル142の電流出力ieとの差分Δiを算出する。算出された差分Δiは、増幅器150において所定のゲインGiで増幅された後、加算器152へ提供される。加算器152は、増幅器148からの出力と増幅器150からの出力を加算する。加算器152の出力は、捩りモータ54の推定負荷トルクτeとしてモータモデル142のトルク入力に入力される。モータモデル142の電圧入力には、捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmが入力される。
フィードバックモデル140では、増幅器148でのゲインGωおよび増幅器150でのゲインGiを十分に大きく設定しておくことで、モータモデル142の回転速度出力、すなわち捩りモータ54の回転速度推定値ωeが捩りモータ54の回転速度実測値ωmに収束し、かつモータモデル142の電流出力、すなわち捩りモータ54を流れる電流の推定値ieが捩りモータ54の電流実測値imに収束するように、モータモデル142の入力トルク、すなわち捩りモータ54に作用する負荷トルク推定値τeの大きさが調整される。このような構成とすることによって、モータモデル142を用いて、捩りモータ54に端子間電圧Vmが印加されたときに、捩りモータ54を流れる電流imと捩りモータ54の回転速度ωmを実現するような、捩りモータ54に作用する負荷トルクτeを推定することができる。
あるいは、捩りモータ54が回転速度を検出する回転速度センサ(図示せず)を備えている場合には、図25に示すフィードバックモデル160を用いて、捩りモータ54に作用する負荷トルクτを推定してもよい。フィードバックモデル160は、電流検出回路112により検出される捩りモータ54を流れる電流の実測値imと、回転速度センサにより検出される捩りモータ54の回転速度の実測値ωmに基づいて、捩りモータ54に作用する負荷トルクの推定値τeを出力する。フィードバックモデル160は、モータモデル142と、比較器144、146と、増幅器148、150と、加算器152と、増幅器162、164と、加算器166を備えている。
図25のフィードバックモデル160は、図24のフィードバックモデル140とほぼ同様の構成を備えている。図25のフィードバックモデル160では、モータモデル142の電圧入力に捩りモータ54の端子間電圧の実測値Vmを入力する代わりに、捩りモータ54を流れる電流の実測値imと捩りモータ54の回転速度の実測値ωmから算出される捩りモータ54の端子間電圧の推定値Veを入力する。フィードバックモデル160では、上記した数式(1)において、左辺のLdi/dtをゼロと近似することで、捩りモータ54の端子間電圧の推定値Veを算出する。すなわち、フィードバックモデル160では、捩りモータ54の端子間電圧の推定値Veを、捩りモータ54を流れる電流の実測値imに捩りモータ54の抵抗値Rを乗算した値に、捩りモータ54の回転速度の実測値ωmに捩りモータ54の発電定数KBを乗算した値を加算することで算出する。
あるいは、メインマイコン102は、上記以外の方法によって、捩りモータ54に作用する負荷トルクを、捩りトルク値として取得してもよい。
図19のステップS106において、捩りトルク値が取得されると、処理はステップS108へ進む。ステップS108では、メインマイコン102は、レイトリミッタ値の演算処理を行う。
図26は、図19のステップS108のレイトリミッタ値の演算処理においてメインマイコン102が実行する処理を示している。
ステップS132では、メインマイコン102は、図19のステップS106で取得した捩りトルク値が、前回のレイトリミッタ値を超えている否かを判断する。捩りトルク値が前回のレイトリミッタ値を超えている場合(YESの場合)、処理はステップS134へ進む。
ステップS134では、メインマイコン102は、捩りトルク値から前回のレイトリミッタ値を減算した値を、偏差Δとして算出する。
ステップS136では、メインマイコン102は、ステップS134で算出した偏差Δが、所定の最大増加量を超えているか否かを判断する。偏差Δが最大増加量を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS138へ進む。ステップS138では、メインマイコン102は、捩りトルク値を今回のレイトリミッタ値として設定する。ステップS138の後、図26のレイトリミッタ値の演算処理は終了する。
ステップS136で、偏差Δが最大増加量を超えている場合(YESの場合)、処理はステップS140へ進む。ステップS140では、メインマイコン102は、前回のレイトリミッタ値に最大増加量を加算した値を、今回のレイトリミッタ値として設定する。ステップS140の後、図26のレイトリミッタ値の演算処理は終了する。
ステップS132で、捩りトルク値が前回のレイトリミッタ値を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS142へ進む。
ステップS142では、メインマイコン102は、前回のレイトリミッタ値から捩りトルク値を減算した値を、偏差Δとして算出する。
ステップS144では、メインマイコン102は、ステップS142で算出した偏差Δが、所定の最大減少量を超えているか否かを判断する。偏差Δが最大減少量を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS146へ進む。ステップS146では、メインマイコン102は、捩りトルク値を今回のレイトリミッタ値として設定する。ステップS146の後、図26のレイトリミッタ値の演算処理は終了する。
ステップS144で、偏差Δが最大減少量を超えている場合(YESの場合)、処理はステップS148へ進む。ステップS148では、メインマイコン102は、前回のレイトリミッタ値から最大減少量を減算した値を、今回のレイトリミッタ値として設定する。ステップS148の後、図26のレイトリミッタ値の演算処理は終了する。
図27は、捩りトルク値の経時的変化と、それに対応して算出されるレイトリミッタ値の経時的変化を示している。図27に示すように、レイトリミッタ値は、最大増加量と最大減少量の範囲内で、捩りトルク値に緩やかに追従していく。このため、捩りトルク値の変化が緩やかであれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従することができ、両者は一致する。これとは異なり、捩りトルク値の変化が急激であれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従できずに、両者の差は増大していく。本実施例では、このように算出されたレイトリミッタ値を、捩りモータ54の停止条件として利用する。
図19のステップS108でレイトリミッタ値が算出されると、処理はステップS110へ進む。
ステップS110では、メインマイコン102は、ステップS106で取得された捩りトルク値が、ユーザによって設定されたトルクしきい値を超えているか否かを判断する。捩りトルク値がトルクしきい値を超えている場合(YESの場合)、処理はステップS119へ進む。ステップS119では、メインマイコン102は、捩りモータ54が回転を開始してからの捩りモータ54の回転回数が、所定の回転回数しきい値を超えるまで待機する。ステップS119で、捩りモータ54の回転回数が回転回数しきい値を超えると(YESとなると)、処理はステップS128へ進む。ステップS128では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。ステップS128の後、図19のワイヤ捩り処理は終了する。
ステップS110で、捩りトルク値がトルクしきい値を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS112へ進む。ステップS112では、メインマイコン102は、ステップS106で取得された捩りトルク値が、ステップS108で算出されたレイトリミッタ値を超えているか否かを判断する。捩りトルク値がレイトリミッタ値を超えている場合(YESの場合)、処理はステップS114へ進む。ステップS114では、メインマイコン102は、第1カウンタの値を増分する。ステップS114の後、処理はステップS118へ進む。ステップS112で、捩りトルク値がレイトリミッタ値を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS116へ進む。ステップS116では、メインマイコン102は、第1カウンタの値をクリアする。ステップS116の後、処理はステップS118へ進む。
ステップS118では、メインマイコン102は、第1カウンタの値が第1所定値を超えているか否かを判断する。第1カウンタの値は、捩りトルク値がレイトリミッタ値を超えている場合、すなわち捩りトルク値が急激な増加をしており、レイトリミッタ値が捩りトルク値に追従できない場合に、増加していく。したがって、第1カウンタの値が第1所定値を超えることは、捩りトルク値の立上りから、レイトリミッタ値が捩りトルク値に達することなく第1所定時間が経過したことを意味する。ステップS118において、第1カウンタの値が第1所定値を超えている場合(YESの場合)、メインマイコン102は、捩りトルク値の立上りを検知してから第1所定時間が経過したものと判断して、処理はステップS119へ進む。ステップS119では、メインマイコン102は、捩りモータ54が回転を開始してからの捩りモータ54の回転回数が、所定の回転回数しきい値を超えるまで待機する。ステップS119で、捩りモータ54の回転回数が回転回数しきい値を超えると(YESとなると)、処理はステップS128へ進む。ステップS128では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。ステップS128の後、図19のワイヤ捩り処理は終了する。
ステップS118で、第1カウンタの値が第1所定値を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS120へ進む。ステップS120では、メインマイコン102は、ステップS106で取得された捩りトルク値が、ステップS108で算出されたレイトリミッタ値を下回るか否かを判断する。捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回る場合(YESの場合)、処理はステップS122へ進む。ステップS122では、メインマイコン102は、第2カウンタの値を増分する。ステップS122の後、処理はステップS126へ進む。ステップS120で、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回らない場合(NOの場合)、処理はステップS124へ進む。ステップS124では、メインマイコン102は、第2カウンタの値をクリアする。ステップS124の後、処理はステップS126へ進む。
ステップS126では、メインマイコン102は、第2カウンタの値が第2所定値を超えているか否かを判断する。第2所定値は、第1所定値よりも小さい値に設定されている。第2カウンタの値は、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回っている場合、すなわち捩りトルク値が急激な減少をしており、レイトリミッタ値が捩りトルク値に追従できない場合に、増加していく。したがって、第2カウンタの値が第2所定値を超えることは、捩りトルク値の立下りから、レイトリミッタ値が捩りトルク値に達することなく第2所定時間が経過したことを意味する。ステップS126において、第2カウンタの値が第2所定値を超えている場合(YESの場合)、メインマイコン102は、捩りトルク値の立下りを検知してから第2所定時間が経過したものと判断して、処理はステップS128へ進む。ステップS128では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。ステップS128の後、図19のワイヤ捩り処理は終了する。ステップS126において、第2カウンタの値が第2所定値を超えていない場合(NOの場合)、処理はステップS106へ戻る。
図28に示すように、捩りトルク値は、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着するまでは緩やかに増加していき、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着すると、急激に増加していく。その後、捩りモータ54を停止することなく回転させ続けると、ワイヤWが破断して、その後は捩りトルク値は急激に減少していく。
図19のワイヤ捩り処理では、図28に示すように、捩りトルク値が、ユーザが設定したトルクしきい値に達した時点で、捩りモータ54を停止する。このような構成とすることによって、ユーザが所望する捩り強さで、ワイヤWにより鉄筋Rを結束することができる。
一般に、ワイヤWが破断する捩りトルク値はばらつきが大きく、図29−図32に示すように、捩りトルク値がトルクしきい値に達する前に、ワイヤWが破断してしまう場合がある。鉄筋Rを結束したワイヤWが破断してしまうと、ワイヤWによって鉄筋Rを強固に結束することができないおそれがある。
図19のワイヤ捩り処理では、図29に示すように、捩りトルク値がトルクしきい値に達する前でも、捩りトルク値の立上りから第1所定時間ΔT1が経過した時点で、捩りモータ54を停止する。上記の通り、捩りトルク値が急激に増加を開始するのは、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着したときであり、その後に第1所定時間ΔT1にわたって捩りモータ54を回転させることで、ワイヤWによって鉄筋Rを十分に強固に結束できるものと考えられる。図19のワイヤ捩り処理によれば、ワイヤWの破断を抑制しつつ、ワイヤWによって鉄筋Rを強固に結束することができる。
図30や図31に示すように、ワイヤ捩り処理において、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着して捩りトルク値が急激な増加を開始した後に、ワイヤWが鉄筋Rの表面上でずれて、捩りトルク値が増減することがある。図19のワイヤ捩り処理では、図30に示すように、捩りトルク値の立上りを検出した後に、捩りトルク値が大幅に低下して、レイトリミッタ値が捩りトルク値に達した場合には、第1カウンタをクリアして、その後に再び捩りトルク値の立上りを検出してから第1所定時間ΔT1が経過した時点で、捩りモータ54を停止する。このような構成とすることで、ワイヤWによる鉄筋Rの結束に影響を及ぼす程度にワイヤWが鉄筋Rの表面上でずれてしまった場合でも、ワイヤWによって鉄筋Rを強固に結束することができる。また、図19のワイヤ捩り処理では、図31に示すように、捩りトルク値の立上りを検出した後に、捩りトルク値がわずかに低下するものの、レイトリミッタ値が捩りトルク値に達することなく、捩りトルク値が増加し続ける場合には、最初に捩りトルク値の立上りを検出してから第1所定時間ΔT1が経過した時点で、捩りモータ54を停止する。このような構成とすることで、ワイヤWによる鉄筋Rの結束に影響を及ぼさない程度にワイヤWが鉄筋Rの表面上でずれた場合でも、ワイヤWの破断を抑制しつつ、ワイヤWによって鉄筋Rを強固に結束することができる。
なお、図19のワイヤ捩り処理によっても、図32に示すように、捩りモータ54を停止する前に、ワイヤWが破断してしまう場合がある。このような場合には、捩りモータ54を可能な限り速やかに停止することが好ましい。図19のワイヤ捩り処理では、図32に示すように、捩りトルク値の立上りを検出した後に、ワイヤWの破断により捩りトルク値が大幅に低下し、レイトリミッタ値が捩りトルク値に達した時点で、捩りトルク値の立上りの検出をキャンセル(第1カウンタをクリア)し、その後に捩りトルク値の立下りを検出してから第2所定時間ΔT2が経過した時点で、捩りモータ54を停止する。このような構成とすることによって、捩りモータ54を停止する前に、ワイヤWが破断してしまった場合でも、捩りモータ54を速やかに停止することができる。
なお、図26のレイトリミッタ値の演算処理で使用する、レイトリミッタ値の最大増加量および最大減少量は、最小鉄筋径の時の捩りトルク値のトルクカーブに基づいて、予め設定されていてもよい。また、レイトリミッタ値の最大増加量および最大減少量や、図19のワイヤ捩り処理における第1所定値や第2所定値は、ユーザが第2操作部90を介して設定可能としてもよい。
なお、メインマイコン102は、図19に示すワイヤ捩り処理の代わりに、図33に示すワイヤ捩り処理を実行してもよい。
図33のステップS102、S104、S105、S106、S108、S110、S112、S116、S118の処理は、図19のステップS102、S104、S105、S106、S108、S110、S112、S116、S118の処理と同様である。図33のワイヤ捩り処理では、ステップS112で、捩りトルク値がレイトリミッタ値を超えている場合(YESの場合)、ステップS156で、捩りモータ54の回転回数の増加に連動させて、第1カウンタを増分させる。すなわち、図33のワイヤ捩り処理では、第1カウンタの値は、捩りトルク値がレイトリミッタ値を超えた時点からの、捩りモータ54の回転回数を示している。ステップS118では、第1カウンタの値、すなわち捩りトルク値の立上りを検出してからの捩りモータ54の回転回数が、第1所定値に達した場合に、処理はステップS119へ進む。ステップS119では、メインマイコン102は、捩りモータ54が回転を開始してからの捩りモータ54の回転回数が、所定の回転回数しきい値を超えるまで待機する。ステップS119で、捩りモータ54の回転回数が回転回数しきい値を超えると(YESとなると)、処理はステップS128へ進む。ステップS128では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。ステップS128の後、図33のワイヤ捩り処理は終了する。
図33のステップS120、S124、S126の処理は、図19のステップS120、S124、S126の処理と同様である。図33のワイヤ捩り処理では、ステップS120で、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回る場合(YESの場合)、ステップS158で、捩りモータ54の回転回数の増加に連動させて、第2カウンタを増分させる。すなわち、図33のワイヤ捩り処理では、第2カウンタの値は、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回った時点からの、捩りモータ54の回転回数を示している。ステップS126では、第2カウンタの値、すなわち捩りトルク値の立下りを検出してからの捩りモータ54の回転回数が、第2所定値に達した場合に、処理はステップS128へ進む。ステップS128では、メインマイコン102は、捩りモータ54を停止する。ステップS128の後、図33のワイヤ捩り処理は終了する。
なお、図19および図33に示すワイヤ捩り処理を実行中に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)、メインマイコン102は、その時点で捩りモータ54を停止した後、保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにする。あるいは、図19および図33に示すワイヤ捩り処理を実行中に、メインスイッチ74に対する操作が行われた場合(すなわち、鉄筋結束機2の主電源をオフにする操作が行われた場合)、メインマイコン102は、図19および図33に示すワイヤ捩り処理をそのまま継続し、ステップS128で捩りモータ54を停止した後に、保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにしてもよい。このような構成とすることで、捩り動作の途中で捩りモータ54が停止してしまうことを防止することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、メインマイコン102は、上記した各種の処理を実行中に、ドライバ回路104、106、108で故障が検出された場合に、その時点で保護FET116をオフに切り換えるとともに、トランジスタ109をオフ状態に切り換えて、鉄筋結束機2の主電源をオフにしてもよい。このような構成とすることによって、異常が発生した時に、送りモータ22、ソレノイド46、捩りモータ54への電力供給を速やかに遮断することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、メイン基板82は、図7に示す回路構成に代えて、図34に示す回路構成を有していてもよい。図34に示す例では、メイン基板82は、AND回路119を備えておらず、保護FET116の制御入力には、オフディレイ回路114からの出力が入力される。この場合、保護FET116は、オフディレイ回路114からH信号が出力されると、オンの状態となり、オフディレイ回路114からL信号が出力されると、オフの状態となる。図34に示す例では、メインスイッチ74またはトリガスイッチ86がオンからオフに切り換わった後、所定の遅延時間が経過すると、メインマイコン102やサブマイコン94の状態に関わらず、オフディレイ回路114からの出力によって、保護FET116がオフとなり、ドライバ回路104、106、108への電力供給が遮断される。このような構成とすることによって、仮にメインマイコン102やサブマイコン94が暴走した場合であっても、ソレノイド46、送りモータ22、捩りモータ54が駆動し続けることを防止することができる。
あるいは、メイン基板82は、図7に示す回路構成に代えて、図35に示す回路構成を有していてもよい。図35に示す例では、メイン基板82は、オフディレイ回路114およびAND回路119を備えておらず、保護FET116の制御入力には、メインマイコン102からの制御出力が入力される。この場合、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてH信号が出力されると、オンの状態となり、メインマイコン102から制御出力としてL信号が出力されると、オフの状態となる。図35に示す例では、メインスイッチ74またはトリガスイッチ86がオンからオフに切り換わった後、メインマイコン102が所定の遅延時間をカウントし、所定の遅延時間が経過した後に、メインマイコン102からの制御出力によって、保護FET116がオフとなり、ドライバ回路104、106、108への電力供給が遮断されてもよい。このような構成とすることによって、メイン基板82にオフディレイ回路114を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、メイン基板82の省スペース化を図ることができる。
あるいは、メイン基板82は、図7に示す回路構成に代えて、図36に示す回路構成を有していてもよい。図36に示す例では、メイン基板82は、オフディレイ回路114を備えておらず、AND回路119には、メインマイコン102からの制御出力と、サブマイコン94からの制御出力が入力される。この場合、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてH信号が出力され、かつサブマイコン94から制御出力としてH信号が出力されると、オンの状態となる。また、保護FET116は、メインマイコン102から制御出力としてL信号が出力されるか、あるいはサブマイコン94から制御出力としてL信号が出力されると、オフの状態となる。図36に示す例では、メインスイッチ74またはトリガスイッチ86がオンからオフに切り換わった後、メインマイコン102が所定の遅延時間をカウントし、所定の遅延時間が経過した後に、メインマイコン102からの制御出力によって、保護FET116がオフとなり、ドライバ回路104、106、108への電力供給が遮断されてもよい。このような構成とすることによって、メイン基板82にオフディレイ回路114を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、メイン基板82の省スペース化を図ることができる。また、図36に示す例では、仮にメインマイコン102が暴走した場合であっても、サブマイコン94からの制御出力によって保護FET116をオフにすることができ、ソレノイド46、送りモータ22、捩りモータ54が駆動し続けることを防止することができる。
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2(電動工具の例)は、電力によって駆動する送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46(アクチュエータの例)と、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46の動作を制御するメインマイコン102(制御ユニットの例)と、主電源をオフからオンにする操作と、オンからオフにする操作を入力可能なメインスイッチ74を備えている。主電源がオンの場合に、メインマイコン102は、所定のシーケンスに従って送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46を動作させる少なくとも1つのシーケンス動作を実行可能である。鉄筋結束機2では、シーケンス動作の実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、実行中のシーケンス動作が終了するまでは、主電源がオンのまま維持され、かつ送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給が継続され、実行中のシーケンス動作が終了した後に、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給が遮断され、かつ主電源がオンからオフに切り換わる。この鉄筋結束機2では、シーケンス動作を実行中にメインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合であっても、その時点で送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給を遮断することなく、実行中のシーケンス動作を継続させて、そのシーケンス動作が終了すると、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給を遮断する。このような構成とすることによって、シーケンス動作の途中の状態で送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46が停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、リール10に巻回されたワイヤW(結束線の例)を送り出す送り機構12と、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に案内する案内機構14と、リール10の回転を停止させるブレーキ機構16と、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩る捩り機構20をさらに備えている。鉄筋結束機2は、アクチュエータとして、送り機構12を駆動する送りモータ22と、ブレーキ機構16を駆動するソレノイド46(ブレーキアクチュエータの例)と、捩り機構20を駆動する捩りモータ54を備えている。この鉄筋結束機2は、ワイヤWによって鉄筋Rを結束する結束機として機能する。このような結束機では、各種のシーケンス動作を実行中に、送りモータ22や、ソレノイド46や、捩りモータ54が停止してしまうと、その後に結束機が予期せぬ動作をするおそれがある。上記の構成によれば、送りモータ22や、捩りモータ54や、ソレノイド46が、シーケンス動作の途中の状態で停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、メインマイコン102は、シーケンス動作として、送りモータ22を駆動して送り機構12によってワイヤWを送り出し、ワイヤWが所定の送り量送り出されると、送りモータ22を停止するとともに、ソレノイド46を駆動し、リール10の回転が停止すると、ソレノイド46を停止する、結束線送りシーケンス動作(図12、図15、図17参照)を実行可能である。メインマイコン102は、結束線送りシーケンス動作の実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、送りモータ22を停止するとともに、ソレノイド46を駆動し、リール10の回転が停止すると、ソレノイド46を停止して、結束線送りシーケンス動作を終了する。このような構成によれば、結束線送りシーケンス動作の途中の状態で、送りモータ22やソレノイド46が停止してしまうことを防止することができる。特に、上記の構成によれば、結束線送りシーケンス動作を実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、送りモータ22を停止するとともに、ソレノイド46を駆動してリール10の回転を停止させ、その後にソレノイド46を停止するので、送りモータ22の停止によって送り機構12がワイヤWの送り出しを停止した後も、リール10が慣性により回転し続け、リール10と送り機構12の間でワイヤWが弛んでしまうことを防ぐことができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、メインマイコン102は、結束線送りシーケンス動作の実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、ワイヤWが所定の送り量送り出されていなくても、送りモータ22を停止する。上記の構成によれば、ワイヤWが不要に消費されることを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、メインマイコン102は、シーケンス動作として、捩りモータ54を駆動して捩り機構20によってワイヤWを捩り、所定の結束完了条件が満たされると、捩りモータ54を停止する、結束線捩りシーケンス動作(図19、図33参照)を実行可能である。メインマイコン102は、結束線捩りシーケンス動作の実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、結束完了条件が満たされるまで、捩りモータ54を駆動し、結束完了条件が満たされると、捩りモータ54を停止して、結束線捩りシーケンス動作を終了する。このような構成によれば、結束線捩りシーケンス動作の途中の状態で、捩りモータ54が停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、メインマイコン102は、シーケンス動作として、捩りモータ54を駆動して捩り機構20を初期位置に向けて復帰させ、捩り機構20が初期位置に復帰すると捩りモータ54を停止する、初期位置復帰シーケンス動作(図10参照)を実行可能である。メインマイコン102は、初期位置復帰シーケンス動作の実行中に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、捩り機構20が初期位置に復帰するまで、捩りモータ54を駆動し、捩り機構20が初期位置に復帰すると、捩りモータ54を停止して、初期位置復帰シーケンス動作を終了する。このような構成によれば、初期位置復帰シーケンス動作の途中の状態で、捩りモータ54が停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2では、シーケンス動作の実行中であっても、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46に関する異常が検出された場合には、その時点で送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給が遮断される。ユーザの安全性を確保するためには、シーケンス動作の実行中であっても、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46に異常が発生した場合には、その時点で送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46を停止させることが好ましい。上記の構成によれば、ユーザの安全性を確保することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46へ電力を供給する電力供給経路上に設けられた保護FET116(スイッチング素子の例)と、保護FET116を制御するオフディレイ回路114をさらに備えている。オフディレイ回路114は、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた時点から、シーケンス動作の実行に要する時間より長い所定時間が経過した時点で、保護FET116を制御して、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給を遮断する。このような構成では、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた後、所定時間が経過すると、メインマイコン102の状態に関わらず、オフディレイ回路114が保護FET116を制御して、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力供給を遮断する。このような構成とすることによって、仮にメインマイコン102が暴走した場合であっても、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46が駆動し続けることを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46へ電力を供給する電力供給経路上に設けられた保護FET116(スイッチング素子の例)をさらに備えている。メインマイコン102は、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた場合に、シーケンス動作の実行が終了した時点で、保護FET116を制御して、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力の供給を遮断する。このような構成では、メインスイッチ74に主電源をオンからオフにする操作が行われた時に、その時点で実行中のシーケンス動作が終了した時点で、メインマイコン102が保護FET116を制御して、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46への電力供給を遮断する。このような構成によれば、簡素な構成によって、シーケンス動作の途中の状態で送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46が停止してしまうことを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2(電動工具の例)は、電力によって駆動する送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46(複数のアクチュエータの例)と、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46の動作を制御するメインマイコン102(制御ユニットの例)と、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46へ電力を供給し、かつメインマイコン102へ電力を供給しない電力供給経路上に設けられた単一の保護FET116(スイッチング素子の例)を備えている。このような構成では、単一の保護FET116を制御することで、送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46について、電力が供給されている状態と電力供給が遮断されている状態を切り換えることができる。送りモータ22、捩りモータ54、ソレノイド46のそれぞれに対応する複数のスイッチング素子を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、リール10に巻回されたワイヤW(結束線の例)を送り出す送り機構12と、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に案内する案内機構14と、リール10の回転を停止させるブレーキ機構16と、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩る捩り機構20をさらに備えている。鉄筋結束機2は、アクチュエータとして、送り機構12を駆動する送りモータ22と、ブレーキ機構16を駆動するソレノイド46(ブレーキアクチュエータの例)と、捩り機構20を駆動する捩りモータ54を備えている。このような構成では、単一の保護FET116を制御することで、送りモータ22と、ソレノイド46と、捩りモータ54について、電力が供給されている状態と電力供給が遮断されている状態を切り換えることができる。送りモータ22と、ソレノイド46と、捩りモータ54のそれぞれに対応する複数のスイッチング素子を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2(結束機の一例)は、ワイヤW(結束線の一例)を捩る捩り機構20を備えている。捩り機構20は、捩りモータ54を備えている。鉄筋結束機2は、捩りモータ54に作用するトルクを捩りトルク値として取得し(図19のステップS106等)、所定の結束完了条件を満たした場合に、捩りモータ54を停止する(図19のステップS128等)。結束完了条件は、捩りトルク値の立上りを検知してからの経過時間が第1所定時間に達することを含む(図19のステップS112、S114、S118等)。このような構成によれば、捩り機構20がワイヤWを捩っている間に、例えばワイヤWが鉄筋Rの表面上でずれて、捩りトルク値が増減した場合であっても、ワイヤWの捩りが完了したものと誤判定してしまうことがない。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを捩る捩り機構20を備えている。捩り機構20は、捩りモータ54を備えている。鉄筋結束機2は、捩りモータ54に作用するトルクを捩りトルク値として取得し(図33のステップS106等)、所定の結束完了条件を満たした場合に、捩りモータ54を停止する(図33のステップS128等)。結束完了条件は、捩りトルク値の立上りを検知してからの捩りモータ54の回転回数が第1所定回数に達することを含む(図33のステップS112、S156、S118等)。このような構成によれば、捩り機構20がワイヤWを捩っている間に、例えばワイヤWが鉄筋Rの表面上でずれて、捩りトルク値が増減した場合であっても、ワイヤWの捩りが完了したものと誤判定してしまうことがない。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束完了条件はさらに、捩りトルク値が所定のトルクしきい値に達することを含む(図19のステップS110、図33のステップS110等)。このような構成によれば、過剰な捩りの反作用として鉄筋結束機2が大きな反力を受けることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、結束完了条件が満たされた場合であっても、捩りモータ54が回転を開始してからの捩りモータ54の回転回数が所定の回転回数しきい値に達していない場合には、捩りモータ54を停止させず(図19のステップS119、図33のステップS119等)、結束完了条件が満たされ、かつ捩りモータ54が回転を開始してからの捩りモータ54の回転回数が回転回数しきい値に達した場合に、捩りモータ54を停止する(図19のステップS119、S128、図33のステップS119、S128等)。このような構成によれば、鉄筋Rを結束するために最低限必要とされる回数の捩りをワイヤWに与えることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、捩りトルク値の立上りを検知した後に、所定のキャンセル条件が満たされると、捩りトルク値の立上りの検知をキャンセルする(図19のステップS112、S116、図33のステップS112、S116等)。捩り機構20がワイヤWを捩っている間に、例えばワイヤWが鉄筋Rの表面上で大きくずれた場合には、改めてワイヤWを十分に捩ることが好ましい。上記の構成によれば、このような場合に、捩りトルク値の立上りの検知をキャンセルすることで、改めてワイヤWを十分に捩ることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、捩りトルク値の立上りの検知は、捩りトルク値に基づいて算出されるレイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わることの検知を含む(図19のステップS112、図33のステップS112等)。捩りトルク値は、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着するまでは緩やかに増加していき、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着すると、急激に増加していく。このように変化する捩りトルク値の立上りを検知するために、上記の構成では、レイトリミッタ値を利用する。レイトリミッタ値は、最大増加量と最大減少量の範囲内で、捩りトルク値に緩やかに追従していく。このため、捩りトルク値の変化が緩やかであれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従することができ、両者は一致する。これとは異なり、捩りトルク値の変化が急激であれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従できずに、両者の差は増大していく。上記の構成によれば、レイトリミッタ値を利用して、捩りトルク値の立上りを正確に検知することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、キャンセル条件は、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致することを含む(図19のステップS112、図33のステップS112等)。レイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わったことで捩りトルク値の立上りを検知した後、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致することなく、捩りトルク値が増加し続けている場合は、ワイヤWが鉄筋Rの表面上で大きくずれることなく、鉄筋Rの結束が良好に進んでいると考えられる。これとは異なり、レイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を上回る状態に切り換わったことで捩りトルク値の立上りを検知した後、レイトリミッタ値が捩りトルク値に再び一致する場合、すなわち捩りトルク値が比較的大きく減少した場合には、ワイヤWが鉄筋Rの表面上で大きくずれており、改めてワイヤWを十分に捩ることが必要と考えられる。上記の構成によれば、捩り機構20がワイヤWを捩っている間に、ワイヤWが鉄筋Rの表面上で大きくずれてしまった場合であっても、改めてワイヤWを十分に捩ることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、捩りトルク値の立上りを検知しておらず、かつ捩りトルク値の立下りを検知した場合に、捩りトルク値の立下りを検知してからの経過時間が第2所定時間に達すると、捩りモータを停止する(図19のステップS120、S122、S126、S128等)。上記の構成によれば、捩りモータ54を停止する前に、ワイヤWが破断してしまった場合に、捩りモータ54を速やかに停止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、捩りトルク値の立上りを検知しておらず、かつ捩りトルク値の立下りを検知した場合に、捩りトルク値の立下りを検知してからの捩りモータ54の回転回数が第2所定回転回数に達すると、捩りモータ54を停止する(図33のステップS120、S158、S126、S128等)。上記の構成によれば、捩りモータ54を停止する前に、ワイヤWが破断してしまった場合に、捩りモータ54を速やかに停止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、捩りトルク値の立下りの検知は、捩りトルク値に基づいて算出されるレイトリミッタ値と捩りトルク値が一致する状態から、捩りトルク値がレイトリミッタ値を下回る状態に切り換わることの検知を含んでもよい(図19のステップS120、図33のステップS120等)。捩りトルク値は、ワイヤWが鉄筋Rの周囲に密着した後は、急激に増加していくものの、ワイヤWが破断すると、その後は急激に減少していく。このように変化する捩りトルク値の立下りを検知するために、上記の構成では、レイトリミッタ値を利用する。レイトリミッタ値は、最大増加量と最大減少量の範囲内で、捩りトルク値に緩やかに追従していく。このため、捩りトルク値の変化が緩やかであれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従することができ、両者は一致する。これとは異なり、捩りトルク値の変化が急激であれば、レイトリミッタ値は捩りトルク値に追従できずに、両者の差は増大していく。上記の構成によれば、レイトリミッタ値を利用して、捩りトルク値の立下りを正確に検知することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2(結束機の一例)は、ワイヤW(結束線の一例)を送り出す送り機構12と、バッテリBと、バッテリBの電圧を検出する電圧検出回路110を備えている。送り機構12は、バッテリBから電力を供給される送りモータ22を備えている。鉄筋結束機2は、電圧検出回路110で検出されるバッテリBの電圧に応じて、ワイヤWを送り出す際に送りモータ22を駆動するデューティ比を設定する(図12のステップS62、S66、図15のステップS86、S88等)。送りモータ22がバッテリBから電力を供給される構成では、バッテリBの電圧に応じて、送りモータ22の回転速度が変化する。メインマイコン102が送りモータ22に停止を指示した時点での送りモータ22の回転速度にばらつきがあると、送りモータ22が実際に停止するまでのワイヤWのオーバーシュート量もばらつき、最終的に送り出されるワイヤWの量にもばらつきが生じる。上記の構成によれば、バッテリBの電圧に応じて、送りモータ22を駆動するデューティ比を設定するので、バッテリBの電圧の変動に起因する送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。このような構成とすることによって、送り機構12から送り出されるワイヤWの量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを送り出す前に、電圧検出回路110で検出されるバッテリBの電圧に応じて、送りモータ22を駆動する際のデューティ比を設定する(図12のステップS62、S66等)。鉄筋結束機2は、ワイヤWを送り出している間、送りモータ22を駆動するデューティ比を一定に維持する(図12のステップS68)。上記の構成によれば、実際のバッテリBの電圧に応じて設定されたデューティ比が、ワイヤWを送り出している間、一定に維持されるので、バッテリBの電圧の変動に起因する送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。送り機構12から送り出されるワイヤWの量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを送り出している間、送りモータ22への平均印加電圧を一定に維持するように、電圧検出回路110で検出されるバッテリBの電圧に応じて、送りモータ22を駆動する前記デューティ比を調整する(図15のステップS84、S86、S88等)。上記の構成によれば、ワイヤWを送り出している間、送りモータ22への平均印加電圧が一定に維持されるので、バッテリBの電圧の変動に起因する送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。送り機構12から送り出されるワイヤWの量がばらつく事を防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを送り出す送り機構12と、バッテリBを備えている。送り機構12は、バッテリBから電力を供給される送りモータ22と、送りモータ22の回転速度を検出するエンコーダ27(回転速度センサの一例)を備えている。鉄筋結束機2は、ワイヤWを送り出している間、送りモータ22の回転速度を一定に維持するように、エンコーダ27で検出される送りモータ22の回転速度に応じて、送りモータ22を駆動するデューティ比を調整する(図17のステップS94、S96、S98等)。上記の構成によれば、ワイヤWを送り出している間、送りモータ22の回転速度が一定に維持されるので、バッテリBの電圧の変動に起因する送りモータ22の回転速度の変動を抑制することができる。送り機構12から送り出されるワイヤWの量がばらつく事を防止することができる。
上記の実施例では、複数の鉄筋RをワイヤWによって結束する鉄筋結束機2について説明したが、結束線はワイヤW以外のものであってもよいし、被結束物は複数の鉄筋R以外のものであってもよい。また、電動工具は鉄筋結束機2以外のものであってもよいし、アクチュエータは送りモータ22、ソレノイド46、捩りモータ54以外のものであってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。