JP2019141038A - 食品、香味料および食品の製造方法、ならびに食品に香味を付与する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
詳しくは、好ましい香味、具体的には、生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味を有する食品、食品に、前記香味を付与することができる香味料、および前記食品の製造方法、ならびに、食品に前記香味を付与する方法に関する。
たとえば非特許文献1では、コーンの官能特性と含有成分の関係を調査しており、コーンの青臭い香り(Grassy Flavor)を構成する香気成分として、ジメチルスルフィドが特定されている。
非特許文献2では、コーンの成熟過程における各種成分の量的変化を調査しており、コーンの香気成分として、ジメチルスルフィドの記載がある。
非特許文献3では、生鮮、冷凍、缶詰の各種コーン加工製品における香気成分の含有量を調査しており、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの含有量が記載されている。しかし、これら成分が、コーンが示す官能特性のいずれに寄与するかについては、特定されていない。さらに、非特許文献3には、マルトールが検出されたという記載はない。
非特許文献4では、コーンの主要な香気成分として、ジメチルスルフィドが特定されているが、加熱したコーンが発する自然な香りには、ジメチルスルフィド単独ではなく他の香気成分との組み合わせが必要であるとの記載がある。
非特許文献5では、生鮮、冷凍、缶詰のコーンにおけるコーンの香気成分含有量が調査されており、ジメチルスルフィドを含む複数の香気成分が特定されている。しかし、非特許文献5には、非特許文献4と同様に、各香気成分単独では不快な香りであり、複数の成分を組み合わせることにより、加熱したコーンの香りが構成されるとの記載がある。
非特許文献6では、コーンの香気成分として、ジメチルスルフィドが特定されており、生鮮コーンを加熱したものと缶詰のコーンについて、ジメチルスルフィド含有量が調査されている。
[1]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60である食品。
[2]マルトールとジメチルスルフィドの喫食時の濃度の和(a+b)が、a+b>5,000重量ppbであり、かつイソバレルアルデヒドの喫食時の濃度(c)に対するジメチルスルフィドの喫食時の濃度(b)の比(b/c)が、b/c>1.3である、[1]に記載の食品。
[3]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満である、[1]または[2]に記載の食品。
[4]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の食品中の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60である食品。
[5]加工食品、調味料または飲料である、[1]から[4]のいずれかに記載の食品。
[6]飲料がスープである、[5]に記載の食品。
[7]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを組み合わせてなる香味料であって、前記各成分の喫食時における含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように食品に添加される、香味料。
[8]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含む一体的な組成物の態様である、[7]に記載の香味料。
[9]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドをそれぞれ別個に含む香味料として組み合わされる態様である、[7]に記載の香味料。
[10]生のコーンを蒸したときに感じられる香味を有する、[7]〜[9]のいずれかに記載の香味料。
[11]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満となるように添加される、[7]〜[10]のいずれかに記載の香味料。
[12]加工食品、調味料または飲料に添加される、[7]〜[11]のいずれかに記載の香味料。
[13][7]〜[12]のいずれかに記載の香味料を含有する、食品。
[14]加工食品、調味料または飲料である、[13]に記載の食品。
[15]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品の製造方法。
[16]マルトールおよびジメチルスルフィドの喫食時の濃度の和(a+b)が、a+b>5,000重量ppbとなり、かつイソバレルアルデヒドの喫食時の濃度(c)に対するジメチルスルフィドの喫食時の濃度(b)の比(b/c)が、b/c>1.3となるように添加する、[15]に記載の製造方法。
[17]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満となるように添加する、[15]または[16]に記載の製造方法。
[18]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの食品中の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品の製造方法。
[19]食品が加工食品、調味料または飲料である、[15]から[18]のいずれかに記載の製造方法。
[20]飲料がスープである、[19]に記載の製造方法。
[21]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時における含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、生のコーンを蒸したときに感じられる香味を有する食品の製造方法。
[22]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満となるように添加する、[21]に記載の製造方法。
[23]食品が加工食品、調味料または飲料である、[21]または[22]に記載の製造方法。
[24]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時における含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品に生のコーンを蒸したときに感じられる香味を付与する方法。
[25]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満となるように添加する、[24]に記載の方法。
[26]食品が加工食品、調味料または飲料である、[24]または[25]に記載の方法。
[27]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60となるように食品に添加される、香味料。
[28]マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60になるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品に香味を付与する方法。
また、本発明は、食品に添加することにより、好ましい香味、具体的には、生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味を簡単に付与することができる香味料を提供することができる。
さらに、本発明により、所定の化合物をそれらの含有量比が所定の関係を満たすように配合するだけで、上記香味を有する食品および上記香味を付与し得る香味料を得ることができ、当業者において一般に利用されている装置、機器等による製造が可能で、その製造条件も容易に制御することができる。
本発明の食品は、マルトール(Maltol)、ジメチルスルフィド(Dimethyl sulfide)およびイソバレルアルデヒド(Isovaleraldehyde)を、後述するように、特定の含有量比にて含有する。
本発明の食品において、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、下記に述べる香味料として添加され、食品に含有されてもよい。
本発明の香味料は、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように、食品に添加される。
ここで、本発明において「香味料」とは、食品に香味を付与し得る添加物をいう。
ここで、「コーン」とは、イネ科の一年生植物であるトウモロコシ(Zea mays)の可食部(種子)をいい、甘味種(スイートコーン)、甘味黄色粒種、甘味バイカラー粒種、甘味白色粒種等、食用に供される品種のトウモロコシの可食部である。
たとえば、生のコーンをフードプロセッサーですりつぶして調製されるコーンペーストを加熱、乾燥してコーンパウダーを調製し、該コーンパウダーを熱湯に溶いて喫食したときに感じられる香味が挙げられる。
また、ジメチルスルフィド(Dimethyl sulfide)は、ミズゴケや海洋性プランクトンにより生成される有機硫黄化合物である。
イソバレルアルデヒド(Isovaleraldehyde)(3−メチルブタナール(3-methylbutanal))は、ペンタナール(pentanal)の異性体であり、果物や酒の香気成分である。
上記3種の化合物は、それぞれ自体公知の方法により合成し、またはコーン等の植物や動物から自体公知の方法により抽出し、単離精製して用いてもよいが、市販の製品を好適に用いることもできる。
本発明において用いられる上記各化合物の概念には、当該化合物と水溶液中で平衡関係にあり、容易に相互変換し得る構造を有するもの(たとえば、互変異性体、イオン化体等)が包含され、また両者の混合物も包含される。
すなわち、本発明においては、上記3種の化合物として、それらの単離精製品を用いてもよく、それらに代えて、またはそれらに加えて、上記化合物を、喫食時における上記含有量比および喫食時濃度を満たし得る含有量にて含む食品素材を用いることもできる。
すなわち、本発明の香味料において、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、喫食時の食品中の含有量比が上記関係を達成し得る組成比で、組み合わされる。
他の香気成分としては、特に限定されないが、たとえば、食品用香料として通常使用される3−デカノール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、2−ドデセノール等の脂肪族アルコール;l−メントール、リナロール等のテルペンアルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;2−エチルフェノール、4−エトキシフェノール等のフェノール誘導体;オクタナール、デカナール等の脂肪族アルデヒド;ペリルアルデヒド、シトラール等のテルペンアルデヒド;アニスアルデヒド、シンナムアルデヒド等の芳香族アルデヒド;アセトフェノン、イオノン等のケトン;ジベンジルエーテル、シネオール等のエーテル;ヘキサン酸、2−ドデセン酸等の脂肪酸;ε−デカラクトン、8−ウンデセン−5−オリド等のラクトン;酢酸エチル、イソ吉草酸エチル、桂皮酸メチル等のエステル;2−アミノアセトフェノン、2−メトキシピリジン等の含窒素化合物;2−プロパンチオール、3−メチルブタンチオール等のチオール等が挙げられる。
かかる基剤としては、本発明の香味料が液状の場合には、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、各種動植物油等が挙げられる。また、本発明の香味料が粉末状や顆粒状等の固形状の場合には、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース、グルコースなどの糖類、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、およびこれらの混合物、ならびに酵母菌体、各種の粉末エキス類等が挙げられる。
その他の食品添加物としては、増粘安定剤(キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等)、保存料(安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム等)、着色料(アナトー色素、ウコン色素、クチナシ色素等)等が挙げられる。
これらは、必要に応じて、1種または2種以上を含有させることができる。
マルトール:2重量ppb〜99.9重量%、好ましくは20重量ppb〜50重量%、より好ましくは50重量ppb〜33.3重量%。
ジメチルスルフィド:2重量ppb〜99.9重量%、好ましくは20重量ppb〜50重量%、より好ましくは50重量ppb〜33.3重量%。
イソバレルアルデヒド:2重量ppb〜99.9重量%、好ましくは20重量ppb〜50重量%、より好ましくは50重量ppb〜33.3重量%。
本発明の食品において、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したとき、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60であり、好ましくは、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60で、さらにマルトールの喫食時濃度が100重量ppm以上である。
本発明の好ましい実施態様においては、マルトールおよびジメチルスルフィドの喫食時の濃度の和(a+b)が、a+b>5,000重量ppbであり、かつイソバレルアルデヒドの喫食時の濃度(c)に対するジメチルスルフィドの喫食時の濃度(b)の比(b/c)が、b/c>1.3となるように含有される。
本発明の食品には、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したとき、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように本発明の香味料が含有され、好ましくは、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60で、さらにマルトールの喫食時濃度が100重量ppm以上となるように本発明の香味料が含有される。
本発明においては、本発明の香味料は、上記した一体的な組成物の態様、および別個の香味料として組み合わされる態様のいずれの態様でも含有され得る。
コーンパウダーは、たとえば、下記の方法で調製されるコーンペーストを原料として、ドラムドライヤー、真空凍結乾燥機、真空ドラムドライヤー等で乾燥し、次いで粉砕、篩分して得られる。
コーンペーストは、たとえば、コーンの皮を剥いた後、軸から外したコーン粒を粉砕して得られる。
缶詰のコーンは、たとえば、コーンの皮を剥いた後、軸から外したコーン粒もしくはそれを粉砕したコーンペーストを、金属缶に詰めて密封し、加熱殺菌して得られる。
天然系調味料としては、たとえば、鶏肉エキス、牛肉エキス、豚肉エキス、羊肉エキスなどの各種畜肉エキス類;鶏がらエキス、牛骨エキス、豚骨エキスなどの各種がらエキス類;鰹エキス、鯖エキス、ぐちエキス、帆立エキス、蟹エキス、蝦エキス、煮干エキス、干し貝柱エキスなどの各種魚介エキス類;鰹節エキス、鯖節エキス、宗田節エキスなどの各種節エキス類;オニオンエキス、白菜エキス、セロリエキスなどの各種野菜エキス類;昆布エキスなどの各種海藻エキス類;ガーリックエキス、唐辛子エキス、胡椒エキス、カカオエキスなどの各種香辛料エキス類;酵母エキス類;各種タンパク質加水分解物;醤油、魚醤、蝦醤、味噌などの各種発酵調味料等が挙げられる。勿論、上記に限定されるものではない。
風味調味料としては、たとえば、鶏風味調味料、牛風味調味料、豚風味調味料などの各種畜肉風味調味料;鰹風味調味料、煮干風味調味料、干し貝柱風味調味料、甲殻類風味調味料などの各種魚介風味調味料;各種香辛野菜風味調味料;昆布風味調味料等が挙げられる。また、基礎調味料である、塩、うま味調味料等が挙げられる。勿論、上記に限定されるものではない。
また、本発明の食品における本発明の香味料の含有量は、食品の種類や形態等によって適宜設定されるが、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が、通常1.1重量ppm以上150重量ppm未満であり、好ましくは1.2重量ppm以上130重量ppm以下となる量である。
本発明の食品が調味料として提供される場合、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの含有量は調味料の種類、形態等に応じて適宜設定することができ、たとえば、粉末状の調味料の場合、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度は、通常1.1重量ppm以上150重量ppm未満であり、好ましくは1.2重量ppm以上130重量ppm以下である。
本発明の食品がスープとして提供される場合、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの含有量は、スープの種類、形態等に応じて適宜設定することができ、たとえば、コーンスープの場合、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度は通常1.1重量ppm以上150重量ppm未満であり、好ましくは1.2重量ppm以上130重量ppm以下である。
たとえば、ガスクロマトグラフ−質量分析計を用いて、固体マイクロ抽出(SPME(Solid Phase Micro Extraction))法などのヘッドスペース分析法、あるいは溶剤抽出などによる直接注入法によって測定することができる。また、必要に応じて抽出した成分に対し、濃縮などの前処理を行うことも可能である。
具体的には、たとえば測定試料5mLを20mLのバイアル瓶に密封して、50℃に加温しながらSPMEファイバー(50/30μm、DVB(divinylbenzene)/CAR(carboxen)/PDMS (polydimethylsiloxane)57298−U:Gray)をヘッドスペース部分に60分間曝露し、成分を吸着・濃縮した後に、ガスクロマトグラフに導入することにより測定することができる。
マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、本発明の香味料としても添加され得る。
マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒド、またはこれらを含有する本発明の香味料は、上記各種食品を調製する過程、調製した後のいずれにおいて添加してもよいが、食品の種類、形態等に応じて、適宜決定される。
従って、本発明の食品は、原材料としてコーンを用いた食品として好適に提供される。
本発明の製造方法は、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを食品に添加することを含み、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したとき、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように添加され、好ましくは、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60で、さらにマルトールの喫食時濃度が100重量ppm以上となるように添加される。
本発明の製造方法の好ましい実施態様においては、マルトールおよびジメチルスルフィドの喫食時の濃度の和(a+b)が、a+b>5,000重量ppbであり、かつイソバレルアルデヒドの喫食時の濃度(c)に対するジメチルスルフィドの喫食時の濃度(b)の比(b/c)が、b/c>1.3となるように、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドが添加される。
また、上記した香味料として、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含む一体的な組成物の態様で、または、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドをそれぞれ別個に含む香味料として、組み合わされる態様で添加してもよい。
本発明の製造方法は、原材料としてコーンを用いた食品の製造に好適である。
本発明の付与方法は、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを食品に添加することを含み、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有重量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したとき、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように添加され、好ましくは、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60で、さらにマルトールの喫食時濃度が100重量ppm以上となるように添加される。
本発明の付与方法の好ましい実施態様においては、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドは、マルトールおよびジメチルスルフィドの喫食時の濃度(a+b)が、a+b>5,000重量ppbであり、かつイソバレルアルデヒドの喫食時の濃度(c)に対するジメチルスルフィドの喫食時の濃度(b)の比(b/c)が、b/c>1.3となるように、添加される。
また、上記した香味料として、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含む一体的な組成物の態様で、または、マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドをそれぞれ別個に含む香味料として、組み合わされる態様で添加してもよい。
本発明の付与方法は、原材料としてコーンを用いた食品に対し、好適に適用することができる。
なお、以下において、「%」、「ppm」および「ppb」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量%」、「重量ppm」および「重量ppb」を意味する。
(1)マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの各溶液の調製
下記(A)〜(C)成分の各溶液を、次の通り調製した。
(A)は0.1g、(B)および(C)は各100μLを、99.5容量%エタノールでそれぞれ10mLにメスアップして希釈し、各10,000ppmの溶液とした。
(A)マルトール:シグマ−アルドリッチ社製
(B)ジメチルスルフィド:シグマ−アルドリッチ社製
(C)イソバレルアルデヒド:シグマ−アルドリッチ社製
表1に示す組成に従って原料を混合し、粉末スープベースを調製した。この粉末スープベース15.6gを熱湯150mLで溶いて、コーンスープを調製した。
上記で調製したコーンスープをコントロールとし、その香味に及ぼす(A)〜(C)成分の添加効果を検討した。
コーンスープに対する(A)〜(C)成分の添加効果の評価は、コーンスープ50mLに、上記(1)で調製した10,000ppmのマルトール((A)成分)溶液、ジメチルスルフィド((B)成分)溶液およびイソバレルアルデヒド((C)成分)溶液をそれぞれ添加し、よく撹拌して、前記各成分の喫食時の含有量比が表2に示す含有量比となるように、各試料を調製して行った。
評価は、専門のパネラー1名による官能評価で行い、(A)〜(C)成分をそれぞれ添加した試料における生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味について、強弱を評価して行った。
評価基準は、
−:好ましくない異風味あり
±:生のコーンを蒸したときの香味がない(コントロールと同等である)
+:生のコーンを蒸したときの香味が強い
++:生のコーンを蒸したときの香味がかなり強い
+++:生のコーンを蒸したときの香味が極めて強い
とした。
なお、上記評価基準について、上記(2)に記載したようにして調製したコーンスープに、後述するコーンパウダー1gを添加したものと同等の香味の強さを示したものを「+」、コーンパウダー2gを添加したものと同等の香味の強さを示したものを「++」、コーンパウダー3gを添加したものと同等の香味の強さを示したものを「+++」とした。
評価結果を表2に示した。また、得られた官能評点と、(A)〜(C)成分の全含有量を100重量部として換算した各成分の含有量比との関係を図1に示した。その際、「−」、「±」、「+」、「++」および「+++」の各官能評点が得られた各成分の含有量比を、それぞれ「■」、「□」、「△」、「○」および「●」で示した。
表2および図1に示される通り、マルトール((A)成分)、ジメチルスルフィド((B)成分)およびイソバレルアルデヒド((C)成分)の喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、イソバレルアルデヒド((C)成分)の喫食時の含有量比が60重量部を超える試料については、生のコーンを蒸した時の香味が感じられない(±)、または異風味が感じられる(−)と評価された。
一方、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60の範囲内の試料について、生のコーンを蒸したときの好ましい香味が感じられる(+、++または+++)と評価された。
また、表2中、塗りつぶして示すように、上記した0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60の範囲内であり、さらにマルトール((A)成分)の喫食時濃度が100,297ppbである試料について、生のコーンを蒸した時の香味が極めて強く感じられる(+++)と評価された。
また、生のコーンを蒸した時の香味を付与するには、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60で、さらに、マルトールの喫食時濃度が100ppm以上となるように、上記香味料を添加することが好ましいことが示唆された。
上記試験例1において調製したコーンスープ50mLに、上記試験例1で調製したマルトール((A)成分)、ジメチルスルフィド((B)成分)およびイソバレルアルデヒド((C)成分)の各溶液を、喫食時の(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量比が30:55:15(重量比)(配合1)、80:10:10(重量比)(配合2)、および4:6:90(重量比)(配合3)となり、かつ(A)〜(C)の3成分の喫食時の総濃度が表3に示す濃度となるようにそれぞれ添加して撹拌、混合して、各試料を調製した。
各試料における生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味について、専門のパネラー1名による官能評価により、強弱を評価した。
評価基準は、
−:好ましくない異風味あり
±:生のコーンを蒸したときの香味がない
+:生のコーンを蒸したときの香味が強い
++:生のコーンを蒸したときの香味がかなり強い
+++:生のコーンを蒸したときの香味が極めて強い
とした。
また、(A)〜(C)成分の喫食時の総濃度が1ppmである試料としては、試験例1において調製したコーンスープをそのまま用いた。その評価結果については、便宜上「配合1」の欄に記載した。また、喫食時の含有量比が配合3の重量比であって、(A)〜(C)成分の喫食時の総濃度が2ppmである場合については、評価を行わなかった。
評価結果を表3に示した。
一方、マルトール((A)成分)、ジメチルスルフィド((B)成分)およびイソバレルアルデヒド((C)成分)の喫食時の含有量比が、4:6:90(重量比)(配合3)である試料については、(A)〜(C)成分の喫食時の総濃度が10ppm〜150ppmのいずれの場合においても、生のコーンを蒸したときの好ましい香味は感じられなかった。
上記試験例1において調製したコーンスープ50mLに、上記試験例1で調製したマルトール((A)成分)、ジメチルスルフィド((B)成分)およびイソバレルアルデヒド((C)成分)の各溶液をそれぞれ添加し、よく撹拌して、前記各成分の喫食時の含有量比が表4に示す含有量比となるように、各試料を調製して行った。
評価は、専門のパネラー3名による官能評価で行い、(A)〜(C)成分をそれぞれ添加した試料における生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味について、強弱を評価した。
生のコーン(北海道産)の粒を包丁でそぎ落とし、フードプロセッサーですりつぶしてコーンペーストを調製し、次いで前記コーンペーストを鍋で撹拌しながら加熱し、ドラムドライヤーで乾燥したのち、フードプロセッサーで粉砕して、コーンパウダーを調製した。
生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味は、上記コーンパウダー7gを熱湯100mLで溶いて喫食したときに感じられる香味として定義した。
試験例1で調製したコーンスープをコントロールとし、コントロールに上記コーンパウダーを表5に示すように添加して、生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味の強さについての基準サンプルとし、パネラー間で前記香味の強さについての認識をそろえた。
各試料について得られた官能評点は、3名のパネラーの評価点の平均値にて、表4に併せて示した。
(A)、(B)および(C)成分の含有量比がそれぞれ2.2重量部、46.0重量部および51.8重量部である試料では、生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味が強く感じられ、(A)、(B)および(C)成分の含有量比がそれぞれ30.7重量部、65.6重量部および3.8重量部である試料では、生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味が極めて強く感じられた。
また、本発明により、好ましい香味、具体的には生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味を簡単に食品に付与することのできる香味料を提供することができる。
さらに、本発明により、好ましい香味、具体的には生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味を有する食品の製造方法を提供することができ、好ましい香味、具体的には生のコーンを蒸したときに感じられる好ましい香味を食品に付与する方法を提供することができる。
Claims (12)
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60である食品。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満である、請求項1に記載の食品。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の食品中の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60である食品。
- 加工食品、調味料または飲料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品。
- 飲料がスープである、請求項4に記載の食品。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品の製造方法。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の総濃度が1.1重量ppm以上150重量ppm未満となるように添加する、請求項6に記載の製造方法。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの食品中の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部、およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ、0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品の製造方法。
- 食品が加工食品、調味料または飲料である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 飲料がスープである、請求項9に記載の製造方法。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを含有し、前記各成分の喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるように食品に添加される、香味料。
- マルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドの喫食時の含有量比をそれぞれA重量部、B重量部およびC重量部とし、A+B+C=100となるように換算したときに、0<A<100、0<B<100、かつ0<C≦60となるようにマルトール、ジメチルスルフィドおよびイソバレルアルデヒドを添加する、食品に香味を付与する方法。
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