以下、本発明の一つの実施形態による非接触給電装置を、図を参照しつつ説明する。この非接触給電装置では、受電側の装置が、受電用の受信コイルとともに、その受信コイルと電磁結合可能なように設けられた共振抑制用のコイル(以下、単に共振抑制コイルと呼ぶ)を有する。そして受電側の装置からの出力電圧が所定の閾値以上となると、受電側の装置は、共振抑制コイルを短絡して受信コイルを含む共振回路の共振条件を変化させるとともに、送電側の装置へ出力電圧が所定の閾値以上となったことを通知する。送電側の装置は、その通知を受信すると、送電側の送信コイルに印加される交流電力の周波数及び電圧を制御して、受電側の装置から出力される電圧を所定の電圧に調整する。すなわち、非接触給電装置は、定電圧出力動作を維持するよう、送電側の送信コイルに印加される交流電力の周波数及び電圧を制御する。また受電側の装置は、送信コイルに印加される交流電力の周波数及び電圧が開始されるまで、共振抑制コイルの短絡状態を保つ。これにより、この非接触給電装置は、受電側の装置からの出力電圧が過度に上昇することを抑制しつつ、継続的な電力伝送を可能として、エネルギー損失を抑制する。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。図1に示されるように、非接触給電装置1は、送電装置2と、送電装置2から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置3とを有する。送電装置2は、電力供給回路10と、送信コイル14と、通信器15と、ゲートドライバ16−1、16−2と、制御回路17とを有する。一方、受電装置3は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を有する共振回路20と、コイル23と、整流平滑回路24と、負荷回路27と、電圧検出回路28と、スイッチング素子29と、判定回路30と、共振抑制コイル31と、スイッチ回路32と、通信器33とを有する。
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路10は、調節可能なスイッチング周波数、及び、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル14へ供給する。そのために、電力供給回路10は、電源11と、力率改善回路12と、4個のスイッチング素子13−1〜13−4とを有する。
電源11は、所定の脈流電圧を持つ電力を供給する。そのために、電源11は、商用の交流電源と接続され、その交流電源から供給された交流電力を整流するための全波整流回路を有する。
力率改善回路12は、電源11から出力された電力の電圧を、制御回路17からの制御に応じた電圧に変換して出力する。そのために、力率改善回路12は、例えば、電源11の正極側端子から順に直列に接続されるコイルL及びダイオードDと、コイルLとダイオードDの間にドレイン端子が接続され、電源11の負極側端子にソース端子が接続されたnチャネル型のMOSFETであるスイッチング素子SWと、ダイオードDを挟んでスイッチング素子SWと並列に接続される平滑コンデンサCを有する。またスイッチング素子SWのゲート端子は、ゲートドライバ16−1と接続される。さらに、力率改善回路12は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される二つの抵抗R1、R2を有する。この抵抗R1、R2は、ダイオードDと平滑コンデンサCとの間に、平滑コンデンサCと並列に接続される。そして抵抗R1と抵抗R2間の電圧が、ダイオードDから出力される電圧を表すものとして、制御回路17により測定される。
制御回路17により指示されたデューティ比にしたがって、かつ、ダイオードDから出力される電流波形の軌跡が、電源11から供給される電圧の軌跡と一致するように、ゲートドライバ16−1がスイッチング素子SWのオン/オフを制御することにより、力率改善回路12は、力率改善動作を実行する。そしてスイッチング素子SWがオンとなるデューティ比が高くなるほど、ダイオードDから出力される電圧は高くなる。
ダイオードDから出力される電圧は、平滑コンデンサCにより平滑化されて、4個のスイッチング素子13−1〜13−4を介して送信コイル14へ供給される。
なお、力率改善回路12は、上記の構成に限られず、制御回路17からの制御によって出力電圧を調整可能な他の構成を有していてもよい。
4個のスイッチング素子13−1〜13−4は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そして4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に、力率改善回路12を介して直列に接続される。また本実施形態では、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、スイッチング素子13−4を介して送信コイル14の他端に接続される。
同様に、4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−3とスイッチング素子13−4は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と並列に、かつ、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−3が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−4が接続される。そしてスイッチング素子13−3のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−3のソース端子は、スイッチング素子13−4のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−4のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−3のソース端子、及び、スイッチング素子13−4のドレイン端子は、送信コイル14の他端に接続される。
また、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、ゲートドライバ16−2を介して制御回路17と接続される。さらに、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、オンとなる電圧が印加されたときにそのスイッチング素子がオンとなることを保証するために、それぞれ、抵抗を介して自素子のソース端子と接続されてもよい。そして各スイッチング素子13−1〜13−4は、制御回路17からの制御信号にしたがって、調整可能なスイッチング周波数にてオン/オフが切り替えられる。本実施形態では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオンとなっている間、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオフとなり、逆に、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオンとなっている間、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオフとなるように、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4の組と、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3との組について交互にオン/オフが切り替えられる。これにより、電源11から力率改善回路12を介して供給された直流電力は、各スイッチング素子のスイッチング周波数を持つ交流電力に変換されて、送信コイル14に供給される。
そして送信コイル14は、電力供給回路10から供給された交流電力を、空間を介して受電装置3の共振回路20へ伝送する。
通信器15は、受電装置3の通信器33から無線信号を受信する度に、その無線信号から、受電装置3の整流平滑回路24からの出力電圧が過度に上昇したことを表す異常電圧発生情報、または、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かなどを表す判定情報を取り出して、制御回路17へ出力する。そのために、通信器15は、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を受信するアンテナと、その無線信号を復調する通信回路とを有する。なお、所定の無線通信規格は、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
ゲートドライバ16−1は、制御回路17から、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、スイッチング素子SWのゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ16−1は、スイッチング素子SWをオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオンとなる相対的に高い電圧を印加する。一方、ゲートドライバ16−1は、スイッチング素子SWをオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオフとなる、相対的に低い電圧を印加する。これにより、ゲートドライバ16−1は、制御回路17により指示されたタイミングで力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える。
ゲートドライバ16−2は、制御回路17から、各スイッチング素子13−1〜13−4のオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる相対的に高い電圧を印加する。これにより、電源11からの電流が、スイッチング素子13−1、送信コイル14及びスイッチング素子13−4を介して流れるようになる。一方、ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、電源11からの電流がスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4を流れなくなる、相対的に低い電圧を印加する。ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3についても同様に、ゲート端子に印加する電圧を制御する。したがって、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3がオンとなると、電源11からの電流が、スイッチング素子13−3、送信コイル14及びスイッチング素子13−2を介して流れるようになる。
制御回路17は、例えば、不揮発性のメモリ回路及び揮発性のメモリ回路と、演算回路と、他の回路と接続するためのインターフェース回路とを有する。そして制御回路17は、通信器15から異常電圧発生情報を受け取ると、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧の制御を開始する。その後、制御回路17は、通信器15から判定情報を受け取る度に、その判定情報に応じて、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
そのために、本実施形態では、制御回路17は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組とが交互にオンとなり、かつ、スイッチング周波数に対応する1周期内でスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組がオンとなっている期間とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組がオンとなっている期間とが等しくなるように、各スイッチング素子13−1〜13−4を制御する。なお、制御回路17は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組が同時にオンとなり、電源11が短絡されることを防止するために、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組のオン/オフを切り替える際に、両方のスイッチング素子の組がオフとなるデッドタイムを設けてもよい。
また、制御回路17は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数にて定電圧出力となる、送信コイル14への印加電圧に相当する、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を表す参照テーブルを参照して、スイッチング周波数に応じたデューティ比を選択する。そして制御回路17は、そのデューティ比と、力率改善回路12のダイオードDからの出力電圧の変化に応じて、スイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるタイミングを決定し、そのタイミングを表す制御信号をゲートドライバ16−1へ出力する。
さらに、通信器15が受電装置3からの無線信号を受信できない場合、受電装置3は、送電装置2から電力供給を受けることができる位置に存在しない、すなわち、送電装置2は待機状態にあると想定される。そこでこの場合、制御回路17は、スイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比を設定可能な最小値としてもよい。これにより、送電装置2が待機状態となっている間、送信コイル14に印加される電圧も設定可能な最小値となるので、エネルギーの損失が抑制される。
なお、制御回路17による、スイッチング周波数及び送信コイル14への印加電圧の制御の詳細については後述する。
次に、受電装置3について説明する。
共振回路20は、互いに並列に接続される受信コイル21と共振コンデンサ22とからなるLC共振回路である。そして共振回路20が有する受信コイル21の一端が共振コンデンサ22の一端に接続されるとともに、コイル23を介して整流平滑回路24の一方の入力端子に接続される。また、受信コイル21の他端が共振コンデンサ22の他端に接続されるとともに、整流平滑回路24の他方の入力端子に接続される。
受信コイル21は、送電装置2の送信コイル14に流れる交流電流と共振することで、送信コイル14から電力を受信する。そして受信コイル21は、共振コンデンサ22及びコイル23を介して、受信した電力を整流平滑回路24へ出力する。なお、受信コイル21の巻き数と、送電装置2の送信コイル14の巻き数は同一でもよく、あるいは、異なっていてもよい。
共振コンデンサ22は、その一端で受信コイル21の一端及びコイル23と接続され、他端で受信コイル21の他端及び整流平滑回路24と接続される。そして共振コンデンサ22は、受信コイル21にて受信した電力を、コイル23を介して整流平滑回路24へ出力する。
コイル23は、共振回路20と整流平滑回路24との間に接続される。本実施形態では、コイル23は、受信コイル21と直列となるように、その一端で共振回路20の受信コイル21及び共振コンデンサ22と接続され、他端で整流平滑回路24と接続される。そしてコイル23は、共振回路20からの電力を整流平滑回路24へ出力する。なお、このコイル23が設けられることにより、受電した電力の高調波成分が抑制される。
整流平滑回路24は、整流回路の一例であり、ブリッジ接続された4個のダイオードを有する全波整流回路25と平滑コンデンサ26とを有し、共振回路20により受信され、かつ、コイル23を介して受け取った電力を整流し、かつ、平滑化して、直流電力に変換する。そして整流平滑回路24は、その直流電力を、負荷回路27に出力する。
電圧検出回路28は、整流平滑回路24の両端子間の出力電圧を所定の周期ごとに測定する。整流平滑回路24の両端子間の出力電圧は、共振回路20の出力電圧と1対1に対応するので、整流平滑回路24の両端子間の出力電圧の測定値は、間接的に共振回路20の出力電圧の測定値となる。電圧検出回路28は、例えば、直流電圧を検出できる公知の様々な電圧検出回路の何れかとすることができる。そして電圧検出回路28は、その出力電圧の測定値を表す電圧検出信号を判定回路30へ出力する。
スイッチング素子29は、例えば、MOSFETであり、整流平滑回路24と負荷回路27との間に接続される。スイッチング素子29は、オフとなると整流平滑回路24から負荷回路27へ電流が流れないようにし、一方、オンとなると整流平滑回路24から負荷回路27へ電流が流れるようにする。
判定回路30は、電圧検出回路28から受け取った出力電圧の測定値が所定の上限閾値以上となっているか否か判定する。そしてその測定値が上限閾値以上となっている場合、共振抑制コイル31を短絡するよう、スイッチ回路32を制御するとともに、出力電圧の測定値が上限閾値以上となったこと、すなわち、出力電圧が過度に上昇したことを通信器33へ通知する。これにより、判定回路30は、出力電圧の測定値が上限閾値に達すると直ちに共振回路20の共振周波数を変更して送電装置2と受電装置3間で伝送される電力を低下させ、その結果として共振回路20からの出力電圧を低下させることができる。なお、上限閾値は、負荷回路27及び受電装置3が故障しない電圧の上限値またはその上限値から所定のオフセット値を減じた値とすることができる。
さらに、判定回路30は、送信コイル14に印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧が制御されている間、出力電圧の測定値が、定電圧出力動作が行われているときの電圧の許容範囲内に出力電圧の測定値が含まれているか否か判定する。そして判定回路30は、その判定結果を通信器33へ通知する。なお、電圧の許容範囲の上限は、上記の上限閾値以下に設定されることが好ましい。
そのために、判定回路30は、例えば、電圧の許容範囲を記憶するメモリ回路と、出力電圧の測定値を、上限閾値及び電圧の許容範囲のそれぞれと比較する演算回路と、スイッチング素子29及びスイッチ回路32のオン/オフを制御するための制御回路を有する。なお、判定回路30は、出力電圧の測定値を上限閾値と比較し、その結果に応じてスイッチ回路32のオン/オフを切り替えるための回路として、特許文献1に記載のコントロールコイルのオン/オフの制御に用いられる回路と同様の回路を有していてもよい。この場合、スイッチ回路32をオンにする電圧よりも、スイッチ回路32をオフにする電圧は低く設定されてもよい。
さらに、判定回路30は、出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲から外れている間、所定の周期でスイッチング素子29のオン/オフを切り替える。これにより、その所定の周期で、整流平滑回路24と接続される、負荷回路27を含む回路全体の抵抗値が変化する。したがって、判定回路30は、スイッチング素子29のオン/オフを切り替えながら、出力電圧の測定値が略一定となるか否かを判定することで、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かを判定できる。そこで、判定回路30は、所定の周期でスイッチング素子29のオン/オフを切り替えても出力電圧の測定値が略一定となっている間、非接触給電装置1が定電圧出力動作していることを通信器33へ通知する。
また、判定回路30は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、非接触給電装置1が定電圧出力動作している場合、スイッチング素子29のオン/オフの切り替えを停止して、オンとなる状態を維持する。そして判定回路30は、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否か判定し、その判定結果を通信器33へ通知する。
その際、判定回路30は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、電圧の許容範囲に含まれる場合、非接触給電装置1が定電圧出力動作しており、かつ、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲内であることを表す判定結果を通信器33へ通知する。
なお、変形例によれば、判定回路30は、整流平滑回路24に対して、負荷回路27と並列に接続される抵抗を有していてもよい。この場合、スイッチング素子29は、その抵抗と直列、かつ、負荷回路27と並列となるように設けられてもよい。この場合には、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路30は、スイッチング素子29をオフにする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、上記の実施形態と同様に、判定回路30は、所定の周期でスイッチング素子29のオン/オフを切り替えればよい。この変形例によれば、非接触給電装置1が定電圧出力動作していない場合にも、負荷回路27への電力供給が継続される。
さらに他の変形例によれば、上記の抵抗と並列、かつ、負荷回路27と直列に、MOSFETといった第2のスイッチング素子が設けられてもよい。この場合、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路30は、第2のスイッチング素子をオンにして、負荷回路27への電力供給を可能とする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、判定回路30は、第2のスイッチング素子をオフにして、負荷回路27への電力供給を停止してもよい。これにより、送電装置2においてスイッチング周波数が調整されている間に、受電した電力の電圧が過度に高くなっても、その過度に高い電圧が負荷回路27に印加されることが防止される。
共振抑制コイル31は、共振回路20の受信コイル21と電磁結合可能に設けられる。例えば、共振抑制コイル31と受信コイル21とは、同一の芯線に対して巻き付けられる。また共振抑制コイル31の両端は、それぞれ、スイッチ回路32と接続される。そして共振抑制コイル31がスイッチ回路32により短絡されると、共振抑制コイル31は受信コイル21と電磁結合し、共振回路20の共振周波数が変化する。そのため、共振回路20からの出力電圧が過度に上昇しても、共振抑制コイル31が短絡されることで、送電装置2から受電装置3へ伝送される電力が低下するので、共振回路20からの出力電圧も低下する。なお、受信コイル21の巻き数と共振抑制コイル31の巻き数は等しくてもよく、あるいは、異なっていてもよい。
一方、スイッチ回路32が共振抑制コイル31の両端を開放すると、共振抑制コイル31は、送信コイル14と受信コイル21間の共振に関与しなくなり、送電装置2から受電装置3への電力伝送に影響しなくなる。
スイッチ回路32は、共振抑制コイル31の両端と接続され、判定回路30からの制御信号に応じて共振抑制コイル31を短絡するか、開放するかを切り替える。すなわち、スイッチ回路32は、判定回路30からオンとなる制御信号を受信している間、共振抑制コイル31を短絡する。一方、スイッチ回路32は、判定回路30からオフとなる制御信号を受信している間、共振抑制コイル31の両端を開放する。
図2(a)〜図2(d)は、それぞれ、スイッチ回路32の一例を示す図である。図2(a)に示される例では、スイッチ回路32はリレーを有する。判定回路30がリレーをオンにすると共振抑制コイル31が短絡される。一方、判定回路30がリレーをオフにすると共振抑制コイル31の両端が開放される。
図2(b)に示される例では、スイッチ回路32は、共振抑制コイル31の両端間に直列に接続される、二つのnチャネル型のMOSFETを有する。そして二つのMOSFETは、互いのソース端子同士が接続され、ドレイン端子が共振抑制コイル31の両端のそれぞれと接続されるように配置される。また二つのMOSFETのゲート端子は判定回路30と接続される。そして判定回路30から、オンとなる制御信号に相当する、相対的に高い電圧が二つのMOSFETのゲート端子に印加されると、各MOSFETのソース−ドレイン間を電流が流れることが可能となるので、共振抑制コイル31は短絡される。一方、判定回路30から、オフとなる制御信号に相当する、相対的に低い電圧が二つのMOSFETのゲート端子に印加されると、各MOSFETのソース−ドレイン間を電流が流れなくなり、かつ、二つのMOSFETのボディダイオードも互いに逆向きとなっているため、それぞれのボディダイオードを通じても電流は流れない。そのため、共振抑制コイル31の両端は開放される。
図2(c)に示される例でも、図2(b)に示される例と同様に、スイッチ回路32は、共振抑制コイル31の両端間に直列に接続される、二つのnチャネル型のMOSFETを有する。ただし、図2(c)に示される例では、二つのMOSFETは、互いのドレイン端子同士が接続され、ソース端子が共振抑制コイル31の両端のそれぞれと接続されるように配置される。この例でも、判定回路30から、オンとなる制御信号に相当する、相対的に高い電圧が二つのMOSFETのゲート端子に印加されると、共振抑制コイル31は短絡される。一方、判定回路30から、オフとなる制御信号に相当する、相対的に低い電圧が二つのMOSFETのゲート端子に印加されると、共振抑制コイル31の両端は開放される。
図2(d)に示される例では、スイッチ回路32は、共振抑制コイル31の両端間に直列に接続される、nチャネル型のMOSFETとダイオードとを有する。MOSFETのドレイン端子は共振抑制コイル31の一端と接続され、ソース端子は、ダイオードのアノード端子と接続される。そしてMOSFETのゲート端子は判定回路30と接続される。またダイオードのカソード端子は共振抑制コイル31の他端と接続される。この例でも、判定回路30から、オンとなる制御信号に相当する電圧がMOSFETのゲート端子に印加されると、共振抑制コイル31は短絡される。一方、判定回路30から、オフとなる制御信号に相当する電圧がMOSFETのゲート端子に印加されると、共振抑制コイル31の両端は開放される。なお、この例では、MOSFETがオンとなっても、ダイオードからMOSFET側へ流れる電流は遮断されるので、共振抑制コイル31を流れる交流電流の周期のうちの1/2の期間では、共振抑制コイル31は、共振回路20の共振に影響しない。しかしこの場合でも、送電装置2から受電装置3へ伝送される電力は低下するので、共振回路20からの出力電圧は低下する。
通信器33は、判定回路30から、出力電圧の測定値が上限閾値以上となったことを通知されると、その通知内容を表す異常電圧発生情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を送電装置2の通信器15へ向けて送信する。また通信器33は、出力電圧の測定値が上限閾値以上となってから、定電圧出力動作が再開されるまで、所定の送信周期ごとに、判定回路30から受け取った判定結果に応じて、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否か、及び、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否かを表す判定情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を送電装置2の通信器15へ向けて送信する。そのために、通信器33は、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を生成する通信回路と、その無線信号を出力するアンテナとを有する。なお、所定の無線通信規格は、通信器15と同様に、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
以下、非接触給電装置1の動作の詳細について説明する。
本実施形態では、送電装置2の制御回路17は、通信器15から異常電圧発生情報を受け取ると、非接触給電装置1が定電圧出力動作することが可能となるように、送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧の調整を開始する。そして制御回路17は、通信器15から受け取った判定情報に基づいて、非接触給電装置1が定電圧出力動作を再開するまで、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を調整する。
ここで、本実施形態による非接触給電装置は、送電側における共振を利用しない。このことから、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性は、受電側の共振回路のコイルに対して直列に接続されるリアクトルを設ける、いわゆるSPL方式の非接触給電装置において、送信コイルと直列接続されるコンデンサの静電容量を大きくして、送電側の共振回路の共振周波数を低下させたときの出力電圧の周波数特性と類似したものとなる。
図3は、共振抑制コイル31が開放されたときの非接触給電装置1の等価回路図である。この等価回路100において、送電側の送信コイル14と受電側の共振回路20の受信コイル21とが結合して、n:1の理想トランスを形成するものとする。Lr及びLmは、送電側の送信コイル14の漏れインダクタンス及び励磁インダクタンスである。なお、送電側の送信コイル14のインダクタンスLpは、(Lm+Lr)と等しく、送信コイル14と受信コイル21間の結合度をkとすると、Lr=(1-k)Lp、Lm=kLpである。また、Riは、送電側の巻線抵抗値であり、Risは、受電側の巻線抵抗値である。Cpは、受電側の共振回路20における、受信コイル21と並列接続される共振コンデンサ22の静電容量である。Lopは、受信コイル21と直列接続されるコイル23のインダクタンスである。そしてRacは、負荷回路27の交流等価抵抗値であり、Rac=(8/π2)×Roで表される。
図4は、本実施形態による非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図4において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。なお、このシミュレーションでは、Lp=174μH、Cp=20nF、Lop=3Lp、Ri=Ris=0.3Ω、n=1、Vin=200V、Ro=200Ω(Rac≒162.1Ω)とした。グラフ401は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ402は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ403は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ404は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ405は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ406は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図4に示されるように、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路27の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、結合度ごとに(図のポイント411〜413の3通り)存在する。したがって、送信コイル14が共振しないスイッチング周波数を持つ交流電力を送信コイル14に印加しても、負荷回路27の抵抗値の変化に対して非接触給電装置1を定電圧出力動作させることができることが分かる。さらに、ポイント411〜413で示される通り、負荷回路27の抵抗値の変動に関して定電圧出力となるときの出力電圧は、結合度に応じて互いに異なっているものの、この出力電圧の差は、送信コイル14に印加する電圧を調節することで、結合度によらず、略一定の出力電圧とすることができる。
図5は、図4に示されたシミュレーションにおいて、結合度に応じて送信コイル14に印加する電圧を変化させたときの、出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。グラフ501は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ502は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ503は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ504は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ505は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ506は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図4に示されたポイント411〜413に対応する、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路27の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、ポイント511〜513の3通りとなる。そしてポイント511〜513のそれぞれの出力電圧は、互いに略等しい。
以上により、負荷回路27の抵抗値及び結合度の何れが変動しても、送信コイル14に印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を適切に調節することで、出力電圧が略一定に保たれることが分かる。
そこで、制御回路17は、定電圧出力動作を達成するために、下記のように送信コイル14に印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
通信器15から異常電圧発生情報を受け取ると、制御回路17は、送信コイル14に印加される交流電力の電圧を下限の電圧まで低下させる。これにより、受電装置3側では、共振抑制コイル31が開放されても、共振回路20からの出力電圧が低下し、上限閾値以下となる。その後、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、非接触給電装置1が定電圧出力動作していないことが示されている場合、制御回路17は、交流電力のスイッチング周波数を所定の周波数領域内で変化させる。所定の周波数領域は、例えば、送電装置2から受電装置3への給電が行われる場合における、送信コイル14と受信コイル21間の想定される結合度の最小値において定電圧出力となる周波数を下限とし、送信コイル14と受信コイル21間の想定される結合度の最大値において定電圧出力となる周波数を上限とする周波数領域とすることができる。
制御回路17は、スイッチング周波数を変化させる際、所定の周波数領域の下限から上限まで順にスイッチング周波数を高くしてもよく、あるいは、逆に、所定の周波数領域の上限から下限まで順にスイッチング周波数を低くしてもよい。その際、制御回路17は、受電装置3の判定回路30が、出力電圧が略一定となったか否かを調べることができるように、判定回路30がスイッチング素子29のオンとオフを切り替える周期よりも長い期間、同じスイッチング周波数を保つように、ステップ状にスイッチング周波数を変化させることが好ましい。
制御回路17は、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲には含まれないものの、負荷回路の抵抗が変化しても略一定となること、すなわち、定電圧出力動作が行われていることが示されていると、それ以降、スイッチング周波数を一定に保つ。そして次に、制御回路17は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数において結合度によらず一定の電圧出力となる、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を示す参照テーブルを参照して、そのデューティ比を決定する。そして制御回路17は、そのデューティ比に従って力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるよう、ゲートドライバ16−1を制御する。これにより、共振回路20からの出力電圧が電圧の許容範囲に含まれるように、すなわち、結合度によらずに一定の電圧が出力されるように、送信コイル14に印加される電圧が調整される。そして制御回路17は、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されると、送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を一定に保つ。
なお、制御回路17は、上記の参照テーブルを参照してデューティ比を決定する代わりに、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されるようになるまで、徐々にデューティ比を変化させてもよい。
また、エネルギー伝送効率を向上するためには、送電装置2の電力供給回路10及び送信コイル14が継続してソフトスイッチング(誘導性)動作することが好ましい。電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作するためには、送信コイル14を流れる電流の位相が印加される電圧の位相よりも遅れることが好ましい。これにより、例えば、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる際に、スイッチング素子13−1のソース端子からドレイン端子へ向かって電流が流れることになるので、電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作することとなり、スイッチングロスの発生が抑制される。
以上に説明してきたように、この非接触給電装置は、受電装置の共振回路からの出力電圧が上限閾値上になると、共振回路の受信コイルと電磁結合可能な共振抑制コイルを短絡することで共振回路の共振周波数を変化させて伝送される電力を低下させるとともに、送電装置に出力電圧が上限閾値上になったことを通知して、送電装置にて送信コイルに印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を、定電圧出力動作となるよう変化させる。そのため、この非接触給電装置は、共振回路からの出力電圧が過度に上昇して受電装置または負荷回路が故障することを防止しつつ、継続的な電力伝送を可能として、エネルギー損失を抑制できる。
変形例によれば、送電装置2において、送信コイル14に交流電力を供給する電力供給回路は、スイッチング周波数及び送信コイル14に印加する電圧を可変に調節できる回路であれば、上記の実施形態とは異なる回路構成を持っていてもよい。
図6は、変形例による、電力供給回路の回路図である。
図6に示される電力供給回路110は、電源11と、力率改善回路12と、二つのスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と、送信コイル14と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサ131とを有する。なお、この変形例においても、各スイッチング素子は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。また、力率改善回路12は、例えば、上記の実施形態における力率改善回路12と同一とすることができる。
この変形例では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、電源11の正極側端子と力率改善回路12を介して接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、電源11の負極側端子と力率改善回路12を介して接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、コンデンサ131を介して送信コイル14の他端に接続される。また、各スイッチング素子のゲート端子は、ゲートドライバ16−2と接続される。
この変形例では、ゲートドライバ16−2が、制御回路から制御信号に従って、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを交互に切り替えればよい。すなわち、スイッチング素子13−1がオンとなり、スイッチング素子13−2がオフとなる場合には、電源11から力率改善回路12及びスイッチング素子13−1を介して送信コイル14へ電流が流れ、コンデンサ131が充電される。一方、スイッチング素子13−1がオフとなり、スイッチング素子13−2がオンとなる場合には、コンデンサ131が放電して、コンデンサ131から送信コイル14及びスイッチング素子13−2を介して電流が流れる。したがって、この変形例では、制御回路が、受電装置3から受信した判定情報に応じて、ゲートドライバ16−2を介して、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを切り替えるスイッチング周波数を制御すればよい。
また、上記の実施形態において、電力供給回路110と同様に、送信コイル14と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサが設けられてもよい。ただしこの場合も、スイッチング周波数が調整される周波数範囲において送信コイル14とコンデンサとが共振回路として動作しないよう、送信コイル14とコンデンサの共振周波数は、受電装置3の共振回路20の共振周波数及びスイッチング周波数が調整される周波数範囲の下限周波数よりも小さくなるように、コンデンサの静電容量が設定されることが好ましい。これにより、電力伝送において送信側の共振が利用されないので、送信コイル14と受信コイル21間の結合度が低い場合でも、電力伝送効率の低下が抑制される。また、共振抑制コイル31が短絡されて、共振回路20の共振が抑制されている場合でも、送信側の共振が利用されないので、入力インピーダンスがある程度大きな値となり、送信コイル14に流れる電流が小さくなる。その結果としてエネルギーの損失が抑制される。
さらに、上記の実施形態または変形例において、受信コイル21とコイル23との間に、直流遮断用のコンデンサが設けられてもよい。
図7は、さらに他の変形例による受電装置4の構成図である。この変形例による受電装置4は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を有する共振回路20と、コイル23と、整流平滑回路24と、負荷回路27と、電圧検出回路28と、スイッチング素子29と、判定回路30と、共振抑制コイル31と、スイッチ回路32と、通信器33と、出力コイル34と、コンデンサ35とを有する。この変形例による受電装置4は、上記の実施形態における受電装置3と比較して、出力コイル34及びコンデンサ35を有する点と、共振回路20と整流平滑回路24との接続関係が異なる。そこで以下では、これらの相違点及び関連する事項について説明する。
この変形例では、共振回路20は、整流平滑回路24とは独立に設けられる。その代わり、共振回路20の受信コイル21と電磁結合可能なように出力コイル34が設けられる。出力コイル34とコイル23との間に、出力コイル34と直列に直流遮断用のコンデンサ35が接続される。そして出力コイル34は、コンデンサ35及びコイル23を介して整流平滑回路24と接続される。なお、受信コイル21の巻き数と出力コイル34の巻き数は等しくてもよく、あるいは、異なっていてもよい。
この変形例でも、送電装置2から受電装置3へ電力伝送される際、送信コイル14を流れる電流と共振回路20とが共振する。しかし、この変形例では、伝送された電力は、共振回路20を介して、受信コイル21と電磁結合された出力コイル34から取り出される。
この変形例においても、上記の実施形態と同様に、判定回路30は、電圧検出回路28により測定された出力電圧の測定値が上限閾値以上となると、共振抑制コイル31を短絡するようにスイッチ回路32を制御するとともに、通信器33を介して送電装置2へ異常電圧発生情報を通知すればよい。これにより、この変形例による受電装置4も、共振回路からの出力電圧が過度に上昇して受電装置または負荷回路が故障することを防止しつつ、継続的な電力伝送を可能として、エネルギー損失を抑制できる。なお、この変形例においても、異常電圧発生情報が通知されると、送電装置の制御回路は、上記の実施形態と同様に、送信コイルに印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御して、非接触給電装置が定電圧出力動作を再開できるようにすればよい。
図8は、さらに他の変形例による受電装置5の構成図である。この変形例による受電装置5は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を有する共振回路20と、コイル23と、整流平滑回路24と、負荷回路27と、電圧検出回路28と、スイッチング素子29と、判定回路30と、共振抑制コイル31と、スイッチ回路32と、通信器33とを有する。この変形例による受電装置5は、上記の実施形態における受電装置3と比較して、共振回路20が整流平滑回路24と接続される代わりに、共振抑制コイル31が整流平滑回路24と接続される点で異なる。そこで以下では、これらの相違点及び関連する事項について説明する。
この変形例でも、共振回路20は、整流平滑回路24とは独立に設けられる。その代わり、共振回路20の受信コイル21と電磁結合可能なように設けられた共振抑制コイル31が、コイル23を介して整流平滑回路24と接続される。そしてスイッチ回路32の一端は、共振抑制コイル31の一端とコイル23との間に接続され、スイッチ回路32の他端は、共振抑制コイル31の他端と接続される。なお、受信コイル21の巻き数と共振抑制コイル31の巻き数は等しくてもよく、あるいは、異なっていてもよい。
この変形例でも、送電装置2から受電装置3へ電力伝送される際、送信コイル14と共振回路20とが共振する。しかし、この変形例では、伝送された電力は、共振回路20を介して、受信コイル21と電磁結合された共振抑制コイル31から取り出される。
この変形例においても、上記の実施形態と同様に、判定回路30は、電圧検出回路28により測定された出力電圧の測定値が上限閾値以上となると、共振抑制コイル31を短絡するようにスイッチ回路32を制御するとともに、通信器33を介して送電装置2へ異常電圧発生情報を通知すればよい。これにより、この変形例による受電装置5も、共振回路からの出力電圧が過度に上昇して受電装置または負荷回路が故障することを防止しつつ、継続的な電力伝送を可能として、エネルギー損失を抑制できる。なお、この変形例においても、異常電圧発生情報が通知されると、送電装置の制御回路は、上記の実施形態と同様に、送信コイルに印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御して、非接触給電装置が定電圧出力動作を再開できるようにすればよい。
なお、受電装置5において、共振抑制コイル31の一端とスイッチ回路32の一端との間に、直流遮断用のコンデンサが設けられてもよい。あるいは、共振抑制コイル31の一端と接続されるスイッチ回路32の一端とコイル23との間に、直流遮断用のコンデンサが設けられてもよい。この場合も、判定回路30は、共振抑制コイル31を短絡するようスイッチ回路32を制御することで、共振回路20の共振周波数を変化させることができるので、出力電圧の測定値が上限閾値以上となったときに即座に伝送される電力を低下させて、受電装置または負荷回路が故障することを防止できる。
さらに他の変形例によれば、判定回路30は、タイマ回路を有していてもよい。この場合、判定回路30は、共振抑制コイル31が短絡されてからの経過時間をタイマ回路により計時し、送電装置2の制御回路17が送信コイル14に印加する交流電力の電圧を低下させるのに要する所定期間を経過した時点で共振抑制コイル31の両端を開放するよう、スイッチ回路32を制御するとともに、スイッチング素子29のオン/オフ制御を開始してもよい。あるいは、送電装置2の通信器15と受電装置3の通信器33とが双方向に通信可能に構成されてもよい。この場合には、送電装置2の制御回路17が、送信コイル14に印加する交流電力の電圧を低下させると、制御回路17は、通信器15を介してその旨を受電装置3の通信器33へ通知してもよい。そして受電装置3の判定回路30は、通信器33を介して送信コイル14に印加する交流電力の電圧を低下させたことが通知されると、共振抑制コイル31の両端を開放するよう、スイッチ回路32を制御するとともに、スイッチング素子29のオン/オフ制御を開始してもよい。
この変形例でも、非接触給電装置は、共振回路からの出力電圧が過度に上昇して受電装置または負荷回路が故障することを防止しつつ、継続的な電力伝送を可能として、エネルギー損失を抑制できる。
さらに他の変形例によれば、共振回路20と整流平滑回路24の間に接続されるコイル23及びスイッチング素子29は省略されてもよい。この場合には、送電装置2の制御回路17は、通信器15を介して異常電圧発生情報を受け取ると、送信コイル14に印加する交流電力の電圧を、共振回路20からの出力電圧が上限閾値未満となるまで低下させればよい。またこの場合には、送電装置2の電力供給回路は、送信コイル14に印加する交流電力の電圧を調整可能な様々な回路の何れかとすることができる。
また、送電装置2の通信器15と受電装置3の通信器33とを有線にて接続することが可能な場合には、通信器15及び通信器33は、それぞれ、判定情報などを含む信号を有線にて通信可能な通信回路を有していればよい。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。