以下、本発明の一つの実施形態による非接触給電装置を、図を参照しつつ説明する。
最初に、本発明による非接触給電装置の理解を容易にするために、SPL方式による非接触給電装置による、定電圧出力動作について説明する。
図1は、SPL方式による非接触給電装置の等価回路図である。この等価回路100において、送電側の共振回路の送信コイルと受電側の共振回路の受信コイルとが結合して、n:1の理想トランスを形成するものとする。Cr1は、送電側の共振回路における、送信コイルと直列接続されるコンデンサの静電容量である。Lr及びLmは、送電側の共振回路の漏れインダクタンス及び励磁インダクタンスである。なお、送電側の共振回路の送信コイルのインダクタンスLpは、(Lm+Lr)と等しく、送信コイルと受信コイル間の結合度をkとすると、Lr=(1-k)Lp、Lm=kLpである。また、Riは、送電側の巻線抵抗値であり、Risは、受電側の巻線抵抗値である。Cpは、受電側の共振回路における、受信コイルと並列接続されるコンデンサの静電容量である。Lopは、受信コイルと直列接続されるコイルのインダクタンスである。そしてRacは、負荷回路Roの交流等価抵抗値であり、Rac=(8/π2)×Roで表される。
等価回路100より、SPL方式の非接触給電装置のF行列Fspl(s, k, Rac)は、次式で表される。
ここでs=j2πfである。ただしfは、送電側の共振回路に供給される交流電力の周波数である。またkは送信コイルと受信コイル間の結合度である。
F行列の定義から、SPL方式の非接触給電装置の出力利得Gspl(s,k,Rac)は、次式で表される。
ここでVinは、送電側の共振回路に供給される交流電力の電圧(振幅)であり、Fspl(s,k,Rac)
0,0は、(1)式で表されたF行列における左上の要素を表す。
図2は、(2)式に従って算出される、SPL方式の非接触給電装置の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図2において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。グラフ201は、結合度k=0.15、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ202は、結合度k=0.15、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ203は、結合度k=0.3、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ204は、結合度k=0.3、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ205は、結合度k=0.6、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ206は、結合度k=0.6、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。なお、このシミュレーションでは、Lp=174μH、Cr1=Cp=20nF、Lop=3Lp、Ri=Ris=0.3Ω、n=1、Vin=200V、Ro=200Ω(Rac≒162.1Ω)とした。
図2においてポイント211〜216で示されるように、結合度kが一定となる条件下で負荷回路の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、結合度kが一定の場合に定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは6通りある。このうち、低周波数側のポイント211〜213は、送電側の共振回路の共振周波数に近く、送電側の共振回路の共振に影響される。一方、高周波数側のポイント214〜216は、送電側の共振回路の共振周波数よりもある程度高く、送電側の共振回路の共振による影響は少ない。一般に、SPL方式では、送電側の共振回路も共振させるので、非接触給電装置を定電圧出力動作させるためには、ポイント211〜213に示されるような周波数を持つ交流電力を送電側の共振回路に供給することとなる。
図3は、SPL方式による非接触給電装置の入力インピーダンスZinspl(s,k,Rac)の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図3において、横軸は周波数を表し、縦軸は入力インピーダンスを表す。そしてグラフ301〜304は、それぞれ、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとし、結合度kを0.001、0.15、0.3、0.6としたときの、入力インピーダンスZinspl(s,k,Rac)の周波数特性を表す。なお、グラフ301〜304に示される入力インピーダンスZinspl(s,k,Rac)の周波数特性は、次式で表される、入力インピーダンスZinspl(s,k,Rac)の算出式に、図2に示したシミュレーションで用いた各パラメータの値を入力することで算出した。
ここで、Fspl(s,k,Rac)
1,0は、(1)式で表されたF行列における左下の要素を表す。
図3に示されるように、送電側の共振回路の共振周波数に近い周波数領域では、結合度が低くなるほど、定電圧出力となる周波数において、入力インピーダンスが低くなる。例えば、ポイント211で示される、結合度k=0.15のときに定電圧出力動作可能な周波数f1では、結合度k=0.15での入力インピーダンスは10Ωよりも小さい値となる。これは、送電側の共振回路の共振により、その共振回路に流れる電流が増加して送信コイルに蓄えられるエネルギーが増加するためである。そのため、SPL方式では、結合度が低い場合に送電側の共振回路に交流電力を供給するとエネルギーの損失が増大してしまう。また、ポイント211〜213から分かるように、結合度が上昇しても、必ずしも出力利得は向上しない。
一方、送電側の共振回路の共振周波数よりも高く、送電側の共振回路が共振せず、かつ、結合度が変化しても定電圧出力動作可能な周波数領域(例えば、図2におけるポイント214に相当する周波数f3からポイント216に相当する周波数f4の範囲)では、入力インピーダンスもある程度大きくなるため、エネルギーの損失は抑制される。しかし、この周波数領域は、送電側の共振回路が共振し、かつ、定電圧出力動作可能な周波数領域(周波数f2〜f1)よりも広くなってしまう。
これは、受電側の共振回路の共振周波数が結合度に依存して変動してしまうためと考えられる。
そこで、本発明の実施形態による非接触給電装置は、送信コイルが共振しない周波数を持つ交流電力を送信コイルに供給する送電装置から、並列共振する共振回路と、共振回路が有する受信コイルと直列に接続されたコイルを有する受電装置へ給電する。そして送電装置に、送信コイルと直列に接続される、電力伝送時にも受信コイルと結合しないコイルを設け、送信コイルと受信コイル間の結合度に応じた周波数領域において定電圧出力動作が行われるか否かにより、そのコイルの両端を短絡するか否かを切り替える。これにより、この非接触給電装置は、定電圧出力動作を実行する際の送信コイルに供給される交流電力の周波数の調整範囲を狭くするとともに、送信コイルを流れる電流が増大することによるジュール損失を抑制する。
さらに、この非接触給電装置は、受電側の共振回路の出力電圧を測定し、その測定値が定電圧出力動作時の電圧の許容範囲に収まるように、送信コイルに供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御することで、送信コイルと受信コイル間の結合度、あるいは負荷回路の抵抗値が変化しても、定電圧出力動作を維持する。
なお、本明細書において、定電圧出力動作とは、非接触給電装置に接続される負荷回路の仕様などに応じて定められる電圧の許容範囲(例えば、所定の電圧基準値の±10%以内)内で出力電圧が維持されるように、非接触給電装置が動作することをいう。
図4は、本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。図4に示されるように、非接触給電装置1は、送電装置2と、送電装置2から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置3とを有する。送電装置2は、電力供給回路10と、送信コイル14と、コイル15と、リレー16と、受信器17と、ゲートドライバ18−1、18−2と、制御回路19とを有する。一方、受電装置3は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を有する共振回路20と、コイル23と、整流平滑回路24と、負荷回路27と、電圧検出回路28と、定電圧判定回路29と、送信器32とを有する。
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路10は、調節可能なスイッチング周波数、及び、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル14へ供給する。そのために、電力供給回路10は、電源11と、力率改善回路12と、4個のスイッチング素子13−1〜13−4とを有する。
電源11は、所定の脈流電圧を持つ電力を供給する。そのために、電源11は、商用の交流電源と接続され、その交流電源から供給された交流電力を整流するための全波整流回路を有する。
力率改善回路12は、電源11から出力された電力の電圧を、制御回路19からの制御に応じた電圧に変換して出力する。そのために、力率改善回路12は、例えば、電源11の正極側端子から順に直列に接続されるコイルL及びダイオードDと、コイルLとダイオードDの間にドレイン端子が接続され、電源11の負極側端子にソース端子が接続されたnチャネル型のMOSFETであるスイッチング素子SWと、ダイオードDを挟んでスイッチング素子SWと並列に接続される平滑コンデンサCを有する。またスイッチング素子SWのゲート端子は、ゲートドライバ18−1と接続される。さらに、力率改善回路12は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される二つの抵抗R1、R2を有する。この抵抗R1、R2は、ダイオードDと平滑コンデンサCとの間に、平滑コンデンサCと並列に接続される。そして抵抗R1と抵抗R2間の電圧が、ダイオードDから出力される電圧を表すものとして、制御回路19により測定される。
制御回路19により指示されたデューティ比にしたがって、かつ、ダイオードDから出力される電流波形の軌跡が、電源11から供給される電圧の軌跡と一致するように、ゲートドライバ18−1がスイッチング素子SWのオン/オフを制御することにより、力率改善回路12は、力率改善動作を実行する。そしてスイッチング素子SWがオンとなるデューティ比が高くなるほど、ダイオードDから出力される電圧は高くなる。
ダイオードDから出力される電圧は、平滑コンデンサCにより平滑化されて、4個のスイッチング素子13−1〜13−4を介して送信コイル14へ供給される。
なお、力率改善回路12は、上記の構成に限られず、制御回路19からの制御によって出力電圧を調整可能な他の構成を有していてもよい。
4個のスイッチング素子13−1〜13−4は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そして4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に、力率改善回路12を介して直列に接続される。また本実施形態では、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、スイッチング素子13−4及びコイル15を介して送信コイル14の他端に接続される。
同様に、4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−3とスイッチング素子13−4は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と並列に、かつ、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−3が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−4が接続される。そしてスイッチング素子13−3のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−3のソース端子は、スイッチング素子13−4のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−4のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−3のソース端子、及び、スイッチング素子13−4のドレイン端子は、コイル15を介して送信コイル14の他端に接続される。
また、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、ゲートドライバ18−2を介して制御回路19と接続される。さらに、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、オンとなる電圧が印加されたときにそのスイッチング素子がオンとなることを保証するために、それぞれ、抵抗を介して自素子のソース端子と接続されてもよい。そして各スイッチング素子13−1〜13−4は、制御回路19からの制御信号にしたがって、調整可能なスイッチング周波数にてオン/オフが切り替えられる。本実施形態では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオンとなっている間、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオフとなり、逆に、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオンとなっている間、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオフとなるように、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4の組と、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3との組について交互にオン/オフが切り替えられる。これにより、電源11から力率改善回路12を介して供給された直流電力は、各スイッチング素子のスイッチング周波数を持つ交流電力に変換されて、送信コイル14に供給される。
そして送信コイル14は、電力供給回路10から供給された交流電力を、空間を介して受電装置3の共振回路20へ伝送する。
コイル15は、送信コイル14と電力供給回路10との間に接続される。本実施形態では、コイル15の一端は、送信コイル14と接続され、コイル15の他端は、電力供給回路10のスイッチング素子13−3のソース端子、及び、スイッチング素子13−4のドレイン端子と接続される。
コイル15は、送電装置2から受電装置3への電力伝送が行われている間も、受信コイル21と結合しないように設けられる。これにより、送信コイル14と受信コイル21間の結合度が変動しても定電圧出力動作を継続するための、送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数の調整範囲が狭められる。さらに、コイル15は、リレー16がオンとなることでその両端が短絡される。コイル15の両端が短絡されたときと、短絡されていないとき(すなわち、開放されたとき)とで、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性が異なるため、コイル15の両端を短絡するか開放するかを切り替えることで、スイッチング周波数の調整範囲がより狭められる。
リレー16は、短絡回路の一例であり、その一端がコイル15の一端と接続され、その他端がコイル15の他端と接続されるように、すなわち、コイル15と並列に設けられる。そしてリレー16は、制御回路19により、オン/オフが切り替えられる。制御回路19がリレー16をオンにすることで、コイル15の両端が短絡され、その結果として、コイル15を介さずに、送信コイル14を電流が流れるようになる。一方、制御回路19がリレー16をオフにすることで、コイル15の両端が短絡されなくなり(すなわち、コイル15の両端が開放され)、送信コイル14を流れる電流は、コイル15も流れるようになる。
受信器17は、受電装置3の送信器32から無線信号を受信する度に、その無線信号から、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かなどを表す判定情報を取り出して、制御回路19へ出力する。そのために、受信器17は、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を受信するアンテナと、その無線信号を復調する通信回路とを有する。なお、所定の無線通信規格は、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
ゲートドライバ18−1は、制御回路19から、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、スイッチング素子SWのゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ18−1は、スイッチング素子SWをオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオンとなる相対的に高い電圧を印加する。一方、ゲートドライバ18−1は、スイッチング素子SWをオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオフとなる、相対的に低い電圧を印加する。これにより、ゲートドライバ18−1は、制御回路19により指示されたタイミングで力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える。
ゲートドライバ18−2は、制御回路19から、各スイッチング素子13−1〜13−4のオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ18−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる相対的に高い電圧を印加する。これにより、電源11からの電流が、スイッチング素子13−1、送信コイル14及びスイッチング素子13−4を介して流れるようになる。一方、ゲートドライバ18−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、電源11からの電流がスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4を流れなくなる、相対的に低い電圧を印加する。ゲートドライバ18−2は、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3についても同様に、ゲート端子に印加する電圧を制御する。したがって、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3がオンとなると、電源11からの電流が、スイッチング素子13−3、送信コイル14及びスイッチング素子13−2を介して流れるようになる。
制御回路19は、例えば、不揮発性のメモリ回路及び揮発性のメモリ回路と、演算回路と、他の回路と接続するためのインターフェース回路とを有する。そして制御回路19は、受信器17から判定情報を受け取る度に、その判定情報に応じて、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
そのために、本実施形態では、制御回路19は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組とが交互にオンとなり、かつ、スイッチング周波数に対応する1周期内でスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組がオンとなっている期間とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組がオンとなっている期間とが等しくなるように、各スイッチング素子13−1〜13−4を制御する。なお、制御回路19は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組が同時にオンとなり、電源11が短絡されることを防止するために、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組のオン/オフを切り替える際に、両方のスイッチング素子の組がオフとなるデッドタイムを設けてもよい。
また、制御回路19は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数にて定電圧出力となる、送信コイル14への印加電圧に相当する、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を表す参照テーブルを参照して、スイッチング周波数に応じたデューティ比を選択する。そして制御回路19は、そのデューティ比と、力率改善回路12のダイオードDからの出力電圧の変化に応じて、スイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるタイミングを決定し、そのタイミングを表す制御信号をゲートドライバ18−1へ出力する。
さらに、受信器17が受電装置3からの無線信号を受信できない場合、受電装置3は、送電装置2から電力供給を受けることができる位置に存在しない、すなわち、送電装置2は待機状態にあると想定される。そこでこの場合、制御回路19は、スイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比を設定可能な最小値としてもよい。あるいは、制御回路19は、比較的短い一定期間(例えば、数秒程度)、スイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比を予め設定された値として電力供給回路10を動作させ、その後、比較的長い期間(例えば、数分程度)、各スイッチング素子をオフに保って電力供給回路10から送信コイル14への電力供給を停止するといった制御を繰り返す、いわゆるバーストモードで電力供給回路10を制御してもよい。これにより、送電装置2が待機状態となっている間、送信コイル14に印加される電圧も設定可能な最小値となるので、エネルギーの損失が抑制される。
さらに、制御回路19は、非接触給電装置1が定電圧出力動作するスイッチング周波数を探索する際に、リレー16のオン/オフの切り替えを制御することで、スイッチング周波数の調整範囲を狭くする。
なお、制御回路19による、リレー16のオン/オフ制御、及び、スイッチング周波数及び送信コイル14への印加電圧の制御の詳細については後述する。
次に、受電装置3について説明する。
共振回路20は、直列に接続される受信コイル21と、共振コンデンサ22とが並列に接続されるLC共振回路である。そして共振回路20が有する受信コイル21の一端が、共振コンデンサ22の一端に接続されるとともに、コイル23を介して整流平滑回路24の一方の入力端子に接続される。また、受信コイル21の他端が共振コンデンサ22の他端に接続されるとともに、整流平滑回路24の他方の入力端子に接続される。
受信コイル21は、送電装置2の送信コイル14に流れる交流電流と共振することで、送信コイル14から電力を受信する。そして受信コイル21は、共振コンデンサ22及びコイル23を介して、受信した電力を整流平滑回路24へ出力する。なお、受信コイル21の巻き数と、送電装置2の送信コイル14の巻き数は同一でもよく、あるいは、異なっていてもよい。
共振コンデンサ22は、その一端で受信コイル21の一端と接続されるとともに、コイル23と接続され、他端で受信コイル21の他端及び整流平滑回路24と接続される。そして共振コンデンサ22は、受信コイル21にて受信した電力を、コイル23を介して整流平滑回路24へ出力する。
コイル23は、共振回路20と整流平滑回路24との間に接続される。本実施形態では、コイル23は、受信コイル21と直列となるように、その一端で受信コイル21及び共振コンデンサ22と接続され、他端で整流平滑回路24と接続される。そしてコイル23は、共振回路20からの電力を整流平滑回路24へ出力する。なお、このコイル23が設けられることにより、SPL方式と同様に、受電した電力の高調波成分が抑制される。
整流平滑回路24は、整流回路の一例であり、ブリッジ接続された4個のダイオードを有する全波整流回路25と平滑コンデンサ26とを有し、共振回路20により受信され、かつ、コイル23を介して受け取った電力を整流し、かつ、平滑化して、直流電力に変換する。そして整流平滑回路24は、その直流電力を、負荷回路27に出力する。
電圧検出回路28は、整流平滑回路24の両端子間の出力電圧を測定する。整流平滑回路24の両端子間の出力電圧は、共振回路20の出力電圧と1対1に対応するので、整流平滑回路24の両端子間の出力電圧の測定値は、間接的に共振回路20の出力電圧の測定値となる。電圧検出回路28は、例えば、直流電圧を検出できる公知の様々な電圧検出回路の何れかとすることができる。そして電圧検出回路28は、その出力電圧の測定値を表す電圧検出信号を定電圧判定回路29へ出力する。
定電圧判定回路29は、電圧検出回路28から受け取った出力電圧の測定値に基づいて、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否か、及び、出力電圧の測定値が定電圧出力動作が行われているときの電圧の許容範囲内に含まれているか否か判定する。そして定電圧判定回路29は、その判定結果を送信器32へ通知する。そのために、定電圧判定回路29は、例えば、電圧の許容範囲を記憶するメモリ回路と、出力電圧の測定値と電圧の許容範囲とを比較する演算回路とを有する判定回路30を有する。
さらに、定電圧判定回路29は、整流平滑回路24と負荷回路27との間に接続される、MOSFETといったスイッチング素子31を有する。このスイッチング素子31は、オフとなると整流平滑回路24から負荷回路27へ電流が流れないようにし(すなわち、Rac=∞)、一方、オンとなると整流平滑回路24から負荷回路27へ電流が流れるようにする。そして定電圧判定回路29の判定回路30は、出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲から外れている間、所定の周期でスイッチング素子31のオン/オフを切り替える。これにより、その所定の周期で、整流平滑回路24と接続される、負荷回路27を含む回路全体の抵抗値が変化する。したがって、判定回路30は、スイッチング素子31のオン/オフを切り替えながら、出力電圧の測定値が略一定となるか否かを判定することで、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かを判定できる。そこで、判定回路30は、所定の周期でスイッチング素子31のオン/オフを切り替えても出力電圧の測定値が略一定となっている間、非接触給電装置1が定電圧出力動作していることを送信器32へ通知する。
また、判定回路30は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、非接触給電装置1が定電圧出力動作している場合、スイッチング素子31のオン/オフの切り替えを停止して、オンとなる状態を維持する。そして判定回路30は、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否か判定し、その判定結果を送信器32へ通知する。
その際、判定回路30は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、電圧の許容範囲に含まれる場合、非接触給電装置1が定電圧出力動作しており、かつ、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲内であることを表す判定結果を送信器32へ通知する。
なお、変形例によれば、定電圧判定回路29は、整流平滑回路24に対して、負荷回路27と並列に接続される抵抗を有していてもよい。この場合、スイッチング素子31は、その抵抗と直列、かつ、負荷回路27と並列となるように設けられてもよい。この場合には、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路30は、スイッチング素子31をオフにする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、上記の実施形態と同様に、判定回路30は、所定の周期でスイッチング素子31のオン/オフを切り替えればよい。この変形例によれば、非接触給電装置1が定電圧出力動作していない場合にも、負荷回路27への電力供給が継続される。
さらに他の変形例によれば、上記の抵抗と並列、かつ、負荷回路27と直列に、MOSFETといった第2のスイッチング素子が設けられてもよい。この場合、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路30は、第2のスイッチング素子をオンにして、負荷回路27への電力供給を可能とする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、判定回路30は、第2のスイッチング素子をオフにして、負荷回路27への電力供給を停止してもよい。これにより、送電装置2においてスイッチング周波数が調整されている間に、受電した電力の電圧が過度に高くなっても、その過度に高い電圧が負荷回路27に印加されることが防止される。
送信器32は、所定の送信周期ごとに、定電圧判定回路29の判定回路30から受け取った判定結果に応じて、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否か、及び、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否かを表す判定情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を送電装置2の受信器17へ向けて送信する。そのために、送信器32は、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を生成する通信回路と、その無線信号を出力するアンテナとを有する。なお、所定の無線通信規格は、受信器17と同様に、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
以下、非接触給電装置1の動作の詳細について説明する。
本実施形態では、送電装置2の制御回路19は、受信器17から受け取った判定情報に基づいて、非接触給電装置1が定電圧出力動作を継続するように、リレーのオン/オフの切り替え、及び、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
ここで、非接触給電装置1は、SPL方式による非接触給電装置と比較して、送電側において共振回路の共振を利用しない点、及び、送信コイル14と直列に接続されるコイル15を有する点で相違する。このことから、コイル15の両端が短絡される場合における、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性は、図1の等価回路において、送電側の共振回路の共振が給電に影響しないように、送電側の共振回路における、送信コイルと直列接続されるコンデンサの静電容量Cr1を大きくして、送電側の共振回路の共振周波数を低下させたときのSPL方式の非接触給電装置の出力電圧の周波数特性と類似したものとなる。
図5は、コイル15の両端が短絡される場合における、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。なお、このシミュレーションでは、図2に示されたシミュレーションに用いられた各回路素子のパラメータの値と同じ値を使用した。グラフ501は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ502は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ503は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ504は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ505は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ506は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図5では、送信コイル14が共振しないため、図5に示される周波数の範囲では、図2と比較して、低周波数側で出力電圧の極値がなくなっている。しかし、この場合でも、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路27の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、結合度ごとに(図のポイント511〜513の3通り)存在する。したがって、送信コイル14が共振しないスイッチング周波数を持つ交流電力を送信コイル14に印加しても、負荷回路27の抵抗値の変化に対して非接触給電装置1を定電圧出力動作させることができることが分かる。さらに、ポイント511〜513で示される通り、負荷回路27の抵抗値の変動に関して定電圧出力となるときの出力電圧は、結合度に応じて互いに異なっているものの、この出力電圧の差は、送信コイル14に印加する電圧を調節することで、結合度によらず、略一定の出力電圧とすることができる。
図6は、図5に示されたシミュレーションにおいて、結合度に応じて送信コイル14に印加する電圧を変化させたときの、出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図6において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。グラフ601は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ602は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ603は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ604は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ605は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ606は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図5に示されたポイント511〜513に対応する、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路27の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、ポイント611〜613の3通りとなる。そしてポイント611〜613のそれぞれの出力電圧は、互いに略等しい。
以上により、負荷回路27の抵抗値及び結合度の何れが変動しても、送信コイル14に印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を適切に調節することで、出力電圧が略一定に保たれることが分かる。
ただし、図6に示されるように、結合度が高くなるにつれて、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数も高くなる。また、結合度k=0.6のときの出力電圧を、結合度k=0.15の時の出力電圧と略等しくするためには、結合度k=0.15のときの入力電圧に対して、結合度k=0.6のときの入力電圧は0.19倍となる。このように入力された電圧が低下した状態で電力伝送が行われると、力率が良好でも送信コイル14を流れる電流が増大するため、ジュール損失が増大する可能性がある。
図7は、コイル15の両端を開放し、かつ、結合度に応じて送信コイル14に印加する電圧を変化させたときの、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。なお、このシミュレーションでは、コイル15のインダクタンス以外については、図2に示されたシミュレーションに用いられた各回路素子のパラメータの値と同じ値を使用した。また、コイル15のインダクタンスを250μHとした。図7において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。グラフ701は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイル14に印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ702は、結合度k=0.15、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)、送信コイル14に印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ703は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイル14に印加される電圧を(0.48*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ704は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)、送信コイル14に印加される電圧を(0.48*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ705は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値をRac、送信コイル14に印加される電圧を(0.22*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ706は、結合度k=0.6、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)、送信コイル14に印加される電圧を(0.22*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
この場合、負荷回路27の抵抗変化による出力電圧の変動は大きくなるものの、ポイント711〜ポイント713で示されるように、結合度ごとに、出力電圧の変動が抑制される周波数がある。また、この場合も、送信コイル14に供給される交流電力の電圧を調節することで、結合度によらず、出力電圧が略一定となることが分かる。さらに、コイル15の両端が短絡される場合と比較して、同じ結合度において、定電圧出力となる周波数が低くなる。さらにまた、送電側において、電力伝送に寄与しないインダクタンス成分が増えるため、コイル15の両端が短絡される場合と比較して、同じ結合度における利得が低くなる。
したがって、相対的に結合度が低い場合は、コイル15の両端が短絡された状態で非接触給電装置1が定電圧出力動作となるスイッチング周波数を探索し、ある程度以上結合度が高くなると、コイル15の両端が開放された状態で非接触給電装置1が定電圧出力動作となるスイッチング周波数を探索することで、スイッチング周波数の調整範囲を狭くできることが分かる。
図8は、コイル15の両端を短絡するか否かを切り替えつつ、結合度に応じて送信コイル14に印加する電圧を変化させたときの、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図8において、横軸は、周波数を表し、左側の縦軸は、出力電圧を表す。また、右側の縦軸は、位相を表す。グラフ801は、コイル15の両端が短絡されており、結合度k=0.15、送信コイル14に印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ802は、コイル15の両端が短絡されており、結合度k=0.35、送信コイル14に印加される電圧を(0.4*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ803は、コイル15の両端が開放されており、結合度k=0.36、送信コイル14に印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ804は、コイル15の両端が開放されており、結合度k=0.6、送信コイル14に印加される電圧を(0.56*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ805は、コイル15の両端が短絡されており、結合度k=0.15としたときの、送信コイル14に印加される電圧に対する電流の位相の遅れの周波数特性を表す。そしてグラフ806は、コイル15の両端が開放されており、結合度k=0.6としたときの、送信コイル14に印加される電圧に対する電流の位相の遅れの周波数特性を表す。なお、このシミュレーションでは、送信コイル14のインダクタンスLp=174μH、共振コンデンサ22の静電容量Cp=20nF、コイル23のインダクタンスLop=2200μH、コイル15のインダクタンスL1=250μH、巻線抵抗Ri=Ris=0.1Ω、n=1、送信コイル14の印加電圧Vin=260V、負荷回路27の抵抗Ro=220Ωとした。
さらに、周波数f1は、コイル15の両端が短絡されており、かつ、結合度k=0.15において、負荷回路27の抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる周波数、すなわち、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数である。同様に、周波数f2は、コイル15の両端が短絡されており、かつ、結合度k=0.35において、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数である。また、周波数f3は、コイル15の両端が開放されており、かつ、結合度k=0.36において、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数である。そして周波数f4は、コイル15の両端が開放されており、かつ、結合度k=0.6において、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数である。
グラフ801〜804に示されるように、結合度が変動しても、送信コイル14に印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を適切に調節することで、出力電圧が略一定に保たれることが分かる。
さらに、周波数f1〜f2の範囲と、周波数f3〜f4の範囲が部分的に重なっているため、図6及び図7に示される、コイル15の両端を短絡するか否かを切り替えない場合と比較して、非接触給電装置1が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整範囲も狭くなることが分かる。
なお、コイル15の両端が開放された状態でのスイッチング周波数の調整範囲(すなわち、第2の周波数領域)の下限は、例えば、送信コイル14に供給される交流電力の電圧が、想定される結合度の最小値となる場合において送信コイル14に供給される交流電力の電圧と略等しくなる周波数とすることができる。また、コイル15の両端が短絡された状態でのスイッチング周波数の調整範囲(すなわち、第1の周波数領域)の上限は、コイル15の両端が開放された状態でのスイッチング周波数の調整範囲の下限に対応する結合度と略等しい結合度のときの、コイル15の両端が短絡された状態で定電圧出力動作となるスイッチング周波数とすればよい。
また、エネルギー伝送効率を向上するためには、送電装置2の電力供給回路10及び送信コイル14が継続してソフトスイッチング(誘導性)動作することが好ましい。電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作するためには、送信コイル14を流れる電流の位相が印加される電圧の位相よりも遅れることが好ましい。これにより、例えば、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる際に、スイッチング素子13−1のソース端子からドレイン端子へ向かって電流が流れることになるので、電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作することとなり、スイッチングロスの発生が抑制される。
本実施形態では、グラフ805及びグラフ806に示されるように、結合度によらず、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数では、位相の遅れが正の値となっている。したがって、本実施形態による非接触給電装置1は、電力供給回路10及び送信コイル14をソフトスイッチング動作させることができることが分かる。
以上により、制御回路19は、定電圧出力動作を達成するために、下記のように、リレー16のオン/オフの切り替え、及び、送信コイル14に印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
制御回路19は、受電装置3から受信器17を介して受信した無線信号に含まれる判定情報において、非接触給電装置1が定電圧出力動作していないことが示されている場合、リレー16をオンにして(すなわち、コイル15の両端を短絡して)、所定の周波数領域の下限(例えば、図8における周波数f1)から、コイル15の両端が短絡された状態で、定電圧出力となる周波数の上限(例えば、周波数f2)まで順にスイッチング周波数を高くする。そしてスイッチング周波数が、コイル15の両端が短絡された状態で定電圧出力となる周波数の上限に達しても、定電圧出力とならない場合、制御回路19は、リレー16をオフにして、コイル15の両端を開放する。そして制御回路19は、コイル15の両端が開放された状態で定電圧出力となる周波数の下限(例えば、図8における周波数f3)から、コイル15の両端が開放された状態で、定電圧出力となる周波数の上限(例えば、図8における周波数f4)まで順に、スイッチング周波数を高くする。
あるいは、制御回路19は、スイッチング周波数を変化させる際、最初にリレー16をオフにして、コイル15の両端が開放された状態で定電圧出力となる周波数の上限から定電圧出力となる周波数の下限まで順にスイッチング周波数を低下させてもよい。そしてスイッチング周波数が、コイル15の両端が開放された状態で定電圧出力となる周波数の下限に達しても、定電圧出力とならない場合、制御回路19は、リレー16をオンにして、コイル15の両端を短絡して、定電圧出力となる周波数の上限から下限まで順にスイッチング周波数を低下させてもよい。
なお、制御回路19は、受電装置3の定電圧判定回路29が出力電圧が略一定となったか否かを調べることができるように、定電圧判定回路29の判定回路30がスイッチング素子31のオンとオフを切り替える周期よりも長い期間、同じスイッチング周波数を保つように、ステップ状にスイッチング周波数を変化させることが好ましい。
さらに、制御回路19は、スイッチング周波数を調整している間、送信コイル14に印加する電圧を下限の電圧にまで低下させることが好ましい。これにより、受電装置3に供給される電力の電圧が過度に高くなることが抑制される。
制御回路19は、受電装置3から受信器17を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲には含まれないものの、負荷回路27の抵抗が変化しても略一定となること、すなわち、定電圧出力動作が行われていることが示されていると、それ以降、スイッチング周波数を一定に保つ。そして次に、制御回路19は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数において結合度によらず一定の電圧出力となる、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を示す参照テーブルを参照して、そのデューティ比を決定する。そして制御回路19は、そのデューティ比に従って力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるよう、ゲートドライバ18−1を制御する。これにより、共振回路20からの出力電圧が電圧の許容範囲に含まれるように、すなわち、結合度によらずに一定の電圧が出力されるように、送信コイル14に印加される電圧が調整される。そして制御回路19は、受電装置3から受信器17を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されると、送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を一定に保つ。
なお、制御回路19は、上記の参照テーブルを参照してデューティ比を決定する代わりに、受電装置3から受信器17を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されるようになるまで、徐々にデューティ比を変化させてもよい。
図9は、制御回路19により実行される、リレー16のオン/オフの切り替え及び送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧の制御についての動作フローチャートである。
受電装置3から受信した判定情報が、定電圧出力動作が行われていないことを示していると、制御回路19は、送信コイル14に供給される交流電力の電圧を所定値まで下げるよう、電力供給回路10を制御する(ステップS101)。そして制御回路19は、リレー16をオンにして、コイル15の両端を短絡する(ステップS102)。
制御回路19は、コイル15の両端が短絡された状態のスイッチング周波数の調整範囲の下限から上限まで順に、スイッチング周波数を高くするよう、電力供給回路10を制御する(ステップS103)。そして制御回路19は、受電装置3から受信した判定情報を参照して、何れかのスイッチング周波数で定電圧出力動作が行われていることが示されているか否か判定する(ステップS104)。
何れかのスイッチング周波数で定電圧出力動作が行われていることが示されている場合(ステップS104−Yes)、制御回路19は、受電装置3の共振回路20の出力電圧が所定の電圧の許容範囲内となるまで、送信コイル14に供給される交流電力の電圧を上昇させるよう、電力供給回路10を制御する(ステップS105)。
一方、何れのスイッチング周波数でも定電圧出力動作が行われていることが示されていない場合(ステップS104−No)、制御回路19は、リレー16をオフにして、コイル15の両端を開放する(ステップS106)。そして制御回路19は、コイル15の両端が開放された状態のスイッチング周波数の調整範囲の下限から上限まで順に、スイッチング周波数を高くするよう、電力供給回路10を制御する(ステップS107)。そして制御回路19は、受電装置3から受信した判定情報を参照して、何れかのスイッチング周波数で定電圧出力動作が行われていることが示されているか否か判定する(ステップS108)。
何れかのスイッチング周波数で定電圧出力動作が行われていることが示されている場合(ステップS108−Yes)、制御回路19は、受電装置3の共振回路20の出力電圧が所定の電圧の許容範囲内となるまで、送信コイル14に供給される交流電力の電圧を上昇させるよう、電力供給回路10を制御する(ステップS105)。
一方、何れのスイッチング周波数でも定電圧出力動作が行われていることが示されていない場合(ステップS104−No)、制御回路19は、制御が無限ループに陥っているか否か判定する(ステップS109)。例えば、定電圧出力動作が達成されないまま、リレー16のオン/オフ(ステップS102、S105)が所定回数(例えば、3〜5回)以上繰り返されている場合、制御回路19は、制御が無限ループに陥っていると判定する。
制御が無限ループに陥っていない場合(ステップS109−No)、制御回路19は、ステップS102以降の処理を繰り返す。一方、制御が無限ループに陥っている場合(ステップS109−Yes)、非接触給電装置1は、スイッチング周波数の調整範囲、すなわち、想定される結合度の範囲において、定電圧出力動作することができない。そこで制御回路19は、電力供給回路10から送信コイル14への電力供給を停止して、送電装置2から受電装置3への電力伝送を停止する(ステップS110)。なお、想定される結合度の範囲において、非接触給電装置1が定電圧出力動作することができない原因として、送信コイル14と受信コイル21の近傍に、金属製の異物が存在することが考えられる。そこでステップS110にて、制御回路19は、図示しないインターフェースを介して、他の機器へ、金属製の異物を検出したことを表す異常信号を出力してもよい。
ステップS105またはS110の後、制御回路19は、リレー16のオン/オフの切り替え及び送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧の制御を終了する。
以上に説明してきたように、この非接触給電装置は、送電装置の送信コイルと直列に接続される、電力伝送時にも受信コイルと結合しないコイルを設け、そのコイルの両端を短絡または開放することで、結合度が一定とならない環境下において定電圧出力動作する場合における、送信コイルに供給される交流電力のスイッチング周波数の調整範囲を狭めることができる。またこの非接触給電装置は、送電装置の送信コイルに、送信コイルが共振しないスイッチング周波数を持つ交流電力を供給することで、結合度が低下する場合でも、入力インピーダンスがある程度の大きさを持つようにして、送信コイルに流れる電流の増加を抑制する。そのため、この非接触給電装置は、送信コイルと受信コイル間の結合度が低い場合でも、エネルギーの損失を抑制できる。また、この非接触給電装置は、受電装置の共振回路の出力電圧をモニタし、その出力電圧に応じて、送信コイルに印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。これにより、この非接触給電装置は、送信コイルと受信コイル間の結合度が変化したり、負荷回路の抵抗値が変化する場合でも、定電圧出力動作することができる。
変形例によれば、送信コイル14と直列に接続されるコイル15の両端の開放または短絡を制御するために、スイッチング素子が利用されてもよい。
図10は、この変形例による、送電装置2の回路図である。この変形例でも、上記の実施形態と同様に、電力供給回路10に対して、送信コイル14と、電力伝送時に受信コイル21と結合しないコイル15とが直列に接続される。なお、電力供給回路10の構成は、上記の実施形態における電力供給回路10の構成と同一とすることができる。そして直列に接続される二つのスイッチング素子161、162が、コイル15と並列に接続される。なお、スイッチング素子161、162は、短絡回路の他の一例である。スイッチング素子161、162は、例えば、それぞれ、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そしてスイッチング素子161のソース端子とスイッチング素子162のソース端子とが互いに接続され、スイッチング素子161のドレイン端子がコイル15の一端と接続され、スイッチング素子162のドレイン端子がコイル15の他端と接続される。これにより、スイッチング素子161、162の両方がオフとなることで、各スイッチング素子の寄生ダイオードを介して電流が流れることが防止されるので、コイル15の両端が開放される。また、スイッチング素子161のゲート端子及びスイッチング素子162のゲート端子は、それぞれ、ゲートドライバ(図示せず)と接続される。
制御回路19は、ゲートドライバを介して、スイッチング素子161、162を同時にオンとすることで、コイル15の両端を短絡できる。一方、制御回路19は、ゲートドライバを介して、スイッチング素子161、162を同時にオフとすることで、コイル15の両端を開放できる。
また、発明者は、受電装置の負荷回路の抵抗値が予め設定された値となる場合には、上記の実施形態による非接触給電装置が定電圧出力動作する周波数において、この非接触給電装置の入力インピーダンスが極小値となるという知見を得た。
図11は、SPL方式の非接触給電装置の出力電圧の周波数特性と入力インピーダンスの周波数特性との関係の一例を示す図である。図11の上側のグラフにおいて、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。また、図11の下側のグラフにおいて、横軸は、周波数を表し、縦軸は、入力インピーダンスを表す。なお、このシミュレーションでは、図2に示されたシミュレーションに用いられた各回路素子のパラメータの値と同じ値を使用した。上側のグラフにおいて、グラフ1101(図2のグラフ203と同一)は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ1102(図2のグラフ204と同一)は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性を表す。また、下側のグラフにおいて、グラフ1111は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値をRacとしたときの非接触給電装置1の入力インピーダンスの周波数特性を表す。さらに、グラフ1112は、結合度k=0.3、負荷回路27の交流等価抵抗値を(100*Rac)としたときの非接触給電装置1の入力インピーダンスの周波数特性を表す。
図11に示されるように、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数f0では、負荷回路27の交流等価抵抗値がRacのときの入力インピーダンスは極小値となる。すなわち、周波数f0にて、送信コイル14に流れる電流は極大値を持つ。
そこで変形例によれば、送電装置の制御回路は、送信コイルを流れる電流の周波数特性に応じて、非接触給電装置が定電圧出力動作するか否かを判定してもよい。
図12は、この変形例による、非接触給電装置の概略構成図である。図12に示されるように、非接触給電装置41は、送電装置42と、送電装置42から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置43とを有する。送電装置42は、電力供給回路50と、送信コイル54と、コンデンサ55と、コイル56と、電流検出回路57と、受信器58と、リレー59と、ゲートドライバ60と、制御回路61とを有する。一方、受電装置43は、受信コイル71及び共振コンデンサ72を有する共振回路70と、コイル73と、全波整流回路75と平滑コンデンサ76を有する整流平滑回路74と、負荷回路77と、電圧検出回路78と、定電圧判定回路79と、固定負荷回路82と、送信器83とを有する。
非接触給電装置41は、図4に示された非接触給電装置1と比較して、送電装置42については、電力供給回路50の構成と、コンデンサ55及び電流検出回路57を有する点と、制御回路61による制御の一部が相違する。また、受電装置43については、固定負荷回路82を有する点で相違する。そこで以下では、上記の相違点及び関連する部分について説明する。
電力供給回路50は、調節可能なスイッチング周波数、及び、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル54へ供給する。そのために、電力供給回路50は、電圧可変電源51と、DC/DCコンバータ52と、3個のスイッチング素子53−1〜53−3とを有する。
電圧可変電源51は、直流電力を供給し、その直流電力の電圧を制御回路61からの制御によって調整可能な電源である。なお、電圧可変電源51は、供給する電圧を調整可能な様々な回路構成の何れを有していてもよい。非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、電圧可変電源51から供給される直流電力は、スイッチング素子53−1及び53−2を介して交流電力に変換されて送信コイル54へ供給される。一方、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、電圧可変電源51から供給される直流電力は、DC/DCコンバータ52及びスイッチング素子53−3を介して送信コイル54へ供給される。
DC/DCコンバータ52の入力端子は、電圧可変電源51の正極側端子と接続され、DC/DCコンバータ52の出力端子は、ダイオードD及びスイッチング素子53−3を介してコンデンサ55の一端と接続される。そしてDC/DCコンバータ52は、電圧可変電源51から供給された直流電力の電圧を所定の電圧(例えば、5V)に低下させる。
非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、DC/DCコンバータ52から出力された電圧は、ダイオードD、スイッチング素子53−3及びコンデンサ55を介して送信コイル54へ供給される。
スイッチング素子53−1〜53−3は、それぞれ、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。スイッチング素子53−1とスイッチング素子53−2は、電圧可変電源51の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電圧可変電源51の正極側に、スイッチング素子53−1が接続され、一方、電圧可変電源51の負極側に、スイッチング素子53−2が接続される。そしてスイッチング素子53−1のドレイン端子は、電圧可変電源51の正極側端子と接続され、スイッチング素子53−1のソース端子は、スイッチング素子53−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子53−1のソース端子、及び、スイッチング素子53−2のドレイン端子は、コンデンサ55を介して送信コイル54の一端と接続される。さらに、スイッチング素子53−2のソース端子は、電圧可変電源51の負極側端子、及び、電流検出回路57及びコイル56を介して送信コイル54の他端と接続される。
また、スイッチング素子53−3のドレイン端子は、DC/DCコンバータ52の出力端子と接続され、スイッチング素子53−3のソース端子は、コンデンサ55を介して送信コイル54の一端と接続される。そして各スイッチング素子のゲート端子は、ゲートドライバ60と接続される。
非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、ゲートドライバ60は、制御回路61からの制御信号に従って、スイッチング素子53−3をオフに保つ。またゲートドライバ60は、制御回路61からの制御信号に従って、スイッチング素子53−1とスイッチング素子53−2のオン/オフを、定電圧出力動作となるスイッチング周波数にて交互に切り替える。すなわち、スイッチング素子53−1がオンとなり、スイッチング素子53−2がオフとなる場合には、電圧可変電源51からスイッチング素子53−1を介してコンデンサ55へ電力が供給されてコンデンサ55が充電されるのに伴って、送信コイル54へ電流が流れる。一方、スイッチング素子53−1がオフとなり、スイッチング素子53−2がオンとなる場合には、コンデンサ55が放電して、コンデンサ55から送信コイル54へ電流が流れる。
また、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、ゲートドライバ60は、制御回路61からの制御信号に従って、スイッチング素子53−1をオフに保ち、その代わりに、制御回路61からの制御信号に従って、スイッチング素子53−3とスイッチング素子53−2のオン/オフを、スイッチング周波数にて交互に切り替える。
コンデンサ55は、送信コイル54と電力供給回路50の間に接続される。そしてコンデンサ55は、各スイッチング素子のスイッチング周波数でのオン/オフの切り替えに応じて充電と放電とを繰り返すことで、送信コイル54に、スイッチング周波数を持つ交流電力を供給する。なお、スイッチング周波数が調整される周波数範囲において送信コイル54とコンデンサ55とが共振回路として動作しないよう、送信コイル54とコンデンサ55の共振周波数は、受電装置43の共振回路70の共振周波数及びスイッチング周波数が調整される周波数範囲の下限周波数よりも小さくなるように、コンデンサ55の静電容量が設定されることが好ましい。
電流検出回路57は、送信コイル54と電力供給回路50との間に接続され、送信コイル54を流れる電流を測定する。そして電流検出回路57は、電流の測定値を制御回路61へ出力する。なお、電流検出回路57は、電流検出回路57に対して直列に接続される分流用のコンデンサ(図示せず)とともに、送信コイル54に対して、コンデンサ55と並列に接続されてもよい。この場合、電流検出回路57は、間接的に送信コイル54に流れる電流を測定できる。
また、受電装置43の定電圧判定回路79は、上記の実施形態による判定回路30及びスイッチング素子31と同様の判定回路70及びスイッチング素子81を有する。
定電圧判定回路79の判定回路80は、電圧検出回路78による、共振回路70からの出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲内に保たれている間、すなわち、非接触給電装置40が定電圧出力動作を行っている間、スイッチング素子81をオンにして、共振回路70からの出力電圧が整流平滑回路74を介して負荷回路77へ供給されるようにする。一方、出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲から外れている間、判定回路80は、スイッチング素子81をオフにして、共振回路70からの出力電圧が負荷回路77へ供給されないようにする。
固定負荷回路82は、整流平滑回路74に対して、負荷回路77と並列に接続され、スイッチング周波数の調整が行われている間、負荷回路77の基準となる負荷(例えば、図9に示されるシミュレーションによるRac)と略等しい負荷を受電装置43に提供する。そのために、固定負荷回路82は、整流平滑回路74に対して負荷回路77と並列に接続され、かつ、負荷回路77の基準となる負荷に応じた抵抗値を持つ抵抗R1を有する。そして抵抗R1は、nチャネル型のMOSFETといったスイッチング素子SW1と直列に接続される。さらに、固定負荷回路82は、整流平滑回路74の両出力端子間に、正極側から順に直列に接続される抵抗R2とnpn型のバイポーラトランジスタといったスイッチング素子SW2とを有する。また抵抗R2とスイッチング素子SW2とは、抵抗R1と並列に接続される。そしてスイッチング素子SW1のゲート端子は、抵抗R2とスイッチング素子SW2の一端(この例では、コレクタ端子)との間に接続される。さらに、スイッチング素子SW2のベース端子は、抵抗R3及び逆バイアスされたツェナーダイオードZDを介して整流平滑回路74の正極側端子と接続される。
非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、共振回路70の出力電圧は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧よりも高く、その結果としてスイッチング素子SW2のベース端子には、ツェナーダイオードZD及び抵抗R3を介して電流が供給され、スイッチング素子SW2はオンとなる。その結果、スイッチング素子SW1のゲート端子に印加される電圧は低下して、スイッチング素子SW1はオフとなる。そのため、抵抗R1には共振回路70からの出力電圧は印加されない。
一方、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、DC/DCコンバータ52から送信コイル54へ供給される電力の電圧が低いため、送電装置42から受電装置43へ供給される電力も低下する。そのため、共振回路70からの出力電圧も低下して、ツェナーダイオードZDの降伏電圧よりも低くなる。その結果、スイッチング素子SW2はオフとなり、これに伴い、スイッチング素子SW1のゲート端子に印加される電圧が上昇し、スイッチング素子SW1がオンとなる。そのため、共振回路70からの出力電圧が、抵抗R1に印加されることとなる。その結果、抵抗R1の持つ固定の負荷が受電装置43に提供される。
以下、この変形例による、送電装置42の制御回路61の動作について説明する。制御回路61は、非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、上記の実施形態と同様に、受電装置43の共振回路70からの出力電圧の測定値が所定の許容範囲内となるように、スイッチング周波数に応じた電圧を持つ直流電圧を送信コイル54に供給するよう、電力供給回路50の電圧可変電源51を制御する。また制御回路61は、ゲートドライバ60を介して、スイッチング素子53−3をオフに保つとともに、定電圧出力動作するスイッチング周波数にて、スイッチング素子53−1及び53−2のオン/オフを切り替える。
一方、受電装置43から受信器58を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、非接触給電装置41が定電圧出力動作していないことが示されている場合、制御回路61は、ゲートドライバ60を介してスイッチング素子53−1をオフに保つとともに、スイッチング素子53−3及び53−2のオン/オフを交互に切り替えることで、DC/DCコンバータ52から送信コイル54に電力が供給されるようにする。また制御回路61は、DC/DCコンバータ52から送信コイル54に供給される電圧が所定値となるように、電圧可変電源51を制御する。これにより、制御回路61は、送電装置42から受電装置43へ供給される電力を、受電装置43の固定負荷回路82の抵抗R1に電圧が印加される程度となるまで低下させる。
そして制御回路61は、スイッチング周波数を変化させながら、電流検出回路57による、送信コイル54に流れる電流の測定値を監視して、その電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数を検出する。その際、コイル56の両端が短絡された状態でのスイッチング周波数の調整範囲において、電流の測定値の極大値が見つからない場合(すなわち、スイッチング周波数の調整範囲内で電流の測定値がスイッチング周波数の増加につれて単調増加または単調減少する場合)には、制御回路61は、コイル56の両端を開放するよう、リレー59を制御する。そして制御回路61は、コイル56の両端が開放された状態でのスイッチング周波数の調整範囲において、電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数を検出すればよい。逆に、コイル56の両端が開放された状態でのスイッチング周波数の調整範囲において、電流の測定値の極大値が見つからない場合には、制御回路61は、コイル56の両端を短絡するよう、リレー59を制御する。そして制御回路61は、コイル56の両端が短絡された状態でのスイッチング周波数の調整範囲において、電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数を検出すればよい。
送信コイル54に流れる電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数は、図11に示される周波数f0といった、非接触給電装置41の入力インピーダンスが極小値となる周波数、すなわち、非接触給電装置41が定電圧出力動作する周波数である。そこで制御回路61は、送信コイル54に流れる電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数が検出されると、そのスイッチング周波数にて、電圧可変電源51からの電力が送信コイル54に供給されるように、ゲートドライバ60を介してスイッチング素子53−1及び53−2のオン/オフを制御する。また制御回路61は、スイッチング素子53−3をオフにする。これにより、制御回路61は、非接触給電装置41を定電圧出力動作させることが可能となる。また制御回路61は、上記のように、受電装置43の共振回路70からの出力電圧の測定値が所定の許容範囲内となるように、スイッチング周波数に応じた電圧を持つ直流電圧が送信コイル54に供給されるよう、電力供給回路50の電圧可変電源51を制御する。
この変形例によれば、送電装置の制御回路は、送電装置の送信コイルに流れる電流を監視することで、非接触給電装置が定電圧出力動作するスイッチング周波数を検出することができる。
他の変形例によれば、送電装置において、送信コイルに交流電力を供給する電力供給回路は、スイッチング周波数及び送信コイルに印加する電圧を可変に調節できる回路であれば、上記の実施形態及び変形例とは異なる回路構成を持っていてもよい。
図13(a)及び図13(b)は、それぞれ、変形例による、電力供給回路の回路図である。
図13(a)に示される電力供給回路110は、電源11と、力率改善回路12と、二つのスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と、送信コイル14と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサ131とを有する。なお、この変形例においても、各スイッチング素子は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。また、力率改善回路12は、例えば、上記の実施形態における力率改善回路12と同一とすることができる。
この変形例では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、電源11の正極側端子と力率改善回路12を介して接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、電源11の負極側端子と力率改善回路12を介して接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、コンデンサ131を介して送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、コイル15またはリレー16を介して送信コイル14の他端に接続される。また、各スイッチング素子のゲート端子は、ゲートドライバ18−2と接続される。
この変形例では、ゲートドライバ18−2が、制御回路からの制御信号に従って、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを交互に切り替えればよい。すなわち、スイッチング素子13−1がオンとなり、スイッチング素子13−2がオフとなる場合には、電源11から力率改善回路12及びスイッチング素子13−1を介して流れる電流によりコンデンサ131が充電されるとともに、コイル15またはリレー16を介して送信コイル14にも電流が流れる。一方、スイッチング素子13−1がオフとなり、スイッチング素子13−2がオンとなる場合には、コンデンサ131が放電して、コンデンサ131から送信コイル14及びコイル15またはリレー16を介して電流が流れる。したがって、この変形例では、制御回路が、受電装置3から受信した判定情報に応じて、ゲートドライバ18−2を介して、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを切り替えるスイッチング周波数を制御すればよい。
図13(b)に示される電力供給回路120も、電力供給回路110と同様に、電源11と、力率改善回路12と、二つのスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と、送信コイル14と直列に接続されるコンデンサ131とを有する。ただし、電力供給回路120は、電力供給回路110と比較して、送信コイル14の一端がコンデンサ131を介して電源11の正極側端子と力率改善回路12を介して接続され、送信コイル14の他端がコイル15またはリレー16を介してスイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。
この変形例でも、ゲートドライバ18−2が、制御回路からの制御信号に従って、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを交互に切り替えればよい。
なお、図13(a)に示される電力供給回路110及び図13(b)に示される電力供給回路120について、スイッチング周波数が調整される周波数範囲において送信コイル14とコンデンサ131とが共振回路として動作しないよう、送信コイル14とコンデンサ131の共振周波数は、受電装置3の共振回路20の共振周波数及びスイッチング周波数が調整される周波数範囲の下限周波数よりも小さくなるように、コンデンサ131の静電容量が設定されることが好ましい。
また、上記の実施形態または図10に示される変形例において、図13(a)に示される変形例と同様に、送信コイル14及びコイル15と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサ131が設けられてもよい。
さらに、図4に示される実施形態、及び、図13(a)及び図13(b)に示される変形例において、電源と力率改善回路の代わりに、図12に示されるように、電圧可変電源が用いられてもよい。逆に、図12に示される変形例において、電圧可変電源の代わりに、図4に示される実施形態における電源と力率改善回路とが用いられてもよい。さらに、図12に示される変形例において、スイッチング周波数が調整されている間の所定の電圧を持つ電力を送信コイル54に供給可能なように、電圧可変電源51が構成されてもよい。この場合には、DC/DCコンバータ52及びスイッチング素子53−3は省略されてもよい。
また、送電装置2の受信器17と受電装置3の送信器33とを有線にて接続することが可能な場合には、受信器17及び送信器33は、それぞれ、判定情報を含む信号を有線にて通信可能な通信回路を有していればよい。
なお、非接触給電装置1が定電圧出力動作するスイッチング周波数は、そのスイッチング周波数が増加するにつれて出力利得が低下するような周波数領域に存在する。そこでさらに他の変形例によれば、受電装置3の定電圧判定回路29の判定回路30は、非接触給電装置1が定電圧出力動作していない場合、直近の所定期間(例えば、スイッチング素子31のオン/オフの切替周期の1倍〜3倍の期間)における、出力電圧の測定値の平均値を送信器32に通知してもよい。そして送信器32は、判定情報に、出力電圧の測定値の平均値を含めてもよい。
この場合、送電装置2の制御回路19は、スイッチング周波数を増加させるにつれて出力電圧の測定値の平均値が上昇している間、スイッチング周波数を、比較的大きなステップ幅ずつ変更してもよい。そして制御回路19は、スイッチング周波数を増加させるにつれて出力電圧の測定値の平均値が低下する場合、スイッチング周波数を、比較的小さなステップ幅ずつ変更するようにしてもよい。これにより、制御回路19は、非接触給電装置1が定電圧出力動作するスイッチング周波数の探索に要する時間を短縮できる。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。