以下、本発明の一つの実施形態による非接触給電装置を、図を参照しつつ説明する。この非接触給電装置では、受電側の装置が、受信コイルとコンデンサとが並列共振する共振回路と、受信コイルと電磁結合可能に設けられる電力取り出し用の出力コイルを有する。そしてこの非接触給電装置は、共振回路と別個に設けられた出力コイルの巻き数を受信コイルの巻き数よりも少なくして受電した電力を取り出すことで、伝送された電力の電圧を抑制しつつ、Q値を向上することを可能とする。さらに、この非接触給電装置は、出力コイルと負荷回路の間に、出力コイルと直列接続されるコイルを設けることで定電圧出力動作することを可能とし、送電側にて定電圧出力動作となるよう送信コイルに印加される電圧及び周波数を調整することで力率を向上して、電力伝送効率を向上する。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。図1に示されるように、非接触給電装置1は、送電装置2と、送電装置2から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置3とを有する。送電装置2は、電力供給回路10と、送信コイル14と、通信器15と、ゲートドライバ16−1、16−2と、制御回路17とを有する。一方、受電装置3は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を有する共振回路20と、出力コイル23と、コイル24と、整流平滑回路25と、負荷回路28と、電圧検出回路29と、スイッチング素子30と、判定回路31と、通信器32とを有する。
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路10は、調節可能なスイッチング周波数、及び、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル14へ供給する。そのために、電力供給回路10は、電源11と、力率改善回路12と、4個のスイッチング素子13−1〜13−4とを有する。
電源11は、所定の脈流電圧を持つ電力を供給する。そのために、電源11は、商用の交流電源と接続され、その交流電源から供給された交流電力を整流するための全波整流回路を有する。
力率改善回路12は、電源11から出力された電力の電圧を、制御回路17からの制御に応じた電圧に変換して出力する。そのために、力率改善回路12は、例えば、電源11の正極側端子から順に直列に接続されるコイルL及びダイオードDと、コイルLとダイオードDの間にドレイン端子が接続され、電源11の負極側端子にソース端子が接続されたnチャネル型のMOSFETであるスイッチング素子SWと、ダイオードDを挟んでスイッチング素子SWと並列に接続される平滑コンデンサCを有する。またスイッチング素子SWのゲート端子は、ゲートドライバ16−1と接続される。さらに、力率改善回路12は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される二つの抵抗R1、R2を有する。この抵抗R1、R2は、ダイオードDと平滑コンデンサCとの間に、平滑コンデンサCと並列に接続される。そして抵抗R1と抵抗R2間の電圧が、ダイオードDから出力される電圧を表すものとして、制御回路17により測定される。
制御回路17により指示されたデューティ比にしたがって、かつ、ダイオードDから出力される電流波形の軌跡が、電源11から供給される電圧の軌跡と一致するように、ゲートドライバ16−1がスイッチング素子SWのオン/オフを制御することにより、力率改善回路12は、力率改善動作を実行する。そしてスイッチング素子SWがオンとなるデューティ比が高くなるほど、ダイオードDから出力される電圧は高くなる。
ダイオードDから出力される電圧は、平滑コンデンサCにより平滑化されて、4個のスイッチング素子13−1〜13−4を介して送信コイル14へ供給される。
なお、力率改善回路12は、上記の構成に限られず、制御回路17からの制御によって出力電圧を調整可能な他の構成を有していてもよい。
4個のスイッチング素子13−1〜13−4は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そして4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に、力率改善回路12を介して直列に接続される。また本実施形態では、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、スイッチング素子13−4を介して送信コイル14の他端に接続される。
同様に、4個のスイッチング素子13−1〜13−4のうち、スイッチング素子13−3とスイッチング素子13−4は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と並列に、かつ、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−3が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−4が接続される。そしてスイッチング素子13−3のドレイン端子は、力率改善回路12を介して電源11の正極側端子と接続され、スイッチング素子13−3のソース端子は、スイッチング素子13−4のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−4のソース端子は、力率改善回路12を介して電源11の負極側端子と接続される。さらに、スイッチング素子13−3のソース端子、及び、スイッチング素子13−4のドレイン端子は、送信コイル14の他端に接続される。
また、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、ゲートドライバ16−2を介して制御回路17と接続される。さらに、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子は、オンとなる電圧が印加されたときにそのスイッチング素子がオンとなることを保証するために、それぞれ、抵抗を介して自素子のソース端子と接続されてもよい。そして各スイッチング素子13−1〜13−4は、制御回路17からの制御信号にしたがって、調整可能なスイッチング周波数にてオン/オフが切り替えられる。本実施形態では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオンとなっている間、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオフとなり、逆に、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3とがオンとなっている間、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4とがオフとなるように、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−4の組と、スイッチング素子13−2とスイッチング素子13−3との組について交互にオン/オフが切り替えられる。これにより、電源11から力率改善回路12を介して供給された直流電力は、各スイッチング素子のスイッチング周波数を持つ交流電力に変換されて、送信コイル14に供給される。
そして送信コイル14は、電力供給回路10から供給された交流電力を、空間を介して受電装置3の共振回路20へ伝送する。
通信器15は、受電装置3の通信器32から無線信号を受信する度に、その無線信号から、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かなどを表す判定情報を取り出して、制御回路17へ出力する。そのために、通信器15は、受電装置3の通信器32と通信可能なように、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を受信するアンテナと、その無線信号を復調する通信回路とを有する。なお、所定の無線通信規格は、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
ゲートドライバ16−1は、制御回路17から、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、スイッチング素子SWのゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ16−1は、スイッチング素子SWをオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオンとなる相対的に高い電圧を印加する。一方、ゲートドライバ16−1は、スイッチング素子SWをオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子SWのゲート端子に、スイッチング素子SWがオフとなる、相対的に低い電圧を印加する。これにより、ゲートドライバ16−1は、制御回路17により指示されたタイミングで力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替える。
ゲートドライバ16−2は、制御回路17から、各スイッチング素子13−1〜13−4のオン/オフを切り替える制御信号を受信し、その制御信号に応じて、各スイッチング素子13−1〜13−4のゲート端子に印加する電圧を変化させる。すなわち、ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオンにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる相対的に高い電圧を印加する。これにより、電源11からの電流が、スイッチング素子13−1、送信コイル14及びスイッチング素子13−4を介して流れるようになる。一方、ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4をオフにする制御信号を受け取ると、スイッチング素子13−1のゲート端子及びスイッチング素子13−4のゲート端子に、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、電源11からの電流がスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4を流れなくなる、相対的に低い電圧を印加する。ゲートドライバ16−2は、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3についても同様に、ゲート端子に印加する電圧を制御する。したがって、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオフとなり、スイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3がオンとなると、電源11からの電流が、スイッチング素子13−3、送信コイル14及びスイッチング素子13−2を介して流れるようになる。
制御回路17は、例えば、不揮発性のメモリ回路及び揮発性のメモリ回路と、演算回路と、他の回路と接続するためのインターフェース回路とを有する。そして制御回路17は、通信器15から判定情報を受け取る度に、その判定情報に応じて、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
そのために、本実施形態では、制御回路17は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組とが交互にオンとなり、かつ、スイッチング周波数に対応する1周期内でスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組がオンとなっている期間とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組がオンとなっている期間とが等しくなるように、各スイッチング素子13−1〜13−4を制御する。なお、制御回路17は、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組が同時にオンとなり、電源11が短絡されることを防止するために、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4の組とスイッチング素子13−2及びスイッチング素子13−3の組のオン/オフを切り替える際に、両方のスイッチング素子の組がオフとなるデッドタイムを設けてもよい。
また、制御回路17は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数にて定電圧出力となる、送信コイル14への印加電圧に相当する、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を表す参照テーブルを参照して、スイッチング周波数に応じたデューティ比を選択する。そして制御回路17は、そのデューティ比と、力率改善回路12のダイオードDからの出力電圧の変化に応じて、スイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるタイミングを決定し、そのタイミングを表す制御信号をゲートドライバ16−1へ出力する。
さらに、通信器15が受電装置3からの無線信号を受信できない場合、受電装置3は、送電装置2から電力供給を受けることができる位置に存在しない、すなわち、送電装置2は待機状態にあると想定される。そこでこの場合、制御回路17は、スイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比を設定可能な最小値としてもよい。これにより、送電装置2が待機状態となっている間、送信コイル14に印加される電圧も設定可能な最小値となるので、エネルギーの損失が抑制される。
なお、制御回路17による、スイッチング周波数及び送信コイル14への印加電圧の制御の詳細については後述する。
次に、受電装置3について説明する。
共振回路20は、互いに並列に接続される受信コイル21と共振コンデンサ22とからなるLC共振回路である。
受信コイル21は、送電装置2の送信コイル14に流れる交流電流と共振することで、送信コイル14から電力を受信する。そして受信した電力は、受信コイル21と電磁結合可能に配置された出力コイル23を介して取り出される。なお、受信コイル21の巻き数と、送電装置2の送信コイル14の巻き数は同一でもよく、あるいは、異なっていてもよい。
共振コンデンサ22は、その一端で受信コイル21の一端と接続され、他端で受信コイル21の他端と接続される。そして共振コンデンサ22は受信コイル21とともに並列共振する共振回路を構成して、送信コイル14から伝送される電力を受信可能とする。
出力コイル23は、共振回路20の受信コイル21と電磁結合可能に配置される。例えば、出力コイル23と受信コイル21とは、同一の芯線に対して巻き付けられる。そのため、出力コイル23は、受信コイル21とともにトランスを構成し、受信コイル21にて受電した電力を、出力コイル23から取り出すことができる。そして出力コイル23の一端がコイル24を介して整流平滑回路25の一方の入力端子に接続される。また、出力コイル23の他端が整流平滑回路25の他方の入力端子に接続される。したがって、出力コイル23から取り出される電力は、コイル24及び整流平滑回路25を介して負荷回路28へ供給される。
図2は、共振回路20、出力コイル23及びコイル24の等価回路図である。等価回路200に示されるように、共振回路20、出力コイル23及びコイル24は、共振回路20の受信コイル21と出力コイル23とがトランスとして動作するため、共振回路20の一端と負荷回路28の一端との間にコイル24が接続され、共振回路20の他端と負荷回路28の他端とが接続される回路と等価である。
共振回路20のように、受信コイル21と共振コンデンサ22とが並列共振する場合、等価回路200のQ値は、次式で表される。
ここでCeは、等価回路200の容量であり、Leは、等価回路200のインダクタンスであり、Reは、等価回路200の抵抗である。ここで、出力コイル23の巻き数に対する、共振回路20の受信コイル21の巻き数の比を1:nとし、コイル24のインダクタンスをL、負荷回路28の抵抗をRとすると、等価回路200では、コイル24の等価インダクタンスはn
2*Lとなり、負荷回路28の等価抵抗はn
2*Rとなる。したがって、実際の負荷回路28の抵抗に対してQ値を評価する際の抵抗Reはn
2*Rとなる。一方、出力コイル23から取り出される電力の電圧は、共振回路20において受信した電力の電圧の1/nとなる。さらに、出力コイル23から取り出される電力の電圧は、負荷回路28に流れる電流をIとして、R*Iとなればよい。そのため、出力コイル23から取り出される電圧は、負荷回路28の抵抗そのものに比例した値となる。したがって、nが1よりも大きければ、取り出す電力の電圧が低くても、Q値を高くすることができる。このことから、本実施形態では、出力コイル23の巻き数が受信コイル21の巻き数よりも少なくなるように、出力コイル23及び受信コイル21は構成される。
コイル24は、共振回路20と整流平滑回路25との間に接続される。本実施形態では、コイル24は、出力コイル23と直列となるように、その一端で出力コイル23と接続され、他端で整流平滑回路25と接続される。そしてコイル24は、出力コイル23からの電力を整流平滑回路25へ出力する。なお、このコイル24が設けられることにより、受電した電力の高調波成分が抑制される。
整流平滑回路25は、整流回路の一例であり、ブリッジ接続された4個のダイオードを有する全波整流回路26と平滑コンデンサ27とを有し、共振回路20を介して受信され、かつ、出力コイル23及びコイル24を介して出力された電力を整流し、かつ、平滑化して、直流電力に変換する。そして整流平滑回路25は、その直流電力を、負荷回路28に出力する。
電圧検出回路29は、整流平滑回路25の両端子間の出力電圧を所定の周期ごとに測定する。整流平滑回路25の両端子間の出力電圧は、出力コイル23の出力電圧と1対1に対応するので、整流平滑回路25の両端子間の出力電圧の測定値は、間接的に出力コイル23の出力電圧の測定値となる。電圧検出回路29は、例えば、直流電圧を検出できる公知の様々な電圧検出回路の何れかとすることができる。そして電圧検出回路29は、その出力電圧の測定値を表す電圧検出信号を判定回路31へ出力する。
スイッチング素子30は、例えば、MOSFETであり、整流平滑回路25と負荷回路28との間に接続される。スイッチング素子30は、オフとなると整流平滑回路25から負荷回路28へ電流が流れないようにし、一方、オンとなると整流平滑回路25から負荷回路28へ電流が流れるようにする。
判定回路31は、電圧検出回路29から受け取った出力電圧の測定値が、定電圧出力動作が行われているときの電圧の許容範囲内に出力電圧の測定値が含まれているか否か判定する。そして判定回路31は、その判定結果を通信器32へ通知する。なお、電圧の許容範囲の上限は、上記の上限閾値以下に設定されることが好ましい。
そのために、判定回路31は、例えば、電圧の許容範囲を記憶するメモリ回路と、出力電圧の測定値を、電圧の許容範囲と比較する演算回路と、スイッチング素子30のオン/オフを制御するための制御回路を有する。
判定回路31は、出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲から外れている間、所定の周期でスイッチング素子30のオン/オフを切り替える。これにより、その所定の周期で、整流平滑回路25と接続される、負荷回路28を含む回路全体の抵抗値が変化する。したがって、判定回路31は、スイッチング素子30のオン/オフを切り替えながら、出力電圧の測定値が略一定となるか否かを判定することで、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否かを判定できる。そこで、判定回路31は、所定の周期でスイッチング素子30のオン/オフを切り替えても出力電圧の測定値が略一定となっている間、非接触給電装置1が定電圧出力動作していることを通信器32へ通知する。
また、判定回路31は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、非接触給電装置1が定電圧出力動作している場合、スイッチング素子30のオン/オフの切り替えを停止して、オンとなる状態を維持する。そして判定回路31は、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否か判定し、その判定結果を通信器32へ通知する。
その際、判定回路31は、出力電圧の測定値が所定の周期よりも長い一定期間の間、電圧の許容範囲に含まれる場合、非接触給電装置1が定電圧出力動作しており、かつ、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲内であることを表す判定結果を通信器32へ通知する。
なお、変形例によれば、判定回路31は、整流平滑回路25に対して、負荷回路28と並列に接続される抵抗を有していてもよい。この場合、スイッチング素子30は、その抵抗と直列、かつ、負荷回路28と並列となるように設けられてもよい。この場合には、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路31は、スイッチング素子30をオフにする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、上記の実施形態と同様に、判定回路31は、所定の周期でスイッチング素子30のオン/オフを切り替えればよい。この変形例によれば、非接触給電装置1が定電圧出力動作していない場合にも、負荷回路28への電力供給が継続される。
さらに他の変形例によれば、上記の抵抗と並列、かつ、負荷回路28と直列に、MOSFETといった第2のスイッチング素子が設けられてもよい。この場合、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれる間、判定回路31は、第2のスイッチング素子をオンにして、負荷回路28への電力供給を可能とする。一方、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲から外れると、判定回路31は、第2のスイッチング素子をオフにして、負荷回路28への電力供給を停止してもよい。これにより、送電装置2においてスイッチング周波数が調整されている間に、受電した電力の電圧が過度に高くなっても、その過度に高い電圧が負荷回路28に印加されることが防止される。
通信器32は、所定の送信周期ごとに、判定回路31から受け取った判定結果に応じて、非接触給電装置1が定電圧出力動作しているか否か、及び、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれるか否かを表す判定情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を送電装置2の通信器15へ向けて送信する。そのために、通信器32は、送電装置2の通信器15と通信可能なように、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を生成する通信回路と、その無線信号を出力するアンテナとを有する。なお、所定の無線通信規格は、通信器15と同様に、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。
以下、非接触給電装置1の動作の詳細について説明する。
本実施形態では、送電装置2の制御回路17は、通信器15から受け取った判定情報に基づいて、非接触給電装置1が定電圧出力動作を継続するよう、電力供給回路10から送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を調整する。
ここで、本実施形態による非接触給電装置は、送電側における共振を利用しない。このことから、非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性は、受電側の共振回路のコイルに対して直列に接続されるリアクトルを設ける、いわゆるSPL方式の非接触給電装置において、送信コイルと直列接続されるコンデンサの静電容量を大きくして、送電側の共振回路の共振周波数を低下させたときの出力電圧の周波数特性と類似したものとなる。
図3は、非接触給電装置1の等価回路図である。この等価回路300において、送電側の送信コイル14と受電側の共振回路20の受信コイル21とが結合して、m:1の理想トランスを形成するものとする。Lr及びLmは、送電側の送信コイル14の漏れインダクタンス及び励磁インダクタンスである。なお、送電側の送信コイル14のインダクタンスLpは、(Lm+Lr)と等しく、送信コイル14と受信コイル21間の結合度をkとすると、Lr=(1-k)Lp、Lm=kLpである。また、Riは、送電側の巻線抵抗値であり、Risは、受電側の巻線抵抗値である。Cpは、受電側の共振回路20における、受信コイル21と並列接続される共振コンデンサ22の静電容量である。Lopは、受信コイル21と直列接続されるコイル24のインダクタンスである。そしてRacは、負荷回路28の交流等価抵抗値であり、Rac=(8/π2)×(n2×Ro)で表される。なお、Roは、負荷回路28の抵抗値であり、nは、出力コイル23の巻き数に対する受信コイル21の巻き数の比である。
図4は、本実施形態による非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図4において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。なお、このシミュレーションでは、Lp=174μH、Cp=20nF、Lop=3Lp、Ri=Ris=0.3Ω、n=1、Vin=200V、Rac=162.1Ωとした。グラフ401は、結合度k=0.15、負荷回路28の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ402は、結合度k=0.15、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ403は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ404は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ405は、結合度k=0.6、負荷回路28の交流等価抵抗値をRacとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ406は、結合度k=0.6、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図4に示されるように、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路28の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、結合度ごとに(図のポイント411〜413の3通り)存在する。したがって、送信コイル14が共振しないスイッチング周波数を持つ交流電力を送信コイル14に印加しても、負荷回路28の抵抗値の変化に対して非接触給電装置1を定電圧出力動作させることができることが分かる。さらに、ポイント411〜413で示される通り、負荷回路28の抵抗値の変動に関して定電圧出力となるときの出力電圧は、結合度に応じて互いに異なっているものの、この出力電圧の差は、送信コイル14に印加する電圧を調節することで、結合度によらず、略一定の出力電圧とすることができる。
図5は、図4に示されたシミュレーションにおいて、結合度に応じて送信コイル14に印加する電圧を変化させたときの、出力電圧の周波数特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。グラフ501は、結合度k=0.15、負荷回路28の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ502は、結合度k=0.15、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧をVinとしたときの出力電圧の周波数特性を表す。また、グラフ503は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ504は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.47*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ505は、結合度k=0.6、負荷回路28の交流等価抵抗値をRac、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ506は、結合度k=0.6、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac) 、送信コイルに印加される電圧を(0.19*Vin)としたときの出力電圧の周波数特性を表す。
図4に示されたポイント411〜413に対応する、結合度kが変化しない条件下で、負荷回路28の交流等価抵抗値が変化しても出力電圧が略一定となる(すなわち、定電圧出力となる)、周波数と出力電圧の組み合わせは、ポイント511〜513の3通りとなる。そしてポイント511〜513のそれぞれの出力電圧は、互いに略等しい。
以上により、負荷回路28の抵抗値及び結合度の何れが変動しても、送信コイル14に印加する交流電力のスイッチング周波数及び電圧を適切に調節することで、出力電圧が略一定に保たれることが分かる。
そこで、制御回路17は、定電圧出力動作を達成するために、下記のように送信コイル14に印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。
受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、非接触給電装置1が定電圧出力動作していないことが示されている場合、制御回路17は、交流電力のスイッチング周波数を所定の周波数領域内で変化させる。所定の周波数領域は、例えば、送電装置2から受電装置3への給電が行われる場合における、送信コイル14と受信コイル21間の想定される結合度の最小値において定電圧出力となる周波数を下限とし、送信コイル14と受信コイル21間の想定される結合度の最大値において定電圧出力となる周波数を上限とする周波数領域とすることができる。
制御回路17は、スイッチング周波数を変化させる際、所定の周波数領域の下限から上限まで順にスイッチング周波数を高くしてもよく、あるいは、逆に、所定の周波数領域の上限から下限まで順にスイッチング周波数を低くしてもよい。その際、制御回路17は、受電装置3の判定回路31が、出力電圧が略一定となったか否かを調べることができるように、判定回路31がスイッチング素子30のオンとオフを切り替える周期よりも長い期間、同じスイッチング周波数を保つように、ステップ状にスイッチング周波数を変化させることが好ましい。
なお、制御回路17は、スイッチング周波数を調整している間、送信コイル14に印加する電圧を下限の電圧にまで低下させることが好ましい。これにより、受電装置3に供給される電力の電圧が過度に高くなることが抑制される。
制御回路17は、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲には含まれないものの、負荷回路28の抵抗が変化しても略一定となること、すなわち、定電圧出力動作が行われていることが示されていると、それ以降、スイッチング周波数を一定に保つ。そして次に、制御回路17は、スイッチング周波数と、そのスイッチング周波数において結合度によらず一定の電圧出力となる、力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフ制御のデューティ比との関係を示す参照テーブルを参照して、そのデューティ比を決定する。そして制御回路17は、そのデューティ比に従って力率改善回路12のスイッチング素子SWのオン/オフを切り替えるよう、ゲートドライバ16−1を制御する。これにより、出力コイル23からの出力電圧が電圧の許容範囲に含まれるように、すなわち、結合度によらずに一定の電圧が出力されるように、送信コイル14に印加される電圧が調整される。そして制御回路17は、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されると、送信コイル14に供給される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を一定に保つ。
なお、制御回路17は、上記の参照テーブルを参照してデューティ比を決定する代わりに、受電装置3から通信器15を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、出力電圧の測定値が電圧の許容範囲に含まれることが示されるようになるまで、徐々にデューティ比を変化させてもよい。
また、エネルギー伝送効率を向上するためには、送電装置2の電力供給回路10及び送信コイル14が継続してソフトスイッチング(誘導性)動作することが好ましい。電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作するためには、送信コイル14を流れる電流の位相が印加される電圧の位相よりも遅れることが好ましい。これにより、例えば、スイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−4がオンとなる際に、スイッチング素子13−1のソース端子からドレイン端子へ向かって電流が流れることになるので、電力供給回路10及び送信コイル14がソフトスイッチング動作することとなり、スイッチングロスの発生が抑制される。
図6は、本実施形態による非接触給電装置1における、送信コイル14に印加される交流電力についての電圧の位相に対する電流の位相の遅れの周波数特性を示す図である。図6において、横軸は周波数を表し、縦軸は位相を表す。なお、この図において、位相が正の値を持つ場合、電圧の位相に対して電流の位相が遅れていることを示す。グラフ601は、結合度k=0.15、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの位相の遅れの周波数特性を表す。またグラフ602は、結合度k=0.15、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの位相の遅れの周波数特性を表す。また、グラフ603は、結合度k=0.3、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの位相の遅れの周波数特性を表す。またグラフ604は、結合度k=0.3、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの位相の遅れの周波数特性を表す。さらに、グラフ605は、結合度k=0.6、負荷回路の交流等価抵抗値をRacとしたときの位相の遅れの周波数特性を表す。またグラフ606は、結合度k=0.6、負荷回路の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの位相の遅れの周波数特性を表す。
グラフ601〜606に示されるように、図5に示されるポイント511〜513に対応する周波数を含む周波数領域において、すなわち、非接触給電装置1を定電圧出力動作させる周波数領域では、定電圧出力動作となる結合度と周波数の組み合わせについて位相の遅れが正の値を持っていることが分かる。したがって、本実施形態による非接触給電装置1は、電力供給回路10及び送信コイル14をソフトスイッチング動作させることができることが分かる。
以上に説明してきたように、この非接触給電装置は、受電装置の共振回路の受信コイルと電磁結合可能に配置される出力コイルから伝送された電力を取り出す。そしてこの非接触給電装置において、出力コイルの巻き数よりも受信コイルの巻き数の方が多くなるように出力コイル及び受信コイルは構成される。これにより、この非接触給電装置は、伝送される電力の電圧を低くしてもQ値を高くすることができる。さらに、この非接触給電装置は、伝送される電力の損失が抑制されるよう、送電装置にて送信コイルに印加される交流電力のスイッチング周波数及び電圧を制御する。したがって、この非接触給電装置は、伝送される電力の電圧を低くしつつ、電力伝送効率を向上できる。その結果として、この非接触給電装置は、印加可能な電圧の許容最大値があまり高くない負荷回路に電力を供給する場合でも、電力伝送効率を向上できる。
変形例によれば、送電装置2において、送信コイル14に交流電力を供給する電力供給回路は、スイッチング周波数及び送信コイル14に印加する電圧を可変に調節できる回路であれば、上記の実施形態とは異なる回路構成を持っていてもよい。
図7は、変形例による、電力供給回路の回路図である。
図7に示される電力供給回路110は、電源11と、力率改善回路12と、二つのスイッチング素子13−1及びスイッチング素子13−2と、送信コイル14と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサ131とを有する。なお、この変形例においても、各スイッチング素子は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。また、力率改善回路12は、例えば、上記の実施形態における力率改善回路12と同一とすることができる。
この変形例では、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2は、電源11の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電源11の正極側に、スイッチング素子13−1が接続され、一方、電源11の負極側に、スイッチング素子13−2が接続される。そしてスイッチング素子13−1のドレイン端子は、電源11の正極側端子と力率改善回路12を介して接続され、スイッチング素子13−1のソース端子は、スイッチング素子13−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子13−2のソース端子は、電源11の負極側端子と力率改善回路12を介して接続される。さらに、スイッチング素子13−1のソース端子、及び、スイッチング素子13−2のドレイン端子は、送信コイル14の一端に接続され、スイッチング素子13−2のソース端子は、コンデンサ131を介して送信コイル14の他端に接続される。また、各スイッチング素子のゲート端子は、ゲートドライバ16−2と接続される。
この変形例では、ゲートドライバ16−2が、制御回路から制御信号に従って、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを交互に切り替えればよい。すなわち、スイッチング素子13−1がオンとなり、スイッチング素子13−2がオフとなる場合には、電源11から力率改善回路12及びスイッチング素子13−1を介して送信コイル14へ電流が流れ、コンデンサ131が充電される。一方、スイッチング素子13−1がオフとなり、スイッチング素子13−2がオンとなる場合には、コンデンサ131が放電して、コンデンサ131から送信コイル14及びスイッチング素子13−2を介して電流が流れる。したがって、この変形例では、制御回路が、受電装置3から受信した判定情報に応じて、ゲートドライバ16−2を介して、スイッチング素子13−1とスイッチング素子13−2のオン/オフを切り替えるスイッチング周波数を制御すればよい。
また、上記の実施形態において、電力供給回路110と同様に、送信コイル14と直列に接続される、直流遮断用のコンデンサが設けられてもよい。ただしこの場合も、スイッチング周波数が調整される周波数範囲において送信コイル14とコンデンサとが共振回路として動作しないよう、送信コイル14とコンデンサの共振周波数は、受電装置3の共振回路20の共振周波数及びスイッチング周波数が調整される周波数範囲の下限周波数よりも小さくなるように、コンデンサの静電容量が設定されることが好ましい。
さらに、上記の実施形態または変形例において、整流平滑回路25による損失を軽減するために、整流平滑回路25は、全波同期整流可能な同期整流回路として構成されてもよい。
図8は、さらに他の変形例による受電装置3の整流平滑回路25の構成図である。この変形例による整流平滑回路25は、フルブリッジ状に接続された4個のスイッチング素子251〜254と、平滑コンデンサ255と、2個の電圧検出回路256、257と、制御回路258と、ゲートドライバ259とを有する。
4個のスイッチング素子251〜254は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そして4個のスイッチング素子251〜254のうち、スイッチング素子251とスイッチング素子252は、互いに直列に、かつ、出力コイル23に対して並列に接続される。スイッチング素子251のソース端子は、コイル24を介して出力コイル23の一端と接続され、一方、スイッチング素子252のソース端子は、出力コイル23の他端と接続される。そしてスイッチング素子251のドレイン端子とスイッチング素子252のドレイン端子が互いに接続される。
同様に、スイッチング素子253とスイッチング素子254は、互いに直列に、かつ、スイッチング素子251及びスイッチング素子252に対して並列に接続される。スイッチング素子253のドレイン端子は、コイル24を介して出力コイル23の一端と接続され、一方、スイッチング素子254のドレイン端子は、出力コイル23の他端と接続される。そしてスイッチング素子253のソース端子とスイッチング素子254のソース端子が互いに接続される。
また、各スイッチング素子251〜254のゲート端子は、ゲートドライバ259を介して制御回路258と接続される。そして各スイッチング素子251〜254は、制御回路258からの制御信号にしたがってオン/オフが切り替えられる。本実施形態では、出力コイル23のコイル24と接続される側の一端の電位が出力コイル23の他端の電位よりも高い場合において、後述する条件が満たされた場合に、スイッチング素子251とスイッチング素子254とがオンとなり、一方、スイッチング素子252とスイッチング素子253とがオフとなる。逆に、出力コイル23のコイル24と接続される側の一端の電位が出力コイル23の他端の電位よりも低い場合において、後述する条件が満たされた場合にスイッチング素子252とスイッチング素子253とがオンとなっている間、スイッチング素子251とスイッチング素子254とがオフとなる。これにより、出力コイル23から供給される交流電力は直流の脈流電圧に変換されるとともに同期整流され、平滑コンデンサ255によって平滑化されて負荷回路28へ供給される。
電圧検出回路256は、スイッチング素子254のソース−ドレイン間の電圧を測定し、その測定値を制御回路258へ出力する。同様に、電圧検出回路257は、スイッチング素子253のソース−ドレイン間の電圧を測定し、その測定値を制御回路258へ出力する。なお、電圧検出回路256及び電圧検出回路257は、それぞれ、対応するスイッチング素子のソース−ドレイン間の電圧の測定値を求めることができるどのような回路であってもよい。
制御回路258は、整流平滑回路25が同期整流動作するよう、スイッチング素子251〜254のオン/オフを制御する。例えば、制御回路258は、電圧の測定値を所定の基準値と比較するための比較回路と、ゲートドライバ259を介してスイッチング素子251〜254を制御するための制御回路とを有する。そして制御回路258は、LLC共振コンバータの2次側における同期整流方式と同様の方式に従って、スイッチング素子251〜254のオン/オフを制御すればよい。例えば、制御回路258は、スイッチング素子254のボディダイオードに電流が流れ始めることで、電圧検出回路256により検出されたスイッチング素子254のソース−ドレイン間電圧が所定の基準値以下となると、ゲートドライバ259に、スイッチング素子251及びスイッチング素子254をオンにする制御信号を出力する。ゲートドライバ259は、その制御信号を受信すると、スイッチング素子251及びスイッチング素子254をオンにする。一方、電圧検出回路256により検出されたスイッチング素子254のソース−ドレイン間電圧が所定の基準値を超えると、制御回路258は、ゲートドライバ259に、スイッチング素子251及びスイッチング素子254をオフにする制御信号を出力する。ゲートドライバ259は、その制御信号を受信すると、スイッチング素子251及びスイッチング素子254をオフにする。同様に、制御回路258は、スイッチング素子253のボディダイオードに電流が流れ始めることで、電圧検出回路257により検出されたスイッチング素子253のソース−ドレイン間電圧が所定の基準値以下となると、ゲートドライバ259に、スイッチング素子252及びスイッチング素子253をオンにする制御信号を出力する。ゲートドライバ259は、その制御信号を受信すると、スイッチング素子252及びスイッチング素子253をオンにする。一方、電圧検出回路257により検出されたスイッチング素子253のソース−ドレイン間電圧が所定の基準値を超えると、制御回路258は、ゲートドライバ259に、スイッチング素子252及びスイッチング素子253をオフにする制御信号を出力する。ゲートドライバ259は、その制御信号を受信すると、スイッチング素子252及びスイッチング素子253をオフにする。これにより、整流平滑回路25は、同期整流動作して、整流平滑回路25を流れる電流による損失を軽減できる。
また、発明者は、受電装置の負荷回路の抵抗値が予め設定された値となる場合には、上記の実施形態による非接触給電装置が定電圧出力動作する周波数において、この非接触給電装置の入力インピーダンスが極小値となるという知見を得た。
図9は、非接触給電装置の出力電圧の周波数特性と入力インピーダンスの周波数特性との関係の一例を示す図である。図9の上側のグラフにおいて、横軸は、周波数を表し、縦軸は、出力電圧を表す。また、図9の下側のグラフにおいて、横軸は、周波数を表し、縦軸は、入力インピーダンスを表す。なお、このシミュレーションでは、図4に示されたシミュレーションに用いられた各回路素子のパラメータの値と同じ値を使用した。上側のグラフにおいて、グラフ901(図4のグラフ403と同一)は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値をRacとしたときの非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性を表す。またグラフ902(図4のグラフ404と同一)は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値を(10*Rac)としたときの非接触給電装置1の出力電圧の周波数特性を表す。また、下側のグラフにおいて、グラフ911は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値をRacとしたときの非接触給電装置1の入力インピーダンスの周波数特性を表す。さらに、グラフ912は、結合度k=0.3、負荷回路28の交流等価抵抗値を(100*Rac)としたときの非接触給電装置1の入力インピーダンスの周波数特性を表す。
図9に示されるように、非接触給電装置1が定電圧出力動作する周波数f0では、負荷回路28の交流等価抵抗値がRacのときの入力インピーダンスは極小値となる。すなわち、周波数f0にて、送信コイル14に流れる電流は極大値を持つ。
そこで変形例によれば、送電装置の制御回路は、送信コイルを流れる電流の周波数特性に応じて、非接触給電装置が定電圧出力動作するか否かを判定してもよい。
図10は、この変形例による、非接触給電装置の概略構成図である。図10に示されるように、非接触給電装置41は、送電装置42と、送電装置42から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置43とを有する。送電装置42は、電力供給回路50と、送信コイル54と、コンデンサ55と、電流検出回路56と、通信器57と、ゲートドライバ58と、制御回路59とを有する。一方、受電装置43は、受信コイル61及び共振コンデンサ62を有する共振回路60と、出力コイル63と、コイル64と、全波整流回路66と平滑コンデンサ67を有する整流平滑回路65と、負荷回路68と、電圧検出回路69と、スイッチング素子70と、判定回路71と、固定負荷回路72と、通信器73とを有する。
非接触給電装置41は、図1に示された非接触給電装置1と比較して、送電装置42については、電力供給回路50の構成と、コンデンサ55及び電流検出回路56を有する点と、一つのゲートドライバ58を有する点と、制御回路59による制御の一部が相違する。また、受電装置43については、固定負荷回路72を有する点で相違する。そこで以下では、上記の相違点及び関連する部分について説明する。非接触給電装置41の他の構成要素の詳細については、上記の実施形態の対応する構成要素の説明を参照されたい。
電力供給回路50は、調節可能なスイッチング周波数、及び、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル54へ供給する。そのために、電力供給回路50は、電圧可変電源51と、DC/DCコンバータ52と、3個のスイッチング素子53−1〜53−3とを有する。
電圧可変電源51は、直流電力を供給し、その直流電力の電圧を制御回路59からの制御によって調整可能な電源である。なお、電圧可変電源51は、供給する電圧を調整可能な様々な回路構成の何れを有していてもよい。非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、電圧可変電源51から供給される直流電力は、スイッチング素子53−1及び53−2を介して交流電力に変換されて送信コイル54へ供給される。一方、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、電圧可変電源51から供給される直流電力は、DC/DCコンバータ52及びスイッチング素子53−3を介して送信コイル54へ供給される。
DC/DCコンバータ52の入力端子は、電圧可変電源51の正極側端子と接続され、DC/DCコンバータ52の出力端子は、ダイオードD及びスイッチング素子53−3を介してコンデンサ55の一端と接続される。そしてDC/DCコンバータ52は、電圧可変電源51から供給された直流電力の電圧を所定の電圧(例えば、5V)に低下させる。
非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、DC/DCコンバータ52から出力された電圧は、ダイオードD、スイッチング素子53−3及びコンデンサ55を介して送信コイル54へ供給される。
スイッチング素子53−1〜53−3は、それぞれ、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。スイッチング素子53−1とスイッチング素子53−2は、電圧可変電源51の正極側端子と負極側端子との間に直列に接続される。また、電圧可変電源51の正極側に、スイッチング素子53−1が接続され、一方、電圧可変電源51の負極側に、スイッチング素子53−2が接続される。そしてスイッチング素子53−1のドレイン端子は、電圧可変電源51の正極側端子と接続され、スイッチング素子53−1のソース端子は、スイッチング素子53−2のドレイン端子と接続される。また、スイッチング素子53−1のソース端子、及び、スイッチング素子53−2のドレイン端子は、コンデンサ55を介して送信コイル54の一端と接続される。さらに、スイッチング素子53−2のソース端子は、電圧可変電源51の負極側端子、及び、電流検出回路56を介して送信コイル54の他端と接続される。
また、スイッチング素子53−3のドレイン端子は、DC/DCコンバータ52の出力端子と接続され、スイッチング素子53−3のソース端子は、コンデンサ55を介して送信コイル54の一端と接続される。そして各スイッチング素子のゲート端子は、ゲートドライバ58と接続される。
非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、ゲートドライバ58は、制御回路59からの制御信号に従って、スイッチング素子53−3をオフに保つ。またゲートドライバ58は、制御回路59からの制御信号に従って、スイッチング素子53−1とスイッチング素子53−2のオン/オフを、定電圧出力動作となるスイッチング周波数にて交互に切り替える。すなわち、スイッチング素子53−1がオンとなり、スイッチング素子53−2がオフとなる場合には、電圧可変電源51からスイッチング素子53−1を介してコンデンサ55へ電力が供給されてコンデンサ55が充電されるのに伴って、送信コイル54へ電流が流れる。一方、スイッチング素子53−1がオフとなり、スイッチング素子53−2がオンとなる場合には、コンデンサ55が放電して、コンデンサ55から送信コイル54へ電流が流れる。
また、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、ゲートドライバ58は、制御回路59からの制御信号に従って、スイッチング素子53−1をオフに保ち、その代わりに、制御回路59からの制御信号に従って、スイッチング素子53−3とスイッチング素子53−2のオン/オフを、スイッチング周波数にて交互に切り替える。
コンデンサ55は、送信コイル54と電力供給回路50の間に接続される。そしてコンデンサ55は、各スイッチング素子のスイッチング周波数でのオン/オフの切り替えに応じて充電と放電とを繰り返すことで、送信コイル54に、スイッチング周波数を持つ交流電力を供給する。なお、スイッチング周波数が調整される周波数範囲において送信コイル54とコンデンサ55とが共振回路として動作しないよう、送信コイル54とコンデンサ55の共振周波数は、受電装置43の共振回路60の共振周波数及びスイッチング周波数が調整される周波数範囲の下限周波数よりも小さくなるように、コンデンサ55の静電容量が設定されることが好ましい。
電流検出回路56は、送信コイル54と電力供給回路50との間に接続され、送信コイル54を流れる電流を測定する。そして電流検出回路56は、電流の測定値を制御回路59へ出力する。なお、電流検出回路56は、電流検出回路56に対して直列に接続される分流用のコンデンサ(図示せず)とともに、送信コイル54に対して、コンデンサ55と並列に接続されてもよい。この場合、電流検出回路56は、間接的に送信コイル54に流れる電流を測定できる。
一方、受電装置43の判定回路71は、共振回路60を介して受電した、出力コイル63からの出力電圧についての電圧検出回路69による測定値が、電圧の許容範囲内に保たれている間、すなわち、非接触給電装置41が定電圧出力動作を行っている間、スイッチング素子70をオンにして、出力コイル63からの出力電圧が整流平滑回路65を介して負荷回路68へ供給されるようにする。一方、出力電圧の測定値が、電圧の許容範囲から外れている間、判定回路71は、スイッチング素子70をオフにして、出力コイル63からの出力電圧が負荷回路68へ供給されないようにする。
固定負荷回路72は、整流平滑回路65に対して、負荷回路68と並列に接続され、スイッチング周波数の調整が行われている間、負荷回路68の基準となる負荷(例えば、図9に示されるシミュレーションによるRac)と略等しい負荷を受電装置43に提供する。そのために、固定負荷回路72は、整流平滑回路65に対して負荷回路68と並列に接続され、かつ、負荷回路68の基準となる負荷に応じた抵抗値を持つ抵抗R1を有する。そして抵抗R1は、nチャネル型のMOSFETといったスイッチング素子SW1と直列に接続される。さらに、固定負荷回路72は、整流平滑回路65の両出力端子間に、正極側から順に直列に接続される抵抗R2とnpn型のバイポーラトランジスタといったスイッチング素子SW2とを有する。また抵抗R2とスイッチング素子SW2とは、抵抗R1と並列に接続される。そしてスイッチング素子SW1のゲート端子は、抵抗R2とスイッチング素子SW2の一端(この例では、コレクタ端子)との間に接続される。さらに、スイッチング素子SW2のベース端子は、抵抗R3及び逆バイアスされたツェナーダイオードZDを介して整流平滑回路65の正極側端子と接続される。
非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、出力コイル63からの出力電圧は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧よりも高く、その結果としてスイッチング素子SW2のベース端子には、ツェナーダイオードZD及び抵抗R3を介して電流が供給され、スイッチング素子SW2はオンとなる。その結果、スイッチング素子SW1のゲート端子に印加される電圧は低下して、スイッチング素子SW1はオフとなる。そのため、抵抗R1には出力コイル63からの出力電圧は印加されない。
一方、非接触給電装置41が定電圧出力動作するためのスイッチング周波数の調整が行われている間、DC/DCコンバータ52から送信コイル54へ供給される電力の電圧が低いため、送電装置42から受電装置43へ供給される電力も低下する。そのため、出力コイル63からの出力電圧も低下して、ツェナーダイオードZDの降伏電圧よりも低くなる。その結果、スイッチング素子SW2はオフとなり、これに伴い、スイッチング素子SW1のゲート端子に印加される電圧が上昇し、スイッチング素子SW1がオンとなる。そのため、出力コイル63からの出力電圧が、抵抗R1に印加されることとなる。その結果、抵抗R1の持つ固定の負荷が受電装置43に提供される。
以下、この変形例による、送電装置42の制御回路59の動作について説明する。制御回路59は、非接触給電装置41が定電圧出力動作している間、上記の実施形態と同様に、受電装置43の出力コイル63からの出力電圧の測定値が所定の許容範囲内となるように、スイッチング周波数に応じた電圧を持つ直流電圧を送信コイル54に供給するよう、電力供給回路50の電圧可変電源51を制御する。また制御回路59は、ゲートドライバ58を介して、スイッチング素子53−3をオフに保つとともに、定電圧出力動作するスイッチング周波数にて、スイッチング素子53−1及び53−2のオン/オフを切り替える。
一方、受電装置43から通信器57を介して受けとった無線信号に含まれる判定情報において、非接触給電装置41が定電圧出力動作していないことが示されている場合、制御回路59は、ゲートドライバ58を介してスイッチング素子53−1をオフに保つとともに、スイッチング素子53−3及び53−2のオン/オフを交互に切り替えることで、DC/DCコンバータ52から送信コイル54に電力が供給されるようにする。また制御回路59は、DC/DCコンバータ52から送信コイル54に供給される電圧が所定値となるように、電圧可変電源51を制御する。これにより、制御回路59は、送電装置42から受電装置43へ供給される電力を、受電装置43の固定負荷回路72の抵抗R1に電圧が印加される程度となるまで低下させる。
そして制御回路59は、スイッチング周波数を変化させながら、電流検出回路56による、送信コイル54に流れる電流の測定値を監視して、その電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数を検出する。送信コイル54に流れる電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数は、図9に示される周波数f0といった、非接触給電装置41の入力インピーダンスが極小値となる周波数、すなわち、非接触給電装置41が定電圧出力動作する周波数である。そこで制御回路59は、送信コイル54に流れる電流の測定値が極大値となるスイッチング周波数が検出されると、そのスイッチング周波数にて、電圧可変電源51からの電力が送信コイル54に供給されるように、ゲートドライバ58を介してスイッチング素子53−1及び53−2のオン/オフを制御する。また制御回路59は、スイッチング素子53−3をオフにする。これにより、制御回路59は、非接触給電装置41を定電圧出力動作させることが可能となる。また制御回路59は、上記のように、受電装置43の出力コイル63からの出力電圧の測定値が所定の許容範囲内となるように、スイッチング周波数に応じた電圧を持つ直流電圧が送信コイル54に供給されるよう、電力供給回路50の電圧可変電源51を制御する。
この変形例によれば、送電装置の制御回路は、送電装置の送信コイルに流れる電流を監視することで、非接触給電装置が定電圧出力動作するスイッチング周波数を検出することができる。またこの変形例による非接触給電装置も、上記の実施形態と同様に、伝送される電力の電圧を低くしつつ、電力伝送効率を向上できる。その結果として、この非接触給電装置は、印加可能な電圧の許容最大値があまり高くない負荷回路に電力を供給する場合でも、電力伝送効率を向上できる。
なお、この変形例においても、受電装置43の整流平滑回路65は、図8に示されるような同期整流回路であってもよい。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。