JP2019138390A - 等速自在継手用ブーツの取付構造 - Google Patents

等速自在継手用ブーツの取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】外側継手部材とブーツの大径筒部の接合状態を安定的に維持可能とする。【解決手段】大径筒部21と弾性変形可能な蛇腹部23とを一体に有する樹脂ブーツ20のうち、大径筒部21の内径面21aを、等速自在継手1の外側継手部材2の外径面2aに接合一体化することで大径筒部21が外側継手部材2に取付固定されたブーツの取付構造において、大径筒部21と蛇腹部23との間に、等速自在継手1が作動角をとるときの蛇腹部23の変形起点となる環状溝25を有するヒンジ部24を設け、環状溝25の溝底25aを大径筒部21の外径面21bよりも径方向内側に位置させる。【選択図】図3

Description

本発明は、等速自在継手用ブーツの取付構造に関する。
周知のように、エンジンを駆動源とした自動車には、エンジンの動力を駆動車輪に伝達するための動力伝達装置が搭載される。この種の動力伝達装置としては、駆動車輪側およびエンジン側(デファレンシャル側)にそれぞれ配置される固定式等速自在継手および摺動式等速自在継手と、上記2つの等速自在継手の内側継手部材同士をトルク伝達可能に連結する軸部材(中間シャフトとも称される)とを備えたドライブシャフトがある。
ドライブシャフトにおいては、軸部材と固定式等速自在継手の外側継手部材との間、および軸部材と摺動式等速自在継手の外側継手部材との間に、筒状のブーツがそれぞれ設けられる。ブーツとしては、弾性変形(弾性的に屈曲および伸縮変形)可能なゴム製のブーツ、あるいは樹脂(熱可塑性エラストマー)製のブーツを採用することができるが、近時においては、ゴム製のブーツに比べて軽量で屈曲耐久性等に優れた樹脂製のブーツが重用される傾向にある。ブーツは、その軸方向一方側および他方側の端部にそれぞれ設けられた円筒状の大径筒部および小径筒部と、両筒部の間に設けられ、外側継手部材と内側継手部材(内側継手部材に固定された軸部材)の相対変位(角度変位等)に伴って弾性変形可能な蛇腹部とを一体に有する。そして、大径筒部および小径筒部のそれぞれが、外側継手部材および軸部材に取付固定されることにより、継手内部に充填された潤滑剤の外部漏洩や継手内部への異物侵入が可及的に防止される。
ブーツの筒部は、例えば、ブーツバンド等の締結部材を用いて金属製の相手部材(外側継手部材や軸部材)に取付固定される(例えば特許文献1)他、筒部の取付面(内径面)を相手部材の被取付面(外径面)に密着させた状態で上記被取付面をブーツの構成材料の分解温度以上に加熱して取付面と被取付面とを接合一体化することにより、相手部材に取付固定される場合もある(特許文献2,3)。特許文献2,3に記載の技術手段は、ブーツバンド等の締結部材を省略することができるので、等速自在継手の軽量・コンパクト化や低コスト化に寄与できる、という利点がある。
特開2011−252594号公報 特開2009−52688号公報 特開2009−185879号公報
特許文献3に示す等速自在継手(ブーツ付等速自在継手)において、例えば図7に示すように、外側継手部材110に対して図示しない内側継手部材に連結された軸部材120が大きく角度変位した場合(等速自在継手が大きな作動角をとった場合)には、ブーツ100の蛇腹部101が大きく変形するが、大径筒部102に近い側の端部101aも大きく変形する。この場合、ブーツ100の大径筒部102に作用する応力Fは、大径筒部102を外側継手部材110から引き剥がす方向の成分(図7中に塗り潰し矢印で示す)が支配的となるため、ブーツ100の大径筒部102が外側継手部材110から剥離する(ブーツ100と外側継手部材110とを接合一体化した接合部が破壊される)おそれがある。要するに、従来の技術手段では、ブーツが担保すべきシール性を十分に確保しているとは言い難い。
そこで、本発明は、等速自在継手の外側継手部材に対してブーツの大径筒部を接合一体化してなる等速自在継手用ブーツの取付構造において、外側継手部材と大径筒部の接合状態を安定的に維持可能とし、もって、軽量・コンパクトでありながら、耐久寿命や信頼性に富む等速自在継手の実現に寄与することを目的とする。
外側継手部材と樹脂ブーツの大径筒部とを接合一体化する場合、両者間の接合強度は、外側継手部材の構成金属とブーツの構成樹脂の間に生じる分子間力や化学結合力、すなわち外側継手部材やブーツの材料(材質)に大きく左右される。そのため、外側継手部材および/またはブーツの形成材料を変更すれば、両者間の接合強度を高めることができるとも考えられる。しかしながら、外側継手部材やブーツに対する本来的な要求特性を考慮すると、これらの材料をむやみに変更することはできない。そこで、本発明者は、ブーツの蛇腹部が変形したときに、大径筒部にこれを引き剥がす方向の成分を主体とする応力が作用し難くなれば、外側継手部材とブーツの大径筒部との間に所望のシール性を安定的に確保し得ると考え、本発明を創案・完成するに至った。
上記の知見に基づいて創案された本発明は、軸方向一方側および他方側の端部にそれぞれ設けられた円筒状の大径筒部および小径筒部と、大径筒部と小径筒部の間に設けられた弾性変形可能な蛇腹部とを一体に有する樹脂ブーツのうち、大径筒部の内径面を、等速自在継手の外側継手部材の外径面に接合一体化することにより、大径筒部が外側継手部材に取付固定された等速自在継手用ブーツの取付構造において、大径筒部と蛇腹部との間に、等速自在継手が作動角をとるときの蛇腹部の軸方向一方側の変形起点となる環状溝を有するヒンジ部が設けられ、環状溝の溝底が大径筒部の外径面よりも径方向内側に位置していることを特徴とする。
上記構成によれば、ブーツの蛇腹部が変形するのに伴って大径筒部に作用する応力は軸方向に沿った成分を主体とするものになり、大径筒部に作用する、大径筒部を引き剥がす方向の応力が減少する。このため、外側継手部材に対するブーツの大径筒部の接合状態を長期間に亘って安定的に維持することが、すなわちブーツが担保すべきシール性を安定的に維持することができる。これにより、軽量・コンパクトでありながら、耐久寿命や信頼性に富む等速自在継手を実現することができる。
上記構成において、環状溝の溝底は、大径筒部の内径面よりも径方向外側に位置させることが好ましい。
また、環状溝の溝深さは、大径筒部の肉厚の40%以上70%以下とするのが好ましく、等速自在継手の作動角が0°の状態における環状溝の溝幅は、環状溝の溝深さの2倍以上4倍未満とするのが好ましい。
大径筒部の内径面と外側継手部材の外径面とを接合一体化してなる接合部の軸方向他方側の端部と、ヒンジ部の軸方向一方側の内径端部とを一致させておけば(図3参照)、等速自在継手が作動角をとるのに伴って蛇腹部が変形したときにも、外側継手部材の外径側への蛇腹部の乗り上がりを防止することができる。これにより、外側継手部材に対する大径筒部の接合状態を一層安定的に維持することができる。
外側継手部材に対する大径筒部の固定力を高める上では、大径筒部の内径面と外側継手部材の外径面とのはめあいをしまりばめ(JIS B0401−2参照)とするのが好ましい。
大径筒部の自由端(軸方向一方側の端部)を外側継手部材と軸方向で係合させておけば、外側継手部材に対する大径筒部の軸方向の位置決め精度を高めることができる。
樹脂ブーツは、熱可塑性ポリエステル系エラストマーを主成分とする樹脂材料で形成することができる。熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、ブーツに必要な耐熱性、耐久性および屈曲強度等を具備していることに加え、分解温度が400〜500℃程度であることから、金属製の外側継手部材と樹脂ブーツ(大径筒部)とを接合一体化してなる接合部を容易にかつ精度良く形成することができる。
以上に示すように、本発明によれば、等速自在継手の外側継手部材に対してブーツの大径筒部を接合一体化してなる等速自在継手用ブーツの取付構造において、外側継手部材に対する大径筒部の接合状態を安定的に維持することが可能となるので、ブーツが担保すべきシール性を安定的に確保することができる。これにより、軽量・コンパクトでありながら、耐久寿命および信頼性に富むブーツ付の等速自在継手、ひいてはドライブシャフト等の動力伝達装置を実現することができる。
本発明の第1実施形態に係るブーツ取付構造を採用した等速自在継手の縦断面図である。 図1に示す等速自在継手に装着される前のブーツの断面図である。 図1の部分拡大図である。 図1に示す等速自在継手が作動角をとったときのブーツの変形態様を示す図である。 ブーツの取付方法を説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態に係るブーツ取付構造を採用した等速自在継手の部分拡大断面図である。 従来のブーツ取付構造を採用した等速自在継手に作動角を付与したときのブーツの変形態様を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面(図1〜図6)に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るブーツ取付構造を採用した等速自在継手(ブーツ付等速自在継手)の縦断面図であり、より具体的には、同等速自在継手の作動角0°の状態における縦断面図である。同図に示す等速自在継手1は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手の一種であるバーフィールド型(BJ)であり、外側継手部材2、内側継手部材3、複数のボール4および保持器5を備える。この固定式等速自在継手1は、例えば、図示外の摺動式等速自在継手などとともに自動車のドライブシャフトを構成するものであり、ドライブシャフトが自動車に組み込まれた状態では駆動車輪側(アウトボード側)に配置される。なお、図1では、紙面左側(外側継手部材2のカップ部底側)がアウトボード側であり、紙面右側(軸部材10側)がインボード側である。以下の説明では、アウトボード側を「軸方向一方側」と、また、インボード側を「軸方向他方側」ともいう。
外側継手部材2は、例えば、S40C、SBM40C、S53C等の機械構造用炭素鋼(焼入れ・焼戻し等の熱処理が施された炭素鋼)をはじめとする金属材料で形成されており、軸方向他方側の端部が開口したカップ部を有する。カップ部の球状内周面の周方向に離間した複数箇所には、円弧状のトラック溝6が形成されている。図示は省略しているが、カップ部の内部空間にはグリース等の潤滑剤が充填される。
内側継手部材3は球状外周面を有し、球状外周面の周方向に離間した複数箇所には、外側継手部材2のトラック溝6と対をなす円弧状のトラック溝7が形成されている。内側継手部材3は、その両端面に開口した中心孔を有し、この中心孔に金属製の軸部材10の軸方向一方側の端部がスプライン嵌合されている。軸部材10の外周面には環状溝11が形成されており、この環状溝11に嵌合した止め輪12により、軸部材10が内側継手部材3に対して抜け止めされている。
ボール4は、対をなす外側継手部材2のトラック溝6と内側継手部材3のトラック溝7の間に介在して両継手部材2,3の間でトルクを伝達する。ボール4は、外側継手部材2の球状内周面と内側継手部材3の球状外周面との間に配置された円環状の保持器5のポケット部5aに収容されている。
外側継手部材2と軸部材10の間には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料で筒状に形成されたブーツ20が設けられている。本実施形態では、コストに対して機械的強度、耐熱性、耐油性等に優れた特性を示すポリエステル系の熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリエステル系エラストマー)を主成分とする樹脂材料で形成されたブーツ20を使用する。また、熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、外側継手部材2および軸部材10の構成金属との間に比較的大きな分子間力を生じさせることが、すなわち、外側継手部材2とブーツ20との間、および軸部材10とブーツ20との間に高い接合強度を有する接合部9(詳細は後述する)を形成できる点でも好適である。上記樹脂材料には、ブーツ20の要求特性等に応じて、酸化防止剤、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤等の各種充填材が一種又は二種以上添加される。
ブーツ20は、例えばプレスブロー等のブロー成形によって所定形状に形成されており、軸方向一方側の端部に設けられ、外側継手部材2に取付固定された円筒状の大径筒部21と、軸方向他方側の端部に設けられ、軸部材10に取付固定された円筒状の小径筒部22と、大径筒部21と小径筒部22の間に設けられた蛇腹部23とを一体に有する。蛇腹部23は、軸方向に交互に配置された山部23aと谷部23bを有し、等速自在継手1と軸部材10の相対的な角度変位に伴って(等速自在継手1が作動角をとるのに伴って)弾性変形する。上記態様でブーツ20が設けられていることにより、カップ部の内部空間(継手内部)に充填された潤滑剤の外部漏洩、およびカップ部の内部空間への異物侵入が可及的に防止される。
大径筒部21および小径筒部22は、何れも、ブーツバンド等の締結部材を用いずに相手部材(外側継手部材2および軸部材10)に取付固定されている。具体的に説明すると、大径筒部21は、取付面Aとしての内径面21aが、径一定の円筒面に形成された被取付面Bとしての外側継手部材2の外径面2aに接合一体化されることにより外側継手部材2に取付固定され、小径筒部22は、取付面Aとしての内径面22aが、径一定の円筒面に形成された、被取付面Bとしての軸部材10の外径面10aに接合一体化されることにより軸部材10に取付固定されている。
図3に示すように、ブーツ20の大径筒部21の内径面21aと外側継手部材2の外径面(円筒状外径面)2aとを接合一体化した接合部9は、その軸方向他方側の端部が、外側継手部材2の他端外周縁部(開口側外周縁部)に設けられたR部(面取りの場合もある)2bと、外側継手部材2の円筒状外径面2aの軸方向他方側の端部2a1との境界(接続点)2cと一致するように形成されている。また、ブーツ20に設けられたヒンジ部24(詳細は後述する)の軸方向一方側の内径端部24aは、上記接続点2cと一致している。
ここで、図5を参照しながら、大径筒部21の内径面21aと外側継手部材2の外径面2aとを接合一体化した接合部9、および小径筒部22の内径面22aと軸部材10の外径面10aとを接合一体化した接合部9の形成方法を説明する。
まず、内側継手部材3に軸部材10が固定された等速自在継手1のうち、外側継手部材2の外径面2aの径方向外側に大径筒部21が、また、軸部材10の外径面10aの径方向外側に小径筒部22がそれぞれ配置されるようにして、ブーツ20を等速自在継手1の外周に配置する。ブーツ20としては、大径筒部21の内径面21aの内径寸法(ブーツ20単体の状態での内径寸法)D1(図2参照)が外側継手部材2の外径面2aの外径寸法D2(図3参照)よりも小さく、小径筒部22の内径面22aの内径寸法が軸部材10の外径面10aの外径寸法よりも小さいものを用いる。そのため、外側継手部材2の外径面2aに対する大径筒部21の内径面21aのはめあい、および軸部材10の外径面10aに対する小径筒部22の内径面22aのはめあいは、何れもしまりばめとなる。
また、ブーツ20の大径筒部21および小径筒部22の外周に、図示外の高周波電源に電気的に接続された加熱コイル30(30A,30B)をそれぞれ配置する。加熱コイル30Aとしては、その内径寸法が大径筒部21の外径寸法よりも小さいものを用い、加熱コイル30Bとしては、その内径寸法が小径筒部22の外径寸法よりも小さいものを用いる。そのため、大径筒部21に対する加熱コイル30Aのはめあい、および小径筒部22に対する加熱コイル30Bのはめあいは何れもしまりばめとなる。これにより、大径筒部21の内径面21aおよび小径筒部22の内径面22aは、それぞれ、外側継手部材2の外径面2aおよび軸部材10の外径面10aに強固に密着(圧接)する。
以上のようにして、等速自在継手1の径方向外側にブーツ20および加熱コイル30A,30Bを配置した後、加熱コイル30A,30Bに通電すると、導電体である外側継手部材2および軸部材10の極表面付近に高密度の渦電流が発生し、そのジュール熱で外側継手部材2の外径面2aおよび軸部材10の外径面10aが発熱する。両外径面2a,10aが発熱し、両外径面2a,10aの温度がブーツ20の構成樹脂の分解温度以上になると、両外径面2a,10aにそれぞれ密着したブーツ20の大径筒部21の内径面21aおよび小径筒部22の内径面22aが分解されて泡が発生し、泡の周辺部分に高温の融液が生じる。そして、加熱コイル30A,30Bへの通電を停止すると、外側継手部材2および軸部材10が急冷され、また、高温の融液が生じたブーツ20も急冷されて固化する。これに伴い、ブーツ20の大径筒部21の内径面21aとこれに密着した外側継手部材2の外径面2aとの間、およびブーツ20の小径筒部22の内径面22aとこれに密着した軸部材10の外径面10aとの間にそれぞれ分子間力が生じ、密着した二面21a,2a(および22a,10a)同士を接合一体化した接合部9が形成される。
なお、ブーツ20の大径筒部21および小径筒部22に対する加熱コイル30A,30Bのはめあいは、すきまばめ(JIS B0401−2参照)としても構わないが、上記のようにしまりばめとすれば、高い接合強度を有する接合部9を形成する上で有利となる。
図1〜図3に示すように、本実施形態のブーツ20は、大径筒部21と蛇腹部23の間に設けられたヒンジ部24を一体に有し、大径筒部21は、ヒンジ部24を介して蛇腹部23と接続されている。ヒンジ部24は、内径面が径方向内側に膨出した断面略凹字状に形成されており、ブーツ20の外径面に開口した環状溝25を画成している。環状溝25は、(その溝底25aが)等速自在継手1が作動角をとるときの蛇腹部23の軸方向一方側の変形起点となる部位であり、環状溝25の溝底25aは、大径筒部21の外径面21bよりも径方向内側で、かつ大径筒部21の内径面21aよりも径方向外側に位置している。
ブロー成形等の型成形によって得られるブーツ20の成形性(離型性)を考慮し、環状溝25の画成面(溝底25aの軸方向両側に位置する面)25b,25cは、何れも、軸方向に対して直交した面に形成される。なお、環状溝25の画成面25b,25cの何れか一方又は双方は、径方向外側に向けて両面25b,25c間の離間距離(環状溝25の溝幅w)が拡大する方向に傾斜したテーパ面に形成しても良い。
上述したように、本発明に係るブーツ取付構造においては、ブーツ20の大径筒部21と蛇腹部23との間に、溝底25aが蛇腹部23の軸方向一方側の変形起点となる環状溝25を有するヒンジ部24が設けられ、環状溝25の溝底25aが、大径筒部21の外径面21bよりも径方向内側で、かつ大径筒部21の内径面21aよりも径方向外側に位置している。このような構成を採用した等速自在継手1が作動角をとると、図4に示すように、ブーツ20の蛇腹部23(蛇腹部23の軸方向一方側)は、環状溝25の溝底25a(図3参照)を変形起点として圧縮変形する。
上記態様で蛇腹部23が変形した場合、蛇腹部23の変形に伴って大径筒部21に作用する応力Fは、図4中に示すように軸方向に沿った成分を主体とするものになり、図7に示したような大径筒部21を引き剥がす方向の成分は大幅に減じられる。そのため、大径筒部21の内径面21aを外側継手部材2の外径面(円筒状外径面)2aに接合一体化することで形成された接合部9が破壊等され難くなり、外側継手部材2に対するブーツ20の大径筒部21の接合状態を安定的に維持することが、すなわちブーツ20が担保すべきシール性を安定的に維持することができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、外側継手部材2とブーツ20の大径筒部21とを接合一体化してなる接合部9の軸方向他方側の端部を、外側継手部材2のR部2bと円筒状外径面2aの軸方向他方側の端部2a1との接続点2cにおいて、ブーツ20のヒンジ部24の軸方向一方側の内径端部24aと一致させている。この場合、図4に示すように、等速自在継手1が作動角をとるのに伴ってブーツ20の蛇腹部23が変形しても、外側継手部材2の外径側への蛇腹部23の乗り上がりを防止することができる。これにより、外側継手部材2に対する大径筒部21の接合状態を一層安定的に維持することができる。以上の作用効果が相俟って、軽量・コンパクトでありながら、耐久寿命や信頼性に富む等速自在継手1を実現することができる。
なお、図3に示すように、ブーツ20に設けた環状溝25の溝深さd(大径筒部21の外径面21bと環状溝25の溝底25aとの離間距離)は、大径筒部21の肉厚の40%以上70%以下とするのが好ましい。溝深さdが大径筒部21の肉厚の40%未満であると、環状溝25が蛇腹部23の軸方向一方側の変形起点とならない可能性があり、溝深さdが大径筒部21の肉厚の70%よりも深いと、ヒンジ部24の強度が不足し、ヒンジ部24がブーツ20の破損起点となるおそれがあるからである。
また、環状溝25の溝幅wは、環状溝25の溝深さdの2倍以上4倍未満とするのが好ましい。溝幅wが溝深さdの2倍未満であると、環状溝25が蛇腹部23の変形起点とならない可能性があり、溝幅wが溝深さdの4倍よりも大きいと、蛇腹部23の変形起点が不安定化するからである。
以上、本発明の一実施形態に係るブーツ取付構造(を採用した等速自在継手1)について説明を行ったが、本発明の実施の形態はこれに限定されない。
例えば、図6に示すように、ブーツ20の大径筒部21の自由端(軸方向一方側の端部)21dを、外側継手部材2と軸方向で係合させても良い。ここでは、外側継手部材2の外径面に段差面2dを設け、この段差面2dにブーツ20の大径筒部21の自由端21dを当接(係合)させている。このようにすれば、外側継手部材2に対してブーツ20の大径筒部21を精度良く位置決めすることができるので、外側継手部材2と大径筒部21とを接合一体化した接合部9を精度良く形成することができる。
また、以上では特に言及していないが、樹脂ブーツ20が取付固定される被取付面Bとしての外側継手部材2の外径面2aおよび軸部材10の外径面10aは、パーカー処理(リン酸亜鉛化成処理)等の表面処理が施された面とすることができる。このような表面処理を施しておけば、被取付面Bに錆が発生するのを可及的に防止することができるので、錆の存在によって被取付面Bを正確に誘導加熱することができなくなり、所定の接合強度を具備した接合部9を形成できなくなる、といった不具合の発生を未然に回避することができる。
また、以上では、樹脂ブーツ20の被取付面Bとしての外側継手部材2の外径面2aおよび軸部材10の外径面10aを高周波誘導加熱によって加熱することにより、外側継手部材2とブーツ20の大径筒部21との間、および軸部材10とブーツ20の小径筒部22との間に接合部9を形成したが、上記二つの接合部9の何れか一方又は双方は、樹脂ブーツ20の被取付面Bにレーザビームを照射して被取付面Bを加熱することによって形成することもできる。
また、以上では、本発明に係るブーツの取付構造を、バーフィールド型の固定式等速自在継手1に適用したが、本発明に係るブーツの取付構造は、アンダーカットフリー型(UJ)等、公知のその他の固定式等速自在継手に適用することも可能である。また、本発明に係るブーツの取付構造は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手のみならず、角度変位および軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手に適用することもできる。摺動式等速自在継手としては、ダブルオフセット型(DOJ)、トリポード型(TJ)、クロスグルーブ型(LJ)などがある。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 等速自在継手
2 外側継手部材
3 内側継手部材
4 ボール
5 保持器
9 接合部
10 軸部材
10a 外径面
20 ブーツ(樹脂ブーツ)
21 大径筒部
21a 内径面
22 小径筒部
22a 内径面
23 蛇腹部
24 ヒンジ部
25 環状溝
25a 溝底
30 加熱コイル

Claims (8)

  1. 軸方向一方側および他方側の端部にそれぞれ設けられた円筒状の大径筒部および小径筒部と、前記大径筒部と前記小径筒部の間に設けられた弾性変形可能な蛇腹部とを一体に有する樹脂ブーツのうち、前記大径筒部の内径面を、等速自在継手の外側継手部材の外径面に接合一体化することにより、前記大径筒部が前記外側継手部材に取付固定された等速自在継手用ブーツの取付構造において、
    前記大径筒部と前記蛇腹部との間に、前記等速自在継手が作動角をとるときの前記蛇腹部の軸方向一方側の変形起点となる環状溝を有するヒンジ部が設けられ、前記環状溝の溝底が前記大径筒部の外径面よりも径方向内側に位置していることを特徴とする等速自在継手用ブーツの取付構造。
  2. 前記等速自在継手が作動角をとり前記ブーツの前記蛇腹部が圧縮変形した状態で、前記大径筒部に作用する応力が軸方向に沿った成分を主体とするものとなる請求項1に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  3. 前記環状溝の溝底が、前記大径筒部の内径面よりも径方向外側に位置している請求項1又は2に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  4. 前記環状溝の溝深さを、前記大径筒部の肉厚の40%以上70%以下とした請求項1〜3の何れか一項に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  5. 前記等速自在継手の作動角が0°の状態における前記環状溝の溝幅を、前記環状溝の溝深さの2倍以上4倍未満とした請求項1〜4の何れか一項に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  6. 前記大径筒部の内径面と前記外側継手部材の外径面とを接合一体化してなる接合部の軸方向他方側の端部と、前記ヒンジ部の軸方向一方側の内径端部とが一致している請求項1〜5の何れか一項に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  7. 前記大径筒部の自由端が、前記外側継手部材と軸方向で係合している請求項1〜6の何れか一項に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
  8. 前記樹脂ブーツが、熱可塑性ポリエステル系エラストマーを主成分とする樹脂材料で形成されている請求項1〜7の何れか一項に記載の等速自在継手用ブーツの取付構造。
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