JP2019138320A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents

車両の制御装置及び車両の制御方法 Download PDF

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帥 付
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Abstract

【課題】Highシフトを防止できる車両の制御装置及び車両の制御方法を提供する。【解決手段】車両100は、エンジン1と、エンジンの下流に設けられ、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プライマリプーリ及びセカンダリプーリとの間に巻きかけられたベルト23と、を有するバリエータ20と、コントローラ10と、を備える。コントローラは、イグニッションがOFFになった場合に、セカンダリプーリの油圧より先にプライマリプーリの油圧を低下させるように制御する制御部を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
特許文献1には、無段変速機構(バリエータ)から駆動輪への動力を断接する摩擦締結要素を有する無段変速機が開示されている。
国際公開第2013/151000号
このような無段変速機を備えた車両では、停車時に、次回の車両の発進時における発進性を良好にするために、バリエータの変速比を最Low状態にすることが求められる。
しかしながら、例えば、プライマリプーリの受圧面積がセカンダリプーリの受圧面積よりも大きく設定されている場合には、イグニッションがOFFになったときに、プライマリプーリ及びセカンダリプーリから作動油を同時に排出すると、プライマリプーリの推力がセカンダリプーリの推力よりも大きくなる。このようにプライマリプーリの推力がセカンダリプーリの推力よりも大きくなると、バリエータの変速比が最Low状態からHigh側にシフトした状態になり、そのままの状態で停止してしまうおそれがある。このようにバリエータの変速比がHigh側にシフトした状態で、イグニッションをONにし、その直後に車両を発進させるようとすると、駆動力の不足や無段変速機におけるベルト滑りが生じるおそれがある。なお、このようなHighシフトは、プライマリプーリの受圧面積とセカンダリプーリの受圧面積とが等しい場合であっても、流路の形状や長さの違いなどによっては発生する可能性がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、Highシフトの発生を抑制できる車両の制御装置及び車両の制御方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、駆動源と、駆動源の下流に設けられ、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、プライマリプーリ及びセカンダリプーリとの間に巻きかけられた無端環状部材と、を有するバリエータを備えた車両を制御する車両の制御装置は、イグニッションがOFFになった場合に、セカンダリプーリの油圧より先にプライマリプーリの油圧を低下させるように制御する制御部を有することを特徴とする。
この態様によれば、プライマリプーリの油圧をセカンダリプーリの油圧より先に低下させるので、バリエータのHighシフトを抑制できる。
本実施形態に係る制御装置を備えた車両の要部を示す図である。 本実施形態に係る油圧制御回路を示す図である。 本実施形態に係るHighシフト防止制御のフローチャートを示す図である。 本実施形態に係るHighシフト防止制御のタイミングチャートを示す図である。 本実施形態の変形例に係るHighシフト防止制御のフローチャートを示す図である。 本実施形態の変形例に係るHighシフト防止制御のタイミングチャートを示す図である。 比較例のタイミングチャートを示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、制御装置としてのコントローラ10を含む車両100の要部を示す図である。車両100は、エンジン1と、トルクコンバータ2と、バリエータ20と、副変速機構30と、車軸部4と、駆動輪5と、オイルポンプ6と、コントローラ10と、油圧制御回路11と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ10からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
トルクコンバータ2は、流体を介して動力を伝達する。トルクコンバータ2では、ロックアップクラッチ2aを締結することで、動力伝達効率を高めることができる。
バリエータ20と副変速機構30は、入力された回転速度を変速比に応じた回転速度で出力する。車軸部4は、減速ギヤ、差動装置及び駆動車軸を有して構成される。エンジン1の動力は、トルクコンバータ2、バリエータ20、副変速機構30及び車軸部4によって構成される動力伝達経路を介して駆動輪5に伝達される。
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、無端環状部材としてのベルト23と、を備える。バリエータ20は、プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22の溝幅をそれぞれ変更することで、ベルト23の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式の無段変速機構を構成している。以下では、プライマリをPRIと称し、セカンダリをSECと称す。
PRIプーリ21は、固定プーリ21aと、可動プーリ21bと、PRI室21cと、を有する。PRI室21cには、油圧制御回路11によって制御されたPRI圧が供給される。PRI圧が供給されることにより、可動プーリ21bが作動し、PRIプーリ21の溝幅がPRI圧に応じて変更される。
SECプーリ22は、固定プーリ22aと、可動プーリ22bと、SEC室22cと、を有する。SEC室22cには、油圧制御回路11によって制御されたSEC圧が供給される。SEC圧が供給されることにより、可動プーリ22bが作動し、SECプーリ22の溝幅がSEC圧に応じて変更される。バリエータ20では、PRI室21c(可動プーリ21b)の受圧面積は、SEC室22c(可動プーリ22b)の受圧面積よりも大きくなるように設定される。なお、SECプーリ22に復帰用のスプリングを設けてもよい。
ベルト23は、PRIプーリ21とSECプーリ22との間に巻き掛けられる。具体的には、ベルト23は、PRIプーリ21の固定プーリ21aと可動プーリ21bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ22の固定プーリ22aと可動プーリ22bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
ベルト23の支持は、PRI室21c及びSEC室22cに供給されるPRI圧及びSEC圧によって発生する油圧支持力であるベルト挟持力により確保される。
副変速機構30は有段変速機構であり、前進2段、後進1段の変速段を有する。副変速機構30は、前進用変速段として、1速と、1速よりも変速比が小さい2速を有する。副変速機構30は、バリエータ20の出力側(動力伝達経路における下流側)に直列に設けられる。
副変速機構30はバリエータ20とともに、自動変速機構3を構成する。バリエータ20と副変速機構30とは構造上、個別の変速機構として構成されてもよい。また、副変速機構30は、バリエータ20に直接接続されてもよく、ギヤ列など他の構成を介してバリエータ20に間接的に接続されてもよい。
また、副変速機構30は、締結要素として、Lowブレーキ31と、Highクラッチ32と、後進ブレーキ33と、を備える。Lowブレーキ31と、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33は、供給される油圧によって各締結トルク容量が制御され、締結、解放可能な油圧式クラッチである。Lowブレーキ31が締結され、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速となる。Highクラッチ32が締結され、Lowブレーキ31、及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さい2速となる。また、後進ブレーキ33が締結され、Lowブレーキ31、及びHighクラッチ32が解放されると、副変速機構30の変速段は後進となる。さらに、Lowブレーキ31、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30は動力遮断状態になり、自動変速機構3はニュートラル状態となる。
オイルポンプ6は、エンジン1により駆動されて、タンクTから吸い込んだ作動油を吐出する。オイルポンプ6から吐出された作動油は、油圧制御回路11を通じてバリエータ20や副変速機構30等に供給される。
油圧制御回路11は、オイルポンプ6が吐出した作動油の圧力を調整してバリエータ20や副変速機構30の各部位に伝達する。油圧制御回路11では、ライン圧、PRI圧、SEC圧、Lowブレーキ31、Highクラッチ32及び後進ブレーキ33の締結圧の調整等が行われる。
コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。具体的には、コントローラ10は、自動変速機構3を制御するATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等によって構成することもできる。なお、後述するHighシフト防止制御を実行する制御部とは、コントローラ10がHighシフト防止制御を実行する機能を仮想的なユニットとしたものであり、物理的な存在を意味するものではない。
コントローラ10には、バリエータ20の入力側の回転速度を検出するための入力側回転速度センサ41、バリエータ20の出力側の回転速度を検出するための出力側回転速度センサ42、副変速機構30の出力側の回転速度を検出する回転速度センサ43からの信号が入力される。コントローラ10には、この他、アクセル開度センサ44、ブレーキセンサ45、イグニッションスイッチ46、インヒビタスイッチ47、エンジン回転速度センサ48、油温センサ49、車速センサ50、PRI圧センサ68、SEC圧センサ69等からの信号も入力される。
アクセル開度センサ44は、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出する。アクセル開度APOは、運転者による加速要求を指標する。ブレーキセンサ45は、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検知する。ブレーキペダルの踏み込みは、運転者による減速要求を指標する。ブレーキセンサ45は、ブレーキペダルの踏力を表すブレーキ踏力を検出するものであってもよい。インヒビタスイッチ47は、セレクトレバーの位置を検出する。エンジン回転速度センサ48は、エンジン1の回転速度Neを検出する。油温センサ49は、自動変速機構3の油温を検出する。PRI圧センサ68は、PRI圧の実圧を検出する。SEC圧センサ69は、SEC圧の実圧を検出する。
コントローラ10は、これらの信号に基づき変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を油圧制御回路11に出力する。油圧制御回路11は、コントローラ10からの変速制御信号に基づき、ライン圧、PRI圧、SEC圧、副変速機構30の各締結要素の締結圧を制御するとともに、油圧経路の切り換えを行う。これにより、油圧制御回路11からバリエータ20及び副変速機構30の各部位に変速制御信号に応じた油圧が供給され、バリエータ20及び副変速機構30の変速比が、変速制御信号に応じた変速比すなわち目標変速比に変更される。
次に、図2を参照して、油圧制御回路11の構成について説明する。
図2に示すように、油圧制御回路11は、ライン圧調圧弁61と、パイロット圧弁(減圧弁)62と、PRI圧調圧弁63と、SEC圧調圧弁64と、ライン圧ソレノイド弁65と、PRIソレノイド弁66と、SECソレノイド弁67と、PRI圧センサ68と、SEC圧センサ69と、ライン圧流路71と、を備える。
オイルポンプ6から吐出された作動油は、ライン圧流路71に供給される。ライン圧調圧弁61は、ライン圧流路71から分岐した分岐流路72に設けられ、オイルポンプ6から吐出された作動油の圧力を調整してライン圧PLを生成する。ライン圧調圧弁61が調圧時にリリーフする作動油は、潤滑等に使用される。
パイロット圧弁62は、ライン圧流路71から分岐した分岐流路73に設けられる。パイロット圧弁62は、ライン圧PLを減圧する。減圧された作動油は、ライン圧ソレノイド弁65、PRIソレノイド弁66、SECソレノイド弁67、及び締結要素(Lowブレーキ31、Highクラッチ32、後進ブレーキ33)を制御する前後進切替機構(図示せず)等に供給される。
ライン圧ソレノイド弁65は、分岐流路73におけるパイロット圧弁62の下流に設けられる。ライン圧ソレノイド弁65は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた制御油圧を生成する。ライン圧ソレノイド弁65が生成した制御油圧は、ライン圧調圧弁61に供給される。ライン圧調圧弁61は、ライン圧ソレノイド弁65が生成した制御油圧に応じて作動することで調圧を行う。このため、ライン圧ソレノイド弁65への制御電流によってライン圧PLの指令値を設定することができる。
PRI圧調圧弁63は、ライン圧流路71から分岐した分岐流路74に設けられる。PRI圧調圧弁63は、ライン圧PLを調整してプライマリプーリ21のPRI室21cに供給する油圧を調整する。
PRIソレノイド弁66は、分岐流路73におけるパイロット圧弁62の下流に設けられる。PRIソレノイド弁66は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた制御油圧を生成する。PRIソレノイド弁66は、制御電流が0のときに全開状態になるノーマルオープン型のソレノイドバルブである。PRIソレノイド弁66が生成した制御油圧は、PRI圧調圧弁63にパイロット圧として供給される。PRI圧調圧弁63は、PRIソレノイド弁66が生成した制御油圧に応じて作動することで調圧を行う。このため、PRIソレノイド弁66への制御電流によってPRI室21cに供給する油圧(PRI圧)を調整することができる。本実施形態では、PRI圧調圧弁63及びPRIソレノイド弁66が、第1制御弁を構成する。
SEC圧調圧弁64は、ライン圧流路71から分岐した分岐流路75に設けられる。SEC圧調圧弁64は、ライン圧PLを調整してセカンダリプーリ22のSEC室22cに供給する油圧を調整する。
SECソレノイド弁67は、分岐流路73におけるパイロット圧弁62の下流に設けられる。SECソレノイド弁67は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた制御油圧を生成する。SECソレノイド弁67は、制御電流が0のときに全開状態になるノーマルオープン型のソレノイドバルブである。SECソレノイド弁67が生成した制御油圧は、SEC圧調圧弁64にパイロット圧として供給される。SEC圧調圧弁64は、SECソレノイド弁67が生成した制御油圧に応じて作動することで調圧を行う。このため、SECソレノイド弁67への制御電流によってSEC室22cに供給する油圧(SEC圧)を調整することができる。本実施形態では、SEC圧調圧弁64及びSECソレノイド弁67が、第2制御弁を構成する。
PRI圧センサ68は、分岐流路74におけるPRI室21cとPRI圧調圧弁63との間に設けられる。PRI圧センサ68は、PRI室21cに供給される油圧(PRI圧)を検出し、その検出信号をコントローラ10に送信する。
SEC圧センサ69は、分岐流路75におけるSEC室22cとSEC圧調圧弁64との間に設けられる。SEC圧センサ69は、SEC室22cに供給される油圧(SEC圧)を検出し、その検出信号をコントローラ10に送信する。
コントローラ10は、PRI圧センサ68によって検出されたPRI圧及びSEC圧センサ69によって検出されたSEC圧を用いて、PRIソレノイド弁66及びSECソレノイド弁67をフィードバック制御する。
ここで、イグニッションをOFFした時のバリエータ20の変速比の変化について、図7を参照しながら説明する。図7は、後述するHighシフト防止制御を行っていない比較例におけるバリエータ20の変化を示すタイムチャートである。
時刻t1において、イグニッションがOFFになると、PRIソレノイド弁66に印加される電流(以下では、「PRI電流」ともいう。)及びSECソレノイド弁67に印加される電流(以下では、「SEC電流」ともいう。)が0になる。これにより、PRIソレノイド弁66及びSECソレノイド弁67は全開状態になり、PRI圧調圧弁63及びSEC圧調圧弁64も全開状態になる。なお、コントローラ10からの指示はないが、PRIソレノイド弁66及びSECソレノイド弁67が全開状態になることにより、PRI圧の指示圧及びSECの指示圧は、見かけ上、上昇することになる。
また、イグニッションがOFFになると、エンジン1が停止するので、オイルポンプ6も停止する。このとき、PRI室21c及びSEC室22cが、ライン圧流路71と連通しているので、PRI圧調圧弁63、SEC圧調圧弁64、ライン圧調圧弁61等からのリークによって、PRI室21cの油圧(PRI圧)、SEC室22cの油圧(SEC圧)及びライン圧PLが低下する。
イグニッションがOFFになりエンジン1が停止しても、慣性によってバリエータ20は回転を続ける。このとき、本実施形態のバリエータ20のように、可動プーリ21b(PRI室21c)の受圧面積が可動プーリ22b(SEC室22c)の受圧面積よりも大きく設定されている場合には、PRI室21c及びSEC室22c内の作動油が同時に同じ速度で排出されると、SEC室22c内の油圧(SEC圧)が先に低下してしまう。このように、SEC室22c内の油圧(SEC圧)が先に低下してしまうと、バリエータ20の変速比が最Low状態からHigh側にシフトしてしまう(以下では、このようにバリエータ20の変速比がHigh側にシフトしてしまうことを単に「Highシフト」という。)。
このようなHighシフト状態で、車両100を再始動し、その直後に車両100を発進させると、駆動力が不足したり、ベルト23のベルト滑りが生じるおそれがある。なお、このHighシフトは、エンジン1の始動後、時間とともに解消される。具体的には、バリエータ20の変速比は、時間とともに最Low状態に復帰する。
そこで、本実施形態の車両100では、このようなバリエータ20のHighシフトを抑制するために、Highシフト防止制御を実行する。以下に、図3に示すフローチャートを参照しながら、コントローラ10(制御部)が実行するHighシフト防止制御について具体的に説明する。
まず、ステップS1において、コントローラ10は、イグニッションがOFFか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、イグニッションスイッチ46がOFFになったか否かを検出する。イグニッションがOFFと判定されれば、ステップS2に進み、イグニッションがONと判定されれば、ENDに進む。
ステップS2では、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66をOFFにする。具体的には、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66に印加するPRI電流を0にする。これにより、PRIソレノイド弁66からPRI圧調圧弁63に供給されるパイロット圧が上昇し、PRI圧調圧弁63が全開状態になる。PRI圧調圧弁63が全開状態になると、PRI圧調圧弁63やライン圧調圧弁61等からのリークによって、PRI室21cの油圧(PRI圧)が低下を開始する。
ステップS3では、コントローラ10は、SECソレノイド弁67をON状態に維持する。具体的には、コントローラ10は、SECソレノイド弁67に印加するSEC電流をイグニッションがOFFになる前と同じ値に維持する。
ステップS4では、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していれば、ステップS5に進み、所定時間が経過していなければ、ステップS4の判定を繰り返す。
ステップS5では、コントローラ10は、SECソレノイド弁67をOFFにする。具体的には、コントローラ10は、SECソレノイド弁67に印加するSEC電流を0にする。これにより、SECソレノイド弁67からSEC圧調圧弁64に供給されるパイロット圧が上昇し、SEC圧調圧弁64が全開状態になる。SEC圧調圧弁64が全開状態になると、SEC圧調圧弁64やライン圧調圧弁61等からのリークによって、SEC室22cの油圧(SEC圧)が低下を開始する。
このように、本実施形態のHighシフト防止制御では、イグニッションがOFFになると、コントローラ10は、まず、PRIソレノイド弁66をOFFにする。これにより、PRI圧調圧弁63が全開状態になり、PRI圧調圧弁63やライン圧調圧弁61等からのリークによって、PRI室21cの油圧が低下する。その後、所定時間が経過すると、コントローラ10は、SECソレノイド弁67をOFFにする。これにより、SEC圧調圧弁64が全開状態になり、SEC圧調圧弁64やライン圧調圧弁61等からのリークによって、SEC室22cの油圧が低下する。したがって、イグニッションがOFFになった場合に、セカンダリプーリ22のSEC室22cの油圧より先にプライマリプーリ21のPRI室21cの油圧を低下させることができる。よって、バリエータ20のHighシフトが抑制され、変速比が最Low状態に維持される。
次に、図4に示すタイミングチャートを参照して、Highシフト防止制御について説明する。なお、図4における実線は、本実施形態の特性を示しており、点線は、Highシフト防止制御を行わない場合の比較例の特性を示している。
時刻t1において、イグニッションがOFFになると、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66に印加されるPRI電流を0にする。これにより、PRIソレノイド弁66は全開状態になる。
イグニッションがOFFになると、エンジン1が停止するので、オイルポンプ6も停止する。これにより、PRI圧調圧弁63やライン圧調圧弁61等からのリークによって、PRI室21cの油圧が低下する。
なお、時刻t1において、コントローラ10は、電源の出力電圧を所定の値まで低下させる。所定の値は、イグニッションOFF後の各種動作に影響を与えない値であり、あらかじめ定められた値である。電源の出力電圧を所定の値まで低下させることによって、エネルギー消費を抑制できる。
所定時間経過すると、コントローラ10は、SECソレノイド弁67をOFFにする(時刻t2)。これにより、SECソレノイド弁67は全開状態になる。
上述のようにオイルポンプ6は停止しているので、SEC圧調圧弁64やライン圧調圧弁61等からのリークによって、SEC室22cの油圧が低下する。
このように、PRIソレノイド弁66をOFFにした後、SECソレノイド弁67をOFFにすることで、PRI室21cの油圧をSEC室22cの油圧より先に低下させることができる。これにより、バリエータ20のHighシフトを抑制でき、変速比を最Low状態に維持することができる。
つまり、本実施形態のHighシフト防止制御を実行することにより、変速比を最Low状態に維持することができるので、車両100の再始動後に、車両100を発進させる時に、駆動力が不足したり、あるいは、ベルト23のベルト滑りが生じることを防止できる。
なお、上記実施形態では、時刻t2において、SEC電流をOFFにするように制御していた。しかしながら、電源の出力電圧が0になると、SEC電流は0になるので、時刻t2において電源の出力電圧を0にするように制御してもよい。SEC電流をOFFにするように制御するのであれば、時刻t2以降に電源の出力電圧を0にしてもよい。
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態のHighシフト防止制御の変形例について説明する。
変形例では、Highシフト防止制御実行時に、合わせて掃除制御を実行する。以下に、この変形例について具体的に説明する。
図5は、変形例におけるHighシフト防止制御のフローチャートである。
まず、ステップS11において、コントローラ10は、イグニッションがOFFか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、イグニッションスイッチ46がOFFになったか否かを検出する。イグニッションがOFFと判定されれば、ステップS12に進み、イグニッションがONと判定されれば、ENDに進む。
ステップS12では、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66に対して掃除制御を実行する。具体的には、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66が全開と全閉に繰り返し切り換わるように、PRI電流を制御する。PRIソレノイド弁66が全開と全閉に繰り返し切り換わると、PRI圧調圧弁63も全開と全閉に繰り返し切り換わる。このとき、PRIソレノイド弁66及びPRI圧調圧弁63の弁体が、往復運動を繰り返す。このように、PRIソレノイド弁66及びPRI圧調圧弁63の弁体を往復運動させることにより、PRIソレノイド弁66及びPRI圧調圧弁63の摺動部やシール部に付着した異物等をこれらの弁を通過する作動油によって洗い流すことができる。本実施形態では、イグニッションOFF後に、コントローラ10がPRIソレノイド弁66及びPRI圧調圧弁63の弁体を往復させる制御を「掃除制御」という。また、イグニッションOFF後に、SECソレノイド弁67及びSEC圧調圧弁64の弁体を往復させる制御も、同様に、「掃除制御」という。なお、掃除制御は、弁体を少なくとも一往復させればよい。
ステップS13では、コントローラ10は、SECソレノイド弁67をON状態に維持する。具体的には、コントローラ10は、SECソレノイド弁67に印加するSEC電流をイグニッションがOFFになる前と同じ値に維持する。
ステップS14では、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していれば、ステップS15に進み、所定時間が経過していなければ、ステップS14の判定を繰り返す。
ステップS15では、コントローラ10は、SECソレノイド弁67に対して掃除制御を実行する。具体的には、コントローラ10は、SECソレノイド弁67が全開と全閉に繰り返し切り換わるように、SEC電流を制御する。SECソレノイド弁67が全開と全閉に繰り返し切り換わると、SEC圧調圧弁64も全開と全閉に繰り返し切り換わる。このとき、SECソレノイド弁67及びSEC圧調圧弁64の弁体が、往復運動を繰り返す。このように、SECソレノイド弁67及びSEC圧調圧弁64の弁体を往復運動させることにより、SECソレノイド弁67及びSEC圧調圧弁64の摺動部やシール部に付着した異物等をこれらの弁を通過する作動油によって洗い流すことができる。
ステップS16では、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していれば、ステップS17に進み、所定時間が経過していなければ、ステップS16の判定を繰り返す。
ステップS17では、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66及びSECソレノイド弁67をOFFにする。具体的には、コントローラ10は、PRI電流及びSEC電流を0にする。
このように、本変形例によれば、バリエータ20のHighシフトを抑制しつつ、PRI圧調圧弁63、SEC圧調圧弁64、PRIソレノイド弁66、及びSECソレノイド弁67の清掃を行うことができる。
次に、図6に示すタイミングチャートを参照して、この変形例について説明する。なお、図6における実線は、本変形例の特性を示しており、点線は、Highシフト防止制御及び掃除制御を行わない場合の比較例の特性を示している。
時刻t1において、イグニッションがOFFになると、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66に対して掃除制御を実行する。これにより、PRIソレノイド弁66及びPRI圧調圧弁63の弁体が、往復運動を繰り返す。PRI圧調圧弁63が全開状態のときには、PRI室21cが、ライン圧流路71と連通する。これにより、PRI圧調圧弁63やライン圧調圧弁61等からのリークによって、PRI室21cの油圧(PRI圧)が低下する。
また、時刻t1において、コントローラ10は、上記実施形態と同様に、電源の出力電圧を所定の値まで低下させる。
所定時間経過すると、コントローラ10は、SECソレノイド弁67に対して掃除制御を実行する(時刻t3)。これにより、SECソレノイド弁67及びSEC圧調圧弁64の弁体が、往復運動を繰り返す。SEC圧調圧弁64が全開状態のときには、SEC室22cが、ライン圧流路71と連通する。これにより、SEC圧調圧弁64やライン圧調圧弁61等からのリークによって、SEC室22cの油圧(SEC圧)が低下する。
さらに、所定時間経過すると、コントローラ10は、PRIソレノイド弁66及びSECソレノイド弁67の掃除制御を終了する(時刻t4)。具体的には、コントローラ10は、PRI電流及びSEC電流を0にするとともに、電源電圧の出力を0にする。
本変形例のように、Highシフト防止制御に加え掃除制御を実施しても、PRI室21cの油圧をSEC室22cの油圧より先に低下させることができる。よって、この変形例によれば、バリエータ20のHighシフトを抑制しつつ、PRI圧調圧弁63、SEC圧調圧弁64、PRIソレノイド弁66、及びSECソレノイド弁67の清掃を行うことができる。
上記実施形態では、可動プーリ21b(PRI室21c)の受圧面積が可動プーリ22b(SEC室22c)の受圧面積よりも大きく設定されている場合を例に説明した。しかしながら、可動プーリ22b(SEC室22c)の受圧面積と可動プーリ21b(PRI室21c)の受圧面積が等しい場合であっても、流路の形状や長さの違いなどによってSEC室22c内の油圧が先に低下してしまう場合には、このようなバリエータ20のHighシフトが発生する可能性がある。さらに、締結要素(前進クラッチ及び後進クラッチ)が、動力伝達経路におけるバリエータ20の上流側にのみある場合であっても、車速が0になっていない状態で、イグニッションがOFFにされてしまうと、駆動輪5の回転によってプライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22が回転するので、同様のHighシフトが発生するおそれがある。これらの場合にも、同様にHighシフト防止制御を実行することにより、変速比を最Low状態に維持することができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
車両100は、エンジン1と、エンジン1の下流に設けられ、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22との間に巻きかけられた無端環状部材(ベルト23)と、を有するバリエータ20と、コントローラ10と、を備える。
コントローラ10は、イグニッションがOFFになった場合に、セカンダリプーリ22の油圧より先にプライマリプーリ21の油圧を低下させるように制御する制御部を有する。
この構成では、PRI室21cの油圧をSEC室22cの油圧より先に低下させるので、バリエータ20のHighシフトを抑制し、変速比を最Low状態に維持することができる(請求項1、7に対応する効果)。
車両100は、プライマリプーリ21の油圧を制御する第1制御弁(PRI圧調圧弁63、PRIソレノイド弁66)と、セカンダリプーリ22の油圧を制御する第2制御弁(SEC圧調圧弁64、SECソレノイド弁67)と、をさらに備え、コントローラ10(制御部)は、イグニッションがOFFになった場合に、第1制御弁(PRI圧調圧弁63、PRIソレノイド弁66)を作動させてプライマリプーリ21の油圧の低下を開始させた後、第2制御弁(SEC圧調圧弁64、SECソレノイド弁67)を作動させてセカンダリプーリ22の油圧の低下を開始させる。
この構成では、第1制御弁(PRI圧調圧弁63、PRIソレノイド弁66)及び第2制御弁(SEC圧調圧弁64、SECソレノイド弁67)によって、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22の油圧を低下させるタイミングをそれぞれ制御することができるので、制御の精度が向上する(請求項2に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、イグニッションがOFFになった場合に、第1制御弁(PRI圧調圧弁63、PRIソレノイド弁66)の弁体(第1弁体)及び第2制御弁(SEC圧調圧弁64、SECソレノイド弁67)の弁体(第2弁体)を少なくとも一往復させる。
第1制御弁(PRI圧調圧弁63、PRIソレノイド弁66)の弁体(第1弁体)及び第2制御弁(SEC圧調圧弁64、SECソレノイド弁67)の弁体(第2弁体)少なくとも一往復させることで、これらの弁体の摺動部やシール部に付着した異物等を作動油によって洗い流すことができる(請求項3に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、イグニッションがOFFになった場合に、電源の出力電圧を所定の値まで低下させる。
電源の出力電圧を所定の値まで低下させることによって、エネルギー消費を抑制できる(請求項4に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、イグニッションがOFFになった場合に、所定時間経過すると、電源の出力電圧を0にするとともに、セカンダリプーリ22の油圧の低下を開始するように制御する。
電源の出力電圧を0にすることによってSEC電流を0にすることができる。このように制御することにより、SEC電流の制御を簡単にすることができる(請求項5に対応する効果)。
プライマリプーリ21の受圧面積は、セカンダリプーリ22の受圧面積よりも大きい。
プライマリプーリ21の受圧面積がセカンダリプーリ22の受圧面積よりも大きい場合には、Highシフトする可能性が高いので、Highシフト防止制御の有効性が高くなる(請求項6に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
また、上記実施形態では、PRI圧調圧弁63及びPRIソレノイド弁66によって、PRI圧を制御するようにしたが、1つの調圧弁(例えば、1つのソレノイド弁)によって制御するようにしてもよい。また、SEC圧調圧弁64及びSECソレノイド弁67についても、同様に1つの調圧弁(例えば、1つのソレノイド弁)によって制御するようにしてもよい。
1 エンジン (駆動源)
3 自動変速機構
6 オイルポンプ
10 コントローラ(制御装置、制御部)
11 油圧制御回路
20 バリエータ
21 プライマリプーリ
21a 固定プーリ
21b 可動プーリ
21c PRI室
22 セカンダリプーリ (12)
22a 固定プーリ
22b 可動プーリ
22c SEC室
23 ベルト(無端環状部材)
30 副変速機構
31 Lowブレーキ(締結要素)
32 Highクラッチ(締結要素)
33 後進ブレーキ(締結要素)
46 イグニッションスイッチ
63 PRI圧調圧弁(第1制御弁)
64 SEC圧調圧弁(第2制御弁)
66 PRIソレノイド弁(第1制御弁)
67 SECソレノイド弁(第2制御弁)
71 ライン圧流路
100 車両

Claims (7)

  1. 駆動源と、
    前記駆動源の下流に設けられ、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリ及び前記セカンダリプーリとの間に巻きかけられた無端環状部材と、を有するバリエータを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、
    イグニッションがOFFになった場合に、前記セカンダリプーリの油圧より先に前記プライマリプーリの油圧を低下させるように制御する制御部を有することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置において、
    前記車両は、
    前記プライマリプーリの油圧を制御する第1制御弁と、
    前記セカンダリプーリの油圧を制御する第2制御弁と、をさらに備え、
    前記制御部は、前記イグニッションがOFFになった場合に、前記第1制御弁を作動させて前記プライマリプーリの油圧の低下を開始させた後、前記第2制御弁を作動させて前記セカンダリプーリの油圧の低下を開始させることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記イグニッションがOFFになった場合に、前記第1制御弁の第1弁体及び前記第2制御弁の第2弁体を少なくとも一往復させることを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記イグニッションがOFFになった場合に、電源の出力電圧を所定の値まで低下させることを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記イグニッションがOFFになった場合に、所定時間経過すると、電源の出力電圧を0にするとともに、前記セカンダリプーリの油圧の低下を開始するように制御することを特徴とする車両の制御装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    前記プライマリプーリの受圧面積は、前記セカンダリプーリの受圧面積よりも大きいことを特徴とする車両の制御装置。
  7. 駆動源と、
    前記駆動源の下流に設けられ、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリ及び前記セカンダリプーリとの間に巻きかけられた無端環状部材と、を有するバリエータを備えた車両を制御する車両の制御方法であって、
    イグニッションがOFFになった場合に、前記セカンダリプーリの油圧より先に前記プライマリプーリの油圧を低下させることを特徴とする車両の制御方法。
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