JP2019138133A - 路面用装飾シート、グラフィック構成体の前駆体、グラフィック構成体シートの製造方法、及び路面用装飾シートの設置方法 - Google Patents

路面用装飾シート、グラフィック構成体の前駆体、グラフィック構成体シートの製造方法、及び路面用装飾シートの設置方法 Download PDF

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【課題】車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能とが向上した路面用装飾シートを提供する。【解決手段】本発明の一形態に係る路面用装飾シートは、接着層と、前記接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体と、グラフィック構成体を被覆し、ウレタン樹脂を含む表面コート層と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、路面に貼り付けられる路面用装飾シート、グラフィック構成体の前駆体、グラフィック構成体シートの製造方法、及び路面用装飾シートの設置方法に関する。
色、模様、または文字を施した床面や路面用装飾シートが知られている。装飾シートに描かれた文字や図形等の視認性を長期間維持するために、紫外線硬化樹脂といった材料を含む膜が装飾シートに設けられることがある。例えば、特許文献1には、画像を印刷したシール上に紫外線硬化型塗料の塗膜を形成し、その塗膜を紫外線照射装置によって硬化させる方法が開示されている。
特開2006−161525号公報
路面上には自動車などの車両が行き交っており、車両は、大型トラックをはじめとする車重の大きな自動車を含む。また、車両によっては、その停車中に装飾シート上で運転手がステアリングを操作する、すなわち、据え切りを行うことがある。つまり、路面に上記の装飾シートを施工した場合、装飾シートが車両のタイヤによって損傷を受けて凹みや歪みが生じ、文字や図形等の視認性が低下するおそれがある。従って、路面用として使用される装飾シートには、車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能が求められる。
本発明の一態様に係る路面用装飾シートは、接着層と、接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体と、グラフィック構成体を被覆し、ウレタン樹脂を含む表面コート層と、を有する。また、本発明の他の一態様に係る路面用装飾シートの設置方法は、路面上に、接着層と、接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体を設置する工程と、路面上に設置されたグラフィック構成体の表面に、ウレタン樹脂をコーティングする工程と、を有する。
本発明の一側面によれば、車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能とが向上した路面用装飾シートを提供することができる。本発明の他側面によれば、路面追従性が向上した路面用装飾シートを路面上に簡易に設置できる路面用装飾シートの設置方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係る路面用装飾シートの設置方法を示す流れ図である。 図3は、本発明の実施形態に係る路面上に設置された路面用装飾シートを示す平面図である。 図4は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。 図5は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。 図6は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。 図8の(a)、図8の(b)及び図8の(c)は、本発明の実施形態に係る再帰性反射層を含む意匠層の断面を模式的に示す図である。 図9の(a)は、本発明の実施形態に係るグラフィック構成体の前駆体の断面を模式的に示す図である。図9の(b)は、本発明の実施形態に係る意匠層が形成された印刷済の前駆体の断面を模式的に示す図である。図9の(c)は、本発明の実施形態に係るグラフィック構成体シートの断面を模式的に示す図である。 図10は、本発明の実施形態に係るグラフィック構成体シートの製造方法を示す流れ図である。 図11の(a)は、実施例12に係る再帰性反射性能の測定結果を示し、図11の(b)は、実施例13に係る再帰性反射性能の測定結果を示す。
一実施形態に係る路面用装飾シートは、接着層と、接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体と、グラフィック構成体を被覆し、ウレタン樹脂を含む表面コート層と、を有する。
この路面用装飾シートによれば、接着層によって路面上に路面用装飾シートが容易に設置され、また、意匠層によって文字や図形等といったデザインが容易に施され得る。意匠層上に設けられた表面コート層は、ウレタン樹脂を含むので、高い機械的強度と高いねじれ耐性とを有する。高い機械的強度により、高い表面強度が担保され、高いねじれ耐性により、高い耐据え切り性能が担保される。その結果、この路面用装飾シートは、車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能とを向上させることができる。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、ウレタン樹脂は、主剤としてのポリオール及び硬化剤としての多官能イソシアネートを有する2液型ウレタン樹脂組成物を含んでもよい。この路面用装飾シートによれば、ウレタン樹脂は、より高い機械的強度と高いねじれ耐性を与える。この路面用装飾シートは、車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能とをより向上させることができる。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、表面コート層は、防滑部材を有してもよい。この路面用装飾シートによれば、路面用装飾シート上を走行する車両のタイヤが滑り難くなる。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、意匠層は、インク受容層と、インク受容層を支持するための支持層とを有し、インク受容層は、支持層上に設けられてもよい。この路面用装飾シートはインク受容層を有するので、インク受容層上に文字や図形等が詳細に描かれ得る。また、インク受容層を支持する支持層によって路面の窪みや突起は吸収され、インク受容層上に描かれた文字や図形等の変形が低減される。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、支持層は、アルミニウム箔を含んでもよい。この路面用装飾シートによれば、支持層が、路面の窪みや突起をより吸収し、インク受容層上に描かれた文字や図形等の変形が低減される。
別の態様に係る路面用装飾シートは、表面コート層の上端部に再帰性反射部材を更に備えてもよい。この路面用装飾シートによれば、表面コート層の上端部に設けられ、表面コートから露出する再帰性反射部材によって、自動車の運転者等に対して、路面用装飾シートの視認性が向上する。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、再帰性反射部材は、ガラスビーズを含んでもよい。この路面用装飾シートによれば、再帰性反射部材は、ガラスビーズを含むので、再帰性反射において外部光の入射方向の変化による影響を受けにくくなり、自動車の運転者等に対する路面用装飾シートの視認性がより向上する。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、意匠層は、インク受容層と再帰性反射層とを更に有し、再帰性反射層は、インク受容層と接着層との間に配置されていてもよい。この路面用装飾シートによれば、再帰性反射層が、インク受容層と接着層との間、つまり、意匠層の下方に設けられてもよいので、路面用装飾シート内に入射した外部光が、意匠層のインク受容層を通過した後に再帰性反射層によって反射され、再びインク受容層を通過することができる。その結果、意匠層のインク受容層上に施された文字や図形等の自動車の運転者等に対する視認性が更に向上する。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、再帰性反射層は、再帰性反射部材を樹脂で囲む中間樹脂層と、中間樹脂層を被覆する反射蒸着層とを有し、反射蒸着層は、中間樹脂層と接着層との間に配置されていてもよい。この路面用装飾シートによれば、反射蒸着層が中間樹脂層と接着層との間に配置されていてもよいので、路面用装飾シート内に入射した外部光が、インク受容層及び中間樹脂層を通過した後に反射蒸着層によって反射され、再び中間樹脂層及びインク受容層を通過することができる。再帰性反射層の再帰性反射部材は、中間樹脂層において樹脂に囲まれることで安定して保持されることができる。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、再帰性反射層の再帰性反射部材は、ガラスビーズを含んでもよい。この路面用装飾シートによれば、再帰性反射部材は、ガラスビーズを含むので、再帰性反射において外部光の入射方向の変化による影響を受けにくくなり、自動車の運転者等に対する路面用装飾シートの視認性がより向上する。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、意匠層は、再帰性反射層を支持し、再帰性反射層と接着層との間に配置された支持層を更に有してもよい。この路面用装飾シートによれば、支持層が、路面の窪みや突起をより吸収し、再帰性反射層の変形及びが低減される。
一実施形態に係るグラフィック構成体の前駆体は、インク受容層及び支持層を含むプレ意匠層と、基材フィルム層と粘着層を有するバッキングフィルム層とを有し、バッキングフィルム層は該粘着層によりプレ意匠層と剥離可能に貼り合わせる。
このグラフィック構成体の前駆体によれば、バッキングフィルム層を有するので、インクジェットプリンタ等による印刷時に形状安定性が高く、鮮明にプレ意匠層に文字や図形等の印刷を施すことができる。また、バッキングフィルム層は、プレ意匠層に印刷を施して作製された意匠層から容易に剥離できるので、バッキングフィルム層を取り除いた後で、意匠層を路面上に簡便に設置することができる。
別の態様に係るグラフィック構成体の前駆体において、前駆体は、320mgfを超える剛軟度を有するとともに、粘着層は、0.5N/25mmより小さい接着力を有してもよい。
このグラフィック構成体の前駆体によれば、320mgfを超える剛軟度を有するので、印刷時にもシートの形状が安定し搬送を円滑にできる。また、バッキングフィルム層の粘着層は、0.5N/25mmより小さい接着力を有するので、プレ意匠層に文字や図形等を施す印刷を行った後に、印刷済の前駆体からバッキングフィルム層を容易に剥離できて、意匠層は、例えば接着層を介することによって路面上に簡便に設置することができる。
一実施形態に係るグラフィック構成体シートの製造方法は、インク受容層、支持層、及び粘着層を含むバッキングフィルム層を少なくともこの順に有するグラフィック構成体の前駆体を用いて、前駆体のインク受容層上に印刷を行って意匠層を形成する工程と、意匠層が形成された印刷済の前駆体よりバッキングフィルム層を剥離する工程と、を有する。
このグラフィック構成体シートの製造方法によれば、例えば工場内のプリンタによって、グラフィック構成体の前駆体を用いてインク受容層上に印刷を行って意匠層を形成することができる。意匠層の形成後に、人や車両が行き交う路面上まで印刷後の意匠層を含む前駆体を搬送し、この前駆体よりバッキングフィルム層を剥離してグラフィック構成体シートを取り出した後、路面上にグラフィック構成体シートを簡便に設置することができる。
一実施形態に係る路面用装飾シートの設置方法は、路面上に、接着層と、接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体を設置する工程と、路面上に設置されたグラフィック構成体の表面に、ウレタン樹脂をコーティングする工程と、を有する。
この路面用装飾シートの設置方法によれば、初めに柔軟性のあるグラフィック構成体を路面に設置した後に、被覆性の高いウレタン樹脂をコーティングすることで、装飾シートを形成するので、路面追従性が改善された路面用装飾シートを路面上に簡易に設置できる。
別の態様に係る路面用装飾シートにおいて、上記ウレタン樹脂をコーティングする工程において、上記ウレタン樹脂をコーティングする領域は、グラフィック構成体の周囲で、グラフィック構成体に覆われずに露出した路面部分を含んでもよい。
この路面用装飾シートの設置方法によれば、表面コート層は、グラフィック構成体上のみならず、グラフィック構成体の端部を含めて、グラフィック構成体の周囲を広く被覆されるので、路面用装飾シートの剥がれを効果的に抑制することができる。
本明細書において、「路面用装飾シート」とは、人や車両が行き交う道路や駐車場の路面に貼付され、文字や図形等によって交通標識や行先案内等を描いた装飾シートをいう。路面は、アスファルト、コンクリート、又は石材といった一般的な路面用材料によって構成される。「表面コート層」とは、コーティング法で形成された路面用装飾シートの表面に露出する面を有する層をいう。表面コート層の上を人や車両が行き交う。「意匠層」とは、主に路面用装飾シートに文字や図形等を含むデザインを付与するための層である。また、「接着層」とは、接着剤を含み、路面用装飾シートを路面に貼り付けるための層である。また、「グラフィック構成体」とは、表面コート層を有する前の「路面用装飾シート」であり、少なくとも接着層と、接着層上に設けられた意匠層とを有する構成体であり、独立して製造可能な物、それ自体を路面用装飾シートとして使用することも可能なものである。「グラフィック構成体の前駆体」とは、グラフィック構成体の意匠層を形成するために使用されるシート状の部材をいう。独立して製造可能な物である。「前駆体」は、プレ意匠層を含み、「プレ意匠層」は、インク受容層上に印刷を施す前の状態の意匠層に相当する。「バッキングフィルム層」とは、プレ意匠層の印刷時にプレ意匠層の形状を安定化させるために、プレ意匠層に対して剥離可能となるように接着され、印刷が完了した後に意匠層から剥離される層である。グラフィック構成体の前駆体の「剛軟度」とは、ガーリー式剛軟度試験で測定した値をいうものとする。なお、便宜的に、印刷済前駆体からバッキングフィルム層を剥離させて、実質的に意匠層のみの構成体のことをグラフィック構成体と区別するため、便宜的に「グラフィック構成体シート」と呼ぶものとする。グラフィック構成体シートも独立して製造可能な物である。
以下、図面を参照しながら、路面用装飾シートについて詳細に説明する。本説明において、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本実施形態では、図1、図3〜図7に対してX軸、Y軸、Z軸を設定しているが、これらの各軸は、説明のために便宜的に設定されており、路面用装飾シートの積層方向にZ軸が設定される。
図1は、実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。図1では、路面5上に貼付された路面用装飾シート1が描かれている。路面用装飾シート1は、表面コート層10、意匠層20、及び接着層30を備える。意匠層20は接着層30上に設けられ、グラフィック構成体16は、意匠層20と接着層30とを有する。グラフィック構成体16は、表面コート層10に覆われる。本実施形態では、接着層30が路面用装飾シート1の最下部に位置する。本実施形態において、「意匠層20は接着層30上に設けられ」とは、意匠層20が接着層30に隣接するように接着層30の上に設けられることを含み、また、意匠層20と接着層30と間に、例えば別の層を挟むように意匠層20が接着層30の上方に設けられることを含む。
表面コート層10は、耐溶剤性である架橋型の樹脂、特にウレタン樹脂を含む樹脂層13を備えている。ウレタン樹脂として公知の様々なウレタン樹脂を使用することができる。ウレタン樹脂はウレタン樹脂組成物を乾燥又は硬化して得ることができる。ウレタン樹脂組成物は水系であってもよく非水系であってもよい。ウレタン樹脂は2液型ウレタン樹脂組成物の硬化物であることが有利である。2液型ウレタン樹脂組成物は一般に非水系ウレタン樹脂組成物である。2液型ウレタン樹脂組成物は、一般に主剤としてのポリオール及び硬化剤としての多官能イソシアネートを含む。
ポリオールとして、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなどのポリエステルポリオール;シクロヘキサンジメタノールカーボネート、1,6−ヘキサンジオールカーボネートなどのポリカーボネートポリオール、及びそれらの組み合わせを使用することができる。これらのポリオールは透明性、耐候性、強度、耐薬品性などを表面コート層に付与することができる。特に、ポリカーボネートポリオールは高い透明性及び耐薬品性を有する表面コート層を形成することができる。
多官能イソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなど、及びこれらのポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。過度の架橋構造を形成せずに表面コート層に伸長性を付与する観点から、多官能イソシアネートはジイソシアネートであることが望ましい。そのようなジイソシアネートとして、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、trans,trans−、trans,cis−、及びcis,cis−ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート及びこれらの混合物(水添MDI)などの脂環式ジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネート、並びにこれらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、並びにこれらジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物(MDI)などの芳香族ジイソシアネート;1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物(XDI)、1,3−若しくは1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート又はその混合物(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
ポリオールとポリイソシアネートとの当量比は、一般に、ポリオール1当量に対して、ポリイソシアネートが約0.6当量以上、約0.7当量以上、約2当量以下、又は約1.2当量以下であってもよい。
樹脂層13の熱可塑性ウレタン樹脂は、さらに防滑部材を含むことができる。防滑部材としては、例えば無機材料又は有機材料で形成された粒子であり、非粘着性の略球状粒子を使用できる。具体的には、防滑部材として、アルミナ、シリカ、ガラス、その他の金属酸化物、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、又はウレタン樹脂で形成された粒子を用いることができる。耐溶剤性と耐強度性の点から、防滑部材として、ガラス粒子、例えばソーダライムガラス粒子が使用されることが好ましく、ソーダライムガラス14JISR3301の1号で規定されている粒度のものが使用できる。このソーダライムガラスの粒径は、例えば、100μm〜800μmである。熱可塑性ウレタン樹脂に占めるソーダライムガラス14の含有量は、例えば、0.1質量%以上、または10質量%以上であり、50質量%以下、または40質量%以下である。
表面コート層10は、ウレタン樹脂に加え、他の樹脂を更に含んでいてもよい。ウレタン樹脂以外の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、又はそれらの混合物などがある。表面コート層10は、路面用装飾シート1の外部から表面コート層10を通して意匠層20が視認されるような透明性を有する。なお、透明性とは、表面コート層10を通して反対側や内部に存在するものが透けて見えることを意味し、半透明も含まれる。
表面コート層10は、上端部11を備える。上端部11は、路面用装飾シート1の最上部に位置する。路面用装飾シート1は、表面コート層10の上端部11に再帰性反射部材12を更に備えることができる。再帰性反射部材12は、例えば、ガラスビーズ、ホワイトシリカ、及びガラスプリズムを含む。再帰性反射部材12は、例えば、表面コート層10の樹脂中に再帰性反射ビーズを散布することによって作製される。再帰性反射ビーズは、路面用装飾シート1の外部からの光を再帰反射するために、表面コート層10の樹脂から露出するように散布される。表面コート層10がガラスビーズを含むので、再帰性反射において外部光の入射方向の変化による影響を受けにくくなり、自動車の運転者等に対する路面用装飾シートの視認性がより向上する。
再帰性反射部材12は、表面コート層10上に再帰性反射シートを設けることによっても作製できる。再帰性反射シートは、例えば、市販のガラスビーズタイプあるいはプリズムタイプのシートである。ガラスビーズタイプ再帰性反射シートは、例えば、スコッチライトTM反射シート680シリーズ(スリーエム社製)である。
意匠層20は、例えば、支持層22、インク受容層24、及びインク層26を有する。支持層22、インク受容層24、及びインク層26は、この順に接着層30上に設けられる。
支持層22は、路面用装飾シート1が路面5に貼付された際に、路面5を構成するアスファルト等の成分を浸透させないような化学的安定性に優れる材料を含むことができる。また、支持層22は、路面用装飾シート1を路面5に貼付した際に、路面5の窪みや突起に追従できる延性に優れる材料を含むことができる。このような支持層22用の材料としては、例えば、アルミニウム、又はアルミニウム合金等の金属箔が挙げられる。支持層22の厚さは、例えば20μm〜200μmである。
支持層22によって路面5の窪みや突起は吸収され、インク受容層24上に形成されたインク層26の文字や図形等の変形が低減される。支持層22が、アルミニウム箔を含むことができるので、支持層22が、路面5の窪みや突起をより吸収し、インク受容層24上のインク層26によって描かれた文字や図形等の変形が低減される。
インク受容層24は、例えば、白色顔料を含む樹脂フィルム又はシートを有する。白色接着剤は、例えば、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、又はフッ素系ポリマーからなるフィルム又はシートを含む。これらの具体例の中では、印刷性の点から、特にアクリル系ポリマーが望ましい。白色顔料として、酸化チタンを含むアクリル粘着剤であってもよい。インク受容層24の厚さは、例えば、3μm〜500μmとすることができ、また、5μm〜300μmとすることもできる。
インク層26は、インク受容層24上において、インク、トナーなどの着色剤を用いた印刷技術によって形成される。印刷技術として、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、静電印刷、インクジェット印刷、又は熱転写印刷などが挙げられる。インク受容層24上のインク層26が、印刷画像を提供する。インク層26により、文字や図形等が詳細に描かれ得る。
上述の様々な印刷技術の中では、インクジェット印刷又は熱転写印刷によると、様々な画像を簡便に印刷でき、また、屋外耐候性を有するフルカラー印刷画像を提供できる。インクジェット印刷に使用されるプリンタとして、溶剤インクジェットプリンタ、UVインクジェットプリンタ又はシルクスクリーンなどが挙げられる。熱転写印刷に使用されるプリンタとして、熱溶融型熱転写プリンタ、昇華型熱転写プリンタなどが挙げられる。UVインクジェットプリンタとしては、具体的には、JV5インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)等があり、インクジェットプリンタ用のインクとしては、具体的には、ミマキ純正インク(ミマキエンジニアリング社製)等がある。
接着層30は、例えばポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、塩化ビニル系接着剤などの感熱接着剤から形成される感熱接着剤層とすることができる。これらの接着剤の中でも、耐候性と色味の観点から、アクリル系接着剤が好ましく、特に感熱接着剤であることが望ましい。
接着層30は、例えば、65℃における弾性率が0.3MPa以上となるように構成されている。接着層30の65℃における弾性率が0.3MPa以上であると、高温環境下(例えば50℃以上)において路面用装飾シート1を使用した場合でも、車両の据え切りによる装飾の歪みを抑制することができる。同様の観点から、接着層30の65℃における弾性率は、0.35MPa以上、あるいは0.4MPa以上とすることもできる。一方、加工性の観点から、接着層30の65℃における弾性率は、好ましくは10GPa以下、より好ましくは5GPa以下、更に好ましくは1GPa以下である。ここで、「弾性率」とは、昇温速度5℃/秒で測定した貯蔵弾性率(G’)を意味する。
このような接着層30は、例えばポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、塩化ビニル系接着剤などの感熱接着剤から形成される感熱接着剤層とすることができる。これらの接着剤の中でも、耐候性と色味の観点から、アクリル系接着剤が好ましく、特に感熱接着剤であることが望ましい。より具体的には、接着層30は、例えば、20℃においては粘着性を殆ど示さず、一方、100℃以上において粘着性を示す感熱接着剤層であることが望ましい。このような接着層30には、例えば、0℃以上のTgを有する第1のアクリルポリマーと、0℃未満のTgを有する第2のアクリルポリマーとを含有し、第1のアクリルポリマー100重量部に対し、第2アクリルポリマーを100重量部〜230重量部含有する接着剤を使用することが好ましい。さらに、接着剤は、65℃で固形であり、融点が80℃以上の粘着付与剤を含んでもよい。このような粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル、テルペンフェノール等を使用できる。なお、接着剤は、架橋剤を含まないことが好ましい。接着層30の厚さは、例えば30μm以上、又は50μm以上であり、200μm以下、又は150μm以下である。
本実施形態では、接着層30によって路面5上に路面用装飾シート1が容易に設置され、また、意匠層20によって文字や図形等といったデザインが容易に施され得る。意匠層20上に設けられた表面コート層10は、ウレタン樹脂を含むので、高い機械的強度と高いねじれ耐性とを有する。高い機械的強度により、高い表面強度が担保され、高いねじれ耐性により、高い耐据え切り性能が担保される。その結果、この路面用装飾シート1は、車両の大きな車重に対する表面強度と、停車中のステアリング操作に対する耐据え切り性能とを向上させることができる。
次に上記の路面用装飾シート1の意匠層20を形成するためのグラフィック構成体16について説明する。グラフィック構成体16は、意匠層20と接着層30とを含み、グラフィック構成体16に含まれる意匠層20は、少なくとも意匠層20の一部であるインク受容層24と、インク受容層24を支持するための支持層22とを備えることができる。支持層22は、アルミニウム箔を含むことができる。グラフィック構成体16の製造後に、路面上といった別の場所において、グラフィック構成体16の意匠層20が、ウレタン樹脂を含む表面コート層10に覆われることができる。接着層30は、意匠層20の表面コート層10とは反対側の表面に設けられる。
図2は、実施形態に係る路面用装飾シートの設置方法を示す流れ図である。この設置方法MT1では、初めに、グラフィック構成体16を製造した後に、グラフィック構成体16を路面5上に設置する(工程S1)。グラフィック構成体16は、接着層30によって路面5上に設置される。路面5は、アスファルト、コンクリート、又は石材を含む。グラフィック構成体16は、例えばゴムハンマーといった道具で叩かれることによって、路面5上に設置される。
本実施形態では、続いて、路面5上に設置されたグラフィック構成体16の表面16aに、表面コート層10が形成される(工程S2)。すなわち、工程2では、表面コート層10を形成するためのウレタン樹脂が、グラフィック構成体16の表面16a上、及び、グラフィック構成体16の周囲で、グラフィック構成体16に覆われずに露出した路面部分6上、すなわち、グラフィック構成体16が設置されていない路面部分6上にコーティングされる。その結果、表面コート層10が、グラフィック構成体16の表面16a上、及び路面部分6上に形成される。表面コート層10の上端部11には、再帰性反射部材12が更に備えることができる。再帰性反射部材12は、例えば、表面コート層10の硬化前のウレタン樹脂上に再帰性反射ビーズを散布することによって作製される。
なお、路面用装飾シート1を路面5上に貼付する際には、路面用装飾シート1を貼付する路面5上に、必要に応じて、路面接合層40を予め形成してもよい(図1を参照)。路面接合層40は、路面用装飾シート1の接着層30と共に、路面用装飾シート1を路面5に対してより強固に貼付するために設けられる。路面接合層40は、例えば接着層30に含まれる接着剤を含んでもよく、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、クロロプレン系接着剤等を含んでもよい。
図3は、実施形態に係る路面上に設置された路面用装飾シートを示す平面図である。路面用装飾シート1は、グラフィック構成体16と、グラフィック構成体16を覆う表面コート層10とを含む。グラフィック構成体16の形状は特に限定されず、ライン状、円形、長方形や正方形等の矩形、多角形、不定形等自由な形状をとることができ、そのサイズも限定されない。例えば、矩形のグラフィック構成体16を有する路面用装飾シート1では、グラフィック構成体16の第1の長さL1(X軸方向)は、例えば25〜10,000mmであり、グラフィック構成体16の第2の長さL2(Y軸方向)は、例えば25〜10,000mmである。表面コート層10の第3の長さL3(X軸方向)は、例えば27〜10,100mmであり、表面コート層10の第4の長さL4(Y軸方向)は、例えば27〜10,100mmである。表面コート層10は、グラフィック構成体16の周囲に露出する路面部分6上にも形成されており、路面部分6上の表面コート層10の第1の幅W1(X軸方向)は、例えば1〜50mmであり、路面部分6上の表面コート層10の第2の幅W2(Y軸方向)は、例えば1〜50mmである。
路面用装飾シートの設置方法MT1によれば、初めに柔軟性のあるグラフィック構成体16を路面5に設置した後に、被覆性の高いウレタン樹脂(ウレタン樹脂含有液を含む)をコーティングすることで、路面用装飾シート1を形成するので、路面追従性が改善された路面用装飾シートを路面5上に簡易に設置できる。また、表面コート層10のコーティング後、硬化前の表面コート層10上にガラスビーズ等の再規性反射材や防滑剤などを散布することで、表面コート層10の上端部11に簡易に固定することもできる。
また、工程S2において、ウレタン樹脂をコーティングする領域は、グラフィック構成体16の周囲で、グラフィック構成体16に覆われずに露出した路面部分6を含む。表面コート層10は、グラフィック構成体16上のみならず、グラフィック構成体16の端部を含めて、グラフィック構成体16の周囲を広く被覆されるので、路面用装飾シート1の剥がれを効果的に抑制することができる。
図4は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。図4では、路面5上に貼付された路面用装飾シート1pが描かれている。路面用装飾シート1pは、表面コート層10、意匠層20、及び接着層30を備える。意匠層20は接着層30上に設けられ、グラフィック構成体16は、意匠層20と接着層30とを有する。グラフィック構成体16は、表面コート層10に覆われる。接着層30が路面用装飾シート1pの最下部に位置する。なお、路面用装飾シート1pにおいて、路面用装飾シート1と同一の構造や要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
意匠層20は、支持層22、インク受容層24、及びインク層26を有し、更に、インク層26上にインク受容層28となりうる透明樹脂フィルムを有することができる。透明樹脂フィルムは、例えば、ポリ塩化ビニルやアクリル樹脂等で成形されるキャストフィルムであり、可視域で透明なフレキシブルフィルムである。なお、透明樹脂フィルムをインク受容層28として使用する場合は、透明樹脂フィルム上にインク層26を形成することができる。この場合は、インク受容層24は、インク受容層24としてではなく、白色粘着剤層として機能させることもできる。路面用装飾シート1は、透明樹脂フィルムをインク受容層として備えることで、インク受容層を備えていない態様に比べ、意匠層20に施された着色がより長期間保持される。
図5は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。図5では、路面5上に貼付された路面用装飾シート1qが描かれている。路面用装飾シート1qは、表面コート層10、意匠層20、及び接着層30を備える。意匠層20は接着層30上に設けられ、グラフィック構成体16は、意匠層20と接着層30とを有する。グラフィック構成体16は、表面コート層10に覆われる。接着層30が路面用装飾シート1qの最下部に位置する。なお、路面用装飾シート1qにおいて、路面用装飾シート1または路面用装飾シート1pと同一の構造や要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
路面用装飾シート1qの表面コート層10は、樹脂層13及び防滑層15を備えることができる。防滑層15は、例えば第1のビーズコート層17と第2のビーズコート層18とを備えることができる。第1のビーズコート層17は、例えば、粒径20μm〜60μmの粒子17Aと、粒子17Aを保持する防滑樹脂17Bとを備えている。第2のビーズコート層18は、粒径20μm〜60μmの粒子18Aと、粒子18Aを保持する防滑樹脂18Bとを備えている。粒子17Aまたは粒子18Aは、例えば、アルミナ、シリカ、ガラス、その他の金属酸化物、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、又はウレタン樹脂で形成された粒子を含む。これらの粒子は、防滑樹脂17Bまたは防滑樹脂18Bに塗布され、粒子の塗布重量は、例えば10g/m〜50g/mである。粒子17Aまたは粒子18Aは防滑部材の一例である。
防滑樹脂17B、18Bは、防滑層15に含まれる粒子17A、18Aを保持できる樹脂であれば、特にその種類は限定されない。防滑樹脂17B、18Bは、具体的には、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、又はそれらの混合物を含む。
路面用装飾シート1qの作製に際しては、防滑層15に含まれる粒子17A、18Aによって防滑層15の上面が起伏を有するので、この起伏上に形成される樹脂層13の表面にも起伏が形成され、凹凸のある表面コート層10が形成される(起伏は図示されていない)。路面用装飾シート1qでは、表面コート層10が粒子17A、18Aを含む防滑層15を有するので、路面用装飾シート1上を走行する車両のタイヤや歩行者が滑り難くなる。
図6は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。図6では、路面5上に貼付された路面用装飾シート1rが描かれている。路面用装飾シート1rは、表面コート層10r、意匠層20r、及び接着層30を備える。意匠層20rは接着層30上に設けられ、グラフィック構成体16rは、意匠層20rと接着層30とを有する。グラフィック構成体16rは、表面コート層10rに覆われる。本実施形態では、接着層30が路面用装飾シート1rの最下部に位置する。なお、路面用装飾シート1rにおいて、路面用装飾シート1と同一の構造や要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
表面コート層10rは、樹脂層13を備え、樹脂層13は、例えば、熱可塑性ウレタン樹脂を含む。樹脂層13の熱可塑性ウレタン樹脂は、さらに防滑部材を含むことができる。本実施形態の路面用装飾シート1rにおいては、路面用装飾シート1、路面用装飾シート1p及び路面用装飾シート1qと異なり、表面コート層10rは、再帰性反射部材を備えない。
意匠層20rは、例えば、再帰性反射層23r、インク受容層24、及びインク層26を有する。再帰性反射層23r、インク受容層24、及びインク層26は、この順に接着層30上に設けられることができる。再帰性反射層23rは、インク受容層24と接着層30との間に配置されることができる。
この路面用装飾シート1rによれば、再帰性反射層23rが、インク受容層24と接着層30との間、つまり、意匠層20rの下方に設けられてもよいので、路面用装飾シート1r内に入射した外部光が、意匠層20rのインク受容層24を通過した後に再帰性反射層23rによって反射され、再びインク受容層24を通過することができる。意匠層20rのインク受容層24を通過した外部光が、再帰性反射層23rによって反射されて再びインク受容層24を通過するので、インク受容層24上に施された文字や図形等の自動車の運転者等に対する視認性が更に向上する。
再帰性反射層23rは、例えば、再帰性反射部材12を樹脂で囲む中間樹脂層25と、中間樹脂層25を被覆する反射蒸着層27とを有する。反射蒸着層27は、例えば、中間樹脂層25と接着層30との間に配置されている。再帰性反射層23rの再帰性反射部材12は、中間樹脂層25において樹脂に囲まれることで安定して保持されることができる。
中間樹脂層25は、再帰性反射部材12を囲むことができる樹脂であれば、特にその種類は限定されない。中間樹脂層25は、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、又はそれらの混合物を含む。
反射蒸着層27は、例えば、アルミ蒸着膜、または銀蒸着膜等の金属蒸着膜を含む。反射蒸着層27は、再帰性反射部材12と共に、再帰性反射層23rの反射効率を更に向上させることができる。反射蒸着層27は、例えば、アルミニウム、銀の蒸着によって作製される。反射蒸着層27の厚さは、例えば、約10nm〜500nmである。
この路面用装飾シート1rによれば、反射蒸着層27が中間樹脂層25と接着層30との間に配置されていてもよいので、路面用装飾シート1r内に入射した外部光が、インク受容層24及び中間樹脂層25を通過した後に反射蒸着層27によって反射され、再び中間樹脂層25及びインク受容層24を通過することができる。その結果、インク受容層24上に施された文字や図形等の自動車の運転者等に対する視認性が向上する。
再帰性反射部材12は、例えば、ガラスビーズ、ホワイトシリカ、及びガラスプリズムを含む。再帰性反射部材12は、路面用装飾シート1rの外部からの光を再帰反射するための部材である。この路面用装飾シート1rによれば、再帰性反射部材12は、ガラスビーズを含むので、再帰性反射において外部光の入射方向の変化による影響を受けにくくなり、自動車の運転者等に対する路面用装飾シートの視認性がより向上する。
図7は、本発明の他の実施形態に係る路面用装飾シートの断面を模式的に示す図である。図7では、路面5上に貼付された路面用装飾シート1rが描かれている。路面用装飾シート1sは、表面コート層10s、意匠層20s、及び接着層30を備える。意匠層20sは接着層30上に設けられ、グラフィック構成体16sは、意匠層20sと接着層30とを有する。グラフィック構成体16sは、表面コート層10sに覆われる。本実施形態では、接着層30が路面用装飾シート1sの最下部に位置する。なお、路面用装飾シート1sにおいて、路面用装飾シート1と同一の構造や要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
表面コート層10sは、樹脂層13を備え、樹脂層13は、例えば、熱可塑性ウレタン樹脂を含む。樹脂層13の熱可塑性ウレタン樹脂は、さらに防滑部材を含むことができる。本実施形態の路面用装飾シート1sにおいては、路面用装飾シート1、路面用装飾シート1p及び路面用装飾シート1qと異なり、表面コート層10rは、再帰性反射部材を備えない。
意匠層20sは、例えば、支持層22、再帰性反射層23s、インク受容層24、及びインク層26を有する。支持層22、再帰性反射層23s、インク受容層24、及びインク層26は、この順に接着層30上に設けられることができる。支持層22は、例えば、再帰性反射層23sを支持し、再帰性反射層23sと接着層30との間に配置される。支持層22は、例えば、路面用装飾シート1の支持層22と同様の構造とすることができ、路面用装飾シート1sによれば、支持層22が、路面5の窪みや突起をより吸収し、再帰性反射層23sの変形及びが低減される。
再帰性反射層23sは、例えば、再帰性反射部材12を樹脂で囲む中間樹脂層25を有する。必要に応じて、再帰性反射層23sは、中間樹脂層25を被覆する反射蒸着層を更に有してもよい。反射蒸着層は、例えば、中間樹脂層25と支持層22との間に配置される。再帰性反射層23sは、中間樹脂層25を被覆する反射蒸着層を更に有さなくてもよく、路面用装飾シート1sは、反射蒸着層及び支持層22を除いて、路面用装飾シート1rと同様の構造を有し、同様の材料を有することができる。
図8の(a)、図8の(b)及び図8の(c)は、実施形態に係る再帰性反射層を含む意匠層の断面を模式的に示す図である。
図8の(a)に示される例では、意匠層20aにおいて、再帰性反射層23aは、例えば、再帰性反射部材12aと、再帰性反射部材12aを囲む中間樹脂層25aと、中間樹脂層25aを被覆する反射蒸着層27aとを有する。反射蒸着層27aは、例えば、中間樹脂層25aと接着層30aとの間に配置されている。
再帰性反射部材12aは、例えば、中間樹脂層25a内に再帰性反射のためのガラスビーズを分散することによって作製される。路面用装飾シートの外部からの光は、インク受容層24aと中間樹脂層25aとを通過後、再帰性反射部材12aによって反射され、再び、中間樹脂層25aとインク受容層24aとを通過後、外部に向けて再帰性反射される。ガラスビーズは、中間樹脂層25a内において、ほぼ単層と見做されるように分散されることができる。
反射蒸着層27aは、中間樹脂層25aの下面25dを被覆し、また、再帰性反射部材12aの形状に合わせた構造を有することができる。例えば、再帰性反射部材12aがガラスビーズを含むときには、ガラスビーズの球状に合わせた窪んだ構造を有することができる。
図8の(b)に示される例では、意匠層20bにおいて、再帰性反射層23bは、例えば、再帰性反射部材12bと、反射蒸着層27bと、空気層29bとを備える。反射蒸着層27b、再帰性反射部材12b、及び空気層29bは、この順に接着層30b上に設けられることができる。
再帰性反射層23bは、例えば、空気層29b内にバインダ部31bを有し、バインダ部31bは、インク受容層24bと接着層30bとを接合させることができる。バインダ部31bは、接着層30bと一体化した構造を有してもよい。バインダ部31bによって、空気層29bは、路面用装飾シート1の上を行き交う人や車両の重量に抗して、その空間を維持することができる。
再帰性反射部材12bは、再帰性反射のためのガラスビーズを稠密に支持体上に分散させた表面に金属を蒸着し、反射蒸着層27bを形成した後、支持体より剥離することによって作製される。蒸着する金属は、例えば、アルミニウム、銀である。路面用装飾シートの外部からの光は、インク受容層24bと、空気層29bとを通過後、再帰性反射部材12bによって反射され、再び、空気層29bと、インク受容層24bとを通過後、外部に向けて再帰性反射される。ガラスビーズは、中間樹脂層25a内において、ほぼ単層と見做されるように分散されることができる。
図8の(c)に示される例では、意匠層20rにおいて、再帰性反射層23cは、例えば、中間層32cと、空気層29cと、再帰性反射部材12cとを有する。中間層32c、空気層29c、及び再帰性反射部材12cは、この順に接着層30上に設けられることができる。中間層32cは、例えば、バインダ部31cを有し、バインダ部31cは、インク受容層24cと接着層30cとを接合させることができる。バインダ部31bは、接着層30cと一体化した構造を有してもよい。バインダ部31cによって、空気層29cは、路面用装飾シートの上を行き交う人や車両の重量に抗して、その空間を維持することができる。
再帰性反射部材12cは、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂といった熱可塑性樹脂を含む。再帰性反射部材12cとしては、例えば、三角錐形状を持つコーナキューブを使用してもよく、コーナキューブにかえて、フルキューブと呼ばれる再帰性反射部材を用いてもよい。これらコーナキューブやフルキューブは、例えば、金型を用いた成型によって作製される。再帰性反射部材12cの三角錐形状は、路面用装飾シートの外部からの光を再帰反射するための部材である。再帰性反射層23cは、再帰性反射部材12cと中間層32cとの間に空気層29cを有するので、この空気層29cによって、再帰性反射部材12cは全反射することができる。外部からの光は、インク受容層24cを通過後、再帰性反射部材12cによって反射され、再び、インク受容層24cを通過後、外部に向けて再帰性反射される。再帰性反射部材12cの下辺12fには、必要に応じて、アルミニウムといった金属を含む反射蒸着層が設けられてもよい。
図9の(a)は、実施形態に係るグラフィック構成体の前駆体の断面を模式的に示す図である。グラフィック構成体の前駆体50は、バッキングフィルム層52と、プレ意匠層54とを備える。バッキングフィルム層52は、例えば、基材フィルム層52aと粘着層52bとを含み、プレ意匠層54は、支持層54aとインク受容層54bとを含む。粘着層52bは、例えば、基材フィルム層52aと支持層54aとの間に設けられる。バッキングフィルム層52は、粘着層52bによって、支持層54aに剥離可能に接着される。
この前駆体50によれば、バッキングフィルム層52を有するので、インクジェットプリンタ等による印刷時に形状安定性が高く、鮮明にプレ意匠層54に文字や図形等の印刷を施すことができる。また、バッキングフィルム層52は、プレ意匠層54に印刷を施して作製された意匠層54pから容易に剥離できるので、バッキングフィルム層52を取り除いた後で、意匠層54pを路面5上に簡便に設置することができる。
また、前駆体50は、320mgfを超える剛軟度を有してよく、また、400mgf以上の剛軟度を有してもよい。前駆体50の剛軟度の上限は、使用材料によって任意に設定できて、前駆体50は、例えば、3000mgf以下の剛軟度を有してよく、また、2000mgf以下の剛軟度を有してもよい。バッキングフィルム層52の粘着層52bは、0.5N/25mmより小さな接着力を有してよく、また、0.2N/25mm以下の接着力を有してもよい。粘着層52bの接着力の下限は、使用材料によって任意に設定できて、粘着層52bは、0.05N/25mmより大きな接着力を有してよく、また、0.1N/25mm以上の接着力を有してもよい。
このグラフィック構成体の前駆体50によれば、320mgfを超える剛軟度を有するので、印刷時にもシートの形状が安定し搬送を円滑にできる。また、前駆体50は、400mgfを超える剛軟度を有してもよいので、印刷時の搬送を更に円滑にできる。バッキングフィルム層52の粘着層52bは、0.5N/25mmより小さい接着力を有するので、プレ意匠層54に文字や図形等を施した後に、印刷済の前駆体50p(図9の(b)を参照)からバッキングフィルム層52を容易に剥離できる。プレ意匠層54は、バッキングフィルム層52が取り除かれた後、接着剤等を用いて路面5上に簡便に設置することができる。また、バッキングフィルム層52の粘着層52bは、0.2N/25mm以下の接着力を有してもよいので、プレ意匠層54に文字や図形等の印刷を施した後に、印刷済の前駆体50pからバッキングフィルム層52を更に容易に剥離できる。
基材フィルム層52aは、例えば、PETフィルム、紙、塩ビフィルム、PPフィルム、又はPEフィルム等の各種シートを含む。基材フィルム層52aの厚さは、320mgfを超える剛軟度を有する前駆体50を実現できる厚さであればよく、例えば、PETフィルムであれば、30μm以上、50μm以上、または70μm以上とすることができ、また、400μm以下、300μm以下、または200μm以下とすることもできる。
粘着層52bは、例えば、アクリル粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、あるいはアクリルフォーム剤を含み、さらに、粘着性微粒子を含んでもよい。粘着性微粒子を含む場合は、粘着面に凹凸面を形成させるので、基材フィルム層52aと貼り合わせる際のエア抜け性に優れる。また基材フィルム層52aとの接触面積が少ないため接着力を下げることが容易である。アクリル粘着剤は、硬化剤の添加量や塗布重量を変えることで接着力の制御が容易である。例えば接着力を下げる場合には、硬化剤を増やし塗布重量を下げるとよい。粘着層52bの塗布重量は、例えば、100g/m以下、40g/m以下、または30g/m以下とすることができ、また、5g/m以上、6g/m以上、または7g/m以上とすることもできる。
この前駆体50によれば、基材フィルム層52aを含むので形状安定性があり、印刷時の搬送性に優れ、粘着層52bを含むので、支持層54aに対する粘着性と剥離性とに優れる。
支持層54aは、例えば、アルミニウム、又はアルミニウム合金等の金属箔を含む。支持層54aの厚さは、例えば、20μm〜200μmである。
インク受容層54bは、例えば、白色顔料を含む樹脂フィルム又はシートを有する。白色接着剤は、例えば、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、又はフッ素系ポリマーからなるフィルム又はシートを含む。インク受容層54bの厚さは、例えば、3μm〜500μmとすることができ、また、5μm〜300μmとすることもできる。
図9の(b)は、実施形態に係る意匠層が形成された印刷済の前駆体の断面を模式的に示す図である。印刷前の前駆体50に対して、印刷済の前駆体を以後、印刷済前駆体50pと称する。前駆体50のインク受容層54b上へのインク層54cの形成は、例えば、前駆体50をインクジェットプリンタ内に導入し、そのプリンタの印刷工程によって行なわれる。前駆体50は、インクジェットプリンタ内において、例えば、保持器56上に支持された上で、インクジェット印刷されることができる。インク層54cの形成後の意匠層54pは、支持層54aとインク受容層54bとインク層54cとを含む。印刷済前駆体50pは、バッキングフィルム層52と意匠層54pとを含む。本実施形態では、前駆体50は、バッキングフィルム層52を有するので、インクジェットプリンタ等による印刷時に形状安定性が高く、簡便かつ鮮明にプレ意匠層54に文字や図形等の印刷を施して意匠層54pを作製することができる。
図9の(c)は、実施形態に係るグラフィック構成体シートの断面を模式的に示す図である。グラフィック構成体シート58は、印刷済前駆体50pからバッキングフィルム層52を剥離させて、実質的に独立させた意匠層54pのことを示す。本実施形態では、印刷済前駆体50pは、インクジェットプリンタから取り出された後に、例えば、人の手によって、当該印刷済前駆体50pからバッキングフィルム層52を容易に剥離できる。バッキングフィルム層52の剥離によって、グラフィック構成体シート58の製造が完了する。本実施形態では、プレ意匠層54に文字や図形等の印刷を施した後に、印刷済前駆体50pからバッキングフィルム層52を容易に剥離できて、グラフィック構成体シート58は、例えば接着層30を介することによって路面5上に簡便に設置されることができる。
図10は、他の実施形態に係るグラフィック構成体シートの製造方法を示す流れ図である。グラフィック構成体シート58の製造方法MT2では、初めに、グラフィック構成体の前駆体50を準備する(工程STa)。この工程によって製造された製造物の断面図は、図9の(a)の断面図に対応する。グラフィック構成体の前駆体50は、インク受容層54b、支持層54a、及びバッキングフィルム層52を少なくともこの順に有する。バッキングフィルム層52は、粘着層52bを含む。
続いて、工程STaで準備した前駆体50を用いて、インク受容層54b上に印刷を行って意匠層54pを形成する(工程STb)。この工程によって製造された製造物の断面図は、図9の(b)の断面図に対応する。前駆体50は、例えばプリンタ内に搬送され、その後、前駆体50のインク受容層54b上に印刷がなされ、印刷済前駆体50pが製造される。印刷済前駆体50pは、意匠層54pを含む。
製造方法MT2では、続いて、意匠層54pが形成された印刷済前駆体50pよりバッキングフィルム層52を剥離する(工程STc)。この工程によって製造された製造物の断面図は、図9の(c)の断面図に対応する。バッキングフィルム層52の剥離は、例えば人の手によって行うことができる。印刷済前駆体50pよりバッキングフィルム層52が剥離された後、グラフィック構成体シート58の製造が完了する。グラフィック構成体シート58は、例えば、接着層30を用いて路面5上に設置されることができる。
このグラフィック構成体シートの製造方法MT2によれば、例えば工場内のプリンタによって、グラフィック構成体の前駆体50を用いてインク受容層54b上に印刷を行って意匠層54pを形成することができる。意匠層54pの形成後に、人や車両が行き交う路面5上まで印刷後の意匠層54pを含む印刷済前駆体50pを搬送し、印刷済前駆体50pよりバッキングフィルム層52を剥離してグラフィック構成体シート58を取り出した後、路面5上にグラフィック構成体シート58を簡便に設置することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例により、路面用装飾シートについて更に説明する。本発明は、下記例に制限されない。
実施例では、表1及び表2に示す材料を用いた。なお、表1及び表2における略称は、以下の化合物を意味する。
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
Figure 2019138133
Figure 2019138133
(実施例1)
[グラフィック構成体の作製]
(インク受容層の作製)
初めに、インク受容層用プレミックスを調製した。顔料PIG1とアクリルポリマーAP1とを溶剤メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させてプレミックス溶液を調製した。プレミックス溶液においては、顔料PIG1とアクリルポリマーAP1との樹脂固形分の比率を5:1とし、かつ、インク受容層用プレミックスに占める樹脂固形分の割合を66%とした。
続いて、プレミックス溶液にアクリルポリマーAP1、アクリルポリマーAP2、及び、タッキファイアーTF1を追加してインク受容層用溶液を調製した。インク受容層用溶液においては、アクリルポリマーAP1とアクリルポリマーAP2との樹脂固形分の比率を120:100とし、タッキファイアーTF1と、アクリルポリマーAP1及びアクリルポリマーAP2との樹脂固形分比を25:100とした。また、顔料PIG1と、アクリルポリマーAP1及びアクリルポリマーAP2との樹脂固形分比を20:100とした。
続いて、ナイフコート法によって、シリコーン処理されたポリエステルフィルム上にインク受容層用溶液を塗布した。ポリエステルフィルムの厚さは50μmであった。ポリエステルシート上のインク受容層用溶液を95℃の温度下で5分間乾燥させ、更に、155℃の温度下で3分間乾燥させて、ポリエステルシート上にインク受容層を作製した。作製されたインク受容層の厚さは80μmであった。
続いて、インク受容層を支持するため支持層として、厚さ50μmのアルミホイル(アルミニウム箔)を準備した。ポリエステルフィルムの反対側に位置するインク受容層の一面を介して、インク受容層をアルミホイルに貼り合せた。貼り合せは、熱ラミネーター法によった。ラミネーターのロール温度は90℃であった。アルミホイル上に支持されたインク受容層の厚さは80μmであった。熱ラミネーター法による貼り合わせの際には、インク受容層上のポリエステルフィルムを除去した。
(インク層の作製)
支持層の反対側に位置するインク受容層の他面上にインク層を形成した。インク層の形成には、UVインクジェットプリンタUJV500(ミマキ社製)を用いた。本実施例では、インク受容層の他面上に青色インクを塗布してインク受容層を形成した。青色インクは、インク受容層の他面上のほぼ全ての領域に塗布された。
(接着層の作製)
続いて、接着層として、コマーシャルパーキンググラフィックス用接着剤CPG Adhesive I(スリーエム社製)を準備した。アルミホイルからなる支持層の下面に接着剤CPG Adhesive Iを塗布して、接着層を備えるグラフィック構成体を作製した。支持層への接着層の塗布は、市販のペイントローラーを使って行い、塗布した接着層は、10分間室温下で乾燥させた。接着層の形成によって、路面用装飾シートのためのグラフィック構成体が作製された。
(路面上へのグラフィック構成体の設置)
本実施例では、グラフィック構成体を透水性アスファルト路面に設置した。グラフィック構成体を設置する前に、透水性アスファルト上に、路面接合層として接着剤CPG Adhesive Iを塗布し乾燥させた。接着層を備えるグラフィック構成体は、接着剤CPG Adhesive Iが塗布された透水性アスファルトに貼付された。この貼付は、グラフィック構成体をゴムハンマーで叩くことによって行われた。グラフィック構成体は、透水性アスファルトの窪みや突起にも追従するように貼り付けられた。
(ウレタン樹脂の作製)
ポリエステルポリオールのラージエリアESGA剤(アルテック社製)とポリイソシアネートの、ラージエリアESG B剤(アルテック社製)とを混合させたウレタン樹脂のための混合剤を調製した。ラージエリアESGA剤は100gとし、ラージエリアESG B剤は50gとした。混合剤をスパチュラで撹拌し、撹拌された混合剤をグラフィック構成体の上面上に塗布して表面コート層を形成した。混合剤の塗布は、市販のペイントローラーによって行い、混合剤は、グラフィック構成体の表面上、及び、グラフィック構成体の周辺部、すなわち、グラフィック構成体が設置されていない透水性アスファルト上にも塗布された。混合剤の塗布量は407g/mとした。グラフィック構成体の表面上における表面コート層の厚さは、ほぼ1mmであった。
(再帰性反射部材の作製)
透水性アスファルト上への塗布後、表面コート層には、再帰性反射部材が設けられた。表面コート層の上端部に再帰性反射ビーズNB−153(岳南光機社製)を散布した。再帰性反射ビーズNB−153は、JIS R3301 No.1で規定された粒径106〜850μmを有するガラスビーズである。ガラスビーズの屈折率は1.50〜1.64であり、散布量は160g/mであった。ガラスビーズを、表面コート層の上に略均一に散布した。表面コート層は、ガラスビーズが散布された後、一晩の間、室温下で養生された。表面コート層の養生後、実施例1に係る路面用装飾シートの透水性アスファルト上への施工が完了した。実施例1に係る路面用装飾シートは、幅250mm、長さ250mm、厚さ0.25mmのサイズを有する。なお、実施例1では、コンクリート上に施工した路面用装飾シートを更に準備した。
(白化衝撃試験)
白化衝撃試験は、路面用装飾シートの透水性アスファルト上への施工特性を確認するために行われた。透水性アスファルト上の路面用装飾シートに対してボルト形状のヘッドを有するハンマーで100回軽く叩き、表面コート層とインク層と間の剥がれによるシートの白化の有無を目視で確認した。ハンマーのヘッドの重さは、0.123kgであった。
(再帰性反射性能試験)
反射輝度計MIROLUX7(Potters−Ballotini社製)を用いて再帰性反射性能を測定した。反射輝度計は、投光器と受光器とを備え、投光器から路面用装飾シートの表面コート層に向けて光を照射した。この照射光は、表面コート層の再帰性反射ビーズによって再帰反射されて受光器に入射した。本実施例では、受光器への入射量から反射輝度(mcd/lx/m)を見積もった。再帰性反射性能試験では、コンクリート上に設置した路面用装飾シートを用いた。
(防滑性能試験)
試験機BritishPendulum Tester(MUNRO Instrument社製)を用いて、路面用装飾シート上に水を充分吹きかけた状態で防滑性能を測定した。試験機の振り子の先に付いた滑り片と路面用装飾シートの表面コート層との摩擦抵抗を測定して防滑性能(BPN)を見積もった。この見積もりは、規定ASTME303−93(2013)に準拠して行った。防滑性能試験では、コンクリート上に設置した路面用装飾シートを用いた。
(表面強度試験)
路面用装飾シートに対してナイフ形状のプローブを押し当てて、路面用装飾シートの意匠層に何らかのダメージが発生するときまでにプローブに加えた力を計測した。プローブに加えた力は、その最大値(N)をデジタルフォースゲージで読み取った。プローブは、V字状にカットされた鋭利な先端部を有し、先端部のV字開度は60度とした。表面強度試験では、透水性アスファルト(上に設置した路面用装飾シートを用いた。
(据え切り試験)
路面用装飾シートの中央部の上に車のタイヤを設置し、路面用装飾シート上でタイヤを回転させて据え切りと同様の動作を再現した。タイヤは、Sneaket215/65・R16(ブリジストン製)とした。路面用装飾シートにかかる荷重は5kNとした。タイヤを始点の方向から右回りに40度回転させて、始点の方向に戻した。この動作を1サイクルとした。続いて、タイヤを始点の方向から左回りに40度回転させて、始点の方向に戻し、これを2サイクルとした。続いて、1サイクルと同様の動作を行って3サイクルとした。以下、同様の動作を繰り返した。150サイクルを実施した後に、路面用装飾シートの意匠層の破損状況を目視で観察した。タイヤと接している路面用装飾シートの面積のうち、据え切りによって破損された面積の割合を見積もった。
(エッジ試験)
長さ300mm四方のコンクリート板を用意し、そのコンクリート板上に路面用装飾シートを2つ並べて貼付した。路面用装飾シートのサイズは、幅100mm、長さ270mmとした。2つの路面用装飾シートは、約30mmの間隔を空けて設置した。据え切り試験と同様に、路面用装飾シート上に車のタイヤを設置し、タイヤを回転させた。タイヤは、2つの路面用装飾シートの間に位置するように設置した。据え切り試験と同様に、タイヤの回転を150サイクルまで実施した後に、2つの路面用装飾シートの面積(54,000mm)のうち、据え切りによって剥離した面積の割合(%)を見積もった。
(実施例2)
実施例2では、意匠層が下記のインク受容層を有する他は、実施例1と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。
[グラフィック構成体の作製]
(インク受容層の作製)
インク受容層として、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)の粘着剤層を有さないフィルムを準備した。このフィルムは、ポリ塩化ビニルを含むキャストフィルムであり、可視域で透明なフレキシブルフィルムである。フィルムの厚さは50μmであった。本実施例では、このフィルム上にインク層を形成した。インク層の形成には、UVインクジェットプリンタUJV500(ミマキ社製)を用いた。グラフィックフィルムRG5333R上に青色インクを塗布してインク層を形成した。青色インクは、フィルム上のほぼ全ての領域に塗布された。このフィルム上へのインク層の形成によって、実施例2に係るインク受容層が作製された。
(インク受容層の搭載)
続いて、実施例1と同様に、インク受容層を支持層上に搭載した。このインク受容層の搭載は、熱ラミネート法により行った。ラミネート時のローラーの温度は、130℃であった。ラミネート後に、インク受容層を搭載した支持層を、温度95℃のオーブンに40分間入れた。オーブンからの取り出した後、実施例1と同様に、接着層を形成し、実施例2に係るグラフィック構成体を作製した。
(路面上へのグラフィック構成体の設置)
続いて、実施例1と同様に、グラフィック構成体を透水性アスファルト上に設置し、グラフィック構成体の表面上に表面コート層を設けた。また、実施例1と同様に、再帰性反射部材を作製し、実施例2に係る路面用装飾シートの透水性アスファルト上への施工を完了した。実施例2に係る路面用装飾シートのサイズは、実施例1に係る路面用装飾シートのサイズと同様とし、また、実施例1と同様に、コンクリート上に施工した路面用装飾シートを更に準備した。実施例2では、実施例1と同様に、白化衝撃試験、再帰性反射性能試験、防滑性能試験、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。
(実施例3)
実施例3では、実施例2に係るインク受容層に含まれる材料を変更した他は、実施例2と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。
(インク受容層の作製)
実施例3では、インク受容層のためのフィルムとして、以下の作成手順によって、フレキシブルなアクリルキャストフィルムを作製した。すなわち、初めに、アクリルポリマーAP1、アクリルポリマーAP3、架橋剤CL1を、それぞれの固形分の比率が100:110:0.22となるように混合した。混合には、TKオートホモミキサー(プライミクス社製)を用いた。続いて、混合後のインク受容層用溶液を、ナイフコート法によって、シリコーン処理されたポリエステルフィルム上に塗布した。ポリエステルフィルムの厚さは50μmであった。ポリエステルシート上のインク受容層用溶液を95℃の温度下で5分間乾燥させ、更に、155℃の温度下で2分間乾燥させて、ポリエステルシート上にインク受容層を作製した。作製されたインク受容層の厚さは50μmであった。
実施例3では、実施例1と同様に、白化衝撃試験、再帰性反射性能試験、防滑性能試験、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。
(比較例1)
比較例1では、路面用装飾シートとして、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−II(スリーエム社製)を準備した。このペイントフィルムCPG−IIのインク受容層には青色印刷を施した。なお、接着層は、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−II(スリーエム社製)で使用しているコマーシャルパーキンググラフィックス用接着剤CPG Adhesive I(以下、「接着剤CPG AdhesiveI」という)を準備した。この比較例1では、意匠層及び接着層とともに、予め表面コート層は、ビーズコートを含む防滑部材を有する表面層を有しており、実施例とは異なりウレタン樹脂のコーティング層は形成しない。
比較例1では、路面用装飾シートを実施例のグラフィック構成体と同様な方法で透水性アスファルト上とコンクリート上とに設置した。
比較例1では、実施例1と同様に、白化衝撃試験、再帰性反射性能試験、防滑性能試験、表面強度試験、据え切り試験、及びエッジ試験を行った。エッジ試験では、タイヤの回転を5サイクルまで実施した。
表3は、実施例1〜3及び比較例1に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示す。表3の試験結果の項目では、白化衝撃試験、再帰性反射性能試験、防滑性能試験、表面強度試験、据え切り試験、及びエッジ試験の評価結果が示されている。
表3において、白化衝撃試験の項目では、白化の有無を観察した結果、白化が見られなかったときに「A(合格)」と評価し、白化が見られたときに「B(不合格)」と評価した。表面強度試験の項目において、例えば、「>76.5」は、表面強度試験が76.5(N)以上であることを示している。据え切り試験では、見積もりの結果、破損された面積の割合が10%未満のときに「A(合格)」と評価し、破損された面積の割合が10%以上のときに「B(不合格)」と評価した。
Figure 2019138133
(実施例4)
実施例4では、表面コート層に防滑部材を設けた他は、実施例1と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。実施例4では、路面用装飾シートのためのグラフィック構成体上に防滑部材を備える。この防滑部材を備えるグラフィック構成体として、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−II(スリーエム社製)を準備した。このペイントフィルムCPG−IIには、印刷を施さなかった。
(接着層の作製)
続いて、接着層として、接着剤CPG AdhesiveI(スリーエム社製)を準備した。ペイントフィルムCPG−IIのアルミホイルからなる支持層の下面に接着剤CPG Adhesive Iを塗布して、接着層を備えるグラフィック構成体を作製した。支持層への接着層の塗布は、市販のペイントローラーを使って行い、塗布した接着層は、室温下で10分間乾燥させた。
本実施例では、グラフィック構成体をコンクリート上に設置した。グラフィック構成体を設置する前に、コンクリート上に、路面接合層として接着剤CPG AdhesiveIを塗布し乾燥させた。接着層を備えるグラフィック構成体は、接着剤CPG Adhesive Iが塗布されたコンクリートに貼付された。この貼付は、グラフィック構成体をゴムハンマーで叩くことによって行われた。
(表面コート層の作製)
ポリエステルポリオールのラージエリアESGA剤(アルテック社製)とポリイソシアネートの、ラージエリアESG B剤(アルテック社製)とを混合させたウレタン樹脂のための混合剤を調製した。ラージエリアESGA剤は100gとし、ラージエリアESG B剤は50gとした。混合剤をスパチュラで撹拌し、撹拌された混合剤をグラフィック構成体の表面上に塗布して表面コート層を形成した。混合剤の塗布は、市販のペイントローラーによって行い、混合剤は、グラフィック構成体の表面上、及び、グラフィック構成体の周辺部、すなわち、グラフィック構成体が設置されていない透水性アスファルト上にも塗布された。混合剤の塗布量は180g/mとした。グラフィック構成体(ペイントフィルムCPG−II)の表面上における表面コート層の厚さは、ほぼ1mmであった。
(再帰性反射部材の作製)
表面コート層には、実施例1と同様に、再帰性反射部材を設けた。表面コート層の上端部に再帰性反射ビーズNB−153(岳南光機社製)を散布した。再帰性反射ビーズNB−153は、JISR3301 No. 1で規定された粒径106〜850μmを有するガラスビーズである。ガラスビーズの屈折率は1.50〜1.64であり、散布量は160g/mであった。ガラスビーズは、表面コート層の上端部上に均一に散布された。表面コート層は、ガラスビーズが散布された後、一晩の間、室温下で養生された。表面コート層の養生後、実施例1に係る路面用装飾シートの透水性アスファルト上への施工が完了した。
実施例4では、実施例1と同様の条件で、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験を行った。
(実施例5)
実施例5では、再帰性反射部材を変更した他は、実施例4と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。再帰性反射ビーズとして、ガラスビーズHGB−153(Potters−Ballotini社製)を用いた。ガラスビーズの粒径は、106〜850μmであった。ガラスビーズの屈折率は1.9であり、散布量は160g/mであった。実施例5では、実施例4と同様に、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験を行った。
(実施例6)
実施例6では、再帰性反射部材を変更した他は、実施例4と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。再帰性反射ビーズとして、ホワイトシリカ20−40メッシュ品(山森土本鉱業所社製)を用いた。ホワイトシリカの粒径は0.4〜0.8mmであり、ホワイトシリカの散布量は80g/mであった。実施例6では、実施例4と同様に、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験を行った。
(実施例7)
実施例7では、再帰性反射部材を変更した他は、実施例4と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。再帰性反射ビーズとして、ホワイトシリカ20−40メッシュ品(山森土本鉱業所社製)と、再帰反射サンドコアエレメントR−SCERI 2.2−2.4(スリーエム社製)とを用いた。ホワイトシリカと、再帰反射サンドコアエレメントとの重量比は50:50とした。ホワイトシリカの粒径は0.4〜0.8mmであり、サンドコアエレメントの粒径は0.6〜1.7mmであった。ホワイトシリカ及びサンドコアエレメントの散布量は共に80g/mであった。実施例7では、実施例4と同様に、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験を行った。
(実施例8)
実施例8では、再帰性反射部材を変更した他は、実施例4と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。再帰性反射ビーズとして、ホワイトシリカ20−40メッシュ品(山森土本鉱業所社製)と、ガラスビーズHGB−153(Potters−Ballotini社製)とを用いた。ホワイトシリカと、ガラスビーズとの重量比は50:50とした。ホワイトシリカの粒径は0.4〜0.8mmであり、ガラスビーズの粒径は106〜850μmであった。ホワイトシリカ及びガラスビーズの散布量は共に80g/mであった。実施例8では、実施例4と同様に、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験を行った。
(比較例2)
比較例2では、路面用装飾シートとして、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−II(スリーエム社製)を準備した。このペイントフィルムCPG−IIには印刷を施さなかった。接着層として、接着剤CPG AdhesiveIを準備した。
表4は、実施例4〜6に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示し、表5は、実施例7、8、及び比較例2に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示す。表4及び5の試験結果の項目では、再帰性反射性能試験及び防滑性能試験の評価結果が示されている。表6及び7において、路面用装飾シートの構成(防滑部材、インク受容層、及び支持層)の項目において、「CPG−I」との表記は、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−I(スリーエム社製)を使用したことを意味する。
Figure 2019138133
Figure 2019138133
以下、本発明の実施例9〜11及び比較例3〜5により、路面用装飾シートについて更に説明する。なお、実施例9〜11及び比較例3〜5では、再帰性反射性能について評価しなかったので、再帰性反射部材は設けられていない。本発明は、下記例に制限されない。
(実施例9)
実施例9では、初めに、路面接合層としてステイマークTMプライマーP−48(スルーエム社製)をコンクリート上に塗布した。路面接合層の塗布には、ペイントローラーを用い、路面接合層を塗布した後、室温下で10分間乾燥した。続いて、グラフィック構成体としてサイドウォークフィルム(スコッチカルTMグラフィックフィルム、スリーエム社製)を用意し、サイドウォークフィルムを路面接合層が塗布されたコンクリート上に貼付した。この貼付は、サイドウォークフィルムをゴムハンマーで叩くことによって行った。サイドウォークフィルムは、実質的に、防滑部材、インク受容層、及び支持層を有する。
(表面コート層の作製)
実施例1と同様な条件で表面コート層を形成した。ポリエステルポリオールのラージエリアESGA剤(アルテック社製)とポリイソシアネートの、ラージエリアESG B剤(アルテック社製)とを混合させたウレタン樹脂のための混合剤を調製した。ラージエリアESGA剤は100gとし、ラージエリアESG B剤は50gとした。混合剤をスパチュラで撹拌し、撹拌された混合剤をグラフィック構成体の表面上に塗布して表面コート層を形成した。混合剤の塗布は、市販のペイントローラーによって行い、混合剤は、グラフィック構成体の表面上、及び、グラフィック構成体の周辺部、すなわち、グラフィック構成体が設置されていない透水性アスファルト上にも塗布された。混合剤の塗布量は180g/mとした。グラフィック構成体(サイドウォークフィルム)の表面上における表面コート層の厚さは、ほぼ1mmあった。
実施例9では、実施例1と同様の条件で、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を15サイクルまで実施した。
(実施例10)
実施例10では、グラフィック構成体として、ハイブリッドサイドウォークフィルム(スコッチカルTMグラフィックフィルム、スリーエム社製)を用いた他は、実施例9と同様に、路面用装飾シートをコンクリート上に設置した。ハイブリッドサイドウォークフィルムは、実質的に、防滑部材、インク受容層、及び支持層を有する。実施例10では、実施例9と同様に、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を15サイクルまで実施した。
(実施例11)
実施例11では、路面接合層として、プライマーDP−900N3(スリーエム社製)を用い、また、グラフィック構成体として、スコッチカルTMペイントフィルムCPG−I(スリーエム社製)を用いた他は、実施例9と同様に、路面用装飾シートをコンクリート上に設置した。スコッチカルTMペイントフィルムCPG−Iは、実質的に、防滑部材、インク受容層、及び支持層を有する。実施例11では、実施例9と同様に、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を15サイクルまで実施した。
(比較例3)
比較例3では、表面コート層を設けなかった他は、実施例9と同様に、路面用装飾シートをコンクリート上に設置した。比較例3では、実施例9と同様に、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を5サイクルまで実施した。
(比較例4)
比較例4では、表面コート層を設けなかった他は、実施例10と同様に、路面用装飾シートをコンクリート上に設置した。比較例4では、実施例9と同様に、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を5サイクルまで実施した。
(比較例5)
比較例5では、表面コート層を設けなかった他は、実施例11と同様に、路面用装飾シートをコンクリート上に設置した。比較例5では、実施例9と同様に、表面強度試験、及び据え切り試験を行った。据え切り試験では、タイヤの回転を5サイクルまで実施した。
表6は、実施例9〜11に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示し、表7は、比較例3〜5に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示す。表6及び7の試験結果の項目では、表面強度試験及び据え切り試験[コンクリート上]の評価結果が示されている。
表6及び7において、路面用装飾シートの構成(防滑部材、インク受容層、及び支持層)の項目において、「サイドウォーク」、「ハイブリッドサイドウォーク」及び「CPG−I」との表記は、サイドウォーク等に含まれる材料のうち、防滑部材、インク受容層、及び支持層の各々に該当する材料を使用したことを意味する。また、据え切り試験では、路面用装飾シートがコンクリート上から剥離しなかったときに「A(合格)」と評価し、路面用装飾シートがコンクリート上から剥離したときに「B(不合格)」と評価した。
Figure 2019138133
Figure 2019138133
以下、本発明の実施例12及び13により、路面用装飾シートについて更に説明する。本発明は、下記例に制限されない。
(実施例12)
(意匠層の作製)
初めに、厚さ50μmのJS1900用塩ビ透明シート(スリーエム社製)をプレサイズペーパーの上に準備した。次いで、プレサイズペーパー上に、アクリル樹脂(32質量%)と再帰性反射ガラスビーズ(68質量%)とからなる混合物のブタノール溶液をスラリーコートした。アクリル樹脂には、Elvacite2044(Lucite Japan社製)を用い、再帰性反射ガラスビーズには、5318 3635 Bead TILLOY(スリーエム社製)を用いた。再帰性反射ビーズは、粒径44〜62μmを有するガラスビーズである。ガラスビーズの屈折率は、2.1〜2.3であり、アクリル樹脂内の含有量は、126g/mあった。ガラスビーズは、アクリル樹脂内に略均一に分散された。スラリーコート後に、プレサイズペーパーを温度65℃で5分間乾燥させ、続いて、温度95℃で3分間乾燥させて、スラリーコート層を作製した。スラリーコート層は、再帰性反射部材を樹脂で囲む中間樹脂層のための層である。スラリーコート層の厚さは、120μmであった。
次に、蒸着装置EX200(ULVAC社製)を用いて、スラリーコート層上にアルミ蒸着層からなる反射蒸着層を形成した。本実施例では、反射蒸着層の厚さは、約100nmとした。アルミニウムの蒸着後、反射蒸着層を有するスラリーコート層を190mm×250mmの大きさにカットした。
次いで、インク受容層上にインク層を形成した。インク層の形成には、UVインクジェットプリンタUJV500(ミマキ社製)を用いた。JS1900用塩ビ透明シートのプレサイズペーバーを剥離した面の表面上にLUS−200インク(ミマキ社製)を塗布してインク層を形成した。インクは、フィルム上のほぼ全ての領域に塗布された。このフィルム上へのインク層の形成によって、本実施例に係る意匠層が作製された。
(グラフィック構成体の作製)
接着層として、接着剤CPG−Adhesive I(スリーエム社製)を準備した。続いて、反射蒸着層の下面に同様に接着剤CPG−Adhesive I(スリーエム社製)を塗布した。反射蒸着層への接着層の塗布は、市販のペイントローラーを使って行い、塗布した接着層は、10分間室温下で乾燥させた。接着層の形成によって、路面用装飾シートのためのグラフィック構成体が作製された。
(路面上へのグラフィック構成体の設置)
本実施例では、グラフィック構成体を95mm×250mmの大きさのシートに2分割し、それら2分割したグラフィック構成体をコンクリート板上に設置した。コンクリート板の大きさは、300mm×300mm×50mmとした。グラフィック構成体を設置する前に、接着剤CPG−Adhesive Iをコンクリート板上に塗布し、その後、室温で10分間乾燥させて、路面接合層を作製した。接着剤CPG−Adhesive Iを塗布するために、ハンドローラーを用いた。路面接合層の面積は、105mm×260mmとした。続いて、接着層を備えるグラフィック構成体を、路面接合層が設けられたコンクリート板上に貼付された。この貼付は、グラフィック構成体をゴムハンマーで叩くことによって行われた。グラフィック構成体は、コンクリート板の窪みや突起にも追従するように貼り付けられた。
(表面コート層の作製)
ポリエステルポリオールのラージエリアESGA剤(アルテック社製)とポリイソシアネートの、ラージエリアESG B剤(アルテック社製)とを混合させたウレタン樹脂のための混合剤を調製した。ラージエリアESGA剤は100gとし、ラージエリアESG B剤は50gとした。混合剤をスパチュラで撹拌し、撹拌された混合剤をグラフィック構成体の上面上に塗布して表面コート層を形成した。混合剤の塗布は、市販のペイントローラーによって行い、混合剤は、グラフィック構成体の表面上、及び、グラフィック構成体の周辺部、すなわち、グラフィック構成体が設置されていないコンクリート板上にも塗布された。混合剤の塗布量は310g/mとした。グラフィック構成体の表面上における表面コート層の厚さは、ほぼ1mmであった。表面コート層は、グラフィック構成体の周囲に露出するコンクリート板上にも形成されており、コンクリート板上の表面コート層の幅は、例えば5mm程度であった。表面コート層の作製は、混合剤の塗布後、室温下で一晩放置した後に完了した。表面コート層の作製によって、本実施例の路面用装飾シートの作製が完成した。
(グラフィックイメージ観察)
路面用装飾シートにおいて、グラフィックイメージを観察した。具体的には、スマートフォンiPhone7(登録商標、アップル社製)を用い、入射角約30度で、スマートフォンのフラッシュ光を照射しながら、路面用装飾シートの意匠層に描かれたインクジェットグラフィックイメージをスマートフォンで撮影した。撮影の結果、明るいグラフィックイメージが得られた場合に「良好(A)」と評価し、鈍いグラフィックイメージが得られた場合に「不良(B)」と評価した。
(再帰性反射性能試験)
路面用装飾シートをアルミ板に貼り付けて、再帰性反射性能の試験を行った。アルミ板の大きさは、210mm×150mm×0.5mmとした。再帰性反射性能の測定は、JISZ9117に従い、反射輝度(cd/lx/m)を見積もった。路面用装飾シートには、インクジェット印刷を施さなかった。
(据え切り試験)
路面用装飾シートをコンクリート材上に設け、また、路面用装飾シートの中央部の上に車のタイヤを設置した。続いて、路面用装飾シート上でタイヤを回転させて据え切りと同様の動作を再現した。タイヤは、NEXTRY215/65R16 98H(ブリジストン社製)とした。路面用装飾シートにかかる荷重は5kNとした。タイヤを始点の方向から右回りに40度回転させて、始点の方向に戻した。この動作を1サイクルとした。続いて、タイヤを始点の方向から左回りに40度回転させて、始点の方向に戻し、これを2サイクルとした。続いて、1サイクルと同様の動作を行って3サイクルとした。以下、同様の動作を繰り返した。10サイクル毎に、路面用装飾シートのグラフィックの破損状況を目視で観察した。タイヤと接している路面用装飾シートの面積のうち、据え切りによって破損された面積の割合を見積もった。300サイクル後に、破損された面積の割合が10%未満の場合を「良好(A)」とし、破損された面積の割合が10%以上の場合を「不良(B)」とした。
(実施例13)
本実施例では、ウレタン樹脂及び再帰性反射部材の作製を除いて、実施例1と同様の構成を有する路面用装飾シートを作製した。本実施例では、ウレタン樹脂の作製において、混合剤の塗布量を310g/mとし、再帰性反射部材の作製において、ガラスビーズの散布量を152g/mとした。また、本実施例では、実施例1と異なり、大きさ300mm×300mm×50mmのコンクリート上に路面用装飾シートを設置した。
図11の(a)は、実施例12に係る再帰性反射性能の測定結果を示し、図11の(b)は、実施例13に係る再帰性反射性能の測定結果を示す。これらの図では、入射角(deg、度)と反射輝度(cd/lx/m)との関係を示しており、観測角を0.20(deg)〜3.00(deg)の間で変化させている。実施例12では、観測角が3.00(deg)から0.20(deg)に増加するに従って、反射輝度が増大した。実施例13では、観測角が3.00(deg)から0.20(deg)に増加した場合も、反射輝度はほぼ一定値を示した。
表8は、実施例12及び13に係る路面用装飾シートの構成と試験結果を示す。グラフィックイメージ観察及び再帰性反射性能試験において、実施例12及び13は、共に、「A」評価であり、実施例12では、グラフィックイメージ観察及び再帰性反射性能試験が、共に、特に優れていた。
Figure 2019138133
以下、本発明の実施例及び比較例により、路面用装飾シートについて更に説明する。実施例14〜17及び比較例6では、表9〜表11に示す材料を用いた。なお、表9における略称は、以下の化合物を意味する。
IOA:アクリル酸イソオクチル
AA:アクリル酸
1,4−BDA:1,4−ブタンジオールジアクリレート
Figure 2019138133
Figure 2019138133
Figure 2019138133
(実施例14)
(バッキングフィルム層の作製)
初めに、第1コーティング溶液作製用溶液を準備した。この溶液は、表10に示す材料及び配合比を有する。第1コーティング溶液作製用溶液を50.02g、及びアクリルビーズを8.77g秤量し、カウレスミキサーを用いて1000rpmで5分間攪拌して、第1コーティング溶液を調整した。カウレスミキサーには、ホモディスパーモデル2.5(プライミクス社製)を用いた。
続いて、基材フィルムを準備し、この基材フィルムの第1面上に、ナイフコート法によって第1コーティング溶液を塗布した。第1コーティング溶液の塗布量は、乾燥重量に換算して、基材フィルムのフィルム面積3cm×15cmあたり0.082gとした。第1コーティング溶液を塗布した基材フィルムを温度65℃で2分間加熱して乾燥させ、続いて、温度95℃で1分間加熱して乾燥させ、更に、温度155℃で3分間加熱して乾燥させて、基材フィルムの第1面上にアクリルビーズ含有コート層を形成した。
次に、プライマーを準備し、基材フィルムの第1面の反対側に位置する第2面上に、ナイフコート法によって、プライマーを塗布した。プライマーを塗布した基材フィルムを温度65℃で1分間加熱して乾燥させて、基材フィルムの第2面上にプライマー層を形成した。
次に、第2コーティング溶液作製用溶液を準備した。この溶液は、表11に示す材料及び配合比を有する。第2コーティング溶液作製用溶液を40.08g、精製水を9.19g、及び第1硬化剤を1.94g秤量し、カウレスミキサーを用いて1000rpmで5分間攪拌して、第2コーティング溶液を調整した。カウレスミキサーには、ホモディスパーモデル2.5(プライミクス社製)を用いた。
続いて、プライマー層上に第2コーティング溶液をナイフコート法によって塗布した。第2コーティング溶液の塗布量は、乾燥重量に換算して、プライマー層の面積3cm×15cmあたり0.048gとした。第2コーティング溶液をプライマー層上に塗布した基材フィルムを温度65度で2分間加熱して乾燥させ、続いて温度95℃で3分間加熱して乾燥させて、粘着性微粒子含有アクリル粘着層をプライマー層上に形成した。粘着性微粒子含有アクリル粘着層のプライマー層上への形成によって、バッキングフィルム層が完成した。バッキングフィルム層は、アクリルビーズ含有コート層、基材フィルム、プライマー層、及び、粘着性微粒子含有アクリル粘着層をこの順に備える。
(意匠層の作製)
アルミ箔上に白色アクリル系インク受容層を形成して、フィルム状の意匠層を作製した。白色アクリル系インク受容層は、実施例1におけるインク受容層の作製と同様の手順によって作製された。
(グラフィック構成体の前駆体の作製)
本実施例では、バッキングフィルムの粘着性微粒子含有アクリル粘着層と、意匠層のアルミ箔とを貼り合せて、グラフィック構成体の前駆体を作製した。この前駆体は、バッキングフィルム層と意匠層とを備える。
表12は、実施例14に係るグラフィック構成体の前駆体の構成を示した表である。この表では、意匠層及びバッキングフィルム層に含まれる各層の厚さ又は単位面積当たりの質量が示されている。
Figure 2019138133
(剛軟度試験)
実施例14で作製したグラフィック構成体の前駆体をMD方向に1.5インチ(38.1mm)、CD方向に1インチ(25.4mm)となる大きさにカットして、試験片を準備した。MD方向(Machine Direction)とは、グラフィック構成体の前駆体が巻かれる方向(縦方向)を示し、CD方向(Cross Machine Direction)とは、縦方向に垂直な方向(横方向)を示す。
ガーリー式剛軟度試験機(TAPPIT 543 om−94参照)を用いて、試験片の剛軟度Sを測定した。剛軟度試験において、重りから振り子の回転軸までの距離Dは4インチ(101.6mm)、重りの質量Mは25g、試験片の長さLpは1インチ(25.4mm)、試験片の幅Wpは1インチ(25.4mm)とした。本実施例では、振り子の目盛Rを読み取って、式(1)を用いて、剛軟度Sを計算した。剛軟度試験を3回実施して、剛軟度Sは、その試験結果の平均値とした。
S=1000×(R×D×M×L )/(10×V×W)…(1)
式(1)において、Vは、試験片が接触するバーから振り子までの距離を示し、本実施例では、127.0mmである。Lは、試験片の長さLpを試験片の基準長Lsで除した値(Lp/Ls)であり、試験片の基準長Lsは、76.2mmである。Wは、試験片の幅Wpを試験片の基準幅Wsで除した値(Wp/Ws)であり、試験片の基準幅Wsは、25.4mmである。
(標準状態の接着力試験)
貼り合わせた標準状態(加熱養生前)のバッキングフィルムのアルミ箔層に対する接着力試験を行った。初めに、実施例14で作製したグラフィック構成体の前駆体をMD方向に150mm、CD方向に1インチ(25.4mm)となる大きさにカットして、試験片を準備した。続いて、各試験片の白色アクリル系インク受容層側をアルミ板に貼り付けた。アルミ板の大きさは、150mm×70mm×厚さ1mmとし、試験片のアルミ板への貼付は、両面テープによった。引張試験機(オリエンテック社製)を用いて、バッキングフィルムのアルミ箔層に対する剥離強度を調べた。剥離角度は180度、測定温度は20℃、剥離速度は300mm/分とした。剥離試験を2回行い、その剥離強度の平均値から接着力を算出した。
(加熱養生後の接着力試験)
加熱養生後のバッキングフィルムのアルミ箔層に対する接着力試験を行った。この試験では、初めに、標準状態における接着力試験と同様の手順によって、アルミ板に貼付された試験片を準備した。続いて、この試験片を温度65℃で7日間養生し、さらに温度20℃で1日静置した後、標準状態における接着力試験と同様の手順によって、加熱養生後での接着力を算出した。
(搬送性試験)
グラフィック構成体の前駆体を幅30cm×長さ1mの大きさにカットして試験片を準備した。続いて、大判インクジェットプリンタSOLJETPRO 4 XR640(ローランドDG社製)を用いて搬送性試験を行なった。この試験では、試験片の短辺側の端部をプリンタにセットし、フィード機能を使って搬送させて、試験片の外観の変化を目視で観察した。目視による試験の結果、(ア)試験片が平滑性を保つこと、(イ)プリンタのプラテンからの浮きや折れがないこと、(ウ)メディアジャムが発生しないことの3点が全て満たされたときに、「良好(A)」と評価した。目視による観察の結果、上記(ア)〜(ウ)のいずれか一つでも満たされなかったときには、「不良(B)」と評価した。なお、プラテンとは、インクを吹き付ける際に試験片を後ろから支えるプリンタ部位を示し、メディアジャムとは、試験片がインクを吐出するヘッドに引っかかり印刷動作が停止することを示す。
(印刷性試験)
搬送性試験によって「A」評価がなされたグラフィック構成体の前駆体について、幅30cm×長さ1mにカットして、試験片を準備した。準備した試験片に対しては、SOLJETPRO 4 XR640/ECO−SOL MAX2インク(ローランドDG社製)を用いて、印刷性試験を実施した。印刷性試験では、ベタ画像、CMYKのカラーバー、及び写真の3種類のデジタル画像を印刷した。ベタ画像は、インク濃度シアン67%、マゼンタ67%、イエロー67%、及び黒100%(合計301%)とした。印刷のためのプロファイルは、スコッチカルTMグラフィックフィルムIJ180Cv3−10(スリーエム社製)向けの条件である「IJ180Cv3−10」を用いた。印刷条件は、標準画質、解像度720×720dpi、双方向印刷、及びMax濃度Japanとした。また、温度条件は、プリヒーター40℃、プリントヒーター40℃、及びアフターヒーター50℃とした。印刷性試験では、印刷が問題なく完了した試験片に対して目視による観察を行い、良好な画質が得られているときに、「良好(A)」と評価した。良好な画質が得られていないときには、「不良(B)」と評価した。途中で印刷が停止した試験片に対しては、目視による観察を行うことなく、「不良(B)」と評価した。
(剥離性試験)
意匠層のバッキングフィルム層に対する剥離性試験を行った。剥離性試験では、印刷性試験によって「A」評価がなされた試験片に対して行った。具体的には、試験片の意匠層を下向きにし、また、試験片のバッキングフィルムを上向きにして試験片を作業台上に置き、試験片からバッキングフィルムを人の手によって剥離した。バッキングフィルム層を剥離した後の意匠層を目視によって観察し、意匠層の折れが少なくフィルムが平坦になるとき、「良好(A)」と評価した。一方、意匠層の折れ皺が多くフィルムが平坦にならないとき、「不良(B)」と評価した。表13は、実施例14〜17、及び比較例6に係る試験結果を示した表である。
Figure 2019138133
(実施例15)
実施例15では、意匠層として、実施例14と同様の手順により作製したフィルムを用い、バッキングフィルム層として、第1フィルムを用いた。本実施例のグラフィック構成体の前駆体は、白色塩化ビニルフィルム、アクリル粘着剤層、アルミ箔、及び白色アクリル系インク受容層をこの順に備える。表14は、実施例15に係るグラフィック構成体の前駆体の構成を示した表である。この表では、意匠層及びバッキングフィルム層に含まれる各層の厚さが示されている。
Figure 2019138133
(実施例16)
実施例16では、意匠層として、実施例14と同様の手順により作製したフィルムを用い、バッキングフィルム層として、第2フィルムを用いた。本比較例のグラフィック構成体の前駆体は、紙層、粘着剤層、アルミ箔、及び白色アクリル系インク受容層をこの順に備える。表15には、実施例16に係るグラフィック構成体の前駆体の構成及び各層の厚さが示されている。
Figure 2019138133
(実施例17)
実施例17では、意匠層として、実施例14と同様の手順により作製したフィルムを用い、バッキングフィルム層として、第3フィルムを用いた。本比較例のグラフィック構成体の前駆体は、透明OPPフィルム、アクリル粘着剤層、アルミ箔、及び白色アクリル系インク受容層をこの順に備える。表16には、実施例17に係るグラフィック構成体の前駆体の構成及び各層の厚さが示されている。
Figure 2019138133
(比較例6)
比較例6では、グラフィック構成体の前駆体は、意匠層のみを備える。意匠層は、実施例14と同様の手順により作製された。本比較例のグラフィック構成体の前駆体は、アルミ箔及び白色アクリル系インク受容層を備える。表17には、比較例6に係るグラフィック構成体の前駆体の構成及び各層の厚さが示されている。
Figure 2019138133
1、1p、1q、1r、1s…路面用装飾シート、5…路面、6…路面部分、10…表面コート層、11…上端部、12…再帰性反射部材、14…ソーダライムガラス、16…グラフィック構成体、17A、18A…粒子(防滑部材)、20…意匠層、22…支持層、24…インク受容層、30…接着層、50…グラフィック構成体の前駆体、52…バッキングフィルム層、54…プレ意匠層、54p…意匠層、54a…支持層、54b…インク受容層。

Claims (16)

  1. 接着層と、前記接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体と、
    前記グラフィック構成体を被覆し、ウレタン樹脂を含む表面コート層と、を有する、路面用装飾シート。
  2. 前記ウレタン樹脂は、主剤としてのポリオール及び硬化剤としての多官能イソシアネートを有する2液型ウレタン樹脂組成物を含む、請求項1記載の路面用装飾シート。
  3. 前記表面コート層上に、防滑部材を有する、請求項1又は2記載の路面用装飾シート。
  4. 前記意匠層は、インク受容層と、前記インク受容層を支持する支持層とを有し、
    前記インク受容層は、前記支持層上に設けられる、請求項1〜3のいずれか一項記載の路面用装飾シート。
  5. 前記支持層は、アルミニウム箔を含む、請求項4記載の路面用装飾シート。
  6. 前記表面コート層上に再帰性反射部材を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の路面用装飾シート。
  7. 前記再帰性反射部材は、ガラスビーズを含む、請求項6記載の路面用装飾シート。
  8. 前記意匠層は、インク受容層と再帰性反射層とを更に有し、
    前記再帰性反射層は、前記インク受容層と前記接着層との間に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の路面用装飾シート。
  9. 前記再帰性反射層は、再帰性反射部材を樹脂で囲む中間樹脂層と、前記中間樹脂層を被覆する反射蒸着層とを有し、
    前記反射蒸着層は、前記中間樹脂層と前記接着層との間に配置されている、請求項8記載の路面用装飾シート。
  10. 前記再帰性反射部材は、ガラスビーズを含む、請求項9記載の路面用装飾シート。
  11. 前記意匠層は、前記再帰性反射層を支持し、前記再帰性反射層と前記接着層との間に配置された支持層を更に有する、請求項8〜10のいずれか一項記載の路面用装飾シート。
  12. インク受容層及び支持層を含むプレ意匠層と、
    基材フィルム層と粘着層を有するバッキングフィルム層と、
    を有し、
    前記バッキングフィルム層は、該粘着層により意匠層と剥離可能に貼り合わせる、グラフィック構成体の前駆体。
  13. 前記前駆体は、320mgfを超える剛軟度を有するとともに、
    前記粘着層は、0.5N/25mmより小さい接着力を有する、請求項12記載のグラフィック構成体の前駆体。
  14. インク受容層、支持層、及び粘着層を含むバッキングフィルム層を少なくともこの順に有するグラフィック構成体の前駆体を用いて、前記前駆体の前記インク受容層上に印刷を行って意匠層を形成する工程と、
    意匠層が形成された印刷済の前駆体よりバッキングフィルム層を剥離する工程と、
    を有する、グラフィック構成体シートの製造方法。
  15. 路面上に、接着層と、前記接着層上に設けられた意匠層とを有するグラフィック構成体を設置する工程と、
    前記路面上に設置された前記グラフィック構成体の表面に、ウレタン樹脂をコーティングする工程と、を有する、路面用装飾シートの設置方法。
  16. 前記ウレタン樹脂をコーティングする工程において、前記ウレタン樹脂をコーティングする領域は、前記グラフィック構成体の周囲で、前記グラフィック構成体に覆われずに露出した路面部分を含む、請求項15に記載の路面用装飾シートの設置方法。
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