JP2019135090A - 複合フィルムシートおよびブリスター容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性とPTP開封性に優れる複合フィルムシートおよびブリスター容器を提供する。【解決手段】フッ素系樹脂フィルム11の片面に第1の接着剤層12を介して多層シート18が積層され、多層シート18は、第1の接着剤層12に接する面に積層された第1の表層13と、第1の接着剤層12に接する面とは反対側に積層された第2の表層17と、第1の表層13と第2の表層17との間に積層された中間層15とを含み、第1の表層13および第2の表層17は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のうち少なくとも1種を含み、中間層15は、ポリエチレン系樹脂を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、複合フィルムシートおよびブリスター容器に関する。
特許文献1には、水蒸気バリア性、酸素バリア性、加工性を有し、ブリスター包装に好適な多層箔として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)を用いた、PVC/PVDC/PCTFE/PVCの構成が開示されている。
特許文献2には、バイオマスの使用割合が高く、PTP(プレススルーパッケージ)やブリスター包装のボトム材として使用可能な積層体として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、バイオマスポリエチレン(bio−PE)、ポリプロピレン(PP)を用いた、PTFE/bio−PE/PPの構成が開示されている。
特表2012−507410号公報 特開2016−007792号公報
一般的に、水蒸気バリア性が優れている材料をPTPシートとして採用した場合、水蒸気バリア性の能力を高めるためには、PCTFEフィルムとPVCシートもしくはPPシートを積層させる必要がある。そのためにPTPシートが硬くなり、ポケットからの錠剤取り出し性を妨げていた。特に、多くの医薬品を取り扱う薬剤師にとっては、PTPからの錠剤の取り出しは、負担となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水蒸気バリア性とPTP開封性に優れる複合フィルムシートおよびブリスター容器を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、フッ素系樹脂フィルムの片面に第1の接着剤層を介して多層シートが積層され、前記多層シートは、前記第1の接着剤層に接する面に積層された第1の表層と、前記第1の接着剤層に接する面とは反対側に積層された第2の表層と、前記第1の表層と前記第2の表層との間に積層された中間層とを含み、前記第1の表層および前記第2の表層は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のうち少なくとも1種を含み、前記中間層は、ポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする複合フィルムシートを提供する。
前記第1の表層と前記中間層との間、および前記第2の表層と前記中間層との間は、それぞれ第2の接着剤層を介して接着されていてもよい。
前記中間層の厚みは、前記多層シートの厚みの20%〜95%の範囲であってもよい。
前記フッ素系樹脂フィルムを構成するフッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)のいずれかから選択されてもよい。
前記第1の接着剤層を構成する接着剤が、2液硬化型ポリエステル系樹脂であってもよい。
前記複合フィルムシートの水蒸気透過量が、JIS K7129Bに準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定したとき、0.35g/m・day以下であってもよい。
前記複合フィルムシートから、ポケット径をφ11.5mm、ポケット深さを4.5mm、成形物の厚みを一番薄いところで50μm以上としてPTPポケットを成形し、内容物として、直径8.2mm、厚さ4mmの錠剤を充填し、20μmのアルミ箔を蓋材として使用したときに、ポケット開封強度が18N以下であることが好ましい。
また、本発明は、上記の複合フィルムシートを用いて成形されたブリスター容器を提供する。
本発明によれば、水蒸気バリア性とPTP開封性に優れる複合フィルムシートおよびブリスター容器を提供することができる。
本発明の複合フィルムシートの一例を示す断面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に、本実施形態の複合フィルムシートの断面図を示す。本実施形態の複合フィルムシート10は、フッ素系樹脂フィルム11と多層シート18とを複合した材料である。
フッ素系樹脂フィルム11は、フッ素系樹脂からなるフィルムである。フッ素系樹脂フィルム11を構成するフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)のいずれか1種または2種以上が挙げられる。
多層シート18は、フッ素系樹脂フィルム11の片面に、第1の接着剤層12を介して積層されている。多層シート18は、厚さ方向の両面にそれぞれ積層された表層13,17と、これらの表層13,17の間に積層された中間層15とを含む。表層13,17および中間層15は、それぞれ樹脂を主体とする樹脂層であることが好ましく、樹脂成分以外に所望の添加剤成分を含有してもよい。
第1の表層13は、多層シート18が第1の接着剤層12に接する面に積層されている。第2の表層17は、多層シート18が第1の接着剤層12に接する面とは反対側に積層されている。第1の表層13および第2の表層17は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のうち少なくとも1種を含む。第1の表層13の材料または厚みと、第2の表層17の材料または厚みとが、互いに同一でも異なってもよい。
表層13,17は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主体とすることが好ましく、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を合計で50〜100重量%含むことが好ましい。それぞれの表層13,17が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のいずれか一方のみを含んでもよい。それぞれの表層13,17が、ポリエチレン系樹脂の少なくとも1種と、ポリプロピレン系樹脂の少なくとも1種とを含んでもよい。
中間層15は、第1の表層13と第2の表層17との間に積層されている。中間層15は、ポリエチレン系樹脂を含む。中間層15は、ポリエチレン系樹脂を主体とすることが好ましく、例えば50〜100重量%のポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。中間層15の厚みは、多層シート18の厚みの20%〜95%の範囲であることが好ましい。
表層13,17または中間層15を構成し得るポリエチレン(PE)系樹脂としては、例えば、高圧法等による低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等の少なくとも1種以上が挙げられる。PE系樹脂は、石油由来PE系樹脂、植物由来PE系樹脂(バイオマスポリエチレン)、またはこれらの混合物であってもよい。
表層13,17を構成し得るポリプロピレン(PP)系樹脂としては、プロピレンのホモポリマー(ホモポリプロピレン)、メタロセン系ポリプロピレン、ポリプロピレン系エラストマー、ブロックポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム(EPR)等の少なくとも1種以上が挙げられる。PP系樹脂は、石油由来PP系樹脂、植物由来PP系樹脂(バイオマスポリプロピレン)、またはこれらの混合物であってもよい。
第1の表層13と中間層15との間、および第2の表層17と中間層15との間は、それぞれ第2の接着剤層14,16を介して接着されている。第2の接着剤層14,16を構成する接着剤は、表層13,17と中間層15とを接着し得る樹脂であればよい。第1の表層13と中間層15との間の接着剤層14を構成する材料と、第2の表層17と中間層15との間の接着剤層16を構成する材料は、互いに同一でも異なってもよい。
例えば、それぞれの表層13,17がPP系樹脂で、中間層15がPE系樹脂の組み合わせである場合には、PPとPEとのブレンド樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。表層13,17と中間層15とが主にPE系樹脂である場合など、共押出し等により直接の貼り合わせが可能である場合には、第2の接着剤層14,16を省略してもよい。
第1の接着剤層12を構成する接着剤は、フッ素系樹脂フィルム11と第1の表層13とを接着し得る樹脂であればよい。このような接着剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられ、中でも、2液硬化型ポリエステル系樹脂が好ましい。2液硬化型の接着剤は、例えば、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等の硬化剤を用いて主剤の樹脂を硬化させるドライラミネート用接着剤であってもよい。主剤の樹脂は、硬化剤と反応可能な官能基を有するプレポリマーであってもよい。
本実施形態の複合フィルムシート10の製造方法は、第1の接着剤層12を用いてフッ素系樹脂フィルム11と第1の表層13とを接着する工程、第2の接着剤層14,16を用いて表層13,17と中間層15とを接着する工程等を任意の順序で組み合わせることができる。表層13,17と中間層15とを接着して多層シート18を作成した後、多層シート18とフッ素系樹脂フィルム11とを接着してもよい。
本実施形態の複合フィルムシート10は、水蒸気透過率が小さく、水蒸気バリア性に優れ、かつ、柔軟でPTPに加工した後も開封性に優れる。複合フィルムシート10の水蒸気透過量としては、JIS K7129Bに準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定したとき、0.35g/m・day以下が好ましい。
本実施形態の複合フィルムシート10は、第2の表層17を内側としてポケット状の凹部を成形し、凹部に内容物を収容した後、第2の表層17をシーラントとして蓋材をヒートシールすることにより、PTP等のブリスター容器の製造に用いることができる。内容物の種類は特に限定されず、医薬品、化粧品、食品、洗浄剤、電池、玩具、機械部品など任意である。
蓋材としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等の金属箔、グラシン紙、樹脂フィルム等が挙げられる。基材が、2種以上の材料を含む積層体から構成されてもよい。蓋材の片面には、複合フィルムシートとの接合を容易にするため、ヒートシール剤やシーラント樹脂等の封止層がコーティングされてもよい。封止層を構成する材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
従来のPTPシートのように、フッ素系樹脂フィルムとPVCシートもしくはPPシートを積層させた場合は、PVCシートもしくはPPシートのためにPTPシートが硬くなり、ポケットからの錠剤取り出し性が低下する。錠剤取り出し性を改善するために、単純にPPシートの厚みを薄くすると、PTPシートの総厚みが薄くなり、成形機械適性が低下したり、成形後の搬送でPTP成形物が変形したりすることがある。本実施形態の複合フィルムシート10は、フッ素系樹脂フィルム11に積層される多層シート18が、中間層15にPE系樹脂を含むため、複合フィルムシート10の総厚みが薄くならず、成形機械適性が維持される。
ブリスター容器をPTP用途に用いる場合は、ポケット径をφ11.5mm、ポケット深さを4.5mm、成形物の厚みを一番薄いところで50μm以上としてPTPポケットを成形し、内容物として、直径8.2mm、厚さ4mmの錠剤を充填し、20μmのアルミ箔を蓋材として使用したときに、ポケット開封強度が18N以下であることが好ましい。なお、この開封強度の測定条件は、開封強度を比較するための統一的な条件であって、ブリスター容器の用途を限定するものではない。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
PP層、PE層、PP層の3層を接着剤層を介して溶融押出し積層することにより、PP層/接着剤層/PE層/接着剤層/PP層の5層からなる多層シートを作製した。このとき、多層シートの厚みは250μmであり、PE層の厚みは200μmであった。多層シートの片面に、2液硬化型ポリエステル系樹脂を介してPCTFEフィルム(厚み51μm)を貼り合わせ、実施例1の複合フィルムシートを得た。
(実施例2)
多層シートの厚みを250μmとし、PE層の厚みを100μmとし、実施例1に示す方法で複合フィルムシートを得た。
(実施例3)
多層シートの厚みを250μmとし、PE層の厚みを50μmとし、実施例1に示す方法で複合フィルムシートを得た。
(比較例1)
PCTFEフィルムの片面にPPシートを貼り合わせ、比較例1の複合フィルムシートを得た。PPシートの厚みは、実施例1で作製した多層シートの厚みと同等にした。
(比較例2)
PCTFEフィルムの片面にPVCシートを貼り合わせ、比較例2の複合フィルムシートを得た。PVCシートの厚みは、実施例1で作成した多層シートの厚みと同じにした。
(PTP容器)
実施例1〜3および比較例1、2の複合フィルムシートから、ポケット径をφ11.5mm、ポケット深さを4.5mm、成形物の厚みを一番薄いところで50μm以上としてPTPポケットをプラグ成形し、内容物として、直径8.2mm、厚さ4mmの錠剤を充填し、20μmのアルミ箔を蓋材として使用して、PTP容器を作製した。
(開封強度の測定方法)
島津製作所製オートグラフ(登録商標)AG−Xを用いて、φ5mm径のステンレス円柱棒を、10mm/minの速度でPTPのポケット上方より力を加え、PTPのポケットを押しつぶした時、PTPシートのアルミ箔が破断する時点の力を開封強度として計測した。このときPTPポケット部分の下には、φ14mmの径の孔をあけた金属板を置き、錠剤がポケットから下に落ちるようにした。
実施例1〜3および比較例1、2について、PTP容器の開封強度を測定した結果を表1に示す。また、複合フィルムシートの水蒸気透過量は、JIS K7129Bに準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した結果を記す。
Figure 2019135090
実施例1〜3は、いずれも開封強度が18N以下であった。それに対して、比較例1は24N、比較例2は28Nであった。一般的には、開封強度は、数値が低い方が中身を取り出す時に感じる抵抗が少なく、ポケットは軟らかいとされている。実施例1〜3はいずれもポケットは軟らかいと結論づけられ、中身を取り出す時の抵抗感は少ない。
水蒸気透過量は、実施例1〜3について、多層シートにPE層が存在することによる性能の大幅な低下は見られなかった。
10…複合フィルムシート、11…フッ素系樹脂フィルム、12…第1の接着剤層、13…第1の表層、14,16…第2の接着剤層、15…中間層、17…第2の表層、18…多層シート。

Claims (8)

  1. フッ素系樹脂フィルムの片面に第1の接着剤層を介して多層シートが積層され、
    前記多層シートは、前記第1の接着剤層に接する面に積層された第1の表層と、前記第1の接着剤層に接する面とは反対側に積層された第2の表層と、前記第1の表層と前記第2の表層との間に積層された中間層とを含み、
    前記第1の表層および前記第2の表層は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のうち少なくとも1種を含み、
    前記中間層は、ポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする複合フィルムシート。
  2. 前記第1の表層と前記中間層との間、および前記第2の表層と前記中間層との間は、それぞれ第2の接着剤層を介して接着されていることを特徴とする請求項1に記載の複合フィルムシート。
  3. 前記中間層の厚みは、前記多層シートの厚みの20%〜95%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合フィルムシート。
  4. 前記フッ素系樹脂フィルムを構成するフッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)のいずれかから選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合フィルムシート。
  5. 前記第1の接着剤層を構成する接着剤が、2液硬化型ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合フィルムシート。
  6. 前記複合フィルムシートの水蒸気透過量が、JIS K7129Bに準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定したとき、0.35g/m・day以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合フィルムシート。
  7. 前記複合フィルムシートから、ポケット径をφ11.5mm、ポケット深さを4.5mm、成形物の厚みを一番薄いところで50μm以上としてPTPポケットを成形し、内容物として、直径8.2mm、厚さ4mmの錠剤を充填し、20μmのアルミ箔を蓋材として使用したときに、ポケット開封強度が18N以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合フィルムシート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合フィルムシートを用いて成形されたブリスター容器。
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