JP2019134230A - Dac回路、固体撮像素子、および、電子機器 - Google Patents

Dac回路、固体撮像素子、および、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】小規模な回路構成で実現する。【解決手段】DAC回路は、電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、ランプDACの出力とインジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路とを備える。本技術は、例えば、固体撮像素子のDAC回路等に適用できる。【選択図】図7

Description

本技術は、DAC回路、固体撮像素子、および、電子機器に関し、特に、小規模な回路構成で実現することができるようにしたDAC回路、固体撮像素子、および、電子機器に関する。
アレイ状に並べられた光電変換素子と、何個かの光電変換素子から選択した一つの出力をデジタイズするAD変換回路とを備えるイメージセンサがある。一つのAD変換回路に割り当てられる光電変換素子の個数が少ないほどイメージセンサの撮像フレームレートは増大し、画像取得タイミングの面内スキューが少なく、同時性の高い画像が得られるようになる。このため、光電変換素子アレイのカラムの数だけ、あるいはその数倍のAD変換回路を設けるのが一般的である。これらの場合、光電変換素子の個数は、数百ないし数千個となる。一つのAD変換回路に割り当てられる光電変換素子の個数を少なくして、高解像度のイメージセンサを構成しようとすると、集積するAD変換回路の数が膨大になり、AD変換回路1個あたりの面積や消費電力に、厳しい制約が発生する。
そこで、例えば、特許文献1および2には、小面積および省電力を実現したAD変換回路が開示されている。このAD変換回路によれば、1個ないし数個の光電変換素子毎に、1個のAD変換回路を持つ高解像度イメージセンサが可能になる。
国際公開第2016/009832号 国際公開第2016/136448号
AD変換回路を小面積および省電力で実現することに加えて、AD変換回路に供給するランプ信号を生成するDAC回路も、小規模回路で実現することが望まれる。
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、DAC回路を小規模な回路構成で実現することができるようにするものである。
本技術の第1の側面のDAC回路は、一定の時間勾配で電圧が変化するランプ信号を生成するランプDACと、前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路とを備える。
本技術の第2の側面の固体撮像素子は、電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路とを備えるDAC回路を備える。
本技術の第3の側面の電子機器は、電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路とを備えるDAC回路を備える固体撮像素子を備える。
本技術の第1乃至第3の側面においては、DAC回路において、一定の時間勾配で電圧が変化するランプ信号がランプDACにより生成され、前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧がインジェクションDACで出力され、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力が加算回路で加算されて、比較参照電圧として比較回路に出力される。
DAC回路、固体撮像素子、及び、電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
本技術の第1乃至第3の側面によれば、小規模な回路構成で実現することができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術を適用した固体撮像素子の概略構成を示す図である。 画素の詳細構成例を示すブロック図である。 比較回路の詳細構成を示す回路図である。 画素回路の詳細構成を示す図である。 AD変換回路を共有する場合の画素回路の詳細構成を示す図である。 FD直結コンパレータによる典型的なAD変換動作を説明する図である。 DAC回路の第1の実施の形態の概念的な回路構成を示す図である。 図7のDAC回路のより詳細な構成例を示す図である。 ランプDACの回路例を示す図である。 インジェクションDACの回路例を示す図である。 ステップ電流を所定値にして生成したREF電圧の例を示す図である。 ステップ電流を所定値にして生成したREF電圧の例を示す図である。 インジェクションパルスとRST信号のタイミング関係を説明する図である。 図7の第1の実施の形態の変形例を示す図である。 図4の画素回路の変形例を示す図である。 DAC回路の第2の実施の形態の概念的な回路構成を示す図である。 図16のDAC回路のより詳細な構成例を示す図である。 第2の実施の形態のDAC回路の制御例を示す図である。 DAC回路の第3の実施の形態の概念的な回路構成を示す図である。 図19のDAC回路のより詳細な第1構成例を示す図である。 図19のDAC回路のより詳細な第2構成例を示す図である。 第3の実施の形態に係るDAC回路のAD変換動作を説明するタイミングチャートである。 DAC回路の第4の実施の形態の概念的な回路構成を示す図である。 第4の実施の形態に係るDAC回路のAD変換動作を説明するタイミングチャートである。 タイミング生成回路の詳細構成例を説明する図である。 タイミング生成回路の制御を説明するタイミングチャートである。 第1の中心値検出処理を説明するフローチャートである。 第2の中心値検出処理を説明するフローチャートである。 第2の中心値検出処理の効果を説明する図である。 第2の中心値検出処理の効果を説明する図である。 階層構造を有する中心値検出部の構成例を示す図である。 レジスタ値の更新の基本的な考え方を説明する図である。 図32のレジスタ値更新処理を行う回路のブロック図である。 非線形フィルタを有するレジスタ値更新処理を行う回路のブロック図である。 非線形フィルタを有するレジスタ値更新処理を行う回路のブロック図である。 図35のレジスタ値更新回路のシミュレーション結果を示す図である。 図25のタイミング生成回路と第2の実施の形態のDAC回路との組み合わせによる制御例を示す図である。 DAC回路の第5の実施の形態の回路構成を示す図である。 図25のタイミング生成回路と第3の実施の形態のDAC回路との組み合わせによる制御例を示す図である。 図25のタイミング生成回路と第3の実施の形態のDAC回路との組み合わせによるその他の制御例を示す図である。 遮光画素によるP相データの取得を説明する図である。 遮光画素によるP相データの取得を説明する図である。 図42の遮光画素構成におけるレジスタ更新を説明する図である。 図42の遮光画素構成におけるレジスタ更新を説明する図である。 タイミング生成回路の他の詳細構成例を説明する図である。 DAC回路の第6の実施の形態の回路構成を示す図である。 DAC回路の第7の実施の形態の回路構成を示す図である。 図47のDAC回路による駆動を示すタイミングチャートである。 本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。 車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。 車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。 イメージセンサの使用例を説明する図である。
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の概略構成例
2.画素の詳細構成例
3.比較回路の構成例
4.画素回路の詳細構成例
5.FD直結コンパレータのフィードスルーについて
6.AD変換動作のタイミングチャート
7.DAC回路の第1の実施の形態
8.第1の実施の形態の変形例
9.画素回路の変形例
10.DAC回路の第2の実施の形態
11.DAC回路の第3の実施の形態
12.DAC回路の第4の実施の形態
13.タイミング生成回路の詳細構成
14.DAC回路の第5の実施の形態
15.第3の実施の形態のDAC回路の制御変形例
16.遮光画素によるP相データの取得
17.タイミング生成回路の他の詳細構成
18.DAC回路の第6の実施の形態
19.DAC回路の第7の実施の形態
20.電子機器への適用例
21.移動体への応用例
<1.固体撮像素子の概略構成例>
図1は、本開示に係る固体撮像素子の概略構成を示している。
図1の固体撮像素子1は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板11に、画素21が2次元アレイ状に配列された画素アレイ部22を有する。画素アレイ部22には、時刻コード発生部26で生成された時刻コードを各画素21に転送する時刻コード転送部23も設けられている。そして、半導体基板11上の画素アレイ部22の周辺には、画素駆動回路24、DAC(D/A Converter)回路25、時刻コード発生部26、垂直駆動回路27、出力部28、及び、タイミング生成回路29が形成されている。
2次元アレイ状に配列された画素21のそれぞれには、図2を参照して後述するように、画素回路41とAD変換回路(ADC)42が設けられており、画素21は、画素内の光電変換素子で受光した光量に応じた電荷信号を生成し、デジタルの画素信号SIGに変換して出力する。
画素駆動回路24は、画素21内の画素回路41(図2)を駆動する。DAC回路25は、時間経過に応じてレベル(電圧)が単調減少するスロープ信号である参照信号REFを生成し、各画素21に供給する。時刻コード発生部26は、各画素21が、アナログの画素信号SIGをデジタルの信号に変換(AD変換)する際に使用される時刻コードを生成し、対応する時刻コード転送部23に供給する。時刻コード発生部26は、画素アレイ部22に対して複数個設けられており、画素アレイ部22内には、時刻コード発生部26に対応する数だけ、時刻コード転送部23が設けられている。即ち、時刻コード発生部26と、そこで生成された時刻コードを転送する時刻コード転送部23は、1対1に対応する。
垂直駆動回路27は、画素21内で生成されたデジタルの画素信号SIGを、タイミング生成回路29から供給されるタイミング信号に基づいて、所定の順番で出力部28に出力させる制御を行う。画素21から出力されたデジタルの画素信号SIGは、出力部28から固体撮像素子1の外部へ出力される。出力部28は、黒レベルを補正する黒レベル補正処理やCDS(Correlated Double Sampling;相関2重サンプリング)処理など、所定のデジタル信号処理を必要に応じて行い、その後、外部へ出力する。
タイミング生成回路29は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、生成した各種のタイミング信号を、画素駆動回路24、DAC回路25、垂直駆動回路27等に供給する。
固体撮像素子1は、以上のように構成されている。なお、図1では、上述したように、固体撮像素子1を構成する全ての回路が、1つの半導体基板11上に形成されるように説明したが、固体撮像素子1を構成する回路を複数枚の半導体基板11に分けて配置する構成とすることもできる。
<2.画素の詳細構成例>
図2は、画素21の詳細構成例を示すブロック図である。
画素21は、画素回路41とAD変換回路(ADC)42で構成されている。
画素回路41は、受光した光量に応じた電荷信号をアナログの画素信号SIGとしてAD変換回路42に出力する。AD変換回路42は、画素回路41から供給されたアナログの画素信号SIGをデジタル信号に変換する。
AD変換回路42は、比較回路51とデータ記憶部52で構成される。
比較回路51は、DAC回路25から供給される参照信号REFと画素信号SIGを比較し、比較結果を表す比較結果信号として、出力信号VCOを出力する。参照信号REFは、画素信号SIGと比較参照される比較参照電圧信号であり、画素信号SIGは、参照信号REFと比較される比較対象電圧信号である。比較回路51は、参照信号REFと画素信号SIGが同一(の電圧)になったとき、出力信号VCOを反転させる。DAC回路25は、複数のAD変換回路42に参照信号REFを供給してもよし、AD変換回路42と1対1に設けられ、1つのAD変換回路42に参照信号REFを供給するのでもよい。
比較回路51は、差動入力回路61、電圧変換回路62、及び正帰還回路(PFB:positive feedback)63により構成されるが、詳細は図3を参照して後述する。
データ記憶部52には、比較回路51から出力信号VCOが入力される他、垂直駆動回路27から、画素信号の書き込み動作であることを表すWR信号、画素信号の読み出し動作であることを表すRD信号、及び、画素信号の読み出し動作中における画素21の読み出しタイミングを制御するWORD信号が、垂直駆動回路27から供給される。また、時刻コード転送部23を介して、時刻コード発生部26で生成された時刻コードも供給される。
データ記憶部52は、WR信号及びRD信号に基づいて、時刻コードの書き込み動作と読み出し動作を制御するラッチ制御回路71と、時刻コードを記憶するラッチ記憶部72で構成される。
ラッチ制御回路71は、時刻コードの書き込み動作においては、比較回路51からHi(High)の出力信号VCOが入力されている間、時刻コード転送部23から供給される、単位時間ごとに更新される時刻コードをラッチ記憶部72に記憶させる。そして、参照信号REFと画素信号SIGが同一(の電圧)になり、比較回路51から供給される出力信号VCOがLo(Low)に反転されたとき、ラッチ制御回路71は、供給される時刻コードの書き込み(更新)を中止し、最後にラッチ記憶部72に記憶された時刻コードをラッチ記憶部72に保持させる。ラッチ記憶部72に記憶された時刻コードは、画素信号SIGと参照信号REFが等しくなった時刻を表しており、画素信号SIGがその時刻の基準電圧であったことを示すデータ、即ち、デジタル化された光量値を表す。
参照信号REFの掃引が終了し、画素アレイ部22内の全ての画素21のラッチ記憶部72に時刻コードが記憶された後、画素21の動作が、書き込み動作から読み出し動作に変更される。
ラッチ制御回路71は、時刻コードの読み出し動作においては、読み出しタイミングを制御するWORD信号に基づいて、画素21が自分の読み出しタイミングとなったときに、ラッチ記憶部72に記憶されている時刻コード(デジタルの画素信号SIG)を、時刻コード転送部23に出力する。時刻コード転送部23は、供給された時刻コードを、列方向(垂直方向)に順次転送し、出力部28に供給する。
<3.比較回路の構成例>
図3は、比較回路51を構成する差動入力回路61、電圧変換回路62、及び正帰還回路63の詳細構成を示す回路図である。
差動入力回路61は、画素21内の画素回路41から出力された画素信号SIGと、DAC回路25から出力された参照信号REFとを比較し、画素信号SIGが参照信号REFよりも高いときに所定の信号(電流)を出力する。
差動入力回路61は、差動対となるトランジスタ81及び82、カレントミラーを構成するトランジスタ83及び84、電流源制御バイアスVbに応じた電流IBを供給する定電流源としてのトランジスタ85、並びに、差動入力回路61の出力信号HVOを出力するトランジスタ86により構成されている。
トランジスタ81、82、及び85は、NMOS(Negative Channel MOS)トランジスタで構成され、トランジスタ83、84、及び86は、PMOS(Positive Channel MOS)トランジスタで構成される。
差動対となるトランジスタ81及び82のうち、トランジスタ81のゲートには、DAC回路25から出力された参照信号REFが入力され、トランジスタ82のゲートには、画素21内の画素回路41から出力された画素信号SIGが入力される。トランジスタ81と82のソースは、トランジスタ85のドレインと接続され、トランジスタ85のソースは、第1電源電圧VDDHおよび第2電源電圧VDDLよりも低い所定の電圧に接続されており、本実施の形態では、例えば、GNDである。
トランジスタ81のドレインは、カレントミラー回路を構成するトランジスタ83及び84のゲート及びトランジスタ83のドレインと接続され、トランジスタ82のドレインは、トランジスタ84のドレイン及びトランジスタ86のゲートと接続されている。トランジスタ83、84、及び86のソースは、第1電源電圧VDDHに接続されている。
電圧変換回路62は、例えば、NMOS型のトランジスタ91で構成される。トランジスタ91のドレインは、差動入力回路61のトランジスタ86のドレインと接続され、トランジスタ91のソースは、正帰還回路63内の所定の接続点に接続され、トランジスタ91のゲートは、第2電源電圧VDDLに接続されている。
差動入力回路61を構成するトランジスタ81乃至86は、第1電源電圧VDDHまでの高電圧で動作する回路であり、正帰還回路63は、第1電源電圧VDDHよりも低い第2電源電圧VDDLで動作する回路である。電圧変換回路62は、差動入力回路61から入力される出力信号HVOを、正帰還回路63が動作可能な低電圧の信号(変換信号)LVIに変換して、正帰還回路63に供給する。
正帰還回路63は、差動入力回路61からの出力信号HVOが第2電源電圧VDDLに対応する信号に変換された変換信号LVIに基づいて、画素信号SIGが参照信号REFよりも高いときに反転する比較結果信号を出力する。また、正帰還回路63は、比較結果信号として出力する出力信号VCOが反転するときの遷移速度を高速化する。
正帰還回路63は、5つのトランジスタ101乃至105で構成される。ここで、トランジスタ101、102、及び104は、PMOSトランジスタで構成され、トランジスタ103及び105は、NMOSトランジスタで構成される。
電圧変換回路62の出力端であるトランジスタ91のソースは、トランジスタ102及び103のドレインと、トランジスタ104及び105のゲートに接続されている。トランジスタ101及び104のソースは、第2電源電圧VDDLに接続され、トランジスタ101のドレインは、トランジスタ102のソースと接続され、トランジスタ102のゲートは、正帰還回路63の出力端でもあるトランジスタ104及び105のドレインと接続されている。トランジスタ103及び105のソースは、GNDに接続されている。トランジスタ101には、初期化信号INI2が供給される。トランジスタ103のゲートには、初期化信号INI1が供給される。
トランジスタ104と105はインバータ回路を構成し、それらのドレインどうしの接続点は、比較回路51が出力信号VCOを出力する出力端となっている。
以上のように構成される比較回路51の動作について説明する。
まず、参照信号REFが、全ての画素21の画素信号SIGよりも高い電圧に設定されるとともに、初期化信号INI1およびINI2がHiにされて、比較回路51が初期化される。なお、初期化信号INI1がHiに設定されてから、初期化信号INI2がHiに設定されるまで、わずかな時間差が設けられる。
より具体的には、トランジスタ81のゲートには参照信号REFが、トランジスタ82のゲートには画素信号SIGが印加される。参照信号REFの電圧(以下、REF電圧とも称する。)が、画素信号SIGの電圧よりも高い電圧の時は電流源となるトランジスタ85が出力した電流のほとんどがトランジスタ81を経由してダイオード接続されたトランジスタ83に流れる。トランジスタ83と共通のゲートを持つトランジスタ84のチャネル抵抗は十分低くなりトランジスタ86のゲートをほぼ第1電源電圧VDDHレベルに保ち、トランジスタ86は遮断される。したがって、電圧変換回路62のトランジスタ91が導通していたとしても、充電回路としての正帰還回路63が変換信号LVIを充電することは無い。一方、初期化信号INI1としてHiの信号が供給されていることから、トランジスタ103は導通し、正帰還回路63は変換信号LVIを放電する。また、トランジスタ101は遮断するので、正帰還回路63がトランジスタ102を介して変換信号LVIを充電することもない。その結果、変換信号LVIは、GNDレベルまで放電され、正帰還回路63は、インバータを構成するトランジスタ104と105によってHiの出力信号VCOを出力し、比較回路51が初期化される。
初期化の後、初期化信号INI1およびINI2がLoにされて、参照信号REFの掃引が開始される。
参照信号REFが画素信号SIGよりも高い電圧の期間では、トランジスタ86はオフとなるため遮断され、出力信号VCOはHiの信号となるので、トランジスタ102もオフとなり遮断される。トランジスタ103も、初期化信号INI1がLoとなっているため遮断される。変換信号LVIは、高インピーダンス状態のままGNDレベルを保ち、Hiの出力信号VCOが出力される。
参照信号REFが画素信号SIGよりも低くなると、電流源のトランジスタ85の出力電流はトランジスタ81を流れなくなり、トランジスタ83と84のゲート電位は上昇して、トランジスタ84のチャネル抵抗は高くなる。そこに、トランジスタ82を介して流れ込む電流が、電圧降下を起こしてトランジスタ86のゲート電位を下げ、トランジスタ91が導通する。トランジスタ86から出力された出力信号HVOは、電圧変換回路62のトランジスタ91によって変換信号LVIに変換され、正帰還回路63に供給される。充電回路としての電圧変換回路62は、変換信号LVIを充電し、電位をGNDレベルから第2電源電圧VDDLへ近づけてゆく。
そして、変換信号LVIの電圧が、トランジスタ104と105で構成されるインバータの閾値電圧を超えると、出力信号VCOはLoとなり、トランジスタ102が導通する。トランジスタ101も、Loの初期化信号INI2が印加されているため導通しており、正帰還回路63は、トランジスタ101と102を介して、変換信号LVIを急速に充電し、電位を第2電源電圧VDDLまで一気に持ち上げる。
電圧変換回路62のトランジスタ91は、ゲートに第2電源電圧VDDLが印加されているので、変換信号LVIの電圧が、第2電源電圧VDDLからトランジスタ閾値下がった電圧値に到達すれば遮断する。トランジスタ86が導通したままだとしても、それ以上に変換信号LVIを充電することは無く、電圧変換回路62は、電圧クランプ回路としても機能する。
トランジスタ102の導通による変換信号LVIの充電は、そもそもが変換信号LVIがインバータ閾値まで上昇してきたことを発端とし、その動きを加速する正帰還動作である。差動入力回路61の電流源であるトランジスタ85は、固体撮像素子1で並列同時に動作する回路数が膨大であることから1回路あたりの電流がきわめて僅かな電流に設定される。さらに、参照信号REFは、時刻コードが切り替わる単位時間に変化する電圧がAD変換のLSBステップとなるために極めて緩慢に掃引される。従って、トランジスタ86のゲート電位の変化も緩慢であり、それによって駆動されるトランジスタ86の出力電流の変化も緩慢である。しかし、その出力電流で充電される変換信号LVIに、後段から正帰還をかけることで、出力信号VCOは十分急速に遷移することができる。望ましくは、出力信号VCOの遷移時間は、時刻コードの単位時間の数分の1であり、典型例としては1ns以下である。本開示の比較回路51は、電流源のトランジスタ85に、例えば0.01uAの僅かな電流を設定しただけで、この出力遷移時間を達成することができる。
<4.画素回路の詳細構成例>
図4を参照して、画素回路41の詳細構成について説明する。
図4は、図3に示した比較回路51に、画素回路41の詳細を追加して示した回路図である。
画素回路41は、フォトダイオード(PD)等で構成される光電変換素子121、排出トランジスタ122、転送トランジスタ123、リセットトランジスタ124、及び、FD(浮遊拡散層)125で構成されている。
排出トランジスタ122は、露光期間を調整する場合に使用される。具体的には、露光期間を任意のタイミングで開始したいときに、排出トランジスタ122のゲートにHiのOFG信号が供給されて排出トランジスタ122がオンし、それまでの間に光電変換素子121に蓄積されていた電荷が排出される。その結果、排出トランジスタ122がオフされた以降から、露光期間が開始されることになる。
転送トランジスタ123は、光電変換素子121で生成された電荷をFD125に転送する。リセットトランジスタ124は、FD125に保持されている電荷、すなわち、FD125の電圧(FD電圧)をリセットする。FD125は、差動入力回路61のトランジスタ82のゲートに接続されており、FD125の電圧が画素信号SIGとしてトランジスタ82のゲートに供給される。差動入力回路61のトランジスタ82は、画素回路41の増幅トランジスタとしても機能する。
リセットトランジスタ124のソースは、差動入力回路61のトランジスタ82のゲート、及び、FD125に接続されており、リセットトランジスタ124のドレインは、トランジスタ82のドレインと接続されている。したがって、FD125の電圧をリセットするための固定のリセット電圧がない。これは、差動入力回路61の回路状態を制御することで、FD125の電圧をリセットするリセット電圧を、参照信号REFを用いて任意に設定可能であるためである。
なお、AD変換回路42を複数の画素21で供給する構成も可能である。
例えば、4つの画素21A乃至21Dで1つのAD変換回路42を共有する場合、図5に示されるように、4つの画素21A乃至21Dには、それぞれ、画素回路41A乃至41Dが設けられる。画素回路41A乃至41Dには、光電変換素子121q、排出トランジスタ122q、及び、転送トランジスタ123qが個別に設けられる。一方、リセットトランジスタ124とFD125は、4つの画素21A乃至21Dで共有される。
<5.FD直結コンパレータのフィードスルーについて>
図4および図5に示したように、差動入力回路61では、FD125の電圧(比較対象電圧)が、差動入力回路61の一方の入力であるソースコモンMOS差動対のトランジスタ82のゲートにDC直結されて、REF電圧が、他方の入力であるソースコモンMOS差動対のトランジスタ81のゲートにDC直結されて、FD125の電圧とREF電圧が比較される。このような差動入力回路61の構成を、FD直結コンパレータ61または単にコンパレータ61とも呼ぶ。
この差動対のトランジスタ81および82は、AD変換回路42の面積制約から、きわめて小面積のMOSトランジスタで構成されるのでMOSトランジスタの特性バラツキによる差動入力換算オフセットが大きい。このオフセットをキャンセルするために、FD125のリセットが、固定電圧ではなく、差動対と能動負荷で構成される差動アンプの出力で行われる。これにより、リセット動作で、FD125の電圧が、参照信号REFのリセット時電圧Vrstと差動オフセット電圧Vofstの和(Vrst+Vofst)にセットされる。これを起点として行われるリセット以降の変換シーケンスにおいて、差動オフセット電圧Vofstはほぼキャンセルされ、電荷転送前のコンパレータ出力反転時刻、すなわちP相データが、オフセットバラツキにより広い範囲に分布することを避けることができる。
しかしながら、リセット動作には、フィードスルーと言う現象が付随する。リセットトランジスタ124のゲートに高電圧を印加している間のFD125の電圧は、リセット時電圧Vrstと差動オフセット電圧Vofstの和(Vrst+Vofst)であるものの、リセット動作を終了するにあたって、リセットトランジスタ124のゲートを低電圧に遷移させると、FD125の電圧は、フィードスルーにより、リセット時電圧Vrstと差動オフセット電圧Vofstの和(Vrst+Vofst)よりも低い電圧(Vrst+Vofst-Vft)に遷移する。フィードスルー降下電圧Vftは、リセットトランジスタ124のゲート界面に溜まっていたチャネル電荷の一部がFD125に移動することと、リセットトランジスタ124のゲート信号の電圧変化が寄生容量による結合でFD125に及ぶことによって生じる。降下電圧Vftは、回路素子サイズとアンプ回路バイアスとリセットトランジスタ124のゲート振幅および降下速度、温度などの関数であり、変動する。
リセット動作後のFD125の電圧(Vrst+Vofst-Vft)により、光電変換素子121からFD125に転送できる最大の電荷量、すなわち飽和電荷が決まる。また、AD変換動作中にFD125に流れ込み、AD変換におけるノイズとなる暗電流も、この電圧(Vrst+Vofst-Vft)に左右される。したがって、リセット動作後のFD125の電圧(Vrst+Vofst-Vft)は、AD変換動作にとって極めて重要なパラメータである。
また、リセット動作後のFD125の電圧に予見できない変動があるとすると、AD変換動作においてREF電圧をRAMP掃引する電圧範囲(掃引範囲)を大きくとらなければならず、これは、AD変換時間の増大につながる。したがって、リセット動作後のFD125の電圧(Vrst+Vofst-Vft)は、期待する電圧になるべく正確に制御されることが望ましい。
差動オフセット電圧VofstはAD変換回路1個1個で固有にばらつく電圧であるが、フィードスルー降下電圧Vftは、1個の固体撮像素子1に集積されたすべてのAD変換回路42においておよそ同じ値をとり、しかもその絶対値は差動オフセット電圧Vofstより桁違いに大きい。よって、すべてのAD変換回路42に、あるいはいくつかの区画によって分担してREF電圧を供給するDAC回路25が、望ましいリセット時電圧Vrstを発生すれば、リセット動作後のFD電圧(リセット後FD電圧)をほぼ期待する電圧に制御することができる。固体撮像素子1のDAC回路25は、リセット後FD電圧を期待する電圧に制御し、かつ分布するリセット後FD電圧を確実にAD変換できるREF信号を発生するように構成されている。
<6.AD変換動作のタイミングチャート>
はじめに、図6のタイミングチャートを参照して、FD直結コンパレータによる典型的なAD変換動作について説明する。
なお、図6の説明では、理解を容易にするため、固体撮像素子1の各部の符号を付加し、固体撮像素子1が典型的なAD変換動作を行うものとして説明する。また、図6では、差動オフセット電圧Vofstは無いものとして説明する。
最初の時刻t1から時刻t2までの期間は、FD125の電圧(FD電圧)をリセットするリセット期間である。
リセット期間では、DAC回路25が、参照信号REFとして、一定の時間、固定電圧Vrst(リセット時電圧Vrst)を出力する。この期間中に、リセットトランジスタ124のゲートにHiのRST信号が供給されてリセットトランジスタ124がオンされることにより、コンパレータ61の初段差動回路がボルテージフォロワ状態になり、FD電圧がリセット時電圧Vrstにほぼ等しくなる。
リセットトランジスタ124は、REF電圧がリセット時電圧Vrstを保っている時間内に遮断に転じ、このとき、フィードスルーが発生してFD電圧は(Vrst-Vft)に降下する。
次の時刻t2から時刻t3までの期間は、次のP相ランプ期間に先立って、REF電圧をFD電圧よりも確実に高い電位に固定するP相オフセット期間である。
P相オフセット期間では、初期化信号INI1およびINI2がHiにされて、正帰還回路63が初期化される。これにより、比較回路51が初期化され、Hiの出力信号VCOを出力する。
次の時刻t3から時刻t4までの期間は、CDS処理においてリセットレベルを検出するP相ランプ期間である。P相ランプ期間では、REF電圧が一定の時間勾配で降下し、FD電圧と一致するまでの時間Tpがカウントされる。REF電圧のうち、一定の時間勾配で降下するREF電圧をREFランプ波形またはREFランプ信号とも称する。
P相ランプ期間において、REF電圧が一定の時間勾配で降下し、REF電圧がFD電圧に到達すると、AD変換回路42の出力信号VCO(VCO電圧)がHiからLoに転じる。ラッチ制御回路71は、出力信号VCOがHiの間、時刻コード転送部23から供給される時刻コードを取り込み続けるが、Loに転じた以降は、時刻コードの書き込み(更新)を中止する。すなわち、REF電圧がFD電圧に達した時刻コードがラッチ記憶部72に記憶される。この時刻コードは、CDS処理において画素のリセットレベルを表すP相データとして取得される。
次の時刻t5から時刻t6までの期間は、次のD相ランプ期間に先立って、REF電圧をFD電圧よりも確実に高い電位に固定するD相オフセット期間である。
D相オフセット期間では、DAC回路25が、REF電圧を、再度、FD電圧よりも確実に高い電位に設定する。また、D相オフセット期間内に、転送トランジスタ123のゲートに供給されるTX信号がHiに設定され、光電変換素子121からFD125へ電荷が転送される。これにより、FD電圧が降下する。また、初期化信号INI1およびINI2が再びHiにされて、正帰還回路63が、再度、初期化される。これにより、比較回路51が、再びHiの出力信号VCOを出力する。
時刻t6から時刻t7までの期間は、CDS処理において信号レベルを検出するD相ランプ期間である。D相ランプ期間では、REF電圧が一定の時間勾配で降下し、FD電圧と一致するまでの時間TDがカウントされる。
具体的には、D相ランプ期間において、P相ランプ期間と同様に、REF電圧が一定の時間勾配で降下し、REF電圧がFD電圧に到達すると、AD変換回路42の出力信号VCOがHiからLoに転じ、その時点での時刻コードがラッチ記憶部72に記憶される。この時刻コードは、CDS処理において画素の信号レベルを表すD相データとして取得される。P相データとD相データとの差分がCDS演算によって求められ、それが電荷転送によって生じたFD電圧変化のAD変換結果となる。
リセット期間終了後のFD電圧(Vrst-Vft)は、P相ランプ期間におけるREF電圧の掃引範囲内になければいけない。ここでいうFD電圧(Vrst-Vft)は、FD電圧の多数回にわたる平均値であって、毎回のAD変換動作には、これにリセットトランジスタ124のスイッチングに起因する乱数ノイズ(いわゆるKT/Cノイズ)が重畳する。正常なP相データを尤も高い確率で取得するのは、FD電圧(Vrst-Vft)がP相ランプ掃引中心電圧Vpcに等しいことが望ましい。すなわち、リセット中のREF電圧は(Vpc+Vft)にすることが望ましい。
<7.DAC回路の第1の実施の形態>
図7は、DAC回路25の第1の実施の形態の概念的な回路構成を示している。
DAC回路25は、ランプDAC201、インジェクションDAC202、加算回路203、および、電流増幅回路204で構成される。
ランプDAC201は、デジタル数値バスによるゲイン設定入力RAMP GAINで設定されるステップ電圧に、デジタル数値バスによるランプデータ入力RAMP DATAを乗じたアナログ電圧を出力する。これにより、ランプDAC201は、P相ランプ期間およびD相ランプ期間において、電圧が一定の時間勾配で変化するREFランプ信号を生成して出力する。
インジェクションDAC202は、ランプDAC201のステップ電圧とは独立のステップ電圧に、デジタル数値バスによるインジェクションデータ入力INJ DATAを乗じたアナログ電圧を、インジェクションパルスINJ PULSEがアクティブの時だけ出力する。これにより、インジェクションDAC202は、FD125に信号電荷を転送する前のFD125の電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力する。なお、ランプDAC201のステップ電圧は、インジェクションDAC202のステップ電圧よりも小さく設定されている。
加算回路203は、ランプDAC201の出力と、インジェクションDAC202の出力を加算して出力する。電流増幅回路204は、加算回路203のREF出力を電流増幅して出力する。電流増幅回路204は省略されてもよい。
図8は、図7のDAC回路25のより詳細な構成を示している。
ランプDAC201とインジェクションDAC202は各々電流出力DAC(iDAC)であり、それらの出力が、共通の負荷抵抗211につながることで出力電流の加算が行われる。インジェクションDAC202の出力は、インジェクションパルスINJ PULSEに基づいて接続がオンオフされるスイッチ212を介して、ランプDAC201の出力と接続される。
ランプDAC201とインジェクションDAC202の電流出力が加算された加算電流と負荷抵抗211の積で生じた電圧は、電流源213とPMOSトランジスタ214とからなるソースフォロア回路215を介して、FD直結コンパレータ61に参照信号REFとして供給される。ソースフォロア回路215は、図7の電流増幅回路204に対応する。
ランプDAC201は4ビットのゲイン設定入力RAMP GAINを持ち、そこに与えられる数値によってステップ電流を50,100,150,…800nAのいずれかに設定する。ランプデータ入力RAMP DATAは11ビットであり、ここに入力された数値に、ゲイン設定入力RAMP GAINに基づくステップ電流を乗じた電流が出力される。
インジェクションDAC202は、固定ステップ電流10uAの5ビットのインジェクションデータ入力INJ DATAをもつiDACで、かつ、インジェクションパルスINJ PULSEがアクティブの時のみ負荷抵抗211に電流を出力する。
図9は、ランプDAC201の回路例を示している。
ランプDAC201は、ステップ電流を生成するステップ電流生成部221と、ステップ電流生成部221から出力されるステップ電流をホールド出力するサンプルホールド回路(S/H)222と、ステップ電流をランプデータ入力RAMP DATAに応じて所定数倍し、ランプ電流を生成するランプ電流生成部223とを備える。
4ビットのゲイン設定入力RAMP GAINは、ステップ電流生成部221のゲイン設定バスG[0:3]に入力される。基準電流生成回路231は、基準電圧および基準抵抗に基づいて基準電流を生成する。基準電流生成回路231で生成された基準電流が、ゲイン設定バスG[0:3]に入力された数値に応じて所定数倍され、これがステップ電流としてマスタートランジスタ232に流れる。ステップ電流は、ゲイン設定バスG[0:3]に入力された数値に応じて、50,100,150,…800nAのいずれかを取り得る。ゲイン設定バスG[0:3]に入力される数値は、例えば、前フレームの受光量や感度設定等に応じて決定される。
11ビットのランプデータ入力RAMP DATAは、ランプ電流生成部223のランプデータバスD[0:10]に入力される。ランプデータバスD[0:10]に入力される数値は、マスタートランジスタ232と対をなし、カレントミラー回路を構成するスレーブトランジスタを何個アクティブにするかを設定する。スレーブトランジスタは、全部でマスタートランジスタ232の1600個相当を備えている。11ビットのランプデータ入力RAMP DATAは、D[0]をLSBとするバイナリコードであり、入力が0ですべてのスレーブトランジスタがアクティブになり、出力電流はステップ電流の1600倍になる。入力が1増えるごとに、ランプ電流生成部223の出力電流はステップ電流ずつ減ってゆく。この出力電流は、負荷抵抗211によってGND基準の電圧に変換される。すなわち、ランプデータ入力RAMP DATAが0のときDAC回路25が出力するREF電圧は最大電圧であり、ランプデータ入力RAMP DATAの数値が1増えるごとに、REF電圧は、ステップ電流x負荷抵抗値であるステップ電圧だけ降下してゆく。
ランプ電流生成部223のランプデータバス入力の上位6ビットD[5:10]は、サーモメータコードに変換され、サーモメータコード出力が、各々マスタートランジスタ232の32倍のスレーブトランジスタの電流出力をアクティブにするか否かを制御する。このようなサーモDACを併用すると、ランプDAC201全体をバイナリDACで構成するよりも良好な微分直線性を得ることができる。
図10は、インジェクションDAC202の回路例を示している。
インジェクションDAC202は、ステップ電流を生成するステップ電流生成部241と、ステップ電流生成部241から出力されるステップ電流をホールド出力するサンプルホールド回路(S/H)242と、ステップ電流をインジェクションデータ入力INJ DATAに応じて所定数倍し、インジェクション電流を生成するインジェクション電流生成部243とを備える。
ステップ電流生成部241では、基準電流生成回路251で生成した基準電流が、そのままステップ電流としてマスタートランジスタ252に流れる。したがって、インジェクションDAC202のステップ電流は固定値である。なお、ステップ電流は固定値ではなく調整可能であってもよいが、ランプDAC201のステップ電流とは独立とされる。
5ビットのインジェクションデータ入力INJ DATAは、インジェクション電流生成部243のインジェクションデータバスD[0:4]に入力される。インジェクションデータバスD[0:4]に入力される数値は、マスタートランジスタ252と対をなし、カレントミラー回路を構成するスレーブトランジスタを何個アクティブにするかを設定する。インジェクションパルスINJ PULSEに基づいて接続をオンオフするスイッチ212は、NMOSトランジスタで構成される。
インジェクションパルスINJ PULSEがアクティブの時、5ビットのインジェクションデータ入力INJ DATAが0であれば、出力電流は0となる。5ビットのインジェクションデータ入力INJ DATAが1増えるごとに、インジェクション電流生成部243の出力電流はステップ電流ずつ増えてゆく。この出力電流も、負荷抵抗211によってGND基準の電圧に変換される。すなわち、インジェクションデータ入力INJ DATAが1増えると、REF電圧は、ステップ電流x負荷抵抗値であるステップ電圧だけ上昇する。
図11および図12は、第1の実施の形態のDAC回路25において、ステップ電流を異なる値にして生成したREF電圧の例を示している。
図11は、受光量が多い場合に対応し、光電変換素子121からFD125に転送される電荷が大きくてもAD変換を飽和させないことを意図した標準ゲイン(0dB)変換に用いられるREF電圧の例を示している。
図11の例では、ランプDAC201のステップ電流は800nAに設定され、ランプデータ入力RAMP DATAの1増によるREF電圧降下は0.8mVである。
D相ランプ期間において、ランプDAC201の出力電流は、ランプデータ入力RAMP DATAが0である、出力電流1600*800nA=1.28mAから始まって、ランプデータ入力RAMP DATAが1600である、出力電流0まで掃引される。すなわち、掃引電圧幅は1.28V(1280mV)となる。
ソースフォロア回路215の入出力間バイアス電圧を0.45Vとすると、D相ランプ期間の開始電圧(オフセット電圧)は1.73Vで終了電圧は0.45Vとなる。その範囲の何処かで、REFランプ波形が光電変換素子121から電荷が転送されたFD125の電圧(FD電圧)と交差することが期待される。
P相ランプ期間の出力電流は、D相ランプ期間と同じ開始電圧および時間勾配を持ち、継続時間はD相ランプ期間の1/4の短い掃引に設定される。したがって、掃引は、ランプデータ入力RAMP DATAで0から400の範囲、出力電圧幅で0.32Vとなり、終了電圧は1.41Vとなる。光電変換素子121から電荷が転送される前のリセット後FD電圧は、このP相掃引範囲の中央電圧、すなわち1.57Vであることが望ましい。
ここで、リセット動作の終了時にリセットトランジスタ124のフィードスルーでFD電圧が0.3V降下するとした場合、リセット期間において、インジェクションDAC202は、ランプデータ入力RAMP DATAを、P相ランプ中央電圧を出力する200とし、インジェクションデータ入力INJ DATAを30に設定し、インジェクションパルスINJ PULSEをアクティブにして10uA*30ステップ=300uAを出力させる。これにより、REF電圧は、P相掃引範囲の中央電圧である1.57Vより0.3V高い1.87Vとなる。
図11において、リセット期間中の網掛けを付した部分が、インジェクションDAC202により上昇された電圧を示している。
図12は、受光量が少ない場合に対応し、光電変換素子121からFD125に転送される電荷が小さく、高分解能のAD変換を意図した高ゲイン(24dB)変換に用いられるREF電圧の例を示している。
図12の例では、ランプDAC201のステップ電流は50nAに設定され、ランプデータ入力RAMP DATAの1増によるREF電圧降下は50uVである。
D相ランプ期間において、ランプデータ入力RAMP DATAが0から1600までに対応する掃引電圧幅は80mVに縮小され、D相ランプ期間の開始電圧(オフセット電圧)は0.53Vとなる。
また、P相ランプ期間の掃引電圧幅は、D相ランプ期間の1/4である20mVとなり、リセット後FD電圧として望ましいP相掃引範囲の中央電圧は0.52Vとなる。
リセット動作の終了時にリセットトランジスタ124のフィードスルーでFD電圧が0.3V降下するとした場合、リセット期間において、インジェクションDAC202は、ランプデータ入力RAMP DATAを、P相ランプ中央電圧を出力する200とし、インジェクションデータ入力INJ DATAを30に設定し、インジェクションパルスINJ PULSEをアクティブにして10uA*30ステップ=300uAを出力させる。これにより、REF電圧は、P相掃引範囲の中央電圧である0.52Vより0.3V高い0.82Vとなる。
仮に、P相掃引範囲の中央電圧より0.3V、開始電圧(オフセット電圧)より0.29V高いREF電圧をインジェクションDAC202ではなく、ランプDAC201を拡張することで発生させるとしたら、0.29V/50uV=5800ステップの拡張が必要となる。これは、D相ランプ期間の掃引に要するステップ数1600の3倍以上であり、ランプDAC201が非常に大型化してしまう。
さらに高いゲインでの変換のための微小なステップ、例えば20mVのP相ランプ期間の掃引を2000ステップで行う10uV/stepの出力については、11bit階調のランプDAC201で発生させ、リセットフィードスルーを補償するための比較的大きなREF電圧の一時的なかさ上げ、一般には200乃至300mVのかさ上げの出力については、10mV/stepで5bit階調のインジェクションDAC202で発生させることで、DAC回路25の階調をいたずらに増やすことなく、FD直結コンパレータ61に供給する参照信号REFを生成できる。インジェクションDAC202なしで、1個の線形DAC回路だけで、同様の参照信号REFを生成するためには、300mV/10uV=30,000stepが必要で、15bit階調の非常に大規模なDAC回路が必要になる。
第1の実施の形態のDAC回路25は、ランプDAC201とはステップ幅を共有しない小さなインジェクションDAC202を設け、リセット動作の時間帯だけ一時的に動作させることで、ランプDAC201の大型化を回避している。
すなわち、第1の実施の形態のDAC回路25は、ランプDAC201と、フィードスルーを考慮してリセット期間のみREF電圧を上昇させるインジェクションDAC202とを備えることにより、DAC回路を小規模な回路構成で実現している。
<インジェクションパルスINJ PULSEとRST信号のタイミング関係>
図13は、インジェクションDAC202に電流を出力させるインジェクションパルスINJ PULSEと、リセットトランジスタ124のゲートにHiのRST信号が供給されるタイミングを示した図である。
図13のAは、リセットトランジスタ124のゲートにHiのRST信号が供給されるタイミングよりも、インジェクションパルスINJ PULSEがHiとなるタイミングが先行する例を示している。
図13のBは、反対に、インジェクションパルスINJ PULSEがHiとなるタイミングよりも、リセットトランジスタ124のゲートにHiのRST信号が供給されるタイミングが先行する例を示している。
このように、インジェクションパルスINJ PULSEとRST信号は、Hiになるタイミングが、どちらが先行しても構わない。ただし、インジェクションパルスINJ PULSEがLoとなるタイミングは、RST信号がLoとなるタイミングよりも後とする。インジェクションパルスINJ PULSEとRST信号のHi期間の重なりは、FD電圧がREF電圧に十分収束するだけの時間を確保すればよい。
<8.第1の実施の形態の変形例>
なお、図8に示したDAC回路25の詳細構成では、インジェクションDAC202の出力を、インジェクションパルスINJ PULSEで制御した。インジェクションDAC202の出力段にスイッチ212を設ける代わりに、例えば、図14に示されるように、インジェクションDAC202の入力段にAND回路216を設けてもよい。インジェクションパルスINJ PULSEは、リセット期間以外では0、リセット期間中には非0の特定の値となり、AND回路216は、リセット期間のみ、インジェクションデータ入力INJ DATAを電流出力DACに入力する。
あるいはまた、リセットフィードスルーによるFD電圧の電圧降下が一定もしくは許容範囲内の変動に収まるのであれば、インジェクションDAC202の代わりに、固定の電圧値を、インジェクションパルスINJ PULSEがアクティブな時だけランプDAC201の出力電流に加算する方法を採っても良い。
さらには、リセットフィードスルーによるFD電圧の電圧降下がAD変換動作を繰り返すうちに温度変化などにより大きくドリフトするような場合には、AD変換結果に基づいてインジェクションDAC202に与えるインジェクションデータ入力INJ DATAやインジェクションDAC202のステップ電圧を調整更新できるような構成を採用してもよい。
<9.画素回路の変形例>
図15は、画素回路41の変形例を示している。
図4で示した画素回路41では、光電変換素子121とFD125との間に転送トランジスタ123が配置され、リセットトランジスタ124のソースは、差動入力回路61のトランジスタ82のゲート、及び、FD125に接続されており、リセットトランジスタ124のドレインは、トランジスタ82のドレインと接続されていた。
これに対して、例えば、図15のAに示されるように、転送トランジスタ123を省略して、光電変換素子121としての逆バイアスダイオードのカソード端子PDを差動入力回路61にDC直結し、リセット期間において、逆バイアスダイオードのカソード端子をリセットする構成も採用し得る。
また、図15のBに示されるように、リセットトランジスタ124のドレインを、トランジスタ82のドレインではなく、トランジスタ81のドレインと接続し、DAC回路25の出力であるREF電圧でリセットする構成でもよい。
さらに、図15のCに示されるように、転送トランジスタ123を省略して、DAC回路25の出力であるREF電圧で、光電変換素子121としての逆バイアスダイオードのカソード端子PDをリセットする構成も可能である。
<10.DAC回路の第2の実施の形態>
図16は、DAC回路25の第2の実施の形態の概念的な回路構成を示している。
図16において、図7の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図16の第2の実施の形態のDAC回路25では、図7の第1の実施の形態の構成に加えて、固定バイアス電圧を生成して加算回路203に供給する固定電圧生成回路271が新たに設けられている。加算回路203は、ランプDAC201の出力とインジェクションDAC202の出力に、さらに固定電圧生成回路271の出力を加算して出力する。第2の実施の形態のDAC回路25のその他の構成は、第1の実施の形態のDAC回路25と同様である。
図17は、図16のDAC回路25のより詳細な構成を示している。
図17においても、第1の実施の形態における図8と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図17のDAC回路25においても、固定電圧生成回路271が追加されている以外は、図8に示した第1の実施の形態と同様である。固定電圧生成回路271は、例えば、固定電流源272で構成される。
第1の実施の形態では、リセット動作後の望ましいFD電圧は、ランプDAC201の最大出力とソースフォロアオフセットで一意に決まる。図12の動作状態を例にとると、ランプDAC201の最大出力が80mVでありD相ランプ期間がランプDAC201の出力を使い切り、P相ランプ期間はD相ランプ期間の1/4とし、リセット後FD電圧がP相ランプ期間の中央にあることを期待すれば、その電位は、80mVの7/8にソースフォロアオフセット0.45Vを加えた0.52Vとなる。このようにして決まるリセット後FD電圧は、光電変換素子121からの電荷転送にとって適切でない場合がある。換言すれば、リセット後FD電圧を、ゲインに関係なく、例えば、図11のように、1.5乃至2.0付近に設定したい場合がある。
リセット後FD電圧の最適値は、FD直結コンパレータ61の入力ダイナミックレンジや転送トランジスタ123の駆動電圧、FD125の飽和電荷量、AD変換動作中にFD125に流れ込むリーク電子数などを勘案して決定される。FD直結コンパレータ61の入力ダイナミックレンジの下限は、GND電位に電流源ルームヘッド約0.5Vと、差動NMOSトランジスタのゲート・ソース間バイアス約0.5Vとを足した値であり、上限は、電源電圧から差動NMOSトランジスタと能動負荷PMOSがともに飽和領域動作をするためのバイアスおよそ0.5Vを引いた値である。
転送トランジスタ123の電圧振幅を抑え、飽和電荷を大きくとるには、リセット後FD電圧は、高いほど良く、FD直結コンパレータ61の入力上限付近に設定される。また、少量の光電変換電荷を転送したことによるFD電位の微小な変化を低勾配のREF電圧を与えて、時間をかけ、低ノイズで検出するには、そのAD変換動作中にFD125への電子の漏れこみが少なくなるように、リセット後FD電圧を、FD直結コンパレータ61の入力下限付近に設定するのが良い。そのためには、AD変換の状況や目的に応じて、そのリセット後FD電圧値が得られるように、固定電圧を調整する必要がある。
そこで、第2の実施の形態のDAC回路25では、図17に示されるように、固定電流源272として、例えば固定電圧1.48Vを発生せしめる1.48mAの固定電流源を追加することにより、図18に示されるように、リセット後FD電圧が2Vに設定されている。このように、固定電圧生成回路271の設定によってリセット後FD電圧が制御可能となる。固定電圧は、BGR(Band Gap Reference)回路などで発生してもよいし、入力数値を固定にしたDACで生成してもよい。そのバイアスDACへの入力数値は、AD変換の状況や目的に応じて設定されるが、図18に示した一連のAD変換動作の中では一定値に保たれる。
このように、第2の実施の形態のDAC回路25によれば、ランプDAC201とインジェクションDAC202に、固定電圧生成回路271の出力を加算した信号を参照信号REFとすることにより、リセット後のFD電圧を任意の電圧に設定することができる。
<11.DAC回路の第3の実施の形態>
図19は、DAC回路25の第3の実施の形態の概念的な回路構成を示している。
図19において、図16の第2の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図19の第3の実施の形態のDAC回路25では、図16の第2の実施の形態の固定電圧生成回路271に代えて、サンプルホールド回路291、エラーアンプ292、および電圧源293が設けられている。第2の実施の形態のDAC回路25のその他の構成は、第2の実施の形態のDAC回路25と同様である。
サンプルホールド回路291は、入力されるAUTOBIASパルスがアクティブの時にトラックモードになり、DAC出力が、電圧源293がエラーアンプ292に供給する目標電圧と等しくなるようなネガティブフィードバック回路が形成される。AUTOBIASパルスがイナートな時は、サンプルホールド回路291はホールドモードになり、フィードバック回路が開き、フィードバックが静定して決まった電圧が保持される。サンプルホールド回路291がホールドモード時に出力される固定バイアス電圧が、固定電圧生成回路271が出力する固定バイアス電圧に相当する。
図20は、図19のDAC回路25の詳細な第1構成例を示している。
図20においても、第2の実施の形態における図17と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図20の第1構成例では、REF電圧出力を複製するためのソースフォロア回路215Rが追加的に設けられ、ソースフォロア回路215RのREF電圧出力と、電圧源293が出力する目標電圧とが、エラーアンプ292に入力される。エラーアンプ292の出力は、スイッチ301とサンプリング容量302からなるサンプルホールド回路291を介して電流源としてのPMOSトランジスタ303を駆動する。電流源としてのPMOSトランジスタ303の出力は、ランプDAC201およびインジェクションDAC202に共通の負荷抵抗211に印加されて電圧加算となり、REF電圧出力に反映される。
図20のDAC回路25において、AUTOBIASパルスがアクティブの時、スイッチ301が閉じて、ネガティブフィードバックが機能し、REF電圧と目標電圧は、イマジナルショートによりほぼ一致する。このときのPMOSトランジスタ303のゲート電圧が、サンプリング容量302に記憶される。
一方、AUTOBIASパルスがイナートな時、スイッチ301は開き、PMOSトランジスタ303のゲートにはサンプリング容量302に記憶された電圧が供給され続ける。PMOSトランジスタ303の出力電流は、この記憶されたゲート電圧により一定に保たれる。
図21は、図19のDAC回路25の詳細な第2構成例を示している。
図21においても、第2の実施の形態における図17と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図21の第2構成例においても、REF電圧出力を複製するためのソースフォロア回路215Rが追加的に設けられ、ソースフォロア回路215RのREF電圧出力と、電圧源293が出力する目標電圧とが、エラーアンプ292に入力される。
第2構成例において、サンプルホールド回路291が、スイッチ301とサンプリング容量302からなる点は図20の第1構成例と同様であるが、サンプリング容量302が、ランプDAC201、インジェクションDAC202、および、負荷抵抗211の結節点と、ソースフォロア回路215および215Rの入力との間に、直列に挿入されている。エラーアンプ292の出力は、スイッチ301を介して、ソースフォロア回路215および215Rの入力を駆動する。
図20のDAC回路25において、AUTOBIASパルスがアクティブのとき、スイッチ301が閉じて、ネガティブフィードバックが機能し、REF電圧と目標電圧はイマジナルショートによりほぼ一致する。このときのランプDAC201、インジェクションDAC202、および、負荷抵抗211の結節点とエラーアンプ292の出力、すなわちソースフォロア回路215および215Rの入力の差電圧がサンプリング容量302に記憶される。
一方、AUTOBIASパルスがイナートなとき、スイッチ301は開き、サンプリング容量302は、ランプDAC201、インジェクションDAC202、および、負荷抵抗211の結節点と、ソースフォロア回路215および215Rの入力との間に記憶された電圧を、バイアスとして与え続ける。
図22は、第3の実施の形態に係るDAC回路25のAD変換動作のタイミングチャートを示している。
まず時刻t11において、ランプDAC201のランプデータ入力RAMP DATAがリセット後FD電圧の目標電圧、すなわちP相掃引範囲の中央電圧に対応する値[Nzero]に設定される。この例では、Nzero=2.0Vである。
次の時刻t12からt13にかけて、AUTOBIASパルスがアクティブになり、ネガティブフィードバックによりREF電圧が目標電圧2.0Vに収束する。
時刻t13に、AUTOBIASパルスがイナートに戻ると、サンプルホールド回路291はREF電圧におけるランプDAC201とインジェクションDAC202の出力の和に対するバイアス加算分BIAS_Addを一定値(図22では1.93V)に固定する。
時刻t14からt15にかけて、RST信号とインジェクションパルスINJ PULSEがHiに設定され、FD125のリセット動作が行われる。インジェクションDAC202によるREF電圧出力の加算分がフィードスルー降下電圧と等しければ、FD電圧は目標電圧と一致する。
サンプルホールド回路291は、そのままAD変換が終了するまでホールドモードに留まる。AD変換終了後、次のAD変換までにサンプリング容量302は記憶された電圧を徐々に失い、次のAD変換の冒頭でフィードバックによる電圧が再度記憶される。
このように、第3の実施の形態のDAC回路25によれば、ランプDAC201とインジェクションDAC202の出力に、サンプルホールド回路291を含むフィードバック回路で決定されるバイアス電圧BIAS_Addを加算した信号を参照信号REFとして出力することにより、REF出力の電流増幅段のオフセット電圧が変動した場合であっても、参照信号REFの電圧(REF電圧)を一定に保つことができ、リセット後のFD電圧を正確に設定することができる。
<12.DAC回路の第4の実施の形態>
図23は、DAC回路25の第4の実施の形態の概念的な回路構成を示している。
図23において、図16の第2の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
図23のDAC回路25は、AD変換動作中に、2回以上発生するフィードスルーに対応する回路である。図23では、第4の実施の形態に係るDAC回路25に加えて、2回以上のフィードスルーを発生させる画素回路41と比較回路51(差動入力回路61乃至正帰還回路63)も示している。
図23の画素回路41は、図4に示した画素回路41と比較して、FD125以外の付加FD321と、付加FD321の接続と遮断を制御するNMOSトランジスタ322をさらに備える。NMOSトランジスタ322は、リセットトランジスタ124と直列に接続され、トランジスタ82のドレインと、差動入力回路61のトランジスタ82のゲート及びFD125との間に挿入されている。NMOSトランジスタ322とリセットトランジスタ124の結節点に、付加FD321が接続されている。NMOSトランジスタ322は、ゲートに供給されるFDG信号に基づいて、付加FD321を接続する。FD125の容量がCFDであり、付加FD321の容量がCFD2であるとする。RST信号とFDG信号は、AD変換動作中に独立の遷移を行い、FD125と付加FD321の各々に対してフィードスルーを発生させる。
図23のDAC回路25は、図16に示した第2の実施の形態のDAC回路25の構成に、セレクタ324が新たに追加された構成を有する。セレクタ324は、インジェクションDAC202の前段に配置されており、セレクト信号INJSELに基づいて、2つの入力値DATA1またはDATA2のいずれか一方を選択して、インジェクションデータ入力INJ DATAとして、インジェクションDAC202に供給する。
なお、図23のDAC回路25において、固定電圧生成回路271はあってもよいし、なくてもよい。また、固定電圧生成回路271の代わりに、図19に示したサンプルホールド回路291を用いたフィードバック回路でもよい。
図24のタイミングチャートを参照して、第4の実施の形態におけるAD変換動作を説明する。
AD変換動作は、リセット動作につづく、PLG変換、PHG変換、DHG変換、および、DLG変換の計4回のランプ型AD変換で構成される。
初めに、時刻t21から時刻t23まで、インジェクションパルスINJ PULSEはアクティブ(Hi)に設定され、インジェクションDAC202は、セレクタ324から供給される入力値DATA1またはDATA2に対応する電圧を出力する。
時刻t21から時刻t22の期間、入力値DATA1を選択する信号がセレクト信号INJSELとしてセレクタ324に入力され、インジェクションDAC202は、入力値DATA1に対応する電圧(第1入力値に対応する第1電圧)を出力する。入力値DATA1は、リセットトランジスタ124のフィードスルー補償電圧VftRとNMOSトランジスタ322のフィードスルー補償電圧VftFの和(VftR+VftF)に対応する値であり、時刻t21から時刻t22の期間、電圧(VftR+VftF)がREF電圧出力に加算される。
時刻t21から始まるHiのRST信号によってリセットが行われる。このときFDG信号はHiであり、FD125の容量CFDと付加FD321の容量CFD2は、NMOSトランジスタ322によって導通状態にあり、RST信号がHiからLoに戻るとき、フィードスルーの影響を受けて、FD電圧が、電圧VftRだけ降下する。この降下後のFD電圧は、次のPLG変換でデジタイズされる。
次の時刻t22から時刻t23の期間、入力値DATA2を選択する信号がセレクト信号INJSELとしてセレクタ324に入力され、インジェクションDAC202は、入力値DATA2に対応する電圧(第2入力値に対応する第2電圧)を出力する。入力値DATA2は、NMOSトランジスタ322のフィードスルー補償電圧VftFのみに対応する値であり、時刻t22から時刻t23の期間、電圧VftFがREF電圧出力に加算される。
時刻t22から時刻t23の期間に行われるPLG変換において、REFランプ波形がFD電圧(SIG信号)と、掃引範囲の中央電圧で交差するように、リセット動作中は、インジェクションDAC202が、フィードスルー補償電圧VftRを、REF電圧出力に加算している。
PLG変換は、FD125の容量CFDと付加FD321の容量CFD2が導通状態にあり、光電変換素子121からの電荷転送がなされない段階でのFD電圧をデジタイズする処理である。PLG変換では、インジェクションDAC202は、リセット時よりもREF電圧を電圧VftRだけ下げている。
PLG変換が終わると、FDG信号がHiからLoに切り替えられて、付加FD321の容量CFD2が遮断された状態に遷移する。このFDG信号の立下りによるフィードスルーにより、FD電圧が電圧VftFだけ降下する。この降下後のFD電圧は、次のPHG変換でデジタイズされる。
PHG変換のREFランプ波形が、FD電圧(SIG信号)と掃引範囲の中央電圧で交差するように、リセット動作中は、インジェクションDAC202が、フィードスルー補償電圧VftFを、REF電圧出力に加算している。
PHG変換は、付加FD321の容量CFD2が遮断状態にあり、光電変換素子121からの電荷転送がなされない段階でのFD電圧をデジタイズする処理である。PHG変換では、インジェクションDAC202は、NMOSトランジスタ322の切り替え時よりもREF電圧を、電圧VftRだけ下げ、0出力の状態で行われる。
PHG変換が終わると、転送トランジスタ123のゲートに供給されるTX信号がHiに設定され、光電変換素子121からFD125へ電荷が転送される。この時、FDG信号はLoで、付加FD321の容量CFD2は、FD125の容量CFDと遮断状態にあるので、電荷はFD125だけに転送され、付加FD321には転送されない。
電荷がFD125に転送された後には、DHG変換が実行される。DHG変換は、電荷が光電変換素子121からFD125の容量CFDのみへ転送された状態でのFD電圧をデジタイズする処理である。DHG変換結果とPHG変換結果の差分が第1のゲイン変換結果SIGHGとなる。この第1のゲイン変換は、非常に小さな容量CFDに光電変換電荷を転送することで大きな電圧降下を得る、高感度(高ゲイン)のAD変換である。高感度であるがゆえに転送電荷による電圧降下でFD電圧がDHG変換のREF電圧の掃引範囲を超えてしまう飽和現象を起こしやすい。飽和が生じた時、第1のゲイン変換結果SIGHGからは転送電荷についての正確な情報は得られない。
DHG変換が終了すると、時刻t24から時刻t26まで、インジェクションパルスINJ PULSEはアクティブに設定される。セレクタ324には、入力値DATA2を選択するセレクト信号INJSELが入力されており、セレクタ324は、入力値DATA2をインジェクションDAC202に供給する。インジェクションDAC202は、セレクタ324から供給される入力値DATA2に対応する電圧(第2入力値に対応する第2電圧)を出力する。入力値DATA2は、NMOSトランジスタ322のフィードスルー補償電圧VftFのみに対応する値であり、時刻t24から時刻t26の期間、電圧VftFがREF電圧出力に加算される。
時刻t24の後の時刻t25には、NMOSトランジスタ322のゲートに供給されるFDG信号がLoからHiに制御され、付加FD321の容量CFD2が導通状態に遷移する。これによって、FD電圧が、二つの要因で図24に示されるように上昇する。第1の要因は、光電変換素子121からFD125の容量CFDに蓄積されていた電荷の一部が付加FD321の容量CFD2に分散されることによるものである。第2の要因は、FDG信号の立ち上がり遷移によるフィードスルーによるものである。第2の要因による電圧上昇を補償し、次のDLG変換結果をPLG変換結果と比較できるようにするために、インジェクションDAC202により、電圧VftFがREF電圧に加算されている。
時刻t25から時刻t26の期間に行われるDLG変換は、FD125の容量CFDと付加FD321の容量CFD2の両方に電荷が蓄積された状態でのFD電圧をデジタイズする処理である。DLG変換結果とPLG変換結果の差分が第2のゲイン変換結果SIGLGとなる。この第2のゲイン変換は、比較的大きな合成容量(CFD+CFD2)に光電変換電荷を分配することで小さな電圧降下となるので、低感度(低ゲイン)のAD変換である。よって、受光量が多く、光電変換電荷が大きいときでも飽和は起こりにくい。
以上のAD変換動作を行うことにより、弱い光に対しては、第1のゲイン変換結果SIGHGにより分解能の高いデータを取得でき、強い光に対しては、第2のゲイン変換結果SIGLGによりデータを取得することができる。第1のゲイン変換結果SIGHGと第2のゲイン変換結果SIGLGを用いた次式(1)の演算によって、画素信号SIGとして統合AD変換結果SIGを得ることができ、ダイナミックレンジの広いAD変換結果を取得することが可能になる。
SIG=SIGHG ( SIGLG<SIGLIM )
=SIGLG*α ( SIGLG≧SIGLIM ) ・・・(1)
ここで、SIGLIMは信号選択基準値、α=(CFD+CFD2)/CFD は、ゲイン補正定数を表す。
以上の第4の実施の形態によれば、AD変換動作中にインジェクションDAC202の出力を調整することにより、AD変換シーケンスで複数回生じるスイッチングによるFD電圧へのフィードスルーに対応したREFランプ波形を生成することができ、ダイナミックレンジの広いAD変換結果を取得することが可能になる。
<13.タイミング生成回路の詳細構成>
次に、上述した各実施の形態のDAC回路25に対応したタイミング生成回路29の詳細構成について説明する。
上述した各実施の形態のDAC回路25によれば、リセット後FD電圧とREFランプ波形の電圧との相対的関係については許容範囲が小さい。例えば、図12に示したようにP相ランプ期間の電圧掃引幅がわずか20mVしかないP相変換処理が行われることがある。一方で、リセット後FD電圧にはスイッチングによるKT/Cノイズが重畳し、コンパレータ回路特性の固有バラツキなどにより、P相データは、電圧換算で標準偏差が数mVの乱数的分布をしている。限られた掃引電圧幅のREFランプ波形でPPM級の発現率のP相データまですべてのFD電圧を変換するためには、リセット後FD電圧分布の中心が、精度よくP相ランプ期間の掃引範囲の中心に揃っていなくてはならない。
そこで、図25を参照して、リセット後FD電圧とREFランプ波形の電圧との相対的関係を精密に制御することを実現するタイミング生成回路29の構成について説明する。
上述した各実施の形態のDAC回路25では、リセット後のFD125の絶対電圧を制御することを目的としたが、FD125の絶対電圧が、例えば100mV変化したとしても飽和電荷やリーク電荷が致命的に変化することはないし、コンパレータ回路の動作範囲も十分に広い。つまり、リセット後のFD125の絶対電圧制御には比較的広い許容範囲がある。リセット後のFD125の絶対電圧値を多少妥協してでも、REFランプ波形の電圧との相対的関係を厳密に管理することが好ましい。
図25は、REFランプ波形の電圧を制御する制御回路としてのタイミング生成回路29の詳細回路を示している。なお、図25では、理解を容易にするため、画素21、DAC回路25、時刻コード発生部26の回路も合わせて示している。
タイミング生成回路29は、タイミングコントローラ351、中心値検出部352、レジスタ更新部353、Nstartレジスタ354、Nzeroレジスタ355、セレクタ356、および、ランプカウンタ357を少なくとも有する。
タイミングコントローラ351は、タイミング生成回路29内の各部を制御する。例えば、タイミングコントローラ351は、中心値の検出を指示するDETECT信号を中心値検出部352に供給したり、レジスタ更新を指示するUPDATE信号をレジスタ更新部353に供給する。また、タイミングコントローラ351は、Nstartレジスタ354またはNzeroレジスタ355のいずれか一方を選択指示するSEL信号をセレクタ356に供給したり、ランプデータ入力RAMP DATAのプリセット(リセット)を指示するPRSET信号、および、ランプデータ入力RAMP DATAのランプ出力を指示するRAMPCOUNT信号を、ランプカウンタ357に供給する。さらに、タイミングコントローラ351は、時刻コードの出力を制御するTIMECOUNTを時刻コード発生部26に供給する。
中心値検出部352は、各画素21のデータ記憶部52から供給されるP相データのなかから所定サンプル数のP相データを抽出し、そのなかの最大値と最小値の中心値(以後、P相データ中心値と称する。)を検出する。検出されたP相データ中心値は、レジスタ更新部353に供給される。
レジスタ更新部353は、中心値検出部352から供給されたP相データ中心値を、P相データ目標値と比較して、次のP相ランプ期間におけるP相データ中心値がP相目標値に近づくように、Nstartレジスタ354およびNzeroレジスタ355に記憶されているNzero値とNstart値を更新する。P相目標値は、例えば、P相ランプ期間におけるREF電圧の掃引範囲の中心電圧である。
Nstartレジスタ354は、Nstart値を記憶し、Nzeroレジスタ355は、Nzero値を記憶する。Nstart値は、REFランプ波形の初期値に対応し、Nzero値は、リセット期間におけるREF電圧のうちのランプDAC201の寄与分に対応する。
セレクタ356は、タイミングコントローラ351から供給されるSEL信号に基づいて、Nstartレジスタ354のNstart値またはNzeroレジスタ355のNzero値のいずれか一方を選択してランプカウンタ357に供給する。
ランプカウンタ357は、Nzero値またはNstart値に基づいて、ランプデータ入力RAMP DATAを生成し、ランプDAC201に供給する。ランプカウンタ357は、PRSET信号がタイミングコントローラ351から供給された場合、ランプデータ入力RAMP DATAをセレクタ356の出力値にプリセットする。
図26のタイミングチャートを参照して、AD変換動作に対応するタイミング生成回路29の制御について説明する。
まず、第1フレームのリセット期間の時刻t51乃至t52において、タイミングコントローラ351は、HiのPRSET信号をランプカウンタ357に供給し、LoのSEL信号をセレクタ356に供給する。これにより、セレクタ365は、Nzeroレジスタ355に記憶されているNzero値をランプカウンタ357に供給し、ランプカウンタ357は、Nzero値をプリセットして、そのランプデータ入力RAMP DATAをランプDAC201に供給する。ランプDAC201は、Nzero値に応じた電圧を出力する。このリセット期間内には、RST信号が所定期間Hiとなり、インジェクションパルスINJ PULSEによるインジェクションDAC202の出力加算も行われる。
第1フレームのP相変換期間が開始される時刻t52において、タイミングコントローラ351は、SEL信号をHiに制御してセレクタ356に供給する。これにより、セレクタ365は、Nstartレジスタ354に記憶されているNstart値をランプカウンタ357に供給し、ランプカウンタ357は、Nstart値をプリセットして、そのランプデータ入力RAMP DATAをランプDAC201に供給する。ランプDAC201は、Nstart値に応じた電圧を出力する。
時刻t52から一定時間経過後の時刻t53において、タイミングコントローラ351は、PRSET信号をLoに変更するとともに、RAMPCOUNT信号をHiに変更する。その結果、ランプカウンタ357は、一定周期でインクリメントするランプデータ入力RAMP DATAをランプDAC201に供給する。これにより、ランプDAC201は、一定勾配でREF電圧を降下させる。
ランプDAC201がP相変換に必要な幅の掃引を終える時刻t54になると、タイミングコントローラ351は、RAMPCOUNT信号をLoに戻す。これにより、ランプカウンタ357から出力されるランプデータ入力RAMP DATAは固定されて、ランプDAC201が出力する電圧も固定される。
時刻t55から第1フレームのD相変換期間が開始され、PRSET信号がHiに変更され、Nzero値がランプカウンタ357に供給され、ランプカウンタ357は、Nzero値をプリセットする。
また、時刻t55から時刻t56の間に、タイミングコントローラ351は、DETECT信号をアクティブ(Hi)として、中心値検出部352にP相データ中心値を検出させる。中心値検出部352には、上述のP相変換期間で検出されたP相データが各画素21から供給され、中心値検出部352は、P相データ中心値を検出する。
次の時刻t56から時刻t57の期間、RAMPCOUNT信号がHiに設定され、ランプカウンタ357は、一定周期でインクリメントするランプデータ入力RAMP DATAをランプDAC201に供給する。これにより、ランプDAC201は、一定勾配でREF電圧を降下させる。
また、時刻t56から時刻t57の間に、タイミングコントローラ351は、UPDATE信号をアクティブ(Hi)として、レジスタ更新部353に、次のAD変換で用いるNstart値とNzero値を計算させる。計算されたNstart値は、Nstartレジスタ354に供給されて記憶され、計算されたNzero値は、Nzeroレジスタ355に供給されて記憶される。Nstart値およびNzero値の更新は、時刻t56から、次のフレーム(第2フレーム)のリセット期間の開始時刻である時刻t58までに行われればよい。
以上のように、タイミング生成回路29は、前フレームのAD変換結果に基づき、次フレームのREF電圧を制御(調整)する。中心値検出部352は、抽出されたP相データの最大値と最小値の中心値以外の方法で、P相データ中心値を計算してもよい。例えば、P相データの分布が上下非対称での下側の裾が上側より長く引く傾向があると分かっているような場合、P相データ中心値を、最小値と最大値の中心値より小さい4:6内分点などとしてもよい。同様にP相目標値にも、P相ランプ期間におけるREF電圧の掃引範囲の中心電圧に対応するP相データではない、その他の適切な値を用いてよい。
Nstart値およびNzero値が逐次更新されることにより、AD変換が回数を重ねるごとに、P相データ中心値を目標値に近づいてゆく。このように、タイミング生成回路29は、AD変換動作におけるP相ランプ期間の掃引範囲をフィードバック制御する。
<第1の中心値検出処理>
図27のフローチャートを参照して、中心値検出部352による、P相データ中心値を検出する第1の中心値検出処理を説明する。
初めに、ステップS11において、中心値検出部352は、最大レジスタ値MAX_REGに、P相データが取り得る最小値MIN_LIMをセットし、最小レジスタ値MIN_REGに、P相データが取り得る最大値MAX_LIMをセットする。
ステップS12において、中心値検出部352は、サンプル数をカウントする変数iに1をセットする。
ステップS13において、中心値検出部352は、i番目のサンプルとして抽出したP相データ(Sample[i])を、変数DATAにセットする。
ステップS14において、中心値検出部352は、変数DATAが、P相データが取り得る最小値MIN_LIMからP相データが取り得る最大値MAX_LIMの範囲内にあるかを判定する。すなわち、中心値検出部352は、変数DATAがMIN_LIM≦DATA≦MAX_LIMを満たすか否かを判定し、値の正当性を検証する。
P相データは、P相変換中の時刻コードの値を、比較回路51の出力信号VCOの反転をトリガとしてラッチに取り込み保持したものである。したがって、正当なP相データは、時刻コード発生部26が発生しているいずれかの値でなければならない。P相データの中にそうでないデータがあった場合、それは、比較回路51の誤動作か、ラッチ回路の故障による。
誤動作や故障で発生した異常な値を含めてP相データ中心値を検出し、次のAD変換のNzero値とNstart値を決めるのは意味が無く、多くの場合有害である。例えば、P相データの採りうる最小値が10で、最大値が4090であるときに、P相データが0に固定された故障画素と、5000に固定された故障画素がサンプルに混入した場合、検出されるP相データ中心値は2500に固定されてしまい、故障のない健全な画素のP相データ分布を反映しない。よって、これらの明らかに不正なサンプルは破棄し、P相データ中心値の検出に用いないようにする必要がある。ステップS14の処理は、このための処理である。
ステップS14で、変数DATAがMIN_LIM≦DATA≦MAX_LIMを満たさないと判定された場合、処理はステップS19に進められる。
一方、ステップS14で、変数DATAがMIN_LIM≦DATA≦MAX_LIMを満たすと判定された場合、処理はステップS15に進み、中心値検出部352は、変数DATAが最大レジスタ値MAX_REGより大きいかを判定する。
ステップS15で、変数DATAが最大レジスタ値MAX_REGより大きいと判定された場合、処理はステップS16に進み、中心値検出部352は、変数DATAを、最大レジスタ値MAX_REGにセットして、ステップS17に進む。
一方、ステップS15で、変数DATAが最大レジスタ値MAX_REG以下であると判定された場合、ステップS16がスキップされ、処理がステップS17に進められる。
ステップS17において、中心値検出部352は、変数DATAが最小レジスタ値MIN_REGより小さいかを判定する。ステップS17で、変数DATAが最小レジスタ値MIN_REGより小さいと判定された場合、処理はステップS18に進み、中心値検出部352は、変数DATAを、最小レジスタ値MIN_REGにセットして、ステップS19に進む。
一方、ステップS17で、変数DATAが最小レジスタ値MIN_REG以上であると判定された場合、ステップS18がスキップされ、処理がステップS19に進められる。
ステップS19において、中心値検出部352は、サンプル数をカウントする変数iが、予め定めたサンプル数Nに等しいか、即ち、予定の抽出数だけP相データのサンプリングを行ったかを判定する。
ステップS19で、予定の抽出数だけP相データのサンプリングをまだ行っていないと判定された場合、処理はステップS20に進み、変数iが1だけインクリメントされた後、ステップS13に戻される。これにより、次のサンプルのP相データが変数DATAにセットされ、上述したステップS14乃至S19の処理が実行される。
一方、ステップS19で、変数iがサンプル数Nに等しいと判定された場合、処理はステップS21に進み、中心値検出部352は、最大レジスタ値MAX_REGと最小レジスタ値MIN_REGの平均値を計算し、P相データ中心値CENTERに決定して、処理を終了する。
以上のようにして、抽出されたP相データの最大値と最小値の中心値を計算し、P相データ中心値を検出することができる。
図25に示したタイミング生成回路29の構成によれば、AD変換結果からP相データをサンプリングして、次のAD変換で用いるランプDAC201のREFランプ波形を調整することにより、未知のフィードスルー電圧を適応的に補償してP相データの分布中心をREFランプ波形の中心に導くことができる。これによって、短いP相ランプ期間のREFランプ波形でも、すべての画素から確実にP相データを取得できるようになり、P相ランプ波形(P相ランプ期間)を長く設定することによるAD変換速度の低下と、比較回路51を長時間動かし続けることによるAD変換消費電力の増大を防ぐことができる。
上述した第1の中心値検出処理では、抽出されたサンプルの最大値と最小値を用いたが、2番目に大きい値と2番目に小さい値を用いてもよい。
図28は、2番目に大きい値と2番目に小さい値を用いてP相データ中心値を検出する場合の中心値検出処理である第2の中心値検出処理のフローチャートである。
この処理では、初めに、ステップS41において、中心値検出部352は、1番目に大きいサンプルを格納する第1最大レジスタ値MAX_1と、2番目に大きいサンプルを格納する第2最大レジスタ値MAX_2に、P相データが取り得る最小値MIN_LIMをセットする。また、中心値検出部352は、1番目に小さいサンプルを格納する第1最小レジスタ値MIN_1と、2番目に小さいサンプルを格納する第2最小レジスタ値MIN_2に、P相データが取り得る最大値MAX_LIMをセットする。
ステップS42において、中心値検出部352は、サンプル数をカウントする変数iに1をセットする。
ステップS43において、中心値検出部352は、i番目のサンプルとして抽出したP相データ(Sample[i])を、変数DATAにセットする。
ステップS44において、中心値検出部352は、変数DATAが、P相データが取り得る最小値MIN_LIMからP相データが取り得る最大値MAX_LIMの範囲内(MIN_LIM≦DATA≦MAX_LIM)にあるかを判定し、値の正当性を検証する。
ステップS44で、変数DATAがMIN_LIM≦DATA≦MAX_LIMを満たさないと判定された場合、処理はステップS50に進められる。
一方、ステップS44で、変数DATAがMIN_LIM≦DATA≦MAX_LIMを満たすと判定された場合、処理はステップS45に進み、中心値検出部352は、変数DATAが、DATA<MIN_1、MIN_1≦DATA<MIN_2、MAX_2<DATA≦MAX_1、または、MAX_1<DATAのどの条件を満たすかを判定する。
ステップS45で、変数DATAが、DATA<MIN_1の条件を満たすと判定された場合、処理はステップS46に進み、MIN_1≦DATA<MIN_2の条件を満たすと判定された場合、処理はステップS47に進み、MAX_2<DATA≦MAX_1の条件を満たすと判定された場合、処理はステップS48に進み、MAX_1<DATAの条件を満たすと判定された場合、処理はステップS49に進む。仮にどの条件も満たさない場合には、処理はステップS50に進む。
変数DATAがDATA<MIN_1の条件を満たすと判定された場合、ステップS46において、中心値検出部352は、第1最小レジスタ値MIN_1を第2最小レジスタ値MIN_2にセットし、変数DATAを第1最小レジスタ値MIN_1にセットして、ステップS50に進む。
変数DATAがMIN_1≦DATA<MIN_2の条件を満たすと判定された場合、ステップS47において、中心値検出部352は、変数DATAを第2最小レジスタ値MIN_2にセットして、ステップS50に進む。
変数DATAがMAX_2<DATA≦MAX_1の条件を満たすと判定された場合、ステップS48において、中心値検出部352は、変数DATAを第2最大レジスタ値MAX_2にセットして、ステップS50に進む。
変数DATAがMAX_1<DATAの条件を満たすと判定された場合、ステップS49において、中心値検出部352は、第1最大レジスタ値MAX_1を第2最大レジスタ値MAX_2にセットし、変数DATAを第1最大レジスタ値MAX_1にセットして、ステップS50に進む。
ステップS50において、中心値検出部352は、サンプル数をカウントする変数iが、予め定めたサンプル数Nに等しいか、即ち、予定の抽出数だけP相データのサンプリングを行ったかを判定する。
ステップS50で、予定の抽出数だけP相データのサンプリングをまだ行っていないと判定された場合、処理はステップS51に進み、変数iが1だけインクリメントされた後、ステップS43に戻される。これにより、次のサンプルのP相データが変数DATAにセットされ、上述したステップS43乃至S50の処理が実行される。
一方、ステップS50で、変数iがサンプル数Nに等しいと判定された場合、処理はステップS52に進み、中心値検出部352は、第2最大レジスタ値MAX_2と第2最小レジスタ値MIN_2の平均値を計算し、P相データ中心値CENTERに決定して、処理を終了する。
以上のようにして、抽出されたP相データの2番目に大きい値と2番目に小さい値の中心値を計算し、P相データ中心値を検出することができる。
誤動作や故障によるP相データの異常は、常にP相データが取り得ない自明な不正値を採るとは限らない。例えば、図29に示されるように、正当なサンプル群の分布範囲に埋もれている場合もあるし、分布から外れた、しかしP相データとしては取り得る値になる場合もある。正当なサンプル群の分布範囲に埋もれている場合は、サンプル中の最大値および最小値のいずれにも該当しないので、最大値と最小値の値の平均値をP相データ中心値とした場合のP相データ中心値に影響を及ぼさない。しかし、分布から外れた、しかしP相データとしては取り得る値になる場合は、最大値もしくは最小値になるのでP相データ中心値に影響を与える。
AD変換においてP相ランプ期間の掃引範囲は故障でも誤動作でもない正常な回路に対して最大のマージンを確保するように設定されるべきであるから、このような異常な値は中心値に影響を与えてはいけない。
図28の第2の中心値検出処理では、サンプルの中に正常なP相データの最小値から最大値の範囲外に非自明の不正データが1個も無い時には2番目に大きい値と2番目に小さい値が最大値と最小値の代替としてP相データ中心値の算出に採用される。2番目に大きい値と最大値、2番目に小さい値と最小値の差はサンプルサイズが大きい場合には無視しうるほど小さい。
図30は、サンプルが正規分布に従っているときに最小値と2番目に小さい値がとる確率を分布平均から標準偏差の何倍離れているかの関数として表したものである。サンプル数Nが3000のとき、最小値として最も現れやすいのは標準偏差の3.4倍であるのに対し2番目に小さい値として最も現れやすいのは標準偏差の3.2倍であり、大きな差はない。
図28の第2の中心値検出処理では、サンプルの中に正常なP相データの最小値から最大値の範囲外に非自明の不正データが1個だけある時には、正当なP相データの最小値と最大値がP相データ中心値の算出に採用される。したがって、サンプルの抽出数が適切に選ばれて誤動作や故障の発生が最大1個になるようになっていれば、図28の第2の中心値検出処理は、P相データ中心値の検出法として好適である。誤動作や故障の発生が最大2個と予想される場合は、3番目に大きい値と3番目に小さい値からP相データ中心値を算出すればよい。
図30のグラフからわかるように、最小値の分布より2番目に小さい値の分布は狭い。3番目、4番目の分布はより狭い。したがって、3番目または4番目に小さい値と3番目または4番目に大きい値の平均で求めたP相データ中心値は統計的に揺れが小さいという利点があり、サンプルの抽出数によってはP相データ中心値の検出に好適である。
まとめると、サンプルの抽出数に応じて、抽出されたP相データのN番目最大値(1<N)とM番目最小値(1<M)の平均値を用いることができる。また勿論、抽出されたP相データのN番目最大値とM番目最小値の平均値以外の数値を用いて、P相データ中心値を算出してもよい。このNとMは、1より大きい値であれば、同じ値でも異なる値でもよい。
2番目または3番目に大きい値と小さい値からP相データ中心値を算出する構成を採用することにより、サンプル中に混入した故障画素や誤動作画素からの異常なサンプル値の影響を受けることなく、P相データ中心値を正確に検出することが可能になる。
<階層構造を有する中心値検出部の例>
中心値検出部352は、図31に示されるように階層構造で構成することもできる。
図31は、中心値検出部352のその他の構成例を示している。
中心値検出部352は、画素21が2次元アレイ状に配列された画素アレイ部22の1列または複数の画素列ごとに設けられる複数の第1層検出部371と、その後段に設けられる第2層検出部372とで構成される。
複数の第1層検出部371それぞれは、画素アレイ部22の各画素から列方向に伝送されてくるP相データを取得し、図28の第2の中心値検出処理と同様の処理により、2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを検出する。すなわち、各第1層検出部371は、1以上の画素列単位の2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを検出する。
複数の第1層検出部371は、検出した2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを行方向にシフトレジスタ転送することにより、検出した2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを第2層検出部372に供給する。
第2層検出部372は、複数の第1層検出部371から供給される、複数の2番目の最大値2ndMAXおよび複数の2番目の最小値2ndMINのなかから、図28の第2の中心値検出処理により、2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを検出し、P相データ中心値を検出する。
以上の2層構造を有する中心値検出部352によれば、多段階で2番目の最大値2ndMAXおよび2番目の最小値2ndMINを検出し、P相データ中心値を検出する。これにより、複数の第1層検出部371のうち、いずれか一つがサンプルに故障や誤動作で生じた異常なP相データを2個以上含み、異常な値を2番目に大きい値として出力した場合であっても、第2層検出部372がその値を排除するので、P相データ中心値に悪影響が及ぶことが無い。
すなわち、2層構造を有する中心値検出部352によれば、故障画素や誤動作画素の発生に対するP相データ中心値検出の耐性をさらに高めることができる。
なお、第1層検出部371および第2層検出部372が、2番目に大きい値と2番目に小さい値を検出する代わりに、3番目または4番目に大きい値と2番目に小さい値を検出しても良い。また、階層数を3層や4層に多層化してもよい。さらに、抽出されたP相データのN番目最大値とM番目最小値の平均値以外の数値を用いて、P相データ中心値を算出する方法に対して、複数層に階層化して検出してもよい。
<レジスタ値更新の基本的な考え方>
図32を参照して、Nstartレジスタ354およびNzeroレジスタ355に記憶されるレジスタ値の更新の基本的な考え方を説明する。
図32は、第kフレームと第k+1フレームの連続する2回のAD変換であるAD変換_kとAD変換_k+1において、AD変換_kで検出したP相データ中心値に基づいてランプDAC201を制御するレジスタ値が更新され、AD変換_k+1に反映される様子を示している。
Nzero[k]とNzero[k+1]は、リセット期間にランプDAC201への入力となるNzeroレジスタ355の、AD変換_kとAD変換_k+1におけるレジスタ値(Nzero値)である。Nstart[k]とNstart[k+1]は、P相変換の開始時に、ランプDAC201へ入力となるNstartレジスタ354の、AD変換_kとAD変換_k+1におけるレジスタ値(Nstart値)である。
NzeroとNstartの差分Noffsetを次式で定義する。
Noffset[k] = Nzero[k] - Nstart[k] ・・・(2)
Noffset[k+1] = Nzero[k+1] - Nstart[k+1] ・・・(3)
Noffsetの値に応じて、リセット期間とP相変換開始時でのランプDAC201の出力に差が生じる。ランプDAC201が図9に示した構成である場合、ランプDAC201の出力電圧は、入力数値が増えるほど降下してゆく。よって、Noffsetが正であることは、Nzeroを入力とするリセット期間のランプDAC201の出力電圧が、Nstartを入力とするP相変換開始時のランプDAC201の出力電圧よりも低いことを表す。
AD変換_kのリセット期間において、FD電圧は、Nzero[k]を入力とするリセット期間のランプDAC201の出力電圧に、インジェクションDAC202の出力電圧が加算された電圧に引き上げられ、RST信号がLoに制御されるとともにフィードスルーによって電圧が降下する。その降下電圧は、比較回路51の特性バラツキとスイッチングのKT/Cノイズによってある範囲にランダムに分布する。図32のFD電圧を示す2つの破線は、P相データ中心値を検出するためにサンプリングされた画素21のFD電圧分布の上限と下限を示している。
図32においては、理解を容易にするため、所定のREF電圧における時刻コードが、括弧()内の数字で示されている。
例えば、時刻コード発生部26は、P相変換中に、0から4095までをカウントし、時刻コードとして、各画素のデータ記憶部52に供給する。時刻コード0および4095は、P相データとして取得される可能性がある値の限界値となる。
図32の例では、FD電圧分布の上限に該当する画素21のP相データは2000であり、FD電圧分布の下限に該当する画素21のP相データは4000である。この場合、P相データ中心値は、3000と検出される。この例では、FD電圧分布の下限のP相データのP相データ限界値4095に対するマージンが少なく、好ましい状態のP相変換ではない。
最も好ましい理想状態は、P相データ中心値が、P相データの両端の限界値の中間値2048に一致して、FD電圧分布の上限と下限が、P相限界値に対して同じマージンを持つことである。
理想状態に対するAD変換_kでのずれを次式で定義する。
Pshift[k] = Pcenter[k] Ptarget ・・・(4)
ここで、Pcenter[k]は、AD変換_kで検出されたP相データ中心値、Ptargetは、P相データ中心値がとるべき目標値を表す。
図32の例では、P相データ目標値は、P相データの両端の限界値の中間値2048であるので、Pshift[k]は、+52という正値になり、Nzero[k]を基準に定まったリセット後FD電圧が、Nstart[k]を基準に開始されるREF電圧より相対的に低すぎた、すなわちNoffset[k]が大きすぎたことを意味している。
この理想とのずれを解消するには、次のAD変換_k+1までにレジスタ値を更新して式(3)で表されるNoffset[k+1]が適正な値になるようにすればよい。Noffset[k+1]の適正値は、次式(5)で表される。
Noffset[k+1] = Noffset[k] Rnd( Pshift[k] / RTratio ) ・・・(5)
ここで、Rnd(x)は、xに対して直近の整数を採用する関数を表す。式(5)のRTratioは、ランプカウンタ357が1インクリメントされる間に、時刻コードがいくつインクリメントされるかをあらわす数値である。一般に、時刻コードはAD変換の分解能を上げるために短い時間間隔でインクリメントされる。それに対してランプカウンタ357はもっと長い間隔でインクリメントされる。REF電圧は、通常大きな負荷容量を駆動しているので、ランプDAC201の出力に多少粗い段差があったとしても、負荷容量と駆動インピーダンスの積を時定数とするローパスフィルター効果で比較回路51に供給されるREF信号は、実用上直線とみなせる波形で降下してゆく。RTratioを大きくとることで、ランプDAC201の階調数を減らすことができ、DAC回路25を簡素化できるので、一般に4、8、16などの数値がRTratioとして用いられる。
AD変換_k+1に備えてのレジスタ更新では、式(5)で決定されるNoffset[k+1]の値に対して、式(3)が成立するようにNzero[k+1]とNstart[k+1]の値が選ばれる。式(3)が成立するNzero[k+1]とNstart[k+1]の組み合わせは多数存在するが、Nzero[k+1]とNstart[k+1]は、ランプDAC201の入力となる数値であって、非負の整数であること、Nstart[k+1]は、D相ランプ期間においても、その開始時のランプDAC201の入力値となるので、なるべく小さい値である方が、長い掃引範囲を確保できることを勘案すると、以下の式(6)により、Nzero[k+1]とNstart[k+1]を決定するのが望ましい。
Noffset[k+1]≧0のとき
Nzero[k+1]=Noffset[k+1]
Nstart[k+1]=0
Noffset[k+1]<0のとき
Nzero[k+1]=0
Nstart[k+1]=|Noffset[k+1]| ・・・(6)
図33は、図32を参照して説明したレジスタ値更新処理を行う回路のブロック図である。
加算器391を含む回路392は、上述した式(2)の演算を行う回路である。
加算器393を含む回路394は、上述した式(4)の演算を行う回路である。
乗算器395と加算器396を含む回路397は、上述した式(5)の演算を行う回路である。
乗算器398、符号判定器399、セレクタ400および401を含む回路402は、上述した式(6)の演算を行う回路である。
式(6)によりレジスタ値を更新することによって、AD変換_k+1におけるP相データ中心値は、P相データ目標値に極めて近い値となる。ただし、AD変換_kにおいて、リセット後FD電圧の上限もしくは下限がP相データの限界値を超えていた場合にはその限りではない。しかし、その場合でも、続くAD変換で、同様のレジスタ更新を継続することで、P相データ中心値はP相データ目標値に漸近してゆき、リセット後FD電圧の上限と下限が、P相データの両端の限界値の範囲内に収まったAD変換の次のAD変換で、P相データ中心値がP相データ目標値に極めて近い値となる。すなわち、図32および図33を参照して説明したレジスタ値の更新により、レジスタ値を、可能な限り少ない回数でP相変換の理想状態に近づける高速収束を行うことができる。
図33によるレジスタ値更新処理を継続すると、各AD変換で、Nzero値とNstart値はおおむね一定の値となり、Pshiftは小さな値を取りつづけるが、それらの値は完全に一定ではなく少し変動する。それは、リセット後FD電圧が、KT/Cノイズ等によりAD変換するごとに毎回異なるので、サンプル画素から検出されるP相データ中心値が揺らぐためである。画像取得にとって回路動作のパラメータが毎回異なるのはあまり望ましくない。パラメータの揺れが画像内の筋や画像フレーム間のフリッカになる恐れがあるからである。
フィードスルー量が未知で、AD変換回路42を起動した直後は、図33によるレジスタ値更新処理によってレジスタ値は大きく変動するが、何回かその更新を繰り返すうちに、レジスタ値の変動は、P相データ中心値ゆらぎによる微小なものに収束する。その時点でレジスタ値の更新を停止して、以降は同じレジスタ値でAD変換を繰り返せば、AD変換回路42は一定の動作パラメータでAD変換を継続することができる。
ただし、その方法を用いると、起動後の数回のAD変換でレジスタ値を収束させ一定に固定した後に、長時間AD変換を続けることによる温度ドリフトや電圧ドリフトで、フィードスルー降下電圧やDAC回路25の出力に変動が生じても、それを補償してPshiftを小さく保つことができない。
定常的には、頻繁なレジスタ値更新を避け、かつ長期的にはドリフトに追従するためには、例えば、Pshft[k]に不感帯を設けて、Pshft[k]の絶対値が特定の値Aを超えていればレジスタ値を更新するが、絶対値がA以下ならば、レジスタ値の更新を行わない方法を採用することができる。
このような方法は、例えば、図34に示されるように、非線形フィルタ411を、式(5)の演算を行う回路397に追加することで実現することができる。非線形フィルタ411は、Pshft[k]の絶対値が特定の値A以下であればFeedback[k]として0を出力し、それ以外では、入力されたPshft[k]をFeedback[k]として乗算器395に出力する。
しかし、図34によるレジスタ値更新処理によって頻繁なレジスタ値更新を避けるためには、大きなA値で広い不感帯を設ける必要がある。不感帯が広いと、一度、Pshft[k]が不感帯内の端付近の値になってしまったときにその状態に長く滞留してしまう。この状態はPshft[k]が小さくない状態であるので、リセット後FD電圧分布の上限と下限が、P相限界値に対して同じマージンを持つように設定するという目的を完全には達成することはできない。
そこで、定常的には頻繁なレジスタ値更新を避け、かつ長期的にはドリフトに追従し、しかもPshftを十分小さな値に保つために、図34の非線形フィルタ411として、図35のAに示される構成を採用することができる。
図35のAに示される非線形フィルタ411は、ケース1:入力によらず0、ケース2:入力の移動平均を減衰した値、ケース3:入力そのものの値、のいずれかを選択して、Feedback[k]として出力する。ケース1乃至3は、入力されるPshft[k]の絶対値で選ばれ、ケース3は、Pshft[k]の絶対値が特定の値Bを超えた場合、ケース2は、入力値の移動平均の絶対値が特定の値Aを超えた場合、ケース1は、入力値の移動平均の絶対値が特定の値A以下の場合に選択される。
図35のBは、入力Pshft[k]のデータ系列が同じ値を取り続けた場合の、図35のAの非線形フィルタ411による入出力データを示すグラフである。
図35のAの非線形フィルタ411によれば、入力Pshft[k]の絶対値が特定の値Bを超えた場合、出力Feedback[k]は入力Pshft[k]と同じになり、図33の回路と等価になる。従って、Pshift[k]を計算する元になったAD変換_kにおけるリセット後FD電圧分布がP相データの限界値の範囲内に収まっている限り、次のAD変換_k+1でPshift[k+1]を0に近い値にするようなレジスタ値の更新が行われ、非線形フィルタ411は高速収束を試みる。高速収束はサンプル画素のKT/Cノイズ等により揺らいだリセット後FD電圧を基に行われるので、次のAD変換_k+1では入力Pshift[k+1]が、ちょうど0になるとは限らない。
一方、入力Pshft[k]の絶対値が十分小さな値であった場合、それ以上レジスタ値を更新する必要は無く、むしろ固定のレジスタ値でAD変換回路42の状態を一定に保ってAD変換を繰り返す方が良い。
図35のAの非線形フィルタ411は、ゆらぎの影響を避けるためにPshift入力系列の直近何個かの値の移動平均をとり、その絶対値が特定の値A以下であれば、出力Feedback[k]を0とする。これにより、Noffset[k+1]の値は、Noffset[k]の値から更新されないので、Nzero値もNstart値も更新されない。すなわち、入力Pshft[k]が-AからAまではPshiftに関する不感帯となる。
入力Pshft[k]のデータ系列の移動平均値の絶対値は特定の値Aを超えているが、入力Pshift[k]の絶対値が、特定の値B以下である場合には、非線形フィルタ411は、移動平均値に減衰をかけて出力Feedback[k]とする。これによって、この範囲のPshft[k]が生じる状態から不感帯まで、レジスタ値の更新を間欠的かつ小幅に行う低速収束が実行される。
図35のAの非線形フィルタ411は、判定部431、移動平均部432、減衰部433、および、セレクタ434を備える。
判定部431は、入力Pshft[k]およびそのデータ系列の移動平均値に基づいて、ケース1乃至3のいずれかを判定し、セレクタ434に出力する。移動平均部432は、入力Pshft[k]のデータ系列の移動平均値を計算し、判定部431および減衰部433に供給する。減衰部433は、入力Pshft[k]のデータ系列の移動平均値に減衰処理を行い、処理後の値をセレクタ434に出力する。
図35のAの非線形フィルタ411を用いたレジスタ値の更新では、フィードスルー量が未知で、AD変換回路42を起動した直後には高速収束が行われ、Pshft[k]の絶対値が特定の値B以下となり、ついで低速収束でPshft[k]の絶対値が、特定の値A以下になるようなレジスタ値に到達し、レジスタ値の更新が行われなくなる。
図36は、図35の非線形フィルタ411を用いてレジスタ値を更新したシミュレーション結果を示すグラフである。図36のシミュレーションでは、KT/Cノイズを乱数モデルで発生させている。
図36のシミュレーション結果によれば、更新回数k=2から3にかけて高速収束動作をしたのち、k=20程度までは低速収束動作によるレジスタ値の変更が散発するが、その後は、レジスタの更新がほとんど行われない。
図35のAの非線形フィルタ411を用いたレジスタ値更新処理を継続すれば、起動後に一度Pshiftが不感帯内に収束した状態になり、その後に、温度ドリフトや電源ドリフトによる不感帯をはみ出すPshiftが発生した場合に、再度、低速収束が行われ、リセット後FD電圧分布とP相変換でのREF電圧の相対関係が適切に保持される。
このように、検出されたP相データ中心値と、望ましいP相データ目標値の差分の絶対値に基づいて、高速収束帯、低速収束帯、および不感帯を設定して、感度の異なるフィードバックをかけることにより、ランプDAC201のREFランプ波形の制御パラメータが不要に小刻みな変動を繰り返すことなく、ドリフトによる状態の変動に適応し続けて、常に最適なREFランプ波形を生成することができる。
<14.DAC回路の第5の実施の形態>
図25に示したタイミング生成回路29と、固定バイアスを用いた図16の第2の実施の形態のDAC回路25との組み合わせによる構成を採用した場合、レジスタ値を変えることによるREF電圧波形とFD電圧波形の変化は、図37に示されるようになる。インジェクションDAC202の入力設定が適切であれば、Noffsetが負になることは無く、Nstart値は常に0で、Nzero値だけが変化する。Nstart値が常に0でバイアス電圧も固定ということは、P相ランプ期間の開始電圧が常に一定ということで、P相ランプ期間のREFランプ波形(P相ランプ波形)も変化しない。したがって、リセット後FD電圧とP相ランプ期間のREF電圧の相対的関係の調整は、リセット後FD電圧が、P相ランプ波形の中心に、調整によって合わせこまれる。調整はレジスタ値の更新で行われ、リセット時のREF電圧が調整される結果、リセット後FD電圧の分布中心がP相ランプ波形の中心電圧に一致する。
P相ランプ波形の中心電圧は、P相ランプ期間の開始REF電圧よりP相ランプ期間の掃引電圧幅の半分だけ低い電圧である。P相ランプ期間の開始REF電圧も、P相ランプ期間の掃引電圧幅も、AD変換ゲインが変わると変化するので、P相ランプ波形の中心電圧も変化し、リセット後FD電圧の分布中心も変化することになる。
リセット後FD電圧には、前述したように飽和電荷量やリーク電荷についての要請から決まる理想値(理想電圧)がある。したがって、AD変換ゲインに依存せず、P相ランプ波形の中心電圧を理想電圧に調整することが望ましい。
図38は、DAC回路25の第5の実施の形態であり、AD変換ゲインに依存せず、P相ランプ波形の中心電圧を理想電圧になるように調整できるようにしたDAC回路25の構成例を示している。
図38のDAC回路25は、基準電流生成回路451、ランプDAC452、バイアスDAC453、インジェクションDAC454、負荷抵抗455、および、ソースフォロア回路456により構成されている。
基準電流生成回路451は、ランプDAC452とバイアスDAC部453に基準電流Ioを供給する。ランプDAC452は、図9のランプDAC201の基準電流生成回路231を除いた部分と同様であり、インジェクションDAC454は、図10のインジェクションDAC202のインジェクション電流生成部243と同様である。バイアスDAC453は、基準電流生成回路451から供給される基準電流Ioを、バイアス設定バスB[0:3]に入力される数値(バイアス設定入力BIAS)に応じて所定数倍した電流をサンプルホールド回路461でホールド出力した電流を負荷抵抗455に出力する。
ここで、ランプDAC452に与えられるゲイン設定バスG[0:3]の値がmのとき、バイアスDAC453のバイアス設定バスB[0:3]には、Mを固定値として(M-m)なる値が入力される。ランプDAC452のランプデータバスD[0:10]に0が与えられたときのランプDAC452の出力電流のマスタートランジスタ電流に対する比をN、P相ランプ波形の中心でランプDAC452に与えられるランプデータバスD[0:10]の値をNcとして、バイアスDAC453は、基準電流Ioを(M-m)*(N-Nc)倍して、負荷抵抗455に電流を印加する。
ランプDAC452に与えられるランプデータバスD[0:10]の値がnのとき、ランプDAC452の電流出力はm*(N-n)*Ioである。抵抗Roの負荷抵抗455には、バイアスDAC453の出力電流と、ランプDAC452の出力電流と、インジェクションDAC454の出力電流Iinjの和が印加されるので、図38のDAC回路25の出力電圧Vrefは、ソースフォロア回路456のオフセット電圧をVgs_sfとして次式(7)で表される。
Vref = M*(N-Nc)*Io*Ro + m*(Nc-n)*Io*Ro + Iinj*Ro + Vgs_sf ・・・(7)
P相ランプ波形の中心電圧Vpcenterは、式(7)に、n=NcとIinj=0を代入した次式(8)となる。
Vpcenter = M*(N-Nc)*Io*Ro + Vgs_sf ・・・(8)
式(8)は、P相ランプ波形の中心電圧が、ランプDAC452のゲイン設定、すなわちゲイン設定バスG[0:3]の値mに依存しない定数であることを示している。
したがって、図38のDAC回路25は、バイアスDAC453を用いてバイアス電圧を調整することで、AD変換ゲインに依存せず、P相ランプ波形の中心電圧を理想電圧になるように調整することができる。リセット後FD電圧の設定は、バイアスDAC453のバイアス設定バスB[0:3]に入力する値(M-m)のパラメータMで行うことができる。
<15.第3の実施の形態のDAC回路の制御変形例>
次に、図25に示したタイミング生成回路29と、サンプルホールド回路291とフィードバック回路を用いた図19の第3の実施の形態のDAC回路25との組み合わせによる構成を採用した場合、レジスタ値を変えることによるREF電圧波形とFD電圧波形の変化は、図39に示されるようになる。
図39の時間原点は、図22の時刻t13に相当する。この場合、Nzero値の変化によって変化するのは、P相ランプ波形の開始電圧とP相ランプ波形であり、リセット後FD電圧は変化しない。
しかし、図19のフィードバック回路で、目標電圧を与えてリセット中のREF電圧を制御したとしても、インジェクションDAC202の出力電圧とフィードスルー降下電圧が一致しない限り、リセット後FD電圧は、目標電圧に一致しない。
リセット後FD電圧を目標電圧に近づけるためには、インジェクションDAC202の出力電圧を、なるべくフィードスルー降下電圧に近づけなくてはならない。ただし、リセット後FD電圧の絶対値の制御は先にも述べたように許容範囲の大きいものであるから、インジェクションDAC202の階調電圧をさほど細かくしなくても、インジェクションDAC202出力電圧が、フィードスルー降下電圧が許容範囲内で一致するように、インジェクションDAC202の入力を適切な最寄りの値に設定すればよい。
図19の第3の実施の形態のDAC回路25と、図25に示したタイミング生成回路29とを組み合わせて、リセット後FD電圧を厳密に制御するためには、図19のDAC回路25は、図40に示されるように制御を行う。
図40のタイミングチャートでは、AUTOBIASパルスがアクティブで、フィードバック回路が有効な時刻t72から時刻t73までの期間に、ランプDAC201には、(Nstart+Nc)の値、すなわちP相ランプ波形の中心電圧を出力するための値が入力される。これによって、バイアス出力は、P相ランプ波形の中心電圧が目標電圧に一致するようなバイアス電圧にホールドされる。
次のインジェクションDAC202が出力中の期間は、ランプDAC201にNzero値が入力される。インジェクションDAC202の出力電圧がフィードスルー降下電圧と完全に一致していない場合、図25のタイミング生成回路29によるレジスタ更新処理を継続していくとNzero値が調整されて、リセット後FD電圧は、P相ランプ波形の中心電圧、すなわち目標電圧を中心に分布するようになる。
<16.遮光画素によるP相データの取得>
上述した実施の形態では、画素アレイ部22の各画素に対して、P相データを取得する画素を特に限定はしなかったが、以下では、遮光画素に限定した例について説明する。
画素アレイ部22の画素21には、図41に示されるように、入射光を受光して光電変換する撮像用の通常画素21Pと、電気的特性は通常画素21Pと同一であるが、遮光体によって光電変換素子121に入射光が入らないように遮光された遮光画素21Dとが存在する。遮光画素21Dは、黒レベルを検出するOPB(Optical Black)領域に設けられ、OPB画素とも呼ばれる。
P相データは、FD125をリセットしてから光電変換素子からの電荷を転送する前に取得されるので、基本的には露光の影響を受けない。しかしながら、光電変換素子121が強い光を浴びて大量の電荷を生成する場合、その電荷の一部がポテンシャル障壁を乗り越えて同一半導体基板内のFD125の領域に漏洩することがある。そのような状況で取得されたP相データは、フィードスルー降下に加えて、漏洩電荷による降下が重畳されており、P相データ中心値にも漏洩電荷による降下が重畳される。
P相データ中心値の検出によるREFランプ波形の制御は、電荷が漏洩するようなことがない正常な状態の画素に対して、リセット後FD電圧の分布中心を、P相ランプ中心に合わせて、P相限界値に対するマージンを最適化することであるから、電荷漏洩画素のP相データがサンプリングされ、P相データ中心値の検出に影響してしまうのは好ましくない。
そこで、タイミング生成回路29の中心値検出部352は、画素アレイ部22の複数の画素21のなかから、遮光画素21DのP相データをサンプリングして、P相データ中心値を検出する。そして、検出されたP相データ中心値に基づいて、レジスタ値が更新される。図41では、画素アレイ部22の左右両端の数カラムに遮光画素21Dが配置されている。
一方、図42は、遮光画素21Dが、画素アレイ部22の上端の数カラムに配置されている例を示している。タイミング生成回路29の中心値検出部352は、画素アレイ部22の複数の画素21のなかから、遮光画素21DのP相データをサンプリングして、P相データ中心値を検出する。そして、検出されたP相データ中心値に基づいて、レジスタ値が更新される。
このように、P相データ中心値を検出する画素21を、遮光画素21Dに限定することにより、画素アレイ部22の一部の画素21に強い光が入射され、光電変換素子121からあふれ出た電荷がFD125へ流入してしまう状況においても、P相データ中心値を正確に検出することが可能になる。
なお、図42に示されるように、画素アレイ部22が第1の領域H1と第2の領域H2とに分割され、AD変換処理が領域ごとに区分して実行される場合、第2の領域H2では、遮光画素21DがないのでP相データ中心値を検出することができない。
この場合、タイミング生成回路29のタイミングコントローラ351は、図43に示されるように、第1の領域H1のAD変換処理においてのみ、レジスタ更新を指示するUPDATE信号をレジスタ更新部353に供給し、レジスタ値の更新を行う。タイミングコントローラ351は、第2の領域H2のAD変換処理では、レジスタ値の更新を行わない。再度、第1の領域H1のAD変換処理を行う際のレジスタ値は、1回前の第1の領域H1のAD変換処理で更新したレジスタ値がそのまま使用される。
さらに例えば、画素アレイ部22が第1の領域H1乃至第nの領域Hnのn個の領域に分割され、所定の領域(例えば、第1の領域H1)が、遮光画素21Dのみで構成されるような場合には、図44に示されるように、遮光画素21Dのみで構成される第1の領域H1のAD変換処理においてD相データの取得を省略することができる。遮光画素21Dには光情報が入らないので、P相データ取得後にD相データの取得を行って両方の取得データの差分を演算するCDS演算を行う必要は無く、P相データ中心値を検出するためのP相データだけが取得できればよい。
なお、遮光画素21Dであっても、通常画素21Pに隣接する画素では、通常画素21Pの光電変換素子121から溢れた電荷が、遮光画素21DのFD125に漏洩することがある。そのような影響を避けるためには、遮光画素21Dの中で、通常画素21Pから十分距離があり、電荷漏洩の影響がない遮光画素21Dをサンプリングするのが好適である。サンプリング対象とする遮光画素21Dと直近の通常画素21Pの間に、漏洩電荷をトラップするガードバンド構造を設けても良い。
<17.タイミング生成回路の他の詳細構成>
図45は、タイミング生成回路29の他の構成例を示している。
図45において、図25に示したタイミング生成回路29の構成と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図45のタイミング生成回路29は、リセット後FD電圧とREFランプ波形の相対的関係を別の方法で制御する。
具体的には、インジェクションデータ入力INJ DATAを生成するINJレジスタ481が新たに設けられ、リセット時にランプDAC201に入力として与えられるNzero値と、インジェクションDAC202へ入力されるインジェクションデータ入力INJ DATAが調整される。ランプDAC201のP相ランプ期間およびD相ランプ期間の掃引開始時のプリセット値であるNstart値は0に固定される。
図25のタイミング生成回路29において、図33または図34の回路で実行されるレジスタ値更新アルゴリズムで、Nzero値とNstart値を更新し続けていくと、Nstart値が非ゼロの正整数となることがある。これは、AD変換に用いられるP相ランプ波形およびD相ランプ波形の開始電圧が、ランプDAC201の最高出力電圧ではなくなることを意味する。ランプDAC201が十分なステップ数を持っていない場合、大きな正整数のNstart値からのD相データの掃引では、D相ランプ期間で掃引すべき範囲を掃引しきれないことがありうる。
Nstart値が正整数となるのは、Nzero値が0であって、リセット時にランプDAC201が最高出力電圧を出していてもなお、P相ランプ波形を低い電圧から掃引開始しないとP相ランプ波形の中心がP相データ中心値に一致しない時であり、リセットフィードスルーによる降下電圧に対して、インジェクションDAC202によるリセット時の電圧加算が過度に不足していることを意味している。
図45のタイミング生成回路29は、図33で説明したレジスタ値更新アルゴリズムでNstart値の更新値が非ゼロの正整数となった場合、インジェクションDAC202の入力となるINJレジスタ481の値を1増すことで、次のAD変換におけるリセット中のインジェクションDAC202による加算電圧を増す。
また、図25のタイミング生成回路29において、図33または図34の回路で実行されるレジスタ値更新アルゴリズムで、Nzero値とNstart値を更新し続けていくと、更新されるNzero値が、ランプDAC201に許される入力範囲を超えてしまうことがある。これは、リセット時のランプDAC201の出力を下限電圧まで下げきってなお、P相ランプ波形の中心がP相データ中心値に一致しない時であり、リセットフィードスルーによる降下電圧に対してインジェクションDAC202によるリセット時の電圧加算が過度に超過していることを意味している。
図45のタイミング生成回路29は、図33で説明したレジスタ値更新アルゴリズムでNzero値の更新値がランプDAC201の許容最大入力値を超えた場合には、インジェクションDAC202の入力となるINJレジスタ481の値を1減じることで、次のAD変換におけるリセット中のインジェクションDAC202による加算電圧を減らす。
図45のタイミング生成回路29によれば、リセットフィードスルーによる電圧降下量が未知またはドリフト変動性であるためにインジェクションDAC202の入力に与える初期値が適切でなかったとしても、インジェクションDAC202の入力値は徐々に修正されて、リセットフィードスルーに対して適切な値となる。
図45のタイミング生成回路29は、P相ランプ波形の中心とP相データ中心値の差分を、Nzeroレジスタ355のNzero値とINJレジスタ481のINJ DATAにフィードバックする二重フィードバック系である。系の安定な動作を期すためには、INJレジスタ481のフィードバック帯域を低く設定する、たとえば、1回、INJレジスタ481の更新を行ったら、その後、複数回、好適には10回程度のAD変換ではINJレジスタ481の更新を行わずに、Nzeroレジスタ355のNzero値だけを更新するなどの手段が有効である。
図45のタイミング生成回路29の構成においても、AD変換結果からP相データをサンプリングして、次のAD変換で用いるランプDAC201のREFランプ波形を調整することにより、未知のフィードスルー電圧を適応的に補償してP相データの分布中心をREFランプ波形の中心に導くことができる。これによって、短いP相ランプ期間のREFランプ波形でも、すべての画素から確実にP相データを取得できるようになり、P相ランプ波形(P相ランプ期間)を長く設定することによるAD変換速度の低下と、比較回路51を長時間動かし続けることによるAD変換消費電力の増大を防ぐことができる。
<18.DAC回路の第6の実施の形態>
図46は、DAC回路25の第6の実施の形態の回路構成を示している。なお、図46では、画素回路41と、比較回路51(差動入力回路61乃至正帰還回路63)も示している。
図46のDAC回路25は、第1の出力制御信号BOTTOMを入力可能として、第1の出力制御信号BOTTOMがアクティブになったときに、DAC回路25が所定の電圧(第1特定電圧)を出力するようにした構成である。
具体的には、図46のDAC回路25には、図8のソースフォロア回路215を構成する電流源213とPMOSトランジスタ214との間に、PMOSトランジスタ501が新たに設けられるとともに、DAC回路25の出力端とGNDとの間に、NMOSトランジスタ502が新たに設けられている。PMOSトランジスタ501とNMOSトランジスタ502のゲートには、第1の出力制御信号BOTTOMが供給される。PMOSトランジスタ501とNMOSトランジスタ502は、DAC回路25の出力電圧を特定の電圧レベルに制御する出力制御回路を構成する。
DAC回路25は、第1の出力制御信号BOTTOMがアクティブ(Hi)になると、出力するREF電圧をGNDレベルとする。この出力電圧は、DAC回路25に入力されるデジタル数値バスで操作できる出力電圧範囲の外にある。REF電圧をGNDにすると、FD直結コンパレータ61の消費電流を、電流源制御バイアスVbを操作することなく0にすることができる。
<19.DAC回路の第7の実施の形態>
次に、図47を参照して、DAC回路25の第7の実施の形態について説明する。
図47において、図46と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略して、異なる部分について説明する。
図47のDAC回路25では、図46の第1の出力制御信号BOTTOMに加えて、第2の出力制御信号xTOPを入力可能として、第2の出力制御信号xTOPがアクティブになったときに、DAC回路25が、第1の出力制御信号BOTTOMがアクティブのときとは異なる所定の電圧(第2特定電圧)をさらに出力するようにした構成である。
具体的には、図47のDAC回路25には、第1電源電圧VDDHとDAC回路25の出力端との間に、PMOSトランジスタ511が新たに設けられるとともに、 DAC回路25の出力端とPMOSトランジスタ214との間に、NMOSトランジスタ512が新たに設けられている。PMOSトランジスタ511とNMOSトランジスタ512のゲートには、第2の出力制御信号xTOPが供給される。図47のDAC回路25では、PMOSトランジスタ501、NMOSトランジスタ502、PMOSトランジスタ511、および、NMOSトランジスタ512が、DAC回路25の出力電圧を特定の電圧レベルに制御する出力制御回路を構成する。
DAC回路25は、第2の出力制御信号xTOPがアクティブ(Lo)になると、出力するREF電圧を電源電圧レベル(VDDH)とする。この出力電圧も、DAC回路25に入力されるデジタル数値バスで操作できる出力電圧範囲の外にある。第1の出力制御信号BOTTOMと第2の出力制御信号xTOPを同時にアクティブにすることは禁止される。
図46と図47で省略されているNMOSトランジスタのバックゲートは、図中のGNDと同じでもよいし、それ以下の負電圧であってもよい。
図48は、AD変換処理における第1の出力制御信号BOTTOMと第2の出力制御信号xTOPの駆動を示すタイミングチャートである。
図48に示されるように、AD変換処理が間欠的に実行される場合、図46及び図47のDAC回路25は、AD変換終了後から次のAD変換開始までの間、第1の出力制御信号BOTTOMをアクティブ(Hi)にして、REF電圧を0にし、比較回路51の消費電流を0にするスタンバイ状態に遷移することで、時間平均の回路消費電力を抑えることができる。
比較回路51を構成するNMOSトランジスタのソースとドレインは、P型の半導体基板11に浮くN型領域の島であり、電子を基板に放出するエミッタとなりうる。同じ半導体基板11には光電変換素子121が光によって発生した電子を蓄積するN型領域があり、そのN型領域は、NMOSトランジスタのソースやドレインと近接している。仮に、NMOSトランジスタのソースかドレインがエミッタとなり、電子が光電変換素子121のN型領域まで漏洩すれば、その電荷は、光誘起の電子に対するノイズ、いわゆる暗電流ノイズとなる。このノイズを減らすには、比較回路51を構成するNMOSトランジスタのソースとドレインは、なるべく高い電位にあることが望ましい。
光誘起電子の蓄積は、図48に示される蓄積期間である、一点鎖線で示されるOFG信号をHiにして光電変換素子121のN型領域の電子をクリアしてから、破線で示されるTX信号をHiにして電子がFD125に転送されるまでの期間に行われる。この蓄積期間のうち、AD変換動作が始まるまでの期間、第2の出力制御信号xTOPをアクティブ(Lo)にして、REF電圧を電源電圧レベルまで上げて、比較回路51の電流源NMOSトランジスタのソースを除くNMOSトランジスタのソースとドレインを、電源電圧に近い所まで上昇せしめる。それによって、この期間における暗電流ノイズを最小限に抑えることができる。
AD変換動作が終了してからOFG信号がHiとなるまでの期間に溜まったノイズ電子は、排出トランジスタ122がオンとなることで排出されて、次のAD変換でのノイズにはならない。よって、比較回路51のNMOSトランジスタのソースおよびドレインを高電圧にする必要は無く、むしろ、その期間は、第1の出力制御信号BOTTOMをアクティブ(Hi)にして、REF電圧をGNDレベルに落とし、その間の比較回路51の消費電流を無くしたスタンバイ状態にして、比較回路51の時間平均消費電流を下げることが望ましい。
第1の出力制御信号BOTTOMをゲートに持ち、REF電圧出力をGNDにシャントするNMOSトランジスタ502と、第2の出力制御信号xTOPをゲートに持ち、REF電圧出力を電源電圧にシャントするPMOSトランジスタ511は、REF電圧を伝送する多数の配線による巨大な負荷容量と、低インピーダンスのGNDもしくは電源電圧との間に挿入されている。第1の出力制御信号BOTTOMや第2の出力制御信号xTOPがアクティブになった瞬間に莫大なプルダウンもしくはプルアップ電流が流れてしまうと、それらのMOSトランジスタやREF電圧を伝送する配線にダメージが加わる恐れがある。そういったダメージを防ぐには、それらのMOSトランジスタのアスペクト比を調整して高抵抗にする、MOSトランジスタと直列にダンピング抵抗を挿入する、第1の出力制御信号BOTTOMや第2の出力制御信号xTOPを緩やかな勾配でイナートからアクティブへ切り替えるなどのピーク電流削減対策が有効である。
第6の実施の形態および第7の実施の形態に係るDAC回路25の第1の出力制御信号BOTTOMがアクティブ(Hi)である場合に、DAC回路25が出力するREF電圧をGNDレベルとする構成によれば、間欠的AD変換の非変換期間のFD直結コンパレータ61の消費電力を削減することができる。
また、第7の実施の形態に係るDAC回路25の第2の出力制御信号xTOPがアクティブ(Lo)である場合に、DAC回路25が出力するREF電圧を電源電圧レベルとする構成によれば、光電変換素子121の電荷蓄積中にFD直結コンパレータ61のバイアス電圧を高く保ち、暗電流ノイズを抑えることができる。
なお、図46のDAC回路25では、第1の出力制御信号BOTTOMによるスタンバイモードを追加し、図47のDAC回路25では、第1の出力制御信号BOTTOMによるスタンバイモードと第2の出力制御信号xTOPによる暗電流対策モードを追加した。図示は省略するが、第2の出力制御信号xTOPによる暗電流対策モードのみを追加したDAC回路25の構成も可能である。
上述した例では、各実施の形態に係るDAC回路25およびタイミング生成回路29を備える固体撮像素子1の構成として、1画素または複数画素単位に1個のAD変換回路42を備える構成を採用して説明したが、本技術は、カラム単位に1個のAD変換回路42を備えるカラムAD型の固体撮像素子にも適用可能である。
<20.電子機器への適用例>
また、本技術は、固体撮像素子への適用に限られるものではない。即ち、本技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像素子は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
図49は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図49の撮像装置600は、レンズ群などからなる光学部601、図1の固体撮像素子1の構成が採用される固体撮像素子(撮像デバイス)602、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路603を備える。また、撮像装置600は、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607、および電源部608も備える。DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607および電源部608は、バスライン609を介して相互に接続されている。
光学部601は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子602の撮像面上に結像する。固体撮像素子602は、光学部601によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像素子602として、図1の固体撮像素子1、即ち、小規模な回路構成で実現したDAC回路25を備える固体撮像素子を用いることができる。
表示部605は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像素子602で撮像された動画または静止画を表示する。記録部606は、固体撮像素子602で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
操作部607は、ユーザによる操作の下に、撮像装置600が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部608は、DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606および操作部607の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
上述したように、固体撮像素子602として、上述したDAC回路25やタイミング生成回路29を備える固体撮像素子1を用いることで、小型化することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置600においても、小型化を図ることができる。
<21.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図50は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図50に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図50の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図51は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図51では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図51には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、上述したDAC回路25やタイミング生成回路29を備える固体撮像素子1を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、小型化しつつも、より見やすい撮影画像を得ることができたり、距離情報を取得することができる。また、得られた撮影画像や距離情報を用いて、ドライバの疲労を軽減したり、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
<イメージセンサの使用例>
図52は、上述の固体撮像素子1を用いたイメージセンサの使用例を示す図である。
上述の固体撮像素子1を用いたイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
本技術は、光電変換電荷による信号電圧を有する容量性信号をAD変換する固体撮像素子のみならず、対環境寄生容量や電場のセンサ、たとえば指紋センサやタッチパネルの検出信号をAD変換する回路にも有効であり、多数の容量性センサを同時一括でAD変換する回路に特に好適である。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
一定の時間勾配で電圧が変化するランプ信号を生成するランプDACと、
前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
を備える
DAC回路。
(2)
前記ランプDACおよび前記インジェクションDACは、入力値に応じて所定のステップ電圧で出力電圧を変更し、
前記ランプDACのステップ電圧は、前記インジェクションDACのステップ電圧より小さく設定されている
前記(1)に記載のDAC回路。
(3)
所定の固定バイアス電圧を生成する固定電圧生成回路をさらに備え、
前記加算回路は、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力に、さらに前記固定電圧生成回路の出力を加算して、前記比較参照電圧として前記比較回路に出力する
前記(1)または(2)に記載のDAC回路。
(4)
前記固定電圧生成回路は、サンプルホールド回路を備え、
前記固定電圧生成回路は、前記サンプルホールド回路がホールドモード時に、前記所定の固定バイアス電圧を出力する
前記(3)に記載のDAC回路。
(5)
第1入力値または第2入力値のいずれか一方を選択して前記インジェクションDACに供給するセレクタをさらに備え、
前記インジェクションDACは、前記セレクタから供給される前記第1入力値に基づく第1電圧または前記第2入力値に基づく第2電圧を出力する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のDAC回路。
(6)
前記比較回路は、信号電荷が転送されて生成される前記比較対象電圧と、前記比較参照電圧との比較を複数回行う
前記(5)に記載のDAC回路。
(7)
前フレームのAD変換結果に基づき、次フレームの前記ランプ信号の電圧を制御する入力値を決定して前記ランプDACに供給する制御回路をさらに備え、
前記ランプDACは、前記制御回路から供給される前記入力値に基づいて、前記ランプ信号を生成する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のDAC回路。
(8)
前記制御回路は、前記前フレームから抽出した複数画素のN番目最大値(1<N)とM番目最小値(1<M)の平均値を用いて、CDS処理において画素のリセットレベルを表すP相データの中心値であるP相データ中心値を検出して、前記次フレームのランプ信号の電圧を制御する前記入力値を決定する
前記(7)に記載のDAC回路。
(9)
前記制御回路は、前記前フレームから抽出した複数画素のN番目最大値とM番目最小値の平均値を、多段階で検出する
前記(8)に記載のDAC回路。
(10)
前記制御回路は、検出された前記P相データ中心値と、望ましいP相データ目標値の差分の絶対値に対して、高速収束帯、低速収束帯、および不感帯を設定して、感度の異なるフィードバックをかける
前記(8)または(9)に記載のDAC回路。
(11)
前記制御回路は、前記複数画素として、前記前フレームの遮光画素に限定して抽出する
前記(8)乃至(10)のいずれかに記載のDAC回路。
(12)
出力制御信号に基づいて特定電圧レベルを前記比較回路に出力する出力制御回路をさらに備える
前記(1)乃至(11)のいずれかに記載のDAC回路。
(13)
前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第1出力制御信号がアクティブになった場合に、GNDレベルを前記比較回路に出力させる
前記(12)に記載のDAC回路。
(14)
前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第2出力制御信号がアクティブになった場合に、電源電圧レベルを前記比較回路に出力させる
前記(12)または(13)に記載のDAC回路。
(15)
前記比較回路は、差動入力回路を有し、
前記差動入力回路の一方の入力が、信号電荷が転送されて生成される前記比較対象電圧とDC直結され、
前記差動入力回路の他方の入力が、前記比較参照電圧とDC直結され、
前記比較回路は、前記リセット期間に、前記比較対象電圧を前記比較参照電圧にリセットする
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載のDAC回路。
(16)
前記比較回路は、差動入力回路を有し、
前記差動入力回路の一方の入力が、光電変換された信号電荷を蓄積する逆バイアスダイオードとDC直結され、
前記差動入力回路の他方の入力が、前記比較参照電圧とDC直結され、
前記比較回路は、前記リセット期間に、前記逆バイアスダイオードの電圧を前記比較参照電圧にリセットする
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載のDAC回路。
(17)
電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、
前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
を備えるDAC回路
を備える固体撮像素子。
(18)
電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、
前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
を備えるDAC回路を備える固体撮像素子
を備える電子機器。
(B1)
出力制御信号に基づいて特定電圧レベルを比較回路に出力する出力制御回路を備え、
前記特定電圧レベルは、ステップ電圧にDAC入力値を乗じた範囲を超えた電圧である
DAC回路。
(B2)
前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第1出力制御信号がアクティブになった場合に、GNDレベルを前記比較回路に出力させる
前記(B1)に記載のDAC回路。
(B3)
前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第2出力制御信号がアクティブになった場合に、電源電圧レベルを前記比較回路に出力させる
前記(B1)または(B2)に記載のDAC回路。
1 固体撮像素子, 21 画素, 22 画素アレイ部, 25 DAC回路, 29 タイミング生成回路, 41 画素回路, 42 AD変換回路, 51 比較回路, 61 差動入力回路(コンパレータ), 121 光電変換素子, 122 排出トランジスタ, 123 転送トランジスタ, 124 リセットトランジスタ, 125 FD(浮遊拡散層), 201 ランプDAC, 202 インジェクションDAC, 203 加算回路, 204 電流増幅回路, 222 サンプルホールド回路, 271 固定電圧生成回路, 272 固定電流源, 291 サンプルホールド回路, 291 エラーアンプ, 293 電圧源, 321 付加FD, 324 セレクタ, 351 タイミングコントローラ, 352 中心値検出部, 353 レジスタ更新部, 371 第1層検出部, 372 第2層検出部, 411 非線形フィルタ, 431 判定部, 432 移動平均部, 433 減衰部, 434 セレクタ, 452 ランプDAC, 453 バイアスDAC, 454 インジェクションDAC, 481 INJレジスタ, 501 PMOSトランジスタ, 502 NMOSトランジスタ, 600 撮像装置, 602 固体撮像素子

Claims (18)

  1. 一定の時間勾配で電圧が変化するランプ信号を生成するランプDACと、
    前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
    前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
    を備える
    DAC回路。
  2. 前記ランプDACおよび前記インジェクションDACは、入力値に応じて所定のステップ電圧で出力電圧を変更し、
    前記ランプDACのステップ電圧は、前記インジェクションDACのステップ電圧より小さく設定されている
    請求項1に記載のDAC回路。
  3. 所定の固定バイアス電圧を生成する固定電圧生成回路をさらに備え、
    前記加算回路は、前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力に、さらに前記固定電圧生成回路の出力を加算して、前記比較参照電圧として前記比較回路に出力する
    請求項1に記載のDAC回路。
  4. 前記固定電圧生成回路は、サンプルホールド回路を備え、
    前記固定電圧生成回路は、前記サンプルホールド回路がホールドモード時に、前記所定の固定バイアス電圧を出力する
    請求項3に記載のDAC回路。
  5. 第1入力値または第2入力値のいずれか一方を選択して前記インジェクションDACに供給するセレクタをさらに備え、
    前記インジェクションDACは、前記セレクタから供給される前記第1入力値に基づく第1電圧または前記第2入力値に基づく第2電圧を出力する
    請求項1に記載のDAC回路。
  6. 前記比較回路は、信号電荷が転送されて生成される前記比較対象電圧と、前記比較参照電圧との比較を複数回行う
    請求項5に記載のDAC回路。
  7. 前フレームのAD変換結果に基づき、次フレームの前記ランプ信号の電圧を制御する入力値を決定して前記ランプDACに供給する制御回路をさらに備え、
    前記ランプDACは、前記制御回路から供給される前記入力値に基づいて、前記ランプ信号を生成する
    請求項1に記載のDAC回路。
  8. 前記制御回路は、前記前フレームから抽出した複数画素のN番目最大値(1<N)とM番目最小値(1<M)の平均値を用いて、CDS処理において画素のリセットレベルを表すP相データの中心値であるP相データ中心値を検出して、前記次フレームのランプ信号の電圧を制御する前記入力値を決定する
    請求項7に記載のDAC回路。
  9. 前記制御回路は、前記前フレームから抽出した複数画素のN番目最大値とM番目最小値の平均値を、多段階で検出する
    請求項8に記載のDAC回路。
  10. 前記制御回路は、検出された前記P相データ中心値と、望ましいP相データ目標値の差分の絶対値に対して、高速収束帯、低速収束帯、および不感帯を設定して、感度の異なるフィードバックをかける
    請求項8に記載のDAC回路。
  11. 前記制御回路は、前記複数画素として、前記前フレームの遮光画素に限定して抽出する
    請求項8に記載のDAC回路。
  12. 出力制御信号に基づいて特定電圧レベルを前記比較回路に出力する出力制御回路をさらに備える
    請求項1に記載のDAC回路。
  13. 前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第1出力制御信号がアクティブになった場合に、GNDレベルを前記比較回路に出力させる
    請求項12に記載のDAC回路。
  14. 前記出力制御回路は、前記出力制御信号としての第2出力制御信号がアクティブになった場合に、電源電圧レベルを前記比較回路に出力させる
    請求項12に記載のDAC回路。
  15. 前記比較回路は、差動入力回路を有し、
    前記差動入力回路の一方の入力が、信号電荷が転送されて生成される前記比較対象電圧とDC直結され、
    前記差動入力回路の他方の入力が、前記比較参照電圧とDC直結され、
    前記比較回路は、前記リセット期間に、前記比較対象電圧を前記比較参照電圧にリセットする
    請求項1に記載のDAC回路。
  16. 前記比較回路は、差動入力回路を有し、
    前記差動入力回路の一方の入力が、光電変換された信号電荷を蓄積する逆バイアスダイオードとDC直結され、
    前記差動入力回路の他方の入力が、前記比較参照電圧とDC直結され、
    前記比較回路は、前記リセット期間に、前記逆バイアスダイオードの電圧を前記比較参照電圧にリセットする
    請求項1に記載のDAC回路。
  17. 電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、
    前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
    前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
    を備えるDAC回路
    を備える固体撮像素子。
  18. 電圧が一定の時間勾配で変化するランプ信号を生成するランプDACと、
    前記ランプ信号と比較される比較対象電圧をリセットするリセット期間に、所定の電圧を出力するインジェクションDACと、
    前記ランプDACの出力と前記インジェクションDACの出力を加算して、比較参照電圧として比較回路に出力する加算回路と
    を備えるDAC回路を備える固体撮像素子
    を備える電子機器。
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