以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリルまたはメタクリル」を指す。
以下の説明において、レーザマーカラベル10を単にラベルと称する場合がある。なお、「ラベル」の概念には、テープ、フィルム、シート等と称されるものが包含される。
図1は、本実施形態に係るレーザマーカラベル10を概略的に示す平面図であって、図2は、本実施形態に係るレーザマーカラベル10を概略的に示す断面図である。
レーザマーカラベル10は、図1、図2に示すように、下から順に剥離ライナー11と、粘着剤層12と、白色層13と、黒色層(黒色印刷層に相当)14と、被覆層15と、を有する。以下の説明において、黒色層14、白色層13、および被覆層15を「積層基材シート」と称する。
剥離ライナー11は、粘着剤層12を保護し、粘着剤層12の粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。剥離ライナー11は、粘着剤層12が被着体(例えば、車体)に貼付されるまで、粘着剤層12にごみなどの付着物が付着することを防止するために形成される。ゆえに、剥離ライナー11は、被着体にラベルを貼付する際には剥離される。このため、本発明におけるレーザマーカラベル10は、剥離ライナー11を有していないものも包含される。
白色層13の表面の一部には、図1、図2に示すように、白色層13が露出した露出部16が形成される。露出部16は、図3に示すように、レーザ照射によって被覆層15および黒色層14を削り、レーザLを白色層13に到達させることによって形成される。図1において、露出部16は、「12345」という自動車の車両識別番号(Vehicle Identification Number;VIN)を示しているが、文字、記号、数字、図形などいずれの形態であってもよく、製品情報、製造年月日、製造場所などの情報であってもよい。
レーザLとしては、CO2レーザ、Nd:YAGレーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ、半導体励起固体レーザ、Arレーザ、N2/Dyeレーザ、HeCdレーザ等が挙げられる。一般的に設備が安価でその取り扱いも比較的容易なCO2レーザ、Nd:YAGレーザ等の使用が好ましい。
白色層13は、黒色層14と隣接して配置される。かような構成とすることで、黒色層14とのコントラストにより、視認可能な情報をラベルに付与することができる。
被覆層15は、黒色層14の白色層13が設けられる側と反対側の表面に黒色層14を被覆するように設けられる。このように被覆層15が黒色層14を被覆するように設けられるため、意図せず黒色層14を擦過した場合であっても、白色層13が露出することを防止できる。
黒色層14および被覆層15は、白色層13の破損に伴って破損する脆質性を備える。
以下、レーザマーカラベル10の各部材の形成方法、材料等について説明する。
<剥離ライナー11>
剥離ライナー11としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙などの紙が挙げられる。
剥離ライナー11の厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離ライナー11の表面には、粘着剤層12の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
<粘着剤層12>
粘着剤層12の形成方法は特に限定されないが、粘着剤を剥離ライナー11上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤の塗布厚としては、通常10〜100μm、好ましくは15〜50μmである。粘着剤を剥離ライナー11上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層12が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜60秒の条件で行われる。剥離ライナー11上に形成した粘着剤層12を、他の積層体と貼り合わせて、ラベルを得ることができる。
粘着剤層12に用いられる粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルであることが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体(以下、単に共重合性単量体とも称する)の例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体として、後述の架橋剤が有する架橋性反応基と反応する官能基を有する単量体を用いることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体を用いることが好ましい。
共重合性単量体を用いる場合、アクリル系ポリマーを構成する単量体成分のうち、共重合性単量体は0.1〜35質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万〜200万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましい。
粘着剤層12には、必要に応じ、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
粘着剤層12の厚みは、特に限定されないが、粘着性の観点から、10〜100μmの範囲が好ましい。
<白色層13>
白色層13は、例えば、白色系着色剤、フィラーおよび樹脂、その他の任意成分を溶媒に分散した分散液(以下、白色層形成用分散液)を調整した後、これを工程フィルム上に、所定の乾燥厚さになるように流延する溶媒キャスト法によって形成される。なお、白色層13はその他の製造方法(カレンダー法、溶融法)によって製膜してもよい。
工程フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが挙げられる。工程フィルムは、これらの合成樹脂フィルム上に、アルキド樹脂、シリコーン等の剥離層を有している形態であってもよい。この場合、剥離層形成面に白色層13を形成する。工程フィルムの厚さは、好ましくは、5〜200μm、より好ましくは、15〜100μmである。
白色系着色剤としては、無機系の顔料が好ましく、例えば、二酸化チタン、アルミナホワイト、亜鉛華、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、シリカ、白雲母等を挙げることができる。中でも、白色性付与の観点からは着色剤は、二酸化チタンであることが好ましい。これらの白色系着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、白色系着色剤は、白色層中1〜50質量%(固形分換算)であることが好ましく、5〜30質量%(固形分換算)であることがより好ましい。
樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができるが、レーザ加工の際に着色しない観点からウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
樹脂は、破断時伸び率が1〜10%であるものが好ましく、1〜5%であるものがより好ましい。ここで、樹脂が複数種から構成される場合、樹脂全体での破断時伸び率を指す。なお、破断時伸び率は、工程フィルム上に樹脂単独で溶媒キャスト法により膜を乾燥膜厚75μmとなるように形成し、工程フィルムを剥がした後、22〜25℃で1時間以上放置して常態調節したのち、JIS K7127:1999に準拠して、試験片タイプ2、引張速度100mm/分で求めた値である。
塩化ビニル系樹脂には、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルモノマーおよび塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーの共重合体(以下、塩化ビニル共重合体とも称する)が含まれる。塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルのようなビニルエステル類、エチレンビニルエーテルのようなビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニリデン等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合には、柔軟性を付与する目的で通常可塑剤が添加される。添加される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体は塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの公知の製造法によって製造することができる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、通常300〜5000である。平均重合度は、JIS K 6720−2:1999に記載の平均重合度算出方法による。
ウレタン系樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、鎖伸長剤とを、少なくとも反応させることにより得られる。具体的には、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、鎖延長剤を反応させて得ることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらのポリイソシアネートは、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好適には1000〜3000の有機化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンを開始剤として、これにアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2−5のアルキレンオキサイド)、または環状エーテル(テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、オキセタン化合物)を開環付加重合(単独重合または共重合(アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが併用される場合には、ブロック共重合および/またはランダム共重合))させることにより得ることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、多塩基酸、そのアルキルエステル、その酸無水物、および、その酸ハライドとの縮合反応またはエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合により得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリオールなどが挙げられ、さらには、それらポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどに上記の2価アルコールを共重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート類を付加重合して得られる、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、1つ以上の水酸基を有する重合性単量体と、それに共重合可能な別の単量体とを共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。また、それらと共重合可能な別の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜12)、マレイン酸、マレイン酸アルキル、フマル酸、フマル酸アルキル、イタコン酸、イタコン酸アルキル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エポキシポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとを反応させることによって得られるエポキシポリオールが挙げられる。
天然油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などの水酸基含有天然油などが挙げられる。
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体として、ビニル基含有のシリコーン化合物、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが用いられる共重合体、および、末端アルコール変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体としてビニル基含有のフッ素化合物、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどが用いられる共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
ポリウレタンポリオールは、上記のマクロポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)を、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
高分子量ポリオールは、1種単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーの調製方法としては特に制限されず、例えば、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、必要に応じて添加されるウレタン化触媒と、必要に応じて用いられる溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの数平均分子量400未満の低分子量の多価アルコール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量のポリアミン化合物、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン類;メチレンジヒドラジン、エチレンジヒドラジン、プロピレンジヒドラジン等のアルキレンジヒドラジン類や、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の飽和または不飽和ジヒドラジン類;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等を例示できる。また、これら鎖延長剤はプレポリマー中のイソシアネート基に対して過剰に使用することで鎖長停止剤とすることができる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマーをモノマー主成分として重合によって製造される樹脂を指す。ここで、主成分とは、モノマー成分の50質量%以上(上限100質量%)、好適には80質量%以上であることを指す。(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;メタクリル酸;等を用いることができる。この(メタ)アクリルモノマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマーと共重合可能な他の単量体を重合時のモノマーとして含んでいてもよく、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体などが挙げられる。
アクリル系樹脂の好ましいものとしては、例えば(1)メチルメタクリレート/メチルアクリレート/ブチルアクリレート/スチレン共重合体単独、(2)メチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体とメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート共重合体との混合物などを挙げることができる。
また、アクリル系樹脂には、可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては、上記塩化ビニル系樹脂の欄で挙げたものが挙げられる。
白色層形成用分散液は、白色層13に脆質性を付与するためにフィラーを含有することが好ましい。白色層13を脆質とすることで、ラベルを被着体から剥がそうとしたときに、ラベルが破壊され、ラベルが再利用できないようになる。これにより、ラベルの貼り替えや改ざんを防止することができる。なお、ここでいうフィラーとは、着色を目的とした着色剤を含む。フィラーとしては、上記着色剤の欄で記載したものと重複する場合もあるが、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、アルミナなどが挙げられる。これらのフィラーは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、脆質性付与の観点から、フィラーが溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フィラーの平均粒径は0.01〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましく、0.1〜4μmであることがさらに好ましい。ここで、フィラーの「平均粒径」とは、レーザ回析法によって測定される体積基準粒子分布での、累積値50%に相当する中位径(メジアン径)のことを指す。
フィラー(上記白色系着色剤を含む)の含有量は、白色層13に対して5〜55質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
白色層形成用分散液には、白色系着色剤および樹脂の他に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤などを挙げることができる。
溶媒キャスト法において用いられる溶媒は、樹脂に応じて適宜選択できる。溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール、ブチルセロソルブモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等のエーテルエステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
溶媒キャスト法における溶媒の使用量は、樹脂100質量部に対して、通常100〜400質量部、好ましくは150〜350質量部である。
白色層形成用分散液を工程フィルム上に流延する塗布装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナイフコーター、リップコーター、ダイコーター、ドクターブレードコーター、バーコーター、ロールコーター等のコーターが挙げられる。次いで、加熱により溶媒を除去して膜を形成する。加熱条件は溶媒が除去される条件であれば特に限定されないが、通常80〜180℃程度に加熱・乾燥する。
白色層13の厚みは、白色層13の脆質性および機械的強度を考慮して、50〜200μmであることが好ましく、60〜100μmであることがより好ましい。
<黒色層14>
黒色層14は、黒色系着色剤、樹脂、および必要により溶媒に分散させた分散液(以下、黒色層形成用分散液)を白色層13に印刷して得る。このように黒色層14を印刷によって形成することによって、溶媒キャスト法やTダイ法などの製膜によって形成される黒色層に対して層厚を薄く形成することができる。よって、白色層13の破損に伴って黒色層14も破損することができる。また、レーザLの照射時間を相対的に短くすることができ、生産性が向上する。
該印刷手段としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等が挙げられる。いずれの場合も、インキの密着性を高める目的で、白色層13の黒色層14を設ける面を、予めコロナ放電処理やアンカー剤をコート処理してもよい。
黒色系着色剤としては、カ−ボンブラック、鉄黒、コバルト酸化物系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック等を挙げることができる。中でも、レーザ光の吸収性のよいことから、黒色系着色剤としては、カーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックの好ましい平均一次粒径は10〜500nmの範囲であり、より好ましくは10〜150nmの範囲である。ここで、カーボンブラックの平均一次粒径は、1000個のカーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。カーボンブラックとしては、製造方法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどがあるがいずれも用いることができる。黒色系着色剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
黒色層14における着色剤の含有量は、着色性および機械的強度の観点から、黒色層形成用分散液固形分に対して、1〜50質量%(固形分換算)であることが好ましく、5〜20質量%(固形分換算)であることがより好ましい。
また、黒色層形成用分散液には、上記黒色系着色剤の他、その着色性、耐候性に影響のない範囲で、マイカ、アルミ粉を含有させることができる。また、カーボンブラックなどが用いられる場合は、黒色系着色剤はそれ自身レーザ光を熱に変換する化合物となりうる。しかし、黒色系着色剤がレーザ光に関して吸収性でない場合、レーザ光を熱に変換するための化合物が必要な場合もある。レーザ光を熱に変換するための化合物としては、シアニン系、フタロシアニン系等の赤外線吸収剤等が挙げられる。
樹脂としては、熱硬化型樹脂でも、紫外線硬化型樹脂でもよい。レーザ加工性の観点から、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。特に、表面硬度の観点から、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型樹脂としては、後述する被覆層15の紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
黒色層形成用分散液には、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、公知の架橋剤が使用でき、例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。
さらに、黒色層形成用分散液には、黒色系着色剤および樹脂の他に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤などを挙げることができる。
印刷において用いられる溶媒は、上述した溶媒キャスト法において用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。
印刷における溶媒の使用量は、厚みと最終的な粘度を考慮して適宜設定すればよい。
黒色層14の厚みは、黒色層14の脆質性を考慮して、30μm以下であることが好ましく、1〜15μm以下であることがより好ましく、1〜5μm未満であることがより好ましい。黒色層14の厚みを1〜5μm未満にすることによって、製膜によって形成される黒色層に対して層厚を薄くすることができるため、レーザLを照射して白色層13が露出するまでの時間を低減することができ、レーザマーカラベル10の生産性を向上させることができる。
<被覆層15>
被覆層15は、溶媒キャスト法、カレンダー法などで製膜される高分子量樹脂から構成されるフィルムなどよりも硬化型樹脂を含む硬化型樹脂層であることが好ましい。硬化型樹脂層は、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型樹脂層であっても、熱硬化型樹脂を含む熱硬化型樹脂層であってもよい。中でも、硬化時間が短いことから、被覆層15は紫外線硬化型樹脂層であることが好ましい。
紫外線硬化型樹脂層は、紫外線硬化型樹脂を含む。紫外線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型ポリアクリルアクリレート樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂層は、黒色層14の表面に紫外線硬化型組成物(好適には紫外線硬化型インキ)による層を形成後、紫外線を照射して硬化することによって得られる。
紫外線硬化型組成物は、重合性化合物、および光重合開始剤を含み、必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、界面活性剤、重合禁止剤、分散剤などの各種添加剤を含む。
重合性化合物とは、紫外線によってラジカルまたはカチオン重合する重合性基を有する化合物を指し、モノマー、オリゴマー、またはこれらを含む混合物であってもよい。この重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する基が挙げられ、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基、無水マレイン酸基、N−置換マレイミド基等が挙げられる。重合性化合物は1種単独でも、2種以上併用してもよい。
重合性化合物として、硬化性の観点から、多官能(メタ)アクリレート;単官能(メタ)アクリレート;および反応性オリゴマー(ここで、オリゴマーとは、モノマー単位が2〜数十程度繰り返された重合体のことをさす)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
重合性化合物の含有量は特に限定されるものではないが、組成物中、通常、60〜95質量%程度である。
光重合開始剤としては、ベンゾイン;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、べンジルメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、369、261、DAROCUR−TPO(BASF社製)、ダロキュア(登録商標)−1173(BASF社製)、エザキュアKIP150、TZT(DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。光重合開始剤と併用して増感剤を用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は特に限定されるものではないが、組成物中、通常、1〜30質量%程度である。
紫外線硬化型組成物は、紫外線硬化型インキであることが好ましい。紫外線硬化型インキは、紫外線硬化型組成物のうち、印刷可能な組成物を指し、紫外線硬化型インキには、オフセット印刷用インキ、凸版印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、スクリーン印刷用インキなど種々のものを含む。すなわち、被覆層は脆質性を付与する観点から、印刷で形成することが好ましい。紫外線硬化型インキは、通常モノマー、オリゴマーおよび光重合開始剤を含み、その他、添加成分を含んでいてもよい。
紫外線硬化型インキは、市販品を用いてもよく、市販品としては、No.2UV LカートンOPニスNW、No.6UV LカートンOPニスGW、No.6UV LカートンOPニスGW−L、UV LカートンOPニスKS、UV161OPニスS、UV LグロスOPニスM、UVキッコーマンOPニス K−2、UVハクリOPニスシリーズ 、UV HJK下刷りニス、UVドライパックOPニスNK、UVパックOPニスNS、UVパックOPニスSK−T、No.3UVウェットパックマットOPニスL、UVビデオOPニスY、UVグロスOPニスCP−3、UVグロスOPニスT−100シリーズ、UV LTP FL OPニス、UVコートニスAT−B、UVコートニスAT−SL、UVコートニスBL−W、UVコートニスFJ、UVコートニスHTA−W、UVコートニスOMT、UVコートニスTG−2、UVコートニスTH−3、UVコートニスTH−S、UV VECTAコートニスPC−3KW2、No.2UVフレキソニスFT−P、UVフレキソニスFV−2等(以上、T&K Toka社);FD PCA 800ワニスシリーズ、FD PCA902ワニス、FDクリアーコートSPC、FD S多色OPニスTK、FD OLP多色OPニスM1、FDカルトン ACE OPニス、FD OウェットOPニスK1、FDカルトンACE マットOPニス等(以上、東洋インキ社製)が挙げられる。
被覆層15は、視認性の観点から透明であることが好ましい。ここで透明とは、可視光領域における透過率が80%以上であることをいい、90%以上であることが好ましい。
紫外線硬化型組成物による層を黒色層14上に形成し、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂層を形成することができる。紫外線硬化型組成物による膜は、フレキソ印刷、グラビア印刷等の印刷によって形成することができる。
紫外線照射源としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライド、LEDなどが挙げられる。また、紫外線の照射量は、紫外線硬化型樹脂層が形成されれば特に限定されないが、通常、10〜2000mJ/cm2の範囲である。
被覆層15の厚みは、硬化性、脆質性、および耐擦過性を考慮して、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
被覆層15をレーザ照射により効率よく除去する観点から、被覆層15のCO2レーザやNd:YAGレーザに対する吸収率は、例えば70%程度であることが好ましい。吸収率は、分光光度計を用いて測定された透過率と反射率を、100から控除することにより求めることができる。
<レーザマーカラベルの製造方法>
次に、図3を参照して、本実施形態に係るレーザマーカラベル10の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係るレーザマーカラベル10の製造方法を示す概略断面図である。
まず、剥離ライナー11に粘着剤を塗布して粘着剤層12を剥離ライナー11上に形成する。
次に、白色層形成用分散液を工程フィルム上に流延した後、加熱乾燥することによって、工程フィルム上に白色層13を形成する。
次に、黒色層形成用分散液を白色層13上に印刷した後、加熱硬化又は紫外線硬化することによって、白色層13上に黒色層14を形成する。
次に、被覆層形成用組成物による層を黒色層14上に形成して、当該層に対して紫外線を照射することによって、黒色層14上に被覆層15を形成する。
次に、工程フィルムを剥がした白色層13に対して、剥離ライナー11上に形成した粘着剤層12を転写することによって、図3(A)に示す積層体が形成される。
次に、図3(C)に示すように、被覆層15および黒色層14を貫通させて白色層13に到達するとともに白色層13を貫通させない条件で、被覆層15側からレーザLを照射することによって、白色層13に露出部16を形成する。白色層13にレーザLにより露出部16を形成して記録されるものは特に限定されず、文字、数字、記号、図形などいずれのものであってもよい。
ここで例えば、黒色層が製膜によって形成されているレーザマーカラベルでは、黒色層の膜厚が比較的厚いため、レーザLを照射して白色層を露出するまでに時間がかかる。これに対して、本実施形態に係るレーザマーカラベル10によれば、黒色層14が印刷によって形成されるため、製膜によって形成される黒色層に対して層厚を薄くすることができる。よって、レーザLを照射して白色層13が露出するまでの時間を低減することができ、レーザマーカラベル10の生産性を向上させることができる。
また例えば、黒色層が製膜によって形成されているレーザマーカラベルでは、黒色層の厚みに10μm程度のばらつきが発生するため、白色層を露出させるために所望の深さだけ被覆層および黒色層を除去しようとしても、厚い部分では白色層に到達しない虞がある。これに対して、本実施形態に係るレーザマーカラベル10によれば、黒色層14が印刷によって形成されるため、製膜によって形成される黒色層に対して、黒色層14の厚みのばらつきが低減される。よって、所望の深さだけ被覆層15および黒色層14を除去することによって、より確実に白色層13を露出させることができる。
図3(C)に示すように、レーザ照射により白色層13が露出すると、黒色層14と白色層13との色の対比によって所望の文字(例えば、車両識別番号)が視認される(図1参照)。
露出部16を形成するためのレーザ照射条件(スキャンスピード、レーザ強度等)としては、用いるレーザ照射装置や、黒色層14を形成する樹脂種などを考慮して、黒色層14を貫通し、白色層13を貫通しないような条件で適宜設定することができる。
<用途>
本実施形態のレーザマーカラベル10は、ラベルを被着体から剥がすと破壊するため、各種改ざん防止用ラベルとして用いることができる。例えば、自動車の車両識別番号ラベル、自動車の盗難防止用ラベル、自動車部品、電機・電子部品、精密機械部品などの特徴や取り扱い上の注意点などの表示内容の改ざん防止用ラベルとして用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
(1)白色層形成用分散液の調製
白色層形成用分散液として、メタクリル樹脂[三菱ケミカル(株)製、「アクリペット(登録商標)MD001」]100質量部、酸化チタン[石原産業(株)製、商品名「タイペークCR−57」、平均粒径0.25μm]を30質量部、ジメチルホルムアミド176質量部及びメチルエチルケトン68質量部を混合し、十分に撹拌分散、溶解させ、固形分濃度35質量%の分散液を調製した。
(2)積層基材シートの作製
工程フィルム上に、上記(1)で得た分散液を流延し、150℃にて加熱・乾燥して、厚さ75μmの白色層を形成した。次いで、黒色層形成用分散液としてUV フレキソ 墨 500(T&K TOKA社製)を、前記白色層上に、フレキソ印刷法により印刷し、紫外線を照射して、厚さ3μmの黒色層を形成した。次いで、被覆層形成用組成物としてNO.2 UV フレキソニス FT−P(T&K TOKA社製)を、前記黒色層上にフレキソ印刷法により印刷し、紫外線を照射することによって、厚さ1μmの被覆層を形成した。その後、工程フィルムを剥がすことにより、白色層、黒色層及び被覆層からなる厚さ79μmの積層基材シートを作製した。
(5)粘着剤層の作製
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、ブチルアクリレートモノマー90質量部、アクリル酸モノマー10質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下80℃で8時間重合することにより、重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー溶液を得た。
このアクリル系ポリマー溶液の固形分100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤[コロネートL、東ソー社製]を固形分で2質量部添加し、さらにトルエンで希釈し、粘着剤溶液を調製した。
剥離ライナーの剥離処理面に、ナイフコーターを用いて前記粘着剤溶液を塗布し、80℃で1分間乾燥することにより、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。
次いで、積層基材シートの白色層側に、前記の剥離ライナー付き粘着剤層を貼り合わせて、レーザマーカラベルを作製した。
(6)白色層記録部の形成
次いで、パナソニック社製CO2レーザーマーカー LP−400を用いて、黒色層を貫通して白色層に到達するようにレーザ照射して文字をマーキングした。このとき、被着体の色を隠蔽する観点から、残った白色層の厚みは30μm以上であることが好ましい。
白色層に形成された文字に、かすれがなく、印字性は良好であった。
<脆質性>
メラミン塗装板の被着体にラベルを貼り付け24時間、室温(25℃)で養生した。その後、被着体からラベルを剥離した。この際に、白色層、黒色層および被覆層が破壊を生じたものを脆質性を有するとした。
上記黒色層および白色層に印字されたラベルについて、上記脆質性の評価を行ったところ、脆質性を有するものであった。
以上、実施形態を通じて本発明に係るレーザマーカラベル10およびその製造方法について説明したが、本発明は実施形態において説明した構成に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、積層方向の被覆層15側から視て、白色層13が露出した露出部16が形成された。しかしながら、積層方向の被覆層15側から視て、黒色層14が露出した露出部が形成されてもよい。
また、上述した実施形態では、工程フィルムを剥がした白色層13に対して、剥離ライナー11上に形成した粘着剤層12を転写することによって、図3(A)に示す積層体が形成された。しかしながら、剥離ライナー11上に形成した粘着剤層12の表面に、白色層13、黒色層14、被覆層15を順に形成して、図3(A)に示す積層体を形成してもよい。