JP2019132152A - 内燃機関の制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】演算負荷の増加を抑制しつつ、点火時期が操作されても、燃焼室の出口ガス温度を精度よく推定できる内燃機関の制御装置及び制御方法を提供する。【解決手段】燃焼室ガス量Qall、燃焼熱量hl_b、冷却損失率ηc、及び図示熱効率ηiに基づいて、燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度Toutを算出し、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量Δηiを算出し、図示熱効率の変化量Δηiに基づいて冷却損失率の基本値ηc0を補正して、最終的な冷却損失率ηcを算出する内燃機関の制御装置。【選択図】図5

Description

本開示は、内燃機関の排気ガス温度を推定する内燃機関の制御装置及び制御方法に関する。
内燃機関を好適に運転するためには、内燃機関の運転状態に応じて変化する各部の圧力や温度等の状態量を正確に把握することが重要である。近年では、排気系の状態量も用いて内燃機関の制御が行われるようになっている。排気系の状態量を用いる制御としては、例えば、高回転高負荷運転時に排気ガス温度が上昇し、排気系に設けられた触媒や空燃比センサ等を損傷するおそれがある場合は、空燃比をリッチ化して排気ガス温度を低減させるエンリッチ制御が行われている。この制御を行うために用いる排気ガス温度は、排気ガス温度センサを用いて検出してもよいが、センサコストを低減するため、推定する方法もある。例えば、回転速度及び充填効率と排気ガス温度との関係が、予め実験データ等に基づいて設定されたマップデータを参照して、排気ガス温度を推定する方法が用いられる。
排気ガス温度を用いる他の例としては、例えば特許文献1において、体積効率相当値を用いて燃焼室の吸入空気量や内部EGR率を算出する方法が開示されているが、この体積効率相当値の算出に排気ガス温度が用いられている。この文献では、前述同様のマップデータを用いた排気ガス温度の推定方法が用いられている。これら以外にも、EGRバルブの開度に基づいて外部EGRの流量を算出するために排気ガス温度が用いられる場合もある。
特許第5409832号公報
前述のように、排気ガス温度の推定方法としてマップデータを用いた推定方法があるが、排気ガス温度は、点火時期やEGR量等の影響を受けやすく、例えば回転速度と充填効率をマップ軸としたマップ設定だけでは、点火時期やEGR量等の運転条件が変化すると精度良く推定することが難しいという問題がある。点火時期やEGR量が変化した場合の排気ガス温度をすべてマップとして記憶するとしても、マップの数が膨大になるし、適合に必要な工数も膨大となるため、マップによる排気ガス温度の推定では推定精度や適合工数の面で問題がある。
排気ガス温度の推定精度が低いと、内部EGR量や外部EGR量の推定精度が低くなるため、EGR量に基づく点火時期制御が適正に行われず、燃費効果を十分に得られないという問題がある。排気ガス温度の推定誤差により、過給圧を制御するウェイストゲート開度の制御が適正に行われない場合にも、ドライバの要求する加速感が得られないためにドライバビリティが悪化するという問題がある。これらの問題は、排気ガス温度の推定精度を向上することができれば解決され得る。
排気管内の排気ガス温度の推定精度を向上するためには、燃焼室の出口における排気ガス温度である出口ガス温度の推定精度を向上する必要がある。そこで、本願の発明者は、燃料の燃焼により発生する燃焼熱量の分配を考慮する熱勘定により、燃焼室の出口ガス温度の推定精度を向上する処理を検討している。具体的には、本願の発明者は、燃焼熱量のうち、燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合を図示熱効率とし、膨張行程中に燃焼室の壁面へ放熱される熱量の割合を冷却損失率とし、残りが排気損失率として排気ガスの温度上昇に使われる熱量になる割合とした熱勘定を検討している。しかし、ノック制御等の点火時期の操作により、図示熱効率だけでなく、冷却損失率も変化するため、点火時期の操作による冷却損失率の変化を考慮しないと、出口ガス温度の推定精度が悪化する問題があった。具体的には、点火時期が遅角されると、図示熱効率が低下し、図示熱効率の低下分の熱量が出口ガス温度の上昇に用いられるが、図示熱効率の低下分の熱量の一部が冷却損失率の上昇にも用いられる。しかし、簡単な演算で、点火時期の操作から、直接的に、冷却損失率の変化量を精度よく算出することが容易でなかった。
そこで、演算負荷の増加、定数適合工数の増加を抑制しつつ、点火時期が操作されても、燃焼室の出口ガス温度を精度よく推定できる内燃機関の制御装置及び制御方法が望まれる。
本開示に係る内燃機関の制御装置は、燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量を算出する燃焼室ガス量算出部と、
燃料の燃焼により前記燃焼室で発生した燃焼熱量を算出する燃焼熱量算出部と、
前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率を算出する冷却損失率算出部と、
前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率を算出する図示熱効率算出部と、
前記燃焼室ガス量、前記燃焼熱量、前記冷却損失率、及び前記図示熱効率に基づいて、前記燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度を算出する熱勘定温度算出部と、
点火時期を操作する点火制御部と、を備え、
前記図示熱効率算出部は、前記点火時期の操作による前記図示熱効率の変化量を算出し、
前記冷却損失率算出部は、前記冷却損失率の基本値を算出し、前記図示熱効率の変化量に基づいて前記冷却損失率の基本値を補正して、最終的な前記冷却損失率を算出するものである。
本開示に係る内燃機関の制御方法は、燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量を算出する流入ガス量算出ステップと、
燃料の燃焼により前記燃焼室で発生した燃焼熱量を算出する燃焼熱量算出ステップと、
前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率を算出する冷却損失率算出ステップと、
前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率を算出する図示熱効率算出ステップと、
前記燃焼室ガス量、前記燃焼熱量、前記冷却損失率、及び前記図示熱効率に基づいて、前記燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度を算出する出口ガス温度算出ステップと、
点火時期を操作する点火制御ステップと、を備え、
前記図示熱効率算出ステップでは、前記点火時期の操作による前記図示熱効率の変化量を算出し、
前記冷却損失率算出ステップでは、前記冷却損失率の基本値を算出し、前記図示熱効率の変化量に基づいて前記冷却損失率の基本値を補正して、最終的な前記冷却損失率を算出するものである。
本開示に係る内燃機関の制御装置及び制御方法によれば、点火時期の操作による冷却損失率の変化と強い相関性のある図示熱効率の変化量に基づいて、冷却損失率を変化させるので、点火時期の操作により変化する冷却損失率を精度よく算出することができる。また、図示熱効率算出部による図示熱効率の算出を利用できるので、点火時期の操作から直接的に冷却損失率の変化を算出する場合よりも、演算負荷、定数適合工数を低減することができる。
実施の形態1に係る内燃機関及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置のブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る熱勘定の考え方を示す図である。 実施の形態1に係る出口ガス温度算出部の詳細ブロック図である。 実施の形態1に係る変化量特性データの設定例を説明する図である。 実施の形態1に係る損失率特性データの設定例を説明する図である。 実施の形態1に係る排気管の単流熱交換器モデルを概略的に示す図である。 実施の形態1に係る制御装置の処理を示すフローチャート図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係る内燃機関の制御装置50(以下、単に制御装置50と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る内燃機関1の概略構成図であり、図2は、本実施の形態に係る制御装置50のブロック図である。内燃機関1及び制御装置50は、車両に搭載され、内燃機関1は、車両(車輪)の駆動力源となる。
1.内燃機関1の構成
図1に示すように、内燃機関1は、空気と燃料の混合気を燃焼する燃焼室25を備えている。内燃機関1は、燃焼室25に空気を供給する吸気管23と、燃焼室25で燃焼した排気ガスを排出する排気管17とを備えている。燃焼室25は、シリンダ(気筒)とピストンにより構成されている。以下では、燃焼室25を気筒とも称す。内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている。内燃機関1は、吸気管23を開閉するスロットルバルブ6を備えている。スロットルバルブ6は、制御装置50により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式スロットルバルブとされている。スロットルバルブ6には、スロットルバルブ6の開度に応じた電気信号を出力するスロットル開度センサ7が設けられている。
スロットルバルブ6の上流側の吸気管23には、吸気管23に吸入される吸入空気流量に応じた電気信号を出力するエアフローセンサ3と、吸入空気の温度に応じた電気信号を出力する吸入空気温度センサ4と、が設けられている。吸入空気温度センサ4に検出された吸入空気の温度は、外気温Taに等しいとみなすことができる。
内燃機関1は、排気管17から吸気マニホールド12に排気ガスを還流するEGR流路21と、EGR流路21を開閉するEGRバルブ22と、を有している。吸気マニホールド12は、スロットルバルブ6の下流側の吸気管23の部分である。EGRバルブ22は、制御装置50により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式EGRバルブとされている。EGRバルブ22には、EGRバルブ22の開度に応じた電気信号を出力するEGR開度センサ27が設けられている。なお、EGRは、排気ガス再循環、すなわち、Exhaust Gas Recirculationの頭文字である。EGRバルブ22を介して排気ガスが再循環するEGRを、外部EGRといい、吸排気バルブのバルブオーバーラップにより燃焼室内に排気ガスが残留するEGRを、内部EGRという。以下、外部EGRを単にEGRと称す。
吸気マニホールド12には、吸気マニホールド12内の気体の圧力であるマニホールド圧に応じた電気信号を出力するマニホールド圧センサ8と、吸気マニホールド12内の気体の温度であるマニホールド温度Tinに応じた電気信号を出力するマニホールド温度センサ9と、が設けられている。
内燃機関1には、燃焼室25に燃料を供給するインジェクタ13が設けられている。インジェクタ13は、燃焼室25内に直接燃料を噴射するように設けられている。インジェクタ13は、吸気マニホールド12の下流側の部分に燃料を噴射するように設けられてもよい。内燃機関1には、大気圧に応じた電気信号を出力する大気圧センサ2が設けられている。
燃焼室25の頂部には、空気と燃料の混合気に点火する点火プラグと、点火プラグに点火エネルギーを供給する点火コイル16と、が設けられている。また、燃焼室25の頂部には、吸気管23から燃焼室25内に吸入される吸入空気量を調節する吸気バルブ14と、燃焼室25から排気管17に排出される排気ガス量を調節する排気バルブ15と、が設けられている。吸気バルブ14には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする吸気可変バルブタイミング機構が設けられている。排気バルブ15には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする排気可変バルブタイミング機構が設けられている。可変バルブタイミング機構14、15は、電動アクチュエータを有している。内燃機関1のクランク軸には、その回転角に応じた電気信号を出力するクランク角センサ20が設けられている。
排気管17には、排気ガス中の空気と燃料との比率である空燃比AF(Air/Fuel)に応じた電気信号を出力する空燃比センサ18が設けられている。また、排気管17には、排気ガスを浄化する触媒19が設けられている。
シリンダブロックにはノックセンサ28が固定されている。ノックセンサ28は、内燃機関1の振動に応じた信号(振動波形信号)を出力する。ノックセンサ28は、圧電素子等により構成される。
2.制御装置50の構成
次に、制御装置50について説明する。制御装置50は、内燃機関1を制御対象とする制御装置である。図2のブロック図に示すように、制御装置50は、運転状態検出部51、出口ガス温度算出部52、放熱量算出部53、排気温度推定部54、排気温度利用制御部55、及び点火制御部56等の制御部を備えている。制御装置50の各制御部51〜56等は、制御装置50が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置50は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りをする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)や、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、各種のセンサやスイッチが接続され、これらセンサやスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置50が備える各制御部51〜56等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置50の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部51〜56等が用いる特性データ、定数等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。
本実施の形態では、入力回路92には、大気圧センサ2、エアフローセンサ3、吸入空気温度センサ4、スロットル開度センサ7、マニホールド圧センサ8、マニホールド温度センサ9、空燃比センサ18、クランク角センサ20、アクセルポジションセンサ26、EGR開度センサ27、及びノックセンサ28等が接続されている。出力回路93には、スロットルバルブ6(電気モータ)、インジェクタ13、吸気可変バルブタイミング機構14、排気可変バルブタイミング機構15、点火コイル16、及びEGRバルブ22(電動アクチュエータ)等が接続されている。なお、制御装置50には、図示していない各種のセンサ、スイッチ、及びアクチュエータ等が接続されている。
運転状態検出部51は、内燃機関1の運転状態を検出する。運転状態検出部51は、各種のセンサの出力信号等に基づいて各種の運転状態を検出する。具体的には、運転状態検出部51は、大気圧センサ2の出力信号に基づいて大気圧を検出し、エアフローセンサ3の出力信号に基づいて吸入空気流量を検出し、吸入空気温度センサ4の出力信号に基づいて外気温Taを検出し、スロットル開度センサ7の出力信号に基づいてスロットル開度を検出し、マニホールド圧センサ8の出力信号に基づいてマニホールド圧を検出し、マニホールド温度センサ9の出力信号等に基づいて吸気マニホールド12内の気体の温度であるマニホールド温度Tinを検出し、空燃比センサ18の出力信号に基づいて、排気ガスの空燃比AFを検出し、クランク角センサ20の出力信号に基づいてクランク角度及び回転速度Neを検出し、アクセルポジションセンサ26の出力信号に基づいてアクセル開度を検出し、EGR開度センサ27の出力信号に基づいてEGR開度を検出し、ノックセンサ28の出力信号に基づいてノック強度KNKを検出する。
運転状態検出部51は、吸入空気流量、回転速度Ne等に基づいて燃焼室25内に流入した空気量である吸入空気量Qc[g/stroke]、充填効率Ec[%]を算出する。例えば、運転状態検出部51は、吸入空気流量[g/s]に、回転速度Neに応じた行程周期を乗算した値に、吸気マニホールドの遅れを模擬したフィルタ処理を行った値を、吸入空気量Qc[g/stroke]として算出する。行程周期は、3気筒エンジンであれば、240degCA間の周期となり、4気筒エンジンであれば、180degCA間の周期となる。或いは、運転状態検出部51は、マニホールド圧、回転速度Ne等に基づいて吸入空気量Qc[g/stroke]、充填効率Ec[%]を算出してもよい。
運転状態検出部51は、EGR開度等に基づいて、燃焼室25内に流入した排気ガス再循環量であるEGR量Qce[g/stroke]を算出する。例えば、運転状態検出部51は、EGR開度及びマニホールド圧等に基づいて、EGRバルブ22を通過するEGR流量[g/s]を算出し、EGR流量に行程周期を乗算した値に、フィルタ処理を行った値を、EGR量Qce[g/stroke]として算出する。運転状態検出部51は、吸入空気量Qcに対するEGR量Qceの比率であるEGR率Regr[%]を算出する。
制御装置50は、算出された回転速度Ne、吸入空気量Qc、充填効率Ec、EGR率Regr等に基づいて、目標空燃比、燃料噴射量Qf、点火時期SA等を算出し、インジェクタ13及び点火コイル16等を駆動制御する。例えば、制御装置50は、回転速度Ne及び充填効率Ecに基づいて目標空燃比を算出し、吸入空気量Qcを目標空燃比で除算して燃料噴射量の基本値を算出する。そして、制御装置50は、空燃比センサ18を用いた空燃比フィードバック制御を行う場合は、燃料噴射量の基本値を補正して、最終的な燃料噴射量Qfを算出し、空燃比フィードバック制御を行わない場合は、燃料噴射量の基本値をそのまま最終的な燃料噴射量Qfに設定する。
制御装置50は、アクセル開度等に基づいて、目標スロットル開度を算出し、スロットル開度が目標スロットル開度に近づくように、スロットルバルブ6の電気モータを駆動制御する。制御装置50は、回転速度Ne及び充填効率Ec等に基づいてEGRバルブ22の目標EGR開度を算出し、EGR開度が目標EGR開度に近づくように、EGRバルブ22の電動アクチュエータを駆動制御する。制御装置50は、回転速度Ne及び充填効率Ec等に基づいて、吸気バルブ14及び排気バルブ15のそれぞれの目標開閉タイミング(位相)を算出し、吸気バルブ14及び排気バルブ15の開閉タイミングが、それぞれの目標開閉タイミングに近づくように、吸気及び排気可変バルブタイミング機構の電動アクチュエータを駆動制御する。
トルクベース制御を行う場合は、制御装置50は、アクセル開度等に基づいて算出された内燃機関1の要求出力トルク、又は変速機制御装置等の外部の制御装置から要求された内燃機関1の要求出力トルクを実現するように、スロットル開度、点火時期SA、EGR開度、吸気バルブ14及び排気バルブ15の開閉タイミングを制御する。具体的には、制御装置50は、適合により予め設定された充填効率Ecと図示熱効率ηiとの関係に基づいて、要求出力トルクに対応する図示熱効率を実現するために必要な目標充填効率を算出し、目標充填効率で運転した場合に、燃費、排出ガスが最適となる目標EGR率を算出し、目標充填効率及び目標EGR率を達成するような目標スロットル開度、目標EGR開度、吸気バルブ14の目標開閉タイミング、及び排気バルブ15の目標開閉タイミングを算出し、これらの目標値に基づいて、スロットルバルブ6の電気モータ、EGRバルブ22の電動アクチュエータ、吸気及び排気可変バルブタイミング機構の電動アクチュエータを駆動制御する。
2−1.点火制御部56
点火時期SAの制御について、より詳細に説明する。点火制御部56は、点火時期SAを操作する。本実施の形態では、点火制御部56は、回転速度Ne、充填効率Ec、及びEGR率Regr等の運転状態と、基本点火時期SA0との関係が予め設定された点火時期特性データを参照し、現在の運転状態に対応する基本点火時期SA0を算出する。基本点火時期SA0は、基本的に、トルクが最大になる点火時期(MBT:Minimum advance for the Best Torque)に設定されている。
点火制御部56は、ノックセンサ28により検出したノック強度KNKに応じてノック遅角量を算出し、基本点火時間SA0からノック遅角量だけ遅角した点火時期を最終的な点火時期SAとして算出する。また、点火制御部56は、内燃機関1の暖機運転のため、触媒19の昇温のため、及び内燃機関1のトルク低下のために、点火時期SAを、基本点火時間SA0よりも遅角させる遅角制御を行う。点火制御部56は、点火時期SAで点火プラグに火花が生じるように、点火時期SA及びクランク角度に基づいて、点火コイル16への通電制御を行う。
2−2.出口ガス温度算出部52
<出口ガス温度Toutの算出方法>
出口ガス温度Toutの算出方法について説明する。燃焼室内に供給された燃料が燃焼することにより発生する燃焼熱量hl_bがどのように分配されるかを示したものを熱勘定といい、熱勘定の考え方を図4に示す。燃焼熱量hl_bのうち、燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合を図示熱効率ηi[%]とし、膨張行程中に燃焼室の壁面へ放熱される熱量の割合を冷却損失率ηc[%]とし、残りが排気損失率ηex[%]として排気ガスの温度上昇に使われる熱量になる割合とする。なお、ポンピングロスや機械損失は、一旦仕事として取り出したものの、軸出力以外に使われる仕事と考えて、図示熱効率ηiに含むものとする。ここで、図示熱効率ηi、冷却損失率ηcが分かるものとすると、排気損失率ηexは、次式で表せる。
Figure 2019132152
この時、吸気マニホールド12に導入された気体の温度であるマニホールド気温をTin[K]とし、今回の燃焼により発生する燃焼熱量をhl_b[J/stroke]とし、今回の燃焼における燃焼室内ガス量をQall[g/stroke]とし、燃焼室内ガス(排気ガス)の比熱をCex[J/(g・K)]とすると、出口ガス温度の基本値Tout0[K]は、次式で算出できる。
Figure 2019132152
ここで、(2)式で算出する出口ガス温度を基本値としたのは、空燃比が理論空燃比又はリーンである場合は、(2)式で算出した出口ガス温度をそのまま用いることができるが、空燃比がリッチである場合は、エンリッチにより、出口ガス温度が低下するため、その分の補正を行う必要があるためである。エンリッチによる温度低下の理由は、燃料の気化による蒸発熱や、未燃燃料が分子量の小さい炭化水素に分解される際に消費されるエネルギーによるものと考えられる。結局、エンリッチによる温度低下量をエンリッチ温度低下量ΔTrichとすると、出口ガス温度Toutは次式により算出することができる。以上により出口ガス温度Toutが算出できるので、排気ガス温度Texも算出できることになる。
Figure 2019132152
<出口ガス温度算出部52>
以上で導出した算出方法に基づいて設計された制御装置50について説明する。出口ガス温度算出部52は、燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度Toutを算出する。図5に、出口ガス温度算出部52の詳細ブロック図を示すように、出口ガス温度算出部52は、燃焼室ガス量算出部52a、燃焼熱量算出部52b、冷却損失率算出部52c、図示熱効率算出部52d、熱勘定温度算出部52e、及び空燃比温度補正部52fを備えている。
<燃焼室ガス量算出部52a>
燃焼室ガス量算出部52aは、燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量Qallを算出する。本実施の形態では、燃焼室ガス量算出部52aは、次式に示すように、燃焼室に流入した空気量である吸入空気量Qc[g/stroke]、燃焼室に流入した排気ガス再循環量であるEGR量Qce[g/stroke]、及び燃焼室に供給した燃料噴射量Qf[g/stroke]を合計した値を、燃焼室ガス量Qall[g/stroke]として算出する。なお、吸入空気量Qc及びEGR量Qceは、上述したように、運転状態検出部51により算出される。
Figure 2019132152
また、燃焼室ガス量算出部52aは、次式に示すように、燃焼室ガス量Qallを行程周期ΔTsgtで除算した値を、排気行程で排出される排気ガス流量Qex[g/s]として算出する。行程周期ΔTsgtは、3気筒エンジンであれば、240degCA間の周期となり、4気筒エンジンであれば、180degCA間の周期となる。ここで、(n)は、現在の行程を表し、(n−3)は、現在の行程から3行程前の行程を表している。Qex(n)は、現在排気行程である気筒から排出されている排気ガス流量を表し、Qall(n−3)は、現在排気行程である気筒が、3行程前に吸気行程であった時に流入した燃焼室ガス量を表している。
Figure 2019132152
<燃焼熱量算出部52b>
燃焼熱量算出部52bは、燃料の燃焼により燃焼室で発生した燃焼熱量hl_bを算出する。燃焼熱量算出部52bは、燃料噴射量Qf[g/stroke]及び空燃比AFに基づいて、燃料噴射量Qfのうち、実際に燃焼した燃焼燃料量Qfb[g/stroke]を算出する。空燃比AFが理論空燃比又はリーンである場合は、燃料噴射量Qfの全てが燃焼すると仮定できるが、空燃比AFがリッチである場合は、理論空燃比分の燃料量は燃焼するが、理論空燃比を超えたリッチ分の燃料量は燃焼しない。そこで、燃焼熱量算出部52bは、次式に示すように、空燃比AFが理論空燃比又はリーンである場合は、燃料噴射量Qfをそのまま燃焼燃料量Qfbに設定し、空燃比AFがリッチである場合は、燃料噴射量Qfに、空燃比AFを理論空燃比AF0で除算した値を、燃焼燃料量Qfbとして算出する。空燃比AFには、燃料噴射量Qfの演算に用いられる目標空燃比が用いられてもよいし、空燃比センサ18を用いて検出された排気ガスの空燃比が用いられてもよい。
Figure 2019132152
そして、燃焼熱量算出部52bは、燃焼燃料量Qfb[g/stroke]に単位発熱量を乗算した値を、燃焼熱量hl_b[J/stroke]として算出する。ガソリンの単位発熱量は、44000[J/g]程度に設定される。なお、燃料の気化熱量を、単位発熱量から減算してもよいが、ガソリンの気化熱量は272[J/g]程度であるので無視してもよい。
<図示熱効率算出部52d>
図示熱効率算出部52dは、燃焼熱量hl_bのうち、燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率ηiを算出する。図示熱効率算出部52dは、回転速度Ne、充填効率Ec、EGR率Regr、及び点火時期SA等の運転状態と、図示熱効率ηiとの関係が予め設定された図示熱効率特性データを参照し、現在の運転状態に対応する現在の図示熱効率ηiを算出する。ここで、現在の充填効率Ec、EGR率Regrには、現在排気行程である気筒が、3行程前に吸気行程であった時の値が用いられる。
図示熱効率特性データは、トルクベース制御において出力トルクの演算に用いるものが用いられ、実験データに基づいて予め設定されている。図示熱効率ηiの計測は、全運転ポイントを計測すると膨大となるため、MBC(Model Based Calibration)、DoE(Design of Experiments)といった手法を用いて計測ポイントを抑制し、計測したポイントでのデータを近似式で繋ぐようにして全運転ポイントに相当する近似データを作成する。図示熱効率特性データには、更に簡易化した近似式が用いられる。なお、トルクベース制御が行われない場合は、図示熱効率特性データは、回転速度Ne及び充填効率Ecと、図示熱効率ηiとの関係が設定されたものとされてもよい。なお、図示熱効率ηiには、燃焼により発生する熱量を分母にし、図示平均有効圧に相当する熱量を分子にして算出したものが用いられる。
図示熱効率算出部52dは、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量Δηiを算出する。本実施の形態では、図示熱効率算出部52dは、予め設定された基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による図示熱効率の変化量Δηiを算出するように構成されている。本実施の形態では、基本点火時期SA0は、トルクが最大になる点火時期(MBT)に設定されている。図示熱効率算出部52dは、点火制御部56が算出した基本点火時期SA0を用いてもよいし、点火制御部56と同様に、運転状態に基づいて、基本点火時期SA0を算出してもよい。
図示熱効率算出部52dは、基本点火時期SA0に対応する図示熱効率ηi0(以下、基本図示熱効率ηi0と称す)を算出する。図示熱効率算出部52dは、上述した図示熱効率特性データを参照し、点火時期以外の現在の運転状態(回転速度Ne、充填効率Ec、及びEGR率Regr等)、及び基本点火時期SA0に対応する図示熱効率を基本図示熱効率ηi0として算出する。
図示熱効率算出部52dは、次式に示すように、現在の点火時期SAに対応する図示熱効率ηiから、基本点火時期SA0に対応する基本図示熱効率ηi0を減算して、図示熱効率の変化量Δηiを算出する。点火時期SAを基本点火時期SA0から遅角すると、図示熱効率ηiが減少するので、図示熱効率の変化量Δηiは負の値となる。
Figure 2019132152
<冷却損失率算出部52c>
冷却損失率算出部52cは、燃焼により発生した燃焼熱量hl_bのうち、燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率ηcを算出する。
ところで、ノック制御等の点火時期SAの操作により、図示熱効率だけでなく、冷却損失率も変化するため、点火時期SAの操作による冷却損失率の変化を考慮しないと、出口ガス温度の推定精度が悪化する問題があった。具体的には、点火時期SAが遅角されると、図示熱効率が低下し、図示熱効率の低下分の熱量が出口ガス温度の上昇に用いられるが、図示熱効率の低下分の熱量の一部が冷却損失率の上昇にも用いられる。
しかし、簡単な演算で、点火時期SAの操作から、直接的に、冷却損失率の変化量を精度よく算出することが容易でなかった。発明者が実施した実験結果によれば、冷却損失率の変化は、図示熱効率の変化と強い相関性があるため、冷却損失率の変化を精度よく算出するためには、図示熱効率の変化を考慮する必要があることが分かった。これは、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量に応じて、燃焼室内のガス温度が上昇し、燃焼室内のガス温度の上昇量に応じて、燃焼室の壁面へ放熱される冷却損失率も上昇するためだと考えられる。すなわち、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量に応じて、冷却損失率の変量が定まることとなる。なお、図示熱効率は、回転速度Ne、充填効率Ec、EGR率Regr、及び点火時期SA等の複数のパラメータによって変化するため、直接的に冷却損失率の変化を精度よく算出するためには、複雑な演算及び定数適合が必要であることがわかる。
そこで、本実施の形態では、冷却損失率算出部52cは、冷却損失率の基本値ηc0を算出し、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量Δηiに基づいて冷却損失率の基本値ηc0を補正して、最終的な冷却損失率ηcを算出するように構成されている。
この構成によれば、点火時期の変化による冷却損失率の変化と強い相関性のある、図示熱効率の変化量Δηiに基づいて冷却損失率を変化させるので、点火時期の操作により変化する冷却損失率を精度よく算出することができる。また、図示熱効率算出部52dによる図示熱効率の算出を利用できるので、直接的に冷却損失率の変化を算出する場合よりも、演算負荷、定数適合工数を低減することができる。
本実施の形態では、冷却損失率算出部52cは、冷却損失率の基本値ηc0として、点火時期SAが基本点火時期SA0に設定された場合の冷却損失率を算出する。そして、冷却損失率算出部52cは、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による図示熱効率の変化量Δηiに基づいて、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による冷却損失率の変化量Δηcを算出する。そして、冷却損失率算出部52cは、次式に示すように、冷却損失率の基本値ηc0を冷却損失率の変化量Δηcにより変化させて、最終的な冷却損失率ηcを算出する。
Figure 2019132152
この構成によれば、基本点火時期SA0を共通の基準にして、冷却損失率の基本値ηc0、図示熱効率の変化量Δηi、及び冷却損失率の変化量Δηcを算出するので、演算処理及びデータ設定を簡単化することができる。
発明者が実施した実験結果によって、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による図示熱効率の変化量Δηiと、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による冷却損失率の変化量Δηcとの間には、強い相関性があることが見出された。そこで、冷却損失率算出部52cは、図示熱効率の変化量Δηiと冷却損失率の変化量Δηcとの関係が予め設定された変化量特性データを参照し、図示熱効率算出部52dによって算出された図示熱効率の変化量Δηiに対応する冷却損失率の変化量Δηcを算出する。図6に示すように、変化量特性データには、図示熱効率の変化量Δηiが0から減少するに従って、冷却損失率の変化量Δηcが0から増加する特性が、実験データに基づいて予め設定されている。なお、各特性データには、データマップ、データテーブル、多項式、数式等が用いられ、その設定データは、記憶装置91に記憶されている。上述したように、基本点火時期SA0は、トルクが最大になる点火時期(MBT)に設定されている。
発明者が実施した実験結果から、排気ガス流量Qexと、逆算により算出した冷却損失率の基本値ηc0との間には、運転条件に依らず、強い相関関係があることが見いだされた。そこで、冷却損失率算出部52cは、排気管内の排気ガス流量Qexに基づいて冷却損失率の基本値ηc0を算出する。具体的には、冷却損失率算出部52cは、排気ガス流量Qexと冷却損失率の基本値ηc0との関係が予め設定された損失率特性データを参照し、現在の排気ガス流量Qexに対応する冷却損失率の基本値ηc0を算出する。図7に示すように、損失率特性データには、排気ガス流量Qexが増加するに従って、冷却損失率の基本値ηc0が低下する特性が、実験データに基づいて予め設定されている。
<熱勘定温度算出部52e>
熱勘定温度算出部52eは、燃焼室ガス量Qall[g/stroke]、燃焼熱量hl_b[J/stroke]、冷却損失率ηc、及び図示熱効率ηiに基づいて、燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度Toutを算出する。具体的には、熱勘定の考え方に基づく(1)式、(2)式を用いて上述したように、熱勘定温度算出部52eは、次式に示すように、100[%]から図示熱効率ηi[%]及び冷却損失率ηc[%]を減算した値を、燃焼熱量のうち排気ガスの温度上昇に使われる熱量の割合である排気損失率ηex[%]として算出する。そして、熱勘定温度算出部52eは、燃焼熱量hl_b[J/stroke]に、排気損失率ηex[%]を乗算して、排気ガスの温度上昇に用いられる温度上昇熱量[J/stroke]を算出し、温度上昇熱量[J/stroke]を、燃焼室ガス量Qall[g/stroke]と排気ガスの比熱Cex[J/(g・K)]を乗算した水当量[J/(stroke・g)]で除算して温度上昇量[K]を算出し、温度上昇量[K]をマニホールド温度Tin[K]に加算して、出口ガス温度の基本値Tout0[K]を算出する。
Figure 2019132152
排気ガスの比熱Cexには、1.1[J/(g・K)]程度の値が設定される。排気ガスの比熱Cexは、厳密には空燃比に応じて変化するため、空気及び燃料の比熱を用いて補正するなど、空燃比AFに応じて変化させてもよいが、簡単のために、同じ固定値が用いられてもよい。マニホールド温度温Tinとして、マニホールド温度センサ9により検出された吸気マニホールド12内のガス温度がそのまま用いられてもよいが、燃焼室内に流入したガス温度に近づくように、吸気マニホールド12内のガス温度に所定値が加算された温度がマニホールド温Tinとして用いられてもよい。或いは、吸排気バルブの開閉タイミングに基づいて算出された内部EGR率に応じて吸気マニホールド12内のガス温度が補正された温度が、マニホールド温Tinとして用いられてもよい。マニホールド温度温Tinとして、外気温Taに基づいて推定されたガス温度が用いられてもよい。
<空燃比温度補正部52f>
空燃比温度補正部52fは、空燃比AFが理論空燃比よりリッチである場合に、エンリッチ量ΔAFrに応じて、出口ガス温度Toutの低下補正を行う。本願の発明者が実施した実験結果から、運転条件に依らず、エンリッチ量ΔAFrが1増加すると、出口ガス温度Toutが35〜40℃低下する特性となった。空燃比温度補正部52fは、エンリッチ量ΔAFr(=AF0−AF)とエンリッチ温度低下量ΔTrichとの関係が予め設定された温度低下特性データを参照し、現在のエンリッチ量ΔAFrに対応するエンリッチ温度低下量ΔTrichを算出する。温度低下特性データには、エンリッチ量ΔAFrが増加するに従って、正の値のエンリッチ温度低下量ΔTrichが増加する特性が、実験データに基づいて予め設定されている。
空燃比温度補正部52fは、次式に示すように、空燃比AFが理論空燃比又はリーンである場合は、出口ガス温度の基本値Tout0をそのまま出口ガス温度Toutに設定し、空燃比AFがリッチである場合は、出口ガス温度の基本値Tout0から、正の値のエンリッチ温度低下量ΔTrichを減算した値を、出口ガス温度Toutとして算出する。
Figure 2019132152
2−3.排気ガス温度の推定演算
制御装置50は、排気ガス温度Texの推定を行うように構成されている。推定された排気ガス温度Texは、後述する排気温度利用制御部55において、EGR率の算出等に用いられる。
<単流熱交換器モデルを用いた排気ガス温度の算出方法>
まず、単流熱交換器モデルを用いた、排気ガス温度の算出方法について説明する。なお、単流熱交換器は、詳しくは、「大学講義 伝熱工学」(丸善株式会社、P224〜226、1983年)に記載されている。
図8に、単流熱交換器モデルを概略的に示す。図中の推定位置に、適合用の排気温度センサを取り付けて、実験データを収集する。適合用の排気温度センサは、試験用の内燃機関1にのみ装着されて出口ガス温度算出部52、放熱量算出部53、排気温度推定部54等に含まれる各種定数の適合に用いられる。生産された内燃機関1では、出口ガス温度算出部52、放熱量算出部53、排気温度推定部54により推定された排気ガス温度Texを用いて各種制御が行われる。
また、燃焼室出口及び排気管入口は、燃焼室と排気ポートとの境界部分に相当し、排気バルブ15が配置された位置に相当する。燃焼室出口から推定位置(適合用の排気温度センサの取付位置)までを円筒と仮定する。燃焼室出口から推定位置までの排気管の内部表面積が、排気ガスから排気管に伝熱される全伝熱面積A0[m]になる。なお、複数気筒の場合は、全気筒の燃焼室出口から推定位置までの全内部表面積A0を、気筒数で割ったものを用いることができる。排気管を流れる排気ガス流量をQex[g/s]とする。排気管の外部は外気(排気管近傍の空気)により冷却されており、その外気温Ta[K]は、一定であると仮定する。
次に、燃焼室出口の排気ガスの温度である出口ガス温度をTout[K]とし、この出口ガス温度Toutと外気温Taとの差をθ1とする。推定位置における排気ガス温度をTex[K]とし、排気ガス温度Texと外気温Taとの差をθ2とする。なお、排気ガス温度Texは、排気温度センサの応答遅れの影響がない温度であり、排気ガス温度の瞬時値となる。また、全伝熱面積A0のうち燃焼室出口から任意の位置までの面積をA[m]とし、その任意の位置における瞬時排気温度をT[K]とし、任意の位置の微小伝熱面積dAにおける排気ガス温度の変化をdTとする。瞬時排気温度Tと外気温Taとの差をθとすると、dθ=dTである。さて、この微小伝熱面積dAで単位時間に交換される熱量dQは、熱貫流率(熱通過率)Kht[W/(m・K)]を用いて表すと次式となる。
Figure 2019132152
排気ガス流量Qex[g/s]と排気ガスの比熱Cex[J/(g・K)]の積を水当量という。この水当量の排気ガスがdQ[J]の熱を失って、dTだけ温度が下がるので、次式で表せる。
Figure 2019132152
(11)式、(12)式から、dQを削除して整理し、積分すると次式となる。ここで、Constは、積分定数である。
Figure 2019132152
燃焼室出口では、A=0、θ=θ1であり、推定位置では、A=A0、θ=θ2であるので、式(13)に適用して、式変形すると次式を得る。
Figure 2019132152
この排気管において外気に奪われる熱量Q[J]は次式で表される。
Figure 2019132152
また、この排気管において外気に奪われる熱量の最大値Qmaxは、θ2=0の場合(排気ガス温度Texが外気温Taまで冷却された場合)なので、次式となる。
Figure 2019132152
(14)式、(15)式、(16)式から、排気管の温度効率ηは次式で表される。
Figure 2019132152
(17)式において、熱貫流率Kht、燃焼室出口から推定位置までの全伝熱面積A0、及び排気ガスの比熱Cexが、一定値であると仮定とすると、排気管の温度効率ηは排気ガス流量Qexの関数であることがわかる。結局、排気ガス流量Qexに対応する排気管の温度効率η[%]、外気温Ta、出口ガス温度Toutがわかれば、排気ガス温度Texは、次式により推定することができる。
Figure 2019132152
(18)式の第2式の右辺第2項が、排気系に単流熱交換器モデルを適用した場合の温度低下量ΔTdを表すこととなる。以上により、出口ガス温度Tout、外気温Ta、排気管の温度効率ηから排気ガス温度Texを算出する方法が示された。
<放熱量算出部53>
放熱量算出部53は、燃焼室の出口から推定位置までの排気管の放熱による排気ガスの温度低下量ΔTdを算出する。上述したように、排気管を単流熱交換器にモデル化して導出した(17)式から、排気管の温度効率ηは、排気ガス流量Qexの関数であることがわかり、(18)式から、排気管の温度効率ηに基づいて、温度低下量ΔTdを算出できることがわかる。そこで、放熱量算出部53は、排気管内の排気ガス流量Qexに基づいて、排気管内の排気ガスを加熱流体とし、排気管外の空気を受熱流体とした単流熱交換器としての排気管の温度効率ηを算出し、排気管の温度効率ηに基づいて温度低下量ΔTdを算出する。
放熱量算出部53は、(17)式と同様の次式を用いて、排気ガス流量Qexに基づいて、排気管の温度効率ηを算出する。
Figure 2019132152
Kηは、演算定数である。演算定数Kηは、排気管の熱貫流率Khtに、燃焼室出口から推定位置までの全伝熱面積A0を乗算し、排気ガスの比熱Cexで除算することにより設定できる。排気管の熱貫流率Khtは、適合値であるが、例えば、10〜15[w/(m・K)]程度の値になる。全伝熱面積A0は、排気管の構造から算出できる。排気ガスの比熱Cexには、上述した値が用いられる。演算定数Kηは、固定値とされてもよいが、空燃比AFに応じて変化する排気ガスの比熱Cexに応じて変化されてもよい。また、演算定数Kηは、実験による適合値とされてもよい。
或いは、放熱量算出部53は、排気ガス流量Qexと排気管の温度効率ηとの関係が予め設定された温度効率特性データを参照し、現在の排気ガス流量Qexに対応する排気管の温度効率ηを算出するように構成されてもよい。温度効率特性データは、(19)式の特性を表すものであるが、実験により適合されてもよい。例えば、複数の排気ガス流量Qexの動作点において測定した、適合用の排気温度センサを用いた出口ガス温度Toutの測定値、適合用の排気温度センサを用いた推定位置の排気ガス温度Tex0の測定値、外気温Taの測定値に基づいて、(18)式の第1式を用い、排気管の温度効率ηを算出する。そして、複数の動作点の排気ガス流量Qex及び排気管の温度効率ηの実験データを近似して、温度効率特性データを設定する。同様の方法により、演算定数Kηが設定されてもよい。
放熱量算出部53は、(18)式の第2式と同様の次式に示すように、出口ガス温度算出部52により算出された出口ガス温度Toutから外気温Taを減算した値に、排気管の温度効率ηを乗算した値を、排気ガスの温度低下量ΔTdとして算出する。
Figure 2019132152
<排気温度推定部54>
排気温度推定部54は、次式に示すように、出口ガス温度Toutから温度低下量ΔTdを減算して推定位置の排気ガス温度Texを推定する。
Figure 2019132152
推定位置は、後述する排気温度利用制御部55において必要になる排気ガス温度の位置に設定される。例えば、推定位置は、触媒19の上流側の位置、排気管17とEGR流路21との接続位置、排気管に過給機が設けられる場合はタービンの上流側の位置、排気管に排気ガスセンサが設けられる場合は排気ガスセンサの位置等に設定される。推定位置に合わせて、温度効率ηの算出に必要な演算定数Kη又は温度効率特性データが設定される。
排気温度推定部54は、複数の推定位置の排気ガス温度を推定するように構成されてもよい。この場合は、放熱量算出部53は、推定位置に応じて演算定数Kη又は温度効率特性データの設定値を切り替えて、各推定位置の温度効率ηを算出し、各推定位置の温度低下量ΔTdを算出する。そして、排気温度推定部54は、各推定位置の温度低下量ΔTdを用いて、各推定位置の排気ガス温度Texを推定する。このように、推定位置に応じて演算定数Kη又は温度効率特性データを切り替えるだけで、容易に複数の推定位置の排気ガス温度を推定することができる。
後述するように、排気管に排気ガス温度センサが設けられ、排気ガス温度センサの異常診断を行う場合は、排気ガス温度センサにより検出した排気ガス温度と、推定した排気ガス温度Texとを比較する。しかし、排気ガス温度センサにより検出した排気ガス温度には、センサの熱容量等による応答遅れが生じる。或いは、排気ガス温度には、排気管の熱容量による応答遅れが生じる。そこで、排気温度推定部54は、排気ガス温度Texに対して、応答遅れ処理を行うことにより、応答遅れ処理後の排気ガス温度Texftを算出する。例えば、排気温度推定部54は、次式に示す一次遅れフィルタ処理を行って、応答遅れ処理後の排気ガス温度Texftを算出する。ここで、フィルタ定数Kfは、センサの時定数τと演算周期Δtから設定される。(n)は、今回の演算周期の値であることを表し、(n−1)は、前回の演算周期の値であることを表す。
Figure 2019132152
<排気温度利用制御部55>
排気温度利用制御部55は、排気ガス温度の推定値Texを用いた、排気温度制御、バルブ流量特性演算、排気温度センサ異常診断、及びタービン出力演算のいずれか1つ以上を実行する。
排気温度制御は、排気ガス温度の推定値Texを用いて排気ガス温度の制御を行う処理である。排気温度推定部54は、排気ガス温度の制御を行う位置を推定位置に設定して、排気ガス温度の推定を行う。例えば、排気温度利用制御部55は、排気ガスの温度を低下させるためのエンリッチ制御を行っている場合に、排気ガス温度の推定値Texが目標温度に近づくように、燃料噴射のエンリッチ量を変化させる。また、排気温度利用制御部55は、排気ガス温度の推定値Texが目標温度に近づくように、点火時期SAを変化させたり、排気行程の燃料噴射量を変化させたりする。
バルブ流量特性演算は、排気ガス温度の推定値Texを用いて排気ガスが流れるバルブの流量特性を算出する処理である。排気温度推定部54は、バルブの上流側の位置を推定位置に設定して、排気ガス温度の推定を行う。排気温度利用制御部55は、排気ガス温度の推定値Texに基づいて、バルブの流量特性としてバルブの上流側の排気ガスの音速及び密度を算出する。排気ガスが流れるバルブは、EGRバルブ22、過給機のタービンを迂回するウェイストゲートバルブ等とされる。排気温度利用制御部55は、EGRバルブ22の流量特性を用いて、EGR流量を算出し、EGR量Qce、EGR率Regrを算出する。排気温度利用制御部55は、ウェイストゲートバルブの流量特性を用いて、ウェイストゲートバルブを通過するバイパス流量を算出し、排気ガス流量からバイパス流量を減算して、タービン通過流量を算出し、タービン通過流量はタービン出力に比例するため、タービン通過流量を用いてタービの出力を算出する。タービン出力は、過給圧の制御に用いられる。
排気温度センサ異常診断は、排気ガス温度の推定値Texを用いて排気管に設けられた排気ガス温度センサの異常診断を行う処理である。排気ガス温度センサは、触媒、微粒子捕集フィルタ等の排気ガスの浄化装置に流入する排気ガス温度を管理するために設けられる。排気温度推定部54は、排気ガス温度センサの位置を推定位置に設定して、排気ガス温度の推定を行う。排気温度利用制御部55は、応答遅れ処理後の排気ガス温度の推定値Texftと、排気ガス温度センサによる排気ガス温度の検出値とを比較し、両者の差が大きい場合に、排気ガス温度センサに異常が発生したと判定する。
タービン出力演算は、排気ガス温度の推定値Texを用いて排気管に設けられた過給機のタービン出力を算出する演算である。排気温度推定部54は、タービンの上流側の位置を推定位置に設定して、排気ガス温度の推定を行う。排気温度利用制御部55は、タービンに流入する排気ガス温度はタービン出力に比例するため、排気ガス温度の推定値Texを用いてタービン出力を算出する。
2−4.フローチャート
本実施の形態に係る制御装置50の概略的な処理の手順(内燃機関1の制御方法)について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。図9のフローチャートの処理は、演算処理装置90が記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行することにより、所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS01で、運転状態検出部51は、上記のように、内燃機関1の各種の運転状態を検出する運転状態検出処理(運転状態ステップ)を実行する。
ステップS02で、燃焼室ガス量算出部52aは、上記のように、燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量Qallを算出する燃焼室ガス量算出処理(燃焼室ガス量算出ステップ)を実行する。ステップS03で、燃焼熱量算出部52bは、上記のように、燃料の燃焼により燃焼室で発生した燃焼熱量hl_bを算出する燃焼熱量算出処理(燃焼熱量算出ステップ)を実行する。
ステップS04で、図示熱効率算出部52dは、上記のように、燃焼熱量hl_bのうち、燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率ηiを算出する図示熱効率算出処理(図示熱効率算出ステップ)を実行する。また、図示熱効率算出部52dは、上記のように、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量Δηiを算出する。本実施の形態では、図示熱効率算出部52dは、上記にように、予め設定された基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による図示熱効率の変化量Δηiを算出する。本実施の形態では、基本点火時期SA0は、トルクが最大になる点火時期(MBT)に設定されている。
ステップS05で、冷却損失率算出部52cは、上記のように、燃焼により発生した燃焼熱量hl_bのうち、燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率ηcを算出する冷却損失率算出処理(冷却損失率算出ステップ)を実行する。本実施の形態では、冷却損失率算出部52cは、冷却損失率の基本値ηc0を算出し、点火時期SAの操作による図示熱効率の変化量Δηiに基づいて冷却損失率の基本値ηc0を補正して、最終的な冷却損失率ηcを算出する。より具体的には、冷却損失率算出部52cは、冷却損失率の基本値ηc0として、点火時期SAが基本点火時期SA0に設定された場合の冷却損失率を算出する。冷却損失率算出部52cは、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による図示熱効率の変化量Δηiに基づいて、基本点火時期SA0からの点火時期の遅角による冷却損失率の変化量Δηcを算出する。そして、冷却損失率算出部52cは、冷却損失率の基本値ηc0を冷却損失率の変化量Δηcにより変化させて、最終的な冷却損失率ηcを算出する。
ステップS06で、熱勘定温度算出部52eは、上記のように、燃焼室ガス量Qall、燃焼熱量hl_b、冷却損失率ηc、及び図示熱効率ηiに基づいて、燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度Toutを算出する熱勘定温度算出処理(熱勘定温度算出ステップ)を実行する。ステップS07で、空燃比温度補正部52fは、上記のように、空燃比AFが理論空燃比よりリッチである場合に、エンリッチ量ΔAFrに応じて、出口ガス温度Toutの低下補正を行う空燃比温度補正処理(空燃比温度補正ステップ)を実行する。
ステップS08で、放熱量算出部53は、上記のように、燃焼室の出口から推定位置までの排気管の放熱による排気ガスの温度低下量ΔTdを算出する放熱量算出処理(放熱量算出ステップ)を実行する。本実施の形態では、放熱量算出部53は、排気管内の排気ガス流量Qexに基づいて、単流熱交換器としての排気管の温度効率ηを算出し、排気管の温度効率ηに基づいて温度低下量ΔTdを算出する。放熱量算出部53は、(19)式を用い、排気ガス流量Qexに基づいて、排気管の温度効率ηを算出する。
ステップS09で、排気温度推定部54は、上記のように、出口ガス温度Toutから温度低下量ΔTdを減算して推定位置の排気ガス温度Texを推定する排気温度推定処理(排気温度推定ステップ)を実行する。
ステップS10で、排気温度利用制御部55は、上記のように、排気ガス温度の推定値Texを用いた、排気温度制御、バルブ流量特性演算、排気温度センサ異常診断、及びタービン出力演算のいずれか1つ以上を行う排気温度利用制御処理(排気温度利用制御ステップ)を実行する。
〔その他の実施の形態〕
最後に、本開示のその他の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施の形態1においては、内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている場合を例として説明した。しかし、本開示の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、内燃機関1は、ディーゼルエンジン、HCCI燃焼(Homogeneous-Charge Compression Ignition Combustion)を行うエンジン等の各種の内燃機関とされてもよい。この場合でも、制御装置50は、筒内圧センサ又は振動センサ等により検出した、点火時期(燃焼開始時期)の操作(変化)に応じて、点火時期の操作(変化)による図示熱効率の変化量Δηiを算出し、冷却損失率ηcを補正するように構成されてもよい。
(2)上記の実施の形態1において、例示的に説明したように、内燃機関1は、過給機を備えてもよい。過給機は、排気管に設けられたタービンと、吸気管におけるスロットルバルブの上流側に設けられ、タービンと一体的に回転する圧縮機と、タービンを迂回するタービンバイパス通路に設けられたウェイストゲートバルブと、を備えている。また、内燃機関1は、触媒に加えて、微粒子捕集フィルタを備えてもよく、触媒、微粒子捕集フィルタの上流側に排気ガス温度センサを備えてもよい。
(3)上記の実施の形態1において、基本点火時期SA0は、トルクが最大になる点火時期(MBT)に設定されている場合を例として説明した。しかし、本開示の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、基本点火時期SA0は、MBT以外の点火時期に設定されてもよい。例えば、MBTにおいて、ノックが発生する運転状態では、基本点火時期SA0は、MBTから遅角された点火時期設定される。
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 内燃機関、17 排気管、25 燃焼室、50 内燃機関の制御装置、51 運転状態検出部、52 出口ガス温度算出部、53 放熱量算出部、54 排気温度推定部、55 排気温度利用制御部、52a 燃焼室ガス量算出部、52b 燃焼熱量算出部、52c 冷却損失率算出部、52d 図示熱効率算出部、52e 熱勘定温度算出部、52f 空燃比温度補正部、Kη 演算定数、Qall 燃焼室ガス量、Qex 排気ガス流量、Regr EGR率、SA 点火時期、SA0 基本点火時期、Ta 外気温、Tex 排気ガス温度、Tout 出口ガス温度、hl_b 燃焼熱量、ΔTd 温度低下量、η 温度効率、ηc 冷却損失率、ηc0 冷却損失率の基本値、Δηc 冷却損失率の変化量、ηex 排気損失率、ηi 図示熱効率、ηi0 基本図示熱効率、Δηi 図示熱効率の変化量

Claims (13)

  1. 燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量を算出する燃焼室ガス量算出部と、
    燃料の燃焼により前記燃焼室で発生した燃焼熱量を算出する燃焼熱量算出部と、
    前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率を算出する冷却損失率算出部と、
    前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率を算出する図示熱効率算出部と、
    前記燃焼室ガス量、前記燃焼熱量、前記冷却損失率、及び前記図示熱効率に基づいて、前記燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度を算出する熱勘定温度算出部と、
    点火時期を操作する点火制御部と、を備え、
    前記図示熱効率算出部は、前記点火時期の操作による前記図示熱効率の変化量を算出し、
    前記冷却損失率算出部は、前記冷却損失率の基本値を算出し、前記図示熱効率の変化量に基づいて前記冷却損失率の基本値を補正して、最終的な前記冷却損失率を算出する内燃機関の制御装置。
  2. 前記冷却損失率算出部は、前記図示熱効率の変化量に基づいて、前記点火時期の操作による前記冷却損失率の変化量を算出し、前記冷却損失率の基本値を前記冷却損失率の変化量により変化させて、最終的な前記冷却損失率を算出する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記図示熱効率算出部は、予め設定された基本点火時期からの前記点火時期の遅角による前記図示熱効率の変化量を算出し、
    前記冷却損失率算出部は、前記冷却損失率の基本値として、前記点火時期が前記基本点火時期に設定された場合の前記冷却損失率を算出し、前記図示熱効率の変化量に基づいて、前記基本点火時期からの前記点火時期の遅角による前記冷却損失率の変化量を算出する請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記基本点火時期は、トルクが最大になる前記点火時期に設定されている請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記冷却損失率算出部は、前記燃焼室から排気管に排出される排気ガス流量に基づいて、前記冷却損失率の基本値を算出する請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 空燃比が理論空燃比よりリッチである場合に、エンリッチ量に応じて、前記出口ガス温度の低下補正を行う空燃比温度補正部を更に備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記燃焼室の出口から推定位置までの排気管の放熱による前記排気ガスの温度低下量を算出する放熱量算出部と、
    前記出口ガス温度から前記温度低下量を減算して前記推定位置の排気ガス温度を推定する排気温度推定部と、を更に備えた請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記放熱量算出部は、前記排気管内の排気ガス流量に基づいて、前記排気管内の排気ガスを加熱流体とし、前記排気管外の空気を受熱流体とした単流熱交換器としての前記排気管の温度効率を算出し、
    前記温度効率に基づいて前記温度低下量を算出する請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記放熱量算出部は、前記排気管の温度効率をηとし、前記排気管内の排気ガス流量をQexとし、演算定数をKηとして、
    η=1−exp(−Kη/Qex)
    の算出式により、前記温度効率を算出し、
    前記温度効率に基づいて前記温度低下量を算出する請求項7又は8に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記放熱量算出部は、前記排気管内の排気ガス流量と前記排気管の温度効率との関係が予め設定された温度効率特性データを参照し、現在の前記排気ガス流量に対応する前記温度効率を算出し、
    前記温度効率に基づいて前記温度低下量を算出する請求項7又は8に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記放熱量算出部は、前記出口ガス温度から外気温を減算した値に、前記温度効率を乗算した値を、前記温度低下量として算出する請求項8から10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記排気ガス温度の推定値を用いて前記排気ガス温度の制御を行う排気温度制御、前記排気ガス温度の推定値を用いて排気ガスが流れるバルブの流量特性を算出するバルブ流量特性演算、前記排気ガス温度の推定値を用いて前記排気管に設けられた排気ガス温度センサの異常診断を行う排気温度センサ異常診断、及び前記排気ガス温度の推定値を用いて前記排気管に設けられた過給機のタービン出力を算出するタービン出力演算のいずれか1つ以上を実行する排気温度利用制御部を更に備えた請求項7から11のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  13. 燃焼室に流入したガス量である燃焼室ガス量を算出する流入ガス量算出ステップと、
    燃料の燃焼により前記燃焼室で発生した燃焼熱量を算出する燃焼熱量算出ステップと、
    前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室の壁面に放熱される熱量の割合である冷却損失率を算出する冷却損失率算出ステップと、
    前記燃焼熱量のうち、前記燃焼室内の筒内圧による仕事として取り出せる熱量の割合である図示熱効率を算出する図示熱効率算出ステップと、
    前記燃焼室ガス量、前記燃焼熱量、前記冷却損失率、及び前記図示熱効率に基づいて、前記燃焼室の出口における排気ガスの温度である出口ガス温度を算出する出口ガス温度算出ステップと、
    点火時期を操作する点火制御ステップと、を備え、
    前記図示熱効率算出ステップでは、前記点火時期の操作による前記図示熱効率の変化量を算出し、
    前記冷却損失率算出ステップでは、前記冷却損失率の基本値を算出し、前記図示熱効率の変化量に基づいて前記冷却損失率の基本値を補正して、最終的な前記冷却損失率を算出する内燃機関の制御方法。
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