JP6686427B2 - エンジン制御装置 - Google Patents

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本発明は、シリンダに導入される吸気量を予測するエンジン制御装置に関する。
従来、エンジンのシリンダに導入される吸気量を予測するための手法として、吸気通路内の空気の挙動をモデル化した物理モデルによる手法が知られている。例えば、吸気通路に介装されるスロットルバルブの前後圧力差と流路面積と流量との関係をモデル化したスロットルモデルを用いて、スロットルバルブを通過する空気量を推定する手法が知られている。また、吸気弁を通過する吸気流量と吸気管圧との関係をモデル化した吸気弁モデルを用いて、吸気管内からシリンダへと流入する空気量を推定する手法も知られている(特許文献1参照)。これらの物理モデルを用いることで、エンジンのシリンダに導入されうる将来の吸気量を近似的に算出することができる。
特開2013-155614号公報
上記のような物理モデルを用いた吸気量の予測手法は、ドライバ(運転者)のアクセル操作に対し、スロットル弁の開度の変化を遅らせる演算処理を実施するスロットルディレイ制御を前提としている。すなわち、アクセルペダルの踏み込み操作に対し、あえてスロットル弁の動作を遅延させることで吸気量の変化を予測するための時間を稼ぐ手法であることから、ドライバの出力要求に対する良好なレスポンスが得られない。したがって、仮に高精度な予測精度が得られたとしても、アクセル操作に対するスロットル開度の応答遅れを解消することはできず、加速のもたつきによるドライブフィーリングの低下を招きうる。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、レスポンス低下を抑制しつつ吸気量の予測精度を向上させることができるようにしたエンジン制御装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するエンジン制御装置は、アクセル操作量に基づきエンジンの目標吸気量を算出する第一算出部と、前記目標吸気量が算出された時点における前記エンジンの運転状態で、スロットル開度が全開であると仮定した場合の最大吸気量を算出する第二算出部とを備える。また、前記最大吸気量に基づき、前記時点よりも未来の予測吸気量を算出する予測部を備える。
前記予測部は、前記目標吸気量が前記最大吸気量よりも小さい場合に、前記目標吸気量が算出された時点よりも前記目標吸気量に対する実吸気量の応答遅れ時間である第一遅れ時間だけ前の時刻から、前記目標吸気量が算出された時点から予測したい未来までの時間である予測時間幅だけ進んだ時刻までの前記目標吸気量の変化量に基づき、前記予測吸気量を算出する。
また、前記予測部は、前記目標吸気量が前記最大吸気量よりも大きい場合に、前記目標吸気量が算出された時点よりも前記最大吸気量に対する実吸気量の応答遅れ時間である第二遅れ時間だけ前の時刻から、前記予測時間幅だけ進んだ時刻までの前記最大吸気量の変化量に基づき、前記予測吸気量を算出する。
前記目標吸気量とは、前記エンジンのシリンダ内に導入される空気量の目標値に相当するパラメータであり、例えば目標吸入空気量や目標体積効率,目標充填効率などがこれに含まれる。また、前記最大吸気量とは、前記時点におけるエンジン回転数,吸気温度,バルブリフト,バルブタイミングなどを固定してスロットル開度を全開にした場合に、どの程度の吸気量が得られるかを表すパラメータであり、例えば最大吸入空気量や最大体積効率,最大充填効率などがこれに含まれる。前記予測吸気量についても同様であり、予測吸入空気量や予測体積効率,予測充填効率などがこれに含まれる。
(2)前記第二予測部で算出される前記予測吸気量の前記最大吸気量からの第二遅れ時間が、前記第一予測部で算出される前記予測吸気量の前記目標吸気量からの第一遅れ時間以下の長さに設定されることが好ましい。
)前記予測吸気量に基づき、前記エンジンの燃料噴射量を制御する燃料制御手段を備えることが好ましい。
)前記予測吸気量に基づき、前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備えることが好ましい。
目標吸気量が算出された時点における最大吸気量を用いることで、レスポンス低下を抑制しつつ吸気量の予測精度を向上させることができる。
エンジン制御装置及びエンジンの構成を示す模式図である。 エンジン制御装置による制御内容を説明するためのブロック図である。 充填効率の変動を示すグラフである。 予測充填効率の算出手法を説明するためのグラフである。 予測充填効率の算出手法を説明するためのグラフである。 エンジン制御装置による制御手順を例示するフローチャートである。
図面を参照して、実施形態としてのエンジン制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
本実施形態のエンジン制御装置は、図1に示す過給機11が付設された車両のエンジン10に適用される。この過給機11は、排気通路上のタービン12と吸気通路上のコンプレッサ13とが同軸上に配置され、タービン12で回収された排気エネルギーによりコンプレッサ13を駆動する機械式ターボチャージャである。また、排気通路には、タービン12の上流側と下流側との間を連絡する排気バイパス通路15が設けられ、タービン12を迂回する排気流量を制御するためのウェイストゲートバルブ16がこれに介装される。
同様に、吸気通路にもコンプレッサ13の上流側と下流側との間を連絡する吸気バイパス通路17が設けられ、コンプレッサ13の下流側の過給圧を上流側へと逃がすためのバイパスバルブ18がこれに介装される。吸気通路と吸気バイパス通路17との合流箇所よりも下流側には、吸気を冷却するためのインタークーラ19が設けられるとともに、吸気流量を制御するためのスロットルバルブ20が設けられる。また、エンジン10の吸気ポートにはインジェクタ35が設けられ、シリンダ内の頂面にはイグナイタ36が設けられる。スロットルバルブ20,インジェクタ35,イグナイタ36の作動状態は、エンジン制御装置1によって制御される。
エンジン制御装置1は、内部バス34を介して互いに接続されたプロセッサ31,メモリ32,インタフェイス装置33を内蔵する電子デバイス(電子制御装置)であり、エンジン10が搭載された車両の車載ネットワーク網に接続される。プロセッサ31は、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)などを内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、メモリ32は、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置であり、ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリなどを含む。エンジン制御装置1で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてメモリ32に記録,保存されており、プログラムの実行時にはプログラムの内容がメモリ空間内に展開されて、プロセッサ31によって実行される。
エンジン制御装置1に接続されるセンサ類を図2に例示する。アクセル開度センサ21はアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出し、ブレーキセンサ22はブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキ開度)やブレーキ液圧を検出する。車速センサ23は車速を検出し、エンジン回転数センサ24はエンジン回転数を検出する。水温センサ25はエンジン冷却水の温度(水温)を検出し、インマニ圧センサ26及び吸気温度センサ27のそれぞれは、インマニ内における吸気の圧力(インマニ圧)と温度(吸気温度)とを検出する。大気圧センサ28は大気圧を検出し、エアフローセンサ29は吸気通路に流入した吸気の流量(吸気流量,体積流量)を検出する。スロットル上流圧センサ30は、スロットルバルブ20における上流側の圧力(スロットル上流圧)を検出する。エンジン制御装置1は、これらのセンサ類21〜30で検出された各種情報に基づき、エンジン10の作動状態を制御する。
[2.制御構成]
図2に示すように、エンジン制御装置1には、エンジン10のシリンダに導入される吸気量を予測するとともに、予測結果をエンジン10の作動状態に反映させるための要素として、第一算出部2,第二算出部3,予測部4,制御部7が設けられる。また、予測部4には第一予測部5と第二予測部6とが設けられ、制御部7には燃料制御部8と点火制御部9とが設けられる。これらの要素は、エンジン制御装置1で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
本実施形態のエンジン制御装置1は、エンジン10のシリンダに導入される充填効率を予測し、予測された充填効率に基づいてインジェクタ35から噴射される燃料噴射量及び噴射時期,イグナイタ36の点火時期のそれぞれを制御する。充填効率とは、一回の吸気行程でシリンダに充填される空気の体積を標準状態での気体体積に正規化したのちシリンダ容積で除算したものであり、その行程でシリンダ内に新たに導入される吸気量に対応するパラメータの一つである。以下、エンジン制御装置1で予測される充填効率のことを予測充填効率EcESTと呼ぶ。また、エンジン10に要求される目標トルクの大きさに対応する吸気量を充填効率に換算したもののことを目標充填効率EcTGTと呼び、エアフローセンサ29で検出された吸気の流量から算出される実際の充填効率のことを実充填効率Ecと呼ぶ。
第一算出部2は、少なくともアクセル開度に基づき、エンジン10の目標充填効率EcTGTを算出するものである。ここでは、エンジン10が出力すべき目標トルクの大きさが算出され、そのトルクを生じさせるのに必要な吸気量が算出される。また、その吸気量に対応する充填効率が目標充填効率EcTGTとして算出される。目標トルクは、エンジン回転数,アクセル開度,ブレーキ開度,車速,エンジン冷却水温などに応じて設定されるドライバ要求トルクのほか、各種車載装置(空調装置,変速機,発電機など)の動作に必要とされる外部要求トルクも考慮に入れて算出される。また、目標充填効率EcTGTは、目標トルクと目標充填効率EcTGTとの関係が規定されたマップや関係式などに基づいて算出される。
第二算出部3は、スロットル開度が全開であると仮定した場合の最大充填効率EcMAX(充填効率の最大値)を算出するものである。ここでは、第一算出部2で目標充填効率EcTGTが算出された時点におけるエンジン10の運転状態で、スロットル開度を仮に全開にした場合にシリンダ内へと充填可能な吸気量に相当する最大充填効率EcMAXが算出される。最大充填効率EcMAXは、例えばエンジン回転数,最大バルブリフト量,バルブタイミングなどをその時点での値に固定してスロットル開度のみを変化させた場合に、最大でどの程度の充填効率が得られるかを推定することで算出可能である。本実施形態の最大充填効率EcMAXは、エンジン回転数に対応するスロットル全開時の体積効率,最大バルブリフト量,バルブタイミング,吸気温度,エンジン冷却水温,スロットル上流圧などに基づいて算出される。
予測部4は、少なくとも最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcEST(未来の充填効率の予測値)を算出するものである。ここでは、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係に応じた二種類の手法で予測充填効率の値が予測される。予測部4には、上記の二種類の予測手法のそれぞれに対応するように、第一予測部5と第二予測部6とが設けられる。
目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXよりも小さい場合には、目標充填効率EcTGTに基づいて予測充填効率EcESTを算出する。この場合、予測充填効率EcESTの値を目標充填効率EcTGTの変化量から算出するための遅れ演算処理を、第一予測部5が実施する。本実施形態では、目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXと等しい場合にも、目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXよりも小さい場合と同様の制御を実施する。一方、目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXよりも大きい場合には、最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcESTを算出する。この場合、予測充填効率EcESTの値を最大充填効率EcMAXの変化量から算出するための遅れ演算処理を、第二予測部6が実施する。
目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係は、エンジン10の過給状態におおむね対応する。図3中の時刻tAは実充填効率Ecがエンジン10の自然吸気運転時における充填効率の最大値EcNA(大気圧環境下における充填効率の最高値)を越えた時刻であり、時刻tCは実充填効率Ecが最大値EcNA以下になった時刻である。非過給域でのスロットル上流圧は最高でも大気圧までしか上昇せず、最大充填効率EcMAXの値は最大値EcNA以下の範囲に制限される。ここで、時刻tAは目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXを越える時刻にほぼ一致する。また、最大充填効率EcMAXが目標充填効率EcTGT以上となる時刻tBについても、時刻tCよりも若干早いだけでほぼ同時刻となる。
図3に示すように、エンジン10の非過給域では、実充填効率Ecが目標充填効率EcTGTに対して遅れて変化している(時刻tA以前,時刻tB以降)。これに対して、過給域のうち過給遅れが発生している領域(過給が目標に追いついていない領域,過給遅れ領域)では、実充填効率Ecが、最大充填効率EcMAXに対して遅れて変化している(時刻tA〜tB)。つまり、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係が変化する時点で、実充填効率Ecの算出基準となる対象も変化している。過給域では、過給した分だけスロットル上流圧が大気圧よりも上昇し、最大充填効率EcMAXの値はその時点におけるスロットル上流圧によって定める圧力以下の範囲に制限されることになる。したがって、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係に応じて予測充填効率EcESTの予測手法を切り換えることで、充填効率の予測精度が向上する。以下、予測充填効率EcESTの算出手法について詳述する。
第一予測部5は、『目標充填効率EcTGT≦最大充填効率EcMAX』が成立するエンジン10の運転状態(おもに非過給状態)において、過去の目標充填効率EcTGTと同じように実充填効率Ecが変動するものとみなして、予測充填効率EcESTを算出する。ここで、現在の時刻t0から予測したい未来の時刻t3までの時間(予測時間幅)をPとおき、目標充填効率EcTGTに対する実充填効率Ecの応答遅れ時間(第一遅れ時間)をD1とおく。予測時間幅Pは、時刻t3までの行程数〔またはIG数(イグニッション周期数)〕及びエンジン回転数に基づいて算出される。
四気筒の4ストロークエンジンにおいて、時刻t3までの行程数がN行程先であってエンジン回転数がNE[rpm]であるとき、予測時間幅PはP[ms]=N×30000[rpm・ms]÷NE[rpm]で求められる。したがって、エンジン回転数が2000[rpm]のときに二行程先を予測する場合、予測時間幅Pは30[ms]となる。また、第一遅れ時間D1は、スロットルバルブ20の駆動特性や吸気通路の流路特性などに応じて定まる固定値であり、例えば60[ms]程度に設定される。
図4に示すように、現在の時刻t0から第一遅れ時間D1だけ遡った時刻をt1とおき、時刻t1から予測時間幅Pだけ進んだ時刻をt2とおく。第一予測部5は、時刻t1〜t2間における目標充填効率EcTGTの変化量を算出する。その変化量を現在の時刻t0における実充填効率Ecに加算したものが、未来の時刻t3における予測充填効率EcESTとして算出される。
第二予測部6は、『目標充填効率EcTGT>最大充填効率EcMAX』が成立するエンジン10の運転状態(おもに過給状態)において、過去の最大充填効率EcMAXと同じように実充填効率Ecが変動するものとみなして、予測充填効率EcESTを算出する。第二予測部6の演算内容は第一予測部5と同様である。最大充填効率EcMAXに対する実充填効率Ecの応答遅れ時間D2(第二遅れ時間)は、少なくとも第一遅れ時間D1以下の長さに設定される。すなわち、第二遅れ時間D2が第一遅れ時間D1と同一の時間であってもよいし、第一遅れ時間D1よりも短い時間(例えば40[ms]程度)であってもよい。
図5に示すように、現在の時刻t0から第二遅れ時間D2だけ遡った時刻(第一時刻)を時刻t4とおき、時刻t4から予測時間幅Pだけ進んだ時刻をt5とおく。第二予測部6は、時刻t4〜t5間における最大充填効率EcMAXの変化量を算出する。その変化量を現在の時刻t0における実充填効率Ecに加算したものが、未来の時刻t3における予測充填効率EcESTとして算出される。
制御部7は、スロットルバルブ20,インジェクタ35,イグナイタ36などの制御対象に伝達される制御信号を生成するものである。スロットルバルブ20のスロットル開度は、目標充填効率EcTGTに基づいて制御される。このとき、車速やエンジン回転数,エンジン冷却水温,大気圧やインマニ圧から推定されるスロットルバルブ20の前後圧力比,吸気温度なども考慮される。また、制御部7には燃料制御部8,点火制御部9が設けられる。
燃料制御部8は、予測充填効率EcESTに基づいてシリンダ毎の燃料噴射量及び燃料噴射タイミングを制御するものである。ここでは、インジェクタ35から噴射される燃料量が予測充填効率EcESTに応じた量となるようにパルス幅の励磁信号が設定され、その励磁信号が適切なタイミングでインジェクタ35へと出力される。励磁信号のパルス幅は、例えば所望の空燃比と予測充填効率EcESTとに基づいて算出される。励磁信号の出力対象は、二行程後に吸気行程が終了するシリンダに設けられたインジェクタ35である。また、インジェクタ35に励磁信号が出力されるタイミングは、そのインジェクタ35が設けられたシリンダの実充填効率Ecが演算される時点からおよそ二行程前である。このように、二行程後にシリンダ内に吸入されるだろうと推定される吸気量の予測値を踏まえて燃料の噴射量が制御されるため、空燃比及びエンジントルクの制御性が向上する。
点火制御部9は、実充填効率Ecと予測充填効率EcESTとに基づいてシリンダ毎の点火時期を制御するものである。ここでは、例えば実充填効率Ec又は予測充填効率EcESTで最大のトルクが発生する最適点火時期(MBT)を基準としたリタード量がエンジン回転数に応じて設定され、設定されたリタード量となるタイミングでイグナイタ36に制御信号が出力される。なお、点火のタイミングは、そのシリンダへの吸気が完了した時点よりも後であり、点火制御が実施されるときにはすでに実充填効率Ecが演算されているため、必ずしも予測充填効率EcESTが要求されるわけではない。しかし、実充填効率Ecと予測充填効率EcESTとを併用することで(例えば、実充填効率Ecを予測充填効率EcESTで補正することで)エンジントルクの制御性がさらに向上する。
[3.フローチャート]
図6は、エンジン制御装置1で実施される制御内容を説明するためのフローチャート例である。まず、センサ類21〜30で検出された各種情報がエンジン制御装置1に入力される(ステップA1)。また、第一算出部2では、エンジン10の目標トルクに相当する吸気量から目標充填効率EcTGTが算出され(ステップA2)、第二算出部3では最大充填効率EcMAXが算出される(ステップA3)。続いて予測部4では、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係が判定される(ステップA4)。
ここで、目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAXよりも大きい場合には、第二予測部6において、現在から第二遅れ時間D2前の時刻を基準として最大充填効率EcMAXの変化量が算出され、その変化量と実充填効率Ecとの加算値が、予測充填効率EcESTとして算出される(ステップA5〜A6)。このように、第二予測部6では、過去の最大充填効率EcMAXの推移が今後の実充填効率Ecの推移として予測結果に反映される。
一方、目標充填効率EcTGTが最大充填効率EcMAX以下の場合には、第一予測部5において、現在から第一遅れ時間D1前の時刻を基準として目標充填効率EcTGTの変化量が算出され、その変化量と実充填効率Ecとの加算値が、予測充填効率EcESTとして算出される(ステップA7〜A8)。このように、第一予測部5では、過去の目標充填効率EcTGTの推移が今後の実充填効率Ecの推移として予測結果に反映される。その後、制御部7の燃料制御部8及び点火制御部9において、予測充填効率EcESTに応じた励磁信号,制御信号が生成され、所定のタイミングでインジェクタ35,イグナイタ36のそれぞれに出力される(ステップA9)。
[4.効果]
(1)上記のエンジン制御装置1には、最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcESTを算出する第二予測部6が設けられる。このように吸気量の予測に際し、最大充填効率EcMAXを用いることで、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。特に、図3に示すように、過給域における予測精度を向上させることができる。また、エンジン10の目標充填効率EcTGTが算出される時点よりも過去の最大充填効率EcMAXの履歴が参照されるため、スロットルディレイ制御のようにアクセル操作に対するスロットル開度の応答遅れを発生させることがなく、小気味よい加速感を提供することができる。したがって、レスポンス低下を抑制しつつ吸気量の予測精度を向上させることができる。
(2)第二予測部6では、図5に示すように、目標充填効率EcTGTの演算時点である時刻t0よりも過去の時刻t4を基準とした最大充填効率EcMAXの変化量が算出され、この変化量に基づいて予測充填効率EcESTが算出される。このような演算により、過去の最大充填効率EcMAXの推移を今後の実充填効率Ecの推移として予測結果に精度よく反映させることができる。したがって、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。
(3)予測部4には、第二予測部6だけでなく第一予測部5が設けられ、目標充填効率EcTGT及び最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcESTが算出される。このような演算により、過給域だけでなく非過給域においても精度よく予測充填効率EcESTを算出することができ、エンジン10のさまざまな運転状態で今後の実充填効率Ecの推移を高精度に把握することができる。
(4)予測部4では、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとのうち値が小さい一方を用いて予測充填効率EcESTが算出される。これにより、簡素な演算構成でエンジン10の非過給域と過給域とを区別しつつ、それぞれの状態に応じた予測手法を採用することができ、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。
(5)第一予測部5では『目標充填効率EcTGT≦最大充填効率EcMAX』である場合に、予測充填効率EcESTの値を目標充填効率EcTGTの変化量から算出するための遅れ演算処理が実施される。これにより、スロットルバルブ20の駆動特性や吸気通路の流路特性(いわゆるスロットル駆動遅れや吸気遅れ)に見合った予測充填効率EcESTを精度よく算出することができる。
一方、第二予測部6では『目標充填効率EcTGT>最大充填効率EcMAX』である場合に、予測充填効率EcESTの値を最大充填効率EcMAXの変化量から算出するための遅れ演算処理が実施される。これにより、スロットル駆動遅れや吸気遅れの影響が比較的小さい運転状態(例えば過給状態)での予測充填効率EcESTを精度よく算出することができる。したがって、エンジン10のあらゆる運転状態において、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。
(6)図4,図5に示すように、第二予測部6で算出される予測充填効率EcESTの最大充填効率EcMAXからの応答遅れ時間D2(第二遅れ時間)は、第一予測部5で算出される予測充填効率EcESTの目標充填効率EcTGTからの応答遅れ時間D1(第一遅れ時間)以下の長さに設定される。これにより、図3に示すように、過給域での予測充填効率EcESTの遅れ特性を実情に合致させることができ、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。
(7)燃料制御部8では、予測充填効率EcESTに基づいて燃料噴射量,燃料噴射タイミングが制御される。これにより、燃料の噴射対象となる空気が吸気ポートへと流入してくる吸気行程よりも前に、正確な量の燃料噴射を実施することができ、例えば排気行程内での燃料を噴射した場合であっても、空燃比を精度よく制御することができる。特に、過渡時(実充填効率Ecやその変化勾配が変動している時)の空燃比変動を抑制することができ、エンジントルクを高精度に制御することができる。
(8)点火制御部9では、予測充填効率EcESTに基づいて点火時期が制御される。これにより、吸気行程が完了する前にリタード量の目標値を演算することができ、エンジン10の制御性を向上させることができる。また、実充填効率Ecと予測充填効率EcESTとを併用すれば、実充填効率Ecを予測充填効率EcESTで補正することができ、エンジントルクの制御性をさらに向上させることができる。
[5.変形例]
上述の実施形態では、排気通路にはタービン12の上流側と下流側との間を連絡する排気バイパス通路15が設けられ、タービン12を迂回する排気流量を制御するためのウェイストゲートバルブ16がこれに介装される過給機11を例示したが、排気通路上のタービン12に接触する排気流量を変更するための可変ノズル装置が内蔵された可変容量型ターボチャージャを用いてもよい。可変ノズル装置のノズルベーン開度を変更することで、タービンを回転させる排気流の流速,流量,圧力などが変化する。これにより、タービン及びコンプレッサの回転数(すなわち、過給機11の回転数)が変更可能となり、排気圧に対する過給圧の割合が可変となる。
また、上述の実施形態では、エンジン10の目標充填効率EcTGTや最大充填効率EcMAXを用いて予測充填効率EcESTを算出するものを例示したが、充填効率の代わりに体積効率を用いてもよいし、吸気量(体積,質量,体積流量など)を用いてもよい。体積効率とは、一サイクルで吸入された吸入空気の質量をその測定時と同一の大気条件での行程容積相当の空気質量で除したものであり、エンジン10のシリンダに吸入される吸気量に相当するパラメータの一つである。体積効率と充填効率とは、大気条件が定まれば互いに換算することが可能である。このように、吸気量に相当する何らかのパラメータを用いることで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
また、上述の実施形態では、二種類の予測手法のいずれかを選択する際に、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの大小関係を比較しているが、具体的な比較方法はこれに限定されない。例えば、エンジン10の運転状態に応じて目標充填効率EcTGT,最大充填効率EcMAXのそれぞれに係数を乗じてから、大小関係を比較してもよい。つまり、二種類の予測手法を切り換えるための境界は、必ずしも目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとが一致する時刻でなくてもよい。少なくとも、目標充填効率EcTGT及び最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcESTを算出することで、エンジン10のさまざまな運転状態で予測充填効率EcESTの変化を精度よく把握することができる。
また、上記の予測部4には第一予測部5と第二予測部6とが設けられており、目標充填効率EcTGTと最大充填効率EcMAXとの両方を用いて予測充填効率EcESTを算出しているが、例えばエンジン10の過給域でのみ予測充填効率EcESTを算出するような場合には、第一予測部5を省略することができる。つまり、少なくとも最大充填効率EcMAXに基づいて予測充填効率EcESTを算出することで、予測充填効率EcESTの予測精度を向上させることができる。
上記の第一予測部5では、図4に示すように、時刻t1〜t2間における目標充填効率EcTGTの変化量をそのまま実充填効率Ecに加算することで、予測充填効率EcESTを算出している。同様に、第二予測部6では、図5に示すように、時刻t4〜t5間における最大充填効率EcMAXの変化量をそのまま実充填効率Ecに加算することで、予測充填効率EcESTを算出している。しかし、変化量をそのまま実充填効率Ecに加算するのではなく、エンジン10の運転状態に応じた補正を変化量に加えてから実充填効率Ecに加算することで、さらに正確な予測充填効率EcESTを算出することとしてもよい。
なお、上記のエンジン制御装置1が適用されるエンジン10の種類は任意であり、ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンにも適用することができる。また、エンジン10のシリンダ数やストローク数,可変動弁機構の有無についても不問であり、あらゆるレシプロエンジンに適用することができる。
1 エンジン制御装置
2 第一算出部
3 第二算出部
4 予測部
5 第一予測部
6 第二予測部
7 制御部
8 燃料制御部
9 点火制御部
10 エンジン
Ec 実充填効率
EcTGT 目標充填効率
EcMAX 最大充填効率
EcEST 予測充填効率
D1 第一遅れ時間
D2 第二遅れ時間
P 予測時間幅

Claims (4)

  1. アクセル操作量に基づきエンジンの目標吸気量を算出する第一算出部と、
    前記目標吸気量が算出された時点における前記エンジンの運転状態で、スロットル開度が全開であると仮定した場合の最大吸気量を算出する第二算出部と、
    少なくとも前記最大吸気量に基づき、前記時点よりも未来の予測吸気量を算出する予測部と、を備え、
    前記予測部は、
    前記目標吸気量が前記最大吸気量よりも小さい場合に、前記目標吸気量が算出された時点よりも前記目標吸気量に対する実吸気量の応答遅れ時間である第一遅れ時間だけ前の時刻から、前記目標吸気量が算出された時点から予測したい未来までの時間である予測時間幅だけ進んだ時刻までの前記目標吸気量の変化量に基づき、前記予測吸気量を算出し、
    前記目標吸気量が前記最大吸気量よりも大きい場合に、前記目標吸気量が算出された時点よりも前記最大吸気量に対する実吸気量の応答遅れ時間である第二遅れ時間だけ前の時刻から、前記予測時間幅だけ進んだ時刻までの前記最大吸気量の変化量に基づき、前記予測吸気量を算出する
    ことを特徴とする、エンジン制御装置。
  2. 前記第二遅れ時間が、前記第一遅れ時間以下の長さに設定される
    ことを特徴とする、請求項記載のエンジン制御装置。
  3. 前記予測吸気量に基づき、前記エンジンの燃料噴射量を制御する燃料制御手段を備える
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン制御装置。
  4. 前記予測吸気量に基づき、前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のエンジン制御装置。
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