JP2019131928A - マスク - Google Patents
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Abstract
Description
装着に際し、マスクの耳掛け部材は適切な有効長さを有していることが望ましい。耳掛け部材の有効長さが短過ぎると、マスク本体部が顔面に向かって密着する力が強く、着用者に不快感を与えたり、マスク本体部が変形しマスク本来の機能を十分に発揮できない恐れや、マスクを装着できない恐れがある。また、耳掛け部材の有効長さが長過ぎると、マスク本体部を顔面上に固定できない恐れや、固定が緩く不十分となる恐れがある。その結果、マスク本体部と顔面との間を塵埃や花粉などの濾過対象物が通過してしまうなど、装着性が悪いことに起因してマスクの機能が十分に発揮されなくなる。
なお、特許文献1には、耳掛け部材(31)が伸縮性シートから形成されていても良いことが開示されている。耳掛け部材(31)が伸縮性を有すると、マスク(3)装着時に耳掛け部材(31)をマスク本体部(2)から離間する方向へ伸ばすことができるため、耳に掛け易く装着が容易なマスク(3)である。また、マスク(3)の装着中は耳掛け部材(31)が有する収縮力によりマスク本体部(2)を顔面上に固定できる。
特に、介在領域を容易に切断して第1開口部と第2開口部を連結できるようにするため、介在領域に切断線を設けた耳掛け部材を備えるマスクにおいて、より一層、第1開口部と第2開口部が意図せず連結し易いものであった。
そして、意図せず第1開口部と第2開口部が連結したマスクでは、耳掛け部材の有効長さが長くなる。その結果、マスク本体部を顔面上に固定できなくなる、あるいは、固定がゆるく不十分となることで、マスク本体部と顔面との間を塵埃や花粉などの濾過対象物が通過してしまうなど、装着性が悪いことに起因してマスクの機能が十分に発揮されなくなる問題が生じるものであった。
「マスク本体部と伸縮性を有するシート状の耳掛け部材を備えたマスクであって、
前記耳掛け部材は、前記マスク本体部の横方向の両端部それぞれに設けられており、
前記耳掛け部材は、第1開口部と前記第1開口部よりも前記マスク本体部から離間する方向側に存在する第2開口部を備えており、
前記耳掛け部材は、前記離間する方向の伸度よりも前記離間する方向と直交する方向の伸度が低い、マスク。」
である。
・耳掛け部材は第1開口部と、前記第1開口部よりも前記マスク本体部から離間する方向側に存在する第2開口部を備えている。そのため、耳掛け部材における第1開口部と第2開口部の間(介在領域)を切断して第1開口部と第2開口部を連結することで、耳掛け部材の有効長さを長くできる。
・耳掛け部材は伸縮性を有するため、装着が容易なマスクであると共に、装着性が悪いことに起因してマスクの機能が十分に発揮されなくなるという問題の発生を防止できる。
そして、本発明のマスクは、マスク本体部から離間する方向(以降、方向Xと称することがある)の伸度よりも前記離間する方向と直交する方向(以降、方向Yと称することがある)の伸度が低い耳掛け部材を備えているため、装着中に耳掛け部材の介在領域に意図しない破断が生じ難く、第1開口部と第2開口部が意図せず連結するのを防止できるマスクである。
特許文献1に開示されているように、伸縮性を有するシート状の耳掛け部材を備えたマスクでは、マスクの装着中において、耳掛け部材は耳の後ろ側を支点として、その収縮力によりマスク本体部を該支点へ向かう方向へ引っ張ることで、マスク本体部を顔面上に固定し続けている。
このとき、耳掛け部材における上述した支点に当たる部分(介在領域)は、上述した支点に当たる部分(介在領域)を中心として上側へ向かう方向、および、下側へ向かう方向へ引っ張られ続けている。そのため、耳掛け部材の介在領域は方向Yに伸長され破断し易い状態にある。同時に、耳掛け部材がマスク本体を該支点へ向かう方向へ引っ張っているのに伴い、耳掛け部材における上述した支点に当たる部分(介在領域)へ対し、方向Xへ向かう力が作用し続けている。
そのため、耳掛け部材の介在領域は方向Yに伸長され破断が生じやすい状態にあると共に、方向Xへ向かう力の作用を受けている。その結果、マスク本体部の介在領域は、耳掛け部材の耳の後ろ側に接触している部分から方向Xへ向かい、意図しない破断が発生し易い状態にある。つまり、耳掛け部材は第1開口部と第2開口部が意図せず連結し易い状態にある。
その結果、マスクの装着中に、耳掛け部材の介在領域は前記直交する方向(方向Y)に伸長され難いことで、意図しない破断の発生が防止されている。そのため、第1開口部と第2開口部が意図せず連結するのを防止できる。
特に、介在領域を容易に切断して第1開口部と第2開口部を容易に連結できるようにするため、介在領域に切断線を設けた耳掛け部材を備えたマスクにおいても、マスクの装着中に、第1開口部と第2開口部が意図せず連結するのを防止できる。
以上から、本発明により装着性に優れるマスクを提供できる。
また、本発明にかかるマスクを説明するにあたり、主として図2〜図6を用いて説明する。なお、図2〜図5に図示されているように、折り畳まれた状態の本発明にかかるマスクを左右に広げ、図6に図示したようにして装着できる。
耳掛け部材(20)は伸縮性を有する略環帯状のシート状部材であり、耳掛け部材(20)の主面上における第1開口部(21)よりもマスク本体部(10)から離間する方向(方向X、紙面上における左から右へ向かう方向)の伸度よりも、前記離間する方向と直交する方向(方向Y、紙面上における上下方向)の伸度が低いことを特徴としている。
複数の素材を積層してマスク本体部(10)を調製する方法は適宜選択でき、限定されるものではないが、例えば、
1.複数の素材を一体化することなく、ただ重ね合わせる方法、
2.複数の素材を重ね合わせてなる積層体を、例えばニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することで絡合する方法、
3.複数の素材を重ね合わせてなる積層体を、加熱手段に供することで素材の構成成分を溶融させて一体化する方法、
4.バインダやホットメルト樹脂などの接着剤を素材の間に介在させて、各素材を接着一体化する方法、
5.複数の素材を重ね合わせてなる積層体の周辺を、縫製や接着、あるいは、超音波融着を用いたポイントシール処理などを施して、融着し一体化する方法、
などを用いることができる。
なお、本発明でいう「目付」とは主面における面積1m2あたりの質量をいい、主面とは面積が広い面をいう。また、本発明でいう「厚さ」は、圧縮弾性式厚み計により計測した値であり、具体的には測定対象物の主面に対して5cm2の荷重領域に100gfの荷重をかけた際の前記領域における厚さの値をいう。
なお、ここでいう耳掛け部材(20)が伸縮性を有しているか否かは、マスク(30)が備えている耳掛け部材(20)を以下の測定方法へ供した結果から判別することができる。
1.判別対象物(例えば、耳掛け部材(20))の任意の方向および位置から、矩形の試料(測定方向の長さ:20mm以上、測定方向と垂直をなす方向の長さ:10mm)を採取した。
2.試料をテンシロン型引張試験機(つかみ間隔:10mm以上、引張速度:100mm/min)へ供することで、試料の測定方向における「50%伸長時伸長回復率」を算出した。つまり、つかみ間隔1.5倍の長さ(A)まで前記試料を引き伸ばした後、同速度でつかみ間隔の長さ(B)まで戻す途中、前記試料の測定方向における応力が0になった際の、前記試料の測定方向の長さ(L1)を次の式に代入して、前記試料の測定方向における「50%伸長時伸長回復率」を算出した。
50%伸長時伸長回復率(%)=100×(A−L1)/(A−B)
3.試料の50%伸長時伸長回復率(%)が50%以上であった場合、試料を採取した判別対象物は伸縮性を有していると判断した。また、試料の50%伸長時伸長回復率(%)が50%未満であった場合、試料を採取した判別対象物は伸縮性を有していないと判断した。
特に、マスク(30)が備えている耳掛け部材(20)における、方向Xの50%伸長時伸長回復率(%)が、耳掛け部材(20)における50%伸長時伸長回復率(%)の最大値である場合には、上述の効果が最も効果的に発揮され好ましい。
その結果、マスク(30)の装着中において、耳掛け部材(20)の介在領域(32)が方向Yへ伸長され難いため、介在領域(32)は破断し難い。そのため、第1開口部(21)と第2開口部(22)が意図せず連結するのを防止できる。
特に、装着者の要望により介在領域(32)を容易に切断して第1開口部(21)と第2開口部(22)を容易に連結できるようにするため、介在領域(32)に切断線(23)を設けた耳掛け部材を備えたマスク(30)においても、マスク(30)の装着中に、第1開口部(21)と第2開口部(22)が意図せず連結するのを防止できる。
1.マスク(30)が備えている耳掛け部材(20)、あるいはマスク(30)で使用されている耳掛け部材(20)の形状加工前のシートから、方向Xと測定方向が平行になるようにして、矩形の試料A(測定方向の長さ:20mm以上、測定方向と垂直をなす方向の長さ:10mm)を採取した。
2.マスク(30)が備えている耳掛け部材(20)、あるいはマスク(30)で使用されている耳掛け部材(20)の形状加工前のシートから、方向Yと測定方向が平行になるようにして、矩形の試料B(測定方向の長さ:20mm以上、測定方向と垂直をなす方向の長さ:10mm)を採取した。
3.試料Aおよび試料Bを各々テンシロン型引張試験機(つかみ間隔:10mm以上、引張速度:200mm/min)へ供することで、各試料の測定方向における試料が破断するまでの伸長長さE1(単位:mm)を測定した。つかみ間隔の長さ(C)および前記試料の伸長長さE1を次の式に代入して、前記試料の測定方向における「破断伸度」を算出した。
破断伸度(%)=100×{(E1/C)−1}
4.試料Aの測定方向における破断伸度A(単位:%)と、試料Bの測定方向における破断伸度B(単位:%)を比較し、破断伸度Aが破断伸度Bよりも高い場合、耳掛け部材(20)は方向Xの伸度よりも方向Yの伸度が低く、方向性を有していると判断した。また、破断伸度Aが破断伸度B以下の場合、耳掛け部材(20)は方向Xの伸度よりも方向Yの伸度が低いものではなく、方向性を有していないと判断した。
特に、マスク(30)が備えている耳掛け部材(20)における、方向Xの破断伸度(単位:%)が、耳掛け部材(20)における破断伸度(単位:%)の最大値である場合には、上述の効果が最も効果的に発揮され好ましい。
そして、上述した伸縮性を有する素材と、主面上の一方向と前記方向と垂直をなす主面上の別の一方向の物性が異なる素材の積層体を備えることで、伸縮性を有すると共に方向性を有する耳掛け部材(20)を調製できる。なお、複数の素材を積層して耳掛け部材(20)を調製する方法は適宜選択でき、限定されるものではないが、例えば、マスク本体部(10)と同様の方法を用いて調製できる。あるいは、伸縮性を有すると共に主面上の一方向と前記方向と垂直をなす主面上の別の一方向の物性が異なる素材を用いることで、伸縮性を有すると共に方向性を有する耳掛け部材(20)を調製できる。
その形状や配置は適宜調整するが、例えば、図2〜図5のような曲線状以外にも直線状や波線状、あるいは、楔状やコ字状であることができる。あるいは、打ち抜かれたあるいは切り抜かれてなる第2開口部(22)を備えている耳掛け部材(20)であってもよい。その際の、打ち抜かれたあるいは切り抜かれてなる第2開口部(22)の形状は、第1開口部(21)の形状として例示した形状以外にも、三日月形状であってもよい。更には、連続して並ぶ複数の貫通線や貫通穴で形成されたミシン目からなる第2開口部(22)を備えている耳掛け部材(20)であってもよい。このとき、該ミシン目を切断することで切り込みである第2開口部(22)を形成できる。
そのため、第2開口部(22)の長さは2mm〜60mmであるのが好ましく、5mm〜50mmであるのが好ましく、10mm〜40mmであるのが好ましい。
なお、本発明でいう第2開口部(22)の長さとは、第2開口部(22)の方向Yにおける最も紙面上の上方向側に存在する端部と、第2開口部(22)の方向Yにおける最も紙面上の下方向側に存在する端部を最短距離で結ぶ、第2開口部(22)の輪郭内の長さをいう。
更に、図3および図4では、一本の切断線(23)を備えた耳掛け部材(20)を例示しているが、図5のように複数の切断線(23)を備えた耳掛け部材(20)であってもよい。
ここでいう略平行をなすとは、耳掛け部材(20)における伸度が最も高い方向を指す直線と、切断線(23)が伸びる方向を指す直線のなす角度が、0度以上45度未満であることを指す。また、切断線(23)の伸びる方向を指す直線とは、切断線(23)を構成する複数の貫通線や貫通穴を最短距離で結ぶように引いた直線をいう。なお、一つの貫通線により構成された切断線(23)の場合には、その貫通線が伸びる方向を、切断線(23)が伸びる方向とみなす。
子供は大人よりも頭部の下方に耳が存在している傾向があるため、子供用のマスクは上下方向が判別し難い外観形状を備えるものとなり易い。そのため、特に子供用のマスクにおいて、耳掛け部材(20)における装着時の上端側に意匠性を持たせるなどして、マスク(30)の上下方向が判別し易いようにするのが好ましい。
図2〜図6では、耳掛け部材(20)における装着時の上端側に、なだらかな曲線を描く四つの山部が存在する外形を有する耳掛け部材(20)を例示しているが、該形状は適宜選択でき、一つ以上三つ以下の山部を備える外形であっても、五つ以上の山部を備える(例えば、鋸刃状に小さな山部を複数備える)外形であっても良い。山部の形状は、なだらかな曲線を描く形状以外にも、三角形や四角形などあるいは幾何学的な形状であってもよい。あるいは、なだらかな曲線を描く大きな谷部を一つ備える外形であってもよい。
上述の素材は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、複数の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わず、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用できる。なお、一方の繊維成分が熱接着成分である熱可塑性樹脂を備えた複合繊維や、熱収縮率の異なる複数の樹脂を備えた潜在捲縮性の複合繊維を使用してもよい。
布帛を構成する繊維の繊維径は特に限定するものではないが、前記繊維径は0.01μm〜1mmであるのが好ましく、0.1μm〜100μmであるのがより好ましい。また、繊維長も特に限定するものではないが、短繊維や長繊維あるいは連続繊維を使用できる。
そして、機能性成分は素材の表面及び/又は内部に粒子状、あるいは、前記素材の表面(例えば、繊維表面など)の一部または全部を被覆するように皮膜状で存在していることができる。
素材に機能性成分を担持する方法は適宜選択できるが、例えば、機能性成分の分散液、あるいはバインダを含んだ機能性成分の分散液を、素材の一方の主面あるいは両主面へ、噴霧あるいは既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を用いて担持した後、素材から溶媒を除去する方法や、素材を上述の分散液に浸漬し引き上げた後、素材から溶媒を除去する方法などを採用できる。
前記素材を帯電させる手段として、例えば、プラズマ帯電処理やコロナ帯電などイオンを注入して帯電させる手段、極性液体を介して力を作用させて帯電させる手段、複数種類の繊維成分を摩擦して帯電させる手段など、公知の手段を適宜選択して、又は組み合わせて利用できる。
体積固有抵抗値が1014Ω・cm以上の有機ポリマーとして、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂など)、ポリ四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどを挙げることができる。なお、本発明における「体積固有抵抗値」は、JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じた測定により得られる値をいう。
このようなヒンダードアミン系化合物の具体例として、例えば、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。
有機ポリマーに対する、これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではないが、有機ポリマーの質量に対して、0.01〜5質量%の質量で添加されていることが望ましい。添加剤の添加量が0.01質量%未満では、素材が発揮する帯電効果が小さくなる傾向にあるため、0.05質量%以上の添加量とするのが好ましい。また、当該添加量が5質量%を超えた場合、素材の強度が劣る傾向にある。そのため、当該添加量を4質量%以下とするのがより好ましい。
極性液体を素材へ付与する手段として、例えば、スプレー、シャワー、ノズルなどを用いて極性液体を霧状、液滴状、液流状などの態様として付与する手段や、例えば、含浸装置(例えば、Rodney Hunt社のサチュレーター)を用いて極性液体に素材を浸漬することで付与する手段などが挙げられる。極性液体を素材に付与する手段は、帯電された素材を得られるのであれば限定されるものではなく、適宜選択するのが好ましい。
極性液体として、例えば水、アルコール、アセトン、アルコール水溶液、アセトン水溶液、アンモニア水溶液などの、電気伝導率が低い液体を用いるのが好ましい。ここに云う電気伝導率とはJIS K0101「工業用水試験方法」により測定されるものをいう。特に、極性液体として水を用いると、素材を帯電させる際の作業環境に優れること、並びに、後述する乾燥処理において引火又は発火することを回避し得る点から、より好ましい。
また、液体帯電過程において使用される極性液体の温度は、素材を帯電できるのであれば、限定されるものではないが、40℃以下であることが好ましい。
乾燥処理に使用する装置は、例えば、キャンドライヤやカレンダなどの加熱ローラ、熱風ドライヤ、熱風乾燥機、電気炉、ヒートプレートなど、公知の装置を挙げられる。乾燥処理における温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは105℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
あるいは、上述の乾燥装置を使用することなく自然乾燥する、または、超音波や振動あるいはサクションの作用により極性液体を除くなど、素材が熱を受け難い乾燥処理を行っても良い。
そして、布帛の帯電量を多くできるように、ポリオレフィン系樹脂成分からなる繊維として、ポリオレフィン系樹脂の一部をシアノ基やハロゲンで置換した樹脂からなる、ポリオレフィン系繊維を用いるのが好ましい。更に、布帛の帯電量を多くできるように、ポリオレフィン系樹脂成分からなる繊維として、リン系酸化防止剤及び/又はイオウ系酸化防止剤を含むポリオレフィン系繊維を用いるのが好ましい。このとき、布帛の帯電量を多くできるように、ポリオレフィン系繊維にのみリン系酸化防止剤及び/又はイオウ系酸化防止剤を含むのが、より好ましい。
不織布を帯電させる手段として、複数種類の繊維成分を摩擦して帯電させる手段を利用する場合、フラットカードやローラーカードに代表されるカード装置の他、ガーネット装置或いはエアレイ法に属する装置を用いると、繊維同士が互いに摩擦しやすいため好ましい。また、最終的に得られる帯電された素材の強度を高めると共に帯電量の向上を図るために、ニードルパンチ装置に供してなる不織布であるのが好適である。
以下の繊維組成で混繊し、カード機へ供した後に水圧9MPaで水流絡合することによって、ハーフマット(目付:30g/m2)を調製した。
・レーヨン短繊維A(繊度:1.7デシテックス、繊維長:40mm):55質量部。
・レーヨン短繊維B(繊度:1.6デシテックス、繊維長:44mm):15質量部。
・ポリエステル短繊維(繊度:1.5デシテックス、繊維長:38mm):20質量部。
・ポリオレフィン短繊維(繊度:1.7デシテックス、繊維長:51mm):10質量部。
次いで、以下の繊維組成で混繊し、カード機へ供することで摩擦帯電繊維ウェブ(目付:65g/m2)を調製した。
・ポリプロピレン短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):40質量部。
・アクリル短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):60質量部。
上述のようにして調製したハーフマットの一方の主面上に摩擦帯電繊維ウェブを積層し、摩擦帯電繊維ウェブ側から、針番手40のクロスバーブニードルを用いてニードルパンチ処理(針深さ:13mm、針密度:34本/cm2)を施すことで、積層不織布(目付:95g/m2、厚さ:1.5mm)を調製した。
・ポリプロピレン短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):64質量部。
・芯鞘型複合短繊維(繊度:3.3デシテックス、繊維長:64mm、芯部:ポリプロピレン、鞘部:ポリエチレン):36質量部。
ポリウレタン樹脂からなるメルトブロー不織布(目付:20g/m2、伸縮性を有する不織布)と、ポリエステル短繊維のスパンレース不織布(目付:30g/m2、主面上の一方向と前記方向と垂直をなす主面上の別の一方向の物性が異なる不織布)とをポイントシール処理(ポイントシール形状:直径1mmの円形状、ポイントシール密度:16個/cm2)へ供することで、前記メルトブロー不織布と前記スパンレース不織布を貼り合わせ、伸縮性を有すると共に主面上の一方向と前記方向と垂直をなす主面上の別の一方向の物性が異なる積層不織布(以降、伸縮性を有する積層不織布と称する、目付:50g/m2、厚さ:0.4mm、採取した試料のうち50%伸長時伸長回復率(%)の最大値:71%、採取した試料のうち50%伸長時伸長回復率(%)の最小値:65%)を調製した。
(実施例1)
濾材から一辺150mmの正方形形状の濾材を一枚切り出した。
また、伸縮性を有する積層不織布から一辺150mmの正方形形状の伸縮性を有する積層不織布を二枚切り出した。
そして、正方形形状の濾材における対向する両端部の辺の各々に、正方形形状の伸縮性を有する積層不織布における端部の辺を重ね合わせた。そして、重ね合わせた部分を超音波溶着機を用いて直線状に溶着接合して、複合体を調製した。
その後、直線状に溶着接合した両部分を重ねるようにして、濾材部分を中央で折り、複合体を半分に折った。そして、半分に折った複合体の濾材部分における、マスク装着時に装着者の鼻梁部分および口から顎に当たる部分を超音波溶着機を用いて溶着接合した。その後、図2に図示した態様となるように打ち抜き機で裁断することで、打ち抜かれてなる第1開口部と曲線状(耳の接触し得る部分が方向X側へ膨らんだ弧)の切り込みである第2開口部を有する耳掛け部材を備えた、二つ折りマスクを調製した。
なお、調製した二つ折りマスクの耳掛け部材におけるマスク装着時の上端側には、なだらかな曲線を描く四つの山部が存在した。
濾材から一辺150mmの正方形形状の濾材を一枚切り出した。
また、伸縮性を有する積層不織布から一辺150mmの正方形形状の伸縮性を有する積層不織布を二枚切り出した。
そして、正方形形状の濾材における対向する両端部の辺の各々に、正方形形状の伸縮性を有する積層不織布における端部の辺を重ね合わせた。そして、重ね合わせた部分を超音波溶着機を用いて直線状に溶着接合して、複合体を調製した。
その後、直線状に溶着接合した両部分を重ねるようにして、濾材部分を中央で折り、複合体を半分に折った。そして、半分に折った複合体の濾材部分における、マスク装着時に装着者の鼻梁部分および口から顎に当たる部分を超音波溶着機を用いて溶着接合した。その後、図3に図示した態様となるように打ち抜き機で裁断することで、打ち抜かれてなる第1開口部と曲線状(耳の接触し得る部分が方向X側へ膨らんだ弧)の切り込みである第2開口部を有すると共に、直線状に並ぶ二つの貫通線(各長さ:2.0mm)により構成された切断線を介在領域に有する耳掛け部材を備えた、二つ折りマスクを調製した。
なお、耳掛け部材における破断伸度が最も高い方向(方向Xと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線のなす角度(形成角度)は20°であり、両直線は略並行をなすものであった。
また、調製した二つ折りマスクの耳掛け部材におけるマスク装着時の上端側には、なだらかな曲線を描く四つの山部が存在した。
正方形形状の濾材における対向する両端部の辺の各々に、正方形形状の伸縮性を有する積層不織布における実施例2で重ね合わせた辺と垂直を成す辺を重ね合わせたこと以外は、実施例2と同様にして二つ折りマスクを調製した。
なお、耳掛け部材における破断伸度が最も高い方向(方向Yと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線のなす角度(形成角度)は70°であり、両直線は略並行をなさないものであった。
介在領域に備える切断線の態様を、一つの貫通線(長さ:3.5mm)により構成された切断線の態様に変更したこと以外は、実施例2と同様にして二つ折りマスクを調製した。
なお、耳掛け部材における破断伸度が最も高い方向(方向Xと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線のなす角度(形成角度)は20°であり、両直線は略並行をなすものであった。
介在領域に備える切断線の態様を、四つの貫通線(各長さ:1.5mm)により構成された切断線の態様に変更したこと以外は、実施例2と同様にして二つ折りマスクを調製した。
なお、耳掛け部材における破断伸度が最も高い方向(方向Xと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線のなす角度(形成角度)は20°であり、両直線は略並行をなすものであった。
介在領域に備える切断線の態様を、耳掛け部材における破断伸度が最も高い方向(方向Xと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線のなす角度(形成角度)が40°となる態様に変更したこと以外は、実施例2と同様にして二つ折りマスクを調製した。
なお、両直線は略並行をなすものであった。
一方、上述のようにして調製した比較例1の二つ折りマスクが備えている両耳掛け部材は、方向Xの破断伸度が55%であり、方向Yの破断伸度が380%であった。また、両耳掛け部材における方向Xの50%伸長時伸長回復率(%)と破断伸度(%)は、耳掛け部材(20)における最小値であり、方向Yの50%伸長時伸長回復率(%)と破断伸度(%)は、耳掛け部材(20)における最大値であった。
1.耳掛け部材の第1開口部へ挿入できると共に耳掛け部材を掛けることができる、成人男性の耳の形状及び大きさを模した、上下方向5cm、水平方向4cmの楕円形状の治具を用意した。
2.二つ折りマスクにおける一方の耳掛け部材の第1開口部に前記治具を挿入し、耳掛け部材を前記治具に掛けた。
3.前記治具に掛かっている耳掛け部材における、マスク本体部との溶着接合部分をテンシロン型引張試験機の一方のつかみ部に固定した。そして、もう一方のつかみ部に前記治具を固定した。
4.引張速度が200mm/minの条件で、マスク本体部が固定されている一方のつかみ部と耳掛け部材が掛かっている前記治具を離してゆき、耳掛け部材における第1開口部の上側(図2−図5における第1開口部の紙面上の上側)および/または下側(図2−図5における第1開口部の紙面上の下側)に破断が生じるまで、耳掛け部材を引っ張った。
5.該破断が生じるまでに測定された方向Xにおける最大応力(単位:N)を確認した。また、該破断が生じるまでに耳掛け部材の介在領域にも、亀裂あるいは破断が発生したか否かを確認した。
上述の測定方法へ供した結果、耳掛け部材の介在領域に亀裂あるいは破断が発生しなかった耳掛け部材を備える二つ折りマスクは、装着中に耳掛け部材の介在領域に意図しない破断が生じ難い二つ折りマスクであると判断した。
一方、上述の測定方法へ供した結果、耳掛け部材の介在領域に亀裂あるいは破断が発生した耳掛け部材を備える二つ折りマスクは、装着中に耳掛け部材の介在領域に意図しない破断が生じ易い二つ折りマスクであると判断した。
1.二つ折りマスクにおける一方の耳掛け部材の介在領域から、短冊状の試料(方向Xの長さ:12mm、方向Yの長さ:40mm)を採取した、あるいは、マスク(30)で使用されている耳掛け部材(20)の形状加工前のシート(実施例および比較例では、打ち抜き機で裁断する前の伸縮性を有する積層不織布)から、二つ折りマスクとした際に方向Xとなる方向の長さが12mm、方向Yとなる方向の長さが40mmの短冊状の試料を採取した。
なお、実施例2−5の二つ折りマスクにおいては、短冊状の試料の中央部分に切断線が存在する態様となるように短冊状の試料を採取した、あるいは、形状加工前のシートから採取した短冊状の試料の中央部分に、耳掛け部材に設けられている態様と同様となるよう切断線を設けた。
2.短冊状の試料を長辺における上下方向から挟むようにして、テンシロン型引張試験機の両つかみ部に固定した。この時、テンシロン型引張試験機のつかみ間隔は10mmであった。なお、短冊状の試料が切断線を備えている場合には、テンシロン型引張試験機の両つかみ部の中間に切断線が存在するようにして短冊状の試料を固定した。
3.引張速度が200mm/minの条件で両つかみ部を離してゆき、短冊状の試料が破断するまで引っ張った。
4.短冊状の試料が破断するまでに測定された方向Yにおける最大応力(単位:N)を確認し、これを介在領域を切断して第1開口部と第2開口部を連結するために必要な力の大きさであると判断した。
5.また、介在領域を切断して第1開口部と第2開口部を連結することが容易か否か、5名の被験者による官能試験を実施し、連結の容易性として評価した。
また、実施例1と実施例2および実施例5を比較した結果から、耳掛け部材における伸度(破断伸度)が最も高い方向(方向Xと平行をなす)を指す直線と、切断線が伸びる方向を指す直線が略並行をなすように、介在領域に切断線を備えるマスクであることによって、装着中に第1開口部と第2開口部が意図せず連結するのを防止できるにも関わらず、装着者の要望により介在領域を容易に切断できるという、優れたマスクを提供できることが判明した。
比較例の二つ折りマスクは、耳に掛け難く装着が困難であると共に、マスク本体部を顔面上に十分固定できない二つ折りマスクであった。そのため、装着性に劣るマスクであった。
それに対し、実施例の二つ折りマスクは、耳に掛け易く装着が容易であると共に、マスク本体部を顔面上に十分固定できる二つ折りマスクであった。そのため、装着性に優れるマスクであった。
この理由として、実施例の二つ折りマスクは以下の構成を備えていたためだと考えられた。
・実施例の二つ折りマスクが備える耳掛け部材における方向Xの破断伸度(単位:%)が、耳掛け部材における破断伸度(単位:%)の最大値であった。そのため、装着時に方向Xへ伸ばし易いことによって、耳に掛け易く装着が容易であると考えられた。
・実施例の二つ折りマスクが備える耳掛け部材における方向Xの50%伸長時伸長回復率(%)が、耳掛け部材における50%伸長時伸長回復率(%)の最大値であった。そのため、装着中の収縮力に優れておりマスク本体部を顔面上に十分固定できたと考えられた。
2、10・・・マスク本体部
31、20・・・耳掛け部材
4、21・・・第1開口部
5、22・・・第2開口部
32・・・介在領域
23・・・介在領域に存在する切断線
24・・・耳掛け部材の上端部分
X・・・マスク本体部から離間する方向
Y・・・マスク本体部から離間する方向と直交する方向
Claims (1)
- マスク本体部と伸縮性を有するシート状の耳掛け部材を備えたマスクであって、
前記耳掛け部材は、前記マスク本体部の横方向の両端部それぞれに設けられており、
前記耳掛け部材は、第1開口部と前記第1開口部よりも前記マスク本体部から離間する方向側に存在する第2開口部を備えており、
前記耳掛け部材は、前記離間する方向の伸度よりも前記離間する方向と直交する方向の伸度が低い、マスク。
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