JP2019131473A - バイオサーファクタントとノニオン界面活性剤を含むことを特徴とする乳化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性と使用感の両方に優れた乳化組成物の提供。【解決手段】界面活性剤として、ノニオン界面活性剤及びバイオサーファクタントを含有し、さらに水性成分及び油性成分を含む乳化組成物であって、前記ノニオン系界面活性剤の濃度が0.1重量%〜5重量%、バイオサーファクタントの濃度が0.02〜2重量%であることを特徴とする乳化組成物。バイオサーファクタントとしては、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、またはそれらの塩が好ましい。【選択図】なし
Description
本発明はバイオサーファクタントであるサーファクチンとノニオン界面活性剤を含むことを特徴とする水中油型の安定なエマルジョンを得ることに関する。
水と油のように互いに溶解しない液体を他方に分散させる操作は乳化と呼ばれ、乳化によって得られるエマルションは医薬品、化粧品、塗料、洗浄、燃料、合成ゴム等々幅広い分野で活用されている。乳化には一般的に界面活性剤が用いらる。界面活性剤にはノニオン、アニオン、カチオン、両性などの種類があり、その中でもノニオン界面活性剤が乳化力が高いとされ、汎用されている。
しかしエマルションは不安定系であるため、調製直後は均一分散状態でったとしても時間が経過するとエマルションが合一し、最終的に分離してしまう。特許文献1には、ノニオン界面活性剤としてグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用した乳化型皮膚外用剤において、微生物由来のリポペプチド類と25℃で液状の高級脂肪酸を含有させることにより保存安定性が向上することについて記載があるが、高級脂肪酸を必須成分としているためそれによるべた付きが発生すること、界面活性剤の使用量を多くする必要が有ることなどにより、乳化組成物の使用感という面で課題があった。
本発明は上記問題点を解決し、保存安定性と使用感の両方に優れた乳化組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは前述の課題解決のために鋭意検討を行った結果、ノニオン界面活性剤とバイオサーファクタントを界面活性剤として使用した乳化性組成物において、ノニオン界面活性剤とバイオサーファクタントの濃度を特定の範囲内とすることで、保存安定性と使用感の両方に優れた乳化組成物を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記(1)〜(4)に関する。
(1)界面活性剤として、ノニオン界面活性剤及びバイオサーファクタントを含有し、さらに水性成分及び油性成分を含む乳化組成物であって、前記ノニオン系界面活性剤の濃度が0.1重量%〜5重量%、バイオサーファクタントの濃度が0.02〜2重量%であることを特徴とする乳化組成物。
(2)前記バイオサーファクタントがサーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、またはそれらの塩の群から選ばれる一種以上である(1)記載の乳化組成物。
(3)前記水性成分を1重量%〜99重量%、前記油性成分を1重量%〜99重量%含有する、(1)、(2)に記載の乳化組成物。
(4)(1)〜(3)に記載の乳化組成物を用いることを特徴とする化粧料。
本発明によれば高級脂肪酸を使用せずに保存安定性の高い乳化組成物を得ることができ、かつ界面活性剤の使用量も低減することが可能となるため、保存安定性と使用感の両方に優れた乳化組成物を得ることが出来る。
本発明の乳化組成物は、ノニオン界面活性剤を含有する。本発明で用いられるノニオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンポリグリセリン脂肪酸類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類などが挙げられる。
上記の中でもグリセリン脂肪酸エステル類を使用するのが、保存安定性に優れるためより好ましい。
本発明のノニオン界面活性剤の濃度は0.1重量%〜5重量%であることが望ましく、0.5重量%〜3重量%がより望ましい。ノニオン界面活性剤の濃度が0.1重量%より小さい場合、乳化組成物の保存安定性が不十分となり、5重量%より大きい場合、使用感が悪化する可能性がある。
本発明の乳化組成物は、バイオサーファクタントを含有する。バイオサーファクタントとは、微生物により生産される天然の化合物であり、一般に生分解性が高く、人体に対する皮膚刺激性が低いため環境や人体への安定性が極めて高いという特徴を持つ。本発明で用いられるバイオサーファクタントとしては、リポペプチド化合物のサーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、糖脂質のマンノシルエリスリトールリピッドやソホロリピッド、トレハロースリピッド、ラムノリピッド、脂肪酸のスピクリスポール酸、ポリマーのエマルザンなど、またはこれらの塩が挙げられるが、これらに限られるものではない。
上記の中でも少量で乳化組成物の安定化の効果が得られることから、リポペプチド化合物のサーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、またはそれらの塩が好ましく、サーファクチンまたはその塩が特に好ましい。
ここで、サーファクチンの塩とは、一般式(1)
[式中、Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し、RはC9−18アルキル基を示し、M+はアルカリ金属イオンまたは第四級アンモニウムイオンを示す]
で示される化合物、またはこの化合物を2種以上含有する組成物である。
で示される化合物、またはこの化合物を2種以上含有する組成物である。
Xとしてのアミノ酸残基は、L体でもD体でもよいが、L体が好ましい。
「C9−18アルキル基」は、炭素数9以上、18以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素基をいう。例えば、n−ノニル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、n−デシル基、8−メチルノニル基、n−ウンデシル基、9−メチルデシル基、n−ドデシル基、10−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、11−メチルドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
アルカリ金属イオンは特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを表す。
第四級アンモニウムイオンの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基等のアリール基等の有機基が挙げられる。第四級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられる。
上記サーファクチンまたはその塩は1種、または2種以上使用してもよい。
サーファクチンまたはその塩は、公知方法に従って、微生物、例えばバチルス・ズブチリスに属する菌株を培養し、その培養液から分離することができ、精製品であっても、未精製、例えば培養液のまま使用することも出来る。また、化学合成法によって得られるものでも同様に使用できる。
本発明のバイオサーファクタントの濃度は0.02重量%〜2重量%であることが望ましく、好ましくは0.05重量%〜1重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜0.8重量%が望ましい。バイオサーファクタントの濃度が0.02重量%よりも小さい場合、乳化組成物の保存安定性が不十分となり、2重量%よりも大きい場合、余分なバイオサーファクタントが使用感に悪影響を与える可能性がある。
本発明の乳化組成物は、油性成分を含有する。本発明の油性成分は、水と任意の割合では混合しないものであれば、特に限定はされないが、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、セレシン、ポリエチレン末、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動イソパラフィン、ポリブテン、ミネラル油などの炭化水素類、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ等のロウ類、マカデミアナッツ油、オリーブ油、綿実油、大豆油、アボガド油、コメヌカ油、米油、コメ胚芽油、パーム核油、ヒマシ油、ローズヒップ油、月見草油、ツバキ油、馬油、グレープシード油、ヤシ油、メドウホーム油、シアバター、コーン油、サフラワー油、ゴマ油等の油脂類、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、セバシン酸ジイソプロピル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル等のエステル類、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン油類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル類のいずれか1種または2種以上を使用するのが好ましい。
本発明の油性成分の濃度は1重量%〜99重量%であることが望ましく、好ましくは10重量%〜50重量%であることが望ましい。油性成分が上記の濃度範囲にあることにより、安定したエマルションを形成することが可能となる。
本発明の乳化組成物は、水性成分を含有する。本発明の水性成分は、特に限定はされないが、水、2価アルコール、多価アルコール、糖類、糖アルコール、アミノ酸類、ペプチド類のいずれか1種または2種以上を使用するのが好ましい。
本発明の水性成分の濃度は1重量%〜99重量%であることが望ましく、好ましくは50重量%〜90重量%であることが望ましい。水性成分が上記の濃度範囲にあることにより、安定したエマルションを形成することが可能となる。
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を達成する範囲で任意の成分を配合することができる。任意の成分としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、エモリエント剤、乳化剤、可溶化剤、抗炎症剤、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、色素、香料、粉体類等が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、例えば、油性成分にノニオン界面活性剤を、水性成分にバイオサーファクタントをそれぞれ溶解し、上記水性成分を撹拌しながら上記油性成分を少量ずつ添加していくこと等により調製することができる。水性成分として、水とその他成分を併用する場合は、水は油性成分を添加した後に添加してもよい。
油性成分は、所定量ずつ添加(分割添加)しても、連続的に添加(連続添加)してもよい。
分割添加の場合には、既に添加されている水性成分の量の60質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量を一度に添加し、撹拌して均一にする。それを繰り返すことにより必要量を添加する。
連続添加の場合、添加速度は既に添加されている水性成分の量の60質量%/分以下、好ましくは30質量%/分以下、より好ましくは10質量%/分以下である。
また、他の成分を添加する場合は、油性成分を添加する前に添加しても、油性成分に溶解または分散させて添加しても、油性成分を全量添加した後に添加しても、油性成分を添加している途中で添加してもいずれの方法でもかまわない。水性成分は、最初に全量を添加しても、添加量の一部を最初に使用して残りを後から添加してもよい。
本発明の乳化組成物の用途として、好ましくは化粧料等が挙げられ、例えばクリーム、ローション、クレンジングジェル、クレンジングクリーム等の基礎化粧料; ファンデーション、アイシャドウ、リップカラー、リップグロス等のメーキャップ化粧料; ヘアクリーム、スタイリングジェル、ヘアワックス等の頭髪用化粧料; シャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ、洗顔フォーム等の洗浄料等に好適に使用することができる。
本発明の乳化物は例えば以下のようにして調整されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(A)セテス−20(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 1.98重量%
(B)サーファクチンナトリウム 0.02重量%
(C)スクアラン 20重量%
(D)精製水 78重量%
(C)に(A)を投入し、80℃で溶解した(これを(E)とする)。(D)に(B)を投入し、80℃で溶解した(これを(F)とする)。(E)に(F)を投入し、ホモミキサーを用いて80℃で4分間攪拌した。
(A)セテス−20(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 1.98重量%
(B)サーファクチンナトリウム 0.02重量%
(C)スクアラン 20重量%
(D)精製水 78重量%
(C)に(A)を投入し、80℃で溶解した(これを(E)とする)。(D)に(B)を投入し、80℃で溶解した(これを(F)とする)。(E)に(F)を投入し、ホモミキサーを用いて80℃で4分間攪拌した。
(実施例2)
実施例1において(A)成分の量を1.8重量%、(B)成分の量を0.2重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例1において(A)成分の量を1.8重量%、(B)成分の量を0.2重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(実施例3)
実施例1において(A)成分の量を1.6重量%、(B)成分の量を0.4重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例1において(A)成分の量を1.6重量%、(B)成分の量を0.4重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(実施例4)
実施例1において(A)成分としてPEG−60水添ヒマシ油を使用した以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例1において(A)成分としてPEG−60水添ヒマシ油を使用した以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(実施例5)
実施例4において(A)成分の量を1.8重量%、(B)成分の量を0.2重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例4において(A)成分の量を1.8重量%、(B)成分の量を0.2重量%とした以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(実施例6)
実施例1において(A)成分としてステアリン酸グリセリルを使用した以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例1において(A)成分としてステアリン酸グリセリルを使用した以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(比較例1)
実施例1において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例1において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(比較例2)
実施例4において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例4において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
(比較例3)
実施例6において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
実施例6において(A)成分の量を2重量%、(B)成分を使用しなかった以外は同様の方法により乳化組成物を調整した。
<安定性評価>
上記実施例1〜6、比較例1〜3について、50℃にて所定期間静置後の外観を評価した。結果を表1に示す。実施例1〜6は2週間経過後、または8週間後でも分離は見られず、乳化組成物の保存安定性に優れていたが、比較例1〜3は2週間後、または8週間後には分離などが見られ、乳化組成物の保存安定性に課題があった。
上記実施例1〜6、比較例1〜3について、50℃にて所定期間静置後の外観を評価した。結果を表1に示す。実施例1〜6は2週間経過後、または8週間後でも分離は見られず、乳化組成物の保存安定性に優れていたが、比較例1〜3は2週間後、または8週間後には分離などが見られ、乳化組成物の保存安定性に課題があった。
Claims (4)
- 界面活性剤として、ノニオン界面活性剤及びバイオサーファクタントを含有し、さらに水性成分及び油性成分を含む乳化組成物であって、前記ノニオン界面活性剤の濃度が0.1重量%〜5重量%、バイオサーファクタントの濃度が0.02〜2重量%であることを特徴とする乳化組成物。
- 前記バイオサーファクタントがサーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、またはそれらの塩の群から選ばれる一種以上である請求項1記載の乳化組成物。
- 前記水性成分を1重量%〜99重量%、前記油性成分を1重量%〜99重量%含有する、請求項1〜2に記載の乳化組成物。
- 請求項1〜3に記載の乳化組成物を用いることを特徴とする化粧料。
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