JP2023025797A - 吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023025797A
JP2023025797A JP2021131155A JP2021131155A JP2023025797A JP 2023025797 A JP2023025797 A JP 2023025797A JP 2021131155 A JP2021131155 A JP 2021131155A JP 2021131155 A JP2021131155 A JP 2021131155A JP 2023025797 A JP2023025797 A JP 2023025797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
absorbent article
liquid
acid
aliphatic monohydric
acids
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021131155A
Other languages
English (en)
Inventor
将志 中下
Masashi Nakashita
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unicharm Corp
Original Assignee
Unicharm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unicharm Corp filed Critical Unicharm Corp
Priority to JP2021131155A priority Critical patent/JP2023025797A/ja
Priority to PCT/JP2022/029647 priority patent/WO2023017758A1/ja
Publication of JP2023025797A publication Critical patent/JP2023025797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F13/00Bandages or dressings; Absorbent pads
    • A61F13/15Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F13/00Bandages or dressings; Absorbent pads
    • A61F13/15Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators
    • A61F13/51Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the outer layers
    • A61F13/511Topsheet, i.e. the permeable cover or layer facing the skin

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)

Abstract

Figure 2023025797000001
【課題】経時でその位置を変化させにくく且つ経時で体液を繰り返し滑落させることができるゲル状組成物を備えており、経時での繰り返し吸収性に優れる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液透過性シート2と、液不透過性シートと、それらの間の吸収体3とを備える吸収性物品1であって、液透過性シート2が、油性成分と、多価アルコールと、バイオサーファクタントとを含むゲル状組成物6を備えていることを特徴とする吸収性物品1。
【選択図】図1

Description

本開示は、吸収性物品に関する。
経血等の体液を吸収性物品の内部に滑落させるため、所定の血液滑性付与剤を吸収性物品に塗工することが行われている。
例えば、特許文献1には、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを有する吸収性物品であって、上記液透過性のトップシートが、肌当接面に、凸部と、凹部とを含む凹凸構造を有し、そして上記液透過性のトップシートが、排泄口当接域において、少なくとも上記凸部に、40℃における0.01~80mm2/sの動粘度と、0.01~4.0質量%の抱水率と、1,000未満の重量平均分子量とを有する血液滑性付与剤を含むことを特徴とする吸収性物品が開示されている。
特開2013-179982号公報
特許文献1に係る吸収性物品では、血液滑性付与剤が血液を効率よく吸収性物品の内部に滑落させ、経血を吸収した後、トップシートにべたつき感がなく、トップシートがサラサラしているものである。しかし、上記血液滑性付与剤は、その特性上、液透過性のトップシートから移動しやすく、改良の余地がある。
従って、本開示は、経時でその位置を変化させにくく且つ経時で体液を繰り返し滑落させることができるゲル状組成物を備えており、経時での繰り返し吸収性に優れる吸収性物品を提供することを目的とする。
本開示者らは、液透過性シートと、液不透過性シートと、それらの間の吸収体とを備える吸収性物品であって、上記液透過性シートが、油性成分と、多価アルコールと、バイオサーファクタントとを含むゲル状組成物を備えていることを特徴とする吸収性物品を見出した。
本開示の吸収性物品は、経時でその位置を変化させにくく且つ経時で体液を繰り返し滑落させることができるゲル状組成物を備えており、経時での繰り返し吸収性に優れる。
図1は、第1実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。 図2は、第2実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
液透過性シートと、液不透過性シートと、それらの間の吸収体とを備える吸収性物品であって、
上記液透過性シートが、油性成分と、多価アルコールと、バイオサーファクタントとを含むゲル状組成物を備えている、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
上記吸収性物品では、液透過性シートが、油性成分を含むゲル状組成物を備えている。上記ゲル状組成物は、ゲル状であり、一定の粘度を有するため、所定の圧力(例えば、吸収性物品の保管時(輸送時)の圧力等)が加わった場合でも、その位置を変化させにくい。
すなわち、上記吸収性物品では、ゲル状組成物は、経時でその位置を変化させにくい。
また、ゲル状組成物における油性成分は、体液等の液体を吸収体に滑落させるための成分であるが、油性成分そのものは親油性を有するため、油性成分の状態が変化すると、液体の吸収性が変化する場合がある。例えば、油性成分が、液透過性シートに微粒子状で均一に配置された状態から、液透過性シートに大きな液滴として不均一に配置された状態に変化すると、親油性を有する油性成分が、親水性を有する液体を弾き、液体が吸収体に滑落せず、液透過性シートに残存しやすくなる場合がある。
上記吸収性物品では、油性成分が、多価アルコール及びバイオサーファクタントとともにゲル状で存在していることから、長期間、特に高温で保管された場合であっても、ゲル状組成物が、液体に対して一定のなじみ性を有している。
従って、製造直後であっても、そして製造から一定の時間が経過した場合であっても、上記吸収性物品の使用時に、液透過性シートに体液等の液体(1回目)が到達すると、親水性成分(多価アルコール)及びバイオサーファクタントを含むゲル状組成物が液体となじみ、親油性成分(油性成分)と、親水性成分(多価アルコール)と、バイオサーファクタントとを含むゲル状組成物の一部が迅速に油性成分のエマルション(1回目)を形成する。当該油性成分のエマルション(1回目)は、その一部が、液体を吸収体に滑落させるとともに、その残余が液透過性シートに残存する。
液透過性シートに液体(2回目)が到達すると、残余の油性成分のエマルション(1回目)が、液体を吸収体に迅速に滑落させることができる。また、液透過性シートに液体(2回目)が到達した際に、ゲル状組成物の一部がさらに油性成分のエマルション(2回目)を形成し、当該油性成分のエマルション(2回目)は、その一部が、液体を吸収体に滑落させるとともに、その残余が液透過性シートに残存する。
これらを繰り返すことにより、上記吸収性物品は、製造直後であっても、製造から一定の時間が経過した場合であっても、経血を繰り返し滑落させることができ、経時での繰り返し吸収性に優れる。
[態様2]
上記ゲル状組成物が、水分と接触すると上記油性成分のエマルションを形成するように構成されている、態様1に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が、水分と接触すると油性成分のエマルションを形成するように構成されているので、態様1の効果をより発揮することができる。
[態様3]
上記エマルションが、0.5~5.0μmの平均粒径を有する、態様2に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物から形成される油性成分のエマルションが所定の平均粒径を有するため、油性成分のエマルションが液透過性シートの表面に複数のエマルションが配置されやすくなるとともに、複数のエマルションが液体を吸収体に滑落させやすくなる。
[態様4]
上記液透過性シートが、5~60μmの平均繊維径を有する繊維を含む不織布から構成されている、態様3に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、液透過性シートが所定の不織布から構成されているため、油性成分のエマルションが繊維の表面に配置されやすくなり、繊維の表面に配置された油性成分のエマルションが、液体を吸収体に滑落させやすくなる。
[態様5]
上記ゲル状組成物が、36℃及び0.28(1/s)の剪断速度において、50~1,000Pa・sの粘度を有する、態様1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が、着用者の体温付近且つ保管時に相当する剪断速度において、所定の粘度を有することから、吸収性物品の着用時に、ゲル状組成物が、その位置を変化させにくいとともに、液透過性シートに液体が到達した際に、油性成分のエマルションが形成されやすくなる。
[態様6]
上記ゲル状組成物が、上記油性成分と、上記多価アルコールと、上記バイオサーファクタントとを、それらの合計質量に基づいて、60.0~94.9質量%と、5.0~39.9質量%と、0.1~5.0質量%との比率で含む、態様1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が所定の組成を有するため、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様7]
上記バイオサーファクタントが、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、及びそれらの塩、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、バイオサーファクタントが、所定のものから選択されるため、ゲル状組成物が液体と接触する際に、油性成分のエマルションが形成されやすくなり、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様8]
上記多価アルコールが、3価以上のアルコールであるか、又は2価アルコールのポリエーテルである、態様1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、多価アルコールが、所定のものから選択されるため、ゲル状組成物が液体と接触する際に、多価アルコールが液体中に溶解しやすくなり、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様9]
上記油性成分が、40℃における0.01~80mm2/sの動粘度と、0.01~4.0質量%の抱水率と、1,000未満の重量平均分子量とを有する、態様1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、油性成分が所定の動粘度、抱水率及び重量平均分子量を有することから、油性成分が、体液を、液透過性シートから吸収体に滑落させやすくなり、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様10]
上記油性成分が、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(d4)ジアルキルカーボネート、(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、及び(f1)鎖状アルカン、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、態様1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、油性成分が、所定のものから選択されるため、油性成分が、体液を、液透過性シートから吸収体に滑落させやすくなり、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様11]
上記ゲル状組成物が、薬剤をさらに含む、態様1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が薬剤をさらに含む。従って、吸収性物品の着用時に、ゲル状組成物が液体と接触する度に、ゲル状組成物から薬剤が放出され、その一部が吸収性物品の着用者の皮膚等に作用することができるため、薬剤が、長時間にわたって着用者の皮膚に作用することができる。
[態様12]
上記油性成分が、温感剤及び/又は冷感剤をさらに含む、態様1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物の油性成分が温感剤及び/又は冷感剤をさらに含む。従って、吸収性物品の着用時に、液透過性シートに液体が到達する前においては、温感剤及び/又は冷感剤がその作用を発揮しにくく、そして液透過性シートに液体が到達する度に、油性成分が温感剤及び/又は冷感剤とともにエマルション化され、液透過性シートの表面に配置され、温感剤及び/又は冷感剤が、長時間にわたって着用者の皮膚に作用することができる。
[態様13]
上記ゲル状組成物が、上記液透過性シートの体液と直接接触する領域に配置されている、態様1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が所定の位置に配置されているため、ゲル状組成物から、油性成分のエマルションが迅速に形成されやすくなり、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
[態様14]
上記ゲル状組成物が、上記液透過性シートの肌当接面に、ライン状、ドット状又は粒子状で配置されている、態様1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、ゲル状組成物が、液透過性シートの肌当接面に所定の状態で配置されているため、吸収性物品の吸収性を阻害しにくく、そして態様1の効果をより発揮しやすくなる。
本開示の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
<油性成分>
上記油性成分は、特許文献1に記載の血液滑性付与剤と同様の作用を有し、経血のみならず、尿等の体液を液透過性シートから吸収体内部に滑落させる役割を有する。
上記油性成分は、40℃において、好ましくは0~80mm2/s、より好ましくは1~70mm2/s、さらに好ましくは3~60mm2/s、さらにいっそう好ましくは5~50mm2/sの動粘度を有する、そしてさらにいっそう好ましくは7~45mm2/sの動粘度を有する。
また、油性成分が、40℃において、0~80mm2/sの動粘度を有するために、油性成分の融点が45℃以下であることが好ましい。油性成分が40℃で結晶を含むと、その動粘度が高くなる傾向があるからである。
なお、本明細書では、40℃における動粘度を、単に「動粘度」と称する場合がある。
上記動粘度が80mm2/sを超えると、油性成分の粘性が高く、液透過性シートの肌当接面に到達した液体とともに、液透過性シートから吸収体内部に滑落することが難しくなる傾向がある。
上記動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、40℃の試験温度で測定されることができる。
上記油性成分は、好ましくは0.01~4.0質量%、より好ましくは0.02~3.5質量%、さらに好ましくは0.03~3.0質量%、さらにいっそう好ましくは0.04~2.5質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.05~2.0質量%の抱水率を有する。
本明細書において、「抱水率」は、物質が、保持することができる水の比率を意味し、以下の通りに測定されうる。
(1)40℃の恒温室に、試験管、ゴム栓、測定すべき物質及び脱イオン水を一昼夜静置する。
(2)上記恒温室で、20mLの試験管に、測定すべき物質5.0gと、脱イオン水5.0gを投入する。
(3)上記恒温室で、試験管の口をゴム栓にて栓をし、1回転させ、5分間静置する。
(4)上記恒温室で、測定すべき物質の層(通常は、上層)3.0gを、直径90mmのガラス製シャーレ(質量:W0)に採取する。
(5)上記シャーレを、オーブン内で、105℃で3時間加熱し、水分を蒸発させ、シャーレごと、質量を測定する(質量:W1)。
(6)抱水率を、以下の式に従って算出する。
抱水率(%)=100×(W0-W1)/3.0
測定は3回実施し、平均値を採用する。
上記油性成分は、1,000未満の重量平均分子量を有し、そして好ましくは900未満の重量平均分子量を有する。上記重量平均分子量が1,000以上であると、油性成分そのものにタック性が生じ、着用者に不快感を与える傾向があるからである。
上記油性成分は、100以上の重量平均分子量を有することが好ましく、そして200以上の重量平均分子量を有することがより好ましい。上記重量平均分子量が小さくなると、上記油性成分の蒸気圧が高くなり、保存中に気化し、量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」は、多分散系の化合物(例えば、逐次重合により製造された化合物、複数の脂肪酸と、複数の脂肪族1価アルコールとから生成されたエステル)と、単一化合物(例えば、1種の脂肪酸と、1種の脂肪族1価アルコールから生成されたエステル)とを含む概念であり、Ni個の分子量Miの分子(i=1、又はi=1,2・・・)からなる系において、次の式:
w=ΣNii 2/ΣNii
により求められるMwを意味する。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる、ポリスチレン換算の値を意味する。
GPCの測定条件としては、例えば、以下が挙げられる。
機種:(株)日立ハイテクノロジーズ製 高速液体クロマトグラム Lachrom Elite
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX KF-801、KF-803及びKF-804
溶離液:THF
流量 :1.0mL/分
打込み量:100μL
検出:RI(示差屈折計)
上記油性成分としては、例えば、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(d4)ジアルキルカーボネート、(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、及び(f1)鎖状アルカンが挙げられる。
[(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステル、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステル、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
上記脂肪酸としては、例えば、飽和脂肪酸、例えば、C2~C30の飽和脂肪酸、例えば、酢酸(C2)(C2は、炭素数を意味する、以下同じ)、プロパン酸(C3)、ブタン酸(C4)及びその異性体、例えば、2-メチルプロパン酸(C4)、ペンタン酸(C5)及びその異性体、例えば、2-メチルブタン酸(C5)、2,2-ジメチルプロパン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)及びその異性体、例えば、2-エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等、並びに列挙されていないこれらの異性体が挙げられる。
上記脂肪酸はまた、不飽和脂肪酸であることができる。上記不飽和脂肪酸としては、例えば、C3~C20の不飽和脂肪酸、例えば、モノ不飽和脂肪酸、例えば、クロトン酸(C4)、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)等、ジ不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)等、トリ不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸、例えば、α-リノレン酸(C18)及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸、例えば、α-エレオステアリン酸(C18)及びβ-エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)等、テトラ不飽和脂肪酸、例えば、ステアリドン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)等、ペンタ不飽和脂肪酸、例えば、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)等、並びにこれらの部分水素付加物が挙げられる。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステル、すなわち、ペンタエリトリトールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステル、トリエステル又はテトラエステルであることが好ましく、トリエステル又はテトラエステルであることがより好ましく、そしてテトラエステルであることがさらに好ましい。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、ユニスター H-408BRS、H-2408BRS-22(混合品)等(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル、グリセリンと脂肪酸とのジエステル、及びグリセリンと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
上記脂肪酸は、上述の通りである。
上記グリセリンと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステル又はトリエステルであることが好ましく、そしてトリエステルであることがより好ましい。
上記グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのトリエステルとしては、例えば、グリセリンと、オクタン酸(C8)及びデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)及びドデカン酸(C12)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)及びオクタデカン酸(C18)とのトリエステル等が挙げられる。
融点を45℃以下とする観点から考察すると、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計が、約40以下であることが好ましい。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルの市販品としては、トリヤシ油脂肪酸グリセリド、NA36、パナセート800、パナセート800B及びパナセート810S、並びにトリC2L油脂肪酸グリセリド及びトリCL油脂肪酸グリセリド(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
[(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、C2~C6の鎖状炭化水素ジオール、例えば、C2~C6のグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールと、脂肪酸とのモノエステル又はジエステルが挙げられる。
上記脂肪酸としては、「(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸が挙げられる。
上記C2~C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、C2~C6グリコールと脂肪酸とのエステル、すわなち、C2~C6グリコールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、上記C2~C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、炭素数の大きいグリコールに由来する、グリコールと脂肪酸とのエステル、例えば、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールに由来するグリコールと脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
さらに、上記C2~C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステルであることが好ましい。
上記C2~C6グリコールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、例えば、コムポールBL、コムポールBS(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
[(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル]
(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、例えば、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、トリエーテル、ジエーテル及びモノエーテルが挙げられる。
脂肪族1価アルコールとしては、例えば、飽和脂肪族1価アルコール及び不飽和脂肪族1価アルコールが挙げられる。
上記飽和脂肪族1価アルコールとしては、例えば、C1~C20の飽和脂肪族1価アルコール、例えば、メチルアルコール(C1)(C1は、炭素数を示す、以下同じ)、エチルアルコール(C2)、プロピルアルコール(C3)及びその異性体、例えば、イソプロピルアルコール(C3)、ブチルアルコール(C4)及びその異性体、例えば、sec-ブチルアルコール(C4)及びtert-ブチルアルコール(C4)、ペンチルアルコール(C5)、ヘキシルアルコール(C6)、ヘプチルアルコール(C7)、オクチルアルコール(C8)及びその異性体、例えば、2-エチルヘキシルアルコール(C8)、ノニルアルコール(C9)、デシルアルコール(C10)、ドデシルアルコール(C12)、テトラデシルアルコール(C14)、ヘキサデシルアルコール(C16)、へプラデシルアルコール(C17)、オクタデシルアルコール(C18)、及びエイコシルアルコール(C20)、並びに列挙されていないこれらの異性体が挙げられる。
上記不飽和脂肪族1価アルコールとしては、上記飽和脂肪族1価アルコールのC-C単結合の1つを、C=C二重結合で置換したもの、例えば、オレイルアルコールが挙げられ、例えば、新日本理化株式会社から、リカコールシリーズ及びアンジェコオールシリーズの名称で市販されている。
[(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、]
(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、例えば、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、ジエーテル及びモノエーテルが挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールは、上述の通りである。
[(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル]
(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、C2~C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのジエーテル、C2~C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルが挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールは、上述の通りである。
[(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル]
(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、好ましくはジエステル、トリエステル及びテトラエステル、より好ましくはトリエステル及びテトラエステル、そしてさらに好ましくはテトラエステルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素テトラカルボン酸としては、例えば、アルカンテトラカルボン酸、例えば、ブタン四酸、ペンタン四酸、ヘキサン四酸、ヘプタン四酸、オクタン四酸、ノナン四酸及びデカン四酸が挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールは、上述の通りである。
[(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル]
(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、好ましくはジエステル及びトリエステル、そしてより好ましくはトリエステルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素トリカルボン酸としては、例えば、アルカントリカルボン酸、例えば、プロパン三酸、ブタン三酸、ペンタン三酸、ヘキサン三酸、ヘプタン三酸、オクタン三酸、ノナン三酸及びデカン三酸が挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールは、上述の通りである。
例として、O-アセチルクエン酸トリブチルが挙げられ、そして市販されている。
[(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル]
(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのモノエステル及びジエステル、好ましくはジエステルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素ジカルボン酸としては、例えば、アルカンジカルボン酸、例えば、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸及びデカン二酸が挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールについては、上述の通りである。
例としては、アジピン酸ジオクチルが挙げられ、そして市販されている。
[(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル]
上記脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(1):
1OR2 (1)
(式中、R1及びR2のそれぞれは、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
上記エーテルを構成する脂肪族1価アルコール(式(1)において、R1OH及びR2OHに相当する)としては、上述の通りである。
[(d2)ジアルキルケトン]
上記ジアルキルケトンとしては、次の式(2):
3COR4 (2)
(式中、R3及びR4のそれぞれは、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
上記ジアルキルケトンは、市販されている他、公知の方法、例えば、第二級アルコールを、クロム酸等で酸化することにより得ることができる。
[(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、次の式(3):
5COOR6 (3)
(式中、R5及びR6は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
上記エステルを構成する脂肪酸(式(3)において、R5COOHに相当する)としては、上述の脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。上記エステルを構成する脂肪族1価アルコール(式(3)において、R6OHに相当する)としては、例えば、上述の脂肪族1価アルコールが挙げられる。
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの例としては、例えば、ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル、テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル等が挙げられ、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの市販品としては、例えば、エレクトールWE20、及びエレクトールWE40(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(d4)ジアルキルカーボネート]
上記ジアルキルカーボネートとしては、次の式(4):
7OC(=O)OR8 (4)
(式中、R7及びR8のそれぞれは、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートは、市販されている他、ホスゲンとアルコールとの反応、塩化ギ酸エステルとアルコール又はアルコラートとの反応、及び炭酸銀とヨウ化アルキルとの反応により合成することができる。
[(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール]
上記ポリオキシC3~C6アルキレングリコールは、i)オキシC3~C6アルキレン骨格、すなわち、オキシプロピレン骨格、オキシブチレン骨格、オキシペンチレン骨格、及びオキシヘキシレン骨格から成る群から選択されるいずれか1種の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するホモポリマー、ii)上記群から選択される2種以上の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するブロックコポリマー、又はiii)上記群から選択される2種以上の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するランダムコポリマーを意味する。
上記ポリC3~C6アルキレングリコールの市販品としては、例えば、ユニオール(商標)PB-500及びPB-700(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(e2)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
上記ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、「(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール」の項で説明したポリオキシC3~C6アルキレングリコールのOH末端の一方又は両方が、脂肪酸によりエステル化されているもの、すなわち、モノエステル及びジエステルが挙げられる。
上記脂肪酸については、上述の通りである。
[(e3)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル]
上記ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、「(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール」の項で説明したポリオキシC3~C6アルキレングリコールのOH末端の一方又は両方が、脂肪族1価アルコールによりエーテル化されているもの、すなわち、モノエーテル及びジエーテルが挙げられる。
上記脂肪族1価アルコールについては、上述の通りである。
[(f1)鎖状アルカン]
(f1)鎖状アルカンとしてが、例えば、直鎖アルカン及び分岐鎖アルカンが挙げられる。
上記炭化水素の市販品としては、例えば、パールリーム6(日油株式会社)が挙げられる。
<多価アルコール>
上記多価アルコールは、2価以上のアルコールを意味し、例えば、2価アルコール、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコール、6価以上のアルコール、及びそれらのエーテル等が挙げられ、3価以上のアルコールであるか、又は2価アルコールのポリエーテルであることが好ましい。
上記2価アルコールとしては、例えば、C2~C6の鎖状炭化水素ジオール、例えば、C2~C6のグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールが挙げられる。
上記3価アルコールとしては、例えば、上述の鎖状炭化水素トリオールが挙げられ、例えば、グリセリンが挙げられる。
上記4価アルコールとしては、例えば、上述の鎖状炭化水素テトラオールが挙げられ、例えば、ペンタエリトリトールが挙げられる。
上記5価以上のアルコールとしては、例えば、キシリトール、ソルビトール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
<バイオサーファクタント>
上記バイオサーファクタントは、微生物により生産される天然の化合物であり、一般に生分解性が高く、人体に対する皮膚刺激性が低いため、環境及び人体への安定性が高い。本開示に係るバイオサーファクタントとしては、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン等のリポペプチド化合物、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、トレハロースリピッド、ラムノリピッド等の糖脂質、スピクリスポール酸等の脂肪酸、エマルザン等のポリマー、及びそれらの塩、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
上記バイオサーファクタントは、ゲル状組成物の安定性の高さから、リポペプチド化合物及びその塩が好ましく、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、及びそれらの塩がより好ましく、サーファクチン及びその塩がさらに好ましい。
サーファクチンの塩は、次の式(5)
Figure 2023025797000002
(式中、Xは、ロイシン残基、イソロイシン残基、及びバリン残基からなる群より選択されるアミノ酸残基を意味し、Rは、C9~C18アルキル基を意味し、そしてM+は、アルカリ金属イオン又は第四級アンモニウムイオンを意味する。)
で示される。
Xとしてのアミノ酸残基は、L体又はD体であることができ、好ましくはL体である。
RとしてのC9~C18アルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状の1価飽和炭化水素基を意味し、n-ノニル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、n-デシル基、8-メチルノニル基、n-ウンデシル基、9-メチルデシル基、n-ドデシル基、10-メチルウンデシル基、n-トリデシル基、11-メチルドデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基等が挙げられる。
+としてのアルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
+としての第四級アンモニウムイオンの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基等のアリール基等の有機基が挙げられる。
第四級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられる。
サーファクチン又はその塩は、公知方法に従って、微生物、例えば、バチルス・ズブチリスに属する菌株を培養し、その培養液から分離することができ、精製品であってもよく、また、未精製のまま、例えば、培養液のまま使用することもできる。サーファクチン又はその塩はまた、合成したものであってもよい。
<ゲル状組成物>
上記ゲル状組成物は、ゲル状であれば、その組成は特に制限されないが、ゲル状組成物の作用を発揮しやすくするため、上記油性成分と、上記多価アルコールと、上記バイオサーファクタントとを、それらの合計質量に基づいて、好ましくは60.0~94.9質量%、5.0~39.9質量%及び0.1~5.0質量%、より好ましくは69.7~92.0質量%、6.0~30.0質量%及び0.3~4.0質量%、そしてさらに好ましくは75.0~90.0質量%、7.0~22.0質量%及び0.5~3.0質量%の比率で含む。
上記ゲル状組成物は、36℃及び0.28(1/s)の剪断速度において、好ましくは50~1,000Pa・s、より好ましくは100~800Pa・s、そしてさらに好ましくは200~500Pa・sの粘度を有する。ゲル状組成物が、着用者の体温付近且つ保管時に相当する剪断速度において、所定の粘度を有することにより、吸収性物品の着用時に、ゲル状組成物が、その位置を変化させにくいとともに、液透過性シートに液体が到達した際に、油性成分のエマルションが形成されやすくなる。
本明細書では、上記ゲル状組成物の粘度は、以下の機器を用いて測定することができる。
・機器:Thermo Fisher SCIENTIFIC社製
HAAKE RheoStress1
・センサー:Coneφ60mm,1°angle C60/1
・剪断速度:0.28(1/s)
・測定時間:30秒
・サンプリング;100,平均値算出
上記ゲル状組成物は、水分と接触すると、上記油性成分のエマルションを形成するように構成されていることが好ましく、そしてその場合に、エマルションが、好ましくは0.5~5.0μm、そしてより好ましくは1.0~3.0μmの平均粒径を有する。それにより、液透過性シートの表面に配置される油性成分のエマルションの個数が増えるとともに、個々のエマルションが液体を吸収体に滑落させやすくなる。
本明細書では、上記ゲル状組成物から形成される油性成分のエマルションの粒径は、以下の装置を用いて測定することができる。
・装置:マイクロトラックベル社製のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置
・エマルションの形成条件:300mLのビーカーに、ゲル状組成物10.0gと、水90.0gとを添加し、ゲル状組成物の塊がなくなるまで攪拌し、10分静置する。
[その他の成分]
上記ゲル状組成物は、その作用を阻害しない範囲で、その他の成分をさらに含むことができる。
上記その他の成分としては、パール由来成分が挙げられる。
上記パール由来成分としては、真珠層を有する貝に由来する成分であれば、特に制限されない。上記真珠層を有する貝としては、アコヤガイ、クロチョウガイ(黒蝶真珠)、シロチョウガイ(南洋真珠)、マベガイ(マベ真珠)、アワビ等の海水性の貝、イケチョウガイ(淡水パール)、カラス貝(淡水パール)等が挙げられる。
上記パール由来成分としては、上述の真珠層を有する貝の粉砕物、すなわち、粉体が挙げられ、そして上述の真珠層を有する貝の有機質、例えば、タンパク質コンキオリン、及び上記有機質に由来するペプチド、アミノ酸、例えば、加水分解コンキオリン等であることができる。上記ペプチド、アミノ酸等は、液状であってもよい。
上記その他の成分としては、例えば、香料、溶媒等が挙げられる。
上記その他の成分としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。
上記その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等が挙げられる。
上記その他の成分としては、例えば、ビタミン、例えば、天然ビタミン又は合成ビタミンが挙げられる。上記ビタミンとしては、例えば、水溶性ビタミン、例えば、ビタミンB群、例えば、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB3,ビタミンB5,ビタミンB6,ビタミンB7,ビタミンB9,ビタミンB12等、ビタミンCが挙げられる。
上記ビタミンとしては、例えば、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA群、ビタミンD群、ビタミンE群、およびビタミンK群等が挙げられる。
上記ビタミンにはまた、それらの誘導体も含まれる。
上記その他の成分としては、例えば、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等、並びにペプチドが挙げられる。
上記その他の成分としては、例えば、ゼオライト、例えば、天然ゼオライト、例えば、方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、及びソモソナイト、並びに、合成ゼオライトが挙げられる。
上記その他の成分としては、例えば、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド等が挙げられる。
また、上記その他の成分としては、例えば、薬剤、例えば、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗炎症剤、温感剤、冷感剤等が挙げられる。
上記皮膚収斂剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸等、油溶性皮膚収斂剤、例えば、油溶性ポリフェノールが挙げられる。上記油溶性ポリフェノールとしては、天然の油溶性ポリフェノール、例えば、オオバクエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、ゴボウエキス、サルビアエキス、シナノキエキス、セイヨウボダイジュエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、サルビアエキス、テウチグルミエキス、ハイビスカスエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
上記抗ニキビ剤としては、例えば、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛等が挙げられる。
上記抗シワ剤としては、例えば、乳酸、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フィチン酸、リポ酸、リソフォスファチド酸が挙げられる。
上記抗セルライト剤としては、例えば、キサンチン化合物、例えば、アミノフィリン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等が挙げられる。
上記美白剤としては、例えば、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、グルコサミン及びその誘導体、フィトステロール誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、並びにクワ抽出物及び胎盤抽出物が挙げられる。
上記抗炎症剤としては、例えば、天然由来の抗炎症剤、例えば、ボタン、オオゴン、オトギリソウ、カモミール、甘草、モモノハ、ヨモギ、シソエキス等、合成抗炎症剤、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
上記温感剤としては、TRPチャネルを活性化するもの、例えば、TRPV1レセプターに対するアゴニスト、TRPV3レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPV1に対するアゴニストであることが好ましい。TRPV1レセプターは、活性化温度閾値が43℃超と高く、着用者に高い温感を付与することができる。
上記温感剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。上記温感剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
上記温感剤は、着用者が痛さ、痒さ等を感じにくい観点から、カプサイシンではないことが好ましく、そしてバニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテルショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、及びジンゲロン、並びにそれらの任意の組み合わせがより好ましい。
上記冷感剤としては、例えば、TRPチャネルを活性化するもの、例えば、TRPM8レセプターに対するアゴニスト、TRPA1レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPM8レセプターに対するアゴニストであることが好ましい。
上記冷感剤としては、例えば、メントール(例えば、l-メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル、メンチルグリセリルエーテル、例えば、l-メンチルグリセリルエーテル)、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。
また、上記その他の成分としては、例えば、pH調整剤、保湿剤、色素、染料、顔料、植物抽出エキス等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、皮膚を弱酸性に保つためのもの、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
上記その他の成分は、親油性であっても、親水性であってもよい。上記その他の成分が親水性であることにより、親水性であるその他の成分が、多価アルコールとともに存在しやすくなる。その結果、液透過性シートに液体が到達した際に、親水性であるその他の成分が、多価アルコールとともに、液体に溶解しやすくなり、例えば、液体中でその他の成分の作用を発揮することができる。
上記その他の成分が親油性であることにより、親油性であるその他の成分が、油性成分とともに存在しやすくなる。その結果、液透過性シートに液体が到達する前には、親油性成分であるその他の成分がその作用を発揮しにくく、液透過性シートに液体が到達した際に、親油性であるその他の成分が、油性成分のエマルションとともに放出され、その他の成分の作用を発揮しやすくなる。
例えば、温感剤及び冷感剤が親油性である場合には、ゲル状組成物が液体と接触する都度、温感剤又は冷感剤が、その作用を着用者に付与することができる。
[吸収性物品]
本開示の吸収性物品が吸収すべき液体は、液状であれば特に制限されず、例えば、体液、例えば、血液、経血、尿、唾液、汗、精液、リンパ液、組織液、体腔液、涙、鼻水、母乳等が挙げられる。
本開示の吸収性物品としては、上記液体を吸収するものが挙げられ、例えば、生理用ナプキン、おりもの用シート、使い捨ておむつ、尿取りパッド、使い捨てショーツ、母乳パッド、ペットシート等が挙げられる。
上記吸収性物品では、液透過性シートは、ゲル状組成物を、好ましくは1~30g/m2、より好ましくは2~20g/m2、そしてさらに好ましくは3~10g/m2の坪量で含む。ゲル状組成物の作用と、吸収性物品の吸収性との観点からである。
上記ゲル状組成物は、吸収性物品の厚さ方向において、液透過性シートの任意の位置に配置されうるが、液透過性シートの肌当接面、液透過性シートの内部、液透過性シートの非肌当接面等に配置されることができ、ゲル状組成物がその作用を発揮する観点から、液透過性シートの肌当接面に配置されることが好ましい。
上記ゲル状組成物は、吸収性物品の平面方向において、液透過性シートの任意の領域に配置されるが、ゲル状組成物がその作用を発揮する観点から、液透過性シートの、体液と直接接触する領域、例えば、液透過性シートの排泄口当接域に配置されることが好ましい。
上記ゲル状組成物は、公知のコーターを用いて、任意の形態、例えば、ライン状、ドット状、粒子状(例えば、微粒子状)等に塗工される。
図1は、本開示の実施形態の1つ(第1実施形態)に従う生理用ナプキン1を示す平面図である。図1に示される生理用ナプキン1は、液透過性シート2と、液不透過性シート(図示せず)と、液透過性シート2及び液不透過性シート(図示せず)の間に配置された吸収体3とを有する。図1に示される生理用ナプキン1はまた、サイドシート4と、エンボス部5とを有する。
液透過性シート2は、その肌当接面に、複数のライン状のゲル状組成物6を含み、そして複数のライン状のゲル状組成物6は、生理用ナプキン1の長手方向Lに沿って、そして生理用ナプキン1の幅方向Wに離間して、液透過性シート2の肌当接面に配置されている。
図2は、本開示の別の実施形態(第2実施形態)に従う生理用ナプキン1を示す平面図である。図2に示される生理用ナプキン1では、液透過性シート2は、その肌当接面に、ゲル状組成物6を含み、そして複数のドット状のゲル状組成物6が、液透過性シート2の肌当接面に、千鳥状に配置されている。
上記液透過性シートは、布帛(例えば、不織布、織布及び編物)、開孔フィルム等であることができる。
液透過性シートが布帛である場合には、布帛を構成する繊維が、好ましくは5~60μm、より好ましくは10~40μm、そしてさらに好ましくは15~30μmの平均繊維径を有する。それにより、布帛を構成する繊維の表面に油性成分のエマルションが配置されやすくなり、油性成分のエマルションが、液体を吸収体に滑落させやすくなる。なお、当該効果は、油性成分のエマルションの平均粒径が上述の範囲にある場合に、より高くなる。
また、布帛を構成する繊維の上記平均繊維径は、油性成分のエマルションよりも、好ましくは大きく、より好ましくは2倍以上大きく、さらに好ましくは3倍以上大きく、さらにいっそう好ましくは5倍以上大きく、そしてさらにいっそう好ましくは7倍以上大きい。それにより、油性成分のエマルションが繊維の表面に配置されやすくなる。
本明細書では、繊維の平均繊維径は以下の通り測定される。
・液透過性シートの任意の場所から、縦×横=5mm×5mmの試料を10個切り出す。
・走査型電子顕微鏡(KEYENCE社製,VE-7800)を用いて、倍率500倍で試料の表面の写真を計10枚(1試料1枚)撮影する。
・計10枚の写真のそれぞれにおいて、所定本数(例えば、10本)の繊維の繊維径を測定する。
・計10枚の写真の所定本数の繊維径の和を、計10枚の写真の所定本数の和で除した値を平均繊維径とする。
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
油性成分としてのパナセート810S(日油株式会社製)88.4部と、グリセリン10.9部と、カネカ・サーファクチン(カネカ株式会社製)0.7部とを室温で混合し、ゲル状組成物No.1を形成した。
なお、パナセート810Sは、C8の脂肪酸:C10の脂肪酸がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル(トリグリセリド)である。
ゲル状組成物No.1を、図1に示されるように、市販の生理用ナプキン(ユニ・チャーム株式会社製,ソフィボディフィット,以下、「市販ナプキン」と称する)の液透過性シートの肌当接面に、複数のライン状に塗工し、生理用ナプキンNo.1を得た。なお、ライン状のゲル状組成物No.1の塗工部の幅及び非塗工部の幅のそれぞれは2mmであり、坪量(塗工部及び非塗工部を含む平均坪量)は4.0g/m2であった。
[比較製造例2]
油性成分としてのパナセート810S(日油株式会社製)95部と、レオパールKL2(千葉製粉株式会社製,パルミチン酸デキストリン)5部とを80℃で混合し、ゲル状組成物No.2を形成した。
ゲル状組成物No.2を、製造例1と同一のライン状及び同一坪量で市販ナプキンに塗工し、生理用ナプキンNo.2を得た。
[比較製造例3]
油性成分としてのパナセート810S(日油株式会社製)85部と、レオパールTT2(千葉製粉株式会社製,(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン)15部とを80℃で混合し、ゲル状組成物No.3を形成した。
ゲル状組成物No.3を、製造例1と同一のライン状及び同一坪量で市販ナプキンに塗工し、生理用ナプキンNo.3を得た。
[比較製造例4]
パナセート810Sを、製造例1と同一のライン状及び同一坪量で市販ナプキンに塗工し、生理用ナプキンNo.4を得た。
[比較製造例5]
市販ナプキンを、生理用ナプキンNo.5とした。
[実施例1及び比較例2~5]
初期(製造直後)の生理用ナプキンNo.1~No.5と、経時後(50℃で4週間保管後)の生理用ナプキンNo.1~No.5との吸収速度と、リウェット率とを評価した。結果を表1に示す。
なお、吸収速度と、リウェット率との評価方法は、以下の通りである。
[リウェット率及び吸収速度]
生理用ナプキンの液透過性シートの上に、穴の開いたアクリル板(200mm×100mm,125g,中央に、40mm×10mmの穴が開いている)を置き、上記穴から、37±1℃の馬脱繊維血(株式会社ジャパン・ラム製)3gを、ピペットを用いて滴下(1回目)し、1分後、37±1℃の馬脱繊維血3gを、アクリル板の穴から、ピペットで再度滴下する(2回目)。
2回目の馬脱繊維血の滴下後、直ちに上記アクリル板を外し、馬脱繊維血を滴下した場所にろ紙(50mm×35mm)10枚を置き、その上から、圧力が30g/cm2となるようにおもりを置く。1分後、上記ろ紙を取出し、以下の式に従って、「リウェット率」を算出する。
リウェット率(%)=100×(試験後のろ紙質量-当初のろ紙質量)/6
また、リウェット率の評価とは別に、1回目の馬脱繊維血の滴下後、馬脱繊維血が液透過性シートから吸収体に移行する時間である「吸収速度(1回目)」と、2回目の馬脱繊維血の滴下後、馬脱繊維血が液透過性シートから吸収体に移行する時間である「吸収速度(2回目)」とを測定する。上記吸収速度は、生理用ナプキンに馬脱繊維血を滴下後、液透過性シートの表面及び内部に、血液の赤さが見られなくなるまでの時間を意味する。
Figure 2023025797000003
生理用ナプキンNo.1は、初期及び経時後とも、吸収が早く、そしてリウェットも少なかった。
生理用ナプキンNo.2~No.4は、経時後において、馬脱繊維血を弾き、馬脱繊維血が液透過性シートに残存した。油性成分が影響したものと思われる。
生理用ナプキンNo.5は、初期及び経時後とも、液透過性シートに馬脱繊維血が残存した。
また、個包装化した生理用ナプキンNo.1及びNo.4をパッケージに充填し、さらに段ボールに梱包した。当該段ボールを、宅配便を利用して、東京-香川間を複数回往復させた。生理用ナプキンNo.1では、ゲル状組成物No.1は、概ねその位置を変えておらず、ライン状の配置を保持していたが、生理用ナプキンNo.4では、パナセート810Sの一部が移動していた。
[実施例2]
油性成分としてのパナセート810S(日油株式会社製)を、以下に変更した以外は、製造例1と同様にてゲル状組成物及び生理用ナプキンを形成したところ、ゲル状組成物No.1及び生理用ナプキンNo.1と同様の効果を有していることを確認した。
(i)H-408BRS((a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル,日油株式会社製)
(ii)ユニスター H-208BRS((a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル,日油株式会社製),
(iii)O-アセチルクエン酸トリブチル((c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル)
(iv)クエン酸トリブチル(((c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル))
(v)アジピン酸ジオクチル((c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル)
(vi)エレクトールWE20((d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル)
(vii)ユニオールPB500((e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール)
(viii)パールリーム6(A)
1 生理用ナプキン
2 液透過性シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 エンボス部
6 ゲル状組成物

Claims (14)

  1. 液透過性シートと、液不透過性シートと、それらの間の吸収体とを備える吸収性物品であって、
    前記液透過性シートが、油性成分と、多価アルコールと、バイオサーファクタントとを含むゲル状組成物を備えている、
    ことを特徴とする、前記吸収性物品。
  2. 前記ゲル状組成物が、水分と接触すると前記油性成分のエマルションを形成するように構成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記エマルションが、0.5~5.0μmの平均粒径を有する、請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記液透過性シートが、5~60μmの平均繊維径を有する繊維を含む不織布から構成されている、請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記ゲル状組成物が、36℃及び0.28(1/s)の剪断速度において、50~1,000Pa・sの粘度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記ゲル状組成物が、前記油性成分と、前記多価アルコールと、前記バイオサーファクタントとを、それらの合計質量に基づいて、60.0~94.9質量%と、5.0~39.9質量%と、0.1~5.0質量%との比率で含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 前記バイオサーファクタントが、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、及びそれらの塩、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記多価アルコールが、3価以上のアルコールであるか、又は2価アルコールのポリエーテルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 前記油性成分が、40℃における0.01~80mm2/sの動粘度と、0.01~4.0質量%の抱水率と、1,000未満の重量平均分子量とを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  10. 前記油性成分が、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(d4)ジアルキルカーボネート、(e1)ポリオキシC3~C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3~C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、及び(f1)鎖状アルカン、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. 前記ゲル状組成物が、薬剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. 前記油性成分が、温感剤及び/又は冷感剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  13. 前記ゲル状組成物が、前記液透過性シートの体液と直接接触する領域に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  14. 前記ゲル状組成物が、前記液透過性シートの肌当接面に、ライン状、ドット状又は粒子状で配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
JP2021131155A 2021-08-11 2021-08-11 吸収性物品 Pending JP2023025797A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021131155A JP2023025797A (ja) 2021-08-11 2021-08-11 吸収性物品
PCT/JP2022/029647 WO2023017758A1 (ja) 2021-08-11 2022-08-02 吸収性物品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021131155A JP2023025797A (ja) 2021-08-11 2021-08-11 吸収性物品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023025797A true JP2023025797A (ja) 2023-02-24

Family

ID=85199973

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021131155A Pending JP2023025797A (ja) 2021-08-11 2021-08-11 吸収性物品

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023025797A (ja)
WO (1) WO2023017758A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013179982A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Unicharm Corp 吸収性物品
WO2015186375A1 (ja) * 2014-06-06 2015-12-10 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品
JP2019131473A (ja) * 2016-06-01 2019-08-08 株式会社カネカ バイオサーファクタントとノニオン界面活性剤を含むことを特徴とする乳化物
JP2020174996A (ja) * 2019-04-19 2020-10-29 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013179982A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Unicharm Corp 吸収性物品
WO2015186375A1 (ja) * 2014-06-06 2015-12-10 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品
JP2019131473A (ja) * 2016-06-01 2019-08-08 株式会社カネカ バイオサーファクタントとノニオン界面活性剤を含むことを特徴とする乳化物
JP2020174996A (ja) * 2019-04-19 2020-10-29 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023017758A1 (ja) 2023-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6021567B2 (ja) 吸収性物品
JP5685234B2 (ja) 吸収性物品
JP5998000B2 (ja) 不織布及び吸収性物品
JP6116177B2 (ja) 吸収性物品
JP6116178B2 (ja) 吸収性物品
JP6116179B2 (ja) 吸収性物品
JP6057648B2 (ja) 吸収性物品
JP2015229071A (ja) 吸収性物品
JP6416509B2 (ja) 吸収性物品
JP6012380B2 (ja) 不織布及び吸収性物品
WO2023017758A1 (ja) 吸収性物品
JP5988810B2 (ja) 吸収性物品
WO2024029375A1 (ja) 吸収性物品
JP5939949B2 (ja) 吸収性物品
JP6073101B2 (ja) 吸収性物品
JP6104551B2 (ja) 吸収性物品
JP7499913B2 (ja) 清浄化用シート、及び拭取性向上組成物の使用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230829

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231019

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240326