JP6073101B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
表面層から吸収層にかけて複数の凹部がエンボス加工により形成された吸収性物品が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1及び特許文献2)。この凹部は側面と底部とを有し、側面及び底部には表面層を形成する不織布が存在する。これにより、表面層に排泄された体液は、凹部に侵入し、吸収層に速やかに吸収される。
特開2003−291234号公報 特開2009−148328号公報
特許文献1及び2に記載の吸収性物品では、エンボス加工により凹部を形成するとき、表面層が円錐形の加熱ピンにより延伸される。この延伸により生ずる表面層の引張応力により、凹部の周りの吸収層には、厚さ方向に圧縮応力が生じる。これにより、凹部の周りの吸収層は厚さ方向に圧縮され、吸収性物品が堅くなる場合がある。このとき、着用者の身体に対する吸収性物品の密着性が悪くなり、着用者から排泄された体液が吸収性物品から漏れる場合がある。
本発明は、着用者の身体に対する密着性が良好な吸収性物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に介在する液保持性の吸収体とを含む吸収性物品であって、前記トップシートは、部分的切断により形成された破断片が折り曲げられて形成された切断開口部を複数有し、前記吸収体は、前記複数の切断開口部のそれぞれに通じる吸収体凹部を有し、前記破断片が、前記吸収体凹部の側部を被覆している、前記吸収性物品を提供する。
また、本発明は、トップシート及び吸収体の積層体をエンボス加工して、前記トップシートを貫通して前記吸収体に至る凹部を形成する工程を含む、吸収性物品の製造方法であって、前記エンボス加工が、前記トップシートを部分的に切断して破断片を形成する段階と、前記破断片を前記凹部の側部に圧着させる段階とを含む、前記製造方法を提供する。
本発明によれば、エンボス加工により凹部を形成しても吸収性物品は堅くならず、着用者の身体に対する密着性が良好な吸収性物品を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態の吸収性物品の部分破断平面図である。 図2(a)は図1の本発明の一実施形態の吸収性物品のA−A線断面を示す模式断面図であり、図2(b)は、本発明の一実施形態の吸収性物品の凹部の模式断面図である。 図3は、トップシートに切断開口部を形成し、吸収体に凹部を形成する方法の一例を説明するための図である。 図4(a),(b)はエンボス加工の一例を説明するための図である。 図5は、本発明の一実施形態の吸収性物品の凹部の変形例の模式断面図である。 図6は、トップシートがトリC2L油脂肪酸グリセリドを含む生理用ナプキンにおける、トップシートの肌当接面の電子顕微鏡写真である。 図7は、血液滑性付与剤を含む又は含まない経血の顕微鏡写真である。 図8は、表面張力の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明について説明する。
態様1に係る吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に介在する液保持性の吸収体とを含む吸収性物品であって、前記トップシートは、部分的切断により形成された破断片が折り曲げられて形成された切断開口部を複数有し、前記吸収体は、前記複数の切断開口部のそれぞれに通じる吸収体凹部を有し、前記破断片が、前記吸収体凹部の側部を被覆している、前記吸収性物品である。
態様1に係る吸収性物品において、前記トップシートは不織布であり、前記破断片が前記吸収体凹部の側部に圧着していることが好ましい(態様2)。
態様1又は2に係る吸収性物品において、前記破断片は、前記吸収体凹部の底部をさらに被覆していることが好ましい(態様3)。
態様1〜3に係る吸収性物品において、前記排泄口当接領域のうち少なくとも前記切断開口部の周囲部分に、40℃における動粘度が0.01〜80mm2/s、抱水率が0.01〜4.0質量%、重量平均分子量が1,000未満である血液滑性付与剤が塗工されていることが好ましい(態様4)。
態様4に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤のIOBが、0.00〜0.60のIOBであることが好ましい(態様5)。
態様4又は5に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤が、次の(i)〜(iii):
(i)炭化水素、
(ii) (ii−1)炭化水素部分と、(ii−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、及び
(iii) (iii−1)炭化水素部分と、(iii−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基と、(iii−3)前記炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される(ここで、(ii)又は(iii)の化合物において、オキシ基が2つ以上挿入されている場合には、各オキシ基は隣接していない)ことが好ましい(態様6)。
態様4〜6に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤が、次の(i’)〜(iii’):
(i’)炭化水素、
(ii’) (ii’−1)炭化水素部分と、(ii’−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合とを有する化合物、及び
(iii’) (iii’−1)炭化水素部分と、(iii’−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合と、(iii’−3)前記炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される(ここで、(ii’)又は(iii’)の化合物において、2以上の同一又は異なる結合が挿入されている場合には、各結合は隣接していない)ことが好ましい(態様7)。
態様4〜7に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤が、次の(A)〜(F):
(A) (A1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(A2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物とのエステル、
(B) (B1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(B2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエーテル、
(C) (C1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、(C2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエステル、
(D)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つの結合とを有する化合物、
(E)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、又はそのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル、及び
(F)鎖状炭化水素、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されることが好ましい(態様8)。
態様4〜8に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤が、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(d4)ジアルキルカーボネート、(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、及び(f1)鎖状アルカン、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されることが好ましい(態様9)。
態様4〜9に係る吸収性物品において、前記血液滑性付与剤が、1気圧及び40℃において、0.00〜0.01Paの蒸気圧を有することが好ましい(態様10)。
態様1に係る製造方法は、トップシート及び吸収体の積層体をエンボス加工して、前記トップシートを貫通して前記吸収体に至る凹部を形成する工程を含む、吸収性物品の製造方法であって、前記エンボス加工が、前記トップシートを部分的に切断して破断片を形成する段階と、前記破断片を前記凹部の側部に圧着させる段階とを含む、前記製造方法である。
態様1に係る製造方法において、前記エンボス加工に、複数の突起が設けられた外周面を有する突起ロールと、平滑な外周面を有するプレーンロールが使用され、前記積層体が前記突起ロールと前記プレーンロールとの間を通過する際、前記突起の剪断力によって前記トップシートが部分的に切断されて前記破断片が形成されるとともに、前記突起の前記吸収体への圧入によって前記凹部の側部に前記破断片が圧着されることが好ましい(態様2)。
本発明の吸収性物品及び吸収性物品の製造方法において、2種以上の態様を組み合わせることができる。
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されない。吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されないが、主として、経血等の液状排泄物である。
以下、生理用ナプキンを例とし、図面に基づいて、本発明の吸収性物品の実施形態を説明する。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態に係る生理用ナプキンの部分破断平面図であり、図2は、図1のA−A線断面である。
図1及び図2に示すように、生理用ナプキン1は、肌側に設けられた液透過性のトップシート2と、着衣側に設けられた液不透過性のバックシート3と、トップシート2及びバックシート3間に介在する液保持性の吸収体4とを備える。
トップシート2は、部分的切断により形成された複数の破断片10aが着衣側に折り曲げられることにより形成された複数の切断開口部10を有する。ここで、部分的に切断する(部分的切断)とは、破断片10aが切り離されることなくトップシート2に切断力又は剪断力が加えられることである。すなわち、破断片10aの一部がトップシート2の本体との連続性を維持するように、トップシート2が切断又は剪断されることである。
吸収体4は、厚さ方向に延在し、吸収体4の肌側の主面において開口する複数の吸収体凹部11を有する。吸収体凹部11は、切断開口部10に対応する位置に設けられている。吸収体凹部11は側部11aと底部11bとを有し、トップシート2の破断片10aが、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆している。また、トップシート2は、切断開口部10が設けられている領域に排泄口当接領域8を有する。
排泄口当接領域8は、生理用ナプキン1の着用時に、着用者の排泄口(例えば、小陰唇、大陰唇等)が当接する領域である。図1に示すように、排泄口当接領域8は、吸収体配置領域の略中央に設定されている。排泄口当接領域8の位置、面積等は、適宜調整することができる。排泄口当接領域8は、実際に排泄口が当接する領域と略同一の領域として設定されてもよいし、それよりも大きい領域として設定されてもよいが、経血等の液状排泄物の外部への漏れ出しを防止する点から、実際に排泄口が当接する領域よりも大きい領域として設定されることが好ましい。排泄口当接領域8の長さは通常50〜200mm、好ましくは70〜150mmであり、幅は通常10〜80mm、好ましくは20〜50mmである。
本実施形態において、排泄口当接領域8は、仮想領域として設定されているが、視覚的に認識可能な領域として設定されていてもよい。視覚的な認識は、例えば、排泄口当接領域8の着色、排泄口当接領域8の周縁における凹部(例えば、ヒートエンボス処理により形成されるエンボス部)の形成等により可能である。
生理用ナプキン1は、トップシート2の幅方向の両側の上に設けられた一対のサイドシート5をさらに含む。また、生理用ナプキン1は、本体部6と本体部6から幅方向に延出する一対のウイング部7とを有する。
トップシート2及びバックシート3は、エンボス加工によりシール部12で接合される。また、バックシート3及びサイドシート5はエンボス加工によってシール部13で接合される。シール部12,13は、生理用ナプキン1の外周に設けられている。バックシート3の着衣側には、粘着部14が設けられている。なお、図1において、生理用ナプキン1の幅方向がX方向であり、長手方向がY方向である。また、平面方向は、XY方向に広がる平面の方向である。
本体部6の形状は、略長方形、略楕円型、略砂時計型など、女性の身体及びショーツの形状に適合する形状である。本体部6の外形における長手方向の延べ寸法は、好ましくは100〜500mmであり、より好ましくは150〜350mmである。また、本体部6の外形における幅方向の延べ寸法は、好ましくは30〜200mmであり、より好ましくは40〜180mmである。
トップシート2は、着用者から排泄された経血を、その下に設けた吸収体4へ通過させる。また、トップシート2は、バックシート3との間に吸収体4を挟むことにより吸収体4を保持する。トップシート2の全部又は一部は液透過性を有し、トップシート2の液透過域は、液透過性の不織布もしくは織布、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム又は多数の網目を有するネット状シートなどで形成され得る。
トップシート2に用いる不織布又は織布の素材には、天然繊維、化学繊維のどちらも使用できる。トップシート2に用いる天然繊維には、粉砕パルプ、コットンなどのセルロースが挙げられる。トップシート2に用いる化学繊維には、レーヨン及びフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテート及びトリアセテートなどの半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、ならびに親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。トップシート2に用いる熱可塑性疎水性化学繊維には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの単繊維、PEとPPとをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造などの複合繊維などが挙げられる。
トップシート2に用いる不織布を作製するとき、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式法のどちらかで、また乾式法及び湿式法を組み合わせてウェブフォーミングを実施してもよい。トップシート2に用いる不織布を作製するときに実施するウェブのボンディング方法には、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディングなどが挙げられる。また、水流交絡法により形成されたシート状のスパンレースをトップシート2に用いてもよい。また、熱収縮繊維などを用いて下層側を収縮させることによって上層側に凹凸を成形した不織布、ウェブ形成時にエアーを当てることで凹凸を形成した不織布などの肌側の面に凹凸をつけた不織布をトップシート2として使用してもよい。このように肌側の面に凹凸をつけることによってトップシート2と肌との間の接触面積を低減させることができる。
トップシート2に用いる不織布の繊維には、芯成分の融点が鞘成分より高い芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、又は左右成分の融点が異なるサイド・バイ・サイドタイプの複合繊維を使用してもよい。また、中空タイプの繊維、扁平、Y型及びC型などの異型繊維、潜在捲縮もしくは顕在捲縮の立体捲縮繊維、水流、熱又はエンボス加工などの物理的負荷により分割する分割繊維などの繊維がトップシート2に用いる不織布に混合されてもよい。
液体の入り込みや肌触りを考慮すると、トップシート2に用いる不織布の繊維の繊度は、好ましくは1.1〜8.8dtexである。
トップシート2に疎水性合成繊維を使用する場合、トップシート2の液体の浸透性及びリウェットバック性を考慮して、親水剤や撥水剤などを疎水性合成繊維に練りこんだり、親水剤や撥水剤などで疎水性合成繊維をコーティングしたりしてもよい。また、コロナ処理やプラズマ処理によって疎水性合成繊維に親水性を付与してもよい。これにより、血液滑性付与剤が親油性の場合、排泄口当接領域8に親水性の箇所と親油性の箇所とがまばらに存在することになり、経血の親水性成分(主に血しょう)及び親油性成分(主に血球)の両方がトップシート2から吸収体4へ速やかに移行する。
トップシート2の隠ぺい性を高めるために、トップシート2に用いる不織布の繊維に酸化チタン、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムなどの無機フィラーを含有させてもよい。不織布の繊維が芯鞘タイプの複合繊維である場合、芯のみに無機フィラーを含有させてもよいし、鞘のみに含有させてもよい。
トップシート2として樹脂フィルム又はネット状シートを使用する場合、樹脂フィルム又はネット状シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから形成され得る。
上述したように、トップシート2は、部分的切断によって形成された複数の破断片10aがそれぞれ着衣側に折り曲げられることにより形成された複数の切断開口部10を有する。トップシート2に排泄された経血は、切断開口部10を通過して吸収体4の吸収体凹部11の中に侵入する。また、切断開口部10が配置されている位置は、吸収体4の吸収体凹部11が配置されている位置に対応する。さらに、切断開口部10は、吸収体4の肌側の主面における吸収体凹部11の開口部とほぼ一致する。したがって、切断開口部10が設けられている領域において、1cm当たりの切断開口部10の数は、後述の吸収体4の肌側の主面の1cm当たりの吸収体凹部11の数と一致し、切断開口部10の開口径は、後述の吸収体4の肌側の主面における吸収体凹部11の開口径とおよそ一致する。
具体的には、切断開口部10が設けられている領域において、切断開口部10の1cm当たりの吸収体凹部11の数は、好ましくは0.5〜5個であり、より好ましくは1〜3個である。また、切断開口部10の開口径は、好ましくは、0.3〜6mmであり、より好ましくは、0.6〜3mmである。ここで、切断開口部の形状が円形でない場合、切断開口部10に外接する円の直径が、切断開口部10の開口径となる。
切断開口部10は、トップシート2における、少なくとも着用者の経血排泄口に対向する領域に設けられていればよい。したがって、トップシート2全体に切断開口部10を設けてもよいし、トップシート2の一部に切断開口部10を設けてもよい。
着用者の肌とトップシート2との間の摩擦が少ない程、生理用ナプキン1が着用者に与えるストレスは小さくなる。切断開口部10によりトップシート2と着用者の肌との間の接触面積が小さくなるので、着用者の肌とトップシート2との間の摩擦が小さくなり、生理用ナプキン1が着用者に与えるストレスを小さくできる。
トップシート2の排泄口当接領域8には、40℃における動粘度が0.01〜80mm2/s、抱水率が0.01〜4.0質量%、重量平均分子量が1,000未満である血液滑性付与剤が塗工されている。なお、図1において、排泄口当接領域8内の斜線部分は、血液滑性付与剤が塗工されている部分である。
血液滑性付与剤については、別項目で詳細に説明する。
本実施形態では、排泄口当接領域8の略全体に血液滑性付与剤が塗工されているが、血液滑性付与剤は、排泄口当接領域8のうち切断開口部10の周囲部分に塗工されていればよい。血液滑性付与剤は、排泄口当接領域8のうち切断開口部10の周囲部分に塗工されている限り、排泄口当接領域8のうち切断開口部10の周囲部分以外に塗工されていてもよいし、肌当接面のうち排泄口当接領域8以外の領域(例えば、排泄口当接領域8の周辺領域)に塗工されていてもよい。例えば、血液滑性付与剤は、肌当接面の略全体又は吸収体配置領域の略全体に塗工することができる。
血液滑性付与剤が、排泄口当接領域8のうち少なくとも切断開口部10の周囲部分に塗工されていることにより、次の作用効果が発揮される。着用者から排泄された経血が排泄口当接領域8に到達すると、切断開口部10の周囲部分に存在する血液滑性付与剤とともに凹部5に滑落する(すなわち、切断開口部10を通じて吸収体凹部51へ移行する)。したがって、生理用ナプキン1は、トップシート2から吸収体4への向上した経血移行性を有し、トップシート2に残存する経血を低減させることができる。このため、トップシート2の肌当接面のべたつき感が防止され、サラサラ感が維持される。このような血液滑性付与剤の作用効果は、月経時の経血排出量の変化に関わらず(すなわち、一度に排出される経血が大量であっても少量であっても)発揮される。
本実施形態では、排泄口当接領域8に切断開口部10及びこれに通じる吸収体凹部11が存在し、切断開口部10が存在しない部分が相対的に凸部となっているので、血液滑性付与剤の作用効果が効果的に発揮される。血液滑性付与剤の作用効果は、切断開口部10の周囲に加えて、吸収体凹部11の内面にも血液滑性付与剤を塗工することにより、増強させることができる。
なお、血液滑性付与剤は、潤滑剤としても作用し、繊維同士の摩擦を低減させるので、トップシート2全体のしなやかさを向上させることができる。
生理用ナプキン1は、スキンケア組成物、ローション組成物等を含む公知の吸収性物品とは異なり、エモリエント剤、固定化剤等の成分は不要であり、血液滑性付与剤は、単体で、トップシート2に適用することができる。
血液滑性付与剤の坪量は、通常約1〜30g/m2、好ましくは約2〜20g/m2、さらに好ましくは約3〜10g/m2である。血液滑性付与剤の坪量が、約1g/m2を下回ると、経血がトップシート2に残存しやすくなる一方、血液滑性付与剤の坪量が約30g/m2を超えると、着用中のべたべた感が増加しやすい。
血液滑性付与剤の坪量は、例えば、以下のように測定することができる。
(1)トップシートの測定すべき範囲を、鋭利な刃物、例えば、カッターの替え刃を用いて、できるだけその厚さを変化させないように切り出して、サンプルを得る。
(2)サンプルの面積:SA(m2)及び質量:SM0(g)を測定する。
(3)サンプルを、血液滑性付与剤を溶解させることができる溶媒、例えば、エタノール、アセトン等の中で、少なくとも3分間攪拌し、血液滑性付与剤を溶媒中に溶解させる。
(4)サンプルを、質量を測定したろ紙の上でろ過し、ろ紙上で、サンプルを溶媒で十分に洗浄する。ろ紙上のサンプルを、60℃のオーブン内で乾燥させる。
(5)ろ紙及びサンプルの質量を測定し、そこからろ紙の質量を減ずることにより、乾燥後のサンプルの質量:SM1(g)を算出する。
(6)血液滑性付与剤の坪量BBS(g/m2)を、次の式:
BBS(g/m2)=[SM0(g)−SM1(g)]/SA(m2
により算出する。
なお、誤差を少なくするために、サンプルの総面積が100cm2を超えるように、複数の吸収性物品から複数のサンプルを採取し、複数回実験を繰り返し、それらの平均値を採用する。
血液滑性付与剤は、トップシート2の繊維間の空隙を閉塞しないように塗工されていることが好ましい。例えば、血液滑性付与剤は、トップシート2の繊維の表面に液滴状又は粒子状で付着しているか、又は繊維の表面を覆っている。
血液滑性付与剤は、その表面積が大きくなるように塗工されていることが好ましい。これにより、血液滑性付与剤と経血との接触面積が大きくなり、血液滑性付与剤が経血とともに滑落しやすくなる。血液滑性付与剤が液滴状又は粒子状で存在する場合には、粒径を小さくすることにより、表面積を大きくすることができる。
血液滑性付与剤の塗工方法としては、例えば、塗布装置(例えば、スパイラルコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ディップコーター等の非接触式のコーター、接触式のコーター等)を用いる方法が挙げられる。好ましい塗布装置は、非接触式のコーターである。これにより、液滴状又は粒子状の血液滑性付与剤を全体に均一に分散させることができるとともに、トップシート2に与えるダメージを低減することができる。
血液滑性付与剤は、所望により、揮発性溶媒、例えば、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒等を含む塗布液として塗装することができる。塗布液が揮発性溶媒を含むことにより、血液滑性付与剤を含む塗布液の粘度が下がるために、塗布が容易になる、塗装時の加温が不要になる等の塗布工程の簡易化が図れる。
血液滑性付与剤は、例えば、室温で液体の場合にはそのまま、又は粘度を下げるために加熱して、室温で固体の場合には液化するように加熱して、コントロールシームHMA(Hot Melt Adhesive)ガンによって塗工することができる。コントロールシームHMAガンのエアー圧を高くすることにより、微粒子状の血液滑性付与剤を塗工することができる。なお、血液滑性付与剤の塗布量は、例えば、コントロールシームHMAガンからの塗出量を増減することにより調節することができる。
血液滑性付与剤は、トップシート2を製造する際に塗工してもよいし、生理用ナプキン1の製造ラインにおいて塗工してもよい。設備投資を抑制する観点からは、生理用ナプキン1の製造ラインにおいて、血液滑性付与剤を塗工することが好ましく、さらに、血液滑性付与剤が脱落し、ラインを汚染することを抑制するためには、製造ラインの川下工程、具体的には、製品を個包装に封入する直前に、血液滑性付与剤を塗工することが好ましい。
バックシート3は、吸収体4に吸収された経血が外へ漏れ出すのを防止する。バックシート3には、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などを主体とした液不透過性フィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド又はスパンレースなどの不織布に通気性の樹脂フィルムが接合された複合フィルム、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだサーマルボンド・メルトブロー・サーマルボンド(SMS)不織布などを使用することができる。生理用ナプキン1を柔軟にするために、バックシート3には、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体とした目付15〜30g/mの樹脂フィルムを使用することが好ましい。
吸収体4は、経血を吸収して保持する機能を有する。吸収体4は、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないことが好ましい。吸収体4として、たとえば、親水性繊維及び吸収性ポリマー(SAP)などの吸収体4の構成物を被覆材で覆った吸収体及びフラッフ状パルプもしくはエアレイド不織布などの吸収体4の構成物と高吸収性ポリマーなどの吸収体4の構成物とからなる吸収体などを使用できる。
親水性繊維や吸収性ポリマーを被覆材で覆った吸収体4の親水性繊維には、粉砕パルプ及びコットンなどのセルロース、レーヨン及びフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテート及びトリアセテートなどの半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維、ならびにこれらの混合物が挙げられる。また、セルロース発泡体及び合成樹脂の連続発泡体なども吸収体4に使用することができる。さらに、発泡体又はシート化した材料を粉砕した後に吸収体の形状に成形したものを吸収体4に使用することも可能である。これらの中で、低コストであること及び成形がしやすいことから考慮すると、吸収体4の親水性繊維として粉砕パルプを使用することが好ましい。
吸収体4の高吸水性ポリマーには、吸収性及び吸湿性を有するアクリル酸ナトリウム共重合体などの粒状ポリマーが一般的に用いられる。また、他の機能をポリマーに付与するために、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物又はゼオライトなどをポリマーに添加してもよい。これにより、消臭性、抗菌性、又は吸熱効果などの機能をポリマーに付与することができる。
親水性繊維及び吸収性ポリマーなどの吸収体4の構成物を被覆材で覆った吸収体4の被覆材は、高分子吸収体がすり抜けないバリアー性及び液透過性を有すればとくに限定されない。たとえば、被覆材に、織布又は不織布などを使用することができる。織布及び不織布の素材には、天然繊維、化学繊維のどちらも使用できる。被覆材に用いる天然繊維には、粉砕パルプ及びコットンなどのセルロースが挙げられる。被覆材に用いる化学繊維には、レーヨン及びフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテート及びトリアセテートなどの半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、及び親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。
被覆材に用いる不織布の製法で、ウェブフォーミングは、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法など)又は湿式法のいずれかで、又は乾式法と湿式法とを組み合わせて実行される。また、被覆材に用いる不織布のボンディングの方法として、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディングなどが挙げられる。また、水流交絡法により形成されたシート状のスパンレースを被覆剤に用いてもよい。これらの中でも、低コストであること及びバリアー性が高いことから考慮すると、被覆材は、好ましくは、粉砕パルプを主材料とし湿式法で成形されるティッシュである。
吸収性シート及びポリマーシートを吸収体4に使用することができる。これにより、吸収体4を薄くできる。この場合、吸収体4の厚さは、好ましくは0.3〜5mmである。吸収性シートには、バインダーなどを使用して繊維などの構成物をシート化したパルプシートなどが挙げられる。ポリマーシートとしては、粒子状ポリマーなどの構成物を混合した粉砕パルプ又は繊維などの構成物をシート状に成形して作製した複合シートなどが挙げられる。なお、粒子状ポリマーを繊維に混合して形成されたシートには、繊維の中で粒子状ポリマーが層状に分散されているシート、及び繊維の中で粒子状ポリマーが三次元状に分散されているシートなどが挙げられる。
吸収性シート又はポリマーシートに用いられる繊維には、木材パルプなどのセルロース繊維、レーヨン及びキュプラなどの再生セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維及びポリアクリロニトリル繊維などの親水性合成繊維、ならびに界面活性剤などで繊維表面を親水化したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維などの繊維が好ましくは使用される。繊維の親水性が良好に維持される点からは、吸収性シート又はポリマーシートに用いられる繊維には、セルロース繊維がより好ましい。ポリマーシートに用いられる粒子状ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき、かつゲル化し得るポリマーが好ましい。そのようなポリマーには、デンプン、架橋カルボキシメチル化セルロース、ポリアクリル酸及びその塩、ならびにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。
上述したように、吸収体4は、厚さ方向に延在し、吸収体4の肌側の面において開口する複数の吸収体凹部11を有する。これにより、吸収体4の肌側の面及び着衣側の面のみならず吸収体凹部11の側部11a及び底部11bでも着用者から排泄された経血を吸収体4は吸収することができるので、吸収体4は、経血を速く吸収することができる。
吸収体凹部11は、吸収体4における、少なくとも着用者の経血排泄口に対向する領域に設けられていればよい。したがって、吸収体4全体に吸収体凹部11を設けてもよいし、吸収体4の一部に吸収体凹部11を設けてもよい。
吸収体凹部11が設けられている領域において、吸収体4の肌側の主面の1cm当たりの吸収体凹部11の数は、好ましくは0.5〜5個であり、より好ましくは1〜3個である。吸収体4の肌側の主面の1cm当たりの吸収体凹部11の数が0.5個よりも小さいと、上述の吸収体凹部11によって経血の吸収が速くなるという効果が現れない場合がある。また、吸収体4の肌側の主面の1cm当たりの吸収体凹部11の数が5個よりも大きいと、吸収体4によって吸収された経血が平面方向にあまり広がらなくなり、吸収体4の肌側の主面の広い範囲で経血を吸収できない場合がある。また、吸収体4の肌側の面の1cm当たりの吸収体凹部11の数が5個よりも大きいと、吸収体4が吸収できる経血の吸収量が低下する場合がある。
吸収体4の肌側の主面における吸収体凹部11の開口径は、好ましくは、0.3〜6mmであり、より好ましくは、0.6〜3mmである。ここで、吸収体凹部11の吸収体4の肌側の主面における断面の形状が円形でない場合、吸収体凹部11の吸収体4の肌側の主面における断面に外接する円の直径が、吸収体4の肌側の主面における吸収体凹部11の開口径となる。吸収体4の肌側の主面における吸収体凹部11の開口径が、0.3mmよりも小さいと、粘度の高い経血が吸収体凹部11の中に侵入できない場合がある。また、吸収体凹部11の開口径が、6mmよりも大きいと、吸収体4における吸収体凹部11が設けられている領域の剛性が弱くなり過ぎてしまい、生理用ナプキン1がヨレやすくなる場合がある。
上述したように、トップシート2の破断片10aは、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆する。また、トップシート2の切断開口部10は、部分的に切断して破断片10aが着衣側に折り曲げられることにより形成されているので、切断開口部10の切断部分10bでは、トップシート2は、吸収体4の吸収体凹部11の側部11aに延在していない。複数の吸収体凹部11の間で、吸収体凹部11の側部11aにおいてトップシート2が存在しない部分が存在する方向は揃っていてもよい。たとえば、本発明の一実施形態の生理用ナプキン1では、生理用ナプキン1の一方の縦方向側の側部11aに、トップシート2が存在しない部分が存在する。なお、吸収体凹部11の側部11aにおいてトップシート2が存在しない部分が存在する方向は、縦方向側に限定されない。たとえば、生理用ナプキン1の一方の幅方向側の側部11aに、トップシート2が存在しない部分が存在するようにしてもよい。
上述したように、トップシート2の切断開口部10は、部分的に切断して破断片10aを着衣側に折り曲げられることにより形成する。トップシート2の切断された部分(切断開口部10の切断部分10b)と破断片10aとは接続していないので、吸収体3の吸収体凹部11を形成するときに破断片10aを着衣側に折り曲げてもトップシート2に生じる延伸は小さくなる。このため、トップシートの延伸による吸収体凹部11の周りの吸収体4の厚さ方向の圧縮力は小さくなり、生理用ナプキン1が堅くなることが抑制される。
トップシート2の破断片10aが、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆することによって、吸収体凹部11内に浸入した経血は、破断片10aを通って速やかに吸収体凹部11内全体に広がり、吸収体4にさらに速く吸収され得る。トップシート2の破断片10aが、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆することによって、吸収体4は、高粘度の経血も速く吸収できる。
また、トップシート2の破断片10aが、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆することによって、吸収体4に吸収された経血を隠ぺいすることができる。また、着用者の体圧による、吸収体4に吸収された経血のリウェットを抑制できる。
トップシート2が不織布の場合、破断片10aは、吸収体凹部11の側部11aに圧着していることが好ましい。これにより、破断片10aが吸収体凹部11の側部11aと一体的に圧密化されて高密度化する。すなわち、吸収体4の肌側の主面上に設けられているトップシート2(トップシート2の破断片10a以外の部分、ただし、密度が高くなっているシール部12,13を除く)の密度よりも高くなる。したがって、吸収体4の肌側の主面上に設けられているトップシート2上に排泄された経血は、吸収体凹部11の側部11aの一部を被覆する破断片10aに移動する。そして、これにより、着用者が経血を排泄した後のトップシート2が湿っている状態を早く解消できる。
吸収体凹部11の内壁(側部11a及び底部11b)にも血液滑性付与剤が塗布されていることが好ましい。後述するように、排泄口当接領域8の血液滑性付与剤によって、排泄口当接領域8に排泄された経血の粘度及び表面張力は下がり、トップシート2の排泄口当接領域8に排泄された経血は、トップシート2から吸収体4へ速やかに移行され、そして、吸収体4に吸収される。したがって、血液滑性付与剤が吸収体凹部11の内壁に塗布されていることによって、吸収体凹部11に浸入した経血は、トップシート2から吸収体4へ速やかに移行され、そして、吸収体4にさらに速く吸収される。また、この血液滑性付与剤によって、粘度の高い経血の粘度及び表面張力が下がり、経血は吸収体4に移行するため、吸収体凹部11内に粘度の高い経血の塊が残存しにくくなり、吸収体凹部11が粘度の高い経血の塊によって塞がれることを抑制することができる。
吸収体4の着衣側の面で、吸収体凹部11の底部11bに対向する部分4aは、バックシート3から離間していることが好ましい。これにより、吸収体凹部11の底部11b近傍において吸収体4は膨張することができるので、吸収体4は、吸収体凹部11の底部11b近傍においても多くの経血を保持することができる。
生理用ナプキン1は、液透過性層として、トップシート2に加えて、トップシート2及び吸収体4の間に配置されたセカンドシートを備えていてもよい。この場合、血液滑性付与剤はセカンドシートに塗工されていてもよい。
セカンドシートは、経血等の液状排泄物が透過可能である限り特に限定されず、セカンドシートの厚み、目付、密度等は、経血等の液状排泄物が透過可能である範囲で適宜調整することができる。
セカンドシートとしては、例えば、不織布、織布、液体透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられる。不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられ、不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(羊毛,コットン等)、再生繊維(レーヨン,アセテート等)、無機繊維(ガラス繊維,炭素繊維等)、合成樹脂繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド)等が挙げられる。不織布には、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が混合されていてもよい。
次に、図3を参照して、トップシート2に切断開口部10を形成し、吸収体4に吸収体凹部11を形成する方法の一例を説明する。図3は、トップシート2に切断開口部10を形成し、吸収体4に吸収体凹部11を形成する方法の一例を説明するための図である。
トップシートロール120から供給されたトップシート122がベルトコンベア110の上に配置される。これにより、トップシート122が用意される。
不図示の粉砕パルプ及び吸収性ポリマーの供給装置から粉砕パルプ及び吸収性ポリマー132をパターンドラム130に供給する。パターンドラム130の外周部には粉砕パルプ及び吸収性ポリマーの混合物を詰める型として凹部134が形成されている。パターンドラム130の内部は吸引136されており、パターンドラム130に供給された粉砕パルプ132は、凹部134の中に吸い込まれ、圧縮される。これにより、吸収体が用意される。そして、凹部134の中で成形された吸収体142はトップシート122の上に配置される。これにより、吸収体142はトップシート122に重ねられる。
なお、図示しないが、ベルトコンベア110は、搬送方向MDに向かって両側に延びる2本のベルトで、積層体142を支持している。すなわち、積層体142のベルトコンベア側表面(図3において下面)のうち、搬送方向MDに向かって両側に延びる両側部分はベルトコンベア110で支持されているが、搬送方向MDに向かって延びる中央部分は、ベルトコンベア110で支持されておらず、ベルトコンベア110の2本のベルトの間から露出している。この露出している部分が、次工程において、エンボス加工処置150で加工される。したがって、積層体142は、ベルトコンベア110上に載置された状態のまま、次工程においてエンボス加工処置150で加工される。本実施形態を変更して、ベルトコンベア110による積層体142の支持を、エンボス加工処置150による加工の前に終了してもよい。この場合、積層体142は、ベルトコンベア110上に載置された状態ではなく、トップシート122のテンションで支えられた状態で、エンボス加工処置150によって加工される。積層体142は、エンボス加工処置150による加工の後、再びベルトコンベア110上に載置されて搬送されてもよい。
次に、エンボス加工装置150を使用して、エンボス加工により、トップシート2の切断開口部10及び吸収体4の吸収体凹部11を形成する。エンボス加工装置150は、針状、円柱形状及び円錐形状などの形状の複数の突起151aを外周の表面に有する突起ロール151と、平滑な表面を外周に有するプレーンロール152とを含む。突起ロール151及びプレーンロール152の回転方向は、吸収体142及びトップシート122が移動する方向(搬送方向(MD))と同じである。
突起ロール151とプレーンロール152との間にトップシート122を重ねた吸収体142を通過させて吸収体142に吸収体凹部11を形成する。このとき、突起ロール151の突起151aが、トップシート122を重ねた吸収体142を、トップシート122側から厚さ方向に圧縮する。また、吸収体142から突起ロール151の突起151aが抜け出るとき、吸収体142の吸収体凹部11が形成された面の反対側の面において、吸収体142の凹部の底部に対向する部分に不図示の凹部が形成される。
上述のエンボス加工装置150によるエンボス加工により、トップシート122を部分的に切断して複数の破断片10aが形成され、破断片10aが着衣側にそれぞれ折り曲げられることによって、複数の切断開口部10がトップシート122に形成される。図4を参照して、切断開口部10の形成を詳細に説明する。図4(a),(b)はエンボス加工の一例を説明するための図である。
図4(a)に示すように、最初に、突起ロール151の突起151aの先端にトップシート122に当接する。そして、突起151aがトップシート122を圧縮するときにより生じる突起151aの剪断力により、トップシート122における突起151aの当接領域の搬送方向(MD)側の端の部分(10b)が切断される。なお、トップシート122における突起151aの当接領域の搬送方向(MD)側の反対側の端の部分が切断されないのは、トップシート122が搬送方向(MD)に移動しているためであると予想される。突起151aの剪断力によりトップシート122が部分的に切断され(10b)、トップシート122に破断片10aが形成する。
突起151aによる剪断力を大きくするためには、突起151aの高さはできるだけ高い方が好ましい。また、突起151aの先端と、突起151aの付け根を結ぶラインの角度はより垂直に近いほうがよい。すなわち、突起151aの側面と突起ロール151の外周面とのなす角度は90°に近い方がよい。たとえば、突起151aの高さは、好ましくは、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの1/3の厚さよりも大きく、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの10倍の厚さよりも小さく、より好ましくは、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの1/2の厚さよりも大きく、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの5倍の厚さよりも小さい。突起151aの高さが、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの1/3の厚さよりも小さい場合、吸収体142は吸収体凹部11を形成しない部分においても厚さ方向に圧縮され、吸収体142全体が堅くなる場合がある。また、突起151aの高さが、吸収体凹部11を形成する前の吸収体142の厚さの10倍の厚さよりも大きい場合、突起151aが折れやすくなる場合がある。突起151aが円柱形状である場合、突起151aの先端角度は、好ましくは20〜45°である。突起151aの先端角度が20°よりも小さいと、突起151aの耐久性が悪くなる場合があり、突起151aの先端角度が45°よりも大きいと、突起151aによる剪断力が弱くなる場合がある。
次に、図4(b)に示すように、突起ロール151の突起151aが吸収体142に圧入される。これにより、破断片10aは、厚さ方向に折れ曲がる。トップシート122は、切断部分10bにおいて切断されているので、破断片10aが厚さ方向に折れ曲がっても、トップシート122はあまり延伸されない。これにより、突起151aが吸収体142に圧入するときに生じるトップシート122の引張応力を小さくすることができる。そして、凹部の周りの吸収体142が厚さ方向に圧縮されることを抑制できる。
図1に示すサイドシート5は、経血がトップシート2を通って生理用ナプキン1の幅方向外側へ漏れることを防止する。サイドシート5は、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート5には、たとえば、スパンボンド不織布やSMS不織布などが使用される。また、サイドシート5は着用者の肌と接触するため、肌への擦れ刺激を低減できるエアスルー不織布をサイドシート5に使用することが好ましい。なお、生理用ナプキン1は、サイドシート5を有さなくてもよい。
トップシート2、バックシート3、吸収体4、及びサイドシート5は、それぞれの層間分離を防止するためにも相互に接合されていることが好ましい。これらの接合には、たとえば、エンボス加工、超音波、ホットメルト型接着剤及びそれらの組み合わせを使用できる。トップシート2とバックシート3とは、エンボス加工によってシール部12において接合している。バックシート3とサイドシート5とは、エンボス加工によってシール部13において接合している。トップシート2とサイドシート5とは、本体部6の両側において、ホットメルト接着剤によって接合されている。
エンボス加工の例としては、パターニングされたエンボスロールとフラットロールとの間に、トップシート2とバックシート3、もしくはトップシート2とバックシート3とサイドシート5とを合わせて通過させることによって、吸収体4の周縁部をエンボス加工する方法がある(いわゆるラウンドシールと呼ばれる方法である)。これにより、生理用ナプキン1にシール部12,13が形成する。エンボスロール及び/又はフラットロールを加熱することで、各シートが軟化するため、シール部12,13が明瞭になりやすい。エンボスパターンには、格子状パターン、千鳥状パターン及び波状パターンなどが挙げられる。シール部12,13の境界で生理用ナプキン1が折り曲がりにくくするために、エンボスパターンは間欠で細長状の方が好ましい。
ホットメルト接着剤を使用して、トップシート、バックシート,吸収体,及びサイドシートを接合する場合、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工及びサミットガン塗工などの塗工方法でホットメルト接着剤は各シートに塗布される。そして、その後、シート同士を重ね合わせられ、シート同士が接合される。シート同士が接合された後に、さらにエンボス加工を施し、シート同士の剥離強度を高めてもよい。
シート同士の接合に使用するホットメルト型接着剤には、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)などのゴム系を主体とした、もしくは、直鎖状低密度ポリエチレンなどのオレフィン系を主体とした感圧型接着剤もしくは感熱型接着剤、又は水溶性高分子からなるポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース及びゼラチンなどの、もしくは、水膨潤性高分子からなるポリビニルアセテート及びポリアクリル酸ナトリウムなどの感水性接着剤が挙げられる。外面に接着剤が滲み出してしまった場合、タック性を有さない感熱型接着剤が、シート同士の接合に使用するホットメルト型接着剤として好ましくは使用される。具体的な例としては、5〜25%のSEBS、40〜60%の脂環族飽和炭化水素、1〜10%の芳香族変性テルペン及び15〜35%の添加剤を溶融混合することによって作製された接着剤が挙げられる。
ウイング部7は、生理用ナプキン1を下着に安定して固定するために生理用ナプキン1に設けられている。ウイング部7を下着の外面側に折り曲げた後、粘着部14を介して下着のクロッチ部に貼り付けることによって、生理用ナプキン1を下着に安定して固定できる。ウイング部7の形状は略矩形形状である。
バックシート3の着衣側の粘着部14は、本体部6を下着のクロッチ部の内側に固定し、ウイング部7の着衣側の粘着部14は、ウイング部7を下着のクロッチ部の外側に固定する。粘着部14を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体などが挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、これらの2種以上のポリマーブレンドを使用してもよい。これらの中で、熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が粘着部14の粘着剤として好ましい。
また、粘着付与剤及び可塑剤として、常温で固体の有機化合物を好ましく用いることができる。粘着付与剤には、たとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げられる。可塑剤には、たとえば、リン酸トリクレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤などが挙げられる。
<血液滑性付与剤>
血液滑性付与剤は、40℃における動粘度が約0.01〜約80mm2/sであり、抱水率が約0.05〜約4.0質量%であり、重量平均分子量が約1,000未満である。
血液滑性付与剤の40℃における動粘度は、約0〜約80mm2/sの範囲において適宜調整することができるが、好ましくは約1〜約70mm2/s、さらに好ましくは約3〜約60mm2/s、さらに一層好ましくは約5〜約50mm2/s、さらに一層好ましくは約7〜約45mm2/sである。なお、本明細書では、40℃における動粘度を、単に「動粘度」と称する場合がある。
動粘度は、a)血液滑性付与剤の分子量が大きくなるほど、b)極性基、例えば、カルボニル結合(−CO−)、エーテル結合(−O−)、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)等の比率が高いほど、そしてc)IOBが大きくなるほど、高くなる傾向がある。
40℃において、約0〜約80mm2/sの動粘度を有するためには、血液滑性付与剤の融点が45℃以下であることが好ましい。血液滑性付与剤が40℃で結晶を含むと、その動粘度が高くなる傾向があるからである。
血液滑性付与剤における動粘度の意義については後述するが、動粘度が約80mm2/sを超えると、血液滑性付与剤の粘性が高く、トップシートの肌当接面に到達した経血と共に、凸部から凹部に滑落し、次いで吸収体内部に移行することが難しくなる傾向がある。
動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、40℃の試験温度で測定されることができる。
血液滑性付与剤の抱水率は、約0.01〜約4.0質量%の範囲で適宜調整することができるが、好ましくは約0.02〜約3.5質量%、さらに好ましくは約0.03〜約3.0質量%、さらに一層好ましくは約0.04〜約2.5質量%、さらに一層好ましくは約0.05〜約2.0質量%である。
本明細書において、「抱水率」は、物質が、保持することができる水の比率(質量)を意味し、以下の通りに測定することができる。
(1)40℃の恒温室に、20mLの試験管、ゴム栓、測定すべき物質及び脱イオン水を一昼夜静置する。
(2)恒温室で、試験管に、測定すべき物質5.0gと、脱イオン水5.0gを投入する。
(3)恒温室で、試験管の口をゴム栓をし、試験管を1回転させ、5分間静置する。
(4)恒温室で、測定すべき物質の層(通常は、上層)3.0gを、直径90mmの、質量:W0(g)のガラス製シャーレに採取する。
(5)シャーレを、オーブン内で、105℃で3時間加熱し、水分を蒸発させ、シャーレごと、質量:W1(g)を測定する。
(6)抱水率を、以下の式に従って算出する。
抱水率(質量%)=100×[W0(g)−W1(g)]/3.0(g)
測定は3回実施し、平均値を採用する。
血液滑性付与剤における抱水率の意義については後述するが、抱水率が低くなると、血液滑性付与剤と、経血との親和性が低下し、トップシートの肌当接面に到達した経血と共に吸収体に移行しにくくなる傾向がある。一方、抱水率が高くなると、界面活性剤のように、経血との親和性が非常に高くなり、トップシートの肌当接面に、吸収した血液が残存し、トップシートの肌当接面が赤く着色しやすくなる傾向がある。
抱水率は、a)血液滑性付与剤の分子量が小さくなるほど、そしてb)極性基、例えば、カルボニル結合(−CO−)、エーテル結合(−O−)、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)等の比率が高いほど、値が大きくなる傾向がある。血液滑性付与剤が、より親水性を有するからである。また、抱水率は、IOBが大きくなるほど、すなわち、無機性値が高いほど、そして有機性値が小さいほど、値が大きくなる傾向がある。血液滑性付与剤が、より親水性を有することになるからである。
血液滑性付与剤における動粘度と、抱水率との意義について説明する。
着用者から排泄された経血が排泄口当接領域に到達すると、凸部に存在する血液滑性付与剤と接触し、これとともに凹部に滑落し、トップシートを通過して吸収体に移行する。
より詳細には、40℃において約0.01〜約80mm2/sの動粘度を有する血液滑性付与剤は、着用者の体温付近で非常に低粘度であり且つ経血と一定の親和性を有するため、経血とともに、凸部から凹部に滑落し、その滑落の際の勢いを利用して、経血が、トップシートを通過し、吸収体に迅速に移行することができると考えられる。また、凸部に存在する血液滑性付与剤は、約0.01〜約4.0質量%の抱水率を有するため、経血中の、主に親水性成分(血漿等)と親和性を有しないため、経血をトップシート上に残存させにくいと考えられる。
着用者から排出された経血が大量である場合には、経血そのものの運動エネルギーが大きく、血液滑性付与剤の動粘度の値が比較的高く経血と共に滑落しにくい場合であっても、抱水率の値が比較的高く経血の親水性成分と親和性が高い場合であっても、重量分子量の値が比較的高く経血と共に滑落しにくい場合であっても、そしてトップシートの肌当接面に凹凸構造がない場合であっても、経血は吸収体に移行しやすいと考えられる。
一方、着用者から排出された経血が少量である場合には、経血の運動エネルギーが小さく、トップシートの肌当接面に到達した経血が、その場に留まりやすい傾向がある。従って、血液滑性付与剤が、経血とともに、凸部から凹部に滑落し、そして経血をトップシートの内部に引き込み、次いで吸収体に引き込むことにより、経血を迅速に吸収体に移行させることができる。
血液滑性付与剤は、約1,000未満の重量平均分子量を有し、そして好ましくは約900未満の重量平均分子量を有する。重量平均分子量が約1,000以上であると、血液滑性付与剤そのものにタック性が生じ、着用者に不快感を与える傾向があるからである。また、重量平均分子量が高くなると、血液滑性付与剤の粘度が高くなる傾向があるため、加温により、血液滑性付与剤の粘度を、塗工に適した粘度に下げることが難しくなり、その結果、血液滑性付与剤を、溶媒で希釈しなければならない場合も生じうる。
血液滑性付与剤は、約100以上の重量平均分子量を有することが好ましく、そして約200以上の重量平均分子量を有することがより好ましい。重量平均分子量が小さくなると、血液滑性付与剤の蒸気圧が高くなり、保存中に気化し、量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」は、多分散系の化合物(例えば、逐次重合により製造された化合物、複数の脂肪酸と、複数の脂肪族1価アルコールとから生成されたエステル)と、単一化合物(例えば、1種の脂肪酸と、1種の脂肪族1価アルコールから生成されたエステル)とを含む概念であり、Ni個の分子量Miの分子(i=1、又はi=1,2・・・)からなる系において、次の式:
w=ΣNii 2/ΣNii
により求められるMwを意味する。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる、ポリスチレン換算の値を意味する。
GPCの測定条件としては、例えば、以下が挙げられる。
機種:(株)日立ハイテクノロジーズ製 高速液体クロマトグラム Lachrom Elite
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX KF−801、KF−803及びKF−804
溶離液:THF
流量 :1.0mL/分
打込み量:100μL
検出:RI(示差屈折計)
なお、本明細書の実施例に記載される重量平均分子量は、上記条件により測定したものである。
血液滑性付与剤は、約0.00〜約0.60のIOBを有することができる。
IOB(Inorganic Organic Balance)は、親水性及び親油性のバランスを示す指標であり、本明細書では、小田らによる次式:
IOB=無機性値/有機性値
により算出される値を意味する。
無機性値及び有機性値は、藤田穆「有機化合物の予測と有機概念図」化学の領域Vol.11,No.10(1957)p.719−725)に記載される有機概念図に基づく。
藤田氏による、主要な基の有機性値及び無機性値を、下記表1にまとめる。
例えば、炭素数14のテトラデカン酸と、炭素数12のドデシルアルコールとのエステルの場合には、有機性値が520(CH2,20×26個)、無機性値が60(−COOR,60×1個)となるため、IOB=0.12となる。
血液滑性付与剤において、IOBは、約0.00〜約0.60であることが好ましく、約0.00〜約0.50であることがより好ましく、約0.00〜約0.40であることがさらに好ましく、そして約0.00〜約0.30であることがさらに好ましい。IOBが上述の範囲にあると、抱水力及び動粘度が、上述の要件を満たしやすくなるからである。
血液滑性付与剤は、45℃以下の融点を有することが好ましく、40℃以下の融点を有することがさらに好ましい。血液滑性付与剤が45℃以下の融点を有することにより、血液滑性付与剤が、上述の範囲の動粘度を有しやすくなるからである。
本明細書において、「融点」は、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で測定した場合の、固形状から液状に変化する際の吸熱ピークのピークトップ温度を意味する。融点は、例えば、島津製作所社製のDSC−60型DSC測定装置を用いて測定することができる。
血液滑性付与剤は、約45℃以下の融点を有すれば、室温(約25℃)で液体であっても、又は固体であってもよい、すなわち、融点が約25℃以上でも、又は約25℃未満でもよく、そして例えば、約−5℃、約−20℃等の融点を有することができる。
血液滑性付与剤は、その融点に下限は存在しないが、その蒸気圧が低いことが好ましい。血液滑性付与剤の蒸気圧は、25℃(1気圧)で約0〜約200Paであることが好ましく、約0〜約100Paであることがより好ましく、約0〜約10Paであることがさらに好ましく、約0〜約1Paであることがさらに一層好ましく、約0.0〜約0.1Paであることがさらに一層好ましい。
本開示の吸収性物品が、人体に接して用いられることを考慮すると、上記蒸気圧は、40℃(1気圧)で約0〜約700Paであることが好ましく、約0〜約100Paであることがより好ましく、約0〜約10Paであることがさらに好ましく、約0〜約1Paであることがさらに一層好ましく、約0.0〜約0.1Paであることがさらに一層好ましい。血液滑性付与剤の蒸気圧が高いと、保存中に気化し、その量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
また、血液滑性付与剤の融点を、気候、着用時間の長さ等に応じて選択することができる。例えば、平均気温が約10℃以下の地域では、約10℃以下の融点を有する血液滑性付与剤を採用することにより、経血が排泄された後、周囲温度によって冷却された場合であっても、血液滑性付与剤が機能しやすいと考えられる。
また、吸収性物品が長時間にわたって使用される場合には、血液滑性付与剤の融点は、約45℃以下の範囲で高い方が好ましい。汗、着用時の摩擦等の影響を受けにくく、長時間着用した場合であっても、血液滑性付与剤が偏りにくいからである。
当技術分野では、経血の表面張力等を変化させ、経血を迅速に吸収することを目的として、トップシートの肌当接面を、界面活性剤でコーティングすることが行われている。しかし、界面活性剤がコーティングされたトップシートは、経血中の親水性成分(血漿等)と親和性が高く、それらを引き寄せ、むしろ経血をトップシートに残存させるようにはたらく傾向がある。血液滑性付与剤は、従来公知の界面活性剤と異なり、経血と親和性が低く、経血をトップシートに残存させず、迅速に吸収体に移行させることができる。
血液滑性付与剤は、好ましくは、次の(i)〜(iii)、
(i)炭化水素、
(ii) (ii−1)炭化水素部分と、(ii−2)炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、及び
(iii) (iii−1)炭化水素部分と、(iii−2)炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基と、(iii−3)炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
本明細書において、「炭化水素」は、炭素と水素とから成る化合物を意味し、鎖状炭化水素、例えば、パラフィン系炭化水素(二重結合及び三重結合を含まない、アルカンとも称される)、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含む、アルケンとも称される)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含む、アルキンとも称される)、及び二重結合及び三重結合から成る群から選択される結合を2つ以上含む炭化水素、並びに環状炭化水素、例えば、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素が挙げられる。
炭化水素としては、鎖状炭化水素及び脂環式炭化水素であることが好ましく、鎖状炭化水素であることがより好ましく、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、及び二重結合を2つ以上含む炭化水素(三重結合を含まない)であることがさらに好ましく、そしてパラフィン系炭化水素であることがさらに好ましい。
鎖状炭化水素には、直鎖状炭化水素及び分岐鎖状炭化水素が含まれる。
上記(ii)及び(iii)の化合物において、オキシ基(−O−)が2つ以上挿入されている場合には、各オキシ基(−O−)は隣接していない。従って、上記(ii)及び(iii)の化合物には、オキシ基が連続する化合物(いわゆる、過酸化物)は含まれない。
また、上記(iii)の化合物では、炭化水素部分の少なくとも1つの水素原子がカルボキシル基(−COOH)で置換された化合物よりも、炭化水素部分の少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物の方が好ましい。カルボキシル基は、経血中の金属等と結合し、血液滑性付与剤の抱水率が高くなり、所定の範囲を超える場合があるからである。これは、IOBの観点からも同様である。表1に示すように、カルボキシル基は、経血中の金属等と結合し、無機性値が150から、400以上へと大幅に上昇するため、カルボキシル基を有する血液滑性付与剤は、使用時にIOBの値が約0.60を上回る場合がありうる。
血液滑性付与剤は、より好ましくは、次の(i’)〜(iii’)、
(i’)炭化水素、
(ii’) (ii’−1)炭化水素部分と、(ii’−2)炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合とを有する化合物、及び
(iii’) (iii’−1)炭化水素部分と、(iii’−2)炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合と、(iii’−3)炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
上記(ii’)及び(iii’)の化合物において、2以上の同一又は異なる結合が挿入されている場合、すなわち、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)及びエーテル結合(−O−)から選択される2以上の同一又は異なる結合が挿入されている場合には、各結合は隣接しておらず、各結合の間には、少なくとも、炭素原子が1つ介在する。
血液滑性付与剤は、さらに好ましくは、炭化水素部分に、炭素原子10個当たり、カルボニル結合(−CO−)を約1.8個以下、エステル結合(−COO−)を2個以下、カーボネート結合(−OCOO−)を約1.5個以下、エーテル結合(−O−)を約6個以下、カルボキシル基(−COOH)を約0.8個以下、そして/又はヒドロキシル基(−OH)を約1.2個以下有することができる。
血液滑性付与剤は、さらに好ましくは、次の(A)〜(F)、
(A) (A1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(A2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物とのエステル、
(B) (B1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(B2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエーテル、
(C) (C1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、(C2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエステル、
(D)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つの結合とを有する化合物、
(E)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、又はそのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル、及び
(F)鎖状炭化水素、
並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
以下、(A)〜(F)に従う血液滑性付与剤について詳細に説明する。
[(A) (A1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(A2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物とのエステル]
(A)(A1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(A2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物とのエステル(以下、「化合物(A)」と称する場合がある)は、上述の動粘度、抱水率及び重量平均分子量を有する限り、全てのヒドロキシル基がエステル化されていなくともよい。
(A1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物(以下、「化合物(A1)」と称する場合がある)としては、例えば、鎖状炭化水素テトラオール、例えば、アルカンテトラオール、例えば、ペンタエリトリトール、鎖状炭化水素トリオール、例えば、アルカントリオール、例えば、グリセリン、及び鎖状炭化水素ジオール、例えば、アルカンジオール、例えば、グリコールが挙げられる。
(A2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物としては、例えば、炭化水素上の1つの水素原子が、1つのカルボキシル基(−COOH)で置換された化合物、例えば、脂肪酸が挙げられる。
化合物(A)としては、例えば、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、及び(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルが挙げられる。
[(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、次の式(1):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル、次の式(2):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステル、次の式(3):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステル、次の式(4):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
(式中、R1〜R4は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸(R1COOH、R2COOH,R3COOH,及びR4COOH)としては、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルが、動粘度、抱水率及び重量平均分子量の要件を満たすものであれば、特に制限されないが、例えば、飽和脂肪酸、例えば、C2〜C30の飽和脂肪酸、例えば、酢酸(C2)(C2は、炭素数を示し、R1C、R2C,R3C又はR4Cの炭素数に相当する、以下同じ)、プロパン酸(C3)、ブタン酸(C4)及びその異性体、例えば、2−メチルプロパン酸(C4)、ペンタン酸(C5)及びその異性体、例えば、2−メチルブタン酸(C5)、2,2−ジメチルプロパン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)及びその異性体、例えば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等、並びに列挙されていないこれらの異性体が挙げられる。
脂肪酸はまた、不飽和脂肪酸であることができる。不飽和脂肪酸としては、例えば、C3〜C20の不飽和脂肪酸、例えば、モノ不飽和脂肪酸、例えば、クロトン酸(C4)、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)等、ジ不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)等、トリ不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸、例えば、α-リノレン酸(C18)及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸、例えば、α-エレオステアリン酸(C18)及びβ-エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)等、テトラ不飽和脂肪酸、例えば、ステアリドン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)等、ペンタ不飽和脂肪酸、例えば、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)等、並びにこれらの部分水素付加物が挙げられる。
ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステル、すなわち、ペンタエリトリトールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステル、トリエステル又はテトラエステルであることが好ましく、トリエステル又はテトラエステルであることがより好ましく、そしてテトラエステルであることがさらに好ましい。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(1)において、R1C、R2C、R3C及びR4C部分の炭素数の合計が、約15であることが好ましい(炭素数の合計が15の場合に、IOBが0.60となる)。
ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、例えば、ペンタエリトリトールと、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、例えば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)及び/又はドデカン酸(C12)とのテトラエステルが挙げられる。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(2)において、R1C、R2C及びR3C部分の炭素数の合計が、約19以上であることが好ましい(炭素数の合計が19の場合に、IOBが0.58となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(3)において、R1C及びR2C部分の炭素数の合計が、約22以上であることが好ましい(炭素数の合計が22の場合に、IOBが0.59となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルを構成する脂肪酸の炭素数、すなわち、上記式(4)において、R1C部分の炭素数が、約25以上であることが好ましい(炭素数が25の場合に、IOBが0.60となる)。
なお、IOBの計算に当たっては、二重結合、三重結合、iso分岐、及びtert分岐の影響は、考慮していない(以下、同様である)。
ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、ユニスター H−408BRS、H−2408BRS−22(混合品)等(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、次の式(5):
のグリセリンと脂肪酸とのトリエステル、次の式(6):
のグリセリンと脂肪酸とのジエステル、及び次の式(7):
(式中、R5〜R7は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のグリセリンと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
グリセリンと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸(R5COOH、R6COOH及びR7COOH)としては、グリセリンと脂肪酸とのエステルが、動粘度、抱水率及び重量平均分子量の要件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、「(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル」において列挙される脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、グリセリンと脂肪酸とのエステル、すなわち、グリセリンと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、グリセリンと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステル又はトリエステルであることが好ましく、そしてトリエステルであることがより好ましい。
グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、トリグリセリドとも称され、例えば、グリセリンとオクタン酸(C8)とのトリエステル、グリセリンとデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンとドデカン酸(C12)とのトリエステル、及びグリセリンと、2種又は3種の脂肪酸とのトリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのトリエステルとしては、例えば、グリセリンと、オクタン酸(C8)及びデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)及びドデカン酸(C12)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)及びオクタデカン酸(C18)とのトリエステル等が挙げられる。
融点を約45℃以下とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(5)において、R5C、R6C及びR7C部分の炭素数の合計が、約40以下であることが好ましい。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(5)において、R5C、R6C及びR7C部分の炭素数の合計が、約12以上であることが好ましい(炭素数の合計が12の場合に、IOBが0.60となる)。
グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、いわゆる、脂肪であり、人体を構成しうる成分であるため、安全性の観点から好ましい。
グリセリンと脂肪酸とのトリエステルの市販品としては、トリヤシ油脂肪酸グリセリド、NA36、パナセート800、パナセート800B及びパナセート810S、並びにトリC2L油脂肪酸グリセリド及びトリCL油脂肪酸グリセリド(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
グリセリンと脂肪酸とのジエステルは、ジグリセリドとも称され、例えば、グリセリンとデカン酸(C10)とのジエステル、グリセリンとドデカン酸(C12)とのジエステル、グリセリンとヘキサデカン酸(C16)とのジエステル、及びグリセリンと、2種の脂肪酸とのジエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪酸とのジエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのジエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(6)において、R5C及びR6C部分の炭素数の合計が、約16以上であることが好ましい(炭素数の合計が16の場合にIOBが0.58となる)。
グリセリンと脂肪酸とのモノエステルは、モノグリセリドとも称され、例えば、グリセリンのオクタデカン酸(C18)モノエステル、グリセリンのドコサン酸(C22)モノエステル等が挙げられる。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪酸とのモノエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのモノエステルを構成する脂肪酸の炭素数、すなわち、式(7)において、R5C部分の炭素数が、約19以上であることが好ましい(炭素数が19の場合に、IOBが0.59となる)。
[(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、C2〜C6の鎖状炭化水素ジオール、例えば、C2〜C6のグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールと、脂肪酸とのモノエステル又はジエステルが挙げられる。
具体的には、鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、例えば、次の式(8):
8COOCk2kOCOR9 (8)
(式中、kは、2〜6の整数であり、そしてR8及びR9は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪酸とのジエステル、及び次の式(9):
8COOCk2kOH (9)
(式中、kは、2〜6の整数であり、そしてR8は、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルにおいて、エステル化すべき脂肪酸(式(8)及び式(9)において、R8COOH及びR9COOHに相当する)としては、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルが、動粘度、抱水率及び重量平均分子量の要件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、「(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、式(8)に示されるブチレングリコール(k=4)と脂肪酸とのジエステルでは、R8C及びR9C部分の炭素数の合計が、約6以上であることが好ましい(炭素数の合計が6の場合に、IOBが0.60となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、式(9)に示されるエチレングリコール(k=2)と脂肪酸とのモノエステルでは、R8C部分の炭素数が、約12以上であることが好ましい(炭素数が12の場合に、IOBが0.57となる)。
2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステル、すわなち、C2〜C6グリコールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、炭素数の大きいグリコールに由来する、グリコールと脂肪酸とのエステル、例えば、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールに由来するグリコールと脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
さらに、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、抱水率の値を小さくする観点から、ジエステルであることが好ましい。
2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、例えば、コムポールBL、コムポールBS(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
[(B) (B1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(B2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエーテル]
(B) (B1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(B2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエーテル(以下、「化合物(B)」と称する場合がある)は、上述の動粘度、抱水率及び重量平均分子量を有する限り、全てのヒドロキシル基がエーテル化されていなくともよい。
(B1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物(以下、「化合物(B1)」と称する場合がある)としては、「化合物(A)」において化合物(A1)として列挙されるもの、例えば、ペンタエリトリトール、グリセリン、及びグリコールが挙げられる。
(B2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物(以下、「化合物(B2)」と称する場合がある)としては、例えば、炭化水素の1個の水素原子が、1個のヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物、例えば、脂肪族1価アルコール、例えば、飽和脂肪族1価アルコール及び不飽和脂肪族1価アルコールが挙げられる。
飽和脂肪族1価アルコールとしては、例えば、C1〜C20の飽和脂肪族1価アルコール、例えば、メチルアルコール(C1)(C1は、炭素数を示す、以下同じ)、エチルアルコール(C2)、プロピルアルコール(C3)及びその異性体、例えば、イソプロピルアルコール(C3)、ブチルアルコール(C4)及びその異性体、例えば、sec−ブチルアルコール(C4)及びtert−ブチルアルコール(C4)、ペンチルアルコール(C5)、ヘキシルアルコール(C6)、ヘプチルアルコール(C7)、オクチルアルコール(C8)及びその異性体、例えば、2−エチルヘキシルアルコール(C8)、ノニルアルコール(C9)、デシルアルコール(C10)、ドデシルアルコール(C12)、テトラデシルアルコール(C14)、ヘキサデシルアルコール(C16)、へプラデシルアルコール(C17)、オクタデシルアルコール(C18)、及びエイコシルアルコール(C20)、並びに列挙されていないこれらの異性体が挙げられる。
不飽和脂肪族1価アルコールとしては、飽和脂肪族1価アルコールのC−C単結合の1つを、C=C二重結合で置換したもの、例えば、オレイルアルコールが挙げられ、例えば、新日本理化株式会社から、リカコールシリーズ及びアンジェコオールシリーズの名称で市販されている。
化合物(B)としては、例えば、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、例えば、モノエーテル、ジエーテル、トリエーテル及びテトラエーテル、好ましくはジエーテル、トリエーテル及びテトラエーテル、より好ましくはトリエーテル及びテトラエーテル、そしてさらに好ましくはテトラエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、例えば、モノエーテル、ジエーテル及びトリエーテル、好ましくはジエーテル及びトリエーテル、そしてより好ましくはトリエーテル、並びに(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、例えば、モノエーテル及びジエーテル、そして好ましくはジエーテルが挙げられる。
鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、例えば、次の式(10)〜(13):
(式中、R10〜R13は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
の、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、トリエーテル、ジエーテル及びモノエーテルが挙げられる。
鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、例えば、次の式(14)〜(16):
(式中、R14〜R16は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
の、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、ジエーテル及びモノエーテルが挙げられる。
鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(17):
17OCn2nOR18 (17)
(式中、nは、2〜6の整数であり、そしてR17及びR18は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのジエーテル、及び次の式(18):
17OCn2nOH (18)
(式中、nは、2〜6の整数であり、そしてR17は、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルが挙げられる。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(10)において、R10、R11、R12及びR13部分の炭素数の合計が、約4以上であることが好ましい(炭素数の合計が4の場合に、IOBが0.44となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(11)において、R10、R11及びR12部分の炭素数の合計が、約9以上であることが好ましい(炭素数の合計が9の場合に、IOBが0.57となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(12)において、R10及びR11部分の炭素数の合計が、約15以上であることが好ましい(炭素数の合計が15の場合に、IOBが0.60となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数、すなわち、上記式(13)において、R10部分の炭素数が、約22以上であることが好ましい(炭素数が22の場合に、IOBが0.59となる)。
また、IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(14)において、R14、R15及びR16部分の炭素数の合計が、約3以上であることが好ましい(炭素数の合計が3の場合に、IOBが0.50となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのジエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(15)において、R14及びR15部分の炭素数の合計が、約9以上であることが好ましい(炭素数の合計が9の場合に、IOBが0.58となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数、すなわち、式(16)において、R14部分の炭素数が、約16以上であることが好ましい(炭素数が16の場合に、IOBが0.58となる)。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、式(17)に示されるブチレングリコール(n=4)と脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、R17及びR18部分の炭素数の合計が、約2以上であることが好ましい(炭素数の合計が2の場合に、IOBが0.33となる)。
また、IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、式(18)に示されるエチレングリコール(n=2)と脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、R17部分の炭素数が、約8以上であることが好ましい(炭素数が8の場合に、IOBが0.60となる)。
化合物(B)としては、化合物(B1)と、化合物(B2)とを、酸触媒の存在下で、脱水縮合することにより生成することができる。
[(C) (C1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、(C2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエステル]
(C) (C1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、(C2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエステル(以下、「化合物(C)」と称する場合がある)は、上述の動粘度、抱水率及び重量平均分子量を有する限り、全てのカルボキシル基がエステル化されていなくともよい。
(C1)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸(以下、「化合物(C1)」と称する場合がある)としては、例えば、2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素カルボン酸、例えば、鎖状炭化水素ジカルボン酸、例えば、アルカンジカルボン酸、例えば、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸及びデカン二酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、例えば、アルカントリカルボン酸、例えば、プロパン三酸、ブタン三酸、ペンタン三酸、ヘキサン三酸、ヘプタン三酸、オクタン三酸、ノナン三酸及びデカン三酸、並びに鎖状炭化水素テトラカルボン酸、例えば、アルカンテトラカルボン酸、例えば、ブタン四酸、ペンタン四酸、ヘキサン四酸、ヘプタン四酸、オクタン四酸、ノナン四酸及びデカン四酸が挙げられる。
また、化合物(C1)には、2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ヒドロキシ酸、例えば、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸等、2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素アルコキシ酸、例えば、O−アセチルクエン酸、及び2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素オキソ酸が含まれる。
(C2)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物としては、「化合物(B)」の項で列挙されるもの、例えば、脂肪族1価アルコールが挙げられる。
化合物(C)としては、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、例えば、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、好ましくはジエステル、トリエステル及びテトラエステル、より好ましくはトリエステル及びテトラエステル、そしてさらに好ましくはテトラエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、例えば、モノエステル、ジエステル及びトリエステル、好ましくはジエステル及びトリエステル、そしてより好ましくはトリエステル、並びに(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、例えば、モノエステル及びジエステル、好ましくはジエステルが挙げられる。
化合物(C)の例としては、アジピン酸ジオクチル、O−アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられ、そして市販されている。
[(D)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つの結合とを有する化合物]
(D)鎖状炭化水素部分と、鎖状炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つの結合とを有する化合物(以下、「化合物(D)」と称する場合がある)としては、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、及び(d4)ジアルキルカーボネートが挙げられる。
[(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル]
脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(19):
19OR20 (19)
(式中、R19及びR20は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
エーテルを構成する脂肪族1価アルコール(式(19)において、R19OH及びR20OHに相当する)としては、エーテルが、上述の動粘度、抱水率及び重量平均分子量の要件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、「化合物(B)」の項で列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
[(d2)ジアルキルケトン]
ジアルキルケトンとしては、次の式(20):
21COR22 (20)
(式中、R21及びR22は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
ジアルキルケトンは、市販されている他、公知の方法、例えば、第二級アルコールを、クロム酸等で酸化することにより得ることができる。
[(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、次の式(21):
23COOR24 (21)
(式中、R23及びR24は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
エステルを構成する脂肪酸(式(21)において、R23COOHに相当する)としては、例えば、「(a1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。エステルを構成する脂肪族1価アルコール(式(21)において、R24OHに相当する)としては、例えば、「化合物(B)」の項で列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの例としては、例えば、ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル、テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル等が挙げられ、脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの市販品としては、例えば、エレクトールWE20、及びエレクトールWE40(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(d4)ジアルキルカーボネート]
ジアルキルカーボネートとしては、次の式(22):
25OC(=O)OR26 (22)
(式中、R25及びR26は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
ジアルキルカーボネートは、市販されている他、ホスゲンとアルコールとの反応、塩化ギ酸エステルとアルコール又はアルコラートとの反応、及び炭酸銀とヨウ化アルキルとの反応により合成することができる。
抱水率、蒸気圧等の観点から考察すると、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、及び(d4)ジアルキルカーボネートでは、重量平均分子量が約100以上であることが好ましく、そして約200以上であることがより好ましい。
なお、(d2)ジアルキルケトンにおいて、炭素数の合計が約8の場合、例えば、5−ノナノンでは、融点は約−50℃であり、蒸気圧は20℃で約230Paである。
[(E)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、又はそのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル]
(E)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、又はそのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル(以下、化合物(E)と称する場合がある)としては、(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルが挙げられる。以下、説明する。
[(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール]
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールは、i)オキシC3〜C6アルキレン骨格、すなわち、オキシプロピレン骨格、オキシブチレン骨格、オキシペンチレン骨格、及びオキシヘキシレン骨格から成る群から選択されるいずれか1種の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するホモポリマー、ii)上記群から選択される2種以上の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するブロックコポリマー、又はiii)上記群から選択される2種以上の骨格を有し且つ両末端にヒドロキシ基を有するランダムコポリマーを意味する。
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールは、次の式(23):
HO−(Cm2mO)n−H (23)
(式中、mは3〜6の整数である)
により表わされる。
本発明者が確認したところ、ポリプロピレングリコール(式(23)において、m=3のホモポリマーに相当する)では、重量平均分子量が約1,000未満の場合には、抱水率の要件を満たさないことが見いだされた。従って、血液滑性付与剤の範囲に、ポリプロピレングリコールのホモポリマーは含まれず、プロピレングリコールは、他のグリコールとのコポリマー又はランダムポリマーとして、(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールに含まれるべきである。
なお、本発明者が確認したところ、ポリエチレングリコール(式(23)において、m=2のホモポリマーに相当する)では、重量平均分子量が1,000未満では、動粘度及び抱水率の要件を満たし得ないことが示唆された。
IOBを約0.00〜約0.60とする観点から考察すると、例えば、式(23)がポリブチレングリコール(m=4のホモポリマー)である場合には、n≧約7であることが好ましい(n=7の場合に、IOBが0.57となる)。
ポリC3〜C6アルキレングリコールの市販品としては、例えば、ユニオール(商標)PB−500及びPB−700(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(e2)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルとしては、「(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール」の項で説明したポリオキシC3〜C6アルキレングリコールのOH末端の一方又は両方が、脂肪酸によりエステル化されているもの、すなわち、モノエステル及びジエステルが挙げられる。
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルにおいて、エステル化すべき脂肪酸としては、例えば、「(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。
[(e3)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル]
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、「(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール」の項で説明したポリオキシC3〜C6アルキレングリコールのOH末端の一方又は両方が、脂肪族1価アルコールによりエーテル化されているもの、すなわち、モノエーテル及びジエーテルが挙げられる。
ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテルにおいて、エーテル化すべき脂肪族1価アルコールとしては、例えば、「化合物(B)」の項で列挙されている脂肪族1価アルコールが挙げられる。
[(F)鎖状炭化水素]
鎖状炭化水素としては、例えば、(f1)鎖状アルカン、例えば、直鎖アルカン及び分岐鎖アルカンが挙げられる。直鎖アルカンは、融点が約45℃以下の場合には、炭素数が約22以下となり、そして蒸気圧が1気圧及び25℃で約0.01Pa以下である場合には、炭素数が約13以上となる。分岐鎖アルカンは、直鎖アルカンよりも、同一炭素数において融点が低い傾向がある。従って、分岐鎖アルカンは、融点が約45℃以下の場合でも、炭素数が22以上のものも含むことができる。
炭化水素の市販品としては、例えば、パールリーム6(日油株式会社)が挙げられる。
排泄口当接領域8のうち少なくとも凸部8には、血液滑性付与剤が単独で塗工されていてもよいし、血液滑性付与剤と、少なくとも1種の他の成分とを含有する血液滑性付与剤含有組成物が塗工されていてもよい。
以下、血液滑性付与剤含有組成物について説明する。なお、血液滑性付与剤含有組成物の塗工に関しては、血液滑性付与剤の塗工と同様であるので、説明を省略する。
[血液滑性付与剤含有組成物]
血液滑性付与剤含有組成物は、上述の血液滑性付与剤と、少なくとも1種の他の成分とを含有する。他の成分としては、血液滑性付与剤の作用効果を阻害しないものであれば特に制限されず、当業界で吸収性物品、特にトップシートに慣用的に適用されるものを使用することができる。
他の成分としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。
他の成分としては、例えば、酸化防止剤、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等が挙げられる。
他の成分としては、例えば、ビタミン、例えば、天然ビタミン又は合成ビタミンが挙げられる。ビタミンとしては、例えば、水溶性ビタミン、例えば、ビタミンB群、例えば、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB3,ビタミンB5,ビタミンB6,ビタミンB7,ビタミンB9,ビタミンB12等、ビタミンCが挙げられる。
ビタミンとしては、例えば、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA群、ビタミンD群、ビタミンE群、およびビタミンK群等が挙げられる。ビタミンにはまた、それらの誘導体も含まれる。
他の成分としては、例えば、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等、並びにペプチドが挙げられる。
他の成分としては、例えば、ゼオライト、例えば、天然ゼオライト、例えば、方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、及びソモソナイト、並びに、合成ゼオライトが挙げられる。
他の成分としては、例えば、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド等が挙げられる。
他の成分としては、例えば、薬剤、例えば、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤等が挙げられる。
皮膚収斂剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸等、油溶性皮膚収斂剤、例えば、油溶性ポリフェノールが挙げられる。油溶性ポリフェノールとしては、天然の油溶性ポリフェノール、例えば、オオバクエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、ゴボウエキス、サルビアエキス、シナノキエキス、セイヨウボダイジュエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、サルビアエキス、テウチグルミエキス、ハイビスカスエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
抗ニキビ剤としては、例えば、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛等が挙げられる。
抗シワ剤としては、例えば、乳酸、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フィチン酸、リポ酸、リソフォスファチド酸が挙げられる。
抗セルライト剤としては、例えば、キサンチン化合物、例えば、アミノフィリン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等が挙げられる。
美白剤としては、例えば、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、グルコサミン及び誘導体、フィトステロール誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、並びにクワ抽出物及び胎盤抽出物が挙げられる。
他の成分としては、例えば、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤、香料、色素、染料、顔料、植物抽出エキス等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、天然由来の抗炎症剤、例えば、ボタン、オオゴン、オトギリソウ、カモミール、甘草、モモノハ、ヨモギ、シソエキス等、合成抗炎症剤、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、皮膚を弱酸性に保つためのもの、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
血液滑性付与剤含有組成物は、血液滑性付与剤及び少なくとも1種の他の成分を、それぞれ、好ましくは約50〜約99質量%及び約1〜約50質量%、より好ましくは約60〜約99質量%及び約1〜約40質量%、さらに好ましくは約70〜約99質量%及び約1〜約30質量%、さらに一層好ましくは約80〜約99質量%及び約1〜約20質量%、さらに一層好ましくは約90〜99質量%及び約1〜約10質量%、さらに一層好ましくは約95〜99質量%及び約1〜約5質量%含む。血液滑性付与剤及び他の成分の作用効果の観点からである。
血液滑性付与剤含有組成物は、界面活性剤を、トップシート又はセカンドシートの親水化処理に由来する量以下で含むことが好ましい。より具体的には、血液滑性付与剤含有組成物は、界面活性剤を、好ましくは約0.0〜約1.0g/m2、より好ましくは約0.0〜約0.8g/m2、さらに好ましくは約0.1〜約0.5g/m2、さらに一層好ましくは約0.1〜約0.3g/m2の坪量の範囲で含む。
界面活性剤の量が増えると、経血がトップシートに残存しやすい傾向があるからである。なお、界面活性剤は、抱水率の値を有しない。水と混和するため、測定すべき物質の層が存在しないからである。
血液滑性付与剤含有組成物は、水を、好ましくは約0.0〜約1.0g/m2、より好ましくは約0.0〜約0.8g/m2、さらに好ましくは約0.1〜約0.5g/m2、さらに一層好ましくは約0.1〜約0.3g/m2の坪量の範囲で含む。水は、吸収性物品の吸収性能を低下させるため、少ないことが好ましい。
血液滑性付与剤含有組成物は、血液滑性付与剤と同様に、組成物として、40℃において、約0〜約80mm2/sの動粘度を有することが好ましく、約1〜約70mm2/sの動粘度を有することがより好ましく、約3〜約60mm2/sの動粘度を有することがさらに好ましく、約5〜約50mm2/sの動粘度を有することがさらに一層好ましく、約7〜約45mm2/sの動粘度を有することがさらに一層好ましい。
血液滑性付与剤含有組成物の動粘度が約80mm2/sを超えると、粘性が高く、トップシートの肌当接面に到達した経血と共に、血液滑性付与剤組成物が吸収性物品の内部に滑落することが難しくなる傾向があるからである。
血液滑性付与剤含有組成物が、少なくとも1種の他の成分として血液滑性付与剤と混和する成分を含む場合には、その他の成分は、好ましくは約1,000未満の重量平均分子量を有し、より好ましくは約900未満の重量平均分子量を有する。重量平均分子量が約1,000以上であると、血液滑性付与剤含有組成物そのものにタック性が生じ、着用者に不快感を与える傾向があるからである。また、重量平均分子量が高くなると、血液滑性付与剤含有組成物の粘度が高くなる傾向があるため、加温により、血液滑性付与剤組成物の粘度を、塗布に適した粘度に下げることが難しくなり、その結果、血液滑性付与剤を、溶媒で希釈しなければならない場合も生じうる。
血液滑性付与剤含有組成物は、組成物として、約0.01〜約4.0質量%の抱水率を有し、約0.02〜約3.5質量%の抱水率を有することが好ましく、約0.03〜約3.0質量%の抱水率を有することがより好ましく、約0.04〜約2.5質量%の抱水率を有することがさらに好ましく、そして約0.05〜約2.0質量%の抱水率を有することがさらに好ましい。
抱水率が低くなると、血液滑性付与剤組成物と、経血との親和性が低下し、トップシートの肌当接面に到達した経血が吸収性物品の内部に滑落しにくくなる傾向がある。
なお、血液滑性付与剤含有組成物が固形物を含む場合には、動粘度及び抱水率の測定において、それらを濾過により取り除くことが好ましい。
<試験例1>
以下に、本試験例で用いられた血液滑性付与剤を列挙する。
[(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
・ユニスター H−408BRS,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール,重量平均分子量:約640
・ユニスター H−2408BRS−22,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトールと、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールとの混合物(58:42、重量比),重量平均分子量:約520
[(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
・Cetiol SB45DEO,コグニスジャパン株式会社製
脂肪酸が、オレイン酸又はステアリル酸である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・SOY42,日油株式会社製
14の脂肪酸:C16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ0.2:11:88:0.8の質量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:880
・トリC2L油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸がおおよそ37:7:56の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約570
・トリCL油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C12の脂肪酸がおおよそ44:56の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約570
・パナセート810s,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約480
・パナセート800,日油株式会社製
脂肪酸が全てオクタン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約470
・パナセート800B,日油株式会社製
脂肪酸が全て2−エチルヘキサン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約470
・NA36,日油株式会社製
16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ5:92:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約880
・トリヤシ油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸:C14の脂肪酸:C16の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ4:8:60:25:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:670
・カプリル酸ジグリセリド,日油株式会社製
脂肪酸がオクタン酸である、グリセリンと脂肪酸とのジエステル,重量平均分子量:340
[(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル]
・ユニスター H−208BRS,日油株式会社製
ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール,重量平均分子量:約360
・コムポールBL,日油株式会社製
ブチレングリコールのドデカン酸(C12)モノエステル,重量平均分子量:約270
・コムポールBS,日油株式会社製
ブチレングリコールのオクタデカン酸(C18)モノエステル,重量平均分子量:約350
[(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル]
・O−アセチルクエン酸トリブチル,東京化成工業株式会社製
重量平均分子量:約400
・クエン酸トリブチル,東京化成工業株式会社製
重量平均分子量:約360
[(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル]
・アジピン酸ジオクチル,和光純薬工業製
重量平均分子量:約380
[(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
・エレクトールWE20,日油株式会社製
ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル,重量平均分子量:約360
・エレクトールWE40,日油株式会社製
テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル,重量平均分子量:約390
[(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール]
・ユニオールPB500,日油株式会社製
ポリブチレングリコール,重量平均分子量:約500
・ユニオールPB700,日油株式会社製
ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール,重量平均分子量:約700
[(f1)鎖状アルカン]
・パールリーム6,日油株式会社製
流動イソパラフィン、イソブテン及びn-ブテンを共重合し、次いで水素を付加することにより生成された分岐鎖炭化水素、重合度:約5〜約10,重量平均分子量:約330
[その他の材料]
・NA50,日油株式会社製
NA36に水素を付加し、原料である不飽和脂肪酸に由来する二重結合の比率を下げたグリセリンと脂肪酸とのトリエステル,重量平均分子量:約880
・(カプリル酸/カプリン酸)モノグリセリド,日油株式会社製
オクタン酸(C8)及びデカン酸(C10)がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのモノエステル,重量平均分子量:約220
・Monomuls 90−L2ラウリン酸モノグリセリド,コグニスジャパン株式会社製
・クエン酸イソプロピル,東京化成工業株式会社製
重量平均分子量:約230
・リンゴ酸ジイソステアリル
重量平均分子量:約640
・ユニオールPB1000R,日油株式会社製
ポリブチレングリコール,重量平均分子量:約1,000
・ユニオールD−250,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約250
・ユニオールD−400,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約400
・ユニオールD−700,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約700
・ユニオールD−1000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約1,000
・ユニオールD−1200,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約1,160
・ユニオールD−2000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約2,030
・ユニオールD−3000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約3,000
・ユニオールD−4000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコール,重量平均分子量:約4,000
・PEG1500,日油株式会社製
ポリエチレングリコール,重量平均分子量:約1,500〜約1,600
・ウィルブライトcp9,日油株式会社製
ポリブチレングリコールの両末端のOH基が、ヘキサデカン酸(C16)によりエステル化された化合物,重量平均分子量:約1,150
・ユニルーブMS−70K,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのステアリルエーテル,約15の繰返し単位,重量平均分子量:約1,140
・ノニオンS−6,日油株式会社製
ポリオキシエチレンモノステアレート、約7の繰返し単位、重量平均分子量:約880
・ユニルーブ5TP−300KB
ペンタエリトリトール1モルに、エチレンオキシド5モルと、プロピレンオキシド65モルとを付加させることにより生成した、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル,重量平均分子量:4,130
・ウィルブライトs753,日油株式会社製
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン,重量平均分子量:約960
・ユニオール TG−330,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約6の繰返し単位,重量平均分子量:約330
・ユニオール TG−1000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約16の繰返し単位,重量平均分子量:約1,000
・ユニオール TG−3000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約16の繰返し単位,重量平均分子量:約3,000
・ユニオール TG−4000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約16の繰返し単位,重量平均分子量:約4,000
・ユニルーブ DGP−700,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのジグリセリルエーテル,約9の繰返し単位,重量平均分子量:約700
・ユニオックスHC60,日油株式会社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,重量平均分子量:約3,570
・ワセリン,コグニスジャパン株式会社製
石油に由来する炭化水素、半固形
<試験例2>
[大量の血液を吸収した際の経血の表面残存率A]
生理用ナプキンが一度に大量の血液を吸収した場合の吸収性を評価する実験を行った。
親水剤で処理されたエアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシートと、エアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:30g/m2)から形成されたセカンドシートと、パルプ(坪量:150〜450g/m2、中央部ほど多い)、アクリル系高吸収ポリマー(坪量:15g/m2)及びコアラップとしてのティッシュを含む吸収体と、撥水剤処理されたサイドシートと、ポリエチレンフィルムから成るバックシートとを準備した。
上記トップシートは、特開2008−2034号公報に記載の方法に従って製造された、畝溝構造を有するトップシートであり、畝部の厚みが約1.5mmであり、溝部の厚みが約0.4mmであり、畝溝構造のピッチ(畝部の幅+溝部の幅)が約4mmであり、そして溝部には、開孔率約15%の開孔部が形成されていた。
血液滑性付与剤として、ユニスター H−408BRS(日油株式会社製、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル)を選択し、室温において、コントロールシームHMAガンから、上記トップシートの肌当接面(畝溝面)に、5.0g/m2の坪量で塗工した。電子顕微鏡で確認したところ、H−408BRSは、微粒子状で、繊維の表面に付着していた。
次いで、バックシート、吸収体、セカンドシート、そして畝溝面を上にしてトップシートを順に重ね合わせることにより、生理用ナプキンNo.1−1を形成した。
血液滑性付与剤を、ユニスター H−408BRSから、表2に示されるものに変更して、生理用ナプキンNo.1−2〜No.1−49を製造した。なお、血液滑性付与剤が室温で液体である場合には、そのまま、そして血液滑性付与剤が室温で固体である場合には、融点+20℃まで加熱し、次いで、コントロールシームHMAガンを用いて、血液滑性付与剤を微粒化し、トップシートの肌当接面に、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗工した。
また、血液滑性付与剤は、トップシートの肌当接面のほぼ全面に、そして畝部及び溝部の両方に塗工された。
[試験方法]
トップシートの質量:W2(g)(試験前のトップシートの質量)を測定した後、吸収性物品の長手方向及び幅方向の中央部且つトップシートの上に、穴の開いたアクリル板(200mm×100mm,125g,中央に、40mm×10mmの穴が開いている)を置き、上記穴から、37±1℃のウマEDTA血(ウマの血液に、凝結防止のため、エチレンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」と称する)が添加されたもの)4.0gを、ピペットを用いて滴下した。
ウマEDTA血の滴下後、直ちに上記アクリル板を外し、トップシートを取出し、その質量:W3(g)(試験後のトップシートの質量)を測定し、以下の式に従って、「表面残存率A(質量%)」を算出した。
表面残存率A(質量%)
=100×[W3(g)−W2(g)]/4.0(g)
また、トップシートの肌当接面のタック性を、以下の基準に従って35℃で測定した。
○:タック性なし
△:若干のタック性有り
×:タック性有り
各吸収性物品の表面残存率A、及びタック性、並びに各血液滑性付与剤の特性を、以下の表2に示す。また、図6に、トップシートがトリC2L油脂肪酸グリセリドを含む生理用ナプキンにおける、トップシートの肌当接面の電子顕微鏡写真を示す。
血液滑性付与剤を有しない生理用ナプキンNo.1−49では、表面残存率Aが7.5質量%であったが、動粘度及び抱水率が所定の範囲内にある生理用ナプキンNo.1−1〜No.1−21では、表面残存率Aが2.5質量%以下であった。
生理用ナプキンNo.1−1〜No.1−21では、トップシートの畝部に滴下されたウマEDTA血が、畝部から溝部へと滑落し、溝部から吸収体内部に迅速に吸収される様子が観察された。一方、血液滑性付与剤を有しない生理用ナプキンNo.1−49では、滴下したウマEDTA血は、溝部に滑落するのではなく、溝部にゆっくりと垂れ落ち、その多くがトップシートの畝部に残存した。また、抱水率が高い吸収性物品、例えば、No.1−30では、トップシートの畝部に滴下されたウマEDTA血は、溝部に滑落するのではなく、トップシートに一部残存しながらゆっくりと垂れ落ち、そして一部が畝部に残存した。
以上より、生理用ナプキンNo.1−1〜No.1−21は、一度に大量の経血がトップシートに到達した際に、経血をトップシートから吸収体に迅速に移行させることができることが示唆される。
次に、No.1−1〜1−49の生理用ナプキンを、複数のボランティアの被験者に着用してもらったところ、No.1−1〜1−21の血液滑性付与剤を含む生理用ナプキンでは、経血を吸収した後であってもトップシートにべたつき感がなく、トップシートがサラサラしているとの回答が多かった。
本試験例では、特開2008−2034号公報に記載の方法に従って製造された畝溝構造を有するトップシートを使用したが、血液滑性付与剤は、別の方法で製造された畝溝構造を有するトップシートを使用する場合や、畝溝構造以外の凹凸構造を有するトップシートを使用する場合にも同様に血液滑落作用を発揮し、経血をトップシートから吸収体に迅速に移行させることができると考えられる。
<試験例3>
[少量の血液を吸収した際の経血の表面残存率B]
生理用ナプキンが少量の血液を吸収した場合の吸収性を評価する実験を行った。
親水剤で処理されたエアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシート(以下、「畝溝を有するトップシート」と称する場合がある)と、エアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:30g/m2)から形成されたセカンドシートと、パルプ(坪量:150〜450g/m2、中央部ほど多い)、アクリル系高吸収ポリマー(坪量:15g/m2)及びコアラップとしてのティッシュを含む吸収体と、撥水剤処理されたサイドシートと、ポリエチレンフィルムから成るバックシートとを準備した。
上記トップシートは、特開2008−2034号公報に記載の方法に従って製造された、畝溝構造を有するトップシートであり、畝部の厚みが約1.5mmであり、溝部の厚みが約0.4mmであり、畝溝構造のピッチ(畝部の幅+溝部の幅)が約4mmであり、そして溝部には、開孔率約15%の開孔部が形成されていた。
血液滑性付与剤として、ユニスター H−408BRS(日油株式会社製、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル)を選択し、室温において、コントロールシームHMAガンから、上記トップシートの肌当接面(畝溝面)に、5.0g/m2の坪量で塗工した。電子顕微鏡で確認したところ、H−408BRSは、微粒子状で、繊維の表面に付着していた。
次いで、バックシート、吸収体、セカンドシート、そして畝溝面を上にしてトップシートを順に重ね合わせることにより、生理用ナプキンNo.2−1(i)を形成した。
トップシートを、畝溝構造を有しないフラットな、親水剤で処理されたエアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシート(以下、「フラットなトップシート」と称する場合がある)に変更した以外は、生理用ナプキンNo.2−1(i)と同様にして、生理用ナプキンNo.2−1(ii)を形成した。
血液滑性付与剤を、ユニスター H−408BRSから、表3に示されるものに変更して、生理用ナプキンNo.2−2(i)〜No.2−11(i)及びNo.2−2(ii)〜No.2−11(ii)を製造した。なお、血液滑性付与剤が室温で液体である場合には、そのまま、そして血液滑性付与剤が室温で固体である場合には、融点+20℃まで加熱し、次いで、コントロールシームHMAガンを用いて、血液滑性付与剤を微粒化し、トップシートの肌当接面に、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗工した。
また、血液滑性付与剤は、トップシートの肌当接面のほぼ全面に、そして畝溝構造を有するトップシートでは、畝部及び溝部の両方に塗工された。
[試験方法]
トップシートの質量:W4(g)(試験前のトップシートの質量)を測定した後、吸収性物品の長手方向及び幅方向の中央のトップシートの上に、37±1℃のウマEDTA血約0.25g(2滴)をピペットから滴下した。なお、畝溝を有するトップシートでは、畝部の頂部にウマEDTA血を滴下した。
滴下から30秒後、トップシートを取出し、その質量:W5(g)(試験後のトップシートの質量)を測定し、以下の式に従って、「表面残存率B(質量%)」を算出した。
表面残存率B(質量%)
=100×(W5(g)−W4(g))/W6(g)
なお、W6(g)は、滴下前後のピペットの質量から算出した、滴下されたウマEDTA血の質量である。
結果を、下記表3に示す。
表3から、血液滑性付与剤がH−408BRS、パナセート810S、カプリン酸ジグリセリド、コムポールBL、O−アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジオクチル、エレクトールWE40、ユニオールPB500、及びパールリーム6である場合には、畝溝を有するトップシートにおいて、表面残存率Bが低いことがわかる。これは、所定の特性を有する血液滑性付与剤が、少量の血液を畝部から、溝部、及び吸収体に迅速に移行させたことを示唆していると思われる。
本試験例では、特開2008−2034号公報に記載の方法に従って製造された畝溝構造を有するトップシートを使用したが、血液滑性付与剤は、別の方法で製造された畝溝構造を有するトップシートを使用する場合や、畝溝構造以外の凹凸構造を有するトップシートを使用する場合にも同様に血液滑落作用を発揮し、経血をトップシートから吸収体に迅速に移行させることができると考えられる。
<試験例4>
[血液滑性付与剤を含む血液の粘性]
血液滑性付与剤を含む血液の粘性を、Rheometric Expansion System ARES(Rheometric Scientific,Inc)を用いて測定した。ウマ脱繊維血に、パナセート810sを2質量%添加し、軽く撹拌して試料を形成し、直径50mmのパラレルプレートに試料を載せ、ギャップを100μmとし、37±0.5℃で粘度を測定した。パラレルプレートゆえ、試料に均一なせん断速度はかかっていないが、機器に表示された平均せん断速度は、10s-1であった。
パナセート810sを2質量%含むウマ脱繊維血の粘度は、5.9mPa・sであり、一方、血液滑性付与剤を含まないウマ脱繊維血の粘度は、50.4mPa・sであった。従って、パナセート810sを2質量%含むウマ脱繊維血は、血液滑性付与剤を含まない場合と比較して、約90%粘度を下げることが分かる。
血液は、血球等の成分を含み、チキソトロピーの性質を有することが知られているが、本開示の血液滑性付与剤は、低粘度域で、経血等の血液の粘度を下げる作用をも有すると考えられる。血液の粘度を下げることにより、吸収した経血を、トップシートから吸収体に速やかに移行しやすくなると考えられる。
<試験例5>
[血液滑性付与剤を含む血液の顕微鏡写真]
健常ボランティアの経血を、食品保護用ラップフィルム上に採取し、その一部に、10倍の質量のリン酸緩衝生理食塩水中に分散されたパナセート810sを、パナセート810sの濃度が1質量%となるように添加した。経血を、スライドグラスに適下し、カバーグラスをかけ、光学顕微鏡にて、赤血球の状態を観察した。血液滑性付与剤を含まない経血の顕微鏡写真を図7(a)に、そしてパナセート810sを含む経血の顕微鏡写真を図7(b)に示す。
図7から、血液滑性付与剤を含まない経血では、赤血球が連銭等の集合塊を形成しているが、パナセート810sを含む経血では、赤血球が、それぞれ、安定に分散していることが分かる。従って、血液滑性付与剤は、血液の中で、赤血球を安定化させる働きをも有することが示唆される。
<試験例6>
[血液滑性付与剤を含む血液の表面張力]
血液滑性付与剤を含む血液の表面張力を、協和界面科学社製接触角計 Drop Master500を用い、ペンダントドロップ法にて測定した。表面張力は、ヒツジ脱繊維血に、所定の量の血液滑性付与剤を添加し、十分振とうした後に測定した。
測定は、機器が自動で行うが、表面張力γは、以下の式により求められる(図8を参照)。
γ=g×ρ×(de)2×1/H
g:重力定数
1/H:ds/deから求められる補正項
ρ:密度
de:最大直径
ds:滴下端よりdeだけ上がった位置での径
密度ρは、JIS K 2249−1995の「密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」の5.振動式密度試験方法に準拠し、下記表4に示される温度で測定した。
測定には、京都電子工業株式会社のDA−505を用いた。
結果を、下記表4に示す。
表4から、血液滑性付与剤は、血液の表面張力を下げる作用をも有することが分かる。
血液の表面張力を下げることにより、吸収した血液をトップシートの繊維間に保持せず、速やかに吸収体に移行させることができると考えられる。
1 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 サイドシート
6 本体部
7 ウイング部
8 血液滑性付与剤塗布領域
10 切断開口部
11 凹部
12,13 シール部
14 粘着部
120 トップシートロール
130 パターンドラム
150 エンボス加工装置

Claims (10)

  1. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に介在する液保持性の吸収体とを含む吸収性物品であって、
    前記トップシートは、部分的切断により形成された破断片が折り曲げられて形成された切断開口部を、少なくとも着用者の排泄口に当接する領域である排泄口当接領域に複数有し、
    前記吸収体は、前記複数の切断開口部のそれぞれに通じる吸収体凹部を有し、
    前記破断片が、前記吸収体凹部の側部を被覆しており、
    前記排泄口当接領域のうち少なくとも前記切断開口部の周囲部分に、40℃における動粘度が0.01〜80mm 2 /s、抱水率が0.01〜4.0質量%、重量平均分子量が1,000未満である血液滑性付与剤が塗工されている、
    前記吸収性物品。
  2. 前記トップシートは不織布であり、前記破断片が前記吸収体凹部の側部に圧着している、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記破断片は、前記吸収体凹部の底部をさらに被覆している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記血液滑性付与剤のIOBが、0.00〜0.60のIOBである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記血液滑性付与剤が、次の(i)〜(iii):
    (i)炭化水素、
    (ii) (ii−1)炭化水素部分と、(ii−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、及び
    (iii) (iii−1)炭化水素部分と、(iii−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル基(−CO−)及びオキシ基(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基と、(iii−3)前記炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
    並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、
    ここで、(ii)又は(iii)の化合物において、オキシ基が2つ以上挿入されている場合には、各オキシ基は隣接していない、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記血液滑性付与剤が、次の(i’)〜(iii’):
    (i’)炭化水素、
    (ii’) (ii’−1)炭化水素部分と、(ii’−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合とを有する化合物、及び
    (iii’) (iii’−1)炭化水素部分と、(iii’−2)前記炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びエーテル結合(−O−)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる結合と、(iii’−3)前記炭化水素部分の水素原子を置換する、カルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)から成る群から選択される、一又は複数の、同一又は異なる基とを有する化合物、
    並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、
    ここで、(ii’)又は(iii’)の化合物において、2以上の同一又は異なる結合が挿入されている場合には、各結合は隣接していない、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記血液滑性付与剤が、次の(A)〜(F):
    (A) (A1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(A2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のカルボキシル基とを有する化合物とのエステル、
    (B) (B1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する2〜4個のヒドロキシル基とを有する化合物と、(B2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエーテル、
    (C) (C1)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する、2〜4個のカルボキシル基とを含むカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、(C2)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分の水素原子を置換する1個のヒドロキシル基とを有する化合物とのエステル、
    (D)鎖状炭化水素部分と、前記鎖状炭化水素部分のC−C単結合間に挿入された、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つの結合とを有する化合物、
    (E)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、又はそのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル、及び
    (F)鎖状炭化水素、
    並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記血液滑性付与剤が、(a1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(a3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(b1)鎖状炭化水素テトラオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b2)鎖状炭化水素トリオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(b3)鎖状炭化水素ジオールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、(c1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(c3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエステル、(d1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(d2)ジアルキルケトン、(d3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(d4)ジアルキルカーボネート、(e1)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコール、(e2)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、(e3)ポリオキシC3〜C6アルキレングリコールと少なくとも1の脂肪族1価アルコールとのエーテル、及び(f1)鎖状アルカン、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
    トップシート及び吸収体の積層体をエンボス加工して、前記トップシートを貫通して前記吸収体に至る凹部を形成する工程を含み、
    前記エンボス加工が、前記トップシートを部分的に切断して破断片を形成する段階と、前記破断片を前記凹部の側部に圧着させる段階とを含む、
    前記製造方法。
  10. 前記エンボス加工に、複数の突起が設けられた外周面を有する突起ロールと、平滑な外周面を有するプレーンロールが使用され、前記積層体が前記突起ロールと前記プレーンロールとの間を通過する際、前記突起の剪断力によって前記トップシートが部分的に切断されて前記破断片が形成されるとともに、前記突起の前記吸収体への圧入によって前記凹部の側部に前記破断片が圧着される、請求項に記載の吸収性物品の製造方法。
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