JP2019128600A - 物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパークルを抑制する性能等のアンチグレア性能を高めることのできる物品を提供する。【解決手段】アンチグレア面S1を有する物品10は、光透過性を有する。物品10のアンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(1)で表される関係を満たす。Sq×Sal<0.82(μm2)・・・(1)【選択図】図1

Description

本発明は、アンチグレア面を有する物品に関する。
例えば、表示装置に用いられる透明物品の視認側となる主面をアンチグレア面から構成することで、表示の視認性を向上する技術が知られている。特許文献1には、透明ガラス板の表面粗さ(RMS表面粗さ)を特定の範囲に設定することにより、スパークル(スパークル現象によるぎらつき)を抑える技術が開示されている。
国際公開第2012/118594号
上記のようにアンチグレア面を有する物品において、スパークルを抑制する性能等のアンチグレア面の性能を高めるという観点で未だ改善の余地がある。
本発明の目的は、アンチグレア性能を高めることのできる物品を提供することにある。
上記課題を解決する物品は、アンチグレア面を有する物品であって、前記物品は、光透過性を有し、前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(1)で表される関係を満たす。
Sq×Sal<0.82(μm)・・・(1)
上記物品において、前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(2)で表される関係を満たすことが好ましい。
Sq/Sal<0.05・・・(2)
上記物品は、ガラス基材と、前記ガラス基材に設けられたアンチグレア層とを有することが好ましい。
本発明によれば、スパークルを抑制する性能等のアンチグレア性能を高めることができる。
実施形態におけるアンチグレア面を有する物品を示す概略図である。 スパークル値の測定方法を説明する説明図である。 パターンマスクの概略平面図である。 クラリティ値の測定方法を説明する説明図である。
以下、アンチグレア面を有する物品の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1に示すように、物品10は、基材11と、基材11の両主面のうち、一方の主面に積層されたアンチグレア層12とを備えている。物品10は、光透過性を有している。
物品10の基材11の材質としては、例えば、ガラス、及び樹脂が挙げられる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライム等の公知のガラスを用いることができる。また、化学強化ガラス等の強化ガラスやLAS系結晶化ガラス等の結晶化ガラスを用いることもできる。樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。
基材11は、ガラス基材であることが好ましく、強化ガラス基材であることがより好ましい。強化ガラスの中でも、化学強化ガラスを用いることが好ましく、そのガラス組成としては、アルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。アルミノシリケートガラスは、質量%で、SiO:50〜80%、Al:5〜25%、B:0〜15%、NaO:1〜20%、KO:0〜10%を含有することが好ましい。
基材11としては、例えば、0.1〜5mmの範囲内の厚さを有する板状の基材が用いられる。
アンチグレア層12は、光を散乱させる凹凸構造のアンチグレア面S1を形成している。アンチグレア層12は、SiO、Al、ZrO、及びTiOから選ばれる少なくとも一種の酸化物により構成されることが好ましい。アンチグレア層12の厚さは、例えば、40〜500nmの範囲内であることが好ましい。
物品10は、例えば、表示装置のカバー部材として好適に用いることができる。表示装置は、例えば、光源、液晶表示部等を備えている。表示装置は、タッチパネル機能を有するものであってもよい。光透過性を有する物品10は、例えば、400nm以上、1100nm以下の波長の光の平均透過率が80%以上であることが好ましい。
物品10のアンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、下記式(1)で表される関係を満たす。
Sq×Sal<0.82(μm)・・・(1)
これにより、物品10のアンチグレア面S1におけるスパークルを抑制することができる。
また、物品10を透過して視認される像における解像度の低下を抑制するという観点から、アンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(2)で表される関係を満たすことが好ましい。
Sq/Sal<0.05・・・(2)
二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、ISO25178に準拠して測定することができる。
次に、物品10の製造方法について説明する。
物品10の製造方法は、基材11にアンチグレア層12を積層する積層工程を備える。この積層工程は、アンチグレア層12の前駆体を含有するコーティング剤を基材11上に塗布した後、乾燥することでアンチグレア層12を形成する形成工程を含む。積層工程は、形成工程を複数回繰り返すことが好ましい。形成工程を複数回繰り返すことにより、一度形成された凹凸構造の凸部の間に更に凸部が形成されやすくなり、アンチグレア面S1の上記“Sq×Sal”を効率的に低下させることができる。
形成工程において、基材11上のコーティング剤の乾燥は、加熱乾燥であってもよいし、常温乾燥であってもよい。基材11上のコーティング剤を乾燥する乾燥時間は、例えば、30秒以上であることが好ましい。基材11上のコーティング剤を乾燥は、一定の温度及び湿度のクリーンな層流下で乾燥させることが好ましい。乾燥時における層流の温度は、例えば15〜30℃、湿度は50〜70%、層流の流速は0.01〜1m/秒であることが好ましい。この乾燥条件は、第1の形成工程と、第1の形成工程の次に行われる第2の形成工程とを含む複数の形成工程を行う場合、少なくとも第1の形成工程の乾燥条件として適用されることが好ましい。
コーティング剤を塗布する方法としては、公知のウェットコート法を用いることができる。ウェットコート法としては、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、及びロールコート法が挙げられる。これら方法の中でも、アンチグレア面S1の凹凸を調整し易いという観点から、スプレーコート法が好ましい。
コーティング剤のスプレーコート法には、周知の2流体ノズルや1流体ノズル等のノズルを用いることができる。
アンチグレア面S1の上記最小自己相関長さSalは、スプレーコート法において、コーティング剤を塗布する工程の雰囲気の湿度が高いほど、大きくなる傾向にある。この雰囲気の湿度が高いほど、スプレーから液滴が吐出された後に基材11に到達するまでに失う溶剤量が少なくなることにより、アンチグレア面S1の最小自己相関長さSalが大きくなりやすくなると考えられる。コーティング剤を塗布する工程における雰囲気の湿度は、20%以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは20%以上、80%以下の範囲である。
アンチグレア面S1の上記最小自己相関長さSalは、スプレーコート法において、コーティング剤を塗布する工程の雰囲気の温度が高いほど、小さくなる傾向にある。この雰囲気の温度は、15℃以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15℃以上、30℃以下の範囲である。
アンチグレア面S1の上記二乗平均平方根高さSqは、コーティング剤の塗布量が大きいほど、大きくなる傾向にある。コーティング剤の塗布量は、10mL/m以上であることが好ましく、より好ましくは50mL/m以上である。コーティング剤の塗布量の上限は、例えば、200mL/m以下であることが好ましく、より好ましくは130mL/m以下である。
コーティング剤に含有される前駆体としては、例えば、シリカ前駆体、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体等の無機前駆体が挙げられる。前駆体は、反応性を制御し易いことから、シリカ前駆体を含むことが好ましい。シリカ前駆体としては、例えば、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基を有するシラン化合物、シラン化合物の加水分解縮合物、並びにシラザン化合物が挙げられる。シリカ前駆体は、アンチグレア層12におけるクラックの発生を抑えるという観点から、シラン化合物、及びシラン化合物の加水分解縮合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
シラン化合物は、ケイ素原子に結合した炭化水素基、及び加水分解性基を有する。炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−、及び−NR’−(R’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つ又は2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。
炭化水素基は、1つのケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等が挙げられる。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられ、シラン化合物の安定性と加水分解のしやすさとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基、及びハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、又はエトキシ基がより好ましい。
シラン化合物としては、アルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等)、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。これらのシラン化合物のなかでも、アルコキシシラン、及びアルコキシシランの加水分解縮合物のいずれか一方、又は両方を用いることが好ましく、アルコキシシランの加水分解縮合物を用いることがより好ましい。
シラザン化合物は、その構造内にケイ素と窒素の結合(−SiN−)をもった化合物である。シラザン化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物(所定の繰り返し単位を有するポリマー)であってもよい。低分子系のシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられる。
アルミナ前駆体としては、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドの加水分解縮合物、水溶性アルミニウム塩、アルミニウムキレート等が挙げられる。ジルコニア前駆体としては、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。チタニア前駆体としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。
コーティング剤に含まれる液状媒体は、前駆体を溶解する溶媒であり、前駆体の種類に応じて適宜、選択される。液状媒体としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、液状媒体は、水を含む液状媒体、すなわち、水、又は水と他の液状媒体の混合液であることが好ましい。他の液状媒体としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。
また、コーティング剤は、マトリックス前駆体の加水分解及び縮合を促進する酸触媒を含むものであってもよい。酸触媒は、マトリックス前駆体の加水分解及び縮合を促進し、アンチグレア層12を短時間で形成させる成分である。酸触媒は、コーティング剤の調製に先立って、マトリックス前駆体の溶液の調製の際に、原料(アルコキシシラン等)の加水分解、縮合のために添加されたものであってもよく、必須成分を調製した後にさらに添加されたものであってもよい。酸触媒としては、無機酸(硝酸、硫酸、塩酸等)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等)が挙げられる。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)物品10は、光透過性を有し、物品10のアンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、上記式(1)で表される関係を満たしている。
この構成によれば、物品10を透過して視認される像を視認したときにアンチグレア面S1におけるスパークルを減らす(ぎらつきを抑える)ことができる。従って、表示装置で表示される像を透過するように配置される用途に好適な物品10を得ることができる。例えば、ピクセル密度が160〜600ppiの表示装置を視認する場合、上記式(1)を満たさないアンチグレア面を有する物品を適用すると、ぎらつきを感じ易いが、こうした表示装置に本実施形態の物品10を適用することでぎらつきを好適に抑えることができる。
(2)物品10が光透過性を有する場合、アンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、上記式(2)で表される関係を満たすことが好ましい。この場合、上記の映り込みを抑制するとともに、物品10を透過して視認される像の解像度を高めることが可能となる。従って、表示装置で表示される像を透過するように配置される用途に好適な物品10を得ることができる。また、この場合、ぎらつきを抑える効果、上記の解像度の低下を抑制する効果、及びアンチグレア面S1における映り込みを抑制する効果を総合的に得ることができる。従って、表示装置で表示される像を透過するように配置される用途に好適な物品10を得ることができる。
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・物品10の両主面をアンチグレア面S1から構成することもできる。
・物品10は、反射防止層や防汚層等の機能層をさらに備えていてもよい。機能層は、基材11とアンチグレア層12との間やアンチグレア面S1に設けることができる。
・光透過性を有する物品10は、表示装置に予め組み付けられてもよいし、例えば、アンチグレア層12とは反対側となる基材11の主面に粘着層を設けることで、表示装置の表示面に粘着されるシート材として構成してもよい。
(試験例)
次に、試験例について説明する。
表1に示すように、試験例では、二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalとが所定の関係を有するサンプルを作製した。
<二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSal>
サンプルのアンチグレア面S1の粗さデータを走査型白色干渉顕微鏡(株式会社菱化システム製、商品名:VertScan)を用いて取得した。走査型白色干渉顕微鏡は、WAVEモードにより、530whiteフィルタ及び×20倍の対物レンズを用いて、測定領域316.77μm×237.72μm、解像度640ピクセル×480ピクセルの条件に設定した。
粗さデータを解析ソフト(VS−Viewer)により1次面補正し、二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalを求めた。最小自己相関長さSalは、自己相関関数が最も早く0.2へ減衰する方向とした。
なお、上述した二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、いずれもISO25178に準拠して測定したものである。
サンプルを得るための基材(基板)としては、ガラス基材(化学強化ガラス基板、厚さ1.3mm、日本電気硝子株式会社製、T2X−1)を用いた。この基材の一方の主面にコーティング剤をスプレーコートし、乾燥することで、基材にアンチグレア層を形成した(形成工程)。コーティング剤としては、水を含む液状媒体にアンチグレア層の前駆体(オルトケイ酸テトラエチル)を溶解した溶液(前駆体の濃度:3質量%)を用いた。スプレーコーティング装置のノズルとしては、2流体ノズルを用いた。
各試験例のアンチグレア層を形成する形成工程(スプレーコーティング法)おける条件の詳細を表2に示す。
表2中の“温度”は、スプレーコーティングの雰囲気温度を示し、“湿度”は、スプレーコーティングの雰囲気湿度を示す。表2中の“流量”は、ノズルから噴霧するコーティング剤の流量を示し、“エア圧”は、2流体ノズルに供給するエアの圧力を示す。表2中の“コート回数”は、スプレーコーティングの回数を示し、“乾燥時間”は、スプレーコーティングを2回行った場合の1回目のコーティング後の乾燥時間を示す。表2中の“塗布量”は、コーティング剤の塗布量(乾燥前)を示す。基材上のコーティング剤は、温度20℃、湿度60%、風速0.15m/秒の層流下に曝すことで乾燥させた。
上記条件で形成工程を行った後、コーティング層付き基材を180℃、30分の条件で焼成することで、各試験例のサンプルを得た。
各試験例のサンプルについて、以下の光学的特性を測定した。
<スパークル値>
スパークル値は、アンチグレア面S1におけるスパークル(スパークル現象によるぎらつき)の度合いを示す値であり、アンチグレア面S1におけるスパークルが抑制されているほど、スパークル値は小さくなる。すなわち、スパークルについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価をスパークル値によって行うことができる。スパークル値は、0.020以下であることが好ましい。
スパークル値は、次のようにして得られる。まず、サンプルSAにおいてアンチグレア面S1とは反対に位置する主面側にパターンマスクを挟んで面光源を配置する。次に、許容錯乱円径53μmにおける前方被写界深度内にサンプルSAのアンチグレア面S1及びパターンマスクのトップ面が含まれるようにして、アンチグレア面S1側からサンプルSAを撮像することで画像データを得る。この画像データを解析して得られるパターンマスクのピクセル輝度の標準偏差を、画像データを解析して得られるパターンマスクのピクセル輝度の平均値で除した値がスパークル値である。
上記スパークル値の測定について図2及び図3を参照してより具体的に説明する。
図2に示すように、面光源30の上に、パターンマスク31を配置するとともに、パターンマスク31の上に、アンチグレア面S1の反対側に位置する面がパターンマスク31側を向くようにしてサンプルSAを配置した。また、サンプルSAのアンチグレア面S1側に、許容錯乱円径を53μmに設定した光検出器32を配置した。
図3に示すように、パターンマスク31としては、ピクセルピッチ50μm、ピクセルサイズ10μm×40μmの500ppiのパターンマスクを用いた。光検出器32としては、SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いた。
光検出器32のセンサーサイズは1/3型であり、ピクセルサイズは3.75μm×3.75μmである。光検出器32のレンズの焦点距離は100mmであり、レンズ絞り径は4.5mmである。パターンマスク31は、そのトップ面31aが光検出器32の焦点位置に位置するように配置し、サンプルSAは、パターンマスク31のトップ面31aからアンチグレア面S1までの距離が1.8mmとなる位置に配置した。
次に、サンプルSAのアンチグレア面S1に対して、パターンマスク31を介して面光源30からの光を照射した状態として、光検出器32により、サンプルSAを撮像し、サンプルSAのアンチグレア面S1の画像データを取得した。得られた画像データを、SMS−1000のスパークル測定モード(ソフトウェア Sparkle measurement system)により解析して、パターンマスク31の各ピクセルのピクセル輝度、ピクセル間のピクセル輝度の標準偏差、及びピクセル輝度の平均値を求めた。得られたピクセル間のピクセル輝度の標準偏差及びピクセル輝度の平均値を下記式(3)に代入し、スパークル値を算出した。
スパークル値=[パターンマスクのピクセル輝度の標準偏差]/[パターンマスクのピクセル輝度の平均値] ・・・(3)
各試験例のサンプルSAにおけるスパークル値を表3の“S値”欄に示す。
<ヘイズ値>
ヘイズ値は、解像度の低下の度合いを示す値であり、アンチグレア面S1におけるヘイズ値が小さいほど、解像度の低下を抑制できる。ヘイズ値は、20以下であることが好ましい。各試験例のサンプルSAのヘイズ値をJIS K7136(2000)に準拠して測定した。各試験例のサンプルSAにおけるヘイズ値を表3の“H値”欄に示す。
<クラリティ値>
クラリティ値は、サンプルのアンチグレア面S1に光源を映り込ませた像の輝度分布データから得られる全反射光の輝度に対する正反射成分の割合の値である。このクラリティ値は、アンチグレア面S1における映り込みの度合いを示す値であり、アンチグレア面S1における映り込みが抑制されているほど、クラリティ値は小さくなる。クラリティ値を測定することで、アンチグレア面S1の映り込みについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価を行うことができる。クラリティ値は、5以下であることが好ましい。
上記クラリティ値を次のように測定した。
図4に示すように、厚さ5mm以上の黒色ガラス20上に、アンチグレア面S1が上側に位置するようにサンプルSAを配置した。また、サンプルSAのアンチグレア面S1側に、ライン光源21、及び焦点距離16mmのレンズを有する光検出器22をそれぞれ配置した。ライン光源21は、サンプルSAの厚さ方向と平行な方向(アンチグレア面S1の法線方向)に対して一方側(マイナス方向)に第1角度θi=3°傾いた位置に配置した。
光検出器22は、サンプルSAの厚さ方向と平行な方向に対して他方側(プラス方向)に第2角度θr傾いた位置であって、アンチグレア面S1において光の照射位置SPから410mmの位置にレンズを配置した。なお、ライン光源21と、光検出器22は、サンプルSAのアンチグレア面S1の同一法平面内に配置されている。また、光検出器22としては、SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いた。
ライン光源21からサンプルSAのアンチグレア面S1に光を照射し、サンプルSAのアンチグレア面S1の画像データを光検出器22によって取得した。この画像データをSMS−1000の反射分布測定モード(ソフトウェア Sparkle measurement system)により解析することで、アンチグレア面S1に映り込んだ像の「−5°≦θ*(=θr−θi)≦5°」の範囲における輝度分布データを得た。得られた輝度分布データより求められる全反射光の輝度及び正反射成分の輝度に基づいて、下記式(4)によりクラリティ値を算出した。なお、正反射成分の輝度とはピーク輝度の半値幅の範囲の輝度を表す。
クラリティ値(%)=[正反射成分の輝度]/[全反射光の輝度]×100 ・・・(4)
各試験例のサンプルSAにおけるクラリティ値を表3の“C値”欄に示す。
<結果>
(1)試験例1〜8の各サンプルにおけるS値(スパークル値)は0.0178以下であり、試験例9のサンプルよりも小さい。この結果から、上記式(1)で表される関係(Sq×Sal<0.82)を満たす試験例1〜8の各サンプルでは、試験例9のサンプルよりも、アンチグレア面におけるぎらつきを抑えることができることが分かる。
(2)試験例1〜8の各サンプルの中でも、試験例1〜6の各サンプルにおけるH値は19.54以下であり、試験例7,8の各サンプルよりも小さい。この結果から、式(2)で表される関係(Sq/Sal<0.05)を満たす試験例1〜6の各サンプルでは、試験例7,8の各サンプルよりも、サンプルを透過して視認される像の解像度が高まることが分かる。
(3)試験例1〜8の各サンプルの中でも、試験例1〜6の各サンプルにおける“S値×H値×C値”は0.73以下であり、試験例7,8の各サンプルよりも小さい。この“S値×H値×C値”は、上記のぎらつきの抑制、上記の解像度の低下の抑制、及び上記の映り込みの抑制を総合した度合いを示す値である。この結果から、試験例1〜6の各サンプルでは、試験例7,8の各サンプルよりも、上記のぎらつきの抑制、上記の解像度の低下の抑制、及び上記の映り込みの抑制が総合的に発揮されることが分かる。
10…物品、11…基材、12…アンチグレア層、S1…アンチグレア面。

Claims (3)

  1. アンチグレア面を有する物品であって、
    前記物品は、光透過性を有し、
    前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(1):
    Sq×Sal<0.82(μm)・・・(1)
    で表される関係を満たすことを特徴とする物品。
  2. 前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(2):
    Sq/Sal<0.05・・・(2)
    で表される関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の物品。
  3. ガラス基材と、前記ガラス基材に設けられたアンチグレア層とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品。
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