JP2017106944A - アンチグレア層付き基材および物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】防眩効果と透過率向上効果と機械的強度とのバランスに優れたアンチグレア層を備えるアンチグレア層付き基材、およびこれを用いた物品の提供。【解決手段】透明基材12とアンチグレア層14とを備え、アンチグレア層14の屈折率が1.25〜1.45であり、アンチグレア層14の表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.25μmであり、アンチグレア層14が、鎖状中実シリカ粒子を含むことを特徴とする、アンチグレア層付き基材10。【選択図】図1

Description

本発明は、アンチグレア層付き基材およびこれを用いた物品に関する。
各種機器(テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等)に備え付けられた画像表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)においては、室内照明(蛍光灯等)、太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。
外光の映り込みを抑制するために、画像表示装置の表示面を構成する透明基材に防眩処理(アンチグレア処理)を施すことが行われている。防眩処理としては、従来、透明基材の光の入射面に凹凸を形成する処理が知られている。しかしこの処理においては、防眩効果を高くするために凹凸を大きくする(表面を粗くする)と、画像の解像度が低下する、ヘイズが大きくなり画像のコントラストが低下する等の問題がある。
前記の問題に対し、アルコキシシランの加水分解物および中空SiO微粒子を含む塗布液をスプレー法にて基材上に塗布して、屈折率1.45以下、かつ表面粗さ0.04〜0.17μmのアンチグレア層を有する物品を製造する方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載のアンチグレア層は、マトリックスが低屈折率のため、表面粗さが小さくても優れた防眩効果を有するとされている。
特開2009−058640号公報
しかし、特許文献1においては、基材の透過率の向上と、充分な防眩効果とを両立させることについて考慮されていない。
本発明者らが、特許文献1の方法において、透過率の向上効果を得るために、中空SiO微粒子の含有量を多くしてアンチグレア層の屈折率を低くすることについて検討したところ、中空SiO微粒子の含有量を多くすると、耐摩耗性等の機械的強度が低下する問題がある。また、中空SiO微粒子は、低屈折率材としては比較的高価であり、含有量の増大は材料コストの増大を招く。
本発明は、防眩効果と透過率向上効果と機械的強度とのバランスに優れたアンチグレア層を備えるアンチグレア層付き基材、およびこれを用いた物品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]透明基材と、前記透明基材上に形成されたアンチグレア層とを備え、
前記アンチグレア層の屈折率が1.25〜1.45であり、
前記アンチグレア層の表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.25μmであり、
前記アンチグレア層が、鎖状中実シリカ粒子を含むことを特徴とする、アンチグレア層付き基材。
[2]前記アンチグレア層中の前記鎖状中実シリカ粒子の含有量が、前記アンチグレア層の総質量に対し、50〜80質量%である、[1]に記載のアンチグレア層付き基材。
[3]前記鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径が5〜300nmである、[1]または[2]に記載のアンチグレア層付き基材。
[4]前記アンチグレア層が、前記鎖状中実シリカ粒子と、シリカ系マトリクス前駆体と、液状媒体とを含む塗布液から形成された層である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のアンチグレア層付き基材。
[5]前記塗布液が、テルペン化合物をさらに含む、[4]に記載のアンチグレア層付き基材。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載のアンチグレア層付き基材を備える物品。
本発明によれば、防眩効果と透過率向上効果と機械的強度とのバランスに優れたアンチグレア層を備えるアンチグレア層付き基材、およびこれを用いた物品を提供できる。
本発明のアンチグレア層付き基材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
〔アンチグレア層付き基材〕
図1は、本発明のアンチグレア(以下、AGと略す。)層付き基材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
本実施形態のAG層付き基材10は、透明基材12と、透明基材12上に形成されたAG層14とを備える。
(透明基材)
透明基材12における透明とは、400〜1100nmの波長領域の光を平均して80%以上透過することを意味する。
透明基材12の形態としては、たとえば板、フィルム等が挙げられる。
透明基材12の材料としては、たとえばガラス、樹脂等が挙げられる。
ガラスとしては、たとえばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
樹脂としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
透明基材12としては、ガラス板が好ましい。
ガラス板は、フロート法、フュージョン法等により成形された平滑なガラス板であってもよく、ロールアウト法等で形成された表面に凹凸を有する型板ガラスであってもよい。また、平坦なガラスのみでなく曲面形状を有するガラスでもよい。
ガラス板の厚みは特に限定されない。たとえば厚さ10mm以下のガラス板を使用することができる。厚さが薄いほど光の吸収を低く抑えられるため、透過率向上を目的とする用途にとって好ましい。
ガラスがソーダライムガラスの場合、下記の組成を有するものが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al:0〜10%、
CaO :5〜15%、
MgO :0〜15%、
NaO :10〜20%、
O :0〜3%、
LiO :0〜5%、
Fe:0〜3%、
TiO :0〜5%、
CeO :0〜3%、
BaO :0〜5%、
SrO :0〜5%、
:0〜15%、
ZnO :0〜5%、
ZrO :0〜5%、
SnO :0〜3%、
SO :0〜0.5%、を含む。
ガラスが無アルカリガラスの場合、下記の組成を有するものが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :39〜70%、
Al:3〜25%、
:1〜30%、
MgO :0〜10%、
CaO :0〜17%、
SrO :0〜20%、
BaO :0〜30%、を含む。
ガラスがアルミノケイ酸塩ガラスの場合、下記の組成を有するものが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、
SiO :62〜68%、
Al :6〜12%、
MgO :7〜13%、
NaO :9〜17%、
O :0〜7%、
ZrO:0〜8%、を含む。
ガラス板には予め強化処理が施されていてもよい。強化処理により、ガラスの強度が向上し、たとえば強度を維持しながら板厚みを削減することが可能となる。
強化処理としては、ガラス板を高温下に晒した後に風冷する物理強化、または、ガラス板を、アルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス基板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する化学強化が挙げられる。ガラス板に化学強化処理を施す場合は、アルミノケイ酸塩ガラスであることが特に好ましい。
(AG層)
AG層14は、鎖状中実シリカ粒子を含み、表面に凹凸を有する層である。
AG層14は、典型的には、鎖状中実シリカ粒子間の空隙を充填するマトリクスをさらに含む。マトリクスは、鎖状中実シリカ粒子が露出しないように、鎖状中実シリカ粒子の上側(透明基材12側とは反対側)を覆っていてもよい。
AG層14は、鎖状中実シリカ粒子以外の他の粒子をさらに含んでもよい。
AG層14は、テルペン化合物をさらに含んでもよい。
AG層14は、鎖状中実シリカ粒子、マトリクス、他の粒子およびテルペン化合物以外の他の成分(以下、「他の任意成分」ともいう。)をさらに含んでもよい。
鎖状中実シリカ粒子:
鎖状中実シリカ粒子は、鎖状の形状を有する中実シリカ粒子である。例えば複数の球状楕円状、針状等の形状を有する中実シリカ粒子が鎖状に連結した形状のものが挙げられる。鎖状中実シリカ粒子の形状は、電子顕微鏡により確認できる。
「中実」は、内部に空洞を有しないことを示す。
鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径は、5〜300nmであることが好ましく、5〜200nmがより好ましい。鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、屈折率の低減効果に優れ、上限値以下であれば、耐摩耗性に優れる。
鎖状中実シリカ粒子は、市販品として容易に入手することができる。また、公知の製造方法により製造したものを使用してもよい。市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスST−OUP等が挙げられる。
AG層14中の鎖状中実シリカ粒子の含有量は、AG層14の総質量に対し、50〜80質量%であることが好ましく、55〜75質量%がより好ましく、60〜70質量%が特に好ましい。鎖状中実シリカ粒子の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、AG層14の屈折率が低くなり、充分な透過率向上効果が得られる。鎖状中実シリカ粒子の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、AG層の機械的強度に優れる。
マトリクス:
AG層14のマトリクスとしては、シリカ系マトリクス、チタニア系マトリクス等が挙げられる。
AG層14のマトリクスとしては、シリカ系マトリクスが好ましい。マトリクスがシリカ系マトリクスであれば、AG層14の屈折率(反射率)が低くなりやすい。また、化学的安定性、耐摩耗性等も良好となる。透明基材がガラスの場合、特に密着性が良好である。
「シリカ系マトリクス」とは、シリカを主成分とするマトリクスをいう。シリカを主成分とするとは、シリカの割合がマトリックス(100質量%)のうち90質量%以上であることを意味する。
シリカ系マトリクスとしては、実質的にシリカからなるものが好ましい。実質的にシリカからなるとは、不可避不純物を除いてシリカのみから構成されていることを意味する。
シリカ系マトリクスは、シリカ以外の成分を少量含んでもよい。該成分としては、Li,B,C,N,F,Na,Mg,Al,P,S,K,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Pt,Au,Biおよびランタノイド元素より選ばれる1つもしくは複数のイオンおよびまたは酸化物等の化合物が挙げられる。
シリカ系マトリクスとしては、例えば、シリカ系マトリクス前駆体の焼成物が挙げられる。シリカ系マトリクス前駆体については後で詳述する。
鎖状中実シリカ粒子およびシリカ系マトリクスを含む層は、例えば、鎖状中実シリカ粒子と、シリカ系マトリクス前駆体と、液状媒体とを含む塗布液から形成できる。該塗布液およびAG層14の形成方法については後で詳述する。
他の粒子:
他の粒子としては、金属酸化物粒子、金属粒子、顔料系粒子、樹脂粒子等が挙げられる。他の粒子は、中空構造でもよく中実構造であってもよい。
金属酸化物粒子の材料としては、Al、SiO、SnO、TiO、ZrO、ZnO、CeO、Sb含有SnO(ATO)、Sn含有In(ITO)、RuO等が挙げられる。
金属粒子の材料としては、金属(Ag、Ru等)、合金(AgPd、RuAu等)等が挙げられる。
顔料系粒子としては、無機顔料(チタンブラック、カーボンブラック等)、有機顔料が挙げられる。
樹脂粒子の材料としては、ポリスチレン、メラニン樹脂等が挙げられる。
他の粒子の形状としては、球状、楕円状、針状、板状、棒状、円すい状、円柱状、立方体状、長方体状、ダイヤモンド状、星状、不定形状等が挙げられる。他の粒子は、各粒子が独立した状態で存在していてもよく、各粒子が鎖状に連結していてもよく、各粒子が凝集していてもよい。
他の粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
AG層14中の他の粒子の含有量は、AG層14の総質量に対し、30質量%までであることが好ましい。
他の粒子の平均凝集粒子径は、鎖状中実シリカ粒子と同程度であることが好ましい。
他の粒子としては、屈折率の低減効果に優れる点で、中空シリカ粒子が好ましい。
テルペン化合物:
テルペン化合物については後で詳述する。
他の任意成分:
他の任意成分については後で詳述する。
AG層14の屈折率は1.25〜1.45であり、1.25〜1.40が好ましい。AG層14の屈折率が前記範囲の上限値以下であることで、AG層14の表面での反射率が充分に低くなり、透明基材12単独の場合よりも透過率が向上する。また、屈折率が前記範囲の下限値以上のAG層14は緻密であり、機械的強度、ガラス板等の透明基材12との密着性等に優れる。
AG層14の表面(つまりAG層付き基材10のAG層14側の表面)の算術平均粗さRaは0.05〜0.25μmであり、0.07〜0.25μmが好ましく、0.10〜0.25μmが特に好ましい。
算術平均粗さRaは、表面の凹凸の山谷の平均高さを示す指標である。AG層14の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、防眩効果が充分に発揮される。AG層14の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、AG層14の機械的強度が優れ、また、AG層付き基材10のヘイズも充分に小さくなる。
AG層14の表面における60゜鏡面光沢度は、50%以下であることが好ましく、45%以下がより好ましい。AG層14の表面における60゜鏡面光沢度は、防眩効果の指標である。60゜鏡面光沢度が50%以下であれば、防眩効果が充分に発揮される。
前記60゜鏡面光沢度の下限は防眩効果の点では特に限定されないが、透過率向上効果の点で、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
(ヘイズ)
AG層付き基材10のヘイズは、5〜20%が好ましく、5〜15%がより好ましい。ヘイズが前記範囲の上限値以下であれば、AG層付き基材10を表示装置に用いた場合の画像のコントラストや、AG層付き基材10を太陽電池モジュールに用いた場合の発電効率が良好である。ヘイズが前記範囲の下限値以上であれば、防眩効果が発揮されやすい。
<AG層付き基材の製造方法>
AG層付き基材10の製造方法としては、たとえば、透明基材12の上に、鎖状中実シリカ粒子と、シリカ系マトリクス前駆体と、液状媒体とを含む塗布液(以下、AG層用塗布液ともいう。)を塗布して塗膜を形成し、焼成する方法が挙げられる。
AG層用塗布液については後で詳述する。
(塗布)
AG層用塗布液の塗布方法としては、公知のウェットコート法(スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、ロールコート法等)等が挙げられる。
塗布方法としては、充分な凹凸を形成しやすい点から、スプレー法が好ましい。
スプレー法に用いるノズルとしては、2流体ノズル、1流体ノズル等が挙げられる。
ノズルから吐出される塗布液の液滴の粒径は、通常、0.1〜100μmであり、1〜50μmが好ましい。液滴の粒径が1μm以上であれば、防眩効果が充分に発揮される凹凸を短時間で形成できる。液滴の粒径が50μm以下であれば、防眩効果が充分に発揮される適度な凹凸を形成しやすい。
液滴の粒径は、ノズルの種類、スプレー圧力、液量等により適宜調整できる。たとえば、2流体ノズルでは、スプレー圧力が高くなるほど液滴は小さくなり、また、液量が多くなるほど液滴は大きくなる。
液滴の粒径は、レーザ測定器によって測定されるザウター平均粒子径である。
AG層の表面の算術平均粗さRaおよび60゜鏡面光沢度は、一定の塗布条件下では、塗布時間、すなわちスプレー法によるコート面数(重ね塗り回数)によって調整できる。例えば、コート面数が多くなるほど、AG層の表面の算術平均粗さRaが大きくなり、その結果、60゜鏡面光沢度が低下し(防眩効果が高くなり)、ヘイズが大きくなる傾向がある。
スプレー法にてAG層用塗布液を塗布する際には、透明基材12を、あらかじめ30〜90℃に加熱することが好ましい。透明基材12の温度が30℃以上であれば、液状媒体がすばやく蒸発するため、充分な凸凹を形成しやすい。透明基材12の温度が90℃以下であれば、透明基材12とAG層14との密着性が良好となる。透明基材12が厚さ5mm以下のガラス板の場合、あらかじめ透明基材12の温度以上の温度に設定した保温板を透明基材12の下に配置し、透明基材12の温度低下を抑えてもよい。
(焼成)
AG層用塗布液の塗布により形成された塗膜を焼成することによって、液状媒体が除去され、また、残存する加水分解性基がほぼ分解するとともに膜が緻密化して、AG層14が形成される。
本発明において、焼成とは、塗布組成物を塗布することによって得られた塗膜を加熱して硬化処理することも含むものとする。
焼成は、AG層用塗布液を透明基材12上に塗布する際に加熱することによって塗布と同時に行ってもよく、塗布液を基材に塗布した後、塗膜を加熱することにより行ってもよい。
焼成温度は、30℃以上が好ましく、透明基材12の材料、AG層用塗布液の材料等に応じて適宜決定すればよい。
シリカ系マトリクス前駆体がシラン化合物(A)である場合、焼成温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。焼成温度が80℃以上であれば、焼成物が緻密化して耐久性が向上する。
透明基材12の材料が樹脂の場合、焼成温度は樹脂の耐熱温度以下になる。透明基材12の材料がガラスの場合、焼成温度はガラスの軟化点温度以下が好ましい。
透明基材12が化学強化ガラス板である場合、焼成温度は、80〜450℃が好ましい。
透明基材12が化学強化されていないガラス板である場合、AG層14を形成する際の焼成工程とガラス板の物理強化工程とを兼ねることもできる。物理強化工程では、ガラス板は、ガラスの軟化温度付近まで加熱される。この場合、焼成温度は、典型的には約600〜700℃前後に設定される。
自然乾燥であっても重合はある程度進むため、時間に何らの制約もないのであれば、乾燥または焼成温度を室温付近の温度設定とすることも、理論上は可能である。
(AG層用塗布液)
AG層用塗布液は、鎖状中実シリカ粒子と、シリカ系マトリクス前駆体と、液状媒体とを含む。
AG層用塗布液は、必要に応じて、他の粒子、テルペン化合物、他の任意成分等をさらに含んでもよい。
鎖状中実シリカ粒子:
鎖状中実シリカ粒子についての説明は前記と同じである。
シリカ系マトリックス前駆体:
「シリカ系マトリクス前駆体」とは、焼成することによってシリカ系マトリックスを形成し得る物質を意味する。
シリカ系マトリックス前駆体としては、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物(以下、シラン化合物(A)ともいう。)、シラン化合物(A)の加水分解縮合物(ゾルゲルシリカ)、シラザン等が挙げられ、AG層14の各特性の点から、シラン化合物(A)およびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方が好ましく、シラン化合物(A)の加水分解縮合物がより好ましい。
シラン化合物(A)としては、ケイ素原子に結合した炭化水素基および加水分解性基を有するシラン化合物(A1)、アルコキシシラン(ただしシラン化合物(A1)を除く。)等が挙げられる。
シラン化合物(A1)において、ケイ素原子に結合した炭化水素基は、1つケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等が挙げられる。
炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−および−NR’−(ただしR’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つまたは2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。
「ケイ素原子に結合した加水分解性基」とは、加水分解によって、ケイ素原子に結合したOH基に変換し得る基を意味する。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中では、シラン化合物(A1)の安定性と加水分解のしやすさとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基およびハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
シラン化合物(A1)中に加水分解性基が複数存在する場合には、加水分解性基は、同じ基であっても異なる基であってもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
シラン化合物(A1)としては、後述する式(I)で表される化合物、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
シラン化合物(A1)としては、AG層14の機械的強度の点から、下式(I)で表される化合物が好ましい。
3−pSi−Q−SiL3−p ・・・(I)
式(I)中、Qは、2価の炭化水素基(炭素原子間に−O−、−S−、−CO−および−NR’−(ただし、R’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つまたは2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。)である。2価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
Qとしては、AG層14の機械的強度、入手の容易さ等の点から、炭素数2〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がさらに好ましい。
式(I)中、Lは、加水分解性基である。加水分解性基としては、上述したものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
Rは、水素原子または1価の炭化水素基である。1価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
pは、1〜3の整数である。pは、反応速度が遅くなりすぎない点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
アルコキシシラン(ただし、前記シラン化合物(A1)を除く。)としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロポリエーテルトリエトキシシラン等)、パーフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロエチルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
シラン化合物(A)の加水分解および縮合は、公知の方法により行うことができる。
たとえばシラン化合物(A)がテトラアルコキシシランの場合、テトラアルコキシシランの4倍モル以上の水、および触媒として酸またはアルカリを用いて行う。
酸としては、無機酸(HNO、HSO、HCl等。)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等。)が挙げられる。アルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。触媒としては、シラン化合物(A)の加水分解縮合物の長期保存性の点では、酸が好ましい。
シラン化合物(A)の加水分解に用いる触媒としては、鎖状中実シリカ粒子等の微粒子の分散を妨げないものが好ましい。
シリカ系マトリックス前駆体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ系マトリックス前駆体は、AG層14の機械的強度、膜クラック防止等の各特性の点から、シラン化合物(A1)およびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方と、テトラアルコキシシランおよびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方とを含むことが特に好ましい。
シリカ系マトリックス前駆体中のシラン化合物(A1)およびその加水分解縮合物の割合は、シリカ系マトリックス前駆体のSiO換算固形分(100質量%)に対し、5〜30質量%が好ましい。
液状媒体:
液状媒体は、鎖状中実シリカ粒子を分散する分散媒である。液状媒体は、シリカ系マトリクス前駆体を溶解する溶媒であってもよい。
液状媒体としては、たとえば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ系マトリクス前駆体におけるアルコキシシラン等の加水分解に水が必要となるため、加水分解後に液状媒体の置換を行わない限り、液状媒体には少なくとも水が含まれる。
この場合、液状媒体は、水のみであってもよく、水と他の液体との混合液であってもよい。他の液体としては、たとえば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。他の液体のうち、シリカ系マトリックス前駆体の溶媒としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。
液状媒体には、酸またはアルカリが含まれてもよい。酸またはアルカリは、シリカ系マトリックス前駆体の溶液の調製の際に、原料(アルコキシシラン等)の加水分解、縮合にために触媒として添加されたものでもよく、シリカ系マトリックス前駆体の溶液の調製後に添加されたものでもよい。
他の微粒子:
他の微粒子についての説明は前記と同じである。
テルペン化合物:
AG層用塗布液がテルペン化合物をさらに含む場合、鎖状中実シリカ粒子の周囲に空隙が形成され、テルペン化合物を含まない場合に比べて屈折率が低くなり、透過率向上効果が大きくなる傾向がある。
テルペンとは、イソプレン(C)を構成単位とする(C(ただし、nは1以上の整数である。)の組成の炭化水素を意味する。テルペン化合物とは、テルペンから誘導される官能基を有するテルペン類を意味する。テルペン化合物は、不飽和度を異にするものも包含する。
なお、テルペン化合物には液状媒体として機能するものもあるが、「イソプレンを構成単位とする(Cの組成の炭化水素」であるものは、テルペン誘導体に該当し、液状媒体には該当しないものとする。
テルペン化合物としては、国際公開第2010/018852号に記載のテルペン誘導体等を用いることができる。
他の任意成分:
他の任意成分としては、例えば、レベリング性向上のための界面活性剤、AG層14の耐久性向上のための金属化合物、紫外線吸収剤、赤外線反射/赤外線吸収剤、反射防止剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、シリコーンオイル系、アクリル系等が挙げられる。
金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が好ましい。ジルコニウムキレート化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。
組成:
AG層用塗布液中の鎖状中実シリカ粒子の含有量は、AG層用塗布液中の固形分(100質量%)(ただし、シリカ系マトリックス前駆体はSiO換算とする。)に対し、50〜80質量%であることが好ましく、55〜75質量%がより好ましく、60〜70質量%が特に好ましい。鎖状中実シリカ粒子の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、AG層14の屈折率が低くなり、充分な透過率向上効果が得られる。鎖状中実シリカ粒子の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、AG層の機械的強度に優れる。
AG層用塗布液中のシリカ系マトリクス前駆体の含有量(SiO換算)は、AG層用塗布液中の固形分(100質量%)に対し、20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。シリカ系マトリクス前駆体の含有量が前記範囲の下限値以上であると、機械的強度に優れる。
AG層用塗布液がテルペン化合物を含有する場合、AG層用塗布液中のテルペン化合物の含有量は、AG層用塗布液中の固形分(100質量%)(ただし、シリカ系マトリックス前駆体はSiO換算とする。)に対し、0.05〜0.25質量%が好ましく、0.1〜0.15質量%がより好ましい。テルペン化合物の含有量が前記範囲の下限値以上であると、テルペン化合物を含むことによる効果が得られやすい。テルペン化合物の含有量が前記範囲の上限値以下であると、機械的強度に優れる。
AG層用塗布液の固形分濃度は、1〜8質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、防眩効果が向上する。固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、機械的強度が向上する。
AG層用塗布液の固形分濃度は、AG層用塗布液中の、液状媒体以外の全成分の含有量の合計である。ただしシリカ系マトリックス前駆体の含有量はSiO換算である。
AG層用塗布液は、たとえば、鎖状中実シリカ粒子分散液と、シリカ系マトリックス前駆体溶液と、必要に応じて追加の液状媒体、他の粒子の分散液、テルペン化合物、他の任意成分等とを混合することにより調製される。
(作用効果)
AG層付き基材10にあっては、AG層14の屈折率が1.25〜1.45であり、AG層14の表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.25μmであり、AG層14が鎖状中実シリカ粒子を含むため、従来のものに比べ、防眩効果と透過率向上効果と機械的強度とのバランスに優れる。また材料の入手も容易である。
中実シリカ粒子によって屈折率を下げる場合、中空シリカ粒子を用いる場合よりも、含有量を多くする必要がある。また、従来、微粒子の含有量が多くなると、耐摩耗性等の機械的強度が低下し、また、ヘイズが増大する傾向があることが知られている。しかしAG層付き基材10にあっては、意外にも、微粒子として鎖状中実シリカ粒子を用いることで、その含有量が多い(例えば70質量%)場合でも、AG層14が充分な機械的強度を有し、AG層付き基材10のヘイズも充分に低くなる。
(用途)
AG層付き基材10の用途としては、特に限定されない。具体例としては、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板等。) 、車両用透明部品(インスツルメントパネル表面等。) 、メータ、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニタ、LCD、PDP 、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタ、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバ端面、プロジェクタ部品、複写機部品、太陽電池用透明基板(カバーガラス等。)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板、冷陰極管等。)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルム(プリズム、半透過フィルム等。)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源、反射防止フィルム、偏光フィルム、農業用フィルム等が挙げられる。
AG層付き基材10は、太陽電池用透明基板であることが好ましい。
太陽電池モジュールにおいては、太陽電池を保護するために太陽電池の前面等に透明基板(カバーガラス等)が配置される。設置場所によっては、透明基板の表面で反射した反射光により光害が生じる。また、透明基板の太陽光の透過率は、太陽電池モジュールの発電効率に影響する。また、太陽電池を保護するために機械的強度も要求される。AG層付き基材10は、防眩効果と透過率向上効果と機械的強度とのバランスに優れることから、太陽電池用透明基板として有用である。
以上、本発明について、実施形態例を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、AG層14の上側(透明基板12側とは反対側)にAFP(指紋除去層)等の機能層を有してもよい。透明基材12とAG層14との間に、アルカリバリア層、反射率波形調整層、赤外線遮蔽層等の機能層を有してもよい。機能層は、コート法等の公知の方法により形成できる。
〔物品〕
本発明の物品は、前記AG層付き基材を備える。
本発明の物品は、前記AG層付き基材からなるものでもよく、前記AG層付き基材以外の他の部材をさらに備えるものでもよい。
本発明の物品の例としては、前記でAG層付き基材10の用途として挙げたもの、それらのいずれか1種以上を備える装置、等が挙げられる。
装置としては、例えば太陽電池モジュール、表示装置、照明装置等が挙げられる。
太陽電池モジュールとしては、太陽電池と、太陽電池を保護するために太陽電池の前面および背面にそれぞれ配置された透明基板(カバーガラス等)とを備え、前記透明基板の少なくとも一方の透明基板(好ましくは少なくとも前面側の透明基板)として前記AG層付き基材を用いたものが好ましい。
表示装置の例としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット、カーナビゲーション等が挙げられる。
照明装置の例としては、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明装置、LED(発光ダイオード)照明装置等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
後述する例1〜5のうち、例2〜3は実施例であり、例1、例4〜5は比較例である。
各例で使用した評価方法および材料を以下に示す。
〔評価方法〕
(平均凝集粒子径)
微粒子(鎖状中実シリカ粒子、中空シリカ粒子)の平均凝集粒子径は、動的光散乱法粒度分析計(日機装社製、マイクロトラックUPA)を用いて測定した。
(AG層の屈折率)
AG層の屈折率nは、以下の方法で測定した。
屈折率を求めたい層の単層平滑膜をスピンコーターにて透明基材の表面に形成し、該透明基材における該単層膜と反対側の表面に黒のビニールテープを、気泡を含まないように貼り付けた。その後、分光光度計(大塚電子社製、瞬間マルチ測光システムMCPD−3000)により、波長300〜780nmの範囲で前記単層膜の反射率を測定した。反射率の測定に際して、光の入射角度は2°とした。波長300〜780nmの範囲で最も低い反射率(ボトム反射率Rmin)と前記透明基材の屈折率nとから、下式(1)により屈折率nを算出した。
min=(n−n/(n+n ・・・(1)
(算術平均粗さRa)
AG層の表面の算術平均粗さRaは、表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム(登録商標)1500DX)を用い、JIS B0601:2001に記載された方法によって測定した。粗さ曲線用の基準長さlr(カットオフ値λc)は0.08mmとした。
(透過率差Td)
AG層を形成する前の透明基材、各例で得たAG層付き基材それぞれについて、分光光度計(日本分光社製、V670)を用いて、波長400nm〜1100nmにおける光の透過率(%)を測定し、平均透過率(%)を求めた。その結果から、下式(2)により透過率差Td(%)を算出した。光の入射角度は0°(透明基材に対して垂直に入射)とした。透過率差Tdが大きいほど、透過率向上効果が高いことを示す。
Td=T1−T2 …(2)
ただし、T1は、AG層付き基材の平均透過率(%)であり、T2は、透明基材のみの平均透過率(%)である。
(光沢度)
AG層の表面の光沢度として、60゜鏡面光沢度を測定した。60゜鏡面光沢度は、光沢度計(日本電色工業社製、PG−3D型)を用いて、JIS Z8741:1997に規定されている方法により、AG層のほぼ中央部で測定した。また、AG層の表面の光沢度は、ガラス板における裏面(AG層と反対側の面)に黒テープを貼り付けることにより、ガラス板の裏面反射の影響を無くした状態で測定した。光沢度が小さいほど、防眩性に優れることを示す。
(ヘイズ)
ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩研究所社製、HM150L2型)を用いて、JIS K7136:2000(ISO 14782:1999)に規定されている方法により、AG層のほぼ中央部で測定した。
(耐摩耗性)
以下の摩耗試験を行った。開口径が1cm×2cmのフェルト(新高理化工業社製、研磨用パフAM−1)をラビングテスター(大平理化工業社製)に取り付け、該フェルトを1kg荷重にてAG層付き基材のAG層側の表面に接触させて水平往復運動させ、該フェルトを40往復させた。
摩耗試験前、摩耗試験後それぞれのAG層の表面の光沢度を前記の手順で測定し、その結果から、下式(3)により摩耗試験前後の光沢度変化ΔG(%)を算出した。光沢度変化ΔGが小さいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
ΔG=G1−G2 …(3)
ただし、G1は、摩耗試験前のAG層の表面の光沢度(%)であり、G2は、摩耗試験後のAG層の表面の光沢度(%)である。
〔使用材料〕
(シリカ系マトリクス前駆体溶液(a−1)の調製)
変性エタノール(日本アルコール販売社製、商品名「ソルミックス(登録商標)AP−11」。エタノールを主剤とした混合溶媒。以下同様。)の75.8gを撹拌しながら、イオン交換水の11.9gと61質量%硝酸の0.1gとの混合液を加え、5分間撹拌した。これに、テトラエトキシシラン(SiO換算固形分濃度:29質量%)の12.2gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.5質量%のシリカ系マトリクス前駆体溶液(a−1)を調製した。
なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、テトラエトキシシランのすべてのSiがSiOに転化したときの固形分濃度である。
(シリカ系マトリクス前駆体溶液(a−2)の調製)
変性エタノールの80.3gを撹拌しながら、イオン交換水の7.9gと61質量%硝酸の0.2gとの混合液を加え、5分間撹拌した。次いで、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(信越シリコーン社製、商品名「KBM3066」、SiO換算固形分濃度:37質量%)の11.6gを加え、ウォーターバス中60℃で15分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が4.3質量%のシリカ系マトリクス前駆体溶液(a−2)を調製した。
なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンのすべてのSiがSiOに転化したときの固形分濃度である。
(塗布液(A)の調製)
シリカ系マトリクス前駆体溶液(a−1)の77.1gを撹拌しながらシリカ系マトリクス前駆体溶液(a−2)の7.0gを加え、30分間撹拌した。次いで、変性エタノール15.9gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(A)を得た。
(塗布液(B)の調製)
変性エタノールの56.5gを撹拌しながら塗布液(A)の30.0gを加え、次いで、鎖状中実シリカゾル(日産化学工業社 スノーテックス(登録商標)ST−OUP)13.5gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(B)を得た。
なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、塗布液(A)のSiO換算固形分と、鎖状中実シリカゾルのSiO換算固形分(鎖状中実シリカ粒子)との合計である。
塗布液(B)中の鎖状中実シリカ粒子の含有量は、塗布液(B)のSiO換算固形分に対して70質量%である。
塗布液(B)中の鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径は70nmであった。
(塗布液(C)の調製)
変性エタノールの25.6gを撹拌しながら塗布液(A)の70.0gを加え、次いで、中空シリカゾル(日揮触媒化成社製 スルーリア(登録商標)4110)4.4gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(C)を得た。
(塗布液(D)の調製)
変性エタノールの59.8gを撹拌しながら塗布液(A)の30.0gを加え、次いで、中空シリカゾル(日揮触媒化成社製 スルーリア(登録商標)4110)10.2gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(D)を得た。
〔例1〕
(透明基材の洗浄)
透明基材として、化学強化されたアルミノシリケートガラス板(旭硝子社製、商品名「Leoflex(登録商標)」。サイズ:300mm×300mm、厚さ0.85mm。)を用意した。該透明基材の表面を炭酸水素ナトリウム水で洗浄後、イオン交換水でリンスし、乾燥させた。
(AG層付き基材の作製)
前記透明基材を予熱炉(ISUZU社製、VTR−115)にて予熱した。次いで、透明基材の表面温度を90℃に保温した状態で、前記透明基材上に、下記の条件で、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布液(A)を塗布した。
スプレー圧力:0.2MPa、
ノズル移動速度:750mm/分、
スプレーピッチ:22mm。
その後、大気中、200℃で3分間加熱養生し、AG層付き基材を得た。
スプレー法による塗布には、6軸塗装用ロボット(川崎ロボティックス社製、JF−5)を用いた。また、ノズル20としては、VAUノズル(スプレーイングシステムジャパン社製)を用いた。
〔例2〜3〕
塗布液(A)を塗布液(B)に変更し、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布した以外は例1と同様にしてAG層付き基材を得た。
〔例4〕
塗布液(A)を塗布液(C)に変更し、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布した以外は例1と同様にしてAG層付き基材を得た。
〔例5〕
塗布液(A)を塗布液(D)に変更し、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布した以外は例1と同様にしてAG層付き基材を得た。
各例で得たAG層付き基材について、AG層中の粒子比率(質量%)、AG層の屈折率および表面の算術平均粗さRa、透過率差Td、光沢度(%)、ヘイズ(%)、耐摩耗性(光沢度変化ΔG(%))を表1に示す。
粒子比率は、各例でAG層の形成に用いた塗布液のSiO換算固形分に対するシリカ粒子(鎖状中実シリカ粒子、中空シリカ粒子)の割合であり、AG層の総質量に対するシリカ粒子の割合に等しい。
Figure 2017106944
上記結果に示すとおり、AG層中の粒子比率が0の例1は、透過率差Tdが0.0%(透明基材単独の場合と同じ)であり、透過率向上効果が見られなかった。
AG層が鎖状中実シリカ粒子を含む例2〜3は、透明基材単独の場合に比べて、透過率が向上した。また、防眩性および耐摩耗性も充分に良好であった。さらに、粒子を70質量%の比率で含有するにもかかわらず、粒子を含まない例1よりも、ヘイズも小さかった。
中空シリカ粒子を粒子比率30質量%で用い、算術平均粗さRaを0.31μmとした例4は、屈折率は例2〜3と同等であるが、透過率が向上しなかった。
中空シリカ粒子を粒子比率70質量%で用いた例5は、例2〜3よりも耐摩耗性が低かった。
10 アンチグレア層付き基材
12 透明基材
14 アンチグレア層

Claims (6)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に形成されたアンチグレア層とを備え、
    前記アンチグレア層の屈折率が1.25〜1.45であり、
    前記アンチグレア層の表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.25μmであり、
    前記アンチグレア層が、鎖状中実シリカ粒子を含むことを特徴とする、アンチグレア層付き基材。
  2. 前記アンチグレア層中の前記鎖状中実シリカ粒子の含有量が、前記アンチグレア層の総質量に対し、50〜80質量%である、請求項1に記載のアンチグレア層付き基材。
  3. 前記鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径が5〜300nmである、請求項1または2に記載のアンチグレア層付き基材。
  4. 前記アンチグレア層が、前記鎖状中実シリカ粒子と、シリカ系マトリクス前駆体と、液状媒体とを含む塗布液から形成された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアンチグレア層付き基材。
  5. 前記塗布液が、テルペン化合物をさらに含む、請求項4に記載のアンチグレア層付き基材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアンチグレア層付き基材を備える物品。
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