JP7293662B2 - 表示装置のカバー部材 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、アンチグレア性能を高めることのできる表示装置のカバー部材を提供することにある。
上記物品において、前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(2)で表される関係を満たすことが好ましい。
上記物品は、ガラス基材と、前記ガラス基材に設けられたアンチグレア層とを有することが好ましい。
物品10の基材11の材質としては、例えば、ガラス、及び樹脂が挙げられる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライム等の公知のガラスを用いることができる。また、化学強化ガラス等の強化ガラスやLAS系結晶化ガラス等の結晶化ガラスを用いることもできる。樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。
アンチグレア層12は、光を散乱させる凹凸構造のアンチグレア面S1を形成している。アンチグレア層12は、SiO2、Al2O3、ZrO2、及びTiO2から選ばれる少なくとも一種の酸化物により構成されることが好ましい。アンチグレア層12の厚さは、例えば、40~500nmの範囲内であることが好ましい。
Sq×Sal<0.82(μm2)・・・(1)
これにより、物品10のアンチグレア面S1におけるスパークルを抑制することができる。
二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、ISO25178に準拠して測定することができる。
物品10の製造方法は、基材11にアンチグレア層12を積層する積層工程を備える。この積層工程は、アンチグレア層12の前駆体を含有するコーティング剤を基材11上に塗布した後、乾燥することでアンチグレア層12を形成する形成工程を含む。積層工程は、形成工程を複数回繰り返すことが好ましい。形成工程を複数回繰り返すことにより、一度形成された凹凸構造の凸部の間に更に凸部が形成されやすくなり、アンチグレア面S1の上記“Sq×Sal”を効率的に低下させることができる。
アンチグレア面S1の上記最小自己相関長さSalは、スプレーコート法において、コーティング剤を塗布する工程の雰囲気の湿度が高いほど、大きくなる傾向にある。この雰囲気の湿度が高いほど、スプレーから液滴が吐出された後に基材11に到達するまでに失う溶剤量が少なくなることにより、アンチグレア面S1の最小自己相関長さSalが大きくなりやすくなると考えられる。コーティング剤を塗布する工程における雰囲気の湿度は、20%以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは20%以上、80%以下の範囲である。
(1)物品10は、光透過性を有し、物品10のアンチグレア面S1における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、上記式(1)で表される関係を満たしている。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・物品10の両主面をアンチグレア面S1から構成することもできる。
・光透過性を有する物品10は、表示装置に予め組み付けられてもよいし、例えば、アンチグレア層12とは反対側となる基材11の主面に粘着層を設けることで、表示装置の表示面に粘着されるシート材として構成してもよい。
次に、試験例について説明する。
表1に示すように、試験例では、二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalとが所定の関係を有するサンプルを作製した。
サンプルのアンチグレア面S1の粗さデータを走査型白色干渉顕微鏡(株式会社菱化システム製、商品名:VertScan)を用いて取得した。走査型白色干渉顕微鏡は、WAVEモードにより、530whiteフィルタ及び×20倍の対物レンズを用いて、測定領域316.77μm×237.72μm、解像度640ピクセル×480ピクセルの条件に設定した。
各試験例のサンプルについて、以下の光学的特性を測定した。
スパークル値は、アンチグレア面S1におけるスパークル(スパークル現象によるぎらつき)の度合いを示す値であり、アンチグレア面S1におけるスパークルが抑制されているほど、スパークル値は小さくなる。すなわち、スパークルについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価をスパークル値によって行うことができる。スパークル値は、0.020以下であることが好ましい。
図2に示すように、面光源30の上に、パターンマスク31を配置するとともに、パターンマスク31の上に、アンチグレア面S1の反対側に位置する面がパターンマスク31側を向くようにしてサンプルSAを配置した。また、サンプルSAのアンチグレア面S1側に、許容錯乱円径を53μmに設定した光検出器32を配置した。
各試験例のサンプルSAにおけるスパークル値を表3の“S値”欄に示す。
ヘイズ値は、解像度の低下の度合いを示す値であり、アンチグレア面S1におけるヘイズ値が小さいほど、解像度の低下を抑制できる。ヘイズ値は、20以下であることが好ましい。各試験例のサンプルSAのヘイズ値をJIS K7136(2000)に準拠して測定した。各試験例のサンプルSAにおけるヘイズ値を表3の“H値”欄に示す。
クラリティ値は、サンプルのアンチグレア面S1に光源を映り込ませた像の輝度分布データから得られる全反射光の輝度に対する正反射成分の割合の値である。このクラリティ値は、アンチグレア面S1における映り込みの度合いを示す値であり、アンチグレア面S1における映り込みが抑制されているほど、クラリティ値は小さくなる。クラリティ値を測定することで、アンチグレア面S1の映り込みについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価を行うことができる。クラリティ値は、5以下であることが好ましい。
図4に示すように、厚さ5mm以上の黒色ガラス20上に、アンチグレア面S1が上側に位置するようにサンプルSAを配置した。また、サンプルSAのアンチグレア面S1側に、ライン光源21、及び焦点距離16mmのレンズを有する光検出器22をそれぞれ配置した。ライン光源21は、サンプルSAの厚さ方向と平行な方向(アンチグレア面S1の法線方向)に対して一方側(マイナス方向)に第1角度θi=3°傾いた位置に配置した。
各試験例のサンプルSAにおけるクラリティ値を表3の“C値”欄に示す。
(1)試験例1~8の各サンプルにおけるS値(スパークル値)は0.0178以下であり、試験例9のサンプルよりも小さい。この結果から、上記式(1)で表される関係(Sq×Sal<0.82)を満たす試験例1~8の各サンプルでは、試験例9のサンプルよりも、アンチグレア面におけるぎらつきを抑えることができることが分かる。
Claims (3)
- 基材と、前記基材に設けられたアンチグレア層のみからなり、前記アンチグレア層により形成されるアンチグレア面を有し、光透過性を有する、表示装置のカバー部材であって、
前記アンチグレア面における二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalが下記式(1)及び下記式(2):
Sq×Sal<0.82(μm2)・・・(1)
0.0211≦Sq/Sal<0.05・・・(2)
で表される関係を満たすことを特徴とする表示装置のカバー部材。 - 前記基材は、ガラス基材であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置のカバー部材。
- 前記表示装置のカバー部材の光の平均透過率は、400nm以上、1100nm以下の波長において80%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置のカバー部材。
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