以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、トナーコンテナ4a〜4dによりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されており、現像装置3a〜3dによって感光体ドラム1a〜1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
トナー像が転写される転写紙Pは、画像形成装置100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
図2は、カラープリンター100に搭載される本発明の一実施形態に係る現像装置3aの側面断面図である。なお、図2は図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤とも呼ぶ)が収納される現像容器(ケーシング)20を備えている。現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室20b、供給搬送室20cに区画されている。攪拌搬送室20bおよび供給搬送室20cには、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26がそれぞれ回転可能に配設されている。
そして、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26によって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された連通部20d、20e(図8参照)を介して攪拌搬送室20b、供給搬送室20c間を循環する。即ち、攪拌搬送室20b、供給搬送室20c、連通部20d、20eによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー26の上方にはトナー供給ローラー30が配置され、トナー供給ローラー30の右斜め上方には現像ローラー31が対向配置されている。そして、現像ローラー31は現像容器20の開口側(図2の右側)において感光体ドラム1aに対向しており、それぞれの回転軸周りに関してトナー供給ローラー30、現像ローラー31は図2において反時計回り方向に回転する。
攪拌搬送室20bには、攪拌搬送スクリュー25と対面してトナー濃度センサー28が配置されている。トナー濃度センサー28は、現像剤中のキャリアに対するトナーの割合(T/C)を検知するものであり、例えば、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。本実施形態においては、トナー濃度センサー28により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を制御部90(図12参照)に出力し、トナー濃度センサー28の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じて現像剤補給モーター(図示せず)に制御信号を送信し、トナーコンテナ4aから現像剤補給口20f(図8参照)を介して攪拌搬送室20bに所定量のトナーおよびキャリアが補給される。
トナー供給ローラー30は、図2において反時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、トナー供給ローラー30と現像ローラー31とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極(主極)と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード33がトナー供給ローラー30の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード33は、トナー供給ローラー30の回転方向(図2の反時計回り方向)において、現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード33の先端部とトナー供給ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)および交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、トナー供給ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)および交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧および交流電圧は、現像バイアス電源からバイアス制御回路(いずれも図せず)を経由して現像ローラー31およびトナー供給ローラー30に印加される。
前述のように、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26によって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室20bおよび供給搬送室20cを循環してトナーを帯電させ、供給搬送スクリュー26によって現像剤がトナー供給ローラー30に搬送される。そして、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード33によって層厚規制された後、トナー供給ローラー30と現像ローラー31との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、および磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー31上のトナー層厚は現像剤の抵抗やトナー供給ローラー30と現像ローラー31との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー31上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
トナー供給ローラー30上の磁気ブラシとの接触によって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向部分(対向領域)に搬送される。現像ローラー31にはVslv(DC)およびVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室20c内に落下する。
その後、トナー濃度センサー28の検知結果に基づいて現像剤補給口20f(図8参照)から所定量の現像剤が補給され、供給搬送室20cおよび攪拌搬送室20bを循環する間に再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤となる。この現像剤が再び供給搬送スクリュー26によりトナー供給ローラー30上に供給されて磁気ブラシを形成し、穂切りブレード33へ搬送される。
現像容器20における図2の右側壁において現像ローラー31の近傍には、現像容器20の内側に突出する断面三角形状のトナー受け支持部材35が設けられている。図2に示すように、トナー受け支持部材35は現像容器20の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って配置されており、トナー受け支持部材35の上面はトナー供給ローラー30および現像ローラー31に対向するとともに、現像ローラー31からトナー供給ローラー30方向に向かって下方に傾斜する壁部を構成している。トナー受け支持部材35の上面には長手方向に沿って、現像ローラー31から引き剥がされて落下するトナーを受けるトナー受け部材37が取り付けられている。
図3は、本実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35を現像容器20の内側(図2の左側)から見た斜視図、図4は、トナー受け支持部材35の分解斜視図である。
トナー受け部材37は板金製であって、長手方向に沿って屈曲部37aが形成された屈曲形状であり、屈曲部37aを挟んで現像ローラー31(図2参照)に対向するトナー受け面37bと、トナー供給ローラー30に対向する略垂直なトナー落下面37cとに区画される。また、トナー受け部材37は2本のコイルバネ40を介して樹脂製の支持部材本体36に支持されている。具体的には、トナー受け部材37の両端部の2箇所にコイルバネ40の一端が係合する係合部37dが折り曲げ形成されており、コイルバネ40の他端にはバネ台座39(図7参照)が装着されている。バネ台座39は支持部材本体36のバネ台座保持部36aに保持される。また、トナー受け部材37の略中央部には振動発生装置42を支持するホルダー保持部37eが折り曲げ形成されている。
振動発生装置42内には振動モーター43(図5参照)と、振動モーター43の駆動を制御するための回路や電子部品が実装された基板(図示せず)が配置されており、振動モーター43に電力を供給するためのリード線45が接続されている。
トナー受け部材37の表面にはシート部材41a、41b(図6参照)が貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け部材37へのトナー付着を抑制するために、トナー受け部材37よりもトナーが付着し難い材質で形成されている。シート部材41a、41bの材質としては、例えばフッ素樹脂製シート等が挙げられる。
シート部材41aは穂切りブレード33側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界を含むトナー受け部材37の表面(トナー落下面37c)を覆うように貼り付けられている。また、シート部材41bはシール部材44側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界、係合部37d、およびホルダー保持部37eを含むトナー受け面37bの全域を覆うように貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け面37b、トナー落下面37cへのトナーの付着を抑制するとともに、支持部材本体36とトナー受け部材37との境界からトナー受け支持部材35の内部へのトナーの進入や、トナーの進入に起因する振動モーター43の動作不良を防止する。
また、支持部材本体36の上端にはフィルム状のシール部材44が設けられている。シール部材44は、先端部が感光体ドラム1aの表面に接触するように支持部材本体36の長手方向(図3の左右方向)に延在しており、現像容器20(図2参照)内のトナーが外部に漏出しないように遮蔽する機能を有している。
図5は、図4における振動発生装置42の分解斜視図である。振動発生装置42は、振動モーター43と、振動モーター43が固定されるモーター取付板42aとカバー部材42bとで構成され、振動モーター43の出力軸43aには加振用ウェイト50が固定されている。また、振動モーター43は出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向に沿うように固定されている。
加振用ウェイト50は、振動モーター43の出力軸43aに対し非対称な形状(例えばカム形状)となっている。出力軸43aが所定以上の速度で回転するとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わる。この遠心力が出力軸43aに伝達されることにより、振動モーター43が振動する。なお、加振用ウェイト50の形状はカム形状に限定されず、出力軸43aに対し重心がずれるような任意の形状とすることができる。
図6および図7は、本実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の内部構成を示す側面断面図である。なお、図6はトナー受け支持部材35の振動モーター43付近の断面(図4のXX′矢視断面)を示し、図7はトナー受け支持部材35のコイルバネ40を含む断面(図4のYY′矢視断面)を示している。
トナー受け部材37は現像ローラー31に対向するトナー受け面37bがトナー供給ローラー30側から感光体ドラム1a側に向かって上り勾配となるように傾斜し、トナー供給ローラー30に対向するトナー落下面37cが略垂直になるように配置されている。また、トナー受け面37bに堆積したトナーが重力や現像装置3aの駆動に伴う振動等によって自然に落下しないように、トナー受け面37bの角度や表面粗さ(摩擦係数)が調整されている。
図6および図7に示すように、トナー受け部材37はトナー供給ローラー30側の端縁37fのみが支持部材本体36に当接しており、反対側(感光体ドラム1a側)の端縁37gは自由端となっている。そして、トナー受け面37bの幅方向(図6の左右方向)の略中央部は振動発生装置42を介して支持部材本体36に支持されている。これにより、トナー受け部材37は端縁37fを支点として揺動可能に構成されている。また、振動モーター43は、出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向と略平行になるように配置されている。
本実施形態の現像装置3a〜3dは、非画像形成時に振動発生装置42により現像装置3a〜3d内のトナー受け部材37を振動させてトナー受け面37bに堆積したトナーを振るい落とすトナー回収モードを実行可能である。具体的には、非画像形成時に振動モーター43の出力軸43aを高速回転(例えば10,000rpm程度)させることにより、加振用ウェイト50も出力軸43aと共に高速回転する。このとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わるため、出力軸43aを介して振動モーター43およびモーター取付ホルダー42を含む振動発生装置42が振動する。そして、振動発生装置42が取り付けられたトナー受け部材37も振動する。具体的には、トナー受け部材37のトナー受け面37bは端縁37fを支点として端縁37gに向かうにつれて振幅が大きくなるように振動する。このトナー受け部材37の振動により、トナー受け面37bの端縁37g側に堆積したトナーは端縁37f側(白矢印方向)に跳ね上げられ、少しずつ端縁37f側に移動する。
トナー受け面37bの振動により、図7に示すように、トナー受け面37bに堆積したトナーTはトナー受け面37bの傾斜に沿って下方(図7の白矢印方向)に滑り落ち、略垂直なトナー落下面37cとトナー供給ローラー30とで挟まれた領域Rに自由落下する。領域Rに落下したトナーの一部は、そのまま穂切りブレード33とトナー供給ローラー30の隙間を通過して供給搬送室20c内に落下する。
本実施形態では、領域Rに落下したトナーを供給搬送室20cへ戻すために、非画像形成時に現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を画像形成時とは逆方向(図6の時計回り方向)に回転(逆回転)させる。トナー供給ローラー30を逆回転させることにより、領域Rに落下して穂切りブレード33の先端に堆積したトナーはトナー供給ローラー30の磁気ブラシによって掻き取られ、トナー供給ローラー30の表面に連れ回りしてトナー供給ローラー30と穂切りブレード33との隙間を通過し、固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室20cへ強制的に戻される。
トナー受け部材37を振動させるタイミングとしては、印字動作の終了毎に行っても良いし、印字枚数が所定枚数に到達した時点や現像装置3a内の温度が所定以上になった時点等、所定のタイミングで行うようにしても良い。また、トナー受け部材37を振動させるタイミングと現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転させるタイミングは同じでも異なっていても良い。また、所定の印字枚数に到達する毎にトナー受け部材37を振動させることにより、印字枚数に応じてトナー受け部材37の振動が自動的に実行される。従って、ユーザー自身がトナー受け部材37の振動を手動で設定する必要がなくなり、設定ミスや設定忘れ、或いは不必要な振動の実行を回避することができる。
図8は、本実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図(図2のXX′矢視断面図)である。現像容器20には、前述のように、攪拌搬送室20bと、供給搬送室20cと、仕切壁20aと、上流側連通部20d、および下流側連通部20eが形成され、その他に、現像剤補給口20fと、現像剤排出部20gと、が形成されている。なお、攪拌搬送室20bにおいて、図8の右側を上流側、図8の左側を下流側とし、また、供給搬送室20cにおいて、図8の左側を上流側、図8の右側を下流側とする。従って、連通部および側壁部は、供給搬送室20cを基準として上流および下流と呼称している。
仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室20bと供給搬送室20cを並列させるように仕切っている。仕切壁20aの長手方向の左側端部は、上流側壁部20hの内壁部とともに上流側連通部20dを形成し、一方、仕切壁20aの長手方向の右側端部は、下流側壁部20iの内壁部とともに下流側連通部20eを形成している。現像剤は、攪拌搬送室20b、上流側連通部20d、供給搬送室20c、および下流側連通部20eを順次通過して現像容器20内を循環する。
現像剤補給口20fは、現像容器20の上部に設けられたトナーコンテナ4a(図1参照)から新たなトナーおよびキャリアを現像容器20内に補給するための開口であり、攪拌搬送室20bの上流側(図8の右側)に配置される。
現像剤排出部20gは、トナーおよびキャリアの補給によって攪拌搬送室20bおよび供給搬送室20c内で余剰となった現像剤を排出するための部分である。現像剤排出部20gは、攪拌搬送室20bの側面に所定の高さから開口するように設けられている。
攪拌搬送室20b内に配置される攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25bと、回転軸25bに一体に設けられ、回転軸25bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根25aとを有する。また、第1螺旋羽根25aは、攪拌搬送室20bの長手方向の両端部側まで延び、上流側および下流側連通部20d、20eにも対向して設けられている。回転軸25bは現像容器20の上流側壁部20hと下流側壁部20iに回転可能に軸支されている。
供給搬送室20c内に配置される供給搬送スクリュー26は、回転軸26bと、回転軸26bに一体に設けられ、回転軸26bの軸方向に第1螺旋羽根25aと同じピッチで第1螺旋羽根25aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根26aとを有する。また、第2螺旋羽根26aは、トナー供給ローラー30の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部20dに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸26bは、回転軸25bと平行に配置され、現像容器20の上流側壁部20hと下流側壁部20iに回転可能に軸支されている。
新たに現像剤を補給していない現像時には、現像剤は、攪拌搬送室20bから、上流側連通部20d、供給搬送室20c、および下流側連通部20eと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤がトナー供給ローラー30に供給される。
現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口20fから攪拌搬送室20b内にトナーとキャリアとを含む現像剤が補給される。補給された現像剤は、現像時と同様に、攪拌搬送室20b内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部20dを通って供給搬送室20c内に搬送される。更に、供給搬送室20c内を矢印Q方向に搬送され、上流側連通部20dを通って攪拌搬送室20b内に搬送される。ここで、現像剤中のキャリアは現像によって消費されないため、現像容器20内の現像剤の嵩が増加する。その結果、余剰の現像剤(現像剤補給口20fから補給された現像剤とほぼ同量)が現像剤排出部20gを介して現像容器20の外部に排出される。
また、後述する強制排出モードを実行するために、攪拌搬送室20bに配置された攪拌搬送スクリュー25には、強制排出モードの実行時に現像剤排出部20gの近傍に現像剤を滞留させる搬送量調整部55が設けられている。
図9は、本実施形態の現像装置3aの攪拌搬送スクリュー25に設けられた搬送量調整部55の部分拡大図である。搬送量調整部55を構成する第1螺旋羽根25aは、現像剤搬送方向に対し搬送量調整部55の上流側および下流側に形成された第1螺旋羽根25a位置と比較して、逆回転時の搬送面55a(図9の右側面)の回転軸25bに対する傾斜角θが小さくなっている。即ち、搬送量調整部55は、正回転時(画像形成時)に比較して逆回転時における現像剤の搬送量が低下する形状となっている。
図8に示すように、画像形成時においては攪拌搬送スクリュー25の正回転によって攪拌搬送室20bに矢印P方向の搬送力が発生し、供給搬送スクリュー26の正回転によって供給搬送室20cに矢印Q方向の搬送力が発生する。このとき、搬送量調整部55では現像剤の搬送量が低下しないため、現像剤の滞留が発生しない。
ところで、トナー受け部材37に堆積したトナーは現像容器20内に浮遊する飛散トナーであり、帯電的に不安定なトナーである。そのため、トナー受け部材37から振るい落とされたトナーを含む現像剤がトナー供給ローラー30上に磁気ブラシを形成し、トナー供給ローラー30から現像ローラー31へトナーが移動して現像に用いられるとかぶり画像等の不具合を発生させる可能性がある。
そこで、本発明では、トナー回収モードの実行によりトナー受け部材37上に堆積したトナーが振動により現像容器20内に回収された時に、回収トナーを多く含む現像剤を強制的に現像装置3aの外部へ排出する現像剤排出モードを実行することとしている。以下、第1実施形態の現像装置3aにおけるトナー回収モードおよび強制排出モードの実行手順について詳細に説明する。なお、現像装置3b〜3dにおいても全く同様の手順でトナー回収モードおよび強制排出モードが実行される。
先ず、前述したように所定のタイミングでトナー受け部材37を振動させてトナー受け面37bに堆積したトナーを振るい落とすトナー回収モードを実行する。トナー受け部材37から滑り落ちたトナーは供給搬送室20cへ戻される。
次に、トナー回収モードに続いて強制排出モードを実行する。図10は、本実施形態の現像装置3aにおいて強制排出モードを実行したときの攪拌部を示す平面断面図である。図10に示すように、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させる強制排出モードを実行すると、攪拌搬送室20bにおいては攪拌搬送スクリュー25の逆回転によって矢印Q方向の搬送力が発生する。そして、搬送量調整部55では現像剤の搬送量が低下する。その結果、逆回転時の現像剤搬送方向(矢印Q方向)に対し現像剤排出部20gの下流側近傍に現像剤の滞留Gが発生する。
図11は、本実施形態の現像装置3aの搬送量調整部55付近を現像剤搬送方向上流側(図10の右側)から見た側面断面図である。図11に示すように、現像剤排出部20gは、攪拌搬送室20bの側面の上方に設けられている。攪拌搬送スクリュー25が正回転する画像形成時には搬送量調整部55に現像剤の滞留が発生しないため、攪拌搬送室20b内の現像剤のレベル(嵩)は現像剤排出部20gよりも下方(図11の実線L1)にある。従って、現像剤排出部20gから現像剤が排出されない。
一方、攪拌搬送スクリュー25が逆回転する強制排出モードの実行時には搬送量調整部55に現像剤の滞留Gが発生し、攪拌搬送室20b内の現像剤排出部20g付近における現像剤のレベル(嵩)は現像剤排出部20gの下端部よりも上方(図11の破線L2)に上昇する。これにより、回収トナーを含む一部の現像剤が現像剤排出部20gから排出される。従って、新たな現像剤の補給による現像剤の嵩上昇を待たずに、現像剤排出部20gから回収トナーを含む現像剤を排出することができる。
この強制排出モードをトナー回収モードの後に行うことにより、回収トナーが供給搬送室20cへ戻されたタイミングに応じて現像剤の排出を行うことができ、帯電量の不安定な回収トナーを効率良く排出することができる。従って、現像剤中のトナーの帯電不良によるかぶり画像やトナー飛散を効果的に抑制することができる。
強制排出モードの実行タイミングは、非画像形成時であれば特に限定されないが、トナー回収モードの実行によって振動発生装置42を動作させ、トナー受け部材37上の堆積トナーを現像容器20内に回収した直後のタイミングが好ましい。また、現像装置3aの使用条件や環境条件等によって強制排出モードの実行タイミングを変更してもよい。
また、回収トナーはトナー供給ローラー30の長手方向全域で回収されるため、強制排出モードの実行時間はトナー供給ローラー30の上流側端部から現像剤排出部20gまでの現像剤の搬送時間以上に設定することが好ましい。搬送時間は、強制排出モードにおける現像剤の循環速度とトナー供給ローラー30の上流側端部(図8の右端部)から現像剤排出部20gまでの距離とを用いて算出可能である。
ところで、カラープリンター100においては、画像濃度及びレジストレーションを適正に設定するためのモード(以下、キャリブレーションモードという)が設定されると、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各画像形成部Pa〜Pdにより中間転写ベルト8上にトナーを転写して各色のパッチ画像(基準画像)を形成し、そのトナー量および基準位置からのずれ量を検出して濃度及び色ずれ補正を行う。画像濃度の調整方法としては、検知された画像濃度に基づいて感光体ドラム1a〜1dの帯電電位、現像装置3a〜3dの現像剤中のトナー濃度、現像バイアス電位、或いは露光装置5による露光量を調整する方法等が挙げられる。
図12は、カラープリンター100の制御経路を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
画像入力部60は、カラープリンター100にパソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
画像濃度センサー61は、中間転写ベルト8上に形成された各色の濃度補正用のパッチ画像のトナー付着量を検出する。画像濃度センサー61としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から各パッチ画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びドラム表面によって反射される光として受光素子に入射する。
トナーの付着量が多い場合には、ドラム表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆に中間転写ベルト8表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。従って、受光した反射光量に基づく受光信号の出力値により各色の基準画像の濃度を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
色ずれ検知センサー63は、中間転写ベルト8上に形成された各色の色ずれ補正用のパッチ画像の位置を検知する。色ずれ検知センサー63としては、画像濃度センサー61と同様の反射型光学センサーが用いられるが、他のセンサーを用いることも可能である。
操作部70には、液晶表示部71、各種の状態を示すLED72が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(CentralProcessing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、演算部97を少なくとも備えている。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、キャリブレーションモードにおいて必要となる画像濃度センサー61の出力値とトナー付着量との関係がトナー付着量データとして記憶されており、トナー付着量から決定されるトナー濃度と、帯電量、現像バイアスの特性値、或いは露光量等の、濃度補正に用いる各パラメーター値とを関連づけて記憶した濃度補正テーブルと、色ずれ検知センサー63によって検知された各色の画像の色ずれ量と、露光装置5の露光開始タイミング或いは露光開始位置とを関連づけて記憶した色ずれ補正テーブルが格納されている。
制御部90は、キャリブレーションモードが設定されると、画像濃度センサー61、及び色ずれ検知センサー63からの出力信号を受信し、RAM93(或いはROM92)に記憶されたトナー付着量データ及び色ずれデータに基づいてトナー付着量及び色ずれ量の算出を行う機能、算出されたトナー付着量に基づいて基準画像の濃度を決定し、予め定められた標準濃度と比較して画像形成部Pa〜Pdの画像形成条件のうち少なくとも一つを調整することにより、各色について濃度補正を行う機能、算出された色ずれ量に基づいて画像形成部Pa〜Pdの画像形成タイミングを調整することにより色ずれ補正を行う機能を有している。なお、キャリブレーションモードは、所定枚数の画像形成処理が終了した時に自動的に設定される。
一時記憶部94は、パソコン等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
前述したように、トナー受け部材37に堆積したトナーは現像容器20内に浮遊する飛散トナーであり、外添剤が脱落或いは埋没した劣化トナーや、トナー粒径が平均粒径からずれた帯電的に不安定なトナーである。そのため、トナー受け部材37を振動させて堆積トナーを振るい落とし、現像容器20内に回収した直後にキャリブレーションモードを実行すると、通常の現像性とは異なる状態で濃度補正に用いる各パラメーター値を調整してしまうこととなる。従って、強制排出モードによって回収したトナーが排出され、通常の現像性に戻ったときには逆に画像濃度が目標値からずれてしまうという問題があった。
また、現像剤中のトナー濃度やトナーの帯電量が不均一であるため、キャリブレーションの実行時に形成される基準画像も不安定となり、キャリブレーション自体の精度も低下する。その結果、キャリブレーション直後の画像品質も悪化するおそれがあった。
特に、現像装置3a〜3d内のトナー濃度を調整することによりキャリブレーションモードを実行する場合、トナー回収モードによって回収したトナーの影響が大きいためキャリブレーションの精度が低下し易くなる。
そこで、本発明のカラープリンター100では、キャリブレーションの実行タイミングに到達したとき、直前のトナー回収モードおよび強制排出モードが実行されてからの印字枚数が所定枚数に到達している場合に限りキャリブレーションモードを実行することとしている。
図13は、カラープリンター100においてキャリブレーションモードを実行する際の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図12を参照しながら、図13のステップに沿ってキャリブレーションの実行手順について説明する。
パソコンからの印字命令を受信することにより印字動作が開始されると(ステップS1)、制御部90はカウンター95により前回のキャリブレーションモードの実行からの印字枚数N1、および前回のトナー回収モード、強制排出モードの実行からの印字枚数N2のカウントアップを開始する(ステップS2)。
次に、制御部90は印字枚数N1が閾値A(例えば2000枚)以上となったか否かを判断する(ステップS3)。印字枚数N1が閾値A未満である場合(ステップS3でNo)はステップS1に戻り、印字動作および印字枚数N1、N2のカウントを繰り返す。印字枚数N1が閾値A以上である場合(ステップS3でYes)は、印字枚数N2が閾値B(例えば50枚)以上となったか否かを判断する(ステップS4)。
印字枚数N2が閾値B未満である場合(ステップS4でNo)はステップS1に戻り、印字動作および印字枚数N1、N2のカウント、印字枚数N1が閾値A以上であるか否かの判断を繰り返す。印字枚数N2が閾値B以上である場合(ステップS4でYes)は、キャリブレーションモードを実行する(ステップS5)。
キャリブレーションモードが実行されると、画像形成部Pa〜Pdにおいて感光体ドラム1a〜1d上に濃度補正用、色ずれ補正用の基準画像が形成される。基準画像は、一次転写ローラー6a〜6dにより中間転写ベルト8の所定位置に転写される。
次に、画像濃度センサー61により濃度補正用の基準画像のトナー付着量(トナー濃度)を検知する。検知されたトナー濃度は制御部90においてそれぞれ標準濃度と比較され、各トナー濃度と標準濃度との濃度差の平均値が算出される。また、色ずれ検知センサー63により色ずれ補正用の基準画像の位置関係を検知する。検知された位置関係は制御部90においてそれぞれ基準位置と比較され、各色の色ずれ量が算出される。
そして、得られた濃度差の平均値に応じて濃度補正に用いるパラメーター値がRAM93(又はROM92)内の濃度補正テーブルから読み出され、制御部90はパラメーター値を変更する制御信号を送信して濃度補正を実行する。また、各色の色ずれ量に応じて色ずれ補正に用いるパラメーター値がRAM93(又はROM92)内の色ずれ補正テーブルから読み出され、制御部90は露光装置5の露光開始位置或いは露光開始タイミングを調整することにより、各色について色ずれ補正を実行する。その後、ベルトクリーナー19により中間転写ベルト8上の基準画像が除去されてキャリブレーションが終了する。
キャリブレーションモードの終了後、印字枚数N1、N2をリセットし(ステップS6)、処理を終了する。
図13に示した制御によれば、直前のトナー回収モードおよび強制排出モードの実行からの印字枚数が所定枚数(閾値B)以上である場合に限りキャリブレーションモードが実行される。その結果、トナー受け部材37に堆積したトナーが現像容器20内に回収された直後のトナーの帯電量が不安定な状態でのキャリブレーションモードの実行が制限されるため、強制排出モードによって回収したトナーが排出され、通常の現像性に戻ったときに画像濃度が目標値からずれてしまうという不具合を抑制することができる。また、キャリブレーションの実行時に形成される基準画像も安定するため、キャリブレーション自体の精度も高めることができる。
また、トナー回収モードによって現像容器20内に回収されたトナーは強制排出モードによって現像容器20の外部へ排出されるため、現像装置3a〜3d内の現像剤をトナーの帯電量が不安定な状態から速やかに元の状態へ戻すことができる。従って、キャリブレーションモードが実行されるまでの画像品質を維持することができる。また、トナー回収モードが実行されてからキャリブレーションモードを実行するまでの印字枚数N2の閾値Bを小さくできるため、キャリブレーションモードの実行タイミングの遅れを極力短縮することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示したトナー受け支持部材35やトナー受け部材37の形状や構成は一例であって上記実施形態に特に限定されるものではなく、これらは現像装置3a〜3dの構成等に応じて適宜設定することができる。