以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、トナーコンテナ4a〜4dによりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置3a〜3dによって感光体ドラム1a〜1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
トナー像が転写される転写紙Pは、画像形成装置100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
図2は、カラープリンター100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、図2は図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器(ケーシング)20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21及び供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
そして、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの上方にはトナー供給ローラー30が配置され、トナー供給ローラー30の右斜め上方には現像ローラー31が対向配置されている。そして、現像ローラー31は現像容器20の開口側(図2の右側)において感光体ドラム1aに対向しており、それぞれの回転軸周りに関してトナー供給ローラー30、現像ローラー31は図2において反時計回り方向に回転する。
攪拌搬送室21には、攪拌搬送スクリュー25aと対面してトナー濃度センサー28が配置されている。トナー濃度センサー28は、現像剤中のキャリアに対するトナーの割合(T/C)を検知するものであり、例えば、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。本実施形態においては、トナー濃度センサー28により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図3参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサー28の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター27(図3参照)に制御信号を送信し、トナーコンテナ4aからトナー補給口(図示せず)を介して攪拌搬送室21に所定量のトナーが補給されるようになっている。
トナー供給ローラー30は、図2において反時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、トナー供給ローラー30と現像ローラー31とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極(主極)と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード33がトナー供給ローラー30の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード33は、トナー供給ローラー30の回転方向(図2の反時計回り方向)において、現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード33の先端部とトナー供給ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、トナー供給ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像電圧電源53から電圧制御回路51(いずれも図3参照)を経由して現像ローラー31及びトナー供給ローラー30に印加される。
前述のように、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室21及び供給搬送室22を循環してトナーを帯電させ、供給搬送スクリュー25bによって現像剤がトナー供給ローラー30に搬送される。そして、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード33によって層厚規制された後、トナー供給ローラー30と現像ローラー31との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー31上のトナー層厚は現像剤の抵抗やトナー供給ローラー30と現像ローラー31との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー31上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
トナー供給ローラー30上の磁気ブラシとの接触によって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向部分(対向領域)に搬送される。現像ローラー31にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室22内に落下する。
その後、トナー濃度センサー28の検知結果に基づいてトナー補給口(不図示)から所定量のトナーが補給され、供給搬送室22及び攪拌搬送室21を循環する間に再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤となる。この現像剤が再び供給搬送スクリュー25bによりトナー供給ローラー30上に供給されて磁気ブラシを形成し、穂切りブレード33へ搬送される。
現像容器20における図2の右側壁において現像ローラー31の近傍には、現像容器20の内側に突出する断面三角形状のトナー受け支持部材35が設けられている。図2に示すように、トナー受け支持部材35は現像容器20の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って配置されており、トナー受け支持部材35の上面はトナー供給ローラー30及び現像ローラー31に対向するとともに、現像ローラー31からトナー供給ローラー30方向に向かって下方に傾斜する壁部を構成している。トナー受け支持部材35の上面には長手方向に沿って、現像ローラー31から引き剥がされて落下するトナーを受けるトナー受け部材37が取り付けられている。
図3は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
電圧制御回路51は、帯電電圧電源52、現像電圧電源53、及び転写電圧電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源は電圧制御回路51からの制御信号によって、帯電電圧電源52は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラーに、現像電圧電源53は現像装置3a〜3d内のトナー供給ローラー30及び現像ローラー31に、転写電圧電源54は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定の電圧を印加する。
画像入力部60は、カラープリンター100にパソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
操作部70には、液晶表示部71、各種の状態を示すLED72が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部70には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
機外温湿度センサー80は、カラープリンター100の設置環境(周辺環境)の温度及び湿度(相対湿度)を検知する。機外温湿度センサー80は、カラープリンター100内部の定着部13等の放熱の影響を受け難い位置に配置されている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(CentralProcessing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、カラープリンター100内の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、後述するシール部材清掃モードにおいて感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像パターンや、シール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を補正するための実行頻度補正テーブル(後述する表1、表2参照)も記憶される。一時記憶部94は、パソコン等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置5、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、定着部13、電圧制御回路51、画像入力部60、操作部70等が挙げられる。
演算部97は、一時記憶部94内のデジタル信号(画像データ)に基づいて画像毎の印字率Pを算出する。算出された印字率PはRAM93に記憶される。そして、後述するシール部材清掃モードの制御において、所定枚数N当たりの平均印字率Pnや、画像毎の印字率Pを積算した累積印字率ΣPを算出する。
図4は、現像装置3a〜3dに用いられるトナー受け支持部材35を現像容器20の内側(図2の左側)から見た斜視図、図5は、トナー受け支持部材35を構成する支持部材本体36の斜視図、図6は、トナー受け支持部材35を構成するトナー受け部材37をトナー受け支持部材35の内側から見た斜視図である。なお、図5では支持部材本体36をトナー受け部材37の装着方向から見た状態を示している。
トナー受け支持部材35は、樹脂製の支持部材本体36と、支持部材本体36に揺動可能に支持される板金製のトナー受け部材37と、トナー受け部材37の長手方向の略中央部に付設される振動発生装置40とを有する。支持部材本体36には、トナー受け部材37を装着したとき振動発生装置40が収納される収納部36aが形成されている。
また、支持部材本体36の上端にはフィルム状のシール部材44が設けられている。シール部材44は、先端部が感光体ドラム1aの表面に接触するように支持部材本体36の長手方向(図4の左右方向)に延在しており、現像容器20(図2参照)内のトナーが外部に漏出しないように遮蔽する機能を有している。シール部材44の材質としては、ウレタンシート等が挙げられる。
トナー受け部材37は、長手方向に沿って屈曲部37aが形成された屈曲形状であり、屈曲部37aを挟んで現像ローラー31(図2参照)に対向するトナー受け面37bと、トナー供給ローラー30に対向する略垂直なトナー落下面37cとに区画される。トナー受け部材37の長手方向の一端側には、トナー受け部材37を接地(アース)する接点バネ48が係合する係合部38が形成されている。接点バネ48の下端部は導電性のバネ受け部材(図示せず)を介して穂切りブレード33(図2参照)に接触する。トナー受け部材37の長手方向略中央部には、振動発生装置40を保持する一対の保持爪39aを有する保持部39が形成されている。振動発生装置40には、振動モーター43(図8参照)の駆動を制御するための回路や電子部品(図示せず)が実装された基板45がビス46によって固定されている。
トナー受け部材37の表面(現像ローラー31又はトナー供給ローラー30との対向面)にはシート部材41a、41bが貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け部材37へのトナー付着を抑制するために、トナー受け部材37よりもトナーが付着し難い材質で形成されている。シート部材41a、41bの材質としては、例えばフッ素樹脂製シート等が挙げられる。
図7は、現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の振動モーター43付近の断面(図4のXX′矢視断面)構造を示す側面断面図、図8は、図7におけるトナー受け支持部材35の部分拡大図である。
図7及び図8に示すように、トナー受け部材37はトナー供給ローラー30側の端縁37dのみが支持部材本体36に当接しており、反対側(感光体ドラム1a側)の端縁37eは自由端となっている。そして、トナー受け面37bの幅方向(図8の左右方向)の略中央部は振動発生装置40を介して支持部材本体36に支持されている。これにより、トナー受け部材37は端縁37dを支点として揺動可能に構成されている。また、振動モーター43は、出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向と略平行になるように配置されている。
トナー受け部材37は現像ローラー31に対向するトナー受け面37bがトナー供給ローラー30側から感光体ドラム1a側に向かって上り勾配となるように傾斜し、トナー供給ローラー30に対向するトナー落下面37cが略垂直になるように配置されている。
シート部材41aは穂切りブレード33側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界を含むトナー受け部材37表面(トナー落下面37c)を覆うように貼り付けられている。また、シート部材41bはシール部材44側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界、係合部38、及び保持部39(図6参照)を含むトナー受け面37bの全域を覆うように貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け面37b、トナー落下面37cへのトナーの付着を抑制するとともに、トナー受け支持部材35とトナー受け部材37との境界からのトナーの漏出、トナー受け支持部材35の内部へのトナーの進入や、トナーの進入に起因する振動モーター43の動作不良を防止する。
非画像形成時に振動モーター43の出力軸43aを高速回転(例えば10,000rpm程度)させることにより、加振用ウェイト50も出力軸43aと共に高速回転する。このとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わるため、出力軸43aを介して振動モーター43及びモーター取付ホルダー42を含む振動発生装置40が振動する。そして、振動発生装置40が取り付けられたトナー受け部材37も振動する。具体的には、トナー受け部材37のトナー受け面37bは端縁37dを支点として端縁37eに向かうにつれて振幅が大きくなるように振動する。
トナー受け面37bの振動により、図8に示すように、トナー受け面37bに堆積したトナーTはトナー受け面37bの傾斜に沿って下方(図8の白矢印方向)に滑り落ち、略垂直なトナー落下面37cとトナー供給ローラー30とで挟まれた領域Rに自由落下する。領域Rに落下したトナーの一部は、そのまま穂切りブレード33とトナー供給ローラー30の隙間を通過して供給搬送室22内に落下する。
ここで、現像ローラー31から引き剥がされて落下するトナーは、支持部材本体36の上端に設けられたシール部材44の先端にも付着する。振動発生装置40が振動すると、支持部材本体36を介してシール部材44も僅かに振動するが、シール部材44の先端に付着したトナーは解れる程度でありトナー受け部材37上に落下しない。その結果、シール部材44の先端にトナーが徐々に堆積していく。そして、堆積したトナーの塊が感光体ドラム1aに移動するとトナー落ちとなって画像不良が発生する。
そこで、本実施形態では、非画像形成時にシール部材44に付着したトナーを除去するシール部材清掃モードを実行可能としている。以下、現像装置3aにおけるシール部材清掃モードの実行手順について詳細に説明する。なお、現像装置3b〜3dにおいても全く同様の手順でシール部材清掃モードが実行される。
シール部材清掃モードを行う場合、先ず帯電装置2a(図1参照)によって感光体ドラム1aの表面を一様に帯電させる。次に、露光装置5(図1参照)によって感光体ドラム1aの表面に所定の静電潜像パターンを形成する。そして、形成された静電潜像パターンがシール部材44を通過するように感光体ドラム1aを回転させる。シール部材44の先端は感光体ドラム1aに接触しているため、静電潜像のエッジ効果(エッジ電界)によってシール部材44の先端に付着したトナーが静電潜像を現像する。これにより、シール部材44に付着したトナーを感光体ドラム1a側に回収する。
図9は、シール部材清掃モードにおいて形成される静電潜像パターンPTの一例を示す図であり、直径(一辺)4ドットで印字率25%(以下、4ドット25%という)のドットパターンについて示している。図9に示す静電潜像パターンPTは、解像度600dpi(1ドット=0.042mm)の4×4=16ドットのうち2×2=4ドット(25%)を露光部D、残りの16−4=12ドットを非露光部(白地部)Wとしたものを、主走査方向(図9の左右方向)及び副走査方向(図9の上下方向)に連続して形成している。
図10は、静電潜像パターンPTによるエッジ効果を比較したグラフである。図10(a)は、図9に示した4ドット25%のドットパターンを示しており、静電潜像のエッジ部(境界)におけるエッジ効果(破線矢印)により、感光体ドラム1aの表面電位が白地部(非露光部)電位(暗電位)Voから露光部電位(明電位)VLに急激に低下している。ドットパターンではエッジ部がパターン全域に亘って存在するため、エッジ効果もパターン全域に亘って発現する。このエッジ効果によってシール部材44の全域に付着したトナーがドットパターンを現像するため、感光体ドラム1a側に移動する。
図10(b)は、ベタ画像(ソリッド画像)の静電潜像パターンを示しており、図10(c)は、白地画像の静電潜像パターンを示している。図10(b)に示すように、ベタ画像では露光部Dの両端のみにエッジ部(境界)が存在し、図10(c)に示すように、白地画像では非露光部Wのみでエッジ部が存在しないため、静電潜像のエッジ効果によりシール部材44のトナーを清掃することはできない。
図11は、静電潜像パターンPTの他の例を示す図であり、4ドット50%のドットパターンを示している。図11に示す静電潜像パターンPTは、解像度600dpi(1ドット=0.042mm)の4×4=16ドットのうち2×2×2=8ドット(50%)を露光部D、残りの16−8=8ドットを非露光部(白地部)Wとしたものを、主走査方向(図11の左右方向)及び副走査方向(図11の上下方向)に連続して形成している。
図11では、露光部Dが千鳥状(ジグザグ状)に配置されているため、図9の電潜像パターンPTに比べて主走査方向及び副走査方向におけるエッジ部(境界)の出現割合が高くなる。従って、図10に示したエッジ効果も高くなるため、シール部材44に付着したトナーをより効果的に回収することができる。なお、ドットパターンは4ドットに限らず、例えば1ドット25%のパターンを用いることもできる。
静電潜像パターンPTは、図9や図11に示すようなドットパターンが最も清掃効果があったが、それに限らず、露光部と白地部(非露光部)のエッジが所定間隔以下で存在するパターンであれば他のパターンを用いることも可能である。例えば、幅1ドット〜2ドットのラインパターンでも効果がある。
静電潜像パターンPTをラインパターンとする場合は、図12に示すような主走査方向に平行なラインパターンや、図13に示す斜めラインパターンのように幅走査方向に所定の角度を有するラインパターンとすることにより、主走査方向におけるエッジ部(境界)の出現割合が高くなる。従って、シール部材44に付着したトナーをより効果的に回収することができる。
また、シール部材44の長手方向全域に付着したトナーを清掃するためには、シール部材44が対向する感光体ドラム1aの画像形成領域の幅方向(ドラム軸方向)全域に亘って静電潜像パターンPTを形成する必要がある。
また、シール部材44に付着したトナーの清掃効果を高めるために、静電潜像パターンPTを形成する際に帯電装置2aに印加する帯電電圧を画像形成時よりも高くして、感光体ドラム1aの表面電位(暗電位)Voを画像形成時よりも高くする。また、露光装置5から感光体ドラム1aに照射する光の光量を画像形成時よりも高くして、感光体ドラム1aの露光部電位(明電位)VLを画像形成時よりも低くする。これにより、静電潜像のエッジ部における電位差ΔV(=Vo−VL)が大きくなるためエッジ効果が強くなり、シール部材44の清掃効果をより向上させることができる。
図14は、本実施形態のカラープリンター100におけるシール部材清掃モードと振動発生装置40のオン/オフの制御例を示すタイミングチャートである。図14に示す制御例では、t1において振動発生装置40の振動を開始し、t2において振動発生装置40の振動を終了した後のt3においてシール部材清掃モードを開始し、t4においてシール部材清掃モードを終了している。これにより、シール部材清掃モードの実行前にシール部材44に付着したトナーを解すことができる。その結果、シール部材44から感光体ドラム1aへトナーが移動し易くなり、シール部材44の清掃効果が向上する。
なお、図14に示した制御に限らず、振動発生装置40の振動を開始した後にシール部材清掃モードを開始し、振動発生装置40の振動を終了した後にシール部材清掃モードを終了してもよい。或いは、振動発生装置40の振動およびシール部材清掃モードを同時に開始し、振動発生装置40の振動を終了した後にシール部材清掃モードを終了してもよい。即ち、振動発生装置40によるシール部材44の振動が終了した後もシール部材清掃モードが継続して実行されるようにすることで、振動発生装置40によって解された状態のトナーをシール部材44から感光体ドラム1aへトナーを移動させることができる。
シール部材清掃モードの実行タイミングとしては、印字動作の終了毎に行っても良いし、連続印字枚数、或いは累積印字枚数が所定枚数に到達した時点等、所定のタイミングで行うようにしても良い。また、所定の印字枚数に到達する毎にシール部材清掃モードを実行することにより、印字枚数に応じて自動的にシール部材44が清掃される。従って、ユーザー自身がシール部材44の清掃を手動で設定する必要がなくなり、設定ミスや設定忘れ、或いは不必要なシール部材の清掃を回避することができる。
なお、シール部材清掃モードの実行中は、少なくとも感光体ドラム1aが回転して静電潜像パターンがシール部材44を通過すればよく、現像装置3aの各部材(トナー供給ローラー30、現像ローラー31等)は非駆動としてもよい。また、シール部材清掃モードの実行中にトナー供給ローラー30、現像ローラー31に電圧を印加すると、現像ローラー31から静電潜像パターンにトナーが現像されてしまい、シール部材44の清掃効果が低下するとともに不必要なトナーが消費される。従って、シール部材清掃モードの実行中はトナー供給ローラー30、現像ローラー31に印加する電圧をオフとしておく。
次に、本実施形態のカラープリンター100において実行されるシール部材清掃モードの第1の制御例について説明する。現像容器20内のトナー飛散量は、トナー外添剤がキャリアに付着してキャリアを汚染することで増加する傾向にある。キャリアが汚染されるとトナーを帯電させる能力が低下し、帯電量の低いトナーが増加するためである。キャリアの汚染は、現像容器20内のトナーが印字によって消費され、不足分を補給するというプロセスによって発生している。従って、トナーの消費・補給の繰り返しが多くなるほどキャリアの汚染がより進行する。
そこで、第1の制御例では、現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積トナー消費量が増加するにつれてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を増加させる。例えば、累積印字枚数が多くなるほど累積トナー消費量も増加するため、図15に示すように累積印字枚数が30k(3万)枚まではシール部材清掃モードの実行頻度を500枚に1回とし、30k〜100k(10万)枚までは250枚に1回、100k枚以降は100枚に1回と実行頻度を高くする。即ち、シール部材清掃モードを実行する基準枚数を500枚として、累積印字枚数が増加するにつれて基準枚数よりも少ない印字枚数でシール部材清掃モードを実行する。これにより、累積印字枚数の増加によりキャリアが汚染されて現像容器20内のトナー飛散量が増加した場合でもトナー落ちの発生を抑制することができる。
また、印字枚数が同一であっても印字率が異なる場合はトナー消費量も異なるため、キャリアの汚染は必ずしも累積印字枚数と相関しない。そこで、図16に示すように、現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積トナー消費量を直接算出し、算出された累積トナー消費量が増加するにつれてシール部材清掃モードの実行頻度を高くすることもできる。これにより、トナー落ちの発生をより確実に抑制することができる。
累積トナー消費量は、現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積印字率、またはトナー補給モーター27の累積回転数(または累積駆動時間)に基づいて算出することができる。累積印字率に基づいて累積トナー消費量を算出する場合、例えばベタ画像と文字画像とでは、印字率が同一であってもトナーの載り量が変化する(文字画像のほうがトナーの載り量が多い)ため、算出されたトナー消費量が実際のトナー消費量と異なる場合がある。従って、トナー補給モーター27の累積回転数(または累積駆動時間)を用いる方が現像容器20内の累積トナー消費量をより正確に算出することができる。
図17は、本実施形態のカラープリンター100におけるシール部材清掃モードの第1の制御例を示すフローチャートである。図17のステップに沿ってシール部材清掃モードの実行手順について説明する。
パソコンからの印字命令を受信することにより印字動作が開始されると(ステップS1)、制御部90はカウンター95により印字枚数Nのカウントアップを開始する(ステップS2)。また、制御部90は、演算部97において現像装置3a〜3dの使用開始時からの印字枚数を累積した累積印字枚数ΣNを算出し、算出された累積印字率ΣNに基づいてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(基準枚数)である閾値Naを決定する(ステップS3)。例えば累積印字枚数ΣNが1万枚である場合は、図15から閾値Naが500枚に設定される。累積印字枚数ΣNが3万枚である場合は、図15から閾値Naが250枚に設定される。
次に、制御部90は印字枚数NがステップS3で設定された閾値Na(例えば500枚)に到達したか否かを判断し(ステップS4)、N1≧Naである場合は(ステップS4でYes)シール部材清掃モードを実行し(ステップS5)、印字枚数Nのカウント値をリセットする(ステップS6)。その後、ステップS1に戻り、同様の制御を繰り返す。なお、ステップS4においてN1<Naである場合は(ステップS4でNo)、シール部材清掃モードを実行せずにステップS1に戻り、印字動作が開始されると印字枚数Nを継続してカウントし、同様の制御を繰り返す。
上記の制御によれば、現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積印字枚数に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度を決定する閾値Naが決定されるため、キャリアの汚染を考慮した適切な実行頻度でシール部材清掃モードを実行することができる。従って、シール部材44からのトナー落ちの発生や、不必要なシール部材清掃モードの実行を効果的に抑制することができる。
次に、カラープリンター100において実行されるシール部材清掃モードの第2の制御例について説明する。印字される画像の印字率が高くなるほど現像ローラー31から引き剥がされて現像容器20内に飛散するトナー量が多くなる。一般に、出力画像全体の印字率が高い場合、即ち、トナーコンテナ4a〜4dから現像装置3a〜3dへのトナー補給量が多い場合は、現像装置3a〜3d内における補給トナーとキャリアとの混合が不十分となり、トナーの帯電量が低下する。特に、高湿環境下においては現像装置3a〜3d内のトナーの帯電量(帯電量分布)が低くなる方向にシフトするため、高湿環境下で高印字率の画像を連続印字した場合に現像装置3a〜3d内において帯電量の低いトナーの比率が増加する。
一方、画像形成時においては、現像に用いられなかった現像ローラー31上のトナーがトナー供給ローラー30によって引き剥がされ、トナー供給ローラー30から現像ローラー31に新たなトナーが再供給されている。高印字率の画像を印字した場合はトナーの帯電量が低下し、且つトナー供給ローラー30と現像ローラー31との間のトナーの受け渡し量が増加するため、現像容器20内に飛散するトナー量も増加する。従って、低印字率の画像を印字した場合に比べてシール部材44の先端に付着するトナー量も増加する。
そこで、第2の制御例では、第1の制御例と同様に現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積トナー消費量が増加するにつれてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を増加させるとともに、前回のシール部材清掃モードの実行後、所定の印字枚数毎に平均印字率を算出し、平均印字率に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を補正する。具体的には、平均印字率が高くなるにつれてシール部材清掃モードの実行頻度を増加させる。実行頻度補正テーブルの一例を表1に示す。
表1の例では、平均印字率が50%以上のときシール部材清掃モードの実行頻度を500枚に1回とし、これを実行頻度の閾値(基準枚数)とする。そして、平均印字率が20%以上50%未満のとき1250枚に1回、平均印字率が10%以上20%未満のとき2500枚に1回、平均印字率が5%以上10%未満のとき5000枚に1回、平均印字率が2%以上5%未満のとき12500枚に1回、平均印字率が1%以上2%未満のとき25000枚に1回とする。
これにより、平均印字率が高い場合はシール部材清掃モードの実行頻度が高くなるため、シール部材44からのトナー落ちの発生を効果的に防止することができる。また、平均印字率が低い場合はシール部材清掃モードの実行頻度が低くなるため、不必要なシール部材清掃モードの実行による画像形成効率の低下を抑制することができる。
図18は、本実施形態のカラープリンター100におけるシール部材清掃モードの第2の制御例を示すフローチャートである。図18のステップに沿ってシール部材清掃モードの実行手順について説明する。
パソコンからの印字命令を受信することにより印字動作が開始されると(ステップS1)、制御部90はカウンター95により印字枚数のカウントアップを開始する(ステップS2)。より具体的には、カウンター95においてシール部材清掃モードの実行の要否を決定する印字枚数N1と、トナー回収量の算出タイミングとなる印字枚数N2の両方のカウントアップを行う。また、制御部90は、演算部97において現像装置3a〜3dの使用開始時からの印字枚数を累積した累積印字枚数ΣNを算出し、算出された累積印字率ΣNに基づいてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(基準枚数)である閾値Naを決定する(ステップS3)。例えば累積印字枚数ΣNが1万枚である場合は、図15から閾値Naが500枚に設定される。累積印字枚数ΣNが3万枚である場合は、図15から閾値Naが250枚に設定される。
次に、制御部90は印字枚数N1がステップS3で設定された閾値Na(例えば500枚)に到達したか否かを判断し(ステップS4)、N1≧Naである場合は(ステップS4でYes)シール部材清掃モードを実行し(ステップS5)、印字枚数N1のカウント値をリセットする(ステップS6)。
次に、制御部90は印字枚数N2が所定の閾値Nb(ここでは500枚)に到達したか否かを判断する(ステップS7)。閾値Nbに到達している場合は(ステップS7でYes)、印字枚数N2当たりの平均印字率Pnを算出し(ステップS8)、印字枚数N2のカウント値をリセットする(ステップS9)。制御部90は、算出された平均印字率Pnに基づいて閾値Naを補正する必要があるか否かを判断し(ステップS10)、補正が必要である場合(ステップS10でYes)はトナー回収量に応じて閾値Naを補正する(ステップS11)。
具体的には、RAM93(又はROM92)に記憶されている実行頻度補正テーブルを読み出し、平均印字率Pnに応じた閾値Naに補正する。例えば平均印字率Pnが5%である場合は、表1から閾値Naを5000枚に補正する。
その後、ステップS1に戻り、同様の制御を繰り返す。なお、ステップS10において閾値Naの補正が不要である場合は(ステップS10でNo)、Naの補正を行わずにステップS1に戻り、同様の制御を繰り返す。
上記の制御によれば、現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積印字枚数に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度を決定する閾値Naが決定されるため、キャリアの汚染を考慮した適切な実行頻度でシール部材清掃モードを実行することができる。
また、平均印字率が高い場合は閾値Naを初期値(500枚)に維持することでシール部材清掃モードの実行頻度が高い状態に維持されるため、シール部材44からのトナー落ちの発生を効果的に防止することができる。また、平均印字率が低い場合は閾値Naを補正する(例えば5000枚にする)ことでシール部材清掃モードの実行頻度が減少するため、不必要なシール部材清掃モードの実行による画像形成効率の低下を抑制することができる。
次に、本実施形態のカラープリンター100において実行されるシール部材清掃モードの第3の制御例について説明する。前述したように、高湿環境下においては現像装置3a〜3d内のトナーの帯電量が低くなる方向にシフトするため、現像容器20内のトナー飛散量は、カラープリンター100が高温高湿環境下で使用される場合に増加する傾向にある。
そこで、第3の制御例では、第1の制御例と同様に現像装置3a〜3dの使用開始時からの累積トナー消費量が増加するにつれてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を増加させるとともに、前回のシール部材清掃モードの実行後、所定の印字枚数毎に絶対湿度を検知し、検知された絶対湿度に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を補正する。具体的には、絶対湿度が高くなるにつれてシール部材清掃モードの実行頻度を増加させる。
絶対湿度は、機外温湿度センサー80によって検知された機外温度T[℃]および機外湿度(相対湿度)RH[%]から算出することができる。先ず、機外温度Tから以下の式により飽和水蒸気圧Eを求める。
E=6.11*10(7.5*T/(237.3+T))・・・(1)
次に、得られた飽和水蒸気圧Eから以下の式(2)により設置環境(周辺環境)の水蒸気分圧Epを算出する。
Ep=E*RH/100・・・(2)
そして、得られた水蒸気分圧Epから以下の式により絶対湿度H[g/m3]を求めることができる。
H=217*Ep/T・・・(3)
実際の制御では、上述した温度および相対湿度と絶対湿度との関係に基づいて機外温湿度とシール部材清掃モードの実行頻度とを関連づけてテーブル化した実行頻度補正テーブルをRAM93(又はROM92)に記憶しておき、機外温湿度センサー80によって検知された機外温湿度と実行頻度補正テーブルとを用いてシール部材清掃モードの実行頻度の基準値(閾値)を補正する。実行頻度補正テーブルの一例を表2に示す。
表2の例では、温湿度が33℃/80%以上のときシール部材清掃モードの実行頻度を500枚に1回とし、これを実行頻度の閾値(基準枚数)とする。そして、温湿度が28℃%/80%〜33℃/80%のとき1250枚に1回、26℃/70%〜28℃/80%のとき2500枚に1回、23℃/55%〜26℃/70%のとき5000枚に1回、18℃/20%〜23℃/55%のとき12500枚に1回、10℃/10%〜18℃/20%のとき25000枚に1回とする。
これにより、高温高湿環境下での使用によりトナーの帯電量が低くなり、現像容器20内のトナー飛散量が増加した場合でもトナー落ちの発生を抑制することができる。なお、表2は実行頻度補正テーブルを簡易的に示したものであり、実際のテーブルはマトリクスの各行及び各列にそれぞれ機外温度Tおよび機外湿度RHが所定間隔(例えば10℃および10%間隔)で割り当てられ、行及び列の交差する位置にその温湿度条件におけるシール部材清掃モードの実行頻度が割り当てられている。
図19は、本実施形態のカラープリンター100におけるシール部材清掃モードの第3の制御例を示すフローチャートである。図19のステップに沿ってシール部材清掃モードの実行手順について説明する。パソコンからの印字命令を受信することにより印字動作が開始され、シール部材清掃モードを実行して印字枚数N1のカウント値をリセットするまでの制御(ステップS1〜S6)は第2の実施例と同様である。
次に、制御部90は印字枚数N2が所定の閾値Nb(ここでは500枚)に到達したか否かを判断する(ステップS7)。閾値Nbに到達している場合は(ステップS7でYes)、機外温湿度センサー80により機外温度Tおよび機外湿度RHを検知し(ステップS8)、印字枚数N2のカウント値をリセットする(ステップS9)。制御部90は、機外温湿度センサー80から送信された機外温度Tおよび機外湿度RHの検知結果に基づいて閾値Naを補正する必要があるか否かを判断し(ステップS10)、補正が必要である場合(ステップS10でYes)は機外温度Tおよび機外湿度RHに応じて閾値Naを補正する(ステップS11)。
具体的には、RAM93(又はROM92)に記憶されている実行頻度補正テーブルを読み出し、機外温度Tおよび機外湿度RHに応じた閾値Naに補正する。例えば、機外温度Tが26℃、機外湿度RHが70%である場合は、表2から閾値Naを2500枚に補正する。
その後、ステップS1に戻り、同様の制御を繰り返す。なお、ステップS10において閾値Naの補正が不要である場合は(ステップS10でNo)、Naの補正を行わずにステップS1に戻り、同様の制御を繰り返す。
上記の制御によれば、カラープリンター100の使用環境(温湿度)に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度を決定する閾値Naが決定されるため、トナー帯電量の変化に基づく現像容器20内のトナー飛散量を考慮した適切な実行頻度でシール部材清掃モードを実行することができる。従って、シール部材44からのトナー落ちの発生や、不必要なシール部材清掃モードの実行を効果的に抑制することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示したトナー受け支持部材35やトナー受け部材37の形状や構成は一例であって上記実施形態に特に限定されるものではなく、これらは装置構成等に応じて適宜設定することができる。
また、上記実施形態では、本発明を、二成分現像剤を用い、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシを形成し、トナー供給ローラー30から現像ローラー31にトナーのみを移動させ、現像ローラー31から感光体ドラム1a〜1dにトナーを供給する現像装置3a〜3dに適用したが、トナー供給ローラー30を用いずに現像ローラー31の外周面に形成された磁気ブラシを用いて感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像を現像する二成分現像方式の現像装置にも適用することができる。以下、実施例を用いて本発明の効果を更に詳細に説明する。
平均印字率に応じてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた場合の生産性(画像形成効率)とトナー落ちの抑制効果について調査した。試験機として、図2に示した現像装置3a〜3dが搭載された、図1に示したカラープリンター100(TASKalfa7551ci、京セラドキュメントソリューションズ社製)を用いた。そして、A3サイズの用紙にハーフ画像を連続印字し、表1に示したように平均印字率に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた場合(本発明)と、平均印字率に関係なく連続印字中500枚毎にシール部材清掃モードを実行した場合(比較例)とで、生産性とハーフ画像上のトナー落ちの発生個数とを比較した。
シール部材清掃モードは、トナー供給ローラー30、現像ローラー31に印加する電圧をオフとし、感光体ドラム1a〜1dの表面に図10に示した4ドット25%の静電潜像パターンPTを形成した。その後、静電潜像パターンPTがシール部材44を通過するように感光体ドラム1a〜1dを回転させた。また、振動発生装置40を振動させた後にシール部材清掃モードを実行した。
試験機の条件として、画像形成時における感光体ドラム1a〜1dの表面電位を230Vとし、シール部材清掃モードにおける感光体ドラム1a〜1dの表面電位を370Vとした。また、画像形成時における露光装置5の光量を100%としたとき、シール部材清掃モードにおける露光装置5の光量を150%とした。
生産性は、1時間連続印字を行った際の1分間当たりの平均出力枚数で評価した。トナー落ちは1日当たり20k(2万)枚の出力を連続して10日間(計20万枚)出力した際のトナー落ちの発生個数で評価した。本発明および比較例の結果をそれぞれ表3、表4に示す。
表3から明らかなように、平均印字率に応じてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた本発明では、平均印字率が低い場合にシール部材清掃モードの実行頻度が減少するため、1分間当たりの平均出力枚数を平均印字率が1%〜5%の範囲で75枚、平均印字率が5%〜10%の範囲で74枚、平均印字率が10%〜20%の範囲で72.5枚まで増加させることができた。これに対し、表4から明らかなように、常に印字500枚に1回の割合でシール部材清掃モードを実行した比較例では、平均印字率に関係なく1分間当たりの平均出力枚数が71枚であった。なお、本発明および比較例のいずれにおいても、20万枚連続印字におけるトナー落ちの発生は認められなかった。
機外温度および機外湿度に応じてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた場合の生産性(画像形成効率)とトナー落ちの抑制効果について調査した。実施例1と同様の試験機(TASKalfa7551ci、京セラドキュメントソリューションズ社製)を用いてA3サイズの用紙にハーフ画像を連続印字し、温湿度に基づいてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた場合(本発明)と、温湿度に関係なく連続印字中500枚毎にシール部材清掃モードを実行した場合(比較例)とで、生産性とハーフ画像上のトナー落ちの発生個数とを比較した。試験機の条件、生産性およびトナー落ちの評価方法は実施例1と同様とした。本発明および比較例の結果をそれぞれ表5、表6に示す。
表5から明らかなように、温湿度に応じてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させた本発明では、温湿度が低い場合にシール部材清掃モードの実行頻度が減少するため、1分間当たりの平均出力枚数を温湿度が10℃/10%〜23℃/55%の範囲で75枚、温湿度が26℃/70%のとき74枚、温湿度が28℃/80%のとき72.5枚まで増加させることができた。これに対し、表6から明らかなように、常に印字500枚に1回の割合でシール部材清掃モードを実行した比較例では、温湿度に関係なく1分間当たりの平均出力枚数が71枚であった。なお、本発明および比較例のいずれにおいても、20万枚連続印字におけるトナー落ちの発生は認められなかった。
実施例1および実施例2の結果より、平均印字率または温湿度条件に応じてシール部材清掃モードの実行頻度を変化させることで、生産性を極力維持しつつ、耐久印字後のトナー落ちの発生も効果的に抑制できることが確認された。