JP2019128305A - パワーリザーブ表示機構付き時計 - Google Patents

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正志 ▲高▼野
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【課題】部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができるパワーリザーブ表示機構付き時計を提供する。【解決手段】ぜんまいの巻上げ時に第1方向Pに回転し、ぜんまいの巻き戻り時に第1方向Pとは逆方向である第2方向Qに回転するパワーリザーブ表示車30と、パワーリザーブ表示車30に取り付けられるパワーリザーブ針と、第1当接部81および第2当接部82を有する規制部材とを備え、パワーリザーブ表示車30は、回転に伴い、第1当接部81および第2当接部82の間を移動する突出部34を有し、第1取付状態および第2取付状態で取り付け可能であり、第1取付状態で取り付けられた場合、突出部34が第1回転角度R1の範囲で回転可能とされ、第2取付状態で取り付けられた場合、突出部34が第2回転角度の範囲で回転可能とされ、第1回転角度R1および第2回転角度は異なる角度である。【選択図】図6

Description

本発明はパワーリザーブ表示機構付き時計に関する。
従来より、機械式時計に使用されるぜんまいの巻上げ量の残量を表示するパワーリザーブ表示機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のパワーリザーブ表示機構は、表示車の回転軸に設けられた表示筒に動力残量を示す表示針が設けられている。そして、ぜんまいの巻上げ時および巻戻り時において、表示車の回転に応じて表示筒が回転することにより、表示針が回転して動力残量を示すようにしている。
特許文献1に記載のパワーリザーブ表示機構では、表示筒に設けられた突起が輪列受けに設けられた2つの突き出しダボに当接することで、表示筒の回転が規制されて、表示筒に取り付けられた表示針の回転規制が行われている。
特開2000−98056号公報
このような特許文献1のパワーリザーブ表示機構において、持続時間の異なる2種類のぜんまいを使用する場合、表示筒の回転角度を、それぞれのぜんまいの持続時間に応じた角度にする必要がある。そのため、それぞれのぜんまいの持続時間に応じて突き出しダボの位置が決められた2種類の輪列受けを用意する必要があるので、輪列受けを共通化することができず、部品種類が増えてしまう。したがって、生産効率が低下し、生産コストも増加するという課題がある。
本発明の目的は、部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができるパワーリザーブ表示機構付き時計を提供することにある。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計は、ぜんまいの巻上げ時に第1方向に回転し、前記ぜんまいの巻き戻り時に前記第1方向とは逆方向である第2方向に回転するパワーリザーブ表示車と、前記パワーリザーブ表示車に取り付けられるパワーリザーブ針と、第1当接部および第2当接部を有する規制部材と、を備え、前記パワーリザーブ表示車は、回転に伴い、前記第1当接部に当接する位置および前記第2当接部に当接する位置の間を移動する突出部を有し、第1取付状態および第2取付状態で取り付け可能であり、前記第1取付状態で取り付けられた前記パワーリザーブ表示車は、前記第1方向に回転する際に、前記突出部が前記第2当接部に当接する位置から前記第1当接部に当接する位置までの第1回転角度の範囲で回転可能とされ、前記第2取付状態で取り付けられた前記パワーリザーブ表示車は、前記第1方向に回転する際に、前記突出部が前記第1当接部に当接する位置から前記第2当接部に当接する位置までの第2回転角度の範囲で回転可能とされ、前記第1回転角度および前記第2回転角度は異なる角度であることを特徴とする。
本発明では、パワーリザーブ表示車は、第1取付状態および第2取状態置で取り付け可能である。そして、パワーリザーブ表示車は、第1取付状態で取り付けられた場合、第1方向に回転する際に、突出部が第2当接部に当接する位置から第1当接部に当接する位置までの第1回転角度の範囲で回転する。また、パワーリザーブ表示車は、第2取付状態で取り付けられた場合、第1方向に回転する際に、突出部が第1当接部に当接する位置から第2当接部に当接する位置までの第2回転角度の範囲で回転する。ここで、第1回転角度および第2回転角度は異なる角度であるため、パワーリザーブ表示車を回転角度の異なる取付状態で取り付けることができる。さらに、パワーリザーブ針は、パワーリザーブ表示車に取り付けられるので、突出部が突出する方向に対して、パワーリザーブ針が指示する方向を変更することができる。すなわち、パワーリザーブ表示車が第1取付状態または第2取付状態のいずれの取付状態で取り付けられた場合でも、パワーリザーブ針を同じ方向に向けて取り付けることができる。そのため、第1回転角度および第2回転角度がそれぞれ持続時間の異なるぜんまいに応じた角度になるように第1当接部および第2当接部を設けることにより、規制部材を変更することなく持続時間の異なる2種類のぜんまいに対して、パワーリザーブ針の回転規制を行うことができる。すなわち、持続時間の異なる2種類のぜんまいにおいて、規制部材を共通化することができる。したがって、部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計において、前記規制部材は、前記パワーリザーブ表示車を回転自在に支持するパワーリザーブ表示輪列受けに設けられることが好ましい。
本発明では、規制部材がパワーリザーブ表示輪列受けに設けられるので、規制部材を設けるための部品を別部品として用意する必要がなく、部品種類を少なくすることできる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。さらに、パワーリザーブ表示車を支持するパワーリザーブ表示輪列受けに、第1当接部および第2当接部を有する規制部材が設けられることから、突出部に対する第1当接部および第2当接部の相対位置の精度を高くすることができる。そのため、パワーリザーブ針の回転規制の精度を高くすることができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計において、前記パワーリザーブ表示輪列受けは、前記第1当接部および前記第2当接部と、前記パワーリザーブ表示車の回転軸を回転自在に支持する軸受部と、を備え、前記第1当接部および前記第2当接部と、前記軸受部とは、前記パワーリザーブ表示車の回転軸方向の位置が異なることが好ましい。
本発明では、第1当接部および第2当接部と軸受部とは、パワーリザーブ表示車の回転軸方向の位置が異なるため、第1当接部および第2当接部と、突出部とを回転軸方向の同じ位置に設けることができる。そのため、簡単な構造で突出部の回転を第1当接部および第2当接部にて規制することができる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計は、ぜんまいの巻上げ時に第1方向に回転し、前記ぜんまいの巻き戻り時に前記第1方向とは逆方向である第2方向に回転するパワーリザーブ表示車と、前記パワーリザーブ表示車に取り付けられるパワーリザーブ針と、第1当接部および第2当接部を有する規制部材と、を備え、前記パワーリザーブ表示車は、回転に伴い、前記第1当接部に当接する位置および前記第2当接部に当接する位置の間を移動する突出部を有し、前記第1当接部および前記第2当接部のいずれか一方は偏心ピンであることを特徴とする。
本発明では、突出部が、規制部材に設けられた第1当接部および第2当接部の間を回転する。ここで、第1当接部および第2当接部のいずれか一方は偏心ピンであるので、当該偏心ピンを回転させることで、突出部と偏心ピンとの当接箇所を変化させることができる。これにより、突出部の回転角度を一定の範囲で任意の角度にすることができるので、ぜんまいの持続時間に応じて突出部の回転角度を調整することができる。そのため、持続時間の異なるぜんまいにおいて、規制部材を共通化することができるので、部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計において、前記パワーリザーブ表示車は、前記ぜんまいの巻上げ時の回転と、巻き戻り時の回転とが伝達されるパワーリザーブ針車と、前記パワーリザーブ針車の回転軸に取り付けられるパワーリザーブ表示筒とを備え、前記突出部は前記パワーリザーブ表示筒に設けられ、前記パワーリザーブ針は前記パワーリザーブ表示筒に取り付けられることが好ましい。
本発明では、突出部はパワーリザーブ表示筒に設けられ、パワーリザーブ針はパワーリザーブ表示筒に取り付けられる。そのため、突出部およびパワーリザーブ針をパワーリザーブ表示車の回転軸とは別部品として製作することができるので、パワーリザーブ表示車を構成する部品を容易に製作することができる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計において、前記パワーリザーブ表示筒は、前記突出部に一定以上のトルクがかかった際に、前記パワーリザーブ針車の回転軸に対してスリップするように取り付けられていることが好ましい。
本発明では、例えば、巻き上げ時において、突出部が第1当接部または第2当接部に当接した後、さらに巻上げられて突出部に一定以上のトルクがかかると、パワーリザーブ針車の回転軸に対してパワーリザーブ表示筒はスリップする。つまり、この場合、パワーリザーブ針車が回転しても、パワーリザーブ表示筒は回転しない。そのため、パワーリザーブ表示筒に一定以上のトルクがかかることはなく、パワーリザーブ表示筒が損傷することを防ぐことができる。
本発明のパワーリザーブ表示機構付き時計において、前記規制部材は、カレンダー裏板に設けられることが好ましい。
本発明では、規制部材はカレンダー裏板に設けられるので、規制部材を設けるための部品を別部品として用意する必要がなく、部品種類を少なくすることできる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本発明の第1実施形態に係る第1のパワーリザーブ表示機構付き時計を示す正面図。 第1実施形態の第2のパワーリザーブ表示機構付き時計を示す正面図。 第1実施形態のぜんまいおよびパワーリザーブ表示輪列の要部を示す図。 第1実施形態のパワーリザーブ表示輪列の噛み合い状態を示す平面図。 第1実施形態のパワーリザーブ表示輪列受けの概略を示す平面図。 第1実施形態のパワーリザーブ表示輪列受けの要部を示す図。 第1実施形態のパワーリザーブ表示輪列受けの要部を示す図。 本発明の第2実施形態に係るパワーリザーブ表示輪列の要部を示す図。 第2実施形態のパワーリザーブ表示輪列受けの要部を示す図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るパワーリザーブ表示機構付き時計1(以下、時計1と称す)について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の第1の時計1を示す正面図であり、図2は第2の時計1Aを示す正面図である。本実施形態では、時計1は持続時間が40時間であるぜんまいが使用されており、時計1Aは持続時間が50時間であるぜんまいが使用されている。すなわち、時計1と時計1Aとでは、持続時間の異なるぜんまいが使用されている。なお、時計1と時計1Aとは、使用されるぜんまいと、後述する目盛22、22A以外の構成は同じである。そのため、以下では時計1の詳細について説明する。
[時計の表示機構]
時計1は、図1に示すように、外装ケース2と、外装ケース2内に設けられた文字板3、時針5、分針6、秒針7、日車8と、外装ケース2の側面に設けられたりゅうず9と、パワーリザーブ表示機構20とを備えている。
時針5、分針6、秒針7は、文字板3の平面中心位置に回転軸が配置されている。そして、時針5、分針6、秒針7は、図3に示すぜんまい10で駆動される輪列の筒車、2番車、4番車に取り付けられて駆動されるものである。また、日車8は、図示は省略するが、筒車から中間車を介して回転する日回し車によって駆動されるものである。
時針5、分針6、秒針7や日車8のぜんまい10による駆動機構は、従来から周知のものであり、本発明の要部ではないため、詳細な説明は省略する。
[ぜんまいおよび香箱車]
図3は、本実施形態のぜんまい10およびパワーリザーブ表示機構20の要部を示す断面図である。
ぜんまい10は、図3に示すように、香箱車11に収納されている。香箱車11は、香箱12と、香箱真13を備えている。香箱真13は、角穴車14と一体に回転可能とされ、かつ、香箱真かな15が取り付けられている。また、香箱12には、香箱かな16が一体に固定されている。
角穴車14は、りゅうず9等に接続されており、巻上げ機構によって回転されると、香箱真13を回転して、ぜんまい10を巻き上げるようになっている。なお、角穴車14は、図示しない自動巻用の回転錘等に接続されていてもよい。
[パワーリザーブ表示機構]
パワーリザーブ表示機構20は、駆動源であるぜんまい10の持続時間を示すものであり、パワーリザーブ表示輪列21と、図1に示す文字板3上に配置された扇形の目盛22と、パワーリザーブ針23とを備える。ここで、図1に示す第1の時計1では、目盛22に40時間の目盛が表示されており、図2に示す第2の時計1Aでは、目盛22Aに50時間の目盛が表示されている。
パワーリザーブ表示輪列21は、図3、4に示すように、パワーリザーブ表示車30と、第1表示伝え車40と、第2表示伝え車50と、第2表示伝え車50に搭載された第3表示伝え車60と、中間車70と、を備える。第1表示伝え車40および第2表示伝え車50は、第3表示伝え車60を挟んで対向配置されている。そして、パワーリザーブ表示輪列21は、パワーリザーブ表示輪列受け80および地板17に支持されている。
パワーリザーブ表示車30は、本願発明の回転軸である表示真31と、表示真31に設けられたパワーリザーブ針車32と、表示真31に取り付けられるパワーリザーブ表示筒33とを備える。パワーリザーブ表示筒33は、一方の端部付近に、表示真31の回転軸方向と直交する方向に突出した突出部34を有している。また、パワーリザーブ表示筒33には、パワーリザーブ針23が取り付けられ、パワーリザーブ表示車30の回動によりパワーリザーブ針23が連動して回動するように構成されている。なお、パワーリザーブ針23は、パワーリザーブ表示筒33に圧入により取り付けられているので、突出部34が突出する方向に対して、パワーリザーブ針23が指示する方向を変更することができる。本実施形態では、パワーリザーブ針23は、ぜんまい10が完全に巻き戻った際に、針先が目盛22の0を指すように、パワーリザーブ表示筒33に対して取り付けられている。
第1表示伝え車40は、第1表示伝え歯車41と、第1表示伝え歯車41に固定された第1表示伝えかな42とを備える。第1表示伝えかな42は、表示真31に回転自在に軸支され、これにより、第1表示伝え車40はパワーリザーブ表示車30と同軸(同心)で回動自在に配置されている。第1表示伝え歯車41は、香箱真かな15に噛み合っている。
第2表示伝え車50は、地板17に回転自在に軸支され、パワーリザーブ表示車30、第1表示伝え車40と同軸(同心)とされている。第2表示伝え車50の外周には、第2表示伝え歯車51が形成されている。また、第2表示伝え車50の回転軸に対して偏心した位置には、ピン状の回転軸52が固定されている。
第3表示伝え車60は、第3表示伝え歯車61と、第3表示伝え歯車61に一体に固定された第3表示伝えかな62とを備え、第2表示伝え車50の回転軸52に回動自在に軸支されている。
第3表示伝え歯車61は、第1表示伝えかな42に噛み合い、第3表示伝えかな62はパワーリザーブ針車32に噛み合っている。
中間車70は、中間歯車71と、中間歯車71に一体に固定された中間かな72とを備え、地板17に回転自在に取り付けられている。
中間歯車71は、香箱かな16に噛み合い、中間かな72は第2表示伝え歯車51に噛み合っている。
図5は、時計1の表側から見た本実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け80の概略を示す平面図である。なお、図5において、パワーリザーブ表示輪列受け80は二点鎖線で示されている。
パワーリザーブ表示輪列受け80は、図3、5に示すように、日車8の回転をガイドするように、日車8の裏側に取り付けられている。すなわち、本実施形態では、パワーリザーブ表示輪列受け80はカレンダー裏板と一体に形成されている。なお、本実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け80の詳細については後述する。
[パワーリザーブ表示輪列受け]
図6は、時計1の表側から見た本実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け80の要部を示す図である。
パワーリザーブ表示輪列受け80には、図3に示すように、表示真31を回転自在に支持する軸受部83が時計1の表側に向かって折り曲げられて設けられている。そして、突出部34の表示真31の回転軸方向(時計1の厚さ方向)における位置は、パワーリザーブ表示輪列受け80と同じ位置に配置されている。これにより、突出部34は、図6に示すように、パワーリザーブ表示輪列受け80の第1当接部81に当接する位置から第2当接部82に当接する位置までの範囲で回転する。このように、本実施形態では、突出部34の回転角度が第1当接部81および第2当接部82で規制されることで、パワーリザーブ針23の回転が規制される構成となっている。すなわち、パワーリザーブ表示輪列受け80に、第1当接部81および第2当接部82を有する規制部材が設けられている。そのため、本実施形態では、規制部材は、カレンダー裏板と一体に形成されたパワーリザーブ表示輪列受け80に設けられている。
また、本実施形態では、パワーリザーブ表示輪列受け80には、軸受部83が時計1の表側に向かって折り曲げられて設けられているため、当該軸受部83と、第1当接部81および第2当接部82とは、表示真31の回転軸方向の位置が異なる。これにより、表示真31の回転軸方向の同じ位置に、第1当接部81および第2当接部82と、突出部34とを設けることができる。そのため、パワーリザーブ表示輪列受け80を折り曲げるだけの簡単な構造で、突出部34の回転を規制することができる。
[パワーリザーブ表示輪列の動作]
このようなパワーリザーブ表示輪列21において、ぜんまい10の巻上げ時および巻戻り時の動作について説明する。
りゅうず9等によるぜんまい10の巻上げ操作で角穴車14が回転されると、図3に示す香箱真13が回転してぜんまい10が巻き上げられる。また、香箱真13の回転に伴い、図4に示す香箱真かな15が回転し、そのトルク(駆動力)は第1表示伝え車40、第3表示伝え車60、パワーリザーブ表示車30に伝達される。ここで、ぜんまい10の巻上げ時には香箱車11は回転が遅くほぼ停止状態のため、中間車70および第2表示伝え車50は停止状態とされ、第3表示伝え車60はその場で回転(自転)してパワーリザーブ表示車30を第1方向Pに回転させる。
ここで、時計1では、図6に示すように、パワーリザーブ表示車30は、ぜんまい10の巻上げ時に第1方向Pに回転する際に、突出部34が第2当接部82に当接する位置から第1当接部81に当接する位置までの第1回転角度R1の範囲で回転可能である第1取付状態で取り付けられている。この際、パワーリザーブ表示筒33に取り付けられたパワーリザーブ針23は、図1に示す目盛22において、針先が0を指示する位置から40を指示する位置まで移動する。なお、パワーリザーブ表示筒33は、突出部34が第1当接部81に当接した後、さらに巻き上げられて突出部34に一定以上のトルクがかかると、表示真31に対してスリップするように取り付けられている。つまり、この場合、パワーリザーブ針車32が回転しても、パワーリザーブ表示筒33は回転しない。
また、ぜんまい10の巻き戻り時には、図3に示す、角穴車14および香箱真13、香箱真かな15が停止しているために、第1表示伝え車40も停止している。そして、香箱車11が回転されると、そのトルク(駆動力)は、図4に示す、中間車70から第2表示伝え車50、第3表示伝え車60、パワーリザーブ表示車30に伝達される。この際、第3表示伝え車60の第3表示伝え歯車61が噛み合っている第1表示伝えかな42が停止しているため、第3表示伝え車60は第1表示伝えかな42の回りを自転しながら公転する。これにより、パワーリザーブ表示車30は、ぜんまい10の巻上げ操作時とは逆方向に回転する。すなわち、パワーリザーブ表示車30は第2方向Qに回転する。
この場合、図6に示すように、突出部34は、パワーリザーブ表示車30の回転に伴い、第1当接部81に当接する位置から第2当接部82に当接する位置まで、第2方向Qに回転する。この際、パワーリザーブ表示筒33に取り付けられたパワーリザーブ針23は、図1に示す目盛22において、針先が40を指示する位置から0を指示する位置まで移動する。なお、突出部34は、ぜんまい10が巻き戻った際に、第2当接部82に当接する位置に設けられている。通常、ぜんまい10の持続時間は、目盛22、22Aの表示よりわずかに長く設定されているため、突出部34は第2当接部82に当接する位置(パワーリザーブ針23が0を指示する位置)に確実に移動する。この際、パワーリザーブ表示筒33は、突出部34が第2当接部82に当接した後、目盛22、22Aの表示時間よりもわずかに長く設定された時間分パワーリザーブ針車32が回転して、突出部34に一定以上のトルクがかかると、表示真31に対してスリップするように取り付けられている。また、時計1に落下等で衝撃が加わり、表示真31に対してパワーリザーブ表示筒33がずれて突出部34が移動した場合、突出部34が第2当接部82に当接していても、ぜんまい10がさらに巻き戻ろうとする場合がある。この場合も同様に、パワーリザーブ針車32が回転しても、表示真31に対してパワーリザーブ表示筒33はスリップする。
ここで、第1当接部81および第2当接部82は、第1回転角度R1が、持続時間が40時間であるぜんまい10に応じた角度になるように設けられている。これにより、時計1では、持続時間が40時間であるぜんまい10に応じて、パワーリザーブ針23の回転規制が行われる。
また、図7は、時計1Aの表側から見た本実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け80の要部を示す図である。
時計1Aでは、パワーリザーブ表示車30は、ぜんまい10の巻上げ時に第1方向Pに回転する際に、突出部34が第1当接部81から第2当接部82までの第2回転角度R2の範囲で回転可能である第2取付状態で取り付けられている。また、ぜんまい10の巻き戻り時には、突出部34は、第2当接部82に当接する位置から第1当接部81当接する位置まで、第2方向Qに回転する。
ここで、第1当接部81および第2当接部82は、第2回転角度R2が、第1回転角度R1と異なり、持続時間が50時間であるぜんまい10に応じた角度になるように設けられている。すなわち、第2回転角度R2が、第1回転角度R1の1.25倍の角度となるように、第1当接部81および第2当接部82が設けられている。これにより、時計1Aにおいても、持続時間が50時間であるぜんまい10に応じて、パワーリザーブ針23の回転規制が行われる。
このように、本実施形態では、パワーリザーブ表示車30を、回転角度の異なる第1取付状態および第2取付状態で取り付けることができる。そのため、持続時間の異なる2種類のぜんまい10において、規制部材が設けられたパワーリザーブ表示輪列受け80を共通化することができる。
[第1実施形態の作用効果]
このような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、パワーリザーブ表示車30は、第1取付状態および第2取付状態で取り付け可能である。そして、パワーリザーブ表示車30は、第1取付状態で取り付けられた場合、第1方向Pに回転する際に、突出部34が第2当接部82に当接する位置から第1当接部81に当接する位置までの第1回転角度R1の範囲で回転する。また、パワーリザーブ表示車30は、第2取付状態で取り付けられた場合、第1方向Pに回転する際に、突出部34が第1当接部81に当接する位置から第2当接部82に当接する位置までの第2回転角度R2の範囲で回転する。ここで、第1回転角度R1および第2回転角度R2は異なる角度であるため、パワーリザーブ表示車30を回転角度の異なる取付状態で取り付けることができる。さらに、パワーリザーブ針23は、パワーリザーブ表示筒33に取り付けられるので、突出部34が突出する方向に対して、パワーリザーブ針23が指示する方向を変更することができる。すなわち、パワーリザーブ表示車30が第1取付状態または第2取付状態のいずれの取付状態で取り付けられた場合でも、パワーリザーブ針23を目盛22が配置された方向に向けて取り付けることができる。そのため、第1回転角度R1および第2回転角度R2が、持続時間の異なる2種類のぜんまいに応じた角度となるように第1当接部81および第2当接部82を設けることで、パワーリザーブ表示輪列受け80を変更することなく、パワーリザーブ針23の回転規制を行うことができる。すなわち、持続時間の異なる2種類のぜんまいにおいて、パワーリザーブ表示輪列受け80を共通化することができる。したがって、部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本実施形態では、カレンダー裏板と一体に形成されたパワーリザーブ表示輪列受け80に、第1当接部81および第2当接部82を有する規制部材が設けられるので、規制部材を設けるため部品を別部品として用意する必要がなく、部品種類を少なくすることできる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。さらに、パワーリザーブ表示車30を支持するパワーリザーブ表示輪列受け80に、第1当接部81および第2当接部82を有する規制部材が設けられることから、突出部34に対する第1当接部81および第2当接部82の相対位置の精度を高くすることができる。そのため、パワーリザーブ針23の回転規制の精度を高くすることができる。
本実施形態では、第1当接部81および第2当接部82と、軸受部83とは、パワーリザーブ表示車30の回転軸方向の位置が異なる。そのため、第1当接部81および第2当接部82と、突出部34とを回転軸方向の同じ位置に設けることができる。したがって、パワーリザーブ表示輪列受け80を折り曲げるだけの簡単な構造で、突出部34の回転を規制することができて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本実施形態では、突出部34はパワーリザーブ表示筒33に設けられ、パワーリザーブ針23はパワーリザーブ表示筒33に取り付けられる。そのため、突出部34およびパワーリザーブ針23を表示真31とは別部品として製作することができるので、パワーリザーブ表示車30を構成する部品を容易に製作することができる。したがって、生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
本実施形態では、例えば、巻上げ時において、突出部34が第1当接部81や第2当接部82に当接した後、さらに巻き上げられて突出部34に一定以上のトルクがかかると、表示真31に対してパワーリザーブ表示筒33はスリップする。そのため、パワーリザーブ表示筒33に一定以上のトルクがかかることはなく、パワーリザーブ表示筒33が損傷することを防ぐことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図8、9を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
図8は、本実施形態のパワーリザーブ表示機構20の要部を示す断面図である。また、図9は、時計1の裏側から見た本実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け90の要部を示す図である。
第2実施形態のパワーリザーブ表示輪列受け90には、図8、9に示すように、時計1の裏側から表側に向かって、略角丸平行四辺形状に窪んだ凹部91が設けられている。そして、凹部91の壁面は、パワーリザーブ表示筒33の突出部34と当接する。すなわち、本実施形態では、凹部91の壁面により、突出部34と当接する第1当接部92が構成されている。
また、凹部91には、突出部34と当接するように偏心ピン93が設けられている。すなわち、本実施形態では、偏心ピン93により、突出部34と当接する第2当接部が構成されている。これにより、突出部34は、パワーリザーブ表示車30の回転に伴い、第1当接部92および偏心ピン93の間を回転する。このように、本実施形態では、パワーリザーブ表示輪列受け90が、第1当接部92および第2当接部である偏心ピン93を有する規制部材として構成されている。
ここで、偏心ピン93を回転させると、突出部34と偏心ピン93とが当接する箇所が変化して、突出部34の回転角度が変化する。例えば、図9に示すように、偏心ピン93を反時計回りに回転させて、二点鎖線で描かれた位置に移動させると、突出部34の回転角度はr1からr2に変化する。すなわち、本実施形態では、偏心ピン93を回転させることで突出部34の回転角度を一定の範囲において任意の角度にすることができる。これにより、ぜんまいの持続時間に応じて突出部34の回転角度を調整することができる。そのため、持続時間の異なるぜんまいにおいて、パワーリザーブ表示輪列受け90を共通化することができる。したがって、部品種類を少なくできて生産効率を向上でき、生産コストを低減することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、パワーリザーブ表示輪列受け80に、突出部34と当接する第1当接部81および第2当接部82を有する規制部材が設けられていたが、パワーリザーブ表示輪列受けとは別の部品に規制部材が設けられていてもよい。ただし、この場合、部品種類が増加してしまうことや、突出部に対する第1当接部および第2当接部の相対位置の精度が低くなってしまうことから、前記第1実施形態のようにパワーリザーブ表示輪列受けに規制部材が設けられることが好ましい。
前記各実施形態では、パワーリザーブ表示輪列受け80はカレンダー裏板と一体に形成されていたが、パワーリザーブ表示輪列受けとカレンダー裏板とが別部品にて設けられていてもよい。ただし、この場合、部品種類が増加してしまうため、前記各実施形態のようにパワーリザーブ表示輪列受けはカレンダー裏板と一体に形成されることが好ましい。
前記各実施形態では、突出部34の回転角度を変更することによりパワーリザーブ針23の回転規制を行っていたが、これに加えて、パワーリザーブ表示輪列21のギヤ比を変更してもよい。これにより、パワーリザーブ針23の回転角度の自由度を高くすることができ、目盛22、22Aの形状の自由度を高くすることができるので、文字板におけるデザイン上の制約を緩和することができる。
突出部や第1当接部および第2当接部の構成および形状は、前記実施形態に限定されない。例えば、突出部の幅寸法を大きくして、突出部の回転角度を小さくすることで、持続時間が30時間であるぜんまい10に対してパワーリザーブ針の回転を規制できるようにしてもよい。この場合、突出部が設けられたパワーリザーブ表示筒を交換すれば、異なる持続時間のぜんまいに対してパワーリザーブ針の回転規制を行うことができるので、規制部材が設けられたパワーリザーブ表示輪列受けを共通化することができる。
1、1A…パワーリザーブ表示機構付き時計、10…ぜんまい、20…パワーリザーブ表示機構、21…パワーリザーブ表示輪列、22、22A…目盛、23…パワーリザーブ針、30…表示車、31…表示真(回転軸)、33…パワーリザーブ表示筒、34…突出部、80、90…パワーリザーブ表示輪列受け、81、92…第1当接部、82…第2当接部、83…軸受部、93…偏心ピン、P…第1回転方向、Q…第2回転方向。

Claims (7)

  1. ぜんまいの巻上げ時に第1方向に回転し、前記ぜんまいの巻き戻り時に前記第1方向とは逆方向である第2方向に回転するパワーリザーブ表示車と、
    前記パワーリザーブ表示車に取り付けられるパワーリザーブ針と、
    第1当接部および第2当接部を有する規制部材と、を備え、
    前記パワーリザーブ表示車は、回転に伴い、前記第1当接部に当接する位置および前記第2当接部に当接する位置の間を移動する突出部を有し、第1取付状態および第2取付状態で取り付け可能であり、
    前記第1取付状態で取り付けられた前記パワーリザーブ表示車は、前記第1方向に回転する際に、前記突出部が前記第2当接部に当接する位置から前記第1当接部に当接する位置までの第1回転角度の範囲で回転可能とされ、
    前記第2取付状態で取り付けられた前記パワーリザーブ表示車は、前記第1方向に回転する際に、前記突出部が前記第1当接部に当接する位置から前記第2当接部に当接する位置までの第2回転角度の範囲で回転可能とされ、
    前記第1回転角度および前記第2回転角度は異なる角度である
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  2. 請求項1に記載のパワーリザーブ表示機構付き時計において、
    前記規制部材は、前記パワーリザーブ表示車を回転自在に支持するパワーリザーブ表示輪列受けに設けられる
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  3. 請求項2に記載のパワーリザーブ表示機構付き時計において、
    前記パワーリザーブ表示輪列受けは、前記第1当接部および前記第2当接部と、前記パワーリザーブ表示車の回転軸を回転自在に支持する軸受部と、を備え、
    前記第1当接部および前記第2当接部と、前記軸受部とは、前記パワーリザーブ表示車の回転軸方向の位置が異なる
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  4. ぜんまいの巻上げ時に第1方向に回転し、前記ぜんまいの巻き戻り時に前記第1方向とは逆方向である第2方向に回転するパワーリザーブ表示車と、
    前記パワーリザーブ表示車に取り付けられるパワーリザーブ針と、
    第1当接部および第2当接部を有する規制部材と、を備え、
    前記パワーリザーブ表示車は、回転に伴い、前記第1当接部に当接する位置および前記第2当接部に当接する位置の間を移動する突出部を有し、
    前記第1当接部および前記第2当接部のいずれか一方は偏心ピンである
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーリザーブ表示機構付き時計において、
    前記パワーリザーブ表示車は、
    前記ぜんまいの巻上げ時の回転と、巻き戻り時の回転とが伝達されるパワーリザーブ針車と、
    前記パワーリザーブ針車の回転軸に取り付けられるパワーリザーブ表示筒とを備え、
    前記突出部は前記パワーリザーブ表示筒に設けられ、
    前記パワーリザーブ針は前記パワーリザーブ表示筒に取り付けられる
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  6. 請求項5に記載のパワーリザーブ表示機構付き時計において、
    前記パワーリザーブ表示筒は、前記突出部に一定以上のトルクがかかった際に、前記パワーリザーブ針車の回転軸に対してスリップするように取り付けられている
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパワーリザーブ表示機構付き時計において、
    前記規制部材は、カレンダー裏板に設けられる
    ことを特徴とするパワーリザーブ表示機構付き時計。
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