JP2019127573A - 樹脂組成物の加水分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加水分解性を有する樹脂組成物を、酸性又は中性の分解液中で速やかに加水分解する方法を提供する。【解決手段】ポリ乳酸等の加水分解性を有するポリマー(A)と、多価カルボン酸に由来する構成単位(b−1)を有する共重合体等の加水分解促進剤(B)とを含有する樹脂組成物(C)を、pHが1.0以上、9.6以下の分解液中で加水分解する方法であって、該分解液の塩濃度が0.06mol/L以上であることを特徴とする樹脂組成物の加水分解方法。【選択図】なし

Description

本発明は、加水分解性を有する樹脂組成物を、特定のpHの分解液中で速やかに加水分解する方法に関する。
近年、地球環境の悪化に伴い、樹脂のリサイクルや生体に安全で地球環境に対して負荷の少ない添加剤への関心が高まっている。ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)等に代表される樹脂は、自然環境下や生体内で水分や酵素により分解される生分解性樹脂として利用されている。例えばPLAは、加工性が良く成形品の機械的強度が優れているので、使い捨ての容器、包装材等の用途に利用されている。しかし、PLAは、PGAやPCLに比較して加水分解速度が遅い。
PLAの加水分解速度を向上させる方法としては、例えば、PLAにポリエチレングリコール等の親水性添加剤を配合する方法が提案されている。しかし、PLAは親水性が低く、ポリエチレングリコール等の親水性物質とは相溶しにくい。したがって、親水性添加剤が成形時や成形後に浮き出したり(ブリードアウト)、成形品の機械的強度が低下したり、透明性等の外観が損なわれたりして実用的ではない。
PLAの加水分解に関しては、酸性やアルカリ性での加水分解が報告されている(例えば、非特許文献1及び2)。特に非特許文献2では、酸性、中性、アルカリ性での加水分解性の違いが検討され、アルカリ性(pH12)での加水分解性は中性や酸性に比べて高いことが記載されている。
また本出願人は、特定の構成単位を有する共重合体を添加することによってPLAの加水分解を促進することを提案している(例えば、特許文献1及び2)。特に特許文献1及び2では、蒸留水、イオン交換水等のほぼ中性の液中で50℃〜80℃での加水分解性について検討されている。
国際公開第2012/137681号 国際公開第2014/038608号
Properties and Morphology of Poly(L-lactide). II. Hydrolysis in Alkaline Solution, Journal of Polymer Science, Part A, Polymer Chemistry, Vol. 36, 59-66 (1998) Poly(L-lactide). IX. Hydrolysis in Acid Media, Journal of Applied Polymer Science, Vol. 86, 186-194 (2002)
以上述べたように、加水分解性を有する樹脂組成物は、中性や酸性の条件下よりもアルカリ性の条件下の方が加水分解速度が速いことが知られている。また、樹脂組成物をアルカリ性の分解液中で加水分解しても、加水分解反応の進行に伴い分解液のpHが低下して、加水分解速度が低下する場合がある。
すなわち本発明の目的は、加水分解性を有する樹脂組成物を、特定のpHの分解液中で速やかに加水分解する方法を提供することにある。
本発明者らは、分解液の塩濃度を特定の値以上に高めることによって、特定のpH条件下であっても樹脂組成物の加水分解速度を速めることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、以下の事項により特定される。
[1]加水分解性を有するポリマー(A)と加水分解促進剤(B)とを含有する樹脂組成物(C)を、pHが1.0以上、9.6以下の分解液中で加水分解する方法であって、該分解液の塩濃度が0.1mol/L以上であることを特徴とする樹脂組成物の加水分解方法。
[2]加水分解性を有するポリマー(A)がポリエステルである[1]に記載の加水分解方法。
[3]加水分解性を有するポリマー(A)がポリ乳酸である[2]に記載の加水分解方法。
[4]加水分解性を有するポリマー(A)がヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−1)を有し、加水分解促進剤(B)が前記構成単位(a−1)と多価カルボン酸に由来する構成単位(b−1)とを有する[1]〜[3]の何れかに記載の加水分解方法。
[5]構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である[4]に記載の加水分解方法。
[6]構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である[5]に記載の加水分解方法。
[7]構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、クエン酸及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である[5]に記載の加水分解方法。
[8]樹脂組成物(C)中の加水分解性を有するポリマー(A)と加水分解促進剤(B)との質量比(A/B)が、95/5〜50/50である[1]〜[7]の何れかに記載の加水分解方法。
[9]分解液中の塩濃度が0.2mol/L以上、30mol/L以下である[1]〜[8]の何れかに記載の加水分解方法。
[10]分解液中の塩濃度が0.4mol/L以上、10mol/L以下である[9]に記載の加水分解方法。
[11]分解液のpHが1.0以上、8.0以下である[1]〜[10]の何れかに記載の加水分解方法。
本発明においては、塩濃度が特定の値以上の特定のpHの分解液を用いるので、加水分解性を有する樹脂組成物を速やかに加水分解できる。
<加水分解性を有するポリマー(A)>
本発明に用いる加水分解性を有するポリマー(A)(以下、単に「ポリマー(A)」という)は、加水分解性を有するポリマーであれば良く、その種類は特に限定されない。ポリマー(A)としては、例えばポリエステルが好ましく、特にポリヒドロキシカルボン酸、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明において、ポリヒドロキシカルボン酸は、水酸基とカルボキシル基とを併せ持つヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位(構成単位)(a−1)を有する重合体又は共重合体を意味する。
ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酢酸、マンデル酸、サリチル酸、カプロラクトン等のラクトン類の開環生成物が挙げられる。これらの2種以上を混合して用いても良い。
ポリヒドロキシカルボン酸は、加水分解性を大きく損なわない限り、ヒドロキシカルボン酸以外の他の構成単位(共重合成分)を含んでいても良い。ただし、ポリヒドロキシカルボン酸の全構成単位100モル%中、ヒドロキシカルボン酸由来の構成単位の割合は好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、特に好ましくは100%である。
ポリヒドロキシカルボン酸のうち、加水分解促進剤(B)との相溶性の点からは、ヒドロキシカルボン酸が乳酸である重合体又は共重合体が好ましく、ポリ乳酸(単独重合体)がより好ましい。ポリ乳酸は、乳酸を出発原料として合成されたものであっても、ラクチドを出発原料として合成されたものであっても良い。
本発明において、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂は、ジオール及びジカルボン酸に由来する繰り返し単位(構成単位)を含む重合体又は共重合体を意味する。加水分解性を大きく損なわない限り、この脂肪族ポリエステル樹脂は、ジオール及びジカルボン酸に由来する構成単位以外の構成単位(共重合成分)を含んでいても良い。
ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリジエチレンサクシネート、ポリジエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリジエチレンセバケート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンセバケートが挙げられる。
ポリマー(A)の分子量は特に限定されないが、加水分解促進剤(B)の分子量よりも大きいことが好ましい。加水分解促進剤(B)との混合のし易さを考慮すると、ポリマー(A)の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜2,000,000、より好ましくは3,000〜1,000,000、特に好ましくは50,000超、500,000以下である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で測定した値である。
<加水分解促進剤(B)>
本発明に用いる加水分解促進剤(B)は、ポリマー(A)の加水分解性を促進するものであればその種類は特に限定されない。特にヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−1)と多価カルボン酸に由来する構成単位(b−1)を含む共重合体であることが好ましい。なお、「構成単位」とは、重合性単量体に由来する単位であり、末端基は含まない。加水分解促進剤(B)はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでも構わない。
構成単位(b−1)は、多価カルボン酸に由来する構成単位であれば特に限定されない。多価カルボン酸は、2価又は3価の多価カルボン酸から選択される1種以上の多価カルボン酸であることが好ましい。中でも、アミノジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシトリカルボン酸がより好ましく、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選択される1種以上であることが特に好ましい。これら多価カルボン酸は2種以上を併用していても良い。構成単位(b−1)は、イミド環等の環構造を形成していても良く、その環構造が開環していても良く、これらが混在していても良い。
加水分解促進剤(B)が以上説明した構成単位(a−1)及び構成単位(b−1)を有する共重合体である場合、その具体的な種類は特に限定されないが、アスパラギン酸−乳酸共重合体、リンゴ酸−乳酸共重合体、クエン酸−乳酸共重合体が特に好ましい。
加水分解促進剤(B)における構成単位(a−1)と構成単位(b−1)のモル組成比[(a−1)/(b−1)]は、重合時の仕込量で、好ましくは1/1〜50/1、より好ましくは10/1〜20/1である。モル組成比がこれらの範囲内にあると、分解速度促進効果に優れ、ポリマー(A)との相溶性にも優れた共重合体が得られる。
加水分解促進剤(B)中には、多価カルボン酸やヒドロキシカルボン酸以外の構成単位(他の共重合成分に由来する単位)が存在していてもよい。ただし、その量は加水分解促進剤(B)の性質を大きく損なわない程度であることが必要である。この点から、その量は加水分解促進剤(B)全体の構成単位100モル%中、20モル%以下であることが望ましい。
加水分解促進剤(B)の重量平均分子量は好ましくは1,000以上、50,000以下、より好ましくは2,500以上、30,000以下、特に好ましくは2,500以上、10,000以下である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で測定した値である。
加水分解促進剤(B)の製造方法は特に限定されない。一般的には、多価カルボン酸とヒドロキシカルボン酸を所望の比で混合し、触媒の存在下又は非存在下で、加熱減圧下にて脱水重縮合することにより得られる。また、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の無水環状化合物と多価カルボン酸とを反応させることにより得ることもできる。
<樹脂組成物(C)>
本発明に用いる樹脂組成物(C)は、ポリマー(A)と加水分解促進剤(B)とを混合して得ることができる。その質量組成比(A/B)は、ポリマー(A)と加水分解促進剤(B)の合計量を100として、好ましくは95/5〜50/50、より好ましくは95/5〜55/45、特に好ましくは95/5〜60/40、最も好ましくは95/5〜80/20である。質量組成比がこれらの範囲内にあると、ポリマー(A)の持つ性質を維持しつつ加水分解促進剤(B)による分解速度促進効果がより発揮される傾向にある。また、加水分解促進剤(B)の量が多いほど分解速度の大きな樹脂組成物(C)が得られる傾向にある。
ポリマー(A)に加水分解促進剤(B)を混合する方法は特に限定されない。好ましくは両者を溶融混練する、あるいは溶媒に溶解させ攪拌混合する。このような方法により、両成分の均一な樹脂組成物が得られる。
樹脂組成物(C)は、ポリマー(A)の性質を大きく損なわない範囲内で、加水分解促進剤(B)及びポリマー(A)以外のポリマーや通常の樹脂に添加され得る添加剤が含まれていても良い。
樹脂組成物(C)の分子量は特に限定されない。成形性を考慮すると、樹脂組成物(C)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜300,000である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で測定した値である。
本発明に係る樹脂組成物(C)は、公知の成形法により種々の形状、例えばフィルム、シート、繊維、タブレット等に成形できる。
<加水分解方法>
本発明の加水分解方法は、樹脂組成物(C)を塩濃度が特定の値以上の特定のpHの分解液中で加水分解する方法である。この分解液の塩濃度が高いと樹脂組成物(C)中の成分の親水性がさらに増すと考えられ、その結果として樹脂組成物(C)全体の加水分解が促進される。
分解液の塩濃度は、0.06mol/L以上であり、好ましくは0.2mol/L以上、30mol/L以下、より好ましくは0.4mol/L以上、10mol/L以下である。
分解液のpHは、1.0以上、9.6以下、好ましくは1.0以上、8.0以下、より好ましくは2.0以上、7.5以下である。なお、加水分解中に分解液のpHが下がり過ぎた場合は、新しい分解液に入れ替えて加水分解を継続しても良い。また、他の好ましい分解液の態様として、pHが9.6超の分解液に対し、下記の無機塩又は有機塩を添加してpHを9.6以下に調整したものを用いても良い。
分解液の種類は特に限定されない。例えば、公知の酸性又は中性の緩衝液を使用できる。緩衝液に含まれる無機塩又は有機塩の種類は特に限定されない。無機塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムが挙げられる。有機塩の具体例としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、フタル酸及びグルクロン酸、スルホン酸基を有するメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸、その他フェノールなどの有機酸とピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン及びヒスチジンなどの有機塩基との組み合わせからなる塩が挙げられる。緩衝液の具体例としては、CKO−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、酒石酸緩衝液が挙げられる。緩衝液の塩濃度が低過ぎる場合は、NaCl等の成分を添加して塩濃度を調整すれば良い。
加水分解は、通常、樹脂組成物(C)からなる成形品を特定のpHの分解液に浸漬することにより行われる。また、樹脂組成物(C)からなる成形品に分解液をスプレー等で吹きかけても良い。
加水分解を行う際の分解液の温度は特に制限されないが、20℃以上、樹脂組成物(C)の融点未満であることが好ましい。温度が高いほど加水分解速度を高めることができるが、その分、エネルギーコストが高騰することから、目的に応じて適宜好ましい温度に調整する。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。重量平均分子量の測定方法は以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)>
試料をクロロホルムに溶解し(濃度約0.5質量%)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、重量平均分子量(Mw)をポリスチレン換算の値として求めた。測定条件を以下に示す。
RI検出器:日本分光RI−2031
カラム:SHODEX製 LF−G及びLF−804
カラム温度:40℃
溶媒:クロロホルム
流速:1.0ml/分
<製造例1> PLA−PALブレンドフィルムの製造
撹拌装置及び脱気口を備えた500mlサイズのガラス製反応器に、和光純薬製L−アスパラギン酸39.9g(0.3モル)、Purac社製90%L−乳酸300.3g(3.0モル)を装入した。反応器をオイルバスに漬け、180℃で窒素を流通させながら7時間脱水重合した。得られた褐色固体を粉砕し、粉末状の乳酸とアスパラギン酸の共重合体(PAL)を得た。このPALの重量平均分子量は3700であった。
ポリマー(A)としてポリ乳酸(レイシアH400)80質量部と加水分解促進剤(B)としてPAL20質量部を、ラボプラストミル(TOYOSEIKI社製、4M150)を用いて50rpm、180℃の条件で5分混練した。得られた組成物を180℃、10MPaの条件で5分間熱プレスし、0℃で急冷して、ポリ乳酸(PLA)−乳酸とアスパラギン酸の共重合体(PAL)ブレンドフィルムを得た。
<製造例2> PLA−OLAブレンドフィルムの製造
撹拌装置及び脱気口を備えた500mlサイズのガラス製反応器に、Purac社製90%L−乳酸300.3g(3.0モル)を装入した。反応器をオイルバスに漬け、160℃で窒素を流通させながら7時間脱水重合した。得られた無色透明の固体を粉砕し、粉末状の乳酸オリゴマー(OLA)を得た。このOLAの重量平均分子量は3700であった。
ポリマー(A)としてポリ乳酸(レイシアH400)80質量部とOLA20質量部を、ラボプラストミル(TOYOSEIKI社製、4M150)を用いて50rpm、180℃の条件で5分混練した。得られた組成物を180℃、10MPaの条件で5分間熱プレスし、0℃で急冷して、ポリ乳酸(PLA)−乳酸オリゴマー(OLA)ブレンドフィルムを得た。
<製造例3> PLAフィルムの製造
ポリマー(A)としてポリ乳酸(レイシアH400)100質量部のみを用い、180℃、10MPaの条件で5分間熱プレスし、0℃で急冷して、ポリ乳酸(PLA)フィルムを得た。
<実施例1>
pH3.4のCKO−HCl緩衝液にNaClを添加して、塩濃度が1.0mol/Lの分解液1を得た。
この分解液1と、製造例1で得た厚さ0.2mm、20mm角のPLA−PALブレンドフィルムとをガラス容器に入れ、40℃で静置して加水分解を行った。なお、加水分解中は分解液1のpHを測定し、分解液1のpHが1以上低下した際には新しい分解液1に入れ替えて加水分解を継続した。
所定の日数が経過した後、フィルムを回収し、蒸留水で洗浄し、24時間室温にて真空乾燥し、その質量を測定した。この測定を30日後、40日後、60日後、100日後の各時点で行い、以下の式により質量保持率を算出した。結果を表2に示す。
質量保持率(%)=W/W×100(%)
:加水分解前のフィルムの質量
:加水分解後のフィルムの質量
<実施例2>
表1に示すpH7.4、塩濃度1.0mol/Lのリン酸緩衝液からなる分解液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
表1に示すpH3.4、塩濃度0.04mol/LのCKO−HCl緩衝液からなる分解液3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
表1に示すpH7.4、塩濃度0.04mol/Lのリン酸緩衝液からなる分解液4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解を行った。結果を表2に示す。
<比較例3〜6>
製造例2で得たPLA−OLAブレンドフィルムと分解液1〜4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解を行った。結果を表2に示す。
<比較例7〜10>
製造例3で得たPLAフィルムと分解液1〜4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019127573
Figure 2019127573
表2に示すように、実施例1及び2では塩濃度が高い分解液1及び2を用いたので、質量保持率が低下する速度(加水分解速度)が速かった。一方、比較例1及び2では塩濃度が低い分解液3及び4を用いたので、実施例1及び2よりも加水分解速度が遅かった。この結果から、酸性又は中性の分解液の塩濃度が高いと加水分解速度が速くなることが分かる。これは、塩濃度が高い状態において、加水分解促進剤(B)由来の酸及び加水分解促進剤(B)の親水性の影響によりポリ乳酸等の加水分解性を有するポリマー(A)が加水分解して生成した酸が分解液中のカチオン種と塩を形成することにより、それらの親水性がさらに増して樹脂組成物(C)全体の加水分解が促進されたものと考えられる。
比較例3〜6は、製造例1で得たPLA−PALブレンドフィルムの代わりに、製造例2で得たPLA−OLAブレンドフィルムを用いた例である。前者のPALは乳酸とアスパラギン酸の共重合体であり、加水分解促進剤(B)として作用する成分である。後者のOLAはPALと同じ分子量を有する単なる乳酸オリゴマーである。そして加水分解促進剤(B)を用いなかった比較例3〜6では、分解液1〜4の何れを用いても加水分解速度は遅かった。この結果から、実施例1及び2において加水分解が促進されたのは高塩濃度下で加水分解促進剤(B)の機能が高められたからであることが分かる。
比較例7〜10は、製造例1で得たPLA−PALブレンドフィルムの代わりに、製造例3で得たPLAフィルムを用いた例である。加水分解促進剤(B)を用いなかった比較例7〜10では、分解液1〜4の何れを用いても加水分解速度は促進されなかった。この結果から、PLAフィルム単独でも本発明におけるpH領域においては高塩濃度では加水分解が促進されず、加水分解が促進されたのは高塩濃度下で加水分解促進剤(B)の機能が高められたからであることが分かる。
樹脂組成物(C)は、例えばフィルム、食品包装材、衛生用品用包装材、農園芸資材、繊維、不織布、徐放性薬剤等、優れた分解速度の要求される成形品用途に適用できる。そして本発明の加水分解方法によればは、特定の塩濃度の塩基性水溶液を用いることで、簡便且つ速やかに樹脂組成物(C)を加水分解できる。

Claims (11)

  1. 加水分解性を有するポリマー(A)と加水分解促進剤(B)とを含有する樹脂組成物(C)を、pHが1.0以上、9.6以下の分解液中で加水分解する方法であって、該分解液の塩濃度が0.06mol/L以上であることを特徴とする樹脂組成物の加水分解方法。
  2. 加水分解性を有するポリマー(A)がポリエステルである請求項1に記載の加水分解方法。
  3. 加水分解性を有するポリマー(A)がポリ乳酸である請求項2に記載の加水分解方法。
  4. 加水分解性を有するポリマー(A)がヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−1)を有し、加水分解促進剤(B)が前記構成単位(a−1)と多価カルボン酸に由来する構成単位(b−1)とを有する請求項1〜3の何れかに記載の加水分解方法。
  5. 構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である請求項4に記載の加水分解方法。
  6. 構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である請求項5に記載の加水分解方法。
  7. 構成単位(b−1)の多価カルボン酸が、クエン酸及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の多価カルボン酸である請求項5に記載の加水分解方法。
  8. 樹脂組成物(C)中の加水分解性を有するポリマー(A)と加水分解促進剤(B)との質量比(A/B)が、95/5〜50/50である請求項1〜7の何れかに記載の加水分解方法。
  9. 分解液中の塩濃度が0.2mol/L以上、30mol/L以下である請求項1〜8の何れかに記載の加水分解方法。
  10. 分解液中の塩濃度が0.4mol/L以上、10mol/L以下である請求項9に記載の加水分解方法。
  11. 分解液のpHが1.0以上、8.0以下である請求項1〜10の何れかに記載の加水分解方法。
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