JP2006296972A - 衛生用品 - Google Patents

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誠 助川
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Abstract

【課題】
優れた使用感を有し、かつ使用後はトイレ、台所流し等へ放流処理することが可能な、優れた分解性を有し排水処理設備への負荷の少ない衛生用品を提供する。
【解決手段】
親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品であり、前記共重合体(A)における親水性セグメント(a−1)がアスパラギン酸に由来する構造単位からなり、疎水性セグメント(a−2)が二塩基酸及び二価アルコール類、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類、ラクトン類又はカーボネート類に由来する構造単位からなるものであり、分解性樹脂(B)が、脂肪族ポリエステル、より好ましくはポリヒドロキシカルボン酸類、ポリラクチド類、ポリラクトン類及び二塩基酸−二価アルコール共重合体類、からなる群より選択された1種である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な衛生用品に関する。詳しくは、使用時は体液等により崩壊することがなく通常と全く同様に使用することができ、使用後はトイレ、台所流し等に放流して処理することが可能な生理用ナプキン、紙おむつ等の衛生用品に関する。
使い捨て紙おむつや生理用品等の衛生用品は、使用後、可燃ごみとして回収され焼却処理や埋立てにより処理されているが、回収の際に容積がかさばり効率が悪く、埋立ての際に飛散する等の問題があり、衛生面、環境への負加を改善する必要性が唱えられている。一方、使用者は、使用後の衛生用品を持ち帰ったり、不特定多数の利用する箱(汚物入れ)へ入れて処理する必要があるなど、処理の煩わしさ、臭いや処理時に手が汚れる等の不衛生さ、処理の形跡が残る等の心理的圧迫からの開放を強く望んでいる。
本来であれば、これらの衛生用品、特に生理用品はトイレ内で装着、脱着されることが多く、使用後はトイレットペーパーなどと同様に放流処理したほうが、簡単で衛生的に処理されるため好ましい。しかしながら、生理用品等の衛生用品には、不透水層としてポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステルから成るフィルムが、透水層を構成する素材としてセルロース、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどから成る不織布が、その優れた肌触り感から使用されており、トイレ等に放流処理することを想定して設計されていない。
これらの問題を解決する方法として、従来は合成高分子系フィルムや天然繊維の不織布などから構成されていた使い捨て衛生用品(生理用ナプキンなど)の構成部分を、生分解性、水崩壊又は水解性ペーパーとしたり、不透水層としてポリビニルアルコールからなるフィルムを用いた、衛生用品が提案されている。
例えば、セルロース系誘導体を含有するポリエステルまたはポリオレフィン繊維シートからなる不織布が開示されている(特許文献1)。このように水溶性のバインダーを用いる場合、使用時の耐水性が十分ではない。また、従来衛生用品に使用されているポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂は、非分解性であるため下水処理系に蓄積され、環境への負荷が大きい。
また、ポリビニルアルコール・フィルムを防漏用フィルムとして使用する積層物が開示されている。しかし、本発明者らの知見では、これらの水溶性樹脂を含む積層物は経時的に水分を吸収しやすく使用前に湿潤しカビが発生したり、その防水性が十分ではなく、使用上問題がある場合がある。
また、ポリビニルアルコールを主体とする水溶性バインダーを使用した水解紙が開示されている(特許文献2)。
しかし、これらの紙やパルプを原料とする材料は耐水性が低いため、湿潤状態での強度や防水性を補う為に不透水層を厚くする必要があり、衛生用品では使用感が悪化するという問題がある。また、セルロースや再生セルロースなどはその分解性は低いとされている。
さらに、生分解性樹脂とポリエチレングリコールからなるフィルムが開示されている(特許文献3)。水溶性樹脂やパルプ・セルロースを防漏材として用いた材料に比べ耐水性に優れるものの、通常の生分解性樹脂はコンポスト以外の条件下(例えば、水中、土中等)での分解速度が比較的遅いため、下水処理系に蓄積され下水処理場ではこれらを含水汚泥として除去しなければならない。回収される汚泥は、最終的に焼却あるいは埋立て処理されるが、その高い含水率により下水処理設備、焼却設備等への負担を著しく増加させるため、可燃ごみとしての減量化は可能であるものの、社会的コストは増大する。
一方、生分解性樹脂の加水分解速度を向上させるために、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加した樹脂組成物が提案されている(特許文献4)。脂肪族ポリエステルの性質(機械的強度、外観等)を著しく損なうことなく、分解性を効果的に促進する方法が見出されている。
特開平6−101154号公報 特開平10−131083号公報 特開2003−41142号公報 特開2000−159888号公報
本発明の目的は、優れた使用感を有し、かつ使用後はトイレ、台所流し等へ放流処理することが可能な、優れた分解性を有し排水処理設備への負荷の少ない、衛生用品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、親水性セグメントと疎水性セグメントを有する共重合体と、脂肪族ポリエステル等の分解性樹脂からなるフィルム及び不織布を用いた衛生材料が、短期間に環境中で分解するばかりでなく、機械的強度、柔軟性、防水性、肌触りに優れていることを見出した。
すなわち本発明は、親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品、に関するものである。
より詳しくは、共重合体(A)の親水性セグメント(a−1)がアスパラギン酸に由来する構造単位からなり、疎水性セグメント(a−2)が二塩基酸及び二価アルコール類、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類、ラクトン類又はカーボネート類に由来する構造単位からなるものであり、分解性樹脂(B)が、脂肪族ポリエステル、より好ましくはポリヒドロキシカルボン酸類、ポリラクチド類、ポリラクトン類及び二塩基酸−二価アルコール共重合体類、からなる群より選択された少なくとも1種である、前記衛生用品に関するものである。
さらには、親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品用フィルム又は衛生用品用不織布に関するものである。
本発明により提供される衛生用品は、優れた分解性と使用感を有する。そのため、本発明の衛生用品は、使用時は体液等により崩壊することがなく通常と全く同様に使用でき、使用した後トイレ、台所流し等に放流した場合、速やかに分解する結果、環境への負加を減らすことが可能である。従って、生理用タンポンアプリケータ、生理用ナプキン、使い捨て紙おむつ、及びパンティーライナー等の衛生用品に好適に使用される。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の衛生用品は、親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品である。また、共重合体(A)と分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品用フィルム及び不織布である。
本発明に用いる分解性樹脂(B)は、分解性を有する樹脂であればよく、特に限定されないが、より具体的には下記の樹脂がその代表として挙げられる。
1.脂肪族ポリエステル類
(1)二塩基酸―二価アルコール共重合体類
脂肪族二価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
脂肪族二塩基酸の具体例としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
上記の任意の1種類以上の二塩基酸と二価アルコールから合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
(2)ポリヒドロキシカルボン酸類
α−ヒドロキシモノカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸)などの1種類以上のヒドロキシカルボン酸類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
(3)ポリラクチド類
グリコリド、ラクチド、ベンジルマロラクトナート、マライトベンジルエステル、3−〔(ベンジルオキシカルボニル)メチル〕−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンなどの1種類以上のラクチド類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
(4)ポリラクトン類
β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトンなどの1種類以上のラクトン類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。特に、これらはα−ヒドロキシ酸の環状2量体であるグリコリド、ラクチドなどとも共重合可能である。
2.ポリアンヒドリド類
例えば、ポリ〔1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン〕、ポリ(テレフタル酸−セバシン酸無水物などが挙げられる。
3.分解性ポリカーボネート類
例えば、ポリ(オキシカルボニルオキシエチレン)、スピロオルソポリカーボネートなどが挙げられる。
4.ポリオルソエステル類
例えば、ポリ{3,9−ビス(エチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−1,6−ヘキサンジオール)などが挙げられる。
5.ポリ−α−シアノアクリル酸エステル類
例えば、ポリ−α−シアノアクリル酸イソブチルなどが挙げられる。
6.ポリホスファゼン類
例えば、ポリジアミノホスファゼンなどが挙げられる。
7.その他の分解性樹脂
ポリヒドロキシエステル等に代表される微生物生産合成樹脂、前記各種の樹脂にデンプンや変性デンプン 、皮粉、微細化セルロース等を配合することにより、分解性を付与した樹脂などが挙げられる。
以上列挙した種々の樹脂のうち、共重合体(A)と分解性樹脂(B)が分離せず、より均一に混合するという点から、脂肪族ポリエステル類が好ましく、特に二塩基酸―二価アルコール共重合体類、ポリヒドロキシカルボン酸類、ポリラクチド類、ポリラクトン類が好ましい。
本発明において、ポリヒドロキシカルボン酸とは、水酸基とカルボキシル基とを併せ有するヒドロキシカルボン酸の重合体又は共重合体を意味する。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシプロピオン酸等が好ましい。ポリヒドロキシカルボン酸中には、ヒドロキシカルボン酸以外の構成要素(共重合単位)が存在していてもよい。ただし、ポリヒドロキシカルボン酸中に、少なくともヒドロキシカルボン酸由来の構成単位の割合は、20モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。
最も好適に使用されるポリヒドロキシカルボン酸は、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンである。
本発明において、分解性樹脂(B)の分子量は特に限定されない。ただし、衛生用品としての強度を考慮すると、分解性樹脂(B)の重量平均分子量は、1000以上100万以下が好ましく、3000以上50万以下がより好ましい。
本発明に用いる共重合体(A)は、親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体、である。
本発明において、「疎水性セグメント」とは、特に水に難溶または不溶である分解性ポリマーまたはそれから誘導されたセグメントであり、もう一方の親水性セグメントよりも疎水的なものである。また「親水性セグメント」とは、水に可溶、あるいは難溶であっても、疎水性セグメントよりも親水的であるポリマーまたはそれから誘導されたセグメントである。
本発明の共重合体(A)において親水性セグメント(a−1)としては、そのセグメント中にポリアミノ酸を含有するものであればよく、特に限定されるものではない。また、疎水性セグメント(a−2)としては、そのセグメント中に分解性ポリマーを含有するものであればよく、特に限定されるものではない。
共重合体(A)の親水性セグメント(a−1)の好ましい形態は、アスパラギン酸に由来する構造単位からなるものであり、疎水性セグメント(a−2)の好ましい形態は、下記の二塩基酸及び二価アルコール類、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類、ラクトン類、又はカーボネート類に由来する構造単位からなるものである。
以下、その具体例を挙げて説明する。
1.二塩基酸及び二価アルコール類
脂肪族二価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
脂肪族二塩基酸の具体例としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
2.ヒドロキシカルボン酸類
例えば、α−ヒドロキシモノカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸)などが挙げられる。
3.ラクチド類
例えば、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、1,4−ベンジルマロラクトナート、マライトベンジルエステル、3−〔(ベンジルオキシカルボニル)メチル〕−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、テトラメチルグリコリドなどが挙げられる。
4.ラクトン類
例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α、α−ビスクロロメチルプロプオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−n−プロピル−δ−バレロラクトン、6,6−ジメチル−δ−バレロラクトン、3,3,6−トリメチル−1,4−ジオキサン−ジオン、3,3,6−トリメチル−1,4−ジオキサン−ジオン、ε−カプロラクトン、ジオキセパノン、4−メチル−7−イソプロピル−ε−カプロラクトン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトンなどが挙げられる。
5.カーボネート類
例えば、エチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートトリメチレンカーボネート、ネオペンチレンカーボネート、エチレンオキソレート、プロピレンオキソレートなどが挙げられる。
共重合体(A)の疎水性セグメント(a−2)の好ましい形態は、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類又はラクトン類に由来する構造単位のものである。具体例としては、前記の各化合物等が挙げられるが、特に、α−ヒドロキシカルボン酸、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンに由来する構造単位であることが好ましい。このうち、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド又は、ε−カプロラクトンに由来する構造単位であることがより好ましい。
共重合体(A)の好ましい形態は、構造中に、親水性セグメント(a−1)としてアスパラギン酸に由来する構成単位と、疎水性セグメント(a−2)として二塩基酸及び二価アルコール類、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類、ラクトン類又はカーボネート類に由来する構成単位(以下、「疎水性セグメント(a−2)に由来する構成単位」とする。)とが共存する。この共重合体中には、親水性セグメント(a−1)のアスパラギン酸に由来する構成単位が1モル%以上及び疎水性セグメント(a−2)に由来する構成単位が1モル%以上含まれていることが好ましい。共重合体(A)中の親水性セグメント(a−1)のアスパラギン酸由来単位と疎水性セグメント(a−2)由来単位との組成比は、特に限定されるものではないが、好ましくは1/1〜1/50である。共重合体中(A)には親水性セグメント(a−1)のアスパラギン酸や疎水性セグメント(a−2)以外の構成要素が共重合により存在していてもよい。ただし、その量は共重合体(A)の性質を大きく損なわない程度であることが必要であり、かかる点を考慮すると、その量はおよそ20モル%以下である。なお、アスパラギン酸は、脱水縮合してコハク酸イミド単位もつ重合体を生成するが、アスパラギン酸に由来する構成単位とは、コハク酸イミド単位をも含む意味である。また、共重合体(A)の構造に含まれるアスパラギン酸単位は、α−アミド型単量体単位およびβ−アミド型単量体単位が混在し得るものであり、両者の比は特に限定されない。
共重合体(A)は、アスパラギン酸と、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類又はラクトン類との共重合反応により得られ、その製造方法は特に限定されない。一般には、アスパラギン酸とヒドロキシカルボン酸類等とを所望の比で混合し、加熱下に重合することにより得ることができる。
共重合体(A)における疎水性セグメント(a−2)に由来する構成単位を構成する為に、好ましくは、α−ヒドロキシカルボン酸、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。さらに好ましくは、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。特に好ましくは、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド及びε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。最も好ましくは、乳酸を用いる。
共重合体(A)の分子量については、分解性樹脂(B)と良好に混合でき、分解促進効果を大きくする点から、重量平均分子量がおよそ1000以上10万以下であることが好ましい。2000以上5万以下であることがより好ましく、3000以上2万以下であることがさらに好ましい。
本発明の衛生用品は、このようにして得られた共重合体(A)と分解性樹脂(B)とを含有してなるが、具体的な態様としてより好適には、共重合体(A)と分解性樹脂(B)からなる組成物を含有するものである。また、共重合体(A)と分解性樹脂(B)からなる組成物を、フィルム及び不織布として使用する。
この組成物には目的に応じて各種添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、離型剤、無機添加剤、結晶核剤、耐電防止剤、顔料、アンチブロッキング剤を添加することができる。
可塑剤としては分解性があって且つ分解性樹脂(B)との相溶性に優れるものが好適に用いられる。例として、1価または多価脂肪酸エステル系可塑剤、1価または多価脂肪族アルコールエステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、脂肪族ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。具体的には、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート等のフタル酸誘導体、ジイソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマー、環状乳酸オリゴマーまたはラクチド等が例示できる。特に分子内に2個以上のカルボン酸エステル基を有する、クエン酸エステル、グリセリンエステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステルおよびトリエチレングリコールエステルから選ばれた少なくとも1種のエステル化合物であることが好ましい。これらの可塑剤は単独でも良いし、また2種以上を混合して用いてもよい。
共重合体(A)と分解性樹脂(B)からなる(樹脂)組成物は、例えば、重量平均分子量が3000以上50万以下である分解性樹脂(B)に、重量平均分子量が1000以上10万以下の共重合体(A)を混合することにより得られる。その組成比は、特に限定されるものではないが、分解性樹脂(B)100重量部に対し、共重合体(A)0.01〜3300重量部が好ましい。共重合体(A)の組成比が大きい場合には、分解速度の大きな組成物となる。樹脂(B)に対する共重合体(A)の組成比が小さ過ぎると、樹脂(B)の分解速度の促進効果が期待しにくい場合がある。
分解性樹脂(B)のもつ性質を大きく損なわない組成物を所望する場合は、好ましくは、共重合体(A)と分解性樹脂(B)との重量組成比を、1/99〜33/67程度にする。より好ましくは2/98〜20/80であり、さらに好ましくは3/97〜10/90である。
本発明において、分解性樹脂(B)に、共重合体(A)を混合する方法は特に限定されない。好ましくは、両者を加熱溶融するか、溶媒に溶解させ、攪拌混合する。例えば、共重合体(A)、分解性樹脂(B)、必要に応じて可塑剤、無機充填剤、分散剤、安定剤などその他の添加物をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸または二軸スクリュー型押出機を用いて連続混練する。ここで、分解性樹脂(B)への共重合体(A)、充填剤等の分散性をより向上させるためには、二軸押出機の方が好ましい。
本発明のフィルムを得る方法としては特に制限がなく、公知の成形方法によりフィルム状に成形される。T−ダイ成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、熱プレス成型法などにより、フィルム状に成形する方法が挙げられる。またこれらのフィルムは少なくとも一方向に延伸されていてもよい。延伸法として特に制限はないが、ロール延伸法、テンター法、インフレーション法などが挙げられる。
フィルムの厚さは、その分解速度を高めるために薄く成形することが好ましいが、強度や可とう性等を満足させるように自由に調整可能である。好ましい厚みは、5〜300μmであり、10〜100μmが更に好ましい。タンポン用アプリケータとしては0.1〜5mm、より好ましくは0.2〜2mmである。また、引張弾性率は1200MPa以下のものが好ましく、600MPa以下のものがさらに好ましい。
さらに本発明のフィルムの通気性を向上させるために、無機及び有機充填材を添加することも可能である。無機充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、珪酸白土などが挙げられ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、シリカ、珪藻土、チタン、ゼオライトが好ましい。また有機充填材としては木粉、パルプ粉などのセルロース粉末が挙げられる。これらの充填剤は単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
充填材の平均粒径としては30μm以下のものが好ましく、10μm以下のものがさらに好ましく、0.7〜5μmのものが特に好ましい。粒径が大きすぎるとフィルムの気孔の緻密性が悪くなり、小さすぎると樹脂への分散性が悪くなる可能性がある。平面状の未延伸シートにしたあと、縦方向に一軸延伸することにより、または縦及び横方向に二軸延伸することによりフィルムは多孔化し通気性を有するフィルムとなる。
本発明の不織布を得る方法としては特に制限がなく、公知の方法、例えば、乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式法などにより製造される。すなわち、共重合体(A)と分解性樹脂(B)からなる組成物を紡糸した後、ウェブを形成し、該ウェブを従来公知の方法により結合することにより得られる。
原料繊維の紡糸方法は、公知の紡糸方法が適用される。単独紡糸でも複合紡糸でも良く、特に、複合紡糸の形態としては、芯鞘型又は並列型複合紡糸が挙げられる。紡糸方法としては、例えば、押出機を用いて溶融紡糸する溶融紡糸法、上記組成物を溶媒に溶解し、溶液とした後、該溶液をノズルから貧溶媒中に吐出させる湿式紡糸法、該溶液をノズルから乾燥気体中に吐出させる乾式紡糸等が適用される。溶融紡糸法には、一軸押出機、二軸押出機等公知の押出機を用いることができる。
押出機の口金(ノズル)の口径は、必要とする繊維の直径(糸径)と、押出機の吐出速度や引き取り速度との関係によって適宜決定されるが、好ましくは口径0.1〜3.0mm程度である。いずれの紡糸法においても、紡糸後の繊維の延伸は必ずしも行う必要はないが、延伸を行う場合には、1.1〜10倍、好ましくは2〜8倍に延伸する。繊維の好ましい糸系は、0.5〜40デニールである。また、本発明の不織布を構成する単繊維又は複合繊維は、長繊維、短繊維のいずれでもよく、使用目的により適宜選択できる。
得られた繊維から、ウェブと呼ばれる繊維の塊状態を形成させる。ウェブの製造方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、フラットカード機、ローラカード機、ガーネット機等を用いるカード式、メルトブロー式が挙げられる。また、樹脂を紡糸する際、紡糸機のノズルから繊維が出るときに高速空気を吹き付け、気流に直角な穴あきコンベア上に集めてウェブを形成させるスパンボンド式でもよい。
このようにして得られたウェブから、本発明の分解性不織布を得るには公知の方法を用いることができる。例えば、針により交絡させるニードルパンチ法、糸により交絡させるステッチボンド法、水流により交絡させるスパンレース法、ジェットボンド法、熱により接着させるサーマルボンド法、接着剤を利用するケミカルボンド法、レジンボンド法が挙げられる。本発明の不織布の目付けは、1〜50g/mが好ましく、さらに好ましくは5〜20g/mである。
本発明のフィルム及び/または不織布を、公知のホットメルト接着あるいは熱接着などの方法により相互に接着、固定し、衛生用品を製造することができる。衛生用品としては、例えば、生理用タンポンアプリケータ、生理用ナプキン、パンティーライナー、使い捨て紙おむつ、失禁用パッド等が挙げられる。例えば、生理用タンポンアプリケータは、直径が2〜30mm、長さが10〜200mm、厚みが0.05〜5mmの筒状容器であって、射出成形で成形したり、シート状物を得た後、筒状に丸める等により成形できる。
また場合によっては、吸収コア、漏れ防止や装着者の運動性向上を目的として紙おむつの肢周りにギャザーなどを装備してもよい。
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。なお、この実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
[1] ポリマーの重量平均分子量(Mw)
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下「GPC」という)により、ポリマーの重量平均分子量(以下「Mw」という)を求めた。標準物質にはポリスチレンを用いた。
[2] フィルムの引張強度、引張弾性率
ダンベル型に打ち抜いたフィルム試験片を、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分で引張り、応力を測定することにより、引張破断強度、引張弾性率を求めた。
[調製例1]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)および90%L−乳酸水溶液50g(乳酸0.5モル)を装入し、窒素気流下、180℃で25時間反応させた。生成物を取り出して冷却固化させ、得られた固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。クロロホルム系GPCによるMwは9000であった。
[調製例2]
90%L−乳酸水溶液20g(0.2モル)を用いたほかは、調製例1と同様に10時間反応を行った。DMF系GPCによるMwは9000であった。
[調製例3]
90%L−乳酸水溶液10g(0.1モル)を用いたほかは、調製例1と同様に12時間反応を行った。DMF系GPCによるMwは11000であった。
[調製例4]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)およびL−ラクチド36.0g(0.25モル)を装入した。180℃に加熱し、加熱開始から1時間半後に、反応系を徐々に減圧にし、2時間後には1mmHgに達した。さらに2時間加熱を続けた後、160℃で15時間反応した。生成物を取り出して冷却固化させ、得られた固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。クロロホルム系GPCによるMwは8600であった。
[調製例5]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸31.9g(0.24モル)、コハク酸70.9g(0.6モル)、1,4−ブタンジオール54.1g(0.6モル)及び90%L−乳酸水溶液24g(0.24モル)を装入した。窒素気流下、200℃に加熱し15時間反応を続けた後、生成物を取り出して冷却固化させた。得られた固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが15.0万のポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)90gに、調製例1で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体を10g添加し、小型ニーダーを用いて180℃で5分間ブレンドした。得られたPBSA組成物を、180℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
得られたPBSA組成物のMwは10.6万であった。フィルムの引張強度は20MPa、引張弾性率は322MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、蒸留水に浸漬し、恒温槽中で35℃に保持した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後、3週間後、4週間後のフィルムのMwはそれぞれ、7.3万、6.5万、5.1万、4.4万であり、2週間でフィルムが破断した。PBSとアスパラギン酸−乳酸共重合体組成物にすることにより、効果的に加水分解が促進されていた。
ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)90g、調製例2で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体10gを用いたほかは、実施例1と同様に熱プレスフィルムを得た。
得られたPBSA組成物のMwは10.5万であった。フィルムの引張強度は22MPa、引張弾性率は385MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後、3週間後、4週間後のフィルムのMwはそれぞれ、8.3万、7.0万、5.0万、4.8万であり、2週間でフィルムが破断した。PBSAとアスパラギン酸−乳酸共重合体組成物にすることにより、効果的に加水分解が促進されていた。
ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)90g、調製例3で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体10gを用いたほかは、実施例1と同様に熱プレスフィルムを得た。
得られたPBSA組成物のMwは10.6万であった。フィルムの引張強度は21MPa、引張弾性率は443MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、Mw(クロロホルム系GPC)及び引張破断強度を測定した。
浸漬1週間後、2週間後、3週間後、4週間後のフィルムのMwはそれぞれ、9.0万、8.4万、8.0万、7.7万であり、1ヵ月後の引張破断強度は12MPaであった。PBSAとアスパラギン酸−乳酸共重合体組成物にすることにより、効果的に加水分解が促進されていた。
ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)95g、調製例1で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体5gを用いたほかは、実施例1と同様に熱プレスフィルムを得た。
得られたPBSA組成物のMwは13.0万であった。フィルムの引張強度は22MPa、引張弾性率は360MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBS組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後のフィルムのMwはそれぞれ、10.3万、8.7万であり、効果的に加水分解が促進されていた。
ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)90g、調製例4で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体10gを用いたほかは、実施例1と同様に熱プレスフィルムを得た。
得られたPBSA組成物のMwは11.1万であった。フィルムの引張強度は20MPa、引張弾性率は367MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後のフィルムのMwはそれぞれ、8.2万、6.7万であり、効果的に加水分解が促進されていた。
ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)95g、調製例4で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体5gを用いたほかは、実施例1と同様に熱プレスフィルムを得た。
得られたPBSA組成物のMwは13.0万であった。フィルムの引張強度は23MPa、引張弾性率は363MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後のフィルムのMwはそれぞれ、10.5万、8.5万であり、効果的に加水分解が促進されていた。
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが15.0万のポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)80gに、調製例5で得られたアスパラギン酸−乳酸−ブチレンサクシネート共重合体を20g添加し、小型ニーダーを用いて180℃で5分間ブレンドした。得られたPBSA組成物を、180℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
得られたPBSA組成物のMwは9.9万であった。フィルムの引張強度は21MPa、引張弾性率は392MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後、3週間後、4週間後のフィルムのMwはそれぞれ、9.0万、8.4万、7.7万、6.8万であり、1ヵ月後の引張破断強度は14MPaであった。PBSAとアスパラギン酸−乳酸−ブチレンサクシネート共重合体組成物にすることにより、効果的に加水分解が促進されていた。
[比較例1]
アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないこと以外は実施例1と同様に、クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが15.0万のポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)を、小型ニーダーを用いて180℃で5分間溶融攪拌した後、180℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
PBSAフィルムのMwは14.9万であった。フィルムの引張強度は25MPa、引張弾性率は416MPaであり、柔軟で強度の高いフィルムが得られた。
このPBSA組成物フィルムを、実施例1と同様に蒸留水に浸漬し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬1週間後、2週間後、3週間後、4週間後のフィルムのMwはそれぞれ、14.5万、13.8万、13.8万、13.6万であり、分子量の低下が遅く、1ヵ月後の引張破断強度は23MPaであり、強度はほとんど低下していなかった。
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のポリL−乳酸(PLA)95gに、調製例4で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体を5g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたPLA組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
得られたPLA組成物フィルムは無色透明であり、Mwは10.8万であった。フィルムの引張強度は61MPa、引張弾性率は1.1GPaであり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
このPLA組成物フィルムを、pH7.3の燐酸緩衝液中に浸漬し、恒温槽中で37℃に保持した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
浸漬時間の経過とともにフィルムは次第に白化、不透明化していった。1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ48MPa、40MPa、26MPa、0MPa(フィルムがもろくて測定不能)であった。また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ8.7万、7.5万、5.1万、4.5万であった。
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
[比較例2]
アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないこと以外は実施例8と同様に、PLAを熱プレスしてフィルムを調製した。
PLAフィルムは無色透明であり、Mwは9.8万であった。フィルムの引張強度は58MPa、引張弾性率は1.1GPaであった。
このPLAフィルムを、実施例8と同様にpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、恒温槽中で37℃に保持した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ62MPa、58MPa、57MPa、55MPaであり、5ヶ月経過してもほとんど強度の低下はなく、また、フィルムも無色透明のままで外観にもほとんど変化はなかった。
1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ9.2万、9.0万、8.7万、8.0万であり、分子量の低下も遅いものであった。
実施例1で得られた組成物から厚み0.5mmのシートを作製し筒状に丸めて、直径10mm、長さ50mmの筒状のタンポンアプリケータを製造した。
本発明により提供される衛生用品は、優れた分解性と使用感を有する。そのため、本発明の衛生用品は、使用時は体液等により崩壊することがなく通常と全く同様に使用でき、使用した後トイレ、台所流し等に放流した場合、速やかに分解する結果、環境への負加を減らすことが可能である。従って、生理用タンポンアプリケータ、生理用ナプキン、使い捨て紙おむつ、及びパンティーライナー等の衛生用品に好適に使用される。

Claims (13)

  1. 親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品。
  2. 共重合体(A)の親水性セグメント(a−1)がアスパラギン酸に由来する構造単位からなり、疎水性セグメント(a−2)が二塩基酸及び二価アルコール類、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類、ラクトン類又はカーボネート類に由来する構造単位からなる請求項1記載の衛生用品。
  3. 共重合体(A)の疎水性セグメント(a−2)が、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド又はε−カプロラクトンに由来する構造単位からなる請求項2記載の衛生用品。
  4. 共重合体(A)が、アスパラギン酸と、ヒドロキシカルボン酸類、ラクチド類及びラクトン類からなる群より選択された少なくとも1種との混合物を加熱することにより得られる共重合体である請求項1記載の衛生用品。
  5. 共重合体(A)が、アスパラギン酸と、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド及びε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種との混合物を加熱することにより得られる共重合体である請求項4記載の衛生用品。
  6. 共重合体(A)と分解性樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]である請求項1乃至5のいずれかに記載の衛生用品。
  7. 共重合体(A)の重量平均分子量が1000以上10万以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の衛生用品。
  8. 共重合体(A)の親水性セグメント(a−1)と疎水性セグメント(a−2)の比率[(a−1)/(a−2)]が[1/1]〜[1/50]である請求項1乃至7のいずれかに記載の衛生用品。
  9. 分解性樹脂(B)が、脂肪族ポリエステルである請求項1乃至8のいずれかに記載の衛生用品。
  10. 分解性樹脂(B)がポリヒドロキシカルボン酸類、ポリラクチド類、ポリラクトン類及び二塩基酸−二価アルコール共重合体類、からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項9記載の衛生用品。
  11. 衛生用品が、生理用ナプキン、パンティーライナー、使い捨て紙おむつ及び生理用タンポンアプリケータから選ばれた少なくとも1種である、請求項1乃至10のいずれかに記載の衛生用品。
  12. 親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品用フィルム。
  13. 親水性セグメント(a−1)としてポリアミノ酸を有し、疎水性セグメント(a−2)として分解性ポリマーを有するブロック又はグラフト共重合体(A)と、分解性樹脂(B)とを含有してなる衛生用品用不織布。
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