JP2019127553A - 着色組成物、ディスプレイ用フィルター及びディスプレイ - Google Patents

着色組成物、ディスプレイ用フィルター及びディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有し、蛍光発光が抑制され、極大吸収波長変化が少ない着色組成物、該着色組成物を含有するディスプレイ用フィルター及びディスプレイを提供することにある。【解決手段】 本発明の着色組成物は、スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン及び/又はその誘導体とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、着色組成物、それを含有するディスプレイ用フィルター及びディスプレイに関し、更に詳しくは、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有し、蛍光発光が抑制され、極大吸収波長変化が少ない着色組成物、それを含有するディスプレイ用フィルター及びディスプレイに関する。
近年、ディスプレイ装置の光源として、白色LEDや白色OLEDが用いられることが多くなっている。白色LEDの発光方式にはいくつかの種類があり、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの光を発するLEDを並べて白色光を得る方式のものや、青色LEDからの青色発光と黄色蛍光体からの黄色発光の組み合わせや、青色LEDからの青色発光、緑色蛍光体からの緑色発光及び赤色蛍光体からの赤色発光の組み合わせにより白色光を得る方式のものがある。白色OLEDの発光方式にもいくつかの種類があり、赤色、緑色、青色のそれぞれの光を発する層を積層させたものや、青色、黄色のそれぞれの光を発する層を積層させたものがある。
得られた白色光のスペクトルには590nm付近の領域にオレンジ色を示す光が含まれており、この領域の光の発光強度が高いと色純度が低下することが知られていた。
特許文献1には、標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素として特定のスクアリリウム化合物を用いることで、CRT用フィルターにおいて、視野の明るさを保ちつつ眩しさを抑え、鮮明な色感が得られることが記載されている。
特許文献2には、特定の非対称スクアリリウム化合物を用いることで、プラズマディスプレイパネル用フィルターの耐久性を向上できることが記載されている。
特開平10−204304号公報 特開2004−99711号公報
本発明者らが検討したところ、色素として、特許文献1や2に記載されたスクアリリウム系化合物を単体で用いた場合、波長570〜620nmにおける吸収極大によって色再現性が向上されるものの、スクアリリウム系化合物特有の蛍光発光があり、特に白色光を光源として利用する方式においては色再現性の改善が依然として不十分であることが判明した。さらに、溶液中とフィルム中とで極大吸収波長変化が大きく、溶液中での評価結果に基づいてフィルム化後の光学特性を調整することが困難であることが判明した。
そこで本発明は、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有し、蛍光発光が抑制され、極大吸収波長変化が少ない着色組成物、該着色組成物を含有するディスプレイ用フィルター及びディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン等を共存させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1] スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン及び/又はその誘導体とを含有することを特徴とする着色組成物。
[2] 前記スクアリリウム系化合物の極大吸収波長が570nm以上620nm以下である、[1]に記載の着色組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の着色組成物を含有するディスプレイ用フィルター。
[4] [3]に記載のディスプレイ用フィルターを備えるディスプレイ。
本発明によれば、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有し、蛍光発光が抑制され、極大吸収波長変化が少ない着色組成物、該着色組成物を含有するディスプレイ用フィルター及びディスプレイを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
また、本発明において「全固形分」とは、着色組成物中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
さらに、本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン及び/又はその誘導体を含有する。また、必要に応じて更に、溶剤、バインダー樹脂、粘着剤等を含んでいてもよい。
<スクアリリウム系化合物>
本発明の着色組成物は、スクアリリウム系化合物を含有する。スクアリリウム系化合物は波長380〜450nmの短波長領域における副吸収が少なく、波長570〜620nmにおいて吸収極大を有するため、色純度が良好になるディスプレイ用フィルターを得ることができる。
スクアリリウム系化合物とは、少なくとも2つのカルボニル基からなる四員環を有する化合物である。例えば、中央に四員環を有し、その左右に環を有するものが挙げられる。左右の環は同一のものでも異なるものでもよく、対称スクアリリウム系化合物であっても非対称スクアリリウム系化合物であってもよい。
スクアリリウム系化合物の中でも、可視領域に吸収極大を持たせる観点から下記式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019127553
式(I)中、A1及びA2は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基と芳香族複素環基が挙げられる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、5以上がよりさらに好ましく、6以上が特に好ましく、また、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。炭素数を前記下限値以上とすることで電子供与性基の導入が容易となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで芳香族環の副吸収が抑えられる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
このように、芳香族炭化水素環基における環は5員環でも、6員環でもよく、また、単環でも、縮合環でもよいが、副吸収を抑えるためには単環であることがさらに好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
一方で芳香族複素環基における環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
芳香族環基が有していてもよい置換基とは任意の置換基であるが、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20アルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数2〜20のPEG型ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシリル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアミノ基、フッ素原子を有するアルキル基、水酸基などが挙げられる。
スクアリリウム系化合物の中でも、分子中に双極子モーメントを有し、J会合を促進する観点から下記一般式(II)で表される非対称スクアリリウム系化合物が好ましい。
Figure 2019127553
式(II)中、Aは置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Dは少なくとも1つの置換基を有する芳香族環基を表す。
ただし、前記芳香族環基が有する前記置換基の1つは、該芳香族環を形成する炭素原子と結合する原子が周期表第15族原子である。また該置換基は、前記芳香族環を形成する他の炭素原子と結合して環を形成していてもよい。
なお、AとDとは異なる基である。
非対称スクアリリウム系化合物において、片一方の基(前記式(II)のD)を周期表第15族原子を含む特定の置換基を有する芳香族環基とし、もう一方の基(前記式(II)のA)を芳香族複素環基とすることで、非対称スクアリリウム骨格をより安定化させることができ、分子内に適度な双極子モーメントを付与することが可能となり、その結果、J会合体による分子間相互作用を強めることで、高いグラム吸光係数を付与し、かつ、吸収極大における半値幅を狭小化できる傾向がある。これによって非対称スクアリリウム系化合物は、吸収極大を波長570〜620nmに持たせることができ、AとDの間の交換反応も制御することが可能となり、波長500〜620nmにおける吸収極大の数を1つにできる傾向がある。
なお、本明細書において交換反応とは、下記式のようにA及びDがスクアリリウム母骨格から脱離、再結合し、(II’)、(II’’)及び(II)の混合物に変換されることを意味する。
Figure 2019127553
また、周期表第15族原子を含む置換基が、前記芳香族環基の他の炭素原子と結合して環を形成する場合には、Dの平面性が向上し、かつ、分子振動を制限することが可能となり、極大吸収の半値幅がより狭小となる傾向がある。
(A)
前記式(II)において、Aは置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
芳香族複素環基における環としては、単環の複素環や縮合環の複素環が挙げられる。その炭素数は2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、9以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。炭素数を前記下限値以上とすることで化合物を形成するために十分な反応性を担保できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで化合物の副吸収を抑えられる傾向がある。
芳香族複素環基としては例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、などの基が挙げられ、1個の遊離原子価を有するピロール環又はピラゾール環が好ましい。
芳香族複素環基を形成する炭素原子上には、任意の置換基を有してもよい。該置換基としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、シアノ基、炭素数2〜20アルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数2〜20のPEG型ヒドロキシエチル基、炭素数2〜20のアルキル基を有するアミド基、炭素数1〜20のアルキル基が結合してなるジ置換又はモノ置換アミノ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシリル基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、フッ素原子を有するアルキル基、水酸基などが挙げられ、芳香族複素環の反応性と安定性を維持する観点から、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、化合物の合成と溶解性の面からは、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
芳香族複素環基を形成するヘテロ原子上には、任意の置換基を有してもよい。該置換基としては、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシリル基が挙げられる。化合物の蛍光を抑えるためには、2位及び/又は6位に炭素数1〜20のアルキル基を有するフェニル基であることが好ましい。一方で化合物の溶解性の面から、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。該アルキル基における1価の遊離原子価を有する炭素原子は、1、2、3級のいずれでも良いが、立体的かさ高さから、2級又は3級がより好ましい。
上述した中でもAとしては、芳香族複素環を形成する骨格に窒素原子を有するものが好ましく、副吸収を抑えるためには単環であることがより好ましく、窒素原子上に置換基を有するピロール環、又は窒素原子上に置換基を有するピラゾール環であることがさらに好ましい。
(D)
前記式(II)中、Dは少なくとも1つの置換基を有する芳香族環基を表す。
ただし、前記芳香族環基が有する前記置換基の1つは、該芳香族環を形成する炭素原子と結合する原子が周期表第15族原子である。また前記置換基は、前記芳香族環を形成する他の炭素原子と結合して環を形成していてもよい。
Dにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基が挙げられる。その炭素数は5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。炭素数を前記下限値以上とすることで電子供与性基の導入が容易となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで蛍光の発光を抑えられる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
このように、芳香族環基における環は5員環でも、6員環でもよく、また、単環でも、縮合環でもよいが、周期表第15族原子を含む置換基を機能的に配置するためには6員環が好ましく、副吸収及び蛍光を抑えるためには単環であることがさらに好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
前記芳香族環基が有する前記置換基の1つは、該芳香族環を形成する炭素原子と結合する原子が周期表第15族原子である。以下、該置換基を「周期表第15族原子を含む置換基」と称する場合がある。
該周期表第15族原子としては、具体的には窒素原子、リン原子、ヒ素原子、アンチモン原子、ビスマス原子が挙げられるが、芳香族環の安定化や耐性の観点から窒素原子、リン原子が好ましく、Dの平面性を向上させるためには、窒素原子がより好ましい。
周期表第15族原子を含む置換基としては、例えば周期表15族原子が3価の原子価をとる場合、−αβ2が挙げられる。ここでαは周期表第15族原子を表し、βは任意の1価の基を表す。
βにおける任意の1価の基としては、例えば置換基を有していてもよいアルキル基や、置換基を有していてもよい芳香族環基が挙げられる。
βにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。炭素数を前記範囲内とすることで化合物の溶解度を制御できる傾向がある。
アルキル基の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n―オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、後述の通り、Dの芳香族環基の環に縮合する観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、前術のAの置換基として述べたものや、後述のDがさらに有していてもよい置換基として述べたものが挙げられる。
一方でβにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。電子供与性置換基を導入するとの観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。芳香族環基の炭素数は2以上が好ましく、5以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、また、15以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記範囲内にすることで、蛍光の発光が抑えられる傾向がある。
芳香族炭化水素環基の環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも電子供与性を制御する観点から好ましくは、単環の芳香族炭化水素環である。芳香族炭化水素環基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
一方で芳香族複素環基の環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、前述のAの置換基として述べたものや、後述のDがさらに有していてもよい置換基として述べたものが挙げられ、アルキル基が好ましい。
Dにおける芳香族環基が、周期表第15族原子を含む置換基の他にさらに有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、交換反応を防ぐ観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシリル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、水酸基などが挙げられる。
Dの平面性を高め、強い電子供与性基を導入するとの観点から、Dが6員単環芳香族炭化水素環基であり、その4位に周期表第15族原子を含む置換基を、その3位及び5位にアルキル基を配置し、周期表第15族原子を含む置換基のβに該当するアルキル基と、3位及び5位のアルキル基とが結合して6員単環芳香族炭化水素環に縮合し、5員環、6員環、7員環又は8員環を形成する態様がより好ましい。この場合のDの具体的化学構造を以下に示す。
Figure 2019127553
前記一般式(II)で表される化学構造を有する非対称スクアリリウム化合物の中でも、AとDの間の交換反応を防ぐ観点から、下記一般式(III)で表される化学構造を有する非対称スクアリリウム化合物が好ましい。
Figure 2019127553
式(III)中、Aは前記式(II)におけるものと同義である。RD1及びRD2は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。RD1とRD2は連結して環を形成していてもよい。また、RD1とRD3とが結合して−NRD1D2が置換しているベンゼン環に縮合する環を形成していてもよく、RD2とRD3とが結合して−NRD1D2が置換しているベンゼン環に縮合する環を形成していてもよい。RD3は任意の置換基を表す。
nは1〜4の整数を表す。
(RD1及びRD2
前記式(III)中、RD1及びRD2は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキルを表す。アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい。
アルキル基の炭素数は特に限定されないが、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、また、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。炭素数を前記範囲内とすることで、化合物の溶解度を制御できる傾向がある。
アルキル基の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n―オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。これらの中でも、以下の通り、RD3と結合して−NRD1D2が置換しているベンゼン環に縮合する環を形成させる観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。
(RD3
前記式(III)中、RD3は任意の置換基を表す。
任意の置換基としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20アルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数2〜20のPEG型ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシリル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、フッ素原子を有するアルキル基、水酸基などが挙げられる。これらの中でも置換基を有するアミノ基(−NRD1D2)と連結して環を形成し、強い電子供与性と平面性を両立することが可能との観点から、アルキル基が好ましい。
(n)
前記式(III)中、nは1〜4の整数を表す。nの数はこの範囲内であれば特に問わないが、例えばnが1又は2の場合、3位及び/又は5位にRD3を配置し、該RD3と4位のアミノ基(−NRD1D2)のRD1、RD2と結合して環を形成することで電子供与性と平面性の両方が高められるとの点から好ましい。
非対称スクアリリウム系化合物は、以下のように共鳴構造を複数書くことができるが、これらは特に断らない限り同義である。
Figure 2019127553
以下にスクアリリウム系化合物の具体例を挙げる。
Figure 2019127553
Figure 2019127553
Figure 2019127553
Figure 2019127553
Figure 2019127553
(製造方法)
スクアリリウム系化合物は、公知の方法で製造することができる。例えばTop. Heterocycl. Chem. 14, 133−181 (2008)に記載の方法に準じて製造することができる。
(物性)
スクアリリウム系化合物の吸収極大の極大吸収波長(λmax)は特に限定されないが、570nm以上が好ましく、572nm以上がより好ましく、575nm以上がさらに好ましく、580nm以上が特に好ましく、また、通常620nm以下であり、615nm以下が好ましく、610nm以下がより好ましく、605nm以下がさらに好ましい。吸収極大の極大吸収波長を前記範囲内とすることで色再現性が良好となる傾向がある。吸収極大の極大吸収波長は、スクアリリウム系化合物をテトラヒドロフラン等の溶媒に溶解させた溶液を作製して測定した吸収スペクトルから算出することができる。詳細な条件は実施例に記載のものを採用することが好ましい。
さらに、スクアリリウム系化合物の吸収極大の半値幅は特に限定されないが、40nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、また、通常25nm以上である。吸収極大の半値幅を前記上限値以下とすることでディスプレイ用フィルターの色再現性が向上される傾向がある。吸収極大の半値幅(FWHM)は、前述の吸収スペクトルにて、極大吸収波長(λmax)における吸光度Aの半値となる波長A1及び波長A2を読み取り、波長A1波長A2の差の絶対値を算出することで得られる。
スクアリリウム系化合物において、波長500〜620nmにおける吸収極大の数は特に限定されないが、輝度低下を抑制する観点から好ましくは1つである。吸収極大の数は、前述の吸収スペクトルから算出することができる。なお、波長500〜620nmにおける吸収極大の数は、吸収スペクトルに含まれる吸収極大のうち、その極大吸収波長が波長500〜620nmに含まれるものの数を意味する。
一方で、スクアリリウム系化合物の波長380〜450nmにおける透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、また、この透過率は通常100%以下である。透過率を前記下限値以上とすることでフィルムの色再現性を向上する傾向がある。透過率は前述の吸収スペクトルから算出することができる。
<炭素フラーレン類>
本発明の着色組成物は、炭素フラーレン及び/又はその誘導体(以下、「炭素フラーレン類」と略記する場合がある。)を含有する。蛍光を発するスクアリリウム系化合物と炭素フラーレン類を併用することで、スクアリリウム系化合物の励起電子又は励起エネルギーが、フェルスター機構又はデクスター機構により炭素フラーレン類へ電子移動又はエネルギー移動して熱に変換されることで、スクアリリウム系化合物の蛍光が消光されると考えられる。
さらに、炭素フラーレン類は、スクアリリウム系化合物に比べて可視光領域における吸収が非常に少ない特徴を有することから、消光剤として使用した際の透過率の低下が小さい。
また炭素フラーレン類を用いることで、スクアリリウム系化合物のJ会合体同士の相互作用が炭素フラーレン類の三次元的構造によって妨げられるため、溶液中と及びフィルム中とで吸収スペクトルにおける極大吸収波長がほとんど変化せず、かつ、蛍光を消光する目的に適した化合物である。従って、溶液中での評価結果に基づいてフィルム化後の光学特性を調整することが容易であり、また、光学特性への影響をほとんど考慮せずにフィルム設計をすることができるという利点がある。
炭素フラーレンとは、閉殻構造を有する炭素クラスターである。炭素フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数であれば特に限定されない。
炭素フラーレン類のうち、炭素フラーレン、つまり無修飾炭素フラーレンとしては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、C96フラーレンなどが挙げられ、それらを単独で使用してもよく、それらの混合物を使用してもよい。
炭素フラーレンには、その炭素−炭素結合の一部が切れているものも含まれる。また、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団を内包するフラーレンも含まれる。
一方で、炭素フラーレンの誘導体としては、炭素フラーレンに付加基が付加したものが挙げられる。具体的には、下記一般式(1)で表される部分構造を有するものが挙げられる。
Figure 2019127553
上記式(1)中、FLNは炭素フラーレンを表す。Rは付加基を表し、nは1以上の整数を表す。
炭素フラーレン(FLN)に付加される基であるRとしては例えば、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アセチル基、スルホニル基、シリル基、ボリル基、ニトリル基、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルケレン基,アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族環基等が挙げられる。これらのRはさらに任意の置換基によって置換されていてもよい。
Rは、1価の基であってもよいし、2価以上の基であってもよい。例えばRが2価の基である場合、Rはフラーレンに対してどのように結合してもよい。例えば下記一般式(2)のように、Rがフラーレン環上の隣接する2つの炭素原子に対して結合してもよい。また、下記一般式(3)のように、1つのRがフラーレン環上で1つの炭素原子を挟んで位置する2つの炭素原子に対して結合してもよい。さらには、下記一般式(4)のように、1つのRがフラーレン環上で2つ以上の炭素原子を挟んで位置する2つの炭素原子に対して結合してもよい。また、1つのRは、フラーレン骨格中の同一の五員環又は六員環に含まれる2つの炭素原子に結合されていることが好ましい。
Figure 2019127553
より具体的には、ICBA、ICMA、[60]−SAM、Bis[60]PCBM、[60]PCBM、[70]PCBM、[84]PCBM、PCBB、PCBO、[60]ThCBCM、MPC60、二ペコチン酸エチルスモールギャップフラーレン、C60ピロリジントリス酸、C60ピロリジントリス酸エチルエステル、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸、ポリヒドロキシスモールギャップフラーレン、フラーライトなどがあげられる.
炭素フラーレン類の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 2019127553
Figure 2019127553
なお、ここではC60の炭素フラーレン類の具体的構造を示したが、それらに対応するC70の炭素フラーレン類も同様に挙げられる。
炭素フラーレン類の製造方法は特に限定されないが、例えば特開2012−94829号公報などに記載の方法を採用することができる。
[その他の成分]
本発明の着色組成物は、スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン類とを含有するものであり、必要に応じてさらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、バインダー樹脂、粘着剤、溶剤、その他の添加剤などが挙げられる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系樹脂(PMMA等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。
(粘着剤)
粘着剤としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ゴム系又はシリコン樹脂系等の粘着剤が挙げられる。これらの中ではアクリル系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤が望ましい。
粘着剤は樹脂成分を加熱等で架橋したものでも、架橋する前のものであってもよい。
粘着剤を構成する樹脂成分としては、光学特性、特に透明性の観点から、(メタ)アクリル系共重合体を用いることが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、50万以上が好ましく、60万以上がより好ましく、70万以上がさらに好ましく、80万以上がよりさらに好ましく、90万以上が特に好ましく、100万以上が最も好ましく、また、300万以下が好ましく、250万以下がより好ましく、200万以下がさらに好ましい。Mwを前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで粘着剤としての作業性が向上する傾向がある。
また、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、−5℃以下がより好ましく、−10℃以下がさらに好ましく、通常−100℃以上である。Tgを前記上限値以下とすることで常温において粘着性に優れた組成物が得られる傾向がある。
また、粘着剤は前記樹脂成分以外に、架橋剤、シランカップリング剤等の成分を含んでいてもよい。架橋剤としては、イソシアネート化合物、金属キレート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
上述した粘着剤を構成する各成分としては、例えば、特開2017−53878号公報、特開2017−58422号公報、特開2017−71730号公報等に記載のものを採用することができる。
(溶剤)
溶剤としては、特に限定されるものではないが、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール類;アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶剤類等が挙げられる。
(その他の添加剤)
その他の添加剤としては、特に限定されないが、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑材、可塑剤等の添加剤が挙げられる。
(着色組成物における各成分の含有割合)
本発明の着色組成物中のスクアリリウム系化合物の含有割合は特に限定されないが、バインダー樹脂や粘着剤を含む着色樹脂組成物の場合、全固形分中に0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。スクアリリウム系化合物の含有割合を前記下限値以上とすることで組成物が安定になる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでスクアリリウム系化合物の析出を抑制できる傾向がある。
一方で、バインダー樹脂や粘着剤を含まない着色組成物の場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は全固形分中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。スクアリリウム系化合物の含有割合を前記下限値以上とすることで組成物が安定になる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでスクアリリウム系化合物の析出を抑制できる傾向がある。
本発明の着色組成物中の炭素フラーレン類の含有割合は特に限定されないが、バインダー樹脂や粘着剤を含む着色樹脂組成物の場合、全固形分中に0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がよりさらに好ましく、0.2質量%以上が特に好ましく、また、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。炭素フラーレン類の含有割合を記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の消光作用が発揮しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで炭素フラーレン類の可視領域の吸収が低減される傾向がある。
一方で、バインダー樹脂や粘着剤を含まない着色組成物の場合、炭素フラーレン類の含有割合は全固形分中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、また、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。炭素フラーレン類の含有割合を前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の消光作用が発揮しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで炭素フラーレン類の可視領域の吸収が低減される傾向がある。
また、着色組成物中の炭素フラーレン類の含有割合はスクリアリウム系化合物100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、100質量部以上がよりさらに好ましく、150質量部以上が特に好ましく、また、2000質量部以下が好ましく、1000質量部以下がより好ましく、500質量部以下がさらに好ましく、300質量部以下が特に好ましい。スクリアリウム系化合物100質量部に対する炭素フラーレン類の含有割合を前記下限値以上とすることで消光作用が発揮しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで炭素フラーレン類の可視領域の吸収が低減される傾向がある。
本発明の着色組成物がバインダー樹脂を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、全固形分中に1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がよりさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、また、通常99.9質量%以下である。バインダー樹脂の含有割合を前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物や炭素フラーレン類の析出が抑制できる傾向がある。
本発明の着色組成物が粘着剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、全固形分中に1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がよりさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、また、通常99.9質量%以下である。粘着剤の含有割合を前記下限値以上とすることでスクリアリウム系化合物や炭素フラーレン類の析出が抑制できる傾向がある。
本発明の着色組成物が溶剤を含有する場合、固形分濃度は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。固形分濃度を前記下限値以上とすることで溶液安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで得られる塗膜の性能が向上する傾向がある。
[ディスプレイ用フィルター及びディスプレイ]
本発明のディスプレイ用フィルターは、本発明の着色組成物を含有する。つまり、本発明のディスプレイ用フィルターは、少なくともスクアリリウム系化合物及び炭素フラーレン類を含有する。
本発明のディスプレイ用フィルターは、例えばディスプレイ構成外部においてバンドパスフィルターとして使用するものや、ディスプレイ構成内部において色再現や色域拡大のために使用するものが挙げられる。
ディスプレイ用フィルターの構成の具体例としては、以下の態様が挙げられる。
(フィルターA):樹脂フィルムの上に本発明の着色組成物を含むコーティング層が塗布されたフィルター
(フィルターB):樹脂フィルムの粘着剤層に本発明の着色組成物が含まれるフィルター(フィルターC):樹脂フィルム中に本発明の着色組成物が含まれるフィルター
以下、「本発明のフィルター」という場合は、特に区別しない限り上記フィルターA〜Cの全てを指すものとする。同様に、本発明の着色組成物が樹脂フィルム上のコーティング層、粘着剤層及び樹脂フィルムのうちの複数の箇所に含まれたフィルターも「本発明のフィルター」に含まれるものとする。
本発明のフィルターの1つの態様は、本発明の着色組成物を含むことを特徴とする、ディスプレイに用いられる色補正フィルター、つまり、色純度改善フィルターである。
特に、色純度の観点から、白色LEDを光源とするディスプレイに好適に使用できる。中でもオレンジ光を除く観点から、白色LEDが、青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせにより白色光を得る方式や、青色LED、緑色蛍光体及び赤色蛍光体の組み合わせにより白色光を得る方式の光源を有するディスプレイが好ましい。
色補正フィルターの設置位置は、バックライトとしての光源と視認者との間に配置されるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ディスプレイのガラス板、偏光板等に塗布された色補正コーティング層又は色補正粘着剤層であってもよく、ディスプレイのガラス板、偏光板等の表面に貼り付けられた色補正フィルムであってもよい。
また、ディスプレイ内に設けられる板状の高分子成形体の表面に塗布された色補正コーティング層又は色補正粘着剤層であってもよく、高分子成形体の表面に貼り付けられた色補正フィルムであってもよい。また、板状の高分子成形体自身に本発明の着色組成物が含まれている形態であってもよい。上記高分子成形体としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。
色補正フィルターの位置は、ガラス板や高分子成形体の表裏のうち、光源側であってもよく、視認者側であってもよい。
本発明のフィルターの他の態様として、照明装置に用いられる色補正フィルターが挙げられる。光源としては、ディスプレイに関して挙げたものと同じものが挙げられる。
この場合、色補正フィルターの設置位置は、光源と視認者との間に配置されるものであれば特に限定されるものではない。例えば、電球型照明、直管型照明等の照明装置の最も外側にある筐体(ガラス、プラスチック等)の外側表面又は内側表面に塗布された色補正コーティング層であってもよく、筐体の外側表面又は内側表面に貼り付けられた色補正フィルムであってもよい。
なお、筐体とは光が出る部位であり、カバー、フード等とも呼ばれる。
また、筐体自身に本発明の着色組成物が含まれている形態であってもよい。この場合、筐体の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート等の高分子成形体が挙げられる。
照明装置としては、白色LEDを光源として用いる電球型照明、直管型照明、シーリングライト、スポットライト、ダウンライト、投光灯、街路灯、デスクライト等が挙げられる。
また、照明装置の白色の種類は特に限定されるものではなく、電球色(色温度2600〜3250K)、温白色(色温度3250〜3800K)、白色(色温度3800〜4500K)、昼白色(色温度4600〜5500K)、昼光色(色温度5700〜7100K)といった色の照明装置が使用される。上記色温度の区分はJIS Z 9112の基準に拠っている。
一方で、本発明のフィルターの他の態様として、外光補正フィルターが挙げられる。本発明の外光補正フィルターは、本発明の着色組成物を含有し、自然光、環境光等の外光と視認者の間に配置されるものであればよく、その形態、配置場所は特に限定されるものではない。
例えば、本発明の着色組成物を含む色補正コーティング層、本発明の着色組成物を含む色補正粘着剤層、樹脂フィルムの上に本発明の着色組成物を含む色補正コーティング層が塗布された外光補正フィルム(以下、外光補正フィルムA)、樹脂フィルムの粘着剤層に本発明の着色組成物が含まれる外光補正フィルム(以下、外光補正フィルムB)、樹脂フィルムに本発明の着色組成物が含まれる外光補正フィルム(以下、外光補正フィルムC)等の形態が挙げられる。
以後、「本発明の外光補正フィルム」という場合は、特に区別しない限り上記外光補正フィルムA〜Cの全てを指すものとする。また、本発明の着色組成物が樹脂フィルム上のコーティング層、粘着剤層及び樹脂フィルムのうちの複数の箇所に含まれたフィルムも「本発明の外光補正フィルム」に含まれるものとする。
本発明の外光補正フィルムは、外光を取り込む取込口、例えば、眼鏡、自動車等の輸送用機械のフロントガラス、建設用重機のガラス、建築物における窓ガラス等に好適に用いることができる。本発明の外光補正フィルムを、外光を取り込む取込口等に適用することで、外光の差し込む環境下で作業する作業者の視認性の向上を図ることができる。外光補正フィルターの位置は、ガラスや窓ガラスの表裏のうち、外光側であってもよく、視認者側であってもよい。
また、高分子樹脂に本発明の着色組成物を混練して加熱成形することにより、眼鏡レンズや窓用部材等に用いることもできる。
本発明のフィルター及び本発明の外光補正フィルターを構成する上記バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系樹脂(PMMA等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、粘着剤としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ゴム系又はシリコン樹脂系等の粘着剤が挙げられる。これらの中ではアクリル系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤が望ましい。
また、樹脂フィルムとしては、透明性を有する各種のプラスチック材料が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
スクアリリウム系化合物、炭素フラーレン類及びバインダー樹脂を混合して色補正コーティング層を設ける場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
また、スクアリリウム系化合物、炭素フラーレン類及び粘着剤を混合して色補正粘着剤層を設ける場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は、粘着剤100質量部に対して0.01〜10質量部であることが望ましい。
色補正コーティング層及び色補正粘着剤層を樹脂フィルム等(筐体、ガラス板、偏光板、高分子成形体等をも含む)に塗布する場合、着色組成物をスピンコート、スプレー、バーコート、フローコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート、ダイコーター等の公知の塗布方法により塗工する方法を用いることができる。
また、樹脂フィルムや高分子成形体中に本発明の着色組成物が含まれているフィルターを製造する場合、樹脂フィルムや高分子成形体の成形時に、樹脂中に着色組成物を配合しておき、樹脂フィルムの成形及び高分子成形体の成形を行えばよい。
樹脂フィルムや高分子成形体中に本発明の着色組成物が含まれているフィルターを製造する場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は、樹脂100質量部に対して0.0001〜1質量部であることが好ましい。
また、本発明のフィルター及び外光補正フィルターには、さらにその他の添加剤が含まれていてもよい。例えば、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑材、可塑剤等の添加剤が挙げられる。
以下、本発明の着色組成物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1) スクアリリウム系化合物1の合成
Figure 2019127553
化合物1(2.29mL、2.30g、13.3mmol)と化合物2(2g)にトルエン260mLを加え、3時間110℃で還流した。50℃以下にまで冷却後、減圧濃縮した。得られた粗生成物に、酢酸40mL、水40mL、12N濃塩酸2mLを加え110℃で、激しく撹拌しながら、2時間加熱した。室温まで冷却した後、一晩静置し、得られた沈殿をクロロホルムで洗浄した後、減圧乾燥を行い、化合物3を1.7g得た。
Figure 2019127553
化合物3(150mg)と化合物4(81mg)をトルエン25mLとn−ブタノール25mLの混合溶媒に添加し、110℃でディーンスターク法により2.5時間加熱撹拌した。続けて、ろ過を行い、得られた固体をトルエンで洗浄し、真空乾燥し、スクアリリウム系化合物1を144mg得た。
(合成例2) スクアリリウム系化合物2の合成
Figure 2019127553
化合物4の代わりに化合物5を用いた以外は、合成例1と同様にして、スクアリリウム系化合物2を132mg得た。
(合成例3) スクアリリウム系化合物3の合成
Figure 2019127553
化合物4の代わりに化合物6を用いた以外は、合成例1と同様にして、スクアリリウム系化合物3を158mg得た。
(合成例4) スクアリリウム系化合物4の合成
Figure 2019127553
化合物4の代わりに化合物7を用いた以外は、合成例1と同様にして、スクアリリウム系化合物4を121mg得た。
(合成例5) スクアリリウム系化合物5の合成
Figure 2019127553
化合物4の代わりに化合物8を用いた以外は、合成例1と同様にして、スクアリリウム系化合物5を153mg得た。
(炭素フラーレン類1)
炭素フラーレン類1としてフラーレンC60(東京化成社製)を準備した。
(炭素フラーレン類2)
炭素フラーレン類2として、フラーレンC70(東京化成社製)を準備した。
(炭素フラーレン類3)
炭素フラーレン類3として、フラーレン誘導体(メチル[6,6]−フェニルC61ブチレート、東京化成社製)を準備した。
(スクアリリウム系化合物の評価)
得られた各スクアリリウム系化合物の極大吸収波長(λmax)及び波長500〜620nmにおける吸収極大の数は、JASCO V−670紫外可視分光装置(日本分光社製)を使用し、最大吸収波長での吸光度が1になるように濃度調整したテトラヒドロフラン溶液を作製して測定した吸収スペクトルから読み取った。
また半値幅は、極大吸収波長における吸光度Aの半値となる波長A1及び波長A2を吸収スペクトルから読み取り、波長A1と波長A2の差の絶対値を半値幅(FWHM)とした。
さらに、前記テトラヒドロフラン溶液を用い、同一の装置を用いて波長380〜450nmの透過率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2019127553
[実施例1〜7及び比較例1〜5]
(色素フィルム試験片の作製)
トルエンとTHF(テトラヒドロフラン)を質量比6:4の割合で混合した溶液8gにダイヤナールBR−80(三菱ケミカル社製)2gを溶解させ、表2に記載のスクアリリウム系化合物0.002gと炭素フラーレン類0.020gを添加してよく攪拌し(ただし、比較例1〜5ではいずれも炭素フラーレン類を添加せず。)、実施例1〜7及び比較例1〜5の着色組成物(樹脂液)を作製した。
得られた各樹脂液をポリエチレンテレフタレート製フィルム上に塗布し、100℃で2分間乾燥し、厚さ5μmの膜を形成し、色素フィルム試験片を作製した。
(蛍光の観察)
色素フィルム試験片を白色の紙の上で観察すると、吸収と蛍光の両者が観察され、蛍光の有無の判別が困難である。そこで吸収の影響を低減して蛍光の有無を観察するために、色素フィルム試験片を各々黒色の紙の上に置き、蛍光灯下で蛍光の有無を評価した。結果を表2に示す。
○:目視で蛍光が確認できない。
×:目視で蛍光が確認できる。
(極大吸収波長変化の評価)
分光光度計U−4100(日立製作所社製)にて、ポリエチレンテレフタレート製フィルムをリファレンスにして、各実施例1〜7の色素フィルム試験片の波長380〜780nmにおける透過スペクトルを測定したところ、いずれの実施例においても、スクアリリウム系化合物由来の極大吸収波長570〜620nmのシャープな吸収ピークが確認された。色素フィルム試験片における極大吸収波長と、前述の(スクアリリウム系化合物の評価)にて測定した溶液における極大吸収波長の差を表2に示す。
また、炭素フラーレン類の使用有無の違いによる極大吸収波長における吸光度の変化を評価するために、各試験片の透過スペクトルから転換して吸収スペクトルを得て、極大吸収波長における吸光度から以下の計算式にて吸光度減少率を算出した。その結果を表2に示す。
吸光度減少率(%) = [(対応する比較例の試験片の極大吸収波長における吸光度)−(各実施例の試験片の極大吸収波長における吸光度)]÷(対応する比較例の試験片の極大吸収波長における吸光度)×100
(耐熱試験)
次に、色素フィルム試験片を80℃恒温槽に入れ、96時間暴露した。分光光度計U−4100(日立製作所社製)にて、ポリエチレンテレフタレート製フィルムをリファレンスにして、暴露前後の試験片の吸収スペクトルを測定し、波長500〜620nmにおける吸収極大の最大吸収強度の変化率(=暴露後の最大吸収強度÷暴露前の最大吸収強度×100(%))を以下の基準で評価することで耐熱評価を行った。結果を表2に示す。表2中「−」は評価を行っていないことを示す。
◎:吸収極大の最大吸収強度の変化率が80%以上
○:吸収極大の最大吸収強度の変化率が50%以上80%未満
△:吸収極大の最大吸収強度の変化率が10%以上50%未満
×:吸収極大の最大吸収強度の変化率が10%未満
Figure 2019127553
表2から明らかなように、実施例1〜7の着色組成物ではスクアリリウム系化合物と炭素フラーレン類の両者を含むことで、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有し、かつ、蛍光が抑制されていることから、色再現性にすぐれたディスプレイ用フィルター及びディスプレイを得ることができる。炭素フラーレン類を用いることで、スクアリリウム系化合物の励起電子又は励起エネルギーが、フェルスター機構又はデクスター機構により炭素フラーレン類へ電子移動又はエネルギー移動して熱に変換されることで、スクアリリウム系化合物の蛍光が消光されると考えられる。
また、溶液と色素フィルムとで極大吸収波長変化が少ないことから、溶液中での評価結果に基づいてフィルム化後の光学特性を調整することが容易であり、また、光学特性への影響をほとんど考慮せずにフィルム設計をすることができる。炭素フラーレン類を用いることで、スクアリリウム系化合物のJ会合体同士の相互作用が炭素フラーレン類の三次元的構造によって妨げられるため、溶液とフィルムとで極大吸収波長変化が少なくなったものと考えられる。
さらに、高温暴露後の最大吸収強度の低下が少ないことから、高温条件下で使用されるディスプレイにも好適に適用することができる。比較例1〜5から明らかなように、スクアリリウム系化合物は耐熱性が低いものであるが、炭素フラーレン類を含むことによりそれがバッファーとなって、高温暴露後の最大吸収強度の低下が少なくなったものと考えられる。その詳細なメカニズムは不明であるが、スクアリリウム系化合物の耐熱性の悪化は、水分の混入や熱による分子振動の増加と併せ、分子間会合(J会合)の切れやすさに起因するものであると考えられる。スクアリリウム系化合物に炭素フラーレン類が共存すると脂溶性効果が高くなり、また、炭素フラーレン類の添加量を多くした場合にはスクアリリウム系化合物周辺の環境を親水性から疎水性に寄せることが可能となると推測される。このことから、炭素フラーレン類の使用によるスクアリリウム系化合物周辺の環境変化を利用し、スクアリリウム系化合物の分子振動の増加や分子間結合の切断を抑制し、耐熱性を向上させることが可能となると考えられる.
これに対して比較例1〜5の着色組成物では、スクアリリウム系化合物を含むことから、極大吸収波長が570〜620nmである吸収極大を有すものの、炭素フラーレン類を含まないことからスクアリリウム系化合物固有の蛍光があり、色再現性が不十分であることが示唆された。また、極大吸収波長変化が大きく、耐熱性も不十分であった。

Claims (4)

  1. スクアリリウム系化合物と、炭素フラーレン及び/又はその誘導体とを含有することを特徴とする着色組成物。
  2. 前記スクアリリウム系化合物の極大吸収波長が570nm以上620nm以下である、請求項1に記載の着色組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の着色組成物を含有するディスプレイ用フィルター。
  4. 請求項3に記載のディスプレイ用フィルターを備えるディスプレイ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021054891A (ja) * 2019-09-27 2021-04-08 三菱ケミカル株式会社 スクアリリウム系化合物、着色組成物、ディスプレイ用フィルター及びディスプレイ

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