JP2019127498A - 温度検知インク、温度検知インクの初期化方法、温度インジケータ、および物品管理システム - Google Patents

温度検知インク、温度検知インクの初期化方法、温度インジケータ、および物品管理システム Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な手法により色の初期化が可能であり、反応温度以上において時間と温度の積算で色が変化する温度検知インクを提供する。【解決手段】温度検知材料と、溶剤と、を含み、温度検知材料は、ロイコ染料、顕色剤、及び消色剤を含む示温材をマイクロカプセル中に内包した構造、又は示温材を含む相とマトリックス材料とが相分離した構造を有し、示温材は所定の速度以上で融解状態からガラス転移点Tg以下に冷却することにより消色したまま凝固し、示温材のガラス転移点Tgは−20℃以上60℃以下であり、示温材の融点Tdは60℃以上250℃以下であって、前記溶剤の沸点より低い、温度検知インク。【選択図】図2

Description

本発明は、温度検知対象の温度の確認等を行うための温度検知インク、温度検知インクの初期化方法、温度インジケータ、および物品管理システムに関する。
生鮮食品、冷凍食品や、ワクチン、バイオ医薬品等の低温保存医薬品は、生産、輸送、消費の流通過程の中で、途切れることなく低温に保つコールドチェーンが必要である。実際には、流通時の温度を絶えず測定・記録するため、通常、運送コンテナには時間と温度を連続的に記録可能なデータロガーを搭載した場合が多く、製品にダメージがあればその責任の所在を明らかにすることが可能である。
製品個別の品質を管理する場合は、データロガーではなく温度インジケータを利用する方法がある。温度インジケータはデータロガーほどの記録精度はないものの、製品個別に貼付け可能であり、あらかじめ設定された温度を上回るか、下回るかした場合に表面が染色されるため、温度環境の変化を知ることが可能である。
しかしながら、温度インジケータは、製品管理に使用する前の温度インジケータの保管時や輸送時の温度管理が必要になること、且つ再利用ができないことが課題となっている。製品個別への温度インジケータの貼付を想定した場合、医薬品など高価な製品の管理には、偽造防止というニーズがあり、温度逸脱した後のインジケータにおいて完全な不可逆性が求められる。しかしながら、生鮮食品などの安価な製品の管理では、コスト面から、環境温度以下では不可逆であれば十分であり、完全な不可逆性よりも、温度インジケータの再利用や、常温での輸送、常温での保管にニーズがある。そのため、ある程度簡便な手法での色の初期化ができる温度インジケータ求められる。
また、生鮮食品やバイオ医薬品などの温度と時間に依存して品質劣化が進行する製品を管理する場合は、時間と温度の積算で色が変化するTTI(Time−Temperature Indicator)が利用される。このような温度インジケータとしては、例えば、温度により粘性が変化するインクが浸透材中を浸透することで色が変化するものなどが挙げられる。しかしながら、この温度インジケータの場合、インク単体では温度インジケータとしての機能を果たさないため、温度インジケータの構造が複雑になり低価格化が難しいという課題がある。さらに、再利用、すなわち色の初期化が不可能である。
色の初期化が可能な温度検知インクとして、特許文献1には、比較的低温の加熱により、消色状態から発色状態となり、その後の冷却によっても発色状態を維持ができ、加熱により消色状態を経て再び発色状態に復帰し得る変色挙動を示す可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が開示されている。
特許文献2には、環境温度下では不可逆性で、結晶−非結晶転移または相分離状態−非相分離状態の変化により色が変化する示温材料が開示されている。
特開2017−106005号公報 特開2001−348568号公報
特許文献1に開示された可逆熱発色性マイクロカプセル顔料は、時間と温度の積算による色の変化は考慮されていない。また、特許文献1に開示された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、加熱により消色状態から発色状態となり、その後の冷却によっても発色状態を維持し、加熱により消色状態を経て再び発色状態に復帰し得る変色挙動を示す。この可逆熱発色性マイクロカプセル顔料は、電子供与性呈色有機化合物と電子受容性化合物と反応媒体が相溶すると電子供与性呈色有機化合物と電子受容性化合物とが結合し発色し、電子受容性化合物と反応媒体とが非相溶状態となると電子供与性呈色有機化合物と電子受容性化合物との結合が切れて消色するという原理を利用している。
特許文献1では比較的低温での加熱により消色状態から発色状態となることが開示されているが、食品や医薬品等のコールドチェーンにおいては、さらに低温で温度検知でき、かつ簡便な手法での色の初期化が可能である温度検知材料が期待されている。
特許文献2に開示された示温材料は、結晶−非結晶転移または相分離状態−非相分離状態の変化を利用しているため、温度に依存して状態が固体から液体、液体から固体に変化する。そのため、溶剤や樹脂等の他の材料と併用してインクとすることが困難である。
そこで、本発明は、簡便な手法での色の初期化が可能であり、反応温度以上において時間と温度の積算により色が変化する温度検知インクを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る温度検知インクは、温度検知材料と、溶剤と、を含み、温度検知材料は、ロイコ染料、顕色剤、及び消色剤を含む示温材をマイクロカプセル中に内包した構造、又は示温材を含む相とマトリックス材料とが相分離した構造を有し、示温材は所定の速度以上で融解状態からガラス転移点以下に冷却することにより消色したまま凝固し、示温材のガラス転移点は−20℃以上60℃以下であり、示温材の融点は60℃以上250℃以下であって、溶剤の沸点より低いことを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
本発明によれば、簡便な手法により色の初期化が可能であり、反応温度以上において時間と温度の積算で色が変化する温度検知インクを提供することができる。
実施形態に係る温度検知インクの模式図である。 示温材の示差走査熱量測定曲線である。 図2に係る示温材の色濃度変化を示す図である。 温度検知材料の相分離構造を示す模式図である。 温度検知材料の光学顕微鏡写真である。 温度インジケータの構成を示す模式図である。 温度インジケータの構成を示す模式図である。 温度インジケータの構成を示す模式図である。 物品管理システムの構成図を示す図である。 管理サーバの構成図を示す図である。 実施例に係る温度インジケータの構成を示す模式図である。
上記の課題に対し、本発明者らは、電子供与性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である顕色剤と、電子供与性化合物と電子受容性化合物の反応を制御する消色剤が相溶すると、ロイコ染料と顕色剤の結合が切れて消色し、結晶化により顕色剤と消色剤が非相溶状態となると、ロイコ染料と顕色剤が相溶し、発色するという材料に着目した。この材料(以下、示温材という。)は、結晶化することで顕色するため、結晶化する温度および時間を制御することで、時間と温度の積算で色を変化させることができる。さらに、この示温材料は、融解することにより消色するため、融解する温度以下において不可逆性を有し、融解する温度で色の初期化が可能である。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
<温度検知インク>
温度検知インクは、温度検知材料と、溶剤と、を含む。図1に一実施形態に係る温度検知インクの模式図を示す。温度検知インク1は、溶剤3中に温度検知材料2が分散した形態である。温度検知インクとすることにより、温度検知材料を、ペン、スタンプ、クレヨン、インクジェットなどのインクや印刷用の塗料に適用することが可能となる。
詳細は後述するが、ロイコ染料、顕色剤、及び消色剤を含む示温材がマイクロカプセル中に内包した構造、又はロイコ染料、顕色剤、及び消色剤を含む示温材からなる相とマトリックス材料とが相分離した構造を有する温度検知材料を用いることにより、温度検知により示温材の状態が固体から液体、液体から固体に変化しても、インクを構成する他の材料から示温材を分離することができる。
温度検知インクには、温度検知機能に影響しない程度であれば、有機溶媒や水などの溶液に添加物をさらに添加してもよい。温度検知材料や添加剤の量を変えることで、粘度を調整することも可能である。これにより、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ラベルプリンタ、サーマルプリンタなどの様々な印刷装置用インクとして適用可能である。
[温度検知材料]
温度検知材料は、示温材がマイクロカプセル中に内包した構造、又は示温材からなる相とマトリックス材料とが相分離した構造を有する。本明細書では、インクの溶剤中に示温材が溶出しないように、示温材が保護された形態を温度検知材料と呼ぶこととする。
(示温材)
示温材としては、温度変化(昇温/降温)により色濃度が可逆的に変化する材料であって、融解状態からガラス転移点以下に所定の速度以上で冷却することにより消色したまま凝固する材料を用いる。示温材は、電子供与性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である顕色剤と、呈色温度を制御するための消色剤と、を含む。
図2に実施形態に係る示温材の示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。降温過程(図の左向き矢印(←))においては、結晶化が起こらないため、結晶化による発熱ピークが観察されない。一方、昇温過程(図の右向き矢印(→))においては、結晶化による発熱ピークが観察される。Tは昇温過程における結晶化開始温度であり、Tはガラス転移点、Tは融点である。
図3は図2に係る示温材の色濃度変化を示す図である。図3において、縦軸は色濃度、横軸は温度である。図3より、示温材は色濃度変化にヒステリシス特性を有することがわかる。示温材は、結晶化開始温度Tに達すると消色状態から顕色状態に変化する。顕色状態のまま昇温していくと、融点Tdで消色が開始する。融解した状態からガラス転移点以下に所定の速度以上で冷却することにより消色したまま凝固する。図2からわかるとおり、このとき示温材は非晶質状態のまま固化する。
結晶化開始温度Tは、昇温速度や経過時間に依存する。低速で昇温すると低温に開始温度が現れ、高速で昇温すると高温に開始温度が現れるか、あるいは開始温度が現れず融点Tで融解する。結晶化が起こると顕色するため、検知温度と検知時間の要求に合わせて結晶化開始温度Tを設定すればよい。例えば、ある温度で1時間経過した後に結晶化が開始する示温材であれば、その温度を開始温度とし、開始温度で1時間経過したことを検知する材料として使用可能である。
また、ガラス転移点未満では結晶化は開始しない。結晶化しやすい材料の場合、ガラス転移点以上の温度になると容易に結晶化するため、開始温度とガラス転移点が同じ温度になることが多い。示温材の消色剤に結晶化しにくい材料を用いると、消色温度T以上の溶融状態であるPから顕色温度T以下に急冷させた際に、消色剤が顕色剤を取りこんだまま非晶状態を形成して消色状態を保持できる。この状態から、顕色温度T以上に温度を上げると、消色剤が結晶化して顕色する。
温度変化により可逆的に色変化する示温材を用いた場合、一度温度が上昇し、示温材の色が変化したとしても、再び温度を降下または上昇させることにより色が元に戻ってしまい、温度の変化の有無を把握することができない。しかしながら、色濃度変化にヒステリシス特性を有する材料であれば、消色温度T以上の溶融状態まで加熱しない限り色戻りしないため、温度環境の変化を知ることが可能である。
示温材のガラス転移点は−20℃以上60℃以下であり、好ましくは−20℃以上25℃以下であり、より好ましくは−20℃以上15℃以下である。ガラス転移点を−20℃以上25℃以下とすることにより、生鮮食品、冷凍食品、ワクチン、バイオ医薬品等の低温管理品の温度管理状態を検知することが可能になる。
また、示温材の融点は60℃以上250℃以下であり、かつ溶剤の沸点より低い。温度履歴を確認でき、検知したい温度(管理温度の上限)付近で初期化しないように、色の初期化温度は検知したい温度から離れた温度である必要がある。一方、初期化しやすさの観点からは、汎用的な装置により加熱可能な温度域であることが好ましい。したがって、示温材の融点は60℃以上250℃以下であり、好ましくは60℃以上150℃以下である。
以上より、本実施形態に係る示温材を用いることにより、時間と温度の積算で色が変化し、且つ高温での加熱により色の初期化が可能な温度検知材料を提供することが可能となる。
次に、示温材のロイコ染料、顕色剤、消色剤について説明する。
ロイコ染料は、電子供与性化合物であって、従来、感圧複写紙用の染料や、感熱記録紙用染料として公知のものを利用できる。例えば、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系、ローダミンラクタム系、トリフェニルメタン系、トリアゼン系、スピロフタランキサンテン系、ナフトラクタム系、アゾメチン系等が挙げられる。ロイコ染料の具体例としては、9−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)スピロ[ベンゾ[a]キサンテン−12,3’−フタリド]、2−メチル−6−(Np−トリル−N−エチルアミノ)−フルオラン6−(ジエチルアミノ)−2−[(3−トリフルオロメチル)アニリノ]キサンテン−9−スピロ−3’−フタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、2’−アニリノ−6’−(ジブチルアミノ)−3’−メチルスピロ[フタリド−3,9’−キサンテン]、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1−エチル−8−[N−エチル−N−(4−メチルフェニル)アミノ]−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロスピロ[11H−クロメノ[2,3−g]キノリン−11,3’−フタリド]が挙げられる。
示温材には、2種以上のロイコ染料を組み合わせて用いてもよい。
顕色剤は、電子供与性のロイコ染料と接触することで、ロイコ染料の構造を変化させて呈色させるものである。顕色剤としては、感熱記録紙や感圧複写紙等に用いられる顕色剤として公知のものを利用できる。このような顕色剤の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,2′−ビフェノール、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、パラオキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル等のフェノール類等を挙げることができる。顕色剤は、これらに限定されるものではなく、電子受容体でありロイコ染料を変色させることができる化合物であればよい。また、カルボン酸誘導体の金属塩、サリチル酸およびサリチル酸金属塩、スルホン酸類、スルホン酸塩類、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル類、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等を用いてもよい。特に、ロイコ染料や後述する消色剤に対する相溶性が高いものが好ましく、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,2′−ビスフェノール、ビスフェノールA、没食子酸エステル類等の有機系顕色剤が好ましい。
示温材には、これらの顕色剤を2種類以上含んでいてもよい。顕色剤を複数組合せることによりロイコ染料の呈色時の色濃度を調整可能である。本顕色剤の使用量は所望される色濃度に応じて選択する。例えば、通常前記したロイコ色素1重量部に対して、0.1〜100重量部程度の範囲内で選択すればよい。
消色剤は、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させることが可能な化合物であり、ロイコ染料と顕色剤との呈色温度を制御できる化合物である。一般的に、ロイコ染料が呈色した状態の温度範囲では、消色剤が相分離した状態で固化している。また、ロイコ染料が消色状態となる温度範囲では、消色剤は融解しており、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させる機能が発揮された状態である。そのため、消色剤の状態変化温度が示温材の温度制御に対して重要になる。
消色剤の材料としては、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させることが可能である材料を用いることができる。極性が低くロイコ染料に対して顕色性を示さず、ロイコ染料と顕色剤を溶解させる程度に極性が高ければ、様々な材料が消色剤になり得る。
代表的には、ヒドロキシ化合物、エステル化合物、ペルオキシ化合物、カルボニル化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物、ハロゲン化合物、アミノ化合物、イミノ化合物、N−オキシド化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、アジ化合物、エーテル化合物、油脂化合物、糖化合物、ペプチド化合物、核酸化合物、アルカロイド化合物、ステロイド化合物など、多様な有機化合物を用いることができる。具体的には、トリカプリン、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸 m−トリル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、1、4−ジアセトキシブタン、デカン酸デシル、フェニルマロン酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、くえん酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、ブチルフタリルブチルグリコラート、N−メチルアントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、サリチル酸2−ヒドロキシエチル、ニコチン酸メチル、4−アミノ安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、4−ニトロ安息香酸エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、けい皮酸ベンジル、アセト酢酸メチル、酢酸ゲラニル、こはく酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、オキサル酢酸ジエチル、モノオレイン、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、酢酸リナリル、フタル酸ジ−n−オクチル、安息香酸ベンジル、ジエチレングリコールジベンゾアート、p−アニス酸メチル、酢酸 m−トリル、けい皮酸シンナミル、プロピオン酸2−フェニルエチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸メチル、アントラニル酸メチル、酢酸ネリル、パルミチン酸イソプロピル、4−フルオロ安息香酸エチル、シクランデラート (異性体混合物)、ブトピロノキシル、2−ブロモプロピオン酸エチル、トリカプリリン、レブリン酸エチル、パルミチン酸ヘキサデシル、酢酸 tert−ブチル、1、1−エタンジオールジアセタート、しゅう酸ジメチル、トリステアリン、トリミリスチン、アセチルサリチル酸メチル、ベンザルジアセタート、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2、3−ジブロモ酪酸エチル、2−フランカルボン酸エチル、アセトピルビン酸エチル、バニリン酸エチル、イタコン酸ジメチル、3−ブロモ安息香酸メチル、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジメチル、1、4−ジアセトキシブタン、ジエチレングリコールジアセタート、パルミチン酸エチル、テレフタル酸ジエチル、プロピオン酸フェニル、ステアリン酸フェニル、酢酸1−ナフチル、ベヘン酸メチル、アラキジン酸メチル、4−クロロ安息香酸メチル、ソルビン酸メチル、イソニコチン酸エチル、ドデカン二酸ジメチル、ヘプタデカン酸メチル、α−シアノけい皮酸エチル、N−フェニルグリシンエチル、イタコン酸ジエチル、ピコリン酸メチル、イソニコチン酸メチル、DL−マンデル酸メチル、3−アミノ安息香酸メチル、4−メチルサリチル酸メチル、ベンジリデンマロン酸ジエチル、DL−マンデル酸イソアミル、メタントリカルボン酸トリエチル、ホルムアミノマロン酸ジエチル、1、2−ビス(クロロアセトキシ)エタン、ペンタデカン酸メチル、アラキジン酸エチル、6−ブロモヘキサン酸エチル、ピメリン酸モノエチル、乳酸ヘキサデシル、ベンジル酸エチル、メフェンピル−ジエチル、プロカイン、フタル酸ジシクロヘキシル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、4−アミノ安息香酸イソブチル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、トリパルミチン、1、2−ジアセトキシベンゼン、イソフタル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、バニリン酸メチル、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸メチル、エトミデート、クロキントセット−メキシル、ベンジル酸メチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニル、4−アミノ安息香酸プロピル、エチレングリコールジベンゾアート、トリアセチン、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、3−ニトロ安息香酸メチル、酢酸4−ニトロフェニル、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、くえん酸トリメチル、3−ヒドロキシ安息香酸エチル、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、トリメブチン、酢酸4−メトキシベンジル、ペンタエリトリトールテトラアセタート、4−ブロモ安息香酸メチル、1−ナフタレン酢酸エチル、5−ニトロ−2−フルアルデヒドジアセタート、4−アミノ安息香酸エチル、プロピルパラベン、1、2、4−トリアセトキシベンゼン、4−ニトロ安息香酸メチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、バレタマートブロミド、安息香酸2−ナフチル、フマル酸ジメチル、アジフェニン塩酸塩、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、酪酸ビニル、ビタミンK4、4−ヨード安息香酸メチル、3、3−ジメチルアクリル酸メチル、没食子酸プロピル、1、4−ジアセトキシベンゼン、メソしゅう酸ジエチル、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル (cis−、 trans−混合物)、1、1、2−エタントリカルボン酸トリエチル、ヘキサフルオログルタル酸ジメチル、安息香酸アミル、3−ブロモ安息香酸エチル、5−ブロモ−2−クロロ安息香酸エチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、アリルマロン酸ジエチル、ブロモマロン酸ジエチル、エトキシメチレンマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、1、3−アセトンジカルボン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、3−アミノ安息香酸エチル、安息香酸エチル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、ニコチン酸エチル、フェニルプロピオル酸エチル、ピリジン−2−カルボン酸エチル、2−ピリジル酢酸エチル、3−ピリジル酢酸エチル、安息香酸メチル、フェニル酢酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸アミル、2、5−ジアセトキシトルエン、4−オキサゾールカルボン酸エチル、1、3、5−シクロヘキサントリカルボン酸トリメチル (cis−、 trans−混合物)、3−(クロロスルホニル)−2−チオフェンカルボン酸メチル、ペンタエリトリトールジステアラート、ラウリン酸ベンジル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、メタクリル酸フェニル、酢酸ベンジル、グルタル酸ジメチル、2−オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル、フェニルシアノ酢酸エチル、1−ピペラジンカルボン酸エチル、ベンゾイルぎ酸メチル、フェニル酢酸メチル、酢酸フェニル、こはく酸ジエチル、トリブチリン、メチルマロン酸ジエチル、しゅう酸ジメチル、1、1−シクロプロパンジカルボン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、4−tert−ブチル安息香酸メチル、2−オキソシクロペンタンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、4−メトキシフェニル酢酸エチル、4−フルオロベンゾイル酢酸メチル、マレイン酸ジメチル、テレフタルアルデヒド酸メチル、4−ブロモ安息香酸エチル、2−ブロモ安息香酸メチル、2−ヨード安息香酸メチル、3−ヨード安息香酸エチル、3−フランカルボン酸エチル、フタル酸ジアリル、ブロモ酢酸ベンジル、ブロモマロン酸ジメチル、m−トルイル酸メチル、1、3−アセトンジカルボン酸ジエチル、フェニルプロピオル酸メチル、酪酸1−ナフチル、o−トルイル酸エチル、2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル、安息香酸イソブチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、1、1−エタンジオールジアセタート、アジピン酸ジイソプロピル 、フマル酸ジイソプロピル、けい皮酸エチル、2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリオレイン 、ベンゾイル酢酸エチル、p−アニス酸エチル、スベリン酸ジエチル、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸アミド、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、3−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸、ラセカドトリル、4−[(6−アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]−4’−シアノビフェニル、2−(ジメチルアミノ)ビニル3−ピリジルケトン、アクリル酸ステアリル、4−ブロモフェニル酢酸エチル、フタル酸ジベンジル、3、5−ジメトキシ安息香酸メチル、酢酸オイゲノール、3、3’−チオジプロピオン酸ジドデシル、酢酸バニリン、炭酸ジフェニル、オキサニル酸エチル、テレフタルアルデヒド酸メチル、4−ニトロフタル酸ジメチル、(4−ニトロベンゾイル)酢酸エチル、ニトロテレフタル酸ジメチル、2−メトキシ−5−(メチルスルホニル)安息香酸メチル、3−メチル−4−ニトロ安息香酸メチル、2、3−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、4’−アセトキシアセトフェノン、trans−3−ベンゾイルアクリル酸エチル、クマリン−3−カルボン酸エチル、BAPTA テトラエチルエステル、2、6−ジメトキシ安息香酸メチル、イミノジカルボン酸ジ−tert−ブチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、3、4、5−トリメトキシ安息香酸メチル、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸メチル、ジステアリン酸ジエチレングリコール、3、3’−チオジプロピオン酸ジテトラデシル、4−ニトロフェニル酢酸エチル、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸メチル、1、4−ジプロピオニルオキシベンゼン、テレフタル酸ジメチル、4−ニトロけい皮酸エチル、5−ニトロイソフタル酸ジメチル、1、3、5−ベンゼントリカルボン酸トリエチル、N−(4−アミノベンゾイル)−L−グルタミン酸ジエチル、酢酸2−メチル−1−ナフチル、7−アセトキシ−4−メチルクマリン、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸メチル、4、4’−ジアセトキシビフェニル、5−アミノイソフタル酸ジメチル、1、4−ジヒドロ−2、6−ジメチル−3、5−ピリジンジカルボン酸ジエチル、4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸1、1−ジフェニルメチル、ノナン酸1、1−ジフェニルメチル、デカン酸1、1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1、1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1、1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1、1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1、1−ジフェニルメチルなどのエステル化合物や、コレステロール、コレステリルブロミド、β−エストラジオール、メチルアンドロステンジオール、プレグネノロン、安息香酸コレステロール、酢酸コレステロール、リノール酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、n−オクタン酸コレステロール、オレイン酸コレステロール、3−クロロコレステン、trans−けい皮酸コレステロール、デカン酸コレステロール、ヒドロけい皮酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、酪酸コレステロール、ぎ酸コレステロール、ヘプタン酸コレステロール、ヘキサン酸コレステロール、こはく酸水素コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、プロピオン酸コレステロール、吉草酸コレステロール、フタル酸水素コレステロール、フェニル酢酸コレステロール、クロロぎ酸コレステロール、2、4−ジクロロ安息香酸コレステロール、ペラルゴン酸コレステロール、コレステロールノニルカルボナート、コレステロールヘプチルカルボナート、コレステロールオレイルカルボナート、コレステロールメチルカルボナート、コレステロールエチルカルボナート、コレステロール
イソプロピルカルボナート、コレステロールブチルカルボナート、コレステロールイソブチルカルボナート、コレステロールアミルカルボナート、コレステロール n−オクチルカルボナート、コレステロールヘキシルカルボナート、アリルエストレノール、アルトレノゲスト、9(10)−デヒドロナンドロロン、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、安息香酸エストラジオール、β−エストラジオール17−シピオナート、17−吉草酸β−エストラジオール、α−エストラジオール、17−ヘプタン酸β−エストラジオール、ゲストリノン、メストラノール、2−メトキシ−β−エストラジオール、ナンドロロン、(−)−ノルゲストレル、キネストロール、トレンボロン、チボロン、スタノロン、アンドロステロン、アビラテロン、酢酸アビラテロン、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンアセタート、エチステロン、エピアンドロステロン、17β−ヒドロキシ−17−メチルアンドロスタ−1、4−ジエン−3−オン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、Δ9(11)−メチルテストステロン、1α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、スタノゾロール、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、アルトレノゲスト、16−デヒドロプレグネノロンアセタート、酢酸16、17−エポキシプレグネノロン、11α−ヒドロキシプロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、17α−ヒドロキシプロゲステロン、酢酸プレグネノロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンアセタート、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸プレグネノロン、5β−プレグナン−3α、20α−ジオール、ブデソニド、コルチコステロン、酢酸コルチゾン、コルチゾン、コルテキソロン、デオキシコルチコステロンアセタート、デフラザコート、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、6α−メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、酢酸プレドニゾロン、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、コール酸メチル、ヒオデオキシコール酸メチル、β−コレスタノール、コレステロール−5α、6α−エポキシド、ジオスゲニン、エルゴステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、β−シトステロールアセタートなどのステロイド化合物などが挙げられる。ロイコ染料および顕色剤との相溶性の観点から、これらの化合物を含むことが好ましい。勿論、これらの化合物に限定されるものではなく、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させることが可能である材料であれば何でもよい。
また、示温材には、これらの消色剤を2種類以上含んでいてもよい。消色剤を2種以上組合せることにより、凝固点、結晶化速度、融点の調整が可能である。
温度検知に用いる示温材の消色剤としては、消色剤が融解している温度から、急冷過程において結晶化せず、ガラス転移点近傍で非晶化する必要がある。そのため、結晶化しにくい材料が好ましい。急冷速度を非常に速くすれば、ほとんどの材料で非晶状態を形成するが、実用性を考慮すると、汎用的な冷却装置による急冷で非晶状態を形成する程度に結晶化にしにくいことが好ましい。融点以上の融解状態から自然に冷却する過程で非晶状態を形成する程度に結晶化しにくい材料がさらに好ましい。この条件として、1℃/分以上の速度で融点からガラス転移点まで冷却したときに非晶状態を形成する消色剤が好ましく、20℃/分以上の速度で融点からガラス転移点まで冷却したときに非晶状態を形成する消色剤がより好ましい。
色を初期化するためには、示温材の消色剤の融点以上に温度を上げる必要がある。色の初期化温度としては、管理温度付近では起こりづらい程度に高温である必要があるが、実用性を考慮すると、汎用的な加熱装置により加熱可能な温度域であることが望ましい。また温度検知材料としては、示温材を保護するためにマイクロカプセルやマトリックス材料を用いるため、これらの耐熱性も考慮する必要がある。具体的には、色の初期化温度は60℃〜250℃程度が好ましく、60℃〜150℃程度がより好ましい。
(マイクロカプセル)
示温材がマイクロカプセル中に内包した構造について説明する。
マイクロカプセルに用いる樹脂被膜としては、多価アミンとカルボニル化合物から成る尿素樹脂被膜、メラミン・ホルマリンプレポリマ、メチロールメラミンプレポリマ、メチル化メラミンプレポリマーから成るメラミン樹脂被膜、多価イソシアネートとポリオール化合物から成るウレタン樹脂被膜、多塩基酸クロライドと多価アミンから成るアミド樹脂被膜、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等の各種モノマー類から成るビニル系の樹脂被膜が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、形成した樹脂被膜の表面処理を行い、インクや塗料化する際の表面エネルギーを調整することで、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる等、追加の処理をすることもできる。
また、マイクロカプセルの直径は、装置適合性、保存安定性等の観点から0.1〜100μm程度の範囲が好ましく、0.1〜10μmの範囲がより好ましい。
マイクロカプセル化には、公知の各種手法を適用することが可能である。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、コアセルベーション法、界面重合法、スプレードライング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2種以上異なる方法を組み合わせてもよい。
マイクロカプセル化することにより、示温材の光や湿度等に対する耐環境性が向上し、保存安定性、変色特性の安定化等が可能となる。また、マイクロカプセル化により、インクを調製した際に、ロイコ染料、顕色剤、消色剤が他の樹脂剤、添加剤等の化合物から受ける影響を抑制することが可能である。
(相分離構造体)
示温材からなる相とマトリックス材料とが相分離した構造(以下、相分離構造体という。)について説明する。相分離構造体は、マイクロカプセル化よりも簡便な方法で、マイクロカプセルと同様に保存安定性、変色特性の安定化等が可能となる。また、インクを調製した際に、ロイコ染料、顕色剤、消色剤が他の樹脂剤、添加剤等の化合物から受ける影響を抑制することが可能である。
図4に温度検知材料の相分離構造を示す模式図を示す。(a)は顕色状態、(b)は消色状態である。図5に本実施形態に係る温度検知材料の光学顕微鏡写真を示す。(a)は顕色状態、(b)は消色状態である。温度検知材料4は、マトリックス材料6中に示温材5が分散した相分離構造を形成している。つまり、ロイコ染料と、顕色剤と、消色剤とを含む示温材からなる相が、マトリックス材料中に分散した構造を形成している。光学顕微鏡写真からも、温度検知材料4が、マトリックス材料6に示温材5が分散した相分離構造を形成していることが確認できる。
マトリックス材料としては、示温材と混合したときに、示温材の顕色性および消色性を損なわない材料である必要がある。そのため、マトリックス材料自身が顕色性を示さない材料であることが好ましい。このような材料としては、電子受容体ではない非極性材料が挙げられる。
また、マトリックス材料中に示温材が分散した相分離構造を形成させるために、マトリックス材料としては、温度検知材料の使用温度で固体状態であること、融点が示温材の融点よりも高いこと、ロイコ染料、消色剤、および顕色材と相溶性の低い材料であること、が要求される。
マトリックス材料が温度検知材料の使用温度で固体であること、マトリックス材料の融点が示温材の融点よりも高いこと、によって、示温材が固体から液体、液体から固体への状態変化した場合であっても温度検知材料は固体状態を維持することができる。また、温度検知材料が、ロイコ染料、消色剤、および顕色材と相溶性の低い材料であることによって、示温材の温度検知機能を維持することができる。
以上の条件を満たすマトリックス材料としては、ハンセン溶解度パラメーターにより予測される分子間の双極子相互作用によるエネルギーδdおよび分子間の水素結合によるエネルギーδhがそれぞれ3以下である材料を好ましく用いることができる。具体的には、極性基を有さない材料、炭化水素のみで構成される材料である。さらに具体的には、パラフィン系、マイクロクリスタリン系、オレフィン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系などのワックスや、プロピレン、エチレン、スチレン、シクロオレフィン、シロキサン、テルペンなどの骨格を多く持つ低分子材料や高分子材料、これらの共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、融点以上で低粘度の溶融液になり、融点以下で容易に固体化する材料は取扱い性が良いため好ましい。また、有機溶媒に溶け、有機溶媒の揮発過程で固体化する材料も取扱い性がよい。マトリックス材料としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィン、テルペン樹脂などが特に好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリオレフィンの分子量および液体状態での粘度は特に限定されないが、液体状態で低粘度であると気泡の内包が少なく成形性がよい。具体的には、分子量5万以下であって、融点近傍での粘度が10Pa・S以下であることが好ましく、分子量1万以下であって、融点近傍での粘度が1Pa・S以下であることがさらに好ましい。
これらのマトリックス材料は、複数種を併用することも可能である。
また、使用温度において液体状態であるマトリックス材料でも、示温材及び温度検知インクの溶媒と相分離構造を示せば、温度検知材料として用いることが可能である。マトリックス材料が高粘度の液体であれば、固体状態のマトリックス材料と同様に取り扱い性に優れる。しかしながら、マトリックス材料が高粘度液体の場合、長期間の使用においてマトリックス材料中の示温材の沈降は避けられず、最終的には二相に分離してしまう。そのため、温度検知材料としての長期安定性は低い。
マトリックス材料中に内包する示温材の濃度は特に限定されないが、示温材1重量部に対して、マトリックス材料0.1重量部以上100重量部以下含むことが好ましい。示温材1重量部に対するマトリックス材料の濃度が100重量部以下であると、温度検知材料としての視認性の低下を抑制できる。また、マトリックス材料の濃度を、示温材の濃度と同等以上とすることにより、マトリックス材料および示温材それぞれが繋がりあった構造(以下、共連続構造という。)になるのを抑制することができる。共連続構造でもマトリックス材料と示温材とは相分離しているため、温度検知材料としての機能は損なわれないが、マトリックス材料中から示温材が液漏れすることがあり、長期安定性を損なう恐れがある。そのため、示温材1重量部に対して、マトリックス材料は1〜10重量部程度にすることがさらに好ましい。
マトリックス材料中に分散した示温材からなる相の長径は、100nm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。示温材からなる相の大きさは特に限定されないが、100nm以上とすることにより示温材とマトリックス材料の界面による検知温度への影響を抑制できる。また、1mm以下とすることにより、示温材とマトリックス材料とを区別して視認することが困難となり、温度検知材料の色ムラを抑えることができる。示温材からなる相の大きさは、界面活性剤を添加することや冷却工程において攪拌しながら冷却することにより、小さくすることができる。なお、示温材からなる相の長径とは、示温材からなる相を楕円に近似したときの近似楕円の長径である。
相分離構造体は、乳鉢などで砕いて粉体化することが可能である。これによりマイクロカプセルと同様の取り扱いが可能になる。
相分離構造体およびマイクロカプセルは、インク化のための分散安定化や、溶剤への耐性向上や、光や湿度等に対する耐環境性が向上などのため、シランカップリング処理、表面グラフト化、コロナ処理などにより表面処理をしても構わない。また、相分離構造体およびマイクロカプセルを、さらにマトリックス材料やマイクロカプセルで被覆することも可能である。
相分離構造体は例えば、以下の方法で作製することができる。ロイコ染料と、顕色剤と、消色剤と、マトリックス材料と、をマトリックス材料の融点以上の温度に加温し、混合する混合し、得られた混合物を、マトリックス材料の凝固点以下の温度に冷却する。冷却過程において、マトリックス材料と示温材とが速やかに相分離し、マトリックス材料中にロイコ染料と、顕色剤と、消色剤とからなる相が分散した相分離構造が形成する。
マトリックス材料の融点以上に加温し液体状態にする際、示温材と、マトリックス材料の相溶性によっては、示温材とマトリックス材料とが相溶する場合と、相溶しない場合とがある。このとき、相溶している方が取扱いやすさの観点において好ましい。示温材とマトリックス材料は、マトリックス材料が固体状態である使用温度のときは相分離している必要があるが、マトリックス材料が液体状態である加温状態では相分離している必要はない。使用温度で示温材とマトリックス材料が相分離させ、加温状態で示温材とマトリックス材料を相溶させるためには、用いる消色剤の極性を調整すればよい。消色剤の極性が小さすぎると、温度検知材料の使用温度でマトリックス材料と示温材とが相溶してしまい、消色剤の極性が大きすぎると、加温状態でマトリックス材料と分離してしまう。具体的には、ハンセン溶解度パラメーターにより予測される分子間の双極子相互作用によるエネルギーδdおよび分子間の水素結合によるエネルギーδhがそれぞれ1以上10以下である材料を好ましく用いることができる。なお、消色剤の極性が大きく、加温状態でも示温材とマトリックス材料が相溶しない場合であっても、撹拌しながら冷却することで、相分離構造を形成させることができる。また、界面活性剤を添加して、示温材とマトリックス材料とを相溶させてもよい。
マトリックス材料の凝固点以下に冷却し、相分離構造を形成させる際、示温材と、マトリックス材料の相溶性によっては示温材の分散構造の大きさが異なる。特に含有量の多い消色剤とマトリックス材料の相溶性がよいと細かく分散し、相溶性が悪いと大きく分散する。分散構造の大きさは特に限定されないが、100nm以上1mm以下が好ましく、特に、1μm以上100μm以下が最も好ましい。100nm以上とすることにより、示温材とマトリックス材料との界面の影響による検知温度への影響を抑制できる。また、1mm以下にすることにより、示温材とマトリックス材料のそれぞれを視認することが困難となり、温度検知材料の色ムラを小さくできる。
[溶剤]
温度検知インクにおいて、色の初期化をするためには、示温材の融点以上に温度検知インクを加熱する必要がある。そのため、溶剤の沸点は、示温材の融点より高い必要がある。取り扱い性を考慮すると、示温材の融点より温度検知インクの溶剤の沸点が20℃以上高いことが好ましい。例えば、溶剤として沸点100℃の水を用いる場合、示温材の融点は100℃未満である必要があり、60℃〜80℃程度が最も好ましい。
また、溶剤は、示温材を包含するマトリックス材料やマイクロカプセルと相溶性が低いことが好ましい。
マトリックス材料を用いた相分離構造体を温度検知材料として用いる場合、溶剤としては、極性の高い溶媒を用いることが好ましい。極性の高い溶媒としては、水、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が最も好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等を用いることができる。
マイクロカプセル化した温度検知材料として用いる場合、溶剤としては、マイクロカプセルの材質が耐性をもつ溶媒を用いることが好ましい。
マイクロカプセルに極性の高い材質を用いた場合、溶剤としては極性の低い有機溶媒を用いることが好ましい。極性の低い有機溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの無極性溶媒、石油、鉱物油、シリコーンオイルなどの油類が最も好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等を用いることが好ましい。
マイクロカプセルに極性の低い材質を用いた場合、溶剤としては極性の高い有機溶媒を用いることが好ましい。高い有機溶媒としては、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が最も好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等を用いることができる。また、溶剤として水を用いても良い。
温度検知インクは、液体状態においても温度検知機能を有する。温度検知インクを被印字対象等に印字、筆記、押印等することにより溶媒が揮発すると、温度検知材料のみが印字物を構成する。温度インジケータには、この印字物を用いることができる。
<インクジェット用インク>
温度検知インクは、帯電制御式インクジェットプリンタ用インクに適用することができる。帯電制御式インクジェットプリンタ用インクは、温度検知材料と、揮発性の有機溶媒と、樹脂と、導電剤と、を含む。
インク溶液の抵抗が高い場合、帯電制御式インクジェットプリンタにおけるインクの吐出部において、インク粒子がまっすぐ飛ばず、曲がる傾向がある。そのため、インク溶液の抵抗は概ね2000Ωcm以下にする必要がある。
インクに含まれる樹脂、顔料、有機溶媒(特に、インクジェットプリンタ用インクの有機溶媒としてよく用いられる2−ブタノン、エタノール)は導電性が低いので、インク溶液の抵抗は5000〜数万Ωcm程度と大きい。抵抗が高いと、帯電制御式インクジェットプリンタでは所望の印字が困難となる。そこで、インク溶液の抵抗を下げるために、インクに導電剤を添加する必要がある。
導電剤としては、錯体を用いることが好ましい。導電剤は溶剤に溶解することが必要で、色調に影響を与えないことも重要である。また導電剤は一般には塩構造のものが用いられる。これは分子内に電荷の偏りを有するので、高い導電性が発揮できるものと推定される。
以上のような観点で検討した結果、導電剤は塩構造で、陽イオンはテトラアルキルアンモニウムイオン構造が好適である。アルキル鎖は直鎖、分岐どちらでもよく、炭素数が大きいほど溶媒に対する溶解性は向上する。しかし炭素数が小さいほど、僅かの添加率で抵抗を下げることが可能となる。インクに使う際の現実的な炭素数は2〜8程度である。
陰イオンはヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン等が溶剤に対する溶解性が高い点で好ましい。
なお、過塩素酸イオンも溶解性は高いが、爆発性があるので、インクに用いるのは現実的ではない。それ以外に、塩素、臭素、ヨウ素イオンも挙げられるが、これらは鉄やステンレス等の金属に接触するとそれらを腐食させる傾向があるので好ましくない。
以上より、好ましい導電剤としては、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラペンチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラヘキシルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラオクチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラオクチルアンモニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
<色の初期化プロセス>
温度検知インクの色の初期化は、示温材の融点以上、且つ溶剤の沸点以下の温度範囲に温度検知インクを加熱し、その後所定の速度以上で冷却することで行われる。この際、加熱方法は特に限定されない。インク容器中のインクを加熱する場合、例えば、ヒーター、ホットプレート、加熱した溶媒中などでインク容器を加熱する手段などが挙げられる。温度インジケータ中のインクを加熱する場合は、ラミネータなどを用いてもよい。
加熱後の冷却方法についても特に限定されない。例えば、自然冷却、クーラー、フリーザーなどでインク容器を冷却する手段などが挙げられる。示温材の結晶化速度によって一定以上の冷却速度が必要になり、結晶化速度が速い材料では冷却装置による急冷が必要であり、結晶化速度が遅い材料では自然冷却による冷却を好ましく用いることができる。
冷却装置による冷却速度を調整することで、温度検知インクの検知時間を調整することも可能である。温度検知インクは、結晶化速度に応じて時間と温度の積算で色が変化する。そのため、冷却速度をあえて遅くすることで、温度管理に使用する前に予め結晶化を進め、僅かに顕色させることができる。これにより、同一の温度検知インクについて、急冷処理を行ったものよりも、検知時間を早めることが可能である。
以上より、温度検知インクの色の初期化方法は、示温材の融点以上、かつ溶剤の沸点以下の温度に温度検知インクを加熱する加熱工程と、加熱工程後に、所定の冷却速度で示温材のガラス転移点以下に冷却する工程と、を有する。冷却速度又は冷却温度は、温度検知インクに要求される検知時間に応じて調整される。
<温度インジケータ>
以下では、上記温度検知インクを用いた温度インジケータについて説明する。図6は、温度インジケータの構成を示す模式図である。温度インジケータは、基材10と、基材上に配置された温度検知インク1と、温度検知インク1の挟み込むように基材上に配置されたスペーサ12と、温度検知インク表面に配置された保護層(透明基材)11と、を備える。なお、基材10に配置された温度検知インクは溶剤が揮発した状態となっていてもよい。
基材と透明基材の材料は特に限定されず、温度検知インクを、温度検知材料の色を視認できれば良い。基材は、温度検知インクを挟み込めればよいので、温度検知材料よりも大きいことが好ましい。基材の材料は、要求される機能によって自由に選択できる。紙やプラスチックなどの有機材料、セラミックスや金属などの無機材料、それらの複合材料など自由に選択可能である。数種の材料で層構造を形成しても良い。高強度、耐熱性、耐候性、耐薬品性、断熱性、導電性など、温度インジケータに要求される特性に合わせて選択する。シールを用いることで、検知したい対象物に対して密着させることも可能である。
また、基材として連続多孔質材料を用いることもできる。温度検知インクを連続多孔質材料に含浸させることで、加工性を変更することができる。加工性は連続多孔質材料の材質に依存する。連続多孔質材料としては、温度検知材料が長期間接触していても変性しないような材質が求められる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなど、通常の有機溶媒に溶解しにくい材質、二酸化珪素等の無機化合物を用いることができる。連続多孔質材料の構造としては、スポンジ、不織布、織布等が挙げられる。セルロースの場合は書籍、書類を作成時に用いられる用紙でもかまわない。二酸化珪素、ポリエチレン、ポリプロピレンの粉体を同様の化学構造のバインダーで保持して連続多孔質体を形成し、使用することも可能である。連続多孔質体は空隙の密度が大きい程、温度検知材料が浸透する密度が大きくなるため、色濃度が減少を抑えることが可能である。
透明基材の大きさは、温度検知材料を視認できればよいため、大きさについては限定されない。視認性の観点からは、透明基材が長方形の場合は短手方向が、楕円の場合は短径が、30μm以上であることが好ましい。
透明基材の材料は要求される機能によって自由に選択できる。紙やプラスチックなどの有機材料、セラミックスや金属などの無機材料、それらの複合材料など自由に選択可能である。温度検知インクの少なくとも一部の箇所の変色を視認する必要があるため、透明性が必要である。たとえば、透明性の高い紙、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンなどの透明性の高いプラスチックなどの有機材料や、ガラス、透明電極膜などの透明性の高い無機化合物などが挙げられる。これらの透明性の高い材料以外にも、薄膜化して透明性を高めた材料も可能である。数種の材料で層構造を形成しても良い。これらの中から、高強度、耐熱性、耐候性、耐薬品性、断熱性、導電性や、急冷に対する熱衝撃への耐性など、温度インジケータに要求される特性に合わせて選択できる。
図7に図6に係る温度インジケータの変形例を示す。図7に示す温度インジケータは、基材4と、基材上に設けられた温度検知インク1と、温度検知インクを水平方向から挟むように基材上に設けられたスペーサ12と、温度検知インク上に積層された透明基材11と、印字紙13とを備える。印字紙13は、温度検知材料1と透明基材5の間に配置されている。図7に示す温度インジケータは、透明基材の内側に印字紙を挟みこみ、印字紙に印字された印字情報を読めるようにしている。ただし、温度検知材料の少なくとも一部の箇所の変色を視認可能な状態にする必要がある。例えば、印字紙の、温度検知インク上に積層された部分の少なくとも一部を切り取り、温度検知インク上に印字紙が積層されていない部分を設ければよい。
透明基材および基材には、穴をあけるなどの加工がされていてもよい。穴をあけることにより、透明基材とスペーサの間の印字紙が剥き出しとなる。このような構造とすることにより、輸送途中などに剥き出しになった印字紙に情報を記入することができる。
図8は、図6の他の変形例に係る温度インジケータの構成を示す模式図である。温度インジケータは、基材10と、基材上に設けられた温度検知インク1と、温度検知インクを水平方向から挟むように基材上に設けられたスペーサ12と、温度検知インク1上に配置された断熱層14と、透明基材11と、を備える。
断熱層14は、温度検知インク1の上部に積層されていてもよいし、下部に積層されていてもよい。断熱層14としては、例えば、空気層、アルゴンや窒素などのガス層、真空層、スポンジ、エアロゲルなどの多孔性材料、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなどの繊維材料、ウレタン、ポリスチレン、発泡ゴムなどの発泡材料を用いることができる。
温度検知インクの上下に断熱層14を配置することにより、温度検知材料の外部の温度が、管理温度外となってから温度検知インクが変色するまでの時間(以下、温度検知時間という。)を調整できる。また、温度検知時間は、基材10と透明基材11の材質および厚さによって調整することができる。また、断熱層14を新たに設置するのではなく、基材10と透明基材11のどちらかを断熱材料で構成してもよい。
以上のように、断熱層14を設けること、基材10と透明基材11の材質や厚さを調整することにより、基材10から温度検知インクまでの熱伝導率と、透明基材5から温度検知インクまでの熱伝導率を制御することが可能になる。
基材10をシールにして対象物に貼る場合、外気の温度と対象物表面の温度が異なることが想定される。対象物表面の温度を検知したい場合は、基材10から温度検知インク1までの熱伝導性を良くし、透明基材11から温度検知インクまでの熱伝導率を悪くすればよい。例えば、温度検知インク1の上部に断熱層14を設けたり、透明基材11および基材10の材質や厚さを調整し、透明基材11の熱伝導率よりも基材10の熱伝導率を高くすればよい。一方、外気の温度を検知したい場合、基材10から温度検知インクまでの熱伝導性を悪くし、透明基材11から温度検知インクまでの熱伝導率を良くすればよい。例えば、温度検知インク1の下部に断熱層を設けたり、透明基材11および基材10の材質や厚さを調整し、基材の熱伝導率よりも透明基材の熱伝導率を高くすればよい。
温度検知インクを複数種類(複数温度)用いることも可能である。複数の温度検知インクを用いることにより、温度3種を異なる色で検知する温度インジケータを提供できる。
<物品管理システム>
次に、温度インジケータを用いた品質管理システムについて説明する。品質管理システムは、物品が置かれた環境を管理する管理装置と、温度検知材料の色調情報を取得する管理端末と、を備える。管理端末は、色調情報を取得した際に、管理装置に物品識別情報と色調情報を取得した時刻と色変化があったか否かの旨とを関連付けて送信する。
図9は、品質管理システムの構成を示す図である。ここでは、工場61で製造された物品20が、店舗67に搬送され、店舗67で物品20が管理されたのち顧客68に物品20がわたる流通ルートにおける品質管理を例にあげて説明する。
品質管理システムQCS(物品管理システム)は、物品20に添付されたコード(物品識別情報)(例えば、バーコード21)および温度インジケータ22の色調情報を取得する品質管理端末30(管理端末)、管理サーバ40(管理装置)、管理者端末50を含んで構成される。品質管理端末30、管理サーバ40、管理者端末50は、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。
流通ルートは、物品20を製造する工場61、物品20を保管する倉庫62、出荷場63、搬送車64、物品20を他の搬送車に積み替える積替場65、搬送車66、店舗67である。各場所で、作業者は品質管理端末30を用いて品質管理データの収集をする。
品質管理データの収集は、工場61において物品20が製造されたとき、倉庫62で保管されているとき、出荷場63で出荷されるとき、搬送車64で搬送されているとき、積替場65で積替え作業が行われたとき、搬送車66で搬送されているとき、店舗67に入荷されるとき、店舗67で販売のために保管されているときなどに行われる。
各場所で作業者は、温度検知インクの色調を確認することで各過程の温度管理状況や物品20の温度負荷状態を視覚的に確認することができる。また、作業者の視覚的な確認のみならず、色調として数値情報を得るとよい。
作業者は、出荷、搬送、保管など各過程において、物品20とその温度検知インクの光学状態およびその画像や読取り場所、時間などの品質管理情報として、品質管理端末30を用いて管理サーバ40に送信する。
温度検知インクの光学状態の読取りには、品質管理端末30を使用するとよい。これにより、物品20の流通に関する各者が、管理対象の物品20の流通過程での各状態を、示温材料の色調を数値情報として取得することにより、定量的に管理したり、共有することができる。なお、色調の数値情報はLやLなどのCIE色空間の他にRGB色空間、HSV色空間、マンセル色空間などが挙げられる。
店舗67では、搬送された物品20について、温度検知インクの色調状態を確認することで工場から出荷されてから店舗に搬送されるまでの温度管理状況や物品20の温度負荷状態を視覚的に確認することができる。さらに、品質管理端末30などを介してサーバ200に接続して、物品20の納品時までの品質管理情報426などの情報を確認することができる。
品質管理端末30は、バーコード21の物品識別情報および温度インジケータ22の色調情報に基づき、品質が保持されているか否かを判定し、その判定結果を表示する。つまり、色変化があった際に、表示部に物品の流通が適さない旨を表示し、色変化がなかった際に、表示部に物品の流通が適する旨を表示する。作業者はその結果を確認する。なお、その判定結果を含む品質管理データは管理サーバ40に送信されて、管理サーバ40は品質管理情報426として記憶する。
本実施形態では、品質が保持されているか否かの品質判定を品質管理端末30側で処理している。これは、多数の物品を対象とするシステムでは、判定処理などの集中を分散させるためである。管理サーバ40の処理能力が高ければ、品質判定を管理サーバ40側で実行してもよい。
図10は、管理サーバの構成を示す図である。管理サーバ40は、処理部41、記憶部42、入力部43、出力部44、通信部45を有する。管理サーバ40の記憶部42には、管理対象の各物品の詳細な情報である物品情報421、温度インジケータ情報422、流通条件情報423、流通管理情報424、生産情報425、品質管理情報426などが記憶されている。管理サーバ40は、品質管理端末30との間で情報の授受を行うとともに、管理対象の物品20の品質が「注意」判定、「停止」判定の場合に、管理者端末50にその旨を通知する。管理者端末50を介して、その通知を受けた管理者は、物品の流通の注意喚起、または、物品の差し止めなどの作業を行う。
管理サーバには、物品に添付された温度検知インクの色濃度とその環境に置かれた時間との関係を示す色濃度時間情報を記憶部に記憶しておくことが好ましい。管理サーバに色濃度時間情報を記憶しておくことによって、管理端末は、取得した物品識別情報に基づく色濃度時間情報を管理装置から取得し、取得した色調情報の色濃度と色濃度時間情報に基づきその環境に置かれた時間を算出することができる。また、算出した時間を表示部に表示するとともに、管理装置に物品識別情報と算出した時間とを関連付けて送信することができる。なお、その環境に置かれた時間の算出は、管理サーバ側で行っても良い。
管理サーバに記憶されている物品情報の例としては、管理対象の物品の情報である物品情報421は、コード(物品識別情報)、名称(品名)、生産日、流通期限日、サイズ、価格、表面色調、温度インジケータ22に関する温度管理要否、適正温度、温度インジケータの箇所(マーキング箇所)などが挙げられる。温度インジケータ情報としては、コード(物品識別情報)、適正温度、判定温度などが挙げられる。
以上をまとめると、本実施形態の品質管理システムQCS(物品管理システム)は、物品に添付された温度検知インクの色調情報を収集し、色調情報に基づいたその物品が置かれた環境を管理する管理装置(例えば、管理サーバ40)と、物品に添付された該物品を識別する物品識別情報を取得するとともに、温度検知インクの色調情報を取得する管理端末(例えば、品質管理端末30)と、を有し、管理端末は、取得した色調情報を取得した際に、色変化があったか否かの旨を表示部に表示するとともに、管理装置に物品識別情報と色調情報を取得した時刻と色変化があったか否かの旨とを関連付けて(例えば、示温データ)送信する。これにより、流通段階の各場所で取得した示温データを一元的に管理することができる。
管理端末は、色変化があった際に、表示部に物品の流通が適さない旨を表示し、色変化がなかった際に、表示部に物品の流通が適する旨を表示する。これにより、流通段階の各場所の作業者は、現在の搬送されている物品が適切に搬送されているか即座に確認できる。
管理装置には、物品に添付された温度検知材料の色濃度とその環境に置かれた時間との関係を示す色濃度時間情報が記憶部に記憶されており、管理端末は、取得した物品識別情報に基づく色濃度時間情報を管理装置から取得し、取得した色調情報の色濃度と色濃度時間情報に基づきその環境に置かれた時間を算出し、算出した時間を表示部に表示するとともに、管理装置に物品識別情報と算出した時間とを関連付けて送信する。これにより、加熱積分特性または冷熱積分特性のある温度検知材料に基づく色調情報により、物品管理をすることができる。
次に、実施例および比較例を示しながら本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(温度検知インクの作製)
実施例として、以下の方法により4種の温度検知インクを作製した。
ロイコ染料として2´−メチル−6´−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−[9H]キサンテン]−3−オン(山田化学工業製RED520)を1重量部、顕色剤として東京化成工業製没食子酸オクチルを1重量部、消色剤として東京化成工業製フタル酸ジフェニルを100重量部用いた。
ロイコ染料、顕色剤、消色剤と、重合開始剤の2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)と、樹脂被膜の構成するスチレンとを、アクリル酸−2−エチルヘキシルに溶解させた油相を、界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステル、ナトリウム塩を添加した水相中に投入し、スターラーにより攪拌することでロイコ染料、顕色剤、消色剤を内包したマイクロカプセルを作製した。
攪拌羽根を設けた容器に純水、樹脂として数平均分子量(Mn)10,000のポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルの共重合物(ポリビニルアルコールユニットの繰り返し数:ポリ酢酸ビニルユニットの繰り返し数≒36:64、水酸基価は285)、作製したマイクロカプセルを投入し、約1時間混合することにより、第1温度検知インクを調整した。
ロイコ染料として3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(山田化学工業製CVL)を1重量部、顕色剤として東京化成工業製没食子酸オクチルを1重量部、消色剤として東京化成工業製フタル酸ジフェニルとフェニル酢酸2−フェニルエチルを重量比9:1で混合したものを100重量部用いたこと以外、第1温度検知インクと同様に第2温度検知インクを調整した。
ロイコ染料として6’−[エチル(3−メチルブチル)アミノ−3’−メチル−2’−(フェニルアミノ)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H), 9’−(H)キサンテン]−3−オン(山田化学工業製S−205)を1重量部、顕色剤として東京化成工業製没食子酸オクチルを1重量部、消色剤として東京化成工業製フタル酸ジフェニルとフェニル酢酸2−フェニルエチルを重量比8:2で混合したものを100重量部用いたこと以外、第1温度検知インクと同様に第3温度検知インクを調整した。
ロイコ染料として2´−メチル−6´−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−[9H]キサンテン]−3−オン(山田化学工業製RED520)を1重量部、顕色剤として東京化成工業製没食子酸オクチルを1重量部、消色剤として東京化成工業製フタル酸ジフェニルを100重量部用いた。
ロイコ染料、顕色剤、消色剤と、重合開始剤の2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)と、樹脂被膜の構成するスチレンとを、アクリル酸−2−エチルヘキシルに溶解させた油相を、界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステル、ナトリウム塩を添加した水相中に投入し、スターラーにより攪拌することでロイコ染料、顕色剤、消色剤を内包したマイクロカプセルを作製した。
攪拌羽根を設けた容器にトルエン、樹脂として数平均分子量(Mn)10,000のポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルの共重合物(ポリビニルアルコールユニットの繰り返し数:ポリ酢酸ビニルユニットの繰り返し数≒36:64、水酸基価は285)、作製したマイクロカプセルを投入し、約1時間混合することにより、第4温度検知インクを調整した。
比較例として、以下の方法により温度検知インクを作製した。
ロイコ染料として2´−メチル−6´−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−[9H]キサンテン]−3−オン(山田化学工業製RED520)を1重量部、顕色剤として東京化成工業製没食子酸オクチルを1重量部、消色剤として東京化成工業製ビタミンK4を100重量部用いた。
ロイコ染料、顕色剤、消色剤と、重合開始剤の2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)と、樹脂被膜の構成するスチレンとを、アクリル酸−2−エチルヘキシルに溶解させた油相を、界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステル、ナトリウム塩を添加した水相中に投入し、スターラーにより攪拌することでロイコ染料、顕色剤、消色剤を内包したマイクロカプセルを作製した。
攪拌羽根を設けた容器に純水、樹脂として数平均分子量(Mn)10,000のポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルの共重合物(ポリビニルアルコールユニットの繰り返し数:ポリ酢酸ビニルユニットの繰り返し数≒36:64、水酸基価は285)、作製したマイクロカプセルを投入し、約1時間混合することにより、第5温度検知インクを調整した。
(温度履歴表示機能の確認)
作製した第1温度検知インクが入ったインク容器について、20℃の環境に置いたところ、赤色に呈色していることが確認できた。このインク容器をヒーターで示温材の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃に加熱したところ、すぐに白色へ変色することが確認できた。その後、0℃の環境に置くことで自然冷却したところ、1時間後に、赤色に変色することが確認できた。
同様に、作製した第2温度検知インクが入ったインク容器について、20℃の環境に置いたところ、青色に呈色していることが確認できた。このインク容器をヒーターで示温材の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃に加熱したところ、すぐに白色へ変色することが確認できた。その後、−10℃の環境に置くことで自然冷却したところ、1時間後に、青色に変色することが確認できた。
同様に、作製した第3温度検知インクが入ったインク容器について、20℃の環境に置いたところ、黒色に呈色していることが確認できた。このインク容器をヒーターで示温材の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃に加熱したところ、すぐに白色へ変色することが確認できた。その後、−20℃の環境に置くことで自然冷却したところ、1時間後に、黒色に変色することが確認できた。
作製した第4温度検知インクが入ったインク容器について、20℃の環境に置いたところ、赤色に呈色していることが確認できた。このインク容器をヒーターで示温材の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃に加熱したところ、すぐに白色へ変色することが確認できた。その後、0℃の環境に置くことで自然冷却したところ、1時間後に、赤色に変色することが確認できた。
作製した第5温度検知インクが入ったインク容器について、20℃の環境に置いたところ、赤色に呈色していることが確認できた。このインク容器をヒーターで100℃に加熱したところ、赤色に呈色した状態から変色することなく、インク温度が溶剤の沸点に達してしまい、白色への変色を確認することができなかった。そのため、このインクは変色状態の初期化が不可能である。
(温度インジケータの作製)
次に、作製した温度検知インクを用いた温度インジケータを作製した。図11に作製した温度検知インジケータの模式図を示す。(a)は温度インジケータの構成、(b)は温度インジケータ用の基材構造、(c)は検証結果である。
温度インジケータの基材には、図9に示すように温度検知インクを注ぎ込む凹部(窪み)15を設けて成型加工したアクリル板を用いた。示温材の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃にヒーターで加熱し、その後自然冷却することで、白色状態である第1温度検知インクおよび第2温度検知インクおよび第3温度検知インクをそれぞれアクリル板の別々の窪み15に注ぎ込み、図9のように温度等のデザインを印刷した透明のPET製のシールフィルム16を、アクリル板の上から貼ることで、温度インジケータを作製した。
作製した温度インジケータを0℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが1時間後に黒色に変色することが確認できた。同様に、作製した温度インジケータを−10℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが30分後に黒色に変色し、第2温度検知インクが1時間後に青色に変色することが確認できた。同様に、作製した温度インジケータを0℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが10分後に黒色に変色し、第2温度検知インクが30分後に青色に変色し、第1温度検知インクが1時間後に、赤色に変色することが確認できた。また、一度変色した温度インジケータを−30℃の環境に置いたところ、変色状態が保持されたままであることが確認できた。さらに、変色した温度インジケータについて、ラミネータを用い第1温度検知インク、第2温度検知インク、第3温度検知インク全ての消色剤の融点以上であり、溶剤の沸点以下である80℃で10分間加熱したところ、変色状態が白色に戻ることを確認できた。その後に、温度インジケータを0℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが1時間後に黒色に変色することが確認できた。同様に、温度インジケータを−10℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが30分後に黒色に変色し、第2温度検知インクが1時間後に青色に変色することが確認できた。同様に、温度インジケータを0℃の環境に置いたところ、第3温度検知インクが10分後に黒色に変色し、第2温度検知インクが30分後に青色に変色し、第1温度検知インクが1時間後に、赤色に変色することが確認できた。
以上より、本実施例に係る温度インジケータを用いることにより、上限設定温度の逸脱を検知でき、変色が不可逆性であり、且つ色の初期化が可能であることを確認できた。
1…温度検知インク、2…温度検知材料、3…溶剤、4…温度検知材料、5…示温材、6…マトリックス材料、10…基材、11…保護層(透明基材)、12…スペーサ、13…印字紙、14…断熱層、15…凹部(窪み)、16…シートフィルム、20…物品、21…バーコード、22…温度インジケータ、30…品質管理端末(管理端末)、31…入力部、32…表示部、33…読取部、34…記憶部、35…処理部、36…通信部、37…スイッチ、38…筺体、39…持ち手部、40…管理サーバ(管理装置)、41…処理部、42…記憶部、421…物品情報、422…温度インジケータ情報、426…品質管理情報、50…管理者端末、NW…ネットワーク、QCS…品質管理システム(物品管理システム)

Claims (11)

  1. 温度検知材料と、溶剤と、を含み、
    温度検知材料は、ロイコ染料、顕色剤、及び消色剤を含む示温材をマイクロカプセル中に内包した構造、又は前記示温材を含む相とマトリックス材料とが相分離した構造を有し、
    前記示温材は所定の速度以上で融解状態からガラス転移点以下に冷却することにより消色したまま凝固し、
    前記示温材のガラス転移点は−20℃以上60℃以下であり、
    前記示温材の融点は60℃以上250℃以下であり、かつ前記溶剤の沸点より低いことを特徴とする温度検知インク。
  2. 請求項1に記載の温度検知インクであって、
    前記示温材のガラス転移点は、−20℃以上25℃以下であることを特徴とする温度検知インク。
  3. 請求項1又は2に記載の温度検知インクであって、
    前記示温材の融点は、60℃以上150℃以下であることを特徴とする温度検知インク。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度検知インクであって、
    前記溶剤の沸点は、示温材の融点より20℃以上高いことを特徴とする温度検知インク。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度検知インクの初期化方法であって、
    前記示温材の融点以上、かつ前記溶剤の沸点以下の温度に前記温度検知インクを加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程後に、所定の冷却速度で前記示温材のガラス転移点以下に冷却する工程と、
    を備えることを特徴とする温度検知インクの初期化方法。
  6. 請求項5に記載の温度検知インクの初期化方法であって、
    前記冷却速度又は冷却温度は、前記温度検知インクに要求される検知時間に応じて調整することを特徴とする温度検知インクの初期化方法。
  7. 基板と、前記基板上に配設された温度検知インクと、を備え、
    前記温度検知インクは、請求項1乃至4のいずれか一項に記載された温度検知インクであることを特徴とする温度インジケータ。
  8. 物品に添付された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度検知インクの色調情報を収集し、前記色調情報に基づき前記物品が置かれた環境を管理する管理装置と、
    前記物品に添付された該物品を識別する物品識別情報を取得するとともに、前記温度検知材料の色調情報を取得する管理端末と、を有し、
    前記管理端末は、色調情報を取得した際に、前記管理装置に前記物品識別情報と前記色調情報を取得した時刻と前記色変化があったか否かの旨とを関連付けて送信することを特徴とする物品管理システム。
  9. 請求項8に記載の物品管理システムであって、
    前記管理端末は、前記色変化があった際に、前記表示部に前記物品の流通が適さない旨を表示し、前記色変化がなかった際に、前記表示部に前記物品の流通が適する旨を表示する
    ことを特徴とする物品管理システム。
  10. 請求項8に記載の物品管理システムであって、
    前記管理装置には、前記物品に添付された前記温度検知インクの色濃度とその環境に置かれた時間との関係を示す色濃度時間情報が記憶部に記憶されており、
    前記管理端末は、前記取得した物品識別情報に基づく前記色濃度時間情報を前記管理装置から取得し、前記取得した色調情報の色濃度と前記色濃度時間情報に基づきその環境に置かれた時間を算出し、前記算出した時間を表示部に表示するとともに、前記管理装置に前記物品識別情報と前記算出した時間とを関連付けて送信する
    ことを特徴とする物品管理システム。
  11. 請求項8に記載の物品管理システムであって、
    前記管理装置には、前記物品に添付された前記温度検知インクの色濃度とその環境に置かれた時間との関係を示す色濃度時間情報が記憶部に記憶されており、
    前記管理装置は、前記取得した色調情報の色濃度と前記色濃度時間情報に基づきその環境に置かれた時間を算出し、前記管理端末に算出した時間を前記物品識別情報と関連付けて送信し、
    前記管理端末は、前記管理装置が算出した時間を表示部に表示することを特徴とする物品管理システム。
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