JP2019127472A - アレルギー性疾患治療薬 - Google Patents

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伸介 伊福
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Abstract

【課題】ステロイド剤に代わる、副作用の心配のないアレルギー性疾患治療用医薬組成物、アレルギー性疾患の症状を緩和する飲食物および食品添加物、ならびにステロイド剤の投与量を軽減できる有効かつ副作用の少ないアレルギー性疾患治療用医薬組成物を提供する。【解決手段】キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバー、およびステロイドを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物、ならびにキチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための飲食物および食品添加物。【選択図】なし

Description

本発明は、アレルギー性疾患の治療薬等に関する。
アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性疾患の治療には、ステロイド剤が広く用いられている。しかしステロイド剤には多種多様かつ重篤な副作用がある(非特許文献1)。また、投薬を中止した後の離脱症候群や症状のリバウンドの問題も深刻である。
三森経世, 臨牀と研究 91(4), 525-530, 2014
上記のような状況において、ステロイド剤に代わる、副作用の少ないアレルギー性疾患治療薬が必要とされている。また、ステロイド剤の投与量を軽減するための工夫も必要とされている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、意外なことに、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを動物に経口投与すると、アレルギー性疾患が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は以下のものを提供する:
(1)キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物。
(2)アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、(1)記載の医薬組成物。
(3)アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、(1)または(2)記載の医薬組成物。
(4)キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバー、ならびにステロイドを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物。
(5)アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、(4)記載の医薬組成物。
(6)キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための飲食物。
(7)アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、(6)記載の飲食物。
(8)アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、(6)または(7)記載の飲食物。
(9)キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための食品添加物。
(10)アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、(9)記載の食品添加物。
(11)アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、(9)または(10)記載の食品添加物。
本発明によれば、効果が優れ、しかも副作用の心配のないアレルギー性疾患の治療用の医薬組成物が提供される。本発明によれば、ステロイド含量が少なく、ゆえに副作用が少なく、しかも十分な効果を有するアレルギー性疾患の治療用の医薬組成物が提供される。さらに本発明によれば、効果が優れ、しかも安全性が高いアレルギー性疾患の症状を緩和するための飲食物および食品添加物が提供される。
図1は、キチン、キチンナノファイバー、キトサン、表面キトサン化キチンナノファイバー、ならびにプレドニゾロンを動物に経口投与したときの臨床スコアの経時変化を示すグラフである。図は平均値と標準偏差を示す。*はアトピー性皮膚炎群と比較してp<0.05であることを示す。AD(○)はアトピー性皮膚炎群、CNF(▲)はキチンナノファイバーを摂取したアトピー性皮膚炎群、SDACNF(●)は表面キトサン化キチンナノファイバーを摂取したアトピー性皮膚炎群、キチン(□)はキチンを摂取したアトピー性皮膚炎群、キトサン(△)はキトサンを摂取したアトピー性皮膚炎群、ステロイド(■)はプレドニゾロンを摂取したアトピー性皮膚炎群である。 図2は、キチン、キチンナノファイバー、キトサン、表面キトサン化キチンナノファイバー、ならびにプレドニゾロンを動物に経口投与して35日目の組織スコアを示すグラフである。図は平均値と標準偏差を示す。*はアトピー性皮膚炎群と比較してp<0.05であることを示す(Steel-Dwass test)。ADはアトピー性皮膚炎群、CNFはキチンナノファイバーを摂取したアトピー性皮膚炎群、SDACNFは表面キトサン化キチンナノファイバーを摂取したアトピー性皮膚炎群、キチンはキチンを摂取したアトピー性皮膚炎群、キトサンはキトサンを摂取したアトピー性皮膚炎群、ステロイドはプレドニゾロンを摂取したアトピー性皮膚炎群である。 図3は、高用量、中用量および低用量のプレドニゾロン、ならびに低用量のプレドニゾロンと表面キトサン化キチンナノファイバーの合剤を動物に経口投与して25日目の臨床スコアを示すグラフである。図は平均値と標準偏差を示す。**はp<0.01であることを示す。*はp<0.05であることを示す。Controlはアトピー性皮膚炎群、Highは高用量(3mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Moderateは中用量(1.5mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Lowは低用量(0.15mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Low+SDACNFは低用量(0.15mg/kg)のプレドニゾロンおよび表面キトサン化キチンナノファイバーを投与したアトピー性皮膚炎群である。 図4は、高用量、中用量および低用量のプレドニゾロン、ならびに低用量のプレドニゾロンと表面キトサン化キチンナノファイバーの合剤を動物に経口投与して25日目の組織スコアを示すグラフである。図は平均値と標準偏差を示す。**はp<0.01であることを示す。*はp<0.05であることを示す。Controlはアトピー性皮膚炎群、Highは高用量(3mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Moderateは中用量(1.5mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Lowは低用量(0.15mg/kg)のプレドニゾロンを投与したアトピー性皮膚炎群、Low+SDACNFは低用量(0.15mg/kg)のプレドニゾロンおよび表面キトサン化キチンナノファイバーを投与したアトピー性皮膚炎群である。
本発明は、1の態様において、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物を提供する。以下において、キチンナノファイバーをCNFと、表面キトサン化キチンナノファイバーをSDACNFと、ナノファイバーをNFと略称することがある。
本発明のこの態様の経口医薬組成物は、キチンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーのいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
キチンナノファイバーは天然界から、例えばキチン含有生物由来の材料から得ることができる。キチン含有生物としては、エビ、カニなどの甲殻類、昆虫類またはオキアミなどが例示されるが、これらに限定されない。好ましくは、キチン含量の多い生物、例えばエビ、カニなどの甲殻類の殻および外皮からキチンナノファイバーを得てもよい。ただし、生体中のキチンナノファイバーは、その周囲および間隙に存在する蛋白および炭酸カルシウムを含むマトリクスを有しているので、脱マトリクス処理を行わなければ得ることができない。上で説明した工程によりナノファイバー化されるキチンは、カニ殻やエビ殻由来のキチンなどのα型の結晶構造を有するキチンであってもよく、イカの甲由来のキチンなどのβ型の結晶構造を有するキチンであってもよい。
キチンナノファイバーはいずれの方法・手段にて製造されたものであってもよい。本発明において使用されるキチンナノファイバーの好ましい製造方法としては、例えば国際公開WO2010/073758の明細書(参照により本明細書にその内容を一体化させる)に記載された方法、あるいは高圧湿式粉砕機、湿式超高圧微粒化装置、ブレンダー、コロイドミル、ビーズミル、ボールミルなどを用いる方法などがある。
本発明のこの態様の医薬組成物に使用される表面キトサン化キチンナノファイバーは、上記キチンナノファイバーの製造工程のいずれかにおいてキチン材料を脱アセチル化することにより、あるいは上記工程で得られたキチンナノファイバーを脱アセチル化することにより得ることができる。脱アセチル化方法はいくつかの方法が公知であるが、例えばアルカリ処理法が挙げられる。
表面キトサン化キチンナノファイバーの平均脱アセチル化度は約5%〜約50%、好ましくは約10%〜約40%、より好ましくは約20%〜約30%である。キチンナノファイバーの平均脱アセチル化度は元素分析、電気伝導度滴定、FT−IRなどによって測定することができる。平均脱アセチル化度の計算式の例としては以下の式が挙げられる。
平均脱アセチル化度(%)=[(キチンナノファイバーに含まれるアミノ基数)/(キチ
ンナノファイバーに含まれるアミノ基数+アセトアミド基数)]x100
キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーは修飾または誘導体化されていてもよい。例えば、糖の3位の水酸基、6位の水酸基、または糖鎖の末端の水酸基の水素が、アルキル基などの他の基に置換されていてもよい。あるいはキチンの糖の2位のアセチル基中のメチル基が、エチル基などの他の基に置換されていてもよい。あるいはキトサンの糖の2位のアミノ基の水素はアルキル基などの他の基で置換されていてもよく、ハロゲン化物イオンなどの陰イオンとの間で塩を形成してもよい。これらの修飾体、誘導体および塩はあくまでも例示であり、限定的なものではない。本明細書では、これらの修飾体、誘導体および塩もキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーに包含されるものとする。このような誘導体および修飾体は当業者に知られており、それらの製造方法も公知である。
キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーは、幅(または径)が約2nm〜約200nm、好ましくは約2nm〜約100nm、より好ましくは約2nm〜約50nm、例えば、約5nm〜約20nm、約2nm〜約20nm等である。キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比(繊維の長さ/繊維の幅)は約10以上、好ましくは約30以上、より好ましくは約50以上、さらに好ましくは約100以上である。
キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーが上記のようなサイズ、形状を有する場合、より均一な分散性が実現され、他の材料との配合・成形がさらに容易になる。
キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーの結晶状態はα型の伸びきり鎖微結晶であることが好ましい。「伸び切り鎖微結晶」とは無数のキチン分子が伸び切った状態で規則的に配列して結晶化した状態のことをいう。
本明細書において、例えば、「キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーの幅(または径)が約2nm〜約20nm」とは、幅(または径)が約2nm〜約20nmであるキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーが全体の約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上を占める状態をいう。また例えば、「キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比が約100以上」とは、アスペクト比が約100以上であるキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーが全体の約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上を占める状態をいう。
本発明の医薬組成物は経口投与される。経口投与の利点としては、いちいち皮膚に塗布する面倒さがないこと、塗布した部位がべとつく等の不快感がないことなどが挙げられる。
本発明の医薬組成物を用いて治療可能なアレルギー性疾患はいずれのものであってもよい。様々なアレルギー疾患が知られており、典型的なものとして、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹などが例示されるが、これらに限定されない。
本明細書において治療は、アレルギー性疾患の症状をなくすこと、あるいは緩和することをいう。本発明において治療は、予防的処置(例えばアレルギー性疾患にかかりにくくすること、あるいはかかった場合に症状を軽くすること)も包含する。
本発明の医薬組成物は、公知の経口投与用医薬組成物の製造方法を適用して製造することができる。本発明の医薬組成物の剤形は特に限定されず、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末、シロップ、ドリンク剤、ペースト、トローチ、ドロップ、舌下錠などの公知の経口用剤形であってよい。
キチンナノファイバーおよび表面キトサン化キチンナノファイバーは天然由来の物質であるため、副作用の心配がなく、安全性が高い。その投与量は、例えば、投与量を増減させて、症状を観察することにより適宜定めうる。成人1日あたりのキチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーの投与量は例えば約1グラム〜数十グラムであってもよい。1日の投与回数、投与期間などの投与方法についても適宜定めうる。
本発明の上記態様の医薬組成物を、アレルギー性疾患のステロイド療法と併用してもよい。本発明の上記態様の医薬組成物とステロイド療法を併用することにより、アレルギー性疾患の治療効果を減損することなく、ステロイドの投与量を減らすことができる。それゆえ、ステロイドの副作用のリスクを軽減させることができる。本発明の上記態様の医薬組成物とステロイド療法を併用する場合のステロイドの投与量は、通常量の2分の1以下であってもよく、好ましくは4分の1以下、より好ましくは8分の1以下、例えば10分の1以下であってもよい。
アレルギー性疾患のステロイド療法に使用されるステロイドは公知である。ステロイドの例としては、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどが挙げられるがこれらに限定されない。各ステロイドの投与量は公知である。また、アレルギー性疾患の治療におけるステロイドの投与経路も公知であり、経口投与、静脈注射、筋肉注射、塗布、吸入、噴霧、点眼、点鼻などが例示されるが、これらに限定されない。
本発明は、もう1つの態様において、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバー、ならびにステロイドを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物を提供する。
本発明のこの態様の経口医薬組成物は、キチンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーのいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。その投与量は、例えば、投与量を増減させて、症状を観察することにより適宜定めうる。成人1日あたりのキチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーの投与量は例えば約1グラム〜数十グラムであってもよい。1日の投与回数、投与期間などの投与方法についても適宜定めうる。
本発明のこの態様の医薬組成物に用いられるステロイドの種類はいずれのものであってもよく、特に限定されない。ステロイドの例としては、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどが挙げられるがこれらに限定されない。各ステロイドの投与量は公知である。
本発明のこの態様の医薬組成物を用いることにより、アレルギー性疾患の治療効果を減損することなく、ステロイドの投与量を減らすことができる。それゆえ、ステロイドの副作用のリスクを軽減させることができる。本発明のこの態様の医薬組成物に含まれるステロイドの量は、通常量の2分の1以下であってもよく、好ましくは4分の1以下、より好ましくは8分の1以下、例えば10分の1以下であってもよい。
本発明は、さらなる態様において、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための飲食物を提供する。
本発明の飲食物は、キチンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーのいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
本明細書において、アレルギー性疾患の症状を緩和するとは、アレルギー性疾患の症状を軽くする、あるいは無くすことをいう。本明細書において、アレルギー性疾患の症状を緩和するとは、アレルギー性疾患に罹りにくくすることも包含する。
本発明の飲食物は、飲食物の原料に表面キトサン化キチンナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーを添加して製造してもよく、飲食物の製造工程のいずれかの工程において表面キトサン化キチンナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーを添加して製造してもよく、あるいは出来上がった飲食物に表面キトサン化キチンナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーを添加して製造してもよい。
本発明の飲食物の形態は公知のあらゆる飲食物の形態であってもよく、特に限定されない。本発明の飲食物を、例えばジュース、スープ、味噌汁、ドリンクなどの飲料、ゼリー、キャンディー、ケーキ、ビスケット、せんべい、チョコレート、餅、まんじゅうなどの菓子類、パン類、ふりかけ、調味料などの形態としてもよい。これらの飲食物の製造方法は公知である。また本発明の飲食物はサプリメントの形態であってもよい。サプリメントの製造方法やその形状は公知である。
本発明は、さらなる態様において、キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための食品添加物を提供する。
本発明の食品添加物は、キチンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーのいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
本発明の食品添加物は液体(カプセル等に封入されたものを含む)、ペースト等の半固体、あるいは粉末、顆粒、タブレット等の固体であってもよい。食品の種類や形状に合わせてこれらの形態を選択し、使用することができる。これらの形態の食品添加物の製造方法は公知である。
キチンナノファイバーおよび表面キトサン化キチンナノファイバーは天然由来であるため、副作用の心配がなく、安全性が高い。したがって、本発明の飲食物および食品添加物は安全性が高いものである。本発明の飲食物および食品添加物により摂取されるキチンナノファイバーおよび表面キトサン化キチンナノファイバーの量は適宜決定してよい。成人1日あたりのキチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーの摂取量は、例えば約1グラム〜数十グラムであってもよい。1日の投与回数、投与期間などの投与方法についても適宜定めうる。
本発明の飲食物または食品添加物は、アレルギー性疾患のステロイド療法と併用されてもよい。本発明の飲食物または食品添加物を用いることにより、ステロイド療法に使用されるステロイドの量を低減することができる。ステロイドの量は、通常量の2分の1以下、4分の1以下、8分の1以下、例えば10分の1以下に低減され得る。
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
試験方法
1.キチンナノファイバー服用による効果
NC/Ngaマウス(メス、7週齢)を用いた。マウスは0日目に背部皮膚を剃毛後2%濃度の2、4、6−トリニトロクロロベンゼン(TNCB)溶液を、背部皮下に170μL、左右の耳介に15μLずつ塗布した。以後、4、11、18、25および32日目に1%TNCB溶液を背部皮下に170μL、左右の耳介に15μLずつ塗布した。
試験群は以下の6群に分けた(各群3−5匹)。
1)アトピー性皮膚炎群:AD
2)AD+キチンナノファイバー摂取群:CNF
3)AD+表面キトサン化キチンナノファイバー摂取群:SDACNF
4)AD+キチン摂取群:キチン
5)AD+キトサン摂取群:キトサン
6)AD+ステロイド摂取群:S
なお、CNF、SDACNF、キトサンは飲料水に0.1%濃度とし、自由飲水させた(約0.2g/kg/day摂取)。キチンは食餌に0.2%混ぜ、自由採食させた(約0.2g/kg/day摂取)。S(プレドニゾロン)は、食餌に0.002%混ぜ、自由採食させた(約2mg/kg/day摂取)。
実験に使用したキチンナノファイバーは国際公開WO2010/073758の明細書に記載された方法により調製した。実験に使用した表面キトサン化キチンナノファイバーは、カニ殻より抽出したキチンを30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、撹拌しながら100度に加熱し6時間反応を行った。水で洗浄後、固形分を回収し、固形分が1%になるよう、酢酸水溶液(濃度:0.5%)を添加し、粉砕機(国際公開WO2010/073758の明細書に記載された方法に従う)で処理することにより得た。得られた表面キトサン化キチンナノファイバーの脱アセチル化度は約30%であった。
0、4、11、18、25、32および35日目に臨床スコアを評価した。スコアは、(1)皮膚の発赤・出血、(2)浮腫、(3)すりむき・潰瘍、および(4)乾燥・拡大について0−3点(0:無し、1:軽度、2:中程度、3:重度)でスコアリングを実施した。各個体のスコアはこれら4項目の合計とした。
35日目に皮膚を採材し、HE染色にて病理組織学的検索を行った。それぞれの個体について、(1)表皮への炎症細胞の浸潤、(2)表皮の肥厚、(3)角化、および(4)真皮への炎症細胞の浸潤について0−3点(0:無し、1:軽度、2:中程度、3:重度)でスコアリングを実施した。各個体のスコアはこれら4項目の合計とした。
2.ステロイドとの併用効果
NC/Ngaマウス(メス、7週齢)を用いた。マウスは0日目に背部皮膚を剃毛後2%濃度の2、4、6−トリニトロクロロベンゼン(TNCB)溶液を、背部皮下に170μL、左右の耳介に15μLずつ塗布した。以後、4、11および18日目に1%TNCB溶液を背部皮下に170μL、左右の耳介に15μLずつ塗布した。
試験群は以下の5群に分けた(各群3−5匹)。
1)アトピー性皮膚炎群(AD)
2)AD+ステロイド高用量(3mg/kg)投与群:High
3)AD+ステロイド中用量(1.5mg/kg)投与群:Moderate
4)AD+ステロイド低用量(0.15mg/kg)投与群:Low
5)AD+ステロイド低用量(0.15mg/kg)+表面キトサン化キチンNF投与群:Low+SDACNF
SDACNFは飲料水に0.1%濃度とし、自由飲水とした(約0.2g/kg/day摂取)。S(プレドニゾロン)は、食餌に0.01、0.005、0.0005%混ぜ、自由採食させた(約3、1.5、0.15mg/kg/day)。実験に使用した表面キトサン化キチンナノファイバーは、上記「1.キチンナノファイバー服用による効果」にて使用したものと同じであった。
25日目に臨床スコアを評価した。スコアは、(1)皮膚の発赤・出血、(2)浮腫、(3)すりむき・潰瘍、および(4)乾燥・拡大について0−3点(0:無し、1:軽度、2:中程度、3:重度)でスコアリングを実施した。各個体のスコアはこれら4項目の合計とした。
25日目に皮膚を採材し、HE染色にて病理組織学的検索を行った。それぞれの個体について、(1)表皮への炎症細胞の浸潤、(2)表皮の肥厚、(3)角化、および(4)真皮への炎症細胞の浸潤について0−3点(0:無し、1:軽度、2:中程度、3:重度)でスコアリングを実施した。各個体のスコアはこれら4項目の合計とした。
結果
1.キチンナノファイバー服用効果
SDACNF経口投与により、アトピー性皮膚炎の進行は抑制された(図1)。また、ステロイドあるいはCNF経口投与においても症状の進行は抑制された(図2)。組織学スコアでは、CNF、SDACNFおよびS群にてコントロール群と比較して有意に組織学的スコアは低値を示した(図2)。
2.ステロイドとの併用効果
SDACNFとステロイドの低用量の併用によってステロイド中用量と同程度のアトピー性皮膚炎抑制効果が見られた(図3)。組織学スコアにおいても同様の結果が得られた(図4)。つまり、SDACNFとステロイドを併用することによって、ステロイドの使用量を減らすことができ、その副作用リスクを軽減させ、十分な治療効果が得られることが明らかとなった。
本発明は、医薬品や食品の分野において利用可能である。特に、アレルギー性疾患の治療のための医薬品および飲食物の製造などにおいて利用できる。

Claims (11)

  1. キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物。
  2. アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、請求項1記載の医薬組成物。
  3. アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項1または2記載の医薬組成物。
  4. キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバー、ならびにステロイドを含む、アレルギー性疾患の治療のための経口医薬組成物。
  5. アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項4記載の医薬組成物。
  6. キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための飲食物。
  7. アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、請求項6記載の飲食物。
  8. アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項6または7記載の飲食物。
  9. キチンナノファイバーおよび/または表面キトサン化キチンナノファイバーを含む、アレルギー性疾患の症状を緩和するための食品添加物。
  10. アレルギー性疾患のステロイド療法と併用される、請求項9記載の食品添加物。
  11. アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項9または10記載の食品添加物。
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