JP2019127277A - 蒸気抜き機構を有するパウチ - Google Patents

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和美 青木
Kazumi Aoki
和美 青木
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Abstract

【課題】製造条件によって左右されない、安定した蒸気抜き機構を有するパウチを得る。【解決手段】プラスチックフィルムを基材層としてシーラント層を有する積層体、又はヒートシール可能なプラスチックフィルム単体からなる四面体のパウチ(1)であって、パウチは筒状にヒートシールされ、筒状両側開口部の端部をねじれの位置で直交する2辺をヒートシールして製袋されており、4面の内、ヒートシールした融着辺のない面の中央に、易破断性の加工傷(3)を有することを特徴とする蒸気抜き機構を有するパウチ。【選択図】図1

Description

本発明は、主として高周波加熱調理器などによって加熱調理する簡易的なレトルト食品などに用いられる加熱用パウチに関するものである。
近年、プラスチックフィルムのシーラント側を合わせ、背シールと上下の端縁部をヒートシールしたピロー包装袋や、スタンディングパウチなどを使用して、レトルト食品などを収納し、電子レンジ等で包装袋に入れたまま加熱するパウチがある。
このようなパウチを加熱するには、ピロー包装袋では、蒸気抜きする背シールを上方に向けて加熱する。スタンディングパウチでは、底部を下にして、上方に蒸気抜き部を予め加工しておき、加熱によって包装袋内部が一定の内圧が上昇した時点で、蒸気抜き部が優先して開口し、内部の蒸気等を抜きながら、一定の時間内圧を保つことによって、加熱調理可能としている。
上記パウチでは、蒸気抜き部が開口する機構として、加熱によって内圧が上昇し、球状に全体が膨らみ、シール部の内側がわずかに剥離して後退し、その後退したシール部近傍に、外部と通じる通気路があって、そこまでシールが後退すると、蒸気が抜ける仕組みになっている。
この場合、加熱でパウチ全体に圧力が掛かって内部の液体や固定内容物が飛び散ったりする前に、内側からシールが後退して、内部が一定の圧力を保ちながら蒸気が抜けるように、シール条件の工夫などによって対応していた。
例えば、特許文献1では、
プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体、またはヒートシール可能なプラスチックフィルム単体からなる、四面体のパウチであって、パウチは筒状にヒートシールされており、さらに両開口部の端部をねじれの位置で直交する2箇所のヒートシールで製袋されており、ヒートシールされた一方の端部には切込みを設けてあることを特徴とする、テトラ型パウチを提案し、かつ、上記切込みを設けてある一方の端部は、ヒートシールがパウチ内側から、弱シール部、強シール部の順に設けることで、安定的な蒸気抜きが対応可能としている。
しかしながら、上記のような蒸気抜き部を形成するには、シール条件に依存しているので、材料のわずかな肉厚のばらつきや、構成材料のばらつき、製造条件のばらつきなどによってシール条件が安定せず、蒸気抜きの開封性も安定しにくい問題があった。
特開2017−165480号公報
そこで、本発明は、製造条件によって左右されない、安定した蒸気抜き機構を有するパウチを得ることが、本発明の課題である。
本発明に係る発明は、
プラスチックフィルムを基材層としてシーラント層を有する積層体、又はヒートシール可
能なプラスチックフィルム単体からなる四面体のパウチであって、
パウチは筒状にヒートシールされ、筒状両側開口部の端部をねじれの位置で直交する2辺をヒートシールして製袋されており、4面の内、その面の内部にヒートシールした融着辺のない面の中央に、易破断性の加工傷を有することを特徴とする蒸気抜き機構を有するパウチである。
本発明の蒸気抜き機構を有するパウチは、四面体のパウチで、トレーを使用しないで形を崩さずに流通可能であると共に、シール部の後退を考慮せずに完全なシール条件で製造することができる。このため、蒸気抜きが、内圧を一定時間保つ状態で維持する蒸らし調理が可能である。
本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第1実施形態例と、その指定面を示す図である。 本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第1実施形態例の製造工程を示す図である。 本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第2実施形態例の製造工程を示す図である。 本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第2実施形態例を示す図である。 本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの実施例及び比較例に用いられるパウチの形状を示す図である。
以下、本発明の蒸気抜き機構を有するパウチについて、図で説明する。
図1−1は、本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチ1で、その第1実施形態例の外観を示す斜視図で、図1−2はその指定面を示す図である。
本発明のパウチ1は、四つの三角形によって形成される四面体形状をしている。
図1−2で示すように、本発明のパウチ1は、第1面21と、第2面22と、第3面23と、底面24の4つの面から構成される4面体形状をしている。
それぞれ、第1面21、第2面22、第3面23、底面24共、三角形状をし、隣接する面と共通の辺を有しているが、それぞれは正三角形形状でなくても良い。基本的には、ほぼ、二等辺三角形の形状となる。
図1−1で示すように、第1面21の中央には易破断性の加工傷3が加工され、かつ、底面24側の底辺部分には底シール部41を有している。
第2面22の中央には左シール部42を有し、左斜辺にも天シール部44を有している。第3面23の中央には右シール部43を有し、右斜辺にも第2面と共有する天シール部44を有している。
底面24は、中央にシール部を有せず、底辺部分に第1面21と共有する底シール部41を有している。
底面24側に加工傷3や中央にシール部を設けていない。これは、内容物の自重によって蒸気抜きする孔が塞がり、蒸気が抜け難いと共に、蒸気が抜けると、パウチが転がったり、テーブルが蒸気で高温になったりする。また、中央にシール部があると、加熱時にシール部に圧が加わり、シール辺が立ち上がり、パウチが傾きやすくなるなどの問題が発生する為、底面24側に加工傷3や中央にシール部を設けない。
易破断性の加工傷3の高さYは、第1面のシール幅を除いた底辺からの高さHに対し、1/3Hから2/3Hの高さの範囲に加工されている。
また、易破断性の加工傷3は、底辺のシール幅を除いた左端部から右端部までの幅Wに対し、左シール部根元端部からの水平方向の距離Xが、1/3Wから2/3Wの距離の範囲に加工されている。
図2は、本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第1実施形態例の製造工程を示す図である。
本発明のパウチに使用するフィルムは、プラスチックフィルムを基材層としてシーラント層を有する積層体、又はヒートシール可能なプラスチックフィルム単体から構成される。図2−1は、四方シールの包装袋と同じように、充填シール部を除く下辺と右側辺、左側辺の3方をシールした状態の図である。
この工程までの間に、第1面の中央に、レーザー光の走査によって加工傷3を加工する。この加工傷3は、基材層としてシーラント層を有する積層体の場合は基材層厚み近傍の深さとし、プラスチックフィルム単体の場合はその厚みの1/3〜1/2の深さが好ましい。
レーザー光としては、炭酸ガスレーザーや窒素レーザーなどのガスレーザーや、ルビーレーザー、YAGレーザーなどの固体レーザーなども用いることができる。
例えば、炭酸ガスレーザー場合、波長10.6μmの光を20〜80ワットの出力で、500〜5000mm/秒の速度で、線状に走査して再溶融することによって、短時間で、局所的に溶融する。この時、溶融した箇所へ局所的にエアーを吹き付けることで、上記溶融した樹脂を飛ばしたり移動したりして、15〜40μmの深さの線状傷を形成することが出来る。
この時、易破断性の加工傷3の高さYは、第1面の底シール部41と天シール部44のシール幅を除いた底辺からの高さHに対し、1/3Hから2/3Hの高さの範囲に加工する。
また、易破断性の加工傷3は、底辺の左シール部42と右シール部43のシール幅を除いた左端部から右端部までの幅Wに対し、左シール部根元端部からの水平方向の距離Xが、1/3Wから2/3Wの距離の範囲に加工する。
さらに、易破断性の加工傷3は、フィルムの流れ方向(巻き取り方向)に対して、数mmの傾きを設けておくことが望ましい。この傾きによって、傷が破れ過ぎて、蒸気口から内容物が洩れることがないようにすると共に、傾斜していることによって、破れが停止し易くなるので、安全性が高まる。この傾きは、2mm程度が好ましい。
図2−2は、内容物を充填後、天辺のシールをする工程で、左シール部42と右シール部43の根元を広げ、それら左シール部42と右シール部43の根元内側が向かい合って重ねるようにシールする。
このようにシールすると、パウチは四面体形状に成形される。
天シール部における左シール部42と右シール部43の根元位置のズレ量は、出来るだけ小さいほうが良い。ズレが大きい場合、加熱時に、段差を起点に剥離したり、蒸気抜けを起こす恐れがある。
図3は、本発明に係る蒸気抜き機構を有するパウチの第2実施形態例の製造工程を示す図である。
第2実施形態例は、一枚のフィルムを右端で折り曲げたもので、図3−1は、三方シールの包装袋と同じように、充填シール部を除く下辺と左側辺の2方をシールした状態の図である。
第1実施形態例と同じように、この工程までの間に、第1面の中央に、レーザー光の走査によって加工傷3を加工する。
この時、易破断性の加工傷3の高さYは、第1実施形態例と同じように、第1面の底シール部41と天シール部44のシール幅を除いた底辺からの高さHに対し、1/3Hから2/3Hの高さの範囲に加工する。
また、易破断性の加工傷3は、底辺の左シール部42のシール幅を除いた左端部から右端部までの幅Wに対し、左シール部根元端部からの水平方向の距離Xが、1/3Wから2/3Wの距離の範囲に加工する。
図3−2は、内容物を充填後、天辺のシールをする工程で、左シール部42の根元を広げ、左シール部42根元内側と、図3−1の右端折り目45内側が向かい合って重ねるようにシールする。
このようにシールすると、パウチは四面体形状に成形される。
天シール部における左シール部42根元と右端折り目45とのズレ量は、出来るだけ小さいほうが良い。
図4は、の第2実施形態例の外観を示す斜視図である。
第1面21の中央には易破断性の加工傷3が加工され、かつ、底面24側の底辺部分には底シール部41を有している。
第2面22の中央には左シール部42を有し、左斜辺にも天シール部44を有している。第3面23は、中央にシール部はなく、右斜辺に第2面22と共有する天シール部44を有している。
底面24は、中央にシール部を有せず、底辺部分に第1面21と共有する底シール部41を有している。底面24側に加工傷3を設けない。
本発明のパウチに使用する積層体の基材層としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリアミド/メタキシレンジアミン/ポリアミド共押し出しフィルム、などが挙げられる。機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、特に限定されない。特に二軸延伸されたフィルムが好ましい。また、これらのフィルムに酸化珪素などの酸化金属蒸着層を設けたものでもよい。
また、上記積層体の基材層表面、あるいは内面側に、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。印刷層は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを添加されてなるインキにより印刷された層である。印刷方法としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また基材層の表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。
積層体に使用するシーラント層や、単体で成形するヒートシール可能なプラスチックフィルム単体としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタアクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリレート共重合体、等が考えられる。
<実施例1>
パウチの積層フィルムとして、
外層として厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
接着剤を介し、中間層として厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルム、
接着剤を介し、シーラント層として厚み60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの3層の積層フィルムを使用し、図5のように、シーラント層を向かい合わせ、4方シール用の形態で、底シール部41、左シール部42、右シール部43の3方をシールしたパウチを用意した。
積層フィルムの3方をシールした大きさは、図5で示す形状で、SW1、SW2、SH1、SH2は、共に、10mmとし、底辺のシール幅を除いた左端部から右端部までの幅W0を110mm、シール幅を除いた底辺からの高さH0を110mmに設定した。
加工傷3は、第1面21にだけ加工し、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを60ワットの出力で、照射範囲をスポット径0.14mm、走査速度800mm/sec、走査加工長さ3mmで、その中心を図5の左シール部根元端部からの水平方向の距離X1を55mm、シール幅を除いた底辺からの高さY1を55mmとし、2mmの傾きを付けて加工した。
<実施例2>
パウチの積層フィルムや、3方をシールしたパウチの大きさや形状は、実施例1と同じものを用意した。
加工傷3は、第1面21にだけ加工し、加工条件は実施例1と同じで、走査加工長さ3mmだが、その中心を図5の左シール部根元端部からの水平方向の距離X1を55mm、シール幅を除いた底辺からの高さY1を35mmとし1/3Hよりも高く2/3Hよりも低い位置とし、2mmの傾きを付けて加工した。
<比較例1>
パウチの積層フィルムや、3方をシールしたパウチの大きさや形状は、実施例1と同じものを用意した。
加工傷3は、第1面21にだけ加工し、加工条件は実施例1と同じで、走査加工長さ3mmだが、その中心を図5の左シール部根元端部からの水平方向の距離X1を55mm、シール幅を除いた底辺からの高さY1を75mmとし、2/3Hよりも高い位置とし、2mmの傾きを付けて加工した。
<比較例2>
パウチの積層フィルムや、3方をシールしたパウチの大きさや形状は、実施例1と同じものを用意した。
加工傷3は、第2面22の左シール部42を挟んだ2箇所に加工し、加工条件は実施例1と同じだが、走査加工長さ1.5mmで、その中心を図5の左シール部42根元端部からの水平方向の距離X1を2mm、シール幅を除いた底辺からの高さY1を55mmとし、1/3Hよりも高く、2/3Hよりも低い位置とし、1mmの傾きを付けて加工した。
<電子レンジ加熱時の蒸気排出評価方法>
内容物は水10ccとした。図5の状態のパウチに、5ccの蒸留水を入れ、天シールを下辺に対し垂直にねじれた方向でシール後、電子レンジ800Wで5分間加熱し、蒸気の発生と排出状況を確認した。
<電子レンジ加熱時の蒸気排出性評価結果>
実施例1では、加工傷を加工した第1面が大きく膨らみ、フィルムが伸びて、加工傷部分が開口し、スムーズに水蒸気が加工傷部分から排出された。
実施例2でも、第1面が大きく膨らみ、フィルムが伸びて、加工傷部分が開口し、スムーズに水蒸気が加工傷部分から排出された。
比較例1では、加工傷が開かず、大きく膨らみ、天シール部44などのシール部が剥離して、周囲に熱湯が洩れてしまった。
比較例2も、加工傷が開かず、大きく膨らみ、天シール部44などのシール部が剥離して、周囲に熱湯が洩れた。
Figure 2019127277
以上の結果から、電子レンジによる高周波加熱によって、パウチ内部の水分等が加熱されると、四面体パウチの面中央のフィルム部分が大きく伸ばされ、かつ、シール部分に応力が集中する。
この為、面の中央にレーザー光による加工傷を設定することによって、確実に蒸気抜きの
性能を持たせることが出来る。
特に肉まんや餡まんなどのような、間食に利用しやすい食品を加熱するには、四面体をした包装袋が、トレーを使用しないでも、周囲に煮汁等を洩らさずに、安定して蒸気を抜きながら加熱調理することが出来るので、本発明のメリットは大きい。
1・・・・・・・・パウチ
21・・・・・・・第1面
22・・・・・・・第2面
23・・・・・・・第3面
24・・・・・・・底面
3・・・・・・・・加工傷
41・・・・・・・底シール部
42・・・・・・・左シール部
43・・・・・・・右シール部
44・・・・・・・天シール部
H・・・・・・・・シール幅を除いた底辺からの高さ
W・・・・・・・・底辺のシール幅を除いた左端部から右端部までの幅
X・・・・・・・・水平方向の距離(左シール部根元端部からの距離)
Y・・・・・・・・加工傷の高さ(底シール部内側端部からの高さ)

Claims (4)

  1. プラスチックフィルムを基材層としてシーラント層を有する積層体、又はヒートシール可能なプラスチックフィルム単体からなる四面体のパウチであって、
    パウチは筒状にヒートシールされ、筒状両側開口部の端部をねじれの位置で直交する2辺をヒートシールして製袋されており、4面の内、その面の内部にヒートシールした融着辺のない面の中央に、易破断性の加工傷を有することを特徴とする蒸気抜き機構を有するパウチ。
  2. 易破断性の加工傷は、面外形形状からシール幅を除いた底辺からの高さHと底辺の幅Wに対して、底辺から1/3H以上2/3H以下の高さ範囲で、底辺の左端部から1/3W以上2/3W以下の範囲に設けたことを特徴とする請求項1に記載の蒸気抜き機構を有するパウチ。
  3. 易破断性の加工傷を有する面は、底面としないことを特徴とする請求項1、又は2に記載の蒸気抜き機構を有するパウチ。
  4. 易破断性の加工傷は、レーザー光を走査して線状に薄肉化した加工傷からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸気抜き機構を有するパウチ。
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