JP2019127215A - 操舵制御装置 - Google Patents

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勲 並河
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Abstract

【課題】ステアリングホイールを操作していないにもかかわらずステアリングホイールが変位することを抑制できるようにした操舵制御装置を提供する。【解決手段】CPU82は、クラッチ14を解放状態とした後、操舵側モータ26によって、ステアリングホイール12に、操舵角に応じた反力を付与する。CPU82は、クラッチ14を解放状態に切り替えるのに伴って反力を付与する処理を開始する場合、当初は、操舵角に応じた反力を小さい値に制限し、操舵角の変化量の積算値が増加するにつれて反力を漸増させる。【選択図】図1

Description

本発明は、ステアリングの操作に抗する力を前記ステアリングホイールに付与するアクチュエータを備えた操舵装置に適用される操舵制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、ステアバイワイヤシステムにおいて、操舵トルクの検出値に基づきステアリングホイールに付与する操舵反力を定める制御装置が記載されている。特に同文献には、操舵反力を定める制御を、イグニッションスイッチがオン状態となることにより開始することが記載されている(段落「0030」)。
特開2006−137215号公報
上記制御装置の場合、イグニッションスイッチがオン状態に切り替えられた時点において操舵角に基づき操舵反力が設定されるため、その時点でユーザがステアリングホイールを握っていない場合、ステアリングホイールが変位するおそれがある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.操舵制御装置は、ステアリングホイールの操作に抗する力を前記ステアリングホイールに付与するアクチュエータを備えた操舵装置に適用され、車両の転舵輪の転舵角および操舵角の少なくとも1つを入力とし、前記ステアリングホイールに付与する力を設定する設定処理と、前記設定処理によって設定された力を前記ステアリングホイールに付与すべく前記アクチュエータを操作する操作処理と、前記設定処理が開始されてから所定期間内において、前記所定期間経過後と比較して前記ステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限する制限処理と、を実行する。
上記構成では、設定処理が開始されてから所定期間内において所定期間の経過後と比較してステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限することにより、設定処理の開始後、ユーザがステアリングホイールを操作していない時に、設定処理に起因してステアリングホイールが変位することを抑制できる。
2.上記1記載の操舵制御装置において、前記設定処理の開始からの前記操舵角の変化量を積算する積算処理を実行し、前記制限処理は、前記積算処理による前記変化量の積算値が小さい場合に大きい場合よりも前記ステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限する処理である。
上記構成では、積算値が小さい場合に大きい場合よりもステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限することにより、ユーザによるステアリングホイールの操作に伴って、設定処理によって設定された力をステアリングホイールに徐々に付与することができる。このため、制限をステップ的に解除する場合と比較すると、ユーザに違和感を与えにくい。
3.上記1または2記載の操舵制御装置において、前記設定処理は、前記入力に基づき、前記ステアリングホイールに付与する力のベース値を算出するベース値算出処理と、前記ベース値に応じて目標操舵角を算出する目標操舵角算出処理と、前記操舵角の検出値を前記目標操舵角にフィードバック制御するために前記アクチュエータを操作するフィードバック処理と、を含む。
上記構成では、設定処理の開始に際しての目標操舵角が操舵角の検出値に一致しない場合、フィードバック処理によってステアリングホイールが変位する。また、設定処理の開始に際しての上記入力の初期値を操舵角および転舵角のいずれかに関する検出値とする場合、ステアリングホイールが切られていたり転舵角の検出値が中立位置からずれていたりする場合等には、ベース値の絶対値がゼロよりも大きい値となり、ひいては目標操舵角が初期値から更新されるおそれがある。そしてこの場合、目標操舵角が操舵角の検出値から乖離し、ステアリングホイールが変位するおそれがある。このため、制限処理の利用価値が特に大きい。
4.上記3記載の操舵制御装置において、前記転舵角としての目標転舵角および前記操舵角としての目標操舵角の少なくとも一方を、前記ベース値算出処理の前記入力とし、前記設定処理の開始に際しての前記ベース値算出処理の入力を、前記転舵角および前記操舵角の前記少なくとも一方に関する検出値とする初期値設定処理を実行し、前記制限処理は、前記目標操舵角算出処理の入力となる前記ベース値を制限する処理を含む。
上記初期値設定処理によれば、ステアリングホイールが切られていたり転舵角の検出値が中立位置からずれていたりする場合等には、ベース値の絶対値がゼロよりも大きい値となり、ひいてはステアリングホイールの操作がなされなくても目標操舵角が初期値設定処理によって設定された値から変化するおそれがある。そしてその場合、目標操舵角が操舵角の検出値からずれ、ステアリングホイールが変位するおそれがある。そこで上記構成では、制限処理によって、ベース値を制限する。
5.上記4記載の操舵制御装置において、前記アクチュエータは、操舵側アクチュエータであり、前記操舵装置は、前記ステアリングホイールと前記転舵輪との動力の伝達状態および遮断状態を切り替える切替装置と、前記転舵輪を転舵させることが可能な転舵側アクチュエータと、備え、前記切替装置を操作して前記動力の遮断状態とする遮断処理を実行し、前記設定処理を、前記遮断処理が実行されるのに伴って開始する。
上記構成において、遮断状態において操舵側アクチュエータによってステアリングホイールに力を付与しない場合には、ユーザはステアリングホイールを極小さな力で大きく変位させることができてしまう。このため、ステアリングホイールの操作の開始の有無にかかわらず、遮断状態とされるのに伴って設定処理を開始する。しかしその場合、設定処理に伴ってステアリングホイールが変位してしまうおそれがある。このため、制限処理の利用価値が特に大きい。
第1の実施形態にかかる操舵制御装置および操舵装置を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態における初期値の設定に関する処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。
<第1の実施形態>
以下、操舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す操舵装置10は、車両の推力を生成する車載原動機として内燃機関のみを搭載した車両に搭載されている。操舵装置10においては、ステアリングホイール12が、ステアリングホイール12の操作に抗する力である反力を付与する操舵側アクチュエータ20に接続されている。操舵側アクチュエータ20は、ステアリングホイール12に固定されたステアリングシャフト22、操舵側減速機24、操舵側減速機24に回転軸26aが連結された操舵側モータ26、および操舵側モータ26を駆動する操舵側インバータ28を備えている。なお、本実施形態は、操舵側モータ26として、表面磁石同期電動機(SPM)を例示する。
ステアリングシャフト22は、クラッチ14を介して転舵側アクチュエータ40のピニオン軸42に連結可能とされている。
転舵側アクチュエータ40は、第1ラックアンドピニオン機構48、第2ラックアンドピニオン機構52、転舵側モータ56および転舵側インバータ58を備えている。なお、本実施形態では、転舵側モータ56として、SPMを例示する。
第1ラックアンドピニオン機構48は、所定の交叉角をもって配置されたラック軸46とピニオン軸42とを備え、ラック軸46に形成された第1ラック歯46aとピニオン軸42に形成されたピニオン歯42aとが噛合されている。なお、ラック軸46の両端には、タイロッドを介して転舵輪30が連結されている。
第2ラックアンドピニオン機構52は、所定の交叉角をもって配置されたラック軸46およびピニオン軸50を備えており、ラック軸46に形成された第2ラック歯46bとピニオン軸50に形成されたピニオン歯50aとが噛合されている。
ピニオン軸50は、転舵側減速機54を介して、転舵側モータ56の回転軸56aに接続されている。転舵側モータ56には、転舵側インバータ58が接続されている。
ステアリングホイール12には、スパイラルケーブル装置60が連結されている。スパイラルケーブル装置60は、ステアリングホイール12に固定された第1ハウジング62と、車体に固定された第2ハウジング64と、第1ハウジング62および第2ハウジング64によって区画された空間に収容されて且つ第2ハウジング64に固定された筒状部材66と、筒状部材66に巻きつけられるスパイラルケーブル68とを備えている。筒状部材66には、ステアリングシャフト22が挿入されている。スパイラルケーブル68は、ステアリングホイール12に固定されたホーン70と、車体に固定されたバッテリ72等とを接続する電気配線である。
上記クラッチ14は、クラッチドライバ74への通電処理によって、締結状態から解放状態に切り替えられる。
操舵制御装置(制御装置80)は、操舵側アクチュエータ20および転舵側アクチュエータ40を備えた操舵装置10を操作することにより、ステアリングホイール12の操作に応じて転舵輪30を転舵させる制御を実行する。すなわち、本実施形態では、操舵側アクチュエータ20および転舵側アクチュエータ40によってステアバイワイヤシステムを実現しており、制御装置80は、通常、クラッチ14を解放状態に維持しつつ、ステアリングホイール12の操作に応じて転舵輪30を転舵させる制御を実行する。この際、制御装置80は、操舵側角度センサ90によって検出される操舵側モータ26の回転軸26aの回転角度θs0や、操舵側電流センサ92によって検出される操舵側モータ26に流れる電流iu1,iv1,iw1、トルクセンサ94によって検出されるステアリングシャフト22に加わるトルク(操舵トルクTrqs)を参照する。また、制御装置80は、転舵側角度センサ96によって検出される転舵側モータ56の回転軸56aの回転角度θt0や、転舵側電流センサ98によって検出される転舵側モータ56に流れる電流iu2,iv2,iw2、車速センサ100によって検出される車速SPDを取り込む。
制御装置80は、CPU82、ROM84および電源回路86を備えており、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が実行することにより、転舵輪30を転舵させる処理を実行する。
図2に、制御装置80が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が実行することにより実現される。
積算処理M10は、操舵側角度センサ90によって検出された回転角度θs0を、0〜360°よりも広い角度領域の数値に変換して回転角度θsとする処理である。すなわち、たとえば、ステアリングホイール12が車両を直進させる中立位置から右側または左側に最大限回転操作される場合、回転軸26aは、1回転よりも大きく回転する。したがって、積算処理M10により、たとえばステアリングホイール12が中立位置にある状態から回転軸26aが所定方向に2回転する場合、出力値が720°とされる。なお、積算処理M10により、中立位置における出力値がゼロとされる。
積算処理M12は、転舵側角度センサ96によって検出された回転角度θt0を、0〜360°よりも広い角度領域の数値に変換して回転角度θtとする処理である。すなわち、たとえば、転舵輪30が中立位置から最大限変位する間に回転軸56aは、1回転よりも大きく回転する。したがって、積算処理M10により、たとえば転舵輪30が中立位置にある状態から回転軸56aが所定方向に2回転する場合、出力値が720°とされる。なお、積算処理M10により、中立位置における出力値がゼロとされる。
計量単位設定処理M14は、回転角度θsに換算係数Ksを乗算して操舵角θhを算出する処理である。ここで、換算係数Ksは、操舵側減速機24の回転速度と操舵側モータ26の回転軸26aの回転速度との比に応じて定められており、これにより、回転軸26aの回転角度θsの変化量がステアリングホイール12の回転量に変換される。このため、操舵角θhは、中立位置を基準とするステアリングホイール12の回転角度となる。
計量単位設定処理M16は、回転角度θtに換算係数Ktを乗算して、転舵角θpを算出する処理である。ここで、換算係数Ktは、転舵側減速機54の回転速度および転舵側モータ56の回転軸56aの回転速度の比と、ピニオン軸50の回転速度およびピニオン軸42の回転速度の比との積となっている。これにより、回転軸56aの回転量が、クラッチ14が締結状態であると仮定した場合におけるステアリングホイール12の回転量に変換される。
なお、図2における処理は、回転角度θs,θt、操舵角θhおよび転舵角θpが所定方向の回転角度の場合に正、逆方向の回転角度の場合に負とする処理である。すなわち、たとえば、積算処理M10は、ステアリングホイール12が中立位置にある状態から回転軸26aが所定方向とは逆回転する場合に、出力値を負の値とする処理である。ただし、これは、制御系のロジックの一例に過ぎない。
アシストトルク設定処理M20は、トルクセンサ94によって検出された操舵トルクTrqsに基づき、アシストトルクFaを設定する処理である。ここで、アシストトルクFaは、操舵トルクTrqsが大きいほど大きい値に設定される。
加算処理M22は、アシストトルクFaに操舵トルクTrqsを加算した値を出力する処理である。
反力設定処理M24は、ステアリングホイール12の操作に応じて、ステアリングホイール12の操作に抗する力である反力Frを設定する処理である。詳しくは、反力設定処理M24は、ばね力算出処理M24a、摩擦力算出処理M24b、積算処理M24c、ゲイン算出処理M24d、乗算処理M24e,M24fおよび加算処理M24gを含む。ばね力算出処理M24aは、ラック軸46に加わる軸力のうちの変位量の絶対値と強い相関を有する成分であるばね力が操舵側モータ26のトルクに換算された値であるばね力F1を算出する処理である。ばね力算出処理M24aは、後述の目標操舵角θh*の絶対値が大きい場合に小さい場合よりもばね力F1の絶対値を大きい値に算出する処理である。なお、ばね力F1の符号は、目標操舵角θh*が右旋回側の値である場合、左旋回側の符号となる。ちなみに、ここでの軸力は、クラッチ14が締結状態である場合に実際にステアリングホイール12へと伝達される軸力と一致しているわけではなく、任意に設定された値である。
摩擦力算出処理M24bは、目標操舵角θh*に応じて、ラック軸46の変位に逆らう摩擦力が操舵側モータ26のトルクに換算された値である摩擦力F2を算出する処理である。ちなみに、ここでの摩擦力は、クラッチ14が締結状態である場合に実際にステアリングホイール12へと伝達される摩擦力と一致しているわけではなく、任意に設定された値である。
積算処理M24cは、操舵角θhの変化量を積算した積算値Inθhを算出する処理である。ここで、操舵角θhの変化量とは、単位時間毎に更新される操舵角θhの前回値と今回値との差の絶対値のこととする。ゲイン算出処理M24dは、積算値Inθhに基づき、「0」以上「1」以下の値を有するゲインKを算出する処理である。詳しくは、ゲイン算出処理M24dは、積算値Inθhが大きい場合に小さい場合よりもゲインKを大きい値に算出する処理であり、積算値Inθhが所定値以上となる場合、ゲインKを「1」に固定する処理である。加算処理M24gは、乗算処理M24eにおいてばね力F1にゲインKが乗算された値と、乗算処理M24fにおいて摩擦力F2にゲインKが乗算された値との和を、反力Frとして出力する処理である。
偏差算出処理M26は、加算処理M22の出力値から反力Frを減算した値を出力する処理である。目標操舵角算出処理M28は、偏差算出処理M26の出力値に基づき、目標操舵角θh*を算出する処理である。ここでは、偏差算出処理M26の出力値ΔFと、目標操舵角θh*とを関係づける以下の式(c1)にて表現されるモデル式を利用する。
ΔF=C・θh*’+J・θh*’’ …(c1)
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、ステアリングホイール12と転舵輪30とが機械的に連結されたものにおいて、ステアリングホイール12の変位に伴ってラック軸46に加わる軸力を定めるモデルである。ただし、軸力は、操舵側モータ26のトルクに換算されている。すなわち、クラッチ14の締結状態において、対象とする軸力がラック軸46に加わる際、操舵側モータ26の回転軸26aに加わるトルクに換算されている。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、操舵装置10の摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、操舵装置10の慣性をモデル化したものである。ここで、粘性係数Cおよび慣性係数Jは、車速SPDに応じて可変設定される。
操舵側フィードバック処理M30は、操舵角θhを目標操舵角θh*にフィードバック制御するための操作量として、操舵側モータ26に対するトルク指令値である操舵側トルク指令値Trqr1*を設定する処理である。具体的には、目標操舵角θh*から操舵角θhを減算した値を入力とする比例要素および微分要素のそれぞれの出力値と、目標操舵角θh*と操舵角θhとの差に応じた値の積算値を出力する積分要素の出力値との和を、操舵側トルク指令値Trqr1*とする。
加算処理M32は、操舵側トルク指令値Trqr1*に、アシストトルクFaを加算することによって、最終的な操舵側トルク指令値Trqr*を算出する処理である。
操舵側操作信号生成処理M34は、操舵側トルク指令値Trqr*に基づき、操舵側インバータ28の操作信号MSsを生成して操舵側インバータ28に出力する処理である。これは、たとえば、操舵側トルク指令値Trqr*に基づきq軸電流の指令値を設定し、dq軸の電流を指令値にフィードバック制御するための操作量としてdq軸の電圧指令値を設定する周知の電流フィードバック制御にて実現することができる。なお、d軸電流はゼロに制御してもよいが、操舵側モータ26の回転速度が大きい場合には、d軸電流の絶対値をゼロより大きい値に設定し弱め界磁制御を実行してもよい。もっとも、低回転速度領域においてd軸電流の絶対値をゼロよりも大きい値に設定することも可能である。
舵角比可変処理M40は、車速SPDに基づき、操舵角θhと転舵角θpとの比である舵角比を可変設定するための目標動作角θa*を設定する処理である。加算処理M42は、目標操舵角θh*に目標動作角θa*を加算することにより、目標転舵角θp*を算出する処理である。
転舵側フィードバック処理M44は、転舵角θpを目標転舵角θp*にフィードバック制御するための操作量として、転舵側モータ56に対するトルク指令値である転舵側トルク指令値Trqt*を設定する処理である。具体的には、目標転舵角θp*から転舵角θpを減算した値を入力とする比例要素および微分要素のそれぞれの出力値と、目標転舵角θp*と転舵角θpとの差に応じた値の積算値を出力する積分要素の出力値との和を、転舵側トルク指令値Trqt*とする。
転舵側操作信号生成処理M46は、転舵側トルク指令値Trqt*に基づき、転舵側インバータ58の操作信号MStを生成して転舵側インバータ58に出力する処理である。これは、操舵側操作信号生成処理M34による操作信号の生成処理と同様に行うことができる。
CPU82は、図2に示す処理を、車両の走行許可信号としてのIG信号がオフ状態からオン状態に切り替わることにより、クラッチ14を締結状態から解放状態に切り替えた後に実行する。この際、CPU82は、目標操舵角θh*および目標転舵角θp*の初期値を設定する処理を実行する。なお、IG信号は、内燃機関の燃焼制御を開始する信号である。
図3に、初期値の設定に関する処理の手順を示す。図3に示す処理は、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図3に示す一連の処理において、CPU82は、まずIG信号がオフ状態からオン状態に切り替わったときであるか否かを判定する(S10)。CPU82は、切り替わったときであると判定する場合(S10:YES)、クラッチ14を締結状態から解放状態に切り替える(S12)。次にCPU82は、目標操舵角θh*に操舵角θhを代入し、目標転舵角θp*に転舵角θpを代入する(S14)。詳しくは、CPU82は、目標操舵角算出処理M28の最終段の積分要素が保持する値に、操舵角θhを代入する。ここで、最終段の積分要素とは、その積分要素の値が目標操舵角θh*となるもののことである。なお、目標操舵角算出処理M28の積分要素のうちの最終段の積分要素以外の積分要素については、IG信号がオン状態に切り替わった時点でゼロに初期化されているものとする。
そしてCPU82は、操舵側モータ26のトルクを操舵側トルク指令値Trqr*に制御すべく、操舵側インバータ28に出力する操作信号MSsを算出する処理を開始する(S16)。なお、CPU82は、S16の処理が完了する場合や、S10の処理において否定判定する場合には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
なお、本実施形態において、CPU82は、目標転舵角θp*の値をS14の処理によって設定した後、目標操舵角θh*が変化するまで、目標転舵角θp*の値を固定するものとする。目標操舵角θh*が変化し始める場合、CPU82は、転舵側フィードバック処理M44の入力となる目標転舵角θp*を、その前回値と、加算処理M42の出力値の今回値との指数移動平均処理値に更新することにより、加算処理M42の出力値に収束させる。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU82は、IG信号がオフ状態からオン状態に切り替わる場合、クラッチ14を解放状態に切り替えた後、目標操舵角θh*に、その時点における操舵角θhを代入する。ここで、操舵角θhが中立位置に対応する値である「0」ではない場合、ばね力算出処理M24aによって算出されるばね力F1の絶対値や摩擦力算出処理M24bによって算出される摩擦力F2の絶対値がゼロよりも大きい値となる。これに対し、操舵トルクTrqsがゼロとなることから、アシストトルクFaもゼロとなり、加算処理M22の出力値がゼロとなる。このため、仮に、反力Frが、ばね力F1と摩擦力F2との和であるなら、偏差算出処理M26の出力値の絶対値がゼロよりも大きい値となる。そしてその場合、目標操舵角算出処理M28により、目標操舵角θh*が、S14の処理によって設定された値から離れた値に更新される。これにより、目標操舵角θh*が操舵角θhから乖離するため、操舵側フィードバック処理M30により、ステアリングホイール12を目標操舵角θh*となるように変位させるための操舵側トルク指令値Trqr1*が算出される。これにより、操舵側モータ26に対する最終的なトルク指令値である操舵側トルク指令値Trqr*も、ステアリングホイール12を目標操舵角θh*となるように変位させるための値となる。そして、これにより、IG信号がオフ状態からオン状態に切り替わりクラッチ14が解放状態に切り替わるのに伴って、ステアリングホイール12が変位する。
これに対し、本実施形態では、操舵側トルク指令値Trqr*の算出処理を開始した後、操舵角θhの変化量の積算値Inθhがゼロである間は、ゲインKがゼロとなるため、反力Frがゼロとなる。これにより、偏差算出処理M26の出力値もゼロとなる。このため、目標操舵角θh*は、図3のS14の処理によって設定された値を保持することから、操舵側フィードバック処理M30の入力となる操舵角θhと目標操舵角θh*との差は、ゼロとなる。このため、操舵側トルク指令値Trqr*がゼロとなり、ステアリングホイール12が変位することが抑制される。その後、ユーザがステアリングホイール12を操作すると、操舵角θhが変化し、積算値Inθhが大きくなるため、ゲインKが「1」に向けて漸増する。このため、ユーザはステアリングホイール12の操作に抗した力の絶対値が漸増することを体感することとなり、ステアリングホイール12にステップ的に大きな力が加わる場合と比較して、違和感を感じにくい。
なお、図3のS14の処理に代えて目標操舵角θh*の初期値として「0」を与える場合、ゲインKを用いなくても、図2に示した処理が開始された時点で、反力Frをゼロとすることが可能である。しかしその場合、操舵角θhが「0」ではないなら、操舵側フィードバック処理M30の入力となる操舵角θhと目標操舵角θh*との差の絶対値がゼロよりも大きくなるため、操舵側トルク指令値Trqr1*が操舵角θhを目標操舵角θh*に変位させるための値となる。このため、ステアリングホイール12が変位する。
ちなみに、目標操舵角θh*の初期値として「0」を与える場合、初期値として操舵角θhを与える場合と比較して、操舵角θhと目標操舵角θh*との差の絶対値が大きくなりやすい。すなわち、ゲインKを利用しない場合であっても、図3のS14の処理は、目標操舵角θh*の初期値として「0」を与える場合と比較して、操舵側トルク指令値Trqr*の開始直後における操舵側トルク指令値Trqr*の絶対値を小さくする効果を奏する。とはいえ、IG信号がオン状態に切り替わった後、ステアリングホイール12にユーザが手をかけない場合、ステアリングホイール12が変位するおそれがあることには相違ないため、本実施形態では、ゲインKを利用した。
<第2の実施形態>
以下、操舵制御装置にかかる第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図4に、本実施形態にかかる制御装置80が実行する処理の一部を示す。なお、図4において図2に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
反力設定処理M24は、仮想エンド反力算出処理M24hと、乗算処理M24iとを含む。仮想エンド反力算出処理M24hは、目標操舵角θh*の絶対値と目標転舵角θp*の絶対値とのうちの大きい方に基づき、仮想エンド反力F3を算出する処理を含む。この処理は、ラック軸46が軸方向に変位してラック軸46の端部がラックハウジング44に接触する直前と、ステアリングホイール12がスパイラルケーブル68から定まる上限値まで回転する直前との双方において、操舵角θhの絶対値がそれ以上大きくならないように反力Frの絶対値を大きい値に設定する処理である。
ここで、本実施形態では、操舵角θhの上限値θhHと転舵角θpの上限値θpHとがほぼ等しい値となっている。これは、計量単位設定処理M14,M16による操舵角θhおよび転舵角θpの計量単位の設定によって実現したものである。すなわち、本実施形態では、転舵輪30およびステアリングホイール12の双方が中立位置にある状態でクラッチ14が締結状態とされる場合に、ラック軸46がラックハウジング44に接触するまで軸方向に変位したときに、ステアリングホイール12を更にわずかに回転可能なように、スパイラルケーブル68の長さにわずかにマージンを持たせてある。このため、計量単位設定処理M14,M16によって、操舵角θhをステアリングホイール12の回転角度とし、転舵角θpを目標動作角θa*をゼロと仮定したときのステアリングホイール12の回転角度とすることにより、操舵角θhの上限値θhHと転舵角θpの上限値θpHとがほぼ等しい値となる。このため、目標動作角θa*がゼロ以外の値に設定される場合、操舵角θhの絶対値が転舵角θpの絶対値よりも大きくなるなら、ラック軸46の端部がラックハウジング44に接触する前にステアリングホイール12がスパイラルケーブル68から定まる上限値まで回転するおそれがある。また、目標動作角θa*がゼロ以外の値に設定される場合、転舵角θpの絶対値が操舵角θhの絶対値よりも大きくなるなら、ステアリングホイール12がスパイラルケーブル68から定まる上限値まで回転する前にラック軸46の端部がラックハウジング44に接触するおそれがある。このため、ラック軸46とラックハウジング44との接触に伴う衝撃を抑制することとスパイラルケーブル68を保護することとを狙って、目標操舵角θh*の絶対値と目標転舵角θp*の絶対値とのうちの大きい方が閾値以上となる場合、仮想エンド反力F3の絶対値を大きい値に設定する。
乗算処理M24iは、仮想エンド反力F3にゲインKを乗算する処理である。加算処理M24gは、乗算処理M24e,M24f,M24iの出力値を加算して、反力Frを算出する処理である。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU82は、IG信号がオフ状態からオン状態に切り替わる場合、クラッチ14を解放状態に切り替えた後、目標操舵角θh*にその時点における操舵角θhを代入し、目標転舵角θp*にその時点における転舵角θpを代入する。ここで、転舵角θpが中立位置に対応する値である「0」から大きく離れている場合、仮想エンド反力算出処理M24hによって算出される仮想エンド反力F3の絶対値がゼロよりも大きい値となる。しかし、CPU82は、操舵角θhの変化量の積算値Inθhがゼロである間は、ゲインKをゼロとすることによって、反力Frをゼロとする。このため、ユーザによるステアリングホイール12の操作がなされていないときにステアリングホイール12が変位することを抑制できる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]アクチュエータは、操舵側アクチュエータ20に対応する。設定処理は、アシストトルク設定処理M20、加算処理M22、反力設定処理M24、偏差算出処理M26、目標操舵角算出処理M28、操舵側フィードバック処理M30、および加算処理M32に対応する。ステアリングホイールに付与する力は、操舵側トルク指令値Trqr*に対応する。すなわち、操舵側トルク指令値Trqr*によって、操舵側モータ26のトルクが定まり、これによりステアリングホイール12に付与される力が定まることから、操舵側トルク指令値Trqr*を設定する処理は、ステアリングホイール12に付与する力を設定する処理とみなせる。操作処理は、操舵側操作信号生成処理M34に対応する。制限処理は、図2におけるゲイン算出処理M24d、および乗算処理M24e,M24fや、図4におけるゲイン算出処理M24d、および乗算処理M24e,M24f,M24iに対応する。[3]ベース値算出処理は、図2におけるばね力算出処理M24a、摩擦力算出処理M24bおよび加算処理M24gや、図4におけるばね力算出処理M24a、摩擦力算出処理M24b、仮想エンド反力算出処理M24h、および加算処理M24gに対応する。フィードバック処理は、操舵側フィードバック処理M30に対応する。[4]初期値設定処理は、S14の処理に対応する。[5]切替装置は、クラッチ14およびクラッチドライバ74に対応し、遮断処理は、S12の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「ベース値算出処理について」
ばね力算出処理M24aの入力としては、目標操舵角θh*に限らず、たとえば操舵角θhであってもよい。またたとえば、目標転舵角θp*としてもよく、またたとえば転舵角θpとしてもよい。
摩擦力算出処理M24bの入力としては、目標操舵角θh*に限らず、たとえば操舵角θhであってもよい。またたとえば、目標転舵角θp*としてもよく、またたとえば転舵角θpとしてもよい。
仮想エンド反力算出処理M24hの入力としては、目標操舵角θh*の絶対値と目標転舵角θp*の絶対値とのうちの大きい方に限らない。たとえば、スパイラルケーブル68に十分な余裕を持たせている場合、目標転舵角θp*のみを入力としてもよい。またたとえばスパイラルケーブル68の保護のみを狙う場合、目標操舵角θh*のみを入力としてもよい。またたとえば、目標操舵角θh*に代えて操舵角θhを用いてもよい。またたとえば目標転舵角θp*に代えて転舵角θpを用いてもよい。
反力Frとしては、ばね力F1と摩擦力F2との和としたり、ばね力F1と摩擦力F2と仮想エンド反力F3との和としたりするものに限らない。たとえば、ばね力F1と摩擦力F2と仮想エンド反力F3とのうちの3つのパラメータに関しては、それらのうちのいずれか1つのみを用いるものであってもよい。またたとえば、ばね力F1と摩擦力F2と仮想エンド反力F3とのうちの3つのパラメータに関しては、ばね力F1と仮想エンド反力F3との2つとしたり、摩擦力F2と仮想エンド反力F3との2つとしたりしてもよい。
・「設定処理について」
操舵側トルク指令値Trqr*の算出に、操舵側フィードバック処理M30を利用することは必須ではない。たとえば、偏差算出処理M26の出力値に所定のゲインを乗算した値を、操舵側トルク指令値Trqr*としてもよい。
なお、下記「操作処理について」の欄に記載したように、操舵側トルク指令値Trqr*に代えて、電流の指令値を用いる場合、設定処理は電流の指令値を設定することとなるが、この電流は、トルクとみなせ、ひいては電流の指令値を設定することは、ステアリングホイールに付与する力を設定することとみなせる。
・「設定処理の開始条件について」
上記実施形態では、IG信号がオン状態に切り替わることに伴ってクラッチ14を解放状態に切り替えることを、操舵側トルク指令値Trqr*への操舵側モータ26のトルクの制御の開始条件としたが、これに限らない。たとえば、下記「車両について」の欄に記載したように回転電機を備える車両においては、たとえば回転電機への電力の供給を可能とするリレーを閉状態とする信号を車両の走行許可信号とし、同信号がオン状態に切り替わることを、操舵側トルク指令値Trqr*への操舵側モータ26のトルクの制御の開始条件としてもよい。詳しくは、ステアバイワイヤシステムを搭載した車両の場合、リレーを閉状態とする信号がオン状態に切り替わることに伴ってクラッチ14を解放状態に切り替えることを開始条件とすればよい。もっとも、ステアバイワイヤシステムを搭載した車両において、クラッチ14を解放状態に切り替えることを開始条件とすることは必須ではなく、たとえば、車両の走行許可スイッチがオフ状態であるときもクラッチ14を常時解放状態とするものにあっては、車両の走行許可スイッチがオン状態に切り替わることを開始条件としてもよい。なお、車両の走行許可スイッチがオン状態に切り替わることを開始条件とすることは必須ではなく、操舵側トルク指令値Trqr*への操舵側モータ26のトルクの制御を、たとえば車両に人が乗り込んだことを検知した場合に開始してもよい。
・「制限処理について」
上記実施形態では、ゲインKの初期値を「0」としたが、これに限らず、「0」よりもわずかに大きい値としてもよい。
操舵側モータ26のトルクを算出する処理の開始から所定期間内において操舵側モータ26のトルクの絶対値を小さい値に制限する制限処理としては、反力Frの絶対値を小さい値に制限する処理に限らない。たとえばS14の処理に代えて、目標操舵角θh*の初期値をゼロとし、操舵側フィードバック処理M30において、目標操舵角θh*と操舵角θhとの差にゲインKを乗算する処理としてもよい。またたとえば、操舵側トルク指令値Trqr*にゲインKを乗算する処理としてもよい。
ゲインKとしては、操舵角θhの変化量の積算値Inθhに応じて設定されるものに限らず、たとえば目標操舵角θh*の変化量の積算値に応じて設定されるものであってもよい。またたとえば、転舵角θpの変化量の積算値によって設定されるものであってもよく、またたとえば目標転舵角θp*の変化量の積算値によって設定されるものであってもよい。なお、上記各角度の変化量としては、正と負とを区別しない絶対値に限らない。
操舵側モータ26のトルクを算出する処理の開始から所定期間内において操舵側モータ26のトルクを小さい値に制限する制限処理としては、積算値に応じたゲインKを用いるものに限らない。たとえば、操舵側モータ26のトルクを算出する処理の開始から操舵トルクTrqsの絶対値が所定値以上となるまでの期間を所定期間とし、同所定期間において、操舵側トルク指令値Trqr*に「0」を代入する処理としてもよい。
・「操作処理について」
たとえば上記実施形態において弱め界磁制御を実行しない場合、ステアリングホイールに付与する力を示すパラメータとして、操舵側トルク指令値Trqr*に代えて、q軸電流の指令値を用いてもよい。またたとえば「電動機について」の欄に記載したように、操舵側モータ26としてブラシ付き電動機を用いる場合、ステアリングホイールに付与する力を示すパラメータとして、操舵側トルク指令値Trqr*に代えて、操舵側モータ26を流れる電流の指令値を用いてもよい。
・「電動機について」
転舵側モータ56としては、SPMに限らず、たとえば埋め込み磁石同期電動機を用いてもよく、さらに同期機にも限らず、たとえば誘導機であってもよい。またブラシレス電動機に限らず、ブラシ付き電動機であってもよい。
・「転舵側アクチュエータについて」
転舵側アクチュエータ40が備える転舵機構としては、ラックアンドピニオン型のものに限らない。たとえば、ラッククロス型のものや、ラック同軸型、ラック軸46と回転軸56aとが平行に配置されるものなどを採用してもよい。
・「操舵装置について」
上記実施形態では、操舵装置として、ステアリングホイール12と転舵輪30との動力伝達を遮断するクラッチ14を備えるものを例示し、通常、クラッチ14によって動力伝達の遮断状態とされているときに転舵制御を実行することを想定したが、これに限らない。たとえば、操舵装置がステアリングホイール12と転舵輪30とが機械的に連結された構成であってもよい。この場合であっても、たとえばラック軸46がラックハウジング44に接触する際の衝撃を緩和するために、仮想エンド反力F3に応じた力をステアリングホイール12に付与する処理を実行する場合、仮想エンド反力F3に応じた力を付与する処理を含む電動機のトルク制御の開始から所定期間において同力を小さい値に制限することが有効である。すなわち、たとえば車両の駐車時に操舵角の絶対値が非常に大きくなり仮想エンド反力F3に応じた力をステアリングホイール12に付与している状態でIG信号がオフとなる場合、ステアリングホイール12は大きく切られた状態で停止する。そのため、IG信号がオン状態に切り替わることによってステアリングホイール12に力を付与する処理が開始されると、制限がなされないなら、ステアリングホイール12に仮想エンド反力F3に応じた力が付与され、ステアリングホイール12が変位するおそれがある。
・「操舵制御装置について」
操舵制御装置としては、CPU82とROM84とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、操舵制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「車両について」
操舵装置を備える車両としては、車両の推力を生成する車載原動機が内燃機関のみからなるものに限らず、たとえば、内燃機関と回転電機とからなるものであってもよい。もっとも、内燃機関を備えること自体必須ではない。
・「そのほか」
ステアバイワイヤシステムにおいてクラッチ14を備えること自体必須ではない。
10…操舵装置、12…ステアリングホイール、14…クラッチ、20…操舵側アクチュエータ、22…ステアリングシャフト、24…操舵側減速機、26…操舵側モータ、26a…回転軸、28…操舵側インバータ、30…転舵輪、40…転舵側アクチュエータ、42…ピニオン軸、42a…ピニオン歯、44…ラックハウジング、46…ラック軸、46a…第1ラック歯、46b…第2ラック歯、48…第1ラックアンドピニオン機構、50…ピニオン軸、50a…ピニオン歯、52…第2ラックアンドピニオン機構、54…転舵側減速機、56…転舵側モータ、56a…回転軸、58…転舵側インバータ、59…クラッチドライバ、60…スパイラルケーブル装置、62…第1ハウジング、64…第2ハウジング、66…筒状部材、68…スパイラルケーブル、70…ホーン、72…バッテリ、74…クラッチドライバ、80…制御装置、82…CPU、84…ROM、86…電源回路、80…制御装置、82…CPU、84…ROM、86…電源回路、90…操舵側角度センサ、92…操舵側電流センサ、94…トルクセンサ、96…転舵側角度センサ、98…転舵側電流センサ、100…車速センサ。

Claims (5)

  1. ステアリングホイールの操作に抗する力を前記ステアリングホイールに付与するアクチュエータを備えた操舵装置に適用され、
    車両の転舵輪の転舵角および操舵角の少なくとも1つを入力とし、前記ステアリングホイールに付与する力を設定する設定処理と、
    前記設定処理によって設定された力を前記ステアリングホイールに付与すべく前記アクチュエータを操作する操作処理と、
    前記設定処理が開始されてから所定期間内において、前記所定期間経過後と比較して前記ステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限する制限処理と、を実行する操舵制御装置。
  2. 前記設定処理の開始からの前記操舵角の変化量を積算する積算処理を実行し、
    前記制限処理は、前記積算処理による前記変化量の積算値が小さい場合に大きい場合よりも前記ステアリングホイールに付与する力を小さい値に制限する処理である請求項1記載の操舵制御装置。
  3. 前記設定処理は、
    前記入力に基づき、前記ステアリングホイールに付与する力のベース値を算出するベース値算出処理と、
    前記ベース値に応じて目標操舵角を算出する目標操舵角算出処理と、
    前記操舵角の検出値を前記目標操舵角にフィードバック制御するために前記アクチュエータを操作するフィードバック処理と、を含む請求項1または2記載の操舵制御装置。
  4. 前記転舵角としての目標転舵角および前記操舵角としての目標操舵角の少なくとも一方を、前記ベース値算出処理の前記入力とし、
    前記設定処理の開始に際しての前記ベース値算出処理の入力を、前記転舵角および前記操舵角の前記少なくとも一方に関する検出値とする初期値設定処理を実行し、
    前記制限処理は、前記目標操舵角算出処理の入力となる前記ベース値を制限する処理を含む請求項3記載の操舵制御装置。
  5. 前記アクチュエータは、操舵側アクチュエータであり、
    前記操舵装置は、前記ステアリングホイールと前記転舵輪との動力の伝達状態および遮断状態を切り替える切替装置と、前記転舵輪を転舵させることが可能な転舵側アクチュエータと、備え、
    前記切替装置を操作して前記動力の遮断状態とする遮断処理を実行し、
    前記設定処理を、前記遮断処理が実行されるのに伴って開始する請求項4記載の操舵制御装置。
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