JP2019126786A - 砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材 - Google Patents

砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材 Download PDF

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Abstract

【課題】取扱い性が良好であり、短時間で、砒素を効率よく除去することができる砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材を提供する。【解決手段】本発明は、セルロース内に反応性官能基を含む化合物及び鉄イオンを含み、前記鉄イオンは、前記反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持されて鉄イオン複合体を構成しており、「L*a*b*表色系」に準じて測定したa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上である砒素吸着性再生セルロース成形体に関する。本発明は、また、セルロースを含むビスコース原液に反応性官能基を含む化合物塩を含む水溶液を混合してビスコース液を調製する工程と、前記ビスコース液を凝固再生させて再生セルロース成形体を得る工程と、前記再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理する工程を含む砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材に関し、詳細には、水中の砒素を吸着除去することができる砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材に関する。
砒素が人体に対して有害であることは昔から知られており、人体への蓄積性も問題とされている。砒素で汚染されている飲用水、工業用水、工業用排水や、砒素で汚染された土壌の溶出液などにより人体に健康被害が生じる恐れがある。例えば、アジアの開発途上国において、井戸水に高い濃度の砒素が含まれている場合があり、地元住民に健康被害をもたらしていることが報告されている。
従来、砒素などの有毒物質を含有する有毒物質含有水溶液にアルカリ剤を添加して有毒物質を水酸化物として沈殿・除去させる方法が報告されている。例えば、特許文献1には、砒酸イオンなどの有害な無機性イオンを含有する水に、少なくともセリウムの塩を主成分として含有する希土類元素の塩溶液及び水酸化マグネシュウムを添加し、PH8から11にて沈澱を生成させ、固液分離することにより、砒酸イオンを除去することが記載されている。しかし、このような方法では、ある程度有毒物質の濃度が高い場合は有効であるが、低濃度の場合は凝集物が生成し難いため砒酸イオンが沈殿せずに流出してしまうとともに排水がアルカリ性であり、もう一度中和する必要があった。
特許文献2には、水に難溶性のカルシウム塩により表面が改質されてなる改質アルカリ性カルシウム化合物と、酸性硫酸鉄塩とがプレミックスされてなり、pH調整を必要とせず、砒素などの重金属を不溶化できる重金属不溶化材が記載されている。特許文献3には、塩化第一鉄と、酸化マグネシウムとを含有してなり、前記塩化第一鉄100質量部に対して、前記酸化マグネシウムが50〜200質量部配合され、汚染物質のpH雰囲気によらず、処理後の溶出液のpHを中性付近に維持できる有害物質溶出低減材が記載されている。特許文献4には、鉄・アルミニウム複水酸化物を少なくとも含み、pH3〜11の範囲の砒素汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位重量当たりのAs(V)とAs(III)の吸着量が高く、且つ単位重量当たりのAs(V)吸着量の変動率が10%以内である砒素吸着剤が記載されている。特許文献5には、カルシウム・マグネシウム系の鉄鋼スラブ類と、鉄塩及び/又はアルミニウム塩を含む中和剤を添加して製造した液状重金属吸着能を有する液状材料や、該液状材料に乾燥天然ゼオライトを添加して生成した砒素及び重金属類吸着・不溶化能力を有する粉末材料が記載されている。特許文献6には、有機高分子樹脂と、ゼオライト、複合金属酸化物などの無機イオン吸着体を含んでなるフィブリルが三次元網目構造を形成してなり、外表面に開口する連通孔を有する多孔性成形体により砒素を吸着して除去することが記載されている。
特許文献2〜5に記載の重金属不溶化材は、粉末又はスラリー状で用いられ、特許文献6に記載の多孔性成形体は、平均粒径が100〜2500μmの球状粒子として用いられており、取扱いが煩雑であるという問題がある。
そこで、特許文献7には、取扱い性を改良した砒素吸着材として、セルロース内に鉄イオン複合体を含む砒素吸着性再生セルロース成形体を含む砒素吸着材が提案されている。
特開2006−341139号公報 特開2006−272145号公報 特開2009−256593号公報 WO2008/126691 特開2011−136311号公報 特許第4671419号 特開2014−171996号公報
しかしながら、特許文献7に記載の砒素吸着材は、砒素に対する吸着性が高く、取扱い性が良好であるが、砒素吸着に要する時間を短縮することが求められている。
そこで、本発明は、上記従来の問題を鑑み、取扱い性が良好であり、短時間で、砒素を効率よく除去することができる砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材を提供する。
本発明は、砒素吸着性再生セルロース成形体であって、前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、セルロース内に反応性官能基を含む化合物及び鉄イオンを含み、前記鉄イオンは、前記反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持されて鉄イオン複合体を構成しており、前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」に準じて測定したa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上であることを特徴とする砒素吸着性再生セルロース成形体に関する。
本発明は、また、前記の砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法であって、セルロースを含むビスコース原液に反応性官能基を含む化合物塩を含む水溶液を混合してビスコース液を調製する工程と、前記ビスコース液を凝固再生させて再生セルロース成形体を得る工程と、前記再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理する工程を含む、砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法に関する。
本発明は、また、前記の砒素吸着性再生セルロース成形体を含む砒素吸着材に関する。
本発明は、また、前記の砒素吸着性再生セルロース成形体を含む水処理材に関する。
本発明は、取扱い性が良好であり、短時間で、砒素を効率よく除去することができる砒素吸着性再生セルロース成形体、砒素吸着材及び水処理材を提供することができる。また、本発明の砒素吸着性再生セルロース成形体は、濡れ性が高いため、液体の被処理対象から砒素を吸着して除去する際に取扱いが簡便である。また、再生セルロース成形体は、生分解性に優れるため、砒素を吸着した後の砒素吸着性再生セルロース成形体の処理も簡便であるとともに、砒素の回収も可能になる。
本発明は、また、本発明の製造方法によると、短時間で、砒素を効率よく除去することができる砒素吸着性再生セルロース成形体を得ることができる。
図1は実施例6の繊維Fを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。 図2は参考例2の繊維Mを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。 図3はヘキサシアノ鉄カリウムで呈色させた実施例6の繊維Fを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。 図4は実施例7の繊維Gの断面を光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。
本発明者は、セルロースを含むビスコース原液に反応性官能基を含む化合物塩を含む水溶液を混合して調製したビスコース液を凝固再生することにより、良好な紡糸性で反応性官能基を含む化合物を再生セルロース成形体中に練り込み、その後、該再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理して、鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させて鉄イオン複合体をセルロース内(成形体内部)で形成することで、すなわち、セルロース内に反応性官能基を含む化合物と鉄イオンを含ませるとともに、反応性官能基を含む化合物からなる担体に鉄イオンを担持させて特定の鉄イオン複合体を構成することにより、短時間で、砒素を効率よく除去し得ることを見出した。実際、反応性官能基を含む化合物を再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理して、鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させて特定の鉄イオン複合体を形成したことで、再生セルロース成形体は、JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」に準じて測定したa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上となる。鉄イオンを担持する担体として反応性官能基を含む化合物を用いることにより、紡糸性を阻害することなく、再生セルロースに鉄イオンの担体となる反応性官能基を含む化合物を付与し得る。本発明において、反応性官能基を含む化合物は、反応性官能基を含む化合物中のカルボキシル基等の反応性官能基がHのままの酸型及び/又はHの部位がNa等の金属イオン等で置換された塩型である。本発明において、成形体とは、繊維、スポンジなどの形態を示すものをいう。本発明の砒素吸着性再生セルロース成形体は、液体の被処理対象と接触させることにより、これらの水中の砒素(砒酸イオン、亜砒酸イオン)を吸着・保持して、水中から砒素を短時間で効率よく除去することができる。本発明の砒素吸着性再生セルロース成形体は、砒素吸着材及び水処理材として用いることができる。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体では、セルロースという水に対して半透膜性を有する基材中に、反応性官能基を含む化合物を含有させ、該反応性官能基を含む化合物からなる担体に鉄イオンを担持させているので、セルロース内(成形体内部)に反応性官能基を含む化合物と鉄イオンで構成された鉄イオン複合体が含まれることとなる。そして、井戸水などの液体の被処理対象を前記砒素吸着性再生セルロース成形体で処理した時、砒素はセルロース内部の鉄イオン複合体に吸着・保持され、除去される。上記セルロースがビスコース法又は銅アンモニア法による再生セルロースである場合、特に非晶質性が高いので砒素を含む液体の被処理対象を透過し易くなり、吸着性が高くなる。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は繊維であること(以下において、砒素吸着性再生セルロース繊維とも記す。)が好ましい。再生セルロース成形体が繊維状であると、濡れ性が高いため、液体の被処理対象から砒素を吸着して除去する際に取扱いが簡便である。また、繊維状であると、処理対象との接触面積も大きく、砒素除去効率がより向上する。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、ビスコース法、銅アンモニア法、溶剤紡糸法などのいずれかの方法で、セルロースを凝固再生させて得ることができる。鉄イオンを担持させる担体となる反応性官能基を含む化合物をセルロース内に含有させるので、セルロースは半透膜性が高い非晶質構造を採ることが好ましい。セルロースの非晶質性を示す指標として、一次膨潤度が挙げられる。一次膨潤度は、70%以上であることが好ましく、80〜120%であることがより好ましい。特にビスコース法によって得られるレーヨンは、一次膨潤度が上記範囲を満たし、好ましい。なお、一次膨潤度は、湿式紡糸法などの湿式で製造した再生セルロース成形体において、乾燥工程を経ない状態で測定した膨潤度をいい、乾燥工程を経たのちに測定される二次膨潤度とは区別される。この膨潤度は、JIS L 1015 8.26(水膨潤度)に準じて求められる。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、反応性官能基を含む化合物を含む。再生セルロース繊維の作製時に、ビスコース原液に反応性官能基を含む化合物を混合して調製した紡糸用ビスコース液を紡糸することで、繊維中に反応性官能基を含む化合物を練り込むこと、再生セルロース繊維を反応性官能基を含む化合物を含む水溶液等に浸漬して繊維中に反応性官能基を含む化合物を含浸させること、再生セルロース繊維に反応性官能基を含む化合物を含む水溶液等を噴霧や塗布して再生セルロース繊維に反応性官能基を含む化合物を付着させること等により、再生セルロース繊維中に反応性官能基を含む化合物を含ませることができる。その中でも、練り込みは、反応性官能基を含む化合物が繊維の表面及び内部の全体に均一に混合されて分散している為、繊維表面だけではなく、内部に入り込んだ砒素を含む処理液に対しても効果を発揮できるため好ましい。また、反応性官能基を含む化合物が繊維の表面及び内部の全体に均一に混合されて分散していることから、風合いの低下が起きにくい。
前記反応性官能基を含む化合物は、鉄イオンを担持することができる高分子であればよい。反応性官能基を含む化合物としては、例えば、反応性官能基としてカルボキシル基、スルホン基などを含む高分子化合物が挙げられる。鉄イオンとの結合性に優れるという観点から、カルボキシル基(カルボン酸基)を含有する有機高分子であることが好ましい。
前記カルボキシル基を含む化合物としては、例えば、室温で水溶液であるポリカルボン酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸系共重合物、ビニル無水酢酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、及びその共重合物などを用いることができる。ポリカルボン酸としては、ポリアクリル酸、アクリル酸-マレイン酸共重合体などが挙げられる。なかでも、アクリル酸-マレイン酸共重合体が、好ましい。分子構造的に鉄イオンが担持しやすいカルボキシル基間の配置であるからと推定される。
前記アクリル酸-マレイン酸共重合体は、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下において、アクリル酸系単量体とも記す。)を含むエチレン性不飽和単量体と、マレイン酸、マレイン酸塩及び無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下において、マレイン酸系単量体とも記す。)を含むエチレン性不飽和単量体の重合体であってもよく、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、マレイン酸、マレイン酸塩及び無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体であってもよい。また、繊維にカルボキシル基(鉄イオンと吸着又は結合する)を付与しやすい観点から、前記アクリル酸-マレイン酸共重合体は、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体と、マレイン酸及びマレイン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体、及び/又は、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、マレイン酸及びマレイン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体であることが好ましい。また、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記アクリル酸-マレイン酸共重合体は、アクリル酸系単量体、マレイン酸系単量体以外の他の単量体を共重合したものであってもよい。前記他の単量体は、例えば、不飽和モノカルボン酸系単量体であってもよい。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、前記反応性官能基を含む化合物の含有量は、セルロース100質量%に対して1〜35質量%であることが好ましく、4〜33質量%であることがより好ましく、6〜30質量%であることがさらに好ましく、10〜25質量%であることが特に好ましい。前記反応性官能基を含む化合物の含有量がセルロースに対して1質量%未満では、鉄イオンを担持する担体としての機能を発揮しにくい傾向があり、35%質量を超えると、繊維強度が低下するため細繊化できない恐れがある。
前記反応性官能基を含む化合物は、重量平均分子量(質量平均分子量とも称される。)が5000〜500000であることが好ましく、6000〜250000であることがより好ましく、10000〜100000であることがさらに好ましく、30000〜80000であることが特に好ましい。重量平均分子量が上述した範囲内であると、再生セルロース中に練り込みやすい上、水中で使用した場合でもカルボキシル基を含有する化合物の脱落が起こりにくい。
前記アクリル酸−マレイン酸共重合体は、マレイン酸を5〜95質量%含むことが好ましく、20〜80質量%含むことがより好ましく、30〜70質量%含むことがさらに好ましく、40〜60質量%含むことが特に好ましい。アクリル酸−マレイン酸共重合体におけるマレイン酸の含有量が上記範囲であると、再生セルロース繊維にカルボキシル基を付与しやすく、鉄イオンの担体としての機能を発揮しやすい。
本発明において、アクリル酸−マレイン酸共重合体中のマレイン酸比率は、アクリル酸−マレイン酸共重合体中の有機物成分がアクリル酸とマレイン酸のみであると仮定し、下記のように測定算出することができる。
(1)試料(アクリル酸−マレイン酸共重合体塩を含む水溶液)4〜5mL程度をガラス製のバイアル瓶に入れて、110℃で20時間加熱して乾燥させる。
(2)約50mg程度の乾燥試料を約0.7mL程度の重水に溶解する。
(3)試料の重水溶液に対してFT−NMR装置(日本電子株式会社製、JMTC−300/54/SS)を用いて1H−NMR分析を行い、高分子主鎖中のメチレン基炭素とメチン基炭素の存在比率から、アクリル酸成分(A)とマレイン酸成分(M)の組成比を求める。測定回数は16回とし、平均値を求める。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、マレイン酸の含有量は、セルロース100質量%に対して0.05〜28質量%であることが好ましく、0.2〜24質量%であることがより好ましく、0.3〜21質量%であることがさらに好ましく、0.4〜18質量%であることが特に好ましい。前記再生セルロース繊維において、マレイン酸の含有量が上述した範囲であると、再生セルロース繊維にカルボキシル基を付与しやすく、鉄イオンの担体としての機能を発揮しやすい。再生セルロース繊維中のマレイン酸の含有量については、例えば、セルロースに対するアクリル酸−マレイン酸共重合体の添加率(含有率)及びアクリル酸−マレイン酸共重合体中のマレイン酸の含有率に基づいて算出することができる。
前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、繊維pHが3.0〜6.0であることが好ましく、より好ましくは3.0〜5.5であり、さらに好ましくは3.0〜5.0である。反応性官能基を含む化合物からなる担体に鉄イオンが担持されて鉄イオン複合体を構成しやすい。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、カルボキシル基の総量は、好ましくは0.3〜1.6mmol/gであり、より好ましくは0.4〜1.5mmol/gであり、さらに好ましくは0.5〜1.4mmol/gである。カルボキシル基の総量が0.3mmol/g未満では、鉄イオンを担持する機能が低下し、1.6mmol/gを超えると、繊維がアルカリサイドになりやすく、50℃以上で鉄化合物にて処理する際に、セルロースの黄変が生じる恐れがある。本発明において、カルボキシル基の総量、H型カルボキシル基の量及び塩型カルボキシル基の量は、後述するとおりに測定算出する。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、H型カルボキシル基の量は、好ましくは1.4mmol/g以下であり、より好ましくは0.2〜1.3mmol/gであり、さらに好ましくは0.3〜1.2mmol/gである。また、前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、塩型カルボキシル基の量は、好ましくは1.0mmol/g以下であり、より好ましくは0.05〜0.8mmol/gであり、さらに好ましくは0.07〜0.6mmol/gである。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、カルボキシル基の総量に対するH型カルボキシル基の量の割合は、45〜100%であることが好ましく、より好ましくは50〜98%であり、さらに好ましくは55〜95%である。前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、カルボキシル基の総量に対する塩型カルボキシル基の量の割合は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは45%以下であり、さらに好ましくは40%以下である。H型(酸型)カルボキシル基の割合が45%以上であると、砒酸イオンを吸着しやすくなる傾向にある。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、鉄イオンを含み、カルボキシル基等の反応性官能基を含む化合物からなる担体に鉄イオンが担持されて鉄イオン複合体を構成している。砒素吸着性により優れるという観点から、鉄イオンは3価の鉄イオンであることが好ましい。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体において、砒素吸着性の観点から、鉄の含有量は、1.0〜20質量%であることが好ましく、1.2〜10質量%であることがより好ましく、さらにより好ましくは1.3〜9.0質量%である。本発明において、再生セルロース繊維中の鉄の含有量(存在量)は、以下のように測定する。
<鉄の含有量の測定>
(a)繊維(原綿)を105℃で2時間定温送風乾燥機内に放置し、その後秤量瓶にいれ、デシケータに1時間入れ室温(20±5℃)になったら、絶乾質量を測定する。
(b)上記で得られた乾燥後の原綿を800℃で灰化し、灰を硝酸で溶解してJIS K 0102の吸光光度法により鉄を定量分析し、鉄の質量を算出する。
(c)下記式により、繊維中の鉄の含有量を算出する。
鉄の含有量(質量%)=(吸光光度による鉄の質量/繊維の絶乾質量)×100
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」に準じて測定したa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上である。JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」において、L値は明度指数であり、L値が大きいほど白色度が強いことを示し、L値が小さいほど黒色度が強いことを示す。また、a値やb値は色相彩度を表す指数であり、a値が正側に大きくなるほど赤色が強く負側に大きくなるほど緑色が強いことを示し、b値が正側に大きくなるほど黄色が強く負側に大きくなるほど青色が強いことを示す。本発明において、L値、a値、b値及びこれらに基づいて算出したハンター白色度は、反応性官能基を含む化合物を含む再生セルロース成形体を鉄化合物で処理して、鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させて鉄イオン複合体を形成する際に、鉄化合物による処理を50℃以上の温度で行うことで得られた鉄イオン複合体の特徴を示すパラメータである。具体的には、反応性官能基を含む化合物を含む再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理して、セルロース内に鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させて鉄イオン複合体を形成することで、再生セルロース成形体のa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上となり、該再生セルロース成形体を用いることによって、短時間で、砒素を効率よく除去することができる。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、a値が7.60以上であり、砒素を除去する効果を高める観点から、好ましくは8.0以上、より好ましくは8.4以上、さらにより好ましくは8.7以上である。上限は特に限定しないが、例えば、鉄の担持量の観点から、20.0以下であることが好ましい。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、b値が28.30以上であり、砒素を除去する効果を高める観点から、好ましくは29.0以上、より好ましくは29.5以上、さらにより好ましくは30.0以上である。上限は特に限定しないが、例えば、鉄の担持量の観点から、40.0以下であることが好ましい。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、特に限定されないが、砒素を除去する効果を高める観点から、ハンター白色度が58.5未満であることが好ましく、より好ましくは58.0以下、さらにより好ましくは57.0以下である。下限は特に限定しないが、例えば、鉄の担持量の観点から40.0以上であることが好ましい。本発明において、ハンター白色度は、JIS L 1015 8.17 C法(ハンター法)に準じて、L*、a*及びb*の値に基づいて、下記式を用いて算出する。
ハンター白色度=100−√〔(100−L*)+(a*2+b*2)〕
前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、高濃度の砒素を短時間で吸着して除去しやすい観点から、a値が10.5以上、b値が33.0以上、且つハンター白色度が50.5以下であることが好ましく、より好ましくはa値が12.0以上、b値が35.0以上、且つハンター白色度が48.0以下である。
本発明の砒素吸着性再生セルロース繊維は、特に限定されないが、例えば、原料ビスコースに反応性官能基を含む化合物塩の水溶液を混合して調製した紡糸用ビスコース液を凝固再生(紡糸)し、得られた反応性官能基を含む化合物を含むビスコースレーヨン糸条を、50℃以上の温度で鉄化合物で処理することで製造することが好ましい。
原料ビスコースとしては、セルロースを7〜10質量%、水酸化ナトリウムを5〜8質量%、二硫化炭素を2〜3.5質量%含むビスコース原液を調製して用いるとよい。このとき、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの添加剤を使用することもできる。原料ビスコースの温度は18〜23℃に保持するのが好ましい。セルロースを含むビスコース原液に、反応性官能基を含む化合物塩の水溶液を混合して紡糸用ビスコース液を調製する。
反応性官能基を含む化合物塩の水溶液は、粘度が50〜6000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは500〜4000mPa・sであり、さらに好ましくは1000〜3000mPa・sである。粘度が50mPa・s未満の場合、紡糸工程において反応性官能基を含む化合物塩のロスが生じる恐れがある。一方、粘度が6000mPa・sを超えると、ハンドリング性が悪くなる傾向がある。反応性官能基を含む化合物塩の水溶液としては、特に限定されないが、例えば、株式会社日本触媒製の「アクアリック TL400」、「アクアリック TL213」、「アクアリック TL200」等のアクリル酸−マレイン酸共重合体塩の市販品を用いてもよい。
反応性官能基を含む化合物塩は、原料ビスコース中のセルロース100質量%に対して、1〜30質量%になるように添加することが好ましく、より好ましくは4〜28質量%であり、さらに好ましくは6〜25質量%であり、特に好ましくは10〜20質量%である。上述した範囲内であると、繊維強度を高く維持しつつ、再生セルロース繊維中に反応性官能基を含む化合物を効果的に練り込むことができる。
紡糸浴(ミューラー浴)としては、硫酸を95〜130g/L、硫酸亜鉛を10〜17g/L、硫酸ナトリウム(芒硝)を290〜370g/L含む強酸性浴を用いることが好ましい。より好ましい硫酸濃度は、100〜120g/Lである。
前記再生セルロース繊維は、例えば通常の円形ノズルを用いて製造することができる。紡糸ノズルとしては、目的とする生産量にもよるが、直径0.04〜0.12mmであり、ホール数が500〜20000である円形ノズルを用いることが好ましい。また、異型断面のノズルを使用してもよい。前記紡糸ノズルを用いて、前記紡糸用ビスコース液を紡糸浴中に押し出して紡糸し、凝固再生させる。紡糸速度は30〜80m/分の範囲が好ましい。また、延伸率は39〜55%が好ましい。ここで延伸率とは、延伸前のスライバー速度を100としたとき、延伸後のスライバー速度をどこまで速くしたかを示すものである。倍率で示すと、延伸前が1、延伸後は1.39〜1.55倍となる。
上記のようにして得られたレーヨン繊維糸条を所定の長さにカットし、精練処理を行う。精練工程は、通常の方法で、熱水処理、水硫化処理(脱硫)、漂白、及び酸洗いの順で行うことができる。精練工程の後、油剤を付与してもよい。その後、必要に応じて圧縮ローラーや真空吸引等の方法で余分な油剤、水分を繊維から除去し、乾燥処理を施して反応性官能基を含む化合物を含有するレーヨン繊維を得ることができる。
また、前記再生セルロース成形体がスポンジの場合、原料ビスコースに反応性官能基を含む化合物塩の水溶液を混合して調製したビスコース液を凝固再生して担体を含有するビスコーススポンジを得ることができる。ビスコーススポンジの製造方法の一例としては、汎用的な原料ビスコース100質量部に対し、補強繊維としてレーヨンのカット綿(例えば、ダイワボウレーヨン社製「SB」、繊度3.3dtex、繊維長10mm)を6.5質量部、結晶芒硝6.5質量部、反応性官能基を含む化合物塩の水溶液を0.85質量部(ビスコース液中のセルロース分に対して10質量%)となるように入れ、混練機を使用して十分に混練を行い、得られた混合物を適当に孔の開いたステンレス製容器に入れ、90℃以上の温水に入れ5時間放置する。このようにして得られたビスコーススポンジは、ビスコースに含まれる副生成物も含有しているため、脱硫や晒を行い、副生性物が除去される。
次に、反応性官能基を含む化合物を含有する再生セルロース成形体(繊維状、スポンジ状など)を50℃以上の温度で鉄化合物で処理し、反応性官能基を含む化合物からなる担体に鉄イオンを担持させて鉄イオン複合体を形成する。鉄イオンが担体である反応性官能基を含む化合物の反応性官能基に吸着又は結合されることになり、鉄イオン複合体はセルロース構造物内部(繊維中やスポンジ中)に含まれる。
反応性官能基を含む化合物を含有する再生セルロース成形体が繊維の場合、鉄化合物による処理は、精練工程中で行ってもよく、精練工程後に後加工として行ってもよい。例えば、精練処理時に、反応性官能基を含む化合物を含有するレーヨン繊維を連続した糸状のまま鉄化合物の浴中を通過させて鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させてもよいし、精練工程で反応性官能基を含む化合物を含有するレーヨン繊維に鉄化合物の水溶液をシャワーして鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させてもよい。或いは、乾燥後の反応性官能基を含む化合物を含有するレーヨン繊維(原綿)を、鉄化合物の浴中に浸漬し、その後絞ることにより鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させてもよく、反応性官能基を含む化合物を含有するレーヨン繊維(原綿)を不織布などに加工した状態で鉄化合物の浴中を通過させて鉄イオンを反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させてもよい。
反応性官能基を含む化合物を含有する再生セルロース成形体がスポンジの場合、鉄イオンを含む溶液に含浸させて鉄イオンをビスコーススポンジ内部に保持されている反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持させて鉄イオン複合体を形成する。
鉄化合物による処理は、50℃以上で行い、好ましくは55℃以上で行い、より好ましくは60℃以上で行い、さらにより好ましくは70℃以上で行い、高濃度の砒素を短時間で吸着して除去しやすい再生セルロース成形体が得られやすい観点から、特に好ましくは75℃以上で行う。上限は、特に限定されないが、例えば、セルロースの劣化を防ぐ観点から、105℃以下であることが好ましい。
鉄化合物による処理は、鉄イオンを含む水溶液を用いて行うことができる。鉄イオンを含む水溶液は、水溶液中で鉄イオンを形成する鉄化合物を用いて調製することができる。水溶液中で鉄イオンを形成する鉄化合物としては、例えば、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などが挙げられ、砒素吸着性により優れるという観点から、水溶液中で3価の鉄イオンを形成する塩化第二鉄、硫酸第二鉄などを用いることが好ましい。鉄イオンを含む水溶液のpHは、鉄化合物が鉄イオンを形成することができればよく特に限定されないが、加工性の観点から、pH2〜8の範囲であることが好ましく、pH3〜6の範囲がより好ましい。鉄イオンを含む水溶液のpHが低すぎると、反応性官能基を含む化合物からなる担体に対する鉄イオンの担持が少なくなる傾向があり、pHが高すぎると、鉄が水酸化鉄に変換されてしまう恐れがある。鉄イオンを含む水溶液は、特に限定されないが、鉄イオン濃度が10〜350g/Lであることが好ましく、より好ましくは、20〜200g/Lであり、さらにより好ましくは30〜120g/Lである。
また、カルボキシル基の置換反応の関係から、カルボキシル基のHがNa、Ca、Mgで置換された状態の物に、Fe3+などの鉄イオンを作用させた方が、効率良く鉄イオンを繊維内部に導入できる。前記カルボキシル基のHのNaへの置換は、例えば、精練工程中に、水硫化処理後の繊維を炭酸ソーダ水溶液に所定時間浸漬し、脱水し、水洗し、乾燥することで行うことができる。或いは、前記カルボキシル基のHのNaへの置換は、例えば、精練工程中に、水硫化処理後の繊維に炭酸ソーダ水溶液をシャワーすることで行ってもよい。
前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、繊度が0.8〜17dtex(デシテックス)であることが好ましい。より好ましくは1.7〜8dtexであり、さらに好ましくは2.2〜6dtexである。繊度が0.8dtex未満であると、延伸時に単繊維切れが発生しやすい傾向にある。繊度が17dtexを超えると、繊維の再生状態が不良になりやすく、繊維自体の強伸度に影響があり、加工性が悪くなる場合がある。
前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、長繊維状及び短繊維状のいずれの形態でもよい。長繊維状としては、例えば、トウ、フィラメントなどが挙げられ、短繊維状としては、例えば、湿式抄紙用原綿、エアレイド不織布用原綿、カード用原綿などが挙げられる。
前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、繊維構造物を形成して用いることができる。前記砒素吸着性再生セルロース繊維を含む繊維構造物であると、砒素を含む液体の被処理対象の条件により、繊度や繊維空隙を容易に調整することができ、液体の被処理対象から砒素を効果的に除去することができ、好ましい。前記繊維構造物は、特に限定されないが、例えば、トウ、フィラメント、紡績糸、詰め綿、紙、不織布、織物、編物などが挙げられる。
前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、単独又はその他の再生セルロース繊維、コットン、麻、ウール、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの他の繊維と混綿して用いることができる。他の繊維と混綿して繊維構造物を形成する場合、特に限定されないが、前記砒素吸着性再生セルロース繊維は、繊維構造物100質量%に対して、50質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは70質量%以上含まれる。
前記砒素吸着性再生セルロース成形体が繊維の場合は、繊維及びそれを含む繊維構造物は、単独又は他の素材と組み合わせて砒素吸着材として用いることができる。特に、液体の被処理対象と接触させて水中の砒素を吸着除去する水処理材として使用するのに適している。液体の被処理対象としては、特に限定されないが、飲料水、河川水、海水、地下水、下水、工業用水、工業用排水、汚染土壌の溶出液などが挙げられる。前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、低濃度の砒素でも吸着可能であり、吸着除去効率が高い。例えば、砒素(砒酸イオン、亜砒酸イオン)の濃度が0.01〜100ppmの広範囲について処理可能である。
例えば、前記砒素吸着性再生セルロース繊維(原綿)を開繊しカラムに詰め、或いは前記砒素吸着性再生セルローススポンジをカラムに詰め、詰め綿又は詰め材料として使用して飲料水などの液体被処理対象の濾過にも使用可能であるし、原綿又はスポンジに対して各種加工を行い、使用環境に合わせた仕様にすることもできる。例えば、紡毛用紡績を行い太い紡績糸に加工後、糸巻き用カートリッジフィルターに加工する方法、原綿を不織布に加工後、円筒型に巻き付けたカートリッジフィルターに加工する方法、円筒型に原綿を詰め込み又は原綿をウェブにした後に円筒型に巻き付けたカートリッジフィルターに加工する方法等によりフィルターにして水処理材として用いてもよい。ニードルパンチ不織布のような不織布状態に加工した濾過布でもよく、水流交絡不織布としてワイパーやウェットシートに使用してもよい。湿紙として生産した物を抄紙し、コーヒーのドリッパーのような形態で濾過材として使用することも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定方法及び評価方法を説明する。
(重量平均分子量の測定)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、以下の条件で測定し、重量平均分子量(Mw)を求めた。重量平均分子量を算出する際には、GPCで得られたチャート上の分子量300以上の部分を重合体と定義して求めた。
カラム:GF−7MHQ(昭和電工株式会社製)。
移動相:リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g、及び、リン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(いずれも試薬特級)に純水を加えて全量を5,000gとし、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液。
検出器:UV 214nm(日本ウォーターズ(株)製、モデル481型)。
ポンプ:L−7110(日立(株)製)。
流量:0.5mL/min。
温度:35℃。
検量線:ポリアクリル酸ソーダ標準サンプル(創和科学株式会社製)。
(アクリル酸−マレイン酸共重合体塩中のマレイン酸の含有率)
(1)試料(アクリル酸−マレイン酸共重合体塩を含む水溶液)4〜5ml程度をガラス製のバイアル瓶に入れて、110℃で20時間加熱して乾燥させた。
(2)約50mg程度の乾燥試料を約0.7mL程度の重水に溶解した。
(3)試料の重水溶液に対してFT−NMR装置(日本電子株式会社製、JMTC−300/54/SS)を用いて1H−NMR分析を行い、高分子主鎖中のメチレン基炭素とメチン基炭素の存在比率から、アクリル酸成分とマレイン酸成分の組成比を求めた。測定回数は16回とし、平均値を求めた。
(鉄の含有量の測定)
(a)繊維(原綿)を105℃で2時間定温送風乾燥機内に放置し、その後秤量瓶にいれ、デシケータに1時間入れ室温(20±5℃)になったら、絶乾質量を測定した。
(b)上記で得られた乾燥後の原綿を800℃で灰化し、灰を硝酸で溶解してJIS K 0102の吸光光度法により鉄を定量分析し、鉄の質量を算出した。
(c)下記式により、繊維中の鉄の含有量(存在量)を算出した。
鉄の含有量(質量%)=(吸光光度による鉄の質量/繊維の絶乾質量)×100
(砒素の吸着試験)
(a)砒素として換算した濃度が約1ppm又は約3ppmの砒酸(五価)の水溶液を原液として用いた。原液における砒素濃度を初期砒素濃度とした。
(b)原液100mLと試料1.0gをポリプロピレン容器に入れ、所定時間振盪させた後、試料を取り除き、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS、島津製作所製、「ICPM−8500」)を使用して残液中の砒素濃度を測定した。残液中の砒素濃度を吸着後砒素濃度とした。
(c)下記式により、砒素除去率を算出した。
砒素除去率(%) = 100−{(吸着後砒素濃度/初期砒素濃度)×100}
(繊維の色)
繊維の色は、JIS Z 8722にて定義されている拡散照明垂直受光方式に準拠したコニカミノルタ株式会社製「色彩色差計CR−410」を用いて、JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」に従って測定した。また、ハンター白色度は、JIS L 1015 8.17 C法(ハンター法)に準じて、L*、a*及びb*の値に基づいて、下記式を用いて算出した。
ハンター白色度=100−√〔(100−L*)+(a*2+b*2)〕
(繊維物性)
JIS L 1015に準じて、正量繊度、乾強度、湿強度、乾湿度、湿伸度を測定した。
(カルボキシル基の総量の測定)
(1)1mol/Lの塩酸水溶液(pH0.1)50mLに試料1.2gを浸漬、撹拌して5分間放置した。その後、再び撹拌して水溶液のpHが2.5になるように調整した。これにより、試料(繊維)におけるカルボキシル基はすべてH型として存在することになる。次に、試料を水洗し、定温送風乾燥機で105℃、2時間乾燥させて、絶乾にした。試料を水洗することにより、繊維に付着している過剰の塩酸がすべて除去されることになる。
(2)ビーカーにイオン交換水100mL、塩化ナトリウム0.4g、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液20mLを入れた。
(3)(1)で作製した試料1gを精秤[W1(g)]し、撹拌子に巻きつかない大きさまで細かく切断して、(2)で準備したビーカーに入れ、スターラーで15分間撹拌した。これにより、試料(繊維)におけるカルボキシル基は全て塩型に変換されることになる。撹拌した試料は吸引ろ過した。ろ過液を60mL採って、指示薬にフェノールフタレインを使用して0.1mol/Lの塩酸水溶液で滴定し、滴定量をX1(mL)とした。
(4)下記式に基づいてカルボキシル基の総量Y(mmol/g)を算出した。このように、水酸化ナトリウムの総量から残余の水酸化ナトリウムの量を差し引くことにより求めた水酸化ナトリウムの量は、試料(繊維)における全体のカルボキシル基の量に対応することになる。
カルボキシル基の総量Y(mmol/g)=[[(0.1×20)−(0.1×X1)]×(120/60)]/W1
(H型カルボキシル基の量及び塩型カルボキシル基の量の測定)
(1)試料を水洗し、定温送風乾燥機で105℃、2時間乾燥させて、絶乾にした。
(2)ビーカーにイオン交換水100mL、塩化ナトリウム0.4g、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液20mLを入れた。
(3)試料1gを精秤[W2(g)]し、撹拌子に巻きつかない大きさまで細かく切断して、(2)で準備したビーカーに入れ、スターラーで15分間撹拌した。撹拌した試料は吸引ろ過した。ろ過液を60mL採って、指示薬にフェノールフタレインを使用して0.1mol/Lの塩酸水溶液で滴定し、滴定量をX2(mL)とした。
(4)下記式に基づいてH型カルボキシル基の量Z(mmol/g)、塩型カルボキシル基の量U(mmol/g)、H型カルボキシル基の量の割合(%)及び塩型カルボキシル基の量の割合(%)を算出した。
H型カルボキシル基の量Z(mmol/g)=[{(0.1×20)−(0.1×X2)]×(120/60)]/W2
塩型カルボキシル基の量U(mmol/g)=カルボキシル基の総量Y(mmol/g)−H型カルボキシル基の量Z(mmol/g)
H型カルボキシル基の量の割合(%)={H型カルボキシル基の量Z(mmol/g)]
/{カルボキシル基の総量Y(mmol/g)]×100
塩型カルボキシル基の量の割合(%)={塩型カルボキシル基の量U(mmol/g)]
/{カルボキシル基の総量Y(mmol/g)]×100
(繊維pHの測定)
まず、0.1NのNaOHと0.1NのHClを使用して純水のpHを7.0±0.5になるように調整し、5分間沸騰し、pH標準液を調製した。次に、試料5.0gを精秤してビーカーに入れ、そこに常温まで冷却したpH標準液を50mL入れ、フタをして30分間放置した。その後、pH標準液のpHを測定機で測定し、試料のpHとした。
(切片の作製)
約100本繊維からなる繊維束について、ソーターを用いて繊維を平行にした後、該繊維束の周囲に巻き付け用トウを巻き付けて、ロウ柱用繊維束を得、この束の両端を結束用の黒糸で結んだ。次に、この繊維束を、一度融解させた後、放冷したパラフィン液に浸し、引き上げてパラフィンを固まらせ、直径約5mmのロウ柱を得た。ロウ柱を所定の長さ(10mm)に切断し、ロウ柱台に設置し、ミクロトームに切断刃を取り付けたもので切断し、切片を得た。
(ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムによる呈色)
繊維F(実施例6)0.50gに、ピペットを用いて1g/Lヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液(無色)を2mL滴下して5分経過すると濃青色に変色し、鉄イオンの存在が確認できた。
(実施例1)
[紡糸用ビスコース液の調製]
アクリル酸−マレイン酸共重合体塩の水溶液(株式会社日本触媒製の「アクアリック TL400」、重量平均分子量が50000のアクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウムを40質量%含む水溶液、粘度:1990mPa・s、アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム塩中のマレイン酸の含有量が45質量%)を、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩がセルロース100質量%に対して15質量%となるように、原料ビスコースへ添加し、混合機にて攪拌混合を行い、紡糸用ビスコース液を調製した。温度は20℃に保った。原料ビスコースとしては、セルロース8.5質量%、水酸化ナトリウム5.7質量%、二硫化炭素2.8質量%を含むビスコース原液を用いた。なお、実施例及び比較例において、粘度は、東京計器株式会社製のB型粘度計を用い、20℃で測定した。また、カルボキシル基を含有する化合物(以下において、単に化合物とも記す。)の重量平均分子量は、後述するとおりに測定算出した。
[紡糸条件]
得られた紡糸用ビスコース液を、2浴緊張紡糸法により、紡糸速度60m/分、延伸率50%で紡糸して、繊度1.4dtexのビスコースレーヨンの糸条を得た。第1浴(紡糸浴)としては、硫酸100g/L、硫酸亜鉛15g/L、硫酸ナトリウム350g/Lを含むミューラー浴(50℃)を用いた。また、ビスコースを吐出する紡糸口金には、円形ノズル(孔径0.06mm、ホール数4000)を用いた。紡糸中、単糸切れ等の不都合は生じず、混合ビスコースの紡糸性は良好であった。
[精練工程]
上記で得られたビスコースレーヨンの糸条を、繊維長38mmにカットし、精練処理を行った。具体的には、熱水処理後に水洗を行い、水硫化ソーダをシャワーして脱硫を実施し、脱硫後の繊維を0.3〜0.5質量%の炭酸ソーダ水溶液に30分間浸漬し、遠心脱水機で1分間脱液してカルボキシル基のHをNa型に置換した。その後、水洗し、再度遠心脱水機による脱水を1分間行い、60℃、7時間で乾燥処理を行い、アクリル酸−マレイン酸共重合体含有繊維を得た。
[鉄化合物による処理]
塩化鉄6水和物(Fe3+)を使用して鉄イオンの濃度が0.30質量%(16.8g/L)の鉄イオンを含む水溶液(pH3)を調製し、得られた鉄イオンを含む水溶液の温度を60℃に調整した後、繊維との浴比が1:20になるように、乾燥後のアクリル酸−マレイン酸共重合体含有繊維を浸漬し、60℃で30分間放置した。その後繊維をイオン交換水で洗浄し、遠心脱水機で脱水を1分間行い、乾燥処理(60℃、7時間)を施し、繊維Aを得た。
(実施例2)
鉄イオンを含む水溶液の温度を80℃に調整し、繊維との浴比が1:20になるように、乾燥後のアクリル酸−マレイン酸共重合体含有繊維を浸漬し、80℃で30分間放置した以外は、実施例1と同様にして、繊維Bを得た。
(実施例3)
鉄イオンを含む水溶液中の鉄イオンの濃度を0.60質量%(33.5g/L)になるように変更した以外は、実施例2と同様にして、繊維Cを得た。
(実施例4)
アクリル酸−マレイン酸共重合体塩の水溶液(株式会社日本触媒製の「アクアリック TL400」)を、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩がセルロースに対して20質量%となるように、原料ビスコースへ添加したこと、及び鉄イオンを含む水溶液中の鉄イオンの濃度を0.60質量%(33.5g/L)になるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維Dを得た。
(実施例5)
鉄イオンを含む水溶液の温度を80℃に調整し、繊維との浴比が1:20になるように、乾燥後のアクリル酸−マレイン酸共重合体含有繊維を浸漬し、80℃で30分間放置した以外は、実施例4と同様にして、繊維Eを得た。
(実施例6)
鉄イオンを含む水溶液中の鉄イオンの濃度を2.0質量%(111.7g/L)になるように変更した以外は、実施例2と同様にして、繊維Fを得た。
(実施例7)
アクリル酸−マレイン酸共重合体塩の水溶液(株式会社日本触媒製の「アクアリック TL400」)を、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩がセルロースに対して25質量%となるように、原料ビスコースへ添加した以外は、実施例6と同様にして、繊維Gを得た。
(比較例1)
鉄イオンを含む水溶液による浸漬を25℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして、繊維Hを得た。
(比較例2)
鉄イオンを含む水溶液による浸漬を40℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして、繊維Iを得た。
(比較例3)
鉄イオンを含む水溶液による浸漬を25℃で30分間行った以外は、実施例4と同様にして、繊維Jを得た。
(比較例4)
鉄イオンを含む水溶液による浸漬を40℃で30分間行った以外は、実施例4と同様にして、繊維Kを得た。
(参考例1)
原料ビスコースをそのまま紡糸用ビスコース液として用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維Lを得た。
(参考例2)
鉄化合物による処理を行っていない以外は、実施例4と同様にして、繊維Mを得た。
(参考例3)
鉄化合物による処理を行っていない以外は、実施例7と同様にして、繊維Nを得た。
実施例1〜7及び比較例1〜4では、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩の重量平均分子量、及びアクリル酸−マレイン酸共重合体塩中のマレイン酸の含有量は上述したとおりに測定した。
繊維A〜Kの鉄含有量及び砒素除去率を上述したとおりに測定算出し、その結果を下記表1に示した。繊維A〜Nの「L***表色系」によるa値及びb値、並びにハンター白色度を上述したとおりに測定し、その結果を下記表1に示した。繊維A、B及びLの繊維物性を上述したとおりに測定し、その結果を下記表2に示した。繊維D〜G、J、K、M、Nのカルボキシル基の総量、H型カルボキシル基の量、塩型カルボキシル基及びpHを上述したとおりに測定し、その結果を下記表3に示した。
繊維F及び繊維Mの表面を光学顕微鏡(NIKON社製、型番「ECLIPSE LV100ND」)で観察し、その結果を図1及び図2に示した。また、繊維Fを上述したとおりにヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムで呈色させた後、光学顕微鏡(NIKON社製、型番「ECLIPSE LV100ND」)で観察し、その結果を図3に示した。また、繊維Gについて、上述したとおりに切片を作製し、該切片を用いて光学顕微鏡(NIKON社製、型番「ECLIPSE LV100ND」)で繊維断面を観察し、その結果を図4に示した。
表1の結果から分かるように、セルロースを含むビスコース原液にアクリル酸−マレイン酸共重合体塩を含む水溶液を混合して調製したビスコース液を凝固再生し、得られたアクリル酸−マレイン酸共重合体を含有する再生セルロース繊維を50℃以上の温度で鉄化合物で処理した実施例では、セルロース内に反応性官能基を含む化合物及び鉄イオンを含み、鉄イオンが反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持されて鉄イオン複合体を構成しており、a値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上である砒素吸着性再生セルロース繊維が得られていた。そして、実施例の砒素吸着性再生セルロース繊維は、砒素濃度が約1ppmの液体被処理対象から、10分間で95%以上の砒素を除去していた。また、セルロース内に反応性官能基を含む化合物及び鉄イオンを含み、前記反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持されて鉄イオン複合体を構成しており、a値が10.5以上、b値が33.0以上、且つハンター白色度が50.5以下である実施例6及び7の砒素吸着性再生セルロース成形体は、約3ppmの高濃度の砒素を含む液体被処理対象から、10分間で95%以上の砒素を除去していた。特に、a値が12.0以上、b値が35.0以上、且つハンター白色度が48.0以下である実施例7の砒素吸着性再生セルロース成形体は、約3ppmの高濃度の砒素を含む液体被処理対象から、2分間で95%以上の砒素を除去していた。
一方、反応性官能基を含む化合物を含有する再生セルロース繊維を50℃未満の温度で鉄化合物で処理した比較例の繊維は、a値が7.60未満及び/又はb値が28.30未満であった。そして、比較例の繊維で砒素濃度が約1ppmの液体被処理対象を処理した場合、30分間経過しても、砒素除去率が85%未満であり、短時間で、砒素を効率よく除去することができなかった。
表2の結果から分かるように、反応性官能基を含む化合物を含有する再生セルロース繊維を50℃以上の温度で鉄化合物で処理して得られた実施例の繊維は、乾強度、乾伸度、湿強度及び湿伸度等の繊維物性は、参考例1の通常のレーヨン繊維とほぼ変わらなかった。
図1は実施例6の繊維Fを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。図2は参考例2の繊維Mを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。図1及び図2から分かるように、実施例6の繊維Fの繊維表面には斑点状のものが存在しており、該斑点は鉄に起因すると推測される。また、図3はヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムで深青色に呈色させた実施例6の繊維Fを光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。図3のカラー写真から分かるようにでは、繊維の外周近傍が深青色に変色しており、繊維の外周近傍に鉄イオンが存在していると推測される。また、図4は実施例7の繊維Gの断面を光学顕微鏡で観察した写真(320倍)である。図4のカラー写真から分かるように、繊維断面において、外周近傍が茶褐色の成分が存在しており、該茶褐色の成分は鉄に起因すると推測される。
本発明の砒素吸着性再生セルロース成形体、それを含む砒素吸着材及び水処理材は、飲料水、河川水、海水、地下水、下水、工業用水、工業用排水、汚染土壌の溶出液などの水中の砒素(砒素イオン)を除去するのに用いることができる。

Claims (14)

  1. 砒素吸着性再生セルロース成形体であって、
    前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、セルロース内に反応性官能基を含む化合物及び鉄イオンを含み、前記鉄イオンは、前記反応性官能基を含む化合物からなる担体に担持されて鉄イオン複合体を構成しており、
    前記砒素吸着性再生セルロース成形体は、JIS Z 8729に規定されている「L***表色系」に準じて測定したa値が7.60以上及び/又はb値が28.30以上であることを特徴とする砒素吸着性再生セルロース成形体。
  2. JIS L 1015 8.17 C法(ハンター法)に準じて測定されるハンター白色度が58.5未満である請求項1に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  3. セルロース100質量%に対して反応性官能基を含む化合物を1〜35質量%含む請求項1又は2に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  4. 前記反応性官能基を含む化合物は、カルボキシル基を含む化合物である請求項1〜3のいずれかに1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  5. 前記カルボキシル基を含む化合物は、マレイン酸を5〜95質量%含むアクリル酸−マレイン酸共重合体である請求項4に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  6. 前記反応性官能基を含む化合物は、重量平均分子量が5000〜500000である請求項1〜5のいずれかに1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  7. カルボキシル基の総量は0.3〜1.6mmol/gである請求項4〜6のいずれかに1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  8. カルボキシル基の総量に対するH型カルボキシル基の量の割合は、45〜100%である請求項4〜7のいずれかに1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  9. 鉄の含有量は、1.0〜20質量%である請求項1〜8のいずれかに1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の再生セルロース成形体の製造方法であって、
    セルロースを含むビスコース原液に、反応性官能基を含む化合物塩を含む水溶液を混合してビスコース液を調製する工程と、
    前記ビスコース液を凝固再生させて再生セルロース成形体を得る工程と、
    前記再生セルロース成形体を50℃以上の温度で鉄化合物で処理する工程を含む、
    砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法。
  11. 前記反応性官能基を含む化合物塩を含む水溶液は、粘度が50〜5000mPa・sである請求項10に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法。
  12. 前記鉄化合物による処理は、鉄イオンを含む水溶液で行い、鉄イオン濃度が10〜350g/Lである請求項10又は11に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体の製造方法。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体を含む砒素吸着材。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の砒素吸着性再生セルロース成形体を含む水処理材。
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