JP2019126313A - 小麦粒及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製粉して生地にしたとき生地中のグルテンを強靭にすることができる小麦粒及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の改質小麦粒は、小麦粒を53〜77℃で7〜65秒間湿熱処理する工程と、前記湿熱処理した小麦粒を53〜77℃で25〜65分間乾熱処理する工程とを含む方法により得られる。小麦粒は、低アミロ小麦粒であってもよい。湿熱処理は、飽和蒸気処理であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、小麦粒及びその製造方法に関する。
低アミロ小麦とは、収穫時期の雨害や収穫後の劣悪な保存環境により発芽が促された小麦である。低アミロ小麦における「低アミロ」とは、アミログラム糊化最高粘度(以下、「アミロ粘度」という)が、概ね300B.U.(ブラベンダーユニット)以下になっていることをいう。
一般的に小麦粉には、小麦由来の消化酵素が含まれており、低アミロ小麦では、α−アミラーゼ等の澱粉分解酵素やプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素といった様々な消化酵素の発現が亢進していることが知られている。このため、低アミロ小麦粒を挽いて得た小麦粉(以下、「低アミロ小麦粉」という)には、標準的な小麦粒を挽いて得た小麦粉よりも消化酵素が大量に含有される。
小麦粉に加水すると、小麦由来の消化酵素が活性を持つようになる。低アミロ小麦粉には消化酵素が大量に含まれているため、水に懸濁すると、α−アミラーゼ等の澱粉分解酵素が小麦澱粉を迅速に分解し、プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素がグルテニン、グリアジン或いはグルテンにダメージを与える。それ故、低アミロ小麦粉又は低アミロ小麦粉を含有する穀粉組成物をバッターやドウ(生地)に使用すると、二次加工適性は著しく劣るものとなり、小麦粉加工食品の品質は著しく損なわれる。例えば、低アミロ小麦粉を用いてパンを製造すると、パンの多孔質構造の骨格が脆弱になり、焼成したパンは釜落ちし、その食感は硬く団子になりやすく、さらには口溶けも悪くなる。
低アミロ小麦の上記問題を解決するために、様々な試みがなされている。
例えば、特開平03−224453号公報(特許文献1)では、小麦粒1g当たり80〜250ワット・秒の照射量で低アミロ小麦粒をマイクロ波処理することを特徴とする低アミロ小麦の品質改良法が開示されている。当該方法は、低アミロ小麦粒へのマイクロ波処理により、グルテンの変性を極力防止しつつ、アミロ価の上昇(回復)を図るものである。
特開昭60−105462号公報(特許文献2)では、小麦の水分含量を10%以下に調整した後、該小麦100重量部に対して5〜20重量部の水分の添加を行ない均一に混合した後、次いで調質時間を設けることなく熱処理をすることを特徴とする、小麦の品質を改良する方法が開示されている。当該方法における熱処理対象は、小麦の外層部にのみ水分を吸収させ中心の胚乳部まで水分が浸透していない、水分が偏在化した小麦粒である。熱処理の目的は、グルテンの変性をできるだけ起こさずに小麦粒の外層部に存在する酵素を失活させることでアミロ粘度を上昇させることにある。
特開2007−97507号公報(特許文献3)では、低アミロ小麦粉を、品温82〜97℃で5〜60秒間、飽和水蒸気が導入された密閉系容器内で湿熱処理することを特徴とする低アミロ小麦粉の品質改良方法が開示されている。当該方法は、低アミロ小麦粉のアミロ粘度を回復させるには優れた方法であるが、アミロ価を300B.U.以上に回復させる処理条件では、グルテンが変性を受けているのが現状である。
特開平03−224453号公報 特開昭60−105462号公報 特開2007−97507号公報
本発明の目的は、製粉して生地にしたとき生地中のグルテンを強靭にすることができる(生地の弾力と伸展性を両立することができる)小麦粒及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、ソフトで口溶けの良好なパンを製造するための小麦粒及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、小麦粒を53〜77℃で7〜65秒間湿熱処理し、前記湿熱処理した小麦粒を53〜77℃で25〜65分間乾熱処理して得られる改質小麦粒を製粉して生地にすると、生地中のグルテンを強靭にすることができること(生地の弾力と伸展性を両立することができること)、該生地を用いてパンを製造すると、ソフトで口溶けが良好になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]小麦粒を53〜77℃で7〜65秒間湿熱処理する工程と、前記湿熱処理した小麦粒を53〜77℃で25〜65分間乾熱処理する工程とを含む、改質小麦粒を製造する方法。
[2]小麦粒が、低アミロ小麦粒である、[1]記載の方法。
[3]湿熱処理が、飽和蒸気処理である、[1]又は[2]記載の方法。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法により得られる改質小麦粒。
[5][4]記載の改質小麦粒を製粉してなる小麦粉。
[6][5]記載の小麦粉を含む穀粉と水とを含む小麦粉生地。
[7][6]記載の小麦粉生地を焼成してなるパン。
本発明の改質小麦粒を製粉して生地にすると、生地中のグルテンを強靭にすることができる(生地の弾力と伸展性を両立することができる)。特に、低アミロ小麦粒を改質した場合には、グルテンが強靭になるだけでなく、アミラーゼ活性が高く維持されていることにより酵母発酵を促進することができるため、製パン原料として好適に使用することができる。本発明の改質小麦粒を用いてパンを製造すると、強靭なグルテンにより釜落ちが起こり難く、ソフトで口溶けが良好なパンが得られる。
<改質小麦粒の製造方法>
本発明の改質小麦粒の製造方法は、小麦粒を53〜77℃で7〜65秒間湿熱処理する工程と、前記湿熱処理した小麦粒を53〜77℃で25〜65分間乾熱処理する工程とを含んでいる。
(1)小麦粒(原料小麦粒)
湿熱処理に供する小麦粒は、特に制限なく使用でき、例えば、強力粉系(1CW、DNS、SH、PH、ゆめちから、春よ恋等)、中力粉系(ASW、きたほなみ、さとのそら等)、薄力粉系(WW等)の小麦粒を挙げることができる。これらの小麦粒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの小麦粒のうち、強力粉系、中力粉系の小麦粒が好ましく、強力粉系の小麦粒が最も好ましい。
小麦粒のアミロ粘度は、特に制限はなく、通常の範囲(400B.U.以上)であってもよいが、400B.U.未満、特に300B.U.以下であってもよい。アミロ粘度が300B.U.以下の小麦粒(低アミロ小麦粒)は、通常の小麦粒に比べてグルテンが脆弱になるが、本発明の方法により通常の小麦粒と遜色ない程度にグルテンを強靭にすることができ、また通常の小麦粒に比べてアミラーゼ活性が高く維持されていることにより、ベーカリー生地に使用した場合に酵母発酵が進行し易くなるため、特に好ましい。
なお、小麦粒のアミロ粘度は、小麦粒をテストミル(ドイツ・ビューラー社製)で製粉して60%小麦粉(灰分の低い方から歩留で60%になるように採取し、外皮に近い灰分の多い粉を含まない小麦粉)を調製し、得られた小麦粉65質量部を水450質量部に懸濁し、該小麦粉懸濁液の最高粘度の値を、アミログラフ試験機(ドイツ・ブラベンダー社製)を用いて測定することにより求められる。
(2)湿熱処理
湿熱処理は、試料(小麦粒)に水分(又は蒸気)を供給しながら又は試料からの水分蒸散を防ぎながら熱処理を行うことを意味する。また、熱処理は、試料に熱エネルギーを供給し続ける(加熱すること)のみならず、試料を熱エネルギーが保持された空間内に供すること(例えば、試料を所定の温度に保持された容器に入れること)も含む。
湿熱処理の条件は、小麦粒中の澱粉分解酵素を実質的に変性させることなく、グルテンを強靭にする条件である。グルテンが強靭になる要因は明確ではないが、プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素の熱変性による不活性化又は低活性化、ダメージを受けているグリアジンやグルテニンの熱処理による再構成化、熱酸化によるグルテン中のジスルフィド結合の形成促進等が関与していると推測される。
湿熱処理温度は、53〜77℃であり、小麦粒中の成分の変性をより一層抑制しグルテンをより一層強靭にすると共に食感を改善する点から、55〜75℃であるのが好ましく、60〜70℃(例えば、65〜70℃)であるのが特に好ましい。
湿熱処理時間は、7〜65秒であり、小麦粒中の成分の変性をより一層抑制しグルテンをより一層強靭にすると共に食感を改善する点から、10〜60秒(例えば、20〜50秒)であるのが好ましく、25〜45秒(例えば、30〜40秒)であるのが特に好ましい。
湿熱処理の種類としては、特に制限はなく、各種熱媒体による処理、例えば、温水(又は熱水)処理、飽和蒸気処理(飽和水蒸気処理等)、非飽和蒸気処理(非飽和水蒸気処理等)、過熱蒸気処理(過熱水蒸気処理等)が挙げられる。湿熱処理は、上記熱媒体と接触させて直接加熱する方法であってもよく、高湿度雰囲気下において間接的に加熱する方法であってもよい。
これらのうち、湿熱処理のコントロールがより簡単で、湿熱処理後の乾燥が不要でありコスト的に有利であることから、温水処理よりも飽和蒸気処理が好ましい。また、熱量が多く処理時間を短縮できる点から、非飽和蒸気処理よりも飽和蒸気処理が好ましい。さらに、湿熱処理のコントロールがより簡単で、熱源を作るための設備が不要でありコスト的に有利であることから、過熱蒸気処理よりも飽和蒸気処理が好ましい。
飽和蒸気処理は、飽和蒸気を導入可能なバッチ式の密閉容器を備えた熱処理装置を用いて行ってもよく、ベルトコンベアーを備えた飽和蒸気噴出機能を有する連続式熱処理装置を用いて行ってもよい。
バッチ式の密閉容器を備えた熱処理装置としては、容器内の小麦粒を効率的に湿熱処理するため、トレーを投入可能なデッキ式加熱装置、或いは、容器自体が回転するか、若しくは、容器内に撹拌羽根が供えられたドラム式加熱装置が好ましい。なお、デッキ式加熱装置のトレーには、小麦粒を敷き詰めてシート状(例えば、厚さ1〜2cmのシート状)に配置する。
ベルトコンベアーを備えた連続式熱処理装置を用いる場合、ベルトコンベアー(例えば、メッシュ式搬送ベルト)で搬送されるシート状(例えば、厚さ1〜5cmのシート状)の小麦粒集合体に上方から飽和蒸気を噴射することが好ましい。
(3)乾熱処理
乾熱処理とは、湿熱処理とは対照的に、試料に水分(又は蒸気)を供給することなく又は試料からの水分蒸散を防ぐことなく熱処理を行うことを意味する。また、熱処理は、上記と同様、試料に熱エネルギーを供給し続ける(加熱すること)のみならず、試料を熱エネルギーが保持された空間内に供すること(例えば、試料を所定の温度に保持された容器に入れること)も含む。
乾熱処理の条件も、湿熱処理の条件と同様、小麦粒中の澱粉分解酵素を実質的に変性させることなく、グルテンを強靭にする条件である。
乾熱処理温度は、53〜77℃であり、小麦粒中の成分の変性をより一層抑制しグルテンをより一層強靭にすると共に食感を改善する点から、55〜75℃であるのが好ましく、60〜70℃(例えば、65〜70℃)であるのが特に好ましい。乾熱処理温度は、湿熱処理温度と同一であってもよく、異なっていてもよい。
乾熱処理時間は、25〜65分であり、小麦粒中の成分の変性をより一層抑制しグルテンをより一層強靭にすると共に食感を改善する点から、30〜60分であるのが好ましく、35〜55分(例えば、40〜50分)であるのが特に好ましい。
乾熱処理は、慣用の装置を用いて行うことができる。乾熱処理装置の例としては、保温窯;金属板、陶磁器等を熱媒体としたコンロ;気体及び/又は金属を熱媒体とした電気、ガス等による固定式オーブン;加熱した気体を吹き付ける噴射式オーブン;熱媒体との熱交換を行えるジャケットを装着した回転ドラム式又は撹拌子付きドラム式加熱装置等が挙げられる。
本発明の方法は、乾熱処理工程と湿熱処理工程との間に、他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、保管工程、調湿工程等が挙げられる。これらの工程は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
<改質小麦粒>
本発明は、上記の製造方法により得られる改質小麦粒を包含する。上記の製造方法では、原料小麦粒中の澱粉分解酵素を実質的に変性させることのない条件で、湿熱処理及び乾熱処理を行うため、改質小麦粒のアミロ粘度は、原料小麦粒のアミロ粘度と略同一であり、大きな変動はない。すなわち、改質小麦粒のアミロ粘度は、400B.U.以上であってもよく、400B.U.未満、特に300B.U.以下であってもよい。
<小麦粉>
本発明の小麦粉は、上記改質小麦粒を製粉してなる。製粉方法に特に制限はなく、常法に従って上記改質小麦粒を製粉することができる。例えば、上記改質小麦粒の製粉において、灰分の低い中心部から歩留で50〜100%、好ましくは50〜70%になるように採取してもよい。
なお、上記改質小麦粒は、原料小麦粒に対して水分値が1〜2質量%程度しか上昇しないため、乾燥することなくそのまま製粉することができる。
本発明の小麦粉は、強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、蛋白質量の多い強力粉及び中力粉(特に強力粉)では、本発明のグルテンの強靭化効果が最も現れるため、好ましい。
<小麦粉生地>
本発明の小麦粉生地(又は小麦粉組成物)は、上記小麦粉(上記改質小麦粒を製粉してなる小麦粉)を含んでいる。
小麦粉生地は、さらに、他の小麦粉(原料小麦粒、又は原料小麦粉に対して湿熱処理及び乾熱処理のいずれか一方の処理のみを行った小麦粒を製粉してなる小麦粉等)、他の穀粉(ライ麦粉、大麦粉、米粉、大豆粉、コーンフラワー等)、これらの混合粉を含んでいてもよい。
上記小麦粉(上記改質小麦粒を製粉してなる小麦粉)の割合は、小麦粉生地に含まれる穀粉の総量に対して、70質量%以上(例えば、80〜99質量%)であるのが好ましく、90質量%以上(例えば、95質量%以上)であるのがより好ましい。
小麦粉生地は、通常、水を含んでいる。水の含有量は、調製する食品の種類に応じて適宜選択され、例えば、穀粉100質量部に対して、60〜75質量部である。なお、水は、食塩、砂糖などを溶解した練水であってもよく、卵液、牛乳などとの混合液であってもよい。
また、小麦粉生地は、必要に応じて、さらに追加の成分を含んでいてもよい。追加の成分としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ等の澱粉類;澱粉類をエーテル化等の化学変性、α化等の物理変性、アミラーゼ処理等の酵素変性させた変性澱粉;ショートニング、バター、ラード等の油脂;砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、イソマルトース等の糖類;イースト;イーストフード;豆蛋白、乳蛋白等の蛋白類;脱脂粉乳等の乳加工粉末類;食塩等の無機塩類;保存料;乳化剤;ビタミン類;カルシウム等の栄養強化剤などが挙げられる。これらの追加の成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
追加の成分の含有量は、その種類に応じて適宜選択され、例えば、穀粉100質量部に対して、1〜30質量部である。
小麦粉生地は、各種用途、例えば、ベーカリー生地、焼き菓子生地として利用することができる。
<パン>
本発明のパンは、上記小麦粉生地を焼成してなる。パンの種類は特に制限されず、例えば、食パン、ロールパン、菓子パン、ドーナツ、調理パン等が挙げられる。
食パンとしては、白食パン、フランスパン、バラエティーブレッド、イングリッシュマフィン等が挙げられる。
ロールパンとしてはテーブルロール、バターロール、コッペパン、スィートロール、バンズ等が挙げられる。
菓子パンとしてはアンパン、ジャムパン、クリームパン、カレーパン等のフィリング類をパンに詰めたパン、メロンパン、レーズンパン、デニッシュペストリー、クロワッサン、ブリオッシュ等が挙げられる。
調理パンとしてはハンバーガー、ホットドック、ピザ等が挙げられる。
上記パンの製造方法には、特に制限はなく、直捏法、中種法、促成法、液種法、サワー種法、酒種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法など公知の方法が挙げられる。
上記方法において、焼成温度は、特に制限されないが、例えば、180〜300℃である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<製造例1:小麦粒の熱処理>
アミロ粘度130B.U.の低アミロ小麦粒(DNS)を金属製トレーに厚さ1cmになるように敷き詰めた。65℃に予熱し庫内を65℃の飽和蒸気で満たしたスチームオーブン(ラショナル社製、SelfCookingCenter)に上記トレーを投入し、30秒間湿熱処理した。その後、60℃に予熱した固定窯(コトブキベーキングマシン社製、キャメル)に移し、60℃で30分間乾熱処理して改質低アミロ小麦粒を製造した。
<評価例1:アミロ粘度の測定>
製造例1で得られた改質低アミロ小麦粒をテストミル(ドイツ・ビューラー社製)で製粉して60%小麦粉を得た。この小麦粉65質量部を水450質量部に懸濁し、アミログラフ試験機(ドイツ・ブラベンダー社製)を用いて、小麦粉懸濁液を撹拌しながら加熱してアミログラムを得た。このアミログラムの最高粘度をアミロ粘度とした。
<評価例2:小麦グルテン物性の測定>
製造例1で得られた改質低アミロ小麦粒をテストミルで製粉して60%小麦粉を得た。この小麦粉25質量部に水13質量部を加え、乳棒でよく混合して生地を調製した。生地を団子状に丸めて40℃の温水中に30分間静置した。温水中で生地を軽く揉み、グルテンを纏めるようにして澱粉を洗い出し、グルテンを採取した。採取したグルテンを10gに分割し、50gの分銅をぶら下げ、10分経過後の伸展長さを測定した。アミロ粘度650B.U.の通常の小麦粒から同様に採取したグルテンを基準とし、その伸展長を100とした場合に、改質低アミロ小麦粒から採取したグルテンの伸展長によりグルテンの物性評価を行った。
なお、低アミロ小麦粒から採取したグルテンは弱くダレることで伸び易くなる。該グルテンを湿熱処理することでダレが抑制され、伸展性が減少し正常な小麦グルテンの伸展性に近づく。しかし、湿熱処理の程度が強くなると伸展性が減少しすぎて正常な小麦グルテンよりも伸展性が減少する。伸展率が低くなるに従って、生地の弾力が強く伸展性が悪くなり、窯伸びが悪くパンのボリュームが小さくなりやすい。そのため、伸展長としては、アミロ粘度650B.U.の通常の小麦粒から採取したグルテンの伸展長を100とした場合、50〜150の範囲が適性である。
<評価例3:製パン及び官能試験>
製造例1で得た改質低アミロ小麦粒をテストミル(ドイツ・ビューラー社製)で製粉して60%小麦粉を得た。この小麦粉100質量部、イースト2.5質量部、イーストフード0.1質量部、塩2質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部に水70質量部を加え、低速2分、中速4分間ミキシングし、ショートニング5質量部を加えて更に低速1分間、中速5分間ミキシングして生地を得た。60分間のフロアタイムをとった後240gに分割し、ベンチタイムを20分間とった。分割した生地を4つプルマン2斤型の型に入れて40分間ホイロし、200℃で35分間焼成して食パンを得た。なお、水分13.5質量%ベースで水分補正を行った。具体的には、水分m質量%の小麦粉を使用し、小麦粉100質量部に対し加水量W質量部とした場合の水分補正の方法は、次のとおりである。
「小麦粉の実際の使用量(単位:質量部)」=(100−13.5)/(100−m)×100
「水の実際の使用量(単位:質量部)」=(100+W)−小麦粉の実際の使用量
生地性及び食感について、10名の熟練のパネラーにより、下記基準により評価を行った。
(生地性)
5点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常によい
4点・・・生地の弾力と伸展性のバランスがよい
3点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが若干よい
2点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが悪い
1点・・・生地の弾力と伸展性のバランスが非常に悪い
(食感)
5点・・・ソフトで口溶け良い
4点・・・ややソフトで口溶け良い
3点・・・若干ソフトで若干口溶け良い
2点・・・やや硬く団子状になり、口溶け悪い
1点・・・硬く団子状になり、口溶け悪い
<試験例1:湿熱処理温度の検討>
飽和蒸気温度を表1の温度にした以外は製造例1に従って改質低アミロ小麦粒を製造し、評価例1〜3に従って評価した。結果を表1に示す。なお、熱処理(湿熱処理及び乾熱処理共に)を行わなかった低アミロ小麦粒及び標準的な小麦粒を対照例1及び2とした。
Figure 2019126313
実施例1〜5では対照例1に比べてグルテン物性が改善され、特に実施例4では対照例2と遜色ない程度のグルテン伸展率であった。飽和蒸気温度が50℃では改善が全く見られず、80℃では過加熱のため著しくグルテン伸展率が悪くなった。
<試験例2:湿熱処理時間の検討>
飽和蒸気処理時間を表2の時間にした以外は製造例1に従って改質低アミロ小麦粒を調製し、評価例1〜3に従って評価した。結果を表2に示す。
Figure 2019126313
実施例6〜10ではグルテン物性が改善され、良好な生地性と食感を示した。比較例3では飽和蒸気処理時間が短すぎ、十分な効果が得られなかった。比較例4では飽和蒸気処理時間が長く、急激にグルテン伸展率が悪化した。
<試験例3:乾熱処理温度の検討>
乾熱処理温度を表3の温度にした以外は製造例1に従って改質低アミロ小麦粒を調製し、評価例1〜3に従って評価した。結果を表3に示す。
Figure 2019126313
実施例11〜14ではグルテン物性が改善された。比較例5では乾熱処理温度がやや低く、わずかにグルテン物性の改善に劣り、そのため生地性及び食感共にやや不適であった。比較例6では乾熱処理温度が高すぎたためグルテン伸展率が悪化した。
<試験例4:乾熱処理時間の検討>
乾熱処理時間を表4の時間にした以外は製造例1に従って改質低アミロ小麦粒を調製し、評価例1〜3に従って評価した。結果を表4に示す。
Figure 2019126313
実施例3、15〜17ではグルテン物性の改善効果が認められたが、乾熱処理時間が短い比較例7及び乾熱処理時間が長い比較例8では、グルテン物性が不適であった。
<試験例5:湿熱処理のみ又は乾熱処理のみの検討>
製造例1において、表5記載の湿熱処理のみ又は乾熱処理のみを行って改質低アミロ小麦粒を調製し、評価例1〜3に従って評価した。結果を表5に示す。
Figure 2019126313
湿熱処理及び乾熱処理のいずれか一方のみしか行わなかった比較例9〜16では、温度にかかわらず、いずれもグルテン物性に改善は見られず、生地性及び食感共に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 小麦粒を53〜77℃で7〜65秒間湿熱処理する工程と、前記湿熱処理した小麦粒を53〜77℃で25〜65分間乾熱処理する工程とを含む、改質小麦粒を製造する方法。
  2. 小麦粒が、低アミロ小麦粒である、請求項1記載の方法。
  3. 湿熱処理が、飽和蒸気処理である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により得られる改質小麦粒。
  5. 請求項4記載の改質小麦粒を製粉してなる小麦粉。
  6. 請求項5記載の小麦粉を含む小麦粉生地。
  7. 請求項6記載の小麦粉生地を焼成してなるパン。
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