JP2019125790A - レーザダイシング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】デバイスを破壊することなく、レーザ光を照射して改質層を形成し、また、レーザの途中経路における散乱を低減してレーザ焼けをなくし、レーザ焼けによる各部品の劣化、性能低下を防ぐとともに、レーザ照射後のウェーハを安定してチップに離間するレーザダイシング装置を提供する。【解決手段】ウェーハWの裏面に貼り付けられた透明フィルムTと、レーザ光を透過可能に形成されるとともに透明フィルムを貼り付けたウェーハの裏面側を密着保持する略平坦な保持面22Aを有するウェーハテーブル20と、レーザ光をウェーハの裏面側から透明フィルム及びウェーハテーブルを介して照射するレーザ照射手段60と、レーザ照射してウェーハ内部を改質後、ウェーハが貼り付いた透明フィルムをウェーハテーブルから取り外し、透明フィルムにエキスバンドテープを貼り付け、該エキスバンドテープを引き伸ばしてウェーハを個片化する機構とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザダイシング装置に関するものであり、特に、表面に複数のデバイスが形成されたウェーハを処理するレーザダイシング装置に関するものである。
従来から、表面に複数のデバイス(半導体素子)が形成されたウェーハを個々のチップに分割する方法として、レーザを用いたダイシング方法(レーザダイシング)が知られている。レーザダイシングは、ストリート(分割予定ライン)に沿ってウェーハにレーザ光を入射することにより、ウェーハの内部に多光子吸収による改質層を形成する方法である。レーザダイシングされたウェーハは、その後、ウェーハに外的応力を印加することにより、改質層を起点として個々のチップに分割される。このレーザダイシングによれば、チッピングを殆ど発生させることなく、分割できるという利点がある。
レーザダイシングは、一般的にウェーハの表面側(回路パターン等が形成されている面側)からレーザ光を入射して、ウェーハの内部に改質層を形成する。しかしながら、表面側からレーザ光を入射する方法では、ストリート付近に金属膜が形成されたウェーハの場合、該金属膜でレーザ光が反射してしまうため、使用することができないという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1では、ウェーハの裏面からダイシングテープ越しにレーザ光を入射して、ウェーハの内部に改質層を形成することが提案されている。また、特許文献2では、一対の透明ガラス板でウェーハを挟んで支持し、ウェーハの表裏両側からレーザ光を入射できるようにすることが提案されている。さらに特許文献3では、ダイシングテープ越しにレーザ光を入射して、ウェーハ内部に改質層を形成することが提案されている。また、デバイスを形成されていない領域に触れずにワークを保持し、裏面側からレーザ光を照射することができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法が提案されている。
特開2007−123404号公報 特開2005−109045号公報 特開2010−29927号公報
ところで、レーザダイシングでは、ウェーハをテーブルで保持してレーザ光の入射を行うが、特許文献1では、ウェーハの裏面にレーザ光を入射できるようにするために、ウェーハの裏面側をテーブルで吸着保持する構成としている。しかしながらこのようにウェーハの裏面側をテーブルで吸着保持すると、例えば、MEMS(Micro Electro Mecanical System、微小メカトロニクスシステム)のように微細構造の素子等が形成されたウェーハの場合、吸着により素子が破壊されてしまうという欠点がある。このような問題は、透明ガラス板でウェーハを挟持する特許文献2のレーザダイシング装置でも生じる。
一方、環状に形成されたテーブルでウェーハの周縁部のみを支持することも考えられるが、このように周縁部のみを支持すると、ウェーハに撓みが生じ、所定の領域に改質層を形成できないという欠点がある。また、フィルム越しにレーザ光を照射する場合、薄いフィルムである場合にフィルム表面は、ガラスのような硬質体ではないため、きれいな平面を形成する場合は少なく、大体うねりを持つケースが多い。また、物によっては、微小に荒れている場合が多く、フィルム表面に直接レーザ光を照射しようとすると、フィルム表面の影響でレーザ光が効率的に入射しないという問題があった。
さらには、また、特許文献3においては、該特許文献3に係る公報中の[0018]において、ワーク(ウェーハW)の反りやうねりを矯正するために、ワークを裏面側から押圧し、平面体である反り矯正手段にワークの裏面を押圧した状態でレーザ光を照射すると記載されている。しかしながら、通常単調な反りを有するウェーハに対して、陽圧にしてワークを裏面側から押圧したとしても[0074]、原理的に完全にワークは平面矯正されることはない。反りを有する部材を、平面体に押し当てて強制使用しても、中央部の一点が接触し、周囲はそのままの位置になるため、図7(b)に示すように、中央部の一部が平面体に押し当てられるだけで完全に平面に矯正されない。よって、ワークと矯正部材に図7の(a)、(b)に示すような不均一な隙間ができた場合、ウェーハ内部の安定した領域にフォーカス合わせることができないため、ウェーハの内部に精度よくレーザ光による改質層を形成することはできない。
さらに、ガラス面とウェーハ面の間に空気層が介在することでフィルムとガラス面の間で繰り返し反射が起こり、ウェーハの所望の部分以外のところに、レーザの散乱光が入り、レーザ焼けを起こすことになる。そうした散乱光によるロスは、そのロスした分だけ、その付近でエネルギーが消費されることになり、これは、ガラス面における表面劣化や、劣化に伴う破片のフィルムへの付着など、付近のレーザ散乱に伴う弊害を受けることになる。
さらに、ガラス面とフィルム面が密着していない場合、レーザパワーを大きくしてレーザを投入したとしても、ガラス面とフィルム面との間に起こる散乱の影響により、効率的にウェーハ内部に改質層が形成されないという問題があった。また、陽圧にするにしても、減圧するにしても、密封された空間の圧力を制御して、その一面を完全な水平面にすることは非常に難しい。陽圧にし過ぎると面は突き出す方向に撓むし、それを減圧すれば凹む側に撓む。その圧力制御は非常に微妙であり、平面を維持することは原理的に困難である。
さらに、この後の工程においても問題になる。MEMS素子で使用されるデバイスは、先にも述べたように素子面にテープを貼って、素子面を下にして吸着台に真空吸着しようとしても、素子が非常に脆いため、表面を押圧したり、触れることすら許されない場合もある。このような場合フィルム面とガラス面を密着させて、レーザ光を入射させてウェーハ面内に改質層を形成し、その後フィルムをガラス面から剥離して、当該フィルムを伸張させることで、各チップに離間しなければならない。こうしたフィルムにおいては、レーザ光の透過性を満足しつつも、チップを離間させる程度に展延性を有する性質のフィルムが要求される。
しかしながら、こうした透過性を有しつつ、チップを離間する程度に展延性を有する好適なフィルムは存在しない。まず、こうしたフィルムは弾性材料である必要がある。しかし、弾性材料である場合、即ちゴム部材のようなものであれば、程度の問題はあれ、面内に弾性率のムラは多かれ少なかれ存在する。また、弾性材料の場合、−CHが結合した非極性の材料から構成される。弾性を持つメカニズムは様々であるが、弾性を持つ最も主たる要因としては、分子同士が絡まって存在し、その分子の絡まり度合いが変化することで、弾性を発揮する場合が多い。即ち、外部応力によって、材料そのものの密度、均質度合いが変化するのである。
一方、レーザ光が材料内を安定して透過するためには、材料の屈折率は一様でなくてはならない。屈折率は一様でない場合、レーザ光が結像する深さもまちまちになり安定した改質層の形成は不可能である。
ここで弾性材料は、外部応力によって均質度合いが変化する材料であるが、材料の均質度合いは、屈折率の一様性に対応している。即ち、材料そのものの均質度合いが外部応力等の外的環境で変化しやすいということは、材料そのものが均質かつ安定に形成されていないことにつながり、それは屈折率が一様ではないことを意味する。よって一般的には、屈折率が一様な性質を持つ大きな展延性を有する弾性材料というものは、程度にもよるが、基本的には殆ど存在しない。特に,基板内部に結像させるレーザ加工のレーザ光を精度よく透過しつつ、そのフィルムを引っ張ってチップを離間することができる材料は殆ど存在しない。
そこで、ウェーハの表面に形成されたデバイスを破壊することなく、即ち表面に触れることなく、ウェーハ裏面からレーザ光を照射しつつもウェーハ内部に精度よく一定の深さ位置に改質層を形成し、また、レーザの途中経路における散乱を低減して効率よく安定した改質層をウェーハ内部に形成するとともに途中経路の散乱により、レーザ散乱によるレーザ焼けをなくし、レーザ焼けによる各部品の劣化、性能低下を防ぐとともに、レーザ照射後のウェーハをチップに分割し、安定してチップに離間するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ウェーハにレーザ光を照射して、前記ウェーハの内部に改質層を形成するレーザダイシング装置において、前記ウェーハ裏面に密着させたフィルムと、前記フィルムを介して前記ウェーハを密着保持するウェーハ保持手段と、前記フィルム及び前記ウェーハ保持手段を通して前記ウェーハにレーザ光を照射し、前記ウェーハ内部に改質層を形成するレーザ照射手段と、を備えたレーザダイシング装置を提供する。
この構成によれば、レーザ光を透過可能に形成されたウェーハ保持手段の略平坦な保持面にはウェーハに貼り付けられたレーザ光を透過可能なフィルムが保持される。これにより、ウェーハのウェーハ保持手段に保持された面を基準にウェーハが撓みなく平坦な状態で保持される。そして、レーザ照射手段からのレーザ光をフィルム及び硬質のウェーハ保持手段を介して照射することにより、ウェーハの内部に改質層を精度よく形成することが可能となる。また、ウェーハ上に形成されたデバイスに一切触れることなく、ウェーハの内部に改質層を形成することが可能となる。また、レーザ光でウェーハの内部に改質層を形成後、フィルムに貼り付けられたウェーハは、改質層からそれぞれのチップが分断され、フィルムとともにそれぞれのチップに分断される。これにより、効率よくウェーハを個片化することが可能となる。また、フィルムを透過してレーザ光を照射するとともに、そのフィルムに貼り付けられたチップを離間する際には、フィルムともども離間することが可能となり、非常に効率がよい。その結果、ウェーハ上に形成されたデバイスに触れることなく、片面からの処理で効率よくウェーハを割断することが可能となる。
請求項2記載の発明は、前記フィルムが、ダイシングフレーム内に貼り付けられているレーザダイシング装置を提供する。
請求項3記載の発明は、前記フィルムが、エキスパンドして前記ウェーハをチップに分割可能なエキスパンド性を有しているレーザダイシング装置を提供する。
この構成によれば、フィルムをエキスパンドすることにより、ウェーハを改質層からそれぞれのチップに分断して、効率よくウェーハを個片化することが可能となる。
本発明は、ウェーハに貼り付けられた透明なフィルムを介してウェーハがウェーハ保持手段の略平坦な保持面に平坦な状態で吸着保持され、レーザ光がフィルム及びウェーハ保持手段を介して照射されることで、ウェーハ上に形成されたデバイスを破壊することなく、ウェーハの内部に精度よく一定の深さ位置に改質層を形成することができる。ウェーハの内部に改質層を形成後、ウェーハが貼り付いた透明なフィルムをウェーハ保持手段から取り外し、安定して効率よくウェーハを個片化することができるという利点がある。
本発明の実施例1に係るレーザダイシング装置の概略構成図。 ダイシングフレームにマウントされた状態のウェーハを示す斜視図。 レーザ照射装置の概略構成図。 保持面に同心円状ないしは螺旋状の溝を形成したテーブル板の平面図。 レーザダイシング装置の実施例2を示す概略構成図。 エキスパンド装置によるエキスパンド処理の概略を示す工程図。 従来技術における問題点の一つを説明するための図であり、(a)はウェーハの周縁部のみ支持した場合に該ウェーハに撓みが生じることを示す図、(b)は矯正部材で矯正してもウェーハと矯正部材間に不均一な隙間ができることを示す図。
本発明は、ウェーハの表面に形成されたデバイスを破壊することなく、即ち表面に触れることなく、ウェーハ裏面からレーザ光を照射しつつもウェーハ内部に精度よく一定の深さ位置に改質層を形成し、また、レーザの途中経路における散乱を低減して効率よく安定した改質層をウェーハ内部に形成するとともに途中経路の散乱により、レーザ散乱によるレーザ焼けをなくし、レーザ焼けによる各部品の劣化、性能低下を防ぐとともに、レーザ照射後のウェーハをチップに分割し、安定してチップに離間するという目的を達成するために、ウェーハにレーザ光を照射して、ウェーハの内部に改質層を形成するレーザダイシング装置において、ウェーハ裏面に密着させたフィルムと、フィルムを介してウェーハを密着保持するウェーハ保持手段と、フィルム及びウェーハ保持手段を通してウェーハにレーザ光を照射し、前記ウェーハ内部に改質層を形成するレーザ照射手段と、を備えたことにより実現した。
以下、添付図面にしたがって本発明の好適な実施例について説明する。
<構成>
図1は、本実施例に係るレーザダイシング装置の概略構成図である。同図に示すように、レーザダイシング装置10は、主としてウェーハWを保持するウェーハテーブル20と、レーザ反射防止板50とウェーハテーブル20に保持されたウェーハWにレーザ光を照射するレーザ照射装置60とで構成されている。
まず、本実施例のレーザダイシング装置10で加工対象とする上記ウェーハWについて説明する。レーザダイシング装置10で加工対象とするウェーハWは、表面に複数のデバイス(例えばMEMS素子等)が形成されたウェーハWであり、ダイシングフレームFにマウントされた状態で加工処理される。
図2は、透明フィルムT上に貼着されるマウントされた状態のウェーハWを示す斜視図である。同図に示すように、ウェーハWは、透明フィルム(ダイシングテープ)Tを介して小さいダイシングフレームFにマウントされる。小さいダイシングフレームFは、枠状に形成され、その内部に透明フィルムTが貼り付けられる。ウェーハWは、その裏面を透明フィルムTに貼着されて、ダイシングフレームFにマウントされる。
ここで、このダイシングフレームFに貼り付けられる透明フィルムTは、引きちぎりやすい脆性を有するフィルムであると同時に、レーザ照射装置60から出射されるレーザ光を透過可能な素材で形成される。本実施例では、透明な素材で形成される。なお、通気性を有することがさらに好ましい。また、透明フィルムTは、紫外光を照射するか、所要温度に暖めるか、もしくは所要の低温に冷却すると、一層脆化する特性を有している。このため、透明フィルムT上に貼り付けたエキスバンドテープを後述するように放射状に引き伸ばす前に、該透明フィルムTに紫外光を照射するか、所要温度に暖めるか、もしくは所要の低温に冷却すると、脆性が増して、一層効率よくウェーハを個片化することが可能となる。
ダイシングフレームFにマウントされたウェーハWは、その透明フィルムTが貼着された面(裏面)をウェーハテーブル20に保持される。ウェーハテーブル20は、図1に示すように、主として、テーブル板22と、そのテーブル板22を保持するテーブル板保持フレーム24とで構成される。テーブル板22は、加工対象とするウェーハWに対応した円盤状に形成され(加工対象とするウェーハWの全面を支持できるように、加工対象とするウェーハWよりも大径の円盤状に形成される。)、その上下の面は共に平坦に形成される。
このテーブル板22は、レーザ照射装置60から出射されるレーザ光を透過可能な素材で形成される。一例として、本実施例では、透明な石英ガラスで形成される。これは石英ガラスに限らず、透過性があり平面を規定できる程度の硬質な透過性のある部材であればよい。例えば、アクリルや透明塩ビのような樹脂であってもよい。また、シリコンなどは、可視光では不透明であるが、赤外領域の光においては透明である。よって、ベアのシリコンウェーハや、ゲルマニウムは屈折率が4.0近くあり、非常に高屈折の材料である。こうした高屈折材料を使用すれば、ウェーハ内の焦点の深度の幅を小さくすることが可能となる。
また、このテーブル板22は、加工対象とするウェーハWを撓みなく保持することができるように、必要十分な厚さをもって形成される。テーブル板22は、上面側がウェーハWを保持するための保持面22Aとされる。保持面22AとウェーハWの透明フィルムTが貼着された面(裏面)との間には完全に密着された状態で保持される。この保持方法としては、様々な方法がある。例えば、テーブル外周部に真空吸着溝を形成し、その溝部で真空に吸着させてテーブルとウェーハWに貼り付けられた透明フィルムTとを密着させてもよい。
また、別の方法としては、テーブルとウェーハWに貼り付けられた透明フィルムTとの間に透明な液体を介在させて、液体と固体表面の間に働く界面張力によって貼り付ける方法もある。例えば、均一且つ薄膜状の密着液26をテーブル板22と透明フィルムTとの間に介在させると、ウェーハWがテーブル板22に密着保持される。なお、後で詳しく説明するが、密着液26の一例としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などがある。
テーブル板保持フレーム24は、図示しない回転駆動機構によって軸周りに回転するとともに、図示しない昇降駆動機構によって上下方向(Z方向)に昇降する。また、図示しない前後駆動機構によって水平面上を前後方向(Y方向)に移動するとともに、図示しない左右駆動機構によって水平面上を左右方向(X方向)に移動する。テーブル板22は、テーブル板保持フレーム24が回転することにより、軸周りに回転する。また、テーブル板保持フレーム24が昇降することにより、上下に昇降する。さらに、テーブル板保持フレーム24が前後方向に移動することにより、前後に移動し、左右方向に移動することにより、左右に移動する。
レーザ反射防止板50は、ウェーハテーブル20の下部に設置される。このレーザ反射防止板50は、上面部にレーザ光の反射防止処理(例えば、黒色処理)が施された平板状に形成され、ウェーハテーブル20の保持面22Aから所定距離離れた位置に水平に設置される。即ち、ウェーハテーブル20の保持面22Aとレーザ反射防止板50との間には、所定の空間が形成される。レーザ照射装置60から出射されてウェーハWを透過したレーザ光は、このレーザ反射防止板50に入射する。これにより、不要な反射が防止でき、反射焼け等が生じるのが防止できる。
レーザ照射装置60は、ウェーハテーブル20の上方に設置され、ウェーハテーブル20に向けてレーザ光を垂直に出射する。図3は、レーザ照射装置60の概略構成図である。同図に示すように、レーザ照射装置60は、主として、レーザ発振装置62と、コリメータレンズ64と、コンデンサレンズ66と、アクチュエータ68とで構成される。レーザ発振装置62は、ウェーハWの加工条件に従ったレーザ光を発振する。レーザ発振装置62から発振されたレーザ光は、コリメータレンズ64によって平行光とされた後、コリメータレンズ64で、焦点Pに集光される。
焦点PをウェーハWの内部に設定して、ウェーハWにレーザ光を入射すると、ウェーハWの内部に改質領域が形成される。この状態でウェーハWを水平に移動させると、焦点Pの移動軌跡に沿って改質領域が連続的に形成され、改質領域Lが形成される。分割時は、この改質層をストリート(分割予定ライン)に沿って形成する。
アクチュエータ68は、コンデンサレンズ66を光軸方向(Z軸方向)に微小移動させる。即ち、コンデンサレンズ66は、図示しないレンズ枠に保持されて、光軸方向に移動自在に支持されており、このアクチュエータ68に駆動されて光軸方向に微小移動する。アクチュエータ68を駆動して、コンデンサレンズ66を光軸方向に微小移動させることにより、レーザ光の焦点Pの位置がZ方向に変位する。これにより、改質層Lを形成する位置(Z方向の位置)を調整することができる。また、焦点PのZ方向の位置を変えて、制御装置に複数回レーザ光を入射することにより、ウェーハWの内部に複数の改質層Lを形成することができる。
ここで、前記ウェーハテーブル20におけるレーザ光が入射する面は鏡面であることが望ましい。鏡面である方が、よりレーザ光がウェーハテーブル20に入り込みやすくなる。一方で、ウェーハテーブル20のフィルムと接触する側の表面は、レーザ光が入射する側の表面と比べて、鏡面でない方がよい。鏡面であると、液体に対する表面積が小さくなり、濡れ性が悪くなるからである。即ち、ウェーハテーブル20の表面部分は、粗さを有する方が、ウェーハテーブル表面の表面積が大きくなり、液体はウェーハテーブル20上を均一に広がるようになるからである。こうしたウェーハテーブル20を荒らす手法の一つに、テクスチャリング(フェーシングによる)方法がある。図4に示すように、ガラスのウェーハテーブル20に小さい溝23を同心円状ないしは螺旋状の溝23を形成しておく。この溝23に沿って屈折液は一様に広がる。テクスチャリングの溝23は、屈折液やウェーハテーブル20の材料にもよるが、約0.2mmの溝幅で、0.4mmピッチ程度、0.1mmの溝幅で、0.2mmピッチ程度でよく、ウェーハテーブル20上でウェーハ径に対応する面全面に形成された溝でよい。
また、テクスチャリング以外でも、単純に表面を荒らす方法がある。例えば、GC砥粒の#2000番を使用し、表面を20分程度ラッピング加工してもよい。また、#500番程度の砥粒を使用してもよい。GC以外でもWAなどの砥粒を使用して、表面を荒らしてもよい。このようにすることで、表面はすりガラス状になって、空気中では表面の荒れによって散乱し、曇ったようになる。表面粗さとしては、Raで0.1mm以下であればよいが、これに縛られず、界面張力が増大するように粗さの隙間に液体が埋まり込み、表面積が大きいほどよい。
なお、ウェーハテーブル20の素材としては、石英ガラスもあるが、その他にはシリコンウェーハなどであってもよい。石英ガラスなどは、赤外光領域において吸収帯を有し、透過率が低下する場合もある。こうした場合は、石英ガラスでなくても、アクリルなどの透明な樹脂材料であればよい。レーザ光の選択する波長において透過率がよく、また平面が鏡面化できる素材であればよい。また、ウェーハテーブル20の厚みは均一で、殆ど撓まないことも必要である。また、単独で撓む場合は外周部にリムを付けるなど外周固定端として撓みを極力なくすことが必要である。
本実施例のレーザダイシング装置10は、以上のように構成されている。なお、レーザダイシング装置10の動作は、図示しない制御装置で制御される。制御装置は、所定の制御プログラムを実行して、各部の動作を制御し、ウェーハWの加工処理を実行する。
<作用>
次に、レーザダイシング装置10を用いたダイシング方法について説明する。上記のように、ウェーハWは、ダイシングフレームFにマウントされた状態で加工処理される。ウェーハWは、裏面(デバイスが形成されていない面)を透明フィルムTに貼着されて、ダイシングフレームFにマウントされる。ダイシングフレームFにマウントされたウェーハWは、図示しない搬送装置(例えば、ロボットのアーム)によって、ウェーハテーブル20の下部まで搬送される。この際、ウェーハWは、透明フィルムTが貼着された面を上向きにし、表面は非接触の状態でウェーハテーブル20の下部位置まで搬送される。
ウェーハテーブル20の下部位置まで搬送されたウェーハWは、搬送位置からウェーハテーブル20に受け渡される。受け渡しは、ウェーハWの裏面をウェーハテーブル20の保持面22Aで密着保持することにより行われる。具体的には、次のように行われる。
まず、ウェーハWの位置決めが行われる。即ち、ウェーハWの中心と一致するように位置決めされる。その後、密着液26を滴下あるいは密着液供給手段(不図示)を用いて、ウェーハWの裏面に対して密着液26を均一に供給する。なお、密着液26を供給してからウェーハWの位置決めを行ってもよい。また、密着液26は、ウェーハWの裏面に代えて、或いは、ウェーハWの裏面とともに、ウェーハテーブル20の保持面22Aに供給するようにしてもよい。その後、ウェーハWの裏面にウェーハテーブル20の保持面22Aを所定の圧力で押圧する。これにより、ウェーハWの裏面とウェーハテーブル20の保持面22Aとの間に密着液26が均一且つ、薄膜状になって全体的に広がり、ウェーハWがウェーハテーブル20に密着保持される。
このようにしてウェーハテーブル20の保持面22Aには、ウェーハWの透明フィルムTが貼着された面が密着液26を介在させた状態で密着保持される。これにより、ウェーハWを撓ませることなく平坦な状態で保持することができる。また、ウェーハWは、透明フィルムTを介して裏面が密着保持されるため、表面を非接触で保持することができる。
ウェーハWを受け渡した搬送装置は、ウェーハテーブル20の下部から退避する。この後、所定のアライメント処理が行われ、ダイシングが開始される。ダイシングは、レーザ照射装置60から出射されるレーザ光をストリートに沿ってウェーハWに入射することにより行われる。制御装置(図示せず)は、ウェーハWの内部の所定位置に焦点Pが設定されるように、アクチュエータ68を駆動して、コンデンサレンズ66の位置を調整する。そして、出射されたレーザ光が、ストリートに沿ってウェーハWに入射するように、ウェーハテーブル20が移動される。
ところで、本実施例のレーザダイシング装置10では、加工対象のウェーハWが、ウェーハテーブル20の下面に密着保持される。これに対して、レーザ光はウェーハテーブル20の上面に入射される。しかし、ウェーハテーブル20は、レーザ光を透過可能に形成されているため、上面にレーザ光を入射した場合であっても、ウェーハWに入射することができる。また、ウェーハWは、透明フィルムTが貼着された面(裏面)をウェーハテーブル20に密着保持されるが、透明フィルムTもレーザ光を透過可能に形成されているため、ウェーハWに入射することができる。なお、後述するように、密着液26もレーザ光を透過可能なものが用いられる。
このように、本実施例のレーザダイシング装置10では、ウェーハテーブル20及び透明フィルムTを透過させて、また、硬質の透明なテーブルを透過させてレーザ光がウェーハWに入射される。ウェーハWは、例えば密着液26を介在させることによって、ウェーハテーブル20の保持面22Aに密着し、撓むことなく保持されているため、所定位置に正確にレーザ光を入射することができる。また、ウェーハWが透明フィルムTを介して硬質の透明のウェーハテーブル20と密着していることによって、透明フィルムTの微妙な表面うねりもなく、硬質なワークテーブル面との挟み込みによってウェーハWの界面部分は平面になり、より一層レーザ光の入射効率は向上するようになる。
また、ウェーハテーブル20の厚みを一定の厚みにすることで、ウェーハテーブル20を基準にウェーハW表面を倣わせることになる。即ち、初期のウェーハWがたとえ、反りをもつものや厚みむらが存在するウェーハWであっても、レーザ入射側のウェーハW表面が平面吸着されることから、その結果、ウェーハテーブル20面とレーザ位置を正確に一定にすることによって、レーザ位置からウェーハW内部のレーザ集光部までのワークディスタンスを一定に保つことができる。
そして、ウェーハテーブル20の厚みを一様とし且つ、撓みをなくすことにより、レーザ照射部の対物レンズ位置から、ウェーハテーブル20及び透明フィルムTを介して貼り付けられたウェーハW表面までの距離が殆ど一定となる。その結果、ウェーハWの自重に関係なく安定して一定の深さ位置に改質層を形成することが可能となる。
従来は、レーザ照射側と反対側でウェーハW面を平面矯正する場合、レーザ照射側には、ウェーハWの厚みばらつきに伴ってウェーハW表面にうねりが残り、ウェーハW表面から一定深さに改質層を形成するためには、そのうねりに沿って、オートフォーカスによりレーザ位置を調整していたが、レーザ照射面側を基準面とすることで、オートフォーカスをかけずとも一定の深さ位置に改質層Lを形成することが可能となる。これにより、ストリートに沿って正確に改質層Lを形成することができる。
また、ウェーハWは、表面に触れることなくウェーハテーブル20に保持されるため、表面に形成されたデバイス(MEMS素子等)を破壊することなく加工処理することができる。また、ウェーハWの表面を密着保持していると、ウェーハWを透過したレーザ光によって保持面22Aが焼けたり、溶融物が付着したりして、保持面22Aの平滑性を保てないが、表面に触れることなくウェーハWを密着保持することにより、このような不具合が発生することも防止することができる。これにより、継続して加工しても、常に平坦にウェーハWを密着保持することができる。
さらに、レーザ光は、ウェーハWの裏面に入射されるため、表面に形成されたデバイスに影響されることなく、正確且つ、確実に所定の位置に改質層Lを形成することができる。レーザ光をストリートに沿ってウェーハWに入射し、加工処理が終了すると、ウェーハWはウェーハテーブル20から搬送装置に受け渡され、次工程のエキスバンド工程と搬送される。
<密着液>
次に、本実施例で用いられる密着液26について説明する。本実施例では、上記のように、ウェーハWは、その透明フィルムTが貼着された面(裏面)を密着液26を介在させた状態でウェーハテーブル20の保持面22Aに密着保持され、レーザ光は、ウェーハWの裏面側から密着液26を介して入射される。このため、密着液26として用いられる液体としては、少なくともレーザ光を透過可能な液体であればよく、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などを用いることが可能である。これらの液体の中でも、エタノールやIPAは、水に比べて表面張力が低く、ウェーハテーブル20や透明フィルムTに対する濡れ性が高い。このため、これらの液体(即ち、エタノールやIPA)は、ウェーハWの透明フィルムTが貼着された面(裏面)とウェーハテーブル20の保持面22Aとの間に均一且つ、薄膜状になって全体的に広がりやすく、より密着性の高い状態でウェーハWを密着保持することが可能となる。
特に本実施例では密着液26としてIPAを用いる態様が好適である。IPAは、他の液体に比べて揮発性が高く、ウェーハWにウォーターマークが発生するのを抑止することができる。また、ウェーハテーブル20やその周辺部の有機物汚染を防止することもできる。なお、IPAの代わりに、IPAと他の液体との混合物(例えば、IPAと水又はエタノールの混合液)を用いる態様も好ましい。
また、本実施例では、密着液26として、上記液以外に、所定の屈折率を有する液体を用いる態様も好適である。具体的には、透明フィルムTの屈折率と同程度の屈折率を有する液体を密着液26として用いる。これにより、密着液26との界面での屈折率差をなくすことができ、レーザ光の透過率を向上させることが可能となる。例えば、透明フィルムTがポリオレフィン系のポリエチレンフィルム(屈折率:約1.54)からなる場合には密着液26として例えばジクロロトルエン(屈折率:約1.546)を好ましく用いることができる。なお、このように所定の屈折率を有する液体は、一般に接触液や屈折液などと称されており、例えば京都電子工業製の屈折率標準液や島津製作所製の接触液(屈折液)、モリテックス製のカーギル標準屈折液などを使用できる。
また、屈折率を補償する液体をガラス表面に滴下すると、透明フィルムTとガラス面をリンギングさせると、屈折液はガラス面をくまなく一様に広がり、ウェーハW面内で均一な屈折率分布を得ることができる。さらに、ウェーハテーブル20の外周部にリムをつけてウェーハテーブル20表面と対物レンズの間に屈折液を介在させてもよい。ウェーハテーブル20上の屈折液は、リムにより外側に流れ落ちることなく、また、対物レンズとウェーハテーブル(ガラス)20の間を屈折液で満たすことにより、対物レンズの開口数をさらに大きく取ることができ、効率よくウェーハW内部に集光させることが可能となる。
また、本実施例では、上述したように、ウェーハテーブル20のテーブル板22は透明な石英ガラスで構成されているが、これに限らずウェーハWと同一素材で構成されてもよい。例えば、ウェーハWがシリコンから構成される場合には、テーブル板22もシリコンで構成する。このようにウェーハWとテーブル板22を同一素材で構成する態様によれば、その素材の屈折率と密着液26の屈折率を同程度とすることによって、レーザ光の透過率をさらに向上させることが可能となる。
また、本実施例では、ウェーハテーブル20の保持面22Aは粗面処理されていることが好ましい。また、ウェーハテーブル20の保持面22Aに代えて、或いは、ウェーハテーブル20の保持面22Aとともに、ウェーハWに貼着されている透明フィルムTの被保持面(ウェーハWとは反対側の面)が粗面処理されていてもよい。このようにウェーハテーブル20の保持面22A及び透明フィルムTの被保持面の少なくとも一方の面に粗面処理を施しておくことによって、これらの間には、微小な空間が形成され、毛細管現象によって密着液26が隙間なく効率的に広がる。その結果、粗面処理が施された面と密着液26との接触面積が大きくなり、より大きな密着力でウェーハWが密着保持される。なお、後述するように、ウェーハWをダイシングフレームFにマウントせず、直接ウェーハテーブル20で保持する場合には、ウェーハWの裏面を粗面処理するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施例のレーザダイシング装置10によれば、レーザ光を透過可能に形成されたウェーハテーブル20の保持面22AにはウェーハWの裏面側が密着液26を介在させた状態で密着保持される。これにより、ウェーハWが撓みなく平坦な状態で保持される。そして、レーザ光をウェーハWの裏面側からウェーハテーブル20を介して照射することにより、ウェーハWの内部に改質層を精度よく形成することが可能となる。また、ウェーハWの表面に一切触れることなく、ダイシング処理を行うことができる。したがって、ウェーハWの表面に形成されたデバイスを破壊することなく、ダイシング処理を行うことが可能となる。
上記の実施例では、水平に設置されたウェーハテーブル20の下面にウェーハWを密着保持する構成としているが、図5に示すように、ウェーハテーブル20の上面に保持面22Aを形成し、ウェーハテーブル20の上面にウェーハWを載置して密着保持する構成とすることもできる。この場合、同図に示すように、レーザ照射装置60は、ウェーハテーブル20の下方位置に設置され、下方から上方に向けてレーザ光を出射する構成とされる。なお、このように、ウェーハテーブル20の上面に保持面22Aを形成し、ウェーハテーブル20の上面にウェーハWを載置して密着保持する構成とすることにより、大径のウェーハWであっても、確実に保持面22Aに密着させることができ、ウェーハWを平坦に保持することができる。
なお、上記のレーザダイシング装置10によってダイシング処理されたウェーハWは、その後、外的応力が印加されて、チップに分割される。この処理は、例えば、エキスパンド装置によって行われる。図6は、エキスパンド装置によるエキスパンド処理の概略を示す工程図である。レーザダイシングされたウェーハWは、同図(a)に示すように、表面を上にして剥離テーブル110の上に載置される。また、ダイシングフレームFが、図示しないフレーム固定機構によって所定位置に固定される。
ウェーハWが剥離テーブル110の上に載置され、ダイシングフレームFが固定されると、同図(b)に示すように、剥離テーブル110の周部を囲むように配置されたリング112が、図示しない昇降機構により押し上げられて上昇する。これにより、ウェーハWの裏面側に貼着された透明フィルムTが放射状にエキスパンド(伸張)される。そして、この透明フィルムTがエキスパンドされることにより、ウェーハWに外的応力が印加され、改質層Lを起点として、ウェーハWが分割される。改質層Lは、ストリートに沿って形成されているので、ウェーハWはストリートに沿って分割される。ストリートは、個々のチップの間に設定されているので、ウェーハWは、個々のチップに分割される。このように、レーザダイシングされたウェーハWは、外的応力を印加することにより、個々のチップに分割される。なお、透明フィルムT上に図示しないエキスパンドテープを貼り付け、該エキスパンドテープの部分で放射状にエキスパンドすると、一層効率よく且つ、安定して個々のチップに分割することができる。
ここで、本発明の効果を検証するために、ウェーハWの密着度について評価実験を行った結果について説明する。この評価実験では、図5示した構成、即ち、ウェーハテーブル20の上面に保持面22Aを形成し、ウェーハテーブル20の上面にウェーハWを載置して保持する構成を有する評価装置を用いた。なお、ウェーハテーブル20は石英ガラスからなり、ウェーハWに貼着される透明フィルムTにはポリオレフィン系透明フィルムを用いた。また、密着液26としてはIPAを用いた。
まず、12インチのウェーハWの透明フィルムTが貼着された面(裏面)をウェーハテーブル20の保持面22Aに何も介在させることなく載置した場合、ウェーハWの反りを測定したところ、約0.07mm程度の反りが生じていた。次に、上記のような反りが生じているウェーハWを密着液26を介在させた状態でウェーハテーブル20の保持面22Aに密着保持させた場合について評価を行った。具体的には、ウェーハテーブル20の保持面22Aにスポイトで10数滴分、面内均等にIPAを滴下した。そのときの滴下量としては30mg程度である。その後、ウェーハWをウェーハテーブル20に押圧する。押圧時に十分に界面のIPAをなじませた後、ウェーハWをウェーハテーブル20から剥離するときに要した剥離力を測定したところ、1つのチップ当たり約2N程度の剥離力を必要とした。また、ウェーハWは、ウェーハテーブル20の保持面22Aに完全に密着し、ウェーハWの反りは殆どなくなり、0.01mm以下となった。
なお、密着液26として、IPAの代わりに、水やエタノールを用いた場合においても、ウェーハWを撓ませることなくウェーハテーブル20の保持面22Aに密着保持させることができる。ただし、IPAを用いた場合には、水やエタノールを用いた場合に比べてウォーターマークの発生を抑制することができた。
以上の結果から、密着液26を介在させることによってウェーハWをウェーハテーブル20の保持面22Aに確実に密着させることが可能であり、密着液26としてはIPAが好適である。なお、上記実施例では、ダイシングフレームFにマウントされたウェーハWをウェーハテーブル20で密着保持して、レーザダイシングする構成としているが、ウェーハWをダイシングフレームFにマウントせず、直接ウェーハテーブル20で保持して、レーザダイシングすることもできる。また、ダイシングフレームFにはマウントせず、裏面にレーザ光を透過可能なテープ(ダイシングテープ)のみ貼着してレーザダイシングする構成とすることもできる。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
ウェーハの表面に形成されたデバイスを破壊することなく、ウェーハにレーザ光を照射してウェーハ内部の一定の深さ位置に改質層を形成し、また、レーザの途中経路における散乱を低減してレーザ焼けをなくし、レーザ焼けによる各部品の劣化、性能低下を防ぐとともに、レーザ照射後のウェーハを安定してチップに分割することが不可欠なレーザ光を用いたウェーハダイシングに広く適用することが可能である。
10 レーザダイシング装置
20 ウェーハテーブル
22 テーブル板
22A 保持面
23 溝
24 テーブル板保持フレーム
26 密着液
50 レーザ反射防止板
60 レーザ照射装置
62 レーザ発振装置
64 コリメータレンズ
66 コンデンサレンズ
68 アクチュエータ
110 剥離テーブル
112 リング
W ウェーハ
T 透明フィルム
F ダイシングフレーム

Claims (3)

  1. ウェーハにレーザ光を照射して、前記ウェーハの内部に改質層を形成するレーザダイシング装置において、
    前記ウェーハ裏面に密着させたフィルムと、
    前記フィルムを介して前記ウェーハを密着保持するウェーハ保持手段と、
    前記フィルム及び前記ウェーハ保持手段を通して前記ウェーハにレーザ光を照射し、前記ウェーハ内部に改質層を形成するレーザ照射手段と、
    を備えたことを特徴とするレーザダイシング装置。
  2. 前記フィルムは、ダイシングフレーム内に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載のレーザダイシング装置。
  3. 前記フィルムは、エキスパンドして前記ウェーハをチップに分割可能なエキスパンド性を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザダイシング装置。
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