JP2019125625A - 半導体装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アスペクト比の高い拡散領域を形成する技術を提供する。【解決手段】半導体装置の製造方法であって、半導体基板10の表層部に第14族元素イオンを注入して拡散抑制領域62を形成し、所定距離を隔てて配置されている第1拡散抑制部分領域及び第2拡散抑制部分領域を有する、拡散抑制領域形成工程と、第1拡散抑制部分領域と第2拡散抑制部分領域の間の半導体基板の表層部にドーパントイオンを注入するドーパントイオン注入工程と、ドーパントイオン注入工程で注入されたドーパントを拡散させる拡散工程と、を備える。【選択図】図4E
Description
本明細書が開示する技術は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置は、半導体基板内に設けられている複数種類の半導体領域の組合せで構成されている。このような半導体領域のいくつかは、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で形成されるのが望ましいことがある。
例えば、特許文献1は、トレンチゲートを備える半導体装置を開示する。この半導体装置は、トレンチゲートの底面の電界を緩和するために、トレンチゲートの底面に接するp型の電界緩和領域を備えている。さらに、この半導体装置は、トレンチゲートの側面に接して設けられているとともに電界緩和領域とボディ領域の双方に接するp型の接続領域を備えている。接続領域は、半導体装置がターンオフしたときに、電界緩和領域の電荷をボディ領域に素早く逃がすことにより、半導体装置のスイッチング特性を改善するために設けられている。このような電界緩和領域及び接続領域は、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で形成されるのが望ましい。
また、半導体装置は、その外周部の耐圧を向上させるために、p型のガードリング領域を備えていることが多い。このようなガードリング領域も、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で形成されるのが望ましい。
上記した電界緩和領域、接続領域及びガードリング領域は一例である。その他の種類の半導体領域についても、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で形成されるのが望ましいことがある。
このような半導体領域を形成するために、半導体基板の表層部にドーパントイオンを注入し、アニール処理によってそのドーパントを半導体基板の深さ方向に拡散させることが考えられる。ドーパントが深さ方向に拡散して形成された拡散領域は、イオン注入時の結晶欠陥を含んでいないことから、低欠陥で形成され得る。しかしながら、ドーパントは等方的に拡散する。このため、拡散によって形成される拡散領域は、高いアスペクト比を有することができない。
例えば、電界緩和領域及び接続領域のアスペクト比が小さいと、電界緩和領域及び接続領域が半導体基板の面方向に広がることから、トレンチゲートのピッチを大きく設定する必要がある。これにより、オン抵抗の増大が懸念される。また、ガードリング領域のアスペクト比が小さいと、ガードリングのピッチを大きく設定する必要がある。これにより、外周部の耐圧低下が懸念される。
このように、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で半導体領域を形成するために、アスペクト比の高い拡散領域を形成する技術が必要とされている。
本明細書が開示する半導体装置の製造方法は、拡散抑制領域形成工程、ドーパントイオン注入工程及び拡散工程を備えることができる。拡散抑制領域形成工程では、半導体基板の表層部に第14族元素イオンを注入して拡散抑制領域を形成することができる。拡散抑制領域は、所定距離を隔てて配置されている第1拡散抑制部分領域及び第2拡散抑制部分領域を有することができる。ドーパントイオン注入工程では、第1拡散抑制部分領域と第2拡散抑制部分領域の間の半導体基板の表層部にドーパントイオンを注入することができる。拡散工程では、ドーパントイオン注入工程で注入されたドーパントを拡散させることができる。この半導体装置の製造方法では、ドーパントイオンが第1拡散抑制部分領域と第2拡散抑制部分領域の間に注入される。このため、半導体基板の面方向におけるドーパントの拡散は、これら第1拡散抑制部分領域及び第2拡散抑制部分領域によって抑えられる。このため、ドーパントは、半導体基板の面方向に比して深さ方向に広く拡散することができる。このように、この製造方法によると、高アスペクト比の拡散領域を形成することができる。これにより、半導体基板の表面から所定深さにおいて、結晶欠陥が少ない状態で半導体領域を形成することができる。
本明細書が開示する半導体装置は、第1導電型のドリフト領域、ドリフト領域上に設けられている第2導電型のボディ領域、ボディ領域を貫通してドリフト領域に達するトレンチゲート、トレンチゲートの底面に接して設けられている第2導電型の電界緩和領域、及び、トレンチゲートの側面に接して設けられており、電界緩和領域とボディ領域の双方に接する第2導電型の接続領域を備えることができる。接続領域のキャリア濃度は、トレンチゲートの深さ方向に直交する直交方向において、トレンチゲートの側面近傍よりもドリフト領域近傍で高い。この半導体装置では、接続領域のキャリア濃度がドリフト領域近傍で高くなっているので、ドリフト領域と接続領域のpn接合から接続領域に広がる空乏層の伸展が抑制される。これにより、半導体装置がターンオフしたときに、接続領域の空乏化が抑えられているので、接続領域を介して電界緩和領域の電荷を素早く逃がすことができ、半導体装置のスイッチング特性が改善される。
図面を参照して、半導体装置1について説明する。半導体装置1は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)と称される種類の半導体装置である。半導体装置1は、特に限定されないが、パワー半導体装置に属するものであり、例えば電動型の自動車において、コンバータやインバータのスイッチング素子として採用することができる。ここでいう電動型の自動車には、例えば、ハイブリッド車、燃料電池車又は電気自動車といった、車輪をモータによって駆動する各種の自動車が含まれる。なお、以下では、MOSFETを例示して説明するが、本明細書が開示する技術は、他の種類の半導体装置にも適用可能であり、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)にも適用可能である。
図1に示されるように、半導体装置1は、炭化ケイ素(SiC)の半導体基板10を備えている。半導体基板10の中心側には、複数のトレンチゲート30が配置されている。なお、このストライプ状のレイアウトは一例であり、複数のトレンチゲート30のレイアウトには、他のレイアウトを採用することができる。さらに、半導体基板10の外周側には、それら複数のトレンチゲート30の周囲を一巡するように複数のガードリング領域16が配置されている。
図2に、図1のII−II線における要部断面図を模式的に示す。図3に、図1のIII−III線における要部断面図を模式的に示す。図2及び図3に示されるように、本明細書では、複数のトレンチゲート30が配置されている範囲をアクティブ部と称し、複数のガードリング領域16が配置されている範囲を外周部と称する。この例では、アクティブ部の周囲を一巡するように溝10Aが形成されており、その溝10Aの中心側の側面がアクティブ部と外周部の境界となる。
半導体基板10の裏面にはドレイン電極22が被膜しており、半導体基板10のアクティブ部の表面にはソース電極24が被膜しており、半導体基板10の外周部の表面には保護膜40が被膜している。ドレイン電極22及びソース電極24の材料は特に限定されないが、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Au(金)といった金属材料を採用することができる。保護膜40の材料は特に限定されないが、ポリイミドといった絶縁材料を採用することができる。
半導体基板10は、n+型のドレイン領域11、n-型のドリフト領域12、p型のボディ領域13、p+型のボディコンタクト領域14、n+型のソース領域15及びp型のガードリング領域16を有している。半導体基板10はさらに、p型の電界緩和領域17及びp型の接続領域18を有している。詳細は後述するが、トレンチゲート30は、その長手方向に沿ってMOS区間(図2参照)と非MOS区間(図3参照)が交互に繰返すように区画されており、MOS区間には接続領域18が形成されておらず、非MOS区間には接続領域18が形成されている。このように、トレンチゲート30は、接続領域18の有無により、MOS区間と非MOS区間に区画される。
ドレイン領域11は、n型ドーパント(例えばリン)がドープされたn型の半導体領域である。ドレイン領域11は、半導体基板10の裏層部に設けられており、アクティブ部と外周部に亘って配置されている。ドレイン領域11は、半導体基板10の裏面を被覆するドレイン電極22にオーミック接触している。なお、ドレイン領域11の厚みや、そのn型ドーパントの濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。ドレイン領域11は、ドリフト領域12及びボディ領域13を結晶成長するために下地基板でもある。
ドリフト領域12は、n型ドーパント(例えばリン)がドープされたn型の半導体領域である。ドリフト領域12は、結晶成長技術を利用してドレイン領域11上に積層されており、アクティブ部と外周部に亘って配置されている。ドリフト領域12のn型ドーパントの濃度は、ドレイン領域11におけるn型ドーパントの濃度よりも低い。なお、ドリフト領域12の厚みや、n型ドーパントの具体的な濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
ボディ領域13は、p型ドーパント(例えばアルミニウム)がドープされたp型の半導体領域である。ボディ領域13は、結晶成長技術を利用してドリフト領域12上に積層されており、アクティブ部に配置されている。なお、ボディ領域13の厚みや、そのp型不純物の具体的なの濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
ボディコンタクト領域14は、p型ドーパント(例えばアルミニウム)がドープされたp型の半導体領域である。ボディコンタクト領域14は、イオン注入技術を利用してアクティブ部のボディ領域13上に設けられており、半導体基板10の表面に露出している。ボディコンタクト領域14は、半導体基板10の表面を被覆するソース電極24にオーミック接触している。なお、ボディコンタクト領域14の厚みや、そのp型ドーパントの具体的なの濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
ソース領域15は、n型ドーパント(例えばリン)がドープされたn型の半導体領域である。ソース領域15は、イオン注入技術を利用してアクティブ部のボディ領域13上に設けられており、トレンチゲート30の側面に接しており、半導体基板10の表面に露出している。ソース領域15は、ボディ領域13を介してドリフト領域12から隔てられている。一例ではあるが、本実施例では複数のソース領域15がストライプ状に形成されており、各々のソース領域15は、トレンチゲート30の長手方向と平行に延びている。ソース領域15は、半導体基板10の表面を被覆するソース電極24にオーミック接触している。なお、ソース領域15の厚みや、そのn型ドーパントの具体的なの濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
ガードリング領域16は、p型ドーパント(例えばボロン)がドープされたp型の半導体領域である。ガードリング領域16は、イオン注入技術を利用して外周部のドリフト領域12上に設けられており、溝10Aの底面に露出している。ガードリング領域16は、アクティブ部の周囲を一巡するように配置されており(図1参照)、ドリフト領域12によってボディ領域13から隔てられている。このため、ガードリング領域16の電位はフローティングである。ガードリング領域16は、半導体装置1がターンオフしたときに、アクティブ部のドリフト領域12とボディ領域13のpn接合から伸びる空乏層を外周部に向けて伸展させ、外周部の耐圧を向上させるために設けられている。なお、ガードリング領域16の厚みや、そのp型ドーパントの具体的なの濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
図2及び図3に示されるように、電界緩和領域17は、p型ドーパント(例えばボロン)がドープされたp型の半導体領域である。電界緩和領域17は、トレンチゲート30の底面に接して設けられており、ドリフト領域12によって囲まれている。電界緩和領域17は、トレンチゲート30の長手方向の全範囲に亘ってトレンチゲート30の底面に沿って設けられている。電界緩和領域17は、トレンチゲート30の底面近傍における電界強度を緩和するために設けられている。なお、電界緩和領域17の形状や、p型ドーパントの具体的な濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
接続領域18は、p型ドーパント(例えばボロン)がドープされたp型の半導体領域である。接続領域18は、トレンチゲート30の側面に接して設けられており、電界緩和領域17とボディ領域13の間を延びており、電界緩和領域17とボディ領域13の双方に接している。これにより、電界緩和領域17は、接続領域18を介してボディ領域13に電気的に接続されている。なお、接続領域18の形状や、p型ドーパントの具体的な濃度については、特に限定されず、適宜設計することができる。
先述したように、接続領域18は、トレンチゲート30の長手方向に沿って分散して設けられている。このため、トレンチゲート30の長手方向に沿って観測したときに、接続領域18が設けられていない区間(図2のMOS区間)と接続領域18が設けられている区間(図3の非MOS区間)が交互に繰返し現れる。なお、後述するように、電界緩和領域17と接続領域18は、共通の製造工程によって同時に形成されており、1つのp型半導体領域と見なすこともできる。本明細書では、トレンチゲート30の底面に沿って設けられているp型半導体領域を電界緩和領域17といい、その電界緩和領域17とボディ領域13を電気的に接続するp型半導体領域を接続領域18という。
トレンチゲート30は、半導体基板10の表面からソース領域15及びボディ領域13を貫通してドリフト領域12に達しており、ゲート電極32及びゲート絶縁膜34を有している。ゲート電極32は、導電性を有する材料で構成されており、その材料には、例えばポリシリコンを採用することができる。ゲート絶縁膜34は、絶縁性を有する材料で構成されており、その材料には、例えば酸化シリコンを採用することができる。ゲート電極32は、ドリフト領域12とソース領域15を隔てている位置のボディ領域13にゲート絶縁膜34を介して対向している。
次に、半導体装置1の動作を説明する。ドレイン電極22に正電圧が印加され、ソース電極24が接地され、トレンチゲート30のゲート電極32が接地されていると、半導体装置1はオフである。このとき、ドリフト領域12と電界緩和領域17のpn接合から延びる空乏層がトレンチゲート30の底面近傍に形成され、トレンチゲート30の底面近傍の電界が緩和される。半導体装置1は、高耐圧な特性を有することができる。
ドレイン電極22に正電圧が印加され、ソース電極24が接地され、トレンチゲート30のゲート電極32にソース電極24よりも正となる電圧が印加されると、ドリフト領域12とソース領域15を隔てる位置のボディ領域13に反転層が形成され、その反転層を介して電流が流れ、半導体装置1がターンオンする。これにより、半導体装置1では、ドレイン電極22とソース電極24の間が導通する。
半導体装置1では、ボディ領域13と電界緩和領域17が接続領域18を介して電気的に接続されていることを特徴とする。このため、半導体装置1がターンオフしたときに、電界緩和領域17の電荷をボディ領域13に素早く逃がすことができるので、半導体装置1のスイッチング特性が改善される。
次に、図4A−図4Gを参照して、電界緩和領域17及び接続領域18を形成する方法を説明する。以下、本明細書が開示する技術の理解を助けるために、MOS区間と非MOS区間の要部断面図を並べて図示するとともに、ボディコンタクト領域14及びソース領域15を省略して図示する。なお、ボディコンタクト領域14及びソース領域15は、電界緩和領域17及び接続領域18を形成した後に形成してもよい。
まず、図4Aに示されるように、半導体基板10の表面を被覆するように第1マスク52を成膜する。この例では、第1マスク52の材料は、酸化シリコンである。なお、第1マスク52の材料は、酸化シリコンに代えて、フォトレジストマスクでもよい。第1マスク52には、トレンチゲート形成範囲30Aに対応して開口52aが形成されている。第1マスク52の開口52aは、トレンチゲート形成範囲30Aの短手方向(紙面左右方向)に所定距離を隔てて配置されている。MOS区間では、第1マスク52の開口52aが、トレンチゲート形成範囲30Aの範囲内に形成されている。非MOS区間では、第1マスク52の開口52aが、トレンチゲート形成範囲30Aの範囲外に形成されている。トレンチゲート形成範囲30Aの短手方向において、MOS区間における開口52a間の幅を52Waとし、非MOS区間における開口52a間の幅を52Wbとすると、52Wa<52Wbの関係が成立している。
次に、図4Bに示されるように、イオン注入技術を利用して、第1マスク52の開口52aから露出する半導体基板10に向けてカーボンイオンを注入し、拡散抑制領域62を形成する(拡散抑制領域形成工程)。拡散抑制領域62は、カーボンを高濃度に含む領域である。この例では、拡散抑制領域62は、カーボンの濃度がトレンチゲート形成範囲30Aの短手方向(紙面左右方向)においてピークを有するように構成されている。拡散抑制領域62のカーボンの濃度は、後述するp型拡散領域102の拡散を抑制するために、そのp型拡散領域102のドーパントの濃度以上であるのが望ましい。より望ましくは、拡散抑制領域62のカーボンの濃度は、p型拡散領域102のドーパントの濃度の10倍以上であるのが望ましい。なお、p型拡散領域102のドーパントの濃度は、p型領域として機能するために、ドリフト領域12のドーパント濃度よりも濃い。したがって、拡散抑制領域62のカーボンの濃度は、ドリフト領域12のドーパント濃度よりも濃いのが望ましい、ということもできる。拡散抑制領域62は、ボディ領域13を超えてドリフト領域12に達している。MOS区間に形成される拡散抑制領域62は、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向に沿って対向するように配置された一対の拡散抑制部分領域を構成しており、これら拡散抑制部分領域は、開口幅52Waに対応した所定距離を離れて形成されている。同様に、非MOS区間に形成される拡散抑制領域62も、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向に沿って対向するように配置された一対の拡散抑制部分領域を構成しており、これら拡散抑制部分領域は、開口幅52Wbに対応した所定距離を離れて形成されている。
次に、図4Cに示されるように、第1マスク52を除去した後に、半導体基板10の表面を被覆するように第2マスク54を成膜する。この例では、第2マスク54の材料は、酸化シリコンである。第2マスク54には、MOS区間及び非MOS区間のいずれにおいても、拡散抑制領域62に挟まれた領域に対応して開口54aが形成されている。第2マスク54の開口54aの開口幅は、MOS区間よりも非MOS区間で大きい。
次に、図4Dに示されるように、イオン注入技術を利用して、第2マスク54の開口54aから露出する半導体基板10に向けてボロンイオンを注入し、ボロンイオン注入領域100を形成する(ドーパントイオン注入工程)。ボロンイオン注入領域100は、半導体基板10の表面から浅い位置に形成されており、ボディ領域13内に形成されている。第2マスク54の開口54aの開口幅の相違により、MOS区間よりも非MOS区間に対して多くのボロンイオンが注入される。
次に、図4Eに示されるように、アニール技術を利用して、ボロンイオン注入領域100に注入されたボロンを拡散させて、p型拡散領域102を形成する(拡散工程)。ボロンは、炭化珪素中を拡散し易いという性質を有している。一方、炭化珪素内にカーボンが高濃度に含まれていると、ボロンの拡散が抑制されることが知られている。本製造方法では、ボロンイオン注入領域100を間に置いてカーボンを高濃度に含む拡散抑制領域62が、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向に沿って対向するように配置されている。このため、ボロンイオン注入領域100から拡散するボロンは、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向における拡散が拡散抑制領域62によって抑制される。これにより、p型拡散領域102は、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向よりも深さ方向に広く拡散し、アスペクト比が1よりも高くなり、高アスペクト比な形態を有することができる。特に、MOS区間の拡散抑制領域62間の距離(図4Bの52Waに相当)が、非MOS区間の拡散抑制領域62間の距離(図4Bの52Wbに相当)よりも短い。このため、トレンチゲート形成範囲30A(図4A参照)の短手方向において、MOS区間に形成されるp型拡散領域102の幅102Waは、非MOS区間に形成されるp型拡散領域102の幅102Waよりも小さくなる。
次に、図4Fに示されるように、第2マスク54を除去した後に、半導体基板10の表面を被覆するように第3マスク56を成膜する。この例では、第3マスク56の材料は、酸化シリコンである。第3マスク56には、MOS区間及び非MOS区間のいずれにおいても、p型拡散領域102を含むように開口56aが形成されている。特に、MOS区間では、第3マスク56の開口56aは、拡散抑制領域62も含むように形成されている。
次に、図4Gに示されるように、異方性エッチング技術を利用して、第3マスク56の開口56aから露出する半導体基板10の表面からボディ領域13を貫通してドリフト領域12に達するトレンチTRを形成する。トレンチTRは、p型拡散領域102よりも浅くなるように形成される。これにより、トレンチTRの底面に接するp型拡散領域102の一部が電界緩和領域17となる。また、MOS区間のp型拡散領域102の幅102Wa(図4F参照)が非MOS区間のp型拡散領域102の幅102Wb(図4F参照)よりも小さく形成されていたことから、トレンチTRよりも浅い範囲のp型拡散領域102については、MOS区間においてはトレンチTRの側面には残存せず、非MOS区間においてはトレンチTRの側面に残存する。これにより、非MOS区間において、トレンチTRの側面に接するp型拡散領域102の一部が接続領域18となる。
最後に、トレンチTR内にトレンチゲート30(図2及び図3参照)を形成する。これらの工程を経て、半導体装置1を製造することができる。
以下、上記製造方法の特徴を列記する。
(1)図4Eに示されるように、上記製造方法は、拡散抑制領域62を予め形成することにより、ボロンイオン注入領域100から拡散するボロンの拡散を拡散抑制領域62によって抑制し、高アスペクト比のp型拡散領域102を形成することができる。このようなp型拡散領域102の一部が電界緩和領域17及び接続領域18となることから、トレンチゲート30とそれに付随する電界緩和領域17及び接続領域18を幅狭な範囲に形成することができる。これにより、トレンチゲート30のピッチを狭くすることができるので、半導体装置1の電流密度が高くなり、半導体装置1のオン抵抗が低下する。
(1)図4Eに示されるように、上記製造方法は、拡散抑制領域62を予め形成することにより、ボロンイオン注入領域100から拡散するボロンの拡散を拡散抑制領域62によって抑制し、高アスペクト比のp型拡散領域102を形成することができる。このようなp型拡散領域102の一部が電界緩和領域17及び接続領域18となることから、トレンチゲート30とそれに付随する電界緩和領域17及び接続領域18を幅狭な範囲に形成することができる。これにより、トレンチゲート30のピッチを狭くすることができるので、半導体装置1の電流密度が高くなり、半導体装置1のオン抵抗が低下する。
(2)また、p型拡散領域102は熱拡散によって形成されているので、ボロンイオン注入領域100から拡散した範囲のp型拡散領域102については、結晶欠陥が少ない状態で形成されている。図4F及び図4Gに示されるように、トレンチTRは、ボロンイオン注入領域100を取り除くように形成されている。このため、トレンチTRの形成後に残存するp型拡散領域102は、結晶欠陥の少ない状態で形成されている。このようなp型拡散領域102を用いて形成される電界緩和領域17及び接続領域18も、結晶欠陥の少ない状態で形成されている。これにより、半導体装置1では、電界緩和領域17及び接続領域18の結晶欠陥に起因したリーク電流が抑えられる。
(3)また、図4C及び図4Dに示されるように、上記製造方法は、電界緩和領域17及び接続領域18を共通の第2マスク54を用いて形成することができる。半導体装置1は、低い製造コストで製造され得る。
(4)上記製造方法では、カーボンイオンを用いて拡散抑制領域62を形成した。この例に代えて、拡散抑制領域62は、ドーパントとならない第14族元素イオン、例えば、シリコンイオン、ゲルマニウムイオン、錫イオン又は鉛イオンが採用され得る。
(5)上記製造方法では、ボロンイオンを用いてp型拡散領域102を形成した。この例に代えて、p型拡散領域102は、ドーパントとなる第13族元素イオン、例えばアルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン又はチタンイオンが採用され得る。
また、上記製造方法で製造された半導体装置1は、次のような特性を有することができる。図5に、図4Gの工程後の接続領域18近傍の要部拡大断面図と特定深さにおける接続領域18のキャリア濃度分布を示す。接続領域18のキャリア濃度分布は、トレンチTRの短手方向(紙面左右方向)に沿った分布である。なお、接続領域18のキャリア濃度分布は、図5に示す特定深さに限らず、他の深さにおいても同様の傾向を示す。
図5に示されるように、接続領域18のキャリア濃度分布は、トレンチTRの側面近傍よりもドリフト領域12近傍で高い。これは、(1)拡散抑制領域62によって拡散が抑制されたボロンが、ドリフト領域12と接続領域18の界面近傍に高濃度に存在する、(2)ボロンの活性化率がカーボンによって高くなる、ことが理由だと考えられる。即ち、ドリフト領域12と接続領域18の界面近傍は、ボロンとカーボンの双方が高濃度に存在しており、これにより、ボロンのキャリア濃度が高濃度になると考えられる。接続領域18がこのようなキャリア濃度分布を有していると、半導体装置1がターンオフしたときに、ドリフト領域12と接続領域18のpn接合から接続領域18に広がる空乏層の伸展が抑制される。これにより、半導体装置1がターンオフしたときに、接続領域18の空乏化が抑えられているので、接続領域18を介して電界緩和領域17の電荷を素早く逃がすことができ、半導体装置1のスイッチング特性が改善される。なお、このような作用効果は、接続領域18が上記のようなキャリア濃度分布を有していれば得られるものである。このため、上記の製造方法とは異なる製造方法で製造されたとしても、接続領域18が上記のようなキャリア濃度分布を有していれば、同様の作用効果が発揮され得る。
上記製造方法で形成された高アスペクト比のp型拡散領域102は、電界緩和領域17及び接続領域18を形成するために用いられた。同様の製造方法を利用して形成される高アスペクト比のドーパント拡散領域は、半導体装置を構成する様々な半導体領域を形成するために用いることができ、例えば外周部のガードリング領域16を形成するために用いられてもよい。
以上、本技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書又は図面に記載された技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載された組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示された技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
1:半導体装置
10:半導体基板
10A:溝
11:ドレイン領域
12:ドリフト領域
13:ボディ領域
14:ボディコンタクト領域
15:ソース領域
16:ガードリング領域
17:電界緩和領域
18:接続領域
22:ドレイン電極
24:ソース電極
30:トレンチゲート
32:ゲート電極
34:ゲート絶縁膜
40:保護膜
10:半導体基板
10A:溝
11:ドレイン領域
12:ドリフト領域
13:ボディ領域
14:ボディコンタクト領域
15:ソース領域
16:ガードリング領域
17:電界緩和領域
18:接続領域
22:ドレイン電極
24:ソース電極
30:トレンチゲート
32:ゲート電極
34:ゲート絶縁膜
40:保護膜
Claims (2)
- 半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の表層部に第14族元素イオンを注入して拡散抑制領域を形成する拡散抑制領域形成工程であって、前記拡散抑制領域は、所定距離を隔てて配置されている第1拡散抑制部分領域及び第2拡散抑制部分領域を有する、拡散抑制領域形成工程と、
前記第1拡散抑制部分領域と前記第2拡散抑制部分領域の間の前記半導体基板の前記表層部にドーパントイオンを注入するドーパントイオン注入工程と、
前記ドーパントイオン注入工程で注入されたドーパントを拡散させる拡散工程と、を備える半導体装置の製造方法。 - 半導体装置であって、
第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域上に設けられている第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に達するトレンチゲートと、
前記トレンチゲートの底面に接して設けられている第2導電型の電界緩和領域と、
前記トレンチゲートの側面に接して設けられており、前記電界緩和領域と前記ボディ領域の双方に接する第2導電型の接続領域と、を備えており、
前記接続領域のキャリア濃度は、前記トレンチゲートの深さ方向に直交する直交方向において、前記トレンチゲートの前記側面近傍よりも前記ドリフト領域近傍で高い、半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018003609A JP2019125625A (ja) | 2018-01-12 | 2018-01-12 | 半導体装置及び半導体装置の製造方法 |
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JP2018003609A JP2019125625A (ja) | 2018-01-12 | 2018-01-12 | 半導体装置及び半導体装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021010507A (ja) * | 2019-07-04 | 2021-02-04 | 株式会社大一商会 | 遊技機 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001094095A (ja) * | 1999-09-21 | 2001-04-06 | Denso Corp | 炭化珪素半導体装置及びその製造方法 |
JP2013125763A (ja) * | 2011-12-13 | 2013-06-24 | Toyota Motor Corp | スイッチング素子とその製造方法 |
JP2017195224A (ja) * | 2016-04-18 | 2017-10-26 | トヨタ自動車株式会社 | スイッチング素子 |
-
2018
- 2018-01-12 JP JP2018003609A patent/JP2019125625A/ja active Pending
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