JP2019121643A - デバイス形成方法 - Google Patents

デバイス形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019121643A
JP2019121643A JP2017254026A JP2017254026A JP2019121643A JP 2019121643 A JP2019121643 A JP 2019121643A JP 2017254026 A JP2017254026 A JP 2017254026A JP 2017254026 A JP2017254026 A JP 2017254026A JP 2019121643 A JP2019121643 A JP 2019121643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sacrificial layer
carrier
layer
substrate
formation method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017254026A
Other languages
English (en)
Inventor
篤史 大澤
Atsushi Osawa
篤史 大澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Screen Holdings Co Ltd
Original Assignee
Screen Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Screen Holdings Co Ltd filed Critical Screen Holdings Co Ltd
Priority to JP2017254026A priority Critical patent/JP2019121643A/ja
Publication of JP2019121643A publication Critical patent/JP2019121643A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】デバイスが形成される基材とこれを支持するキャリアとの分離を、デバイスにダメージを与えることなく低コストで実現することのできる技術を提供する。【解決手段】本発明のデバイス形成方法は、赤外線に対し透明なキャリアの表面に犠牲層を積層する工程(ステップS102)と、犠牲層の表面に基材としての樹脂層を積層する工程(ステップS103)と、基材の表面にデバイスを形成する工程(ステップS104〜S106)と、犠牲層を加熱し分解させて、キャリアと基材とを分離させる工程(ステップS107〜S108)とを備える。犠牲層は窒化銅を主成分とするものであり、キャリアを介して赤外線を含む光を照射して犠牲層を加熱する。【選択図】図1

Description

この発明は、基材の表面に半導体素子や発光素子等のデバイスを形成する方法に関するものである。
例えばフレキシブルディスプレイ等の製造を目的として、樹脂フィルム等の柔軟な基材の表面に半導体素子や発光素子等のデバイスを形成するという需要がある。柔軟な基材の表面に安定的にデバイスを形成するために、基材を例えばガラス板等のキャリアに固定した状態でデバイスを形成し、その後に基材とキャリアとを分離させる方法が用いられることがある。この場合、基材とキャリアとの分離を容易にするために、両者の間に分解しやすい犠牲層を設けておくことが行われる。
例えば特許文献1に記載の技術では、成長基板の表面に剥離層および下地層が順に積層され、下地層の表面に半導体素子を形成した後に、成長基板を介して剥離層にレーザ光を照射することで、剥離層を分解させて半導体素子を成長基板から分離させる。また、特許文献2に記載の技術では、デバイス形成のためのプラスチック層をガラス基板上に形成する際、ガラス基板との界面に紫外線吸収物質がドープされる。そして、ガラス基板を介して照射される紫外光を吸収したプラスチック層の表面が分解することで、ガラス基板とプラスチック基板とが分離される。
特開2007−116110号公報 特表2010−534164号公報
上記のような従来技術では、基材とキャリアとの分離に際してデバイス等にダメージを与えないようにするために、特定波長の光(多くの場合紫外光)を選択的に吸収して化学的に分解する材料が犠牲層として用いられる。したがって、犠牲層の分解に、当該波長で大きな出力が得られるレーザ光源と、レーザ光を基材の広い範囲に入射させるための光学系とが必要になる。特に基材が大型である場合、このような装置は非常に高価なものとなる。このため、デバイスの製造コストが高くなってしまうという問題がある。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、デバイスが形成される基材とこれを支持するキャリアとの分離を、デバイスにダメージを与えることなく低コストで実現することのできる技術を提供することを目的とする。
この発明に係るデバイス形成方法の一の態様は、上記目的を達成するため、赤外線に対し透明なキャリアの表面に犠牲層を積層する工程と、前記犠牲層の表面に基材としての樹脂層を積層する工程と、前記基材の表面にデバイスを形成する工程と、前記犠牲層を加熱し分解させて、前記キャリアと前記基材とを分離させる工程とを備え、前記犠牲層は窒化銅を主成分とするものであり、前記キャリアを介して赤外線を含む光を照射して前記犠牲層を加熱する。
このように構成された発明において、犠牲層として用いられる窒化銅は、350℃程度で熱分解する物質である。例えば銅窒化物の代表的な化合物である組成式CuNで表されるニトリロ三銅(I)の分解温度は約300℃である。このため、赤外線照射により与えられる程度の熱エネルギーによる加熱でも銅と窒素ガスとに分解することが可能である。このような物質をキャリアと基材との間の犠牲層に用い、キャリアを介して赤外線を含む光を照射し犠牲層を加熱することで、キャリアと基材との間に窒素ガスが発生する。これにより、キャリアと基材とが物理的に分離される。
この程度の加熱であれば、赤外線を含む光を照射する一般的な加熱手段、例えばフラッシュランプや高速加熱(Rapid Thermal Anneal;RTA)装置等を用いることが可能である。このため、短波長大出力レーザや大型の光学系は不要であり、デバイス製造コストを大幅に低減することが可能である。また、赤外線に対し透明なキャリアを介して赤外線を照射すれば、赤外線はほぼ直接的に犠牲層に入射し、犠牲層を選択的に加熱することができる。これにより犠牲層の温度が急速に上昇するため、赤外線照射による加熱はマイクロ秒ないし秒オーダーで済む。このため、基材や基材に形成されているデバイスに及ぼす熱の影響も極めて小さく抑えることができる。
上記のように、本発明では、分解温度の低い窒化銅を犠牲層として用い、キャリア側から赤外線を含む光を照射して犠牲層を分解させるので、デバイスにダメージを与えることなく低コストでキャリアと基材とを分離させることが可能である。
本実施形態における表示装置の製造プロセスを示すフローチャートである。 この製造プロセスの各過程を模式的に示す図である。 プラズマスパッタリング装置の構成例を示す側面図である。 ガス中の窒素比率と薄膜の比抵抗との関係を示すグラフである。 ガス中の窒素比率と薄膜の屈折率との関係を示すグラフである。 フラッシュランプアニール装置の構成例を示す図である。
以下、本発明に係るデバイス形成方法を適用した実施形態について説明する。ここでは、「基材」としてのポリイミド樹脂層に「デバイス」としての有機EL表示素子が多数配列された有機EL表示装置(以下、単に「表示装置」ということがある)を製造するプロセスを例として説明するが、基材の材料やデバイスの構造・種類についてはこれらに限定されるものではない。例えば基材としては、ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂等を適用することができる。また、デバイスとしては半導体素子、液晶表示素子、センサ素子等を適用することができる。
また、以下に説明するように、薄く撓みやすい基材にデバイスを安定的に形成するために、この製造プロセスにおいては基材をキャリアに固定した状態でデバイス形成が行われる。キャリアとしては例えばガラス板を好適に適用可能であるが、これに限定されるものではない。ただし、本実施形態においてキャリアは赤外線に対する透過性を有するものであることが望ましい。
図1は本実施形態における表示装置の製造プロセスを示すフローチャートである。また、図2はこの製造プロセスの各過程を模式的に示す図である。最初に、キャリアとして例えばガラス板が準備される(ステップS101)。キャリアの厚さは例えば数百μmないし数mm程度である。必要に応じ洗浄や疎水化処理等の表面処理がなされてもよい。次に、図2(a)に示すように、キャリア10の表面に犠牲層11としての窒化銅の薄膜が形成される(ステップS102)。この成膜については、例えば反応性プラズマスパッタリング法を好適に適用することができるが、成膜方法は特に限定されない。反応性プラズマスパッタリングによる成膜例については後述する。
窒化銅は組成式CuNで代表的に表されるものであり、典型的な化合物としては組成式CuN(すなわちx=1/3)で表されるニトリロ三銅(I)がある。このニトリロ三銅(I)の分解温度は約300℃である。熱非平衡反応である反応性プラズマスパッタリングでは、これ以外の種々の組成を有する銅窒化物の薄膜を形成可能であり、薄膜全体としての窒素の含有率については例えば、0<x<3とすることができる。形成された薄膜の分解温度はxの値により変動するが、上記範囲であれば概ね300℃ないし400℃程度である。犠牲層11の膜厚については後述するが、例えば200nmとすることができる。
図2(b)に示すように、上記のようにして形成された犠牲層11の表面に、基材層21としてのポリイミド樹脂層が形成される(ステップS103)。基材層21の形成には、例えばポリイミド樹脂材料および溶剤を含む溶液を犠牲層11の表面に塗布するウェット処理を適用することができる。塗布方法は特に限定されないが、例えば公知のスリットコート法を用いることができる。必要に応じ、塗布液の硬化を促進するための熱処理が加えられてもよい。ただし、犠牲層11の分解温度より低い温度で熱処理を行う必要がある。形成される基材層21の厚さは、例えば5μmないし20μm程度である。
次に、図2(c)ないし図2(e)に示すように、基材層21の表面に有機EL表示素子が形成される。具体的には、図3(c)に示すように、表示素子を駆動するための薄膜トランジスタ22が形成される(ステップS104)。薄膜トランジスタ22としては、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(Low Temperature Poly-Silicon Thin Film Transistor;LTPSTFT)を好適に適用可能である。このようなLTPSTFTの形成方法は公知であり、本実施形態においても同様の形成方法を適用可能であるので説明を省略する。
こうして形成された薄膜トランジスタ22に、図2(d)に示すように、有機EL発光層23(赤色発光層23R、緑色発光層23G、青色発光層23B)が積層される(ステップS105)。これらの形成には、例えばファインメタルマスク(Fine Metal Mask;FMM)を使用した真空蒸着法を好適に適用することができる。
さらに、図2(e)に示すように、有機EL発光素子層23を保護し劣化を防止するための封止層24が形成される(ステップS106)。封止層24としては、例えば酸化シリコン(SiO)を適用することができる。その形成方法は特に限定されず、公知の適宜の形成方法を適用可能である。
上記のようにして、基材層21に薄膜トランジスタ22、有機EL発光層23および封止層24が順次積層された有機EL表示装置20が、犠牲層11を介してキャリア10に固定された構造体が形成される。次に、表示装置20とキャリア10とが分離される。具体的には、図2(f)に示すように、犠牲層11に対し、赤外線IRがキャリア10側から略一様に照射される(ステップS107)。犠牲層11が赤外線を吸収して加熱され、分解温度まで昇温すると、銅と窒素ガスとに分離する。これにより、表示装置20とキャリア10との間に窒素ガスの層が生じることとなり、図2(g)に示すように、表示装置20とキャリア10とが簡単に分離される(ステップS108)。
分離後の表示装置20の基材層21側には遊離した銅が残留付着している場合があり得る。しかしながら、両者は化学的に強く結合しているわけではないので、適宜の洗浄処理を実行することにより(ステップS109)、基材層21から銅を除去することが可能である。このようにして、有機EL表示装置20を製造することができる。
次に、窒化銅による犠牲層11の形成工程(ステップS102)について、より詳細に説明する。前記したように、熱非平衡反応である反応性プラズマスパッタリングにより種々の組成の窒化銅を成膜可能である。組成により物性も異なるため、犠牲層11として利用可能な薄膜を安定的に形成するための成膜条件が確立される必要がある。以下、成膜条件と得られた薄膜の性質との相関性について説明する。
図3は犠牲層の成膜に用いられるプラズマスパッタリング装置の構成例を示す側面図である。このプラズマスパッタリング装置100は、反応性スパッタリングにより処理対象であるワークWの表面に皮膜を形成する装置である。プラズマスパッタリング装置100は、真空チャンバ101と、その内部に配置されたワークWを搬送する搬送機構30およびスパッタソース50と、装置全体の動作を制御する制御部90とを備えている。真空チャンバ101は略直方体形状の外形を有する中空の箱型部材であり、底板の上面が水平姿勢となるように配置されている。真空チャンバ101の内部空間は真空ポンプ103により適宜の気圧に制御される。
搬送機構30は、ワークWをその下面を開放した状態で保持するトレイ31と、トレイ31の下面に当接してトレイ31を支持する複数の搬送ローラ32と、搬送ローラ32を回転させることでトレイ31を紙面左右方向に移動させる搬送駆動部(図示省略)とを備えている。このように構成された搬送機構30は、真空チャンバ101内でワークWを水平姿勢に保持しつつ搬送して、ワークWを点線矢印方向に移動させる。搬送機構30によるワークWの移動は、図1に示すように往復移動であってもよく、また一方向のみへの移動であってもよい。
このようにして真空チャンバ101内を搬送されるワークWの下方にスパッタソース50が設けられている。スパッタソース50は、回転カソード51と、回転カソード51の内部に設けられた磁石ユニット52と、回転カソード51を保持しつつ回転させる回転駆動部53と、真空チャンバ101内に高周波電界を生じさせるための誘導結合アンテナ54と、ガスノズル55と、各部に電力を供給する電源部56とを備えている。スパッタソース50は、その上部に配置されるワークWとの間のプラズマ空間PSにスパッタガスのプラズマを発生させる機能を有する。
回転カソード51と磁石ユニット52とは一体としてマグネトロン型回転カソードを構成する。回転カソード51は、図3紙面に直交する方向を軸方向とする円筒状のベース部材511と、ベース部材511の外周を被覆するターゲット材512とを備えている。ベース部材511は導電体であり、軸方向の両端部に対応して回転駆動部53に設けられた軸受部(図示省略)により、中心軸周りに回転自在に支持されている。回転駆動部53は制御部90により制御される。
ターゲット材512はワークW上に成膜される膜の材料を含むものであり、窒化銅薄膜を形成する例においては金属銅である。このようにターゲット材が導電性を有するものである場合、ベース部材を省略することが可能である。すなわち、予め円筒形状に成形されたターゲット材が用いられることで、ベース部材が省かれてもよい。この場合、回転駆動部53はターゲット材を直接支持しつつ回転させるように構成される。
回転カソード51の内部に配置された磁石ユニット52は、透磁鋼などの磁性材料により形成されたヨークに複数の磁石が取り付けられた構造を有している。磁石ユニット52は回転カソード51の中心部に延設された棒状の支持部材に取り付けられているが、回転カソード51の回転によって回転しない。回転カソード51に設けられた磁石ユニット52は上向きに配置される。したがって、磁石ユニット52によりプラズマ空間PSに集中的に静磁場が形成される。
回転カソード51を挟んで突出するように、真空チャンバ101の底面には1対の誘導結合アンテナ54,54が設けられている。誘導結合アンテナ54はLIA(Low Inductance Antenna:株式会社イー・エム・ディーの登録商標)とも称されるものであり、略U字型に形成された導体541の表面が例えば石英などの誘電体542で被覆された構造を有する。誘導結合アンテナ54は、U字を上下逆向きにした状態で、真空チャンバ101の底面を貫通して設けられる。また、紙面に垂直な方向に沿って複数の誘導結合アンテナ54が配置される。導体541の表面が誘電体542で被覆された構造とすることで、導体541がプラズマに曝露されることが防止される。これにより、導体541の構成元素がワークW上の膜に混入することが回避される。
このように構成された誘導結合アンテナ54は、巻回数が1未満のループアンテナと見ることができる。そのため、低インダクタンスである。このような小型のアンテナを、巻回軸方向と直交する方向に複数並べて配置することで、インダクタンスの増大を抑えつつ、後述するプラズマ発生のための誘導電界を広い範囲に形成することが可能である。
プラズマスパッタリング装置100はまた、上記のスパッタソース50の周囲を取り囲むように真空チャンバ101内に配置された、上部が紙面に垂直な方向に沿って細長く開口する筒状または箱状の遮蔽部材であるチムニー102を備えている。チムニー102は、スパッタソース50において発生するプラズマやターゲットからスパッタされたスパッタ粒子の飛散範囲を制限するシールドとしての機能を有する。
回転カソード51の上面と、トレイ31により保持されるワークWの下面とは、チムニー102上部の開口を介して対向している。後述するように、これらに囲まれた空間PSが、プラズマを発生させてターゲットをスパッタリングしワークWに成膜を行うプラズマ空間となる。
プラズマ空間PSには、図示しないガス供給部からスパッタガスとしてのアルゴンガスと反応性ガスとしての窒素ガスとを含むガスが導入される。具体的には、ガス供給部から供給されるガスは、真空チャンバ101の底面に設けられたノズル55,55からチムニー102に囲まれるプラズマ空間PSに向けて吐出される。ガス供給部はガス流量を自動的に制御することができるものであることが好ましく、例えばマスフローコントローラを備えたものとすることができる。
回転カソード51と誘導結合アンテナ54との間には、電源部56から適宜の電圧が印加される。具体的には、回転カソード51のベース部材511には、電源部56に設けられた直流電源561が接続されており、直流電源561から適宜の直流負電位が与えられる。一方、誘導結合アンテナ54には、電源部56に設けられた高周波電源562が整合回路563を介して接続されており、高周波電源56から高周波パルスなどの適宜の高周波電圧が印加される。直流電源561および高周波電源562のそれぞれから出力される電圧値やその波形は制御部90により制御される。
直流電源561から回転カソード51に適宜の直流電位が与えられることで、回転カソード51の表面、より具体的にはプラズマ空間PSに臨むターゲット材512の表面近傍に電界が形成され、これによりスパッタガスのプラズマ(マグネトロンプラズマ)が生成される。すなわち、直流電源561は、磁石ユニット52が形成する静磁場によってプラズマ空間PSにマグネトロンプラズマが発生するのに必要な電圧を回転カソード51に印加する。この目的のために、回転カソード51に印加される電圧に適宜のパルス電圧または交流電圧が重畳されてもよい。
また、高周波電源562から誘導結合アンテナ54に高周波電力(例えば周波数13.56MHzの高周波電力)が供給されることで、誘導結合アンテナ54と回転カソード51との間に高周波誘導電界が生じ、プラズマ空間PSに供給されるスパッタガスおよび反応性ガスの誘導結合プラズマ(Inductivity Coupled Plasma;ICP)が発生する。このようにして生成されるプラズマも、処理空間PSに形成される静磁場に引き寄せられる。その結果、プラズマ空間PSには高密度のプラズマが生成される。
こうしてプラズマ空間PSに生成されるプラズマによりターゲット材512の表面がスパッタされ、ターゲット粒子が反応性ガス種としての窒素とともにワークWの下面に付着することで成膜が行われる。ターゲット材として銅を含むものを用いることで、ワークW下面に窒化銅の薄膜が形成される。上記した表示装置の製造プロセスにおいては、キャリア10であるガラス板をワークWとしてプラズマスパッタリング装置1に搬入して、その下面に窒化銅の薄膜を形成することができる。
本願発明者は、上記のような構成のプラズマスパッタリング装置1を用いて、ターゲット材として銅を用い、プラズマ空間PSに供給されるガス中の窒素ガスの比率(体積比)を種々に変化させてガラス板に窒化銅を成膜し、その評価を行った。なお、以下の実験ではチャンバ内気圧を0.5Pa、ガス流量を0.1m/minに固定し、スパッタソース50に対するワークWの走査移動を1回とした。
図4はガス中の窒素比率と薄膜の比抵抗との関係を示すグラフである。また、図5はガス中の窒素比率と薄膜の屈折率との関係を示すグラフである。これらの物性値は薄膜中の窒素量に応じて変化するものである。これらの結果に示されるように、ガス中の窒素比率が5%程度でも0%のケースに対する比抵抗および屈折率の有意な変化が見られ、窒化銅の成膜が行われていることがわかる。
また、窒素比率の増加に伴って測定値が変化しており、膜中の窒素量の増加に伴う膜質の変化が見られる。一方、窒素比率40%での成膜では、同30%での成膜と物性値に大きな差がなく、膜質の変化は飽和していると言える。以上より、窒化銅の成膜においてはガス中の窒素ガスの比率は5%ないし40%が望ましく、この範囲で適宜に設定することで膜質を制御することができる。
種々の成膜条件で成膜された薄膜をオーブンにより直接加熱(350℃)した結果、および、窒化銅成膜後、基材層となるポリイミド樹脂層を形成してからホットプレートで加熱(350℃)した結果を表1に示す。
Figure 2019121643
窒素ガス比率5%ないし40%のいずれにおいても窒化銅の成膜が可能であったが、直接加熱の結果からわかるように、加熱による分解の進行程度には差がある。このことから、成膜時の窒素ガス比率による組成変化が分解温度に影響を与えていることがわかる。具体的には、窒素比率が大きいほど分解温度が低くなる傾向がある。このように、成膜時の窒素ガス比率によって、薄膜の分解温度を制御することが可能である。
一方、基材形成後の加熱結果に示されるように、成膜時の窒素ガスの比率が高いと、キャリア10と基材層21との間に大小の気泡が発生した。これは、加熱により犠牲層11が分解して生じる窒素ガスによる気泡である。犠牲層11内での温度差により熱分解の始まるタイミングが位置ごとに異なり、発生した窒素ガスがキャリア10と基材層21との間で密着の弱い箇所に集中したものと考えられる。特に分解温度の低い膜を高温で加熱した場合に気泡の発生が激しい。このような気泡は基材層21に凹凸を生じさせ、甚だしい場合には基材層21を破壊することがある。
これに対し、以下に説明するような構成を有するフラッシュランプアニール装置を用いて、赤外線を含む光をキャリア10を介して犠牲層11に照射するようにしたところ、成膜時の窒素ガス比率に関わらず、ほぼピール強度0[N/m]でキャリア10と基材層21とが全面において自発的に剥離した。光照射による瞬間的な昇温が犠牲層11の全面をほぼ同時に分解した結果と考えられる。また、分離後の基材層21には遊離した銅の付着が見られたが、例えばエアブローによって完全に除去することが可能であり、化学的に基材層21と強く結合したものではない。
犠牲層11の分解温度を制御する意義について説明する。これまで述べたように、犠牲層11としての窒化銅薄膜については、その組成によって分解温度が変化する。組成の適宜の制御により、概ね300℃以上で任意の温度を分解温度とすることが可能である。単にデバイスにダメージを与えず容易に分解させることができるという点では分解温度は低い方がよいことになる。
しかしながら、分解温度が低すぎる場合の問題点としては次のようなものがある。すなわち、犠牲層形成後の各機能層の形成工程において、犠牲層11の分解温度を超えるような昇温を伴うプロセスを適用することができない。例えば、基材層21としてのポリイミド樹脂層においては、ウェット塗布後の加熱処理(キュア)により強固な膜を形成することができるが、犠牲層の分解温度が低いとこのような加熱処理を行えない、あるいは加熱温度が制約される場合が生じ得る。一方、犠牲層の分解温度が他の各機能層の耐熱温度(例えばポリイミド樹脂では約500℃)より高ければ、犠牲層を熱分解させる際にそれらにダメージを与えるおそれがある。
このように、犠牲層の分解温度については、他の層にダメージを与えない程度に低く、かつ、他の層の形成プロセスに支障を生じさせない程度に高くなければならない。このため、使用される材料や形成されるデバイスの種類・構造等に応じて犠牲層の分解温度を調節できることがより好ましい。
上記実施形態では、反応性プラズマスパッタリング法により犠牲層としての窒化銅薄膜を形成しており、プラズマ空間に導入されるガス中の窒素ガスの比率により分解温度を制御することができるので、種々の材料、プロセスに適合した犠牲層を提供することが可能となる。
また、酸化銅や窒化チタン等は窒化銅より分解温度が遥かに高く、窒化銅に少量の酸素やチタンを添加することによって分解温度が高くなることがわかっている。一方、窒化鉄は窒化銅よりさらに分解温度が低い。これらの物質を窒化銅薄膜に添加して犠牲層とすることにより、より広範囲の分解温度の制御が可能となる。
図6はフラッシュランプアニール装置の構成例を示す図である。本実施形態の製造プロセスに利用可能なフラッシュランプアニール装置は既に実用化されており、ここではその概略の構成を説明する。図6(a)は、ワークWを上方から加熱する例を、また図6(b)は、ワークWを下方から加熱する例を示す。
図6(a)に示すフラッシュランプアニール装置200では、平坦なステージ201にワークWが載置される。この場合のワークWは、図2(e)に示すキャリア10と表示装置20とが犠牲層11を介して積層された積層体である。ワークWはキャリア10を上向きにして支持される。
ステージ201の上方にはキセノンフラッシュランプ等のランプ光源202が多数配列されており、その上方には反射板203が配置されている。各ランプ光源202はパルス電源204に接続されており、パルス電源204から出力されるパルス電力により、各ランプ光源202が点灯する。パルス幅は数百μ秒程度であり、各ランプ光源202からは、赤外線を含む強い光Lがごく短期間のみ出射される。
出射された光Lは透明なガラス板であるキャリア10を透過して犠牲層11に照射される。図5にも示されるように犠牲層11である窒化銅薄膜は赤外線を吸収する性質を有しており、赤外線を吸収することで短時間のうちに昇温され、分解温度を超えると熱分解する。犠牲層11の厚さを適宜に設定することにより、照射される赤外線のほとんどを犠牲層11に吸収させることが可能である。例えば膜厚200nm程度の窒化銅薄膜は、フラッシュランプから照射される赤外線の大部分を吸収する。これにより窒化銅薄膜が熱分解することで犠牲層として機能するが、その下部にある基材層21やデバイス等にはほとんど熱の影響が及ばない。ただし、窒化銅薄膜の組成および膜厚を調整して一定量の熱エネルギーが基材層21にも与えられるようにすることで、前述した基材層21のキュア加熱やデバイスに対するアニールの効果を得られるようにすることも可能である。
図6(b)に示すフラッシュランプアニール装置300では、キャリア10を下向きにしたワークWの周縁部がホルダ301により保持される。ホルダ301の下方にはランプ光源302が多数配列されており、その下方に反射板303が配置される。各ランプ光源302はパルス電源304に接続されており、パルス電源304から出力されるパルス電力により、各ランプ光源302が点灯する。これにより、上記と同様に、キャリア10を介して犠牲層11に赤外線を含む光Lが照射される。この構成では、ワークWは図2に示す各工程と同じ姿勢であるため、ワークWを反転させる必要がない。
以上のように、この実施形態では、キャリアと基材層との間に犠牲層としての窒化銅薄膜を形成し、キャリアを介して犠牲層を赤外線により加熱し熱分解させる。窒化銅の分解温度は比較的低いため、加熱手段としては例えば既に実用化されているフラッシュランプアニール装置を使用することができる。このため、紫外光レーザを照射して犠牲層を分解させる従来技術に比べて、装置コストおよびデバイス製造コストを大きく低減することができる。また、犠牲層のみを集中的に加熱し、その分解温度も低いので、基材層やデバイスへのダメージを抑えることが可能である。
また、窒化銅CuNはその組成によって分解温度が変化する。例えばx=(1/3)であるときの分解温度は約300℃であり、この温度で分解する犠牲層を形成することができる。したがって、この温度に耐え得る材料であれば基材層として利用することが可能である。また、xの値を適宜に制御することで種々の分解温度を実現することが可能である。本願発明者の知見によれば、0<x<3のとき分解温度は300℃ないし400℃程度となり、耐熱温度が数百度である材料を基材層とする場合に特に好適な犠牲層として機能する。
特に、x≦1の範囲においては分解温度が約350℃となり、耐熱温度が約500℃であるポリイミド等の樹脂材料を基材層とする場合に特に好適である。反応性プラズマスパッタリングによる成膜では、プラズマ空間に供給されるガス中の窒素ガスの比率が30%ないし40%とすることで、このような好ましい犠牲層を形成することが可能である。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の説明では、各機能層の形成に適用される成膜プロセスの代表的なものを例示したが、各層の成膜方法は上記に限定されるものではない。
また例えば、上記実施形態では、μ秒オーダーで点灯するフラッシュランプアニール装置を用いて犠牲層を熱分解させるが、これに代えて、例えば秒オーダーでワークを加熱する高速加熱(Rapid Thermal Anneal;RTA)装置が用いられてもよい。また例えば、赤外レーザから出射される光をキャリアを介して犠牲層に走査露光することで犠牲層の熱分解を生じさせることも可能である。
また、上記説明では、窒化銅に添加する他の物質として酸素、チタン、鉄等を例示したが、これら以外の物質を添加して分解温度を調節するようにしてもよい。ただし、多くの金属窒化物は窒化銅に比べて分解温度が遥かに高いものが多く、そのような材料の添加量が多くなると分解温度が高くなりすぎるおそれがある。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係るデバイス形成方法において、光の光源としては例えばフラッシュランプを用いることができる。フラッシュランプを用いた加熱装置は既に実用化されており、対象物を短時間で急速に加熱することができるものである。このような装置を本発明に適用し、処理の低コスト化を図ることができる。
また例えば、犠牲層の形成には、銅を含むターゲットと、アルゴンおよび窒素を含むスパッタガスとを用いた反応性プラズマスパッタリングを適用することができる。熱非平衡反応である反応性プラズマスパッタリングを用いて成膜を行うことにより、形成される窒化銅の薄膜の組成を調整し分解温度を制御することが可能となる。この場合において、スパッタガスは酸素を含んでもよい。このようにすれば、犠牲層の膜中に酸素を導入することで分解温度を調整することができる。
また、スパッタガスにおいては窒素含有率が体積比5%ないし40%であることが好ましく、このような条件では窒化銅の良好な薄膜を形成することができる。特に、窒素含有率が体積比30%ないし40%であるとき、分解温度が350℃程度となり、例えばポリイミド樹脂のような数百度程度の耐熱温度を有する材料を基材層として用いる場合の犠牲層として好適なものとなる。
また例えば、キャリアがガラス板であってもよい。赤外線に対する高い透過性を有し、キャリアとして十分な剛性が得られ、かつ調達コストが低いという点で、ガラスはキャリアとして好適な材料である。
また例えば、基材はポリイミド樹脂であってもよい。ポリイミド樹脂は耐熱温度が約500℃であり、これより低い分解温度を有する窒化銅を犠牲層として利用するのに好適な材料である。
また例えば、犠牲層の組成は、CuN(0<x<3)で表されるものであってもよい。この範囲の組成では分解温度が300℃ないし400℃となる。また例えば、犠牲層は、組成式CuNで表される銅窒化物を主成分とするものであってもよい。この銅窒化物は分解温度が約300℃である。このような分解温度を有する薄膜は、デバイス等に熱ダメージを与えない犠牲層として適切なものである。
また例えば、本発明に係るデバイス形成方法は、キャリアから分離後の基材から、窒化銅の熱分解により生じた銅を除去する工程を備えてもよい。こうすることで、遊離銅がデバイスの汚染源となるのを未然に防止することができる。
この発明は、基材上に半導体素子や表示素子等の各種のデバイスを形成する技術に適用可能であり、特に可撓性があり耐熱温度が低い樹脂材料を基材とする場合に有効なものである。
10 キャリア
11 犠牲層
20 表示装置
21 基材
22 薄膜トランジスタ(デバイス)
23 有機EL発光層(デバイス)
24 封止層
100 プラズマスパッタリング装置
200,300 フラッシュランプアニール装置
202,302 ランプ光源(フラッシュランプ)
W ワーク

Claims (11)

  1. 赤外線に対し透明なキャリアの表面に犠牲層を積層する工程と、
    前記犠牲層の表面に基材としての樹脂層を積層する工程と、
    前記基材の表面にデバイスを形成する工程と、
    前記犠牲層を加熱し分解させて、前記キャリアと前記基材とを分離させる工程と
    を備え、
    前記犠牲層は窒化銅を主成分とするものであり、前記キャリアを介して赤外線を含む光を照射して前記犠牲層を加熱する、デバイス形成方法。
  2. 前記光の光源がフラッシュランプである請求項1に記載のデバイス形成方法。
  3. 銅を含むターゲットと、アルゴンおよび窒素を含むスパッタガスとを用いた反応性プラズマスパッタリングにより、前記犠牲層を形成する請求項1または2に記載のデバイス形成方法。
  4. 前記スパッタガスが酸素を含む請求項3に記載のデバイス形成方法。
  5. 前記スパッタガスにおける窒素含有率が体積比5%ないし40%である請求項3または4に記載のデバイス形成方法。
  6. 前記スパッタガスにおける窒素含有率が体積比30%ないし40%である請求項5に記載のデバイス形成方法。
  7. 前記キャリアがガラス板である請求項1ないし6のいずれかに記載のデバイス形成方法。
  8. 前記基材がポリイミド樹脂である請求項1ないし7のいずれかに記載のデバイス形成方法。
  9. 前記犠牲層の組成は、CuN(0<x<3)で表される請求項1ないし8のいずれかに記載のデバイス形成方法。
  10. 前記犠牲層は、組成式CuNで表される銅窒化物を主成分とする請求項1ないし9のいずれかに記載のデバイス形成方法。
  11. 前記キャリアから分離後の前記基材から、前記窒化銅の熱分解により生じた銅を除去する工程を備える請求項1ないし10のいずれかに記載のデバイス形成方法。
JP2017254026A 2017-12-28 2017-12-28 デバイス形成方法 Pending JP2019121643A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254026A JP2019121643A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 デバイス形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254026A JP2019121643A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 デバイス形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019121643A true JP2019121643A (ja) 2019-07-22

Family

ID=67306402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017254026A Pending JP2019121643A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 デバイス形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019121643A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11935727B2 (en) Substrate processing method
TW577111B (en) Mask formation method, semiconductor apparatus, circuit, display module, color filter, and light emitting device
JP3234091B2 (ja) 表面処理装置
TW201041067A (en) HDD pattern implant system
TW201347865A (zh) 基板表面處理設備
JP2012149278A (ja) シリコン含有膜の製造方法
TWI582256B (zh) 薄型基板處理裝置
JP5798747B2 (ja) 積層体の製造方法
TW201202841A (en) Light processing apparatus and light processing method
US20140103030A1 (en) Apparatus and method for heat treatment of coatings on subtrates
JP5648289B2 (ja) スパッタリング装置および半導体発光素子の製造方法
JP2008226991A (ja) プラズマ処理装置
JP2001023916A (ja) 電磁波によって物質を処理するための方法及び装置
JP2019121643A (ja) デバイス形成方法
TW200403751A (en) Processing unit and processing method
JP2006100804A5 (ja)
TW202003885A (zh) 用於一基板之真空處理的方法、製造一裝置之方法、用於一基板之真空處理的設備、及在一真空處理設備中處理一基板中的一脈衝雷射沉積源之使用
TW201925528A (zh) 光照射裝置及薄膜形成裝置
JP2007231304A (ja) 薄膜の製造方法及び製造装置、並びに成形体の製造方法
JP2002194539A (ja) 薄膜形成方法及び装置
JP2002220657A (ja) 薄膜形成装置および薄膜形成方法
JP2024000503A (ja) 成膜装置
WO2013180204A1 (ja) 発光素子の保護膜の作製方法及び装置
JP2006066686A (ja) 不純物導入方法および不純物導入装置
JP2009259571A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造装置及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法