JP2002220657A - 薄膜形成装置および薄膜形成方法 - Google Patents
薄膜形成装置および薄膜形成方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】基材に対する密着性に優れた薄膜を形成するこ
とができる薄膜形成装置および薄膜形成方法を提供す
る。 【解決手段】チャンバ11内の上部において、基材10
が基材保持部2に保持されており、その下部に蒸発源2
0が配置されている。基材保持部材2には高周波電圧が
印加されており、基材保持部材2と蒸発源20のボート
1との間には、ボート1側を陽極として直流電圧が印加
されている。チャンバ11には、不活性ガスまたは反応
性ガスが流量制御装置24を介して供給される。このガ
ス供給量は、チャンバ11内の真空度が一定値に保持さ
れるように、制御装置30によって制御される。薄膜形
成の初期段階には、蒸発源20からの蒸発物が少ないの
で、ガス供給量が多いが、蒸発源20からの蒸発物がチ
ャンバ11内に充満するに従って、ガス供給量は少なく
なる。
とができる薄膜形成装置および薄膜形成方法を提供す
る。 【解決手段】チャンバ11内の上部において、基材10
が基材保持部2に保持されており、その下部に蒸発源2
0が配置されている。基材保持部材2には高周波電圧が
印加されており、基材保持部材2と蒸発源20のボート
1との間には、ボート1側を陽極として直流電圧が印加
されている。チャンバ11には、不活性ガスまたは反応
性ガスが流量制御装置24を介して供給される。このガ
ス供給量は、チャンバ11内の真空度が一定値に保持さ
れるように、制御装置30によって制御される。薄膜形
成の初期段階には、蒸発源20からの蒸発物が少ないの
で、ガス供給量が多いが、蒸発源20からの蒸発物がチ
ャンバ11内に充満するに従って、ガス供給量は少なく
なる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、チャンバ内にプ
ラズマを形成し、このプラズマの作用下で基材表面に薄
膜を形成するための薄膜形成装置および薄膜形成方法に
関する。
ラズマを形成し、このプラズマの作用下で基材表面に薄
膜を形成するための薄膜形成装置および薄膜形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】基材の表面に薄膜をコーティングするた
めの薄膜形成方法の1つに、イオンプレーティング法が
ある。典型的なイオンプレーティング法では、薄膜材料
を蒸発させるための蒸発源と、表面に薄膜を形成すべき
基材とが配置されたチャンバ内にアルゴン等の不活性ガ
スが導入される。そして、高周波電界によってチャンバ
内でプラズマを生成することにより、蒸発源から蒸発し
た材料をイオン化し、このイオン化した蒸発材料を基材
に衝突させることによって、薄膜の形成が行われる。
めの薄膜形成方法の1つに、イオンプレーティング法が
ある。典型的なイオンプレーティング法では、薄膜材料
を蒸発させるための蒸発源と、表面に薄膜を形成すべき
基材とが配置されたチャンバ内にアルゴン等の不活性ガ
スが導入される。そして、高周波電界によってチャンバ
内でプラズマを生成することにより、蒸発源から蒸発し
た材料をイオン化し、このイオン化した蒸発材料を基材
に衝突させることによって、薄膜の形成が行われる。
【0003】しかし、基材へのアルゴン粒子の衝突のた
めに、基材の温度が上昇するという欠点がある。そのた
め、低融点の基材に対するコーティングには適用できな
い。この問題を解決するために、特公平1−48347
号公報などには、チャンバ内に不活性ガス等を導入する
ことなくイオンプレーティングを行う無ガスイオンプレ
ーティング蒸着装置が提案されている。この無ガスイオ
ンプレーティング蒸着装置では、基材とチャンバとの間
に高周波電圧を印加することにより、蒸発源から蒸発し
た薄膜材料を電離させてプラズマが形成される。そし
て、基材とチャンバとの間に直流電圧を印加することに
より、プラズマ中の薄膜材料イオンを基材に導き、これ
によって、基材表面に薄膜が形成される。
めに、基材の温度が上昇するという欠点がある。そのた
め、低融点の基材に対するコーティングには適用できな
い。この問題を解決するために、特公平1−48347
号公報などには、チャンバ内に不活性ガス等を導入する
ことなくイオンプレーティングを行う無ガスイオンプレ
ーティング蒸着装置が提案されている。この無ガスイオ
ンプレーティング蒸着装置では、基材とチャンバとの間
に高周波電圧を印加することにより、蒸発源から蒸発し
た薄膜材料を電離させてプラズマが形成される。そし
て、基材とチャンバとの間に直流電圧を印加することに
より、プラズマ中の薄膜材料イオンを基材に導き、これ
によって、基材表面に薄膜が形成される。
【0004】これによれば、基材の温度上昇がほとんど
ないから、プラスチックのような熱に弱い基材の表面に
金属をコーティングするといったことを容易に実現でき
るというものである。
ないから、プラスチックのような熱に弱い基材の表面に
金属をコーティングするといったことを容易に実現でき
るというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この無ガスイ
オンプレーティング蒸着装置においては、薄膜形成の初
期の段階には、チャンバ内に良好なプラズマを生成する
ことができない。すなわち、初期段階には、薄膜材料の
蒸発物が少ないので、膜形成メカニズムは、プラズマに
よる作用のない単純な蒸着にすぎない。したがって、基
材に対する薄膜の密着性が必ずしも良くないという問題
がある。
オンプレーティング蒸着装置においては、薄膜形成の初
期の段階には、チャンバ内に良好なプラズマを生成する
ことができない。すなわち、初期段階には、薄膜材料の
蒸発物が少ないので、膜形成メカニズムは、プラズマに
よる作用のない単純な蒸着にすぎない。したがって、基
材に対する薄膜の密着性が必ずしも良くないという問題
がある。
【0006】また、蒸発源からの薄膜材料の蒸発が専ら
材料の加熱のみによって行われているため、実際にコー
ティングを行うと、熱源からの輻射熱による基材の加熱
により、必ずしも基材を所望の低温状態に保持すること
ができない。したがって、基材および薄膜材料の選択に
制限がある。そこで、この発明の目的は、基材に対する
密着性に優れた薄膜を形成することができる薄膜形成装
置および薄膜形成方法を提供することである。
材料の加熱のみによって行われているため、実際にコー
ティングを行うと、熱源からの輻射熱による基材の加熱
により、必ずしも基材を所望の低温状態に保持すること
ができない。したがって、基材および薄膜材料の選択に
制限がある。そこで、この発明の目的は、基材に対する
密着性に優れた薄膜を形成することができる薄膜形成装
置および薄膜形成方法を提供することである。
【0007】また、この発明の他の目的は、基材を低温
に保持して、その表面に薄膜を形成することができる薄
膜形成装置および薄膜形成方法を提供することである。
に保持して、その表面に薄膜を形成することができる薄
膜形成装置および薄膜形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記の
目的を達成するための請求項1記載の発明は、薄膜形成
処理が行われるチャンバ(11)と、導電性部材からな
り、上記チャンバ内において表面に薄膜を形成すべき基
材を保持する基材保持手段(2,2A)と、この基材保
持手段に高周波電力を供給する高周波電力供給電源
(5)と、上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料とな
る蒸発材料を保持するボート(1)、およびこのボート
を加熱する加熱手段(1,3)を備えた蒸発源と、プラ
ズマを生成させるためのガスを上記チャンバ内に供給す
るガス供給手段(21,23,21a,23a)と、上
記ガス供給手段による上記チャンバへのガスの供給量
を、上記基材に薄膜を形成する薄膜形成処理の初期より
も、その後の期間の方が少なくなるように制御するガス
供給量制御手段(24,30)とを含むことを特徴とす
る薄膜形成装置である。なお、括弧内の英数字は後述の
実施形態の説明における対応構成要素等を表す。以下、
この項において同じ。
目的を達成するための請求項1記載の発明は、薄膜形成
処理が行われるチャンバ(11)と、導電性部材からな
り、上記チャンバ内において表面に薄膜を形成すべき基
材を保持する基材保持手段(2,2A)と、この基材保
持手段に高周波電力を供給する高周波電力供給電源
(5)と、上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料とな
る蒸発材料を保持するボート(1)、およびこのボート
を加熱する加熱手段(1,3)を備えた蒸発源と、プラ
ズマを生成させるためのガスを上記チャンバ内に供給す
るガス供給手段(21,23,21a,23a)と、上
記ガス供給手段による上記チャンバへのガスの供給量
を、上記基材に薄膜を形成する薄膜形成処理の初期より
も、その後の期間の方が少なくなるように制御するガス
供給量制御手段(24,30)とを含むことを特徴とす
る薄膜形成装置である。なお、括弧内の英数字は後述の
実施形態の説明における対応構成要素等を表す。以下、
この項において同じ。
【0009】この発明の構成によれば、チャンバ内にプ
ラズマを形成させるためのガスが供給されるので、特に
薄膜形成の初期段階においてチャンバ内に速やかにプラ
ズマを生成することができる。これによって、薄膜形成
の初期段階から、プラズマの作用を利用した薄膜形成が
可能となるから、基材に良好に密着した薄膜を形成する
ことができる。しかも、チャンバ内へのガス供給量は、
薄膜形成開始初期には多く、その後の期間には少なくな
るから、ガス供給手段によって供給されるガスの原子ま
たは分子が基材に衝突することに起因する基材の温度上
昇を抑制することができる。これにより、低融点や低軟
化点の基材表面に薄膜を形成することができるから、基
材および薄膜の組合せに関する選択の自由度が大きくな
る。
ラズマを形成させるためのガスが供給されるので、特に
薄膜形成の初期段階においてチャンバ内に速やかにプラ
ズマを生成することができる。これによって、薄膜形成
の初期段階から、プラズマの作用を利用した薄膜形成が
可能となるから、基材に良好に密着した薄膜を形成する
ことができる。しかも、チャンバ内へのガス供給量は、
薄膜形成開始初期には多く、その後の期間には少なくな
るから、ガス供給手段によって供給されるガスの原子ま
たは分子が基材に衝突することに起因する基材の温度上
昇を抑制することができる。これにより、低融点や低軟
化点の基材表面に薄膜を形成することができるから、基
材および薄膜の組合せに関する選択の自由度が大きくな
る。
【0010】薄膜形成の初期においてガス供給手段によ
るガス供給量を多くし、その後にガス供給量を減少させ
るのは、蒸発源からの蒸発材料の蒸発を考慮したもので
ある。すなわち、薄膜形成の初期段階においてはチャン
バ内に薄膜原料の蒸発物が少ないが、その後の期間には
ボートによる材料の加熱に伴って、チャンバ内は薄膜原
料の蒸発物で充満し、プラズマを維持するのに充分な量
の蒸発材料の蒸発物が存在する状態に至ることになる。
るガス供給量を多くし、その後にガス供給量を減少させ
るのは、蒸発源からの蒸発材料の蒸発を考慮したもので
ある。すなわち、薄膜形成の初期段階においてはチャン
バ内に薄膜原料の蒸発物が少ないが、その後の期間には
ボートによる材料の加熱に伴って、チャンバ内は薄膜原
料の蒸発物で充満し、プラズマを維持するのに充分な量
の蒸発材料の蒸発物が存在する状態に至ることになる。
【0011】したがって、薄膜形成の初期段階に生成さ
れるプラズマの組成は、ガス供給手段によって供給され
るガスが支配的であるけれども、その後の期間には、薄
膜原料の組成が支配的になる。こうして、薄膜形成の初
期段階と、その後の期間とでプラズマの組成を変化させ
つつ、薄膜形成初期段階から良好なプラズマを速やかに
生成して、その後にも良好なプラズマをチャンバ内に維
持することができる。上記ガス供給手段によって供給さ
れるガスは、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスで
あってもよいし、薄膜を形成する原料を含む反応性ガス
(原料ガス)であってもよい。このような反応性ガス
は、たとえば、窒化物膜を形成するときには窒素ガスで
あってもよいし、フッ化物膜を形成するときにはCF4
ガス、SF6ガスまたはClF3ガスであってもよい。さ
らに、酸化物膜を形成するときには、酸素ガスであって
もよい。有機物薄膜や金属薄膜を形成するときには、ア
ルゴンガスまたは窒素ガスに代表される不活性ガスを用
いることが好ましい。
れるプラズマの組成は、ガス供給手段によって供給され
るガスが支配的であるけれども、その後の期間には、薄
膜原料の組成が支配的になる。こうして、薄膜形成の初
期段階と、その後の期間とでプラズマの組成を変化させ
つつ、薄膜形成初期段階から良好なプラズマを速やかに
生成して、その後にも良好なプラズマをチャンバ内に維
持することができる。上記ガス供給手段によって供給さ
れるガスは、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスで
あってもよいし、薄膜を形成する原料を含む反応性ガス
(原料ガス)であってもよい。このような反応性ガス
は、たとえば、窒化物膜を形成するときには窒素ガスで
あってもよいし、フッ化物膜を形成するときにはCF4
ガス、SF6ガスまたはClF3ガスであってもよい。さ
らに、酸化物膜を形成するときには、酸素ガスであって
もよい。有機物薄膜や金属薄膜を形成するときには、ア
ルゴンガスまたは窒素ガスに代表される不活性ガスを用
いることが好ましい。
【0012】薄膜形成時における高周波電力供給電源か
らの高周波出力は、たとえば金属薄膜を形成する場合に
は、放電電極となる基材保持手段の単位面積(cm2)当
たり50〜500mWとすることが好ましく、100〜
200mWとすることがさらに好ましい。特に、アルミ
ニウム薄膜または銅薄膜を形成するときには、約150
mWの出力の高周波電力を基材保持手段に与えることが
好ましい。ボートを加熱するための加熱手段は、たとえ
ば、ボート自体を電気抵抗体で構成するとともに、この
ボート自体に電流を流してジュール熱を発生させる構成
としてもよい。また、ボート内に埋め込まれた発熱体ま
たはボート裏面に密着配置された発熱体によって加熱手
段を構成し、これらの発熱体からの伝熱によりボートを
加熱する構成を採用してもよい。
らの高周波出力は、たとえば金属薄膜を形成する場合に
は、放電電極となる基材保持手段の単位面積(cm2)当
たり50〜500mWとすることが好ましく、100〜
200mWとすることがさらに好ましい。特に、アルミ
ニウム薄膜または銅薄膜を形成するときには、約150
mWの出力の高周波電力を基材保持手段に与えることが
好ましい。ボートを加熱するための加熱手段は、たとえ
ば、ボート自体を電気抵抗体で構成するとともに、この
ボート自体に電流を流してジュール熱を発生させる構成
としてもよい。また、ボート内に埋め込まれた発熱体ま
たはボート裏面に密着配置された発熱体によって加熱手
段を構成し、これらの発熱体からの伝熱によりボートを
加熱する構成を採用してもよい。
【0013】基材を保持するための基材保持手段は、チ
ャンバからは絶縁されて、チャンバの上部のほぼ中央に
支持されることが好ましい。基材保持手段と高周波電力
供給電源との間には、インピーダンスマッチングのため
のマッチング装置(4)および直流遮蔽フィルタ(たと
えばコンデンサ(7))が介挿されていることが好まし
い。なお、コンデンサ(7)は、可変コンデンサを用い
てマッチング回路の一部として機能させてもよい。これ
によって、基材保持手段に保持された基材に直接高周波
電力を供給することができ、チャンバ内の所望部分に安
定なプラズマを形成させることができる。高周波電力供
給電源は、高周波出力が可変なものであることが好まし
く、所望の薄膜形成条件を設定できるようにすることが
好ましい。また、マッチング装置は、インダクタンスお
よびコンダクタンスを組み合わせた周知の同調回路であ
ってもよく、その他の等価回路であっても差し支えな
い。
ャンバからは絶縁されて、チャンバの上部のほぼ中央に
支持されることが好ましい。基材保持手段と高周波電力
供給電源との間には、インピーダンスマッチングのため
のマッチング装置(4)および直流遮蔽フィルタ(たと
えばコンデンサ(7))が介挿されていることが好まし
い。なお、コンデンサ(7)は、可変コンデンサを用い
てマッチング回路の一部として機能させてもよい。これ
によって、基材保持手段に保持された基材に直接高周波
電力を供給することができ、チャンバ内の所望部分に安
定なプラズマを形成させることができる。高周波電力供
給電源は、高周波出力が可変なものであることが好まし
く、所望の薄膜形成条件を設定できるようにすることが
好ましい。また、マッチング装置は、インダクタンスお
よびコンダクタンスを組み合わせた周知の同調回路であ
ってもよく、その他の等価回路であっても差し支えな
い。
【0014】高周波電力供給電源が出力する高周波電力
の周波数は、13.56MHzの近辺が一般的である。
しかし、この高周波電力の周波数は特に限定されるもの
ではなく、基材の材質、蒸発材料の物質、形成すべき薄
膜の設定仕様、必要な被膜形成速度などに応じて、適当
な周波数が選択されればよい。また、高周波電力の出力
は、放電電極の単位面積(cm2)当たり50〜800m
W(好ましくは、150〜200mW)が一般的である
が、上記と同様の観点からこの範囲外の値をとっても差
し支えない。
の周波数は、13.56MHzの近辺が一般的である。
しかし、この高周波電力の周波数は特に限定されるもの
ではなく、基材の材質、蒸発材料の物質、形成すべき薄
膜の設定仕様、必要な被膜形成速度などに応じて、適当
な周波数が選択されればよい。また、高周波電力の出力
は、放電電極の単位面積(cm2)当たり50〜800m
W(好ましくは、150〜200mW)が一般的である
が、上記と同様の観点からこの範囲外の値をとっても差
し支えない。
【0015】請求項2記載の発明は、上記チャンバ内の
真空度を計測する真空度計測手段(15)をさらに含
み、上記ガス供給量制御手段は、上記真空度計測手段に
より計測される上記チャンバ内の真空度が所定値に保持
されるように上記ガス供給手段によるガス供給量を制御
するものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜形
成装置である。この構成によれば、チャンバ内の真空度
が所定値に保持されるから、チャンバ内において良好な
プラズマを維持することができる。ボートからの蒸発材
料の蒸発に伴って、ガス供給量制御手段は、チャンバ内
の真空度を維持するために、ガス供給手段によるガス供
給量を減少させる。これによって、薄膜形成の初期段階
には比較的大きな流量でガス供給手段からのガスが供給
され、その後の期間には、そのガス供給量が減少させら
れることになる。こうして、チャンバ内におけるプラズ
マを良好に維持し、プラズマの作用を利用した良好な薄
膜形成を初期段階から行えるとともに、基材の温度上昇
を効果的に抑制することができる。
真空度を計測する真空度計測手段(15)をさらに含
み、上記ガス供給量制御手段は、上記真空度計測手段に
より計測される上記チャンバ内の真空度が所定値に保持
されるように上記ガス供給手段によるガス供給量を制御
するものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜形
成装置である。この構成によれば、チャンバ内の真空度
が所定値に保持されるから、チャンバ内において良好な
プラズマを維持することができる。ボートからの蒸発材
料の蒸発に伴って、ガス供給量制御手段は、チャンバ内
の真空度を維持するために、ガス供給手段によるガス供
給量を減少させる。これによって、薄膜形成の初期段階
には比較的大きな流量でガス供給手段からのガスが供給
され、その後の期間には、そのガス供給量が減少させら
れることになる。こうして、チャンバ内におけるプラズ
マを良好に維持し、プラズマの作用を利用した良好な薄
膜形成を初期段階から行えるとともに、基材の温度上昇
を効果的に抑制することができる。
【0016】チャンバ内に良好なプラズマを維持するた
めには、請求項3に記載のように、上記所定値は、1.
0×10-2Pa〜5.0×10-2Paの範囲内の値とす
ることが好ましい。この範囲を越えた場合には、プラズ
マを生成するための放電が安定しなくなる傾向がある。
さらに好ましい真空度の値の範囲は、2.0×10-2P
a〜3.0×10-2Paである。より具体的には、ガス
供給手段からのガスを導入する以前において、チャンバ
内を10-3Pa程度(好ましくは、1.5×10-3Pa
〜2.0×10-3Pa)の真空度としておくとともに、
ガス供給手段からのガス供給開始後には、チャンバ内の
真空度を2.0×10-2Pa〜3×10-2Pa程度の真
空度に保持することが好ましい。
めには、請求項3に記載のように、上記所定値は、1.
0×10-2Pa〜5.0×10-2Paの範囲内の値とす
ることが好ましい。この範囲を越えた場合には、プラズ
マを生成するための放電が安定しなくなる傾向がある。
さらに好ましい真空度の値の範囲は、2.0×10-2P
a〜3.0×10-2Paである。より具体的には、ガス
供給手段からのガスを導入する以前において、チャンバ
内を10-3Pa程度(好ましくは、1.5×10-3Pa
〜2.0×10-3Pa)の真空度としておくとともに、
ガス供給手段からのガス供給開始後には、チャンバ内の
真空度を2.0×10-2Pa〜3×10-2Pa程度の真
空度に保持することが好ましい。
【0017】薄膜形成処理の初期段階よりもその後の期
間においてガス供給量を減少するための他の手段とし
て、薄膜形成処理の初期には所定の第1ガス供給量でチ
ャンバにガスを供給し、一定時間経過後の期間には上記
第1ガス供給量よりも少ない所定の第2ガス供給量でチ
ャンバへのガス供給を行うようにしてもよい。第1ガス
供給量から第2ガス供給量への遷移は、一気に行われて
もよいが、連続的または段階的に第1ガス供給量から第
2ガス供給量へとガス供給量を徐々に減少させることが
好ましい。
間においてガス供給量を減少するための他の手段とし
て、薄膜形成処理の初期には所定の第1ガス供給量でチ
ャンバにガスを供給し、一定時間経過後の期間には上記
第1ガス供給量よりも少ない所定の第2ガス供給量でチ
ャンバへのガス供給を行うようにしてもよい。第1ガス
供給量から第2ガス供給量への遷移は、一気に行われて
もよいが、連続的または段階的に第1ガス供給量から第
2ガス供給量へとガス供給量を徐々に減少させることが
好ましい。
【0018】請求項4記載の発明は、上記基材保持手段
と上記ボートとの間に、上記ボート側を陽極側として接
続された直流電圧印加電源(6)をさらに含むことを特
徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜形成
装置である。この構成によれば、直流電圧印加電源から
印加される直流電界により、プラズマ中のプラスに帯電
した粒子または陽イオン化した粒子は、基材方向へと加
速されて飛来し、基材と衝突し、基材表面に堆積する。
これによって、被膜の形成がなされることになる。負の
電荷を持つ電子は、陽極側となるボートへと加速され
て、ボート上の蒸発材料に集中的に衝突して、蒸発材料
に蒸発のためのエネルギーを与える。こうして、熱エネ
ルギーに代わる高いエネルギーを得た蒸発材料は、低温
でも容易に蒸発して、チャンバ内のプラズマ形成領域へ
と蒸発していく。
と上記ボートとの間に、上記ボート側を陽極側として接
続された直流電圧印加電源(6)をさらに含むことを特
徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜形成
装置である。この構成によれば、直流電圧印加電源から
印加される直流電界により、プラズマ中のプラスに帯電
した粒子または陽イオン化した粒子は、基材方向へと加
速されて飛来し、基材と衝突し、基材表面に堆積する。
これによって、被膜の形成がなされることになる。負の
電荷を持つ電子は、陽極側となるボートへと加速され
て、ボート上の蒸発材料に集中的に衝突して、蒸発材料
に蒸発のためのエネルギーを与える。こうして、熱エネ
ルギーに代わる高いエネルギーを得た蒸発材料は、低温
でも容易に蒸発して、チャンバ内のプラズマ形成領域へ
と蒸発していく。
【0019】すなわち、チャンバ内に形成されたプラズ
マ中の電子が蒸発材料へと導かれ、これによって材料の
蒸発を促進する効果(以下、これを「デポジションアシ
スト効果」という。)が得られる。その結果、たとえば
抵抗加熱等による蒸発材料の加熱エネルギーを格段に低
減することができる。その結果、蒸発源からの熱輻射に
よる基材の温度上昇を抑制することができるので、より
低温状態での薄膜形成が可能になる。
マ中の電子が蒸発材料へと導かれ、これによって材料の
蒸発を促進する効果(以下、これを「デポジションアシ
スト効果」という。)が得られる。その結果、たとえば
抵抗加熱等による蒸発材料の加熱エネルギーを格段に低
減することができる。その結果、蒸発源からの熱輻射に
よる基材の温度上昇を抑制することができるので、より
低温状態での薄膜形成が可能になる。
【0020】たとえば、金属薄膜または酸化物薄膜を基
材の表面に形成する場合には、0.1μm厚の薄膜を約
15分で形成できる。この場合に、基材の温度は約30
℃以下に抑えることができる。また、0.2μm厚の薄
膜を基材表面に形成するのには、たとえば、約30分を
要する。この薄膜形成期間中における基材の温度は、約
80℃以下に抑えることができる。これに対して、従来
のイオンプレーティング蒸着装置で同様な処理を行う
と、基材の温度が約120℃を超えてしまう。
材の表面に形成する場合には、0.1μm厚の薄膜を約
15分で形成できる。この場合に、基材の温度は約30
℃以下に抑えることができる。また、0.2μm厚の薄
膜を基材表面に形成するのには、たとえば、約30分を
要する。この薄膜形成期間中における基材の温度は、約
80℃以下に抑えることができる。これに対して、従来
のイオンプレーティング蒸着装置で同様な処理を行う
と、基材の温度が約120℃を超えてしまう。
【0021】直流電圧印加電源の出力は、可変としてお
いて、粒子の飛来エネルギーを調節できるようにしてい
ることが好ましい。さらには、基材保持手段の近傍に、
膜形成の速度を検出するための膜形成速度検出手段とし
て膜厚モニタ等(17)を配置しておき、この膜厚モニ
タ等の出力に応じて、ボートの加熱手段に与えるエネル
ギーをフィードバック制御することが好ましい。これに
よって、プラズマからの電子の供給によるエネルギー供
給に応じて、蒸発材料に与える熱エネルギーを低くし
て、輻射熱による基材の温度上昇を抑制できる。
いて、粒子の飛来エネルギーを調節できるようにしてい
ることが好ましい。さらには、基材保持手段の近傍に、
膜形成の速度を検出するための膜形成速度検出手段とし
て膜厚モニタ等(17)を配置しておき、この膜厚モニ
タ等の出力に応じて、ボートの加熱手段に与えるエネル
ギーをフィードバック制御することが好ましい。これに
よって、プラズマからの電子の供給によるエネルギー供
給に応じて、蒸発材料に与える熱エネルギーを低くし
て、輻射熱による基材の温度上昇を抑制できる。
【0022】蒸発材料からの蒸発量は、加熱手段に与え
るエネルギーおよび直流電圧印加電源の出力を制御する
ことによって調整することができる。また、蒸発材料の
粒子の基材への衝突エネルギーは、直流電圧印加電源の
出力を制御することによって調整することができる。こ
れにより、蒸発物質の基材表面上への単なる堆積だけで
なく、蒸発材料の粒子に、基材表面に形成された蒸着物
質層の分子または原子配列を安定な状態に再配列できる
だけのエネルギーを与えることもできる。さらには、蒸
着物質の粒子に、基材内に浸透して順応させるのに十分
なエネルギーを与えることもできる。これにより、基材
表面に、緻密でかつ密着性に優れた良質の薄膜を形成す
ることができる。
るエネルギーおよび直流電圧印加電源の出力を制御する
ことによって調整することができる。また、蒸発材料の
粒子の基材への衝突エネルギーは、直流電圧印加電源の
出力を制御することによって調整することができる。こ
れにより、蒸発物質の基材表面上への単なる堆積だけで
なく、蒸発材料の粒子に、基材表面に形成された蒸着物
質層の分子または原子配列を安定な状態に再配列できる
だけのエネルギーを与えることもできる。さらには、蒸
着物質の粒子に、基材内に浸透して順応させるのに十分
なエネルギーを与えることもできる。これにより、基材
表面に、緻密でかつ密着性に優れた良質の薄膜を形成す
ることができる。
【0023】ボートの加熱手段には温度調節手段(3
0)を備えることが好ましい。この場合、温度調節手段
は、ボートまたはボートに関連して設けられる発熱体に
供給する電流または電圧を調整する手段であってもよ
い。これにより、基材の耐熱性等を考慮した薄膜形成条
件を設定することができる。また、ボートに関連して、
プラズマから蒸発材料への電子集中を調節するための電
子集中調節手段を備えることが好ましい。この電子集中
調節手段は、ボートの平面面積(蒸発面積)を調節し
て、蒸発源に対する電子線照射面積を調節することによ
って実現されてもよい。また、電子集中調節手段は、ボ
ートの上方(プラズマと蒸発源との間)に配置された絞
り、スリットまたはシャッター等によって実現されても
よい。また、電子集中調節手段は、電場および磁場を組
み合わせた電子レンズまたは行路変更手段によって実現
することもできる。
0)を備えることが好ましい。この場合、温度調節手段
は、ボートまたはボートに関連して設けられる発熱体に
供給する電流または電圧を調整する手段であってもよ
い。これにより、基材の耐熱性等を考慮した薄膜形成条
件を設定することができる。また、ボートに関連して、
プラズマから蒸発材料への電子集中を調節するための電
子集中調節手段を備えることが好ましい。この電子集中
調節手段は、ボートの平面面積(蒸発面積)を調節し
て、蒸発源に対する電子線照射面積を調節することによ
って実現されてもよい。また、電子集中調節手段は、ボ
ートの上方(プラズマと蒸発源との間)に配置された絞
り、スリットまたはシャッター等によって実現されても
よい。また、電子集中調節手段は、電場および磁場を組
み合わせた電子レンズまたは行路変更手段によって実現
することもできる。
【0024】加熱手段に温度調節手段を備えるととも
に、ボートに関連して電子集中調節手段を備えることに
より、蒸発源に対する加熱エネルギーと電子照射エネル
ギーの組み合わせを自在に設定することができる。これ
により、広範な材質の基板に対して、広範な材質の蒸発
材料を蒸着することができる。これによって、各種材料
の基材に各種薄膜を形成した部材を提供することがで
き、工業的利用価値の高い部材の製造が可能になる。
に、ボートに関連して電子集中調節手段を備えることに
より、蒸発源に対する加熱エネルギーと電子照射エネル
ギーの組み合わせを自在に設定することができる。これ
により、広範な材質の基板に対して、広範な材質の蒸発
材料を蒸着することができる。これによって、各種材料
の基材に各種薄膜を形成した部材を提供することがで
き、工業的利用価値の高い部材の製造が可能になる。
【0025】蒸発源への電子照射量の調整は、形成する
薄膜の種類に応じて調整することが好ましい。たとえ
ば、フッ化マグネシウム、二酸化珪素などの低融点蒸発
材料による薄膜形成の場合には、蒸発源の面積を広くす
ることが好ましい。これに対して、アルミナ、酸化チタ
ン、ジルコニアなどの高融点蒸発材料による薄膜形成を
行う場合には、蒸発源の面積を狭くして、電子によるデ
ポジションアシストの度合いを抑制することが好まし
い。
薄膜の種類に応じて調整することが好ましい。たとえ
ば、フッ化マグネシウム、二酸化珪素などの低融点蒸発
材料による薄膜形成の場合には、蒸発源の面積を広くす
ることが好ましい。これに対して、アルミナ、酸化チタ
ン、ジルコニアなどの高融点蒸発材料による薄膜形成を
行う場合には、蒸発源の面積を狭くして、電子によるデ
ポジションアシストの度合いを抑制することが好まし
い。
【0026】基材保持手段とボートとの間に直流電圧を
印加する直流電圧印加電源と基材保持手段との間には、
高周波成分を除去するための高周波遮蔽フィルタ(8)
が介挿されることが好ましい。直流電圧印加電源により
印加される直流電圧は、たとえば、0より大きく500
V以下の範囲内で設定することが好ましく、対象となる
基材の材質、蒸発材料の物質、形成すべき薄膜の設定仕
様、必要な被膜形成速度、および他の薄膜形成条件に応
じて選択すればよい。たとえば、アルミニウム薄膜を形
成する場合には、100V程度とすればよく、銅薄膜を
形成する場合には、300V程度とすればよい。
印加する直流電圧印加電源と基材保持手段との間には、
高周波成分を除去するための高周波遮蔽フィルタ(8)
が介挿されることが好ましい。直流電圧印加電源により
印加される直流電圧は、たとえば、0より大きく500
V以下の範囲内で設定することが好ましく、対象となる
基材の材質、蒸発材料の物質、形成すべき薄膜の設定仕
様、必要な被膜形成速度、および他の薄膜形成条件に応
じて選択すればよい。たとえば、アルミニウム薄膜を形
成する場合には、100V程度とすればよく、銅薄膜を
形成する場合には、300V程度とすればよい。
【0027】この発明による薄膜の形成は、基材の温度
を低温に保持して行うことができ、たとえば、基材の温
度を100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ま
しくは40℃以下に抑制して、薄膜を形成することがで
きる。これにより、プラスチック製の光学部材の表面コ
ート、たとえばカメラ用レンズ、眼鏡用レンズへの反射
防止用コーティングや、ハードコーティングなどの実用
的用途に使用することができる。
を低温に保持して行うことができ、たとえば、基材の温
度を100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ま
しくは40℃以下に抑制して、薄膜を形成することがで
きる。これにより、プラスチック製の光学部材の表面コ
ート、たとえばカメラ用レンズ、眼鏡用レンズへの反射
防止用コーティングや、ハードコーティングなどの実用
的用途に使用することができる。
【0028】請求項5記載の発明は、上記チャンバが、
電気的に浮遊状態とされていることを特徴とする請求項
1ないし4のいずれかに記載の薄膜形成装置である。こ
の構成では、チャンバが電気的に浮遊状態となってい
て、接地されていないので、基材とチャンバ内壁との間
での放電が生じることがなく、プラズマ中の原子がチャ
ンバの内壁に導かれることもない。したがって、チャン
バ内壁の汚染を抑制することができるとともに、蒸発材
料の消費量も少なくすることができる。
電気的に浮遊状態とされていることを特徴とする請求項
1ないし4のいずれかに記載の薄膜形成装置である。こ
の構成では、チャンバが電気的に浮遊状態となってい
て、接地されていないので、基材とチャンバ内壁との間
での放電が生じることがなく、プラズマ中の原子がチャ
ンバの内壁に導かれることもない。したがって、チャン
バ内壁の汚染を抑制することができるとともに、蒸発材
料の消費量も少なくすることができる。
【0029】ボートを直流電圧印加電源の陽極側に接続
し、かつチャンバを電気的に浮遊状態とすることによ
り、プラズマからの電子をボートに配置された蒸発材料
へと集中させることができる。これによって、少ない加
熱エネルギーで薄膜原料を良好に蒸発させることができ
る。チャンバを電気的に浮遊状態としておくことによ
り、チャンバ内の電子はチャンバ内壁に分散して飛来
し、中和されて消滅することがない。すなわち、実質的
にほとんどの電子が蒸発源へと集中して、高密度な電子
ビームが蒸発源に注がれることになる。
し、かつチャンバを電気的に浮遊状態とすることによ
り、プラズマからの電子をボートに配置された蒸発材料
へと集中させることができる。これによって、少ない加
熱エネルギーで薄膜原料を良好に蒸発させることができ
る。チャンバを電気的に浮遊状態としておくことによ
り、チャンバ内の電子はチャンバ内壁に分散して飛来
し、中和されて消滅することがない。すなわち、実質的
にほとんどの電子が蒸発源へと集中して、高密度な電子
ビームが蒸発源に注がれることになる。
【0030】また、本発明では、別途電子ビーム発生装
置をチャンバ内に付加する必要もないので、電子ビーム
発生装置のフィラメントがアルゴンイオン等の衝突によ
り断線するという問題も発生しない。請求項6記載の発
明は、上記チャンバが導体材料からなっていることを特
徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜形成
装置である。この構成では、チャンバが導体材料からな
っているので、チャンバがノイズ遮蔽効果を有すること
ができる。そのため、マイクロコンピュータ等からなる
制御装置をチャンバの近傍に配置したとしても、チャン
バ内に形成される高周波電界に起因する電磁ノイズの影
響を受けることなく良好な制御処理を行うことができ
る。
置をチャンバ内に付加する必要もないので、電子ビーム
発生装置のフィラメントがアルゴンイオン等の衝突によ
り断線するという問題も発生しない。請求項6記載の発
明は、上記チャンバが導体材料からなっていることを特
徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜形成
装置である。この構成では、チャンバが導体材料からな
っているので、チャンバがノイズ遮蔽効果を有すること
ができる。そのため、マイクロコンピュータ等からなる
制御装置をチャンバの近傍に配置したとしても、チャン
バ内に形成される高周波電界に起因する電磁ノイズの影
響を受けることなく良好な制御処理を行うことができ
る。
【0031】また、チャンバのシールド効果により高周
波電界が外部に漏洩するのを防ぐことができるため、高
周波電力の損失を抑えることができる。請求項7記載の
発明は、チャンバ内において、表面に薄膜を形成すべき
基材を保持するステップと、プラズマを生成させるため
のガスを上記チャンバ内に供給するステップと、上記チ
ャンバ内の空間に高周波電界を印加するステップと、上
記チャンバ内で、薄膜の原料となる蒸発材料を加熱して
蒸発させるステップと、上記チャンバへのガスの供給量
を、上記基材に薄膜を形成する薄膜形成処理の初期より
も、その後の期間の方が少なくなるように制御するガス
供給量制御ステップとを含むことを特徴とする薄膜形成
方法である。
波電界が外部に漏洩するのを防ぐことができるため、高
周波電力の損失を抑えることができる。請求項7記載の
発明は、チャンバ内において、表面に薄膜を形成すべき
基材を保持するステップと、プラズマを生成させるため
のガスを上記チャンバ内に供給するステップと、上記チ
ャンバ内の空間に高周波電界を印加するステップと、上
記チャンバ内で、薄膜の原料となる蒸発材料を加熱して
蒸発させるステップと、上記チャンバへのガスの供給量
を、上記基材に薄膜を形成する薄膜形成処理の初期より
も、その後の期間の方が少なくなるように制御するガス
供給量制御ステップとを含むことを特徴とする薄膜形成
方法である。
【0032】この方法により、請求項1記載の発明に関
連して説明した効果を達成できる。請求項8記載の発明
は、上記ガス供給量制御ステップは、上記チャンバ内の
真空度が所定値に保持されるようにガス供給量を制御す
るステップを含むことを特徴とする請求項7記載の薄膜
形成方法である。この方法により、請求項2記載の発明
に関連して説明した効果を達成できる。この場合に、上
記所定値は、請求項9に記載のように、1.0×10-2
Pa〜5.0×10-2Paの範囲内の値とすることが好
ましい。
連して説明した効果を達成できる。請求項8記載の発明
は、上記ガス供給量制御ステップは、上記チャンバ内の
真空度が所定値に保持されるようにガス供給量を制御す
るステップを含むことを特徴とする請求項7記載の薄膜
形成方法である。この方法により、請求項2記載の発明
に関連して説明した効果を達成できる。この場合に、上
記所定値は、請求項9に記載のように、1.0×10-2
Pa〜5.0×10-2Paの範囲内の値とすることが好
ましい。
【0033】請求項10記載の発明は、上記基材と蒸発
材料を保持するボートとの間に、上記ボート側を陽極側
として直流電圧を印加するステップをさらに含むことを
特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の薄膜形
成方法である。この方法により、請求項4記載の発明に
関連して説明した効果を達成できる。請求項11記載の
発明は、上記チャンバが、電気的に浮遊状態とされてい
ることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記
載の薄膜形成方法である。
材料を保持するボートとの間に、上記ボート側を陽極側
として直流電圧を印加するステップをさらに含むことを
特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の薄膜形
成方法である。この方法により、請求項4記載の発明に
関連して説明した効果を達成できる。請求項11記載の
発明は、上記チャンバが、電気的に浮遊状態とされてい
ることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記
載の薄膜形成方法である。
【0034】この方法により、請求項5記載の発明に関
連して説明した効果を達成できる。請求項12記載の発
明は、上記チャンバが導体材料からなっていることを特
徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の薄膜形
成方法である。この方法により、請求項6記載の発明に
関連して説明した効果を達成できる。請求項13記載の
発明は、上記基材の温度を100℃以下に保持して、上
記基材の表面に薄膜を形成することを特徴とする請求項
7ないし12のいずれかに記載の薄膜形成方法である。
連して説明した効果を達成できる。請求項12記載の発
明は、上記チャンバが導体材料からなっていることを特
徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の薄膜形
成方法である。この方法により、請求項6記載の発明に
関連して説明した効果を達成できる。請求項13記載の
発明は、上記基材の温度を100℃以下に保持して、上
記基材の表面に薄膜を形成することを特徴とする請求項
7ないし12のいずれかに記載の薄膜形成方法である。
【0035】これにより、低融点の基材の表面に薄膜を
形成することができる。請求項14記載の発明は、上記
基材がプラスチック材料からなっていることを特徴とす
る請求項7ないし13のいずれかに記載の薄膜形成方法
である。この発明の薄膜形成では、基材の温度を低温に
保持することができるので、プラスチック材料からなる
基材の表面への薄膜の形成が可能である。基材の表面に
形成される薄膜の原料となる蒸発材料は、たとえば、請
求項15に記載のように、金属、金属酸化物、金属塩類
または高分子化合物のいずれかからなっていてもよい。
形成することができる。請求項14記載の発明は、上記
基材がプラスチック材料からなっていることを特徴とす
る請求項7ないし13のいずれかに記載の薄膜形成方法
である。この発明の薄膜形成では、基材の温度を低温に
保持することができるので、プラスチック材料からなる
基材の表面への薄膜の形成が可能である。基材の表面に
形成される薄膜の原料となる蒸発材料は、たとえば、請
求項15に記載のように、金属、金属酸化物、金属塩類
または高分子化合物のいずれかからなっていてもよい。
【0036】請求項16記載の発明は、電気的に浮遊状
態とされ、薄膜形成処理が行われる導電性のチャンバ
と、導電性部材からなり、上記チャンバ内において表面
に薄膜を形成すべき基材を保持する基材保持手段と、こ
の基材保持手段に高周波電力を供給する高周波電力供給
電源と、上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料となる
蒸発材料を保持するボート、およびこのボートを加熱す
る加熱手段を備えた蒸発源と、プラズマを生成させるた
めのガスを上記チャンバ内に供給するガス供給手段と、
上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として接続された直流電圧印加電源とを含むこ
とを特徴とする薄膜形成装置である。
態とされ、薄膜形成処理が行われる導電性のチャンバ
と、導電性部材からなり、上記チャンバ内において表面
に薄膜を形成すべき基材を保持する基材保持手段と、こ
の基材保持手段に高周波電力を供給する高周波電力供給
電源と、上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料となる
蒸発材料を保持するボート、およびこのボートを加熱す
る加熱手段を備えた蒸発源と、プラズマを生成させるた
めのガスを上記チャンバ内に供給するガス供給手段と、
上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として接続された直流電圧印加電源とを含むこ
とを特徴とする薄膜形成装置である。
【0037】この構成により、プラズマからの電子の供
給によって蒸発材料を蒸発させることができるので、基
材温度を低温に保持して薄膜の形成を行える。それとと
もに、チャンバが電気的に浮遊状態となっているので、
プラズマからの電子を蒸発源へと効果的に集中させるこ
とができる。さらに、チャンバが導電性であることか
ら、チャンバがノイズシールド機能を有することがで
き、外部への電磁ノイズの漏洩を防止できる。
給によって蒸発材料を蒸発させることができるので、基
材温度を低温に保持して薄膜の形成を行える。それとと
もに、チャンバが電気的に浮遊状態となっているので、
プラズマからの電子を蒸発源へと効果的に集中させるこ
とができる。さらに、チャンバが導電性であることか
ら、チャンバがノイズシールド機能を有することがで
き、外部への電磁ノイズの漏洩を防止できる。
【0038】請求項17記載の発明は、電気的に浮遊状
態とされた導電性のチャンバ内において、導電性部材か
らなる基材保持手段に基材を保持させるステップと、こ
の基材保持手段に高周波電力を供給するステップと、上
記チャンバ内において、薄膜の原料となる蒸発材料を保
持するボートを加熱するステップと、プラズマを生成す
るためのガスを上記チャンバ内に供給するステップと、
上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として直流電圧を印加するステップとを含むこ
とを特徴とする薄膜形成方法である。
態とされた導電性のチャンバ内において、導電性部材か
らなる基材保持手段に基材を保持させるステップと、こ
の基材保持手段に高周波電力を供給するステップと、上
記チャンバ内において、薄膜の原料となる蒸発材料を保
持するボートを加熱するステップと、プラズマを生成す
るためのガスを上記チャンバ内に供給するステップと、
上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として直流電圧を印加するステップとを含むこ
とを特徴とする薄膜形成方法である。
【0039】この方法により、請求項16記載の発明に
関連して説明した効果を達成できる。上述の各請求項に
係る薄膜形成装置または薄膜形成方法が適用可能な基材
には、光学ガラス(S−BSL7,S−FSL5,S−
TIH53等)や工業ガラス(白板ガラス、青板ガラ
ス)をはじめとするガラス、アルミナやジルコニウム等
をはじめとするセラミックス、金属およびPC(ポリカ
ーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレー
ト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂
材料をはじめとするプラスチック材料が含まれる。ま
た、この発明の薄膜形成を適用可能な蒸発材料には、ア
ルミ、金、銀、銅、チタン、クロム、シリコン等の金
属、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化
珪素等の金属酸化物、金属塩類等に代表される無機化合
物、およびオルガノポリシロキサン等の有機金属化合物
やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を含む高
分子化合物が含まれる。
関連して説明した効果を達成できる。上述の各請求項に
係る薄膜形成装置または薄膜形成方法が適用可能な基材
には、光学ガラス(S−BSL7,S−FSL5,S−
TIH53等)や工業ガラス(白板ガラス、青板ガラ
ス)をはじめとするガラス、アルミナやジルコニウム等
をはじめとするセラミックス、金属およびPC(ポリカ
ーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレー
ト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂
材料をはじめとするプラスチック材料が含まれる。ま
た、この発明の薄膜形成を適用可能な蒸発材料には、ア
ルミ、金、銀、銅、チタン、クロム、シリコン等の金
属、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化
珪素等の金属酸化物、金属塩類等に代表される無機化合
物、およびオルガノポリシロキサン等の有機金属化合物
やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を含む高
分子化合物が含まれる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下では、この発明の実施の形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態に係る薄膜形成装置の構成を示す概念
図である。真空にすることが可能なチャンバ11の下部
には、蒸発材料9をボート1に収容保持した蒸発源20
が配置されている。この蒸発源20に対向するように、
チャンバ11内の上部には、基材10を保持するための
基材保持部2が設けられている。
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態に係る薄膜形成装置の構成を示す概念
図である。真空にすることが可能なチャンバ11の下部
には、蒸発材料9をボート1に収容保持した蒸発源20
が配置されている。この蒸発源20に対向するように、
チャンバ11内の上部には、基材10を保持するための
基材保持部2が設けられている。
【0041】基材保持部2は、導電性材料からなってい
て、高周波電力供給電源(RF)5からの高周波電力
が、マッチング装置(MN)4および直流遮蔽フィルタ
としてのコンデンサ7を介して印加されるようになって
いる。なお、このコンデンサ7は、可変コンデンサを用
いてマッチング回路の一部として機能させてもよい。さ
らに、基材保持部2には、直流電圧印加電源(DC)6
の陰極側が、高周波遮蔽フィルタとしてのコイル8を介
して接続されている。高周波電力供給電源5の基材保持
部2とは反対側の端子は、直流電圧印加電源6の陽極側
と接続されていて、これらは接地されている。
て、高周波電力供給電源(RF)5からの高周波電力
が、マッチング装置(MN)4および直流遮蔽フィルタ
としてのコンデンサ7を介して印加されるようになって
いる。なお、このコンデンサ7は、可変コンデンサを用
いてマッチング回路の一部として機能させてもよい。さ
らに、基材保持部2には、直流電圧印加電源(DC)6
の陰極側が、高周波遮蔽フィルタとしてのコイル8を介
して接続されている。高周波電力供給電源5の基材保持
部2とは反対側の端子は、直流電圧印加電源6の陽極側
と接続されていて、これらは接地されている。
【0042】ボート1は、たとえば、それ自身が電気抵
抗体からなっていて、たとえば交流電源からなる加熱電
源3からの電力供給を受けて、蒸発材料9を蒸発させる
ための熱を発生する。ボート1には、さらに、直流電圧
印加電源6の陽極側が接続されている。チャンバ11内
の空間は、排気ダクト12および排気バルブ13を介し
て真空ポンプ14によって排気され、薄膜形成処理期間
中において、所定の真空状態とされる。
抗体からなっていて、たとえば交流電源からなる加熱電
源3からの電力供給を受けて、蒸発材料9を蒸発させる
ための熱を発生する。ボート1には、さらに、直流電圧
印加電源6の陽極側が接続されている。チャンバ11内
の空間は、排気ダクト12および排気バルブ13を介し
て真空ポンプ14によって排気され、薄膜形成処理期間
中において、所定の真空状態とされる。
【0043】チャンバ11内に、不活性ガス(たとえば
アルゴンガスまたは窒素ガス)や、反応性ガス(たとえ
ば窒素ガスまたは酸素ガスなど)を供給するために、チ
ャンバ11には、流量制御装置(MFC)24およびガ
ス供給配管25を介して、不活性ガス供給源21または
反応性ガス供給源23が接続されている。不活性ガス供
給源21および反応性ガス供給源23からのガスの供給
/停止は、弁21aおよび23aをそれぞれ開閉するこ
とによって行われる。
アルゴンガスまたは窒素ガス)や、反応性ガス(たとえ
ば窒素ガスまたは酸素ガスなど)を供給するために、チ
ャンバ11には、流量制御装置(MFC)24およびガ
ス供給配管25を介して、不活性ガス供給源21または
反応性ガス供給源23が接続されている。不活性ガス供
給源21および反応性ガス供給源23からのガスの供給
/停止は、弁21aおよび23aをそれぞれ開閉するこ
とによって行われる。
【0044】チャンバ11内の真空度は、真空度計15
によって計測され、この真空度計15の出力に基づき、
流量制御装置24は、マイクロコンピュータなどからな
る制御装置30によって制御されるようになっている。
これにより、不活性ガス供給源21または反応性ガス供
給源23からのガス供給量は、チャンバ11内の真空度
が所定値に保持されるように制御される。基材10の表
面における薄膜の形成速度を計測するために、基材保持
部2に関連して膜厚モニタ17が設けられている。この
膜厚モニタ17の出力信号は、制御装置30に入力され
ていて、この制御装置30は、膜厚モニタ17の出力に
基づいて加熱電源3の出力を制御するようになってい
る。こうして、薄膜の形成速度が所望の値となるよう
に、ボート1への通電量が制御され、蒸発材料9の蒸発
量が調整される。
によって計測され、この真空度計15の出力に基づき、
流量制御装置24は、マイクロコンピュータなどからな
る制御装置30によって制御されるようになっている。
これにより、不活性ガス供給源21または反応性ガス供
給源23からのガス供給量は、チャンバ11内の真空度
が所定値に保持されるように制御される。基材10の表
面における薄膜の形成速度を計測するために、基材保持
部2に関連して膜厚モニタ17が設けられている。この
膜厚モニタ17の出力信号は、制御装置30に入力され
ていて、この制御装置30は、膜厚モニタ17の出力に
基づいて加熱電源3の出力を制御するようになってい
る。こうして、薄膜の形成速度が所望の値となるよう
に、ボート1への通電量が制御され、蒸発材料9の蒸発
量が調整される。
【0045】高周波電力供給電源5は、たとえば、周波
数13.56MHz、放電電極としての基材保持部2の
単位面積(cm2)当たりの出力50〜800mWの高周
波電力を基材保持部2に印加する。これに応じた高周波
電界がチャンバ11内で形成されることによって、チャ
ンバ11内ではガス供給配管25から供給されるガスお
よび蒸発材料9から蒸発した蒸発物からなるプラズマが
生成することになる。このプラズマ中のイオン化された
粒子のうち、正に帯電したものは、直流電圧印加電源6
から基材保持部2に印加された直流バイアスによって、
基材10の表面へと引き寄せられる。
数13.56MHz、放電電極としての基材保持部2の
単位面積(cm2)当たりの出力50〜800mWの高周
波電力を基材保持部2に印加する。これに応じた高周波
電界がチャンバ11内で形成されることによって、チャ
ンバ11内ではガス供給配管25から供給されるガスお
よび蒸発材料9から蒸発した蒸発物からなるプラズマが
生成することになる。このプラズマ中のイオン化された
粒子のうち、正に帯電したものは、直流電圧印加電源6
から基材保持部2に印加された直流バイアスによって、
基材10の表面へと引き寄せられる。
【0046】一方、プラズマ中の解離した電子は、直流
電圧印加電源6の陽極側に接続されたボート1へと引き
寄せられることになる。このとき、蒸発源20からは蒸
発材料9が継続的に蒸発しているので、蒸発粒子と電子
との衝突により、プラズマの足が蒸発源20に下りたよ
うな形状の発光体が蒸発源20の近傍に見られる。そし
て、蒸発源20の近傍に集まった電子は、接地され陽極
側に接続されているボート1に吸い込まれ、ボート1上
の蒸発材料9に衝突する。これによって、蒸発材料9
は、ボート1による加熱と、電子の衝突とによってその
蒸発が促進されることになる。すなわち、デポジション
アシスト効果が得られる。
電圧印加電源6の陽極側に接続されたボート1へと引き
寄せられることになる。このとき、蒸発源20からは蒸
発材料9が継続的に蒸発しているので、蒸発粒子と電子
との衝突により、プラズマの足が蒸発源20に下りたよ
うな形状の発光体が蒸発源20の近傍に見られる。そし
て、蒸発源20の近傍に集まった電子は、接地され陽極
側に接続されているボート1に吸い込まれ、ボート1上
の蒸発材料9に衝突する。これによって、蒸発材料9
は、ボート1による加熱と、電子の衝突とによってその
蒸発が促進されることになる。すなわち、デポジション
アシスト効果が得られる。
【0047】図1に明らかに示されている通り、チャン
バ11は、直流電圧印加電源6および高周波電力供給電
源5のいずれにも接続されておらず、また接地されても
いない。すなわち、チャンバ11は、電気的に浮遊状態
となっている。そのため、基材保持部2とチャンバ11
との間での高周波放電が起こることもなく、チャンバ1
1内のプラズマ中の荷電粒子がチャンバ11の内壁に引
き寄せられることもない。そのため、プラズマ中の陽イ
オン化した粒子またはプラスに帯電した粒子は、基材1
0の表面へと効率的に導かれ、プラズマ中の負の荷電粒
子である電子は、ボート1上の蒸発材料9へと集中的に
導かれることになる。これにより、良好な薄膜形成効率
を実現できるとともに、電子ビームによる蒸発材料9の
蒸発促進を効率的に行える。さらには、チャンバ11の
内壁に蒸発材料が付着することを抑制できる。
バ11は、直流電圧印加電源6および高周波電力供給電
源5のいずれにも接続されておらず、また接地されても
いない。すなわち、チャンバ11は、電気的に浮遊状態
となっている。そのため、基材保持部2とチャンバ11
との間での高周波放電が起こることもなく、チャンバ1
1内のプラズマ中の荷電粒子がチャンバ11の内壁に引
き寄せられることもない。そのため、プラズマ中の陽イ
オン化した粒子またはプラスに帯電した粒子は、基材1
0の表面へと効率的に導かれ、プラズマ中の負の荷電粒
子である電子は、ボート1上の蒸発材料9へと集中的に
導かれることになる。これにより、良好な薄膜形成効率
を実現できるとともに、電子ビームによる蒸発材料9の
蒸発促進を効率的に行える。さらには、チャンバ11の
内壁に蒸発材料が付着することを抑制できる。
【0048】チャンバ11内においてプラズマが安定す
ると、蒸発材料9へのプラズマからの電子ビームの照射
によって、蒸発材料9はプラズマに吸い上げられるよう
に蒸発する。そこで、基材10に付着する蒸発材料9の
付着速度を一定に保持するために、膜厚モニタ17の出
力に基づき、制御装置30は、加熱電源3の出力を下げ
る。すなわち、ボート1への通電電流または通電電圧を
下げる。これにより、蒸発速度が調節される。
ると、蒸発材料9へのプラズマからの電子ビームの照射
によって、蒸発材料9はプラズマに吸い上げられるよう
に蒸発する。そこで、基材10に付着する蒸発材料9の
付着速度を一定に保持するために、膜厚モニタ17の出
力に基づき、制御装置30は、加熱電源3の出力を下げ
る。すなわち、ボート1への通電電流または通電電圧を
下げる。これにより、蒸発速度が調節される。
【0049】プラズマから供給される電子ビームにより
蒸発材料9の蒸発が促進されるので、ボート1の加熱電
流値は低く抑えることができるから、比較的低い加熱温
度で蒸発材料9の蒸発を継続して維持することができ、
プラズマの作用を利用した蒸着による薄膜形成を行え
る。この実施形態における薄膜形成の特徴は、不活性ガ
スまたは反応性ガスのチャンバ11への供給にある。す
なわち、この実施形態では、薄膜形成の初期段階におい
ては、ガス供給配管25から比較的大きな流量でチャン
バ11へガスが供給され、蒸発材料9からの蒸発が活発
になると、ガス供給配管25からのガス供給量が減少さ
せられる。これにより、蒸発材料9からの蒸発が活発で
ない薄膜形成の初期段階においては、ガス供給配管25
から供給される不活性ガスまたは反応性ガスのプラズマ
がチャンバ11内に形成される。蒸発材料9からの蒸発
が活発になると、ガス供給配管25からのガス供給量が
減少し、蒸発材料9からの蒸発粒子が支配的となった組
成のプラズマがチャンバ11内に形成されるに至る。
蒸発材料9の蒸発が促進されるので、ボート1の加熱電
流値は低く抑えることができるから、比較的低い加熱温
度で蒸発材料9の蒸発を継続して維持することができ、
プラズマの作用を利用した蒸着による薄膜形成を行え
る。この実施形態における薄膜形成の特徴は、不活性ガ
スまたは反応性ガスのチャンバ11への供給にある。す
なわち、この実施形態では、薄膜形成の初期段階におい
ては、ガス供給配管25から比較的大きな流量でチャン
バ11へガスが供給され、蒸発材料9からの蒸発が活発
になると、ガス供給配管25からのガス供給量が減少さ
せられる。これにより、蒸発材料9からの蒸発が活発で
ない薄膜形成の初期段階においては、ガス供給配管25
から供給される不活性ガスまたは反応性ガスのプラズマ
がチャンバ11内に形成される。蒸発材料9からの蒸発
が活発になると、ガス供給配管25からのガス供給量が
減少し、蒸発材料9からの蒸発粒子が支配的となった組
成のプラズマがチャンバ11内に形成されるに至る。
【0050】このようにして、薄膜形成の初期段階に不
活性ガスまたは反応性ガスをチャンバ11に導入するこ
とにより、チャンバ11内に安定したプラズマを速やか
に形成することができる。これによって、プラズマの作
用を利用した薄膜形成を初期段階から行うことができる
ので、良好な密着性の薄膜を基材10の表面に形成する
ことができる。図2は、薄膜形成のより具体的なプロセ
スを説明するための図である。この図2には、たとえば
金属薄膜を基材10の表面に形成する場合のように、不
活性ガス供給源21からの不活性ガスをチャンバ11に
供給しながら薄膜形成を行うプロセスの例が示されてい
る。具体的には、図2(a)は、不活性ガス供給量の時間
変化を示し、図2(b)はチャンバ11内の真空度の時間
変化を示し、図2(c)はボート1の加熱電流値の時間変
化を示している。
活性ガスまたは反応性ガスをチャンバ11に導入するこ
とにより、チャンバ11内に安定したプラズマを速やか
に形成することができる。これによって、プラズマの作
用を利用した薄膜形成を初期段階から行うことができる
ので、良好な密着性の薄膜を基材10の表面に形成する
ことができる。図2は、薄膜形成のより具体的なプロセ
スを説明するための図である。この図2には、たとえば
金属薄膜を基材10の表面に形成する場合のように、不
活性ガス供給源21からの不活性ガスをチャンバ11に
供給しながら薄膜形成を行うプロセスの例が示されてい
る。具体的には、図2(a)は、不活性ガス供給量の時間
変化を示し、図2(b)はチャンバ11内の真空度の時間
変化を示し、図2(c)はボート1の加熱電流値の時間変
化を示している。
【0051】薄膜形成処理の開始前の期間T1には、制
御装置30は、排気バルブ13を開き、真空ポンプ14
によりチャンバ11内の雰囲気が排気されて、チャンバ
11内の真空度が約10-3Paに保持される。この状態
から、制御装置30は、時刻t10に弁21aを開い
て、不活性ガス供給源21からのガスの供給を開始させ
る。このガス供給が開始された後には、制御装置30
は、真空度計15の出力信号をモニタすることによっ
て、チャンバ11内の真空度を、たとえば2×10-2P
aに保持するように流量制御装置24を制御する。
御装置30は、排気バルブ13を開き、真空ポンプ14
によりチャンバ11内の雰囲気が排気されて、チャンバ
11内の真空度が約10-3Paに保持される。この状態
から、制御装置30は、時刻t10に弁21aを開い
て、不活性ガス供給源21からのガスの供給を開始させ
る。このガス供給が開始された後には、制御装置30
は、真空度計15の出力信号をモニタすることによっ
て、チャンバ11内の真空度を、たとえば2×10-2P
aに保持するように流量制御装置24を制御する。
【0052】これによって、ボート1への通電が開始さ
れて蒸発材料9が加熱される期間T2には、高周波電力
供給電源5から印加される高周波電界によって、チャン
バ11内でプラズマが生成される。このプラズマ中のア
ルゴンは、直流電圧印加電源6から基材保持部2に与え
られている直流バイアスによって、基材10へと導かれ
る。このアルゴンが基材10に衝突することによって、
期間T2中に基材10の不所望な昇温が生じる場合に
は、基材10のやや下方にシャッタ18(図1参照)を
設けて、基材10に向かうアルゴンを阻止すればよい。
れて蒸発材料9が加熱される期間T2には、高周波電力
供給電源5から印加される高周波電界によって、チャン
バ11内でプラズマが生成される。このプラズマ中のア
ルゴンは、直流電圧印加電源6から基材保持部2に与え
られている直流バイアスによって、基材10へと導かれ
る。このアルゴンが基材10に衝突することによって、
期間T2中に基材10の不所望な昇温が生じる場合に
は、基材10のやや下方にシャッタ18(図1参照)を
設けて、基材10に向かうアルゴンを阻止すればよい。
【0053】期間T2には、制御装置30は加熱電源3
を制御して、ボート1への通電を開始する。これに伴っ
て、ボート1への加熱電流値が上昇し、期間T2の末期
にはたとえば150Aに達する。チャンバ11内におけ
るプラズマが安定する時刻t11において、制御装置3
0の制御下にある駆動機構(図示せず)によってシャッ
タ18が開かれ、これにより、薄膜の形成が開始され
る。蒸発材料9の蒸発により、蒸発粒子がプラズマ中へ
と導かれることになるから、一定の流量でガス供給配管
25からチャンバ11内にガスを供給すれば、チャンバ
11内の真空度が下がる。
を制御して、ボート1への通電を開始する。これに伴っ
て、ボート1への加熱電流値が上昇し、期間T2の末期
にはたとえば150Aに達する。チャンバ11内におけ
るプラズマが安定する時刻t11において、制御装置3
0の制御下にある駆動機構(図示せず)によってシャッ
タ18が開かれ、これにより、薄膜の形成が開始され
る。蒸発材料9の蒸発により、蒸発粒子がプラズマ中へ
と導かれることになるから、一定の流量でガス供給配管
25からチャンバ11内にガスを供給すれば、チャンバ
11内の真空度が下がる。
【0054】ところが、制御装置30は、チャンバ11
内の真空度が約2×10-2Paに保持されるように流量
制御装置24を制御して、ガス供給配管25を介するガ
ス供給量を調整する。その結果、蒸発材料9からの蒸発
量の増大に伴って、参照符号Aで示すように、チャンバ
11への不活性ガス導入量が減少していく。したがっ
て、薄膜形成処理が行われる期間T3の初期において
は、プラズマの組成は、不活性ガスに支配されている
が、このプラズマの組成は、速やかに蒸発材料9の蒸発
物によって支配された組成へと変化していく。
内の真空度が約2×10-2Paに保持されるように流量
制御装置24を制御して、ガス供給配管25を介するガ
ス供給量を調整する。その結果、蒸発材料9からの蒸発
量の増大に伴って、参照符号Aで示すように、チャンバ
11への不活性ガス導入量が減少していく。したがっ
て、薄膜形成処理が行われる期間T3の初期において
は、プラズマの組成は、不活性ガスに支配されている
が、このプラズマの組成は、速やかに蒸発材料9の蒸発
物によって支配された組成へと変化していく。
【0055】一方、プラズマからの電子の供給によっ
て、蒸発材料9の蒸発が促進されるので、膜厚モニタ1
7の出力に基づくフィードバック制御によって、加熱電
源3からボート1に供給される電流が参照符号Bで示す
ように減少することになる。たとえば、約2〜3秒の期
間を経て、電流値は150Aから80Aへと低下する。
よって、蒸発材料9は、通常の蒸着やイオンプレーティ
ングにおけるよりも低温状態でその蒸発が進行すること
になるから、蒸発源20からの輻射熱によって基材10
が過度に昇温されることがない。
て、蒸発材料9の蒸発が促進されるので、膜厚モニタ1
7の出力に基づくフィードバック制御によって、加熱電
源3からボート1に供給される電流が参照符号Bで示す
ように減少することになる。たとえば、約2〜3秒の期
間を経て、電流値は150Aから80Aへと低下する。
よって、蒸発材料9は、通常の蒸着やイオンプレーティ
ングにおけるよりも低温状態でその蒸発が進行すること
になるから、蒸発源20からの輻射熱によって基材10
が過度に昇温されることがない。
【0056】以上のように、この実施形態によれば、チ
ャンバ11に不活性ガスを導入した状態で薄膜形成処理
を開始することにより、薄膜形成処理の初期段階からチ
ャンバ11内に良好なプラズマを生成することができ
る。これによって、蒸発材料は、初期段階からプラズマ
の作用を受けながら基材10に効率的に導かれる。その
結果、密着性の良好な薄膜を基材10の表面に効率的に
形成することができる。この実施形態の方法は、ガラ
ス、ポリカーボネート、またはPMMA(ポリメチルメ
タクリレート)等の基材の表面に薄膜を形成するために
用いることができる。この実施形態の薄膜形成では、基
材10の温度は80℃以下(40〜80℃の範囲)に保
持される。したがって、たとえば、ポリカーボネートの
耐熱温度は120〜130℃であり、PMMAの耐熱温
度は80℃程度であるが、これらの基材に対して、金属
薄膜、窒化物薄膜または酸化物薄膜等を形成することが
できる。
ャンバ11に不活性ガスを導入した状態で薄膜形成処理
を開始することにより、薄膜形成処理の初期段階からチ
ャンバ11内に良好なプラズマを生成することができ
る。これによって、蒸発材料は、初期段階からプラズマ
の作用を受けながら基材10に効率的に導かれる。その
結果、密着性の良好な薄膜を基材10の表面に効率的に
形成することができる。この実施形態の方法は、ガラ
ス、ポリカーボネート、またはPMMA(ポリメチルメ
タクリレート)等の基材の表面に薄膜を形成するために
用いることができる。この実施形態の薄膜形成では、基
材10の温度は80℃以下(40〜80℃の範囲)に保
持される。したがって、たとえば、ポリカーボネートの
耐熱温度は120〜130℃であり、PMMAの耐熱温
度は80℃程度であるが、これらの基材に対して、金属
薄膜、窒化物薄膜または酸化物薄膜等を形成することが
できる。
【0057】図3は、この発明の他の実施形態に係る薄
膜形成装置の構成を示す概念図である。この図3におい
て、上述の図1に示された各部に対応する部分には同一
の参照符号を付して示し、図1に示された実施形態との
相違点を中心に説明する。この実施形態では、チャンバ
11内に帯状のフィルム基材10A(樹脂フィルム等の
シート状材料)を巻回した素材ローラ31と、この素材
ローラ31から繰り出されたフィルム基材10Aを巻き
取る巻き取りローラ32とが配置されている。素材ロー
ラ31と巻き取りローラ32との間には、基材保持部と
しての高周波シャフト電極2Aが配置されている。
膜形成装置の構成を示す概念図である。この図3におい
て、上述の図1に示された各部に対応する部分には同一
の参照符号を付して示し、図1に示された実施形態との
相違点を中心に説明する。この実施形態では、チャンバ
11内に帯状のフィルム基材10A(樹脂フィルム等の
シート状材料)を巻回した素材ローラ31と、この素材
ローラ31から繰り出されたフィルム基材10Aを巻き
取る巻き取りローラ32とが配置されている。素材ロー
ラ31と巻き取りローラ32との間には、基材保持部と
しての高周波シャフト電極2Aが配置されている。
【0058】素材ローラ31から繰り出されたフィルム
基材10Aは、補助シャフト33の上面側に案内されて
高周波シャフト2Aの下面側(蒸発源20に対向する
側)に導かれ、さらにもう一つの補助シャフト34の上
面側に案内されて巻き取りローラ32に巻き取られるよ
うになっている。巻き取りローラ32には、図示しない
回転駆動手段から、巻き取り方向(図3において矢印で
示す方向)への回転駆動力が与えられている。
基材10Aは、補助シャフト33の上面側に案内されて
高周波シャフト2Aの下面側(蒸発源20に対向する
側)に導かれ、さらにもう一つの補助シャフト34の上
面側に案内されて巻き取りローラ32に巻き取られるよ
うになっている。巻き取りローラ32には、図示しない
回転駆動手段から、巻き取り方向(図3において矢印で
示す方向)への回転駆動力が与えられている。
【0059】高周波シャフト電極2Aは、素材ローラ3
1および巻き取りローラ32と平行に延びる丸棒状の導
電部材からなっていて、高周波電力供給電源5からの高
周波電力および直流電圧印加電源6からの直流バイアス
が印加されるようになっている。この高周波シャフト電
極2Aは、図示しない回転駆動手段によって、矢印方向
に回転駆動されている。素材ローラ31および巻き取り
ローラ32の下方には、高周波シャフト電極2Aの下面
側においてのみフィルム基材10Aを露出させる開口3
5aを有し、素材ローラ31、巻き取りローラ32およ
び補助ローラ33,34への膜材料の付着を防ぐための
防着板35が配置されている。これにより、フィルム基
材10Aには、高周波シャフト電極2Aの下面側に位置
する部分に対してのみコーティングが施されることにな
る。
1および巻き取りローラ32と平行に延びる丸棒状の導
電部材からなっていて、高周波電力供給電源5からの高
周波電力および直流電圧印加電源6からの直流バイアス
が印加されるようになっている。この高周波シャフト電
極2Aは、図示しない回転駆動手段によって、矢印方向
に回転駆動されている。素材ローラ31および巻き取り
ローラ32の下方には、高周波シャフト電極2Aの下面
側においてのみフィルム基材10Aを露出させる開口3
5aを有し、素材ローラ31、巻き取りローラ32およ
び補助ローラ33,34への膜材料の付着を防ぐための
防着板35が配置されている。これにより、フィルム基
材10Aには、高周波シャフト電極2Aの下面側に位置
する部分に対してのみコーティングが施されることにな
る。
【0060】また、蒸発源20に関連して、ボート1へ
と蒸発材料9を供給するためのコート材料供給器36が
配置されている。このような構成により、巻き取りロー
ラ32によってフィルム基材10を巻き取りながら薄膜
形成処理を行うことによって、素材ローラ31から繰り
出されるフィルム基材10の表面へのコーティングを連
続して行うことができる。また、コート材料供給器36
によって蒸発材料9をボート1へ適宜補充することがで
きるので、長時間の連続処理が可能である。
と蒸発材料9を供給するためのコート材料供給器36が
配置されている。このような構成により、巻き取りロー
ラ32によってフィルム基材10を巻き取りながら薄膜
形成処理を行うことによって、素材ローラ31から繰り
出されるフィルム基材10の表面へのコーティングを連
続して行うことができる。また、コート材料供給器36
によって蒸発材料9をボート1へ適宜補充することがで
きるので、長時間の連続処理が可能である。
【0061】チャンバ11への不活性ガス等の供給の制
御や、高周波シャフト電極2Aへの高周波電力および直
流バイアス電圧の印加などに関しては、図1に示された
実施形態の場合と同様に行われる。以上、この発明の2
つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態
で実施することもできる。たとえば、上述の実施形態で
は、チャンバ11に不活性ガスが導入される場合のプロ
セスについて説明したが、基材10の表面に酸化膜を形
成する場合には、反応性ガス供給源23から、流量制御
装置24を介して酸素ガスをチャンバ11に供給すれば
よい。この場合、プラズマ中に必要量の酸素を供給する
ために、ガス供給量は、図2において参照符号Cで示す
ような時間変化を示すように制御される。
御や、高周波シャフト電極2Aへの高周波電力および直
流バイアス電圧の印加などに関しては、図1に示された
実施形態の場合と同様に行われる。以上、この発明の2
つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態
で実施することもできる。たとえば、上述の実施形態で
は、チャンバ11に不活性ガスが導入される場合のプロ
セスについて説明したが、基材10の表面に酸化膜を形
成する場合には、反応性ガス供給源23から、流量制御
装置24を介して酸素ガスをチャンバ11に供給すれば
よい。この場合、プラズマ中に必要量の酸素を供給する
ために、ガス供給量は、図2において参照符号Cで示す
ような時間変化を示すように制御される。
【0062】また、上記の実施形態では、チャンバ11
を電気的に浮遊状態として、ボート1の蒸発材料9にプ
ラズマからの電子ビームを集中させ、かつ、チャンバ1
1の内壁への薄膜形成を抑制することとしている。しか
し、多少の効率低下が問題とならないのであれば、チャ
ンバ11を接地電位とすることとしてもよい。また、上
記の実施形態では、基材保持部2または高周波シャフト
電極2Aとボート1との間に直流電圧印加電源6から直
流バイアスを印加しているが、チャンバ11と基材保持
部材2または高周波シャフト電極2Aとの間に直流バイ
アスを印加することとしてもよい。ただし、この場合に
は、ボート1に保持された蒸発材料9への電子ビームの
供給効率が悪くなるので、上記の実施形態の場合ほど基
材10またはフィルム基材10Aの温度を低温に保持す
ることができない。
を電気的に浮遊状態として、ボート1の蒸発材料9にプ
ラズマからの電子ビームを集中させ、かつ、チャンバ1
1の内壁への薄膜形成を抑制することとしている。しか
し、多少の効率低下が問題とならないのであれば、チャ
ンバ11を接地電位とすることとしてもよい。また、上
記の実施形態では、基材保持部2または高周波シャフト
電極2Aとボート1との間に直流電圧印加電源6から直
流バイアスを印加しているが、チャンバ11と基材保持
部材2または高周波シャフト電極2Aとの間に直流バイ
アスを印加することとしてもよい。ただし、この場合に
は、ボート1に保持された蒸発材料9への電子ビームの
供給効率が悪くなるので、上記の実施形態の場合ほど基
材10またはフィルム基材10Aの温度を低温に保持す
ることができない。
【0063】その他、「課題を解決するための手段およ
び発明の効果」の項で説明した通りの設計変更が可能で
あり、さらには特許請求の範囲に記載された事項の範囲
で種々の設計変更を行うことができる。
び発明の効果」の項で説明した通りの設計変更が可能で
あり、さらには特許請求の範囲に記載された事項の範囲
で種々の設計変更を行うことができる。
【図1】この発明の一実施形態に係る薄膜形成装置の構
成を示す概念図である。
成を示す概念図である。
【図2】薄膜形成プロセスを説明するための図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る薄膜形成装置の
構成を示す概念図である。
構成を示す概念図である。
1 ボート 2 基材保持部 2A 高周波シャフト電極 3 加熱電源 4 マッチング装置 5 高周波電力供給電源 6 直流電圧印加電源 7 コンデンサ 8 コイル 9 蒸発材料 10 基材 10A フィルム基材 11 チャンバ 12 排気ダクト 13 排気バルブ 14 真空ポンプ 15 真空度計 17 膜厚モニタ 18 シャッタ 20 蒸発源 21 不活性ガス供給源 23 反応性ガス供給源 24 流量制御装置 25 ガス供給配管 30 制御装置
Claims (17)
- 【請求項1】薄膜形成処理が行われるチャンバと、 導電性部材からなり、上記チャンバ内において表面に薄
膜を形成すべき基材を保持する基材保持手段と、 この基材保持手段に高周波電力を供給する高周波電力供
給電源と、 上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料となる蒸発材料
を保持するボート、およびこのボートを加熱する加熱手
段を備えた蒸発源と、 プラズマを生成させるためのガスを上記チャンバ内に供
給するガス供給手段と、 上記ガス供給手段による上記チャンバへのガスの供給量
を、上記基材に薄膜を形成する薄膜形成処理の初期より
も、その後の期間の方が少なくなるように制御するガス
供給量制御手段とを含むことを特徴とする薄膜形成装
置。 - 【請求項2】上記チャンバ内の真空度を計測する真空度
計測手段をさらに含み、 上記ガス供給量制御手段は、上記真空度計測手段により
計測される上記チャンバ内の真空度が所定値に保持され
るように上記ガス供給手段によるガス供給量を制御する
ものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装
置。 - 【請求項3】上記所定値が1.0×10-2Pa〜5.0
×10-2Paの範囲内の値であることを特徴とする請求
項2記載の薄膜形成装置。 - 【請求項4】上記基材保持手段と上記ボートとの間に、
上記ボート側を陽極側として接続された直流電圧印加電
源をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のい
ずれかに記載の薄膜形成装置。 - 【請求項5】上記チャンバが、電気的に浮遊状態とされ
ていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
記載の薄膜形成装置。 - 【請求項6】上記チャンバが導体材料からなっているこ
とを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄
膜形成装置。 - 【請求項7】チャンバ内において、表面に薄膜を形成す
べき基材を保持するステップと、 プラズマを生成させるためのガスを上記チャンバ内に供
給するステップと、 上記チャンバ内の空間に高周波電界を印加するステップ
と、 上記チャンバ内で、薄膜の原料となる蒸発材料を加熱し
て蒸発させるステップと、 上記チャンバへのガスの供給量を、上記基材に薄膜を形
成する薄膜形成処理の初期よりも、その後の期間の方が
少なくなるように制御するガス供給量制御ステップとを
含むことを特徴とする薄膜形成方法。 - 【請求項8】上記ガス供給量制御ステップは、上記チャ
ンバ内の真空度が所定値に保持されるようにガス供給量
を制御するステップを含むことを特徴とする請求項7記
載の薄膜形成方法。 - 【請求項9】上記所定値が1.0×10-2Pa〜5.0
×10-2Paの範囲内の値であることを特徴とする請求
項8記載の薄膜形成方法。 - 【請求項10】上記基材と蒸発材料を保持するボートと
の間に、上記ボート側を陽極側として直流電圧を印加す
るステップをさらに含むことを特徴とする請求項7ない
し9のいずれかに記載の薄膜形成方法。 - 【請求項11】上記チャンバが、電気的に浮遊状態とさ
れていることを特徴とする請求項7ないし10のいずれ
かに記載の薄膜形成方法。 - 【請求項12】上記チャンバが導体材料からなっている
ことを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載
の薄膜形成方法。 - 【請求項13】上記基材の温度を100℃以下に保持し
て、上記基材の表面に薄膜を形成することを特徴とする
請求項7ないし12のいずれかに記載の薄膜形成方法。 - 【請求項14】上記基材がプラスチック材料からなって
いることを特徴とする請求項7ないし13のいずれかに
記載の薄膜形成方法。 - 【請求項15】上記蒸発材料が、金属、金属酸化物、金
属塩類または高分子化合物のいずれかからなっているこ
とを特徴とする請求項7ないし14のいずれかに記載の
薄膜形成方法。 - 【請求項16】電気的に浮遊状態とされ、薄膜形成処理
が行われる導電性のチャンバと、 導電性部材からなり、上記チャンバ内において表面に薄
膜を形成すべき基材を保持する基材保持手段と、 この基材保持手段に高周波電力を供給する高周波電力供
給電源と、 上記チャンバ内に配置され、薄膜の原料となる蒸発材料
を保持するボート、およびこのボートを加熱する加熱手
段を備えた蒸発源と、 プラズマを生成させるためのガスを上記チャンバ内に供
給するガス供給手段と、 上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として接続された直流電圧印加電源とを含むこ
とを特徴とする薄膜形成装置。 - 【請求項17】電気的に浮遊状態とされた導電性のチャ
ンバ内において、導電性部材からなる基材保持手段に基
材を保持させるステップと、 この基材保持手段に高周波電力を供給するステップと、 上記チャンバ内において、薄膜の原料となる蒸発材料を
保持するボートを加熱するステップと、 プラズマを生成するためのガスを上記チャンバ内に供給
するステップと、 上記基材保持手段と上記ボートとの間に、上記ボート側
を陽極側として直流電圧を印加するステップとを含むこ
とを特徴とする薄膜形成方法。
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---|---|---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006037153A (ja) * | 2004-07-26 | 2006-02-09 | Shinko Seiki Co Ltd | 成膜装置および成膜方法 |
KR101284760B1 (ko) | 2011-11-22 | 2013-07-17 | 주식회사 인포비온 | 태양전지 제조용 고속 열처리 시스템 및 이를 이용한 열처리 방법 |
CN104354365A (zh) * | 2014-11-25 | 2015-02-18 | 中国航空工业集团公司洛阳电光设备研究所 | 一种红外波段光阑复合膜、制备方法及复合材料 |
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CN115433906A (zh) * | 2022-09-16 | 2022-12-06 | 安徽光智科技有限公司 | 硒化锌基底8-12um波段高耐久性增透膜的制备方法 |
Citations (1)
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-
2001
- 2001-01-25 JP JP2001016711A patent/JP2002220657A/ja active Pending
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