JP2019119973A - 繊維構造体、及び、被服 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝送シートに含まれる2つの導電層間を確実に絶縁する。【解決手段】繊維構造体1000は、繊維構造体100と繊維構造体200とを含む。繊維構造体100は、非導電糸により構成された基布110と、基布110に挿入された導電糸とを備える。導電糸は、繊維構造体100が有する表面130に露出し、繊維構造体100が有する裏面140に露出しない。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維構造体、及び、被服に関する。
現在、人体に装着するセンサに電力を供給し、このセンサが送受信する情報を伝送するウェアラブルな伝送シートが知られている。このような伝送シートは、導電性を有する導電糸と導電性を有しない非導電糸とを含む繊維構造体を備えることが多い。このような繊維構造体は、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された導電性経編物は、伸縮しても電気抵抗値が変化しにくくなるように、導電糸と非導電糸とを用いてテープ状の形状を有している。ところで、上述した伝送シートは、電力又は情報を伝送するために、導電性を有する2つの導電層と、この2つの導電層の間に配置され、導電性を有しない非導電層と、を備えることが一般的である。そして、この2つの導電層間は、確実に絶縁されていることが望まれる。
特開2017−25432号公報
しかしながら、特許文献1に記載された導電性経編物は、電気抵抗値の変化を抑制することを目的とする発明であり、2つの導電層間を確実に絶縁することを目的とする発明ではない。つまり、特許文献1に記載された導電性経編物を用いて伝送シートを構成しても、2つの導電層間を確実に絶縁することができるか否か不明である。このため、伝送シートに含まれる2つの導電層間を確実に絶縁することが可能な技術が望まれている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、伝送シートに含まれる2つの導電層間を確実に絶縁する繊維構造体、及び、被服を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る繊維構造体は、
情報又は電力を伝送する伝送シートに用いられる繊維構造体であって、
非導電糸により構成された基布と、
前記基布に挿入された導電糸と、を備え、
前記導電糸は、前記繊維構造体が有する一方の面に露出し、前記繊維構造体が有する他方の面に露出しない。
前記基布は、第1の方向に沿って配置された第1の非導電糸と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された第2の非導電糸と、を備え、
前記繊維構造体が最も伸びる方向は、前記第1の方向と前記第2の方向との中間の方向である、第3の方向及び第4の方向であり、
前記繊維構造体が前記第3の方向又は前記第4の方向に最も伸びているときと、前記繊維構造体がいずれの方向にも伸びていないときとのいずれのときにおいても、前記導電糸は、前記他方の面に露出しないことが好適である。
前記第1の非導電糸は、伸縮性を有し、
前記繊維構造体の前記第3の方向及び前記第4の方向への伸び率は、10%から100%までの間であることが好適である。
前記第1の非導電糸の横断面積は、前記導電糸の横断面積の10%以上であることが好適である。
前記第2の非導電糸の横断面積は、前記導電糸の横断面積の10%以上であることが好適である。
前記第1の非導電糸の横断面の形状は、略円形であり、
前記第1の非導電糸は、前記第1の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、前記第2の方向に並べて配置されることが好適である。
前記第2の非導電糸の横断面の形状は、略円形であり、
前記第2の非導電糸は、前記第2の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、前記第1の方向に並べて配置されることが好適である。
前記繊維構造体である、第1の繊維構造体及び第2の繊維構造体を備え、
前記第1の繊維構造体が備える前記他方の面と、前記第2の繊維構造体が備える前記他方の面とが重ねられて繊維構造体が構成されることが好適である。
前記繊維構造体である第1の繊維構造体と、
導電性を有する導電層と、を備え、
前記第1の繊維構造体が備える前記他方の面と、前記導電層が備えるいずれか一方の面とが重ねられて繊維構造体が構成されることが好適である。
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る被服は、
前記いずれかに記載の繊維構造体を用いた伝送シートを備える。
本発明によれば、伝送シートに含まれる2つの導電層間を確実に絶縁することができる。
本発明の実施形態1に係る繊維構造体の分解斜視図 導電糸が格子柄に配置された繊維構造体の部分平面図 格子柄に配置された導電糸を示す図 導電糸の横断面図 導電糸が波柄に配置された繊維構造体の部分平面図 波柄に配置された導電糸を示す図 実施例1に係る繊維構造体の表面の拡大平面図 図7に示す拡大平面図のトレース図 実施例1に係る繊維構造体の裏面の拡大平面図 図9に示す拡大平面図のトレース図 図8におけるA−A線の断面図 図11に示す断面図のトレース図 実施例3に係る繊維構造体の表面の拡大平面図 図13に示す拡大平面図のトレース図 実施例3に係る繊維構造体の裏面の拡大平面図 図15に示す拡大平面図のトレース図 図14におけるB−B線の断面図 図17に示す断面図のトレース図 本発明の実施形態2に係る繊維構造体の分解斜視図 繊維構造体を用いた伝送シートが設けられた衣服を示す第1の図 繊維構造体を用いた伝送シートが設けられた衣服を示す第2の図 繊維構造体を用いた伝送シートが設けられた衣服を示す第3の図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中において、同一又は対応する部分には、同一の符号を付す。
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る繊維構造体1000の構成について説明する。繊維構造体1000は、電力を供給したり情報を伝送したりする伝送シートに用いられる、繊維により構成された構造体である。本実施形態では、伝送シートは、人体に装着するセンサに電力を供給し、このセンサが送受信する情報を伝送するウェアラブルな伝送シートであるものとする。なお、伝送シートは、被服の生地として使用されてもよいし、既存の被服に取り付けられて使用されてもよい。伝送シートは、電力の供給や情報の伝送を実現するために、導電性を有する2つの導電層と、この2つの導電層の間に配置され、導電性を有しない非導電層と、を備える。また、伝送シートは、人体への装着を容易にするために、柔軟性に富んだ素材で構成されることが望まれる。そこで、本実施形態では、導電糸と非導電糸とを含む繊維構造体1000で伝送シートを構成する例について説明する。
図1に示すように、繊維構造体1000は、第1の繊維構造体である繊維構造体100と第2の繊維構造体である繊維構造体200とを備える。繊維構造体100は、基布110と導電層120とを備える。基布110は、導電性を有しない非導電糸により構成される布であり、導電層120の土台となる布である。導電層120は、導電性を有する導電糸により構成される層である。導電層120は、導電糸が基布110に挿入されることにより形成される。つまり、基布110を構成する非導電糸と導電層120を構成する導電糸とから、繊維構造体100が形成される。本発明において、挿入とは、導電糸が基布110に編み込まれて、基布110として一体化した状態、導電糸が基布110に織り込まれて、基布110として一体化した状態、導電糸が基布110内に存在するが、基布110と一体化はしていない状態、のいずれも含む。
繊維構造体100は、表面130と裏面140とを有する。表面130は、導電層120が配置される面である。図1において、表面130は、繊維構造体100が備える2つの面のうち、Z軸方向における座標が大きい方の面である。裏面140は、導電層120が配置されない面である。裏面140は、繊維構造体100が備える2つの面のうち、Z軸方向における座標が小さい方の面である。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向であり、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であり、Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向とに直交する方向であるものとする。
導電層120は、繊維構造体100が有する2つの面のうち一方の面のみに露出する。本実施形態では、導電層120は、表面130のみに露出し、裏面140には露出しないものとする。本実施形態では、ある部位がむき出された状態であることを、ある部位が露出しているという。つまり、ある部位が視認可能であるだけでなく、ある部位が他の部位に比べて突出している場合に、ある部位が露出しているという。つまり、ある部位が視認可能であるが、ある部位が他の部位よりも凹んでいる場合、ある部位が露出しているとはいわない。
従って、Z軸方向における正の方向から繊維構造体100を見たときに導電層120は視認可能である。また、導電層120の視認可能である部分のZ軸方向における座標は、この視認可能である部分の周囲の基布110のZ軸方向における座標よりも大きい。一方、Z軸方向における負の方向から繊維構造体100を見たときに導電層120は基本的には視認可能でない。ただし、Z軸方向における負の方向から繊維構造体100を見たときに導電層120は視認可能であってもよい。この場合、導電層120の視認可能である部分のZ軸方向における座標は、この視認可能である部分の周囲の基布110のZ軸方向における座標よりも大きいことが前提となる。
図2に示すように、本実施形態では、繊維構造体100を平面視したとき、つまり、Z軸方向における正の方向から繊維構造体100を見たときの導電層120の柄は、格子柄であるものとする。ただし、導電層120の柄は、格子柄に限定されず、伝送シートの用途、電源電圧、信号電圧、信号の周波数、最長伝送距離などに応じて、適宜、調整される。
繊維構造体200は、基本的に、繊維構造体100と同様の構成である。つまり、繊維構造体200は、基布210と導電層220とを備える。基布210は、基布110と同様の構成である。また、導電層220は、導電層120と同様の構成である。繊維構造体200は、表面230と裏面240とを有する。表面230は、導電層220が配置される面である。裏面240は、導電層220が配置されない面である。つまり、導電層220は、表面230のみに露出し、裏面240には露出しない。
ここで、繊維構造体1000は、繊維構造体100が有する裏面140と繊維構造体200が有する裏面240とを固定することで形成される。固定方法は、適宜、調整することができる。例えば、接着剤による接着、両面テープによる接着、非導電糸による縫い付けなどの固定方法を採用することができる。なお、本実施形態では、裏面140と裏面240との間の絶縁は、接着剤や両面テープの存在により確保されないものとする。繊維構造体1000は、繊維構造体100が備える導電層120と繊維構造体200が備える導電層220との間が、基布110と基布210とにより絶縁された構成となる。このため、導電層120と導電層220との間に電源電圧を印加することにより、電力の供給が可能となる。また、導電層120と導電層220との間に信号電圧を印加することにより、情報の伝送が可能となる。
ここで、導電層120と導電層220とが接触すると、電力の供給や情報の伝送ができないだけでなく、大電流が流れて発熱する可能性があり、好ましくない。そこで、本実施形態では、導電層120と導電層220とが接触しないように繊維構造体1000が形成される。つまり、導電層120が表面130に露出し、導電層120が裏面140に露出しないように、繊維構造体100が形成される。同様に、導電層220が表面230に露出し、導電層220が裏面240に露出しないように、繊維構造体200が形成される。以下、導電層120が表面130のみに露出するように繊維構造体100を形成する例について説明する。
まず、導電糸と非導電糸とについて説明する。導電糸は、導電体を含む糸であり、非導電糸は、導電体を含まない糸である。導電体は、例えば、比抵抗(「体積抵抗率」ともいう。)が10Ω・cm未満の物質である。導電糸は、銅やステンレス等の金属により構成された金属繊維であってもよいし、炭素により構成された炭素繊維であってもよい。また、導電糸は、合成繊維に、スパッタリングやメッキにより金属をコーティングした糸であってもよい。或いは、導電糸は、合成繊維の中に、金属粉末や導電ポリマーなどの導電物質を練り込んだ糸であってもよい。なお、合成繊維は、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系などの繊維である。
導電糸の繊維形態は、導電性を確保できる限り、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバーを紡績した紡績糸などいずれも採用することができ、混繊糸、混紡糸なども用いることができる。抵抗値の安定性を重視する場合、モノフィラメント、又は、フィラメント数が少ないマルチフィラメントを採用することが好適である。一方、柔軟性を重視する場合、フィラメント数が多いマルチフィラメントを採用することが好適である。また、導電糸を構成する繊維の横断面形状は、円形、楕円形、多角形など、どのような形状でもよい。また、導電糸を構成する繊維は、中空部を有していてもよい。
非導電糸は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、無機繊維などの糸である。編地に優れた伸縮性を持たせるためには、非導電糸の一部に弾性糸を用いることが好適である。弾性糸は、弾性繊維単体であってもよいし、弾性繊維を非弾性繊維で被覆した加工糸であってもよい。弾性繊維は、例えば、ポリウレタン系の合成繊維や、ポリエーテル・エステルエラストマー系の合成繊維である。非弾性繊維は、例えば、ポリエステル系やポリアミド系の合成繊維である。非導電糸の繊維形態は、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバーを紡績した紡績糸などいずれも採用することができ、混繊糸、混紡糸なども用いることができる。また、非導電糸を構成する繊維の横断面形状は、円形、楕円形、多角形など、どのような形状でもよい。また、非導電糸を構成する繊維は、中空部を有していてもよい。
本実施形態では、基布110を構成する糸として非導電糸を用い、挿入糸として導電糸を用いる。挿入糸は、例えば、ジャガードにより挿入される。基布110が編物である場合のウェール密度は、10−25/inchが好ましく、15−20/inchが更に好ましく、18/inchが最適である。また、基布110が編物である場合のコース密度は、40−90/inchが好ましく、50−76/inchが更に好ましく、66/inchが最適である。
次に、図3を参照して、導電層120の柄が格子柄であるときの導電糸の配置について説明する。本実施形態では、導電糸として、導電糸14と導電糸15とが用いられるものとする。なお、導電糸14と導電糸15とを総称する場合、単に、「導電糸」という。また、経糸は、Y軸方向に伸び、横糸は、X軸方向に伸びるものとする。図3に示すように、導電糸14は、X軸方向に平行ないずれかの方向(例えば、X軸方向における正の方向)に一直線状に伸びた後、X軸方向に平行な他の方向(例えば、X軸方向における負の方向)に一直線状に伸びて戻ることにより、X軸方向に導電層を形成する。また、導電糸14は、X軸方向に振れながらY軸方向における正の方向にジグザグに伸びることにより、Y軸方向に導電層を形成する。
導電糸15は、X軸方向に平行ないずれかの方向(例えば、X軸方向における負の方向)に一直線状に伸びた後、X軸方向に平行な他の方向(例えば、X軸方向における正の方向)に一直線状に伸びて戻ることにより、X軸方向に導電層を形成する。また、導電糸15は、X軸方向に振れながらY軸方向における正の方向にジグザグに伸びることにより、Y軸方向に導電層を形成する。導電糸14と導電糸15とは、同時に編み込まれるが、X軸方向において進む方向は反対である。つまり、導電糸14の動きと導電糸15の動きとは、YZ平面(X軸と直交する平面)に対して対称である。
次に、図4を参照して、導電糸14の横断面について説明する。本実施形態では、導電糸14は、34×8=272本のモノフィラメント(単繊維)141により構成される。つまり、導電糸14は、それぞれが34本のモノフィラメント(単繊維)141から構成されるマルチフィラメント8本を互いに撚り合わせることにより構成される。その結果、導電糸14の横断面の形状は、極端に細長い形状にはならず、概ね円形となる。導電糸15の構成は、基本的に、導電糸14の構成と同様である。
ここで、基布110は、第1の方向に沿って配置された第1の非導電糸と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された第2の非導電糸とから構成される。第1の方向はY軸方向であり、第2の方向はX軸方向である。ここで、基布110が織物である場合には、第1の非導電糸と第2の非導電糸とにより構成される最小の形状は、基本的に、長方形である。繊維構造体100は、この長方形の対角線に平行な方向に引っ張られたとき、最も伸びることになる。本実施形態では、この長方形は、正方形に近い長方形であり、長辺の長さに対する短辺の長さとの比率が1に近いものとする。
この場合、繊維構造体100が最も伸びる方向は、第3の方向及び第4の方向である。第3の方向は、第1の方向と第2の方向との中間の方向であり、図3に示すV軸方向である。第4の方向は、第1の方向と第2の方向との中間の方向であり、図3に示すW軸方向である。ここで、X軸とY軸とV軸とW軸とが、Z軸方向と直交するXY平面上にあるとき、V軸とX軸とのなす角度、V軸とY軸とのなす角度、W軸とX軸とのなす角度、及び、W軸とY軸とのなす角度は、いずれも大凡45度である。なお、第1の非導電糸と第2の非導電糸とのいずれもが弾性を有しない糸であっても、繊維構造体100は、第3の方向及び第4の方向にはある程度伸びる。なお、基布110が編物である場合には、編み物を構成する糸のループ構造に由来する伸縮性を有する。
本実施形態では、基本的に、表面130のみに導電糸が露出するように、第1の非導電糸と第2の非導電糸とを含む基布110に導電糸が挿入される。つまり、本実施形態では、基本的に、導電糸は、裏面140において、第1の非導電糸と第2の非導電糸とのうち少なくとも一方により覆われるように挿入される。ただし、導電糸が裏面140に露出するか否かは、繊維構造体100が伸びた状態であるか否かに応じて変化する可能性がある。例えば、挿入方法によっては、繊維構造体100が伸びた状態では導電糸が裏面140に露出せず、繊維構造体100が伸びていない状態では導電糸が裏面140に露出することがある。そこで、本実施形態では、繊維構造体100が第3の方向又は第4の方向に最も伸びているときと、繊維構造体100がいずれの方向にも伸びていないときとのいずれにおいても、導電糸が裏面140に露出しないように、導電糸が挿入されるものとし、具体的には編み込みをする。
ここで、第1の非導電糸として、伸縮性を有する糸を用いることが好適である。第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を用いると、繊維構造体100がY軸方向に縮む力が働くことにより、第1の非導電糸及び第2の非導電糸により導電糸が裏面140に露出にしにくくなるためである。なお、繊維構造体100が伸びていないときは、繊維構造体100が伸びているときよりも、導電糸が裏面140に露出しやすいと考えられる。このため、第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を用いて、繊維構造体100が伸びていないときに導電糸の裏面140への露出を抑制することは、効果的である。なお、第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を用いる場合、繊維構造体100の第3の方向及び第4の方向への伸び率は、例えば、10%から100%までの間であることが好適である。
また、本願の発明者は、第1の非導電糸の太さが細すぎる場合、第1の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が得られにくいことに着目した。そして、本願の発明者は、第1の非導電糸や導電糸のサイズや横断面形状の実情を考慮すると、第1の非導電糸の横断面積が導電糸の横断面積の10%以上である場合に、第1の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が高いことを発見した。なお、導電糸や非導電糸がマルチフィラメントである場合、フィラメントの束を一本の糸と見做して、横断面積や横断面形状が特定される。例えば、全フィラメントの横断面積の総和が、導電糸や非導電糸の横断面積と見做される。また、例えば、フィラメントの束の横断面の外形の形状が、導電糸や非導電糸の横断面形状と見做される。
また、本願の発明者は、第2の非導電糸の太さが細すぎる場合、第2の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が得られにくいことに着目した。そして、本願の発明者は、第2の非導電糸や導電糸のサイズや横断面形状の実情を考慮すると、第2の非導電糸の横断面積が導電糸の横断面積の10%以上である場合に、第2の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が高いことを発見した。
また、本願の発明者は、第1の非導電糸が配置される間隔が広すぎる場合、第1の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が得られにくいことに着目した。そして、本願の発明者は、第1の非導電糸の横断面形状が略円形であるという実情を考慮すると、第1の非導電糸は、第1の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で第2の方向に並べて配置される場合に、第1の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が高いことを発見した。
また、本願の発明者は、第2の非導電糸が配置される間隔が広すぎる場合、第2の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が得られにくいことに着目した。そして、本願の発明者は、第2の非導電糸の横断面形状が略円形であるという実情を考慮すると、第2の非導電糸は、第2の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で第1の方向に並べて配置される場合に、第2の非導電糸による、導電糸の裏面140への露出の抑制効果が高いことを発見した。
以下、実施例1−4について説明する。なお、実施例1及び実施例2は、第1の非導電糸として、伸縮性を有する糸を使用した実施例である。一方、実施例3及び実施例4は、第1の非導電糸として、伸縮性を有する糸を使用しない実施例である。また、実施例1及び実施例3は、導電糸により構成される導電層120の柄が格子柄である実施例である。一方、実施例2及び実施例4は、導電糸により構成される導電層120の柄が波柄である実施例である。実施例1−4において、ウェール密度は18/inchであり、コース密度は66/inchである。
図5に示すように、実施例2及び実施例4では、繊維構造体100を平面視したとき、つまり、Z軸方向における正の方向から繊維構造体100を見たときの導電層120の柄は、波柄である。
次に、図6を参照して、導電層120の柄が波柄であるときの導電糸の配置について説明する。格子柄のときと同様に、導電糸としては、導電糸14と導電糸15とが用いられ、図6に示すように、導電糸14は、Y軸方向における正の方向に一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向とX軸方向における正の方向との中間の方向に斜めに一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向に一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向とX軸方向における負の方向との中間の方向に斜めに一直線状に伸びるという動きを繰り返す。このように、導電糸14は、X軸方向における正負の方向に変位しながら、Y軸方向における正の方向に進むことにより、波柄の導電層120を構成する。
導電糸15は、Y軸方向における正の方向に一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向とX軸方向における負の方向との中間の方向に斜めに一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向に一直線状に伸び、Y軸方向における正の方向とX軸方向における正の方向との中間の方向に斜めに一直線状に伸びるという動きを繰り返す。このように、導電糸15は、X軸方向における正負の方向に変位しながら、Y軸方向における正の方向に進むことにより、波柄の導電層120を構成する。導電糸14と導電糸15とは、同時に編み込まれるが、X軸方向において進む方向は反対である。つまり、導電糸14の動きと導電糸15の動きとは、YZ平面(X軸と直交する平面)に対して対称である。
(実施例1)
以下、図7から図12を参照して、実施例1について説明する。実施例1では、第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を使用し、導電糸により構成される導電層120の柄が格子柄である。実施例1では、以下に示す表1の編み組織を用いた。ガイドは、糸が配置される筬を示す。糸入れは、ガイドに配置される糸の本数を示す。組織は、ガイドの動き方を示す。使用繊維は、糸として使用する繊維を示す。
L0には、伸縮性を有さず、導電性を有さない非導電糸10が配置される。非導電糸10の色は、黒色である。L1には、伸縮性を有さず、導電性を有さない非導電糸11が配置される。非導電糸11の色は、黒色である。L2には、伸縮性を有し、導電性を有さない非導電糸12が配置される。非導電糸12の色は、黒色である。L3には、伸縮性を有さず、導電性を有さない非導電糸13が配置される。L4には、伸縮性を有さず、導電性を有する挿入糸である導電糸14が配置される。L5には、伸縮性を有さず、導電性を有する挿入糸である導電糸15が配置される。非導電糸10と非導電糸12とが、上述した第1の非導電糸である。非導電糸11と非導電糸13とが、上述した第2の非導電糸である。
ここで、第1の非導電糸(非導電糸10、非導電糸12)の横断面積は、導電糸(導電糸14、導電糸15)の横断面積の10%以上である。また、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面積も、導電糸(導電糸14、導電糸15)の横断面積の10%以上である。また、第1の非導電糸(非導電糸10、非導電糸12)及び第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面の形状は、略円形である。第1の非導電糸(非導電糸10、非導電糸12)は、第1の非導電糸(非導電糸10、非導電糸12)の横断面の半径よりも長い間隔で、第2の方向に並べて配置される。一方、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)は、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面の半径よりも短い間隔で、第1の方向に並べて配置される。
図7に、実施例1に係る繊維構造体100の表面130の拡大平面図を示す。なお、図7は、図1における領域150の拡大平面図である。図7は、表面130の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。領域150は、表面130のうち、導電糸が露出した部分を含む領域である。図7に示すように、実施例1では、繊維構造体100の表面130上に、導電糸が露出する。以下、図8を参照して、詳細に説明する。
図8は、図7に示す拡大平面図のトレース図である。つまり、図8は、基本的に、図7に示す拡大平面図に含まれる糸の輪郭をトレースした図である。なお、理解を容易にするため、トレース図では、基本的に、マルチフィラメントである糸の束の輪郭のみを明示し、マルチフィラメントを構成する1本のフィラメント(単繊維)の輪郭は明示しない。図8には、2本の非導電糸13がセットでX軸方向に延び、導電糸14と導電糸15とがセットでX軸方向に延び、2本の非導電糸10がセットで導電糸14と導電糸15とを纏めながらY軸方向に沿って配置された様子が示されている。図8に示すように、繊維構造体100の表面130を見た場合、非導電糸10と非導電糸13と導電糸14と導電糸15とが視認され、非導電糸11と非導電糸12とが視認されない。
図9に、実施例1に係る繊維構造体100の裏面140の拡大平面図を示す。なお、図7は、表面130における領域150に対向する、裏面140内の領域の拡大平面図である。図9は、裏面140の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。図9に示すように、実施例1では、繊維構造体100の裏面140上に、導電糸が露出しない。以下、図10を参照して、詳細に説明する。
図10は、図9に示す拡大平面図のトレース図である。図10には、2本の非導電糸10がセットでY軸方向に延び、2本の非導電糸11がセットでY軸方向に沿って配置された様子が示されている。図10に示すように、繊維構造体100の裏面140を見た場合、非導電糸10と非導電糸11とが視認され、非導電糸12と非導電糸13と導電糸14と導電糸15とが視認されない。
図11に、図8におけるA−A線の断面図を示す。図11は、断面の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。図11に示すように、実施例1では、繊維構造体100の裏面140上に、導電糸が露出しない。以下、図12を参照して、詳細に説明する。図12は、図11に示す断面図のトレース図である。図12には、導電糸14と導電糸15とのセットが2セット配置されている様子が示されている。図12に示すように、導電糸14と導電糸15とのいずれも、繊維構造体100の裏面140から露出していない。
図12において、破線1101−1104は、基布110を構成する非導電糸が配置された領域を示し、破線1201−1204は、導電層120を構成する導電糸が配置された領域を示している。なお、基布110は、非導電糸10−13のうち少なくとも1つの非導電糸により構成される。また、導電層120は、導電糸14,15のうち少なくとも一方の導電糸により構成される。図12に示すように、破線1201,1202により示された領域に配置された導電糸の裏面140への露出は、破線1102により示された領域に配置された非導電糸により抑制されている。また、破線1203,1204により示された領域に配置された導電糸の裏面140への露出は、破線1103により示された領域に配置された非導電糸により抑制されている。
以上、説明したように、実施例1では、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から視認可能でなく、従って、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から露出しない。従って、実施例1で得られた繊維構造体100とこの繊維構造体100と同じように形成された繊維構造体200とを重ね合わせて繊維構造体1000を形成した場合、2つの導電層間の絶縁が維持される。
(実施例2)
以下、実施例2について説明する。実施例2では、第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を使用し、導電糸により構成される導電層120の柄が波柄である。実施例2では、以下に示す表2の編み組織を用いた。実施例2は、糸入れや組織は実施例1と異なるが、ガイドと糸との対応関係は実施例1と同様である。つまり、L0には非導電糸10が配置され、L1には非導電糸11が配置され、L2には非導電糸12が配置され、L3には非導電糸13が配置され、L4には導電糸14が配置され、L5には導電糸15が配置される。また、第1の非導電糸(非導電糸10、非導電糸12)の断面積や配置間隔、並びに、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の断面積や配置間隔も実施例1と同様である。
図示しないが、実施例2では、実施例1と同様に、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から視認可能でなく、従って、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から露出しない。従って、実施例2で得られた繊維構造体100とこの繊維構造体100と同じように形成された繊維構造体200とを重ね合わせて繊維構造体1000を形成した場合、2つの導電層間の絶縁が維持される。
(実施例3)
以下、図13から図18を参照して、実施例3について説明する。実施例3では、第1の非導電糸として伸縮性を有する糸を使用せず、導電糸により構成される導電層120の柄が格子柄である。実施例3では、以下に示す表3の編み組織を用いた。実施例3では、ガイドであるL5と非導電糸12とが用いられない。つまり、L0には非導電糸10が配置され、L1には非導電糸11が配置され、L2には非導電糸13が配置され、L3には導電糸14が配置され、L4には導電糸15が配置される。
第1の非導電糸(非導電糸10)の横断面積は、導電糸(導電糸14、導電糸15)の横断面積の10%以上である。また、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面積も、導電糸(導電糸14、導電糸15)の横断面積の10%以上である。また、第1の非導電糸(非導電糸10)及び第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面の形状は、略円形である。第1の非導電糸(非導電糸10)は、第1の非導電糸(非導電糸10)の横断面の半径よりも長い間隔で、第2の方向に並べて配置される。一方、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)は、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の横断面の半径よりも短い間隔で、第1の方向に並べて配置される。
図13に、実施例3に係る繊維構造体100の表面130の拡大平面図を示す。図13は、表面130の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。図13に示すように、実施例3では、繊維構造体100の表面130上に、導電糸が露出する。以下、図14を参照して、詳細に説明する。
図14は、図13に示す拡大平面図のトレース図である。図14には、2本の非導電糸10がセットで導電糸14と導電糸15とを纏めながらY軸方向に延び、2本の非導電糸13がセットでX軸方向に延び、導電糸14と導電糸15とがセットでX軸方向に沿って配置された様子が示されている。図14に示すように、繊維構造体100の表面130を見た場合、非導電糸10と非導電糸13と導電糸14と導電糸15とが視認され、非導電糸11が視認されない。
図15に、実施例3に係る繊維構造体100の裏面140の拡大平面図を示す。図15は、裏面140の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。図15に示すように、実施例3では、繊維構造体100の裏面140を見た場合、導電糸は視認可能である。しかしながら、実施例3では、繊維構造体100の裏面140上に、導電糸が露出しない。以下、図16を参照して、詳細に説明する。
図16は、図15に示す拡大平面図のトレース図である。図16には、2本の非導電糸10がセットで導電糸14と導電糸15とを纏めながらY軸方向に延び、2本の非導電糸11がセットでY軸方向に延び、導電糸14と導電糸15とがセットでX軸方向に沿って配置された様子が示されている。図16に示すように、繊維構造体100の裏面140を見た場合、非導電糸10と非導電糸11と導電糸14と導電糸15とが視認され、非導電糸13が視認されない。
図17に、図14におけるB−B線の断面図を示す。図17は、断面の拡大写真(倍率:100倍)に基づく図である。図17に示すように、実施例3では、繊維構造体100の裏面140から見たときに導電糸が視認可能であるが、繊維構造体100の裏面140上に導電糸が露出しない。以下、図18を参照して、詳細に説明する。図18は、図17に示す断面図のトレース図である。図18には、導電糸14と導電糸15とのセットが2セット配置されている様子が示されている。
図18において、破線1105−1107は、基布110を構成する非導電糸が配置された領域を示し、破線1205−1208は、導電層120を構成する導電糸が配置された領域を示している。なお、基布110は、非導電糸10−13のうち少なくとも1つの非導電糸により構成される。また、導電層120は、導電糸14,15のうち少なくとも一方の導電糸により構成される。図18に示すように、破線1205−1208により示された領域に配置された導電糸の裏面140への露出は、一見、破線1105−1107により示された領域に配置された非導電糸により抑制されていないようにも見える。
実際、導電糸は、繊維構造体100の裏面140から見たときに視認可能である。しかしながら、導電糸の視認可能箇所は、この視認可能箇所の周囲の基布110に対して窪んでいる。例えば、破線1206により示された領域に配置された導電糸の視認可能箇所のZ軸方向における座標は、この視認可能箇所の周囲の基布110のうちZ軸方向における座標が最小である最下点(図示せず)のZ軸方向における座標(P0)よりも、L1だけ大きい。このL1は、例えば、数mmである。同様に、破線1207,1208により示された領域に配置された導電糸の視認可能箇所は、この視認可能箇所の周囲の基布110に対して窪んでいる。なお、破線1205により示された領域に配置された導電糸は、裏面140から視認可能でない。このため、導電糸は、裏面140から視認可能であっても、裏面140に露出はしていない。
以上、説明したように、実施例3では、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から視認可能ではあるが、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から露出しない。従って、実施例3で得られた繊維構造体100とこの繊維構造体100と同じように形成された繊維構造体200とを重ね合わせて繊維構造体1000を形成した場合、2つの導電層間の絶縁が維持される。
(実施例4)
以下、実施例4について説明する。実施例4では、第1の非導電糸として伸縮性を有しない糸を使用し、導電糸により構成される導電層120の柄が波柄である。実施例4では、以下に示す表4の編み組織を用いた。実施例4は、糸入れや組織は実施例3と異なるが、ガイドと糸との対応関係は実施例3と同様である。つまり、L0には非導電糸10が配置され、L1には非導電糸11が配置され、L2には非導電糸13が配置され、L3には導電糸14が配置され、L4には導電糸15が配置される。また、第1の非導電糸(非導電糸10)の断面積や配置間隔、並びに、第2の非導電糸(非導電糸11、非導電糸13)の断面積や配置間隔も実施例3と同様である。
図示しないが、実施例4では、実施例3と同様に、導電糸14と導電糸15とが繊維構造体100の裏面140から視認可能ではあるが、導電糸14と導電糸15とのいずれもが繊維構造体100の裏面140から露出しない。従って、実施例4で得られた繊維構造体100とこの繊維構造体100と同じように形成された繊維構造体200とを重ね合わせて繊維構造体1000を形成した場合、2つの導電層間の絶縁が維持される。
実施例1から実施例4の結果を表5に示す。抵抗値は、20cm×10cm対角両端間の抵抗値である。導電層120の柄が格子柄である場合(実施例1及び実施例3)、導電層120の柄が波柄である場合(実施例2及び実施例4)よりも、抵抗値が小さい。また、基布110に伸縮性を有する糸を用いる場合(実施例1及び実施例2)、裏面140から導電糸が視認されず、基布110に伸縮性を有する糸を用いない場合(実施例3及び実施例4)、裏面140から導電糸が視認可能である。しかしながら、いずれの実施例においても、裏面140から導電糸が露出しない。つまり、いずれの実施例において形成された繊維構造体100を2つ組み合わせて繊維構造体1000を形成しても、2つの導電層間の絶縁が維持される。
(実施形態2)
実施形態1では、導電層120が表面130のみに露出した2つの繊維構造体100を重ねることにより、伝送シートに用いる繊維構造体1000を形成する例について説明した。本発明において、1つの繊維構造体100を用いれば、この繊維構造体100に重ねる繊維構造体は、繊維構造体100でなくてもよい。本実施形態では、導電層120が表面130のみに露出した繊維構造体100と、導電体を含む繊維構造体201とを重ねることにより、伝送シートに用いる繊維構造体1001を形成する例について説明する。
図19に示すように、繊維構造体1001は、繊維構造体100と繊維構造体201とを重ね合わせることにより形成される。繊維構造体201は、例えば、導電糸のみで形成されてもよいし、導電糸と非導電糸とで形成されてもよい。繊維構造体201は、表面231と裏面241とを有する。表面231は、繊維構造体201が備える2つの面のうち、Z軸方向における座標が小さい方の面である。表面231からは、導電糸が露出する。裏面241は、繊維構造体201が備える2つの面のうち、Z軸方向における座標が大きい方の面である。裏面241からは、導電糸が露出してもよいし、導電糸が露出しなくてもよい。
ここで、繊維構造体1001は、繊維構造体100が有する裏面140と繊維構造体201が有する裏面241とを固定することで形成される。固定方法は、適宜、調整することができる。例えば、接着剤による接着、両面テープによる接着、非導電糸による縫い付けなどの固定方法を採用することができる。繊維構造体1001では、繊維構造体100が有する裏面140から導電糸が露出しないため、繊維構造体201が有する裏面241から導電糸が露出しているか否かにかかわらず、2つの導電層間の絶縁が担保される。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した実施形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上述した実施形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、本発明において採用可能な素材、サイズ、電気的特性などが、上記実施形態において示したものに限定されないことは勿論である。
実施例1から実施例4では、第1の非導電糸の断面積と第2の非導電糸の横断面積とが、導電糸の横断面積の10%以上である例について説明した。第1の非導電糸の横断面積が、導電糸の横断面積の10%未満であってもよい。また、第2の非導電糸の横断面積が、導電糸の横断面積の10%未満であってもよい。また、実施例1から実施例4では、第2の非導電糸が、第2の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、第1の方向に並べて配置される例について説明した。第2の非導電糸が、第2の非導電糸の横断面の半径よりも長い間隔で、第1の方向に並べて配置されてもよい。つまり、導電糸の裏面140への露出が抑制される構成であれば、実施例1から実施例4で示した構成に限定されない。
また、実施例1から実施例4では、第1の非導電糸が、第1の非導電糸の横断面の半径よりも長い間隔で、第2の方向に並べて配置される例について説明した。第1の非導電糸が、第1の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、第2の方向に並べて配置された場合、導電糸の裏面140への露出の更なる抑制効果が期待できる。
実施形態1では、伝送シートとして機能する繊維構造体1000の構成について説明した。以下、繊維構造体1000の使用例について説明する。繊維構造体1000は、ユーザ(着用者)が着用する被服に組み込むことができる。繊維構造体1000は、例えば、所望の大きさ及び形状に加工されて、被服の生地として縫製される。以下、繊維構造体1000が組み込まれる被服として、衣服を採用した例について説明する。図20、図21及び図22に、繊維構造体1000A,1000B,1000C,1000D,1000E,1000Fを含む6枚の繊維構造体1000が衣服に縫い付けられた例を示す。なお、繊維構造体1000A,1000B,1000C,1000D,1000E,1000Fを総称して、適宜、繊維構造体1000という。
繊維構造体1000Aは、右胸から右腹にかけて衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。繊維構造体1000Bは、左胸から左腹にかけて衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。繊維構造体1000Cは、右肩から右手首にかけて衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。繊維構造体1000Dは、左肩から左手首にかけて衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。繊維構造体1000Eは、背中の右側において衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。繊維構造体1000Fは、背中の左側において衣服の生地として用いた繊維構造体1000である。
繊維構造体1000には、電源(図示せず)、発光素子(図示せず)、振動素子(図示せず)、温度制御部品(図示せず)、センサ(図示せず)、制御回路(図示せず)などが取り付けられる。電源は、繊維構造体1000を介して、発光素子や振動素子やセンサや制御回路に電力を供給する。発光素子は、発光により各種の情報をユーザに提示する。発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や白熱電球である。振動素子は、振動することによりユーザに刺激を与える。温度制御部品は、例えば、ペルチェ素子、ファン、ヒーター、可動式の通風孔である。センサは、各種の物理量を検出する。センサは、例えば、加速度センサや角速度センサや温度センサである。制御回路は、センサによる検出結果に応じて、発光素子、振動素子、温度制御部品などの状態を制御する。制御回路は、例えば、プロセッサやメモリを備える。
制御回路による制御をどのようにするのかは、適宜、調整することができる。例えば、制御回路は、センサの検出結果から推定されるユーザの体調に合わせて、発光素子を発光させることができる。また、制御回路は、ユーザのIDに紐付けられた発光パターンで発光素子を点灯させることができる。また、制御回路は、振動素子を振動させることにより、何らかの事象が発生したことをユーザに知らせることができる。例えば、制御回路は、ユーザがVR(Virtual Reality)体験をしているときにイベントが発生したことに応答して、ユーザの体の各部に設けられた振動素子を振動させることができる。また、制御回路は、ユーザの体の各部に設けられた加速度センサの検出結果から、ユーザの動きを特定することができる。
なお、発光素子は、衣服の表側に取り付けることが好適である。また、ユーザの身体に関する物理量を検出するセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ)は、衣服の裏側に取り付けることが好適である。なお、この温度センサは、ユーザの体温を検出するセンサであってもよいし、衣服の内部の温度(ユーザの皮膚の近傍の温度)を検出するセンサであってもよい。また、この湿度センサは、基本的に、衣服の内部の湿度(ユーザの皮膚の近傍の湿度)を検出するセンサである。ただし、発光素子やセンサの取り付け箇所は、この例に限定されない。また、繊維構造体1000は、既存の衣服の表地のみに設けられてもよいし、衣服の裏地のみに設けられてもよいし、表地と裏地との両面に設けられてもよい。
例えば、ユーザの環境に関する物理量を検出するセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ)を、衣服の表側に、ユーザの身体に関する物理量を検出するセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ)を、衣服の裏側に取り付けることが好適である。温度制御部品は、衣服の裏側、表側、あるいは、衣服を貫通するように取り付けることが好適である。例えば、制御回路は、ユーザのいる環境が変化(周囲の温度変化、周囲の湿度変化)したこと、或いは、ユーザの身体の状態が変化(体温変化、皮膚近傍の温度変化、皮膚近傍の湿度変化)したことに応答して、ユーザの体の各部に設けられた温度制御部品を稼働させることができる。また、制御回路は、ユーザの体の各部に設けられた加速度センサの検出結果から、ユーザの動きを特定することができる。
繊維構造体1000の大きさや形状は、使用目的、生産設備の能力、電力や情報の伝送能力などに応じて、適宜、調整される。なお、繊維構造体1000は、糸による縫い付けではなく、接着剤による接着や、両面テープによる接着により、既存の衣服に取り付けられてもよい。
以上、繊維構造体を衣服に適用する例を説明したが、被服としては、帽子、手袋、靴下、サポーター、靴、等が挙げられ、これらに繊維構造体を適用可能であることはいうまでもない。
10,11,12,13 非導電糸、14,15 導電糸、100,200,201,1000,1000A,1000B,1000C,1000D,1000E,1000F,1001 繊維構造体、110,210 基布、120,220 導電層、130,230,231 表面、140,240,241 裏面、141 モノフィラメント、150 領域、1101,1102,1103,1104,1105,1106,1107,1201,1202,1203,1204,1205,1206,1207,1208 破線

Claims (10)

  1. 情報又は電力を伝送する伝送シートに用いられる繊維構造体であって、
    非導電糸により構成された基布と、
    前記基布に挿入された導電糸と、を備え、
    前記導電糸は、前記繊維構造体が有する一方の面に露出し、前記繊維構造体が有する他方の面に露出しない、
    繊維構造体。
  2. 前記基布は、第1の方向に沿って配置された第1の非導電糸と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された第2の非導電糸と、を備え、
    前記繊維構造体が最も伸びる方向は、前記第1の方向と前記第2の方向との中間の方向である、第3の方向及び第4の方向であり、
    前記繊維構造体が前記第3の方向又は前記第4の方向に最も伸びているときと、前記繊維構造体がいずれの方向にも伸びていないときとのいずれのときにおいても、前記導電糸は、前記他方の面に露出しない、
    請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 前記第1の非導電糸は、伸縮性を有し、
    前記繊維構造体の前記第3の方向及び前記第4の方向への伸び率は、10%から100%までの間である、
    請求項2に記載の繊維構造体。
  4. 前記第1の非導電糸の横断面積は、前記導電糸の横断面積の10%以上である、
    請求項2又は3に記載の繊維構造体。
  5. 前記第2の非導電糸の横断面積は、前記導電糸の横断面積の10%以上である、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  6. 前記第1の非導電糸の横断面の形状は、略円形であり、
    前記第1の非導電糸は、前記第1の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、前記第2の方向に並べて配置される、
    請求項2から5のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  7. 前記第2の非導電糸の横断面の形状は、略円形であり、
    前記第2の非導電糸は、前記第2の非導電糸の横断面の半径よりも短い間隔で、前記第1の方向に並べて配置される、
    請求項2から6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維構造体である、第1の繊維構造体及び第2の繊維構造体を備え、
    前記第1の繊維構造体が備える前記他方の面と、前記第2の繊維構造体が備える前記他方の面とが重ねられて構成される、
    繊維構造体。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維構造体である第1の繊維構造体と、
    導電性を有する導電層と、を備え、
    前記第1の繊維構造体が備える前記他方の面と、前記導電層が備えるいずれか一方の面とが重ねられて構成される、
    繊維構造体。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の繊維構造体を用いた伝送シートを備える、
    被服。
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