JP2019119957A - 脱墨剤、処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法 - Google Patents

脱墨剤、処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維含有材料に異物が含まれている場合、その異物の除去を効率よく行うことができる脱墨剤、処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の脱墨剤は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に供給される脱墨剤であって、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含むことを特徴とする。脱墨剤は、静電相互作用により、前記繊維含有材料に含まれる異物を前記セルロース繊維から吸着する機能を有するのが好ましい。前記物質は、高分子材料であるのが好ましい。前記高分子材料は、カルボキシメチルセルロースの塩を含むものであるのが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、脱墨剤、処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法に関する。
近年では、環境への意識が高まり、職場での紙(記録媒体)の使用量の削減だけではなく、職場での紙の再生を行うことが求められている。
記録媒体を再生する方法としては、例えば、紙のシートで構成され、印刷が施された使用済みの記録媒体の記録層(印刷部)にブラスト材を噴射することにより、インクやトナー等により形成された記録層を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、記録層が除去された記録媒体は、再度使用可能なものとなる。
しかしながら、上記の方法では、異物(除去すべき記録層の構成材料に由来する異物)を十分に除去することができないという問題があった。また、異物の除去率を向上させる目的で処理時間を長くしても、異物の除去率を十分に向上させることができることができず、処理効率も低下するという問題があった。
特開2000−284657号公報
本発明の目的は、繊維含有材料に異物が含まれている場合に、その異物の除去を効率よく行うことができる脱墨剤、処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の脱墨剤は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に供給される脱墨剤であって、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含むことを特徴とする。
これにより、繊維含有材料に異物が含まれている場合に、その異物の除去を効率よく行うことができる脱墨剤を提供することができる。
本発明の脱墨剤は、静電相互作用により、前記繊維含有材料に含まれる異物を前記セルロース繊維から吸着する機能を有することが好ましい。
これにより、繊維含有材料に含まれる異物を、より効率よく除去することができる。また、例えば、脱墨剤が粒子状をなす場合に、互いの電気的な反発により、脱墨剤の複数個の粒子が不本意に凝集することをより効果的に防止することができる。
本発明の脱墨剤は、常温で固体であり、親水性の材料であることが好ましい。
これにより、繊維含有材料に含まれる異物を、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
本発明の脱墨剤では、前記物質は、高分子材料であることが好ましい。
これにより、異物の吸着性をより優れたものとすることができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
本発明の脱墨剤では、前記高分子材料は、糖鎖構造を有していることが好ましい。
これにより、脱墨剤全体としての親水性を向上させることができ、脱墨剤全体としての異物の吸着性をより高いものとすることができる。
本発明の脱墨剤では、前記高分子材料は、セルロース、セルロース変性材料のうち少なくとも一方を含むものであることが好ましい。
これにより、より効率よく異物を除去することができる。また、このような材料は、比較的安価で入手が容易である。
本発明の脱墨剤では、前記高分子材料は、合成樹脂材料であることが好ましい。
これにより、異物の吸着性をより優れたものとすることができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
本発明の処理装置は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給部と、前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から、異物を前記脱墨剤とともに除去する脱墨剤除去部と、を備えることを特徴とする。
これにより、繊維含有材料に異物が含まれている場合に、その異物の除去を効率よく行うことができる処理装置を提供することができる。
本発明の処理装置では、前記脱墨剤除去部は、前記脱墨剤と前記繊維含有材料とを、これらの比重の違い、大きさの違いの少なくとも一方を利用して分離するものであることが好ましい。
これにより、繊維含有材料から異物を効率よく除去することができる。
本発明の処理装置では、前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下であることが好ましい。
これにより、脱墨剤の使用量を抑制しつつ、繊維含有材料に含まれる異物を、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
本発明のシート製造装置は、本発明の処理装置を備えることを特徴とする。
これにより、繊維含有材料に含まれる異物の除去を効率よく行うことができるとともに、異物が除去された材料からシートを製造することができる。
本発明の処理方法は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給工程と、前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から前記脱墨剤を除去する脱墨剤除去工程と、を有することを特徴とする。
これにより、繊維含有材料に異物が含まれている場合に、その異物の除去を効率よく行うことができる処理方法を提供することができる。
本発明の処理方法では、前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下であることが好ましい。
これにより、脱墨剤の使用量を抑制しつつ、繊維含有材料に含まれる異物を、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
本発明のシートの製造方法は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給工程と、前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から前記脱墨剤を除去する脱墨剤除去工程と、を有し、前記脱墨剤が除去された前記繊維含有材料からシートを製造することを特徴とする。
これにより、繊維含有材料に含まれる異物の除去を効率よく行うことができるとともに、異物が除去された材料からシートを製造することができる。
本発明のシートの製造方法では、前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下であることが好ましい。
これにより、脱墨剤の使用量を抑制しつつ、繊維含有材料に含まれる異物を、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された繊維含有材料からの脱墨剤の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
図1は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第1実施形態を示す概略側面図である。 図2は、図1に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。 図3は、図1に示すシート製造装置において脱墨剤が繊維含有材料と混合され、異物が脱墨剤に吸着されて分離される状態を示すイメージ図である。 図4は、図1に示すシート製造装置において、混合された脱墨剤と繊維含有材料とが篩われて、脱墨剤が除去されたウェブがメッシュベルト上に堆積された状態を示す概略側面図である。 図5は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第2実施形態の上流側を示す概略側面図である。 図6は、図5に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。 図7は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第3実施形態の上流側を示す概略側面図である。 図8は、図7に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。 図9は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第4実施形態の上流側を示す概略側面図である。 図10は、図9に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第1実施形態を示す概略側面図である。図2は、図1に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。図3は、図1に示すシート製造装置において脱墨剤が繊維含有材料と混合され、異物が脱墨剤に吸着されて分離される状態を示すイメージ図である。図4は、図1に示すシート製造装置において、混合された脱墨剤と繊維含有材料とが篩われて、脱墨剤が除去されたウェブがメッシュベルト上に堆積された状態を示す概略側面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図4中(図5および図7についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、左側を「左」または「上流側」、右側を「右」または「下流側」と言うことがある。
本発明の脱墨剤RMは、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料M3に供給されるものであって、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含むことを特徴とする。
また、本発明の処理装置1は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料M3に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤RMを供給する脱墨剤供給部25と、脱墨剤RMが供給された繊維含有材料M3から異物CMを脱墨剤RMとともに除去する脱墨剤除去部28と、を備える。
また、本発明の処理方法は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料M3に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤RMを供給する脱墨剤供給工程と、脱墨剤RMが供給された繊維含有材料M3から脱墨剤RMを除去する脱墨剤除去工程と、を有する。そして、この方法は、処理装置1によって実行される。
このような本発明によれば、後述するように、繊維含有材料M3にインク、トナー等の記録用材料に由来する異物CM(例えば、着色剤、結着樹脂、帯電制御剤等)が含まれている場合であっても、脱墨剤RMによって繊維含有材料M3から効率よく異物CMを除去することができる。すなわち、短時間の処理で高い除去率で繊維含有材料M3から異物CMを除去(脱墨)することができる。また、その後、脱墨剤除去部28(脱墨剤除去工程)によって脱墨剤RMごと異物CMの除去も行うことができる。
本発明において、「脱墨」とは、インク、トナー等の記録用材料に由来する異物を除去(分離)することを言う。また、本発明において、「処理」とは、古紙を含む紙材料に対する脱墨処理を言う。従来の脱墨処理は、古紙を水中に分散させ、機械的、化学的(界面活性剤、アルカリ系薬品等)に着色剤を遊離させ、浮上法、スクリーン洗浄法等により、異物を取り除く処理が一般的であるが、本発明では、古紙を水に浸す必要なく、脱墨が可能になる。乾式の脱墨技術と言えるものである。
本発明のシート製造装置100は、処理装置1を備える。
また、本発明のシートの製造方法は、セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料M3に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤RMを供給する脱墨剤供給工程と、脱墨剤RMが供給された繊維含有材料M3から脱墨剤RMを除去する脱墨剤除去工程と、を有し、脱墨剤RMが除去された繊維含有材料M3からシートSを製造する。そして、この方法は、シート製造装置100によって実行される。
このような本発明によれば、前述した処理装置1(処理方法)の利点を享受しつつ、インク、トナー等の記録用材料に由来する異物CM(例えば、着色剤、結着樹脂、帯電制御剤等)が除去された材料からシートSをさらに製造する(再生する)ことができる。
図1に示すシート製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、脱墨剤供給部25と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、ほぐし部18と、第2ウェブ形成部19と、シート形成部20と、切断部21と、ストック部22とを備えている。また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234とを備えている。シート製造装置100が備える各部の作動は、制御部(図示せず)によって制御されている。
また、シート製造装置100は、処理装置1を備えたものとなっている。本実施形態では、処理装置1は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、脱墨剤供給部25と、選別部14と、第1ウェブ形成部15とで構成されている。
図2に示すように、本実施形態では、シートの製造方法は、原料供給工程と、粉砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程とを有する。また、解繊工程とともに、脱墨剤供給工程が行われ、第1ウェブ形成工程とともに、脱墨剤除去工程が行われる。そして、シート製造装置100がこれらの工程を順に実行することができる。また、これらの工程のうち、処理装置1が行う工程は、原料供給工程と、粉砕工程と、解繊工程と、脱墨剤供給工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、脱墨剤除去工程である。
以下、シート製造装置100が備える各部の構成について説明する。
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程(図2参照)を行う部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有材料で構成された、例えば、シート状をなすものである。また、原料M1は、本実施形態では、古紙、すなわち、使用済みのシートとなっているが、これに限定されず、未使用のシートであってもよい。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)またはその誘導体を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースやその誘導体の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を気中(空気中)で粗砕する粉砕工程(図2参照)を行う部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート(ホッパー)122とを有している。
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば、漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルター(図示せず)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式(または温風気化式)の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
シュート122は、管(流路)241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
解繊部13は、粗砕片M2(セルロース繊維を含む繊維含有材料)を気中(空気中)で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程(図2参照)を行う部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物としての繊維含有材料M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数のセルロース繊維が結着されてなる粗砕片M2を、セルロース繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物(繊維含有材料)M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
解繊部13は、例えば、本実施形態では、高速回転するローターと、ローターの外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、ローターとライナーとの間に挟まれて、擦り潰し・粉砕の解繊作用で解繊され繊維含有材料(解繊物)M3になる。
また、解繊部13は、ローターの回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ(気流)を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
このような構成の解繊部13には、脱墨剤供給部25が接続されている。脱墨剤供給部25は、解繊中の繊維含有材料(解繊物)M3に、脱墨剤RMを供給する部分である。したがって、脱墨剤供給部25から解繊部13に供給された脱墨剤RMは、解繊中の繊維含有材料(解繊物)M3と混合される。そして、脱墨剤RMと繊維含有材料(解繊物)M3との間にせん断力が作用し、繊維含有材料(解繊物)M3に異物CMが付着している場合において、当該異物CMが効率よく除去される。脱墨剤供給部25の構成については、後述する。また、脱墨剤RMについては、後に詳述する。
また、解繊部13は、管(流路)242を介して、選別部14に接続されている。解繊物M3(解繊後の繊維含有材料)は、管242を通過して、選別部14に搬送される。
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
選別部14は、解繊物M3を、セルロース繊維の長さの大小によって選別する選別工程(図2参照)を行う部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4−1と、第1選別物M4−1よりも大きい第2選別物M4−2とに選別される。第1選別物M4−1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。第2選別物M4−2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊されたセルロース繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4−1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4−2として選別される。
第1選別物M4−1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4−2は、ドラム部141に接続されている管(流路)243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側(下流側)が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4−2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4−2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
また、ドラム部141からの第1選別物M4−1は、空気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部(分離部)15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4−1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程(図2参照)を行う部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト(分離ベルト)151と、3つの張架ローラー152と、吸引部(サクション機構)153とを有している。
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4−1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4−1は、下流側に搬送される。
第1選別物M4−1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4−1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4−1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
また、第1選別物M4−1には、後に詳述する脱墨剤RMが混在している。
この脱墨剤RMは、メッシュベルト151の目開きよりも小さい。これにより、脱墨剤RMは、メッシュベルト151を通過して、さらに下方に落下する。
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引することができる。これにより、メッシュベルト151を通過した脱墨剤RMを空気ごと吸引することができる。
また、吸引部153は、管(流路)244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された脱墨剤RMは、回収部27に回収される。
回収部27には、管(流路)245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、脱墨剤RMが除去されたものとなる。また、脱墨剤RMは、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4−1を加湿することができ、よって、第1選別物M4−1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程(図2参照)を行う部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161に第1ウェブM5が巻き込まれることにより、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6とバインダーP1とを混合する混合工程(図2参照)を行う部分である。この混合部17は、バインダー供給部171と、管(流路)172と、ブロアー173とを有している。
管172は、細分部16のハウジング部162と、ほぐし部18のハウジング部182とを接続しており、細分体M6とバインダーP1との混合物M7が通過する流路である。
管172の途中には、バインダー供給部171が接続されている。バインダー供給部171は、スクリューフィーダー174を有している。このスクリューフィーダー174が回転駆動することにより、バインダーP1を粉体として管172に供給することができる。管172に供給されたバインダーP1は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
なお、バインダーP1は、後の工程でセルロース繊維同士を結着させるものであり、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
なお、バインダー供給部171から供給されるものとしては、バインダーP1の他に、例えば、セルロース繊維を着色するための着色剤、セルロース繊維の凝集やバインダーP1の凝集を抑制するための凝集抑制剤、セルロース繊維等を燃えにくくするための難燃剤等が含まれていてもよい。
また、管172の途中には、バインダー供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173は、ほぐし部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6とバインダーP1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6とバインダーP1とが均一に分散した状態で、ほぐし部18に流入することができる。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
ほぐし部18は、混合物M7における、互いに絡み合ったセルロース繊維同士をほぐすほぐし工程(図2参照)を行う部分である。ほぐし部18は、ドラム部181と、ドラム部181を収納するハウジング部182とを有する。
ドラム部181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部181には、混合物M7が流入してくる。そして、ドラム部181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さいセルロース繊維等が、ドラム部181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされることとなる。
また、ドラム部181でほぐされた混合物M7は、空気中に分散しつつ落下して、ドラム部181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7から第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程(図2参照)を行う部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト(分離ベルト)191と、張架ローラー192と、吸引部(サクション機構)193とを有している。
メッシュベルト191は、無端ベルトであり、混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引することができる。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
吸引部193には、管(流路)246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
ハウジング部182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング部182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング部182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
ほぐし部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
第2ウェブ形成部19の下流側には、シート形成部20が配置されている。シート形成部20は、第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程(図2参照)を行う部分である。このシート形成部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、これらの間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、モーター(図示せず)の作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、これらの間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、バインダーP1が溶融して、この溶融したバインダーP1を介してセルロース繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、モーター(図示略)の作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
シート形成部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程(図2参照)を行う部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
第1カッター211は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断するものである。
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
さて、前述したように、解繊部13には、脱墨剤供給部25が接続されている(図1参照)。脱墨剤供給部25は、解繊部13内で解繊中の解繊物M3に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤RMを供給する脱墨剤供給工程(図2参照)を行う部分である。本実施形態では、解繊物M3に対しては、気中で、解繊工程を行いつつ、脱墨剤供給工程も行う。
図1では、脱墨剤供給部25は、解繊部13の中央に接続される図を示しているが、脱墨剤RMを解繊部13に供給できれば良いので、必ずしも、この構成に限定されるものではない。例えば、脱墨剤供給部25は、解繊部13の上流側の管241に接続して、シュート122から運ばれる粗砕片M2とともに、脱墨剤RMを解繊部13に運ぶように構成しても良い。
本実施形態では、原料M1は、印刷されて使用済みとなった古紙である。このため、図3に示すように、解繊物M3は、インク、トナー等の記録用材料に由来する異物CM(例えば、着色剤、結着樹脂、帯電制御剤等)を含むものである。
脱墨剤供給部25から解繊部13に供給される脱墨剤RMは、解繊物M3(セルロース繊維)に含まれる異物CMを吸着する機能を有する。そして、脱墨剤供給部25から解繊部13に供給された脱墨剤RMが、解繊中の繊維含有材料(解繊物)M3と混合されることにより、脱墨剤RMと繊維含有材料(解繊物)M3との間にせん断力が作用する。その結果、図3に示すように、脱墨剤RMが有する吸着機能が効果的に発揮され、異物CMは、脱墨剤RMに移行して、解繊物M3から効率よく除去(分離)される。
脱墨剤供給部25は、貯留部251を有している。貯留部251は、脱墨剤RMを貯留するタンクである。この貯留部251は、脱墨剤RMが空になった場合に、脱墨剤RMが十分に貯留された新たなものに交換される。
脱墨剤供給部25は、貯留部251との間で、解繊部13に接続され(または設置され)、解繊部13にある解繊物M3に向けて脱墨剤RMを噴射する噴射部252を有している。噴射部252は、管253と、ブロアー254とで構成されている。なお、脱墨剤供給部25は、解繊部13の内部に設置されているか、または、解繊部13と一体的に設置されていてもよい。
管253は、貯留部251と解繊部13とを接続している。そして、脱墨剤RMは、管253内を貯留部251から解繊部13に向かって通過することができる。
管253の長手方向の途中には、ブロアー254が設置されている。ブロアー254は、解繊部13に向かう気流を発生させることができる。これにより、脱墨剤RMは、管253内を通過して、解繊部13内に噴射される。噴射された脱墨剤RMの中には、解繊物M3に付着している異物CMに衝突して接触するものがある。そして、この脱墨剤RMは、異物CMを吸着して、解繊物M3から移行させることができる。これにより、解繊物M3から異物CMを効率よく除去することができる。
また、脱墨剤RMの噴射により、解繊物M3は、攪拌されつつ、脱墨剤RMと接触する。これにより、解繊物M3に付着している異物CMと脱墨剤RMとの接触も促進され、よって、解繊物M3からの異物CMの除去を十分に行うことができる。
100質量部の解繊物M3に対する脱墨剤RMの供給量は、特に限定されないが、10質量部以上100000質量部以下であるのが好ましく、30質量部以上50000質量部以下であるのがより好ましく、100質量部以上10000質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、脱墨剤RMの使用量を抑制しつつ、解繊物M3に含まれる異物CMを、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
解繊部13内に噴射される脱墨剤RMの速度(噴射速度)は、例えば、脱墨剤RMの構成材料や大きさ等によって、適宜設定される。
図1に示すように、シート製造装置100(処理装置1)は、脱墨剤除去部28を備えている。脱墨剤除去部28は、脱墨剤RMが供給された解繊物M3から脱墨剤RMを異物CMごと除去する脱墨剤除去工程(図2参照)を行う部分である。本実施形態では、解繊物M3に対しては、第1ウェブ形成工程を行いつつ、脱墨剤除去工程も行う。
図1に示す構成では、脱墨剤除去部28は、第1ウェブ形成部15と、回収部27と、管244と、管245と、ブロアー262とを備えている。
第1ウェブ形成部15の上方では、前述したように、解繊物M3は、選別部14によって、第1選別物M4−1と、第2選別物M4−2とに選別される。図4に示すように、第1選別物M4−1には、異物CMを吸着した脱墨剤RM(以下、この脱墨剤RMを「脱墨剤RM’」と言うことがある)が混在している。なお、第1選別物M4−1には、異物CMを吸着していない脱墨剤RMが含まれていてもよい。そして、第1選別物M4−1は、脱墨剤RM’とともに、第1ウェブ形成部15のメッシュベルト151上に落下してくる。
脱墨剤除去部28は、脱墨剤RMと解繊物M3(セルロース繊維)との大きさ(粒径)の違いを利用して、脱墨剤RMを分離、除去するものである。すなわち、脱墨剤除去部28は、脱墨剤RM(脱墨剤RM’)は通過するが、第1選別物M4−1(解繊物M3)のセルロース繊維の通過が規制される程度の大きさの目開きを有するメッシュベルト151(網状体)を備えている。
これにより、図4に示すように、第1選別物M4−1は、メッシュベルト151に堆積して、第1ウェブM5として形成される。一方、脱墨剤RM(脱墨剤RM’)は、吸引部153での吸引力により、メッシュベルト151を通過し、その後、吸引部153、管244を順に経由して、回収部27で回収される。これにより、第1ウェブM5(解繊物M3)は、脱墨剤RM(脱墨剤RM’)が効率よく除去されたものとなる。そして、この第1ウェブM5は、以降の工程に移送されて、最終的にシートSとなる。
なお、回収部27に回収された脱墨剤RMは、異物CMを吸着している脱墨剤RM、すなわち、脱墨剤RM’と、異物CMを吸着していない脱墨剤RMとを含んでいる。
また、脱墨剤除去部28では、供給した脱墨剤RMの全量を分離するものであってもよいし、供給した脱墨剤RMの一部を分離するものであってもよい。すなわち、供給した脱墨剤RM(脱墨剤RM’を含む)の一部が脱墨処理後の解繊物M3中に残存してもよい。このように脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の一部が脱墨処理後の解繊物M3中に残存した場合でも、通常、脱墨処理後の解繊物M3やこれを用いて製造されるシートSに対する悪影響は無視できる。
脱墨処理後の解繊物M3中に含まれる脱墨剤RMの割合は、100質量部の脱墨処理前の解繊物M3に対し、10質量部以下であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
以上のように、シート製造装置100(処理装置1)では、シート再生用の原料である古紙に異物CMが含まれている場合であっても、脱墨剤供給部25から供給される脱墨剤RMによって異物CMの除去が行われ、その後、脱墨剤除去部28によって脱墨剤RMごと異物CMの除去を行うことができる。これにより、製造されるシートSは、再生時に不純物となり得る異物CMが除去された高品質のものとなる。
以下、本発明に係る脱墨剤RMについて詳細に説明する。
脱墨剤RMは、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含んでいる。この物質は、以下に例示するようなものを2種以上含んでいてもよい。例えば、前記物質は、水酸基を有しかつカルボキシル基を有さない化合物と、カルボキシル基を有しかつ水酸基を有さない化合物とを含むものであってもよい。
脱墨剤RMが前記物質を含むことにより、解繊物M3に異物CMが含まれている場合に、その異物CMの除去を効率よく行うことができる。このような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
すなわち、一般に、紙等の記録媒体に用いられるインク、トナー等の記録用材料は、記録媒体の主材料であるセルロース繊維との親和性、密着性が優れたものとなるように設計されている。一方、セルロース繊維は、分子内に多数の水酸基を有するβ−グルコースを構成モノマーとして含む高分子材料を含んでおり、親水性の高い材料である。
そして、本発明の脱墨剤RMは、このようなセルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料(解繊物)M3に供給するものであり、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含んでいる。このように、本発明の脱墨剤RMは、親水性の高い物質を含むものであり、セルロース繊維と類似した極性(親水性)を呈するものである。
したがって、本発明の脱墨剤RMは、インク、トナー等の記録用材料由来の異物CMとの親和性が高く、異物CMを含む解繊物M3と接触した場合に、当該異物CMを効果的に吸着することができ、解繊物M3から異物CMを効率よく除去することができる。また、このような脱墨剤RMは、脱墨処理後の解繊物M3中に残存した場合でも、通常、脱墨処理後の解繊物M3やこれを用いて製造されるシートSに対する悪影響を十分に小さいものとすることができる。また、場合によっては、製造されるシートSの紙力やインク、トナー等の記録用材料に対する親和性をより優れたものとすることができる等の効果が得られる。
脱墨剤RMは、解繊物M3からいかなる方式で異物CMを除去するものであってもよいが、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含んでいることから、通常、異物CMとの間での静電相互作用により、解繊物M3に含まれる異物CMをセルロース繊維から吸着する機能を有するものである。
これにより、解繊物M3に含まれる異物CMを、より効率よく除去することができる。特に、解繊物M3に脱墨剤RMを衝突させるように供給した際に、静電相互作用により、解繊物M3に含まれる異物CMと脱墨剤RMとの衝突が起こりやすくなり、解繊物M3に含まれる異物CMの除去効率を特に優れたものとすることができる。また、例えば、脱墨剤RMが粒子状をなす場合に、互いの電気的な反発により、脱墨剤RMの複数個の粒子が不本意に凝集することをより効果的に防止することができる。また、比較的少量の脱墨剤RMが脱墨処理後の解繊物M3に含まれる(例えば、0.01質量%以上0.5質量%以下)場合に、当該解繊物M3を用いて製造されるシートSの紙力やインク、トナー等の記録用材料に対する親和性をより優れたものとすることができる。
脱墨剤RMは、常温(25℃)で固体であり、親水性の材料であるのが好ましい。
これにより、解繊物M3に含まれる異物CMを、より効率よく除去することができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
脱墨剤RMの親水性の程度は、特に限定されないが、例えば、25℃において、水に対する溶解度が1g/100gHO以上、または、水の接触角が90°以下であるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
25℃における脱墨剤RMの水に対する溶解度は、1.0g/100gHO以上であるのが好ましいが、2.0g/100gHO以上70g/100gHO以上であるのがより好ましく、3.0g/100gHO以上50g/100gHO以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、25℃における脱墨剤RMに対する水の接触角は、90°以下であるのが好ましいが、60°以下であるのがより好ましく、45°以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
脱墨剤RMとしては、天然素材、合成物のいずれを用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。
前記物質(表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質)は、低分子材料であってもよいが、高分子材料であるのが好ましい。
これにより、異物CMの吸着性をより優れたものとすることができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
前記高分子材料の重量平均分子量は、2000以上3000000以下であるのが好ましく、5000以上2000000以下であるのがより好ましく、10000以上1000000以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
なお、前記物質として、このような高分子材料と、低分子材料との双方を含んでいてもよい。
脱墨剤RMを構成する高分子材料としては、糖鎖構造を有しているものが好ましい。
糖鎖構造を有する化合物は、一般に、分子中における水酸基の比率(分子量に対する水酸基の数の割合)が高いものであり、脱墨剤RM全体としての親水性を向上させることができ、脱墨剤RM全体としての異物CMの吸着性をより高いものとすることができる。
糖鎖構造を有する高分子材料としては、例えば、セルロース、セルロース変性材料(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースやその塩(例えば、ナトリウム塩等))、でんぷん、アルギン酸、キトサン等が挙げられるが、中でも、セルロース、セルロース変性材料のうち少なくとも一方を含むものであるのが好ましく、カルボキシメチルセルロースの塩を含むものであるのがより好ましい。
このような材料は、異物CMの吸着能が特に高く、より効率よく異物CMを除去することができる。また、このような材料は、比較的安価で入手が容易である。また、比較的少量の脱墨剤RMが脱墨処理後の解繊物M3に含まれる(例えば、0.01質量%以上0.5質量%以下)場合に、当該解繊物M3を用いて製造されるシートSの紙力やインク、トナー等の記録用材料に対する親和性をより優れたものとすることができる。
なお、脱墨剤RMとしては、紙粉を用いてもよい。
また、前記高分子材料としては、合成樹脂材料を用いてもよい。
これにより、異物CMの吸着性をより優れたものとすることができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
前記合成樹脂材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリ(メタ)アクリル酸、末端OH基を備えたモノマーを構成成分として含むポリマー(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のモノマー成分を含むポリ(メタ)アクリル系樹脂)等が挙げられる。
脱墨剤RMは、いかなる形状を有していてもよく、脱墨剤RMの形状としては、例えば、ブロック状(塊状)、ペレット状、鱗片状、針状、繊維状、粒子状等が挙げられるが、粒子状であるのが好ましい。
これにより、解繊物M3からの異物CMの除去をより効率よく行うことができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をより容易かつより確実に行うことができる。
脱墨剤RMが粒子状をなすものである場合、その平均粒径は、1μm以上700μm以下であるのが好ましく、3μm以上500μm以下であるのがより好ましく、5μm以上300μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、解繊物M3からの異物CMの除去をさらに効率よく行うことができる。また、脱墨処理が施された解繊物M3からの脱墨剤RM(脱墨剤RM’)の分離・除去をさらに容易かつさらに確実に行うことができる。
なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径をいう。粉体の平均粒径は乾式粒度分布計を用いて測定され、静的画像分析装置(静的画像分析装置:モフォロギG3:マルバーン製)による解析によって算出された、球相当体積の個数平均値を指すものとする。
また、脱墨剤RMは、例えば、多孔質体であってもよいし、表面に微小な凹凸を有するものであってもよい。
脱墨剤RMは、前記物質(表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
このような成分(その他の成分)としては、例えば、水酸基およびカルボキシル基のいずれをも含まない吸着性成分(吸着剤)等が挙げられる。
脱墨剤RM中における前記物質(表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質)の含有率は、70質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
<第2実施形態>
図5は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第2実施形態の上流側を示す概略側面図である。図6は、図5に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、脱墨剤供給部の配置箇所が異なることと、それに伴って脱墨剤供給工程を行うタイミングが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図5に示すように、シート製造装置100(処理装置1)は、解繊部13に接続され、繊維含有材料(解繊物)M3が通過する管(流路)242を備えている。
本実施形態では、脱墨剤供給部25は、解繊工程の後に、すなわち、解繊後の繊維含有材料(解繊物)M3に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤RMを供給する脱墨剤供給工程(図6参照)を行う。この脱墨剤供給部25は、管(流路)242のブロアー261よりも下流側に接続され、管(流路)242に脱墨剤RMを噴射する噴射部252を有している。これにより、解繊が十分に施された解繊物M3に対して脱墨剤RMを供給、混合することができる。このような供給、混合により、脱墨剤RMは、解繊物M3の隅々にまで行き渡り、その結果、異物CMとも衝突して接触する。これにより、脱墨剤RMに異物CMが十分に吸着されて、解繊物M3から異物CMをより確実に除去することができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第3実施形態の上流側を示す概略側面図である。図8は、図7に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、脱墨剤除去部の配置箇所と、脱墨剤除去部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図7に示すように、本実施形態では、脱墨剤除去部28は、管242の途中であって、ブロアー261よりも下流側に配置されている。これにより、脱墨剤除去部28での脱墨剤除去工程は、解繊工程の後に行われる(図8参照)。
脱墨剤除去部28は、解繊物M3と脱墨剤RM(脱墨剤RM’)とを比重の違い(比重差)を利用して、脱墨剤RM(脱墨剤RM’)を分離、除去するものである。すなわち、脱墨剤除去部28は、遠心分離により脱墨剤RM(脱墨剤RM’)を除去するよう構成されており、遠心分離部281と、管282と、回収部283とを有している。遠心分離部281と、回収部283とは、管282を介して接続されている。
遠心分離部281は、管242の途中に配置、接続されている。管242を通過してきた解繊物M3と脱墨剤RM(脱墨剤RM’)とは、遠心分離部281に一括して流入する。なお、遠心分離部281に流入する脱墨剤RMには、異物CMが吸着している脱墨剤RM、すなわち、脱墨剤RM’と、異物CMが吸着していない脱墨剤RMとを含む。そして、遠心分離部281での遠心分離により、選別部14に向かってさらに管242を流下していく解繊物M3と、管282に向かう脱墨剤RM(脱墨剤RM’)とに分けられる。管282に向かう脱墨剤RM(脱墨剤RM’)は、異物CMとともに管282を通過して、回収部283で回収される。
このような脱墨剤除去部28によっても解繊物M3から異物CMを脱墨剤RMごと効率よく除去することができる。
<第4実施形態>
図9は、本発明のシート製造装置(本発明の処理装置を含む)の第4実施形態の上流側を示す概略側面図である。図10は、図9に示すシート製造装置が実行する工程を順に示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、脱墨剤供給部の配置箇所が異なり、かつ、解繊部13および脱墨剤供給部25よりも下流側で脱墨剤除去部28よりも上流側の部位に解繊物M3と脱墨剤RMとの混合物を撹拌する撹拌部247を備えていること以外は前記第3実施形態と同様である。
図9に示すように、本実施形態では、脱墨剤供給部25は、解繊部13から解繊処理されて排出された解繊物M3に対して脱墨剤RMが供給されるように、解繊部13とサイクロン式の脱墨剤除去部28(遠心分離部281)との間に接続されている。これにより、脱墨剤供給部25での脱墨剤供給工程は、解繊工程の後に行われ、さらにこの脱墨剤供給工程の後に脱墨剤除去工程が行われる(図10参照)。なお、脱墨剤供給部25の配置箇所は、脱墨剤除去部28よりも上流側となっているが、さらにブロアー261よりも上流側であるのが好ましい。
撹拌部247は、解繊部13の下流側に設けられたチャンバーと、チャンバー内で回転する回転羽根とを有する。これにより、解繊物M3と脱墨剤RMとを効率よく混合・撹拌することができ、脱墨剤RMと異物CMとが衝突する機会が増大し、よって、異物CMの吸着を促進させることができる。
チャンバーの内側の空間は、解繊物M3および脱墨剤RMを混合・撹拌する撹拌空間となっている。
撹拌空間に、解繊物M3、脱墨剤RMが供給されると、回転羽根の回転によってこれらが混合・撹拌される。これにより、解繊物M3と脱墨剤RMとが効率よく衝突し、解繊物M3からの異物CMの除去が促進される。
さらに、脱墨剤RMは、ブロアー261の作用により管242を通過する速度が増大する。これにより、脱墨剤RMと解繊物M3とが衝突する機会が増大し、その結果、当該解繊物M3に付着した異物CMとも接触することとなり、異物CMの吸着が促進される。
そして、異物CMを吸着した脱墨剤RM(脱墨剤RM’)は、脱墨剤除去部28にて除去される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、処理装置、シート製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、脱墨剤除去部が、脱墨剤と解繊物とを、これらの比重の違い、大きさの違いのうちの一方を利用して分離するものである場合について説明したが、脱墨剤と解繊物との比重の違い、および、脱墨剤と解繊物と大きさの違いの両方を利用して分離するものであってもよい。
また、繊維含有材料と脱墨剤との接触は、前述したような構成により行うものに限定されず、例えば、気流撹拌により行ってもよい。
また、前述した第3、第4実施形態では、脱墨剤除去部がサイクロン式の遠心分離部を備える場合について説明したが、遠心分離部の代わりに、メッシュ(篩)を備えるものを採用してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]脱墨剤の調製
(実施例1)
まず、市販の粉末状のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(和光純薬社製)を用意した。
この粉末状のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩に対して、分級装置を用いて、分級処理を施し、平均粒径20μmの粉末を、脱墨剤として得た。
(実施例2〜12)
原料の種類および分級条件を変更することにより、表1に示すような条件の脱墨剤を得た。
前記各実施例の脱墨剤は、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を95質量%以上の含有率で含むものであった。また、前記各実施例の脱墨剤を構成する前記物質(表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質)の重量平均分子量は、いずれも、10000以上1000000以下であった。また、前記各実施例の脱墨剤は、いずれも、25℃における、水に対する溶解度が3.0g/100gHO以上50g/100gHO以下、または、水の接触角が45°以下のものであった。
(比較例1、2)
原料の種類および分級条件を変更することにより、表1に示すような条件の脱墨剤を得た。
各実施例および各比較例の脱墨剤の条件を表1にまとめて示す。
Figure 2019119957
[2]脱墨処理、シートの製造
前記各実施例および各比較例で調製した脱墨剤を用いて、以下のような処理(脱墨処理)、シートの製造を行った。
まず、図1に示す構成のシート製造装置を用意し、原料として、市販のコピー紙に対して、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製:PX−M7050FT)を用いて、duty100%のモノクロ印字を片面に行ったものを用意した。なお、シート製造装置の脱墨剤除去部の第1ウェブ形成部が有するメッシュベルト(網状体)の目開きは、500μmとした。
次に、シート製造装置の原料供給部に、上記の原料を供給し、シート製造装置の運転を行い、原料の粗砕、解繊、脱墨等の処理を施し、シートを製造した。
このとき、繊維含有材料(解繊物)100質量部に対する脱墨剤の供給量は、100質量部とした。なお、脱墨剤の種類を変更した以外は、前記各実施例および各比較例で、シートの製造条件は同一とした。
[3]評価
[3−1]脱墨処理後の解繊物の着色(異物の残存)
前記各実施例および各比較例について、第1ウェブ形成部で形成された第1ウェブの一部を取り出し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−5000)にて観察を行った。脱墨剤を用いなかった以外は前記と同様にして処理を行った場合の第1ウェブの状態と比較し、記録用材料(インク)に由来する異物の残存状態を、以下の基準に従い評価した。
A:異物の残存がほとんど認められない。
B:異物の残存がわずかに認められる。
C:異物の残存がはっきりと認められる。
D:異物の残存が顕著に認められる。
[3−2]脱墨剤への異物の付着
前記各実施例および各比較例について、解繊物に対する脱墨処理を施した後、脱墨剤除去部(回収部)で分離・除去した脱墨剤の一部を取り出し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−5000)にて観察を行った。解繊物に対する脱墨処理に供する前の脱墨剤と比較し、記録用材料(インク)に由来する異物の吸着状態を、以下の基準に従い評価した。
A:異物の吸着が顕著に認められる。
B:異物の吸着がはっきりと認められる。
C:異物の吸着がわずかに認められる。
D:異物の吸着がほとんど認められない。
E:異物の吸着が全く認められない。
[3−3]解繊物と脱墨剤との分離性
前記各実施例および各比較例について、第1ウェブ形成部で形成された第1ウェブの一部を取り出し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−5000)にて、500倍の倍率での観察を行った。無作為に抽出した10の領域での視野中において、長さ1mm以上のセルロース繊維について、セルロース繊維に付着・残存している脱墨剤の数を求め、セルロース繊維長さ1mmあたりに付着・残存している脱墨剤の数の平均値(以下、「残存脱墨剤数」という。)を求め、解繊物と脱墨剤との分離性を、以下の基準に従い評価した。残存脱墨剤数が少ないほど、解繊物と脱墨剤との分離性に優れているといえる。
A:残存脱墨剤数が5個未満である。
B:残存脱墨剤数が5個以上10個未満である。
C:残存脱墨剤数が10個以上15個未満である。
D:残存脱墨剤数が15個以上20個未満である。
E:残存脱墨剤数が20個以上である。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2019119957
表2から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。すなわち、本発明では、脱墨剤が解繊物に含まれる異物を効率よく吸着し、異物の除去を効率よく行うことができ、また、脱墨処理が施された解繊物と脱墨剤との分離性にも優れていた。また、本発明では、製造されたシートの白色度に優れており、残存する異物による不本意な着色や不本意な色むらは認められなかった。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
また、解繊物100質量部に対する脱墨剤の供給量を10質量部以上100000質量部以下の範囲で種々変更した以外は、前記と同様にして脱墨処理、シートの製造を行い、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、脱墨処理、シートの製造に用いる装置を、図5に示す構成のもの、図7に示す構成のもの、図9に示す構成のものに変更した以外は、前記と同様にして脱墨処理、シートの製造を行い、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
100…シート製造装置、1…処理装置、11…原料供給部、12…粗砕部、121…粗砕刃、122…シュート(ホッパー)、13…解繊部、14…選別部、141…ドラム部(篩部)、142…ハウジング部、15…第1ウェブ形成部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部(サクション機構)、16…細分部、161…プロペラ、162…ハウジング部、17…混合部、171…バインダー供給部、172…管(流路)、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、18…ほぐし部、181…ドラム部、182…ハウジング部、19…第2ウェブ形成部、191…メッシュベルト(分離ベルト)、192…張架ローラー、193…吸引部(サクション機構)、20…シート形成部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、21…切断部、211…第1カッター、212…第2カッター、22…ストック部、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管(流路)、242…管(流路)、243…管(流路)、244…管(流路)、245…管(流路)、246…管(流路)、247…撹拌部、25…脱墨剤供給部、251…貯留部、252…噴射部、253…管、254…ブロアー、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、27…回収部、28…脱墨剤除去部、281…遠心分離部、282…管、283…回収部、CM…異物、M1…原料、M2…粗砕片、M3…繊維含有材料(解繊物)、M4−1…第1選別物、M4−2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、P1…バインダー、RM…脱墨剤、RM’…脱墨剤、S…シート

Claims (15)

  1. セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に供給される脱墨剤であって、
    表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含むことを特徴とする脱墨剤。
  2. 脱墨剤は、静電相互作用により、前記繊維含有材料に含まれる異物を前記セルロース繊維から吸着する機能を有する請求項1に記載の脱墨剤。
  3. 脱墨剤は、常温で固体であり、親水性の材料である請求項1または2に記載の脱墨剤。
  4. 前記物質は、高分子材料である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の脱墨剤。
  5. 前記高分子材料は、糖鎖構造を有している請求項4に記載の脱墨剤。
  6. 前記高分子材料は、セルロース、セルロース変性材料のうち少なくとも一方を含むものである請求項5に記載の脱墨剤。
  7. 前記高分子材料は、合成樹脂材料である請求項4に記載の脱墨剤。
  8. セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給部と、
    前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から、異物を前記脱墨剤とともに除去する脱墨剤除去部と、
    を備えることを特徴とする処理装置。
  9. 前記脱墨剤除去部は、前記脱墨剤と前記繊維含有材料とを、これらの比重の違い、大きさの違いの少なくとも一方を利用して分離するものである請求項8に記載の処理装置。
  10. 前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下である請求項9に記載の処理装置。
  11. 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の処理装置を備えることを特徴とするシート製造装置。
  12. セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給工程と、
    前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から前記脱墨剤を除去する脱墨剤除去工程と、
    を有することを特徴とする処理方法。
  13. 前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下である請求項12に記載の処理方法。
  14. セルロース繊維を含む解繊中または解繊後の繊維含有材料に、表面に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有する物質を含む脱墨剤を供給する脱墨剤供給工程と、
    前記脱墨剤が供給された前記繊維含有材料から前記脱墨剤を除去する脱墨剤除去工程と、
    を有し、
    前記脱墨剤が除去された前記繊維含有材料からシートを製造することを特徴とするシートの製造方法。
  15. 前記繊維含有材料100質量部に対する前記脱墨剤の供給量は、10質量部以上100000質量部以下である請求項14に記載のシートの製造方法。
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