JP2019119885A - 水性塗剤、それから形成された塗膜、および複合部材とその製造方法 - Google Patents

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Munenori Yamada
宗紀 山田
貴之 北口
Takayuki Kitaguchi
貴之 北口
幸史朗 前田
Koshiro Maeda
幸史朗 前田
剛正 吉野
Takemasa Yoshino
剛正 吉野
志波 賢人
Yoshito Shiba
賢人 志波
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Abstract

【課題】様々な部材との密着性に優れるとともに、視認性に優れた塗膜を形成することができ、耐エアリーク性に優れた複合部材を形成するための水性塗剤を提供する。【解決手段】酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤と、水性媒体とを含有し、着色剤の含有量が樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることを特徴とする水性塗剤。【選択図】なし

Description

本発明は水性塗剤、それから得られる塗膜、複合部材に関する。
樹脂製部材と金属製部材とからなる複合部材をインサート成形法で作製する際、金属製部材には予めアンカーコート層が形成され、このアンカーコート層を介して樹脂製部材と一体化されることがある。
アンカーコート層は、塗膜厚みが非常に薄いため、金属製部材にアンカーコート剤を塗り忘れていた場合があったとしても、アンカーコート層が形成されていないことを目視で見分けることが難しかった。ちなみに、アンカーコート層が形成されていない箇所は、樹脂製部材との接着性が劣るため、得られた複合材料は強度が低く不良品となることがあった。
特許文献1には、着色剤を含有する層を積層する技術が開示されている。
特開2002−301784号公報
しかしながら、形成されたアンカーコート層の見分けを容易にするために着色剤を水性塗剤に配合すると、部材との密着性が低下したり、得られた複合部材に隙間が生じエアリークし、密閉性に劣る場合があった。
本発明の課題は、様々な部材との密着性に優れるとともに、視認性に優れた塗膜を形成することができ、耐エアリーク性に優れた複合部材を形成するための水性塗剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂に特定比率の着色剤を含有する水性塗剤が上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤と、水性媒体とを含有し、着色剤の含有量が樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることを特徴とする水性塗剤。
(2)上記(1)記載の水性塗剤から形成されてなることを特徴とする塗膜。
(3)複数の部材が(2)記載の塗膜を介して一体化されることを特徴とする複合部材。
(4)少なくとも一つの部材が熱可塑性樹脂製部材であることを特徴とする(3)記載の複合部材。
(5)上記(4)記載の複合部材を製造するための方法であって、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤とを含有する塗膜が表面に形成された一次部材を金型内に挿入した後、金型内に熱可塑性樹脂を注入して、一次部材と熱可塑性樹脂部材とを塗膜を介して一体化することを特徴とする複合部材の製造方法。
本発明の水性塗材を塗布して得られる塗膜は、様々な部材との密着性に優れるとともに、視認性に優れており、前記塗膜を介して得られる複合部材は、耐エアリーク性に優れている。本発明の水性塗剤から得られる塗膜は、前記特性を有するため、インサート成形法におけるアンカーコート層として好適に用いることができ、当該塗膜を介して複数の部材と一体化された複合部材は、部材間の接着性に優れ、たとえば防水コネクタを構成する複合部材や、金属製部材を含む複合部材などに好適に用いることができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の水性塗剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤と、水性媒体とを含有する。
<酸変性ポリオレフィン樹脂>
本発明の水性塗剤を構成する酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸変性成分とオレフィン成分とを共重合成分として含有する共重合体であることが好ましい。
酸変性成分は、不飽和カルボン酸成分であることが好ましく、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入される。不飽和カルボン酸成分としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の含有量は、得られる塗膜と部材との密着性の点から、1〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、2〜7質量%であることがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンが好ましく、エチレンがより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、ポリオレフィン製部材に対する密着性や耐溶剤性等のポリオレフィン由来の特性が失われてしまう。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、熱可塑性樹脂製部材との密着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有することが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、様々な熱可塑性樹脂製部材との良好な密着性を持たせるため、1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂はオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、塗膜は、耐溶剤性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、熱可塑性樹脂製部材との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、上記成分以外に他の成分を酸変性ポリオレフィン樹脂の10質量%以下程度、含有してもよい。他の成分としては、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数6を超えるアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、たとえば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらに(メタ)アクリル酸エステル等でアクリル変性したエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体等が挙げられ、中でも、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体が好ましい。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂は5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0〜100g/10分であることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが100g/10分を超えると、密着性や接着性が低下することがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂として、住友化学工業社製のボンダインシリーズ、ヒュルスジャパン社製のベストプラストシリーズ、ダウ・ケミカル社製のプリマコールシリーズ、三洋化成社製のユーメックス、三井化学社製のアドマーシリーズ、東洋紡社製のトーヨータックなどの市販品を使用することができる。また、後述のように水系のコート液とする場合には、市販の水系のものを使用することができ、日本製紙ケミカル社製のスーパークロンシリーズ(E−723、E−503など)、住友精化社製のザイクセンシリーズ(ザイクセンA、ザイクセンL)、三井化学社製のケミパールシリーズ(S−100、S−75Nなど)、東洋紡社製のハードレンシリーズ(EH−801、TD−15B)等を使用することができる。
<ポリエステル樹脂>
次に、ポリエステル樹脂について説明する。
本発明の水性塗剤は、上記酸変性ポリオレフィン樹脂に代えてポリエステル樹脂を使用することができ、また酸変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂を同時に含有してもよい。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価は、2〜10mgKOH/gであることが好ましく、4〜9mgKOH/gであることがより好ましく、5〜8mgKOH/gであることが最も好ましい。酸価が10mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂の分子量が低くなって、得られる塗膜は、加工性や密着性が低下し、さらには耐水性が不十分となることがある。また、ポリエステル樹脂は、酸価が2mgKOH/g未満であると、均一な水性塗剤を得ることが困難になる。
なお、ポリエステル樹脂は、得られる塗膜の耐水性を損なわない範囲で水酸基を含有してもよく、通常、その水酸基価は30mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以下であることがより好ましい。
次に、ポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上の多塩基酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分に占める芳香族ジカルボン酸の割合としては、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の割合を増すことにより、水性分散体から形成される塗膜の硬度、耐水性、耐溶剤性、加工性などが向上する。芳香族ジカルボン酸としては、工業的に多量に生産されており、安価であることから、テレフタル酸やイソフタル酸が好ましい。
また、多塩基酸として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など、カルボキシル基や水酸基以外の親水性基を有する多塩基酸も使用することができるが、使用量が多いと、水性塗剤より形成される塗膜は、耐水性などの塗膜性能が低下する傾向にある。
ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール、3官能以上の多価アルコールなどが挙げられる。炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、多価アルコールとして、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のエチレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のエチレンオキシド付加体なども使用することができる。
多価アルコールとしては、工業的に多量に生産されており、安価であることから、エチレングリコールやネオペンチルグリコールを使用することが好ましく、ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に占めるエチレングリコールとネオペンチルグリコールの合計の割合としては、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。
ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸のエチレンオキシド付加体などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂には3官能以上の多価オキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、リンゴ酸、グリセリン酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
<着色剤>
本発明の水性塗剤は、着色剤を含有することが必要である。着色剤としては、顔料または染料を挙げることができる。顔料または染料は、特に限定されず、一般的に使用されているものを適宜選択すればよい。
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系などの有機顔料や蛍光顔料が挙げられ、これらは2種類以上含有していてもよい。
染料としては、直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料などが挙げられ、これらは2種類以上含有していてもよい。
また、本発明の水性塗剤を構成する着色剤は、熱、水分または光によって発色するまたは退色するものも用いることができる。
本発明の水性塗剤における着色剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂からなる樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが必要であり、0.01〜7質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。着色剤の含有量が0.01質量部未満であると、得られる塗膜の視認性に劣る可能性があり、着色剤の含有量が10質量部を超えると、塗膜の密着性や複合部材の耐エアリーク性が低下する場合がある。
本発明における着色剤は、アルミ板やステンレス鋼(SUS)などの金属材料に塗工した際、視認性に優れるという観点で、青色系の色相であることが好ましい。青色系の色相の着色剤とは、たとえばマンセル表色系の5BGから5PBのものを示す。
<添加剤>
本発明の水性塗剤は、目的に応じて性能をさらに向上させるために、他の重合体、粘着付与剤、架橋剤等の添加剤を含有してもよい。
他の重合体、粘着付与剤としては、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ロジンなどの粘着付与樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。なお、これらの重合体は、固形状のままで使用してもよいが、水性塗剤の安定性維持の点では、水性塗剤に加工したものを用いることが好ましい。
架橋剤としては、特に限定されない。例えば、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等が挙げられる。具体的には、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤も複数同時に使用してもよい。
架橋剤の含有量は、塗膜の熱間密着性等を向上させる観点から、樹脂100質量部に対し0.01〜80質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、0.5〜30質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が0.01質量部未満の場合には、塗膜性能の向上が見込めなくなる傾向にあり、80質量部を超える場合には、加工性等の性能が低下することがある。
本発明の水性塗剤は、さらに必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種薬剤を含有することも可能である。
<水性塗剤>
本発明の水性塗剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤と、水性媒体とを含有するものである。本発明の水性塗剤における水性媒体は、水または、水を主成分とする液体のことであり、後述する塩基性化合物や有機溶媒を含有していてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と着色剤とを含有する水性塗剤の調製方法は特に限定されず、例えば、特許第3699935号公報および国際公開第2004/037924号に記載の方法に準じて、予め調製した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体および/またはポリエステル樹脂水性分散体と、着色剤とを混合して調製する方法や、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と着色剤とを同時に分散することにより水性塗剤を調製する方法などを採用することができる。中でも、取り扱いの容易さや水性塗剤の製造のしやすさから、予め調製した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体および/またはポリエステル樹脂水性分散体と着色剤とを混合して調製する方法が好ましい。
<塗膜>
本発明の水性塗剤を各種部材に塗布し、水性塗剤中の水性媒体を除去乾燥することにより塗膜を形成できる。得られた塗膜は、着色性、視認性、様々な部材との密着性に優れることから、インサート成形法におけるアンカーコート層として好適に使用できる。
また、得られた塗膜は酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂を含有しており、塗膜表面に塗布した被着体との密着性および離型性に優れることから、アンカーコート層以外にも離型層、転写層などとしても使用することができる。
本発明の水性塗剤を塗布する方法は、部材の形状により適宜選択でき、特に限定されないが、公知の方法、例えばスプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法、ディップコーティング、ワイヤーバーコーティング、カーテンフローコーティング、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、エアナイフコーティング等が採用できる。
本発明の水性塗剤の塗布量は、その用途によって適宜選択され、乾燥膜厚として1〜100μmであることが好ましく、3〜70μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。
なお、均一な塗膜を得るためには、塗布に用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、装置や使用条件に応じて濃度や粘度が調整された水性塗剤を使用することが好ましい。
本発明の水性塗剤を塗布後に乾燥する装置は特に限定するものではなく、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用することができる。
加熱温度や加熱時間は、被塗布物である部材の特性や、水性塗剤中に任意に配合しうる前述の各種材料の添加量により適宜選択される。加熱温度としては、50〜250℃であることが好ましく、80〜200℃であることがより好ましく、100〜180℃であることがさらに好ましい。
一方、加熱時間は、5秒〜180分であることが好ましく、30秒〜120分であることがより好ましく、1分〜60分であることがさらに好ましい。なお、水性塗剤が架橋剤を含む場合は、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂や他の重合体の官能基と架橋剤との反応を十分進行させるために、架橋剤の種類によって、加熱温度および時間を適宜選定することが望ましい。
<複合部材>
次に、本発明の複合部材について説明する。
本発明の複合部材は、複数の部材が本発明の水性塗剤からなる塗膜を介して一体化されたものである。
本発明の複合部材は、2種類以上の部材の隙間を前記塗膜を介して接着されたものであって、部材の形状や材質に限定されるものではない。
本発明の複合部材において、各部材を構成する材料としては、金属材料や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、合成ゴム等の樹脂材料が挙げられ、特に限定されない。本発明の複合部材は、軽量化の観点で、少なくとも一つの部材が熱可塑性樹脂製部材であることが好ましい。なお、水性塗剤により塗膜を形成する場合には、耐熱性の比較的低い材料、例えば、融点が180℃以下のPP、PE等の熱可塑性樹脂も部材に適用することができる。
部材を構成する樹脂材料のうち熱可塑性樹脂としては、ナイロン(Ny)、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ABS樹脂、ポリカーボネート、LCP、シンジオタクチックポリスチレン、PE、PP、架橋ポリエチレン、架橋ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ、メラミン、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられ、合成ゴムとしては、アクリルゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムなどが挙げられ、これらの樹脂材料を2種類以上用いてもよい。
また、樹脂材料は、ガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、タルクなどの樹脂強度を向上させる繊維や無機粒子などを5〜50質量%程度含有してもよく、また難燃剤、紫外線吸収剤、架橋剤、帯電防止剤などを0.1〜50質量%程度含有してもよい。
部材を構成する金属材料としては、アルミニウム、銅、金メッキ銅、銀メッキ銅、錫メッキ銅、ニッケルメッキ銅、クロムメッキ銅、真鍮、ステンレス鋼(SUS)などが挙げられる。また、これらの金属材料からなる部材は、表面に酸化処理、クロメート処理、シランカップリング剤処理などの処理を施して、塗膜との密着性を向上させることが好ましい。
以下、本発明の複合部材の製造方法を例示する。
本発明の複合部材は、たとえば、表面に本発明の水性塗剤からなる塗膜が形成された一の部材(a)の塗膜を介して、他の部材(b)を貼り合わせることにより、複合部材を作製することができる。複合部材において、部材(a)と部材(b)を構成する材料は、同じであっても異なっていてもよい。
塗膜が形成された部材(a)に、部材(b)を貼り合わせる方法としては、例えば、塗膜が形成された一次部材(a)を金型内に挿入し、部材(b)を構成する熱可塑性樹脂により包埋する方法が挙げられる。成形条件は特に限定されないが、金型温度50〜100℃、樹脂温度150〜300℃が好ましい。また、塗膜が形成された一次部材(a)の塗膜面に部材(b)を重ねて熱処理する方法が挙げられる。
本発明の複合部材は、予め部材(a)表面に塗膜を形成し、他の部材(b)を貼り合せる方法以外では、たとえば、部材(a)と部材(b)の間に塗膜層を設け、熱処理により部材(a)と部材(b)を共に塗膜層を介して貼り合せた複合部材を作製する方法も挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
1.樹脂の特性
(1)樹脂組成
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
(3)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(4)ポリエステル樹脂の水酸基価
ポリエステル樹脂3gを精秤し、無水酢酸0.6mlおよびピリジン50mlを加え、室温下で48時間攪拌して反応させ、続いて、蒸留水5mlを添加して、さらに6時間、室温下で攪拌を継続することにより、前記反応に使われなかった分の無水酢酸も全て酢酸に変えた。この液にジオキサン50mlを加えて、クレゾールレッド・チモールブルーを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHの量(W1)と、最初に仕込んだ量の無水酢酸がポリエステル樹脂と反応せずに全て酢酸になった場合に中和に必要とされるKOHの量(計算値:W0)とから、その差(W0−W1)をKOHのmg数で求め、これをポリエステル樹脂のg数で割った値を水酸基価とした。
2.樹脂水性分散体の特性
(1)水性分散体中の分散樹脂粒子の体積平均粒子径
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。
3.塗膜評価
(1)視認性
水性塗剤をアルミ板に、乾燥後の厚みが10μmになるようにメイヤーバーで塗布して、120℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。水性塗剤から形成された塗膜に、目視またはブラックライトにより紫外線を照射した際の目視認識可否により、視認性を下記の基準で評価した。
◎:目視またはブラックライトにより塗膜の有無が明確に確認可能
○:目視またはブラックライトにより塗膜の有無が確認可能
△:目視またはブラックライトにより塗膜の有無が確認可能(部分的に確認し難い)
×:目視またはブラックライトのいずれにおいても塗膜の有無が確認不可
(2)密着性
表1記載の樹脂製または金属製の部材に、水性塗剤をメイヤーバーで塗布して、120℃で1分間乾燥させて、部材上に塗膜を形成した。前記塗膜に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離し、部材からの剥がれ状態を目視で観察し、下記の基準で判定した。
○:全く剥がれがなかった
△:一部に剥がれが生じた
×:全て剥がれた
(3)接着性
表1記載の金属製の部材(部材a、20mm×100mm)に、水性塗剤をメイヤーバーで塗布して、120℃で1分間乾燥させて、部材a上に塗膜を形成した。樹脂製の部材(部材b、20mm×100mm)を部材aに形成された塗膜に重ね、熱圧着処理をおこなって、部材aと部材bが20mm×10mmで接触するように積層された複合部材を作製し、下記の基準によって接着性を判定した。
○:部材aと部材bが手で剥がれない
×:部材aと部材bが手で簡単に剥がれる
4.複合部材評価
(1)耐エアリーク性
刷毛を用いて3mm径のアルミ丸棒(光モール社製、アルミ丸棒3)の周囲に水性塗剤を塗工し、100℃で30秒間乾燥させることにより、アルミ丸棒の周囲に厚み10μmの塗膜を形成し、次いで、アルミ丸棒の周囲に、アルミ丸棒の長さ方向に5mmの厚みになるようにPBT樹脂をインサート成形し、PBT部材が接着した複合部材を作製した。得られた複合部材のアルミ丸棒とPBT部材界面に圧をかけ、漏れが生じるまでのエア圧を評価し、下記の基準によって耐エアリーク性を判定した。
○:100kPaでもエアリーク無し
×:100kPa未満でエアリーク発生
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体E−1の製造
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(樹脂組成:エチレン80質量%、アクリル酸エチル18質量%、無水マレイン酸2質量%、MFR63g/10分)、60.0gのイソプロパノール、2.2gのトリエチルアミン、および177.8gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分濃度は25質量%、体積平均粒子径は100nmであった。
ポリエステル樹脂の水性分散体E−2の製造
(ポリエステル樹脂の製造)
テレフタル酸2492g(60モル部)、イソフタル酸623g(15モル部)、セバシン酸1263g(25モル部)、エチレングリコール1210g(78モル部)、ネオペンチルグリコール1484g(57モル部)、トリメチロールプロパン28g(0.8モル部)からなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を275℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間重縮合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところで無水トリメリット酸38g(0.8モル部)を添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、シート状のポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の酸価は6mgKOH/g、水酸基価は7mgKOH/gであった。
(ポリエステル樹脂の水性分散化)
ジャケット付きガラス容器(内容量2L)に、得られたポリエステル樹脂400gと、MEK600gを投入し、ジャケットに60℃の温水を通して加熱しながら攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂を溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液1000gを得た。
次に、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、回転速度600rpmで攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン8.7gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を、総重量が2000gとなるまで添加して、転相乳化をおこなった。蒸留水を全量添加する間、系内温度を常に15℃以下に保った。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
次いで、得られた水性分散体のうち、1600gを2Lのフラスコに入れ、常圧下で蒸留をおこなうことで有機溶剤を除去した。留去量が約600gになったところで蒸留を終了し、室温まで冷却後、水を添加して水性分散体中の樹脂の固形分濃度が30質量%となるように調整し、均一なポリエステル樹脂水性分散体E−2を得た。
ポリエステル樹脂水性分散体E−2の体積平均粒子径は114nmであった。
実施例1
(水性塗剤の調製)
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(E−1)における酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、着色剤C−1(蛍光増白剤)を固形分で0.1質量部添加し、室温にてメカニカルスターラーで攪拌(100rpm)、混合し、水性塗剤を得た。
(塗膜の形成、複合部材の作製)
水性塗剤をアルミ板、SUS板、ナイロン(Ny)シート、PETシート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)シート、PPSシートに、乾燥後の厚みが10μmになるようにメイヤーバーで塗布して、120℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。
また、アルミ板、SUS板の塗膜面に、PBTシートまたはNyシートを接触面積が200mm(20mm×10mm)になるように重ね、120℃、0.2MPaで30秒間熱圧着処理をおこなって複合部材を作製した。
実施例2
着色剤C−1の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、固形分で0.5質量部となるように変更した以外は、実施例1と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例3
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(E−1)の代わりに、ポリエステル樹脂水性分散体(E−2)を用いた以外は、実施例1と同様に水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例4
着色剤C−1の含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して、固形分で0.5質量部となるように変更した以外は、実施例3と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例5
着色剤の種類を着色剤C−2(青色顔料、大日精化社製EP―700ブルーGA)に変更し、着色剤の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、固形分で0.15質量部となるように変更した以外は、実施例1と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例6
着色剤C−2の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、固形分で6.5質量部となるように変更した以外は、実施例5と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例7
着色剤C−2の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、固形分で9.0質量部となるように変更した以外は、実施例5と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
比較例1
着色剤を非添加とする以外は、実施例1と同様に、水性塗剤の調製、塗膜の形成および複合部材の作製をおこなった。
実施例1〜7、比較例1で作製した水性塗剤から得られた塗膜の性能(視認性、密着性)、複合部材の性能(接着性)について表1に示す。
Figure 2019119885
実施例1〜7の水性塗剤は、得られた塗膜の視認性に優れるとともに、様々な樹脂や金属との密着性、接着性に優れていた。
一方、比較例1の水性塗剤は、着色剤を含有しないため、得られた塗膜の視認性は劣るものであった。
実施例8
刷毛を用いて、3mm径のアルミ丸棒(光モール社製、アルミ丸棒3)の周囲に実施例5で得られた水性塗剤を塗工し、100℃で30秒間乾燥させることにより、アルミ丸棒の周囲に厚み10μmの塗膜を形成した。
次に、塗膜が表面に形成された前記アルミ丸棒に対して、PBT樹脂を射出速度50mm/s、射出圧力100MPa、保圧50MPaの条件でインサート成形することによって、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
実施例9、10
実施例6、7で調製した水性塗剤を用いた以外は、実施例8と同様にアルミ丸棒の周囲に塗膜を形成し、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
実施例11、12
着色剤として、着色剤C−3(赤色顔料、大日精化社製EP―720レッド2B)を用いた以外は、実施例5、6と同様に水性塗剤を調製した。
得られた水性塗剤を用いた以外は、実施例8と同様にアルミ丸棒の周囲に塗膜を形成し、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
実施例13、14
着色剤として、着色剤C−4(黒色顔料、大日精化社製EP―510ブラックTR)を用いた以外は、実施例5、6と同様に水性塗剤を調製した。
得られた水性塗剤を用いた以外は、実施例8と同様にアルミ丸棒の周囲に塗膜を形成し、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
実施例15
着色剤として、着色剤C−5(白色顔料、大日精化社製EP―65ホワイト)を用いた以外は、実施例6と同様に水性塗剤を調製した。
得られた水性塗剤を用いた以外は、実施例8と同様にアルミ丸棒の周囲に塗膜を形成し、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
比較例2
アルミ丸棒の周囲に水性塗剤を塗工せずにPBT樹脂を実施例8の条件と同様にインサート成形し、複合部材を作製した。
比較例3
着色剤C−2の含有量が樹脂に対して13質量部となるように変更した以外は、実施例5と同様に水性塗剤を調製した。
得られた水性塗剤を用いた以外は、実施例8と同様にアルミ丸棒の周囲に塗膜を形成し、アルミ丸棒の周囲に塗膜を介してPBT樹脂が接着した複合部材を作製した。
実施例8〜15、比較例2〜3で得られた塗膜の性能(視認性)、複合部材の性能(耐エアリーク性)について表2に示す。
Figure 2019119885
実施例8〜15に示すように、本発明の水性塗剤を用いることによって、耐エアリーク性に優れた複合部材を形成することができた。特に実施例8で示すように、青色系の色相を有する着色剤を含む水性塗剤は、着色剤含有量が少量であったとしても優れた視認性と耐エアリーク性を兼ね備えるものであった。
一方、比較例2は、水性塗剤を用いていなかったため耐エアリーク性に劣っていた。
比較例3は、水性塗剤の着色剤含有量が本発明で規定した範囲を超えるため、耐エアリーク性に劣るものであった。

Claims (5)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤と、水性媒体とを含有し、着色剤の含有量が樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることを特徴とする水性塗剤。
  2. 請求項1記載の水性塗剤から形成されてなることを特徴とする塗膜。
  3. 複数の部材が請求項2記載の塗膜を介して一体化されることを特徴とする複合部材。
  4. 少なくとも一つの部材が熱可塑性樹脂製部材であることを特徴とする請求項3記載の複合部材。
  5. 請求項4記載の複合部材を製造するための方法であって、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂と、着色剤とを含有する塗膜が表面に形成された一次部材を金型内に挿入した後、金型内に熱可塑性樹脂を注入して、一次部材と熱可塑性樹脂部材とを塗膜を介して一体化することを特徴とする複合部材の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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