JP2015113375A - 水性接着剤および積層体 - Google Patents

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Takemasa Yoshino
剛正 吉野
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Abstract

【課題】 各種基材との接着性、密着性に優れ、耐内容物性等の優れた性能を発現する水性接着剤およびそれを用いた積層体を提供する。
【解決手段】 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)およびシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)を含有し、(A)と(B)の質量比(A)/(B)が95/5〜70/30の範囲であることを特徴とする水性接着剤である。また、上記水性接着剤から得られる塗膜であり、塗膜を接着層として用い、異種または同種の基材を貼り合わせてなる積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種基材との接着性、密着性に優れ、包装材に用いた際の耐内容物性が良好である水性接着剤に関するものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、様々な材料に対する良好な熱接着性を有していることから、ヒートシール剤、ディレードタック剤、繊維処理剤、及び接着剤用バインダー等の幅広い用途に用いられている。こうした樹脂は、作業性や作業環境の観点から水性分散体として利用されている。
一方、食品包装や梱包包装などには、耐水性、耐ボイル性、耐レトルト性などの機能性を高める目的のために、各種樹脂フィルムやアルミニウム等に接着剤を用いてラミネートしたラミネートフィルムが多用されている。従来、前記接着剤としては、水系ポリオレフィン樹脂や水系ポリウレタン樹脂が用いられてきた。たとえば、極性の低い材料への接着剤として、特許文献1には、特定のポリオレフィン樹脂とポリエーテル型ポリウレタン樹脂を特定の割合で含有する水性分散体が開示され、各種基材との密着性、接着性が良好であることが示されている。
また、近年、食品や医薬品本来の風味や味などを長期間保持するため、包装材の耐内容物性が求められている。
特開2009−286920号公報
しかしながら、特許文献1記載の接着剤においても、耐内容物性が不十分であった。
本発明者らは、鋭意検討した結果、酸変性ポリオレフィン樹脂に、特定構造を有するポリウレタン樹脂を混合することにより、各種基材との優れた接着性、密着性が発現することを見出し、さらに積層体の接着層として用いた場合に、耐内容物性等の性能も向上するといった思いがけない効果を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)およびシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)を含有し、(A)と(B)の質量比(A)/(B)が95/5〜70/30の範囲であることを特徴とする水性接着剤。
(2)(1)記載の水性接着剤から得られる塗膜。
(3)(2)記載の塗膜を接着層として用い、異種または同種の基材を貼り合わせてなる積層体。
本発明の水性接着剤によれば、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)とを(A)/(B)=95/5〜70/30(質量比)の範囲で混合することにより、各種基材との接着強度に優れ、過酷な耐内容物試験後にも実用上十分な数値を有する塗膜が得られる。さらには、前記塗膜は、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の各種蒸着処理が施された蒸着フィルムなどの蒸着面との接着性にも優れている。
前記のような優れた特性に基づき、本発明の水性接着剤は、耐内容物性が必要とされる各種包装材に用いられ、例えば医薬品包装フィルム、食品包装フィルム等が好ましい。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の水性接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)およびシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)とを特定の割合で水性媒体中に含有するものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体としては、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
上記水性媒体は、水または、水を含む液体からなる媒体である。これらには、分散安定化に寄与する中和剤や水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性の有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、グリコール誘導体等が挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の水溶性有機溶媒を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。このような有機溶媒として、具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸成分により酸変性してなるものである。不飽和カルボン酸成分の量は、塗膜と基材との接着性の点から0.1〜25質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。不飽和カルボン酸成分は、不飽和カルボン酸やその無水物により導入される、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられ、アクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケンや、ノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でもエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。オレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
ポリオレフィン樹脂中には、熱可塑性樹脂基材、特にポリプロピレン等のポリオレフィン基材との接着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、様々な熱可塑性樹脂フィルム基材との良好な接着性を持たせるために、この範囲は1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の比率が0.5質量%未満では、基材フィルムとの接着性が低下するおそれがあり、40質量%を超えるとオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、基材との密着性が低下するおそれがある。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
また、上記成分以外に他の成分をポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、例えばエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂が挙げられる。酸変性プロピレン−ブテン樹脂としては、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられ、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂としては、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、これらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
次に、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)について説明する。
本発明の水性接着剤は、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)を必須成分として含有する。
本発明において、のシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)とは、分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂をいう。
シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)中に含まれるシラノール基の存在(結合)部位は特に限定されず、該ポリウレタン樹脂の両端、何れか一方端あるいは中間部分の何れの部位に存在(結合)していてもよい。また、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)中に、親水性基が導入されたものが好ましく、該親水性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基、エポキシ基、ポリオキシエチレン基等が挙げられる。
本発明において、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)は、特に限定されないが、例えば、原料成分として、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を含有する化合物(以下、イソシアネート基含有化合物と記す。)と、1分子中に少なくとも2個の活性水素基を含有する化合物(以下、活性水素基含有化合物と記す。)とから得られるポリウレタン化合物に対して、1分子中に少なくとも1個の活性水素基および加水分解性ケイ素基を含有する化合物(以下、加水分解性ケイ素基含有化合物と記す。)を反応させて導入したものが挙げられる。
上記イソシアネート基含有化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の何れでもよい。又は、それらの混合物でもよい。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等又はこれらの混合物;脂環族ジイソシアネートとしては、例えば1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン又は1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート)、又はこれらの混合物;芳香族ジイソシアネートとしては、例えばm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等又はこれらの混合物;芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω、ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはその混合物等;トリイソシアネートとしては、例えばトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートヘキサン等;ポリイソシアネート単量体としては、例えば4,4’−ジフェニルジメチルメタン−2,2’−5,5’−テトライソシアネート等;上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー等が挙げられる。
上記活性水素基含有化合物としては、例えば活性水素基を有する基として、アミノ基、水酸基、メルカプト基を有する化合物等が挙げられるが、イソシアネート基との反応速度、及び得られる被膜の機械的物性等の点から、水酸基を有する化合物、特にポリオールが好ましい。
上記水酸基を有する化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール又はそれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリオレフィンポリオールとしては、例えばポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリイソブテンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば上記二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。前記ポリエステルアミドポリオールとしては、上記ポリエステル化反応に際し、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料として前記ポリエステル化反応物の原料に追加して反応させることによって得られるもの等が挙げられる。
上記アクリルポリオールとしては、例えば1分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する重合性モノマー、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等と、例えば(メタ)アクリル酸又はそのエステルとを共重合させることによって得られるもの等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール−A及び水添ビスフェノール−Aからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコールとジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等とを反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
上記ポリヒドロキシアルカンとしては、イソプレン、ブタジエン、又はブタジエンとアクリルアミド等とを共重合させて得られる液状ゴム等が挙げられる。
上記ポリウレタンポリオールとしては、例えば1分子中にウレタン結合を有するポリオールが挙げられ、前記ポリオールは、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等と後述する1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有するイソシアネート基含有化合物とを、(NCO基/OH基)のモル数が1未満で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
さらに上記水酸基を有する化合物以外に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール;メタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノール類、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等のモノオール;等が混合されていてもよい。
上記加水分解性ケイ素基含有化合物は、1分子中に少なくとも1個の活性水素基および加水分解性ケイ素基を含有する化合物であれば、特に限定制限されない。
加水分解性ケイ素基としては、シラノール縮合触媒の存在下、または、非存在下で、加水分解を受けたときに生じる加水分解性基がケイ素基原子に結合している基が挙げられる。加水分解性基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。加水分解性基は、通常、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合している。
本発明の水性接着剤における、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の質量比(A)/(B)は、95/5〜70/30とする必要があり、さらに水性接着剤の経時安定性が得られる点から95/5〜80/20とすることが好ましく、接着性、ヒートシール性の点から、90/10〜80/20が特に好ましい。シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の含有量が5質量%未満の場合は、接着性の向上や耐内容物性の発現が小さく、逆に30質量%を超えるとゲル化して塗布することができない。
次に、本発明の水性接着剤の製造方法を説明する。
本発明の水性接着剤の製造方法としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)が水性媒体中に均一に混合・分散される方法であれば、限定されない。たとえば、それぞれ予め調製された、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体と、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の水性分散体とを混合し、さらに必要に応じて水または親水性溶媒などを添加する方法や、(A)、(B)の原料樹脂を混合し、水や溶媒と共に攪拌・加熱を行う方法が挙げられる。前記いずれの方法でも、所望の成分比の水性接着剤を簡便に調製できるが、前者の方法がより簡便であり好ましい。
本発明の水性接着剤において、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体の製造方法は特に限定されないが、例えば、密閉可能な容器に酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、有機溶剤、塩基性化合物、水などの原料を投入し、槽内の温度を40〜150℃程度の温度に保ちつつ撹拌を行うことにより、水性分散体とする方法などが挙げられる。
このような塩基性化合物としては、被膜形成時に揮発するアンモニア又は有機アミン化合物が塗膜の耐水性、耐ボイル性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには50〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体としては市販のものを使用することができ、日本製紙ケミカル社製のスーパークロンシリーズ(E−723、E−503など)、住友精化社製のザイクセンシリーズ(ザイクセンA、ザイクセンL)、三井化学社製のケミパールシリーズ(S−100、S−75Nなど)等が挙げられる。
本発明の水性接着剤において、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の水性分散体の製造方法は特に限定されないが、活性水素基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、及び親水性基含有化合物を反応させ、ポリウレタンプレポリマーを得て、次いで、前記ポリウレタンプレポリマー中の親水性基を中和剤により中和し、硬化触媒として強塩基第三級アミンを添加し、この中和剤、強塩基性第三級アミンの加えられたポリウレタンプレポリマーを加水分解性ケイ素基含有化合物及び他の鎖伸長剤を溶解した水中に溶解、又は分散させることによる方法が挙げられる。
上記親水性基含有化合物としては、例えば分子内に少なくとも1個以上の活性水素基を有し、かつカルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基、エポキシ基、ポリオキシアルキレン基等の親水性基を有する化合物が挙げられる。
シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)としては、水性媒体中にシラノール基含有ポリウレタン樹脂が溶解しているもの、又は微粒子状に分散しているコロイド分散系(ディスパージョン)のものが用いられる。
シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の水性分散体として上市されているものとしては、例えば、「タケラックWSシリーズ」(三井化学社製)が挙げられる。
本発明の水性接着剤における樹脂含有率は、成膜条件、目的とする樹脂層の厚さや性能等により適宜調整され、特に限定されるものではないが、接着剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜、接着層を得るため為には、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明の水性接着剤には、耐水性、耐内容物性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を添加することができる。架橋剤としては、特に限定されないが、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性接着剤には、さらに他の重合体の水性分散体、粘着付与成分、ブロッキング防止剤等を添加することができる。
他の重合体の水性分散体としては、特に限定されないが、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散体等が挙げられる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
粘着付与成分としては、特に限定されないが、ロジン類、テルペン類、石油樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、アラギジン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸モノアミド類、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の置換アミド類等やメチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサンメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N−ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド等のビスアマイド類、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ライスワックス、カルナバワックス等のワックス類等が挙げられる。
本発明の水性接着剤には、使用目的に応じて顔料または染料を添加してもよいし、塗料やインキに本発明の水性接着剤を添加してもよい。使用する顔料または染料は特に限定されるものではなく、顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレイ、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。また、染料としては直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料等が挙げられる。上記の顔料または染料は単独もしくは2種類以上が含有されていてもよい。
さらに、本発明の水性接着剤には、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種添加薬剤を添加してもよい。また、水性接着剤の保存安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を添加してもよい。
本発明の水性接着剤は、塗膜形成能に優れているので、公知の成膜方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂塗膜を各種基材表面に接着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間は、基材の特性や架橋剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであり、特に限定されず、例えば、加熱温度50〜250℃程度の範囲で使用できる。また、架橋反応を進行させるために20℃〜60℃程度でエージング処理を行ってもよい。
本発明の水性接着剤は、各種材料に対する良好な接着性、密着性を有することから、前記のようにして水性接着剤から水性媒体を除去することにより、良好な塗膜、接着層を形成することができる。
本発明の水性接着剤が塗布される基材としては、紙、合成紙、各種熱可塑性樹脂のフィルムや、成形体、ガラス、金属、アルミニウム箔等が挙げられ、特に限定されないが、本発明の水性接着剤は、比較的低温の条件で熱処理でも優れた密着性が得られるため、耐熱性の比較的低い基材、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのような融点が180℃以下の熱可塑性樹脂へ適用できる。また、基材の形状としては、合成紙、熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、熱可塑性樹脂フィルムが特に好ましい。
基材に用いる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリアリレート等のポリエステル樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂またはそれらの混合物よりなるフィルムまたはそれらのフィルムの積層体が挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、製法も限定されない。熱可塑性樹脂フィルムの厚さも特に限定されないが、通常5〜500μmの範囲のものが用いられる。
熱可塑性樹脂フィルムは、フィラーを含有していてもよい。フィラーとしては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、アルミナ等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂フィルムは、様々なバリアコーティング、易接着コーティング、帯電防止コーティング、紫外線遮蔽コーティング等の機能性処理や、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の各種蒸着処理が施されていてもよい。
本発明の水性接着剤から水性媒体を除去してなる塗膜は、熱可塑性樹脂フィルムなど前述した基材上に設けることが好ましい。塗膜の厚みは、特に限定されないが、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましく、1〜6μmであることがさらに好ましく、1.5〜5μmであることが特に好ましい。厚みが0.5μm未満ではラミネート強度が低くなり接着剤としての効果が小さく、10μmを超えると乾燥時間が長くなる。
水性接着剤から水性媒体を除去してなる塗膜を接着層として、異種または同種の基材を貼り合わせて積層体とすることができる。
貼り合わせ条件は特に限定されないが、温度としては60℃以上かつ基材に用いる熱可塑性樹脂フィルムの樹脂融点以下が好ましい。ラミネート方法としては、例えば、熱ロールで圧力をかけながらラミネートする方法が挙げられる。
本発明の水性接着剤を好適に用いることができる被着体の組合せは、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂とアルミニウム等の金属、ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂といった異種素材どうしの組合せや、ポリプロピレンとポリエチレンというようなポリオレフィン樹脂どうしの組合せが挙げられる。本発明の水性接着剤は、これら被着体との接着性が特に良好であり、これらの積層体を包装材として用いた際には耐内容物性の効果が著しい。
本発明の水性接着剤の用途としては、特に限定されないが、スナック菓子等食品包装材、貼付剤等の医薬品包装材、化粧品包装材等の各種包装材の接着剤や、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の各種蒸着処理が施された蒸着フィルムの蒸着面等の接着剤、壁材等の建材用接着剤等が挙げられる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
1.樹脂の特性
(1)ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。ポリオレフィン樹脂は、オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
(3)ポリオレフィン樹脂の融点
DSC(Perkin Elmer社製DSC−7)を用いて昇温速度10℃/分で測定した値である。
2.ポリオレフィン樹脂水性分散体の特性
(1)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(2)水性分散体の平均粒子径
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径(mn)および重量平均粒子径(mw)を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
3.材料特性
以下の評価においては、熱可塑性樹脂フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm、以下、PETフィルム)、未延伸ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、厚み40μm、以下、PEフィルム)を用いた。金属基材として、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み12μm、以下、Al箔)を用いた。
(1)塗膜の耐水性評価方法
水性接着剤をPETフィルムに乾燥後の接着層の厚みが2μmになるようにマイヤーバーを用いてコートした後、90℃で1分間、乾燥させた。得られたコートフィルムは40℃で1日放置後、60℃の温水に24時間浸漬し、風乾燥後の塗膜の状態を目視で評価した。
○:変化なし
×:塗膜がくもる
(2)、(3)の評価に用いた各種フィルム積層体の作製条件およびヒートシール接着処理条件は次の通りである。
〔PEフィルムとAl箔の貼り合わせ条件〕
水性接着剤をAl箔の光沢面に乾燥後の接着層の厚みが3μmになるようにマイヤーバーでコートし、90℃で1分間乾燥した。Al箔の接着剤塗布面にはPEフィルムコロナ面を貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.3MPaで2秒間)にて120℃でプレスした。
〔PETフィルムとPEフィルムの貼り合わせ条件〕
水性接着剤をPEフィルムコロナ面に乾燥後の接着層の厚みが3μmになるようにマイヤーバーでコートし、90℃で1分間乾燥した。PEフィルムの接着剤塗布面にはPETフィルムコロナ面を貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.3MPaで2秒間)にて120℃でプレスした。
(2)剥離強度測定(初期)
各種フィルム積層体から幅15mmの測定サンプルを切り出し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で基材間の剥離強度を測定して評価した。なお、剥離強度は以下のような数値であれば合格とした。
〔PEフィルムとAl箔の貼り合わせ〕 5N/15mm以上
〔PETフィルムとPEフィルムの貼り合わせ〕 3N/15mm以上
(3)剥離強度測定(耐内容物性)
PEフィルムとAl箔、PEフィルムとPETフィルムの積層体を用いて、PEフィルムが内面となるように10cm角の袋を作製し、その袋の中にサリチル酸メチルを5g入れて、シーラーにて口を密閉した。その後、40℃で4週間の保存試験を行った後、袋の中心部分を幅15mmに切り出し、袋を構成していた積層体について、それぞれの剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、以下のような数値であれば合格とした。
〔PEフィルムとAl箔の貼り合わせ〕 3N/15mm以上
〔PETフィルムとPEフィルムの貼り合わせ〕 2N/15mm以上
また、内容物をサリチル酸メチルからサラダ油(日清オイリオ社製)に変更して、同様の保存試験を行い、積層体の剥離強度を測定した。なお、保存試験後の剥離強度の合格値も同様である。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂〔ボンダインHX−8290、住友化学工業社製〕、60.0gのイソプロパノール、2.2gのトリエチルアミンおよび177.8gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、密閉した後、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を165℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gのヘプタン20g溶液をそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂P−1を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂P−1、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、90gの酸変性ポリオレフィン樹脂〔ユーメックス1001、三洋化成社製〕、8gのN,N−ジメチルエタノールアミン、240gのテトラヒドロフランおよび260gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、密閉した後、撹拌翼の回転速度を300rpmで撹拌しながら系内温度が130℃まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
上記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナス型フラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約160gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1〜E−3の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂の組成を表1に、E−1〜E−3の各種特性を表2に示す。
(ポリウレタン樹脂水性分散体U−1〜U−4)
U−1:三井化学社製「タケラックWS4022」 シラノール基含有ポリエーテル型ポリウレタン樹脂水性分散体(固形分濃度30質量%、水分70質量%)
U−2:三井化学社製「タケラックWS5000」 シラノール基含有ポリエステル型ポリウレタン樹脂水性分散体(固形分濃度30質量%、水分70質量%)
U−3:三井化学社製「タケラックWS5100」 シラノール基含有ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂水性分散体(固形分濃度30質量%、水分70質量%)
U−4:楠本化成社製「NeoRezR−600」 ポリエーテル型ポリウレタン樹脂水性分散体(固形分濃度33質量%、水分67質量%)
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1とポリウレタン樹脂水性分散体U−1とを、ポリオレフィンとポリウレタンの固形分質量比が95/5になるように配合し、室温で5分間、混合攪拌し、水性接着剤T−1を得た。
実施例2〜8
表3に示した固形分質量比となるように、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体とポリウレタン樹脂水性分散体の種類および混合比を変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って水性接着剤T−2〜T−8を得た。
実施例1〜8の評価結果を表3に示す。
比較例1〜3
それぞれ単独の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1〜E−3(水性接着剤H−1〜H−3)を用いて各種性能評価を行った。
比較例4〜6
それぞれ単独のポリウレタン樹脂水性分散体U−1〜U−3(水性接着剤H−4〜H−6)を用いて各種性能評価を行った。
比較例7〜11
表4に示した固形分質量比となるように、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体とポリウレタン樹脂水性分散体の種類および混合比を変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って水性接着剤H−7〜H−11を得た。
比較例12
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1とシラノール基を有しないポリウレタン樹脂水性分散体U−4とを、ポリオレフィンとポリウレタンの固形分質量比が95/5になるように配合し、アミノ系シランカップリング剤として信越化学社製KBM503をポリオレフィンとポリウレタンの固形分100質量部に対して0.5質量部添加し、室温で5分間、混合撹拌し、水性接着剤H−12を得た。
比較例1〜12の結果を表4に示す。
実施例1〜8で示すように酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)とを含有する水性接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂単独時に比べて常態での剥離強度が大きく向上しており、また、塗膜の耐内容物性にも優れていた。
これに対し、比較例1〜3では、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)を含有していないため、基材との密着性が低下し、初期の剥離強度、耐内容物性ともに劣っていた。
比較例4〜6では、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有していないため、初期の剥離強度に劣っているだけでなく、耐水性、耐内容物性にも劣っていた。
比較例7では、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)から得られた水性接着剤であるが、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の質量比が本発明で規定する下限を下回ったため、初期の剥離強度に向上は見られず、また、耐内容物性も劣っていた。
比較例8では、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)から得られたが、シラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)の質量比が本発明で規定する上限を超えたため、液がゲル化してしまい塗布できなかった。
比較例9〜11では、ポリウレタン樹脂がシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)ではなく、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂水性分散体を混合したものであったため、耐内容物性に劣っていた。
比較例12は、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(A)とシラノール基を有しないポリウレタン樹脂水性分散体を混合したものにシランカップリング剤を添加したものであったため、密着性、耐内容物性を向上させる効果が発現しなかった。

Claims (3)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)およびシラノール基含有ポリウレタン樹脂(B)を含有し、(A)と(B)の質量比(A)/(B)が95/5〜70/30の範囲であることを特徴とする水性接着剤。
  2. 請求項1記載の水性接着剤から得られる塗膜。
  3. 請求項2記載の塗膜を接着層として用い、異種または同種の基材を貼り合わせてなる積層体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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