JP2019119808A - 樹脂組成物、及び樹脂シート - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックグリーンシートに積層可能であり、凹凸への追従性及び表面の平滑性に優れる樹脂組成物、及び樹脂シートを提供する。【解決手段】バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含み、前記樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分を含み、前記添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む、樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いた樹脂シートを選択する。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、及び樹脂シートに関する。
積層セラミックコンデンサは、酸化チタンやチタン酸バリウムなどの誘電体層と内部電極層とを多数積み重ねたチップタイプのセラミックコンデンサである。積層セラミックコンデンサは、セラミックが持つ優れた高周波特性などのメリットを活かしながら、小型で大容量を実現できるため、電子回路の広い範囲で用いられている。
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のような方法で製造される。先ず、セラミック粉体とバインダーとを混合してセラミックグリーンシートを成形する。次いで、そのセラミックグリーンシートの表面に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層シートを形成する。次に、該積層シートを裁断し、チップ化された積層体を形成する。次に、前記積層体を加熱してバインダーを分解除去し、さらに焼結した後、端子電極を形成して積層セラミックコンデンサを得る。
セラミックグリーンシートとして用いられる樹脂組成物としては、特許文献1が知られている。
セラミックグリーンシートの製造方法としては、プレス成形、泥漿鋳込成形、シート成形、押出成形、射出成形等が行われている。従来、これらの成形方法の中でプレス成形等の水を媒体とする成形方法においては、水溶性で、無機粉体に対するバインダー力が優れており、得られるセラミックグリーンシートの強度が高く、焼結前の加工性(切削性など)を含めて取扱性が容易なため、ビニルアルコール系重合体(以下、「PVA」と略記することがある)が用いられている。しかしながら、PVAは結晶性が高く硬いため、プレス成形ではプレス圧を高くしなければならないという問題があった。
また、特許文献2には、PVAに起因する特性を改善するために、PVAに替えてアルキル変性ビニルアルコール系重合体(以下、「アルキル変性PVA」と略記することがある)を用いたセラミックグリーンシートが開示されている。このセラミックグリーンシートは、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れる。
また、特許文献3には、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂をバインダーとして用いたセラミックグリーンシートが開示されている。このセラミックグリーンシートは、機械的強度が高く、かつ反りが少ない。
また、特許文献4には、押出成形によるセラミックグリーンシートの製造方法が開示されている。
ところで、積層セラミックコンデンサを製造する際、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを加熱圧着すると、積層方向における内部電極の密度(有無)によって、積層シートの厚さが異なるために積層シートの表面に凹凸が生じるという課題があった。このため、チップ化する際、積層シートの裁断時に局所的なハガレが発生するなどの不具合があった。また、裁断によって製品部品とした際、上述した凹凸の影響によって部品の表面が湾曲した状態となり、実装時の部品の位置ずれなどの不具合があった。したがって、積層シートの裁断の前に、該積層シートの表面を平滑化する工程の追加が必要となる場合があった。また、セラミックグリーンシートは脆弱であり、コイル状の小さい径に曲げることや取扱いが困難で生産工程中に破損する問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、凹凸への追従性及び、表面の平滑性及び取扱い性に優れる樹脂シート、及び前記樹脂シートを製造するための樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含み、
前記樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分を含み、
前記添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む、樹脂組成物。
[2]球状である30gの前記樹脂組成物を、150℃に加熱しながら、向かい合う面が互いに平行な金属製のプレート状の加圧手段で挟み込み、4Mpaの圧力で1分間加圧し、得られた加圧物を、その上面から平面視したとき、前記加圧物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さと、を乗じた値が20000mm2以上100000mm2以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記樹脂成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体からなる群のうち、少なくとも1つ以上を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記無機物が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、ポリフッ化ビニリデンからなる群のうち、少なくとも1つを含む、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[5]前記無機物の含有量が、40体積%以上、80体積%以下である、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6][1]乃至[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた、樹脂シート。
[7]厚さが、1μm以上、1000μm以下である、[6]に記載の樹脂シート。
[1]バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含み、
前記樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分を含み、
前記添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む、樹脂組成物。
[2]球状である30gの前記樹脂組成物を、150℃に加熱しながら、向かい合う面が互いに平行な金属製のプレート状の加圧手段で挟み込み、4Mpaの圧力で1分間加圧し、得られた加圧物を、その上面から平面視したとき、前記加圧物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さと、を乗じた値が20000mm2以上100000mm2以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記樹脂成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体からなる群のうち、少なくとも1つ以上を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記無機物が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、ポリフッ化ビニリデンからなる群のうち、少なくとも1つを含む、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[5]前記無機物の含有量が、40体積%以上、80体積%以下である、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6][1]乃至[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた、樹脂シート。
[7]厚さが、1μm以上、1000μm以下である、[6]に記載の樹脂シート。
本発明の樹脂組成物、及び樹脂シートは、凹凸への追従性、表面の平滑性及び取扱い性に優れる。
以下、本発明を適用した一実施形態である樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いた樹脂シートについて、詳細に説明する。なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを総称したものである。
<樹脂組成物>
まず、本発明を適用した一実施形態である樹脂組成物の構成の一例について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含んで、概略構成されている。
まず、本発明を適用した一実施形態である樹脂組成物の構成の一例について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含んで、概略構成されている。
(樹脂成分)
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満、好ましくは、99℃以下、より好ましくは95℃以下である樹脂成分を含む。樹脂成分の融点又はガラス転移温度が前記上限値未満であることで、凹凸へ追従することができる。
樹脂成分の融点又はガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、前記融点又はガラス転移温度は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。樹脂成分の融点又はガラス転移温度の下限値が上記好ましい温度以上であれば、積層時の変形を防止できる。
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満、好ましくは、99℃以下、より好ましくは95℃以下である樹脂成分を含む。樹脂成分の融点又はガラス転移温度が前記上限値未満であることで、凹凸へ追従することができる。
樹脂成分の融点又はガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、前記融点又はガラス転移温度は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。樹脂成分の融点又はガラス転移温度の下限値が上記好ましい温度以上であれば、積層時の変形を防止できる。
前記樹脂成分は、融点又はガラス転移が、100℃未満であれば、特に制限はないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、グリシジルメタクリレート共重合体、グリシジルアクリレート共重合体、アリルグリシジルエーテル共重合体からなる群のうち、少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(EMMA)、及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)がより好ましく、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、及びエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(EMMA)がさらに好ましい。樹脂成分が、金属親和性が高いエチレン系共重合体(エチレン系エラストマー)を含むことで、樹脂組成物中の無機物を高分散することができ、シート強度を向上させることができる。
エチレン系共重合体は、単量体単位としてエチレンと、極性基を有するビニル基とを単量体単位とする。エチレン系共重合体中の極性基を有するビニル基の割合は、該エチレン系共重合体の総質量中、5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。極性基を有するビニル基の割合が上記好ましい範囲の下限値以上であると、誘電体セラミックを充分量含有することができる。一方、上記好ましい範囲の上限値以下であると、ブロッキングの発生を抑制することができる。
エチレン系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位を含んでいてもよい。他の単量体単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。他の単量体単位の含有量は、10質量%以下が好ましく、0質量%であってもよい。
エチレン系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、分子鎖中又は分子鎖末端に、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基、グリシジル基などの官能基を有していてもよい。
エチレン系共重合体の分子量は、融点又はガラス転移温度が100℃未満であれば、特に制限されないが、樹脂シートの成形性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量として、1×104〜5×106が好ましく、1×104〜2×106がより好ましい。
エチレン系共重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))は、特に制限されないが、樹脂シートのべたつき及び外観の観点から、1.0〜3.5が好ましく、1.1〜3.0がより好ましい。
樹脂成分の総質量中においてエチレン系共重合体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。エチレン系共重合体の含有量が上記下限値以上であると、シートにした際の取扱時に必要な強度を保持できる。そして、前記含有量の上限値は、100質量%であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダーとなる樹脂成分中にエチレン系共重合体以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。他の樹脂成分としては、例えば、変性ポリオレフィン系重合体が挙げられ、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を備える変性ポリオレフィン系重合体が挙げられる。また、オレフィン系モノマーと、オレフィン系モノマーおよび前記官能基を備えるビニル系モノマー以外のその他のビニル系モノマー(以下、「その他のビニル系モノマー」という)との共重合体およびその水素化共重合体、ならびにこれらの共重合体に前記官能基を付加したものなども変性ポリオレフィン系重合体として使用することが可能である。これらの共重合体の構造としては特に制限はなく、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられるが、ブロック共重合体、グラフト共重合体がより好ましい。前記変性ポリオレフィン系重合体は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。樹脂成分の総質量中、他の樹脂成分の含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物の樹脂成分の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の樹脂成分の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(無機物)
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な無機物は、特に制限されないが、例えば、ガラス、雲母、セラミック等の絶縁体が挙げられる。これらの無機物を用いることにより、電極間の短絡を防止できる。
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な無機物は、特に制限されないが、例えば、ガラス、雲母、セラミック等の絶縁体が挙げられる。これらの無機物を用いることにより、電極間の短絡を防止できる。
前記セラミックは、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、誘電体セラミックが挙げられる。
好ましい前記誘電体セラミックとしては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。これらの誘電体セラミックを含有させることにより、樹脂組成物と、これを用いて得られた樹脂シートの誘電率を向上させる効果が得られる。
好ましい前記誘電体セラミックとしては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。これらの誘電体セラミックを含有させることにより、樹脂組成物と、これを用いて得られた樹脂シートの誘電率を向上させる効果が得られる。
前記ガラス又は雲母は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、グラスファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、合成マイカ、合成マイカのナノフィラー等が挙げられる。ガラス又は雲母を用いることで、樹脂組成物を用いて得られた樹脂シートの機械的強度を向上させることができる。
無機物の形状は、特に制限されず、樹脂組成物の用途に応じて適宜選択が可能である。例えば、樹脂組成物における、無機物の分散度がより高くなる点では、無機物の形状は、球状等の粒子状であることが好ましい。また、樹脂組成物を用いて得られた樹脂シートの強度がより向上する点では、無機物の形状は、板状又は鱗片状であることが好ましい。
無機物の粒子径は、特に制限はないが、無機物の加重平均粒子径が、0.05〜1.2μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。加重平均粒子径が前記下限値以上であることで、無機物の比表面積が小さくなり、本実施形態の樹脂組成物における無機物の分散度がより高くなる。また、前記加重平均粒子径が前記上限値以下であることで、無機物粒子間の間隙がより小さくなり、樹脂組成物の防湿性がより向上する。
なお、本明細書において、「無機物の加重平均粒子径」とは、顕微鏡での観察により、100個の無機物の粒子径を測定して算出したものを意味する。板状や鱗片状等の非粒子状の無機物の場合には、これら非粒子状の無機物の短径及び長径を測定して、無機物の断面積を算出し、前記断面積と同じ断面積を有する円の直径を算出して、この直径を粒子径として、粒子状の無機物の場合と同様に、加重平均粒子径を算出する。このように、本発明において、「無機物の加重平均粒子径」とは、粒子状の無機物の加重平均粒子径だけでなく、非粒子状の無機物の加重平均粒子径も含む。
本実施形態の樹脂組成物が含有する無機物は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、加重平均粒子径が異なる2群以上の無機物を併用してもよく、このように無機物を併用することにより、本実施形態の樹脂組成物の無機物の含有量を多くすることが可能となる。例えば、2群の無機物を併用する場合には、上述の効果が顕著に得られる点から、無機物の一方の群の加重平均粒子径は0.05〜0.3μmであり、かつ無機物の他方の加重平均粒子径は0.3〜1.0μmであることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の無機物の含有量は、40体積%以上であることが好ましく、40〜70体積%であることがより好ましく、45〜65体積%であることが特に好ましい。前記無機物の含有量がこのような範囲内であることで、後述するように、本実施形態の樹脂組成物は柔軟性と加熱時の流動性が十分に高く、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを積層して加熱圧着する場合、積層体の被覆対象面が狭い空間に面している場合でも、本実施形態の樹脂組成物で容易に対象面を被覆できる。また、無機物が誘電体セラミックである場合、対象面を被覆している本実施形態の樹脂組成物から、高い誘電率を有する誘電体層を形成できる。さらに、前記無機物の含有量が前記下限値以上であることで、後述する焼結前の本実施形態の樹脂組成物の体積と、焼結して得られた層(例えば、誘電体層)の体積と、の差がより小さくなり、このような層をより安定して形成できる。また、前記無機物の含有量が前記上限値以下であることで、本実施形態の樹脂組成物を用いて得られた樹脂シートの機械的強度がより向上する。
なお、本明細書において、本実施形態の樹脂組成物の無機物の含有量(体積%)は、好ましくは常温での含有量である。ここで、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
なお、本明細書において、本実施形態の樹脂組成物の無機物の含有量(体積%)は、好ましくは常温での含有量である。ここで、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記無機物は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びジルコン酸チタン酸鉛からなる群より選択される1種又は2種以上の誘電体セラミックを含むことが好ましく、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びジルコン酸チタン酸鉛からなる群より選択される1種又は2種以上の誘電体セラミックのみであってもよい。このような誘電体セラミックを用いることで、前記積層体の裁断面を誘電率が十分に高い誘電体層で容易に被覆できるという効果がより顕著に得られる。
(添加剤)
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含んでいれば、特に制限はされない。
上記分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分としては、パラフィンオイル、下記構造式を有するエポキシ化大豆油、
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含んでいれば、特に制限はされない。
上記分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分としては、パラフィンオイル、下記構造式を有するエポキシ化大豆油、
本実施形態の樹脂組成物における添加剤の含有量としては、該樹脂組成物中、3〜60体積%以下が好ましく、3.5〜5.5体積%がより好ましい。添加物の含有量が上記好ましい範囲の上限以上であれば、該樹脂組成物の凹凸への追従性及び表面の平滑性を向上することができる。一方、上記好ましい範囲の上限以下であれば、該樹脂組成物の強度を担保することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したバインダーとなる樹脂成分、無機物、及び添加剤以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、塩化銅、ヨウ化第I銅、酢酸銅、ステアリン酸セリウムなどの金属塩安定剤;ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、アクリレート系、リン系有機化合物などの酸化防止剤や耐熱安定剤;ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤や耐候剤;光安定剤;滑剤;結晶核剤;粘度調節剤;シランカップリング剤などの表面処理剤;非蛍光顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、非蛍光染料、蛍光染料等の着色剤;着色防止剤;難燃剤(赤燐、金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、およびこれらのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、木材粉;もみがら粉;くるみ粉;古紙;ホウ酸ガラスや銀系抗菌剤などの抗菌剤や抗カビ剤;マグネシウム−アルミニウムヒドロキシハイドレートに代表されるハイドロタルサイトなどの金型腐食防止剤;帯電防止剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、消臭剤、可塑剤、離形剤、分散剤等の他の添加剤が挙げられる。これらの中で、樹脂組成物の柔軟性向上の観点から、可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤、離形剤としては、特に制限されないが、可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族トリカルボン酸エステル、リン酸トリエステルおよび石油樹脂等、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ヒマシ油系可塑剤、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ポリオキシエチレンジアセテート、ポリオキシエチレンジ(2−エチルヘキサノエート)、ポリオキシプロピレンモノラウレート、ポリオキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジベンゾエート、ポリオキシプロピレンジベンゾエートなどのポリオールエステル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸エトキシカルボニルメチルジブチル、クエン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルリシノール酸メチルまたはアセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、大豆油、大豆油脂肪酸、大豆油脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、菜種油、菜種油脂肪酸、菜種油脂肪酸エステル、エポキシ化菜種油、亜麻仁油、亜麻仁油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸エステル、エポキシ化亜麻仁油、ヤシ油またはヤシ油脂肪酸などの植物油系化合物、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルまたはパラフィン類、オレフィンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテ、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p−n−ブチル−フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチル−フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、ヤシ脂肪酸グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシドール、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6―ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アルカン酸グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、及びプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどを挙げられる。これらのうち、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む可塑剤は、本実施形態の樹脂組成物における添加剤に包含される。可塑剤の含有量は、該樹脂組成物の総質量中、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。可塑剤の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の強度を損なうことなく、該樹脂組成物の柔軟性を向上することが可能である。なお、可塑剤が、本実施形態の樹脂組成物における添加剤である場合は、該可塑剤の含有量は、本実施形態の樹脂組成物における添加剤の含有量となる。
なお、他の成分を含む場合には、樹脂組成物中の樹脂成分及び無機物の各含有量が、すでに上述した範囲内となるように、その使用量を調整することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、球状である30gの前記樹脂組成物を、150℃に加熱しながら、向かい合う面が互いに平行な金属製のプレート状の加圧手段で挟み込み、4MPaの圧力で1分間加圧し、得られた加圧物を、その上方から平面視したとき、前記加圧物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さと、を乗じた値が、20000mm2以上100000mm2以下であることが好ましく、20000mm2以上50000mm2以下であることがより好ましい。この値は、樹脂の広がりの程度を示し、前記下限値以下であると、前記樹脂シートが、セラミックグリーンシートを加熱圧着時に生じた、前記積層シートの表面の凹凸への追従ができなくなる。また、この値が前記上限値以上であることで、前記城址組成物及び樹脂シートの常温時の取扱い性が悪化する。
(樹脂組成物の製造方法)
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、上述した樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱して溶融状態(液体状態)あるいはゴム状態とし、これに無機物を添加して混練することで得られる。
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、上述した樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱して溶融状態(液体状態)あるいはゴム状態とし、これに無機物を添加して混練することで得られる。
樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱する方法は特に制限されないが、密閉式混練機、いわゆるインターナルミキサーを用いることが好ましい。また、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂成分に無機物を添加して混練する方法は特に制限されないが、オープンロール、単軸押出機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いることが好ましい。
混練後に造粒、冷却処理等をすることにより、ペレット、タブレット等の樹脂組成物として得られる。
<樹脂シート>
次に、本発明を適用した一実施形態である樹脂シートの構成の一例について、説明する。
本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物をシート状に成形したものであるため、シート状に成形する際に追加の成分を添加しない限りにおいて、その成分は前記樹脂組成物と実質的に同一である。
次に、本発明を適用した一実施形態である樹脂シートの構成の一例について、説明する。
本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物をシート状に成形したものであるため、シート状に成形する際に追加の成分を添加しない限りにおいて、その成分は前記樹脂組成物と実質的に同一である。
本実施形態の樹脂シートは、厚さが1μm以上、1000μm以下であることが好ましく、30μm以上、300μm以下であることがより好ましい。樹脂シートの厚さが上記範囲の下限値未満であると、取扱時の樹脂シートが破断する場合がある。
(樹脂シートの製造方法)
次に、本実施形態の樹脂シートの製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物の製造方法において、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂成分に無機物を添加して混練し、前記樹脂組成物を得た後、この樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状に成形することで得られる。
次に、本実施形態の樹脂シートの製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物の製造方法において、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂成分に無機物を添加して混練し、前記樹脂組成物を得た後、この樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状に成形することで得られる。
樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状に成形する方法は特に制限されないが、Tダイを用いた押出装置を用いることが好ましい。
(樹脂シートの使用方法)
次に、本実施形態の樹脂シートの使用方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、上述した一般的な積層セラミックコンデンサの製造において、積層シートの片方又は両方の表面に積層する。これにより、本実施形態の樹脂シートは、ラミネート時の密度差に起因して生じた積層シート表面の凹凸に追従して段差を埋め込むとともに、該積層シートの表面を平滑化することができる。
次に、本実施形態の樹脂シートの使用方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、上述した一般的な積層セラミックコンデンサの製造において、積層シートの片方又は両方の表面に積層する。これにより、本実施形態の樹脂シートは、ラミネート時の密度差に起因して生じた積層シート表面の凹凸に追従して段差を埋め込むとともに、該積層シートの表面を平滑化することができる。
樹脂シートの、凹凸が生じた積層シートへの積層方法は、特に制限されないが、従来から一般的な積層方法を適用することができる。具体的には、熱プレスやラミネータを用いた、真空加熱プレス法、平面プレス法、ロールプレス法、及びそれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
樹脂シートを積層する際のプレス条件は特に制限されないが、温度は60〜150℃とすることが好ましい。また、圧力は0.1〜10t/cm2とすることが好ましく、また、時間は、6秒〜60分とすることが好ましい。
(樹脂シートの埋め込み性能)
本実施形態の樹脂シートは、その厚さが0.05〜1.0mmを用いて、適切なプレス条件を選択した場合において、幅:20〜2000μm、深さ:10〜1000μm、間隔:70〜12000μm程度の段差を埋め込むことができる。これらの段差は、同一方向に設けられたものであってもよいし、2方向以上の段差が交差するものであってもよい。また、本実施形態の樹脂シートで、上記段差を埋め込んだ際、前記樹脂シートの表面(段差と反対側の表面)の凹凸を、±5μm程度の平滑面とすることができる。なお、樹脂シートの表面の凹凸は、後述する実施例と同様の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂シートは、その厚さが0.05〜1.0mmを用いて、適切なプレス条件を選択した場合において、幅:20〜2000μm、深さ:10〜1000μm、間隔:70〜12000μm程度の段差を埋め込むことができる。これらの段差は、同一方向に設けられたものであってもよいし、2方向以上の段差が交差するものであってもよい。また、本実施形態の樹脂シートで、上記段差を埋め込んだ際、前記樹脂シートの表面(段差と反対側の表面)の凹凸を、±5μm程度の平滑面とすることができる。なお、樹脂シートの表面の凹凸は、後述する実施例と同様の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂シートを埋め込みシートとして用いることにより、上記積層シートの表面が平滑になるため、積層シートを裁断してチップ化する際の不具合を抑制できる。例えば、積層シートの裁断時において、積層シートでの局所的なハガレを抑制できる。また、裁断後の部品の表面が湾曲していないため、実装時の部品の位置ずれを抑制できる。
さらに、以下の利点も有する。すなわち、裁断によってチップ化された積層体を加熱してバインダーとなる樹脂成分を分解除去することにより、前記樹脂シートが無機物層のみとなるため、樹脂シートは、そのまま焼結することができる。さらに、樹脂シートを焼結後の前記積層体は、その形状にも優れるため、端子電極の形成も容易となる。
さらに、以下の利点も有する。すなわち、裁断によってチップ化された積層体を加熱してバインダーとなる樹脂成分を分解除去することにより、前記樹脂シートが無機物層のみとなるため、樹脂シートは、そのまま焼結することができる。さらに、樹脂シートを焼結後の前記積層体は、その形状にも優れるため、端子電極の形成も容易となる。
以上説明したように、本実施形態の樹脂組成物によれば、バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含み、前記樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分を含み、前記添加剤は、分子流の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む。バインダーとなる樹脂成分と添加剤が、上記成分を含むことにより本実施形態の樹脂組成物は、柔軟性及び流動性を有しているため、本実施形態の樹脂組成物を用いて製造された樹脂シートは、凹凸への追従性、表面の平滑性及び取扱い性に優れる。
本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物をシート状に成形したものであるため、セラミックグリーンシートに積層可能であり、凹凸への追従性、表面の平滑性及び取扱い性に優れる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態では、樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱して溶融状態(液体状態)あるいはゴム状態とし、これに無機物を添加して混練することで樹脂組成物及び樹脂シートを得る方法を一例として説明したが、これに制限されない。例えば、溶剤に樹脂成分溶解させて樹脂溶液とし、前記樹脂溶液に無機物を添加して撹拌して塗工溶液を得た後、得られた塗工溶液をPETフィルム等の基材に塗布し、次いで乾燥させることにより、樹脂シートとしてもよい。
また、上述した実施形態では、凹凸を有する基材表面に対して樹脂シートを積層する方法を一例として説明したが、これに制限されない。例えば、溶融状態あるはゴム状態の樹脂組成物を、凹凸を有する基材表面にコーティングによる方法によって積層してもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)16.0gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、パラフィンオイル(出光興産社製、PW90、分子中のメチレン鎖:90重量%以上、凝固点:50℃以下)4.0gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例2)
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)16.4gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、エポキシ化大豆油(ADEKA社製、O−130P、分子中のメチレン鎖:47重量%、凝固点:5℃)4.1gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)16.4gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、エポキシ化大豆油(ADEKA社製、O−130P、分子中のメチレン鎖:47重量%、凝固点:5℃)4.1gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例1)
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)16.4gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、フタル酸ジイソノニル(ジェイプラス社製、DINP、分子中のメチレン鎖:40重量%、凝固点:−45℃)4.1gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)16.4gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、フタル酸ジイソノニル(ジェイプラス社製、DINP、分子中のメチレン鎖:40重量%、凝固点:−45℃)4.1gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例2)
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)15.8gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、パラフィンワックス(日本蝋燭社製、Paraffin Wax 155、分子中のメチレン鎖:90重量%以上、凝固点:68.3℃)3.9gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)15.8gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、パラフィンワックス(日本蝋燭社製、Paraffin Wax 155、分子中のメチレン鎖:90重量%以上、凝固点:68.3℃)3.9gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例3)
低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製、F522N、融点:110℃、MFR:5g/10min)15.7gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、パラフィンオイル(出光興産社製、PW90、分子中のメチレン鎖:90重量%以上、凝固点:50℃以下)3.9gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製、F522N、融点:110℃、MFR:5g/10min)15.7gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.9gと、パラフィンオイル(出光興産社製、PW90、分子中のメチレン鎖:90重量%以上、凝固点:50℃以下)3.9gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.1〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
<樹脂の広がりの測定方法>
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートについて、30gになるように測り取る。得られたサンプルを離形PET(帝人フィルムソリューション社製 A314)で挟み、プレス機(神藤金属工業社製、NSF−37、シリンダー系 φ150nm)を用いて、温度150℃、4Mpaの圧力で1分間加圧し、樹脂シートを円形状に加工する。その後、ノギスを使用し、前記加工物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さを測定し、それらの長さを乗じることにより、樹脂の広がりを評価した。
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートについて、30gになるように測り取る。得られたサンプルを離形PET(帝人フィルムソリューション社製 A314)で挟み、プレス機(神藤金属工業社製、NSF−37、シリンダー系 φ150nm)を用いて、温度150℃、4Mpaの圧力で1分間加圧し、樹脂シートを円形状に加工する。その後、ノギスを使用し、前記加工物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さを測定し、それらの長さを乗じることにより、樹脂の広がりを評価した。
<平滑性の評価方法>
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートの平滑性を、以下の基準に従って評価した。
○判定:縦方向及び横方向ともに、表面凹凸が±5μmにおさまるもの
△判定:縦方向及び横方向にいずれか、表面凹凸が±5μmにおさまるもの
×判定:縦方向及び横方向ともに、表面凹凸が±5μmを超えるもの
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートの平滑性を、以下の基準に従って評価した。
○判定:縦方向及び横方向ともに、表面凹凸が±5μmにおさまるもの
△判定:縦方向及び横方向にいずれか、表面凹凸が±5μmにおさまるもの
×判定:縦方向及び横方向ともに、表面凹凸が±5μmを超えるもの
<取扱い性の評価方法>
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートの取扱い性を、以下の基準に従って評価した。
得られた樹脂シートを10mm幅×150mm長さにカットし、厚さ2mm(先端R2.0)の板に50mm固定する。シート先端を持ち、板の先端に沿わせるように折り曲げる。破損した角度により以下の判定を行う。
○判定:90°以上
△判定:60°以上
×判定:60°未満
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂シートの取扱い性を、以下の基準に従って評価した。
得られた樹脂シートを10mm幅×150mm長さにカットし、厚さ2mm(先端R2.0)の板に50mm固定する。シート先端を持ち、板の先端に沿わせるように折り曲げる。破損した角度により以下の判定を行う。
○判定:90°以上
△判定:60°以上
×判定:60°未満
表1に示すように、実施例1及び2によれば、動的粘弾性(DMA)測定において、振動周波数が1Hzであり、80℃における貯蔵弾性率(E’)がいずれも1.0×108Pa以下であった。また、いずれもプレス工程時に凹凸を平滑化することができ、且つ、取扱い性に優れていた。
これに対して、比較例1では、添加剤が、分子中の40重量%がメチレン鎖で構成されており、比較例2では、添加剤の凝固点が50℃以上であり、いずれも平滑性が十分ではないことを確認した。また、比較例3では、樹脂成分の融点が100℃以上であり、平滑性が十分ではなく、且つ、取扱い性が劣っていることを確認した。
本発明の樹脂組成物、及び樹脂シートは、積層セラミックコンデンサを製造する際に、セラミックグリーンシートの表面保護材として利用可能性を有する。
Claims (7)
- バインダーとなる樹脂成分と、無機物と、添加剤と、を少なくとも含み、
前記樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分を含み、
前記添加剤は、分子中の45重量%以上がメチレン鎖から構成され、凝固点が50℃以下の成分を含む、樹脂組成物。 - 球状である30gの前記樹脂組成物を、150℃に加熱しながら、向かい合う面が互いに平行な金属製のプレート状の加圧手段で挟み込み、4Mpaの圧力で1分間加圧し、得られた加圧物を、その上面から平面視したとき、前記加圧物の最大径の長さと、前記最大径の方向に対して直交する方向の径の長さと、を乗じた値が、20000mm2以上100000mm2以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体からなる群のうち、少なくとも1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記無機物が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、ポリフッ化ビニリデンからなる群のうち、少なくとも1つを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記無機物の含有量が、40体積%以上、80体積%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた、樹脂シート。
- 厚さが、1μm以上、1000μm以下である、請求項6に記載の樹脂シート。
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