JP2019116139A - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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【課題】減速度を車両に付与する制御及びヨーモーメントを車両に付与する制御を行う車両の挙動制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制する。【解決手段】駆動制御システム4及びブレーキ制御システム18を備えた車両の挙動制御装置において、PCM14は、操舵角が増大している場合に、車両に付加すべき付加減速度を設定して、この付加減速度を実現するための駆動制御システム4の制御と、操舵角が減少している場合に、車両に発生するヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定して、この目標ヨーモーメントを車両に付与するためのブレーキ制御システム18の制御と、を行う。特に、PCM14は、操舵角が0よりも大きい所定角度未満であるときに、目標ヨーモーメントを0に設定して、ブレーキ制御システム18による制御を終了させる。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の挙動制御装置に係わり、特に、車両の駆動輪を駆動するためのトルクを出力する駆動手段と左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段とを備えた車両の挙動制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
また、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、日常運転領域から稼動するハンドル操作に連係した加減速を自動的に行い、限界運転領域で横滑りを低減させるようにした車両の運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、この特許文献1には、車両の前後方向の加減速を制御する第1のモードと、車両のヨーモーメントを制御する第2のモードと、を備えた車両の運動制御装置が開示されている。
特開2010−162911号公報
特許文献1に記載されたような第1のモードにて行われる制御(以下では適宜「第1の制御」と呼ぶ。)は、典型的には、操舵角が増大しているときに(すなわちステアリングホイールの切り込み操作が行われるとき)、車両に減速度を付与するように行われるものである。他方で、特許文献1に記載されたような第2のモードにて行われる制御(以下では適宜「第2の制御」と呼ぶ。)は、典型的には、操舵角が減少しているときに(すなわちステアリングホイールの切り戻し操作が行われるとき)、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを付与するように行われるものである。なお、特許文献1では、第1の制御のことを「G-Vectoring制御」と呼んでおり、第2の制御のことを「横滑り防止制御」と呼んでいる。
ここで、例えば車両がS字コーナーを走行する場合、最初に、操舵角の増大時(切り込み操作時)に第1の制御が実行され、この後、操舵角の減少時(切り戻し操作時)に第2の制御が実行され、この後、操舵角の増大時(切り込み操作時)に第1の制御が更に実行される傾向にある。この場合、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、第2の制御から第1の制御へと適切に切り替わることが望ましいが、操舵角が0付近にあるときに第1及び第2の制御の両方が実行される可能性がある。すなわち、操舵角が0を跨いだ後も第2の制御が実行され続けた場合に、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることとなる。
このように第1及び第2の制御の両方が実行されると、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与える場合がある。例えば、S字コーナーにおいて、ステアリングホイールが左に操作されている状態から右に切り戻し操作されると、第2の制御により、車両を直進方向に向かせるように、つまり車両が右方向に向き易くするようにヨーモーメントが車両に付与される。この後、ステアリングホイールが中立位置(操舵角0)を跨いで右に切り込み操作されると、第1の制御により、車両が右方向に旋回し易くなるように減速度が車両に付与される。このような一連の状況において、第2の制御が実行されている最中に第1の制御が重ねて実行されると、車両を右方向に旋回させようとする制御が二重に適用されて、車両が右方向にオーバーステア状態となる可能性がある。
上記のような問題を解決する手法として、操舵角が0になったときに第2の制御を終了させればよいと考えられる。しかしながら、操舵角が0になったときに第2の制御を終了させる指令を出したとしても、第2の制御によるヨーモーメントの付与が速やかに終了しない傾向にある。すなわち、第2の制御によるヨーモーメントの付与は車輪に制動力を生じさせることで実現されるが、操舵角が0になったときに車輪への制動力の付与を終了する指令を出したとしても、この指令を出してから車輪への制動力の付与が実際に終了するまでの間に応答遅れが存在する。その結果、上記したような制御介入の過剰な状態が発生し、ドライバに違和感を与えてしまう。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する制御とを行う車両の挙動制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するために、車両の駆動輪を駆動するためのトルクを出力する駆動手段と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段とを備えた車両の挙動制御装置であって、操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵角(絶対値)が増大している場合に、車両に付加すべき付加減速度を設定して、この付加減速度を実現するように駆動手段の出力トルクを減少させる駆動制御手段と、操舵角(絶対値)が減少している場合に、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように制動手段を制御する制動制御手段と、を有し、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角が0よりも大きい所定角度未満であるときに、目標ヨーモーメントを0に設定して、制動制御手段による制御を終了させるようにする、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、操舵角が所定角度(>0)未満であるときに目標ヨーモーメントを0に設定するので、制動手段による制動力の付与の終了指令から実際に車輪への制動力の付与が終了するまでの応答遅れによらずに、操舵角が0になったときに制動手段による制動力の付与を確実に終了させておくことができる。したがって、S字コーナー等の走行中において、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、制動制御手段による制御(第2の制御)による車両へのヨーモーメントの付与を確実に終了させておくことができる。これにより、操舵角が0を跨いだ後も制動制御手段による制御が実行され続けることで、制動制御手段による制御が実行されている状態において駆動制御手段による制御(第1の制御)が重ねて実行されることを抑制することができる。その結果、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角(絶対値)が所定角度以上であるときに、操舵角が減少するにつれて、目標ヨーモーメントを0に向けて低減する。
このように構成された本発明においては、操舵角が減少するにつれて、目標ヨーモーメントを0に向けて徐々に低減するので、車両へのヨーモーメントの付与が突然無くなり、車両挙動が大きく変化することで、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値に応じて目標ヨーモーメントを設定し、この目標ヨーモーメントに対して、操舵角(絶対値)に応じたゲインを乗算して得た目標ヨーモーメントを、制動制御手段に供給し、ゲインは、操舵角に応じた1以下の値が設定されており、操舵角が所定角度未満であるときに値が0になるように設定されている。
このように構成された本発明においては、旋回状態を表す値に応じて目標ヨーモーメントを設定するロジックを修正することなく、このロジックにより得られた目標ヨーモーメントに対してゲインを乗算する処理を行うだけで、操舵角が0のときに制動制御手段による制御を終了させることを適切に実現することができる。すなわち、操舵角0での車両へのヨーモーメントの付与の終了を、確実且つ簡易に実現することができる。
また、本発明において、好ましくは、旋回状態を表す値は、車両に実際に生じている実ヨーレートと操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度である。
このように構成された本発明によれば、例えば圧雪路のような低μ路でステアリングホイールの操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両に付与することができ、車両の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、本発明において、好ましくは、旋回状態を表す値は、操舵角に基づき算出された操舵速度である。
このように構成された本発明によれば、ドライバのステアリング操作の速さに応じた大きさのヨーモーメントを車両の旋回を抑える方向に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、本発明において、好ましくは、所定角度は、制動手段としてのブレーキ装置におけるブレーキ液圧の減圧特性に基づき設定するのがよい。
本発明によれば、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する制御とを行う車両の挙動制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを適切に抑制することができる。
本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。 操舵速度と付加減速度との関係を示したマップである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。 本発明の実施形態において目標ヨーモーメントを設定するために用いられるゲインを規定したマップである。 ブレーキ装置におけるブレーキ液圧の減圧特性についての説明図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両にS字コーナーを走行させたときの、挙動制御に関わる各種パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を説明する。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。
図1において、符号1は、本実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両を示す。車両1の車体前部には、駆動輪2(図1の例では左右の前輪)を駆動する駆動制御システム4が搭載されている。駆動制御システム4としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃エンジンや、モータを用いることができる。詳細は後述するが、駆動制御システム4の少なくとも一部は、本発明における駆動手段及び駆動制御手段として機能する。
また、車両1は、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラム(図示せず)の回転角度としての操舵角を検出する操舵角センサ(操舵角検出手段)8、車速を検出する車速センサ10、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ12を備えている。これらの各センサは、それぞれの検出値をPCM14(Power-train Control Module)に出力する。
また、車両1は、各車輪に設けられたブレーキ装置16のホイールシリンダやブレーキキャリパにブレーキ液圧を供給するブレーキ制御システム18を備えている。ブレーキ制御システム18は、PCM14から入力されたヨーモーメント指令値に基づき、各車輪のホイールシリンダやブレーキキャリパのそれぞれに独立して供給する液圧を算出し、それらの液圧に応じてポンプを制御する。ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値が入力された場合に各車輪のブレーキ装置16の液圧をどの程度上昇させるのかを、ヨーモーメント指令値に応じて規定した制御マップを予め記憶している。ブレーキ制御システム18は、PCM14からヨーモーメント指令値が入力されると、制御マップを参照して、各車輪のブレーキ装置16のそれぞれに独立して供給する液圧がヨーモーメント指令値に応じて上昇するようにポンプを制御する。
このブレーキ制御システム18の少なくとも一部は、本発明における制動手段及び制動制御手段として機能する。
次に、図2により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
PCM14は、上述したセンサの検出信号の他、駆動制御システム4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、駆動制御システム4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置、バッテリ残量等)に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
PCM14は、操舵角の変化に関連して車両1に付加すべき付加減速度を設定する付加減速度設定部20と、操舵角の変化に関連して車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定するヨーモーメント設定部22とを有する。
これらのPCM14の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14は本発明における車両の挙動制御装置に相当し、目標ヨーモーメント設定手段及び駆動制御手段として機能する。
次に、図3〜図6により、車両の挙動制御装置が実行する処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、操舵速度と付加減速度との関係を示したマップであり、図6は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。図5に示したマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。
図3の挙動制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、車両の挙動制御装置に電源が投入された場合に起動され、所定周期(例えば50ms)で繰り返し実行される。
挙動制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の各種情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を取得する。
次に、ステップS2において、PCM14の付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を実行し、車両1に付加すべき付加減速度を設定する。
続いて、ステップS3において、PCM14のヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。
次に、ステップS4において、駆動制御システム4は、ステップS2において設定された付加減速度を車両1に付加するようにアクチュエータ(エンジンの燃料噴射装置、点火装置、吸排気系や、モータ等)を制御する。具体的には、駆動制御システム4は、設定された付加減速度を車両1に付加するように、エンジンやモータの出力トルクを減少させる。このような駆動制御システム4により行われる制御は、上述した「第1の制御」に相当する。
また、ステップS4において、ブレーキ制御システム18は、ステップS3において設定された目標ヨーモーメントを車両1に付与するようにアクチュエータ(ポンプ等)を制御する。例えば、ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値とポンプの回転数との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ステップS3の目標ヨーモーメント設定処理において設定されたヨーモーメント指令値に対応する回転数でポンプを作動させると共に、各車輪のブレーキ装置16への液圧供給ラインに設けられたバルブユニットを個々に制御し、各車輪の制動力を調整する。このようなブレーキ制御システム18により行われる制御は、上述した「第2の制御」に相当する。
以上述べたステップS4の後、PCM14は、挙動制御処理を終了する。
次に、図4により、付加減速度設定処理について説明する。
図4に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS11において、付加減速度設定部20は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS12において、付加減速度設定部20は、ステアリングホイール6の切り込み操作中(即ち操舵角(絶対値)が増大中)且つ操舵速度が所定の閾値S1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り込み操作中且つ操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS13に進み、付加減速度設定部20は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両1に付加すべき減速度である。
具体的には、付加減速度設定部20は、図5のマップに示した操舵速度と付加減速度との関係に基づき、ステップS11において算出した操舵速度に対応する付加減速度を設定する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジンやモータの出力トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
ステップS13の後、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
また、ステップS12においてステアリングホイール6の切り込み操作中ではない(即ち操舵角が一定又は減少中)か、操舵速度が閾値S1未満である場合、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
駆動制御システム4は、上述した付加減速度設定処理において操舵角の増大速度に基づき設定した付加減速度を実現するように、図3の挙動制御処理のステップS4においてエンジンやモータの出力トルクを減少させる。このように、ステアリングホイール6の切り込み操作が行われた場合に、その操舵速度に基づきエンジンやモータの出力トルクを減少させることにより前輪2の垂直荷重を増大させ、ドライバによる切り込み操作に対して良好な応答性で車両1の挙動を制御することができる。
次に、図6により、目標ヨーモーメント設定処理について説明する。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、この目標横加速度を時間微分することにより目標横ジャークを算出する。
次に、ステップS22において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得したヨーレートセンサ12が検出したヨーレート(実ヨーレート)とステップS21で算出した目標ヨーレートとの差(ヨーレート差)Δγを算出する。
次に、ステップS23において、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーモーメントを設定するために用いるゲインを、操舵角(絶対値を用いるものとする。以下同様とする。)に基づき設定する。このゲインの設定について、図7及び図8を参照して具体的に説明する。
図7は、本発明の実施形態において目標ヨーモーメントを設定するために用いられるゲインを規定したマップである。このマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。図7は、横軸に操舵角を示しており、縦軸にゲインを示している。このゲインは、操舵角に応じた0から1までの値に設定されており(0≦ゲイン≦1)、後述する手法により算出された目標ヨーモーメントに対して乗算するよう用いられる。すなわち、0から1までの値であるゲインを乗算した得られた値が、最終的に適用すべき目標ヨーモーメントとして用いられる。
具体的には、図7に示すように、(1)操舵角が第1所定角度A1以上の領域では、ゲインの値が1に設定され、(2)操舵角が第1所定角度A1未満で且つ第2所定角度A2(<第1所定角度A1)以上の領域では、操舵角が小さくなるほど、ゲインの値が0に向かって小さくなるよう設定され、(3)操舵角が第2所定角度A2未満の領域では、ゲインの値が0に設定されている。このようなゲインによれば、(1)操舵角が第1所定角度A1以上の領域では、元の目標ヨーモーメントがそのまま用いられ、(2)操舵角が第1所定角度A1未満で且つ第2所定角度A2以上の領域では、操舵角が小さくなるほど、目標ヨーモーメントが0に向かって小さくなっていき、(3)操舵角が第2所定角度A2未満の領域では、目標ヨーモーメントが0になる。ヨーモーメント設定部22は、図7に示すようなメモリに記憶されたマップを読み出して、ステップS1において取得された現在の操舵角に対応するゲインを取得する。なお、基本的には、ステアリングホイール6の切り戻し操作時にゲインを用いた目標ヨーモーメントの設定が行われるので、この切り戻し操作に伴った操舵角の減少に応じて、ゲインは1から0に向けて減少していく。
上記のようなゲインを適用することにより、操舵角が0であるときに、ゲインが0に設定されて、目標ヨーモーメントが0に設定される。そのため、S字コーナー等の走行中において、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が終了することとなる。したがって、操舵角が0を跨いだ後も第2の制御が実行され続けることで、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることが抑制される。よって、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与えることを抑制できる。
ここで、上記のような過剰な制御介入の抑制は、図7に示すように操舵角が0になる前からゲインを0に設定しなくても、操舵角が0になったときに初めてゲインを0に設定すれば実現できそうである。しかしながら、本実施形態では、操舵角が0よりも大きい第2所定角度A2未満の領域においてゲインを0に設定している。こうする理由について、図8を参照して説明する。
図8は、ブレーキ装置16におけるブレーキ液圧の減圧特性についての説明図である。図8は、横軸に時間を示し、縦軸にブレーキ装置16のブレーキ液圧を示している。グラフG1は、目標のブレーキ液圧(ブレーキ液圧の指令値(要求値)に対応する)を示し、グラフG12は、この目標のブレーキ液圧を指令したときの実際のブレーキ液圧を示している。また、符号P1で示すブレーキ液圧は、ブレーキ装置16内のブレーキキャリパの無効液圧(以下では単に「キャリパ無効液圧」と呼ぶ。)を示している。ブレーキ液圧がキャリパ無効液圧P1以上である場合には、ブレーキ装置16により車輪に制動力が付与され、ブレーキ液圧がキャリパ無効液圧P1未満である場合には、ブレーキ装置16により車輪に制動力が付与されない。このキャリパ無効液圧は、ブレーキキャリパ内のブレーキピストンの摺動抵抗などに応じた圧力となる。
図8に示すように、ブレーキ液圧を0にする指令(換言するとブレーキ液圧をリリースする指令)が出されてから(グラフG1参照)、ブレーキ液圧が実際にキャリパ無効液圧P1未満になるまでの間に(グラフG2参照)、応答遅れΔtが存在する。つまり、ブレーキ装置16による車輪への制動力の付与を終了する指令が出されてから、ブレーキ装置16による制動力の付与が実際に終了するまでの間に、応答遅れΔtが存在する。これは、ブレーキ装置16には、脈動低減目的のオリフィス等に起因するブレーキ液圧の低減遅れ(減圧遅れ)が存在するため、指令後直ちにブレーキパッドをリリースできずに所謂ブレーキ残りが生じるからである。例えば、上記の応答遅れΔtは0.2秒程度である。
このような応答遅れΔtが存在するため、操舵角が0になったときに初めてゲインを0に設定して目標ヨーモーメントを0に設定しても(目標ヨーモーメントを0に設定することはブレーキ液圧を0にする指令を出すことに相当する)、操舵角が0になったときにブレーキ装置16による制動力の付与が速やかに終了せずに、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が速やかに終了しない傾向にある。したがって、本実施形態では、操舵角が0になったときにブレーキ装置16による制動力の付与が確実に終了しているように、図7に示したように、操舵角が第2所定角度A2(>0)未満になったら、ゲインを0に設定して目標ヨーモーメントを0に設定するようにする。これは、ブレーキ装置16内の油路等に起因するブレーキ液圧の減圧遅れを見込んで、操舵角が0になる前の時点においてブレーキ液圧を0にする指令をブレーキ装置16に出すことに相当する。こうすることで、操舵角が0になるまでに、ブレーキパッド把持を確実に終了させておくことができる。すなわち、操舵角が0になるまでに、ブレーキ装置16による制動力の付与を終了させて、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与を確実に終了させることができる。
なお、第2所定角度A2は、操舵角が当該第2所定角度A2になったときにブレーキ液圧を0にする指令を出してから、操舵角が0になったときにブレーキパッド把持が確実に終了しているような操舵角が適用される。具体的には、第2所定角度A2は、ブレーキ装置16におけるブレーキ液圧の減圧特性、特に上記したキャリパ無効液圧P1や応答遅れΔtなどを考慮して、シミュレーションや所定の演算式や実験などにより設定される。例えば、第2所定角度A2は20度程度に設定される。一方、第1所定角度A1は例えば60度程度に設定される。
図6に戻って、ステップS24以降の処理について説明を再開する。ステップS24において、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角(絶対値)が減少中)であり、且つ、ヨーレート差Δγを時間微分することで得られるヨーレート差の変化速度Δγ′が所定の閾値Y1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS25に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′と、ステップS23で設定したゲインとに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、基準となる目標ヨーモーメントの大きさを算出し、この基準となる目標ヨーモーメントに対してゲインを更に乗ずることにより、車両1に適用すべき目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
一方、ステップS24において、ステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)場合、ステップS26に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向(即ち車両1の挙動がオーバーステアとなる方向)であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上であるか否かを判定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレートが実ヨーレート以上の状況の下でヨーレート差が減少している場合や、目標ヨーレートが実ヨーレート未満の状況の下でヨーレート差が増大している場合に、ヨーレート差の変化速度Δγ′は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であると判定する。
その結果、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS25に進み、ヨーモーメント設定部22は、上記と同様にして、ヨーレート差の変化速度Δγ′とステップS23で設定したゲインとに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。
ステップS25の後、又は、ステップS26においてヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向ではないかヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1未満である場合、ステップS27に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角(絶対値)が減少中)であり、且つ、操舵速度が所定の閾値S3以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し中且つ操舵速度が閾値S3以上である場合、ステップS28に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS21で算出した目標横ジャークと、ステップS23で設定したゲインとに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを第2の目標ヨーモーメントとして設定する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、基準となる第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出し、この基準となる第2の目標ヨーモーメントに対してゲインを更に乗ずることにより、車両1に適用すべき第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS28の後、又は、ステップS27においてステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)か操舵速度が閾値S3未満である場合、ステップS29に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS25で設定した目標ヨーモーメントとステップS28で設定した第2の目標ヨーモーメントとの内、大きい方をヨーモーメント指令値に設定する。
ステップS29の後、ヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
次に、図9を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の作用を説明する。図9は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両1にS字コーナーを走行させたときの、挙動制御に関わる各種パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
図9において、チャート(a)は操舵角を示し、チャート(b)は横加速度を示し、チャート(c)は横ジャークを示し、チャート(d)は目標ヨーモーメントを設定するために用いられるゲインを示し、チャート(e)は目標ヨーモーメント(PCM14からブレーキ制御システム18に入力されるヨーモーメント指令値に対応する)を示している。特に、チャート(e)では、チャート(d)に示すゲインを適用した目標ヨーモーメントを、本実施形態による結果として実線にて示す一方で、当該ゲインを適用していない目標ヨーモーメントを、本実施形態に対する比較例による結果として破線にて示している。
図9に示すように、ステアリング操作が切り込み操作から切り戻し操作へと切り替わった後(チャート(a)参照)、時刻t1において、目標ヨーモーメントが変化し始める(チャート(e)参照)。つまり、時刻t1において、車両の挙動制御のための目標ヨーモーメントが設定されて、車両1にヨーモーメントを付与する第2の制御が開始される。典型的な例では、ステアリング操作が切り戻し操作であり、且つ、操舵速度が閾値S3以上であるという条件が成立して(図6のステップS27:Yes)、ヨーモーメント設定部22が、目標横ジャークに基づき(第2の)目標ヨーモーメントを設定する(図6のステップS28)。
比較例では、ゲインを適用していない目標ヨーモーメントがそのまま用いられる(チャート(e)の破線参照)。この比較例によれば、操舵角が概ね0になる時刻t3において(例えばステアリング操作が切り戻し操作でないと判定されるタイミング)、目標ヨーモーメントが0に設定される。そのため、比較例では、操舵角が0になったときに、ブレーキ装置16による制動力の付与が終了せずに、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が終了しない。よって、比較例では、操舵角が0を跨いだ後も、つまりステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わった後も、第2の制御が実行され続けることで、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行される。
一方、本実施形態では、上記の比較例の目標ヨーモーメントに対して、操舵角に応じたゲインを適用した目標ヨーモーメントが用いられる(チャート(d)及びチャート(e)の実線参照)。本実施形態によれば、操舵角が0になる前の時刻t2(t2<t3)において、具体的には操舵角が第2所定角度A2未満となるタイミングで、ゲインが0になることで、目標ヨーモーメントが0に設定される。そのため、本実施形態では、操舵角が0になるまでに、ブレーキ装置16による制動力の付与が終了し、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が終了する。よって、本実施形態では、操舵角が0を跨いだ後に、つまりステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わった後に、第2の制御が終了しているので、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることが抑制される。
次に、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の効果について説明する。
本実施形態によれば、操舵角が0であるときに目標ヨーモーメントを0に設定するので、S字コーナー等の走行中において、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与を適切に終了させることができる。したがって、操舵角が0を跨いだ後も第2の制御が実行され続けることで、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることを抑制することができる。その結果、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
特に、本実施形態によれば、操舵角が第2の所定角度A2(>0)未満であるときに目標ヨーモーメントを0に設定するので、ブレーキ装置16による制動力の付与の終了指令から実際に車輪への制動力の付与が終了するまでの応答遅れによらずに、具体的にはブレーキ装置16におけるブレーキ液圧の低減遅れ(減圧遅れ)によらずに、操舵角が0になったときにブレーキ装置16による制動力の付与を確実に終了させておくことができる。したがって、操舵角が0になったときにヨーモーメントを車両1に付与する第2の制御を確実に終了させておくことができ、操舵角が0を跨いだ後において第1の制御が第2の制御に重ねて実行されることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、操舵角が第2の所定角度A2以上であるときには、操舵角が減少するにつれて、目標ヨーモーメントを0に向けて徐々に低減するので、車両1へのヨーモーメントの付与が突然無くなり、車両挙動が大きく変化することで、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値(ヨーレートや操舵速度や横加速度や横ジャークなど)に応じて目標ヨーモーメントを設定し、この目標ヨーモーメントに対して、操舵角に応じたゲインを乗算して得た目標ヨーモーメントを用いる。これにより、旋回状態を表す値に応じて目標ヨーモーメントを設定するロジックを修正することなく、このロジックにより得られた目標ヨーモーメントに対してゲインを乗算する処理を行うだけで、操舵角が0のときに第2の制御を終了させることを適切に実現することができる。すなわち、操舵角0での車両1へのヨーモーメントの付与の終了を、確実且つ簡易に実現することができる。
また、本実施形態によれば、上記の旋回状態を表す値として、車両1に実際に生じている実ヨーレートと操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度を用いることができる。これにより、例えば圧雪路のような低μ路でステアリングホイールの操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両1に付与することができ、車両1の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、本実施形態によれば、上記の旋回状態を表す値として、操舵角に基づき算出された操舵速度を用いることができる。これにより、ドライバのステアリング操作の速さに応じた大きさのヨーモーメントを車両1の旋回を抑える方向に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記した操舵角とゲインとの関係を規定したマップ(図7参照)を固定することに限定はされず、このマップを種々のパラメータに応じて変更してもよい。例えば、車速に応じて、マップに規定された操舵角とゲインとの関係を変更してもよい。
上記した実施形態では、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラムの回転角度を操舵角として使用すると説明したが、ステアリングコラムの回転角度に代えて、あるいはステアリングコラムの回転角度と共に、操舵系における各種状態量(アシストトルクを付与するモータの回転角や、ラックアンドピニオンにおけるラックの変位等)を操舵角として用いてもよい。
1 車両
2 駆動輪(前輪)
4 駆動制御システム
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 付加減速度設定部
22 ヨーモーメント設定部
上記の目的を達成するために、車両の駆動輪を駆動するためのトルクを出力する駆動手段と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段とを備えた車両の挙動制御装置であって、操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵角(絶対値)が増大している場合に、車両に付加すべき付加減速度を設定して、この付加減速度を実現するように駆動手段の出力トルクを減少させる駆動制御手段と、操舵角(絶対値)が減少している場合に、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように制動手段を制御する制動制御手段と、を有し、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角が0よりも大きい所定角度未満であるときに、目標ヨーモーメントを0に設定して、制動制御手段による制御を終了させるように所定角度は、制動手段としてのブレーキ装置におけるブレーキ液圧の減圧特性に基づき設定される、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、操舵角が所定角度(>0)未満であるときに目標ヨーモーメントを0に設定するので、制動手段による制動力の付与の終了指令から実際に車輪への制動力の付与が終了するまでの応答遅れによらずに、操舵角が0になったときに制動手段による制動力の付与を確実に終了させておくことができる。したがって、S字コーナー等の走行中において、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、制動制御手段による制御(第2の制御)による車両へのヨーモーメントの付与を確実に終了させておくことができる。これにより、操舵角が0を跨いだ後も制動制御手段による制御が実行され続けることで、制動制御手段による制御が実行されている状態において駆動制御手段による制御(第1の制御)が重ねて実行されることを抑制することができる。その結果、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。

Claims (6)

  1. 車両の駆動輪を駆動するためのトルクを出力する駆動手段と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段とを備えた車両の挙動制御装置であって、
    操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵角が増大している場合に、前記車両に付加すべき付加減速度を設定して、この付加減速度を実現するように前記駆動手段の出力トルクを減少させる駆動制御手段と、
    前記操舵角が減少している場合に、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、前記車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、
    前記目標ヨーモーメントを前記車両に付与するように前記制動手段を制御する制動制御手段と、
    を有し、
    前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が0よりも大きい所定角度未満であるときに、前記目標ヨーモーメントを0に設定して、前記制動制御手段による制御を終了させるようにする、ことを特徴とする車両の挙動制御装置。
  2. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が前記所定角度以上であるときに、前記操舵角が減少するにつれて、前記目標ヨーモーメントを0に向けて低減する、請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
  3. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値に応じて前記目標ヨーモーメントを設定し、この目標ヨーモーメントに対して、前記操舵角に応じたゲインを乗算して得た目標ヨーモーメントを、前記制動制御手段に供給し、
    前記ゲインは、前記操舵角に応じた1以下の値が設定されており、前記操舵角が前記所定角度未満であるときに値が0になるように設定されている、請求項1又は2に記載の車両の挙動制御装置。
  4. 前記旋回状態を表す値は、前記車両に実際に生じている実ヨーレートと前記操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度である、請求項3に記載の車両の挙動制御装置。
  5. 前記旋回状態を表す値は、前記操舵角に基づき算出された操舵速度である、請求項3又は4に記載の車両の挙動制御装置。
  6. 前記所定角度は、前記制動手段としてのブレーキ装置におけるブレーキ液圧の減圧特性に基づき設定される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の挙動制御装置。
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