JP2019115888A - 二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法 - Google Patents

二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法 Download PDF

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洋市 松崎
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正巳 小野田
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Abstract

【課題】二酸化炭素の吸収速度に優れた、新規かつ改良された二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る二酸化炭素吸収剤は、水と、アミン化合物と、触媒と、を含み、前記触媒は、下記式(I)または(II)で表される化合物から選択される1種以上を含む。式中、A1は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、A2は、酸素原子または硫黄原子であり、R1は置換または無置換のアリール基、アリールオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルオキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基またはアルキニルオキシ基であり、R2は、置換または無置換のアリール基、ヘテロシクリル基、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、nは、3または2である。【選択図】なし

Description

本発明は、二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法に関する。
近年、人類の社会活動に付随する二酸化炭素やメタンといった温室効果ガス排出量の急激な増加が地球温暖化の原因の一つに挙げられている。特に、二酸化炭素は温室効果ガスの中でも最も主要なものである。そして、2016年に発効されたパリ協定に従った、二酸化炭素排出量削減へ向けての対策が急務となっている。
石炭、重油、天然ガス等を燃料とする火力発電所、製鉄所の高炉、セメント工場のキルン、製造所のボイラー等から排出される混合ガスには、大量の二酸化炭素が含まれている。今日、このような施設から排出される混合ガスを対象にして、当該混合ガスに含まれる二酸化炭素を分離回収し、圧縮して、輸送の後、圧入するという一連の二酸化炭素分離回収貯留(Carbon dioxide Capture and Storage、CCS)技術が、化石燃料に代わる代替エネルギー開発までの繋ぎ(ブリッジング)技術として注目されている。
この貯留技術を実用化するためには、可能な限りの低コスト化が要求される。また、現在、二酸化炭素の分離回収、圧縮、輸送、圧入の一連の工程の中では、二酸化炭素の分離回収に要するコストが二酸化炭素分離回収貯留に係わる総コストの60%以上を占めていることから、この二酸化炭素分離回収コストを低減するための技術開発が重要となる。
そのため近年では、発電所や製鉄所から排出される二酸化炭素含有ガスを対象として、アミン化合物の水溶液を主成分とする化学吸収法による二酸化炭素分離回収の技術開発が精力的に推進されている。化学吸収法の二酸化炭素分離回収コストの過半は、分離回収に要する熱エネルギーのコストが占めている。その分離回収エネルギーは吸収液の特性によってほぼ決まる。すなわち二酸化炭素が吸収液に吸収され、吸収液から放散される際に必要なエネルギーが、分離回収エネルギーの大部分を占めている。したがって、吸収液の改良による分離回収エネルギーの低減が大きな課題となっている。
一方で、吸収液から放散される際に必要なエネルギーを低減させた場合、一般には、同時に吸収液への二酸化炭素の吸収速度が低下してしまう。このため、吸収液の二酸化炭素の吸収速度の向上を目的として、触媒を添加した吸収液が検討されている。
特許文献1には、所定の金属錯体と第3級アミンとを含む水溶液がCO吸収剤として開示されている。また、特許文献2には、アミン化合物と、触媒を含み、アミン化合物と触媒との結合エネルギーが特定の範囲にある吸収剤が開示されている。さらに、特許文献3には、アミン化合物と、所定の触媒とを含む二酸化炭素吸収剤が開示されている。
特開2009−226251号公報 特開2016−182562号公報 特開2017−170383号公報
しかしながら、特許文献2や3に開示された技術においては、触媒が非常に高価であり、実用性が十分でなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、比較的安価に製造可能であり、かつ二酸化炭素の吸収速度に優れた、新規かつ改良された二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来検討されていなかった特定のルイス塩基を触媒として用いた反応機構により、二酸化炭素の吸収速度を増加させることができるという知見を得、かかる知見に基づき更なる検討を行った結果、以下に示す本発明に想到した。
上記のような知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 水と、
アミン化合物と、
触媒と、を含み、
前記触媒は、下記式(I)または(II)
Figure 2019115888
Figure 2019115888
式中
は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、
は、酸素原子または硫黄原子であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基であり、
nは、Aがホスフィンオキシド基またはリン原子である場合3であり、Aがカルボニル基またはスルホニル基である場合2である、
で表される化合物から選択される1種以上を含む、二酸化炭素吸収剤。
(2) Rは、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルコキシ基である、(1)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(3) 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
は、ホスフィンオキシド基であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルコキシ基である、(1)または(2)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(4) 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
は、カルボキシル基またはリン原子であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基または炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基である、(1)または(2)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(5) 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
は、スルホニル基であり、
は、出現毎に独立して、置換または無置換のアリール基である、(1)または(2)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(6) 触媒が、下記式(I−1)〜(I−8)
Figure 2019115888
で表される化合物から選択される1種以上を含む、(1)または(2)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(7) 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換かつ直鎖状または分岐状のアルキル基である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(8) 触媒が、下記式(II−1)〜(II−4)
Figure 2019115888
で表される化合物から選択される1種以上を含む、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(9) 前記触媒を、0.010〜35質量%含む、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(10) 前記アミン化合物は、2級または3級アミン化合物を含む、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(11) 前記アミン化合物は、2−イソプロピルアミノエタノールを含む、(1)〜(10)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(12) 非水溶媒をさらに含む、(1)〜(11)のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
(13) 前記非水溶媒は、炭素数1〜10の分岐状または直鎖状ポリオールを含む、(12)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(14) 前記非水溶媒は、エチレングリコールを含む、(12)または(13)に記載の二酸化炭素吸収剤。
(15) 二酸化炭素吸収剤と二酸化炭素を接触させて前記二酸化炭素を前記二酸化炭素吸収剤に吸収させる工程を有し、
前記二酸化炭素吸収剤は、水と、アミン化合物と、触媒と、を含み、
前記触媒は、下記式(I)または(II)
Figure 2019115888
Figure 2019115888
式中
は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、
は、酸素原子または硫黄原子であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基であり、
nは、Aがホスフィンオキシド基またはリン原子である場合3であり、Aがカルボニル基またはスルホニル基である場合2である、
で表される化合物から選択される1種以上を含む、二酸化炭素の回収方法。
(16) さらに、前記二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収剤から前記二酸化炭素を放散させることにより、前記二酸化炭素を回収する工程を有する、(15)に記載の二酸化炭素の回収方法。
以上説明したように本発明によれば、二酸化炭素の吸収速度に優れた、新規かつ改良された二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の回収方法を提供することができる。また、上述したような触媒は、従来の金属錯体等の触媒と比較して安価であり、したがって、二酸化炭素吸収剤を比較的安価に提供することができる。
以下に本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<1.二酸化炭素吸収剤>
まず、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤について説明する。
本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、水と、アミン化合物と、触媒と、を含む。
[1−1]触媒
まず、触媒について説明する。本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、触媒として、下記式(I)または(II)で表される化合物から選択される1種以上を含む。
Figure 2019115888
Figure 2019115888
式中
は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、
は、酸素原子または硫黄原子であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基であり、
は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基であり、
nは、Aがホスフィンオキシド基またはリン原子である場合3であり、Aがカルボニル基またはスルホニル基である場合2である。
ここで、上記各式中の各基の詳細な説明に先立ち、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤中における上記触媒の推定される作用について、以下に説明する。以下は、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤における、仮定される二酸化炭素の吸収機構を模式的に示すスキームである。なお、以下のスキーム1中、アミン化合物の代表例としてイソプロピルアミノエタノールを示したが、本発明は当然これに限定されるものではなく、イソプロピルアミノエタノールに代えて各種アミン化合物を使用することが可能である。また、触媒の代表例としてリン酸トリフェニルを示したが、本発明は当然これに限定されるものではなく、リン酸トリフェニルに替えて、上述した式(I)、(II)で表される各種化合物を使用可能である。
Figure 2019115888
上述したスキーム1の反応(1)に示されるように、二酸化炭素吸収剤中の水分子は、アミンに対しプロトネーションを行い、アンモニウムカチオンと水酸化物イオン(OH)とが生成する。そして、反応(2)に示されるように生成した水酸化物イオンは、二酸化炭素吸収剤中に存在する二酸化炭素と反応して炭酸水素イオン(HCO )となる。これにより、二酸化炭素吸収剤中に二酸化炭素が吸収される。
一方で、反応(1)は、可逆反応であり、グロータス機構(水分子を介したプロトンリレー)により、逆反応が進行し、水酸化物イオンから再び水分子が生成する。したがって、従来の二酸化炭素吸収剤中においては、水酸化物イオンを安定して存在させることが困難であり、この結果二酸化炭素の吸収速度を大きくすることが困難であった。
これに対し、上述したような式(I)、(II)で表される化合物を含む触媒は、二酸化炭素吸収剤中において適度な強さのルイス塩基として作用し、アンモニウムカチオン中の窒素原子に配位した水素イオンと電気的に相互作用することにより、アンモニウムカチオンに配位する(反応(3))。そして、上記触媒は、アンモニウムカチオンが水素イオン(H)を放出することを防止し(プロトン閉込効果)、結果として反応(1)の逆反応を防止する。したがって、反応(1)により一旦生成した水酸化物イオンは安定して二酸化炭素吸収剤中に存在し、周囲の二酸化炭素と反応して炭酸水素イオン(HCO )となる。すなわち、上述した触媒は、ルイス塩基としてアンモニウムカチオンを安定化させることにより、結果として水とアミン化合物を介した二酸化炭素の吸収反応の速度を向上させる。
なお、触媒の塩基性が強すぎると、触媒はアンモニウムカチオンから水素イオンを引き抜き、引き抜かれた水素イオンは、系中に存在する水酸化物イオンとともに再び水分子を生成してしまう。この結果、系中に生成した水酸化物イオンが水分子の生成に消費され、二酸化炭素との反応に利用されにくいこととなる。これに対し、上記式(I)、(II)で表される化合物は、このようなアンモニウムカチオンからの水素イオンの引き抜きを行わない程度の比較的弱い塩基性を有している。
以上、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤中における触媒の推定される作用について説明した。なお、上述した吸収機構は、あくまで仮定されたものであって、必ずしも実際の吸収機構と一致しない可能性も存在する。
上記式(I)中、上述したように、Rは、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基である。
アリール基としては、例えば、フェニル基等の単環式芳香族基、ビフェニル基、ターフェニル基等の非縮合多環式芳香族基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の縮合多環式芳香族基等を挙げることができる。上述した中でもフェニル基等の単環式芳香族基が好ましい。アリール基の環形成炭素数は、特に限定されず、例えば4〜40、好ましくは6〜12であることができる。
アリールオキシ基としては、上記のアリール基の芳香環の任意の位置においてオキシ基が置換した基である。アリールオキシ基としては、具体的には、フェノキシ基等の単環式芳香族基にオキシ基が置換した基、ビフェニルオキシ基等の非縮合多環式芳香族基にオキシ基が置換した基や、ナフチルオキシ基等の縮合多環式芳香族基にオキシ基が置換した基が挙げられる。上述した中でもフェノキシ基等の単環式芳香族基にオキシ基が置換した基が好ましい。アリールオキシ基の環形成炭素数は、特に限定されず、例えば4〜40、好ましくは6〜12であることができる。
におけるヘテロシクリル基としては、ヘテロアリール基(芳香族複素環式基)および非芳香族複素環式基が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ピラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリル基およびイソキノリル基などの単環式ヘテロアリール基、ならびに、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基等の多環式ヘテロアリール基を挙げることができる。ヘテロアリール基の環形成炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは2〜30であり、より好ましくは〜12である。
非芳香族複素環式基としては、例えば、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、オキソラニル基、チオラニル基、オキサニル基、チアニル基、等の単環式基や各種他環式基が挙げられる。上述した非芳香族複素環式基の環形成炭素数は、特に限定されず、例えば、2〜30、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6である。
ヘテロシクリルオキシ基としては、上述したヘテロシクリル基の環形成原子にオキシ基が置換した基が挙げられる。ヘテロシクリルオキシ基としては、具体的には、ピロリルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピラニルオキシ基、チエニルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基や、ピロリジニルオキシ基、ピペリジニルオキシ基、モルホリニルオキシ基、チオラニルオキシ基、チアニルオキシ基等の非芳香族複素環式基にオキシ基が置換した基が挙げられる。ヘテロシクリルオキシ基の環形成炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは2〜30であり、より好ましくは2〜12である。
における直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基もしくはアルキニルオキシ基としては、例えば、以下のような基が挙げられる。
直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基およびイソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。上記アルキル基の炭素数は、特に限定されず、例えば、1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5である。
直鎖状または分岐状のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。上記アルケニル基の炭素数は、特に限定されず、例えば、2〜12、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。
直鎖状または分岐状のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。上記アルキニル基の炭素数は、特に限定されず、例えば、2〜12、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。
環状のアルキル基(シクロアルキル基)としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環式基や、ビシクロヘキシル基、テルシクロヘキシル基等の多環式基が挙げられる。
環状のアルケニル基(シクロアルケニル基)としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、1,3−または1,4−シクロヘキサジエニル基、1,5−シクロオクタジエニル基等の単環式基や、ビシクロヘキセニル基、テルシクロヘキセニル基等の多環式基が挙げられる。
上述した環状のアルキル基、アルケニル基の環形成炭素数は、特に限定されず、例えば、3〜30、好ましくは4〜12、より好ましくは5〜6である。
における各基に置換可能な基としては、特に限定されず、ヒドロキシ基、炭化水素基、炭素数1〜4のトリアルキルシリル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルケニルオキシ基もしくはアルキニルオキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。なお、炭化水素基としては、上記のアリール基ならびに直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。さらに、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基としては、それぞれ、上述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基にオキシ基(−O−)が付加したものが挙げられる。
上述した中でも、Rは、互いに独立して、置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルコキシ基であることが好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のフェノキシ基または置換もしくは無置換のエトキシ基であることがより好ましい。
また、複数のRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(I)において好ましいAとRとの組み合わせを以下に示す。
がホスフィンオキシド基である場合、Rは、好ましくは置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルコキシ基、より好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のフェノキシ基または置換もしくは無置換のアルコキシ基、さらに好ましくは無置換のフェニル基、フェノキシ基またはエトキシ基である。
がカルボニル基またはリン原子である場合、Rは、好ましくは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基、より好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基または置換もしくは無置換のフェノキシ基、さらに好ましくは無置換のフェニル基またはフェノキシ基である。
がスルホニル基である場合、Rは、好ましくは置換または無置換のアリール基、より好ましくは置換または無置換のフェニル基、さらに好ましくは無置換のフェニル基である。
以上説明した式(I)の具体例を以下の式(I−1)〜(I−10)として示す。
Figure 2019115888
上述した中でも、触媒として、式(I−1)〜(I−8)で表される化合物が好ましい。なお、触媒は、式(I)で表される化合物を1種のみ含んでもよいし、複数種含んでもよい。例えば、上記式(I−1)〜(I−8)で表される化合物から選択される1種または2種以上を含んでもよい。
また、上記式(II)において、Rは、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基である。アリール基、ヘテロシクリル基、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基としては、例えば、上述したRにおいて説明したものと同様のものを用いることができる。また、上記各基に置換可能な置換基としても、上述したRにおいて説明したものと同様のものを用いることができる。
は、出現毎に独立して、好ましくは置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、より好ましくは炭素数2〜5の直鎖状もしくは分岐状のまたは炭素数5〜6の環状のアルキル基、さらに好ましくはn−ブチル基、t−ブチル基またはn−プロピル基である。
また、2つのRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
以上説明した式(II)の具体例を以下の式(II−1)〜(II−5)として示す。
Figure 2019115888
上述した中でも、触媒として、式(II−1)〜(II−4)で表される化合物が好ましい。なお、触媒は、式(II)で表される化合物を1種のみ含んでもよいし、複数種含んでもよい。例えば、上記式(II−1)〜(II−4)で表される化合物から選択される1種または2種以上を含んでもよい。式(II)で表される化合物のうち、式(II−1)で表される化合物が好ましい。
また、触媒は、1種以上の式(I)で表される化合物と、1種以上の式(II)で表される化合物とを同時に含んでもよい。
また、二酸化炭素吸収剤は、上述した式(I)または(II)で表される化合物以外の触媒を含んでいてもよい。
二酸化炭素吸収剤は、上述した触媒を、例えば0.010〜35質量%、好ましくは0.050〜10質量%、より好ましくは0.10〜7質量%含む。これにより、二酸化炭素吸収剤により十分な吸収速度で二酸化炭素が吸収されることができる。また、二酸化炭素吸収剤の粘性、発泡性、液性等を適切なものとすることができる。
また、二酸化炭素吸収剤は、上述した触媒を、例えば0.010〜3.0mol/L、好ましくは0.020〜2.0mol/L、より好ましくは0.050〜1.0mol/L含む。これにより、二酸化炭素吸収剤による二酸化炭素の吸収速度を特に大きなものとすることができる。
[1−2]アミン化合物
次に、アミン化合物について説明する。本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、上述したように、アミン化合物を含む。アミン化合物は、二酸化炭素吸収剤中において、水素イオンを受け取ることによりカチオン(アンモニウムカチオン)となり、対イオンとして二酸化炭素由来の炭酸水素イオンを安定化させる。本実施形態において用いることのできるアミン化合物は特に限定されず、一級、二級または三級アミン化合物のいずれをも用いることができる。
より具体的には、一級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジグリコールアミン(DGA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1−プロパノール等の一級アルカノールアミンが挙げられる。
二級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−メチルアミノエタノール(MAE)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、N−n−プロピルアミノエタノール、2−イソプロピルアミノエタノール(IPAE)、N−n−ブチルアミノエタノール、N−イソブチルアミノエタノール、3−エチルアミノ−1−プロパノール、3−n−プロピルアミノ−1−プロパノール、3−イソプロピルアミノ−1−プロパノール、3−n−ブチルアミノ-1-プロパノール、3−イソブチルアミノ−1−プロパノール、ジエタノールアミン(DEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等の二級アルカノールアミンが挙げられる。
三級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)、トリエタノールアミン(TEA)等の三級アルカノールアミンおよびN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノブタン(TMDAB)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDER)等の三級アルキルアミンが挙げられる。
なお、二酸化炭素吸収剤は、上述したアミン化合物を、1種または2種以上含むことができる。
上述した中でも、二酸化炭素吸収剤は、二級アミン化合物および/または三級アミン化合物を含むことが好ましい。一般に、二酸化炭素のアミン化合物との反応は発熱反応であり、一方で、アミン化合物からの二酸化炭素の離脱反応は吸熱反応である。したがって、上記吸熱反応時に必要な熱量を低減できれば、分離回収エネルギーを低減することができる。そして、二級アミン化合物および三級アミン化合物は、一級アミン化合物と比較して、反応熱が低く、分離回収エネルギーの低減の観点から有利である。
特に、二級アミン化合物は、分離回収エネルギーを低減させることができるとともに、二酸化炭素の吸収速度を優れたものとすることができるため、好ましい。二級アミンとしては、2−イソプロピルアミノエタノール(IPAE)、2−エチルアミノエタノール(EAE)または2−メチルアミノエタノール(MAE)が好ましく、2−イソプロピルアミノエタノール(IPAE)がより好ましい。
二酸化炭素吸収剤中におけるアミン化合物の含有量は、特に限定されないが、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることが特に好ましい。これにより、二酸化炭素吸収剤の粘度の増加を防止しつつ、二酸化炭素の吸収量を十分に大きなものとすることができる。また、活性剤としての水の含有量を十分なものとすることができ、二酸化炭素の実用的な吸収性能および離脱性能を十分なものとすることができる。
[1−3]水
本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、水を含む。二酸化炭素吸収剤において、水は、溶媒として機能するとともに、二酸化炭素から炭酸水素イオンが生成する際に必要な基質としての水酸化物イオンを提供する。
水の由来としては特に限定されず、例えば、水は、蒸留水、イオン交換水、水道水または地下水であることができる。
また、通常、二酸化炭素吸収剤中の水の含有量は、二酸化炭素吸収剤の他の成分に対する残部の量である。しかしながら、二酸化炭素吸収剤は、例えば、水を20〜90質量%、好ましくは28〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%含む。
[1−4]その他の成分
本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、上述した成分以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、特に限定されないが、例えば非水溶媒、酸化防止剤、腐食防止剤、物理吸収剤等が挙げられる。
非水溶媒としては、他の成分と混合可能であれば特に限定されず、例えば、プロトン性溶媒を用いることができる。このようなプロトン性溶媒としては、例えば炭素数1〜10の分岐状または直鎖状アルコールや、炭素数1〜10の分岐状または直鎖状ポリオールが挙げられる。なお、非水溶媒を1種のみならず複数種組み合わせて用いることができることは言うまでもない。
炭素数1〜10の分岐状または直鎖状ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール等のジオールや、グリセリンが挙げられる。このような分岐状または直鎖状ポリオールは、二酸化炭素吸収剤が二酸化炭素を吸収した後の二酸化炭素の放散効率を向上させることができる。
分岐状または直鎖状ポリオールが含まれる場合、二酸化炭素吸収剤は、当該分岐状または直鎖状ポリオールを5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%含むことが好ましい。
酸化防止剤は、二酸化炭素吸収剤の化学的または物理的安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄等が挙げられる。
腐食防止剤は、二酸化炭素吸収剤が用いられる装置や設備の材質の劣化を防止することができる。腐食防止剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ホスホノプロパン−2,3−ジカルボン酸、ホスホノスクシン酸、2−ヒドロキシホスホノ酢酸、マレイン酸系重合体(例えばマレイン酸及びアミレンの共重合体、またはマレイン酸、アクリル酸、及びスチレンの三元共重合体)等が挙げられる。
物理吸収剤は、物理的に二酸化炭素を吸収可能な剤である。通常、物理吸収剤は、高圧、低温下において二酸化炭素を吸収することができる。物理吸収剤としては、例えば、シクロテトラメチレンスルホンおよびその誘導体、脂肪族酸アミド(例えばアセチルモルホリンまたはN−ホルミルモルホリン)、N−アルキル化ピロリドンおよび相応するピペリドン(例えばN−メチルピロリドンまたはN−メチルピペリドン)、プロピレンカーボネート、メタノール、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテル等が挙げられる。
なお、上述した酸化防止剤、腐食防止剤、物理吸収剤等の成分の含有量は、特に制限されないが、それぞれ、質量比で二酸化炭素吸収剤全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
[1−5]形態
本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、液状の吸収剤であってもよいし、固体吸収剤であってもよい。二酸化炭素吸収剤が液状である場合には、上述した各成分の混合物とすることができる。以下では、二酸化炭素吸収剤が固体吸収剤である場合について説明する。
本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤が固体吸収剤である場合、固体吸収剤は、例えば、支持体上に上述した各成分を担持させたものである。
支持体としては、特に限定されず、例えば、メソポーラスシリカ、ポリメチルメタクリレート、アルミナ、シリカアルミナ、粘土鉱物、マグネシア、ジルコニア、ゼオライト、ゼオライト類縁化合物、天然鉱物、廃棄物固体、活性炭、カーボンモレキュラーシーブ、またはそれらの混合物等が挙げられる。このような支持体は、市販品をそのまま用いてもよいし、公知の方法によって合成したものを用いてもよい。市販品の支持体としては、シグマ−アルドリッチ社製のメソ構造シリカMSU−F、三菱化学株式会社製のダイヤイオン(登録商標)HP2MG等が挙げられる。
また、支持体は、より多くの上述した各成分を担持するために、多孔質であることが好ましい。このような場合、支持体の比表面積および細孔容積を比較的大きくすることができる。
固体吸収剤は、上述した各成分を含む溶液と支持体とを混合することにより得ることができる。また、混合時または各成分を含む溶液の調製時において、アルコール等の溶媒を用いてもよい。このような場合、アルコール等の溶媒は、例えばエバポレーター等により留去することができる。また、混合時においては、撹拌を行ってもよい。さらに、混合時における温度は、特に限定されず、例えば室温とすることができる。
このような固体吸収剤は、液体である場合には適用できない圧力スィング法(吸収剤を減圧条件下におき、二酸化炭素を脱離させる方法)に適用することが可能である。また、温度スィング法(吸収剤を加熱し、二酸化炭素を脱離し、放散させる方法)も適用することが可能である。
また、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、分離膜であることもできる。このような場合、上述した各成分を含む液体を、例えば高分子等によりゲル化させて分離膜を形成する。このような分離膜も、固体吸収剤の場合と同様に、上述した各成分を含む溶液を膜状に成形した上記支持体に含浸させることにより製造することができる。
以上、本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤について詳細に説明した。本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤は、触媒がルイス塩基としてアンモニウムカチオンを安定化させ、水酸化物イオンを安定化させる。この結果、水とアミン化合物を介した二酸化炭素の吸収反応の速度が向上する。また、上述した式(I)、(II)で表される化合物は、従来知られている触媒と比較して安価に入手可能である。
したがって、以上説明した本実施形態によれば、二酸化炭素の分離回収工程に要するエネルギーが低減され、低いエネルギーでの二酸化炭素分離回収が可能となる。また、二酸化炭素との比較的低い吸収反応熱を持ちながらも二酸化炭素回収量の低さ故に利用が難しいアミン化合物をも、消費エネルギーの低い高性能な吸収剤の構成成分として利用することが可能となる。さらに、よりコンパクトな二酸化炭素分離回収設備の設計が可能となり、初期コストが低減される。
<2.二酸化炭の回収方法>
次に、本実施形態に係る二酸化炭素の回収方法について説明する。
本発明の二酸化炭素の吸収方法は、二酸化炭素吸収剤と二酸化炭素を接触させて前記二酸化炭素を前記二酸化炭素吸収剤に吸収させる工程(第1の工程)を有する。また、本実施形態に係る二酸化炭素の吸収方法は、さらに、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放散させることにより、二酸化炭素を回収する工程(第2の工程)を有する。
[2.1 第1の工程]
まず、第1の工程では、二酸化炭素吸収剤と二酸化炭素を接触させて前記二酸化炭素を前記二酸化炭素吸収剤に吸収させる。二酸化炭素吸収剤と二酸化炭素の接触は、例えば二酸化炭素を含むガスを二酸化炭素吸収剤と接触させることにより行うことができる。
二酸化炭素吸収剤としては、上述したような本実施形態に係る二酸化炭素吸収剤を用いることができる。
二酸化炭素を含むガスとしては、二酸化炭素を含むものであれば特に限定されないが、例えば、火力発電所、製造所のボイラー、セメント工場のキルン、製鉄所の高炉、転炉や、焼却炉等の各種施設・設備から排出される排ガスが挙げられる。これらの排ガスには、重油、天然ガス、コークス、銑鉄中の炭素や、焼却物由来の炭素等を燃焼させることによって生じた二酸化炭素が比較的多量に含まれている。
また、当該ガス中における二酸化炭素濃度は、特に限定されるものではなく、例えば、5〜50体積%、特に10〜40体積%、さらにまた20〜30体積%であることができる。このような二酸化炭素濃度の場合、十分な吸収速度および吸収量で、二酸化炭素吸収剤に二酸化炭素を吸収させることができる。なお、当該ガス中には、二酸化炭素以外に水蒸気、NOx、SOx、CO、HS、COS、H、O等を含んでもよい。
二酸化炭素吸収剤を二酸化炭素を含むガスと接触させる方法は、特に限定されない。二酸化炭素吸収剤中に二酸化炭素を含むガスを、例えばバブリングにより、通過させる方法、二酸化炭素を含むガス中に二酸化炭素吸収剤を霧状に散布する方法(噴霧またはスプレー方式)、充填塔内で二酸化炭素を含むガスと吸収剤とを向流接触させる方法等が挙げられる。
本工程における二酸化炭素吸収剤の温度は、特に限定されないが、例えば、25〜60℃とすることができる。二酸化炭素吸収剤の温度が上記範囲内であると、二酸化炭素を比較的大量かつ迅速に吸収することができる。上記温度は、好ましくは25〜50℃であり、より好ましくは25〜40℃である。
また、本工程において、二酸化炭素を含むガスの圧力は、特に限定されないが、例えば、大気圧以上の圧力とすることができる。二酸化炭素を含むガスの圧力を、大気圧よりも高く設定した場合(ガスを加圧した場合)、二酸化炭素の吸収速度、吸収量を増加させることができる。一方で、二酸化炭素を含むガスの圧力を、大気圧と同等の圧力とした場合、二酸化炭素回収後の圧縮のために要するエネルギー消費を抑制することができる。なお、本工程において、二酸化炭素を含むガスの圧力を大気圧未満の圧力としてもよい。
以上のような第1の工程により、二酸化炭素を従来と比較して高い速度で二酸化炭素吸収剤に吸収することができる。特に、二酸化炭素吸収剤中のアミン化合物が2級アミン化合物または3級アミン化合物である場合には、これらの化合物の二酸化炭素との反応に要するエネルギーが低く、このため従来二酸化炭素の吸収速度を高くできない問題があった。しかしながら、本実施形態においては、このような場合であっても、上述したような特定の触媒を採用することにより、二酸化炭素吸収剤による二酸化炭素の吸収速度を十分に大きくすることができる。また、二酸化炭素吸収剤により二酸化炭素を吸収することにより、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を分離することができる。
[2.2 第2の工程]
第2の工程では、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放散させることにより、二酸化炭素を回収する。
二酸化炭素吸収剤からの二酸化炭素の放散は、例えば、二酸化炭素吸収剤を加熱することにより行うことができる。加熱時における二酸化炭素吸収剤の温度は、特に限定されないが、例えば、70〜150℃とすることができる。二酸化炭素吸収剤の温度が上記範囲内であると、二酸化炭素の放散速度が優れたものとなる。二酸化炭素吸収剤の温度は、好ましくは70〜120℃、より好ましくは70〜100℃である。
また、本工程において、二酸化炭素の放散を行う際の圧力雰囲気は、特に限定されないが、例えば、0.09〜0.3MPaの圧力雰囲気とすることができる。これにより、二酸化炭素回収後の圧縮のために要するエネルギー消費、および二酸化炭素吸収剤の沸騰による揮散損失を抑制することができる。なお、二酸化炭素の回収量および放散速度を高めるために、前記下限値よりも低い圧力雰囲気下で二酸化炭素の放散を行ってもよい。
また、本工程では、単純に二酸化炭素吸収剤を加熱してもよいし、充填剤等に二酸化炭素吸収剤を展開して二酸化炭素吸収剤の外気との界面を増加させた上で加熱を行ってもよい。前者の場合、蒸留と同じく、釜中で二酸化炭素吸収剤を加熱することにより行うことができる。また後者の場合、棚段塔、スプレー塔、磁製、金属網製等の充填材の入った放散塔を採用することにより行うことができる。
(二酸化炭素吸収剤が固体吸収剤である場合)
また、二酸化炭素吸収剤が固体吸収剤である場合、以下の(i)〜(iii)の方法により、二酸化炭素を放散させることができる。
(i)二酸化炭素分離材を減圧条件下におき、二酸化炭素を放散させる方法(圧力スィング法)
(ii)二酸化炭素分離材に二酸化炭素を含まない不活性ガスを接触させ、二酸化炭素を放散させる方法
(iii)二酸化炭素分離材を加熱し、二酸化炭素を放散させる方法(温度スィング法)
(i)の方法においては、二酸化炭素の放散量および二酸化炭素吸収剤の安定性の点から、0.2Pa程度まで圧力を下げることが好ましい。減圧時に二酸化炭素吸収剤またはこれを含む容器を加熱してもよい。加熱する場合の温度は例えば、60℃程度まで加熱することができ、この場合の圧力は0.5Pa程度まで圧力を下げることが好ましい。
(ii)の方法においては、二酸化炭素を含まない不活性ガスを接触させることにより、二酸化炭素分圧を下げ、二酸化炭素を放散させることができる。不活性ガスとしては、二酸化炭素分離材がそのガス中で安定であり、二酸化炭素を含まないものであればよいが、例えば、アルゴンや窒素等が挙げられる。
(iii)の方法においては、二酸化炭素吸収時の温度から温度を上昇させることにより、二酸化炭素を放散させることができる。この場合における、二酸化炭素吸収時の温度と二酸化炭素脱離時の温度は、例えば、二酸化炭素吸収時の温度として20〜25℃、二酸化炭素脱離時の温度として60℃程度とすることができる。
以上の第2の工程により、純粋な、あるいは比較的高濃度の二酸化炭素を回収することができる。回収された二酸化炭素の利用用途は、特に限定されるものではない。回収された二酸化炭素は、例えば、95〜99.9体積%の濃度を有している。回収された二酸化炭素は、現在その技術が開発されつつある地中や海底等への隔離貯蔵(CCS)や石油増進回収法(Enhanced Oil Recovery、EOR)に供することができる。また、例えば、回収された二酸化炭素は、化成品等の合成原料または食品冷凍用の冷剤として用いることができる。
また、二酸化炭素を放散した後の二酸化炭素吸収剤は、再び第1の工程における使用に供することができる。すなわち、本実施形態に係る二酸化炭素の回収方法においては、二酸化炭素吸収剤を循環再利用することが可能である。
また、第2の工程後に二酸化炭素吸収剤を第1の工程での使用に供する際に、二酸化炭素吸収剤を冷却する必要がある。一方で、第1の工程で使用された二酸化炭素吸収剤は、第2の工程において放散を行うために加熱される必要がある。したがって、第2の工程後の二酸化炭素吸収剤と第1の工程後の二酸化炭素吸収剤との間で熱交換を行うことにより、本実施形態に係る二酸化炭素の回収方法における工程全体のエネルギーの低減が可能となる。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係る二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の吸収方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の吸収方法のあくまでも一例であって、本発明に係る二酸化炭素吸収剤および二酸化炭素の吸収方法が、下記の例に限定されるものではない。
<1.吸収速度評価>
(二酸化炭素吸収剤の調製)
イソプロピルアミノエタノール30質量%を含有する水溶液に対し、表1に示す触媒を、表1に示す量添加して、実施例1〜12および比較例1〜2に係る二酸化炭素吸収剤を調製した。なお、各実施例および比較例において、触媒量の添加量の異なる2種類の系の二酸化炭素吸収剤を用意し、各触媒の添加量はモル濃度で0.05mol/L(系1)、または0.1mol/L(系2)とした。なお、各実施例および比較例において、二酸化炭素吸収剤中のイソプロピルアミノエタノールの含有量は28.9〜30.0質量%の範囲にあり、水の含有量は、67.4〜70.0質量%の範囲にあった。
なお、比較例2において使用された触媒であるZCは、特開2009−226251号公報及び特開2016−182562号公報に開示された、以下に示す1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン亜鉛(過塩素酸塩)である。
Figure 2019115888
また、イソプロピルアミノエタノール55質量%を含有する水溶液に対し、表2に示す触媒を、表2に示す量添加して、実施例13〜16および比較例3に係る二酸化炭素吸収剤を調製した。なお、各実施例および比較例において、触媒量の添加量の異なる2種類の系の二酸化炭素吸収剤を用意し、各触媒の添加量はモル濃度で0.7mol/L(系3)、または1.0mol/L(系4)とした。なお、各実施例13〜16において、二酸化炭素吸収剤中のイソプロピルアミノエタノールの含有量は37.1〜48.0質量%の範囲にあり、水の含有量は、30.3〜39.3質量%の範囲にあった。
また、イソプロピルアミノエタノール40質量%、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール15質量%、エチレングリコール10質量%、水35質量%を含有する吸収液に対し、表3に示す触媒を、表3に示す量添加して、実施例17〜19および比較例4に係る二酸化炭素吸収剤を調製した。なお、各実施例および比較例において、触媒量の添加量の異なる2種類の系の二酸化炭素吸収剤を用意し、各触媒の添加量はモル濃度で0.3mol/L(系5)、または0.5mol/L(系6)とした。なお、各実施例17〜19において、二酸化炭素吸収剤中のイソプロピルアミノエタノールの含有量は33.5〜37.8質量%の範囲にあり、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの含有量は12.6〜14.2質量%の範囲にあり、エチレングリコールの含有量は8.4〜9.5質量%の範囲にあり、水の含有量は、29.3〜33.1質量%の範囲にあった。
なお、表1〜表3において、化合物名の右の符号(例えば「(I−1)」)は、上述した構造式の対応する符号である。
(評価)
得られた実施例1〜19および比較例1〜4に係る二酸化炭素吸収剤に対し、二酸化炭素の吸収速度の評価を行った。評価に用いた二酸化炭素吸収放散装置(図示せず)には、炭酸ガスボンベおよび窒素ガスボンベ、炭酸ガス流量コントローラーおよび窒素ガス流量コントローラー、ガラス製反応容器(0.5L)および温度調整器、ガス流量計、チラー、ならびに二酸化炭素濃度計(YOKOGAWA製IR100)が順次接続されていた。
ガラス製反応容器の周囲を、電気式ヒーターで覆い、温度調整器によりガラス製反応容器内の吸収剤の温度を任意に制御する仕様とした。ガラス製反応容器内には、撹拌翼を設け、ガラス製反応容器内の吸収剤を強制撹拌することで気液接触を促す仕様とした。
ガラス製反応容器内に実施例1〜19および比較例1〜4に係る二酸化炭素吸収剤0.1Lを投入した後、窒素ガスによりガラス製反応容器内上部の気体を置換した。ガラス製反応容器内の二酸化炭素吸収剤を0.1MPaの圧力雰囲気下で、40℃とし、同状態を保持した。0.14L/minの流量の炭酸ガス及び0.56L/minの流量の窒素ガスをガラス製反応容器内の吸収剤に吹き込み二酸化炭素の吸収を開始し、2時間継続した(第1の工程)。
二酸化炭素の吸収工程が終了した後、ガラス製反応容器内の二酸化炭素吸収剤を0.1MPaの圧力雰囲気下で、70℃とし、二酸化炭素の放散を開始し、2時間継続した(第2の工程)。第1の工程および第2の工程において、ガラス製反応容器からの排出ガスを二酸化炭素濃度計により分析した。
二酸化炭素吸収剤への二酸化炭素溶解量Sc[g/L]は、二酸化炭素濃度計から得られる二酸化炭素濃度C[体積%]の経時変化から下記の式を用いて求めた。
Figure 2019115888
二酸化炭素吸収剤への二酸化炭素吸収速度は、第1の工程における最大の二酸化炭素溶解量に対し50%溶解時における単位時間当たりの二酸化炭素溶解量変化として定義した。
上記の実験において得られた実施例1〜12および比較例1〜2に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度を、比較例1における二酸化炭素吸収速度に対する相対値として、表1に示す。また、上記の実験において得られた実施例13〜16および比較例3に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度を、比較例3における二酸化炭素吸収速度に対する相対値として、表2に示す。また、上記の実験において得られた実施例17〜19および比較例4に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度を、比較例4における二酸化炭素吸収速度に対する相対値として、表3に示す。
Figure 2019115888
Figure 2019115888
Figure 2019115888
表1に示すように、実施例1〜12に係る二酸化炭素吸収剤は、比較例1および比較例2に係る二酸化炭素吸収剤と比較して、二酸化炭素の吸収速度が大きかった。特に、二酸化炭素の吸収速度の向上効果は、式(I−1)〜(I−8)、(II−1)で表される化合物を使用した実施例1〜8および11において、顕著に表れた。なお、比較例1に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度は、今回行った実験条件では、1.28g/L/minであった。
表2に示すように、実施例13〜16に係る二酸化炭素吸収剤は、比較例3に係る二酸化炭素吸収剤と比較して、二酸化炭素の吸収速度が大きかった。表1に示す実施例1〜12に係る触媒の内、特に、二酸化炭素の吸収速度の向上効果が大きい式(I−1)、(I−3)、(I−4)、および(I−6)で表される触媒を使用した二酸化炭素吸収剤は、比較的高濃度のアミン化合物を含む二酸化炭素吸収剤に対しても有意な吸収速度の向上効果を示した。
なお、実施例13〜16および比較例3に係る二酸化炭素吸収剤は、比較的高濃度のアミン化合物を含むことから、比較例1に係る二酸化炭素吸収剤よりもその二酸化炭素の吸収速度が大きい。現に、比較例3に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度は、今回行った実験条件では、1.53g/L/minであり、比較例1に係る二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度と比較して、1.20倍程度大きい。したがって、表2に示す実施例13〜16および比較例3に係る二酸化炭素吸収剤の比較により、二酸化炭素の吸収速度が大きい系においても、触媒添加による二酸化炭素の吸収速度のより一層の向上が見込めることが示されたといえる。
また、表3に示すように、実施例17〜19に係る二酸化炭素吸収剤は、比較例4に係る二酸化炭素吸収剤と比較して、二酸化炭素の吸収速度が大きかった。表1に示す実施例1〜12に係る触媒の内、特に、二酸化炭素の吸収速度の向上効果が大きい式(I−1)、(I−3)、および(I−4)で表される触媒を使用した二酸化炭素吸収剤は、比較的高濃度のアミン化合物を含み、かつ、エチレングリコールを含む二酸化炭素吸収剤に対しても有意な吸収速度の向上効果を示した。このようなエチレングリコールを含む二酸化炭素吸収剤は、さらに、二酸化炭素の放散効率についても優れている。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (16)

  1. 水と、
    アミン化合物と、
    触媒と、を含み、
    前記触媒は、下記式(I)または(II)
    Figure 2019115888
    Figure 2019115888
    式中
    は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、
    は、酸素原子または硫黄原子であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基であり、
    nは、Aがホスフィンオキシド基またはリン原子である場合3であり、Aがカルボニル基またはスルホニル基である場合2である、
    で表される化合物から選択される1種以上を含む、二酸化炭素吸収剤。
  2. は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルコキシ基である、請求項1に記載の二酸化炭素吸収剤。
  3. 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
    は、ホスフィンオキシド基であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルコキシ基である、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収剤。
  4. 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
    は、カルボキシル基またはリン原子であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基または炭化水素基によって置換されたもしくは無置換のアリールオキシ基である、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収剤。
  5. 前記触媒は、前記式(I)で表される1種以上の化合物を含み、
    は、スルホニル基であり、
    は、出現毎に独立して、置換または無置換のアリール基である、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収剤。
  6. 触媒が、下記式(I−1)〜(I−8)
    Figure 2019115888
    で表される化合物から選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収剤。
  7. 前記触媒は、前記式(II)で表される1種以上の化合物を含み、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換かつ直鎖状または分岐状のアルキル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  8. 触媒が、下記式(II−1)〜(II−4)
    Figure 2019115888
    で表される化合物から選択される1種以上を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  9. 前記触媒を、0.010〜35質量%含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  10. 前記アミン化合物は、2級または3級アミン化合物を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  11. 前記アミン化合物は、2−イソプロピルアミノエタノールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  12. 非水溶媒をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤。
  13. 前記非水溶媒は、炭素数1〜10の分岐状または直鎖状ポリオールを含む、請求項12に記載の二酸化炭素吸収剤。
  14. 前記非水溶媒は、エチレングリコールを含む、請求項12または13に記載の二酸化炭素吸収剤。
  15. 二酸化炭素吸収剤と二酸化炭素を接触させて前記二酸化炭素を前記二酸化炭素吸収剤に吸収させる工程を有し、
    前記二酸化炭素吸収剤は、水と、アミン化合物と、触媒と、を含み、
    前記触媒は、下記式(I)または(II)
    Figure 2019115888
    Figure 2019115888
    式中
    は、ホスフィンオキシド基、カルボニル基、スルホニル基またはリン原子であり、
    は、酸素原子または硫黄原子であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換のヘテロシクリルオキシ基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基もしくはアルケニルオキシ基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基もしくはアルキニルオキシ基であり、
    は、出現毎に独立して、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクリル基、置換もしくは無置換かつ直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換もしくは無置換かつ直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基であり、
    nは、Aがホスフィンオキシド基またはリン原子である場合3であり、Aがカルボニル基またはスルホニル基である場合2である、
    で表される化合物から選択される1種以上を含む、二酸化炭素の回収方法。
  16. さらに、前記二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収剤から前記二酸化炭素を放散させることにより、前記二酸化炭素を回収する工程を有する、請求項15に記載の二酸化炭素の回収方法。
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